JP4848725B2 - 非水電解液二次電池用電極板、及び非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用電極板、及び非水電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池用電極板、及びそれを用いた非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、高エネルギー密度、高電圧を有し、また充放電時におけるメモリー効果(完全に放電させる前に電池の充電を行なうと次第に電池容量が減少していく現象)が無いことから、携帯機器、大型機器など様々な分野で用いられている。
一般的な非水電解液二次電池の構成を単純化すると、正極板、負極板、セパレータ及び電解液からなり、該正極板及び負極板としては、金属箔等の集電体の上に、電極活物質層として塗工膜を形成したものが用いられている。
電極活物質層は通常、活物質、結着、必要に応じて導電材、及びその他の材料を溶媒中で混練及び分散してスラリー状の電極活物質層材料に調製し、該電極活物質層材料を集電体上に塗布及び乾燥して形成される。
近年では特に電気自動車、ハイブリッド自動車、パワーツール等のような高出力特性が必要とされる分野に向けて非水電解液二次電池の開発が進んでいる。
従来広く開発されてきた一般に携帯電話、パソコン等に用いられる小型の非水電解液二次電池は、通常10μm付近の平均粒径を有する活物質を使用し、電池をより小さく軽くすることを追求すると共に、電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を重視する。そのため、このような電池の電極活物質層における活物質の配合比率は概して大きく、導電材や結着の配合比率は小さい。また、電極活物質層のプレス密度(プレスした後の電極活物質層の密度)は高く、このような電極活物質層の空隙は比較的少ない。
これに対して、上記の高出力特性を要する非水電解液二次電池は、電池のコンパクトさよりも高出力特性を重視する。また、高出力特性を要する非水電解液二次電池は、小型の非水電解液二次電池と比べて、著しく大きな電流で放電するため、小型の非水電解液二次電池と同様の電極活物質層を用いても、優れた出力特性を得ることは難しかった。
一般に、活物質の粒径を小さくすることで、活物質の反応を効率よくする方法が知られている。つまり、活物質の粒径を小さくすると、活物質の比表面積が大きくなると共に、イオン及び電子の活物質粒子内における移動距離が短くなり、同質量の通常の粒径の活物質と比較した場合に、短時間で多くの活物質を反応させることが可能である。このとき、各活物質粒子への導通を確保し電極活物質層の抵抗を下げるためには、小粒径の活物質を満遍なく導電材で網羅する必要がある。しかし、小粒径の活物質は、同質量の通常の粒径の活物質に比べると粒子数及び比表面積が増加しているため、活物質に対する導電材の添加量を増やす必要がある。また、活物質表面を満遍なく網羅するためには必然的に導電材の粒子径も小さくする必要がある。
しかしながら、従来より広く用いられているカーボンブラックなどの導電材の量を増やしていくと、次第に電極活物質層の高出力特性は向上するが、ある程度の添加量に達すると高出力特性の伸びは頭打ちになってしまう。これは、導電材はストラクチャー(連結)を形成するため、導電材の量が大量になるとストラクチャーがほつれて凝集し、電極活物質層材料中に均一に分散することが難しいことが影響している。したがって、必要以上に多くの導電材を電極活物質層材料に添加しても、期待される効果とは逆に導電材の凝集につながり、高出力特性の向上には限界があった。また、導電材の凝集によって、電極活物質層材料の流動性が悪くなり、塗工適性に問題があった。
特許文献1には、表面に存在する水素含有官能基量が3μeq/mであり、水分散液中におけるアグロメレート(数個から数十個のカーボンブラックの基本微粒子が不規則で複雑な鎖状に融着結合した凝集体が再凝集した集合体)の最大粒子径Dupa99%(nm)の値が500nm以下のカーボンブラックを、水中に分散してなることを特徴とする鉛蓄電池用添加剤が開示されている。鉛蓄電池の電解液に対して優れた分散性能を示し、少ない添加量で放電により生成する電子導電性の極めて低いPbSOに導電性を付与することができるといった特徴があった。しかしながら、該蓄電池用添加剤は、電解液の一部と置換して使用され、多量に添加する発想は見受けられない。
同様に、鉛蓄電池の分野において、特許文献2には、表面に親水基を有し、メジアン径が600ナノメートル以下の導電性の微粒子を水系電解液中および/または電極活物質粒の表面に含む二次電池及び該二次電池用添加剤が開示されている。しかしながら、特許文献2は、電解液との濡れ性を良好にするために導電性の微粒子表面に親水基を含んでおり、また、該二次電池用添加剤は電解液の一部と置換して使用され、微量の添加により電池寿命の著しい延長等の効果を発揮するとしている。
特開2000−340233号 特開平10−228922号
本発明は、上記の実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第1の目的は、集電体の少なくとも一面に、電極活物質層を備える非水電解液二次電池用電極板において、該電極活物質層に含まれる導電材の凝集を防ぎ、該電極活物質層の活物質を効率的に反応させて、大電流の放電など急速な充放電時においても優れた高出力特性を発揮する非水電解液二次電池用電極板を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上述したような非水電解液二次電池用電極板を備えた、大電流の放電など急速な充放電時においても高出力特性に優れた非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、集電体の少なくとも一面に、電極活物質層を備える非水電解液二次電池用正極板であって、該電極活物質層は、少なくとも活物質、結着、親水性カーボン粒子、及び親水性カーボン粒子以外の導電材を含有し、前記親水性カーボン粒子の粒度分布測定におけるモード径が、100〜1000nmであり、前記活物質100重量部に対して、前記親水性カーボン粒子を0.6〜7.0重量部、かつ、前記親水性カーボン粒子と前記親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が12.5〜16.5重量部の割合で含有することを特徴とする。
また、上記非水電解液二次電池用電極板においては、前記親水性カーボン粒子の親水基が、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基のいずれかを含むことが好ましい。
前記親水性カーボン粒子は、pH3〜5であることが好ましい。
前記活物質の平均一次粒径は、0.1〜5μmであることが好ましい。
本発明における非水電解液二次電池は、少なくとも正極板、負極板、及び電解液を含む非水電解液二次電池であって、該正極板が、上記非水電解液二次電池用電極板であることを特徴とする。
本発明にかかる非水電解液二次電池用電極板は、高出力特性の非水電解液二次電池を得るために、活物質の反応できる比表面積を大きく、イオンや電子が活物質粒子内において移動する距離を短くして、イオン及び電子に対して活物質を素早く反応させるために、小粒径の活物質(平均一次粒径0.1〜5μm)を用いる。各活物質粒子への導通を確保し電極活物質層の抵抗を下げるためには、小粒径の活物質を満遍なく導電材で網羅する必要があるため、小粒径の活物質に対して多量の導電材を含有する。
従来より広く用いられているカーボンブラックなどの導電材はストラクチャーが比較的長いため、添加量を増やしていくと、最初は電極活物質層の高出力特性が向上するものの、導電材の量が大量になるとストラクチャーがほつれて凝集し、高出力特性の伸びは頭打ちになってしまう。
本発明においては、ほぐれやすく比較的短いストラクチャーの親水性カーボン粒子を、上述したような従来より用いられているストラクチャーの比較的長い導電材と共に追加又は一部を置換して電極活物質層に含有するため、凝集の問題を回避することができる。すなわち、導電材の一部に親水性カーボン粒子を含むことによって、導電材が溶媒に分散しやすくなって、粒子の流動性が増すため、導電材が凝集し難くなる。
したがって、小粒径の活物質に対して多量の導電材を含有するため、小粒径の活物質粒子の表面に効率的に導電材を配置して効果的な電子のパスを形成することができ、電極活物質層の抵抗を低減することができる。また、該電子のパスによって集電体から活物質への電子の流れが確保され、活物質の反応を促進することができる。活物質を効率的に反応させることによって、大電流の放電など急速な充放電時においても途中で放電電位が急激に降下することなく、優れた高出力特性を発揮する非水電解液二次電池用電極板を得ることができる。また、導電材が凝集し難くなるため、電極活物質層材料の流動性が改善し、塗工適性に優れるため、生産性が向上する。特に、非水電解液二次電池用電極板が正極板である場合、当該正極板は一般的に半導体である場合が多いため、活物質の小粒径化、および効果的な電子のパスの形成によって得られる効果は高い。
また、本発明によれば、電極活物質層で活物質を効率的に反応させることができ、大電流の放電など急速な充放電時においても優れた高出力特性を発揮することができる非水電解液二次電池を得ることができる。
本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、集電体の少なくとも一面に、電極活物質層を備える非水電解液二次電池用電極板であって、該電極活物質層は、少なくとも活物質、結着、親水性カーボン粒子、及び親水性カーボン粒子以外の導電材を含有し、前記親水性カーボン粒子の粒度分布測定におけるモード径が、100〜1000nmであり、前記活物質100重量部に対して、前記親水性カーボン粒子を0.6〜7.0重量部、かつ、前記親水性カーボン粒子と前記親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が12.5〜16.5重量部の割合で含有することを特徴とするものである。
本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、上記活物質、結着剤、並びに導電材として親水性カーボン粒子及び親水性カーボン粒子以外の導電材を少なくとも含有する電極活物質層材料を用いて集電体上に塗布等の手段により電極活物質層を形成することによって作製される。本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、正極板であることが好ましい
まず、電極活物質層材料について説明する。正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の正極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)若しくはLiNiO(ニッケル酸リチウム)等のリチウム含有金属酸化物、または、TiS、MnO、MoO若しくはV等のカルコゲン化合物を例示することができる。特に、LiCoO、LiMn等のリチウム含有金属酸化物を正極用活物質として用い、炭素質材料を負極用活物質として用い、非水電解液を電解液として用いることにより4ボルト程度の高い放電電圧を有するリチウム系二次電池が得られる。
一方、負極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の負極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、天然グラファイト、人造グラファイト、アモルファス炭素、カーボンブラック、または、これらの成分に異種元素を添加したもののような炭素質材料が好んで用いられる。また、金属リチウム及びその合金、スズ、シリコン、及びそれらの合金等、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料が一般的に使用可能である。
活物質は、比表面積を大きくするために、平均一次粒径が0.1〜5μmの粉体であることが好ましく、より好ましい平均一次粒径は、0.1〜3μmである。活物質の平均粒径を0.1μm以上とする理由は、現実的な入手の容易さだけでなく、導電材の必要量が過大になるという問題があるからである。つまり、本発明においては、活物質の平均一次粒径が0.1μmよりも小さくなると、単位重量あたりの活物質の粒子数及び比表面積が著しく増える。それに伴い、各活物質粒子の表面に電気的導通を取るための導電材も、大幅に増量する必要が生じる。この場合、電極活物質層の機械的強度の低下、電極活物質層材料の塗工適性の悪化、体積(重量)エネルギー密度の低下などの問題が生じ、電極板の高出力化とこれらの他の性能とのバランスを取ることが困難になってしまう。
また、活物質の平均一次粒径を5μm以下とする理由は、電子やイオンが活物質に出入りするために充分な比表面積を確保すると共に、活物質粒子の表面から中心までの距離を短くすることによって、活物質粒子の中心の領域(あるいは、活物質粒子の導電材が付着した表面部分から離れている領域)における電池反応に必要なイオン及び電子が、活物質粒子内を移動する時の抵抗を小さくするためである。平均一次粒径を測定する方法としては、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置や電子顕微鏡観察による測定などがある。活物質の測定を行なう場合は、レーザー回折/散乱式を用いることが多く、この場合の平均粒径は体積平均粒径をいう。
これらの活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、電池反応は、集電体を通して授受される電子と電解液を通して授受されるイオンの存在下、活物質の化学反応によって起きるため、電解液が活物質を含む電極活物質層にしみ込めるような空隙(活物質及び後述する結着及び導電材等が存在しない空間)が、電極活物質層を形成した時にできるようにすることも考慮して、活物質の粒径、形状等を選択する。
電極活物質層材料中の活物質の配合割合は、溶剤を除く配合成分を基準(固形分基準)とした時に通常は70〜90重量%とする。
導電材としては、親水性カーボン粒子及び親水性カーボン粒子以外の導電材を用いる。導電材は、電極活物質層中に分散した導電材粒子同士が互いに接触して集電体と活物質の間の電子のパス(導電パスともいう。)を形成し、導通を確保する働きをし、電極板の抵抗を下げる役割を果たす。
本発明においては、導電材を多量添加することにより、活物質を小粒径化して活物質の粒子数や比表面積が増大しても、各活物質粒子の表面を満遍なく導電材で網羅することができ、効果的な導電パスを形成して小粒径の活物質の性能をより引き出すことができ、電極活物質層の内部抵抗を下げることができる。
従来より広く用いられている導電材はストラクチャーが比較的長いものが多く、むやみに多量添加するとストラクチャーがほつれて凝集しやすく、また空隙を塞ぎやすいが、親水性カーボン粒子を、このようなストラクチャーの比較的長い導電材と共に追加又は一部を置換して用いることによって、凝集を回避することができる。
具体的には、親水性カーボン粒子は、親水基を有するため、溶媒中においてストラクチャーがほぐれ易く、分散しやすいが、親水性カーボン粒子単体では電子のパスが切れやすい。そこで、親水性カーボン粒子と親水性カーボン粒子以外の導電材と共に用いると、親水性カーボン粒子がストラクチャーの長いカーボン粒子の間に入り込んで導電材全体が溶媒に分散しやすくなり、粒子の流動性が増すことによって、導電材が凝集し難くなる。その結果、親水性カーボン粒子以外の導電材を親水性カーボン粒子が補って、粒径の小さい活物質に大量の導電材を満遍なく分布させることができる。
ここで、親水性とは、水と任意の割合で混ざり合う溶媒中、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール等に容易に分散する性質をいう。親水性カーボン粒子は、試料50mgを20gの水又はNMP中に分散させ、室温にて1日放置後、分散液の状態を目視観察した時に、分散液中に導電材が分散したままで、導電材の沈澱、凝集等がない又は少ないものであることが好ましい。一方、同様の分散性評価を通常のカーボン粒子を用いて行った場合には、通常のカーボン粒子を水又はNMP中に分散後、直ちにカーボン粒子と水又はNMPに分離するため、親水性カーボン粒子と通常のカーボン粒子の違いを目視で判別することができる。
したがって、小粒径の活物質に対して多量の導電材を含有するため、小粒径の活物質粒子の表面に効率的に導電材を配置して効果的な電子のパスを形成することができ、電極活物質層の抵抗を下げることができる。また、充分な量の導電材によって活物質への電子の流れが確保され、活物質の反応を促進することができる。活物質を効率的に反応させることによって、大電流の放電など急速な充放電時においても、急激に放電電位が下がることなく、優れた高出力特性を発揮することができる非水電解液二次電池用電極板を得ることができる。また、導電材が凝集し難くなるため、電極活物質層材料の流動性が改善し、塗工適性に優れるため、生産性が向上する。特に、非水電解液二次電池用電極板が正極板である場合、当該正極板には活物質として一般的に半導体のような比較的導電性の小さい材料が用いられている場合が多いため、活物質の小粒径化、および効果的な電子のパスの形成によって得られる効果は高い。
親水性カーボン粒子とは、親水基を有するカーボン粒子である。カーボン粒子は、平均一次粒径が10〜1000nmであるアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックに代表される炭素材料である。ここで、親水性カーボン粒子の平均一次粒径は、一般に電子顕微鏡による実測から計算し、この場合の平均一次粒径は個数平均(算術平均)粒径をいう。
また、親水性カーボン粒子は水と任意に混合する溶媒中で容易に分散するため、粒度分布計を使用して粒度分布を測定することができる。例えば、導電材50mgをNMP中に分散させてサンプルを調製し、粒度分布計(LA−920、(株)堀場製作所製)で測定して算出する。溶媒中での粒度分布は、親水性カーボン粒子が安定に分散した状態における、親水性カーボン粒子の一次粒子及び/又は二次粒子の粒度分布を表す。親水性カーボン粒子の粒度分布測定におけるモード径は、100nm〜1000nmであることが好ましい。モード径とは、粒度分布の中で最も粒子頻度が高い部分の粒径をいう。これらのカーボン粒子は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水基としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基が挙げられ、少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。中でも、カルボキシル基が親水基として好ましい。特に、親水基がカルボキシル基の場合には、カルボキシル基の導入量とpHに相関関係があり、pHの値によって親水性の強さが変わる。親水基がカルボキシル基である場合の親水性カーボン粒子は、pH3〜5であることが好ましい。ここで、pH測定法は、親水性カーボン50mgをイオン交換水中に分散させ、pHメーター(D−23、(株)堀場製作所製)で測定する。尚、一般的なアセチレンブラックのpHは8、活物質のpHは9.5である。
カーボン粒子を親水性にする処理方法は、公知の処理方法でよい。例えば、カーボンブラックを酸化処理して粒子表面に親水性の官能基を形成する方法が挙げられる。
親水性カーボン粒子以外の導電材としては、通常、非水電解液二次電池用電極板に用いられているものを使用することができ、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。中でも、ストラクチャーの比較的短めのアセチレンブラックが凝集を生じ難いため、比較的分散しやすく、不純物が少ない上、導電性が高いことから好ましい。これらの導電材は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電極活物質層材料中の親水性カーボン粒子及び親水性カーボン粒子以外の導電材の配合割合は、前記活物質100重量部に対して、親水性カーボン粒子を0.6〜7.0重量部、かつ、親水性カーボン粒子と親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が12.5〜16.5重量部の割合、好ましくは、前記親水性カーボン粒子を1〜4重量部、かつ、親水性カーボン粒子と親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が13〜15重量部の割合とする。
上記親水性カーボン粒子の配合割合が大きすぎると、上述したように親水性カーボン粒子はストラクチャーがほぐれ易いため、導通パスが切れ易くなり、電極活物質層の抵抗を充分に抑えることが難しい。一方、親水性カーボン粒子の配合割合が小さすぎると、導電材が凝集し易く、活物質も組成物中で偏在して凝集する。このように均一に分散していない凝集した小粒径の活物質は、一次粒径の大きい活物質を用いる場合と効果は変わらなくなり、活物質を有効に利用することができない。したがって、放電初期は急速充放電が可能であっても、放電後期には放電電位が急激に下落してしまう。また、重量(体積)エネルギー密度も低下する。
また、親水性カーボン粒子と親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が少なすぎると、導電パスが充分に形成されないため、電極活物質層の内部抵抗が高くなり、放電初期は急速充放電が可能であっても、放電後期には放電電位が急激に下落し、放電容量が低くなってしまう。一方、親水性カーボン粒子と親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が多すぎると、導電材が凝集し易くなるに伴い、活物質も組成物中で偏在して凝集するため、活物質を有効に利用することができず、急速充放電の途中から放電電位が激しく下落してしまう。
電極活物質層には、通常、結着材が用いられる。結着材としては従来から用いられているもの、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂またはポリイミド樹脂等を使用することができる。この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーを結着材中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。
電極活物質層材料中の結着材の配合割合は、活物質100重量部に対して6.5〜25重量部、好ましくは8〜17重量部の割合とする。結着の配合割合が大きすぎると、結着が活物質粒子及び導電材の表面を被覆して電子のパスの形成や電池反応を困難にしたり、電極活物質層中の空隙を塞いでイオンの移動を妨げることがあり、充放電時の抵抗を増加させる。また、必要以上の結着の添加は、電極の重量(体積)エネルギー密度を低下させる。
一方、結着の配合割合が小さすぎると、電極活物質層の充分な結着強度及び密着性が確保されない。その場合、導電材粒子同士及び導電材と活物質粒子及び/又は集電体間の強固な接触が保たれず、導電パスが分断しやすいため、電極活物質層の抵抗の増加につながる。また、充放電の繰り返しによる電極活物質層の脱落若しくは剥離による抵抗の増加、又は電極製造工程での脱落若しくは剥離による歩留の低下などの原因になる。
結着の配合割合は、活物質と導電材の配合量における、所望の電極活物質層の剥離強度を目安にして決めることができる。剥離強度を目安にする理由は、活物質粒子が小粒径になるほど、又は微粒子である導電材の添加量が増えるほど、電極活物質層に含まれる粒子の数が増え、それに伴い各粒子を結着するのに必要な結着の量も増やす必要があるため、電極活物質層が必要な剥離強度を有する範囲で結着の配合割合を決めるからである。
一般に、高出力特性を要する非水電解液二次電池の電極活物質層の剥離強度は、約10〜100N/mであることが好ましい。ここで、剥離強度はJIS−K6854に記載の90度剥離試験方法に準じて測定する。この場合の剥離強度は、電極活物質層中の粒子同士及び粒子と集電体との凝集力(結着力)の目安になる。
また、必要に応じて、増粘剤、界面活性剤及び分散剤を用いてもよい。これらは従来から用いられているものを好適に用いることができる。また、電解液が電極活物質層に染み込むための空隙を効果的に確保するためのフィラーを添加してもよい。該フィラーは電池を作製した時に電気化学的に安定であれば特に制限はなく、またフィラーの材質は無機、有機材料から選択できるが、電極活物質層のインピーダンスを下げるという意味では、導電性を有する材料であることが望ましい。導電性を有するフィラーとしては、例えば、金属微粒子、金属酸化物粒子、炭素繊維などが挙げられる。該フィラーの形状は、粒子状、繊維状などから任意に選択することができる。効果的に空隙を確保するために、複数の形状のフィラーを混合してもよい。
電極活物質層材料を調製する溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)など或いはこれらの混合物、又はイオン交換水のような結着を溶解及び分散可能な溶剤を用いることができる。電極活物質層材料中の溶剤の割合は、使用する材料の比重や分散のし易さにもよるが、通常は30〜75重量%、好ましくは45〜65重量%とし、電極活物質層材料をスラリー状に調製する。
電極活物質層材料は、適宜選択した活物質、導電材及び結着など他の配合成分を適切な溶剤中にいれ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散して、スラリー状に調製できる。
このようにして調製された電極活物質層材料を用いて、基体である集電体の上に電極活物質層を形成する。
正極板の集電体としては通常、アルミニウム箔が好ましく用いられる。一方、負極板の集電体としては、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは通常、5〜50μm程度とする。
電極活物質層をコーティングにより形成する場合、電極活物質層材料の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、ダイコート、コンマコート等が適している。電極活物質層材料の粘度が低い場合には、グラビアコート、スプレーコート、ディップコート等によって塗布することもできる。塗布形状は、必要に応じて間欠塗工などパターンを形成してもよい。尚、電極活物質層は、複数回塗工、乾燥を繰り返すことにより形成してもよく、2層以上を塗工した後、該2層以上を一度に乾燥させてもよい。また、各塗工工程の間に、プレス工程や空隙付与工程等、他の工程を実施することもできる。
塗工された電極活物質層材料は、溶剤を除去するために、通常乾燥される。溶剤の除去方法は特に限定されないが、電極活物質層材料の耐熱性、溶媒除去効率、乾燥後の活物質層中での導電材の分布状態などを考慮して、温風乾燥、遠赤外線乾燥、接触乾燥、減圧乾燥、フリーズドライ乾燥などの一般的な手法の中から適宜選択又は組み合わせることができる。
また、乾燥後、必要に応じて熱処理や電子線処理などを加え、材料の変質による導電性向上、強度向上、耐電解液性の向上などを行なってもよい。この操作により、熱処理によって導電性を発現するタイプの材料を使用することができる。
尚、選択した材料にもよるが、電極活物質層の塗工量又は形成量は、正極活物質層の場合には、通常20〜300g/m(片面)、好ましくは30〜250g/m(片面)であり、負極活物質層の場合には、通常10〜200g/m(片面)、好ましくは20〜150g/m(片面)である。
このように形成された電極活物質層は、更に、該電極活物質層をプレス加工することにより、電極活物質層の密度、集電体に対する密着性、均質性を向上させ、さらに、電極活物質層内での粒子間の接触を十分にし、集電体と活物質の間の効果的な導電パスの形成を向上させることができる。
プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行う。本発明においてプレス温度は、活物質層の塗工膜を乾燥させる温度よりも低い温度とする限り、室温で行ってもよいし又は加温して行ってもよいが、通常は室温(室温の目安としては15〜35℃である。)で行う。
ロールプレスは、ロングシート状の電極板を連続的にプレス加工できる。ロールプレスを行う場合には定位プレス、定圧プレスのいずれを行ってもよい。プレスのライン速度は通常、5〜50m/min.とする。ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を0.5kgf/cm〜1tf/cmとする。
また、シートプレスを行う場合には通常、4903〜73550N/cm(500〜7500kgf/cm)、好ましくは29420〜49033N/cm(3000〜5000kgf/cm)の範囲に圧力を調節する。プレス圧力が小さすぎると電極活物質層内での活物質と導電材の接触が不十分になったり、集電体と活物質の間の効果的な導電パスの形成を向上させられない場合がある。一方、プレス圧力が大きすぎると電極活物質層内の空隙を潰してしまったり、集電体を含めて電極板自体が破損してしまう場合がある。電極活物質層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。
以上のような方法で作製した本発明における非水電解液二次電池用電極板の電極活物質層は、以下のような特徴を有する。
1)非水電解液二次電池用電極板の電極活物質層の内部抵抗を低減することができる。具体的には、小粒径の活物質を用いる場合には、同質量のより大きな粒径の活物質と比較して活物質の粒子数及び比表面積が増えるため、必要となる導電材の量も増える。この時、導電材の量が活物質の量に対して不足している場合には、導電材粒子同士の良好な接触が保たれず電極活物質層の体積抵抗率が増大し、充放電時の電圧降下やエネルギーロスなどにより急速充放電時の性能が低下する。しかし、本発明のように活物質に対して充分な量の導電材を添加することで、活物質粒子を網羅する形で電子のパスが形成され、体積抵抗率を低減することができる。
特に、本発明における非水電解液二次電池用電極板が正極板の場合、電極活物質層の体積抵抗率を、6Ω・cm以下とすることができる。ここで、電極活物質層の体積抵抗率とは、乾燥、プレス等が行われた後の電極活物質層の体積抵抗率をいう。尚、電極活物質層の体積抵抗率の測定は、絶縁性のシート上に電極活物質層を形成し、JIS K7194に準じて四探針法にて測定する方法が簡便である。また、集電体の上に電極活物質層が形成された状態で電極活物質層の体積抵抗率を測定する場合は、所定の面積に電極板を切り出した電極シート及び集電体単体について厚さ方向の抵抗を測定し、計算によって電極活物質層単体の体積抵抗率を求める。
このように、非水電解液二次電池用電極板の電極活物質層の内部抵抗が小さいため、大電流の放電など急速な充放電時においても途中で放電電位が急激に降下することなく、高い放電容量を安定的に維持することができる。
2)親水性カーボン粒子の粒子がほぐれ易く、電極活物質層材料中におけるモード径が小さいため、塗工後の電極活物質層の密度を高くすることができる。特に、本発明における非水電解液二次電池用電極板が正極板の場合、電極活物質層の密度(プレス密度)を、1.8〜3g/cm、好ましくは2.0〜2.7g/cmとすることができる。電極活物質層は、通常、電極活物質層の体積エネルギー密度の向上、電極活物質層の凝集力(集電体への密着性)の改善、及び導電性を向上させるためにプレスされる。特に微粒子状の導電材を使用する場合は、導電材粒子及び活物質粒子の効果的な接触を保つために圧延して電極活物質層を緻密化することが重要である。従って、急速充放電に必要な高い導電性を得るためにプレス密度は1.8g/cm以上とすることが望ましい。一方、必要以上に電極活物質層を圧延すると、電極活物質層中の空隙が潰れ、電極活物質層への電解液の浸透性が低下し、急速充放電時のイオンの移動が阻害されるため、プレス密度は3g/cm以下とすることが好ましい。尚、急速充放電を必要としない小型電池の正極板のプレス密度は、通常3g/cmよりも大きい。
また、親水性カーボン粒子の粒径が小さくほぐれやすく、未プレス時の電極活物質層の密度が上がるため、親水性カーボン粒子以外の導電材のみを使用する場合と比べて、容易に高密度化することができ、プレス時の負荷も低減する。
さらに、電極活物質層の密度が高いため、電極活物質層の密着性も上がる。
3)急速放電時において、放電容量を維持することができる。すなわち、高出力特性を有することが分かる。
以上のようにして本発明に係る非水電解液二次電池用電極板が得られ、該電極板を用いて非水電解液二次電池を作製することができる。尚、本発明における非水電解液二次電池用電極板は、上述したように正極板及び負極板の少なくとも一方が、上記非水電解液二次電池用電極板であればよいが、特に正極板は、活物質として半導体のような比較的導電性の小さい材料を用いることが多く、負極板と比べて抵抗が高くなる傾向があるため、高出力特性を得るために本発明を適用することによる効果は大きい。
通常、正極板及び負極板を、ポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータを介して渦巻状に捲回、又は積層し、外装容器に挿入する。外装容器には一般に金属缶やラミネートフィルムによるパッケージなどが用いられる。挿入後、正極板及び負極板に取り付けられた(あるいは集電体の一部を用いて形成された)電流取り出し端子をそれぞれ、外装容器に設けた正極端子及び負極端子に接続する。外装容器がラミネートパッケージの場合は、電流取り出し端子をそのまま容器の外に取り出しても良い。その後、外装容器に非水電解液を充填し、密封することによって、本発明に係る電極板を備えた非水電解液二次電池が完成する。
リチウム系二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiOSOCF、LiOSO、LiOSO、LiOSO、LiOSO11、LiOSO13、LiOSO15等の有機リチウム塩等が用いられる。
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
(実施例1)
正極用活物質としてコバルト酸リチウムを100重量部、親水性カーボン粒子としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中での粒度分布測定におけるモード径が300nmでpH3.4の親水性カーボンA(東海カーボン(株)製)を2.5重量部、親水性カーボン粒子以外の導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を10重量部、結着としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12.5重量部を、溶媒であるNMP中で混合し、攪拌機で16,000rpmにて10分間攪拌し、電極活物質層材料を調製した。
尚、pH及び粒度分布については、以下の方法で測定した。
<pH測定>
親水性カーボン粒子50mgをイオン交換水中に分散させ、pHメーター(D−23、(株)堀場製作所製)でpHを測定した。
<粒度分布測定>
親水性カーボン粒子50mgをNMP中に分散させてサンプルを調製し、粒度分布計(LA−920、(株)堀場製作所製)で粒度分布を測定し、モード径を算出した。
次に、得られた電極活物質層材料を用いて以下の測定を行った。表1に結果を示す。
(1)体積抵抗率の測定
厚さ100μmのPET(ルミラーT60、東レ(株)製)フィルムに、調製した電極活物質層材料を塗布、乾燥して電極活物質層を形成し、プレス密度が約2.0g/ccとなるようにロールプレス機で圧延した。プレス前の電極活物質層の重量は約80g/mであり、活物質の総重量は約64g/mであった。
Loresta−EP MCP−T360(三菱化学(株)製)で、JIS K7194に準じて四探針法にて、電極活物質層の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
(2)放電容量の測定
厚さ15μmのアルミ箔上に、調製した電極活物質層材料を塗布、乾燥して電極活物質層を形成し、プレス密度が約2.0g/ccとなるようにロールプレス機で圧延して正極板を得た。プレス前の電極活物質層の重量は約80g/mであり、活物質の総重量は約64g/mであった。
作製した正極板、並びに対極、及び参照極として金属リチウム板を用い、ポリプロピレン製のセパレータを介して捲回し、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=1:1(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを溶解させた電解液を注入して、三極式簡易セルを作成した。
また、正極板の電極活物質層重量中の活物質量および活物質の理論容量(mAh/g)(コバルト酸リチウムの場合は130mAh/g、マンガン酸リチウムの場合は90mAh/gとする)から放電レート1Cを算出した。尚、1Cとは、公称容量値の容量を有するセルを定電流放電した時に、1時間で放電終了となる電流値のことであり、例えば、2.2Ah(2.2Aの電流値で1時間放電可能)の公称容量値のセルでは1C=2.2Aである。
次に、上記セルを25℃の環境下にて、1C(mA)の定電流で充電し、所定の電極電位(コバルト酸リチウムの場合4.2V)に到達した後、その電位にて定電位充電に切替え、流れる充電電流が1C(mA)の5%以下になった時点で充電完了とした。その後、10分間休止し、1C(mA)の電流値で電極電位が3.0Vになるまで放電した。
横軸を放電容量(放電時間)、縦軸をセル電圧として、1Cにおける充放電カーブを算出し、1Cにおける放電容量(mAh/g)を求めた。
同様に、上記において放電レート1Cであるところを10C及び30Cに替えて、10C及び30Cにおける放電容量を求めた。
放電レート特性として、30Cの放電量が1Cの放電容量に対して80%以上の場合には○、80%〜50%である場合には△、50%以下である場合には×と評価した。
(3)放電電位の平坦レベルの評価
上記(4)で作製したセルを25℃の環境下にて、1C(mA)の定電流で充電し、所定の電極電位(コバルト酸リチウムの場合4.2V)に到達した後、その電位にて定電位充電に切替え、流れる充電電流が1C(mA)の5%以下になった時点で充電完了とした。その後、10分間休止し、1C(mA)の電流値で電極電位が3.0Vになるまで放電した。
上述した方法と同様に、1Cにおける充放電カーブを算出し、1Cにおける放電カーブの4.2Vから3.9Vの間における傾きを算出した。
同様に、上記において放電レート1Cであるところを5C、10C、及び20Cに替えて、5C、10C、及び20Cにおける放電カーブの傾きを求めた。
次に、1、5、10、及び20Cのレート変化による傾きの変化をプロットした。ここで、レート変化とは、放電レート(電流値)が高くなることをいう。レート変化による傾きの変化が比較例1よりも小さい場合には○、比較例1よりも大きい場合には×、比較例1と同程度である場合には△と評価した。
(実施例2)
親水性カーボンとしてNMP中での粒度分布測定におけるモード径が500nm、pH4.5である親水性カーボンB(東海カーボン(株)製)を用いる以外は、実施例1と同様にして、正極用の電極活物質層材料を調製し、各測定を行った。
(実施例3)
正極用活物質としてマンガン酸リチウムを用い、実施例1の手順(4)及び(5)において1Cで4.3Vになるまで充電する以外は、実施例1と同様にして、正極用の電極活物質層材料を調製し、各測定を行った。
(比較例1)
正極用活物質としてコバルト酸リチウムを100重量部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を12.5重量部、結着としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12.5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極用の電極活物質層材料を調製し、各測定を行った。
(比較例2)
正極用活物質としてコバルト酸リチウムを100重量部、親水性カーボン粒子としてNMP中での粒度分布測定におけるモード径が300nmでpH3.4の親水性カーボンA(東海カーボン(株)製)を7.5重量部、親水性カーボン粒子以外の導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を5.0重量部、結着としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12.5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極用の電極活物質層材料を調製し、各測定を行った。
(比較例3)
正極用活物質としてスピネル型マンガン酸リチウムを100重量部、親水性カーボン粒子としてNMP中での粒度分布測定におけるモード径が300nmでpH3.4の親水性カーボンA(東海カーボン(株)製)を7.5重量部、親水性カーボン粒子以外の導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を5.0重量部、結着としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12.5重量部を用い、実施例1の手順(4)及び(5)において1Cで4.3Vになるまで充電する以外は、実施例1と同様にして、正極用の電極活物質層材料を調製し、各測定を行った。
(比較例4)
正極用活物質としてコバルト酸リチウムを100重量部、親水性カーボン粒子としてNMP中での粒度分布測定におけるモード径が2000nmでpH4.5の親水性カーボンC(東海カーボン(株)製)を2.5重量部、親水性カーボン粒子以外の導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を10重量部、結着としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12.5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極用の電極活物質層材料を調製し、各測定を行った。
Figure 0004848725

Claims (5)

  1. 集電体の少なくとも一面に、電極活物質層を備える非水電解液二次電池用極板であって、該電極活物質層は、少なくとも活物質、結着、親水性カーボン粒子、及び親水性カーボン粒子以外の導電材を含有し、前記親水性カーボン粒子の粒度分布測定におけるモード径が、100〜1000nmであり、前記活物質100重量部に対して、前記親水性カーボン粒子を0.6〜7.0重量部、かつ、前記親水性カーボン粒子と前記親水性カーボン粒子以外の導電材の合計量が12.5〜16.5重量部の割合で含有することを特徴とする非水電解液二次電池用電極板。
  2. 前記親水性カーボン粒子の親水基が、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池用電極板。
  3. 前記親水性カーボン粒子が、pH3〜5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池用電極板。
  4. 前記活物質の平均一次粒径が、0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用電極板。
  5. 少なくとも正極板、負極板、及び電解液を含む非水電解液二次電池であって、該正極板が、請求項1乃至のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用電極板であることを特徴とする非水電解液二次電池。
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