JP2024057339A - 粉体塗料組成物の製造方法、塗膜形成方法及び調色方法 - Google Patents

粉体塗料組成物の製造方法、塗膜形成方法及び調色方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、平滑で均一な色相を示す塗膜を実現可能な、粉体塗料組成物の製造方法の提供を目的とする。【解決手段】本開示の粉体塗料組成物の製造方法は、2種以上の原色粉体塗料組成物を準備する工程と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)とを混合して、予備混合物を得る工程と、前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を得る工程とを含む。【選択図】なし

Description

本開示は、粉体塗料組成物の製造方法、塗膜形成方法及び調色方法に関する。
近年、環境負荷低減の意識が高まり、環境配慮型商品への置換が求められている。中でも粉体塗料組成物は、有機溶剤を含まず、且つ塗料回収も容易である等環境性に優れているため、家庭電化製品、自動車部品、鋼製家具等の塗装に広く用いられている。
このような粉体塗料組成物は、通常、複数の着色粉体塗料組成物を組み合わせて、幅広い色相に調色され、静電塗装ガン等で被塗物に塗布される。
例えば、特許文献1には、2種以上の色彩の異なる粉体塗料を組み合わせて目標色に調色する調色方法が記載され、無彩色の原色粉体塗料群及び有彩色の原色粉体塗料群から、目標色に調色するのに適した原色粉体塗料を順次選択し、組み合わせることが記載されている。
特許文献2には、2種以上の色相の異なる粉体塗料を混合塗布する塗装方法に用いられる粉体塗料が記載され、2種以上の粉体塗料の質量中位粒径を1~50μmで、質量分布変動計数を50%以下としたうえで調色することなどが記載されている。
特許文献3には、2種以上の色相の異なる粉体塗料を混合塗布する塗装方法に用いられる粉体塗料が記載され、2種以上の粉体塗料の帯電量の差を5.0μC/g以下としたうえで調色することなどが記載されている。
特許文献4には、平均粒子径が20μm以下の原色粉体塗料の色が異なる2種類以上をドライブレンドして色合わせする工程、及びこのブレンド物を、かくはん下にその粒子表面が溶融し且つその粒子内は溶融しない温度に加熱することにより、塗装に適する範囲の粒子径まで造粒する工程を含む、粉体塗料の調色方法が記載されている。
特許文献5には、色相及び/又は塗膜形成樹脂の種類が異なる複数の原色粉体塗料を、液状結合剤を用いて、造粒及び乾燥して得られる複合粉体塗料が記載され、前記液状結合剤が、軟化温度20~200℃で、自己架橋性官能基及び/又は原色粉体塗料が有する官能基と相補的に反応する官能基を有するバインダー化合物を、原料粉体塗料を溶解しない溶媒中に、溶解又は分散させた液状結合剤であることなどが記載されている。
特開2002-155223号公報 特開平10-219142号公報 特開平10-072557号公報 特開2000-281978号公報 国際公開第2006/057241号
従来の調色方法によると、色相の異なる粉体塗料組成物を混合することにより、調色された粉体塗料組成物(「調色粉体塗料組成物」ともいう)が調製される。また、得られた調色粉体塗料組成物を静電塗装ガン等で被塗物に塗布し、焼き付けることにより、塗膜が形成される。
しかし、このような調色粉体塗料組成物から塗膜を形成した場合、目視でも認識できる程度に、平滑な塗膜が得られず、また、得られた塗膜の色相が不均一であるといった問題があった。更に、要求される色相ごとに該色相の微粒子粉体を含む粉体塗料組成物を用意する必要があり、その品揃えは膨大な数に上っている。したがって、2種以上の色相の異なる粉体塗料組成物を調色し、調色した粉体塗料組成物から平滑で均一な色相の塗膜を得ることは容易ではなかった。
本開示は、前記事情に鑑みてなされたものであり、平滑で均一な色相を示す塗膜を実現可能な、粉体塗料組成物の製造方法の提供を目的とする。更に、本開示は、かかる粉体塗料組成物を用いる塗膜形成方法、及び、粉体塗料組成物の調色方法をも提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を含む。
[1] 2種以上の原色粉体塗料組成物を準備する工程と、
前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)とを混合して、予備混合物を得る工程と、
前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を得る工程とを含む、粉体塗料組成物の製造方法。
[2] 前記2種以上の原色粉体塗料組成物は、それぞれに異なる色相及び/又は色調を有する、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記原色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)は、25μm以下である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記カチオン性ポリマー(D)は、アミノ基及び/又は第4級アンモニウム塩基を有し、且つ前記カチオン性ポリマー(D)の軟化点は、50℃以上180℃以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の製造方法。
[5] 前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)との混合は、乾式で実施される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の製造方法。
[6] 前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)とを混合して、予備混合物を得ることは、カチオン性ポリマー(D)を水及び/又は親水性溶媒と混合して、カチオン性ポリマー溶液を得ること、前記原色粉体塗料組成物のうちの一部と、前記カチオン性ポリマー溶液とを混合して、予備混合物を含む混合液を得ること、並びに、前記混合液から、水及び/又は親水性溶媒を除去して、予備混合物を得ること、により実施される、[1]~[5]のいずれか1つに記載の製造方法。
[7] 前記原色粉体塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)と着色剤(B)とを混合することにより準備される、[1]~[6]のいずれか1つに記載の製造方法。
[8] 前記塗膜形成樹脂(A)は、酸基、水酸基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有するポリマーを含む、[7]に記載の製造方法。
[9] 前記原色粉体塗料組成物は、更に硬化剤(C)を含む、[7]又は[8]に記載の製造方法。
[10] [1]~[9]のいずれか1つに記載の製造方法により得られた粉体塗料組成物を、被塗物に塗布することを含む、塗膜形成方法。
[11] 粉体塗料組成物の調色方法であって、
それぞれに異なる色相及び/又は色調を有する2種以上の原色粉体塗料組成物を製造する工程と、
前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの少なくとも一部と、カチオン性ポリマー(E)とを混合して、予備混合物を得る工程と、
前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を調色する工程と、を含む、調色方法。
本開示によれば、平滑で均一な色相を示す塗膜を実現可能な、粉体塗料組成物の製造方法を提供し得る。更に、本開示は、かかる粉体塗料組成物を用いる塗膜形成方法、粉体塗料組成物の調色方法をも提供し得る。
本開示の粉体塗料組成物の製造方法は、
2種以上の原色粉体塗料組成物を準備する工程と、
前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの少なくとも1種と、カチオン性ポリマーとを混合して、予備混合物を得る工程と、
前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残りとを混合して、粉体塗料組成物を得る工程とを含む。
以下では、カチオン性ポリマーと混合して、予備混合物を得るために用いられる原色粉体塗料組成物を「第1原色粉体塗料組成物」ともいい、予備混合物を混合して、粉体塗料組成物を得るために用いられる原色粉体塗料組成物の残りを「第2原色粉体塗料組成物」ともいう。
また、前記第1原色粉体塗料組成物とカチオン性ポリマーとを混合する工程を「第一造粒工程」ともいい、前記予備混合物と前記第2原色粉体塗料組成物とを混合する工程を「第二造粒工程」ともいう。
本開示の粉体塗料組成物の製造方法によれば、平滑で均一な色相を示す塗膜を実現し得る。更に、奥行きを有する被塗物においても、均一な色相及び均一な光沢を有する塗膜が得られ、得られた塗膜は高い平滑性を有し得る。本開示は、特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、本開示の製造方法によりかかる効果が奏される原因は、以下のように考えられる。すなわち、本開示の製造方法では、原色粉体塗料組成物のうちの1種とカチオン性ポリマーとを予め混合して予備混合物とし、該予備混合物に、更に他の原色粉体塗料組成物を混合している。カチオン性ポリマーと混合した原色粉体塗料組成物の表面は正帯電を帯びる一方で、追加で添加する残りの原色粉体塗料組成物の表面は負帯電を帯びている。そのため、正帯電粒子と負帯電粒子が静電的に凝集し、造粒されるものと考えられる。
その結果、異なる粒子同士が選択的に凝集し、且つ同色同士が凝集し難いため、様々な塗装条件においても、まだら感の極小化に寄与でき、表面ムラ、色分かれ等の問題を低減又は防止できるという効果に加えて、美粧性、要求された均一な色相、均一な彩度及び均一な明度を再現できるといった、高い色の再現性を有することができる。また、第1原色粉体塗料組成物と第2粉体塗料組成物との凝集は、カチオン性ポリマーを介して静電的に結合しているため、調色粉体塗料組成物は、塗膜形成時に、容易に解砕され得、塗膜形成性が良好になる結果、平滑な塗膜を形成でき、更に、かかる塗膜は、所望の光沢を有し、まだら感が少ないものになると考えられる。
他方、従来の調色された粉体塗料組成物の製造方法は、複数の粉体塗料組成物を常温又は加熱下において混合するドライブレンド法や、複数の粉体塗料組成物と結着材とを混合するボンディング法が中心である。しかしながら、ドライブレンド法による調色後の粉体塗料組成物を、静電塗装ガン等を用いて塗装し、塗膜を形成させると、それぞれの粉体塗料組成物の性状(形状、粒子径、比重等)の違いや、被塗物の形状等塗装条件の違いにより、目標とする色相、光沢を得られない場合がある。また、ボンディング法による調色後の粉体塗料組成物から塗膜を形成すると、粉体塗料組成物の粒子同士が結着されているためか、平滑な塗膜表面を形成できない場合がある。
以下、実施の形態を詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、これらの態様に限定されない。
(原色粉体塗料組成物を準備する工程)
本開示の粉体塗料組成物の製造方法では、まず、2種以上の原色粉体塗料組成物を準備する。原色粉体塗料組成物は、均一な色相、彩度及び光沢を有する粉体塗料組成物であればよく、1種の塗膜形成樹脂(A)を含むもの、及び/又は1種の着色剤(B)のみを含むものに限られない。
前記2種以上の原色粉体塗料組成物は、それぞれに異なる色相及び/又は色調を有するものであることが好ましい。これにより、原色粉体塗料組成物とは異なる色相又は色調を有する調色粉体塗料組成物を製造することができる。原色粉体塗料組成物の種類は、2種以上であればよく、例えば、好ましくは2種以上10種以下、より好ましくは2種以上8種以下であり得る。
原色粉体塗料組成物は、少なくとも、塗膜形成樹脂(A)を含むことが好ましく、塗膜形成樹脂(A)と着色剤(B)とを含むことがより好ましい。
(塗膜形成樹脂(A))
前記塗膜形成樹脂(A)は、酸基、水酸基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の硬化性官能基を有するポリマーを含むことが好ましい。これにより、塗膜形成されやすくなるとともに、原色粉体塗料組成物は相対的に負に帯電し得ることとなり、後述するカチオン性ポリマーと相互作用しやすくなると考えられる。その結果、前記予備混合物において、第1粉体塗料組成物の表面は相対的に正に帯電し得、第2粉体塗料組成物と粒子単位で相互作用しやすくなる結果、得られる調色粉体塗料組成物は、より平滑で均一な色相を示す塗膜を形成可能なものになると考えられる。酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基及びリン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
前記塗膜形成樹脂(A)は、塗膜形成成分であり、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂等)、塩化ビニル樹脂等の非反応性樹脂;エポキシ樹脂、アミン樹脂、酸無水物系樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂/エポキシ樹脂、多塩基酸樹脂等の反応性樹脂を使用できる。前記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。例えば、耐候性の観点からは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂を用いてよく、塗膜の物理的性能の観点から、ポリエステル樹脂を用いてもよい。より詳細には、例えば、前記硬化性官能基を有するポリエステル樹脂、硬化性官能基を有するエポキシ樹脂及び硬化性官能基を有するアクリル樹脂からなる群から選択される1種又はそれ以上であってよい。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体を含むモノマー混合物の重合体であり得る。前記モノマー混合物は、後述する硬化剤(C)と反応し得る官能基を有する単量体を含むことが好ましく、前記硬化剤(C)と反応し得る官能基を有する単量体及び該単量体と共重合可能な他のビニル系単量体とを含むことが好ましい。
前記硬化剤(C)と反応し得る官能基を含むモノマーとしては、エポキシ基、酸基及び水酸基から選ばれる1種又は2種以上を含むモノマーが挙げられ、好ましくはエポキシ基、カルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種又は2種以上を含むモノマーが挙げられる。
前記エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
前記カルボキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
前記水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、(メタ)アクリル酸5-ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類とε-カプロラクトンとの付加反応物等が挙げられる。前記官能基を有する単量体は1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本開示において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
前記官能基を有する単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-、iso-、及びtert-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。また、これらのビニル系単量体は1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
塗膜形成樹脂(A)に含まれるアクリル樹脂の含有量は、塗膜形成樹脂(A)100質量部中、好ましくは30質量部以上100質量部以下であり得る。
エポキシ樹脂としては、1分子中に平均1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等);フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェノールノボラック又はo-クレゾールノボラックとビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)とエピクロルヒドリンとの反応生成物;フェノールノボラック又はo-クレゾールノボラックとビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)との反応生成物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
塗膜形成樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂の含有量は、塗膜形成樹脂(A)100質量部中、好ましくは30質量部以上100質量部以下であり得る。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分の縮重合物であり得る。
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類、p-オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類、これらに対応するヒドロキシカルボン酸等を挙げることができ、これらの中では、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましい。また、耐候性の観点から、イソフタル酸の含有量は、酸成分中、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。酸成分は、それぞれ単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール,1,5-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,8-オクタデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSのアルキレンオキシド付加物、ネオペンチルグリコール等の直鎖状又は分岐状のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等を挙げられ、これらの中では、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び1,6-ヘキサンジオールが好ましい。アルコール成分はそれぞれ単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
一態様において、塗膜形成樹脂(A)は、ポリエステル樹脂を1種含み得、別の態様において、ポリエステル樹脂を2種又はそれ以上含む。塗膜形成樹脂(A)がポリエステル樹脂を2種以上含む場合、第1のポリエステル樹脂と第2のポリエステル樹脂の含有量の質量比は、3/7~7/3であり得る。
塗膜形成樹脂(A)に含まれるポリエステル樹脂の含有量は、塗膜形成樹脂(A)100質量部中、好ましくは30質量部以上100質量部以下であり得る。
原色粉体塗料組成物において、塗膜形成樹脂(A)は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。一態様において、塗膜形成樹脂(A)は、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂とを含んでいてもよい。かかる態様において、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂の含有量の質量比は、3/7~7/3であり得る。
前記塗膜形成樹脂(A)の酸価は、好ましくは10mgKOH/g以上500mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以上400mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり得る。一態様において、前記塗膜形成樹脂(A)の酸価は、好ましくは300mgKOH/g以上であり得る。
前記塗膜形成樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり得る。一態様において、前記塗膜形成樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは40mgKOH/g以上、より好ましくは60mgKOH/g以上であり得る。
前記塗膜形成樹脂(A)のエポキシ当量は、好ましくは250g/mol以上600g/mol以下、より好ましくは350g/mol以上500g/mol以下であり得る。
なお、本開示において、樹脂の酸価及び水酸基価は、それぞれ固形分酸価及び固形分水酸基価を意味し、JIS K 0070に準拠して測定できる。
また、本開示において、エポキシ当量は、塩酸-ピリジン法により測定できる。
塗膜形成樹脂(A)が2種以上の樹脂を含む場合、前記酸価、水酸基価及びエポキシ当量は、各樹脂の酸価、水酸基価及びエポキシ当量の平均値であり得る。
塗膜形成樹脂(A)の酸価、水酸基価又はエポキシ当量が前記範囲にあることで、原色粉体塗料組成物の表面が適度に負に帯電し得、第1粉体塗料組成物と第2粉体塗料組成物をより均一に混合し、調色及び造粒することが容易になると考えられる。
第1原色粉体塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂(A)の酸価、水酸基価又はエポキシ当量と、第2原色粉体塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂(A)の酸価、水酸基価又はエポキシ当量とは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
前記塗膜形成樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上500,000以下、より好ましくは5,000以上100,000以下、更に好ましくは10,000以上50,000以下であり得る。一態様において、前記エポキシ基を有する樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上100,000以下、より好ましくは10,000以上50,000以下であり得る。
本開示において、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ法によるポリスチレン換算値である。
塗膜形成樹脂(A)の軟化点は、例えば、80℃以上130℃以下であってよく、好ましくは90℃以上120℃以下である。上記範囲内にあることで、粉体塗料組成物の製造時に顔料分散性が良好になり、且つ得られる粉体塗料組成物の貯蔵安定性が良好になるという利点がある。なお、本開示における軟化点は、JIS K 7206に準拠し、試験荷重を10N、昇温速度を50℃/時間として測定されるビカット軟化温度を意味する。
原色粉体塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂(A)の含有量は、原色粉体塗料組成物100質量部中、好ましくは40質量部以上70質量部以下、より好ましくは45質量部以上70質量部以下である。原色粉体塗料組成物における塗膜形成樹脂(A)の含有量が前記範囲にあることで、基材への密着性、耐水性等の諸物性が良好で、且つ所望の色相及び明度の塗膜が得られる。
2種以上の原色粉体塗料組成物において、含まれる塗膜形成樹脂(A)の組成(種類、量及び塗膜形成樹脂(A)が2種以上含まれる場合、その比率)は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
(着色顔料(B))
前記着色剤(B)としては、通常、粉体塗料に使用される無機系又は有機系顔料を用いることができる。着色剤(B)は、塗膜の色相、明度等に応じて適宜選択できる。例えば、有彩色の顔料を用いることで、塗膜の色相を制御でき、無彩色の顔料を用いることで、塗膜の明度や彩度を制御できる。更に、着色剤(B)の粒子径や含有率により、塗膜の光沢を制御し得る。
有彩色の無機系顔料としては、べんがら、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄等が挙げられ、無彩色の無機系顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。有彩色の有機系顔料としては、アゾ系、ペリレン系、縮合アゾ系、ニトロ系、ニトロソ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサン系等の顔料が挙げられ、具体的には、アゾ系顔料としてはレーキレッド、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントレッド等、ニトロ系顔料としてはナフトールイエロー等、ニトロソ系顔料としてはピグメントグリーンB、ナフトールグリーン等、フタロシアニン系顔料としてはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等、アントラキノン系顔料としてはインダスレンブルー、ジアントラキノニルレッド等、キナクリドン系顔料としてはキナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等、ジオキサン系顔料としてはカルバゾールジオキサジンバイオレット等が、それぞれ挙げられる。
原色粉体塗料組成物において、着色剤(B)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上75質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上70質量部以下であり得、一態様において、例えば、1質量部以上70質量部以下、さらに3質量部以上70質量部以下であってもよい。
原色粉体塗料組成物において、着色剤(B)の含有量は、着色剤(B)の種類により異なっていてもよい。例えば、無機系着色剤(B)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して0.05質量部以上75質量部以下、10質量部以上70質量部以下、さらに15質量部以上70質量部以下であり得、有機系着色剤(B)の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して0.05質量部以上20質量部以下、さらに0.05質量部以上10質量部以下であり得る。
2種以上の原色粉体塗料組成物において、含まれる着色剤(B)の組成(種類、量及び着色剤(B)が2種以上含まれる場合、その比率)は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
(硬化剤(C))
本発明における原色粉体塗料組成物は、必要に応じて硬化剤(C)を含み得る。かかる態様において、原色粉体塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)、着色剤(B)及び硬化剤(C)を混合することにより製造される。混合の順序は特に限定されず、塗膜形成樹脂(A)、着色剤(B)及び硬化剤(C)を同時に混合してもよく、予め塗膜形成樹脂(A)及び着色剤(B)を混合した後、該混合物と硬化剤(C)とを更に混合してもよい。
前記硬化剤(C)は、粉体塗料に用いられる公知の硬化剤(C)を使用でき、特に限定されない。前記硬化剤(C)としては、多価カルボン酸化合物、酸無水物、アミノ基含有化合物、エポキシ基含有化合物、β-ヒドロキシアルキルアミド化合物(HAA)、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂等が挙げられる。
一態様において、前記塗膜形成樹脂(A)がエポキシ基を有するポリマーを含む場合、硬化剤(C)としては、多価カルボン酸化合物、酸無水物及びアミノ基含有化合物から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
別の態様において、前記塗膜形成樹脂(A)が酸基を有するポリマーを含む場合、硬化剤(C)としては、エポキシ基含有化合物及びβ-ヒドロキシアルキルアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
更に別の態様において、前記塗膜形成樹脂(A)が水酸基を有するポリマーを含む場合、硬化剤(C)としては、ブロックイソシアネート化合物及びアミノ樹脂が好ましい。
艶消し性を考慮する場合、原色粉体塗料組成物(B)には、例えば、β-ヒドロキシアルキルアミド化合物、ブロックイソシアネート及びメラミン化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が含有されていることが好ましい。
前記多価カルボン酸化合物としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、アイコサンジカルボン酸、テトラアイコサンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;例えば、イソフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の脂環式多価カルボン酸等が挙げられ、これらの中ではデカンジカルボン酸が好ましい。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記酸無水物としては、下記の脂肪族、脂環式又は芳香族の酸無水物が挙げられる。
脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物;室温で液状のドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物等が挙げられる。
脂環式酸無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルシクロヘキセンジカルボン酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物;室温で液状であるメチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。
芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート) 、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。
前記アミノ基含有化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、多価アミン化合物、イミダゾール等が挙げられる。多価アミン化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のポリヒドラジド化合物が挙げられる。また、イミダゾールとしては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-ウンデシルイミダゾール等のアルキル基若しくは置換アルキル基を置換基として含有するイミダゾール化合物、1-[2-(4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)エチル]-2-メチルイミダゾール、1-[2-(4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)エチル]-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のアミノトリアジン環を含有するイミダゾール化合物、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾールとトリメリット酸との塩若しくは1-シアノエチル-2-メチルイミダゾールとトリメリット酸との塩等のイミダゾールとカルボン酸との塩が挙げられる。
多価カルボン酸化合物、酸無水物及びアミノ基含有化合物は、公知の硬化促進剤との併用により、硬化速度を調整することができる。硬化促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びそれらの前駆体であるイミダゾリン系化合物、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、n-ブチルトリフェニル等のホスフィン類及びホスホニウム塩類が挙げられる。
前記エポキシ基含有化合物とは、一分子中に一個以上のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、前記エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
前記β-ヒドロキシアルキルアミド化合物(HAA)は、以下の式(I)で示される化合物であり得る:
Figure 2024057339000001
(式中、R1は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R2は炭素数1~12のアルキレン基を示す)。
このような化合物として、市販品としては例えば、Primid XL-552が挙げられる。
前記ブロックイソシアネート化合物とは、イソシアネート基をブロック剤でブロックすることによって、一定の温度以下では活性を示さないようにしたブロックイソシアネート類、及びイソシアネート基同士を反応させてウレトジオン環を形成させることによって活性を示さないようにしたウレトジオン類をいう。
ブロックイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤でブロックしたものである。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネー卜化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン-2,4-(又は-2,6-)ジイソシアネート、1,3-(又は1,4-)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネー卜化合物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジィソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、(m-又はp-)フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート等の3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が過剰量となる量のポリイソシアネート化合物を反応させてなる付加物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等のビューレットタイプ付加物及びイソシアヌル環タイプ付加物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物をブロックするために使用するブロック剤としては、例えば、フェノール系、ラクタム系、オキシム系、ピラゾール系、トリアゾール系等のブロック剤が挙げられる。これらのブロック剤の具体例としては、例えば、フェノール系ブロック剤としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、t -ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等;ラクタム系ブロック剤としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等;オキシム系ブロック剤としては、アセトアミドオキシム、ホルムアミドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、ブタノンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、メチルアミルケトンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルヘキサノンオキシム等;ピラゾール系としては、1,2-ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等;トリアゾール系としては、1H-1,2,4-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン等が挙げられる。
前記アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。前記アミノ樹脂は、アミノ化合物と、アルデヒド化合物とを縮合させ、更には低級1価アルコールでエーテル化することにより得られる。前記アミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミンが挙げられ、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられ、前記低級1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
前記硬化剤(C)として、その他の硬化剤(C)を含んでいてもよい。かかる硬化剤(C)としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のボリイソシアネート化合物、又はそのプレポリマーの保有する分子末端イソシアネート基をラクタム化合物、オキシム化合物等の慣用ブロック化剤でブロックしたブロッドトイソシアネート系硬化剤;ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のエポキシ系硬化剤;メトキシシロキサンオリゴマー、エトキシシランオリゴマー等のアルコキシシラン系硬化剤;アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド等のポリアジリジン系硬化剤;1,4-ビス(2-オキサゾリニル-2)-ベンゼン、1,2,4-トリス(2-オキサゾリニル-2)-ベンゼン等のオキサゾリン系硬化剤等が挙げられる。
一態様において、原色粉体塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)として水酸基を有するポリエステル又はアクリル樹脂を含み、硬化剤(C)としてオキシム系、ピラゾール系及びトリアゾール系のブロック剤からなる群より選ばれた少なくとも1種のブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネートを含み得る。
かかる態様において、前記水酸基を有するポリエステル又はアクリル樹脂の水酸基価の平均値は、艶消し効果の観点から、40mgKOH/g以上が好ましく、60mgKOH/g以上がより好ましい。
また、前記ブロックイソシアネートとしては、メチルイソブチルケトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、1,2-ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール及び1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジンからなる群より選ばれた少なくとも1種のブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネートがより好ましい。かかるブロックイソシネートは、十分な艶消し効果を得るために、ブロック剤又はウレトジオン環の解離温度が160℃以下であることが好ましく、140℃以下がより好ましい。
原色粉体塗料組成物における硬化剤(C)の量は、塗膜形成樹脂(A)及び硬化剤(C)の種類等の種類によって異なり、適宜設定できる。例えば、硬化剤(C)は、塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上200質量部以下、より好ましくは5質量部以上100質量部以下であり得る。
一態様において、原色粉体塗料組成物の塗膜形成樹脂(A)として、水酸基を有する塗膜形成樹脂(A)を用いる場合、硬化剤(B)として前記ブロックイソシアネートを用いることが好ましく、該ブロックイソシアネートの含有量は、水酸基を有する塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは10質量部以上80質量部以下、より好ましくは15質量部以上60質量部以下であり得る。
また、本開示における硬化剤(C)は、塗膜形成樹脂(A)に含まれる酸基、水酸基及びエポキシ基の合計と、硬化剤(C)に含まれる、酸基、水酸基及びエポキシ基と反応し得る基(例えば、酸基、水酸基、アミノ基及びイソシアネート基)の合計との当量比(以下、「反応性基の当量比」ともいう)が、例えば、好ましくは0.1以上3以下、より好ましくは0.8以上1.2以下となる量で用いられることが好ましい。
一態様において、原色粉体塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)として水酸基を有する樹脂及びエポキシ基を有する樹脂を含み、硬化剤(C)としてカルボキシ基含有化合物及びブロックイソシアネートを含み得る。このような原色粉体塗料組成物を用いることで、より高い艶消し効果が得られるとともに、ワキ及び透けを防止することができる。
ここで、ワキとは、粉体塗料組成物を塗布する際に生じる塗膜表面又は内部での発泡により形成される塗膜異常をいう。また、透けとは、被塗装物が塗膜で十分に隠蔽されておらず、塗膜上からも被塗装物の表面が透けて見えることをいう。
同じ態様において、前記エポキシ基を有する樹脂は、エポキシ基を有するアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂であり得、艶消し効果の観点から、エポキシ基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。
また、同じ態様において、ブロックイソシアネートとしては、前記ブロックイソシアネートをいずれも使用することができ、好ましくはε-カプロラクタムでブロックされたブロックイソシアネートを含むことが好ましい。ε-カプロラクタムでブロックされたブロックイソシアネートの含有率は、ブロックイソシアネートの総量100質量%中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり得る。前記含有率が前記範囲にあることで、発泡が抑制され得る。
前記ブロックイソシアネートの含有量は、水酸基を有する樹脂、エポキシ基を有する樹脂及びカルボキシ基含有化合物の総量100質量部に対して、好ましくは15質量部以上60質量部以下、より好ましくは20質量部以上60質量部以下であり得る。ブロックイソシアネートの含有量が前記範囲にあることで、艶消し効果が良好であり、塗膜表面又は内部での発泡が抑制され得る。
更に、同じ態様において、原色粉体塗料組成物に含まれるエポキシ基とカルボキシ基とのモル比(エポキシ基/カルボキシ基)は、好ましくは0.5以上2.0以下、より好ましくは0.8以上1.2以下であり得る。前記比が前記範囲にあることで、得られる塗膜における艶消し性と耐水性が良好であり得る。
2種以上の原色粉体塗料組成物において、含まれ得る硬化剤(C)の組成(種類、量及び硬化剤(C)が2種以上含まれる場合、その比率)は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
同じ態様において、塗膜形成樹脂(A)と硬化剤(C)との組合せは、塗膜形成樹脂(A)が水酸基を有するポリエステル樹脂及び/又は水酸基を有するアクリル樹脂を含み、硬化剤(C)が、オキシム系、ピラゾール系及びトリアゾール系のブロック剤からなる群より選ばれた少なくとも1種のブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネートを含む組合せ;又は、塗膜形成樹脂(A)が、水酸基を有する樹脂及びエポキシ基を有する樹脂を含み、硬化剤(C)が、カルボキシ基含有化合物及びブロックイソシアネートを含む組合せが好ましい。前記2つの組早生において、塗膜形成樹脂(A)に含まれる水酸基とブロックイソシアネートとのモル比(水酸基/ブロックイソシアネート)は、好ましくは0.5以上2.0以下、より好ましくは0.8以上1.2以下であり得る。前記比が前記範囲にあることで、得られる塗膜の艶消し効果と塗膜物性が良好である。
(硬化触媒)
前記原色粉体塗料組成物は、硬化触媒を更に含んでいてもよい。硬化触媒を含むことで、ゲル化時間(塗膜の硬化までの時間)の調整が容易である。前記硬化触媒としては、スズ系触媒、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、イミダゾール化合物及び/又はイミダゾリン化合物の金属複合体、第3級ホスフィン化合物、第4級ホスホニウム塩及び第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
前記スズ系触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジステアレート、ビス(2-エチルヘキサノエート)スズ、n-ブチルトリス(2-エチルヘキサノエート)スズ、ジ-n-ブチルビス(2-エチルヘキサノエート)スズ、ジ-n-ブチルビス(2,4-ペンタンジオネート)スズ、ジオクチルジラウリルスズ、テトラ-n-ブチルスズ、テトラ-n-オクチルスズ、ジブチルスズジアセテート、テトラブチルジアセトキシジスタノキサン、アセチルアセトンスズ、ジブチルスズオキサイド、ジメチルスズオキサイド等が挙げられる。
前記イミダゾール化合物としては、特に限定されないが、例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール類、1-(2-カルバミルエチル)イミダゾール等のカルバミルアルキル置換イミダゾール類、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール等のシアノアルキル置換イミダゾール類、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等の芳香族置換イミダゾール類、1-ビニル-2-メチルイミダゾール等のアルケニル置換イミダゾール類、1-アリル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のアリル置換イミダゾール類及びポリイミダゾール等を挙げることができるが、好ましくは、アルキルイミダゾール類、芳香族置換イミダゾール類が挙げられる。
前記イミダゾリン化合物としては、特に限定されないが、例えば、2-フェニルイミダゾール、2-メチルイミダゾリン、2-ウンデシルイミダゾリン、2-ヘプタデシルイミダゾリン等が挙げられる。
前記イミダゾール化合物及び/又はイミダゾリン化合物の金属複合体としては、前記イミダゾール化合物又は前記イミダゾリン化合物を金属塩によって複合させたものを例示することができる。かかる金属塩としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル、コバルト、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、銀、クロム、マンガン、錫、鉄、チタン、アンチモン、アルミニウム等の金属と、クロライド、ブロマイド、フルオライド、サルフェート、ニトレート、アセテート、マレート、ステアレート、ベンゾエート、メタクリレート等の塩類とからなるもの等が挙げられる。
前記第3級ホスフィン化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等が挙げられる。
前記第4級ホスホニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
前記4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
前記硬化触媒は、各原色粉体塗料組成物100質量部中、例えば0.0001質量部以上10質量部以下であり得る。硬化触媒含有量が前記範囲内であることで、得られる粉体塗料組成物のゲル化時間を所望の範囲に調整し得る。
(その他の添加剤)
前記原色粉体塗料組成物は、更に、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤として、粉体塗料分野において通常用いられる添加剤を用いることができ、例えば、熱安定剤、光安定剤、易滑剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤、結晶核剤、アクリレート重合体等の流展剤、各種触媒や有機系スズ化合物等の架橋促進剤、ベンゾイン等のピンホール防止剤、体質顔料、改質剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤等が挙げられる。これらの添加剤を含む場合、その量は、それぞれ、塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上5質量部であり得る。
前記体質顔料を含むことで、原色粉体塗料組成物の比重の調整が容易になり得、また、得られる塗膜の機械的物性を向上させることができる。体質顔料としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
前記改質剤としては、塗膜形成樹脂(A)と異なる樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル酸エチル樹脂、エチレンアクリル酸樹脂、ナイロン等を挙げることができる。これらの中でも、比較的低い軟化点を有する、ポリエチレン樹脂又は変性ポリエチレン樹脂、エチレンアクリル酸樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。改質剤の含有量は、塗膜形成樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上50質量部以下であり得る。
前記表面改質剤は、粉体塗料の表面に付着し得、粉体塗料の流動性及び帯電性を制御し得る。前記表面改質剤としては、シリカ、アルミニウムオキサイド(アルミナ)等の無機微粒子;アクリル樹脂等の有機粒子を挙げることが出来る。かかる表面改質剤の粒子径は、例えば、1μm以上50μm以下であり得る。表面改質剤の含有量は、各原色粉体塗料組成物100質量部中、例えば0.01質量部以上5質量部以下であり得る。なお、本開示の製造方法では、表面改質剤は必須ではなく、表面改質剤を添加しない場合でも、平滑で均一な色相を示す塗膜を実現可能な粉体塗料組成物を製造できる。
前記原色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)は、好ましくは1μm以上25μm以下、より好ましくは5μm以上23μm以下、更に好ましくは5μm以上20μm以下であり得る。原色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)が前記範囲にあることで、より平滑で均一な色相を示す塗膜が得られやすくなる。
本開示において、特に言及の無い限り、平均粒子径は、体積平均粒子径(D50)を意味する。体積平均粒子径(D50)は、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(日機装社製、マイクロトラック)等の粒度測定装置を用いて測定することができる。
(原色粉体塗料組成物の準備)
原色粉体塗料組成物は、市販品を購入することにより準備してもよく、製造することにより準備してもよい。前記原色粉体塗料組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記塗膜形成樹脂(A)と、必要に応じて用いる着色剤(B)、硬化剤(C)、硬化触媒及びその他の添加剤とを混合すること(混合工程)、得られた混合物を溶融混錬すること(溶融混錬工程)、及び、得られた溶融混錬物を冷却し(冷却工程)、粉砕すること(粉砕工程)、を含む製造方法により製造され得、かかる製造方法は、得られた粉砕物を分級すること、を更に含んでいてもよい。
前記塗膜形成樹脂(A)と、必要に応じて用いる着色剤(B)、硬化剤(C)、硬化触媒及びその他の添加剤の混合順序は、特に限定されない。一態様において、塗膜形成樹脂(A)及び着色剤と、硬化触媒及びその他の添加剤とを混合し、硬化剤(C)と更に混合することができるが、これに限定されない。
前記混合は、スーパーミキサー、リボンブレンダー、ドラムブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて実施できる。前記混合は、常温で行うことが好ましく、例えば10~40℃、好ましくは15~35℃の条件で実施できる。
前記溶融混錬は、ニーダー、エクストルーダー等の混錬機を用いて実施できる。溶融混錬時の加熱温度は、溶融混練時の加熱温度は、焼付硬化温度よりも低く、少なくとも原料の一部が溶融し全体を混練することができる温度、一般に80~140℃程度が好ましい。ある態様においては、80~120℃の温度で混練する。
なお、本発明において溶融混錬行う場合、混練温度は、後述の造粒工程における造粒温度よりも高く、例えば、原色粉体塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂(A)の軟化点のうち、最も高い軟化点を有する塗膜形成樹脂(A)の軟化点よりも高い温度で行われる。
前記溶融混練物は、例えば、冷却ロール、冷却コンベヤー等で冷却することができる。得られた固化物の粉砕は、一段階であってもよく、二段階以上に分けて行ってもよい。例えば、粗粉砕を行った後に、微粉砕してもよい。粉砕は、ハンマーミル、ジェット衝撃ミル等の粉砕装置を用いて行うことができる。
前記分級により、巨大粒子や微小粒子を除去して、粒子径分布を狭く調整することができる。分級には、例えば、空気分級機、振動フルイ、超音波フルイ等を用いることができる。分級により、得られた粒子の平均粒子径を15~30μmに調整してもよい。
(第一造粒工程)
次に、2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)とを混合して、予備混合物を得る。これにより、前記原色粉体塗料組成物の一部(第1原色粉体塗料組成物)の表面が正に帯電し得る。
前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部は、前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうち、混合対象とする2つ以上の部分のうちの一部であることを意味し、1種の原色粉体塗料組成物の一部又は全部であってよく、2種以上の原色粉体塗料組成物を含んでいてもよい。好ましい態様に置いて、前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部は、1種の原色粉体塗料組成物の一部又は全部であり得る。
(カチオン性ポリマー(D))
本開示において、前記カチオン性ポリマー(D)は、アミン塩基又は4級アンモニウム塩基を含むポリマーを意味する。
前記カチオン性ポリマーとして使用することができる化合物としては、ポリアミドポリアミン・エピクロルヒドリン縮合物、アミン類とエピクロルヒドリンの縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアミジン、天然由来カチオン性ポリマー(キチン、キトサン、澱粉やセルロースのカチオン化物)、4級アンモニウム塩基を有するアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド等のポリマー、コポリマー 、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドのポリマー、コポリマー 、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)等が挙げられる。
前記カチオン性ポリマー(D)の重量平均分子量は、好ましくは100以上10,000以下、より好ましくは200以上6,000以下、更に好ましくは300以上3,000以下であり得る。前記カチオン性ポリマー(D)の数平均分子量が前記範囲にあることで、カチオン性ポリマー(D)と前記第1原色粉体塗料組成物とより均一に混合でき、得られる塗膜の色相をより均一にして、まだら模様の発生を更に抑制できる。
前記カチオン性ポリマー(D)のアミン価は、0mgKOH/g超であり、好ましくは1mgKOH/g以上900mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以上700mgKOH/g以下であり得る。前記カチオン性ポリマー(D)のアミン価が前記範囲にあることで、カチオン性ポリマー(D)と前記第1原色粉体塗料組成物とより均一に混合でき、得られる塗膜の色相をより均一にして、まだら模様の発生を更に抑制できる。
本開示において、アミン価は、JIS K 7237に準拠して測定できる。
前記カチオン性ポリマー(D)は、室温(25℃)において、固体状態であることが好ましい。前記カチオン性ポリマー(D)が室温において固体状であることで、得られる調色粉体塗料組成物を保管する際に、ブロッキングを抑制できる。前記カチオン性ポリマー(D)の軟化点は、好ましくは30℃以上180℃以下、より好ましくは50℃以上170℃以下、更に好ましくは80℃以上160℃以下であり得る。前記カチオン性ポリマー(D)の軟化点が前記範囲にあることで、カチオン性ポリマー(D)と第1原色粉体塗料組成物とをより均一に混合でき、得られる塗膜の色相をより均一にして、まだら模様の発生を更に抑制できる。また、得られる塗膜の平滑性をより向上できるという利点もある。なお、第1原色粉体塗料組成物とカチオン性ポリマー(D)とを混合する際、通常は、第1原色粉体塗料組成物の色相や彩度に変化はない。
前記カチオン性ポリマー(D)の含有量は、調色粉体塗料組成物の調製に用いられる原色粉体塗料組成物(第1原色粉体塗料組成物及び第2原色粉体塗料組成物)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上2質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上1質量部以下、更に好ましくは0.03質量部以上0.5質量部以下であり得る。カチオン性ポリマー(D)の量が前記範囲にあることで、第1原色粉体塗料組成物の粒子表面の電荷を適度に正にすることができ、得られる塗膜の色相をより均一にして、まだら模様の発生を更に抑制できる。
前記第1原色粉体塗料組成物と前記カチオン性ポリマー(D)との混合は、特に限定されず、乾式又湿式により実施することができる。
一態様において、前記混合を乾式で実施する場合、第1原色粉体塗料組成物を混合しながら、固体のカチオン性ポリマー(D)を添加してよい。
別の態様において、前記混合を湿式で実施する場合、予めカチオン性ポリマー(D)を溶媒に溶解させてカチオン性ポリマー溶液とする。次いで、前記第1原色粉体塗料組成物を混合しながら、カチオン性ポリマー溶液を添加してよい。かかる態様において、第1原色粉体塗料組成物とカチオン性ポリマー溶液とを混合した後、溶媒を除去することが好ましい。そのため、前記混合は、溶媒を除去するため、前記溶媒が蒸発し、全体が粉体化するまで継続してよい。また、前記第1原色粉体塗料組成物とカチオン性ポリマー溶液との混合物を減圧処理(好ましくは真空吸引)して、溶媒を除去してもよい。前記カチオン性ポリマー溶液の調製に用いる溶媒としては、特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール溶媒;水;水とアルコール溶媒との混合物等が挙げられる。
前記混合は、スーパーミキサー、リボンブレンダー、ドラムブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて実施できる。回転式混合機を用いる場合、回転数は、3~2,000rpmとしてよい。
前記混合工程は、温度を-5~50℃の範囲で行うことが好ましい。前記範囲内にあることで、原色粉体塗料組成物と均一に混合でき、得られる塗膜にまだら模様が生じるのをより抑制することができる。前記混合工程における混合時間は、例えば、好ましくは10分以上2時間以下、より好ましくは30分以上1時間以下であり得る。
(第二造粒工程)
第二造粒工程では、前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を得る。
前記予備混合物に含まれる第1原色粉体塗料組成物の粒子表面には、前記カチオン性ポリマーが付着していると考えられ、かかる予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部(第2原色粉体塗料組成物)とを混合することで、第1原色粉体塗料組成物と第2原色粉体塗料組成物とが、粒子単位で結合し、調色されるとともに、造粒され、調色された粉体塗料組成物を得ることができる。
ここで、第二造粒工程において得られる調色粉体塗料組成物の粒子は、強くかくはんすることにより、一次粒子の状態に解砕され得る。
より詳細には、例えば、かくはん羽根の周速10m/秒以上の速度で1分間程度、調色粉体塗料組成物をかくはんすると、前記調色粉体塗料組成物の粒子の大部分は、造粒前に測定した原色粉体塗料組成物の平均粒子径と同等の平均粒子径を有する一次粒子の状態に戻ることができる。このように、本開示において、造粒とは、ある一定の衝撃を与えることにより、一次粒子の状態に解砕され得る粒子の調製を意味する。その結果、得られる塗膜に置いて、表面の平滑化が可能であり、まだら感の極小化に寄与でき、表面ムラ、色分かれ等の問題を低減若しくは防止できるという効果に加えて、美粧性、要求された均一な色相、均一な彩度及び均一な明度を再現できるといった、高い色の再現性を有し得る。
前記第1原色粉体塗料組成物と前記第2原色粉体塗料組成物との質量比は、例えば、好ましくは1/10~50/10、より好ましくは2/10~20/10、更に好ましくは5/10~15/10であり得る。前記質量比が前記範囲にあることで、第1原色粉体塗料組成物と第2原色粉体塗料組成物とをより均一に混合でき、得られる塗膜におけるまだら模様の発生をより抑制できる。
予備混合物と第2原色粉体塗料組成物との混合手段は特に限定されない。例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ドラムブレンダー、スーパーミキサー等の乾式混合機を利用してもよい。回転式混合機を用いる場合、回転数は、3~2,000rpmとしてよい。第1造粒工程の混合の際の回転数と、第2造粒工程の混合の際の回転数との比(第1造粒工程の回転数/第2造粒工程の回転数)は、好ましくは、0.1以上10以下、より好ましくは0.2以上5以下であり得る。該比が大きいほど、色相の均一性が良好になる傾向があり、該比が小さいほど、得られる塗膜の平滑性が良好になる傾向がある。
予備混合物と第2原色粉体塗料組成物を混合する際の混合温度は、常温で行うことが好ましい。前記混合温度は、好ましくは10℃以上40℃以下、より好ましくは15℃以上35℃以下であり得る。また、混合時間は特に限定されず、例えば1分~30分である。用いる原色粉体塗料組成物の種類等に応じて、混合条件を適宜設定でき、2種以上の原色粉体塗料組成物が均一に分散するように混合することで調色粉体塗料組成物が調製される。
本開示の製造方法により得られる調色粉体塗料組成物は、更に分級することは要しないが、必要に応じて、更に分級してもよい。
前記では、第一造粒工程と、第二造粒工程について説明したが、これらの工程は、複数回繰り返してもよい。すなわち、調色粉体塗料組成物を第1又は第2原色粉体塗料組成物として用いてもよい。一態様において、第1の調色粉体塗料組成物と、カチオン性ポリマーとを混合して、予備混合物を得、かかる予備混合物と、原色粉体塗料組成物とを混合して、第2の調色粉体塗料組成物を得てもよい。また、原色粉体塗料組成物と、カチオン性ポリマーとを混合して、予備混合物を得、かかる予備混合物と、第1の調色粉体塗料組成物とを混合して、第2の調色粉体塗料組成物を得ても良い。更に、第1の調色粉体塗料組成物と、カチオン性ポリマーとを混合して、予備混合物を得、かかる予備混合物と、第2の調色粉体塗料組成物とを混合して、第3の調色粉体塗料組成物を得てもよい。
調色粉体塗料組成物における顔料質量濃度は、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上40質量%以下であり得る。
調色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)は、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは12μm以上40μm以下、更に好ましくは15μm以上30μm以下であり得る。
また、調色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)と、原色粉体塗料組成物全体の平均粒子径(D50)との比(調色粉体塗料組成物の平均粒子径/原色粉体塗料組成物の平均粒子径)は、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1以上1.5以下、更に好ましくは1以上1.2以下であり得る。
本開示の製造方法によれば、得られる調色粉体塗料組成物は、第1原色粉体塗料組成物と、第2原色粉体塗料組成物とは、カチオン性ポリマーを介して凝集している。そのため、平均粒子径の測定の際、調色粉体塗料組成物は解砕され、その粒子径の範囲は原色粉体塗料組成物と同等の範囲になると考えられる。その結果、塗膜形成の生産性を高めることができる。更に、塗着性を均一にできるので、色分かれ、色ムラ、艶ムラ等の発生を大きく抑制又は防止できる。
<塗膜形成方法>
本開示は更に、前記製造方法により得られた調色粉体塗料組成物を、被塗物に塗布することを含む、塗膜形成方法も含む。
前記被塗物は特に限定されず、具体的には、鉄板、鋼板、アルミニウム板、セラミック板等及びそれらを表面処理したもの等が挙げられる。更に、これらを複雑な形状に加工した部材等が挙げられる。また、被塗物の具体的な態様として、鋼製家具、電子部品、OA機器、家電製品、建材、自動車部品等が挙げられる。
また、表面処理した被塗物を用いてもよい。被塗装物への塗膜形成は、本発明の調色方法により得られる調色粉体塗料組成物からなる1層であってもよく、下塗り塗膜の上に、調色粉体塗料組成物を上塗り塗料として塗布してもよい。下塗り塗膜を形成する下塗り塗料としては、電着塗料やプライマー等の公知のものを用いることができる。
調色粉体塗料組成物の塗装方法は、特に限定されず、例えば、スプレー塗装法、静電粉体塗装法、流動浸漬法等の当業者によってよく知られた方法を用い得る。塗着効率の点から、静電粉体塗装法が好ましい。
調色粉体塗料組成物を塗布する際の塗装膜厚(塗膜の乾燥膜厚)は、塗膜のまだら感及び透けを防止し、また塗膜表面又は内部の泡の発生を防止する観点から、好ましくは20μm以上100μm以下、より好ましくは40μm以上70μm以下であり得る
調色粉体塗料組成物を塗布した後の焼付けの温度及び時間は、用いる硬化剤(C)の種類や量により異なるが、温度は、塗膜表面又は内部の泡の発生を防止する観点から、120~140℃が好ましく、140~220℃がより好ましく、例えば150~200℃であり、ある態様では175~195℃である。また、焼付けの時間は、焼付け温度に応じて適宜設定することができる。
<粉体塗料組成物の調色方法>
本開示は、粉体塗料組成物の調色方法であって、
それぞれに異なる色相及び/又は色調を有する2種以上の原色粉体塗料組成物を製造する工程と、
前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの少なくとも一部と、カチオン性ポリマーとを混合して、予備混合物を得る工程と、
前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を調色する工程と、を含む調色方法も技術的範囲に含む。
前記各工程は、前記粉体塗料組成物の製造方法として説明した原料及び手段を用い、前記説明した条件で実施することができる。かかる調色方法によれば、2種以上の原色粉体塗料組成物が均一に混合され得、平滑で均一な色相を示す塗膜を実現可能な調色粉体塗料組成物が得られる。
本発明により得られる調色粉体塗料組成物から形成した塗膜は、平滑で均一な色相を示す。また、本発明の製造方法によると、得られる塗膜において、2種以上の異なる顔料が均等に分散されることとなるので、美粧性の向上、隠蔽性の向上、及び、まだら感の極小化を導ける。更に、帯電制御技術にも優れるので、表面ムラを抑制若しくは低減でき、色分かれの解消にも寄与できる。また、光沢の制御も可能となるので、原色数を極小化できる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」及び「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
(製造例1)
塗膜形成樹脂(A)として(A-1)120質量部、硬化剤として(C-1)20質量部、着色剤(B)として、(B-1)80質量部、表面調整剤としてKF-54 0.6質量部、ワキ防止剤としてベンゾイン 1.6質量部及び硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.6質量部を、スーパーミキサー(カワタ社製)を用い、温度20℃で、3分間混合した。この工程により、混合物を調製した。
次いで、前記混合物を、ブッス・コニーダー(ブッス社製)を使用して、温度100℃、回転数100rpmで混練した。その後、装置付帯の冷却ローラーで圧延、冷却し、粉砕機パルペライザーACM10A(ホソカワミクロン社製)で粉砕、分級して平均粒子径(D50)が19μmの粉体を得た。
得られた粉体150質量部と、流動性調整剤としてAEROSIL R972(日本アエロジル社製)0.45質量部とをヘンシェルミキサーで均一に混合し、原色粉体塗料組成物1を調製した。得られた原色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)は19μmであった。
なお、平均粒子径(D50)の測定には、粒度分析計マイクロトラックHRA model9320-X100(日機装社製)を用いた。
(製造例2~13)
塗膜形成樹脂(A)、着色剤(B)、硬化剤(C)及びその他の添加剤を、表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、原色粉体塗料組成物2~16を調製した。各製造例における原料組成と得られた原色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)を表1に示す。表1において、「反応性基の当量比」は、塗膜形成樹脂(A)に含まれる酸基、水酸基及びエポキシ基の合計と、硬化剤(C)に含まれる、酸基、水酸基及びエポキシ基と反応し得る基(例えば、酸基、水酸基、アミノ基及びイソシアネート基)の合計との当量比を意味する。
Figure 2024057339000002
(粉体塗料組成物の製造)
(実施例1)
<第1造粒工程>
(実施例)
まず、カチオン性ポリマー(D-1)として、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0質量部を水100質量部と混合し、目視で透明になるまでかくはんし、カチオン性ポリマー水溶液を作製した。
前記原色粉体塗料組成物1 100質量部を、混合かくはん機5XDMV-Qr(品川工業所社製)に仕込み、20rpmで混合しながら、前記カチオン性ポリマー水溶液16質量部を、5分間かけて噴霧し、添加した。その後、同条件で混合を60分継続し、第一造粒物を得た。
次に、前記第一造粒物を同条件でかくはんしながら、前記原料粉体塗料組成物2 100質量部を添加し、5分間混合して、粉体塗料組成物を得た。なお、前記一連の製造は20℃(室温)で行った。
(塗膜の形成)
被塗物として、0.8×70×150mmのJIS G 3141(SPCC~SD)冷間圧延鋼板であって、リン酸亜鉛処理を施した鋼板を溶剤脱脂した後に用いた。この被塗物に対して、粉体塗料用静電塗装機OPTIハンドガン(グラコ社製)を用いて、吐出量120g/分、設定電圧100kV、設定電流70μA、フリーイオン除去あり、ガン距離15cmの条件で、膜厚が50~60μmとなるように塗装し、180℃で20分間の焼付けを行ったものを試験に供した。
(実施例2~9、11~16)
カチオン性ポリマー、原色粉体塗料組成物及び造粒条件を表2に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塗膜を形成した。なお、表2に示す配合量は、それぞれの固形分量である。
(実施例10)
第一造粒工程において、原色粉体塗料組成物1 100質量部及びカチオン性ポリマー(D-2)0.2質量部を、スーパーミキサー(カワタ社製)を用いて、1,200rpmで3分間混合し、第一造粒物を得た。次に、前記第一造粒物を同条件でかくはんしながら、前記原料粉体塗料組成物2 100質量部を添加し、5分間混合して、粉体塗料組成物を得た。なお、一連の製造は25℃(室温)で行った。
(比較例1)
原色粉体塗料組成物1 100質量部及び原色粉体塗料組成物2 100質量部を、混合かくはん機5XDMV-Qr(品川工業所社製)に仕込み、20rpmで5分間混合して、粉体塗料組成物を得た。なお、一連の製造は25℃(室温)で行った。
(比較例2)
まず、その他のポリマー(d-1)2質量部とメタノール98質量部とを混合し、目視で透明になるまでかくはんし、ポリマー溶液を作成した。
原色粉体塗料組成物1 100質量部及び原色粉体塗料組成物2 100質量部を混合かくはん機5XDMV-Qr(品川工業所社製)に仕込み、20rpmでかくはんしながら、前記ポリマー溶液 100質量部を10分間かけて噴霧した。その後、同条件で混合を60分継続し、粉体塗料組成物を得た。
(比較例3)
原色粉体塗料組成物1 100質量部及び原色粉体塗料組成物2 100質量部を混合かくはん機5XDMV-Qr(品川工業所社製)に仕込み、20rpmでかくはんしながら、前記ポリマー溶液 4質量部を10分間かけて噴霧した。その後、同条件で混合を60分継続し、粉体塗料組成物を得た。
(比較例4)
原色粉体塗料組成物1 100質量部及び原色粉体塗料組成物2 100質量部を混合かくはん機5XDMV-Qr(品川工業所社製)に仕込み、20rpmでかくはんしながら、その他のポリマー(d-3) 0.5質量部を10分間かけて噴霧した。その後、同条件で混合を60分継続し、粉体塗料組成物を得た。
(比較例5)
原色粉体塗料組成物1 100質量部及び原色粉体塗料組成物2 100質量部を混合かくはん機5XDMV-Qr(品川工業所社製)に仕込み、20rpmでかくはんしながら、その他のポリマー(d-4) 3質量部を10分間かけて噴霧した。その後、同条件で混合を60分継続し、粉体塗料組成物を得た。
使用した原料の詳細を以下に示す。
(A-1)ファインディックM8020(DIC社製、水酸基を有するポリエステル樹脂)、水酸基価:30mgKOH/g、軟化点:110℃
(A-2)ファインディックM8023(DIC社製、水酸基を有するポリエステル樹脂)、水酸基価:40mgKOH/g、軟化点:106℃
(A-3)GV-126(日本ユピカ社製、カルボキシ基を有するポリエステル樹脂)、酸価:30mgKOH/g、軟化点:120℃
(A-4)A278(DIC社製、エポキシ基を有するアクリル樹脂)、エポキシ当量:480g/eq、軟化点:103℃
(A-5)NT-114(日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ樹脂)、エポキシ当量:440g/eq、軟化点:96℃
着色剤(B)
(B-1)タイペークCR90(石原産業社製、酸化チタン)
(B-2)三菱カーボンブラック MA100(三菱ケミカル社製、カーボンブラック)
(B-3)ファーストゲンブルー NK(DIC社製、青色系有機顔料)
硬化剤(C)
(C-1)VESTAGON B1530(エボニックインダストリー社製、ブロックイソシアネート)、NCO等量:280g/eq
(C-2)Primid XL-552(エムス社製、β-ヒドロキシアルキルアミド(HAA))
(C-3)GV-230(日本ユピカ社製、ポリエステル樹脂)、酸価:48mgKOH/g
(C-4)ドデカンジカルボン酸(DDDA)(東京化成工業社製、多価カルボン酸化合物)
(C-5)ジシアンジアミド(東京化成工業社製、アミノ基含有化合物)
カチオン性ポリマー(D)
(D-1):コータミン86Pコンク(花王社製、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム)、軟化点:95~104℃、重量平均分子量:333、アミン価:168mgKOH/g
(D-2)塩化セチルピリジニウム(富士フィルム和光純薬社製)、軟化点:80~84℃、重量平均分子量:358、アミン価:157mgKOH/g
(D-3)ポリリジン(JNC社製)、軟化点:172℃、重量平均分子量:4,700、アミン価:600mgKOH/g
(D-4)コーヨーキトサン(甲陽ケミカル社製、キトサン)、軟化点:200℃以上、重量平均分子量:100,000、アミン価:298mgKOH/g
その他のポリマー:
(d-1)乾燥透明白ラック(日本シェラック工業社製、シェラック樹脂)、軟化点:70~75℃、アミン価:0mgKOH/g
(d-2)ポリエチレングリコール4000(東京化成工業社製、ポリエチレングリコール)、軟化点:54~58℃、重量平均分子量:2,700~3,400、固形分濃度:5質量%(水溶液)、アミン価:0mgKOH/g
(d-3)EMUSTAR-0136(日本精蝋社製、パラフィンワックス)、軟化点:60℃、平均粒子径:0.50μm以下、固形分濃度:40質量%(水分散体)、アミン価:0mgKOH/g
(d-4)A-6001(レヂテックス社製、アクリル樹脂エマルション)、軟化点:70~80℃、固形分濃度:63~67質量%(水分散体)、アミン価:0mgKOH/g
その他の添加剤:
表面調整剤:KF-54(信越化学工業社製、シリコーン系)
ワキ防止剤:ベンゾイン(富士フイルム和光純薬社製)
流動性調整剤:AEROSIL R972(日本アエロジル社製、シリカ)
体質顔料:沈降性硫酸バリウム100(堺化学工業社製、硫酸バリウム)
前記実施例1~16及び比較例1~5で得られた塗膜について、下記の評価を行った。得られた評価結果を表2~3に示す。
<耐色別れ性>
実施例及び比較例で得られた塗膜のまだら感について、目視で観察し、耐色別れ性を評価した。評価基準は以下のとおりである。△以上を合格とした。
◎:50cmの距離から見た場合に、色調のまだら模様が認識不可能
○:50cmの距離から見た場合に、色調のまだら模様がわずかに認識可能
△:50cmの距離から見た場合に、色調のまだら模様が明確に認識可能であるが、
80cmの距離から見た場合に、認識不可能であるか又はわずかに認識可能
×:80cmの距離から見た場合に、色調のまだら模様が明確に認識可能
<平滑性>
実施例及び比較例で得られた塗膜の算術平均うねり(Wa値)を、JIS B 0601に準拠し、表面粗さ測定機サーフコムTOUCH50(東京精密社製)を用いて測定し、塗膜の平滑性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、測定条件は、カットオフ値:0.8mm、走査速度:2mm/sとした。△以上を合格とした。
○:Waが0.9未満である。
△:Waが0.9以上1.1未満である。
×:Waが1.1以上である。
Figure 2024057339000003
Figure 2024057339000004
実施例1~16は、本開示の実施例であり、得られた塗膜は、平滑で均一な色相を示すものであった。
一方、比較例1は、上記第一造粒工程を含まない例であり、色別れが抑制されず、まだら模様に見え、均一な色相を示す塗膜を得ることができなかった。
比較例2~5は、カチオン性ポリマーを用いない例であり、平滑な塗膜を得ることができなかった。
本開示の製造方法及び塗膜形成方法によれば、平滑で均一な色相を示す塗膜を提供できる。そのため、本開示の製造方法は、家庭電化製品、自動車部品、鋼製家具等の一般工業用途に適用できる。

Claims (11)

  1. 2種以上の原色粉体塗料組成物を準備する工程と、
    前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)とを混合して、予備混合物を得る工程と、
    前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を得る工程とを含む、粉体塗料組成物の製造方法。
  2. 前記2種以上の原色粉体塗料組成物は、それぞれに異なる色相及び/又は色調を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記原色粉体塗料組成物の平均粒子径(D50)は、25μm以下である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記カチオン性ポリマー(D)は、アミノ基及び/又は第4級アンモニウム塩基を有し、且つ前記カチオン性ポリマー(D)の軟化点は、50℃以上180℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)との混合は、乾式で実施される、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの一部と、カチオン性ポリマー(D)とを混合して、予備混合物を得ることは、カチオン性ポリマー(D)を水及び/又は親水性溶媒と混合して、カチオン性ポリマー溶液を得ること、前記原色粉体塗料組成物のうちの一部と、前記カチオン性ポリマー溶液とを混合して、予備混合物を含む混合液を得ること、並びに、前記混合液から、水及び/又は親水性溶媒を除去して、予備混合物を得ること、により実施される、請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記原色粉体塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)と着色剤(B)とを混合することにより準備される、請求項1に記載の製造方法。
  8. 前記塗膜形成樹脂(A)は、酸基、水酸基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有するポリマーを含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記原色粉体塗料組成物は、更に硬化剤(C)を含む、請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法により得られた粉体塗料組成物を、被塗物に塗布することを含む、塗膜形成方法。
  11. 粉体塗料組成物の調色方法であって、
    それぞれに異なる色相及び/又は色調を有する2種以上の原色粉体塗料組成物を製造する工程と、
    前記2種以上の原色粉体塗料組成物のうちの少なくとも一部と、カチオン性ポリマー(E)とを混合して、予備混合物を得る工程と、
    前記予備混合物と、前記2種以上の原色粉体塗料組成物の残部とを混合して、粉体塗料組成物を調色する工程と、を含む、調色方法。
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