JP2011044320A - 非水電解液二次電池用正極板の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池用正極板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質との接触面積を確保することができるともに、高率放電時の特性を十分に確保する。
【解決手段】リン酸鉄リチウム系材料を含む正極活物質、カーボンブラックとグラファイトとを所定の配合割合で含む導電剤、水溶性増粘剤および結着剤に、分散剤としての水を加え、メディアレス分散法により混練分散して水性ペーストを作成し、得られた水性ペーストを集電体上に塗布し、乾燥して正極活物質層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液二次電池用正極板の製造方法に係り、特に正極活物質としてリン酸鉄リチウム系材料を用いた非水電解液二次電池用正極板の製造方法に関する。
近年、エレクトロニクス分野の急速な進展により、電子機器の高性能化、小型化、ポータブル化が進み、これらに使用される再充電可能な高エネルギー密度の二次電池が望まれている。このような用途に用いられる二次電池としては、ニカド電池、ニッケル水素電池などが挙げられるが、さらに高いエネルギー密度を有する二次電池が要求されている。
上記要求に伴い、金属リチウムやリチウム合金、あるいは電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素材料、リチウム合金などを負極活物質として用いた負極と、リチウム含有複合酸化物、カルコゲン化合物などを正極活物質として用いた正極とを組合せたリチウム二次電池が研究・開発され、その一部が実用化されている。
これらのリチウム二次電池は、電池電圧が高く、また従来の電池に比べて重量および体積当たりのエネルギー密度が大きく今後最も期待される二次電池といわれている。
この種の電池に用いられる正極活物質としては、主にLiCoO、LiNiO、LiMn等が多く用いられてきている。さらに近年では小型携帯機器のみならず、電力貯蔵用途や電気自動車などの大容量の大型電池への適用も盛んに検討され始めている。
しかし、コバルトやニッケルは、埋蔵量が少なく、しかも限られた地域でしか産出しないため、今後、より一層の需要増加が見込まれるリチウムイオン二次電池の正極活物質としては、価格の面からも原料の安定供給の面からも好ましくない。
また、これらの活物質は、活性が高いため、安全性の点からも原料の安定供給の面からも好ましくない。またマンガン系は比較的安価な材料であるが、サイクル特性の安定性に問題がある。
これに対して、算出量が多く、安価で安定な鉄を原料に用いたリン酸鉄リチウムあるいはリン酸鉄リチウムを構成する鉄の一部を他の元素で置換した材料がリチウム二次電池の正極活物質として動作することが特許文献1、特許文献2、特許文献3等において提案されている。
また、それら正極活物質を用いた正極板の極板製造法はこれらの材料に導電材、結着剤を加えてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)などの有機溶剤に分散してペーストとし、これを主にアルミニウム箔に塗布して乾燥し、これをプレス加工、および必要に応じて裁断して正極板とするのが一般的である。
しかしながら、この場合において有機系のペーストを用いると、有機溶剤でコスト高となるとともに、環境に配慮して乾燥時に排出される有機溶媒の回収装置の設置、さらに可燃性であるために防爆構造などの配慮も必要となり製造コストが高価になるといった問題点があった。
特開平9−134724号公報 特開平9−134725号公報 特開2001−085010号公報 特開2005−340071号公報 特開2005−340072号公報 特開2005−340073号公報 特開2005−340074号公報 特開2002−75364号公報 特開2001−15111号公報 特開2008−147024号公報
そこで有機系のペーストに代え、水性ペーストを用いることが提案されている(例えば特許文献4ないし特許文献7参照)が、これらの技術においては、有機溶剤を用いていないので上記問題は解消される。しかし、これらの特許は従来からよく用いられているLi含有遷移金属酸化物系のものである。
これらのリン酸鉄リチウム系材料は従来から用いられてきていたLiCoO等のリチウム金属酸化物に比べて電気抵抗が非常に大きく充放電を行った場合に抵抗分極が増大し、十分な放電容量が得られにくいこと、充電では受け入れ性が悪い問題がある。特に大電流の充放電では顕著になる。この様な問題を解決する方法として、オリビン型リン酸リチウム系材料の粒子を微細化し、反応面積を増やし、リチウムイオン拡散を容易にすること、および電子がリン酸鉄リチウム系材料粒子内部を流れる距離を短くすることが考えられている。そのほかにもカーボンとの複合化による導電性を向上させるような処理を用いることで粉体抵抗を低減させることが提案されている(特許文献8および特許文献9参照)
しかしリン酸鉄系材料を用いる際にはその導電牲の低さから従来のLiCo0等のLi含有金属酸化物に比べ導電剤を増量させる必要がある。その際に従来から用いられているような撹絆羽を有する混合機を用いてペーストを調整すると有機系、水性にかかわらずペーストを作製時にダマが発生しやすく、分散不良が発生しやすいため、そのまま集電体に塗布して電極を作製したとしても、十分な特性が引き出せない。
集電体に水性ペーストをコーターにより塗布する際にも、ダマがコーターのブレード部などに引っかかりスジ引きが発生するなど特性だけでなく、電極作製時の不良発生にもつながる。そのためリン酸鉄リチウム系材料を正極活物質に用いたペースト調整方法として分散メディァ等を用いた湿式分散方法がよく用いられる(例えば、特許文献10参照)。
しかしながら、微細化したリン酸鉄リチウム系材料と、一般的によく用いられるアセチレンブラック等の嵩高いカーボンブラックを導電剤として用いて水性ペースト化した際に湿式メディア分散法により作製した水性ペーストを用いて集電体に塗布した場合、塗布量が20〜80g/m程度の薄膜電極であれば電極化は比較的容易に実施可能であるが、80g/m以上の塗布量になると、集電体に水性ペーストを塗布後、乾燥時に、塗膜表面のヒビ割れや、集電体からの剥離が起こりやすくなるため、電極作製が非常に困難になるという問題があった。
しかし、電池を高容量化するには単位面積あたりの塗布量を増大させる必要がある。その場合、水性ペースト中に含まれる導電剤がアセチレンンブラックなどの嵩高いカーボンブラックのみを用いた場合、圧延工程で高密度化することが非常に困難になる。
無理に塗膜密度を上げた場合、活物質の粒子割れが発生しやすくなり、粒子間の導電性の低下が起こる。また極板の反りやゆがみがひどくなり、電極素子の組み立て工程での歩留まりが低下してしまう問題があった。
極板の歪みや、反りが起こらない状態の低塗膜密度では塗膜厚みが厚くなり、高率放電特性が低下する等の課題があった。
一方、嵩の低いグラファイトのみを導電剤に用いた場合、圧延により塗膜密度を上げるのは容易になるが、グラファイトのみでは活物質との接触面積の低下に加え、保液性も悪く、高率放電時の特性は満足のいくものではなかった。
そこで、本発明の目的は、活物質との接触面積を確保することができるともに、高率放電時の特性を十分に確保することが可能な非水電解液二次電池用正極板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1態様は、リン酸鉄リチウム系材料を含む正極活物質、カーボンブラックとグラファイトとを所定の配合割合で含む導電剤、水溶性増粘剤および結着剤に、分散剤としての水を加え、メディアレス分散法を用いて混練分散して水性ペーストを作成する工程と、前記水性ペーストを集電体上に塗布する工程と、前記水性ペーストが塗布された集電体を乾燥して正極活物質層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の第2態様は、第1態様において、正極活物質100質量部に対し、前記導電剤を4質量部以上〜10質量部以下含み、前記導電剤におけるカーボンブラック:グラファイトの前記配合割合が、
10−X:X (ここで、1≦X≦7。Xは、カーボンブラックとグラファイト
の合計を10とした時のグラファイトの配合割合)
であることを特徴とする。
また、本発明の第3態様は、第1態様または第2態様において、前記水性ペーストを、少なくとも集電体上に形成される片面の塗布量が80g/m以上、220g/m以下であり、かつ、塗膜密度が1.6g/cm以上、2.1g/cm以下となるように塗布することを特徴とする。
本発明によれば、高率放電時におけるレート特性を向上させることができる。また圧延することにより充填密度を上げても、極板の反りおよび歪みを低減させることができ、粒子割れも減少するため、良好な高率放電特性が得られる。また、水系ペーストを用いているため極板製作時の乾燥工程で有機溶媒を排出せず、環境に負担をかけることなく、作業者にとっても安全に極板作製を行うことができる。
次に本発明の好適な実施形態について説明する。
以下の説明において、正極活物質として用いるリン酸鉄リチウム系材料とは、リン酸鉄リチウムあるいはリン酸鉄リチウムにおける鉄の一部を他の金属で置換したLiFe1−XPO(但し、MはAl,Mg,Ti,Nb,Co,Ni,Mnのうち少なくとも一種以上で、0<X<0.3である。)で表されるリン酸鉄リチウム系化合物をいうものとする。
リン酸鉄リチウム系材料が良好な導電性を有するためには一次粒子の表面にカーボンがコーティングされ、かつ、そのカーボンゴーティングされた一次粒子が集合して造粒された二次粒子を形成していることが好ましい。
一次粒子としては、平均粒子径は0.01μm以上、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.02μm以上、6μm以下である。
上述の範囲が好ましい理由としては、一次粒子の平均粒子径が0.01μm未満では、一次粒子の表面を炭素で十分に被覆することが困難となり、高率充放電において、充分な導電性が得られず、実効的な充放電容量が低くなり、充分な充放電レート性能を実現することが困難となるからである。一方、一次粒子の平均粒子径が20μmを超える場合には、一次粒子内部の抵抗値が大きくなるため、高率充放電時において充分な充放電容量が得られないからである。しかし、要求仕様を満たす範囲であれば、この平均粒子径範囲を逸脱することに問題はない。
一次粒子が集合して形成された二次粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5μm以上、50μm以下である。
上述の範囲が好ましい理由としては、二次粒子の平均粒子系が0.1μm未満であると正極合剤を作成する際に多くのバインダー(結合材)を必要とし、その結果、正極合剤中の活物質の割合が低下し、正極合剤の導電性が低下するからである。一方、二次粒子の平均粒子系が100μmを超える場合には、正極合剤内に空隙が生じやすく充填性が低下するからである。
また、二次粒子の形状としては、球状であることが好ましい。この理由は、正極活物質である二次粒子に、バインダー、水溶性増粘剤および水を加えて混合し、正極作製用の水性ペーストを調整する際に、二次粒子の表面積が比較的小さくなっているため、バインダーの配合量を最小限とすることができ、得られる正極において正極材料の塗膜密度を高めることができ、正極の内部抵抗を小さくすることができるからである。さらに最密充填しやすいため、単位体積当たりの正極材料の充填量が多くなって、正極材料の塗膜密度を高めることができ、高容量のリチウムイオン電池を提供することが可能となる。
正極作製用の水性ペースト中に含有される導電材としてのカーボンブラックの種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等を用いることができる。
同様に正極作製用の水性ペースト中に含有される導電材としてのグラファイトの種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、薄片状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維等を用いることができる。
ここで、導電材としてのカーボンブラックとグラファイトの水性ペースト中における配合割合について説明する。
正極活物質を100質量部としたときに、水性ペースト中に含まれる導電材は、4質量部以上10質量部以下とするのが好ましい。この場合において、カーボンブラックとグラファイトとの配合割合は、カーボンブラックとグラファイトとの合計量を10としたときのグラファイトの配合割合をXとしたときに、以下に示すような比率とする。
カーボンブラック:グラファイト=10−X:X
ただし、1≦X≦7
上述の導電材の範囲が好ましい理由としては、水性ペースト中に含まれる導電材が4質量部未満であると、塗膜内の抵抗を充分に下げることができず、得られるリチウムイオン電池において、充分な出力および寿命特性が得られないからである。また、10質量部を超えると活物質充填量が減少し、得られるリチウムイオン電池において電池容量が低くなってしまうからである。
また、カーボンブラックとグラファイトとの合計量を10としたときのグラファイトの配合割合が1未満となると、圧延する際に充填密度を上げるための荷重が大きくなり、極板の歪みや、正極活物質粒子の割れが発生するため好ましくないからである。一方、グラファイトの配合割合が7を超えると、カーボンブラックと正極活物質粒子の接触点が減少することとなり、高率放電時に抵抗が大きくなるおそれがあり、好ましくないからである。
水溶性増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ボリエチレンオキサイド等が挙げられる。これら水溶性増粘剤は正極活物質100質量部に対して、0.1質量部以上、4.0質量部以下で使用することが好ましい。より好ましくは、0.5質量部以上、3.0質量部以下で使用することがより好ましい。
上述の範囲が好ましい理由としては、水溶性増粘剤の量が、0.1質量部未満であると水性ペーストが凝集してしまうからであり、4.0質量部を超えると得られるリチウムイオン電池の電池抵抗が増大してレート特性が低下するからである。
さらに水溶性増粘剤を、水溶液の状態で用いる場合を考慮すると、取り扱いの容易さ等から0.5質量部以上3.0質量部以下の水溶液として用いることが好ましいからである。
また、バインダーとしては、例えば、フッ素系結着剤やアクリルゴム、変性アクリルゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリル系重合体、ビニル系重合体の単独或いはこれらの二種以上の混合物、または共重合体が挙げられる。バインダーとして、より好ましいのは、耐酸化性、少量で十分な密着性、極板に柔軟性が得られるためアクリル系重合体である。
また正極合剤中に含まれる固形分としては1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、より好ましいのは2質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
上述の範囲が好ましい理由としては、1質量部未満となると、集電体と正極合剤との密着性が弱く、塗膜剥がれが起きやすくなり、10質量部よりも多くなると、密着性は問題ないが、活物質量が減少することになり、高容量の電池が得られず、また絶縁性のバインダーを多く含むことにより塗膜内の抵抗が大きくなるからである。
また、本実施形態では、分散媒体して水を用いるが、水の他に、活物質層の乾燥性や集電体との濡れ性を改良する目的で、アルコール系溶剤、アミン系溶剤、カルボン酸系溶剤、ケトン系溶剤などの水溶性溶剤を分散媒体として含んでいてもよい。
さらに、本実施形態では、正極活物質水性ペーストに、オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム系材料、導電材、水溶性増粘剤、バインダー(結着剤)及び分散剤の他に、塗工性やレベリング性を改良する目的で、界面活性剤、水溶性オリゴマーなどのレベリング剤を含んでいてもよい。
正極活物質の分散工程においては、活物質の二次粒子を粉砕しないメディアレス分散機が好ましく、プラネタリーミキサ、プラネタリーディスパーミキサー、ホモジナイザー、ヘンシェルミキサーなどの公知の分散機を用いることが可能である。
上述のようにして調整された正極合剤の水性ペーストは、金属箔により構成された集電体上に塗布されるが、その際に集電体にはアルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属箔が用いられ、中でも正極用集電体にはアルミニウムを用いることが好ましい。アルミニウムを用いる理由は、電気伝導性に優れ、加工性もよく、かつ、電解液中での耐食性に優れるからである。
正極活物質の集電体金属箔への塗布工程においては、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、マイヤーバーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアーナイフコート、コンマートコート、コンマリバースコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート等から選択した公知の塗布方法および対応する塗布装置を用いることができる。
この場合において、少なくとも集電体上に形成される片面の塗布量が80g/m以上220g/m以下であり、かつ、塗膜密度が1.6g/cm以上2.1g/cm以下となるように塗布する。
上述の範囲が好ましい理由としては、集電体上に形成される片面の塗布量が80g/m未満である場合には、単位面積当たりの塗布量が少なく、電池としたときに高容量の電池を得ることが困難であるからであり、220g/mを超える場合には、高容量の電池を得ることは可能であるが、集電体に水性ペーストを塗布後乾燥する際に、極板のカール現象が大きくなり、電極面のクラックや、塗膜剥がれが頻繁に発生し、極板製造時の歩留まりが低下するため好ましくないからである。
また、塗膜密度が1.6g/cm未満である場合には、活物質と導電剤およびそれら正極合剤と集電体との密着性が低くなり、正極中での導電パスの形成が不十分となって電子伝導性が低下し、高率充放電特性(ハイレート充放電特性)が低下するからであり、また、2.1g/cmを超えると、電極内の空隙率の低下により、電解液の保持性が低下し、高率充放電特性(ハイレート充放電特性)が低下するからである。
一方、負極活物質としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用すればよい。例えば、熱分解炭素類、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークスなどのコークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合異物焼結体(フェノール樹脂、フラン樹脂などを適当な温度で焼結して炭素化したもの。)、炭素繊維、活性炭などの炭素繊維、或いは金属リチウム、リチウム合金やSn系化合物などの合金系材料、チタン酸リチウムの他、ポリアセチレン、ポリビニール等のポリマーも使用することが出来る。これらの負極活物質とバインダー(結着剤)、必要に応じて導電助剤を分散媒体に混練分散させて得られる負極活物質水性ペーストを集電体に塗布し、乾燥・圧延して負極板を作製する。
負極用集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔などが挙げられ、これらのうちでは、銅箔が好ましいが、チタン酸リチウムを用いる場合集電体としては、アルミニウム箔も用いることが出来る。
電解質液は、特に制限されないが、非水電解質液が好ましい。非水電解質液は、従来から一般的にリチウムニ次電池に使用されているものが制限なく使用される。例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、LiBoB、LiB(C、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiOSOCF等の有機リチウム塩の少なくとも一種を、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等の環状工一テル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングルコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マーロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等の鎖状エステル類から選択した少なくとも一種の溶媒に溶解したものが挙げられる。特に、LiBF、LiPFまたはLiBOB、あるいは、これらの混合物を上記の少なくとも一種以上の有機溶媒に溶解した非水電解質液が好ましい。
また、セパレータは、上述した電解液成分に不溶であれば特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系の微多孔性フイルムの単層体、あるいは多層体が挙げられるが、特にポリオレフィン系の微多孔性フイルムの多層体が好ましい。
上述した実施形態の正極板を用い、これに非水電解液用の公知の負極、電解液、セパレータなどを組合わせることで非水電解液二次電池を製作する。
この場合において、電池の形状は特に限定されるものではなく、コイン型、ボタン型、ラミネート型、円筒型、角型、扁平型など何でもよい。
上記構成による本実施形態の非水電解液二次電池用正極板によれば、正極活物質近傍の導電性をカーボンブラック、厚み方向の導電パスをグラファイトで形成することとなるため、高率放電時におけるレート特性を向上させることができる。また圧延による充填密度を上げても極板の反りおよび歪みが減少し、粒子割れも減少するため良好な高率放電特性が得られる。
また、比較的、比表面積の小さく粒径の大きいグラファイトを混合することで、グラファイトが漆喰のような効果を持つことで塗布厚みが増加しても、極板にクラックが入りにくくなる。
また、本実施形態では、水性ペーストを用いているために、正極板製作時の乾燥工程で有機溶媒を排出しないため、環境に負担をかけることなく、作業者にとっても安全に極板作製を行うことができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[1]第1実施例
水2000cm(2リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCHCOO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO)、2molのリン酸(HPO)を、全体量が4000cm(4リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調整した。
次に、この混合物を容量8000cm(8リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃で1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の電極活物質の前駆体を得た。
続いて、この電極活物質の前駆体150g(固形分換算)と、有機化合物としてポリビニルアルコール5gと、を水150gに溶解し、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを混合し、ボールミルにより12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次にこのスラリーを180℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して(スプレードライ)、平均粒径が10μmの造粒体を得た。
そして、得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下で1時間焼成し、電極材料を得た。
この電極材料を走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、1次粒子が複数個集合して2次粒子となり、かつ、1次粒子の表面は、薄膜状のカーボンでコーティング(被覆)されており、1次粒子間に炭素が介在していることが観察された。また、電極材料は、平均粒径が10μmの球状体であった。さらに得られた電極材料の若干量を採取し、X線回折法により解析したところ、カーボンコーティングされたリン酸鉄リチウムであることが確認された。
このカーボンコーティングされたリン酸鉄リチウム100質量部と、導電材のうちカーボンブラックとしてアセチレンブラックを9質量部と、グラファイトとしてKS−15(商品名)を1質量部と、を密閉容器中で乾式混合して粉体を調整した。
続いて2質量部カルボキシメチルセルロース水溶液をリン酸鉄リチウムに対して100質量部を加え、これをプラネタリーミキサで十分に混合した後、ディスパーミキサで分散を行った(メディアレス分散法)。ディスパーミキサで分散後の水性ペーストに、水分散バインダーとしてアクリル系重合体(固形分濃度40質量部)をカーボンコーティングされたリン酸鉄リチウムに対して固形分で5質量部となるように添加してプラネタリーミキサで十分に混合し、水性ペーストを作成した。この際に水性ペーストの粘度がB型粘度計にて60rpm時に8000cpになる様に水を加えて粘度を調整した。この調整した水性ペーストを厚み20μmのアルミニウム箔にドクターブレード法にて集電体の片面上に塗布した。
このときの塗布量とそのときの塗布厚みを計測した。
電極特性を評価する際の塗布量は乾燥重量で120g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケータにより塗布し、70℃の乾燥機中に10分間放置し分散媒体である水を除去した。その後、ロールプレスで乾燥後の極板をプレスし、直径20mmφの円盤状に打ち抜いた。そのときの極板は塗布厚みが60μmで活物質層の密度が2.0g/cmであった。
プレス後の極板と対極として金属リチウム、電解液には1.0M LiPF/EC+EMC(3:7)を用いてコインセルを作製し、4.2−2.OVの電位範囲で充放電試験を実施し、電池特性評価を実施した。
電池特性評価方法として、0.1CA(Capacity Ampere)の充放電レートで活性化充放電を3サイクル行った。
レート特性の評価としては、充電レートを0.5CAとして4.2Vまで充電し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、0.2CA放電時の容量を100%としたときにおける5.0CA放電時の容量で維持率を算出し、算出結果を比較して0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価とした。
さらに、0.5CAの充放電レートで50サイクルの充放電を行い、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価とした。
[2]第2実施例
導電材の混合比をアセチレンブラック(カーボンブラック):KS−15(グラファイト)=7質量部:3質量部とした以外は、第1実施例と同様にして正極板を製造し、第1実施例と同様の0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[3]第3実施例
導電材の混合比をアセチレンブラック(カーボンブラック):KS−15(グラファイト)=5質量部:5質量部とした以外は、第1実施例と同様にして正極板を製造し、第1実施例と同様の0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[4]第4実施例
導電材としての混合比をアセチレンブラック(カーボンブラック):KS−15(グラファイト)=3質量部:7質量部とした以外は、第1実施例と同様にして正極板を製造し、第1実施例と同様の0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[5]第5実施例
導電材剤としての混合比をアセチレンブラック(カーボンブラック):KS−15(グラファイト)=2質量部:8質量部とした以外は、第1実施例と同様にして正極板を製造し、第1実施例と同様の0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[6]第1比較例
導電材剤としての混合比をアセチレンブラック(カーボンブラック):KS−15(グラファイト)=0質量部:10質量部とした以外は、第1実施例と同様にして正極板を製造し、第1実施例と同様の0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[7]第2比較例
導電材剤としての混合比をアセチレンブラック(カーボンブラック):KS−15(グラファイト)=0質量部:10質量部とした以外は、第1実施例と同様にして正極板を製造し、第1実施例と同様の0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[8]第3比較例
第1実施例と同じ配合割合で水性ペースト調整を行った。水性ペースト調整の際は1.0mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミル分散機(メディア分散法)を用いた。
[9]塗布量および塗布厚みの測定結果
表1は、塗布量および塗布厚みの測定結果を示したものである。
Figure 2011044320
第1実施例〜第5実施例および第1比較例〜第3比較例における最大塗布量と、最大塗布量のときの塗布厚みを測定した。この時の最大塗布量は、乾燥後に集電体の露出の有無を確認し、その後、極板を所定サイズに裁断し、重量を計測し、また、同一サイズの集電体の重量を計算により算出し、その差に基づいて算出した。
目付量は乾燥後に集電体の露出が目視で確認できる状態を基準として判断した。
第1実施例〜第5実施例および第1比較例〜第3比較例においては、メディアレス分散法により水性ペースト調整を行うことで、表1に示すように、第3比較例のメディア分散法よりも塗布量が多く、塗布厚みの厚い正極板が作製可能なことがわかる。またグラファイト添加量が増えるとより塗布量を増やすことができることがわかる。
続いて、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率について説明する。
表2は、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率の結果を示したものである。
Figure 2011044320
第1実施例〜第5実施例では、表2に示すように、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率に優れた正極板が作製できた。これは正極活物質近傍の導電性をカーボンブラック、厚み方向の導電パスをグラファイトで形成することにより、高率放電時における2CA/0.5CA放電時の容量維持率を向上させることができるからであると考えられる。
これらに対し、第1比較例では、アセチレンブラックのみを導電剤として用いたため、この極板では乾燥後、乾燥炉から極板を取り出した際に、電極表面にクラックがわずかに見られた。また、高密度化のため圧延する際にも、極板のそりや歪みが出やすく、またそのプレス工程により空隙が極端に減少したため。高出力特性の低下が見られたと考えられる。
また、第2比較例では、正極活物質近傍のアセチレンブラックの不足による導電性の低下が、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率の低下の原因であると考えられる。
また、第3比較例では、メディア分散法により水性ペーストの調整を行ったため、ペースト作製時にダマが発生し、分散不良が発生してしまった。これにより、集電体に水性ペーストを塗布する際にスジ引きが多く発生していたため、電池特性評価を行わなかった。
次に水性ペーストの塗布密度と電池特性との関係について試験を行った。
[10]第6実施例
第1実施例と同様の方法を用いてカーボンコーティングされたリン酸鉄リチウムを作製し、このカーボンコーティングされたリン酸鉄リチウム100質量部と、導電材のうちカーボンブラックとしてアセチレンブラックを9質量部と、グラファイトとしてKS−15(商品名)を5質量部と、を密閉容器中で乾式混合して粉体を調整した。
続いて2質量部カルボキシメチルセルロース水溶液をリン酸鉄リチウムに対して100質量部を加え、これをプラネタリーミキサで十分に混合した後、ディスパーミキサで分散を行って(メディアレス分散法)、得られた水性ペーストに、水分散バインダーとしてアクリル系重合体(固形分濃度40質量部)をカーボンコーティングされたリン酸鉄リチウムに対して固形分で5質量部となるように添加してプラネタリーミキサで十分に混合し、水性ペーストを作成した。この際に水性ペーストの粘度がB型粘度計にて60rpm時に8000cpになる様に水を加えて粘度を調整した。この調整した水性ペーストを厚み20μmのアルミニウム箔にドクターブレード法にて集電体の片面上に塗布した。
そして、このときの塗布量とそのときの塗布厚みを計測した。
電極特性を評価する際の塗布量は乾燥重量で120g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケータにより塗布し、70℃の乾燥機中に10分間放置し分散媒体である水を除去した。その後、ロールプレスで乾燥後の極板をプレスし、直径20mmφの円盤状に打ち抜いた。そのときの極板は塗布厚みが75μmで活物質層の密度(塗膜密度)が1.6g/cmであった。
プレス後の極板と対極として金属リチウム、電解液には1.0M LiPF/EC+EMC(3:7)を用いてコインセルを作製し、4.2−2.OVの電位範囲で充放電試験を実施し、電池特性評価を実施した。
電池特性評価方法として、0.1CAの充放電レートで活性化充放電を3サイクル行った。
レート特性の評価としては、充電レートを0.5CAとして4.2Vまで充電し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、0.2CA放電時の容量を100%としたときにおける5.0CA放電時の容量で維持率を算出し、算出結果を比較して0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価とした。
さらに、0.5CAの充放電レートで50サイクルの充放電を行い、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価とした。
[11]第7実施例
活物質の密度(塗膜密度)を1.8g/cmとした以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[12]第8実施例
活物質の密度(塗膜密度)を2.1g/cmとした以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[13]第4比較例
活物質の密度(塗膜密度)を1.4g/cmとした以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[14]第5比較例
活物質の密度(塗膜密度)を2.2g/cmとした以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率評価および50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
表3は、カーボンブラック(アセチレンブラック):グラファイト(KS−15(商品名)=5質量部:5質量部と同一にし、塗布量を乾燥重量で120g/mとし、その際の塗膜密度をそれぞれ変化(1.4〜2.2g/cm)させたときの0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率をそれぞれ示したものである。
Figure 2011044320
第3実施例、第6実施例〜第8実施例では、表3に示すように、塗膜密度を1.6〜2.1g/cmとすることで、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率に優れたものであった。
これらに対し、第4比較例では、塗膜密度が低いため、活物質と導電剤、および、正極合剤と集電体との密着性が低下し、正極中での導電パスの形成が不十分となり、電子伝導性が低下して高率充放電特性が低下したため、結果として0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率が低いものとなった。
また、第5比較例では、塗膜密度が高いため、極板中の空隙率が低下し、電解液の保持性能が低下し、高率充放電特性が低下したため、結果として、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率が低いものとなった。
次に集電体の片面上に塗布される水性ペーストの塗布量と電池特性との関係について試験を行った。
[15]第9実施例
水性ペーストの塗布量が乾燥重量で80g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケーターにより塗布し、活物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cmとなるように調整した以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、4.2−2.0Vの電位範囲で充放電試験を実施し、電池特性を評価した。
電池特性評価法として、0.1CAの充放電レートで活性化充放電を3サイクル行った。そして、充電レートを0.5CAとして4.2Vまで充電し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価した。
さらに、0.5CAの充放電レートで50サイクルの充放電を行い、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価とした。
[16]第10実施例
水性ペーストの塗布量が乾燥重量で160g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケーターにより塗布し、活物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cmとなるように調整した以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[17]第11実施例
水性ペーストの塗布量が乾燥重量で200g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケーターにより塗布し、活物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cmとなるように調整した以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[18]第12実施例
水性ペーストの塗布量が乾燥重量で220g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケーターにより塗布し、活物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cmとなるように調整した以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[19]第6比較例
水性ペーストの塗布量が乾燥重量で70g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケーターにより塗布し、活物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cmとなるように調整した以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
[20]第7比較例
水性ペーストの塗布量が乾燥重量で230g/mとなるように厚み20μmのアルミニウム箔上にフィルムアプリケーターにより塗布し、活物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cmとなるように調整した以外は、第6実施例と同様にコインセルを作製し、その後、0.2CA、5.0CAの各放電レートで放電特性を評価し、50サイクル経過後の容量維持率サイクル評価を行った。
表4は、カーボンブラック(アセチレンブラック):グラファイト(KS−15(商品名)=5質量部:5質量部と同一にし、塗布量を乾燥重量で120g/mとし、その際の塗布量をそれぞれ変化(70〜230g/m)させて、物質層の密度(塗膜密度)が1.8g/cm)となるように調整した際の、0.2CA放電時の放電容量、0.5CA放電時の容量および50サイクル経過後の容量維持率をそれぞれ示したものである。
Figure 2011044320
第7実施例、第9実施例〜第12実施例では、表4に示すように、塗布量を80〜220g/mとすることで、0.2CA/0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率に優れたものであった。
これらに対し、第6比較例では、塗布量が少ないため、50サイクル経過後の容量維持率は優れるものの、0.2CA放電時の容量維持率および0.5CA放電時の容量維持率は、共に低い値を示し、高容量の電池を得ることが困難であることがわかった。
また、第7比較例は、0.2CA放電時の容量維持率、0.5CA放電時の容量維持率および50サイクル経過後の容量維持率に優れたものであった。
しかしながら、水性ペーストの塗布量が多いため、極板のカール現象が大きくなり、クラックや剥がれが起こっている箇所が見受けられ、長期使用した場合、短絡などによる字妙原因となるおそれがあった。
上述したように、本実施例の水性ペーストを用いた非水電解液二次電池用正極板の製造において、物質近傍の導電性をカーボンブラックで確保し、厚み方向の導電パスをグラファイトで確保することにより、高率放電時におけるレート特性を向上させることができる。また圧延による充填密度を上げても極板の反りおよび歪みが減少し、粒子割れも減少するため良好な高率放電特性を得ることができた。
さらに、各実施例では、水性ペーストを用いているために、正極板製造時の乾燥工程で有機溶媒を排出せず、環境に負担をかけることなく、作業者にとっても安全に極板作製を行うことができる。

Claims (3)

  1. リン酸鉄リチウム系材料を含む正極活物質、カーボンブラックとグラファイトとを所定の配合割合で含む導電剤、水溶性増粘剤および結着剤に、分散剤としての水を加え、メディアレス分散法を用いて混練分散して水性ペーストを作成する工程と、
    前記水性ペーストを集電体上に塗布する工程と、
    前記水性ペーストが塗布された集電体を乾燥して正極活物質層を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする非水電解液二次電池用正極板の製造方法。
  2. 請求項1記載の非水電解液二次電池用正極板の製造方法において、
    正極活物質100質量部に対し、前記導電剤を4質量部以上〜10質量部以下含み、
    前記導電剤におけるカーボンブラック:グラファイトの前記配合割合が、
    10−X:X (ここで、1≦X≦7。Xは、カーボンブラックとグラファイト
    の合計を10とした時のグラファイトの配合割合)
    であることを特徴とする非水電解液二次電池用正極板の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の非水電解液二次電池用正極板の製造方法において、
    前記水性ペーストを、少なくとも集電体上に形成される片面の塗布量が80g/m以上、220g/m以下であり、かつ、塗膜密度が1.6g/cm以上、2.1g/cm以下となるように塗布することを特徴とする非水電解液二次電池用正極板の製造方法。
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