JP4027403B1 - アルミニウム合金ホイールの塗装方法及びアルミニウム合金ホイール - Google Patents

アルミニウム合金ホイールの塗装方法及びアルミニウム合金ホイール Download PDF

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Abstract

【課題】ノンクロメート系化成処理によって化成処理を行うものであるにもかかわらず、充分な耐チッピング性、切削加工性、耐水性、耐食性、密着性に優れたアルミニウム合金ホイールを得ることができるアルミニウム合金ホイールの塗装方法及びアルミホイールを提供する。
【解決手段】アルミニウム合金ホイール表面をノンクロメート化成処理剤によって処理する工程(1)、及び、上記工程(1)により処理された表面に、粉体塗料を塗布して焼き付ける工程(2)を含むアルミニウム合金ホイールの塗装方法であって、上記粉体塗料は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリカプロラクトン、及び、下記の一般式(1);
[化1]
Figure 0004027403
(式中、R1は、水素原子、メチル基又はエチル基、R2は、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R1)CH2−を表し、Aは2価の炭化水素基を表す。)で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料粒子からなるものであるアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム合金ホイールの塗装方法及びアルミニウム合金ホイールに関する。
近年、環境保全の目的から、アルミニウム金属表面に対して、クロメート化成処理と同等の高い耐食性、密着性を付与することができるノンクロメート化成処理が要求されている。このようなノンクロメート化成処理剤としては、例えば、ジルコニウム系化成処理剤、チタニウム系化成処理剤等が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
一方、アルミニウム合金ホイールの塗装においては、化成処理を行った金属表面に対して、粉体プライマー塗装、ベース塗装、クリヤー塗装を順次施すことによる塗装が一般的に行われている。しかし、このような塗装をノンクロメート化成処理剤によって処理したアルミニウム表面に対して行った場合、切削加工性、耐チッピング性、耐水性、耐食性、密着性等の性質が不充分となってしまう。特に、切削加工性の低下は重要な問題であり、切削加工時に塗膜はがれが発生しない塗膜切削加工性の改良が求められている。
更に、成型されたアルミニウム合金ホイールは、高温での処理を行うと強度が低下してしまうことから、低温での硬化を行うことが好ましい。ホイールの塗装を行うための低温硬化性粉体塗料としては、特許文献3に記載されたようなβ−ヒドロキシルアルキルアミド硬化剤を含有してなる粉体塗料組成物が知られている。しかし、このような粉体塗料組成物においては、切削加工性、耐チッピング性の改善は検討されていない。
特許文献4には、炭酸カルシウムを含有し、特定の動的粘弾性値を有する粉体塗料プライマーが、良好な切削加工性を有する塗膜を形成することが記載されている。しかし、このようなアルミニウム合金ホイール用粉体塗料プライマーは、ノンクロメート化成処理後の金属表面における上記問題点を改善するためのものではない。
特開2004−018929号公報 特開2004−018930号公報 特開2001−294804号公報 特開2003−221550号公報
本発明は、上記に鑑み、ノンクロメート系化成処理剤によって化成処理を行うものであるにもかかわらず、充分な耐チッピング性、切削加工性、耐水性、耐食性、密着性に優れたアルミニウム合金ホイールを得ることができるアルミニウム合金ホイールの塗装方法及びアルミニウム合金ホイールを提供することを目的とするものである。
本発明は、アルミニウム合金ホイール表面をノンクロメート化成処理剤によって処理する工程(1)、及び、上記工程(1)により処理された表面に、粉体塗料を塗布して焼き付ける工程(2)を含むアルミニウム合金ホイールの塗装方法であって、
上記粉体塗料は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリカプロラクトン、及び、下記の一般式(1);
Figure 0004027403
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−を表し、Aは2価の炭化水素基を表す。)
で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料粒子からなるものであり、上記ポリカプロラクトンの含有量は、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜20質量部であり、上記粉体塗料粒子は、体積平均粒子径が25〜35μmであることを特徴とするアルミニウム合金ホイールの塗装方法である。
上記粉体塗料粒子は、更に、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含有するものであることが好ましい
記粉体塗料粒子において、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数と上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比(水酸基当量数/カルボキシル基当量数)が0.5/1〜1.5/1であることが好ましい。
本発明のアルミニウム合金ホイールの塗装方法は、上記工程(2)の後に、更に上塗り塗装工程を有するものであることが好ましい。
上記上塗り塗装工程は、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に金属顔料含有ベース塗料を塗布する工程(3)、及び、上記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜の上にクリヤー塗料を塗布する工程(4)からなるものであることが好ましい。
上記上塗り塗装工程はまた、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に金属顔料含有ベース塗料を塗布する工程(3)、上記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜を部分切削する工程(X)、上記工程(X)により露出したアルミニウム合金素材をノンクロメート処理する工程(Y)、及び、上記工程(Y)により処理されたアルミニウム合金素材表面にクリヤー塗料を塗布する工程(4’)からなるものであることが好ましい。
上記上塗り塗装工程はまた、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に、更に、第1ベース塗料を塗布して加熱硬化させて第1ベース塗膜を形成する工程(3−a)、上記第1ベース塗膜上に第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)を塗布する工程(3−b)、及び、第2ベース塗膜(光輝性顔料含有ベース塗膜)上にクリヤー塗料を塗布する工程(4’’)からなるものであることが好ましい。
上記工程(2)における粉体塗料の加熱温度は150〜170℃であることが好ましい
記ノンクロメート化成処理剤は、ジルコニウム系処理剤及び/又はチタニウム系処理剤であることが好ましい。
本発明はまた、上述のアルミニウム合金ホイールの塗装方法により塗装されてなることを特徴とするアルミニウム合金ホイールでもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のアルミニウム合金ホイールの塗装方法においては、プライマー塗料としてカルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、ポリカプロラクトンと、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤とを含有する粉体塗料を使用するものである。ノンクロメート化成処理を行った後に、上記粉体塗料をプライマー塗料として使用することによって、ノンクロメート化成処理を行った場合でも充分な耐チッピング性を有し、切削加工性、耐水性、耐食性、密着性に優れたアルミニウム合金ホイールが得られる。また、ここで使用する粉体塗料は、低温硬化性を有するものであることから、高温処理によるアルミニウム合金の物性の低下を招くこともない。
本発明のアルミニウム合金ホイールの塗装方法においては、まず、アルミニウム合金ホイール表面をノンクロメート化成処理剤によって処理する工程(1)を行う。上記ノンクロメート化成処理剤は、クロム金属を含有しない処理剤であり、例えば、ジルコニウム系処理剤、チタニウム系処理剤、リン酸系処理剤等を挙げることができるが、なかでも、ジルコニウム系処理剤及び/又はチタニウム系処理剤を使用することが好ましい。上記ジルコニウム系処理剤及び/又はチタニウム系処理剤は、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン並びにフッ素イオンを含有するものであることが好ましく、更にリン酸イオンを含有するものであってもよい。
上記ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンの含有量は、上記ノンクロメート化成処理剤中、金属元素換算合計で0.01〜0.125g/Lであることが好ましい。0.01g/L未満であると、形成される皮膜の質量が不足し、耐食性等の性能が不充分となる場合があり、0.125g/Lを超えると、形成される皮膜の質量が多くなるために、皮膜が厚膜となり、アルミニウム合金ホイールの金属感が損なわれる場合がある。
ここで、金属元素換算とは、金属化合物の含有量に金属元素換算係数(金属化合物量を金属元素量に換算するための係数であり、具体的には、金属化合物中の金属元素の原子量を、金属化合物の分子量で割った値を意味する。)をかけることにより、目的の金属元素量を求めることである。
上記ノンクロメート化成処理剤のジルコニウムイオンの供給源としては特に限定されず、例えば、フルオロジルコネート、フルオロジルコネート酸等の可溶性フルオロジルコネート;(NHZrF;アルカリ金属フルオロジルコネート;フッ化ジルコニウム等を挙げることができる。
上記ノンクロメート化成処理剤のチタニウムイオンの供給源としては特に限定されず、例えば、フルオロチタネート、フルオロチタネート酸等の可溶性フルオロチタネート;(NHTiF;アルカリ金属フルオロチタネート;フッ化チタン等を挙げることができる。
上記フッ素イオンの含有量(処理剤中の全フッ素イオン濃度)は、上記ノンクロメート化成処理剤中、フッ素元素換算で0.01g/L以上0.5g/L以下であることが好ましい。0.01g/L未満であると、アルミニウム合金ホイールの表面のエッチングが不充分となって、形成される皮膜の質量が不足する場合があり、0.5g/Lを超えると、アルミニウム合金ホイールの表面を不当にエッチングすることになり、アルミニウム合金ホイールの表面が霜に覆われたようなにぶい状態のものとなる場合がある。上記化成処理剤中のフッ素の供給源としては特に限定されず、上述したジルコニウム化合物やチタニウム化合物のほかに、例えば、フッ化水素酸、フッ化水素酸塩、フッ化ホウ素酸等を挙げることができる。
上記リン酸イオンを含有するノンクロメート化成処理剤を使用する場合、リン酸イオン供給源としては特に限定されず、例えば、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸アルカリ金属塩等の酸溶液に可溶なリン酸化合物等を挙げることができる。なお、上記リン酸イオンの供給源としては、オルトリン酸を用いるのが望ましいが、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、次リン酸、又はこれらの塩を使用してもよい。上記リン酸イオンの含有量は、上記ノンクロメート化成処理剤中、リン元素換算で0.003〜0.33g/Lであることが好ましい。
上記ノンクロメート化成処理剤のpHは、1.5〜4.0であることが好ましい。pHが1.5未満であると、アルミニウム合金ホイールの表面を不当にエッチングするおそれがあり、4.0を超えると、アルミニウム合金ホイールの表面のエッチングが不充分となるおそれがある。
上記ノンクロメート化成処理剤のpHの調整は、硝酸、水酸化アンモニウム、過塩素酸、硫酸等といった、上記化成処理に対して悪影響を与えない酸又は塩基を用いて行うのが好ましい。なお、硫酸を用いた場合、上記ノンクロメート化成処理剤のpHは、2以上が好ましい。
上記ノンクロメート化成処理剤による処理は、スプレー等による通常の処理によって行うことができ、上記化成処理の条件として、皮膜量が10mg/m〜40mg/mであることが好ましく、より好ましくは20mg/m〜40mg/mである。10mg/m未満であると、耐食性の性能が低下するおそれがあり、40mg/mを超えると、厚膜になりすぎてアルミニウムの光輝性が損なわれるおそれがある。
上記化成処理は、形成される皮膜量が上記範囲になるように行えばよく、一般的には処理温度が30〜50℃、処理時間が0.5分〜3分で行うのが好ましく、例えば、処理時間が40℃、処理時間が45秒の処理である。
上記ノンクロメート化成処理剤による処理(工程(1))は、酸洗処理を施したアルミニウム合金ホイール表面に対して行うことが好ましい。上記酸洗処理は、第2鉄イオン0.1〜0.4g/L及び硫酸イオンを含むpH0.5〜2.0の処理液によって行うことが好ましい。
上記第2鉄イオンの供給源としては特に限定されず、例えば、Fe(SO、Fe(NO、Fe(ClO等の水溶性第2鉄塩;FeSO、Fe(NO等の水溶性第1鉄塩等を挙げることができる。なかでも、硫酸イオンを提供することができるFe(SO、FeSOを用いることが好ましい。
上記酸洗処理は、一般に、処理温度30〜75℃、好ましくは、35〜45℃、処理時間1〜5分、好ましくは、3分程度で行うことが好ましい。上記酸洗処理の方法としては特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を挙げることができる。上記酸洗処理が施されたアルミニウム合金ホイール表面は、ノンクロメート化成処理剤による処理の前に水洗されることが好ましい。上記水洗の方法としては特に限定されず、一般に金属の表面処理に用いられている方法で行うことができる。上記酸洗処理前に界面活性剤による脱脂処理を行ってもよい。
本発明においては、上記アルミニウム合金ホイール表面をノンクロメート化成処理剤によって処理する工程(1)の後、上記工程(1)により処理された表面に、粉体塗料を塗布して焼き付ける工程(2)を行う。このことにより、先に述べたように耐チッピング性、切削加工性、耐水性、耐食性、密着性の優れたアルミニウム合金ホイールが得られる。上記工程(2)で使用する粉体塗料は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリカプロラクトン、及び、下記の一般式(1);
Figure 0004027403
(式中、R1は、水素原子、メチル基又はエチル基、R2は、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R1)CH2−を表し、Aは2価の炭化水素基を表す。)で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料粒子からなるものである。このような粉体塗料を使用することによって、ノンクロメート化成処理皮膜上にプライマー塗装を行っても、平滑性、切削加工性、耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる。
上記粉体塗料において使用されるポリカプロラクトンは、形成された塗膜に可撓性を付与することができるような樹脂であり、上記ポリカプロラクトンを使用することによって、アルミニウム合金ホイール上に形成された複層塗膜の物性、特に切削加工性が良好なものになると推測される。
上記ポリカプロラクトンは、数平均分子量が10000〜100000であることが好ましい。数平均分子量が10000未満であると、塗料の耐ブロッキングが低下するという問題を生じる場合があり、100000を超えると、塗膜平滑性が低下するという問題を生じる場合がある。上記ポリカプロラクトンは、塗料の物性に悪影響を与えない程度に多塩基酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等によって変性したものであっても構わない。
上記ポリカプロラクトンは、市販のものを使用することもできる。市販のポリカプロラクトンとしては、例えば、プラクセルH5、プラクセルH7、プラクセルH1P(ダイセル化学社製)等を挙げることができる。
上記ポリカプロラクトンは、上記粉体塗料粒子において、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜20質量部となる割合で配合されることが好ましい。配合量が1質量部未満であると、充分に塗膜物性を改善することができないおそれがある。20質量部を超えると、粉体塗料の流動性もしくは搬送性が低下し、塗装が困難となるおそれがある。
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、樹脂固形分酸価が、10〜100(mgKOH/g固形分;以下同様)であることが好ましく、より好ましくは、15〜80、更に好ましくは、20〜60の範囲である。上記酸価が10未満である場合は、硬化性が低下し、機械的物性が低下するおそれがあり、一方、100より大きい場合は得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、軟化点が80〜150℃、好ましくは、90〜130℃の範囲であることが好ましい。軟化点が80℃より低い場合は、耐ブロッキング性が低下するおそれがあり、150℃より高い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下するおそれがある。
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、質量平均分子量が1000〜150000であることが好ましく、より好ましくは3000〜70000、更に好ましくは4000〜50000の範囲である。上記質量平均分子量が、1000より小さい場合には、得られる塗膜の性能及び物性が低下するおそれがあり、一方、150000より大きい場合は、得られる塗膜の平滑性、外観が低下するおそれがある。
なお、本発明における樹脂固形分の酸価はJIS K 0070、また、軟化点はJIS K 2207にそれぞれ準拠した方法により決定することができる。また、本発明における質量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によってスチレン換算することによって得る方法等、当業者によってよく知られた方法により決定することができる。
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分とを原料として通常の方法により縮重合することにより得ることができる。それぞれの成分及び縮重合の条件を選択することにより、上記の物性値及び特数値を有するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を得ることができる。
上記酸成分としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸及びこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物等を挙げることができる。その他に、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類ならびにこれらに対応するヒドロキシカルボン酸類、p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類等を挙げることができる。上記酸成分は2種以上であってもよい。中でも、イソフタル酸とテレフタル酸が、耐久性、物性、価格の点から好ましい。全酸成分中に占めるテレフタル酸とイソフタル酸の合計の割合は70モル%以上、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上が好適である。ここで、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸の合計の割合を70モル%以上用いる場合を、特にこれらを主原料として用いることを意味する。上記テレフタル酸とイソフタル酸含有量の上限については、ポリエステル樹脂の調製に使用する酸成分の全量をテレフタル酸及び/又はイソフタル酸としても良い。また、耐候性を特に向上させたい場合は、全酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは、90モル%以上が好適である。ここで、全酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を70モル%以上用いることを、イソフタル酸を主原料として用いることを意味する。
上記アルコール成分としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等のジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等を挙げることができる。上記アルコール成分は2種以上であってもよい。
上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤は、下記一般式(1);
Figure 0004027403
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−を表し、Aは2価の炭化水素基を表す。)で表されるものである。
更に、式中のRとしては、水素原子又はメチル基が好ましく、Rとしては、HOCH(R)CH−が好ましく、Aとしては炭素原子数2〜10が好ましく、4〜8のアルキレン基がより好ましい。
上記硬化剤は、例えば、カルボン酸及び/又はカルボン酸エステルと、β−ヒドロキシアルキルアミンとを、ナトリウムやカリウム等のアルコキシドの触媒の存在下で、反応させることにより得られる。
ここで用いるカルボン酸やカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。
また、β−ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン等が挙げられる。上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤としては、EMS−PRIMD社製「プリミド」シリーズ等の市販品を用いることもできる。
上記粉体塗料粒子は、更に、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含有してもよい。
上記アクリル樹脂としては、分子の末端又は側鎖にエポキシ基を有するビニル系共重合体であるエポキシ基含有ビニル系樹脂が好ましい。上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の機械的物性、耐水性等の点から、エポキシ当量が250〜1500であることが好ましく、より好ましくは300〜1000、更に好ましくは400から900である。250未満であると固相反応が進みやすくなり、貯蔵安定性が低下するおそれがあり、1500を超えると機械的物性、耐水性が低下するおそれがある。
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、エポキシ基を有するビニル系モノマーと、必要によりその他のビニル系モノマーとを共重合させることによって得られる。又は、ビニル系共重合体にエポキシ基を導入することにより得られる。
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂を共重合で得る場合に使用することができる上記エポキシ基を有するビニル系モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の各種のグリシジルエステル類、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートのような、各種の脂環式エポキシ基含有ビニル系単量体類等が挙げられる。上記のその他のビニル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、エチレン、プロピレン、ブテン−1のような、各種のα−オレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのような、各種の芳香族ビニル化合物類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類等が挙げられる。
一方、後者の方法である、ビニル系共重合体にエポキシ基を導入する方法で得ようとする場合、例えば、イソシアネート基を有するビニル共重合体にグリシドールを反応させる方法等を挙げることができる。
上記アクリル樹脂の軟化点は、80〜150℃であることが好ましい。この範囲外であると、耐ブロッキング性や塗膜の平滑性が低下するおそれがある。
上記アクリル樹脂の数平均分子量は、塗膜の機械的物性や平滑性の点から300〜10000であることが好ましく、より好ましくは、1000〜5000の範囲である。上記数平均分子量が300未満である場合、機械的物性が低下し、10000より大きい場合、平滑性が低下するおそれがある。
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂の市販品としては、例えば、ファインディックA229、ファインディックA241、ファインディックA244、ファインディックA249、ファインディックA261、ファインディックA260、ファインディックA266(以上、いずれも大日本インキ工業社製)、アルマテックスPD6300、アルマテックスPD6600、アルマテックスPD7210、アルマテックスPD7310、アルマテックス7610、アルマテックス7690(以上、いずれも三井化学社製)等を挙げることができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、1分子内に平均1.1個以上のエポキシ基を有するものを挙げることができる。具体的には、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)、水素添加ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)とエピクロロヒドリンとの反応生成物、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)との反応生成物、クレゾールノボラック等のクレゾール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール及びグリセロール等のアルコール化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル類、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸等のカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル類、p−オキシ安息香酸やβ−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応生成物、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物類、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)及びその誘導体等を用いることができる。上記エポキシ樹脂は、2種以上を併用するものであってもよい。
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜4000が好ましく、100〜2000がより好ましい。上記エポキシ当量が、100より小さい場合は塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがあり、一方、4000より大きい場合は、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。なお、本発明におけるエポキシ当量はJIS K 7236により決定することができる。
このような、エポキシ樹脂の市販品の例としては、エポトートYD−128、エポトートYD−014、エポトートYD019、ST−5080、ST−5100、ST4100D(いずれも、東都化成社製)、EHPA−3150(ダイセル化学工業社製)、アラルダイトCY179(日本チバガイギー社製)、デナコールEX−711(ナガセ化成工業社製)、エポトートYDPN−639、エポトートYDCN701、エポトートYDCN701(いずれも、東都化成社製)、エピクロンN−680、エピクロンN−695、エピクロンHP−4032、エピクロンHP−7200H(いずれも、大日本インキ化学工業社製)、アラルダイト PT 810、アラルダイト PT 910(日本チバガイギー社製)、TEPIC(日産化学工業社製)等が挙げられる。
上記粉体塗料における上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、上記アクリル樹脂、上記エポキシ樹脂及び上記硬化剤の各成分の含有割合は以下の通りである。
上記アクリル樹脂を更に含有する場合、その含有量は、塗膜の機械的物性、耐水性、平滑性、塗料の貯蔵安定性等の観点から、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは2〜9質量部である。0.1質量部より少ないと塗膜の機械的物性の低下や、耐水性が不良になり、10質量部を超えると塗膜の平滑性の低下や、塗料の貯蔵時にカルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
上記エポキシ樹脂を更に含有する場合、その含有量は、塗膜の耐水性、塗料の貯蔵安定性等の観点から上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは2〜9質量部の範囲である。0.1質量部より少ないと塗膜の耐水性が不良になり、10質量部を超えると塗料の貯蔵時にカルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、塗料の貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数と、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比(水酸基当量数/カルボキシル基当量数)は、好ましくは0.5/1〜1.5/1、より好ましくは0.7/1〜1.3/1である。この範囲内であれば、硬化反応は正常に進むが、0.5/1未満であると、硬化が不十分となり、塗膜の機械的物性の低下や、耐水性が低下するおそれがある。1.5/1を超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
また、特に上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価が10〜45である場合は、上記当量比は0.9/1〜1.3/1であることが好ましい。この範囲内であれば、硬化反応は過不足無く進み、塗膜の機械的物性、耐水性が良好となり、好ましい。
一方、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価を45〜100と、通常の粉体塗料で採用されている酸価よりも高くして、低温硬化性を特に向上させようとした場合、上記当量比は0.7/1〜1.1/1が好ましい。この範囲外であると、塗膜の機械的物性の低下、耐水性の低下となるおそれがある。
上記粉体塗料は、必要に応じて表面調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤、帯電制御剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
特に上記表面調整剤としては、適用性の点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を原料として得られた、数平均分子量が300〜50000、好ましくは、1000〜30000で、ガラス転移温度が20℃未満、好ましくは、0℃以下のアクリル重合体からなるものが良い。数平均分子量が上記範囲外であると、十分に表面調整性を付与することができなく、ヘコミ等の外観不良防止が不十分となる。また、ガラス転移温度が20℃以上であると、十分に表面調整性を付与することができないおそれがある。上記表面調整剤の含有量は、粉体塗料粒子中に、好ましくは、0.01〜5質量%、より好ましくは、0.05〜3質量%、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。0.01質量%より少ないと十分に表面調整性を付与することができず外観不良の確率が高くなり、5質量%を超えると、塗料のブロッキング性が低下するおそれがある。
このような、表面調整剤の市販品は、例えば、アクロナール4F(BASF社製)、ポリフローS(共栄社化学社製)、レジフローLV(ESTRON CHEMICAL社製)等が挙げられ、シリカ担体アクリル重合体、例えば、モダフローIII(モンサント社製)、レジフローP67(ESTRON CHEMICAL社製)等が好適に用いられる。また、表面調整剤であるアクリル重合体とエポキシ樹脂の混合物をエポキシ樹脂の使用量が上記範囲内になるようにして、使用してもよい。
上記粉体塗料は、顔料を添加しないものであっても、顔料を添加するものであってもよい。上記顔料としては、特に限定されず、例えば、二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料等の着色顔料、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料等を挙げることができる。
上記粉体塗料の製造は、粉体塗料分野において周知の製造方法を用いて行うことができる。例えば、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、上記ポリカプロラクトン、及び、上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を必須として、更に上記アクリル樹脂、上記エポキシ樹脂、その他上記顔料及び上記各種添加剤等の原料を準備した後、スーパーミキサー、ヘンシエルミキサー等を使用して原料を予備的に混合し、コニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて原料を溶融混練する。この時の加熱温度は勿論焼付硬化温度より低くなければならないが、少なくとも原料の一部が溶融し全体を混練することができる温度でなければならない。一般に80〜120℃の範囲内で溶融混練される。次に溶融物は冷却ロールや冷却コンベヤー等で冷却して固化され、粗粉砕及び微粉砕の工程を経て所望の粒径に粉砕される。
上記粉体塗料粒子の体積平均粒径は、25〜35μmであることが好ましい。25μm未満であると、粉体塗料の流動性低下により塗装作業性に問題が生じ、35μmを超えると、高外観の塗膜を得ることができない場合がある。上記体積平均粒径は、リード・アンド・ノースロップ社製のマイクロトラック−II等の光散乱による粒径測定装置により測定することができる。
上記粉体塗料を塗布する方法としては、特に限定されず、スプレー塗装法、静電粉体塗装法、流動浸漬法等の当業者によってよく知られた方法を用いることができるが、塗着効率の点から、静電粉体塗装法が好適に用いられる。本発明の粉体塗料組成物を塗布する際の塗装膜厚は、特に限定されないが、20〜300μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。
上記粉体塗料を焼き付ける条件としては、加熱温度は、100〜230℃であることが好ましく、より好ましくは140〜200℃であり、更に好ましくは150〜170℃である。加熱時間は、上記加熱温度に応じて適宜設定することができる。本発明の塗装方法は、このように比較的低温で硬化させて塗膜を形成することができるため、アルミニウム合金ホイールの塗装に特に適している。
本発明のアルミニウム合金ホイールの塗装方法は、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に、更に上塗り塗装系を有することが好ましい。すなわち、上記工程(2)の後に、更に上塗り塗装工程を有することが好ましい。上記上塗り塗装工程の第1の態様として以下のものが挙げられる。すなわち、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に、金属顔料含有ベース塗料を塗布する工程(3)、及び、上記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜の上にクリヤー塗料を塗布する工程(4)からなる上塗り塗装工程である。この上塗り塗装工程を有することにより、例えばシルバー、メタリック感の塗膜を得ることができる。
上記金属顔料含有ベース塗料に使用することができる金属顔料としては、例えば、アルミフレーク等のフレーク状顔料;金属や合金等の無着色若しくは着色された金属性光輝材等を挙げることができる。分散性に優れ、透明感の高い塗膜を形成することができるため、金属又は合金等の無着色若しくは着色された金属顔料及びその混合物が好ましい。その金属としては、酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等を挙げることができる。
上記金属顔料の形状、平均粒径及び厚さは特に限定されないが、例えば平均粒径(D50)が2〜50μmであり、厚さが0.1〜5μmである鱗片状のものが好ましい。上記平均粒径10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、より好ましい。
上記金属顔料含有ベース塗料中固形分に対する上記金属顔料の濃度(PWC)は、その合計量が、好ましくは23.0質量%以下である。23.0質量%を超えると、塗膜外観が低下する。より好ましくは、0.01〜20.0質量%であり、更に好ましくは、0.01〜18.0質量%である。上記金属顔料及びその他の全ての顔料を含めた上記ベース塗料中の顔料濃度(PWC)は、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜40質量%であり、更に好ましくは1〜30質量%である。50質量%を超えると塗膜外観が低下する。また、乾燥膜厚は、1〜50μmであることが好ましい。
上記金属顔料含有ベース塗料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を含有する塗料を使用することができる。必要に応じて、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と併用するものであってもよい。上記金属顔料含有ベース塗料は、水性塗料、溶剤塗料、粉体塗料の任意の形態のものを使用することができる。
上記上塗り塗装工程の第1の態様において、上記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜の上に更にクリヤー塗料を塗布する工程(4)を有することが好ましい。すなわち、工程(3)によって形成された未硬化塗膜上に工程(4)によってクリヤー塗膜を形成して、2層を同時に硬化させる2コート1ベークにより行うものであることがより好ましい。上記硬化は、公知の方法を用いるとよい。
上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤からなるものを挙げることができる。上記塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらはアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。上記クリヤー塗料は、水性塗料、溶剤塗料、粉体塗料の任意の形態のものを使用することができる。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般には15〜40μmの範囲であることが好ましい。
また、上記上塗り塗装工程の第2の態様として、アルミニウム合金素材の金属光沢感を表出させるための切削加工工程を有する以下の塗装工程が挙げられる。すなわち、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に金属顔料含有ベース塗料を塗布する工程(3)、上記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜を部分切削する工程(X)、上記工程(X)により露出したアルミニウム合金素材をノンクロメート処理する工程(Y)、及び、上記工程(Y)により処理されたアルミニウム合金素材表面にクリヤー塗料を塗布する工程(4’)からなる上塗り塗装工程である。
なお、この場合は、上記工程(3)の後、塗膜を硬化させて形成した後に、上記部分切削する工程(X)を行うものであることが好ましい。
上記金属顔料含有ベース塗料としては、上記第1の態様において記載したものと同様のものを使用することができる。
上記硬化は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
上記部分切削工程(X)は、アルミニウム合金の金属光沢を活用し、かつ際立たせるために、アルミニウム合金ホイールの意匠面の一部面(例:図2の斜線部)を切削加工してアルミニウム合金素材を露出させることでアルミニウム合金素材の金属光沢感を表出させる工程である(図3)。上記切削加工の方法としては、光輝用旋盤加工又はバフ研磨加工等の公知の方法を挙げることができる。
上記ノンクロメート処理工程(Y)としては、上記ノンクロメート化成処理剤によって処理する工程(1)と同様の方法を挙げることができる。
上記工程(4’)は、上記工程(Y)により処理されたアルミニウム合金素材表面上にクリヤー塗膜を形成するためのものである。
上記工程(4’)によって形成されるクリヤー塗膜は、1層であってもよいし、2層であってもよい。すなわち、上記クリヤー塗膜は、第1クリヤー塗膜を形成した後に、更に第2クリヤー塗料を塗布して2層のクリヤー塗膜を形成したものであってもよい。
上記工程(4’)における上記クリヤー塗料としては、特に限定されず、上述したクリヤー塗料と同様のものを挙げることができる。また、上記2層のクリヤー塗膜を形成するためのクリヤー塗料は、それぞれ同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
上記クリヤー塗膜の乾燥膜厚は、1層の場合は、15〜40μmの範囲内であることが好ましく、2層の場合は、30〜80μmの範囲であることが好ましい。
上記2層のクリヤー塗膜の形成は、第1クリヤー塗料を硬化させて第1クリヤー塗膜を形成した後に、第2クリヤー塗料を塗布して第2クリヤー塗膜を形成する、2コート2ベークで行っても、第1クリヤー塗料を塗布した後に、続いて第2クリヤー塗料を塗布して2層を同時に硬化させて塗膜を形成する、2コート1ベークで行ってもよい。
更に、上記上塗り塗装工程の第3の態様として、金属調光沢を有する塗膜外観を得るための塗装系である以下の塗装工程が挙げられる。
すなわち、上記工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に、更に、第1ベース塗料を塗布して加熱硬化させて第1ベース塗膜を形成する工程(3−a)、上記第1ベース塗膜上に第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)を塗布する工程(3−b)、及び、第2ベース塗膜(光輝性顔料含有ベース塗膜)上にクリヤー塗料を塗布する工程(4’’)からなる上塗り塗装工程である。
上記工程(3−a)における第1ベース塗料としては、特に限定されず、バインダー樹脂、顔料、添加剤、及び溶剤からなる公知のベース塗料を挙げることができる。上記顔料としては、着色顔料や体質顔料の他、光輝性顔料等の一般的な顔料が用いられる。上記バインダー樹脂、添加剤及び溶剤は、通常塗料に使用される公知のものを使用することができる。
上記第1ベース塗料として使用することのできる市販品としては、例えば、日本ペイント社製アクリル系溶剤型塗料「スーパーラック5000AS70ベースブラック」を挙げることができる。
上記第1ベース塗料を塗布する方法や加熱硬化させる方法は、公知の方法を用いるとよい。上記第1ベース塗膜の厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは15〜50μmである。
上記工程(3−b)における上記第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)は、光輝性顔料を含有する塗料である。この第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)と上記第1ベース塗料との組み合わせによって、金属調光沢を有する塗膜外観を得ることができる。この第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)は、光輝性顔料を必須成分として更に、バインダー樹脂、添加剤、及び溶剤を含有するものである。上記バインダー樹脂、添加剤、溶剤は通常塗料に使用される公知のものを使用することができる。
上記光輝性顔料としては、蒸着金属膜を粉砕して金属片とした光輝性顔料であれば特に限定されない。このような光輝性顔料は、一般に基材フィルム上に金属膜を蒸着させ、基材フィルムを剥離した後、蒸着金属膜を粉砕して金属片とすることより得られる。蒸着金属膜の厚み、すなわち粉砕して得られる金属片の厚みとしては、一般には100〜1000Å程度が好ましい。また、粉砕の程度としては、粒径が約5μm〜約100μm程度となるように粉砕されることが好ましい。
上記蒸着金属膜の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属膜が挙げられる。なかでも、アルミニウム片が好ましい。
上記第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)において、光輝性顔料の顔料質量濃度(PWC)は、20%以上が好ましく、より好ましくは25%以上である。
上記第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)は、更に、リン酸基含有化合物を含有するものであってもよい。
上記リン酸基含有化合物の含有量は、光輝性顔料(固形分)100質量部に対し、6〜170質量部(固形分)であることが好ましく、12〜110質量部(固形分)であることがより好ましい。
上記リン酸基含有化合物としては、リン酸エステルとリン酸基含有アクリルポリマーとを併用することが好ましい。この場合、上記リン酸エステルの含有量は、光輝性顔料(固形分)100質量部に対し、1〜20質量部(固形分)であることが好ましく、2〜10質量部(固形分)であることがより好ましい。また、上記リン酸基含有アクリルポリマーの含有量は、光輝性顔料(固形分)100質量部に対し、5〜150質量部(固形分)であることが好ましく、10〜100質量部(固形分)であることがより好ましい。
上記第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)の塗布量としては、特に限定されるものではないが、光輝性顔料の塗布量が0.1〜10g/m程度となるように塗布されることが好ましい。
上記第2ベース塗膜(光輝性顔料含有ベース塗膜)の厚みは、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
上記上塗り塗装工程の第3の態様において、上記工程(3−b)で塗布して形成された第2ベース塗膜(光輝性顔料含有ベース塗膜)上に、クリヤー塗料を塗布する(工程(4’’))。
上記第2の態様においては、上記工程(3−b)及び上記工程(4’’)は、上記工程(3−b)で形成される第2ベース塗膜(光輝性顔料含有ベース塗膜)と、上記工程(4’’)で形成されるクリヤー塗膜とを同時に硬化させる2コート1ベークにより行うものであることが好ましい。
上記硬化は、公知の方法で行うことができる。
上記工程(4’’)における上記クリヤー塗料としては、特に限定されず、上述したクリヤー塗料と同様のものを挙げることができる。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般には15〜40μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明は、上記塗装方法により塗装されてなるアルミニウム合金ホイールでもある。
本発明により、ノンクロメート化成処理剤によって化成処理を行うものであるにもかかわらず、充分な耐チッピング性、切削加工性、耐水性、耐食性、密着性に優れたアルミニウム合金ホイールを得ることができるアルミニウム合金ホイールの塗装方法及びアルミニウム合金ホイールを提供することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
アルミニウム合金ホイールの表面処理方法
アルミニウム合金ホイールに対して脱脂を行った後、水洗を行い、以下に示した条件で酸洗処理、水洗、化成処理、水洗、純水洗を行い、乾燥した後、粉体塗料による塗装を行った。なお、水洗は水道水シャワーで行い、純水洗は純水シャワーで行った。各工程は、全てディップ方式で処理を行った。乾燥は、電気乾燥機で120℃、25分間行った。使用した処理液は以下の組成を有する。
(A)脱脂処理液:2%(w/v)サーフクリーナー53NF(日本ペイント社製)
処理温度:50℃ 処理時間:3分
(B)酸洗処理処理液:3%(w/v)サーフクリーナー355A(日本ペイント社製;FeSO・7HO 0.81g/L、98%硫酸12.1g/L、pH0.9)
処理温度:40℃ 処理時間:3分
(C)化成処理処理液:2.5%(w/v)アルサーフ501N−1(日本ペイント社製;リン酸ジルコニウム系処理剤;(NHZrF 0.12g/L、75%HPO 0.10g/L、55%HF 0.02g/L、42%HBF 0.16g/L、pH3.5)
処理温度:40℃ 処理時間:45秒
<粉体塗料の製造>
粉体塗料1
ファインディックM8962(大日本インキ化学工業社製、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、数平均分子量3000、質量平均分子量8000、酸価33、軟化点112℃)100質量部と、プリミドXL552(EMS−PRIMD社製、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤、水酸基当量84)5質量部と、アクロナール4F(BASF社製、アクリル重合体、Tgが−55℃、溶解性パラメータSPが9.3、数平均分子量が16500の表面調整剤)0.5質量部と、ベンゾイン1質量部と、タイペークCR−90(石原産業社製、ルチル型二酸化チタン顔料)65質量部を原料として、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、更に溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約110℃で溶融混練した。ここで、プリミドXL552は、以下の式で示される物質である。
Figure 0004027403
その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却した後、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕し、得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、粉体塗料組成物を得た。その体積平均粒径は35μmであった。β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数と、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比は、1.01/1であった。
粉体塗料2
上述した粉体塗料1の組成に更にエポトートYD−014(東都化成社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量950)5質量部を使用すること以外は上記粉体塗料1と同様の方法で粉体塗料を作製し、体積平均粒径35μmの粉体塗料組成物を得た。
粉体塗料3
上述した粉体塗料1の組成に更にファインディックA241(大日本インキ化学工業社製、エポキシ基含有ビニル系重合体、エポキシ当量600、軟化点109℃)を5質量部と、エポトートYD−014(東都化成社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量950)5質量部を加えること以外は上記粉体塗料1と同様の方法で粉体塗料を作製し、体積平均粒径35μmの粉体塗料組成物を得た。
粉体塗料4
上述した粉体塗料1の組成に更にファインディックA241(大日本インキ化学工業社製、エポキシ基含有ビニル系重合体、エポキシ当量600、軟化点109℃)を5質量部と、エポトートYD−014(東都化成社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量950)5質量部、プラクセルH5(ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン)5質量部を加えること以外は上記粉体塗料1と同様の方法で粉体塗料を作製し、体積平均粒径35μmの粉体塗料組成物を得た。
粉体塗料5
上記粉体塗料4と同様の配合で塗料を作製し、粉砕工程においては粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕後、得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、粉体塗料組成物を得た。その体積平均粒径は27μmであった。
粉体塗料6
上記粉体塗料4と同様の配合で塗料を作製し、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕し、100メッシュのタイラー標準ふるい(孔径150mm)を通過させて体積平均粒径45μmの粉体塗料組成物を得た。
粉体塗料7〜12
ポリカプロラクトン(可撓性成分)、エポキシ樹脂、エポキシ基含有ビニル系重合体(アクリル樹脂成分)、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の配合量をそれぞれ表3及び表4の通りにした以外は、上記粉体塗料5と同様にして粉体塗料組成物を得た。
<切削加工性の評価>
比較例1
上記粉体塗料1を、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック株式会社製)を用いて印加電圧80kVで表面処理済みアルミニウム合金ホイールに塗装した。その後160℃で20分(被塗物保持時間)で焼き付けることにより膜厚100μmの塗膜を作製した。
更に、スーパーラックAS70 11SV−14を乾燥膜厚が20μmとなるように塗装し、140℃、20分間焼き付けてベース塗膜を形成し、次いで、塗装アルミニウム合金ホイールの一部を切削加工し、再度ノンクロメート化成処理を施した後に、スーパーラック5000AC−1(T)(日本ペイント社製)を塗装膜厚が15μmとなるように塗装し、140℃、20分で焼付けを行い、その後、スーパーラック5000 AW−10(日本ペイント社製)、乾燥膜厚30μmとなるように塗装し、140℃で20分間加熱し2層クリヤー塗膜を作製した。
比較例2〜5及び実施例1〜8
使用した粉体塗料種並びに粉体塗料の焼付け温度及び焼付け時間を表1又は表2に示すようにした以外は、比較例1と同様にしてアルミニウム合金ホイール上に塗膜を形成した。
上記で得られた塗膜の切削加工性について評価した。
上記の切削加工性について、図面を用いて説明する。図1は、上記で用いたアルミニウム合金ホイール1の平面図であり、図2は、図1中で示すスポーク部2におけるAB断面図である。図2に示されるように、まず、粉体塗料塗膜11、ベース塗膜12を形成した後、表面に形成されたこれら塗膜を、図3に示される切削面まで切削加工して削り取る。この時に、図4に示されるように、塗膜に欠けた部分が生じると、その部分も含めて図5のように2層のクリヤー塗膜13が形成される。この切削加工性が良ければ、上記のような塗膜のハガレが生じていない。
意匠面のスポークを切削加工したときの縦横面の塗膜の剥がれ等の異常の有無を確認すべく、切削加工近傍の塗膜の状態を目視により観察し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:切削加工近傍部の塗膜に異常が認められない
×:切削加工近傍部の塗膜に剥がれが認められる
Figure 0004027403
Figure 0004027403
<その他の性能評価>
比較例6〜9
粉体塗料1〜3及び粉体塗料6は、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック株式会社製)を用いて印加電圧80kVで表面処理済みアルミニウム合金ホイールに塗装した。その後160℃で20分(被塗物保持時間)で焼き付けることにより膜厚100μmの塗膜を作製した。得られた塗膜にスーパーラックAS70 11SV−14(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)を乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、10分間セッティングした後、ローソリッド溶剤クリヤー塗料としてスーパーラック5000 AW−10(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
比較例10
粉体塗料10を用いて、比較例6と同様にして塗膜を形成しようと試みたが、粉体塗料の流動性が低下し、塗装することができなかった。
実施例9、10
粉体塗料4、5は、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック株式会社製)を用いて印加電圧80kVで表面処理済みアルミニウム合金ホイールに塗装した。その後160℃で20分(被塗物保持時間)で焼き付けることにより膜厚100μmの塗膜を作製した。得られた塗膜にスーパーラックAS70 11SV−14(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)を乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、10分間セッティングした後、ローソリッド溶剤クリヤー塗料としてスーパーラック5000 AW−10(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
実施例11
粉体塗料の焼付けを150℃、40分間で行った以外は、粉体塗料5を用いて実施例10と同様にして複層塗膜を形成した。
実施例12〜14
粉体塗料7〜9を用いた以外は、実施例10と同様にして複層塗膜を形成した。
実施例15、16
粉体塗料11及び12を用いて、粉体塗料の焼付けを180℃、20分間で行った以外は、実施例10と同様にして複層塗膜を形成した。
<性能評価方法>
性能評価は外観評価以外については全て表面処理済みアルミニウム合金ホイールに塗装したものを適当な大きさに切断したもので評価を行った。また外観評価については塗装済みホイールそのものを用いて試験を行った。得られた結果を表3及び表4に示す。
密着試験
密着性試験各試験片の塗膜に、カッターにより2mmの間隔で縦横10本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、100個のます目のうちの、残存したます目をカウントした(碁盤目試験)。
耐水試験
温水浸漬試験各試験片を60℃の温水中に72時間浸漬した後、24時間放置し、次いで上記密着試験と同じ碁盤目試験を行った。
耐食性試験
塩水噴霧試験各試験片の表面をカッターナイフによりクロスカットし、5質量%のNaCl水溶液を用いて、35℃で1200時間塩水噴霧を行い、24時間放置後カット部の周辺2mm以内における腐食の度合いを測定した。
○:塗膜のふくれ、錆等異常なし。
△:2mm以内にふくれ、又は錆が発生。
×:2mmを超えてふくれ、又は錆が発生。
耐チッピング試験
得られた各試験片を−30℃に冷却した後、これを飛石試験機(スガ試験機社製)の試料ホルダーに石の侵入角度が90°になるように取り付け、100gの7号砕石を3kg/cmの空気圧で噴射し、砕石を試験片の塗膜に衝突させた。その時のハガレ傷の程度(数、大きさ、破壊場所)を5段階評価した。
1:全面に大きなハガレ傷、素地からの剥離有り
2:全面にある程度のハガレ傷、素地からの剥離有り
3:一部にある程度のハガレ傷、素地からの剥離無し
4:一部に小さなハガレ傷、素地からの剥離無し
5:ほとんど破壊無し
外観評価
塗膜の仕上り外観、平滑性を次の基準で評価した。
○:良好、△:やや不良、×:不良
Figure 0004027403
Figure 0004027403
表1〜4より、本発明のアルミニウム合金ホイールの塗装方法によって得られたアルミニウム合金ホイールは、可撓性成分がカルボキシル基含有ポリエステル100質量部に対して20質量部を超えない限り又は粒径が所定の範囲を超えない限り外観や各種性能、及び切削加工性の全てにおいて優れたものであった。
本発明のアルミニウム合金ホイールの塗装方法及び塗装されてなるアルミニウム合金ホイールは、上述のとおりであるので、環境保全の目的に沿うノンクロメート化成処理で化成処理を行った上で、充分な耐チッピング性を有し、しかも、塗装、焼き付け後の切削加工性に優れたアルミニウム合金ホイールを提供することができる。
アルミニウム合金ホイール1の平面図である。 図1のスポーク部2におけるAB断面図である。 切削加工性の評価を説明するための図面である。 切削加工性の評価を説明するための図面である。 切削加工性の評価を説明するための図面である。
符号の説明
1 アルミニウム合金ホイール
2、2A、2B、2C スポーク部
10 アルミニウム合金素材
11 粉体塗料塗膜
12 ベース塗膜
13 2層のクリヤー塗膜

Claims (10)

  1. アルミニウム合金ホイール表面をノンクロメート化成処理剤によって処理する工程(1)、及び、前記工程(1)により処理された表面に、粉体塗料を塗布して焼き付ける工程(2)を含むアルミニウム合金ホイールの塗装方法であって、
    前記粉体塗料は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリカプロラクトン、及び、下記の一般式(1);
    Figure 0004027403
    (式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−を表し、Aは2価の炭化水素基を表す。)
    で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料粒子からなるものであり、
    前記ポリカプロラクトンの含有量は、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜20質量部であり、
    前記粉体塗料粒子は、体積平均粒子径が25〜35μmである
    ことを特徴とするアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  2. 粉体塗料粒子は、更に、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含有するものである請求項1記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  3. 粉体塗料粒子において、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比(水酸基当量数/カルボキシル基当量数)が0.5/1〜1.5/1である請求項1又は2記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  4. 工程(2)の後に、更に上塗り塗装工程を有する請求項1、2又は3記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  5. 上塗り塗装工程は、工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に金属顔料含有ベース塗料を塗布する工程(3)、及び、前記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜の上にクリヤー塗料を塗布する工程(4)からなる請求項記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  6. 上塗り塗装工程は、工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に金属顔料含有ベース塗料を塗布する工程(3)、前記工程(3)により形成された金属顔料含有ベース塗膜を部分切削する工程(X)、前記工程(X)により露出したアルミニウム合金素材をノンクロメート処理する工程(Y)、及び、前記工程(Y)により処理されたアルミニウム合金素材表面にクリヤー塗料を塗布する工程(4’)からなる請求項記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  7. 上塗り塗装工程は、工程(2)により形成された粉体塗料塗膜の上に、更に、第1ベース塗料を塗布して加熱硬化させて第1ベース塗膜を形成する工程(3−a)、上記第1ベース塗膜上に第2ベース塗料(光輝性顔料含有ベース塗料)を塗布する工程(3−b)、及び、第2ベース塗膜(光輝性顔料含有ベース塗膜)上にクリヤー塗料を塗布する工程(4’’)からなる請求項記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  8. 工程(2)における粉体塗料の加熱温度は150〜170℃である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  9. ノンクロメート化成処理剤は、ジルコニウム系処理剤及び/又はチタニウム系処理剤である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のアルミニウム合金ホイールの塗装方法により塗装されてなることを特徴とするアルミニウム合金ホイール。
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