JP2011057973A - デスクマット - Google Patents
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Abstract
【課題】 塩素含有樹脂を主原料の一つとするデスクマットに関し、低揮散性、耐転写性、及び透明性に優れ、植物由来度を有することもできるデスクマットを提供する。
【解決手段】 塩素含有樹脂を主とする成分Aと、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを含有し、ガラス転移温度が単一であるデスクマットを提案する。
【選択図】 なし
【解決手段】 塩素含有樹脂を主とする成分Aと、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを含有し、ガラス転移温度が単一であるデスクマットを提案する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、塩素を含有する樹脂組成物を成形してなるデスクマット、詳しくは、柔軟性、低揮散性、耐転写性及び透明性に優れ、植物由来度を有することもできるデスクマットに関する。
デスクマットは、主に机上に敷くシート体であり、例えば紙面に文字を書いた場合に机の傷等が紙面に転写されないようにする、いわゆる下敷きの役割を果たす他、透明なデスクマットと机の間に書類を挟みこんで、いつでも書類を目につくようにしておくことができるため、文具として広く使用されている。
この種のデスクマットには、マット上で文字などを書いた際に筆圧で筆跡が残らない程度の弾性のほか、挟み込んだ印刷物のインクや、紙に裏写りしたペンのインクなどが転写しない程度の耐転写性、さらには挟み込んだ印刷物を目につくようにすることのできる透明性などが求められる。
従来、こうしたデスクマットは主に塩化ビニル系樹脂から作られていたが、特に耐転写性に問題があったため、この点を改良するために複数の技術開発がなされてきた。
例えば特許文献1には、塩化ビニル系樹脂と、エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体とを含有する樹脂組成物から形成されるデスクマットが開示されている。
特許文献2には、バージン樹脂とリサイクル樹脂がともに塩化ビニル系樹脂であり、中間層にリサイクル樹脂を含有する、少なくとも3層からなるデスクマットが開示され、これによってリサイクル樹脂からの添加剤のブリードや、耐転写性の悪化を防止することができ、環境保護も可能である旨が示されている。
また、特許文献3には、移行防止層を形成するデスクマットが開示され、これによって耐転写性が一定のレベルで改善された旨が記載されている。
特許文献2には、バージン樹脂とリサイクル樹脂がともに塩化ビニル系樹脂であり、中間層にリサイクル樹脂を含有する、少なくとも3層からなるデスクマットが開示され、これによってリサイクル樹脂からの添加剤のブリードや、耐転写性の悪化を防止することができ、環境保護も可能である旨が示されている。
また、特許文献3には、移行防止層を形成するデスクマットが開示され、これによって耐転写性が一定のレベルで改善された旨が記載されている。
しかし、特許文献1や特許文献2に開示されているデスクマットは、結局のところ塩化ビニル樹脂に添加する低分子量の安定剤や可塑剤が徐々に表面に滲出するため、長期間使用すると表面がべとつくなど、低揮散性、耐転写性、透明性などの点で改良の余地が多くあった。
また、特許文献3に開示されているデスクマットは、結局のところ移行防止層を1層形成しないといけないため工程が増え、生産性があげられない問題や、リサイクルが困難になるなど、なお改良の余地が多くあった。
また、特許文献3に開示されているデスクマットは、結局のところ移行防止層を1層形成しないといけないため工程が増え、生産性があげられない問題や、リサイクルが困難になるなど、なお改良の余地が多くあった。
他方、近年石油由来原料から製造される樹脂は、埋め立て処分するにしても化学的安定性が高く自然環境下ではほとんど分解しないため、半永久的に土中に残留することになる。また、焼却処分するにしても、燃焼時の発熱量が大きいために燃焼処理中に燃焼炉を傷める恐れがあるばかりか、燃焼処理によって二酸化炭素が排出されるなど環境への影響が懸念される。特に京都議定書の締結以来、排出二酸化炭素の削減の機運が急速に高まり、その中で植物由来度を有する樹脂等の循環型材料への移行が進められている。
そこで本発明は、塩化ビニル樹脂などの塩素含有樹脂を主成分とするデスクマットに関する従来の課題に鑑み、デスクマットとしての柔軟性を備えていることは勿論、移行防止層を設けることなく、低揮散性、耐転写性及び透明性に優れ、好ましくは植物由来度を有することもできる、新たなデスクマットを提供せんとするものである。
本発明は、下記成分Aと、下記成分Bと、エポキシ基含有樹脂を含有するデスクマットであって、下記成分Aと下記成分Bの含有量の質量比が99:1〜40:60の範囲であり、かつガラス転移温度が単一であることを特徴とするデスクマットを提供するものである。
成分A:塩素含有樹脂を主とする成分
成分B:コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分
成分A:塩素含有樹脂を主とする成分
成分B:コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分
本発明のデスクマットは、塩素含有樹脂を主とする成分Aと、これと相溶する所定の樹脂を主とする成分Bとを特定の比率で含有し、さらにこれらと相溶するエポキシ基含有樹脂を含有するため、デスクマットとしての柔軟性を備えていることは勿論、移行防止層を設けることなく、デスクマットに要求される低揮散性、耐転写性及び透明性を顕著に高めることができ、さらには植物由来度を有することもできるため、学習机のデスクマット等に好適に利用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としてのデスクマット(以下、「本デスクマット」という)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本デスクマット>
本デスクマットは、所定のA成分と、所定のB成分とを所定比率で含有し、さらにエポキシ基含有樹脂を含有する塩素含有樹脂組成物Xを成形して得ることができる。
本デスクマットは、所定のA成分と、所定のB成分とを所定比率で含有し、さらにエポキシ基含有樹脂を含有する塩素含有樹脂組成物Xを成形して得ることができる。
(成分A)
本デスクマットにおける成分Aは、塩素含有樹脂を主とする成分である。
本デスクマットにおける成分Aは、塩素含有樹脂を主とする成分である。
前記成分Aに用いることができる塩素含有樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン単独重合樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂、塩化ビニル−プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル−イソブチレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニル−ウレタン共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合樹脂、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニル−ブタジエン共重合樹脂、塩化ビニル−イソプレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニル−マレイミド共重合樹脂などの塩化ビニル共重合樹脂を挙げることができ、これらのうちの1種を使用することも、又は2種類以上を併用することもできる。
また、例示したこれらの樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィンとの共重合樹脂、また、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、スチレンと他の単量樹脂(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合樹脂なども使用することができる。
さらにまた、後塩素化塩化ビニル樹脂も使用することができる。
また、例示したこれらの樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィンとの共重合樹脂、また、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、スチレンと他の単量樹脂(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合樹脂なども使用することができる。
さらにまた、後塩素化塩化ビニル樹脂も使用することができる。
後塩素化塩化ビニル樹脂としては、塩素化前の塩化ビニル樹脂の平均重合度が500〜1400であるものが好ましい。平均重合度が500以上であれば、耐衝撃性を維持することができる一方、平均重合度が1400以下であれば、溶融流動性を維持することができ、成形が容易である。
後塩素化塩化ビニル樹脂の平均塩素含有量は、58〜70質量%、特に60〜70質量%であるのが好ましい。平均塩素含有量が少な過ぎると、耐熱性が低下し変形が発生しやすくなり、逆に多過ぎると、流動性が大きく低下し、成形が困難となる。
後塩素化塩化ビニル樹脂の平均塩素含有量は、58〜70質量%、特に60〜70質量%であるのが好ましい。平均塩素含有量が少な過ぎると、耐熱性が低下し変形が発生しやすくなり、逆に多過ぎると、流動性が大きく低下し、成形が困難となる。
塩化ビニリデン樹脂としては、塩化ビニリデンの単独重合樹脂及び共重合樹脂を挙げることができる。中でも、熱分解温度と融点に差のあるもの、すなわち共重合樹脂を用いるのが好ましい。
このような塩化ビニリデンの共重合樹脂としては、塩化ビニリデンと、公知のラジカル重合性モノマーを単独或いは2種以上とを共重合させたものを用いることができる。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸又はメタアクリル酸等の不飽和脂肪酸及びこれらのエステル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルケトン類、エチレンやプロピレン等のオレフィン類、n−メチルアクリルアミド、シクロヘキシルマレイミド等の特種官能基を含有するモノマー等を挙げることができる。
このような塩化ビニリデンの共重合樹脂としては、塩化ビニリデンと、公知のラジカル重合性モノマーを単独或いは2種以上とを共重合させたものを用いることができる。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸又はメタアクリル酸等の不飽和脂肪酸及びこれらのエステル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルケトン類、エチレンやプロピレン等のオレフィン類、n−メチルアクリルアミド、シクロヘキシルマレイミド等の特種官能基を含有するモノマー等を挙げることができる。
塩化ビニリデンと前記モノマーとの共重合樹脂の組成は、特に限定されないが、難燃性を満足させるには、塩化ビニリデンが65〜99質量%、好ましくは80〜97質量%である組成を選定するのが好ましい。
また、塩化ビニリデンと前記モノマーとの共重合樹脂の分子量は、特に限定するものではないが、加工性、成形樹脂の物性等の点で、質量平均分子量として3万〜15万、特に4万〜12万であるのが好ましい。
これら重合樹脂の重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、気相重合等を用いることができるが、良好な粉状樹脂を安価に得る方法として懸濁重合を用いるのが好ましい。
また、塩化ビニリデンと前記モノマーとの共重合樹脂の分子量は、特に限定するものではないが、加工性、成形樹脂の物性等の点で、質量平均分子量として3万〜15万、特に4万〜12万であるのが好ましい。
これら重合樹脂の重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、気相重合等を用いることができるが、良好な粉状樹脂を安価に得る方法として懸濁重合を用いるのが好ましい。
塩素含有樹脂の平均重合度は、300〜2,000であるのが好ましく、より好ましくは500〜1,500である。平均重合度が小さ過ぎると、成形樹脂が充分な強度とならないおそれがあり、大きすぎれば、成形加工時に充分に混練させることが難しく、加工性が低下するおそれがある。
前記塩素含有樹脂のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、50〜120℃の範囲内であるのが好ましく、成形加工性の面から特に70℃以上、或いは90℃以下であるのがより一層好ましい。
さらに、成分Aは、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や、市販の安定剤、滑剤、衝撃改良剤、加工助剤、耐熱向上剤、艶消し剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、難燃剤、蛍光造白剤、防黴剤、金属不活性剤、顔料、染料、抗酸化剤、光安定剤などを含有してもよい。
(成分B)
成分Bは、成分A及びエポキシ基含有樹脂と完全相溶することが重要である。
ここで、「完全相溶する」とは、成分B、成分A及びエポキシ基含有樹脂の混合樹脂のガラス転移温度が単一であることを意味し(この点は後で詳述する)、成分B、成分A及びエポキシ基含有樹脂が分子レベルで相溶し、海島構造をとらないようになる。
成分Bは、成分A及びエポキシ基含有樹脂と完全相溶することが重要である。
ここで、「完全相溶する」とは、成分B、成分A及びエポキシ基含有樹脂の混合樹脂のガラス転移温度が単一であることを意味し(この点は後で詳述する)、成分B、成分A及びエポキシ基含有樹脂が分子レベルで相溶し、海島構造をとらないようになる。
このような成分Bとして、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分(以下、「成分B樹脂」という。)を挙げることができる。
このような成分B樹脂はいずれも軟質樹脂であって、かつ塩素含有樹脂を主とする成分A及びエポキシ基含有樹脂と相溶する特性を備えているため、前記成分A及びエポキシ基含有樹脂とブレンドすることにより低揮散性、及び透明性を顕著に高めることができる。
さらに、前記成分B樹脂には、本発明の特徴を損なわない範囲で1,4ブタンジオール以外のジオールを共重合させてもよい。使用することができるジオールとしては、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。これらは2種類以上を併用することもできる。
また、前記成分B樹脂には、本発明の特徴を損なわない範囲で、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のジカルボン酸を共重合させてもよい。使用することができるジカルボン酸としては、例えばスベリン酸、セバシン酸、イタコン酸、ドデカン二酸、セルロース酢酸等が挙げられる。これらは2種類以上を併用することもできる。
好適に用いることができる成分B樹脂としては、例えばポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)などを挙げることができる。
これらの中でも、植物由来成分であるコハク酸を利用したポリブチレンサクシネート(PBS)やポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)が特に好ましい。
これらの中でも、植物由来成分であるコハク酸を利用したポリブチレンサクシネート(PBS)やポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)が特に好ましい。
さらに、成分B樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有してもよい。
この際、脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステル等を挙げることができる。
これらに光学異性樹脂が存在する場合には、D樹脂、L樹脂またはラセミ樹脂の何れでもよく、形態としては固樹脂、液樹脂または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、成分B樹脂を構成する単量樹脂成分全樹脂を基準(100モル%)として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
この際、脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステル等を挙げることができる。
これらに光学異性樹脂が存在する場合には、D樹脂、L樹脂またはラセミ樹脂の何れでもよく、形態としては固樹脂、液樹脂または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、成分B樹脂を構成する単量樹脂成分全樹脂を基準(100モル%)として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
また、成分B樹脂は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物」または「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合させたものであると、得られる成分B樹脂の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン等を挙げることができる。
4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、例えばプロパントリカルボン酸またはその酸無水物を挙げることができる。
4官能の多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、例えばシクロペンタンテトラカルボン酸またはその酸無水物等を挙げることができる。
これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、例えばプロパントリカルボン酸またはその酸無水物を挙げることができる。
4官能の多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、例えばシクロペンタンテトラカルボン酸またはその酸無水物等を挙げることができる。
これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。
4官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
4官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、成分B樹脂を構成する単量樹脂全樹脂を基準(100モル%)として、下限は通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
目的とする重合度の成分B樹脂を得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。
また、成分B樹脂には、本発明の特徴に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エーテル結合等を導入することができる。
また、成分B樹脂には、本発明の特徴に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エーテル結合等を導入することができる。
成分B樹脂のガラス転移温度(Tg)は−80℃〜30℃の範囲であるのが好ましい。成分B樹脂のTgが−80℃以上であれば実用物性を発現することができ、30℃以下であれば常温での粘着効果が強すぎて成形加工性に劣るというような問題を生じることもない。
よって、成分B樹脂のガラス転移温度(Tg)は−60℃以上或いは0℃以下の範囲であるのがさらに好ましく、特に−50℃以上或いは−20℃以下であるのがより一層好ましい。
よって、成分B樹脂のガラス転移温度(Tg)は−60℃以上或いは0℃以下の範囲であるのがさらに好ましく、特に−50℃以上或いは−20℃以下であるのがより一層好ましい。
成分B樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、下限は通常0.1g/10分以上である。また上限は、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
成分B樹脂の分子量は、質量平均分子量が5万〜40万の範囲であるのが好ましく、特に10万〜30万の範囲のものがさらに好ましい。
成分B樹脂の質量平均分子量が5万以上であれば、実用物性を発現することができ、また、40万以下であれば溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣るというような問題を生じることもない。
成分B樹脂の質量平均分子量が5万以上であれば、実用物性を発現することができ、また、40万以下であれば溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣るというような問題を生じることもない。
成分B樹脂としては、市販された製品を使用することもできる。例えばBASF(株)製の「Ecoflex」シリーズ、三菱化学(株)製の「GSPla」シリーズ、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ」シリーズ、ダイセル化学(株)製の「セルグリーン」シリーズ等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。
(エポキシ基含有樹脂)
本デスクマットにエポキシ基含有樹脂を含有させることは、成分A及び成分Bと完全相溶させることができる上、揮散性や黄変度の著しい低減を図ることができるという観点から重要である。
本デスクマットにエポキシ基含有樹脂を含有させることは、成分A及び成分Bと完全相溶させることができる上、揮散性や黄変度の著しい低減を図ることができるという観点から重要である。
エポキシ基含有樹脂は、樹脂であるから、エポキシ基含有液状物等の非樹脂物を含むものではない。例えばエポキシ化植物油は、エポキシ基含有樹脂に比べて融点が顕著に低いため、本デスクマットの表面に溶出して耐転写性を悪化させる等の問題を生じることになるが、エポキシ基含有樹脂はこのような問題がない点で優れている。
本デスクマットに用いるエポキシ基含有樹脂は、融点が30℃以上、中でも60℃以上、その中でも特に70℃以上であるものが好ましい。エポキシ基含有樹脂の融点が30℃以上であれば、常温使用時にブリードするのを防止することができる。その一方、200℃を超えると成形温度では溶融せず外観、物性が悪化するため、好ましくない。
また、本デスクマットに用いるエポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は、100g/eq以上250g/eq未満、特に100g/eq以上或いは200g/eq未満の範囲にあることが好ましい。エポキシ当量が250g/eq未満であることによって、耐熱性やその持続性を維持することができ、エポキシ当量が100g/eq以上であることによって、成分A、Bに対する分散性が良好となり、特性のバラツキが生じにくいため好ましい。
このようなエポキシ基含有樹脂のうち、本デスクマットに用いるものとしては、ビフェニル型エポキシ樹脂やグリシジル変性アクリル樹脂が、揮散性や黄変度とブリード性の観点から特に好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂は、下記の一般式で表すことができる。
(但し前記式中、mは0〜4の整数、R0は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、クロロ基、ブロモ基から選ばれる1種以上を示し、各(R0)mは同一であっても、異なっていてもよい。)
ビフェニル型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラエチルビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラブチルビフェニルなどが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
他方、グリシジル変性アクリル樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート単位の共重合体であり、グリシジル(メタ)アクリレート単位以外にも、その他の単量体単位を含有してもよい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸等の酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物単量体単位;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体の単量体単位;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体単位等が挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。中でも、メチルメタクリレートを含有するものが好ましい。
前記のようなグリシジル変性アクリル樹脂としては、例えば、マープルーフG−01100(日本油脂(株)製;エポキシ当量170g/eq)、メタブレンKP−6562(三菱レイヨン(株)製;エポキシ当量200g/eq)等の商品名で市販されている。
また、ビフェニル型エポキシ樹脂としてはJER製「Y6677」(エポキシ当量160g/eq)JER製「Y4000」(エポキシ当量186g/eq)等の商品名で市販されている。
また、ビフェニル型エポキシ樹脂としてはJER製「Y6677」(エポキシ当量160g/eq)JER製「Y4000」(エポキシ当量186g/eq)等の商品名で市販されている。
エポキシ基含有樹脂の含有量が少なすぎると黄変度が悪化する傾向があり、多すぎると揮散性が悪化するため、エポキシ基含有樹脂の含有量は、前記成分A及び成分Bの合計含有量を100質量部とする場合に、0.1〜20質量部とするのが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
(その他の成分)
塩素含有樹脂組成物Xは、前記の成分A、成分B、及びエポキシ基含有樹脂以外に、必要に応じて適宜添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、衝撃改良材、加工助剤、防曇剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、可塑剤などを挙げることができる。これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の所望とする物性を阻害することのない範囲において適宜決定することができる。
塩素含有樹脂組成物Xは、前記の成分A、成分B、及びエポキシ基含有樹脂以外に、必要に応じて適宜添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、衝撃改良材、加工助剤、防曇剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、可塑剤などを挙げることができる。これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の所望とする物性を阻害することのない範囲において適宜決定することができる。
(塩素含有樹脂組成物X)
塩素含有樹脂組成物Xは、前記の成分Aと、前記の成分Bと、前述したエポキシ基含有樹脂とを含有する塩素含有樹脂組成物であって、ガラス転移温度が単一であることが重要である。
塩素含有樹脂組成物Xは、前記の成分Aと、前記の成分Bと、前述したエポキシ基含有樹脂とを含有する塩素含有樹脂組成物であって、ガラス転移温度が単一であることが重要である。
塩素含有樹脂組成物Xのガラス転移温度が単一であるとは、前記樹脂組成物Xについて歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)により測定される損失弾性率(E”)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失弾性率(E”)の極大値が1つ存在するという意味である。前記樹脂組成物Xのガラス転移温度が単一であることにより、得られるデスクマットが優れた透明性を実現できる。
前記樹脂組成物Xのガラス転移温度が単一であることは、前記樹脂組成物Xについて上記動的粘弾性測定において測定される損失正接(tanδ)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失正接(tanδ)の極大値が1つ存在するものであるということもできる。
また、上記動的粘弾性測定のほか、示差走査熱量測定などによってもガラス転移温度が単一であることを確認することができる。具体的には、JIS K7121に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示す変曲点が1つだけ現れるものであるということもできる。
また、上記動的粘弾性測定のほか、示差走査熱量測定などによってもガラス転移温度が単一であることを確認することができる。具体的には、JIS K7121に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示す変曲点が1つだけ現れるものであるということもできる。
一般的にポリマーブレンド組成物のガラス転移温度が単一であるということは、混合する樹脂がナノメートルオーダー(分子レベル)で相溶した状態にあることを意味し、相溶している系と認めることができる。
前記樹脂組成物Xのガラス転移温度は、上記の動的粘弾性の温度分散測定により測定される損失弾性率(E”)の主分散のピーク値を示す温度で表されるものであり、該ガラス転移温度が前記塩素含有樹脂のガラス転移温度以上、前記成分B樹脂のガラス転移温度以下の範囲にあることが好ましい。
さらに、前記樹脂組成物Xのガラス転移温度は−60℃以上、20℃未満であることが好ましく、−55℃以上、20℃未満であることがより好ましく、中でも−40℃以上、5℃未満であることがさらに好ましい。前記樹脂組成物Xのガラス転移温度をかかる範囲内とすることで、常温の弾性に優れたデスクマットを提供することができる。
前記樹脂組成物Xにおいて、成分Aと成分Bの含有量の質量比は99:1〜40:60の範囲であることが重要である。前記質量比は90:10〜50:50の範囲であることがより好ましく、80:20〜60:40の範囲であることが特に好ましい。
成分Aと成分Bの含有量の質量比が99:1を超えて成分Aが多くなると、十分な軟質化効果を得ることが困難になるため好ましくない。一方、質量比が40:60を超えて成分Bが多くなると、溶融張力が低下しシートの製膜性が悪化したり、分散性が悪化したりするため好ましくない。
成分Aと成分Bの含有量の質量比が99:1を超えて成分Aが多くなると、十分な軟質化効果を得ることが困難になるため好ましくない。一方、質量比が40:60を超えて成分Bが多くなると、溶融張力が低下しシートの製膜性が悪化したり、分散性が悪化したりするため好ましくない。
前記樹脂組成物X中の植物由来成分の割合としては、25質量%以上であるのが好ましく、特に30質量%以上、その中でも40質量%以上であるのがさらに好ましい。上限値としては、成分B樹脂を構成する植物由来割合の観点から90質量%程度である。
(本デスクマット)
前記樹脂組成物Xから本デスクマットを成形する方法は、特に限定するものではなく、例えばTダイを使用した押出キャスト法やカレンダー法などいずれでもよい。
前記樹脂組成物Xから本デスクマットを成形する方法は、特に限定するものではなく、例えばTダイを使用した押出キャスト法やカレンダー法などいずれでもよい。
本デスクマットの厚みは、好ましくは1mm〜5mmの範囲であり、さらに好ましくは2mm以上或いは4mm以下である。
本デスクマットは、低揮散性に優れており、該マットのアウトガス量を15ng/cm3未満、好ましくは10ng/cm3未満とすることができる。
アウトガス量をかかる範囲とするためには、例えば成分Bの量を前述した範囲内で適宜調整する手段を挙げることができる。但し、この調整手段に限定するものではない。
アウトガス量をかかる範囲とするためには、例えば成分Bの量を前述した範囲内で適宜調整する手段を挙げることができる。但し、この調整手段に限定するものではない。
本デスクマットは、耐転写性に優れており、オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに黄色の油性マジックで文字等を書き込んだ絵柄層を表面に接触させ、2kg荷重の元で70℃×24時間経過した後において、絵柄が少しだけ転写するが実用上問題がない状態とすることができる。さらに好ましくは、全く転写していない状態とすることもできる。
本デスクマットは、透明性に優れており、JIS K7105に基づきヘーズメーターで測定したヘーズを、10.0%未満、より好ましくは7.0%未満、特に好ましくは5.0%未満とすることができる。さらに、黄変度(YI値)に関しては、20.0%未満、より好ましくは15.0%未満、特に好ましくは10.0%未満とすることができる。
ヘーズやYI値をかかる範囲とするためには、例えば成分Aと成分Bの比率を前述した範囲内で適宜調整する手段を挙げることができる。但し、この調整手段に限定するものではない。
ヘーズやYI値をかかる範囲とするためには、例えば成分Aと成分Bの比率を前述した範囲内で適宜調整する手段を挙げることができる。但し、この調整手段に限定するものではない。
<用語の説明>
本発明において、「P〜Q」(P,Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「P以上Q以下」の意と共に、「好ましくはPより大きい」及び「好ましくはQより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「P以上」(Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはPより大きい」の意を包含し、「Q以下」(Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはQより小さい」の意を包含する。
本発明において、「P〜Q」(P,Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「P以上Q以下」の意と共に、「好ましくはPより大きい」及び「好ましくはQより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「P以上」(Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはPより大きい」の意を包含し、「Q以下」(Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはQより小さい」の意を包含する。
また、本発明において「Rを主とする成分S」とは、当該成分S中においてRの占める割合が50質量%を超え、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90%質量以上であって、100質量%を包含する概念である。
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
<原料>
先ず、実施例及び比較例で使用した原料について説明する。
先ず、実施例及び比較例で使用した原料について説明する。
(成分A)
塩化ビニル樹脂として、平均重合度780、分子量4万、Tg82℃の塩化ビニル樹脂を用いた。
なお、塩化ビニル樹脂100質量部に対して以下の添加剤を添加している。
ステアリン酸カルシウム:0.5質量部
ステアリン酸亜鉛:0.5質量部
ハイドロタルサイト:0.3質量部
滑剤:2.5質量部
塩化ビニル樹脂として、平均重合度780、分子量4万、Tg82℃の塩化ビニル樹脂を用いた。
なお、塩化ビニル樹脂100質量部に対して以下の添加剤を添加している。
ステアリン酸カルシウム:0.5質量部
ステアリン酸亜鉛:0.5質量部
ハイドロタルサイト:0.3質量部
滑剤:2.5質量部
(成分B)
(B−1)1,4−ブタンジオールとコハク酸の縮重合体であるポリブチレンサクシネート(分子量約25万、Tg−30℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)3g/10分、植物由来成分100%)を用いた。
(B−2)1,4−ブタンジオールとコハク酸とアジピン酸の縮重合体であるポリブチレンサクシネートアジペート(分子量約16万、Tg−40℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)4.5g/10分、植物由来成分85.7%)を用いた。
(B−3)1、4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の縮重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレート(分子量約15万、Tg−28℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)2.5g/10分、植物由来成分0%)を用いた。
(B−1)1,4−ブタンジオールとコハク酸の縮重合体であるポリブチレンサクシネート(分子量約25万、Tg−30℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)3g/10分、植物由来成分100%)を用いた。
(B−2)1,4−ブタンジオールとコハク酸とアジピン酸の縮重合体であるポリブチレンサクシネートアジペート(分子量約16万、Tg−40℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)4.5g/10分、植物由来成分85.7%)を用いた。
(B−3)1、4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の縮重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレート(分子量約15万、Tg−28℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)2.5g/10分、植物由来成分0%)を用いた。
(エポキシ基含有樹脂)
エポキシ基含有樹脂としては、グリシジルメタクリレート共重合体である三菱レイヨン製「メタブレンKP−6562」(分子量4万、融点140℃、エポキシ当量200g/eq)と、ビフェニル型エポキシ樹脂であるJER製「Y4000」(分子量362、融点105℃、エポキシ当量186g/eq)を用いた。
エポキシ基含有樹脂としては、グリシジルメタクリレート共重合体である三菱レイヨン製「メタブレンKP−6562」(分子量4万、融点140℃、エポキシ当量200g/eq)と、ビフェニル型エポキシ樹脂であるJER製「Y4000」(分子量362、融点105℃、エポキシ当量186g/eq)を用いた。
(エポキシ基含有液状物)
エポキシ基含有液状物として、エポキシ化大豆油であるダイセル化学工業社製の商品名「S300」(分子量1000、融点5℃、植物由来成分の割合95質量%)を用いた。
エポキシ基含有液状物として、エポキシ化大豆油であるダイセル化学工業社製の商品名「S300」(分子量1000、融点5℃、植物由来成分の割合95質量%)を用いた。
(可塑剤)
ポリエステル系可塑剤として、大日本インキ社製の商品名「W−360EL」を用いた。
アジピン酸エステル系可塑剤として、新日本理化社製の商品名「サンソサイザーDINA」を用いた。
ポリエステル系可塑剤として、大日本インキ社製の商品名「W−360EL」を用いた。
アジピン酸エステル系可塑剤として、新日本理化社製の商品名「サンソサイザーDINA」を用いた。
<サンプルの作製>
表1(各原料の含有量は質量部で示す)に示した割合で成分A、成分B、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有液状物及び可塑剤を秤量し、これらをヘンシェルミキサーで混合後、単軸押出機を用いて樹脂温度が200℃となるように設定し、Tダイ法にて溶融押出製膜を行い、厚み3mmのシート(サンプル)を得た。
表1(各原料の含有量は質量部で示す)に示した割合で成分A、成分B、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有液状物及び可塑剤を秤量し、これらをヘンシェルミキサーで混合後、単軸押出機を用いて樹脂温度が200℃となるように設定し、Tダイ法にて溶融押出製膜を行い、厚み3mmのシート(サンプル)を得た。
<評価方法>
上記で得られたサンプルについて、以下の方法で測定・評価を行い、結果を表1に示した。なお、シート製膜時の流れ方向をMD、MDとの直交方向をTDと呼ぶ。
上記で得られたサンプルについて、以下の方法で測定・評価を行い、結果を表1に示した。なお、シート製膜時の流れ方向をMD、MDとの直交方向をTDと呼ぶ。
(ガラス転移温度)
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて、測定温度−150℃から150℃の範囲で動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)を行い、損失弾性率(E”)の極大値を示す温度を、シート(サンプル)のガラス転移温度として、次の基準で評価した。
○:5℃未満
△:5℃以上、20℃未満
×:20℃以上、またはガラス転移温度が単一でない
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて、測定温度−150℃から150℃の範囲で動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)を行い、損失弾性率(E”)の極大値を示す温度を、シート(サンプル)のガラス転移温度として、次の基準で評価した。
○:5℃未満
△:5℃以上、20℃未満
×:20℃以上、またはガラス転移温度が単一でない
(低揮散性)
HS−GC/MS(HS:日本分析工業 「キュリーポイントヘッドスペースサンプラ」、JHS−100A型、GC/MS:島津製作所「ガスクロマトグラフ質量分析計」GCMS−QP5050A)を用い、ダイナミックヘッドスペース法を捕集方法として採用し、ヘリウムガスの流通下、80℃、30分の加熱条件で発生、捕集した全てのアウトガスをヘキサデカン換算で定量測定した。
○:10ng/cm3未満
△:10ng/cm3以上、15ng/cm3未満
×:15ng/cm3以上
HS−GC/MS(HS:日本分析工業 「キュリーポイントヘッドスペースサンプラ」、JHS−100A型、GC/MS:島津製作所「ガスクロマトグラフ質量分析計」GCMS−QP5050A)を用い、ダイナミックヘッドスペース法を捕集方法として採用し、ヘリウムガスの流通下、80℃、30分の加熱条件で発生、捕集した全てのアウトガスをヘキサデカン換算で定量測定した。
○:10ng/cm3未満
△:10ng/cm3以上、15ng/cm3未満
×:15ng/cm3以上
(耐転写性)
オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに黄色の油性マジックで文字等を書き込んだ絵柄層の上にデスクマットをセットし、その上にガラス板を載せて2kgの荷重を加えた。これをギヤオーブンに入れ、70℃×24時間経過後の絵柄層がデスクマットに転写しているか否かの転写性を目視により評価した。
○:全く転写していない状態
△:少しだけ転写していたが、実用上問題がない状態
×:転写性が大きく実用上問題がある状態。
オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに黄色の油性マジックで文字等を書き込んだ絵柄層の上にデスクマットをセットし、その上にガラス板を載せて2kgの荷重を加えた。これをギヤオーブンに入れ、70℃×24時間経過後の絵柄層がデスクマットに転写しているか否かの転写性を目視により評価した。
○:全く転写していない状態
△:少しだけ転写していたが、実用上問題がない状態
×:転写性が大きく実用上問題がある状態。
(ヘーズ)
シート(サンプル)のヘーズを、JIS K7105に基づきヘーズメーターを用いて測定し、次の基準で評価した。
○:5.0%未満
△:5.0%以上、10.0%未満
×:10.0%以上
シート(サンプル)のヘーズを、JIS K7105に基づきヘーズメーターを用いて測定し、次の基準で評価した。
○:5.0%未満
△:5.0%以上、10.0%未満
×:10.0%以上
(黄変度)
シート(サンプル)の黄変度(YI値)をスガ試験機社製のカラーコンピュータを用いて測定し、次の基準で評価した。
○:10.0%未満
△:10.0%以上、20.0%未満
×:20.0%以上
シート(サンプル)の黄変度(YI値)をスガ試験機社製のカラーコンピュータを用いて測定し、次の基準で評価した。
○:10.0%未満
△:10.0%以上、20.0%未満
×:20.0%以上
(植物由来割合)
サンプルの作製に用いた各材料について、その組成比から植物由来原料の比率を質量%で算出した。
植物由来割合が10%以上であれば、“植物由来度を有する”と評価できるが、バイオプラマークが取得できる25%以上が“好ましい”と評価できる目安である。
サンプルの作製に用いた各材料について、その組成比から植物由来原料の比率を質量%で算出した。
植物由来割合が10%以上であれば、“植物由来度を有する”と評価できるが、バイオプラマークが取得できる25%以上が“好ましい”と評価できる目安である。
表1より明らかである通り、実施例のシートは、デスクマットとしての柔軟性を備えていることは勿論であるが、低揮散性、耐転写性及び透明性に優れていることが分かった。また、実施例1,2のように、植物由来度を持たせることができることも分かった。
これに対して比較例1は、軟質な成分Bを含有していないため、デスクマットとして硬過ぎていた。また、他の比較例2〜8については、低揮散性、耐転写性及び透明性の何れかの項目について満足できる評価ではなかった。例えばTgが一つになっていない(非相溶)比較例2の場合には、ヘーズが高く透明性の点で問題であった。
このことから、本発明のデスクマットは、デスクマットとしての柔軟性を備えていることは勿論、低揮散性、耐転写性及び透明性に優れ、植物由来度を有することもできることが分かった。
これに対して比較例1は、軟質な成分Bを含有していないため、デスクマットとして硬過ぎていた。また、他の比較例2〜8については、低揮散性、耐転写性及び透明性の何れかの項目について満足できる評価ではなかった。例えばTgが一つになっていない(非相溶)比較例2の場合には、ヘーズが高く透明性の点で問題であった。
このことから、本発明のデスクマットは、デスクマットとしての柔軟性を備えていることは勿論、低揮散性、耐転写性及び透明性に優れ、植物由来度を有することもできることが分かった。
実施例1〜4の成分Aと成分Bの含有量の質量比は、45:55〜60:40であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、成分A:成分B=99:1〜40:60の範囲内であれば、好ましい結果が期待できると考えることができる。
また、エポキシ基含有樹脂の含有量に関しては、上記実施例では、成分A及び成分Bの合計含有量100質量部に対して10質量部であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、0.1〜20質量部の範囲内であれば、好ましい結果が期待できると考えることができる。
また、エポキシ基含有樹脂の含有量に関しては、上記実施例では、成分A及び成分Bの合計含有量100質量部に対して10質量部であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、0.1〜20質量部の範囲内であれば、好ましい結果が期待できると考えることができる。
また、実施例で使用しているエポキシ基含有樹脂の融点は105℃、140℃であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、エポキシ基含有樹脂の融点は30〜200℃であればブリードを防止でき、かつ、好ましい溶融性を確保することができるものと考えることができる。
また、実施例で使用しているエポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は、186g/eq、200g/eqであるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、耐熱性及びそれの持続性の観点から、エポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は100g/eq以上250g/eq未満であるのが好ましいと考えることができる。
また、実施例で使用しているエポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は、186g/eq、200g/eqであるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、耐熱性及びそれの持続性の観点から、エポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は100g/eq以上250g/eq未満であるのが好ましいと考えることができる。
Claims (4)
- 下記成分Aと、下記成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを含有するデスクマットであって、下記成分Aと下記成分Bの含有量の質量比が99:1〜40:60の範囲であり、かつガラス転移温度が単一であることを特徴とするデスクマット。
成分A:塩素含有樹脂を主とする成分
成分B:コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分 - 前記エポキシ基含有樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂又はグリシジル基変性アクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のデスクマット。
- 80℃30分加熱でのアウトガス量が15ng/cm3未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデスクマット。
- JIS K7105に基づき測定したヘーズが10.0%未満であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のデスクマット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010175446A JP2011057973A (ja) | 2009-08-12 | 2010-08-04 | デスクマット |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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