JPWO2004044065A1 - 粉体塗料、その製造方法、当該粉体塗料を使用する方法および塗装製品 - Google Patents
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Abstract
本発明は、構成成分であるベース塗料粉末と顔料粒子との分離を生じることがなく塗装作業性が良好であり、きめが細かく非常に意匠性に優れている上に高い耐水性を有する塗膜を得ることができ、且つ被塗装体に付着しなかった塗料を回収再利用することができ生産性や経済性に優れた粉体塗料を提供するものである。本発明の粉体塗料は、顔料粒子がシェラックを介してベース塗料粉末に結合していることを特徴とする。本発明の粉体塗料は、シェラックの作用効果により顔料粒子を強固にベース塗料粉末へ均一結合させることができるだけでなく、得られる塗膜は優れた意匠性を示す。
Description
本発明は、意匠性(特に、メタリック感やパール感)に優れた粉体塗料、その製造方法、当該粉体塗料を使用する塗膜形成方法および塗装製品の製造方法、並びに塗装製品に関するものである。更に詳しくは、本発明に係る粉体塗料は塗装作業性が良好であり、また、ムラがなく意匠性に優れ且つ耐水性にも優れた塗膜を得ることができる上に、塗料の回収再利用が可能であるため生産性や経済性にも優れている。
従来の塗装では、塗料を有機溶剤に溶解したものを被塗装体に塗布した後、有機溶剤を乾燥させる方法が採用されていた。しかしこの方法には、有害な有機溶剤が継続的に揮発し、人体や環境に悪影響を及ぼすという問題がある。こうした揮発性有機物質(VOC)対策として、有機溶剤を使用せずに塗装を行なうことが可能な粉体塗料への切り替えが検討されている。また、粉体塗料には、様々な合成樹脂を塗料粉末の主成分として用いることによりその特性を活かすことができ、また、塗膜厚を自由に制御し得る他に厚膜塗装も可能であるという利点もある。
この粉体塗料では、塗膜意匠性の向上を意図して、様々な特性を有する顔料を構成成分として添加することが行なわれている。例えば、体質顔料や加色目的の着色顔料のみならず、光輝性顔料や蓄光顔料を配合することによって新たな特性を有する粉体塗料が製造開発されている。
その様な粉体塗料の製造方法としては、従来、塗料に顔料を混合する方法、具体的には、顔料等が配合された塗料用組成物を溶融混練した後、粉砕する方法(混練粉砕法)が採用されていた。
しかし、混練粉砕法の場合、混練、すなわち樹脂が溶融する温度でせん断力を与えながら組成物を混ぜ合わせることにより構成成分を均一分散させているため、特に光輝性顔料が破損し塗膜意匠性が低減するという問題がある。例えば、光輝性顔料としてアルミニウム粉を用いた場合、溶融混練時に受けるせん断力によりアルミニウム粉が破壊され、アルミニウム粉が黒色又は灰色に変色してしまう。斯かる破損アルミニウム粉を含む光輝性粉体塗料を塗装しても、もはや金属光沢を有する光輝性塗膜を得ることができない。
こうした問題を解決すべく、粉体塗料では、予め混練粉砕法によりベースとなる塗料粉末を製造し、この塗料粉末へ更に光輝性顔料等の顔料を混合する方法(ドライブレンド法)が採用されてきた。このドライブレンド法は、樹脂や必要に応じて着色顔料等の添加剤を配合した粉体塗料用組成物を予め均一に混練して塗料粒末を得、顔料と共に、塗料中の樹脂を溶融することなく単純に攪拌混合して粉体塗料を製造する方法であるため、顔料は高温に曝されることがなく、また、せん断力も受け難いので破損することもなく、顔料の特性を保持したままの粉体塗料を製造することができる。
しかしながら、本法により製造された粉体塗料では、塗料粒子と顔料との結合力が弱いため、実際の塗装において作業性や塗膜特性に幾つかの問題点が生じてくる。つまり、塗装作業中に塗料粒子と顔料が分離することにより塗膜中の顔料が少なくなって意匠性に影響を与えたり、回収塗料の再利用が困難になる。
例えば、顔料として樹脂コーティングされたアルミニウム粉を使用した場合、コロナ荷電方式の静電塗装機を用いると、粉体塗料中の塗料粒子とアルミニウム粉との帯電特性の違いによって塗料粒子とアルミニウム粉が分離し、コロナ荷電方式の静電塗装機先端に位置する電圧印加ニードルやその周辺にアルミニウム粉が付着してしまう。この結果、塗膜に含まれるアルミニウム粉の量が当初粉体塗料に含まれていた量よりも少なくなり、十分な金属光沢を有し意匠性に優れた塗膜が得られなくなる。パール顔料では同様の現象が更に顕著になり、意匠性の乏しい塗膜しか得られない。また、被塗装体に付着しなかった塗料は顔料の含有比率が当初のものよりも減少しており、意匠性が劣るために回収して再利用することができないので、特に大量処理の場合では経済的に大きな負担となる。更に、静電塗装機のニードルやその周辺に付着した顔料の凝集体が、静電塗装機先端から剥がれて被塗物に付着すると、塗装面に凸状のブツ(スピット)が形成されて、塗膜外観が著しく損なわれるといった問題を生じる。
こうした顔料の破損やスピット等に由来する問題を解決し、意匠性の高い塗膜を得ることができる粉体塗料の製造方法として、塗料粉末と顔料を加温しつつ混合する「加温混合法」が開発されている。しかし、近年における需要者の要求はますます厳しくなっており、加温混合法では十分に満足できる意匠性塗膜が得られない場合があり、一段と優れた意匠性を与える粉体塗料が求められている。
因みに、特開2002−235039号公報には、粉体塗料固形樹脂粒子及び光輝性顔料が、当該固形樹脂粒子に対して非溶媒であるか又は貧溶媒である非水媒体中に分散している光輝性非水分散粉体塗料組成物が開示されており、当該組成物は、オーバースプレー塗料を回収して再利用し得ることが謳われている。しかし、単に構成成分を分散させただけに過ぎないため両者の結合力は極めて弱く、被塗装体に付着しなかった塗料を回収して再利用しようとしても、回収塗料中の光輝性顔料の量が常に一定であることは想定し難く、塗膜の意匠性を維持することは困難である。
この粉体塗料では、塗膜意匠性の向上を意図して、様々な特性を有する顔料を構成成分として添加することが行なわれている。例えば、体質顔料や加色目的の着色顔料のみならず、光輝性顔料や蓄光顔料を配合することによって新たな特性を有する粉体塗料が製造開発されている。
その様な粉体塗料の製造方法としては、従来、塗料に顔料を混合する方法、具体的には、顔料等が配合された塗料用組成物を溶融混練した後、粉砕する方法(混練粉砕法)が採用されていた。
しかし、混練粉砕法の場合、混練、すなわち樹脂が溶融する温度でせん断力を与えながら組成物を混ぜ合わせることにより構成成分を均一分散させているため、特に光輝性顔料が破損し塗膜意匠性が低減するという問題がある。例えば、光輝性顔料としてアルミニウム粉を用いた場合、溶融混練時に受けるせん断力によりアルミニウム粉が破壊され、アルミニウム粉が黒色又は灰色に変色してしまう。斯かる破損アルミニウム粉を含む光輝性粉体塗料を塗装しても、もはや金属光沢を有する光輝性塗膜を得ることができない。
こうした問題を解決すべく、粉体塗料では、予め混練粉砕法によりベースとなる塗料粉末を製造し、この塗料粉末へ更に光輝性顔料等の顔料を混合する方法(ドライブレンド法)が採用されてきた。このドライブレンド法は、樹脂や必要に応じて着色顔料等の添加剤を配合した粉体塗料用組成物を予め均一に混練して塗料粒末を得、顔料と共に、塗料中の樹脂を溶融することなく単純に攪拌混合して粉体塗料を製造する方法であるため、顔料は高温に曝されることがなく、また、せん断力も受け難いので破損することもなく、顔料の特性を保持したままの粉体塗料を製造することができる。
しかしながら、本法により製造された粉体塗料では、塗料粒子と顔料との結合力が弱いため、実際の塗装において作業性や塗膜特性に幾つかの問題点が生じてくる。つまり、塗装作業中に塗料粒子と顔料が分離することにより塗膜中の顔料が少なくなって意匠性に影響を与えたり、回収塗料の再利用が困難になる。
例えば、顔料として樹脂コーティングされたアルミニウム粉を使用した場合、コロナ荷電方式の静電塗装機を用いると、粉体塗料中の塗料粒子とアルミニウム粉との帯電特性の違いによって塗料粒子とアルミニウム粉が分離し、コロナ荷電方式の静電塗装機先端に位置する電圧印加ニードルやその周辺にアルミニウム粉が付着してしまう。この結果、塗膜に含まれるアルミニウム粉の量が当初粉体塗料に含まれていた量よりも少なくなり、十分な金属光沢を有し意匠性に優れた塗膜が得られなくなる。パール顔料では同様の現象が更に顕著になり、意匠性の乏しい塗膜しか得られない。また、被塗装体に付着しなかった塗料は顔料の含有比率が当初のものよりも減少しており、意匠性が劣るために回収して再利用することができないので、特に大量処理の場合では経済的に大きな負担となる。更に、静電塗装機のニードルやその周辺に付着した顔料の凝集体が、静電塗装機先端から剥がれて被塗物に付着すると、塗装面に凸状のブツ(スピット)が形成されて、塗膜外観が著しく損なわれるといった問題を生じる。
こうした顔料の破損やスピット等に由来する問題を解決し、意匠性の高い塗膜を得ることができる粉体塗料の製造方法として、塗料粉末と顔料を加温しつつ混合する「加温混合法」が開発されている。しかし、近年における需要者の要求はますます厳しくなっており、加温混合法では十分に満足できる意匠性塗膜が得られない場合があり、一段と優れた意匠性を与える粉体塗料が求められている。
因みに、特開2002−235039号公報には、粉体塗料固形樹脂粒子及び光輝性顔料が、当該固形樹脂粒子に対して非溶媒であるか又は貧溶媒である非水媒体中に分散している光輝性非水分散粉体塗料組成物が開示されており、当該組成物は、オーバースプレー塗料を回収して再利用し得ることが謳われている。しかし、単に構成成分を分散させただけに過ぎないため両者の結合力は極めて弱く、被塗装体に付着しなかった塗料を回収して再利用しようとしても、回収塗料中の光輝性顔料の量が常に一定であることは想定し難く、塗膜の意匠性を維持することは困難である。
そこで、本発明の目的は、ベースとなる塗料粉末と顔料粒子との分離を生じ難く塗装作業性が良好であり、意匠性と耐水性に優れた塗膜を得ることができ、且つ被塗装体に付着しなかった塗料の回収再利用も可能であるため、生産性や経済性に優れた粉体塗料とその製造方法、および当該粉体塗料を使用する方法を提供することにある。
本発明者らは、意匠性に優れた塗膜を与える光輝性粉体塗料の製造方法を既に完成している(特願2002−271904)。即ち、少なくとも、塗料粉末と鱗片状顔料(光輝性顔料)を混合する工程、得られた混合物に液状結合補助剤を混合する工程、及び乾燥する工程を経れば、塗料粉末と鱗片状顔料が均一かつ堅固に結合した光輝性粉体塗料が得られ、塗装作業性に優れると共に回収再利用が可能であり、意匠性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明者らは、当該技術につき一層の改良を期して更に鋭意研究を進めたところ、結合補助剤としてシェラック溶液を用いれば、よりムラがなく意匠性に優れた塗膜を得ることができるのみならず、得られる塗膜は耐水性にも優れており、また、斯かる効果は光輝性顔料以外の顔料を含む粉体塗料に対しても有効に活用できることを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る粉体塗料は、意匠性に優れた粉体塗料であって、顔料粒子がシェラックを介してベース塗料粉末に結合している、ことを特徴とする。本発明の粉体塗料は、当該構成を採ることによって、顔料粒子がベース塗料粉末に対してより均一かつ強固に結合されるため、塗装作業性が良好であり、意匠性と耐水性に優れた塗膜を得ることができ、且つ被塗装体に付着しなかった塗料の回収再利用も可能となる。
この粉体塗料に含まれるシェラックの粉体塗料全体に占める割合は、0.01〜1質量%であることが好ましい。この範囲内であれば、構成成分の分散性や塗膜の平滑性が良好であり、更に意匠性に優れた塗膜を得ることができるからである。
また、ベース塗料粉末の平均粒径は10〜100μm、顔料粒子の平均粒径は100μm以下が好ましい。斯かる範囲内であれば、シェラックの作用による顔料粒子とベース塗料粉末の結合がより均一になり、塗面の意匠性を更に高めることができること等による。この顔料粒子の具体例としては、平均粒径2〜100μmの光輝性顔料、特にその形状がフレーク状であって厚さが0.01〜10μmの光輝性顔料、平均粒径0.01〜5.0μmの無機着色顔料、平均粒径0.01〜1.0μmの有機着色顔料、平均粒径1〜100μmの蓄光性顔料が挙げられ、これらを複数組合わせて添加してもよい。
顔料粒子の粉体塗料全体に占める割合は、0.1〜50質量%が好適である。この範囲内で含まれる顔料粒子は、その意匠性をより有効に発揮できるからである。
また、本発明に係る粉体塗料の製造方法は、ベース塗料粉末と顔料粒子を混合する工程、シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を該混合物に混合する工程、及び乾燥する工程を含むことを特徴とする。少なくともこれら工程を経ることによって、上記の粉体塗料を製造することができる。
上記の液状結合補助剤の混合工程は、機械攪拌型混合機または気流攪拌型混合機を用いて行なうのが一般的である。
上記液状結合補助剤の添加は、スプレーまたは滴下により行なうことが好ましい。液状結合補助剤をベース塗料粉末と顔料粒子の混合物へ少量ずつ均一に添加することができ、ひいては顔料粒子がベース塗料粉末へ均一に結合できることに繋がるからである。
上記結合補助剤の添加をスプレーにより行なう場合、空気の供給による乾燥工程と並行して行なう態様が好適である。ベース塗料粉末への顔料粒子の付着と結合とを同時に行なうことにより、速やかに粉体塗料を製造できるからである。この場合、空気として加熱空気を用いれば、より速やかな製造が可能となる。
また、本発明に係る塗膜の形成方法は、上記記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装して塗膜を形成することを特徴とする。当該方法によれば、金属材料に適する一方で、ベース塗料粉体と顔料粒子が分離し易いという性質を有する静電粉体塗装を行なっても、ベース塗料粉体と顔料粒子が分離することなく均一で意匠性に優れた塗膜を形成することができる。
上記静電粉体塗装の前には、プライマ層を形成することが好ましい。金属材料と塗膜との間にプライマ層を設けることにより、金属材料の耐食性や耐久性を向上させることができる。また、着色したプライマ層を形成することによって、ベース層との色相との組合わせにより意匠性を一層向上し得る。
上記プライマ層を粉体塗料により形成すれば、有害な揮発性有機物質を低減することができる。
プライマ層の形成に使用される粉体塗料としては、エポキシ樹脂硬化型のポリエステル樹脂、又は酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂をベース塗料粉末の主成分とするものが好ましい。斯かる粉体塗料を使用すれば硬化塗膜を形成することができ、しかも前者は耐食性、後者は耐候性に優れた塗膜が形成できる。
上記塗膜形成方法においては、最表面層としてトップクリアー層を形成することが好ましい。光沢、平滑性などの塗膜外観や、耐候性などの塗膜性能を、一層向上させることができるからである。
上記トップクリアー層は、アクリル系溶剤型クリヤー塗料またはアクリル系粉体型クリヤー塗料で形成することが好ましく、アクリル系溶剤型クリヤー塗料としてはポリイソシアネート硬化型のもの、アクリル系粉体型クリヤー塗料としては、酸硬化型のものであり且つエポキシ基を含有するもの、又はエポキシ基含有アクリル系樹脂を基体樹脂とし、ポリカルボン酸(好適には、ドデカンジカルボン酸)を硬化剤として含有するものが好適である。当該アクリル系溶剤型クリヤー塗料は耐候性に優れ、これらアクリル系粉体型クリヤー塗料は耐候性に優れるのみならず、有害な揮発性有機物質を低減できるからである。
また、本発明に係る塗装製品の製造方法は、粉体塗料により塗装された製品を製造する方法であって、上記記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装する工程を含むことを特徴とする。本発明に係る塗装製品の製造方法は、上記の塗膜形成方法を応用するものであり、上記塗膜形成方法と同様の特性を有する。また、上記で説明した塗膜形成方法の好適な実施態様も、本発明に係る塗装製品の製造方法にそのまま適用することができ、その作用効果も同様である。
更に、本発明に係る塗装製品は、上記方法により製造されることを特徴とする。
本発明者らは、意匠性に優れた塗膜を与える光輝性粉体塗料の製造方法を既に完成している(特願2002−271904)。即ち、少なくとも、塗料粉末と鱗片状顔料(光輝性顔料)を混合する工程、得られた混合物に液状結合補助剤を混合する工程、及び乾燥する工程を経れば、塗料粉末と鱗片状顔料が均一かつ堅固に結合した光輝性粉体塗料が得られ、塗装作業性に優れると共に回収再利用が可能であり、意匠性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明者らは、当該技術につき一層の改良を期して更に鋭意研究を進めたところ、結合補助剤としてシェラック溶液を用いれば、よりムラがなく意匠性に優れた塗膜を得ることができるのみならず、得られる塗膜は耐水性にも優れており、また、斯かる効果は光輝性顔料以外の顔料を含む粉体塗料に対しても有効に活用できることを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る粉体塗料は、意匠性に優れた粉体塗料であって、顔料粒子がシェラックを介してベース塗料粉末に結合している、ことを特徴とする。本発明の粉体塗料は、当該構成を採ることによって、顔料粒子がベース塗料粉末に対してより均一かつ強固に結合されるため、塗装作業性が良好であり、意匠性と耐水性に優れた塗膜を得ることができ、且つ被塗装体に付着しなかった塗料の回収再利用も可能となる。
この粉体塗料に含まれるシェラックの粉体塗料全体に占める割合は、0.01〜1質量%であることが好ましい。この範囲内であれば、構成成分の分散性や塗膜の平滑性が良好であり、更に意匠性に優れた塗膜を得ることができるからである。
また、ベース塗料粉末の平均粒径は10〜100μm、顔料粒子の平均粒径は100μm以下が好ましい。斯かる範囲内であれば、シェラックの作用による顔料粒子とベース塗料粉末の結合がより均一になり、塗面の意匠性を更に高めることができること等による。この顔料粒子の具体例としては、平均粒径2〜100μmの光輝性顔料、特にその形状がフレーク状であって厚さが0.01〜10μmの光輝性顔料、平均粒径0.01〜5.0μmの無機着色顔料、平均粒径0.01〜1.0μmの有機着色顔料、平均粒径1〜100μmの蓄光性顔料が挙げられ、これらを複数組合わせて添加してもよい。
顔料粒子の粉体塗料全体に占める割合は、0.1〜50質量%が好適である。この範囲内で含まれる顔料粒子は、その意匠性をより有効に発揮できるからである。
また、本発明に係る粉体塗料の製造方法は、ベース塗料粉末と顔料粒子を混合する工程、シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を該混合物に混合する工程、及び乾燥する工程を含むことを特徴とする。少なくともこれら工程を経ることによって、上記の粉体塗料を製造することができる。
上記の液状結合補助剤の混合工程は、機械攪拌型混合機または気流攪拌型混合機を用いて行なうのが一般的である。
上記液状結合補助剤の添加は、スプレーまたは滴下により行なうことが好ましい。液状結合補助剤をベース塗料粉末と顔料粒子の混合物へ少量ずつ均一に添加することができ、ひいては顔料粒子がベース塗料粉末へ均一に結合できることに繋がるからである。
上記結合補助剤の添加をスプレーにより行なう場合、空気の供給による乾燥工程と並行して行なう態様が好適である。ベース塗料粉末への顔料粒子の付着と結合とを同時に行なうことにより、速やかに粉体塗料を製造できるからである。この場合、空気として加熱空気を用いれば、より速やかな製造が可能となる。
また、本発明に係る塗膜の形成方法は、上記記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装して塗膜を形成することを特徴とする。当該方法によれば、金属材料に適する一方で、ベース塗料粉体と顔料粒子が分離し易いという性質を有する静電粉体塗装を行なっても、ベース塗料粉体と顔料粒子が分離することなく均一で意匠性に優れた塗膜を形成することができる。
上記静電粉体塗装の前には、プライマ層を形成することが好ましい。金属材料と塗膜との間にプライマ層を設けることにより、金属材料の耐食性や耐久性を向上させることができる。また、着色したプライマ層を形成することによって、ベース層との色相との組合わせにより意匠性を一層向上し得る。
上記プライマ層を粉体塗料により形成すれば、有害な揮発性有機物質を低減することができる。
プライマ層の形成に使用される粉体塗料としては、エポキシ樹脂硬化型のポリエステル樹脂、又は酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂をベース塗料粉末の主成分とするものが好ましい。斯かる粉体塗料を使用すれば硬化塗膜を形成することができ、しかも前者は耐食性、後者は耐候性に優れた塗膜が形成できる。
上記塗膜形成方法においては、最表面層としてトップクリアー層を形成することが好ましい。光沢、平滑性などの塗膜外観や、耐候性などの塗膜性能を、一層向上させることができるからである。
上記トップクリアー層は、アクリル系溶剤型クリヤー塗料またはアクリル系粉体型クリヤー塗料で形成することが好ましく、アクリル系溶剤型クリヤー塗料としてはポリイソシアネート硬化型のもの、アクリル系粉体型クリヤー塗料としては、酸硬化型のものであり且つエポキシ基を含有するもの、又はエポキシ基含有アクリル系樹脂を基体樹脂とし、ポリカルボン酸(好適には、ドデカンジカルボン酸)を硬化剤として含有するものが好適である。当該アクリル系溶剤型クリヤー塗料は耐候性に優れ、これらアクリル系粉体型クリヤー塗料は耐候性に優れるのみならず、有害な揮発性有機物質を低減できるからである。
また、本発明に係る塗装製品の製造方法は、粉体塗料により塗装された製品を製造する方法であって、上記記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装する工程を含むことを特徴とする。本発明に係る塗装製品の製造方法は、上記の塗膜形成方法を応用するものであり、上記塗膜形成方法と同様の特性を有する。また、上記で説明した塗膜形成方法の好適な実施態様も、本発明に係る塗装製品の製造方法にそのまま適用することができ、その作用効果も同様である。
更に、本発明に係る塗装製品は、上記方法により製造されることを特徴とする。
本発明に係る粉体塗料が享有する最大の特長は、ベース塗料粉末に対して顔料粒子が均一に付着しているため、きめが細かく且つムラがないという意匠性に優れた塗膜を与えることにある。即ち、粉体塗料の主成分であるベース塗料粉末と顔料粒子の分布が不均一であれば、顔料が着色顔料である場合には色ムラとなり、蓄光顔料である場合には均一に発光できない。また、特に光輝性顔料の場合では、顔料が存在していない部分は光を反射できないために黒点となり、斯かる部分が大きい程意匠性は乏しくなる。しかし、本発明の粉体塗料では、顔料粒子がベース塗料粉末に対して均一に且つ強固に結合しているため、実際の塗装時においても顔料粒子とベース塗料粉末との分離が容易には生じず、意匠性が格段に優れた塗膜を得ることが可能である。その上、本発明の粉体塗料は回収再利用が可能であるばかりでなく、得られる塗膜は耐水性に優れている。
以下に、上記特長を発揮するための本発明の実施形態及びその効果について説明する。
はじめに、本発明の製造方法で用いられる「ベース塗料粉末」について説明する。
本発明の「ベース塗料粉末」として使用される「塗料粉末」は、従来から粉体塗料として用いられるものであり、塗膜形成樹脂と、必要に応じて加えられる着色顔料や体質顔料及びその他の添加剤を含有する塗料用組成物を溶融混練後、粉砕し粉末化したものであって、公知方法により製造することができる。
当該塗料粉末に用いられる「塗膜形成樹脂」としては、従来から粉体塗料の塗膜形成樹脂として用いられている熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等を使用できるが、熱硬化性樹脂が一般的である。このような「熱硬化性樹脂」としては、例えば、(i)水酸基含有固形樹脂と、当該水酸基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤との組合せ、(ii)カルボキシル基含有固形樹脂と、当該カルボキシル基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤との組合せ、(iii)エポキシ基含有固形樹脂と、当該エポキシ基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤との組合せを挙げることができる。ここでいう樹脂の「固形」とは、常温で固形状のものであり、好ましくは軟化点が80〜200℃のものをいう。また、硬化剤は固形状のものであっても液状であっても構わないが、好ましくは固形状のものを使用する。
「水酸基含有固形樹脂」としては、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂など公知の粉体塗料で用いられている樹脂を使用できる。この水酸基含有固形樹脂と組み合わせて使用できる「水酸基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤」としては、例えば、ブロック化ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト樹脂など公知の粉体塗料で用いられている硬化剤を使用できる。
「カルボキシル基含有固形樹脂」としては、例えば、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂など公知の粉体塗料で用いられている樹脂を使用できる。このカルボキシル基含有固形樹脂と組み合わせて使用できる「カルボキシル基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤」としては、例えば、ビスフェノールA〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂などのエポキシ樹脂や、ヒドロキシアルキルアミド化合物など公知の粉体塗料で用いられている硬化剤を使用できる。
「エポキシ基含有固形樹脂」としては、例えば、ビスフェノールA〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂など公知の粉体塗料で用いられている樹脂を使用できる。このエポキシ基含有固形樹脂と組み合わせて使用できる「エポキシ基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤」としては、例えば、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、有機酸ポリヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド化合物、ポリカルボン酸化合物、酸無水物など公知の粉体塗料で用いられている硬化剤を使用できる。
上記で例示した熱硬化性樹脂の中でも、塗膜性能(耐候性など)や仕上り性(意匠性、平滑性など)等に優れることから、次の組合せによるものが好適である。
(iv) 水酸基含有ポリエステル樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物との組合せ
ここで使用する水酸基含有ポリエステル樹脂としては、水酸基価:約20〜200KOHmg/g、好ましくは約25〜80KOHmg/g、軟化点:約50〜150℃、好ましくは約70〜140℃、平均重量分子量:約1000〜10000、好ましくは約2000〜5000のものが好ましい。当該水酸基含有ポリエステル樹脂として、具体的には、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸等の芳香族又は脂環族ジカルボン酸と、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチルプロピオン酸等の2価アルコール、必要に応じて安息香酸等のモノカルボン酸、(無水)トリメリット酸等の3価以上のカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールとを、上記した水酸基価の範囲になる様に適宜反応させて得られる樹脂を例示することができる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物を、フェノール類、ラクタム類、アルコール類、オキシム類等の化合物によって、イソシアネート基をブロック化したものを挙げることができる。特に、イソホロンジイソシアネートを、フリーのイソシアネート基が残らないようにε−カプロラクタム等のラクタム類ブロック化剤でブロックしたものが好ましい。
(v) カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とヒドロキシアルキルアミド化合物との組合せ
ここで使用するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂としては、樹脂酸価:20〜200KOHmg/g、好ましくは約25〜150KOHmg/g、軟化点:約50〜150℃、好ましくは約70〜140℃、平均重量分子量:約1000〜10000、好ましくは約2000〜5000のものが好ましい。当該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂として、具体的には、上記した芳香族又は脂環族ジカルボン酸と、上記した2価アルコール、必要に応じて安息香酸等のモノカルボン酸、(無水)トリメリット酸等の3価以上のカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールとを、上記した酸価の範囲になる様に適宜反応させて得られる樹脂を例示することができる。
(vi) カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との組合せ
ここで使用するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂としては、上記(v)と同様のものを挙げることができる。エポキシ樹脂としては、エポキシ当量:200〜3000、好ましくは300〜2000、軟化点:約20〜200℃、好ましくは約30〜150℃のものが好ましい。当該エポキシ樹脂として、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、アクリル型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂及び環式脂肪族エポキシ樹脂(シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基などを含有するエポキシ樹脂)などを挙げることができる。特に、硬化性の観点から、これらのうちビスフェノールA〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂が好ましく、具体的には、例えば、AER−6014(旭化成(株)製、商品名)、エピコート1004、エピコート1007(以上、油化シェルエポキシ(株)製、商品名)、アラルダイト6084、アラルダイト6097、アラルダイト6099(以上、チバ・ガイギー(株)製、商品名)、DER−664、DER−667(以上、ダウ・ケミカル(株)製、商品名)等を挙げることができる。
(vii) エポキシ基含有アクリル樹脂とポリカルボン酸化合物との組合せ
ここで使用するエポキシ基含有アクリル樹脂としては、エポキシ当量:200〜3000、好ましくは300〜2000、軟化点:約20〜200℃、好ましくは約30〜150℃のものが好ましい。当該エポキシ基含有アクリル樹脂として、具体的には、例えば、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和モノマー(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等)を必須モノマー成分とし、当該モノマーと、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等をラジカル共重合反応させて得られるエポキシ基含有アクリル樹脂を挙げることができる。
ポリカルボン酸化合物としては、例えば、ドデカンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
(viii) 水酸基含有アクリル樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物との組合せ
ここで使用する水酸基含有アクリル樹脂としては、水酸基価:約20〜200KOHmg/g、好ましくは約25〜80KOHmg/g、軟化点:約50〜150℃、好ましくは約70〜140℃、平均重量分子量:約1000〜100000、好ましくは約2000〜80000のものが好ましい。当該水酸基含有アクリル樹脂としては、上記したヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを必須モノマー成分として、当該水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー以外のモノマー(例えば、上記のエポキシ基含有アクリル樹脂の構成成分として記載のモノマー)をラジカル共重合反応させて得られるものを挙げることができる。ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、上記(iv)で例示したものを使用できる。
塗料粉末に用いられる「着色顔料」としては、例えば二酸化チタン、酸化鉄、弁柄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、アセトロン顔料、各種焼成顔料等の無機着色顔料または有機着色顔料を挙げることができる。また、塗料粉末に添加される「体質顔料」としては、例えば炭酸カルシウム、ガラス繊維、シリカ、タルク、硫酸バリウム、カオリン等を挙げることができる。更に必要に応じて、亜鉛粉末やトリポリリン酸二水素アルミニウム等の防錆顔料も使用できる。因みに、これら顔料は例示に過ぎず、上記記載には限定はされない。
「添加剤」としては、例えば表面調整剤、硬化促進剤、タレ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、染料等が挙げられ、必要に応じて使用することができる。
以上のような樹脂、必要に応じて添加される着色顔料、添加剤等を含有する塗料用組成物を調製し、これらを樹脂が溶融する温度で混練して均一化する。得られた塗料ペレットを粉砕し、分級して、平均粒径10〜100μm程度、好ましくは20〜60μmのベース塗料粉末を製造する。
本発明において「平均粒径」とは、一般的な粒度分布計によって分級後のベース塗料粉末或いは顔料粒子の粒度分布を測定し、得られた結果により求められる小粒径側からの積算値50%の粒度(D50)をいうものとする。斯かる粒度分布は、粒子に光を当てることにより生じる回折や散乱の強度パターンによって測定することができる。これは、当該強度パターンが、粒子の大きさに依存することによる。ここで用いられる粒度分布計としては、例えば、日機装社製のマイクロトラック9220FRAやマイクロトラックHRA、ベックマンコールター社製のCOULTER MURTISIZERなどを挙げることができる。その測定方法の例を具体的に説明すると、容器に水30mlを入れ、更に中性洗剤を0.01〜0.1g加えて攪拌した後、測定試料を0.01〜0.2g入れ、攪拌しながら2分間超音波をかけて分散させ、これを上記粒度分布計により測定すればよい。
次に、本発明で用いられる「顔料粒子」について説明する。
本発明の「顔料粒子」として用いられる「顔料」は、主として「光輝性顔料」、「蓄光顔料」および「着色顔料」である。これらのうち「光輝性顔料」は、受けた光を反射して塗膜にメタリック感やパール感(光干渉性模様)等の意匠性を与えるものであれば特に限定はされないが、好ましいものとしては、例えばアルミニウム粉等の金属粉、ステンレス鋼フレーク等の金属フレーク、雲母、マイカシャスアイアンオキサイド(MIO、鱗片状酸化鉄)、ガラスフレーク及びパール雲母等のパール顔料よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。ここで、各光輝性顔料については、樹脂コーティングアルミニウム粉、シリカコーティングアルミニウム粉、フッ素化合物コーティングアルミニウム粉、チタンコーティング雲母、ハステロイドコーティングガラスフレーク等、これらをコーティングしたものも含まれる。
「蓄光顔料」は、光や紫外線等を吸収して、熱を伴わずに発光する性質を有する顔料をいう。この様な「蓄光顔料」としては、例えば、硫化亜鉛、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸バリウム、アルミン酸マグネシウム等を挙げることができ、更に活性化剤としてユーロピウム、デスプロシウム、ネオジウム等を配合したものでもよい。本発明では、これらから選択した1種または2種以上の組合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
「着色顔料」とは、塗膜に色相や意匠性を付与することを主目的とする顔料である。この「着色顔料」は、既に「ベース塗料粉末」に含まれている場合が多いが、それとは別に「ベース塗料粉末」の表面へシェラックを介して結合させることにより、単一の着色顔料を配合した場合よりも更に意匠性が向上することがある。この様な「着色顔料」としては前述したものと同様のもの或いはこれら2種以上の組合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に使用される「シェラック」とは、カイガラムシ(主にラックカイガラムシ)を豆科植物(ビルマネム、アメリカネム、カッチ、オオバマメノキ、キマメ、アラビアゴムモドキ等)や桑科植物(アコウ、インドボダイジュ等)に寄生させ、虫体からの分泌物を精製した天然の熱硬化性樹脂をいう。このシェラックは、常温で低級アルコール(主に1価のC1−C4アルコール)に対して溶解性を示し、且つ一旦熱硬化すると、温アルカリ水を除く水系溶媒や主だった有機溶媒、また低級アルコールにさえも難溶性を示すようになることから、塗料成分として極めて優れている。
斯かる「シェラック」としては、漂白処理された白シェラックやワックス分を除去した脱蝋シェラックなどが市販されているが、本発明ではこれらを特に制限なく使用することができる。また、シェラックの化学構造は完全に解明されているわけではないが、少なくとも下記アリュリチン酸とシュロール酸およびその誘導体を構成成分とするポリエステルが主成分であり、これら構造中に存在する水酸基が、本発明に係る粉体塗料において好ましい特性を発揮する理由であると推定される。その他、ブトール酸やパルミチン酸、ミリスチン酸などの存在が確認されている。従って、本発明の「シェラック」には、天然由来のシェラックのみならず、上記推定構造を基に合成された化学合成樹脂であって、上記と同様の作用効果を示すものも含まれる。
「シェラック」の粉体塗料全体に占める割合は、0.01〜1質量%が好ましい。0.01質量%未満であると顔料粒子がベース塗料粉末に均一結合し難くなるからであり、1質量%を超えると塗面の平滑性に悪影響を与える場合があるからである。
「ベース塗料粉末」の平均粒径は、10〜100μmが好ましい。10μm未満であると安息角が大きくなり流動性が悪くなるために塗装作業性が低下する場合があり、100μmを超えると実際の塗装時に塗料の脱落等が生じ、塗着効率が低下することがあるからである。ここで「安息角」とは、円形のテーブル上に粉体塗料を流下させたときに堆積する山の稜線の角度をいい、例えば、パウダーテスター(商品名、ホソカワミクロン(株)製)により測定することができる。
また、「顔料粒子」の平均粒径は、一般的には100μm以下が好ましい。100μmを超えるとベース塗料粉末へ均一に結合し難くなって脱落する顔料粒子が増加し、塗面の意匠性を低下させることがあるからである。
更に、顔料粒子として光輝性顔料を使用する場合には、平均粒径を2μm以上、100μm以下にすることが好ましく、更に好ましくは3μm以上、80μm以下とする。また好適な厚さは、0.01μm以上、10μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以上、6μm以下とする。更に具体的には、アルミニウムフレークの場合は、平均粒径を2μm以上、50μm以下とし、厚さを0.2μm以上、5μm以下にすることが好ましく、パール顔料の場合は、平均粒径を5μm以上、70μm以下、厚さを0.2μm以上、5μm以下にすることが好ましい。
また、顔料粒子として無機着色顔料を用いる場合には、平均粒径を0.01μm以上、5.0μm以下、有機着色顔料では、平均粒径を0.01μm以上、1.0μm以下が好ましい。蓄光性顔料の場合は、平均粒径として1μm以上、100μm以下が好ましく、特に5μm以上、50μm以下が好ましい。
「顔料粒子」の粉体塗料全体に占める割合は、0.1〜50質量%が好ましい。0.1質量%未満では、塗料に含まれる顔料粒子の量が不十分となり塗膜の意匠性に乏しくなる場合があるからである。一方、50質量%を超えると、ベース塗料粉末に対する顔料粒子の量が多くなり過ぎることにより、ベース塗料粉末に結合できず単独で存在する顔料粒子が増加し、単にドライブレンドを行っただけのものに近くなって意匠性が低減するおそれがあるからである。当該含有量としては、0.5質量%部以上、40質量%以下が更に好ましい。
本発明の粉体塗料は、必要や目的に応じて更に添加剤を含むものであってもよい。その様な添加剤としては、例えば、シリカ粒子や酸化アルミニウム等の塗料流動性を向上するための添加剤等を挙げることができる。また、その他の不可避的な混入物を含むものであっても、本発明の範囲内であるものとする。
本発明の粉体塗料を製造するに当たっては、少なくとも「ベース塗料粉末と顔料粒子を混合する工程」、「シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を該混合物に混合する工程」、及び「乾燥する工程」をこの順番で実施することが必要である。
即ち、本発明の粉体塗料を製造するには、先ず塗料構成成分、特にベース塗料粉末と顔料粒子とを十分に混合する必要がある。当該混合が不十分であると、ベース塗料粉末或いは顔料粒子の偏在が生じ、ベース塗料粉末同士または顔料粒子同士が結合する割合が高くなるため、意匠性の高い塗膜が得られ難くなるからである。
混合方法は、塗料構成成分を十分に混合し得るものであれば特に限定はされないが、機械攪拌型混合機や気流攪拌型混合機を使用して行なうのが一般的である。
「機械攪拌型混合機」としては、例えば上軸駆動式機械攪拌型混合機を挙げることができる。上軸駆動式機械攪拌型混合機は、図1に示すように、逆円錐形の容器1内に設けられている攪拌機2を駆動するモータ3が容器上部に取り付けられており、下部に混合作業を終了した塗料を排出するための排出口4が設けられている。2aは、攪拌軸に取り付けられた攪拌羽根である。
「機械攪拌型混合機」を用いた混合条件としては、ベース塗料粉末と顔料粒子等の構成成分を均一に混合することができ、且つ顔料粒子を損傷させない条件が採用される。特に「顔料粒子」として光輝性顔料を配合する場合、光輝性顔料が損傷すると光輝性、ひいては意匠性が低減するからである。このような条件を満たす攪拌混合機の回転速度としては、周速3〜6m/sが好ましい。これより回転速度が遅い場合には十分な均一混合を行なうことが困難であり、逆に回転速度が速いと顔料粒子が羽根のせん断力により破壊され易くなるからである。
上軸駆動式機械攪拌型混合機を用いて周速3〜6m/sで混合する場合、容器1の底面付近(図1中、「d」で示す部分)がデッドスペースとなり、特に比重の重い光輝性顔料が均一に分散されないおそれがある。よって、より均一に混合するためには、容器1の底面と攪拌軸との間のスペースにエアーを流入しつつ攪拌することが好ましい。
「気流攪拌型混合機」の模式図を図2に示す。図2中、チャンバー6内に存在するベース塗料粉末等の構成成分は、気流発生装置7から気流発生孔9を通して発生した気流bにより、チャンバー6内に均一分散、混合される。斯かる気流攪拌型混合機は、顔料粒子等を損傷することがないため、意匠性保持の点で優れている。
本発明に係る粉体塗料の製造方法では、ベース塗料粉末と顔料粒子とを均一に混合した後、これらベース塗料粉末と顔料粒子に、シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を均一に混合させる。
ここで使用される「有機溶媒」は、シェラックを溶解できるものであり且つ粉体塗料に含まれる樹脂を溶解し難いものであれば特に制限されないが、例えばメタノール、エタノーノ、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等から選択される1価アルコールの1種または2種以上の混合溶媒を主成分とするものを挙げることができる。また、上記1価アルコールの他に、エチレングリコール等の多価アルコール類;酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類を含有するものであってもよい。
本発明では、シェラックを上記有機溶媒に溶解したものを「液状結合補助剤」として添加するが、その液滴が微小であるほど、意匠性の高い塗料を得ることができる。即ち、本発明者らにより初めて明らかにされたことであるが、液状結合補助剤の液滴が約1mm以下であれば、その理由は明らかでないがベース塗料粉末同士或いは顔料粒子同士の結合が起こり難くなり、ベース塗料粉末と顔料粒子とをより均一に結合させることが可能となる。また、塗料保存中における構成成分のブロッキングも起こり難くなる。ここで「ブロッキング」とは、塗料粉末同士が融着することによって、米粒状の塊を生じたり容器の形のまま固化し、僅かな力では元の塗料粉末にもどすことができないことをいう。こうした効果は、液滴が細かくなる程高くなるので、当該液滴は100μm以下が好ましく、更には50μm以下であることが好ましい。また、液滴を細かくすることには、ベース塗料粉末と顔料粒子との混合物へ液状結合補助剤を均一に混合し易くなるという効果もある。
この「液状結合補助剤」が発揮する作用効果によって、ベース塗料粉末と顔料粒子との結合は確固たるものとなり、塗装作業等において両者が分離するという問題がなくなる。
「液状結合補助剤」は、ベース塗料粉末と顔料粒子に均一に付着することが必要である。付着が不均一であるとベース塗料粉末と顔料粒子との結合に偏りが生じ、塗膜の意匠性に悪影響を及ぼすからである。斯かる均一付着を達成するためには、液状結合補助剤の添加を滴下またはスプレーで行なうことが好ましく、より好適にはスプレーで行なう。スプレーによる方が、液状結合補助剤の均一付着を容易に達成できるからである。
構成成分の混合を機械攪拌型混合機により行なう場合には、結合補助剤の添加は、滴下でもスプレーによっても行なうことができる。例えば、図1中、構成成分を混合しつつ、液状結合補助剤放出部5から液状結合補助剤を滴下またはスプレーすることにより、液状結合補助剤を均一に混合することが可能となる。尚、図1中、液状結合補助剤放出部5は一つしか示していないが、液状結合補助剤をより均一に添加するために複数設けてもよい。
一方、気流攪拌型混合機を使用する場合は、スプレーにより添加することが好ましい。即ち、図2中、チャンバー6内に均一に分散している構成成分に、結合補助剤放出部8から結合補助剤cをスプレーすれば、構成成分中に満遍なく結合補助剤を混合させることができる。また、機械攪拌型混合機と同様に、結合補助剤放出部8を複数設けてもよい。
「液状結合補助剤」の添加量は、粉体塗料全体からシェラック分を除いた質量、即ち「ベース塗料粉末」、「顔料粒子」、「その他添加物」の合計量に対して1〜100質量%が好適である。1質量%未満であるとベース塗料粉末と顔料粒子との十分な結合力が得られないことがあり、100質量%を超えると添加時間や乾燥に要する時間が長くなって生産性が悪くなる場合があるからである。尚、液状結合補助剤のシェラック濃度は、粉体塗料に含ませるシェラックの量と上記液状結合補助剤の添加量から計算して、好ましいものを採用すればよい。
本発明に係る粉体塗料の製造方法は、乾燥工程を含む。当該乾燥工程は、液状結合補助剤中の有機溶剤を揮発させる等により、ベース塗料粉末と顔料粒子との結合を確固たるものにするため行なわれる。
斯かる乾燥の手段は、特に限定はされないが、例えば空気の供給を挙げることができ、製造作業効率を考慮すれば、当該空気としては加熱空気を用いることが好ましい。当該空気の温度は適宜決定すればよいが、少なくとも粉体塗料樹脂成分の軟化点未満であることが必要である。軟化点以上になると樹脂が軟化し、粉体粒子のブロッキングが生じるからである。ここで、本発明における「軟化点」は、例えば環球式自動軟化点試験器(明峰社製作所社製)を用い、グリセリンの加熱浴で3℃/分の昇温速度で昇温し、試料が軟化して球が落下した時の温度(℃)として測定することができる。
斯かる乾燥空気の温度としては、一般的に20〜120℃を採用でき、更に好適には40〜100℃である。また、空気の供給時期も適宜決定すればよいが、例えば結合補助剤の添加後に加熱空気を供給し次いで冷却してもよく、結合補助剤を添加しつつ加熱空気を供給し次いで冷却してもよい。
斯かる空気の供給は、混合機として機械攪拌型混合機を採用した場合には、ベース塗料粉末と顔料粒子とを均一混合するために行なう態様と同様に、図1中、容器1の底面と攪拌軸との間のスペースに空気を吹き込むことにより行なうことができる。
混合機として気流攪拌型混合機を採用した場合は、気流がそのまま乾燥作用を有し、また気流として加熱空気を供給することにより、乾燥効率を高めることができる。
以上のようにして製造される粉体塗料は、静電塗装法、流動浸漬法、吹き付け法、インモールド等で被塗装体に塗布することができ、熱風炉、赤外炉、誘導加熱炉等で焼き付けることにより、硬化塗膜を形成することができる。本発明に係る粉体塗料では、ベース塗料粉末と顔料粒子が強く結合しているため、静電塗装法による塗装の際にもこれら構成成分が分離して、塗装機、特に塗装機先端部分に付着することがなく、安定に塗装作業を行なうことができる。
本発明に係る塗装製品の製造方法では、上記記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装する工程を含む。本製造方法では、ベース塗料粉体と顔料粒子が分離し難く、特に顔料粒子としてメタリック金属顔料を使用した場合に、粉体塗料に配合された燐片状金属フレークなどのメタリック金属顔料が塗膜中に配向されることによって、正面から見たメタリック感と、角度を変えて見たメタリック感との外観の差が少なく、しかもメタリック金属顔料が存在しないことに原因する黒点が低減され、くすみの少ない意匠性に優れた塗膜を得ることができる。また、顔料粒子として鱗片状パール雲母を使用した場合も同様に、正面から見たパール感と角度を変えて見たパール感との外観の差が少なく、しかもパール顔料が存在しない部分があることに起因する色抜け(透明、下地の色が見える)が低減され、塗膜全体におけるパール感の低下がない塗膜が得られる。
本発明の製造方法では、被塗装物として金属材料よりなるものを使うが、これは、従来技術との差異を明確にする目的がある。即ち、金属材料原体に適した静電粉体塗装において、従来の粉体塗料を用いれば塗膜意匠性が低下するおそれがあるが、本発明の粉体塗料によればその心配がないことに基づく。斯かる金属材料の種類は特に制限されないが、例えば、最も汎用性の高い鋼や合金鋼などの鉄系金属材料、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、スズ、銅、チタン、マグネシウム、真鍮などの非鉄金属材料や合金、更には亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板などのメッキ金属材料、クロム酸系もしくはリン酸塩系、チタン系、ジルコン系、有機金属塩系、その他のノンクロム系の化成処理を施した表面処理金属材料、陽極酸化処理、封孔処理などが施されたアルミニウム金属材料や合金などを例示することができる。
上記金属材料よりなる被塗装物は、塗装工程を経れば最終製品に到るものであってもよいが、最終製品の部品や製造中間体であってもよく、塗装を要するものであれば、その名称は問わない。また、「金属材料よりなる」とは、塗装面が主として金属材料により構成されていればよい意であって、表面の一部に樹脂など金属材料以外のものが存在していてもよく、また、表面以外の部分が金属材料以外により構成されていてもよい。
本発明の製造方法により形成される塗装膜厚は、焼付け後の膜厚で、通常、30〜250μmであり、好ましくは60〜150μmである。30μm未満の場合は、平滑性が低下し、ゴミブツが目立つなどの外観上の不具合が生じやすい。また、250μmを超える膜厚の場合、ワキの発生、静電反発による肌荒れなどが生じる場合がある。
粉体塗料の焼付条件は、金属材料の表面温度が130〜350℃、好ましくは140〜250℃の温度で、30秒〜60分間、好ましくは1〜50分間である。
また、金属材料の表面が鋳肌の場合、素材の凹凸により意匠性粉体塗料の仕上り外観が損なわれる場合には、このような素材の凹凸を隠蔽して優れた意匠性を確保したり、更なる高度な密着性(付着性)、耐食性を付与させる目的で、金属材料に脱脂、化成処理を施した後に、粉体塗料からなるプライマ層を形成する工程と、その層の上に前記意匠性粉体塗料を塗布する工程の組合わせを実施することが有用である。
また、上記した理由に限らず、例えば、過酷な条件で使用される金属部材の場合にも、プライマ層を形成することができる。その他、プライマ層として着色塗膜を形成した場合には、プライマ層の色相と、本発明の塗料粉末により形成された塗膜の色相とを違った色相とすることによって、メタリック感やパール感などの意匠性塗膜とは異なった立体感、深み感、模様などをもたせ、塗膜の意匠性を一層高めることも可能である。勿論、当該プライマ層を本発明に係る塗料粉末によって形成することもできる。
プライマ層を形成するためのプライマ組成物としては、従来から塗料分野で使用されているものを特に制限なく用いることができ、金属被塗装物の種類や塗装物の形状、用途、要求性能等に応じて、適宜選択して使用することができる。斯かるプライマ組成物を構成する樹脂の種類として、具体的には、例えば、エポキシ樹脂系プライマ、アクリル樹脂系プライマ、ポリエステル樹脂系プライマ、エポキシポリエステル樹脂系プライマなどが挙げられる。これらプライマ組成物は、熱硬化型、常温硬化型、ラッカー型のいずれのタイプであってもよい。また、プライマ組成物の形態は、有機溶剤系(固形分が40質量%以上のハイソリッド系も含む)、水性、粉体のいずれの形態であってもよい。
当該プライマ層を粉体塗料により形成する場合、プライマ用粉体塗料のベース塗料粉末としては、各種の熱硬化性樹脂を用いることができるが、本発明の塗料粉末によってその上に形成される塗膜のベース塗料粉末に用いた基体樹脂と同系列の樹脂を用いることが望ましい。同系列の樹脂を用いることによって、層間の密着性(付着性)の確保、及び異種塗料のダストによるハジキ、ヘコミなどの外観不良を避けることができるからである。例えば、ベース塗料粉末の塗膜形成樹脂がポリエステル樹脂の場合はポリエステル樹脂が、ベース塗料粉末の塗膜形成樹脂がアクリル樹脂の場合はアクリル樹脂が好適である。また、金属被塗装物に塗布することによって、耐腐食性を高めることができるものを使用することが好ましい。
より具体的には、ベース塗料粉末の塗膜形成樹脂がβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化型のポリエステル樹脂の場合は、プライマ層は、エポキシ硬化型のポリエステル樹脂からなるベース塗料粉末とする塗料粉末を用いることが好ましい。この様なエポキシ硬化型のポリエステル樹脂塗料粉末としては、例えば、関西ペイント製のエバクラッドNo.2100が挙げられ、塗膜性能や経済性からも好ましい。
また、ベース塗料粉末がβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化型のアクリル樹脂から構成されている場合は、プライマ層は、ドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂からなるベース塗料粉末とする塗料粉末を用いることが好ましい。この様なドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂塗料粉末としては、例えば、関西ペイント製のエバクラッドNo.5600DKが挙げられ、塗膜性能、意匠性の面から好ましい。
プライマ層を形成するための塗料には、着色顔料、体質顔料、防錆顔料などを適宜配合することができるが、顔料類を使用しない透明塗膜であってもよい。プライマ層用塗料の熱流動性が、その上に意匠性塗膜を形成するための本発明に係る粉体塗料よりも優れる場合、塗装製品の仕上り外観は更に向上する。
プライマ層の形成工程においては、粉体プライマを塗布した後に完全に硬化するほどに焼き付けてもよく、プレヒートにより粉体粒子が緩やかに熱融着している状態でもよく、また、全く加熱せずに粉体プライマを塗布した後、その上に本発明に係る粉体塗料を塗布し、同時に焼き付けることもできる。
プライマ層を焼き付けて完全硬化させる場合は、プライマ層の膜厚は、30〜250μm、好ましくは60〜150μmであり、焼付けは130〜350℃、好ましくは140〜250℃で30秒〜60分間(好ましくは、1〜50分間)保持すればよい。次に、プライマ層を上記熱融着状態とするか若しくは全く加熱せず、本発明の粉体塗料を塗布する場合は、各々が単独で塗布され焼き付けられる場合に比べて、それぞれの膜厚は40〜60%減少させることができる。異なった塗料の層が塗り重ねられて同時に加熱されると、意匠性粉体塗料の膜厚が単独で熱流動する場合に比べて必要な膜厚の40〜60%の薄膜であっても、熱流動性の良好なプライマ層と一体となって熱流動を起こすため、良好な平滑性、意匠性を得ることができる。
本発明の塗膜形成方法にあっては、本発明の粉体塗料による塗膜の上に、更にトップクリアー層を形成する工程を組み合わせることによって、更なる耐候性や、高い光沢を有する優れた仕上り外観と優れた耐擦り傷性や耐薬品性などの塗膜性能を得ることができる。このようなトップクリアー層の形成工程は、プライマ層の形成の有無を問わず、実施することができる。
当該トップクリアー層は、アクリル系クリヤー塗料により形成することが好ましい。この様なアクリル系クリヤー塗料としては、自動車ボデー、自動車部品などでトップコートとして通常用いられるアクリル系溶剤型クリヤー塗料(例えば、関西ペイント製のALC−100クリヤー)或いはアクリル系溶剤型ハイソリッドクリヤー(好適には、固形分が40質量%以上のもの)及び2液型のポリイソシアネート硬化型のアクリル型クリヤー塗料(例えば、関西ペイント製のスーパーダイヤモンドクリヤーQ)やアクリル系粉体塗料(例えば、関西ペイント製のエバクラッドNo.5600DK)を用いることができる。尚、関西ペイント製のアクリル系粉体塗料エバクラッドNo.5600DKは、プライマ層用塗料としても優れた性能を発揮し、各種金属材料に対する密着性(付着性)が良好であり、優れた耐食性を示す。
トップクリアー層を形成するために塗料として使用するアクリル系溶剤型クリヤー塗料に用いる塗膜形成樹脂は、メラミン硬化型の水酸基含有アクリル樹脂が一般的であり、通常スプレー塗装で塗布される。
トップクリアー層焼付けは、120〜160℃で10〜40分保持すればよい。乾燥後の膜厚は20〜50μmが好ましい。
トップクリアー層を2液型のポリイソシアネート硬化型の水酸基含有アクリル樹脂溶剤型クリヤーとする場合は、60〜80℃の低温硬化が可能である。この場合には、乾燥膜厚が20〜50μmになるようにスプレー塗装で塗布する。
ドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂粉体塗料(例えば、関西ペイント製、エバクラッドNo.5600DK)によりトップクリアー層を形成する場合は、プライマ層の形成も粉体塗料で行ない、全て粉体塗料で塗膜形成を行なうことが好ましい。有害な有機溶剤を含む揮発性有機物質の排出が皆無に近くなるため、人体や環境に悪影響を与えることなく塗膜形成を実施できるからである。その上、本発明の粉体塗料を含め、それぞれの塗料を回収して再利用が可能であるために、使用効率が高く、経済的効果が大きい。
上記製造方法により得られた塗装製品の種類は特に制限されず、例えば、自動車(車体、自動車部品(アルミニウムホイール、鉄ホイール、ステンレスホイール、マグネシウム合金ホイールなども含む。))、建材、容器(ガスボンベなど)、電車、船舶、車両、家電、事務機器などを含む。
以下に、上記特長を発揮するための本発明の実施形態及びその効果について説明する。
はじめに、本発明の製造方法で用いられる「ベース塗料粉末」について説明する。
本発明の「ベース塗料粉末」として使用される「塗料粉末」は、従来から粉体塗料として用いられるものであり、塗膜形成樹脂と、必要に応じて加えられる着色顔料や体質顔料及びその他の添加剤を含有する塗料用組成物を溶融混練後、粉砕し粉末化したものであって、公知方法により製造することができる。
当該塗料粉末に用いられる「塗膜形成樹脂」としては、従来から粉体塗料の塗膜形成樹脂として用いられている熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等を使用できるが、熱硬化性樹脂が一般的である。このような「熱硬化性樹脂」としては、例えば、(i)水酸基含有固形樹脂と、当該水酸基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤との組合せ、(ii)カルボキシル基含有固形樹脂と、当該カルボキシル基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤との組合せ、(iii)エポキシ基含有固形樹脂と、当該エポキシ基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤との組合せを挙げることができる。ここでいう樹脂の「固形」とは、常温で固形状のものであり、好ましくは軟化点が80〜200℃のものをいう。また、硬化剤は固形状のものであっても液状であっても構わないが、好ましくは固形状のものを使用する。
「水酸基含有固形樹脂」としては、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂など公知の粉体塗料で用いられている樹脂を使用できる。この水酸基含有固形樹脂と組み合わせて使用できる「水酸基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤」としては、例えば、ブロック化ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト樹脂など公知の粉体塗料で用いられている硬化剤を使用できる。
「カルボキシル基含有固形樹脂」としては、例えば、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂など公知の粉体塗料で用いられている樹脂を使用できる。このカルボキシル基含有固形樹脂と組み合わせて使用できる「カルボキシル基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤」としては、例えば、ビスフェノールA〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂などのエポキシ樹脂や、ヒドロキシアルキルアミド化合物など公知の粉体塗料で用いられている硬化剤を使用できる。
「エポキシ基含有固形樹脂」としては、例えば、ビスフェノールA〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂など公知の粉体塗料で用いられている樹脂を使用できる。このエポキシ基含有固形樹脂と組み合わせて使用できる「エポキシ基と熱により硬化反応する官能基を有する硬化剤」としては、例えば、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、有機酸ポリヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド化合物、ポリカルボン酸化合物、酸無水物など公知の粉体塗料で用いられている硬化剤を使用できる。
上記で例示した熱硬化性樹脂の中でも、塗膜性能(耐候性など)や仕上り性(意匠性、平滑性など)等に優れることから、次の組合せによるものが好適である。
(iv) 水酸基含有ポリエステル樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物との組合せ
ここで使用する水酸基含有ポリエステル樹脂としては、水酸基価:約20〜200KOHmg/g、好ましくは約25〜80KOHmg/g、軟化点:約50〜150℃、好ましくは約70〜140℃、平均重量分子量:約1000〜10000、好ましくは約2000〜5000のものが好ましい。当該水酸基含有ポリエステル樹脂として、具体的には、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸等の芳香族又は脂環族ジカルボン酸と、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチルプロピオン酸等の2価アルコール、必要に応じて安息香酸等のモノカルボン酸、(無水)トリメリット酸等の3価以上のカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールとを、上記した水酸基価の範囲になる様に適宜反応させて得られる樹脂を例示することができる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物を、フェノール類、ラクタム類、アルコール類、オキシム類等の化合物によって、イソシアネート基をブロック化したものを挙げることができる。特に、イソホロンジイソシアネートを、フリーのイソシアネート基が残らないようにε−カプロラクタム等のラクタム類ブロック化剤でブロックしたものが好ましい。
(v) カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とヒドロキシアルキルアミド化合物との組合せ
ここで使用するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂としては、樹脂酸価:20〜200KOHmg/g、好ましくは約25〜150KOHmg/g、軟化点:約50〜150℃、好ましくは約70〜140℃、平均重量分子量:約1000〜10000、好ましくは約2000〜5000のものが好ましい。当該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂として、具体的には、上記した芳香族又は脂環族ジカルボン酸と、上記した2価アルコール、必要に応じて安息香酸等のモノカルボン酸、(無水)トリメリット酸等の3価以上のカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールとを、上記した酸価の範囲になる様に適宜反応させて得られる樹脂を例示することができる。
(vi) カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との組合せ
ここで使用するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂としては、上記(v)と同様のものを挙げることができる。エポキシ樹脂としては、エポキシ当量:200〜3000、好ましくは300〜2000、軟化点:約20〜200℃、好ましくは約30〜150℃のものが好ましい。当該エポキシ樹脂として、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、アクリル型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂及び環式脂肪族エポキシ樹脂(シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基などを含有するエポキシ樹脂)などを挙げることができる。特に、硬化性の観点から、これらのうちビスフェノールA〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂が好ましく、具体的には、例えば、AER−6014(旭化成(株)製、商品名)、エピコート1004、エピコート1007(以上、油化シェルエポキシ(株)製、商品名)、アラルダイト6084、アラルダイト6097、アラルダイト6099(以上、チバ・ガイギー(株)製、商品名)、DER−664、DER−667(以上、ダウ・ケミカル(株)製、商品名)等を挙げることができる。
(vii) エポキシ基含有アクリル樹脂とポリカルボン酸化合物との組合せ
ここで使用するエポキシ基含有アクリル樹脂としては、エポキシ当量:200〜3000、好ましくは300〜2000、軟化点:約20〜200℃、好ましくは約30〜150℃のものが好ましい。当該エポキシ基含有アクリル樹脂として、具体的には、例えば、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和モノマー(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等)を必須モノマー成分とし、当該モノマーと、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等をラジカル共重合反応させて得られるエポキシ基含有アクリル樹脂を挙げることができる。
ポリカルボン酸化合物としては、例えば、ドデカンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
(viii) 水酸基含有アクリル樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物との組合せ
ここで使用する水酸基含有アクリル樹脂としては、水酸基価:約20〜200KOHmg/g、好ましくは約25〜80KOHmg/g、軟化点:約50〜150℃、好ましくは約70〜140℃、平均重量分子量:約1000〜100000、好ましくは約2000〜80000のものが好ましい。当該水酸基含有アクリル樹脂としては、上記したヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを必須モノマー成分として、当該水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー以外のモノマー(例えば、上記のエポキシ基含有アクリル樹脂の構成成分として記載のモノマー)をラジカル共重合反応させて得られるものを挙げることができる。ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、上記(iv)で例示したものを使用できる。
塗料粉末に用いられる「着色顔料」としては、例えば二酸化チタン、酸化鉄、弁柄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、アセトロン顔料、各種焼成顔料等の無機着色顔料または有機着色顔料を挙げることができる。また、塗料粉末に添加される「体質顔料」としては、例えば炭酸カルシウム、ガラス繊維、シリカ、タルク、硫酸バリウム、カオリン等を挙げることができる。更に必要に応じて、亜鉛粉末やトリポリリン酸二水素アルミニウム等の防錆顔料も使用できる。因みに、これら顔料は例示に過ぎず、上記記載には限定はされない。
「添加剤」としては、例えば表面調整剤、硬化促進剤、タレ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、染料等が挙げられ、必要に応じて使用することができる。
以上のような樹脂、必要に応じて添加される着色顔料、添加剤等を含有する塗料用組成物を調製し、これらを樹脂が溶融する温度で混練して均一化する。得られた塗料ペレットを粉砕し、分級して、平均粒径10〜100μm程度、好ましくは20〜60μmのベース塗料粉末を製造する。
本発明において「平均粒径」とは、一般的な粒度分布計によって分級後のベース塗料粉末或いは顔料粒子の粒度分布を測定し、得られた結果により求められる小粒径側からの積算値50%の粒度(D50)をいうものとする。斯かる粒度分布は、粒子に光を当てることにより生じる回折や散乱の強度パターンによって測定することができる。これは、当該強度パターンが、粒子の大きさに依存することによる。ここで用いられる粒度分布計としては、例えば、日機装社製のマイクロトラック9220FRAやマイクロトラックHRA、ベックマンコールター社製のCOULTER MURTISIZERなどを挙げることができる。その測定方法の例を具体的に説明すると、容器に水30mlを入れ、更に中性洗剤を0.01〜0.1g加えて攪拌した後、測定試料を0.01〜0.2g入れ、攪拌しながら2分間超音波をかけて分散させ、これを上記粒度分布計により測定すればよい。
次に、本発明で用いられる「顔料粒子」について説明する。
本発明の「顔料粒子」として用いられる「顔料」は、主として「光輝性顔料」、「蓄光顔料」および「着色顔料」である。これらのうち「光輝性顔料」は、受けた光を反射して塗膜にメタリック感やパール感(光干渉性模様)等の意匠性を与えるものであれば特に限定はされないが、好ましいものとしては、例えばアルミニウム粉等の金属粉、ステンレス鋼フレーク等の金属フレーク、雲母、マイカシャスアイアンオキサイド(MIO、鱗片状酸化鉄)、ガラスフレーク及びパール雲母等のパール顔料よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。ここで、各光輝性顔料については、樹脂コーティングアルミニウム粉、シリカコーティングアルミニウム粉、フッ素化合物コーティングアルミニウム粉、チタンコーティング雲母、ハステロイドコーティングガラスフレーク等、これらをコーティングしたものも含まれる。
「蓄光顔料」は、光や紫外線等を吸収して、熱を伴わずに発光する性質を有する顔料をいう。この様な「蓄光顔料」としては、例えば、硫化亜鉛、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸バリウム、アルミン酸マグネシウム等を挙げることができ、更に活性化剤としてユーロピウム、デスプロシウム、ネオジウム等を配合したものでもよい。本発明では、これらから選択した1種または2種以上の組合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
「着色顔料」とは、塗膜に色相や意匠性を付与することを主目的とする顔料である。この「着色顔料」は、既に「ベース塗料粉末」に含まれている場合が多いが、それとは別に「ベース塗料粉末」の表面へシェラックを介して結合させることにより、単一の着色顔料を配合した場合よりも更に意匠性が向上することがある。この様な「着色顔料」としては前述したものと同様のもの或いはこれら2種以上の組合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に使用される「シェラック」とは、カイガラムシ(主にラックカイガラムシ)を豆科植物(ビルマネム、アメリカネム、カッチ、オオバマメノキ、キマメ、アラビアゴムモドキ等)や桑科植物(アコウ、インドボダイジュ等)に寄生させ、虫体からの分泌物を精製した天然の熱硬化性樹脂をいう。このシェラックは、常温で低級アルコール(主に1価のC1−C4アルコール)に対して溶解性を示し、且つ一旦熱硬化すると、温アルカリ水を除く水系溶媒や主だった有機溶媒、また低級アルコールにさえも難溶性を示すようになることから、塗料成分として極めて優れている。
斯かる「シェラック」としては、漂白処理された白シェラックやワックス分を除去した脱蝋シェラックなどが市販されているが、本発明ではこれらを特に制限なく使用することができる。また、シェラックの化学構造は完全に解明されているわけではないが、少なくとも下記アリュリチン酸とシュロール酸およびその誘導体を構成成分とするポリエステルが主成分であり、これら構造中に存在する水酸基が、本発明に係る粉体塗料において好ましい特性を発揮する理由であると推定される。その他、ブトール酸やパルミチン酸、ミリスチン酸などの存在が確認されている。従って、本発明の「シェラック」には、天然由来のシェラックのみならず、上記推定構造を基に合成された化学合成樹脂であって、上記と同様の作用効果を示すものも含まれる。
「シェラック」の粉体塗料全体に占める割合は、0.01〜1質量%が好ましい。0.01質量%未満であると顔料粒子がベース塗料粉末に均一結合し難くなるからであり、1質量%を超えると塗面の平滑性に悪影響を与える場合があるからである。
「ベース塗料粉末」の平均粒径は、10〜100μmが好ましい。10μm未満であると安息角が大きくなり流動性が悪くなるために塗装作業性が低下する場合があり、100μmを超えると実際の塗装時に塗料の脱落等が生じ、塗着効率が低下することがあるからである。ここで「安息角」とは、円形のテーブル上に粉体塗料を流下させたときに堆積する山の稜線の角度をいい、例えば、パウダーテスター(商品名、ホソカワミクロン(株)製)により測定することができる。
また、「顔料粒子」の平均粒径は、一般的には100μm以下が好ましい。100μmを超えるとベース塗料粉末へ均一に結合し難くなって脱落する顔料粒子が増加し、塗面の意匠性を低下させることがあるからである。
更に、顔料粒子として光輝性顔料を使用する場合には、平均粒径を2μm以上、100μm以下にすることが好ましく、更に好ましくは3μm以上、80μm以下とする。また好適な厚さは、0.01μm以上、10μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以上、6μm以下とする。更に具体的には、アルミニウムフレークの場合は、平均粒径を2μm以上、50μm以下とし、厚さを0.2μm以上、5μm以下にすることが好ましく、パール顔料の場合は、平均粒径を5μm以上、70μm以下、厚さを0.2μm以上、5μm以下にすることが好ましい。
また、顔料粒子として無機着色顔料を用いる場合には、平均粒径を0.01μm以上、5.0μm以下、有機着色顔料では、平均粒径を0.01μm以上、1.0μm以下が好ましい。蓄光性顔料の場合は、平均粒径として1μm以上、100μm以下が好ましく、特に5μm以上、50μm以下が好ましい。
「顔料粒子」の粉体塗料全体に占める割合は、0.1〜50質量%が好ましい。0.1質量%未満では、塗料に含まれる顔料粒子の量が不十分となり塗膜の意匠性に乏しくなる場合があるからである。一方、50質量%を超えると、ベース塗料粉末に対する顔料粒子の量が多くなり過ぎることにより、ベース塗料粉末に結合できず単独で存在する顔料粒子が増加し、単にドライブレンドを行っただけのものに近くなって意匠性が低減するおそれがあるからである。当該含有量としては、0.5質量%部以上、40質量%以下が更に好ましい。
本発明の粉体塗料は、必要や目的に応じて更に添加剤を含むものであってもよい。その様な添加剤としては、例えば、シリカ粒子や酸化アルミニウム等の塗料流動性を向上するための添加剤等を挙げることができる。また、その他の不可避的な混入物を含むものであっても、本発明の範囲内であるものとする。
本発明の粉体塗料を製造するに当たっては、少なくとも「ベース塗料粉末と顔料粒子を混合する工程」、「シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を該混合物に混合する工程」、及び「乾燥する工程」をこの順番で実施することが必要である。
即ち、本発明の粉体塗料を製造するには、先ず塗料構成成分、特にベース塗料粉末と顔料粒子とを十分に混合する必要がある。当該混合が不十分であると、ベース塗料粉末或いは顔料粒子の偏在が生じ、ベース塗料粉末同士または顔料粒子同士が結合する割合が高くなるため、意匠性の高い塗膜が得られ難くなるからである。
混合方法は、塗料構成成分を十分に混合し得るものであれば特に限定はされないが、機械攪拌型混合機や気流攪拌型混合機を使用して行なうのが一般的である。
「機械攪拌型混合機」としては、例えば上軸駆動式機械攪拌型混合機を挙げることができる。上軸駆動式機械攪拌型混合機は、図1に示すように、逆円錐形の容器1内に設けられている攪拌機2を駆動するモータ3が容器上部に取り付けられており、下部に混合作業を終了した塗料を排出するための排出口4が設けられている。2aは、攪拌軸に取り付けられた攪拌羽根である。
「機械攪拌型混合機」を用いた混合条件としては、ベース塗料粉末と顔料粒子等の構成成分を均一に混合することができ、且つ顔料粒子を損傷させない条件が採用される。特に「顔料粒子」として光輝性顔料を配合する場合、光輝性顔料が損傷すると光輝性、ひいては意匠性が低減するからである。このような条件を満たす攪拌混合機の回転速度としては、周速3〜6m/sが好ましい。これより回転速度が遅い場合には十分な均一混合を行なうことが困難であり、逆に回転速度が速いと顔料粒子が羽根のせん断力により破壊され易くなるからである。
上軸駆動式機械攪拌型混合機を用いて周速3〜6m/sで混合する場合、容器1の底面付近(図1中、「d」で示す部分)がデッドスペースとなり、特に比重の重い光輝性顔料が均一に分散されないおそれがある。よって、より均一に混合するためには、容器1の底面と攪拌軸との間のスペースにエアーを流入しつつ攪拌することが好ましい。
「気流攪拌型混合機」の模式図を図2に示す。図2中、チャンバー6内に存在するベース塗料粉末等の構成成分は、気流発生装置7から気流発生孔9を通して発生した気流bにより、チャンバー6内に均一分散、混合される。斯かる気流攪拌型混合機は、顔料粒子等を損傷することがないため、意匠性保持の点で優れている。
本発明に係る粉体塗料の製造方法では、ベース塗料粉末と顔料粒子とを均一に混合した後、これらベース塗料粉末と顔料粒子に、シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を均一に混合させる。
ここで使用される「有機溶媒」は、シェラックを溶解できるものであり且つ粉体塗料に含まれる樹脂を溶解し難いものであれば特に制限されないが、例えばメタノール、エタノーノ、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等から選択される1価アルコールの1種または2種以上の混合溶媒を主成分とするものを挙げることができる。また、上記1価アルコールの他に、エチレングリコール等の多価アルコール類;酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類を含有するものであってもよい。
本発明では、シェラックを上記有機溶媒に溶解したものを「液状結合補助剤」として添加するが、その液滴が微小であるほど、意匠性の高い塗料を得ることができる。即ち、本発明者らにより初めて明らかにされたことであるが、液状結合補助剤の液滴が約1mm以下であれば、その理由は明らかでないがベース塗料粉末同士或いは顔料粒子同士の結合が起こり難くなり、ベース塗料粉末と顔料粒子とをより均一に結合させることが可能となる。また、塗料保存中における構成成分のブロッキングも起こり難くなる。ここで「ブロッキング」とは、塗料粉末同士が融着することによって、米粒状の塊を生じたり容器の形のまま固化し、僅かな力では元の塗料粉末にもどすことができないことをいう。こうした効果は、液滴が細かくなる程高くなるので、当該液滴は100μm以下が好ましく、更には50μm以下であることが好ましい。また、液滴を細かくすることには、ベース塗料粉末と顔料粒子との混合物へ液状結合補助剤を均一に混合し易くなるという効果もある。
この「液状結合補助剤」が発揮する作用効果によって、ベース塗料粉末と顔料粒子との結合は確固たるものとなり、塗装作業等において両者が分離するという問題がなくなる。
「液状結合補助剤」は、ベース塗料粉末と顔料粒子に均一に付着することが必要である。付着が不均一であるとベース塗料粉末と顔料粒子との結合に偏りが生じ、塗膜の意匠性に悪影響を及ぼすからである。斯かる均一付着を達成するためには、液状結合補助剤の添加を滴下またはスプレーで行なうことが好ましく、より好適にはスプレーで行なう。スプレーによる方が、液状結合補助剤の均一付着を容易に達成できるからである。
構成成分の混合を機械攪拌型混合機により行なう場合には、結合補助剤の添加は、滴下でもスプレーによっても行なうことができる。例えば、図1中、構成成分を混合しつつ、液状結合補助剤放出部5から液状結合補助剤を滴下またはスプレーすることにより、液状結合補助剤を均一に混合することが可能となる。尚、図1中、液状結合補助剤放出部5は一つしか示していないが、液状結合補助剤をより均一に添加するために複数設けてもよい。
一方、気流攪拌型混合機を使用する場合は、スプレーにより添加することが好ましい。即ち、図2中、チャンバー6内に均一に分散している構成成分に、結合補助剤放出部8から結合補助剤cをスプレーすれば、構成成分中に満遍なく結合補助剤を混合させることができる。また、機械攪拌型混合機と同様に、結合補助剤放出部8を複数設けてもよい。
「液状結合補助剤」の添加量は、粉体塗料全体からシェラック分を除いた質量、即ち「ベース塗料粉末」、「顔料粒子」、「その他添加物」の合計量に対して1〜100質量%が好適である。1質量%未満であるとベース塗料粉末と顔料粒子との十分な結合力が得られないことがあり、100質量%を超えると添加時間や乾燥に要する時間が長くなって生産性が悪くなる場合があるからである。尚、液状結合補助剤のシェラック濃度は、粉体塗料に含ませるシェラックの量と上記液状結合補助剤の添加量から計算して、好ましいものを採用すればよい。
本発明に係る粉体塗料の製造方法は、乾燥工程を含む。当該乾燥工程は、液状結合補助剤中の有機溶剤を揮発させる等により、ベース塗料粉末と顔料粒子との結合を確固たるものにするため行なわれる。
斯かる乾燥の手段は、特に限定はされないが、例えば空気の供給を挙げることができ、製造作業効率を考慮すれば、当該空気としては加熱空気を用いることが好ましい。当該空気の温度は適宜決定すればよいが、少なくとも粉体塗料樹脂成分の軟化点未満であることが必要である。軟化点以上になると樹脂が軟化し、粉体粒子のブロッキングが生じるからである。ここで、本発明における「軟化点」は、例えば環球式自動軟化点試験器(明峰社製作所社製)を用い、グリセリンの加熱浴で3℃/分の昇温速度で昇温し、試料が軟化して球が落下した時の温度(℃)として測定することができる。
斯かる乾燥空気の温度としては、一般的に20〜120℃を採用でき、更に好適には40〜100℃である。また、空気の供給時期も適宜決定すればよいが、例えば結合補助剤の添加後に加熱空気を供給し次いで冷却してもよく、結合補助剤を添加しつつ加熱空気を供給し次いで冷却してもよい。
斯かる空気の供給は、混合機として機械攪拌型混合機を採用した場合には、ベース塗料粉末と顔料粒子とを均一混合するために行なう態様と同様に、図1中、容器1の底面と攪拌軸との間のスペースに空気を吹き込むことにより行なうことができる。
混合機として気流攪拌型混合機を採用した場合は、気流がそのまま乾燥作用を有し、また気流として加熱空気を供給することにより、乾燥効率を高めることができる。
以上のようにして製造される粉体塗料は、静電塗装法、流動浸漬法、吹き付け法、インモールド等で被塗装体に塗布することができ、熱風炉、赤外炉、誘導加熱炉等で焼き付けることにより、硬化塗膜を形成することができる。本発明に係る粉体塗料では、ベース塗料粉末と顔料粒子が強く結合しているため、静電塗装法による塗装の際にもこれら構成成分が分離して、塗装機、特に塗装機先端部分に付着することがなく、安定に塗装作業を行なうことができる。
本発明に係る塗装製品の製造方法では、上記記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装する工程を含む。本製造方法では、ベース塗料粉体と顔料粒子が分離し難く、特に顔料粒子としてメタリック金属顔料を使用した場合に、粉体塗料に配合された燐片状金属フレークなどのメタリック金属顔料が塗膜中に配向されることによって、正面から見たメタリック感と、角度を変えて見たメタリック感との外観の差が少なく、しかもメタリック金属顔料が存在しないことに原因する黒点が低減され、くすみの少ない意匠性に優れた塗膜を得ることができる。また、顔料粒子として鱗片状パール雲母を使用した場合も同様に、正面から見たパール感と角度を変えて見たパール感との外観の差が少なく、しかもパール顔料が存在しない部分があることに起因する色抜け(透明、下地の色が見える)が低減され、塗膜全体におけるパール感の低下がない塗膜が得られる。
本発明の製造方法では、被塗装物として金属材料よりなるものを使うが、これは、従来技術との差異を明確にする目的がある。即ち、金属材料原体に適した静電粉体塗装において、従来の粉体塗料を用いれば塗膜意匠性が低下するおそれがあるが、本発明の粉体塗料によればその心配がないことに基づく。斯かる金属材料の種類は特に制限されないが、例えば、最も汎用性の高い鋼や合金鋼などの鉄系金属材料、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、スズ、銅、チタン、マグネシウム、真鍮などの非鉄金属材料や合金、更には亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板などのメッキ金属材料、クロム酸系もしくはリン酸塩系、チタン系、ジルコン系、有機金属塩系、その他のノンクロム系の化成処理を施した表面処理金属材料、陽極酸化処理、封孔処理などが施されたアルミニウム金属材料や合金などを例示することができる。
上記金属材料よりなる被塗装物は、塗装工程を経れば最終製品に到るものであってもよいが、最終製品の部品や製造中間体であってもよく、塗装を要するものであれば、その名称は問わない。また、「金属材料よりなる」とは、塗装面が主として金属材料により構成されていればよい意であって、表面の一部に樹脂など金属材料以外のものが存在していてもよく、また、表面以外の部分が金属材料以外により構成されていてもよい。
本発明の製造方法により形成される塗装膜厚は、焼付け後の膜厚で、通常、30〜250μmであり、好ましくは60〜150μmである。30μm未満の場合は、平滑性が低下し、ゴミブツが目立つなどの外観上の不具合が生じやすい。また、250μmを超える膜厚の場合、ワキの発生、静電反発による肌荒れなどが生じる場合がある。
粉体塗料の焼付条件は、金属材料の表面温度が130〜350℃、好ましくは140〜250℃の温度で、30秒〜60分間、好ましくは1〜50分間である。
また、金属材料の表面が鋳肌の場合、素材の凹凸により意匠性粉体塗料の仕上り外観が損なわれる場合には、このような素材の凹凸を隠蔽して優れた意匠性を確保したり、更なる高度な密着性(付着性)、耐食性を付与させる目的で、金属材料に脱脂、化成処理を施した後に、粉体塗料からなるプライマ層を形成する工程と、その層の上に前記意匠性粉体塗料を塗布する工程の組合わせを実施することが有用である。
また、上記した理由に限らず、例えば、過酷な条件で使用される金属部材の場合にも、プライマ層を形成することができる。その他、プライマ層として着色塗膜を形成した場合には、プライマ層の色相と、本発明の塗料粉末により形成された塗膜の色相とを違った色相とすることによって、メタリック感やパール感などの意匠性塗膜とは異なった立体感、深み感、模様などをもたせ、塗膜の意匠性を一層高めることも可能である。勿論、当該プライマ層を本発明に係る塗料粉末によって形成することもできる。
プライマ層を形成するためのプライマ組成物としては、従来から塗料分野で使用されているものを特に制限なく用いることができ、金属被塗装物の種類や塗装物の形状、用途、要求性能等に応じて、適宜選択して使用することができる。斯かるプライマ組成物を構成する樹脂の種類として、具体的には、例えば、エポキシ樹脂系プライマ、アクリル樹脂系プライマ、ポリエステル樹脂系プライマ、エポキシポリエステル樹脂系プライマなどが挙げられる。これらプライマ組成物は、熱硬化型、常温硬化型、ラッカー型のいずれのタイプであってもよい。また、プライマ組成物の形態は、有機溶剤系(固形分が40質量%以上のハイソリッド系も含む)、水性、粉体のいずれの形態であってもよい。
当該プライマ層を粉体塗料により形成する場合、プライマ用粉体塗料のベース塗料粉末としては、各種の熱硬化性樹脂を用いることができるが、本発明の塗料粉末によってその上に形成される塗膜のベース塗料粉末に用いた基体樹脂と同系列の樹脂を用いることが望ましい。同系列の樹脂を用いることによって、層間の密着性(付着性)の確保、及び異種塗料のダストによるハジキ、ヘコミなどの外観不良を避けることができるからである。例えば、ベース塗料粉末の塗膜形成樹脂がポリエステル樹脂の場合はポリエステル樹脂が、ベース塗料粉末の塗膜形成樹脂がアクリル樹脂の場合はアクリル樹脂が好適である。また、金属被塗装物に塗布することによって、耐腐食性を高めることができるものを使用することが好ましい。
より具体的には、ベース塗料粉末の塗膜形成樹脂がβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化型のポリエステル樹脂の場合は、プライマ層は、エポキシ硬化型のポリエステル樹脂からなるベース塗料粉末とする塗料粉末を用いることが好ましい。この様なエポキシ硬化型のポリエステル樹脂塗料粉末としては、例えば、関西ペイント製のエバクラッドNo.2100が挙げられ、塗膜性能や経済性からも好ましい。
また、ベース塗料粉末がβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化型のアクリル樹脂から構成されている場合は、プライマ層は、ドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂からなるベース塗料粉末とする塗料粉末を用いることが好ましい。この様なドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂塗料粉末としては、例えば、関西ペイント製のエバクラッドNo.5600DKが挙げられ、塗膜性能、意匠性の面から好ましい。
プライマ層を形成するための塗料には、着色顔料、体質顔料、防錆顔料などを適宜配合することができるが、顔料類を使用しない透明塗膜であってもよい。プライマ層用塗料の熱流動性が、その上に意匠性塗膜を形成するための本発明に係る粉体塗料よりも優れる場合、塗装製品の仕上り外観は更に向上する。
プライマ層の形成工程においては、粉体プライマを塗布した後に完全に硬化するほどに焼き付けてもよく、プレヒートにより粉体粒子が緩やかに熱融着している状態でもよく、また、全く加熱せずに粉体プライマを塗布した後、その上に本発明に係る粉体塗料を塗布し、同時に焼き付けることもできる。
プライマ層を焼き付けて完全硬化させる場合は、プライマ層の膜厚は、30〜250μm、好ましくは60〜150μmであり、焼付けは130〜350℃、好ましくは140〜250℃で30秒〜60分間(好ましくは、1〜50分間)保持すればよい。次に、プライマ層を上記熱融着状態とするか若しくは全く加熱せず、本発明の粉体塗料を塗布する場合は、各々が単独で塗布され焼き付けられる場合に比べて、それぞれの膜厚は40〜60%減少させることができる。異なった塗料の層が塗り重ねられて同時に加熱されると、意匠性粉体塗料の膜厚が単独で熱流動する場合に比べて必要な膜厚の40〜60%の薄膜であっても、熱流動性の良好なプライマ層と一体となって熱流動を起こすため、良好な平滑性、意匠性を得ることができる。
本発明の塗膜形成方法にあっては、本発明の粉体塗料による塗膜の上に、更にトップクリアー層を形成する工程を組み合わせることによって、更なる耐候性や、高い光沢を有する優れた仕上り外観と優れた耐擦り傷性や耐薬品性などの塗膜性能を得ることができる。このようなトップクリアー層の形成工程は、プライマ層の形成の有無を問わず、実施することができる。
当該トップクリアー層は、アクリル系クリヤー塗料により形成することが好ましい。この様なアクリル系クリヤー塗料としては、自動車ボデー、自動車部品などでトップコートとして通常用いられるアクリル系溶剤型クリヤー塗料(例えば、関西ペイント製のALC−100クリヤー)或いはアクリル系溶剤型ハイソリッドクリヤー(好適には、固形分が40質量%以上のもの)及び2液型のポリイソシアネート硬化型のアクリル型クリヤー塗料(例えば、関西ペイント製のスーパーダイヤモンドクリヤーQ)やアクリル系粉体塗料(例えば、関西ペイント製のエバクラッドNo.5600DK)を用いることができる。尚、関西ペイント製のアクリル系粉体塗料エバクラッドNo.5600DKは、プライマ層用塗料としても優れた性能を発揮し、各種金属材料に対する密着性(付着性)が良好であり、優れた耐食性を示す。
トップクリアー層を形成するために塗料として使用するアクリル系溶剤型クリヤー塗料に用いる塗膜形成樹脂は、メラミン硬化型の水酸基含有アクリル樹脂が一般的であり、通常スプレー塗装で塗布される。
トップクリアー層焼付けは、120〜160℃で10〜40分保持すればよい。乾燥後の膜厚は20〜50μmが好ましい。
トップクリアー層を2液型のポリイソシアネート硬化型の水酸基含有アクリル樹脂溶剤型クリヤーとする場合は、60〜80℃の低温硬化が可能である。この場合には、乾燥膜厚が20〜50μmになるようにスプレー塗装で塗布する。
ドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂粉体塗料(例えば、関西ペイント製、エバクラッドNo.5600DK)によりトップクリアー層を形成する場合は、プライマ層の形成も粉体塗料で行ない、全て粉体塗料で塗膜形成を行なうことが好ましい。有害な有機溶剤を含む揮発性有機物質の排出が皆無に近くなるため、人体や環境に悪影響を与えることなく塗膜形成を実施できるからである。その上、本発明の粉体塗料を含め、それぞれの塗料を回収して再利用が可能であるために、使用効率が高く、経済的効果が大きい。
上記製造方法により得られた塗装製品の種類は特に制限されず、例えば、自動車(車体、自動車部品(アルミニウムホイール、鉄ホイール、ステンレスホイール、マグネシウム合金ホイールなども含む。))、建材、容器(ガスボンベなど)、電車、船舶、車両、家電、事務機器などを含む。
図1 上軸駆動式機械攪拌型混合機の模式図
図2 気流攪拌型混合機の模式図
図3 本発明の製造方法により製造した粉体塗料による塗料粒子の拡大写真
図4 ドライブレンド法(従来法)により製造した粉体塗料による塗料粒子の拡大写真
図5 本発明の製造方法により製造した粉体塗料による塗膜の拡大写真
図6 ドライブレンド法(従来法)により製造した粉体塗料による塗膜の拡大写真
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
製造例1 ベース塗料粉末の製造
表1に示す各化合物を表1に示す量(それぞれの相対量として示す)を配合し、表1に示す溶融混練温度(℃)で溶融混練して、ペレット状の粉体塗料用組成物A、B、C、D、Eを調製した。
表1中、熱硬化性ポリエステル樹脂1としては、大日本インキ化学工業社製の「ファインディックM−8050(商品名)」(水酸基価49mgKOH/g)を用いた。ポリイソシアネート化合物としては、Huls社製の「B−1530(商品名)」(イソホロンジイソシアネート(IPDI)ε−カプロラクタムブロックのポリイソシアネート化合物)を用いた。
熱硬化性ポリエステル樹脂2としては、大日本インキ化学工業社製の「ファインディックM−8961(商品名)」(酸価33mgKOH/g)を用いた。ヒドロキシアルキルアミドとしては、EMS社製の「XL−552(商品名)」(β−ヒドロキシエチルアジパミド、水酸基当量84)を用いた。
熱硬化性ポリエステル樹脂3としては、日本ユピカ社製の「ユピカコートGV−230(商品名)」(酸価53mgKOH/g)を用いた。
エポキシ樹脂としては、旭化成社製のエポキシ樹脂「AER−6014(商品名)」(エポキシ当量980)を用いた。
熱硬化性アクリル樹脂としては、三井東圧化学社製の「アルマテックスPD3413(商品名)」(エポキシ当量470)を用いた。
二酸化チタンとしては、テイカ社製の「チタニックスJR−605(商品名)」を用いた。
粉体塗料用組成物A、B、C、Eのペレットを粉砕した後、それぞれ84μmの篩を用いて分級し、平均粒径43μmのベース塗料粉末A、B、C、Eを得た。また、粉体塗料用組成物Dのペレットを粉砕した後、74μmの篩を用いて分級し、平均粒径35μmのベース塗料粉末Dを得た。
製造例2 液状結合補助剤の製造
表2に示す量(それぞれの相対量として示す)を配合してディスパーで攪拌し、液状結合補助剤a、b、c、d、e、fを調製した。
表2中、シェラックとしては、日本シェラック工業社製の「乾燥透明白ラック(商品名)」を用いた。
図2 気流攪拌型混合機の模式図
図3 本発明の製造方法により製造した粉体塗料による塗料粒子の拡大写真
図4 ドライブレンド法(従来法)により製造した粉体塗料による塗料粒子の拡大写真
図5 本発明の製造方法により製造した粉体塗料による塗膜の拡大写真
図6 ドライブレンド法(従来法)により製造した粉体塗料による塗膜の拡大写真
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
製造例1 ベース塗料粉末の製造
表1に示す各化合物を表1に示す量(それぞれの相対量として示す)を配合し、表1に示す溶融混練温度(℃)で溶融混練して、ペレット状の粉体塗料用組成物A、B、C、D、Eを調製した。
表1中、熱硬化性ポリエステル樹脂1としては、大日本インキ化学工業社製の「ファインディックM−8050(商品名)」(水酸基価49mgKOH/g)を用いた。ポリイソシアネート化合物としては、Huls社製の「B−1530(商品名)」(イソホロンジイソシアネート(IPDI)ε−カプロラクタムブロックのポリイソシアネート化合物)を用いた。
熱硬化性ポリエステル樹脂2としては、大日本インキ化学工業社製の「ファインディックM−8961(商品名)」(酸価33mgKOH/g)を用いた。ヒドロキシアルキルアミドとしては、EMS社製の「XL−552(商品名)」(β−ヒドロキシエチルアジパミド、水酸基当量84)を用いた。
熱硬化性ポリエステル樹脂3としては、日本ユピカ社製の「ユピカコートGV−230(商品名)」(酸価53mgKOH/g)を用いた。
エポキシ樹脂としては、旭化成社製のエポキシ樹脂「AER−6014(商品名)」(エポキシ当量980)を用いた。
熱硬化性アクリル樹脂としては、三井東圧化学社製の「アルマテックスPD3413(商品名)」(エポキシ当量470)を用いた。
二酸化チタンとしては、テイカ社製の「チタニックスJR−605(商品名)」を用いた。
粉体塗料用組成物A、B、C、Eのペレットを粉砕した後、それぞれ84μmの篩を用いて分級し、平均粒径43μmのベース塗料粉末A、B、C、Eを得た。また、粉体塗料用組成物Dのペレットを粉砕した後、74μmの篩を用いて分級し、平均粒径35μmのベース塗料粉末Dを得た。
製造例2 液状結合補助剤の製造
表2に示す量(それぞれの相対量として示す)を配合してディスパーで攪拌し、液状結合補助剤a、b、c、d、e、fを調製した。
表2中、シェラックとしては、日本シェラック工業社製の「乾燥透明白ラック(商品名)」を用いた。
製造例1で得たA〜Eの各ベース塗料粉末に、顔料粒子として平均粒径約18μmのアルミニウム顔料(東洋アルミニウム社製の「PCF−7670A」(商品名))、平均粒径約60μmのパール顔料(メルクジャパン社製「イリオジン103WNT」(商品名))、平均粒径約60μmのステンレス鋼フレーク(東洋アルミニウム社製「ステンレスペースト01−1204」(商品名))、平均粒径約10μmの蓄光顔料(根本特殊化学社製の「G−300F](商品名))、または平均粒径約24nmのカーボンブラック(三菱化学社製の「カーボンブラックMA−100」(商品名))を添加し、気流攪拌型混合機としてホソカワミクロン社製のアグロマスタ(商品名)を用いて攪拌混合しながら製造例2で得た液状結合補助剤a、b、c、d、eまたはfを更にスプレーにより添加し、80℃の熱風を供給し乾燥して、表3に示す粉体塗料No.1〜14を製造した。
また、比較例として表3中No.15、16の配合でドライブレンド法により粉体塗料を製造した。即ち、攪拌型混合機として上記と同様にホソカワミクロン社製のアグロマスタ(商品名)を用いたが、液状結合補助剤は添加せず、ベース塗料粉末とアルミニウム顔料を常温の空気を供給し単純に攪拌混合して粉体塗料を製造した。
また、比較例として表3中No.15、16の配合でドライブレンド法により粉体塗料を製造した。即ち、攪拌型混合機として上記と同様にホソカワミクロン社製のアグロマスタ(商品名)を用いたが、液状結合補助剤は添加せず、ベース塗料粉末とアルミニウム顔料を常温の空気を供給し単純に攪拌混合して粉体塗料を製造した。
リン酸亜鉛(「PB−3118M](商品名)、日本パーカーライジング社製)で化成処理した0.8×70×150mmのSPCC鋼板に静電粉体塗装機GX108((商品名)、日本パーカーライジング社製)を用いて、下記条件で塗装した。
印加電圧 −70kv
メインエアー圧 0.6kgf/cm2
パターンエアー圧 1.0kgf/cm2
ガン−被塗物間距離 200mm
膜厚 60〜80μm
試験例1 塗装作業性
連続塗装した時の塗料の吐出状態を目視観察した。スピットの発生がなく連続塗装が可能な場合を「○」、頻繁にスピットが発生する場合を「×」、ややスピットが発生する場合を「△」とした。
試験例2 塗膜性状
(I) 平滑性
得られた塗膜の平滑性を目視にて観察し、極めて平滑性に優れる場合を「◎」、平滑と判断できる場合を「○」、平滑性に欠けると判断される場合を「×」とした。
(II) 分散性
得られた塗膜を目視観察し、添加した顔料が塗膜に偏在している度合いを評価し、均一に顔料が分布している場合を「○」、顔料が偏在している場合を「×」、顔料がやや偏在している場合を「△」とした。
試験例3 塗膜性能
(III) 付着性
カッターナイフを使用して素地に達するように塗膜をクロスカットし、大きさ1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その表面に粘着テープを貼付し、23℃でそのテープを急激に剥離した。このときの塗膜の剥離状況を観察し、剥離していない残存塗膜数を計測し、残存塗膜数が100個の場合を「○」とした。
(IV) 耐水性
40℃の温水に240時間浸漬し、引上げ直後の塗膜を目視で観察し、フクレや艷引け、その他の異常がない場合を「○」とした。次いで、温度23℃、相対湿度50%で2時間乾燥してから、前記付着性試験と同様に付着性を評価した。
試験例4 回収再利用性
上記塗装作業性(試験例1)、塗膜性状(試験例2)および塗膜性能(試験例3)の評価の際、被塗物に付着しなかった塗料を回収・再使用し、得られた塗膜の分散性を目視観察し、本来の塗膜と比較して同等である場合を「○」、顔料が偏在している場合を「×」とした。
試験例5 光輝性
目視観察により、塗膜の光輝感(メタリック感)や光輝ムラ(光輝性顔料の偏在)を評価し、光輝感が良好で、ムラがない場合を「○」とし、ややムラがあり、光輝感が低い場合を「△」とし、塗膜全面にムラがあって、光輝感が殆どない場合を「×」とした。
試験例6 耐アルカリ性
塗膜上に、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を0.5ml滴下し、50℃で3時間放置した後、塗膜を流水で洗浄し、相対湿度50%で2時間乾燥してから液滴をのせた箇所を目視観察した。全く異常の認められない場合を「◎」、かすかに液滴跡がわかるが実用上全く問題のない場合を「○」とし、やや黒変している場合を「△」、明らかに黒変が認められるものを「×」とした。
結果1 粉体塗料粒子について
図3は本発明に係る粉体塗料粒子(No.1)の拡大写真であり、図4はドライブレンド法により製造した粉体塗料粒子(No.15)の拡大写真である。
図3では、光輝性顔料がベース塗料粉末の表面へ結合している様子が観察できる。
図4によれば、光輝性顔料がベース塗料粉末の上にのってはいるものの結合しておらず、顔料粒子がベース塗料粉末から脱落し単独で存在していることが判る。これでは塗装の際に塗料成分の偏析が生じ、意匠性に優れた塗膜が得られないばかりでなく、顔料粒子とベース塗料粉末が容易に分離するため塗料の回収再利用ができないことが想定される。
一方、本発明の粉体塗料では顔料粒子とベース塗料粉末がシェラックにより強固に結合されているため、そのような問題は生じない。このことは、後述する試験例の結果によっても実証できる。
結果2 塗面の意匠性について
本発明の粉体塗料であるNo.1により得られた塗膜の拡大写真を図5、従来法であるドライブレンド法で製造したNo.15により得られた塗膜の拡大写真を図6として示す。
図6によれば、所々に光輝性顔料(アルミニウム顔料)が存在しないことを原因とする黒点が生じており、これが原因となって塗膜全体にくすんだ印象を与えている。
一方、図5では、光輝性顔料(アルミニウム顔料)が塗膜全体に満遍なく存在していることから、黒点の粒が小さく且つ塗料成分それぞれのきめが細かく、これにより光が満遍なく均一に反射される結果、きらきらと輝く美しい意匠性を発揮する粉体塗料を得ることができる。
結果3 試験結果
上記実施例により製造した粉体塗料について、上記評価方法(試験例1〜4)に基づいて、塗装作業性、塗膜性状、塗膜性能、回収再利用性を評価した。結果を表4に示す。
表4に示した通り、ドライブレンド法で得られた粉体塗料(No.15、16)による塗膜の付着性と耐水性は良好であるものの、顔料粒子がベース塗料粉末に結合されていないため塗装作業性は悪く、塗膜の平滑性や分散性に劣るため意匠性が低い。また、顔料粒子とベース塗料粉末が容易に分離するため、塗料を回収再利用して得られた塗膜は顔料が更に偏在していた。
これに対して本発明の粉体塗料は、顔料粒子とベース塗料粉末が強く結合しているために塗装作業性は良好であり、且つ得られる塗面は何れの評価でも高く意匠性は非常に優れている。その上、塗料を回収再利用して用いても得られる塗面は当初のものと同等であり、何ら劣るものではなかった。
印加電圧 −70kv
メインエアー圧 0.6kgf/cm2
パターンエアー圧 1.0kgf/cm2
ガン−被塗物間距離 200mm
膜厚 60〜80μm
試験例1 塗装作業性
連続塗装した時の塗料の吐出状態を目視観察した。スピットの発生がなく連続塗装が可能な場合を「○」、頻繁にスピットが発生する場合を「×」、ややスピットが発生する場合を「△」とした。
試験例2 塗膜性状
(I) 平滑性
得られた塗膜の平滑性を目視にて観察し、極めて平滑性に優れる場合を「◎」、平滑と判断できる場合を「○」、平滑性に欠けると判断される場合を「×」とした。
(II) 分散性
得られた塗膜を目視観察し、添加した顔料が塗膜に偏在している度合いを評価し、均一に顔料が分布している場合を「○」、顔料が偏在している場合を「×」、顔料がやや偏在している場合を「△」とした。
試験例3 塗膜性能
(III) 付着性
カッターナイフを使用して素地に達するように塗膜をクロスカットし、大きさ1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その表面に粘着テープを貼付し、23℃でそのテープを急激に剥離した。このときの塗膜の剥離状況を観察し、剥離していない残存塗膜数を計測し、残存塗膜数が100個の場合を「○」とした。
(IV) 耐水性
40℃の温水に240時間浸漬し、引上げ直後の塗膜を目視で観察し、フクレや艷引け、その他の異常がない場合を「○」とした。次いで、温度23℃、相対湿度50%で2時間乾燥してから、前記付着性試験と同様に付着性を評価した。
試験例4 回収再利用性
上記塗装作業性(試験例1)、塗膜性状(試験例2)および塗膜性能(試験例3)の評価の際、被塗物に付着しなかった塗料を回収・再使用し、得られた塗膜の分散性を目視観察し、本来の塗膜と比較して同等である場合を「○」、顔料が偏在している場合を「×」とした。
試験例5 光輝性
目視観察により、塗膜の光輝感(メタリック感)や光輝ムラ(光輝性顔料の偏在)を評価し、光輝感が良好で、ムラがない場合を「○」とし、ややムラがあり、光輝感が低い場合を「△」とし、塗膜全面にムラがあって、光輝感が殆どない場合を「×」とした。
試験例6 耐アルカリ性
塗膜上に、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を0.5ml滴下し、50℃で3時間放置した後、塗膜を流水で洗浄し、相対湿度50%で2時間乾燥してから液滴をのせた箇所を目視観察した。全く異常の認められない場合を「◎」、かすかに液滴跡がわかるが実用上全く問題のない場合を「○」とし、やや黒変している場合を「△」、明らかに黒変が認められるものを「×」とした。
結果1 粉体塗料粒子について
図3は本発明に係る粉体塗料粒子(No.1)の拡大写真であり、図4はドライブレンド法により製造した粉体塗料粒子(No.15)の拡大写真である。
図3では、光輝性顔料がベース塗料粉末の表面へ結合している様子が観察できる。
図4によれば、光輝性顔料がベース塗料粉末の上にのってはいるものの結合しておらず、顔料粒子がベース塗料粉末から脱落し単独で存在していることが判る。これでは塗装の際に塗料成分の偏析が生じ、意匠性に優れた塗膜が得られないばかりでなく、顔料粒子とベース塗料粉末が容易に分離するため塗料の回収再利用ができないことが想定される。
一方、本発明の粉体塗料では顔料粒子とベース塗料粉末がシェラックにより強固に結合されているため、そのような問題は生じない。このことは、後述する試験例の結果によっても実証できる。
結果2 塗面の意匠性について
本発明の粉体塗料であるNo.1により得られた塗膜の拡大写真を図5、従来法であるドライブレンド法で製造したNo.15により得られた塗膜の拡大写真を図6として示す。
図6によれば、所々に光輝性顔料(アルミニウム顔料)が存在しないことを原因とする黒点が生じており、これが原因となって塗膜全体にくすんだ印象を与えている。
一方、図5では、光輝性顔料(アルミニウム顔料)が塗膜全体に満遍なく存在していることから、黒点の粒が小さく且つ塗料成分それぞれのきめが細かく、これにより光が満遍なく均一に反射される結果、きらきらと輝く美しい意匠性を発揮する粉体塗料を得ることができる。
結果3 試験結果
上記実施例により製造した粉体塗料について、上記評価方法(試験例1〜4)に基づいて、塗装作業性、塗膜性状、塗膜性能、回収再利用性を評価した。結果を表4に示す。
表4に示した通り、ドライブレンド法で得られた粉体塗料(No.15、16)による塗膜の付着性と耐水性は良好であるものの、顔料粒子がベース塗料粉末に結合されていないため塗装作業性は悪く、塗膜の平滑性や分散性に劣るため意匠性が低い。また、顔料粒子とベース塗料粉末が容易に分離するため、塗料を回収再利用して得られた塗膜は顔料が更に偏在していた。
これに対して本発明の粉体塗料は、顔料粒子とベース塗料粉末が強く結合しているために塗装作業性は良好であり、且つ得られる塗面は何れの評価でも高く意匠性は非常に優れている。その上、塗料を回収再利用して用いても得られる塗面は当初のものと同等であり、何ら劣るものではなかった。
クロム酸クロメート(日本パーカーライジング社製、AL−1000(商品名))で化成処理したAC4C板上に、エポキシ硬化型のポリエステル樹脂粉体プライマ(関西ペイント製、エバクラッドNo.2100(商品名))を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化させてプライマ層を形成した。次いで、プライマ層の上に本発明の粉体塗料No.2を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。粉体塗料の静電塗装条件は、上記実施例1の場合と同じである。
クロム酸クロメート(日本パーカーライジング社製、AL−1000(商品名))で化成処理したAC4C板上に、粉体プライマとして、ドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂粉体クリヤー塗料(関西ペイント製、エバクラッドNo.5600DK(商品名))を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化させてプライマ層を形成した。次いで、プライマ層の上に本発明の粉体塗料No.8を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。粉体塗料の静電塗装条件は、上記実施例1の場合と同じである。
クロム酸クロメート(日本パーカーライジング社製、AL−1000(商品名))で化成処理したAC4C板上に、エポキシ硬化型のポリエステル樹脂粉体プライマ(関西ペイント製、エバクラッドNo.2100(商品名))を、膜厚が40〜50μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装した。次いで、プライマ層を加熱硬化させることなく、その上に本発明の粉体塗料No.2を、膜厚が40〜50μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、プライマ層と同時に160℃で30分間加熱硬化せしめた。粉体塗料の静電塗装条件は、上記実施例1の場合と同じである。
クロム酸クロメート(日本パーカーライジング社製、AL−1000(商品名))で化成処理したAC4C板上に、本発明の粉体塗料No.2を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。次いで、アクリル系溶剤型クリヤー塗料(関西ペイント製、ALC−100(商品名))を、膜厚が30〜40μmになるようにスプレー塗装して、140℃で30分間加熱硬化させてトップコート層を形成した。粉体塗料の静電塗装条件は、上記実施例1の場合と同じである。
上記実施例5と同じ方法で意匠性粉体塗料の塗膜を形成し、次いでポリイソシアネート化合物硬化型のアクリル系溶剤型クリヤー塗料(関西ペイント製、スーパーダイヤモンドクリヤーQ(商品名))を、膜厚が30〜40μmになるようにスプレー塗装し、80℃で30分間加熱硬化させて、トップコート層を形成した。
上記実施例5と同じ方法で意匠性粉体塗料の塗膜を形成し、次いでドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂粉体クリヤー塗料(関西ペイント製、エバクラッド5600DK(商品名))を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化させて、トップコート層を形成した。粉体塗料の静電塗装条件は、上記実施例1の場合と同じである。
上記実施例2と同様な方法で、プライマ層の上に本発明の粉体塗料による塗膜を形成し、更にその上にアクリル系溶剤型クリヤー塗料(関西ペイント製、ALC−100(商品名))を、膜厚が30〜40μmになるようにスプレー塗装して、140℃で30分間加熱硬化させてトップコート層を形成した。
上記実施例3と同様な方法で、プライマ層の上に本発明の粉体塗料による塗膜を形成し、ポリイソシアネート化合物硬化型のアクリル系溶剤型クリヤー塗料(関西ペイント製、スーパーダイヤモンドクリヤーQ(商品名))を、膜厚が30〜40μmになるようにスプレー塗装して、80℃で30分間加熱硬化させて、トップコート層を形成した。
上記実施例2と同様な方法で、プライマ層の上に本発明の粉体塗料による塗膜を形成し、更にその上にドデカンジカルボン酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂粉体クリヤー塗料(関西ペイント製、エバクラッド5600DK(商品名))を、膜厚が80〜100μmになるように静電粉体塗装機GX−108を用いて塗装し、160℃で30分間加熱硬化させて、トップコート層を形成した。粉体塗料の静電塗装条件は、上記実施例1の場合と同じである。
結果4
上記実施例2〜10で得た塗膜について、上記と同様に平滑性、付着性、耐水性、光輝性、耐アルカリ性を試験した。結果を表5に示す。
上記結果の通り、本発明の塗料粉末による塗膜に加えてプライマ層やトップクリアー層を形成すれば、塗膜性状(特に、平滑性や耐アルカリ性)が一層優れた塗装面を得られることが実証された。
結果4
上記実施例2〜10で得た塗膜について、上記と同様に平滑性、付着性、耐水性、光輝性、耐アルカリ性を試験した。結果を表5に示す。
上記結果の通り、本発明の塗料粉末による塗膜に加えてプライマ層やトップクリアー層を形成すれば、塗膜性状(特に、平滑性や耐アルカリ性)が一層優れた塗装面を得られることが実証された。
本発明により得られた粉体塗料は、その構成成分であるベース塗料粉末と顔料粒子が強く結合しているため、塗装中などにこれらが分離することがなく塗装作業性は良好であり、また被塗装体に付着しなかった塗料も、これら構成成分の含有比率が当初と実質的に同一であるために、再利用することができる。
また、本発明により製造される光輝性粉体塗料の塗膜は、きめが細かく非常に意匠性に優れている上に耐水性にも優れている。
従って、本発明の粉体塗料は、美装用或いは保護用の塗膜を与えるものとして工業用塗料用途等に広く応用が可能であり、また、経済性や省資源の観点から実用上非常に有用である。
また、本発明に係る粉体塗料の製造方法は、上記粉体塗料を製造できるものとして、産業上の有用性が非常に高いものである。
更に、本発明に係る塗膜の形成方法および塗装製品の製造方法は、特にプライマ層やトップクリアー層との組合わせによって、非常に優れた美装用或いは保護用の塗膜を各種金属被塗装物に与え塗装製品が得られるものとして、工業用途に広く応用が可能であり、実用上非常に有用である。
また、本発明により製造される光輝性粉体塗料の塗膜は、きめが細かく非常に意匠性に優れている上に耐水性にも優れている。
従って、本発明の粉体塗料は、美装用或いは保護用の塗膜を与えるものとして工業用塗料用途等に広く応用が可能であり、また、経済性や省資源の観点から実用上非常に有用である。
また、本発明に係る粉体塗料の製造方法は、上記粉体塗料を製造できるものとして、産業上の有用性が非常に高いものである。
更に、本発明に係る塗膜の形成方法および塗装製品の製造方法は、特にプライマ層やトップクリアー層との組合わせによって、非常に優れた美装用或いは保護用の塗膜を各種金属被塗装物に与え塗装製品が得られるものとして、工業用途に広く応用が可能であり、実用上非常に有用である。
Claims (37)
- 顔料粒子がシェラックを介してベース塗料粉末に結合していることを特徴とする粉体塗料。
- 上記シェラックの粉体塗料全体に占める割合が0.01〜1質量%である請求項1に記載の粉体塗料。
- 上記ベース塗料粉末の平均粒径が10〜100μmである請求項1または2に記載の粉体塗料。
- 上記顔料粒子の平均粒径が100μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の粉体塗料。
- 顔料粒子として光輝性顔料を含有し、当該光輝性顔料の平均粒径が2〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の粉体塗料。
- 上記光輝性顔料の形状がフレーク状であり、且つその厚さが0.01〜10μmである請求項5に記載の粉体塗料。
- 顔料粒子として無機着色顔料を含有し、当該無機着色顔料の平均粒径が0.01〜5.0μmである請求項1〜6のいずれかに記載の粉体塗料。
- 顔料粒子として有機着色顔料を含有し、当該有機着色顔料の平均粒径が0.01〜1.0μmである請求項1〜7のいずれかに記載の粉体塗料。
- 顔料粒子として蓄光性顔料を含有し、当該蓄光性顔料の平均粒径が1〜100μmである請求項1〜8のいずれかに記載の粉体塗料。
- 上記顔料粒子の粉体塗料全体に占める割合が0.1〜50質量%である請求項1〜9のいずれかに記載の粉体塗料。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の粉体塗料を製造する方法であって、ベース塗料粉末と顔料粒子を混合する工程、シェラックを有機溶媒に溶解した液状結合補助剤を該混合物に混合する工程、及び乾燥する工程を含むことを特徴とする粉体塗料の製造方法。
- 上記液状結合補助剤の混合工程を、機械攪拌型混合機を用いて行なう請求項11に記載の粉体塗料の製造方法。
- 上記液状結合補助剤の混合工程を、気流攪拌型混合機を用いて行なう請求項11に記載の粉体塗料の製造方法。
- 上記液状結合補助剤を、スプレーまたは滴下により添加する請求項11〜13のいずれかに記載の粉体塗料の製造方法。
- 上記結合補助剤のスプレー添加による混合工程を、空気の供給による乾燥工程と並行して行なう請求項14に記載の粉体塗料の製造方法。
- 空気として加熱空気を用いる請求項15に記載の粉体塗料の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装して塗膜を形成することを特徴とする塗膜の形成方法。
- 上記静電粉体塗装の前に、プライマ層を形成する請求項17に記載の塗膜の形成方法。
- 上記プライマ層を粉体塗料により形成する請求項18に記載の塗膜の形成方法。
- 上記プライマ層を、エポキシ樹脂硬化型のポリエステル樹脂、又は酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂をベース塗料粉末の主成分とする粉体塗料により形成する請求項19に記載の塗膜の形成方法。
- 上記塗膜上に、更にトップクリアー層を形成する請求項17〜20のいずれかに記載の塗膜の形成方法。
- 上記トップクリアー層をアクリル系溶剤型クリヤー塗料またはアクリル系粉体型クリヤー塗料により形成する請求項21に記載の塗膜の形成方法。
- 上記アクリル系溶剤型クリヤー塗料として、ポリイソシアネート硬化型のものを使用する請求項22に塗膜の形成方法。
- 上記アクリル系粉体型クリヤー塗料として、酸硬化型のものであり且つエポキシ基を含有するものを使用する請求項22に記載の塗膜の形成方法。
- 上記アクリル系粉体型クリヤー塗料として、エポキシ基含有アクリル系樹脂を基体樹脂とし、ポリカルボン酸を硬化剤として含有するものを使用する請求項22に記載の塗膜の形成方法。
- 上記ポリカルボン酸として、ドデカンジカルボン酸を使用する請求項25に記載の塗膜の形成方法。
- 粉体塗料により塗装された製品を製造する方法であって、
請求項1〜10のいずれかに記載の粉体塗料を、金属材料よりなる被塗装物に静電粉体塗装する工程を含むことを特徴とする塗装製品の製造方法。 - 上記静電粉体塗装工程の前に、上記被塗装物上にプライマ層を形成する工程を含む請求項27に記載の製造方法。
- 上記プライマ層を粉体塗料により形成する請求項28に記載の製造方法。
- 上記プライマ層を、エポキシ樹脂硬化型のポリエステル樹脂、又は酸硬化型のエポキシ基含有アクリル樹脂をベース塗料粉末の主成分とする粉体塗料により形成する請求項28に記載の製造方法。
- 最表面層としてトップクリアー層を形成する工程を含む請求項27〜30のいずれかに記載の製造方法。
- 上記トップクリアー層をアクリル系溶剤型クリヤー塗料またはアクリル系粉体型クリヤー塗料により形成する請求項31に記載の製造方法。
- 上記アクリル系溶剤型クリヤー塗料として、ポリイソシアネート硬化型のものを使用する請求項32に記載の製造方法。
- 上記アクリル系粉体型クリヤー塗料として、酸硬化型のものであり且つエポキシ基を含有するものを使用する請求項32に記載の製造方法。
- 上記アクリル系粉体型クリヤー塗料として、エポキシ基含有アクリル系樹脂を基体樹脂とし、ポリカルボン酸を硬化剤として含有するものを使用する請求項32に記載の製造方法。
- 上記ポリカルボン酸として、ドデカンジカルボン酸を使用する請求項35に記載の製造方法。
- 請求項27〜36のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴とする塗装製品。
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