JP2011061189A - ダイシング用基材シート及びダイシング用粘着テープ - Google Patents

ダイシング用基材シート及びダイシング用粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】塩素含有樹脂を主原料の一つとするダイシング用基材フィルムに関し、低移行性、耐揮散性、伸張性、及び透明性に優れ、バリア層を設けることなく粘着剤の密着力長期安定性を向上させることができるダイシング用基材シートを提供する。
【解決手段】塩素含有樹脂を主とする成分Aと、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを、所定の比率で含有し、シートのガラス転移温度が単一であることを特徴とするダイシング用基材シートを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塩素を含有する樹脂組成物を成形してなるダイシング用基材シート、より詳しくは、例えばシリコン半導体、化合物半導体、半導体パッケージ及びガラスなどの製造工程で好適に使用することができるダイシング用基材シート、及びそれを用いて作製されたダイシング用粘着テープに関する。
シリコン、ガリウム、砒素等を材料とする半導体ウェハの製造工程では、回路を形成したウェハに露光−拡散−エッチングなどの前工程処理を施し、必要に応じて裏面研削を行った後、ウェハの一面(回路形成面と反対側)にダイシング用粘着シート(以下「ダイシングシート」という)を貼り付けてダイシング装置に送り、ダイシングブレードと呼ばれる砥石でウェハに研削溝を入れてチップサイズにダイシング(分割)し(ダイシング工程)、ダイシングシートを放射状に引き伸ばして個々のチップの間隔を広げ(エキスパンド工程)、次いでコレット等で各チップをピックアップし(ピックアップ工程)、各チップをそれぞれリードフレーム等の回路基板に導電性接着剤で貼り付け(マウント工程)、外部接続のためにボンディングを行い、機械的或いは化学的保護のためにモールド材(封止材)で密封し(モールド工程)、リード加工やリードメッキなどの仕上げ工程を経て製造するのが一般的である。
ダイシングテープは、例えば上記のように使用されるため、ダイシング作業で半導体チップが散乱するのを防止することができ、且つチップの現状の位置に保持したまま次の工程へ搬送することができ、且つチップ部品等をダイシングテープから簡単に取り外すことができることなどの特性が要求され、一般的に基材シート上に粘着剤からなる粘着剤層が形成された構成のものが使用されている。
この際、エキスパンド工程では、ダイシングシートに優れた伸張性が要求されるため、基材シートの材質として、伸張性に優れたポリ塩化ビニルシートが広く使用されている。
ところが、基材シートにポリ塩化ビニルシートを用いたダイシングシートの場合、基材シートに含まれる添加剤等の成分が粘着剤層に移行し、テープ保管中に粘着力が低下する現象が発生し、その結果、ダイシング時に於けるチップの飛散、作業性及び歩留りの著しい低下を招来するという問題があった。
このような問題を解決するため、例えば特許文献1〜4には、基材であるポリ塩化ビニル樹脂層と粘着剤層との間に、各種の高分子材料から形成されたバリア層を積層させてなるダイシング用粘着シートが開示されている。これらのダイシング用粘着シートにおけるバリア層は、ポリ塩化ビニル樹脂層と粘着剤層の間に介在することで、ポリ塩化ビニル樹脂中の各種添加剤が粘着剤層中に移行するのを防止する機能を果たすものであった。
一方、ポリ塩化ビニル樹脂中の各種添加剤が粘着剤層中に移行するのを防止するその他の手段としては、例えば特許文献5のように、軟質塩化ビニル樹脂の基材層と、粘着剤層とのそれぞれに、特定の比率で紫外線吸収剤を添加させた粘着シートや、特許文献6のように、ポリ塩化ビニルに熱安定剤としてトリアルキルホスファイトを含有させた基材層と、ポリ(メタ)アクリル酸エステルを含有する粘着剤層を有するダイシング用粘着シートが開示されている。
特開昭62−54782号公報 特開平4−192542号公報 特開平6−134941号公報 特開2002−235055号公報 特開2001−115105号公報 特開2007−321087号公報
特許文献1〜4のように基材シートと粘着剤層との間に、各種の高分子材料から形成されたバリア層を介層させたダイシング用粘着シートにおいては、バリア層を設けたことにより柔軟性が損なわれ、基材シートにポリ塩化ビニル樹脂を用いる利点が失われることがあった。また、バリア層を形成するためには、粘着剤層の形成前にこれを基材シート上に予め形成する必要があり、その形成工程の増加に起因して製造コストが増大するという問題もあった。
また、特許文献5、6のような方法によって特定の添加剤については移行を防止することが可能であるが、同時にポリ塩化ビニル樹脂に添加される一般的な可塑剤については、その粘着剤層への移行に伴う粘着力の低下を防止する手法は、上述のバリア層を形成する手法以外には確立されていなかった。
他方、近年石油由来原料から製造される樹脂は、埋め立て処分するにしても化学的安定性が高く自然環境下ではほとんど分解しないため、半永久的に土中に残留することになる。また、焼却処分するにしても、燃焼時の発熱量が大きいために燃焼処理中に燃焼炉を傷める恐れがあるばかりか、燃焼処理によって二酸化炭素が排出されるなど環境への影響が懸念される。特に京都議定書の締結以来、排出二酸化炭素の削減の機運が急速に高まり、その中で植物由来度を有する樹脂等の循環型材料への移行が進められている。
そこで本発明は、塩化ビニル樹脂などの塩素含有樹脂を主原料の一つとするダイシング用基材フィルムに関する従来の課題に鑑み、低移行性、耐揮散性、伸張性、及び透明性に優れ、好ましくは植物由来度を持たせることもでき、バリア層を設けることなく粘着剤の密着力長期安定性を向上させることができる、新たなダイシング用基材シート、及びそれを用いて作製されるダイシング用粘着テープを提供せんとするものである。
本発明は、下記成分Aと、下記成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを含有するダイシング用基材シートであって、下記成分Aと下記成分Bの含有量の質量比が99:1〜40:60の範囲であり、さらに下記成分Aと下記成分Bの合計を100質量部とする場合の前記エポキシ基含有樹脂の含有量が0.1質量部以上30質量部以下であり、かつシートのガラス転移温度が単一であることを特徴とするダイシング用基材シートを提供するものである。
成分A:塩素含有樹脂を主とする成分
成分B:コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分
本発明はまた、前記ダイシング用基材シートを用いて作製されたダイシング用粘着テープを提供するものである。
本発明は、塩素含有樹脂を主とする成分Aと、これと相溶する樹脂を主とする成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを特定の比率で配合してシートを作製することにより、ダイシング基材シートに要求される低移行性、耐揮散性、伸張性、及び透明性を顕著に高め、さらに粘着剤の密着力長期安定性を向上することができ、好ましくは植物由来度を持たせることもできるようになった。よって、本発明のダイシング用基材シートは、シリコン半導体、化合物半導体、半導体パッケージ及びガラスなどの製造工程におけるダイシング用粘着テープの基材として好適に利用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としてのダイシング用基材シート(以下、本基材シートという)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本基材シート>
本基材シートは、所定のA成分と、所定のB成分と、エポキシ基含有樹脂とを所定比率で含有する塩素含有樹脂組成物Xを成形して得ることができる。
(成分A)
本基材シートにおける成分Aは、塩素含有樹脂を主とする成分である。
成分Aに用いることができる塩素含有樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン単独重合樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂、塩化ビニル−プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル−イソブチレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニル−ウレタン共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合樹脂、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニル−ブタジエン共重合樹脂、塩化ビニル−イソプレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニル−マレイミド共重合樹脂などの塩化ビニル共重合樹脂を挙げることができ、これらのうちの1種を使用することも、又は2種類以上を併用することもできる。
また、ここで例示した塩素含有樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィンとの共重合樹脂、又は、前記に例示した塩素含有樹脂と、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、スチレンと他の単量樹脂(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合樹脂なども使用することができる。
さらにまた、後塩素化塩化ビニル樹脂も使用することができる。
この後塩素化塩化ビニル樹脂としては、塩素化前の塩化ビニル樹脂の平均重合度が500〜1400であるものが好ましい。平均重合度が500以上であれば、耐衝撃性を維持することができる一方、平均重合度が1400以下であれば、溶融流動性を維持することができ、成形が容易である。
後塩素化塩化ビニル樹脂の平均塩素含有量は、58〜70質量%、特に60〜70質量%であるのが好ましい。平均塩素含有量が少な過ぎると、耐熱性が低下し変形が発生しやすくなり、逆に多過ぎると、流動性が大きく低下し、成形が困難となる。
塩化ビニリデン樹脂としては、塩化ビニリデンの単独重合樹脂及び共重合樹脂を挙げることができる。中でも、熱分解温度と融点に差のあるもの、すなわち共重合樹脂を用いるのが好ましい。
このような塩化ビニリデンの共重合樹脂としては、塩化ビニリデンと、公知のラジカル重合性モノマーを単独或いは2種以上とを共重合させたものを用いることができる。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸又はメタアクリル酸等の不飽和脂肪酸及びこれらのエステル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルケトン類、エチレンやプロピレン等のオレフィン類、n−メチルアクリルアミド、シクロヘキシルマレイミド等の特種官能基を含有するモノマー等を挙げることができる。
塩化ビニリデンと前記モノマーとの共重合樹脂の組成は、特に限定されないが、難燃性を満足させるには、塩化ビニリデンが65〜99質量%、好ましくは80〜97質量%である組成を選定するのが好ましい。
また、塩化ビニリデンと前記モノマーとの共重合樹脂の分子量は、特に限定するものではないが、加工性、成形樹脂の物性等の点で、質量平均分子量として3万〜15万、特に4万〜12万であるのが好ましい。
これら重合樹脂の重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、気相重合等を用いることができるが、良好な粉状樹脂を安価に得る方法として懸濁重合を用いるのが好ましい。
塩素含有樹脂の平均重合度は、300〜2,000であるのが好ましく、より好ましくは500〜1,500である。平均重合度が小さ過ぎると、成形樹脂が充分な強度とならないおそれがあり、大きすぎれば、成形加工時に充分に混練させることが難しく、加工性が低下するおそれがある。
前記塩素含有樹脂のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、50℃以上、120℃以下の範囲であるのが好ましく、成形加工性の面から特に70℃以上、90℃以下の範囲であるのがより一層好ましい。
さらに、成分Aには、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や、市販の安定剤、滑剤、衝撃改良剤、加工助剤、耐熱向上剤、艶消し剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、難燃剤、蛍光造白剤、防黴剤、金属不活性剤、顔料、染料、抗酸化剤、光安定剤などを含有してもよい。
(成分B)
成分Bは、成分A及びエポキシ基含有樹脂と完全相溶することが重要である。
ここで、「完全相溶する」とは、成分B、成分A及びエポキシ基含有樹脂の混合樹脂のガラス転移温度が単一であることを意味し(この点は後で詳述する)、成分B、成分A及びエポキシ基含有樹脂が分子レベルで相溶し、海島構造をとらないようになる。
このような成分Bとして、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分(以下、「成分B樹脂」という。)を挙げることができる。
このような成分B樹脂はいずれも軟質樹脂であって、かつ塩素含有樹脂を主とする成分A、及びエポキシ基含有樹脂と相溶する特性を備えているため、成分A及びエポキシ基含有樹脂とブレンドすることにより低移行性、耐揮散性、及び透明性を顕著に高めることができる。
さらに、前記成分B樹脂には、本発明の特徴を損なわない範囲で1,4ブタンジオール以外のジオールを共重合させてもよい。使用することができるジオールとしては、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。これらは2種類以上を併用することもできる。
また、前記成分B樹脂には、本発明の特徴を損なわない範囲で、コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のジカルボン酸を共重合させてもよい。使用することができるジカルボン酸としては、例えばスベリン酸、セバシン酸、イタコン酸、ドデカン二酸、セルロース酢酸等が挙げられる。これらは2種類以上を併用することもできる。
好適に用いることができる成分B樹脂としては、例えばポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)などを挙げることができる。
これらの中でも、植物由来成分であるコハク酸を利用したポリブチレンサクシネート(PBS)やポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)が特に好ましい。
さらに、成分B樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有してもよい。
この際、脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステル等を挙げることができる。
これらに光学異性樹脂が存在する場合には、D樹脂、L樹脂またはラセミ樹脂の何れでもよく、形態としては固樹脂、液樹脂または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、成分B樹脂を構成する単量樹脂成分全樹脂を基準(100モル%)として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
また、成分B樹脂は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物」または「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合させたものであると、得られる成分B樹脂の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン等を挙げることができる。
4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、例えばプロパントリカルボン酸またはその酸無水物を挙げることができる。
4官能の多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、例えばシクロペンタンテトラカルボン酸またはその酸無水物等を挙げることができる。
これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。
4官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、成分B樹脂を構成する単量樹脂全樹脂を基準(100モル%)として、下限は通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
目的とする重合度の成分B樹脂を得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。
また、成分B樹脂には、本発明の特徴に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エーテル結合等を導入することができる。
成分B樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−80℃〜30℃の範囲であるのが好ましい。成分B樹脂のTgが−80℃以上であれば実用物性を発現することができ、30℃以下であれば常温での粘着効果が強すぎて成形加工性に劣るというような問題を生じることもない。
よって、成分B樹脂のガラス転移温度(Tg)は−60℃以上、或いは0℃以下であるのがさらに好ましく、特に−50℃以上、或いは−20℃以下であるのがより一層好ましい。
成分B樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、下限は通常0.1g/10分以上である。また上限は、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
成分B樹脂の分子量は、質量平均分子量が5万〜40万の範囲であるのが好ましく、特に10万〜30万の範囲のものがさらに好ましい。
成分B樹脂の質量平均分子量が5万以上であれば、実用物性を発現することができ、また、40万以下であれば溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣るというような問題を生じることもない。
成分B樹脂としては、市販された製品を使用することもできる。例えばBASF(株)製の「Ecoflex」シリーズ、三菱化学(株)製の「GSPla」シリーズ、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ」シリーズ、ダイセル化学(株)製の「セルグリーン」シリーズ等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。
(エポキシ基含有樹脂)
本基材シートにエポキシ基含有樹脂を含有させることは、成分A及び成分Bと完全相溶させることができる上、耐熱性やその持続性の著しい向上を図ることができるという観点から重要である。
エポキシ基含有樹脂は、樹脂であるから、エポキシ基含有液状物等の非樹脂物を含むものではない。例えばエポキシ化植物油は、樹脂に比べて分子量が顕著に低いため、本基材シートの表面に溶出して粘着剤層に移行する等の問題を生じることになるが、エポキシ基含有樹脂はこのような問題がない点で優れている。
本基材シートに用いるエポキシ基含有樹脂の分子量(重量平均)は、1,000よりも大きく、且つ100,000以下であるのが好ましく、特に2,000以上、或いは、80,000以下、その中でも特に10,000以上、或いは、60,000以下であるのがさらに好ましい。
分子量が1,000よりも大きいことによって、本基材シートの表面に溶出して粘着剤層に移行することを無くすことができ、100000以下であることによって、成形加工時に十分に溶融し、良好に分散させることができる。
また、本基材シートに用いるエポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は、100g/eq以上250g/eq未満、特に100g/eq以上或いは200g/eq未満の範囲にあることが好ましい。エポキシ当量が250g/eq未満であることによって、耐熱性やその持続性を維持することができ、エポキシ当量が100g/eq以上であることによって、成分A、Bに対する分散性が良好となり、特性のバラツキが生じにくいため好ましい。
このようなエポキシ基含有樹脂のうち、本基材シートに用いるものとしては、グリシジル変性アクリル樹脂が、耐熱性とブリード性の観点から特に好ましく例示できる。
グリシジル変性アクリル樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート単位の共重合体であるがグリシジル(メタ)アクリレート単位以外にも、その他の単量体単位を含有してもよい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸等の酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物単量体単位;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体の単量体単位;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体単位等が挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。中でも、メチルメタクリレートを含有するものが好ましい。
前記のようなグリシジル変性アクリル樹脂としては、例えば、エポキシ基含有アクリル系化合物:「マープルーフG−01100」(日本油脂(株)社製)エポキシ当量170g/eq、平均分子量12,000、「マープルーフG2050」(日本油脂(株)社製)エポキシ当量340g/eq、平均分子量20,000、「マープルーフCP−50M」(日本油脂(株)製;エポキシ当量380g/eq、平均分子量10,000)、メタブレンKP−6562(三菱レイヨン(株)製;エポキシ当量170g/eq、平均分子量38,000))等の商品名で市販されている。
エポキシ基含有樹脂の含有量については、前記成分Aと前記成分Bの合計含有量を100質量部とする場合のエポキシ基含有樹脂の含有量が0.1質量部以上30質量部以下の範囲であることが重要であり、特に1質量部以上或いは10質量部以下の範囲であることが好ましい。当該エポキシ基含有樹脂の配合量が、0.1質量部未満の場合や、30質量部を超過している場合には、優れた熱安定性を確保することができない。
(その他の成分)
塩素含有樹脂組成物Xは、成分A、成分B及びエポキシ基含有樹脂以外に、必要に応じて適宜添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば衝撃改良剤、加工助剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、可塑剤などを挙げることができる。これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の所望とする物性を阻害することのない範囲において適宜決定することができる。
(塩素含有樹脂組成物X)
塩素含有樹脂組成物Xは、前記の成分Aと、前記の成分Bと、前記のエポキシ基含有樹脂を含有する塩素含有樹脂組成物であって、ガラス転移温度が単一であることが重要である。
ここで、塩素含有樹脂組成物Xのガラス転移温度が単一であるとは、前記樹脂組成物Xについて歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)により測定される損失弾性率(E”)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失弾性率(E”)の極大値が1つ存在するという意味である。前記樹脂組成物Xのガラス転移温度が単一であることにより、得られるダイシング用基材シートについて優れた透明性を実現できる。
塩素含有樹脂組成物Xのガラス転移温度が単一であることは、前記樹脂組成物Xについて上記動的粘弾性測定において測定される損失正接(tanδ)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失正接(tanδ)の極大値が1つ存在するものであるということもできる。
また、上記動的粘弾性測定のほか、示差走査熱量測定などによってもガラス転移温度が単一であることを確認することができる。具体的には、JIS K7121に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示す変曲点が1つだけ現れるものであるということもできる。
一般的にポリマーブレンド組成物のガラス転移温度が単一であるということは、混合する樹脂がナノメートルオーダー(分子レベル)で相溶した状態にあることを意味し、相溶している系と認めることができる。
塩素含有樹脂組成物Xのガラス転移温度は、上記の動的粘弾性の温度分散測定により測定される損失弾性率(E”)の主分散のピーク値を示す温度で表されるものであり、該ガラス転移温度が前記塩素含有樹脂のガラス転移温度以上、前記成分B樹脂のガラス転移温度以下の範囲にあることが好ましい。
さらに、塩素含有樹脂組成物Xのガラス転移温度は−60℃以上、25℃未満であることが好ましく、特に−55℃以上、或いは25℃未満であることがより好ましく、中でも特に−40℃以上、或いは10℃未満であることがさらに好ましい。前記樹脂組成物Xのガラス転移温度をかかる範囲内とすることで、エキスパンド工程における伸張性に優れたダイシング用基材シートを提供することができる。
塩素含有樹脂組成物Xにおいて、成分Aと成分Bの含有量の質量比は99:1〜40:60の範囲であることが重要である。前記質量比は90:10〜50:50の範囲であることがより好ましく、特に80:20〜60:40の範囲であることがさらに好ましい。
成分Aと成分Bの含有量の質量比が99:1を超えて成分Aが多くなると、十分な軟質化効果を得ることが困難になるため好ましくない。一方、質量比が40:60を超えて成分Bが多くなると、溶融張力が低下し、シートの製膜性が悪化したり、分散性が悪化したりするため好ましくない。
前記樹脂組成物X中の植物由来成分の割合としては、25質量%以上であるのが好ましく、特に30質量%以上、その中でも40質量%以上であるのがさらに好ましい。上限値としては、成分B樹脂を構成する植物由来割合の観点から90質量%程度である。
塩素含有樹脂組成物Xから本基材シートを成形する方法は、特に限定するものではなく、例えばTダイを使用した押出キャスト法やカレンダー法など、公知の適宜方法を採用すればよい。
本基材シートの厚みは、好ましくは50μm〜200μmの範囲であり、さらに好ましくは50μm以上或いは150μm以下の範囲である。
本基材シートは、低移行性に優れており、7.5cm×5cmの形状に切り出したサンプルを25℃で60分間トルエン浸漬後、トルエン抽出液を蒸発乾固した場合の抽出量は、好ましくは500ppm未満、特に好ましくは300ppm未満とすることができる。
トルエン抽出量をかかる範囲とするためには、例えば成分A、成分B、及びエポキシ基含有樹脂の比率を前述の範囲で調整すればよい。但し、この調整手段に限定するものではない。
本基材シートは、耐揮散性(低アウトガス性)に優れており、80℃30分加熱でのアウトガス量が、好ましくは15ng/cm未満、特に好ましくは10ng/cm未満とすることができる。
80℃30分加熱でのアウトガス量をかかる範囲とするためには、例えば成分A、成分B、及びエポキシ基含有樹脂の比率を前述の範囲で調整すればよい。但し、この調整手段に限定するものではない。
本基材シートは、伸張性に優れており、JIS K7127−2に記載の方法に準じて測定した23℃におけるシート製膜時における流れ方向(MD)の引張破断伸びは、好ましくは250%以上、特に好ましくは300%以上とすることができる。
引張破断伸びをかかる範囲とするためには、例えば成分A、成分B、及びエポキシ基含有樹脂の比率を前述の範囲で調整すればよい。但し、この調整手段に限定するものではない。
本基材シートは、透明性に優れており、JIS K7105に基づきヘーズメーターで測定したヘーズは、好ましくは10.0%未満、より好ましくは7.0%未満、特に好ましくは5.0%未満とすることができる。さらに、黄変度(YI値)は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは7.0%未満、特に好ましくは5.0%未満とすることができる。
ヘーズやYI値をかかる範囲とするためには、例えば成分Aと成分B、及びエポキシ基含有樹脂の比率を前述の範囲で調整すればよい。但し、この調整手段に限定するものではない。
<ダイシング用粘着テープ>
本発明の実施形態の一例としてのダイシング用粘着テープ(以下、「本粘着テープ」という)は、上述した本基材シートの少なくとも片面に、粘着剤層を設けてなる構成を備えたものである。
本粘着テープの粘着剤層に用いることのできる粘着剤の種類に限定されるものではないが、例えば紫外線硬化型粘着剤が好ましく用いられる。
紫外線硬化型粘着剤としては、特に紫外線硬化型アクリル系粘着剤、その中でも特にポリ(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする粘着剤から選択するのが好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸エステルは、通常(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体又は共重合性モノマーとの共重合体を用いることができる。このようなポリマーの主モノマーとしては、そのホモポリマーのガラス転移温度が20℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソノニル基等を挙げることができる。
また、前記共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えばヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アミノアルキル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリロイルモルフォリン等を挙げることができる。
前記粘着剤層には、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等の慣用の添加剤を含有させることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、無水化物、ポリアミンカルボキシル基含有ポリマー等を挙げることができる。
前記粘着剤層の厚みは、5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。厚みが5μm以上であれば、所定の粘着力を確保することができ、ダイシングの際に半導体ウェハ(被切断体)を確実に固定することができる。その一方、厚みが20μm以下であれば、半導体ウェハのダイシングの際に生じる振動を抑えることができ、半導体チップ(被切断体小片)が欠けたりする(チッピング)のを防ぐことができる。
かかる観点から、前記粘着剤層の厚みは、8μm〜18μmの範囲内であることがより好まく、特に10μm〜15μmの範囲内であることがさらに好ましい。
本粘着テープの製造方法は、特に限定されるものではない。例えば本基材シートの少なくとも片方の表面に、前記のような粘着剤を塗布し乾燥させ、必要に応じて加熱架橋させて粘着剤層を形成して製造することができる。この時、必要に応じて前記粘着剤層の表面に、ラベル加工のため、又は前記粘着剤層を平滑にする目的のために、紙や合成樹脂フィルム等をセパレータとして貼り合せて製造しても良い。
また、前記セパレータに前記粘着剤層を形成した後、これらを本基材シートに貼り合せる方法を採用することもできる。
本粘着テープは、粘着剤の密着力長期安定性に優れており、幅10mm、長さ100mmの形状でアルミ板に貼り合せ、万能引張試験機にて試験速度300mm/minにて初期(貼り合せ後、23℃、30%、48時間経過した後)の180°剥離力と、1ヵ月後での180°剥離力の変化の割合(促進試験での剥離力/初期の剥離力)は、好ましくは0.50以上、特に好ましくは0.80以上とすることができる。
剥離力の変化の割合をかかる範囲とするためには、例えば成分A、成分B、及びエポキシ基含有樹脂の比率を前述の範囲で調整すればよい。但し、この調整手段に限定するものではない。
<用語の説明>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(JIS K6900)。例えば厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「P〜Q」(P,Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「P以上Q以下」の意と共に、「好ましくはPより大きい」及び「好ましくはQより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「P以上」(Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはPより大きい」の意を包含し、「Q以下」(Qは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはQより小さい」の意を包含する。
また本発明において「Rを主とする成分S」とは、当該成分SがR以外の成分を含有することを許容する意であり、当該成分S中においてRの占める割合が50質量%を超え、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90%質量以上であって、100質量%を包含する概念である。
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
<原料>
まず、実施例及び比較例で使用した原料について説明する。
(成分A)
塩素含有樹脂として、平均重合度780、分子量4万、Tg82℃の塩化ビニル樹脂を用いた。
なお、塩化ビニル樹脂100質量部に対して以下の添加剤が配合されている。
ステアリン酸カルシウム:0.5質量部
ステアリン酸亜鉛:0.5質量部
ハイドロタルサイト:0.3質量部
滑剤:2.5質量部
(成分B)
(B−1)1,4−ブタンジオールとコハク酸の縮重合体であるポリブチレンサクシネート(分子量約25万、Tg−30℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)3g/10分、植物由来成分100%)を用いた。
(B−2)1,4−ブタンジオールとコハク酸とアジピン酸の縮重合体であるポリブチレンサクシネートアジペート(分子量約16万、Tg−40℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)4.5g/10分、植物由来成分85.7%)を用いた。
(B−3)1、4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の縮重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレート(分子量約15万、Tg−28℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)2.5g/10分、植物由来成分0%)を用いた。
エポキシ基含有樹脂としては、グリシジルメタクリレート共重合体である三菱レイヨン製「メタブレンKP−6562」(エポキシ当量170g/eq、分子量38,000)をグリシジルメタクリレート共重合体1として用いた。また日本油脂(株)社製「ブレンマーCP−50M」(エポキシ当量310g/eq、分子量10,000)をグリシジルメタクリレート共重合体2として用いた。
(エポキシ基含有液状物)
エポキシ基含有液状物として、エポキシ化大豆油であるダイセル化学工業社製の商品名「S300」(分子量1,000、植物由来成分の割合95質量%)を用いた。
(可塑剤)
ポリエステル系可塑剤として、大日本インキ社製の商品名「W−360EL」を用いた。
フタル酸エステル系可塑剤として、ジェイプラス社製の商品名「DOP」を用いた。
<実施例・比較例>
(ダイシング用基材シートの作製)
表1(各原料の含有量は質量部で示す)に示した割合で成分A、成分B、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有液状物及び可塑剤を秤量し、これらをヘンシェルミキサーで混合後、ロール温度が180℃となるように設定し、ロール成形法にて厚み100μmの基材シート(サンプル)を得た。
(ダイシング用粘着テープの作製)
アクリル酸ブチル90質量部及びアクリル酸10質量部をトルエン溶液中で常法により共重合させ、重量平均分子量50万のアクリル系共重合体を得た。このアクリル系共重合体を含有する溶液に、ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)5質量部を加えて、アクリル系紫外線硬化型粘着剤溶液を調製した。
前記で調製した粘着剤溶液を、前記で得られた基材シートのコロナ処理面上に塗布し、80℃で10分間加熱架橋して、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。次いで、当該粘着剤層面にセパレータ(具体的には離型処理されたポリエステルフィルムやシリコンフィルム)を貼り合せてダイシング用粘着シートを作製した。
<評価方法>
実施例・比較例で得られたサンプルについて、以下の方法で測定・評価を行い、結果を表1に示した。なお、シート製膜時の流れ方向をMD、MDとの直交方向をTDと呼ぶ。
(ガラス転移温度)
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて、測定温度−150℃から150℃の範囲で動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)を行い、損失弾性率(E”)の極大値を示す温度を基材シート(サンプル)のガラス転移温度(Tg)として、次の基準で評価した。
○:Tgが10℃未満
△:Tgが10℃以上、25℃未満
×:Tgが25℃以上、またはガラス転移温度が単一でない
(低移行性)
7.5cm×5cmの形状に切り出した基材シート(サンプル)を25℃で60分間トルエン浸漬後、トルエン抽出液を蒸発乾固しその抽出量を測定した。そして、次の基準で評価した。
○:300ppm未満
△:300ppm以上、500ppm未満
×:500ppm以上
(低揮散性)
HS−GC/MS(HS:日本分析工業「キュリーポイントヘッドスペースサンプラ」、JHS−100A型、GC/MS:島津製作所「ガスクロマトグラフ質量分析計」GCMS−QP5050A)を用い、ダイナミックヘッドスペース法を捕集方法として採用し、ヘリウムガスの流通下、80℃、30分の加熱条件で発生、捕集した全てのアウトガスをヘキサデカン換算で定量測定した。
○:10ng/cm未満
△:10ng/cm以上、15ng/cm未満
×:15ng/cm以上
(伸張性)
JISK7127−2に記載の方法に準じ、23℃における基材シート(サンプル)のMDの引張破断伸びを測定した。そして、以下の基準で評価した。
○:300%以上
△:250%以上、300%未満
×:250未満以上
(粘着剤の密着力長期安定性)
実施例・比較例で得たダイシング用粘着テープを幅10mm、長さ100mmに切り出し、アルミ板に貼り合せ、万能引張試験機にて試験速度300mm/minにて初期(貼り合せ後、23℃、30%、48時間経過した後)の180°剥離力と、1ヵ月後での180°剥離力を測定し、その変化の割合(1ヵ月後での剥離力/初期の剥離力)を計算し、以下の基準で評価した。
○:0.80以上
△:0.50以上、0.80未満
×:0.50未満
(ヘーズ)
基材シート(サンプル)のヘーズを、JISK7105に基づきヘーズメーターを用いて測定し、次の基準で評価した。
○:5.0%未満
△:5.0%以上、10.0%未満
×:10.0%以上
(黄変度)
基材シート(サンプル)の黄変度(YI値)を、スガ試験機社製のカラーコンピュータを用いて測定し、次の基準で評価した。
○:5.0%未満
△:5.0%以上、10.0%未満
×:10.0%以上
(植物由来割合)
基材シート(サンプル)の作製に用いた各材料について、その組成比から植物由来原料の比率を質量%で算出した。
植物由来割合が10%以上であれば、“植物由来度を有する”と評価できるが、バイオプラマークが取得できる25%以上が“好ましい”と評価できる目安である。
Figure 2011061189
表1より明らかである通り、実施例のシートは、低移行性、耐揮散性、伸張性、透明性、粘着剤の密着力長期安定性に優れていることが分かった。また、実施例1,2及び4のように、植物由来度を持たせることができることも分かった。
これに対して比較例のフィルムは、低移行性、耐揮散性、伸張性、透明性、粘着剤の密着力長期安定性の少なくとも1項目について満足できる評価ではなかった。例えばTgが一つになっていない(非相溶)比較例2の場合には、ヘーズが高く透明性の点で問題であった。
このことから、本発明のダイシング用基材シートは、低移行性、耐揮散性、伸張性、透明性、粘着剤の密着力長期安定性に優れ、植物由来度を有することもできるダイシング用基材シートであることがわかる。
実施例1〜6の成分Aと成分Bの含有量の質量比は、45:55〜70:30であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、成分A:成分B=99:1〜40:60の範囲内であれば、好ましい結果が期待できると考えることができる。
また、エポキシ基含有樹脂の含有量に関しては、上記実施例では、成分A及び成分Bの合計含有量100質量部に対して5〜10質量部であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、0.1〜30質量部の範囲内であれば、好ましい結果が期待できると考えることができる。
また、実施例で使用しているエポキシ基含有樹脂の分子量は10,000〜40,000であるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、本基材シートの表面に溶出して粘着剤層に移行する等の問題を生じない観点から、エポキシ基含有樹脂の分子量(重量平均)は、1,000よりも大きく、且つ100,000以下であるのが好ましいと考えることができる。
また、実施例で使用しているエポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は、170g/eq〜310g/eqであるが、これまで行った試験結果などを参酌すると、耐熱性及びそれの持続性の観点から、エポキシ基含有樹脂のエポキシ当量は100g/eq以上250g/eq未満であるのが好ましいと考えることができる。

Claims (5)

  1. 下記成分Aと、下記成分Bと、エポキシ基含有樹脂とを含有するダイシング用基材シートであって、下記成分Aと下記成分Bの含有量の質量比が99:1〜40:60の範囲であり、さらに下記成分Aと下記成分Bの合計を100質量部とする場合の前記エポキシ基含有樹脂の含有量が0.1質量部以上30質量部以下であり、かつシートのガラス転移温度が単一であることを特徴とするダイシング用基材シート。
    成分A:塩素含有樹脂を主とする成分
    成分B:コハク酸、アジピン酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールとを共重合成分として含む樹脂を主とする成分
  2. 前記エポキシ基含有樹脂が、グリシジル変性アクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のダイシング用基材シート。
  3. トルエンに25℃60時間浸漬後のトルエン抽出量が500ppm未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のダイシング用基材シート。
  4. 80℃30分加熱でのアウトガス量が15ng/cm未満であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のダイシング用基材シート。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のダイシング用基材シートの少なくとも片面に、粘着剤層を設けてなることを特徴とするダイシング用粘着テープ。
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