JP2011066163A - 発光チップ、プリントヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents

発光チップ、プリントヘッドおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】積層半導体層を用いた下部配線の電位の安定性を向上させる。
【解決手段】下部配線200は、p型の半導体である基板80と、p型の第1半導体層81と、n型の第2半導体層82と、p型の第3半導体層83とから構成され、さらに、露出させたp型の第1半導体層81上にp型の半導体とオーミック接触する材料で形成されたp型電極136と、露出させたn型の第2半導体層82上にn型の半導体とオーミック接触する材料で形成され、p型電極136に延伸して設けられた短絡配線126とを備えている。
【選択図】図9

Description

本発明は、発光チップ、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を主走査方向に多数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
特許文献1には、pnpn構造の発光サイリスタを基本とした自己走査型発光装置において、pnpn構造の一部を用いてクロスアンダー配線を構成する場合に、pnpn構造上に金属配線を形成するとともに、上層のp型半導体層とn型半導体層とを同電位とすることにより、ラッチアップを防止できる金属配線構造が記載されている。
特許文献2には、PNPN構造の最下層と逆導電形の導電性基板を用い、最下層の基板とは短絡部材により電気的短絡し、共通電極は基板裏面からとることにより、電流経路を電極直下からずらすことで、電極の遮蔽による光量の損失を無くすことを可能にした自己走査型発光素子アレイ(SLED:Self-scanning Light Emitting Device)チップが記載されている。
特許文献3には、p型基板上に、反射層、p型の第1層、n型の第2層、p型の第3層、n型の第4層が順次形成され、エッチングにより一部露出された第4層とエッチングにより露出された基板との間を短絡電極で接続し、電極直下に流れる電流をブロックすることで光の取り出し効率を上げた発光素子アレイが記載されている。
特開2001−094153号公報 特開2004−128175号公報 特開2007−250961号公報
ところで、発光サイリスタを用いた自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップにおいて、搭載する機能を強化しようとすると、それらの機能を実現するためのサイリスタ、ダイオードまたはトランジスタなどを、発光サイリスタ等と同時に形成することになる。すると、チップ上に多数の素子を形成することになるとともに、これらの素子間を接続する配線(アルミニウム(Al)やアルミニウム合金(Al合金)による配線)の引き回しが複雑になる。このため、配線を交差させることが求められるようになる。
しかし、絶縁層を挟んで配線層を多層に形成すると、プロセスが増加し、コストの増加を招いてしまう。
そこで、発光サイリスタ等のpnpn構造を構成する積層半導体層を用いて下部配線(クロスアンダ配線)を形成することにより、上部配線(クロスオーバ配線)の多層化を抑制して、交差配線を実現することが考えられる。
この場合、下部配線に用いる積層半導体層において、いずれか一つの半導体層でも電位が固定されていない(フローティングである)場合には、積層半導体層によって構成される寄生サイリスタまたは寄生トランジスタ(npnトランジスタまたはpnpトランジスタ)がノイズ等により動作し、下部配線の電位が変化またはふらついて安定性を失ってしまう。その結果、SLEDチップの誤動作をまねいてしまう。
本発明は、積層半導体層を用いた下部配線の電位の安定性を向上させることを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも4層積層した第1積層半導体層により構成されるpnpn構造の複数の発光サイリスタと、前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも3層積層した第2積層半導体層により構成され、当該基板と前記第2積層半導体層の最上層の半導体層とに印加された電位に対して、当該基板と前記最上層の半導体層と間のいずれかのpn接合が逆バイアスになるように、当該最上層の半導体層と当該基板との間の半導体層の電位が固定された下部配線と、前記下部配線上に、絶縁層を挟んで当該下部配線と交差するように設けられた上部配線とを備えることを特徴とする発光チップである。
請求項2に記載の発明は、前記下部配線における前記第2積層半導体層は、メサ構造に加工されていることを特徴とする請求項1に記載の発光チップである。
請求項3に記載の発明は、前記下部配線における前記第2積層半導体層は、前記最上層の半導体層上に、当該最上層の半導体層に対して、オーミック接触する材料による電極をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光チップである。
請求項4に記載の発明は、前記下部配線における前記第2積層半導体層は、隣接する異なる導電型の半導体層の一方にオーミック接触する材料で形成された第1金属層が、他方にオーミック接触する材料で形成された第2金属層上に延伸して積層されて、前記基板と前記最上層の半導体層との間の半導体層の電位が固定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光チップである。
請求項5に記載の発明は、前記第1金属層および前記第2金属層は、前記下部配線の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の発光チップである。
請求項6に記載の発明は、前記下部配線の一部は、当該下部配線上の絶縁膜に設けられた開口上に前記上部配線が重ね合わされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光チップである。
請求項7に記載の発明は、前記第1積層半導体層および前記第2積層半導体層を構成する半導体層がガリウム(Ga)および砒素(As)を含む化合物半導体からなり、導電型がp型である半導体層にオーミック接触する材料が亜鉛(Zn)を含む金(Au)(AuZn)であって、導電型がn型である半導体層にオーミック接触する材料がゲルマニウム(Ge)を含む金(Au)(AuGe)であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光チップである。
請求項8に記載の発明は、基板と、前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも4層積層した第1積層半導体層により構成されるpnpn構造の複数の発光サイリスタと、当該基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも3層積層した第2積層半導体層により構成され、当該基板と前記第2積層半導体層の最上層の半導体層とに印加された電位に対して、当該基板と前記最上層の半導体層と間のいずれかのpn接合が逆バイアスになるように、当該最上層の半導体層と当該基板との間の半導体層の電位が固定された下部配線と、前記下部配線上に、絶縁層を挟んで当該下部配線と交差するように設けられた上部配線とを備える発光チップを備え、像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体に結像させる光学手段とを備えたことを特徴とするプリントヘッドである。
請求項9に記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、基板と、前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも4層積層した第1積層半導体層により構成されるpnpn構造の複数の発光サイリスタと、当該基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも3層積層した第2積層半導体層により構成され、当該基板と前記第2積層半導体層の最上層の半導体層とに印加された電位に対して、当該基板と前記最上層の半導体層と間のいずれかのpn接合が逆バイアスになるように、当該最上層の半導体層と当該基板との間の半導体層の電位が固定された下部配線と、前記下部配線上に、絶縁層を挟んで当該下部配線と交差するように設けられた上部配線とを備える発光チップを備え、前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線の電位の安定性が向上する。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線の電位の安定性がより向上する。
請求項3の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線の抵抗が低減する。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線を備えた発光チップがより容易に製造できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線の抵抗がより低減する。
請求項6の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線の抵抗がさらに低減する。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、積層半導体層を用いた下部配線の電位の安定性がさらに向上する。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、露光がより安定にできる。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成をより安定にできる。
本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を説明するための図である。 本実施の形態が適用されるプリントヘッドの構成を説明するための図である。 発光装置を説明するための上面図である。 発光装置における信号発生回路の構成および信号発生回路と発光チップとの配線構成を説明するための図である。 自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップの等価回路を説明するための図である。 発光チップの転送サイリスタ、記憶サイリスタ、保持サイリスタ、発光サイリスタの部分を中心とした平面レイアウト図および断面図である。 発光チップの動作の概要を説明するための図である。 発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 本実施の形態における積層半導体層を用いた下部配線の構造をより詳細に説明するための平面図および断面図である。 積層半導体層を用いた下部配線の他の構成を説明するための断面図である。 積層半導体層を用いた下部配線のさらに他の構成を説明するための平面図および断面図である。 積層半導体層を用いた下部配線の抵抗を低減した構成を説明するための平面図および断面図である。 4層の積層半導体層を用いた下部配線を説明するための断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(画像形成装置)
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を説明するための図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
画像形成プロセス部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンからなる画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で一様に帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。ここで、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、現像器15に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙に多重転写させるために、この記録用紙を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙上に定着され、画像形成装置1から排出される。
(プリントヘッド)
図2は、本実施の形態が適用されるプリントヘッド14の構成を説明するための図である。このプリントヘッド14は、ハウジング61、複数のLED(本実施の形態では発光サイリスタ)を備えた露光手段の一例としての発光部63、発光部63や発光部63を駆動する信号発生回路100(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。ここでは、発光部63、信号発生回路100等およびこれらを搭載する回路基板62を発光装置65と呼ぶ。
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、発光部63の発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に沿って配置されている。
(発光装置)
図3は、発光装置65を説明するための上面図である。
図3に示すように、発光装置65の発光部63は、回路基板62上に、60個の発光チップC1〜C60を、主走査方向に二列に向かい合わせて千鳥状に配置して構成されている。なお、各発光チップC1〜C60を区別しないときは、発光チップC(C1〜C60)または発光チップCと記載する。他の用語についても同様とする。
発光チップC(C1〜C60)はすべて同一の構成を有している。そして、各発光チップC(C1〜C60)は、後述するように、発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列(発光素子列)を備えている。そして、発光サイリスタ列は発光チップCの矩形の長辺に沿って配置されている。そして、発光サイリスタ列は長辺の一方に寄せて、発光サイリスタL1、L2、L3、…が等間隔になるように配置されている。ここで、奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…と、偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…とは、向かい合わせに配置されている。さらに、破線で示す発光チップCつなぎ目においても、発光サイリスタが主走査方向に対して等間隔に配置されるように、発光チップC1〜C60が配置されている。
さらに、発光装置65は、前述したように、発光部63を駆動する信号発生回路100を備えている。
なお、発光サイリスタL1、L2、L3、…をそれぞれ区別しないときは発光サイリスタLと呼ぶ。他の用語についても同様とする。
図4は、発光装置65における信号発生回路100の構成および信号発生回路100と発光チップC(C1〜C60)との配線構成を説明するための図である。なお、図4では、配線構成を説明するので、発光チップC1〜C60を千鳥状に表示していない。
信号発生回路100には、図示しないが、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。そして、信号発生回路100は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや発光強度の補正等を行う。
信号発生回路100は、各発光チップC(C1〜C60)に対して、発光サイリスタLに発光のための電力を供給するための点灯信号φI(φI1〜φI30)を送信する点灯信号発生部110を備えている。
信号発生回路100は、各種の制御信号に基づき、各発光チップC1〜C60に対して、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を送信する転送信号発生部120を備えている。また、画像データに基づいて点灯させる発光サイリスタLを指定する記憶信号φm(φm1〜φm60)を送信する記憶信号発生部130を備えている。さらに、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)に関する情報を一時的に保持する指示を与える保持信号φbを送信する保持信号発生部140を備えている。
発光装置65の回路基板62には、各発光チップC(C1〜C60)のVsub端子(後述の図5参照)に接続され、基準電位Vsub(例えば0V)を与える電源ライン104が設けられている。さらに、各発光チップC(C1〜C60)のVga端子(後述の図5参照)に接続され、電力供給のための電源電位Vga(例えば−3.3V)を与える電源ライン105が設けられている。
また、回路基板62には、信号発生回路100の転送信号発生部120から発光部63に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を、それぞれ送信する第1転送信号ライン106、第2転送信号ライン107が設けられている。第1転送信号ライン106、第2転送信号ライン107は、それぞれが各発光チップC(C1〜C60)のφ1端子、φ2端子(後述の図5参照)に並列接続されている。
さらに、回路基板62には、信号発生回路100の記憶信号発生部130から各発光チップC(C1〜C60)に記憶信号φm(φm1〜φm60)を送信する60本の記憶信号ライン108(108_1〜108_60)が設けられている。記憶信号ライン108_1〜108_60はそれぞれが発光チップC1〜C60のφm端子(後述の図5参照)に接続されている。つまり、記憶信号φm(φm1〜φm60)は発光チップC(C1〜C60)に個別に送信される。
そして、回路基板62には、信号発生回路100の保持信号発生部140から発光部63に保持信号φbを送信する保持信号ライン103が設けられている。保持信号ライン103は、各発光チップC(C1〜C60)のφb端子(後述の図5参照)に並列接続されている。
また、回路基板62には、信号発生回路100の点灯信号発生部110から各発光チップC(C1〜C60)に点灯信号φI(φI1〜φI30)を送信する30本の点灯信号ライン109(109_1〜109_30)も設けられている。各点灯信号ライン109(109_1〜109_30)は、発光チップCの2個を組として、発光チップのφI端子(後述の図5参照)に接続されている。例えば、点灯信号ライン109_1は発光チップC1およびC2のそれぞれのφI端子に並列接続され、点灯信号φI1が共通に供給される。同様に、点灯信号ライン109_2は発光チップC3およびC4のそれぞれのφI端子に並列接続され、点灯信号φI2が共通に供給される。以下同様である。よって、点灯信号φIの数(30)は、発光チップCの数(60)の半分である。
以上説明したように、本実施の形態では、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2、保持信号φbは、すべての発光チップC(C1〜C60)に共通に送信される。記憶信号φm(φm1〜φm60)は、発光チップC(C1〜C60)に個別に送信される。点灯信号φI(φI1〜φI30)は、2個の発光チップC(C1〜C60)毎に送信される。
このようにすることで、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)の数を、発光チップC(C1〜C60)の数より少なくしている。
点灯信号ライン109は、発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流を供給するため、低抵抗であることが求められる。このため、点灯信号ライン109を幅広配線とすると、回路基板62の幅が広がり、プリントヘッド14の小型化の障害になる。一方、回路基板62の幅を狭めるため、信号ラインを多層構成にすると、プリントヘッド14の低コスト化の障害になる。
そこで、本実施の形態では、発光チップC毎に点灯信号ライン109を設ける場合に比べて、点灯信号ライン109の数を半数に減らしているので、プリントヘッド14の小型化、低コスト化の点で好ましい。
一方、本実施の形態では、発光チップCの数と同数の記憶信号ライン108を設けている。後述するように、記憶信号ライン108は、記憶サイリスタM(後述の図5参照)のオン状態を維持する電流を供給できればよい。記憶サイリスタMのオン状態を維持する電流は発光サイリスタLの点灯(発光)のための電流に比べて小さいため、記憶信号ライン108の幅は点灯信号ライン109のように低抵抗な幅広配線としなくともよい。よって、発光チップCの数と同数の記憶信号ライン108を設けても、回路基板62の幅に対して影響を与えにくい。
すなわち、点灯信号ライン109の数を減らすことが、プリントヘッド14の小型化、低コスト化に好ましい。
(発光チップの等価回路)
図5は、自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップC(C1〜C60)の等価回路を説明するための図である。ここでは、発光チップC1を例として説明するが、他の発光チップC2〜C60も発光チップC1と同じ構成を有している。そこで、発光チップC1(C)とし、発光チップC1と他の発光チップC2〜C60とが同じ構成を有することを示す。
発光チップC1(C)は、基板80上に、列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…からなる転送サイリスタ列、同様に列状に配列された記憶サイリスタM1、M2、M3、…からなる記憶サイリスタ列、同様に保持サイリスタB1、B2、B3、…からなる保持サイリスタ列、および、同様に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列を備えている。
なお、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタLは、アノード端子(アノード)、カソード端子(カソード)、ゲート端子(ゲート)の3端子を有する半導体素子である。
また、発光チップC1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間を接続する結合ダイオードDc1、Dc2、Dc3、…を備えている。さらに、接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…および接続ダイオードDb1、Db2、Db3、…を備えている。
そして、電源線抵抗Rt1、Rt2、Rt3、…、電源線抵抗Rm1、Rm2、Rm3、…、電源線抵抗Rb1、Rb2、Rb3、…、抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…、抵抗Rc1、Rc2、Rc3、…を備えている。
さて、本実施の形態では、発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数が128であると、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBの数も128である。同様に、接続ダイオードDm、電源線抵抗Rt、Rm、Rb、抵抗Rn、Rcの数も128である。しかし、結合ダイオードDcの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127である。
これらの素子は、図5中において、左側から1、2、3、…のように番号順で配列されている。
なお、図5では、転送サイリスタT1〜T4、記憶サイリスタM1〜M4、保持サイリスタB1〜B4、発光サイリスタL1〜L4を中心とする部分のみを示している。他の部分は、これらの部分の繰り返しである。
なお、転送サイリスタT、記憶サイリスタMおよび保持サイリスタBについては、発光サイリスタLと同数である必要はなく、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
さらに、発光チップC1(C)は、1個のスタートダイオードDsを備えている。そして、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とに過剰な電流が流れるのを防止するため、電流制限抵抗R1とR2とを備えている。
では次に、発光チップC1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタLの各アノード端子は、発光チップC1の基板80に接続されている(アノードコモン)。そして、これらのアノード端子は、基板80に設けられたVsub端子を介して電源ライン104(図4参照)に接続されている。この電源ライン104には、基準電位Vsubが供給される。
そして、転送サイリスタTのゲート端子Gtは、転送サイリスタTに対応して設けられた電源線抵抗Rtをそれぞれ介して電源線71に接続されている。そして、電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は電源ライン105(図4参照)に接続されて、電源電位Vgaが供給される。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号の各転送サイリスタT1、T3、T7、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号φ1の入力端子であるφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン106(図4参照)が接続され、第1転送信号φ1が供給される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して第2転送信号φ2の入力端子であるφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン107(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2が供給される。
記憶サイリスタMのカソード端子は、抵抗Rnを介して、記憶信号線74に接続されている。そして、記憶信号線74は、記憶信号φm(発光チップC1の場合はφm1)の入力端子であるφm端子に接続されている。このφm端子には、記憶信号ライン108(図4参照:発光チップC1の場合は記憶信号ライン108_1)が接続され、記憶信号φm(図4参照:発光チップC1の場合は記憶信号φm1)が供給される。
保持サイリスタBのカソード端子は、抵抗Rcを介して、保持信号線76に接続されている。そして、保持信号線76は、保持信号φbの入力端子であるφb端子に接続されている。このφb端子には、保持信号ライン103(図4参照)が接続され、保持信号φbが供給される。
そして、転送サイリスタT1、T2、T3、…のゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、同じ番号の記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDmのアノード端子は、転送サイリスタTのゲート端子Gtに接続され、接続ダイオードDmのカソード端子は、記憶サイリスタMのゲート端子Gmに接続されている。
また、保持サイリスタB1、B2、B3、…のゲート端子Gb1、Gb2、Gb3、…が、同じ番号の記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDb1、Db2、Db3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDbのカソード端子は、保持サイリスタBのゲート端子Gbに接続され、接続ダイオードDbのアノード端子は、記憶サイリスタMのゲート端子Gmに接続されている。
さらに、保持サイリスタB1、B2、B3、…のゲート端子Gb1、Gb2、Gb3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で接続されている。
その上、記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、電源線抵抗Rmを介して電源線71に接続されている。保持サイリスタBのゲート端子Gbは、電源線抵抗Rbを介して電源線71に接続されている。
各転送サイリスタT1、T2、T3、…のゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDc1、Dc2、Dc3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDcはゲート端子Gtの間に直列接続されている。そして、結合ダイオードDc1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDc2、Dc3、Dc4、…についても同様である。
また、各発光サイリスタL1、L2、L3、…のカソード端子は、点灯信号線75に接続され、点灯信号φI(発光チップC1の場合は点灯信号φI1)の入力端子であるφI端子に接続されている。このφI端子には、点灯信号ライン109(図4参照:発光チップC1の場合は点灯信号ライン109_1)が接続され、点灯信号φI(図4参照:発光チップC1の場合は点灯信号φI1)が供給される。
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDsのカソード端子と接続されている。一方、スタートダイオードDsのアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
(発光チップの平面レイアウトおよび断面)
図6(a)は、発光チップC1(C)の転送サイリスタT1〜T4、記憶サイリスタM1〜M4、保持サイリスタB1〜B4、発光サイリスタL1〜L4の部分を中心とした平面レイアウト図である。図6(b)は、図6(a)に示したVIB−VIB線での断面図である。図6(b)は、後述するように、転送サイリスタT1、接続ダイオードDm1、Db1、保持サイリスタB1および発光サイリスタL1の断面を表している。なお、図6(a)および(b)中には、素子および端子を前述した名前により表示している。
図6(a)および(b)では、各素子上に設けられた絶縁層および絶縁層に設けられるスルーホールを省略している。そして、図6(a)では、スルーホール上に設けられる上部配線(AlまたはAl合金による上部配線)を、接続関係のみを示す直線にて示している。図6(b)では、絶縁層、スルーホールおよび上部配線を省略している。
図6(b)に示すように、発光チップC1(C)は、p型の半導体である基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84が順に積層されて構成されている。
そして、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84を連続してエッチングすることで、複数のアイランド(第1アイランド141〜第8アイランド148等)が形成されている。
基板80の裏面にはVsub端子となる裏面共通電極が形成されている。
図6(a)に示すように、第1アイランド141には、発光サイリスタL1と保持サイリスタB1とが設けられている。第2アイランド142には、記憶サイリスタM1と接続ダイオードDb1とが設けられている。第3アイランド143には、電源線抵抗Rm1、Rb1およびRt2が設けられている。第4アイランド144には、結合ダイオードDc1、接続ダイオードDm1および転送サイリスタT1が設けられている。
そして、基板80上には、第1アイランド141〜第4アイランド144と同様なアイランドが、並列して複数設けられている。これらのアイランドには、発光サイリスタL2、L3、L4、…、記記憶サイリスタM2、M3、M4、…、保持サイリスタB2、B3、B4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…等が、第1アイランド141〜第4アイランド144と同様に設けられている。これらについては、説明を省略する。
一方、第5アイランド145には、スタートダイオードDsが設けられ、第6アイランド146には電流制限抵抗R1が、第7アイランド147には電流制限抵抗R2が設けられている。
さらに、第8アイランド148には、下部配線200が設けられている。
図6(b)に示すように、第1アイランド141に設けられた発光サイリスタL1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域111にn型の半導体層とオーミック接触する材料で形成されたn型電極121(以下、n型の半導体層とオーミック接触する材料で形成された電極をn型電極と呼ぶ。)をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に、p型の半導体層にオーミック接触する材料で形成されたp型電極131(以下、p型の半導体層とオーミック接触する材料で形成された電極をp型電極と呼ぶ。)をゲート端子Gl1としている。そして、n型電極121が形成された部分を除く領域111の表面から光を放出する。
すなわち、発光サイリスタL1は、第1積層半導体層の一例としての、p型の半導体である基板80、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84の積層半導体層で構成されている。そして、発光サイリスタL1は、基板80を含んで導電型の異なる4層の半導体層で構成されている。
さらに、第1アイランド141に設けられた保持サイリスタB1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域112に形成されたn型電極122をカソード端子、p型電極131をゲート端子Gb1としている。なお、p型電極131は、発光サイリスタL1のゲート端子Gl1と保持サイリスタB1のゲート端子Gb1とを兼ねている。
第2アイランド142に設けられた接続ダイオードDb1は、n型の第4半導体層84の領域113に形成されたn型電極123をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型電極132をアノード端子としている。p型電極132は、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1と共通である。
第3アイランド143に設けられた電源線抵抗Rm1、Rb1およびRt2は、p型の第3半導体層83上に形成されたp型電極(p型電極132など)間に形成されている。電源線抵抗Rm1、Rb1およびRt2はp型の第3半導体層83を抵抗層としている。なお、電源線抵抗Rt1は、個別のアイランドに形成されている。
第4アイランド144に設けられた接続ダイオードDm1は、n型の第4半導体層84の領域114上のn型電極124をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上のp型電極134をアノード端子としている。図6(b)には図示していないが、結合ダイオードDc1も接続ダイオードDm1と同様に構成されている。
また、転送サイリスタT1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域115に形成されたn型電極125をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型電極134をゲート端子Gt1としている。
p型電極134は、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1と、接続ダイオードDm1および結合ダイオードDc1のそれぞれのアノード端子とを兼ねている。
第5アイランド145に設けられたスタートダイオードDsは、第4アイランド144に設けられた接続ダイオードDm1と同様に構成されている。
第6アイランド146および第7アイランド147にそれぞれ設けられた電流制限抵抗R1と電流制限抵抗R2とは、第3アイランド143に形成された電源線抵抗Rt1等と同様に構成され、p型の第3半導体層83を抵抗層としている。
そして、第8アイランド148には、n型の第4半導体層84をエッチング除去してp型の第3半導体層83上に形成されたp型電極135が設けられている。第8アイランド148は、後述するように、下部配線200であって、電源線71として使用される。よって、p型電極135は、配線として働く。
すなわち、下部配線200は、第2積層半導体層の一例としての、p型の半導体である基板80、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83の積層半導体層で構成されている。そして、下部配線200は、基板80を含んで導電型が異なる3層の半導体層で構成されている。
ここで、n型の半導体層とオーミック接触する材料とp型の半導体層にオーミック接触する材料とを分けているのは、1つの材料では、n型の半導体層とp型の半導体層とに対して、ともに良好なオーミック接触が得られにくいためである。1つの材料で、n型の半導体層およびp型の半導体層に良好なオーミック接触が得られれば、材料を分けなくともよい。
図6(a)において、各素子の接続関係を説明する。
第1アイランド141の発光サイリスタL1のゲート端子Gl1および保持サイリスタB1のゲート端子Gb1であるp型電極131は、第2アイランド142の接続ダイオードDb1のカソード端子であるn型電極123に接続されている。そして、n型電極123は、第3アイランド143の電源線抵抗Rb1の一方の端子に接続されている。電源線抵抗Rb1の他方の端子は、第8アイランド148のp型電極135に接続されている。
一方、接続ダイオードDb1のアノード端子および記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1であるp型電極132は、第3アイランド143に設けられた電源線抵抗Rm1の一方の端子であるp型電極133に接続されている。電源線抵抗Rm1の他方の端子は、第8アイランド148のp型電極135に接続されている。
さらに、p型電極133は、第4アイランド144に設けられた接続ダイオードDm1のカソード端子であるn型電極124に接続されている。
そして、接続ダイオードDm1のアノード端子、結合ダイオードDc1のアノード端子、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1であるp型電極134は、スタートダイオードDsのカソード端子に接続されている。さらに、p型電極134は、電源線抵抗Rt1の一方の端子に接続されている。電源線抵抗Rt1の他方の端子は、第8アイランド148のp型電極135に接続されている。
そして、結合ダイオードDc1のカソード端子は隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2に接続されている。
転送サイリスタT1のカソード端子であるn型電極125は、第1転送信号線72に接続されている。第1転送信号線72は、第6アイランド146に設けられた電流制限抵抗R1の一方の端子に接続されている。電流制限抵抗R1の他方の端子はφ1端子に接続されている。
転送サイリスタT2のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は、第7アイランド147に設けられた電流制限抵抗R2の一方の端子に接続されている。電流制限抵抗R2の他方の端子はφ2端子に接続されている。
そして、第2アイランド142に設けられた記憶サイリスタM1のカソード端子は、抵抗Rn1の一方の端子に接続されている。そして、抵抗Rn1の他方の端子は、記憶信号線74に接続され、φm端子に接続されている。
同様に、第1アイランド141に設けられた保持サイリスタB1のカソード端子であるn型電極122は、抵抗Rc1の一方の端子に接続されている。そして、抵抗Rc1の他方の端子は、保持信号線76に接続され、φb端子に接続されている。
第1アイランド141の発光サイリスタL1のカソード端子であるn型電極121は点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75はφI端子に接続されている。
そして、第8アイランド148のp型電極135は、Vga端子に接続され、後述するようにp型の第3半導体層83とともに電源線71となる。
説明を省略するが、他の転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタL、ダイオード(Dc、Dm、Db)、電源線抵抗(Rm、Rt、Rb)、抵抗(Rn、Rc)についても同様である。
図6(a)に接続関係を示した直線(上部配線)は、いずれもが互いに交差していない。なお、これらの直線(上部配線)の一部は、下部配線200を構成する第8アイランド148と交差しているが、上部配線と接続されるために設けられるスルーホールの部分を除いて、図示を省略した絶縁層で隔てられているので短絡しない。すなわち、下部配線200と、接続関係を示した直線で示される上部配線とは交差配線を構成する。
よって、図6(a)に接続関係を示した直線(上部配線)は、多層配線を用いることなく、1層のAlまたはAl合金を用いた配線層で実現しうる。
このようにして、図5に示す自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップC(C1〜C60)が構成される。
本実施の形態で示した発光チップCでは、発光チップCの幅(図6(a)における基板80の上下方向の長さ)は、第1転送信号線72、第2転送信号線73、記憶信号線74、保持信号線76、点灯信号線75のように、発光チップCの長手方向(図6(a)における基板80の左右方向)に形成される配線(上部配線)のピッチに依存して決まると考えられる。そこで、発光チップCの長手方向に形成される電源線71を下部配線200として構成すると、配線の本数が減り、発光チップCの幅を小さくしうる。
そして、発光チップCの構成が本実施の形態で示した構成よりさらに複雑になると、発光チップCの長手方向に形成される配線の本数がさらに増加することが考えられる。よって、本実施の形態における電源線71のように下部配線を設けることにより、上部配線の多層化を抑制しつつ、発光チップCの幅を小さく抑えて、発光チップCのコストアップを抑制しうる。
なお、図6(a)および(b)に示したレイアウトは一例であって、他のレイアウトとしてもよい。
なお、下部配線200の構造については、後に詳述する。
(発光部の動作)
次に、発光部63の動作について説明する。
各発光チップC(C1〜C60)は、一組の第1転送信号φ1、第2転送信号φ2により、発光サイリスタLを点灯(発光)/消灯させる一連の操作(点灯制御)が並行して行われる。よって、発光部63の動作は、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。以下では、発光チップC1を例に取って、発光チップCの動作を説明する。
(発光チップの点灯制御)
図7は、発光チップC1(C)の動作の概要を説明するための図である。
本実施の形態では、発光チップC1(C)において、予め定められた複数の発光点(発光サイリスタL)をグループとして点灯制御する。
図7では、4個の発光サイリスタLをグループとして点灯制御する場合を示している。すなわち、本実施の形態では、最大4個の発光サイリスタLを同時に点灯(発光)させる。まず、発光チップC1(C)の左端からグループ#Aで示す4個の発光サイリスタL1〜L4を点灯制御する。次に、隣接するグループ#Bの4個の発光サイリスタL5〜L8を点灯制御する。以下同様に、発光チップCに設けられた発光サイリスタLの数が128であれば、発光サイリスタL128に至るまで、4個毎に発光サイリスタLを点灯制御する。
すなわち、本実施の形態では、グループ#A、#B、…の順に、時系列的に点灯制御されるとともに、各グループ#A、#B、…では、複数の発光点(発光サイリスタL)が同時に点灯制御されている。
点灯制御は、グループ毎にどの発光サイリスタLを点灯させるかを指定して記憶するステップ(記憶ステップ)と、指定された発光サイリスタLを点灯させるステップ(点灯ステップ)とからなる。
(駆動波形)
図8は、発光チップC1(C)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図8では、図7に示すグループ#Aの4個の発光サイリスタL1〜L4をすべて点灯させるとし、グループ#Bの4個の発光サイリスタL5〜L8のうち、発光サイリスタL5、L7、L8を点灯させるとする。さらに、グループ#Cおよび#Dの発光サイリスタL9〜L16をすべて点灯させるとする。
図8において、時刻aから時刻zへとアルファベット順に時刻が経過するとする。時刻cから時刻pの期間T(#A)において、図7に示すグループ#Aの4個の発光サイリスタL1〜L4を同時に点灯させるため、記憶サイリスタM1〜M4をターンオンさせて発光サイリスタL1〜L4の位置(番号)に関する情報を記憶させる(記憶ステップ)。そして、時刻nから時刻rにおいて、発光サイリスタL1〜L4を点灯(発光)させる(点灯ステップ)。
次に、時刻pから時刻tの期間T(#B)では、グループ#Bの3個の発光サイリスタL5、L7、L8を同時に点灯させるため、記憶サイリスタM5、M7、M8をターンオンさせて発光サイリスタL5、L7、L8の位置(番号)に関する情報を記憶させる(記憶ステップ)。そして、時刻sから時刻uの期間において、発光サイリスタL5、L7、L8を点灯(発光)させる(点灯ステップ)。
以下、同様に、時刻tから時刻wの期間T(#C)、時刻wから時刻zの期間T(#D)と続く。
期間T(#A)、期間T(#B)、…における第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φbは同じ波形の繰り返しである。記憶信号φm1(φm)は、画像データによって変化する部分があるが、期間T(#A)、期間T(#B)、…において、基本的な部分は同じ波形の繰り返しである。
期間T(#A)の時刻cは、発光チップC1(C)が動作状態に入るタイミングにあたるため、点灯(発光)している発光サイリスタLがない。このため、点灯信号φI1(φI)の波形は、期間T(#A)と期間T(#B)とで異なるが、期間T(#B)以降は、同じ波形の繰り返しである。
したがって、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1(φm)、保持信号φbについては、時刻cから時刻pの期間T(#A)で説明する。点灯信号φI1(φI)については、別に説明する。なお、時刻aから時刻cまでの期間は、発光チップC1(C)が動作を開始する期間(動作開始期間)である。
第1転送信号φ1は、期間T(#A)の開始時刻cでローレベル(以下、「L」と記す。)の電位であって、時刻eで「L」からハイレベル(以下、「H」と記す。)の電位に移行し、時刻gで「H」から「L」に移行する。さらに、第1転送信号φ1は、時刻kで「L」から「H」に移行し、時刻nで「H」から「L」に移行する。そして、期間T(#A)の終了時刻pまで「L」を維持する。
第2転送信号φ2は、期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻hで「L」から「H」に移行する。さらに、第2転送信号φ2は、時刻jで「H」から「L」に移行し、時刻oで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(#A)の終了時刻pまで「H」を維持する。
ここで、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを比較すると、時刻cから時刻pの期間においては、共に「L」となる期間(例えば時刻dから時刻e、時刻gから時刻h)を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。そして、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、同時に「H」となる期間を有さない。
記憶信号φm1(φm)は、期間T(#A)の開始時刻cにおいて「H」から「L」に移行し、時刻dで「L」から記憶レベル(以下、「S」と記す。)の電位に移行する。なお、詳細は後述するが、記憶レベル「S」は、「H」と「L」の間の電位で、ターンオンした記憶サイリスタMのオン状態を維持できる電位をいう。
そして、記憶信号φm1(φm)は、時刻fで「S」から「L」に、時刻gで「L」から「S」に移行する。さらに、時刻iで「S」から「L」に、時刻jで「L」から「S」に、時刻lで「S」から「L」に、時刻nで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(#A)の終了時刻pでは、「H」を維持する。記憶信号φmは「L」、「S」、「H」の3つのレベルを有している。
記憶信号φm1(φm)は、第1転送信号φ1または第2転送信号φ2のいずれかが「L」のとき、「L」になっている。例えば、第1転送信号φ1が「L」である時刻cから時刻d、第2転送信号φ2が「L」である時刻fから時刻gにおいて、記憶信号φm1(φm)は「L」である。
さて、保持信号φbは、期間T(#A)の開始時刻cにおいて「H」であって、時刻mで「H」から「L」に移行する。そして、時刻oで「L」から「H」に移行し、期間T(#A)の終了時刻pでは「H」を維持する。
一方、点灯信号φI1(φI)は、本実施の形態では、後述するように発光サイリスタLに発光(点灯)のための電流を供給する信号である。
点灯信号φIは、期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、時刻nで「H」から点灯レベル(以下、「Le」と記す。)の電位に移行する。なお、詳細は後述するが、「Le」は、「H」と「L」の間の電位で、しきい電圧が高く設定された(点灯可能な)発光サイリスタLをターンオンさせて点灯(発光)させうる電位をいう。
そして、点灯信号φIは期間T(#B)の開始時刻pにおいて「Le」である。時刻rで「Le」から「H」に移行し、時刻sで「H」から「Le」に移行する。そして、期間T(#B)の終了時刻tでは「Le」を維持する。
(サイリスタの基本動作)
発光チップC1(C)の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタL)の基本動作を説明する。
以下では、例として、図5に示したように、基板80に設定されたサイリスタのアノード端子(Vsub端子)に供給される基準電位Vsubを0V(「H」)、Vga端子に供給される電源電位Vgaを−3.3V(「L」)とする。そして、サイリスタは、図6(b)に示したように、ガリウム(Ga)と砒素(As)を含むGaAs、GaAlAs等の化合物半導体からなるp型の半導体層、n型の半導体層を積層して構成されているとし、pn接合の拡散電位(順方向電位)Vdを1.5Vとする。
サイリスタは、カソード端子にしきい電圧より低い電位(負側に大きい電位)が印加されるとターンオンする。ターンオン(オン)すると、サイリスタは、アノード端子とカソード端子との間が電流の流れやすい状態(オン状態)になる。サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位から拡散電位Vdを引いた値である。よって、サイリスタのゲート端子の電位が−1.5Vであると、しきい電圧は−3Vとなる。すなわち、−3Vより低い電圧がカソード端子に印加されると、サイリスタがターンオンする。
そして、ターンオンすると、サイリスタのゲート端子は、サイリスタのアノード端子の電位(ここでは0V)になる。また、サイリスタのカソード端子は拡散電位Vd(ここでは−1.5V)となる。
サイリスタは、ターンオンすると、カソード端子の電位がオン状態を維持するために必要な電位より高い電位(負側に小さい電位)になるまで、オン状態を維持する。例えば、カソード端子が0V(「H」)になって、アノード端子と同電位になれば、サイリスタはターンオフ(オフ)する。ターンオフすると、サイリスタは、アノード端子とカソード端子との間が電流の流れにくい状態(オフ状態)になる。
逆に、サイリスタは、オン状態のカソード端子の電位が−1.5Vであるので、カソード端子に−1.5Vより低い電位が印加され、オン状態を維持しうる電流が供給されると、オン状態が維持され続ける。サイリスタは、ターンオンさせるための電位に比べ、オン状態を維持する電位が低い。
サイリスタは、ゲート端子の電位によって、オン状態をオフ状態に変えることができない。よって、サイリスタはオン状態を維持(保持、記憶)する機能を有しているといえる。
なお、発光サイリスタLは、ターンオンによって生じる発光を利用する。
では、図5を参照しつつ、図8に示したタイミングチャートにしたがって、発光部63および発光チップC1の動作を説明する。
(初期状態)
図8に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、発光部63の発光チップC(C1〜C60)のそれぞれのVsub端子は基準電位Vsub(0V)に設定され、それぞれのVga端子は電源電位Vga(−3.3V)に設定される(図4参照)。
そして、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φbがそれぞれ「H」に、記憶信号φm(φm1〜φm60)、点灯信号φI(φI1〜φI30)が「H」に設定される。
すると、第1転送信号ライン106が「H」になり、発光部63の各発光チップCのφ1端子を介して、各発光チップCの第1転送信号線72が「H」になる。同様に、第2転送信号ライン107が「H」になり、各発光チップCのφ2端子を介して、各発光チップCの第2転送信号線73が「H」になる。記憶信号ライン108(108_1〜108_60)が「H」になり、各発光チップCのφm端子を介して、各発光チップCの記憶信号線74が「H」になる。そして、保持信号ライン103も「H」になり、各発光チップCのφb端子を介して、各発光チップCの保持信号線76が「H」になる。さらに、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)が「H」になり、各発光チップCのφI端子を介して、各発光チップCの点灯信号線75が「H」になる。
では、発光チップC1〜C60は、並行して動作するので、発光チップC1を例として、発光チップC動作を説明する。
転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBおよび発光サイリスタLのアノード端子は「H」(0V)になる。
転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBおよび発光サイリスタLのそれぞれのカソード端子が接続された、第1転送信号線72、第2転送信号線73、記憶信号線74、保持信号線76、点灯信号線75は「H」に設定されているので、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBおよび発光サイリスタLのそれぞれのアノード端子およびカソード端子はともに「H」である。よって、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBおよび発光サイリスタLはオフ状態にある。
さて、転送サイリスタTのゲート端子Gtは、電源線抵抗Rtを介して電源電位Vga(「L」:−3.3V)に設定されている。
同様に、記憶サイリスタMのゲート端子Gmは電源線抵抗Rmを介して、保持サイリスタBのゲート端子Gb(発光サイリスタLのゲート端子Glも同じ)は電源線抵抗Rbを介して、電源電位Vga(「L」:−3.3V)に設定されている。
一方、図5中の転送サイリスタ列の一端側のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDsのカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードDsのアノード端子は、「H」の第2転送信号線73に接続されている。すると、スタートダイオードDsは、順方向の電圧が印加(順バイアス)されている。よって、スタートダイオードDsのカソード端子が接続されたゲート端子Gt1は、スタートダイオードDsのアノード端子の「H」(0V)からスタートダイオードDsの拡散電位Vd(1.5V)を引いた値、−1.5Vになる。転送サイリスタT1のしきい電圧は、前に説明したことから、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vとなる。
なお、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に結合ダイオードDc1を介して接続されているため、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から結合ダイオードDc1の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vの電位になり、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.5Vになる。
そして、転送サイリスタT3のゲート端子Gt3は、この計算によると、−4.5Vになることになるが、電源電位Vga(−3.3V)より低くならないので、−3.3Vである。すなわち、本実施の形態では、各端子は、電源電位Vga(−3.3V)より低い電位にはならない。そして、電源電位Vga(−3.3V)に設定されたゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−4.8Vとなる。
同様に、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1(発光サイリスタL1のゲート端子Gl1)は、ゲート端子Gt1に接続ダイオードDm1を介して接続されているため、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から接続ダイオードDm1の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。よって、記憶サイリスタM1(発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.5Vになる。
このように、サイリスタのゲート端子の電位およびしきい電圧を求めることができる。ここでは、電源電位Vga(−3.3V)より低いしきい電圧のサイリスタは動作しないので、これ以下では説明を省略する。
(動作開始)
時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。一方、転送サイリスタT2は、しきい電圧が−4.5Vであり、第1転送信号φ1が「H」(0V)であるので、ターンオンできない。
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1の電位は、アノード端子の電位である「H」(0V)になる。そして、転送サイリスタT1のカソード端子(第1転送信号線72)の電位は、アノード端子の電位「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
すると、結合ダイオードDc1が順バイアス状態になり、ゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(0V)から結合ダイオードDc1の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3Vになる。
しかし、第2転送信号φ2は「H」であるので、転送サイリスタT2はターンオンしない。
一方、転送サイリスタT1がターンオンし、ゲート端子Gt1の電位が「H」(0V)になると、接続ダイオードDm1が順バイアス状態になる。すると、ゲート端子Gm1の電位は−1.5Vになって、記憶サイリスタM1のしきい電圧は−3Vになる。しかし、記憶信号φm1(φm)は0V(「H」)であるので、記憶サイリスタM1はターンオンしない。
また、転送サイリスタT1がターンオンし、ゲート端子Gt1の電位が「H」(0V)になると、接続ダイオードDb1も順バイアス状態になる。ゲート端子Gt1に順バイアス状態の接続ダイオードDm1とDb1とで接続されているゲート端子Gb1およびゲート端子Gl1の電位は−3Vになる。よって、保持サイリスタB1および発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.5Vになる。しかし、保持信号φbおよび点灯信号φI1(φI)は共に0V(「H」)であるので、いずれの保持サイリスタBおよび発光サイリスタLはターンオンしない。
よって、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどに状態の変化が生じた後をいう。)においては、転送サイリスタT1のみがオン状態にある。
(動作状態)
時刻cにおいて、記憶信号φm1(φm)が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−3Vである記憶サイリスタM1は、ターンオンする。
記憶サイリスタM1がターンオンすると、転送サイリスタT1の場合と同様に、ゲート端子Gm1の電位が「H」(0V)になる。すると、ゲート端子Gm1に接続ダイオードDb1を介して接続されたゲート端子Gb1およびGl1の電位が、−1.5Vになって、保持サイリスタB1および発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。しかし、保持信号φbおよび点灯信号φI1(φI)は共に「H」(0V)であるので、保持サイリスタB1はターンオンせず、発光サイリスタL1もターンオンしないので点灯(発光)しない。
よって、時刻cの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1がオン状態を維持している。
なお、記憶サイリスタM1のカソード端子の電位は、「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた値である−1.5Vになる。しかし、記憶サイリスタM1は抵抗Rn1を介して記憶信号線74に接続されている。このため、記憶信号線74の電位は、「L」(−3.3V)に維持されている。
時刻dにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に、第2転送信号φ2を「H」から「L」に移行する。
「S」は、オン状態にある記憶サイリスタMはオン状態を維持するが、オフ状態にある記憶サイリスタMはターンオンできない電位である。
前述したように、時刻cにおいてターンオンさせる記憶サイリスタMのしきい電圧は−3Vである。しかし、オン状態にある記憶サイリスタMのカソード端子の電位は−1.5Vである。よって、「S」は、ターンオンさせるときのしきい電圧(−3V)より高く、オン状態のカソード端子の電位(−1.5V)より低い電位(−3V<「S」≦−1.5V)に設定される。
よって、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に移行しても、オン状態にある記憶サイリスタM1はオン状態を維持する。
一方、第2転送信号φ2を「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vになっている転送サイリスタT2がターンオンする。
転送サイリスタT2がターンオンすると、ゲート端子Gt2の電位が「H」(0V)まで上昇する。そして、ゲート端子Gt2に結合ダイオードDc2を介してゲート端子Gt3が接続された転送サイリスタT3のしきい電圧が−3Vになる。同様に、ゲート端子Gt2に接続ダイオードDm2を介してゲート端子Gm2(Gl2)が接続された記憶サイリスタM2のしきい電圧が−3Vになる。
このとき、転送サイリスタT1はオン状態を維持しているので、転送サイリスタT3のカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位は、−1.5Vになっている。このため、転送サイリスタT3はターンオンしない。
また、記憶信号φm1(φm)は「S」であるので、記憶サイリスタM2はターンオンしない。
時刻dの直後においては、転送サイリスタT1およびT2がともにオン状態になっているとともに、記憶サイリスタM1もオン状態を維持している。
さて、時刻eにおいて、第1転送信号φ1を「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT1は、カソード端子とアノード端子との電位がともに「H」になるため、ターンオフする。
このとき、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、電源線抵抗Rt1を介して電源線71に接続されているので、電源電位Vgaの−3.3Vになる。一方、ゲート端子Gt2は0Vになっている。よって、結合ダイオードDc1は逆バイアス状態となるので、ゲート端子Gt2が「H」(0V)である影響は、ゲート端子Gt1には及ばない。
すなわち、電位が「H」(0V)になったゲート端子に逆バイアスのダイオードで接続されたゲート端子の電位は、「H」(0V)になったゲート端子からの影響を受けないので、以下では説明を省略する。
時刻eの直後においては、転送サイリスタT2および記憶サイリスタM1がオン状態を維持している。
次に、時刻fにおいて、記憶信号φm1(φm)を「S」から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタM2が新たにターンオンする(図8では+M2 on)。すなわち、既にオン状態にある記憶サイリスタM1に加え、記憶サイリスタM2がオン状態になる。すると、ゲート端子Gm2の電位が「H」(0V)になり、接続ダイオードDb2を介して接続されたゲート端子Gb2およびGl2の電位が−1.5Vになる。これにより、保持サイリスタB2および発光サイリスタL2のしきい電圧が−3Vになる。しかし、保持信号φbおよび点灯信号φI1(φI)は共に「H」(0V)であるので、保持サイリスタB2はターンオンせず、発光サイリスタL2もターンオンしないので点灯(発光)しない。
よって、時刻fの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1およびM2がオン状態を維持している。
時刻gにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に、第1転送信号φ1を「H」から「L」に移行する。
記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」にしても、オン状態にある記憶サイリスタM1、M2はオン状態を維持している。
一方、第1転送信号φ1を「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vとなっている転送サイリスタT3がターンオンする。そして、ゲート端子Gt3の電位が「H」(0V)になって、ゲート端子Gt3に結合ダイオードDc3で接続された転送サイリスタT4のしきい電圧が−3Vになる。同様に、ゲート端子Gt3に接続ダイオードDm3で接続された記憶サイリスタM3のしきい電圧が−3Vになる。
このとき、転送サイリスタT2はオン状態を維持している。よって、転送サイリスタT2のカソード端子が接続された第2転送信号線73の電位は、−1.5Vに維持されているので、転送サイリスタT4はターンオンしない。
また、記憶信号φm1(φm)は「S」であるので、記憶サイリスタM3はターンオンしない。
時刻gの直後においては、転送サイリスタT2およびT3がともにオン状態になっていて、記憶サイリスタM1、M2もオン状態を維持している。
次に、時刻hにおいて、第2転送信号φ2を「L」から「H」にする。すると、時刻eと同様に、転送サイリスタT2がターンオフする。転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、電源線抵抗Rt2を介して、電源電位Vgaの−3.3Vになる。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT3および記憶サイリスタM1、M2がオン状態を維持している。
時刻iにおいて、記憶信号φm1(φm)を「S」から「L」(−3.3V)にすると、時刻fと同様に、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタM3がターンオンする。すると、ゲート端子Gm3の電位が「H」(0V)になるので、ゲート端子Gm3に接続ダイオードDb3を介して接続されたゲート端子Gb3およびGl3の電位が−1.5Vになって、保持サイリスタB3および発光サイリスタL3のしきい電圧が−3Vになる。しかし、保持信号φbおよび点灯信号φI1(φI)は共に「H」(0V)であるので、保持サイリスタB3はターンオンせず、発光サイリスタL3もターンオンしないので点灯(発光)しない。
よって、時刻iの直後においては、転送サイリスタT3および記憶サイリスタM1、M2、M3がオン状態を維持している。
時刻jにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に、第2転送信号φ2を「H」から「L」に移行する。
すると、時刻gと同様に、オン状態にある記憶サイリスタM1、M2、M3はオン状態を維持する。
一方、第2転送信号φ2を「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vとなっている転送サイリスタT4がターンオンする。そして、ゲート端子Gt4の電位が「H」(0V)になって、ゲート端子Gt4に結合ダイオードDc4で接続された転送サイリスタT5のしきい電圧が−3Vになる。同様に、ゲート端子Gt4に接続ダイオードDm4で接続された記憶サイリスタM4のしきい電圧が−3Vになる。
このとき、転送サイリスタT3はオン状態を維持しているので、転送サイリスタT5のカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位は、オン状態の転送サイリスタT3により−1.5Vに維持されている。よって、転送サイリスタT5はターンオンしない。
また、記憶信号φm1(φm)は「S」であるので、記憶サイリスタM4はターンオンしない。
よって、時刻jの直後においては、転送サイリスタT3およびT4がともにオン状態になっていて、記憶サイリスタM1、M2、M3がオン状態を維持している。
時刻kにおいて、第1転送信号φ1を「L」から「H」に移行する。すると、時刻hと同様に、転送サイリスタT3がターンオフする。そして、転送サイリスタT3のゲート端子Gt3は、電源線抵抗Rt3を介して、電源電位Vgaの−3.3Vになる。
よって、時刻kの直後においては、記憶サイリスタM1、M2、M3および転送サイリスタT4がオン状態を維持している。
時刻lにおいて、記憶信号φm1(φm)を「S」から「L」にすると、時刻iと同様に、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタM4がターンオンする。すると、ゲート端子Gm4の電位が「H」(0V)になるので、ゲート端子Gm4に接続ダイオードDb4を介して接続されたゲート端子Gb4およびGl4の電位が−1.5Vになって、保持サイリスタB4および発光サイリスタL4のしきい電圧が−3Vになる。しかし、保持信号φbおよび点灯信号φI1(φI)は共に「H」(0V)であるので、保持サイリスタB4はターンオンせず、発光サイリスタL4もターンオンしないので点灯(発光)しない。
さて、時刻lの直後において、転送サイリスタT4および記憶サイリスタM1、M2、M3、M4がオン状態にある。すなわち、期間T(#A)において、点灯させる発光サイリスタL1、L2、L3、L4に対応する記憶サイリスタM1、M2、M3、M4がオン状態になることにより、点灯させる発光サイリスタL1、L2、L3、L4の位置(番号)に関する情報が記憶サイリスタMに記憶されたことになる。
そして、記憶サイリスタM1、M2、M3、M4がオン状態にあって、それぞれのゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm4がすべて「H」(0V)となっている。このため、これらのゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm4とそれぞれ接続ダイオードDb1、Db2、Db3、Db4で接続された保持サイリスタB1、B2、B3、B4および発光サイリスタL1、L2、L3、L4のしきい電圧はすべて−3Vになっている。
そこで、時刻mにおいて、保持信号φbを「H」から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧がそれぞれ−3Vとなっている保持サイリスタB1、B2、B3、B4がターンオンする。
なお、保持サイリスタBは抵抗Rcを介して保持信号線76に接続されている。よって、1個の保持サイリスタBがオン状態になって、そのカソード端子の電位が−1.5Vになっても、保持信号線76の電位は「L」(−3.3V)を維持する。このため、しきい電圧が「L」より高い、複数の保持サイリスタB(ここでは、保持サイリスタB1、B2、B3、B4)を残らずターンオンさせうる。
保持サイリスタB1、B2、B3、B4がターンオンすると、それぞれのゲート端子Gb1、Gb2、Gb3、Gb4はそれぞれ「H」(0V)になる。ゲート端子Gb1、Gb2、Gb3、Gb4はゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、Gl4に接続されているので、発光サイリスタL1、L2、L3、L4のしきい電圧は−1.5Vになる。
そして、時刻nにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「H」に移行する。すると、オン状態を維持していた記憶サイリスタM1、M2、M3、M4がすべてターンオフする。これにより、記憶サイリスタMから、点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)に関する情報(1、2、3、4)が失われることになる。
しかし、保持サイリスタB1、B2、B3、B4がターンオンし、点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)の情報(1、2、3、4)を維持しているため、記憶サイリスタMから点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)の情報が失われても構わない。すなわち、保持サイリスタBは、記憶サイリスタMが記憶していた点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)の情報を引き継いで保持するする役割を有している。
時刻nにおいて、点灯信号φI1(φI)を「H」から「Le」に移行すると、しきい電圧が−1.5Vになっている発光サイリスタL1、L2、L3、L4がターンオンし、点灯(発光)する。
点灯レベル「Le」は、発光サイリスタL1、L2、L3、L4を点灯させている時刻nから時刻rの期間において、番号が5以上の記憶サイリスタMがオン状態になることで、オン状態になった記憶サイリスタMと同じ番号の発光サイリスタLが点灯(発光)することがないように選択される。前述したように、オン状態になった記憶サイリスタMと同じ番号の発光サイリスタLのしきい電圧は−3Vである。よって、点灯レベル「Le」は発光サイリスタL1〜L4のしきい電圧である−1.5Vより低く且つ−3Vより高く(−3V<「Le」≦−1.5V)設定される。
なお、発光サイリスタLは、抵抗を設けず点灯信号線75に接続されている。しかし、点灯信号φI1は電流駆動されるので、抵抗を介さなくても、発光サイリスタL1、L2、L3、L4をターンオンしうる。本実施の形態では、複数(ここでは4個)の発光サイリスタLを同時に点灯させている。
なお、本実施の形態では、「同時に点灯」とは、点灯信号φI1(φI)が「H」から「Le」になることにより、しきい電圧が「Le」より高い発光サイリスタLが点灯することをいう。このとき、前述したように、発光サイリスタLは複数であってもよい。
同じ時刻nにおいて、第1転送信号φ1を「H」から「L」(−3.3V)に移行し、しきい電圧が−3Vとなっている転送サイリスタT5をターンオンさせている。
よって、時刻nの直後においては、転送サイリスタT4、T5および保持サイリスタB1、B2、B3、B4がオン状態になっていて、発光サイリスタL1〜L4が点灯(オン)状態になっている。
時刻oにおいて、保持信号φbを「L」から「H」に移行すると、オン状態の保持サイリスタB1〜B4がターンオフする。これにより、保持サイリスタBから、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)に関する情報(1、2、3、4)が失われる。しかし、時刻oの前の時刻nにおいて、既に発光サイリスタL1〜L4を点灯させているので、保持サイリスタBから点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)に関する情報が失われても構わない。
また、時刻oにおいて、第2転送信号φ2を「L」から「H」に移行することで、転送サイリスタT4がターンオフする。
よって、時刻oの直後においては、転送サイリスタT5がオン状態であるとともに、発光サイリスタL1〜L4が点灯(オン)状態を維持している。
期間T(#B)の開始時刻pにおいて、記憶信号φmを「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vになっている記憶サイリスタM5がターンオンする。すると、保持サイリスタB5(発光サイリスタL5)のゲート端子Gb5(Gl5)の電位は−1.5Vになる。そして、保持サイリスタB5および発光サイリスタL5のしきい電圧は−3Vになる。
なお、時刻pにおいて、点灯信号φI1(φI)が「Le」になっているが、前述したように、「Le」は−3Vより高い電位であるので、発光サイリスタL5はターンオンせず、オフ(消灯)状態を維持する。
その後、時刻qまでの期間において、期間T(#A)で説明したと同様に、記憶サイリスタM7およびM8をターンオンさせる。なお、発光サイリスタL6は点灯(ターンオン)させないため、記憶サイリスタM6をターンオンさせるタイミングにおいても記憶信号φm1(φm)を「S」に維持し、記憶サイリスタM6をターンオンさせていない。
そして、時刻rにおいて、点灯信号φI1(φI)を「Le」から「H」に移行する。すると、発光サイリスタL1、L2、L3、L4がターンオフして消灯する。
後は、これまで説明したと同様のことが繰り返される。
以上説明したように、本実施の形態では、期間T(#A)において、グループ#Aの4個の発光サイリスタL1〜L4を同時に点灯させるため、記憶サイリスタM1〜M4をターンオンさせて発光サイリスタL1〜L4の位置(番号)に関する情報を記憶させている。次の期間T(#B)において、グループ#Bの3個の発光サイリスタL5、L7、L8を同時に点灯させるため、記憶サイリスタM5、M7、M8をターンオンさせて発光サイリスタL5、L7、L8の位置(番号)に関する情報を記憶させる。
そして、期間T(#A)における時刻nから期間T(#B)における時刻rにおいて、発光サイリスタL1〜L4を同時に点灯(発光)させている。
すなわち、次のグループの点灯させる発光サイリスタLを指定して記憶するステップ(記憶ステップ)と、前のグループの指定された発光サイリスタLを点灯させるステップ(点灯ステップ)とを同時に行なっている。これにより、発光している期間(発光期間)の割合(発光デューティ)を高くしている。
そして、発光デューティを高めるために、記憶サイリスタMと発光サイリスタLの間に保持サイリスタBを設け、オン状態になった記憶サイリスタMによって、発光サイリスタLがターンオンしないようにしている。
なお、前述したように、発光チップC(C1〜C60)は、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2および保持信号φbが共通に供給されて、並行して動作する。そして、発光チップC(C1〜C60)は、画像データに基づいて、点灯させようとする発光サイリスタLを指定する記憶信号φm(φm1〜φm60)が個別に供給されている。そして、2個の発光チップC(C1〜C60)を組にして、組毎に共通に点灯信号φI(φI1〜φI30)が供給されている。点灯信号φIは、ある1つの発光期間(例えば、図8における時刻nから時刻rまでの期間)において、組に属する2個の発光チップCの点灯させる発光サイリスタLの数に応じて電流駆動により電流を供給する。ある1つの発光期間において、点灯させる発光サイリスタLの数は、画像データにて事前に分かっている。よって、点灯させる発光サイリスタLの数に応じて、点灯信号φIに流す電流を設定することは容易である。
本実施の形態では、発光チップC毎に複数の発光サイリスタLを同時に点灯させると共に、発光デューティが高いので、発光部63を用いたプリントヘッド14による感光体ドラム12への書込時間を短くしうる。
このように、本実施の形態では、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBおよび発光サイリスタLを用いている。これにより、図6に示したように、配線(上部配線)の数が増加し、発光チップCの幅が増大するおそれがある。
(下部配線)
図9(a)は、本実施の形態における積層半導体層を用いた下部配線200(電源線71)の構造をより詳細に説明するための平面図である。図9(b)は、図9(a)のIXB−IXB線での断面図である。ここでは、下部配線200を模式的に示しているので、図6(a)および(b)に示したものとは一致しない。
図9(a)に示すように、下部配線200上には、絶縁層85(図9(b)参照)を介して、上部配線210が設けられている。上部配線210の一部は、絶縁層85を除去して設けられたスルーホール(開口)Qを介して、p型電極135に接続されている。上部配線210の一部は、スルーホールQを介して、アイランド150に接続されている。ここでは、図6(a)と異なり、アイランド150を個々に分けずに説明する。上部配線210も個々に分けずに説明する。
なお、詳細な説明は省略するが、図6(a)および(b)で説明したように、アイランド150の最上層がn型の第4半導体層84である場合には、n型の第4半導体層84上にn型電極を設けている。同様に、アイランド150の最上層がp型の第3半導体層83である場合には、p型の第3半導体層83上にp型電極135を設けている。上部配線210は、スルーホールQを介して、これらのn型電極またはp型電極135と接続されている。
図9(b)に示すように、積層半導体層を用いた下部配線200は、p型の半導体である基板80上に積層されたp型の第1半導体層81と、p型の第1半導体層81上に積層されたn型の第2半導体層82と、n型の第2半導体層82上に積層されたp型の第3半導体層83と、さらにp型の第3半導体層83上にオーミック接触する材料にて構成されたp型電極135とを備えている。
そして、下部配線200は、図6(b)では図示しなかったが、露出させたp型の第1半導体層81上に、第2金属層の一例としてのp型の半導体層にオーミック接触する材料により構成されるp型電極136を備えている。さらに、p型電極136と露出させたn型の第2半導体層82とを繋ぐように、n型の半導体層にオーミック接触する材料により構成される第1金属層の一例としての短絡配線126を備えている。短絡配線126は、n型の第2半導体層82に対するn型電極を兼ねている。すなわち、短絡配線126は、p型の第1半導体層81上にp型電極136を間に挟んで形成されている。一方、短絡配線126は、n型の第2半導体層82上に直接形成されている。なお、短絡配線126とp型電極136とは、ともに金属の材料からなるため、オーミック接触が得られている。
さらに、図9(b)では、絶縁層85、絶縁層85に設けられたスルーホールQ、上部配線210を備えている。
次に、下部配線200の動作について説明する。
本実施の形態では、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面共通電極が形成され、基準電位Vsub(0V)が供給されている。これにより、p型の第1半導体層81の電位は基準電位Vsub(0V)になっている。一方、p型電極135には、電源電位Vga(−3.3V)が供給されている。これにより、p型の第3半導体層83の電位は電源電位Vga(−3.3V)になっている。
そして、p型の第1半導体層81とn型の第2半導体層82とは、短絡配線126により接続されているので、同電位になっている。すると、n型の第2半導体層82とp型の第3半導体層83との間のpn接合に、基準電位Vsub(0V)と電源電位Vga(−3.3V)との電位差が印加されている。このとき、n型の第2半導体層82とp型の第3半導体層83との間のpn接合は逆バイアスになるので、pn接合の作る空乏層により、基準電位Vsub(0V)と電源電位Vga(−3.3V)との電位差を保持することになる。GaAs、GaAlAs等の化合物半導体からなるp型の半導体層、n型の半導体層を積層して形成されたpn接合の逆バイアスにおける耐電圧(降伏電圧)は、基準電位Vsub(0V)と電源電位Vga(−3.3V)との電位差より大きい。よって、p型の第3半導体層83上に形成されたp型電極135は、電源電位Vga(−3.3V)に維持されうる。
以上説明したように、積層半導体層を用いた下部配線200では、p型の半導体である基板80と積層半導体層の最上層であるp型の第3半導体層83とに印加された電位に対して、p型の半導体である基板80とp型の第3半導体層83との間にあるpn接合のいずれかが逆バイアスになるように、p型の半導体である基板80とp型の第3半導体層83との間の半導体層(n型の第2半導体層82)の電位を固定すればよいことになる。
なお、本実施の形態では、p型の第3半導体層83とその上に設けられたp型電極135とは同電位である。よって、p型の第3半導体層83とp型電極135とが一体となって配線として働くと考えることができる。ここでは、第8アイランド148の基板80を含んでp型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、p型電極135をまとめて下部配線200と呼ぶ。
なお、n型の第2半導体層82とp型の第1半導体層81とを短絡配線126により同じ電位にしない場合は、n型の第2半導体層82の電位は、不安定な状態(フローティング状態)になってしまう。そして、ノイズ等により、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83が形成するpnpトランジスタが動作して、p型電極135(電源線71)の電源電位Vga(−3.3V)を変動させることが考えられる。すると、発光チップCの動作が不安定になってしまう。
なお、半導体層の電位を固定するためには、半導体層に良好なオーミック接触が得られることが必要である。GaとAsを含むGaAs、GaAlAs等の化合物半導体において、p型の半導体層に対してオーミック接触する材料としては、亜鉛(Zn)含むAu(金)(AuZn)が好ましい。一方、n型の半導体層に対してオーミック接触する材料としては、ゲルマニウム(Ge)を含むAu(AuGe)が好ましい。
なお、下部配線200のp型電極135には、上記したように、AuZnが用いられる。この場合、p型電極135とp型の第3半導体層83とが電源線71として働く。しかし、この電源線71は、AlまたはAl合金を用いた上部配線210と比較すると、抵抗が高い。
電源線71は、図5および図6(a)で示したように、電源線抵抗Rt、Rm、Rbをそれぞれ介して、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタLのゲート端子Gt、Gm、Gb、Glに接続されている。前述したように、電源線71は、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタLがターンオフしたときに、ゲート端子Gt、Gm、Gb、Glの電位を、「H」(0V)から「L」(電源電位Vga(−3.3V))に設定する役割を有している。よって、発光サイリスタLを点灯(発光)するための電流と異なって、電源線71に大きな電流を流すことを要しない。よって、電源線71は、抵抗が高くても用いうる。
(発光チップの製造方法)
発光チップCは、次のように製造される。
p型の半導体である基板80に、p型の第1半導体層81と、n型の第2半導体層82と、p型の第3半導体層83と、n型の第4半導体層84とを順に積層したのち、n型の第4半導体層84の表面から、p型の基板80に到達するまでエッチングすることで、メサ構造の複数のアイランドを構成する(図6(a)および(b)参照)。
その後、下部配線200を構成する第8アイランド148において、p型の第1半導体層81の表面を露出させ、p型電極136を形成する領域を形成する(図9(b)参照)。
次に、同じく第8アイランド148において、n型の第2半導体層82の表面を露出させ、短絡配線126を形成する領域を形成する(図9(b)参照)。
そして、p型の第3半導体層83の表面を露出させ、ゲート端子Gt、Gm、Gb、Glおよび電源線抵抗Rt、Rm、Rb、抵抗Rn、Rc、電流制限抵抗R1、R2、結合ダイオードDcおよび接続ダイオードDm、Dbのアノード端子、p型電極135を形成する領域を形成する(図6(b)参照)。
その後、露出したp型の第1半導体層81上およびp型の第3半導体層83上に、リフトオフにより、p型の半導体層にオーミック接触する材料によるp型電極(p型電極135および136を含む。)を形成する。同様に、露出したn型の第2半導体層82上およびn型の第4半導体層84上に、リフトオフにより、n型の半導体層にオーミック接触する材料によるn型電極および短絡配線126を形成する(図9(b)参照)。
そして、基板80の全面に絶縁層85を形成し、n型電極上およびp型電極上の予め定められた位置に、スルーホールQを形成する。
そして、上部配線210を形成する(図9(b)参照)。
ここで示す製造方法では、n型電極と短絡配線126とを同時に形成しうる。
(下部配線の他の構成)
図10は、積層半導体層を用いた下部配線200(電源線71)の他の構成を説明するための断面図である。図10に示す下部配線200の、図9(b)に示した下部配線200との違いは、短絡配線137をp型の半導体層にオーミック接触する材料にて形成したことにある。このため、n型の第2半導体層82上には、n型の半導体層にオーミック接触する材料にてn型電極127が設けられている。
すなわち、短絡配線137は、p型の第1半導体層81上に直接形成されている。一方、短絡配線137は、n型の第2半導体層82上にn型電極127を間に挟んで形成されている。
この構成例は、前述の製造方法において、短絡配線137をp型の半導体層にオーミック接触する材料で形成すればよい。
図11(a)は、積層半導体層を用いた下部配線200(電源線71)のさらに他の構成を説明するための平面図である。図11(b)は、図11(a)のXIB−XIB線での断面図である。図11(a)および(b)に示す下部配線200の、図9(a)および(b)に示した下部配線200との違いは、短絡配線126とp型電極136とを、第8アイランド148の長手方向(図11(a)および(b)における左右方向)に延伸して設けていることにある。このことにより、n型の第2半導体層82の電位がより安定に固定される。なお、n型の第2半導体層82は、第8アイランド148の長手方向において露出するように加工されている。
この構成は、前述した発光チップCの製造方法で製造しうる。
なお、この構成を、図10に示した構成に適用してもよい。
図12(a)は、積層半導体層を用いた下部配線200(電源線71)の抵抗を低減した構成を説明するための平面図である。図12(b)は、図12(a)のXIIB−XIIB線での断面図である。図12(a)および(b)に示す下部配線200の、図9(a)および(b)に示した下部配線200との違いは、上部配線210が設けられていない下部配線200の部分(p型電極135上)に、スルーホールQを設け、スルーホールQを覆うように、上部配線210を下部配線200に重ね合わせて設けていることにある。スルーホールQを覆う上部配線210により、下部配線200の抵抗を小さくしている。
なお、図12(a)および(b)では、p型電極135上にスルーホールQを第8アイランド148の長手方向にp型電極135に沿って細長く設け、このスルーホールQを覆うように上部配線210を形成した。しかし、スルーホールQを複数設け、複数のスルーホールQを繋ぐように、上部配線210を形成してもよい。
この構成は、前述した発光チップCの製造方法で製造しうる。
図13は、4層の積層半導体層を用いた下部配線205(電源線71)を説明するための断面図である。
これまで説明した下部配線200は、p型の半導体である基板80上に積層されたp型の第1半導体層81と、p型の第1半導体層81上に積層されたn型の第2半導体層82と、n型の第2半導体層82上に積層されたp型の第3半導体層83とからなる3層の積層半導体層と、p型電極135とから構成されていた。
図13に示す下部配線205は、p型の半導体である基板80上に積層されたp型の第1半導体層81と、p型の第1半導体層81上に積層されたn型の第2半導体層82と、n型の第2半導体層82上に積層されたp型の第3半導体層83と、p型の第3半導体層83上に積層されたn型の第4半導体層84とからなる4層の積層半導体層と、n型の第4半導体層84上に設けられたn型電極127から構成されている。
図13では、図9(a)および(b)に示したp型電極136に加え、p型の第3半導体層83上に設けられたp型電極138を新たに備えている。そして、図9(a)および(b)に示した短絡配線126に加え、p型の第3半導体層83上に設けられたp型電極138とn型の第4半導体層84とを跨いで構成される短絡配線128を新たに備えている。
p型の第1半導体層81を基準電位Vsub(0V)に、n型の第4半導体層84を電源電位Vga(−3.3V)に設定すると、p型の第1半導体層81とn型の第2半導体層82とが同電位になり、且つ、p型の第3半導体層83とn型の第4半導体層84とが同電位になる。これにより、n型の第2半導体層82とp型の第3半導体層83との間のpn接合が逆バイアスになって、基準電位Vsub(0V)と電源電位Vga(−3.3V)との電位差を保持する。これにより、下部配線205の電位を安定にしうる。
すなわち、積層半導体層を用いた下部配線205では、p型の半導体である基板80と積層半導体層の最上層であるn型の第4半導体層84とに印加された電位に対して、p型の半導体である基板80とn型の第4半導体層84との間にあるpn接合のいずれかが逆バイアスになるように、p型の半導体である基板80とn型の第4半導体層84との間の半導体層(n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83)の電位を固定すればよいことになる。
なお、図13に示した構成は、前述した発光チップCの製造方法を若干変更することで製造できる。
なお、n型の第2半導体層82およびp型の第3半導体層83の電位を短絡配線126および128により固定しない場合には、n型の第2半導体層82およびp型の第3半導体層83の電位が不安定な状態(フローティング状態)になってしまう。そして、ノイズ等により、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84が形成するpnpnサイリスタがオン状態(ラッチアップ)になって、n型電極127(電源線71)の電源電位Vga(−3.3V)を変動させることが考えられる。すると、発光チップCの動作が不安定になってしまう。
以上説明したように、下部配線を構成する積層半導体層のいずれかのpn接合を逆バイアスするように、積層半導体層の半導体層の電位を固定することで、下部配線の電位の安定が向上する。積層半導体層の半導体の電位の固定は、本実施の形態で示した方法に限らない。また、下部配線を構成する積層半導体層の基板と最上層の半導体層とに印加される電位の極性も、積層半導体層の半導体の電位の固定の方法を変更することにより、変更しうる。
本実施の形態では、図5に示した自己走査型発光素子アレイ(SLED)について説明したが、保持サイリスタBを有さない構成のSLED、記憶サイリスタMおよび保持サイリスタBを有さない構成のSLEDなど他の構成のSLEDにも適用できることは明らかである。
また、積層半導体層を利用した下部配線200は、電源電位Vgaを供給する電源線71に用いたが、他の信号線などに用いてもよい。
さらに、上部配線210は、1層としたが、2層以上の多層配線であってもよい。
本実施の形態では、p型の半導体である基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84を順に積層した。しかし、p型の半導体である基板80がp型の第1半導体層81を兼ねることで、p型の第1半導体層81を省略してもよい。
また、本実施の形態では、アノードコモンのサイリスタを用いたが、n型の半導体である基板上に、n型の半導体層、p型の半導体層、n型の半導体層、p型の半導体層を順次積層して構成されるカソードコモンのサイリスタも、回路の極性を変更することによって用いうる。
1…画像形成装置、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、13…帯電器、14…プリントヘッド、15…現像器、24…定着器、61…ハウジング、62…回路基板、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、80…基板、81…p型の第1半導体層、82…n型の第2半導体層、83…p型の第3半導体層、84…n型の第4半導体層、100…信号発生回路、T…転送サイリスタ、M…記憶サイリスタ、B…保持サイリスタ、L…発光サイリスタ、200、205…下部配線、210…上部配線、126、128、137…短絡配線

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも4層積層した第1積層半導体層により構成されるpnpn構造の複数の発光サイリスタと、
    前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも3層積層した第2積層半導体層により構成され、当該基板と前記第2積層半導体層の最上層の半導体層とに印加された電位に対して、当該基板と前記最上層の半導体層と間のいずれかのpn接合が逆バイアスになるように、当該最上層の半導体層と当該基板との間の半導体層の電位が固定された下部配線と、
    前記下部配線上に、絶縁層を挟んで当該下部配線と交差するように設けられた上部配線と
    を備えることを特徴とする発光チップ。
  2. 前記下部配線における前記第2積層半導体層は、メサ構造に加工されていることを特徴とする請求項1に記載の発光チップ。
  3. 前記下部配線における前記第2積層半導体層は、前記最上層の半導体層上に、当該最上層の半導体層に対して、オーミック接触する材料による電極をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光チップ。
  4. 前記下部配線における前記第2積層半導体層は、隣接する異なる導電型の半導体層の一方にオーミック接触する材料で形成された第1金属層が、他方にオーミック接触する材料で形成された第2金属層上に延伸して積層されて、前記基板と前記最上層の半導体層との間の半導体層の電位が固定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光チップ。
  5. 前記第1金属層および前記第2金属層は、前記下部配線の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の発光チップ。
  6. 前記下部配線の一部は、当該下部配線上の絶縁膜に設けられた開口上に前記上部配線が重ね合わされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光チップ。
  7. 前記第1積層半導体層および前記第2積層半導体層を構成する半導体層がガリウム(Ga)および砒素(As)を含む化合物半導体からなり、導電型がp型である半導体層にオーミック接触する材料が亜鉛(Zn)を含む金(Au)(AuZn)であって、導電型がn型である半導体層にオーミック接触する材料がゲルマニウム(Ge)を含む金(Au)(AuGe)であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光チップ。
  8. 基板と、前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも4層積層した第1積層半導体層により構成されるpnpn構造の複数の発光サイリスタと、当該基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも3層積層した第2積層半導体層により構成され、当該基板と前記第2積層半導体層の最上層の半導体層とに印加された電位に対して、当該基板と前記最上層の半導体層と間のいずれかのpn接合が逆バイアスになるように、当該最上層の半導体層と当該基板との間の半導体層の電位が固定された下部配線と、前記下部配線上に、絶縁層を挟んで当該下部配線と交差するように設けられた上部配線とを備える発光チップを備え、像保持体を露光する露光手段と、
    前記露光手段から照射される光を前記像保持体に結像させる光学手段と
    を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
  9. 像保持体を帯電する帯電手段と、
    基板と、前記基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも4層積層した第1積層半導体層により構成されるpnpn構造の複数の発光サイリスタと、当該基板上に、当該基板を含んで導電型の異なる半導体層を少なくとも3層積層した第2積層半導体層により構成され、当該基板と前記第2積層半導体層の最上層の半導体層とに印加された電位に対して、当該基板と前記最上層の半導体層と間のいずれかのpn接合が逆バイアスになるように、当該最上層の半導体層と当該基板との間の半導体層の電位が固定された下部配線と、前記下部配線上に、絶縁層を挟んで当該下部配線と交差するように設けられた上部配線とを備える発光チップを備え、前記像保持体を露光する露光手段と、
    前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、
    前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
    前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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