JP4598230B2 - 粉体塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温硬化性と貯蔵安定性に優れた粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂等をメインバインダーとし、必要により多価カルボン酸、メラミン樹脂およびブロックイソシアネート等の硬化剤を配合しているものが広く知られており、これらは、家電、自動車、建材等の多くの分野で使用されている。その中で、熱硬化性樹脂組成物を主体とする粉体塗料組成物は、一定温度以上、通常は180℃以上の高温での焼付条件が必要とされている。
【0003】
ところが、このような高温焼付は、多量のエネルギーを必要とし、かつ揮発性成分が多く発生することから、環境上あまり好ましくない。
【0004】
そこで、特開平4−275375号公報には、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のポリイソシアネートのブロック体を硬化剤として用いる低温硬化性粉体塗料が提案されている。しかし、このような塗料を用いた塗膜は、機械的な物性が十分なものではなかった。
【0005】
一方、特開平2−3458号公報には、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を用いる粉体塗料組成物が提案されている。しかし、この粉体塗料組成物では、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤特有の耐水性の低下、特に、一般的に用いられるりん酸亜鉛処理鋼板上での耐水試験後の密着性が十分なものではなかった。また、特開平11−228866号公報には、エポキシ含有ビニル系重合体とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤とエポキシ樹脂とを必須の被膜成分とする粉体塗料組成物が提案されている。この粉体塗料組成物では、焼付温度が170℃と従来よりも若干低くなっているに過ぎない。また、この粉体塗料組成物においては、硬化反応に関与する官能基としてエポキシ基と水酸基を用いているが、そのうち、室温での反応性が高いエポキシ基を、水酸基よりも多く使用しているので、固相反応が進みやすくなり、その結果塗料の貯蔵安定性が低下するという問題があった。また、この粉体塗料は、ビニル系共重合体の1つであるアクリル樹脂成分を多く含んでいるため、実際の塗装ラインに適用すると、そのアクリル樹脂成分が他の塗装ラインに混入し、ハジキ等の不具合を生じる恐れがある。そのため、塗装ラインへ適用する場合は、他の塗装ラインと隔離する等の対策を講じる必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、焼付温度が低くても、貯蔵安定性に優れ、かつ得られる塗膜の機械的物性、耐水性が良好であり、塗装ラインへの適用が容易である、粉体塗料組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の粉体塗料組成物は、樹脂固形分酸価が10〜100、軟化点が80〜150℃であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、エポキシ当量が250〜1500、軟化点が80〜150℃であるエポキシ基含有ビニル系樹脂と、エポキシ当量が100〜4000であるエポキシ樹脂と、下記の式で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤とを含有するものであって、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂を0.1〜10重量部、上記エポキシ樹脂を0.1〜10重量部含有し、かつ上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と上記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との合計当量数と、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との比が、0.05/1〜1/1となるように、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有するものである。
【0008】
【化2】
Figure 0004598230
【0009】
(式中、R1は、水素原子、メチル基またはエチル基、 R2は、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基またはHOCH(R1)CH2−、Aは2価の炭化水素基を表す。)
そして、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と上記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.5/1〜1.6/1であることが好ましい。
【0010】
また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価が、10〜45の場合は、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と上記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.9/1〜1.3/1であることが好ましく、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価が、45〜100の場合は、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と上記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.7/1〜1.1/1であることが好ましい。
【0011】
一方、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が、イソフタル酸とテレフタル酸を主原料として重縮合によって得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0012】
また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が、酸成分としてイソフタル酸を主原料として重縮合によって得られたものであってもよい。
【0013】
一方、上記粉体塗料組成物の体積平均粒子径が5〜50μmであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の粉体塗料組成物は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を原料として得られた、数平均分子量が300〜50000、ガラス転移温度が20℃未満のアクリル重合体からなる表面調整剤を、粉体塗料組成物中に0.01〜5重量%含有するものであってもよい。
【0015】
一方、本発明は、上記粉体塗料組成物を、下塗り塗料として被塗物に塗装する方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の粉体塗料組成物は、特定の酸価および軟化点を持つカルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、特定のエポキシ当量および軟化点を持つエポキシ基含有ビニル系樹脂と、特定のエポキシ当量を持つエポキシ樹脂と、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤とを特定割合で含有する粉体塗料組成物である。
【0017】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
本発明の粉体塗料組成物に含有されるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、樹脂固形分酸価が10〜100(mgKOH/g固形分;以下同様)、好ましくは、15〜80、さらに好ましくは、20〜60の範囲であることが好適である。上記酸価が10未満である場合は、硬化性が低下し、機械的物性が低下する恐れがあり、一方、100より大きい場合は得られる塗膜の耐水性が低下する恐れがある。また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、軟化点が80〜150℃、好ましくは、90〜130℃の範囲であることが好適である。上記軟化点が80℃より低い場合は、耐ブロッキング性が低下する恐れがあり、150℃より高い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下する恐れがある。一方、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、重量平均分子量が1000〜150000、好ましくは、3000〜70000、さらに好ましくは、4000〜50000の範囲であることが好適である。上記重量平均分子量が、1000より小さい場合には、得られる塗膜の性能および物性が低下する恐れがあり、一方、150000より大きい場合は、得られる塗膜の平滑性、外観が低下する恐れがある。
【0018】
なお、本発明における樹脂固形分の酸価はJIS K 0070、また、軟化点はJIS K 2207それぞれ準拠した方法により決定することができる。また、本発明における重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等の当業者によってよく知られた方法により決定することができる。
【0019】
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、2種以上の複合物であってもよい。その場合、上記の物性値および特数値は、複合物全体としての値を意味する。
【0020】
このようなカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分とを原料として通常の方法により縮重合することにより得ることができる。それぞれの成分および縮重合の条件を選択することにより、上記の物性値および特数値を有するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を得ることができる。
【0021】
上記酸成分としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸およびこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類およびこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類およびこれらの無水物などを挙げることができる。その他に、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類ならびにこれらに対応するヒドロキシカルボン酸類、p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類等を挙げることができる。上記酸成分は2種以上であってもよい。中でも、イソフタル酸とテレフタル酸が、耐久性、物性、価格の点から好ましい。全酸成分中に占めるテレフタル酸とイソフタル酸の合計の割合は70モル%以上、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上が好適である。ここで、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸の合計の割合を70モル%以上用いる場合を、特にこれらを主原料として用いることを意味する。上記テレフタル酸とイソフタル酸含有量の上限については、ポリエステル樹脂の調製に使用する酸成分の全量をテレフタル酸及び/又はイソフタル酸としても良い。また、耐候性を特に向上させたい場合は、全酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは、90モル%以上が好適である。ここで、全酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を70モル%以上用いることを、イソフタル酸を主原料として用いることを意味する。
【0022】
上記アルコール成分としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等のジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等を挙げることができる。上記アルコール成分は2種以上であってもよい。
【0023】
エポキシ基含有ビニル系樹脂
本発明の粉体塗料組成物に含有される、エポキシ基含有ビニル系樹脂は、分子の末端又は側鎖にエポキシ基を有するビニル系共重合体である。このエポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ当量としては、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の機械的物性、耐水性などの点から、250〜1500、好ましくは300〜1000、さらに好ましくは400から900が好適である。250未満であると固相反応が進みやすくなり、貯蔵安定性が低下する恐れがあり、1500を超えると機械的物性、耐水性が低下する恐れがある。
【0024】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂の軟化点は、80〜150℃である。この範囲外であると、耐ブロッキング性や塗膜の平滑性が低下する恐れがる。
【0025】
また、その数平均分子量としては、塗膜の機械的物性や平滑性の点から300〜10000、好ましくは、1000〜5000の範囲が好適である。上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、2種以上の複合物であってもよい。上記数平均分子量が300未満である場合、機械的物性が低下し、10000より大きい場合、平滑性が低下する恐れがある。
【0026】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、エポキシ基を有するビニル系モノマーと、必要によりその他のビニル系モノマーとを共重合させることによって得られる。または、ビニル系共重合体にエポキシ基を導入することにより得られる。
【0027】
まず、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂を共重合で得ようとする場合、そこで用いる上記エポキシ基を有するビニル系モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の各種のグリシジルエステル類、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートのような、各種の脂環式エポキシ基含有ビニル系単量体類等が挙げられる。また、上記のその他のビニル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、エチレン、プロピレン、ブテン−1のような、各種のα−オレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのような、各種の芳香族ビニル化合物類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類等が挙げられる。
【0028】
一方、後者の方法である、ビニル系共重合体にエポキシ基を導入する方法で得ようとするならば、たとえば、イソシアネート基を有するビニル共重合体にグリシドールを反応させる方法がある。
【0029】
エポキシ樹脂
本発明の粉体塗料組成物に含有されるエポキシ樹脂としては、例えば、1分子内に平均1.1個以上のエポキシ基を有するものが用いられる。具体的には、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)、水素添加ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)との反応生成物、クレゾールノボラック等のクレゾール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびグリセロール等のアルコール化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル類、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびトリメリット酸等のカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル類、p−オキシ安息香酸やβ−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応生成物、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物類、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)およびその誘導体等が用いられる。上記エポキシ樹脂は、2種以上であってもよい。
【0030】
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、100〜4000であり、100〜2000がさらに好ましい。上記エポキシ当量が、100より小さい場合は塗料の貯蔵安定性が低下する恐れがあり、一方、4000より大きい場合は、塗膜の耐水性が低下する恐れがある。なお、本発明におけるエポキシ当量はJIS K 7236により決定することができる。
【0031】
このような、エポキシ樹脂の市販品の例としては、エポトートYD−128、エポトートYD−014、エポトートYD019、ST−5080、ST−5100、ST4100D(いずれも、東都化成社製)、EHPA−3150(ダイセル化学工業社製)、アラルダイトCY179(日本チバガイギー社製)、デナコールEX−711(ナガセ化成工業社製)、エポトートYDPN−639、エポトートYDCN701、エポトートYDCN701(いずれも、東都化成社製)、エピクロンN−680、エピクロンN−695、エピクロンHP−4032、エピクロンHP−7200H(いずれも、大日本インキ化学工業社製)、アラルダイト PT 810、アラルダイト PT 910(日本チバガイギー社製)、TEPIC(日産化学工業社製)などが挙げられる
β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤
本発明の粉体塗料組成物に含まれるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤としては、下記の式で示されるものである。
【0032】
【化3】
Figure 0004598230
【0033】
ここで、式中、R1は、水素原子、メチル基またはエチル基、R2は、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基またはHOCH(R1)CH2−、Aは2価の炭化水素基を表す。
【0034】
さらに、式中のR1としては、水素原子またはメチル基が、R2としては、HOCH(R1)CH2−が、Aとしては炭素原子数2〜10さらに好ましくは4〜8のアルキレン基が好適である。
【0035】
上記硬化剤は、例えば、カルボン酸および/またはカルボン酸エステルと、β−ヒドロキシアルキルアミンとを、ナトリウムやカリウム等のアルコキシドの触媒の存在下で、反応させることにより得られる。
【0036】
ここで用いるカルボン酸やカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。
【0037】
また、β−ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン等が挙げられる。
【0038】
粉体塗料組成物
本発明の粉体塗料組成物における上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂、上記エポキシ樹脂および上記硬化剤の各成分の含有割合は以下の通りである。
【0039】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、塗膜の機械的物性、耐水性、平滑性、塗料の貯蔵安定性などの観点から、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは、2〜9重量部の範囲のものが好適である。0.1重量部より少ないと塗膜の機械的物性の低下や、耐水性が不良になり、10重量部を超えると塗膜の平滑性の低下や、塗料の貯蔵時にカルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、塗料の貯蔵安定性が低下する恐れがある。
【0040】
上記エポキシ樹脂の配合量は、塗膜の耐水性、塗料の貯蔵安定性などの観点から上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜10重量部、更に好ましくは2〜9重量部の範囲のものが好適である。0.1重量部より少ないと塗膜の耐水性が不良になり、10重量部を超えると塗料の貯蔵時にカルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、塗料の貯蔵安定性が悪くなる恐れがある。
【0041】
さらに、本発明の粉体塗料組成物の固形分中に含まれるエポキシ基の全当量数である、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と、上記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との合計当量数と、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との比が0.05/1〜1/1、好ましくは0.1/1〜0.8/1、更に好ましくは0.1/1〜0.6/1となるように、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有するものである。上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基との室温での反応性は、エポキシ基とのそれよりも低い。よって、上記比率を上記範囲内とすることにより、粉体塗料中のβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基量をエポキシ基量よりも多く存在させることとなり、室温のような低い反応条件では、さほど反応が進まず、その結果、塗料の貯蔵安定性が良好となる。従って、上記比率が1/1を超えると、塗料の貯蔵安定性が低下する恐れがある。また、0.05/1未満であると、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基及び上記エポキシ樹脂のエポキシ基と、上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基との反応が少なくなり、低温焼き付け時の塗膜の機械的物性、耐水性が低下する恐れがある。
【0042】
一方、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ当量数と上記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計に対する、上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数の比が、0.5/1〜1.6/1好ましくは0.7/1〜1.3/1である。この範囲内にあれば、硬化反応は正常に進むのだが、0.5/1未満であると、硬化が不十分となり、塗膜の機械的物性の低下や、耐水性が低下する恐れがある。1.6/1を超えると、塗膜の耐水性が低下する恐れがある。
【0043】
また、特に上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂の酸価が10〜45である場合は、上記当量比が0.9/1〜1.3/1であることが好ましい。この範囲内にあれば、硬化反応は過不足無く進み、塗膜の機械的物性、耐水性が良好となり、好ましい。
【0044】
一方、上記ポリエステル樹脂の酸価を45〜100と、通常の粉体塗料で採用されている酸価よりも高くして、低温硬化性を特に向上させようとした場合、上記当量比は0.7/1〜1.1/1が好ましい。この範囲外であると、塗膜の機械的物性の低下、耐水性の低下となる恐れがある。
【0045】
本発明の粉体塗料組成物は、必要に応じて表面調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤、帯電制御剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
【0046】
特に上記表面調整剤としては、塗装ラインへの適用性の点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を原料として得られた、数平均分子量が300〜50000、好ましくは、1000〜30000で、ガラス転移温度が20℃未満、好ましくは、0℃以下のアクリル重合体からなるものが良い。分子量が上記範囲外であると、十分に表面調整性を付与することができなく、ヘコミ等の外観不良防止が不十分となる。また、ガラス転移温度が20℃以上であると、十分に表面調整性を付与することができない恐れがある。上記表面調整剤は、粉体塗料組成物中に0.01〜5重量%、好ましくは、0.05〜3重量%、さらに好ましくは、0.1〜2重量%の範囲のものが好適である。0.01重量%より少ないと十分に表面調整性を付与することができず外観不良の確率が高くなり、5重量%を超えると、塗料のブロッキング性が低下する恐れがある。
【0047】
このような、表面調整剤の市販品は、例えば、アクロナール4F(BASF社製)、ポリフローS(共栄社化学社製)、レジフローLV(ESTRON CHEMICAL社製)などが挙げられ、シリカ担体アクリル重合体、例えば、モダフローIII(モンサント社製)、レジフローP67(ESTRON CHEMICAL社製)などが好適に用いられる。また、表面調整剤であるアクリル重合体とエポキシ樹脂の混合物をエポキシ樹脂の使用量が上記範囲内になるようにして、使用してもよい。
【0048】
粉体塗料組成物は、顔料を添加しないで透明な塗膜を得ることもでき、あるいは、顔料を添加することもできる。上記顔料としては、特に限定されず、具体的には、二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、各色のメタリック顔料、各色のパール顔料、金属粉末およびそれに表面処理を施したもの、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料などを挙げることができる。また、光沢を低下させるために、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、長石、ワラストナイト等の無機系艶消し剤や、有機微粒子からなる有機系の艶消し剤を含むことが好ましい。上記艶消し剤の体積平均粒径は、3〜30μmであることが好ましい。
【0049】
本発明の粉体塗料組成物の製造は、粉体塗料分野において周知の製造方法を用いて行うことができる。例えば、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂、上記エポキシ樹脂、および、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を必須として、その他上記顔料および上記各種添加剤等の原料を準備した後、スーパーミキサー、ヘンシエルミキサー等を使用して原料を予備的に混合し、コニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて原料を溶融混練する。この時の加熱温度は勿論焼付硬化温度より低くなければならないが、少なくとも原料の一部が溶融し全体を混練することができる温度でなければならない。一般に80〜120℃の範囲内で溶融混練される。次に溶融物は冷却ロールや冷却コンベヤー等で冷却して固化され、粗粉砕および微粉砕の工程を経て所望の粒径に粉砕される。
このようにして得られる本発明の粉体塗料組成物の体積平均粒子径は5〜50μmであることが好ましく、巨大粒子や微小粒子を除去して粒度分布を調整するために篩分けによる分級を行ったが好ましい。薄膜塗装や立体構造物の塗装に用いる場合には体積平均粒子径が5〜40μmであることが好ましい。特に薄膜で平滑な塗膜を得ようとする場合には、5〜30μmが好ましい。
【0050】
さらに、上記製造方法によって得られた粉体塗料の表面に流動性付与剤や、帯電調整剤を外添してもよい。上記流動性付与剤は、粉体塗料自体に流動性を与えるだけでなく、耐ブロッキング性も向上させることができる。上記流動性付与剤としては、疎水性シリカ、親水性シリカや酸化アルミニウム、酸化チタン等が適用できる。このような、流動性付与剤の市販品として、例えば、AEROSIL130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL R−972、AEROSIL R−812、AEROSIL R−812S、二酸化チタンT−805、二酸化チタンP−25、Alminium OxideC(日本アエロジル社製)、カープレックスFPS−1(塩野義製薬社製)等を例示することができる。上記流動性付与剤の添加量は、付与される効果と塗膜の平滑性の観点から、粉体塗料100重量部に対して、0.05〜2重量部、好ましくは、0.1〜1重量部が好適である。0.05重量部未満であると効果が小さくなり、2重量部を越えると塗膜の平滑性が低下や艶引けが発生する恐れがある。
【0051】
本発明の粉体塗料組成物は、被塗装物に対して塗布された後、加熱することにより塗膜を得ることができる。上記被塗装物としては、特に限定されず、具体的には、鉄板、鋼板、アルミニウム板等およびそれらを表面処理したもの等を挙げることができる。被塗装物の塗膜形成は、本発明の粉体塗料組成物からなる1層であっても良好な保護機能を有するが、複層を形成してもよい。この場合、上記粉体塗料組成物を、上記被塗装物に直接下塗り塗料すなわちプライマーとして塗布し、下塗り塗膜を形成し、その上に中塗り塗料、上塗り塗料を塗装してもよい。また、上記被塗装物が、すでに下塗り等が施されていて、その下塗り塗膜の上に、上記粉体塗料組成物を、中塗り塗料または上塗り塗料として塗布してもよい。上記下塗りを形成する下塗り塗料としては、電着塗料やプライマーなどの公知のものを用いることができる。特に、好ましい複層膜形態として、熱に弱い被塗装物、例えばアルミホイルに、上記粉体塗料組成物を直接下塗り塗料すなわちプライマーとして塗布し、低い焼き付け温度、例えば140〜160℃により下塗り塗膜を形成し、その後、上塗り塗料を塗装して、複層膜を形成してもよいし、上記粉体塗料組成物をプライマーとして塗布し、その後、上塗り塗料を塗装して、低い焼き付け温度により一度に複層膜を形成してもよい。
【0052】
上記塗布する方法としては、特に限定されず、スプレー塗装法、静電粉体塗装法、流動浸漬法等の当業者によってよく知られた方法を用いることができるが、塗着効率の点から、静電粉体塗装法が好適に用いられる。
【0053】
本発明の粉体塗料組成物を塗布する際の塗装膜厚は、特に限定されないが、20〜100μmに設定することができる。
【0054】
加熱する条件は、硬化に関与する官能基および硬化促進剤の量により異なるが、例えば、加熱温度は、100〜230℃、好ましくは140〜200℃であり、加熱時間は、上記加熱温度に応じて適宜設定することができる。
【0055】
【実施例】
製造例1 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A1の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入口を備えた反応容器に、エチレングリコール180重量部(2.91モル)、ネオペンチルグリコール1715重量部(16.49モル)、ジメチルテレフタレート1746重量部(9.0モル)、アジピン酸146重量部(1.0モル)および酢酸亜鉛の1.5部からなる混合物を窒素気流中で加温し、160℃で1時間、生成するメタノールを反応系外に除去しながら、徐々に昇温し、210℃で2時間アルコール交換反応を行った。次いで、ここへ、さらに、テレフタル酸996重量部(6.0モル)、イソフタル酸664重量部(4.0モル)およびジ−n−ブチル錫オキサイドの2部からなる混合物を仕込んで、240℃にまで徐々に昇温し、生成する水を留去しながら、エステル化反応を行うことによって、酸価が33で、軟化点が109℃で、重量平均分子量が9900の目的とするカルボキシル基含有ポリエステル樹脂A1を得た。
【0056】
製造例2 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A2の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール1946重量部(18.71モル)、トリメチロールプロパン92重量部(0.69モル)、イソフタル酸3320重量部(20.0モル)およびジ−n−ブチル錫オキサイドの2部からなる混合物を窒素気流中で加温し、240℃にまで徐々に昇温し、生成する水を留去しながら、エステル化反応を行うことによって、酸価が34で、軟化点が112℃で、重量平均分子量が10000の目的とするカルボキシル基含有ポリエステル樹脂A2を得た。
【0057】
製造例3 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A3の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入口を備えた反応容器に、エチレングリコール208重量部(3.35モル)、ネオペンチルグリコール1037重量部(9.97モル)、1,4シクロヘキサンジメタノール518重量部(3.60モル)、ジメチルテレフタレート2067重量部(11.0モル)および酢酸亜鉛の1.5部からなる混合物を窒素気流中で加温し、160℃で1時間、生成するメタノールを反応系外に除去しながら、徐々に昇温し、210℃で2時間アルコール交換反応を行った。次いで、ここへ、さらに、テレフタル酸1551重量部(9.0モル)、トリメチロールプロパン145重量部(1.08モル)およびジ−n−ブチル錫オキサイドの2部からなる混合物を仕込んで、240℃にまで昇温し、生成する水を留去しながら、エステル化反応を行うことによって、酸価が50で、軟化点が105℃で、重量平均分子量が15000の目的とするカルボキシル基含有ポリエステル樹脂A3を得た。
【0058】
実施例1
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A1(酸価33、軟化点109℃)100重量部と、ファインディックA241(大日本インキ化学工業社製、エポキシ基含有ビニル系重合体、エポキシ当量600、軟化点109℃)を5重量部と、エポトートYD−014(東都化成社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量950)5重量部と、プリミドXL552(EMS−PRIMD社製、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤で下記の式で示される物質、水酸基当量84)5重量部と、アクロナール4F(BASF社製、アクリル重合体、Tgが−55℃、溶解性パラメータSPが9.3、数平均分子量が16500の表面調整剤)0.5重量部と、ベンゾイン1重量部と、タイペークCR−90(石原産業社製、ルチル型二酸化チタン顔料)65重量部を原料として、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、さらに溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約110℃で溶融混練した。ここで、プリミドXL552は、以下の式で示される物質である。
【0059】
【化4】
Figure 0004598230
【0060】
その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却した後、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕し、得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、粉体塗料組成物を得た。その体積平均粒子径は35μmであった。エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との合計当量数と、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との比は、0.23/1であり、エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比は、1.24/1であった。
【0061】
このようにして製造した粉体塗料を0.8mmのリン酸亜鉛処理した鋼板に膜厚約60μmになるようにコロナ帯電型塗装ガンにより静電吹付塗装し、160℃×15分の条件で焼付け、以下の方法により塗膜性能の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0062】
<耐衝撃性の評価>
JIS K5400 8.3.2に準拠したデュポン式で、下記の条件にて塗膜のワレ・はがれが生じた重りの高さを調べた。
おもり :500g
撃ち型と受け台のサイズ :1/2インチ
【0063】
<耐水性の評価>
JIS K5400 8.19に準拠した40℃水道水中、500時間浸漬した後に、JIS K5400 8.5.2に準拠した1mm間隔のゴバン目テープ剥離法による残存数を調べた。
【0064】
<耐沸水性の評価>
密着性からの評価
沸騰水道水に2時間浸漬した後に、JIS K5400 8.5.2に準拠した1mm間隔のゴバン目テープ剥離法による残存数を調べた。
【0065】
光沢保持率からの評価
沸騰水道水に2時間浸漬する前後の塗膜の60゜光沢反射率を、JIS K 5400 7−6に準拠して測定し、光沢保持率を算出した。
【0066】
<貯蔵安定性の評価>
ここで得られた粉体塗料組成物を40℃の恒温下、1ヶ月保存した後、初期の塗料と貯蔵後の塗料とについてそれぞれ、実施例1と同様にして塗装し、得られた塗膜の外観の違いを観察し、違いの無いものを良好とし、違いのあるものを不良とした。
【0067】
実施例2〜9および比較例1〜7
表1および表2に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様にして粉体塗料を作製し、評価した。その結果を表3に示す。
【0068】
実施例10
実施例1で得た粉体塗料をリン酸亜鉛処理した鋼板の代わりに、化成処理したアルミホイルに膜厚約100μmになるようにコロナ帯電型塗装ガンにより静電吹付塗装し、150℃×25分の条件で焼付けを行い、上記アルミホイル上にプライマー塗膜を形成した。次に、そのプライマー塗膜上に、溶剤型ベース塗料(商品名スーパラック5000シルバー、日本ペイント社製)を、乾燥後の膜厚が20μmになるようにスプレー塗装し、140℃×15分焼付けた後、さらにその上に、溶剤型クリア塗料(商品名スーパラック5000クリア、日本ペイント社製)を乾燥後の膜厚が30μmになるようにスプレー塗装し、140℃×20分焼付けて、プライマー塗膜、上塗り塗膜およびクリア塗膜からなる複層塗膜を形成した。ここで得られた塗装アルミホイルは、焼付け時の熱による劣化もなく、プライマー塗膜により、アルミホイル素材のブラストによる凹凸も埋め込まれ平滑な仕上がりとなり、上塗り塗膜との密着性も良好であった。
【0069】
【表1】
Figure 0004598230
【0070】
【表2】
Figure 0004598230
【0071】
【表3】
Figure 0004598230
【0072】
実施例の結果からわかるように、塗料の貯蔵安定性を低下させずに、焼付温度を従来の180℃よりも20〜30℃と大幅に低下させても、十分に硬化反応が行われ、従来以上の耐水性と機械的物性値が得られた。
【0073】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料組成物は、特定の酸価、軟化点のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、特定のエポキシ当量、軟化点のエポキシ基含有ビニル系樹脂と、特定のエポキシ当量のエポキシ樹脂と、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤とを特定の割合で配合して得られたものであるため、塗料の貯蔵安定性を低下させることなく、焼付温度を従来よりも大幅に低下させることができる。また、得られる塗膜の物性値、耐水性も向上させることができる。一方、本発明の粉体塗料組成物では、ビニル系樹脂の含有量が少ないため、実際に塗装ラインに適用した場合であっても、他の塗装ラインへの影響が極めて少ないので、塗装ラインでの切り替えを容易に行うことができる。

Claims (9)

  1. 樹脂固形分酸価が10〜100、軟化点が80〜150℃であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、エポキシ当量が250〜1500、軟化点が80〜150℃であるエポキシ基含有ビニル系樹脂と、エポキシ当量が100〜4000であるエポキシ樹脂と、下記の式で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤とを含有する粉体塗料組成物であって、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記エポキシ基含有ビニル系樹脂を0.1〜10重量部、前記エポキシ樹脂を0.1〜10重量部含有し、かつ前記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と前記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との合計当量数と、前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との比が、0.05/1〜1/1となるように、前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有することを特徴とする粉体塗料組成物。
    Figure 0004598230
    (式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基またはHOCH(R)CH−、Aは2価の炭化水素基を表す。)
  2. 前記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と前記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.5/1〜1.6/1である、請求項1記載の粉体塗料組成物。
  3. 前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価が10〜45であって、前記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と前記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.9/1〜1.3/1である、請求項1または2記載の粉体塗料組成物。
  4. 前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価が、45〜100であって、前記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と前記エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.7/1〜1.1/1である、請求項1または2記載の粉体塗料組成物。
  5. 前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が、酸成分としてイソフタル酸とテレフタル酸を主原料として重縮合によって得られたポリエステル樹脂である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物。
  6. 前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が、酸成分としてイソフタル酸を主原料として重縮合によって得られたポリエステル樹脂である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物。
  7. 体積平均粒子径が5〜50μmである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物。
  8. (メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を原料として得られた、数平均分子量が300〜50000、ガラス転移温度が20℃未満のアクリル重合体からなる表面調整剤を、粉体塗料組成物中に0.01〜5重量%含有する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物を、下塗り塗料として被塗物に塗装する方法。
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