JP2011010389A - 回転子鉄心 - Google Patents

Abstract

【課題】回転子鉄心のコア割れを防止して、品質及び信頼性を向上させた回転子鉄心を提供する。
【解決手段】それぞれ複数枚の鉄心片１１をかしめ積層した複数のコアブロック１２、１３を転積して重ね、円周位置１５から半径方向内側に形成された磁石装入孔１６、１７のそれぞれに複数の永久磁石２０を入れて樹脂封止する回転子鉄心１０において、コアブロック１２、１３の転積部２３の位置と永久磁石２０の境界部２２の位置が異なり、これによって、コアブロック１２、１３の転積部２３の位置に永久磁石２０が挿通できる。
【選択図】図２

Description

本発明は、磁性鉄板を打ち抜き形成した鉄心片を所定枚数積層し、更に内部に複数の磁石を有する回転子鉄心に関する。

特許文献１には、回転子鉄心（ロータコア）の円周位置から半径方向内側に形成された磁石装入孔（コア孔）内に永久磁石を固定する方法が提案され、図４（Ａ）、（Ｂ）に示すように、回転子鉄心６０の磁石装入孔６１に所定個数の磁石片６２を装入して、磁石装入孔６１にモールド樹脂６３を上型６４に形成された樹脂ポット６５から充填した後、樹脂を加熱硬化させて、回転子鉄心６０と樹脂を一体化させている（以下、この方法を「マグネットモールド工法」という）。なお、ここで、６７は樹脂６３を押し出すプランジャーを、６８は下型を示す。

特開２００７−２１５３０１号公報

しかしながら、この特許文献１記載のマグネットモールド工法においては、樹脂６３を加熱するために、回転子鉄心６０と磁石片６２を１４０〜１８０℃程度まで加熱する必要がある。このとき、図５（Ａ）に示すように、回転子鉄心６０は熱によりＺ軸方向（即ち、高さ方向）に膨張し、磁石片６２は縮小するという現象が発生する。その後、回転子鉄心６０が常温に戻る場合には、先の現象とは逆になって、回転子鉄心６０はＺ軸方向に縮小し、磁石片６２は膨張しようとする現象が起こる。このように、回転子鉄心６０にはＺ軸方向に応力が発生するので、積層されたコアの締結力が弱い場合には回転子鉄心６０の割れ（コア割れ）が発生する。

特に、回転子鉄心６０は、図５（Ｂ）に示すように、複数枚の鉄心片を抜き落してそのままかしめ積層したコアブロック６９、７０を、例えば１８０度転積して重ねるので、このコアブロック６９、７０の積み重ね部分、即ち、転積部７１の締結力が、他の箇所に比べて弱いことから、この転積部７１で割れが発生することが多い。更に、近年では、モータの磁力特性を向上させる目的から、回転子鉄心６０の一つの磁石装入孔６１に複数の磁石片６２を直列に装入するものが増えており、この磁石片６２同士の連結境界部７２と、先に説明した転積部７１の位置が一致した場合には、回転子鉄心６０における最大応力部と最弱締結部とが一致することになり、コア割れが発生しやすくなる。

本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、回転子鉄心のコア割れを防止して、品質及び信頼性を向上させた回転子鉄心を提供することを目的とする。

前記目的に沿う本発明に係る回転子鉄心は、それぞれ複数枚の鉄心片をかしめ積層した複数のコアブロックを転積して重ね、円周位置から半径方向内側に形成された磁石装入孔のそれぞれに複数の永久磁石を入れて樹脂封止する回転子鉄心において、前記コアブロックの転積部の位置と前記永久磁石の境界部の位置が異なる。なお、ここで、永久磁石は未磁化の磁石片をいう。

ここで、本発明に係る回転子鉄心において、個々の前記永久磁石の長さが同一であり、前記永久磁石の長さをｂとした場合、上下隣り合う前記コアブロックの高さ位置がｂの倍数でないようにするのが好ましい。

また、前記複数のコアブロックのうちその一部又は全部のコアブロックの高さを異ならせて、転積部の位置に永久磁石の境界部の位置を一致させないようにするのが好ましい。更に、具体的には、前記転積部の位置と前記永久磁石の境界部の位置が少なくとも１ｍｍ以上離間しているのがよい。

そして、本発明に係る回転子鉄心において、上下隣り合う前記コアブロックの転積は１８０度位相で行うのがよい。なお、転積の角度は、積層するコアブロックの数に応じて、１８０度より小さい特定の角度であってもよい。

本発明に係る回転子鉄心は、コアブロックの転積部の位置と永久磁石の境界部の位置が異なるので、上下隣り合うコアブロックの連結部分を永久磁石が貫通し、この貫通する永久磁石が更に封止樹脂によって固定されるので、上下隣り合うコアブロックを強固に連結し、コア割れの発生を防止することができ、回転子鉄心の品質及び信頼性が向上する。
更に、使用する永久磁石の長さを同一にした場合には、複数種の永久磁石を用意する必要がなく、回転子鉄心の組立生産性が向上する。

本発明の第１の実施の形態に係る回転子鉄心の斜視図である。 同回転子鉄心の断面図である。 本発明の第２の実施の形態に係る回転子鉄心の断面図である。 （Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ従来例に係る回転子鉄心の製造方法の説明図である。 （Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ従来例に係る回転子鉄心の使用状態の説明図である。

続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。

図１、図２に示すように、本発明の第１の実施の形態に係る回転子鉄心１０は、磁性鉄板を打ち抜き形成した鉄心片１１をそれぞれ複数枚かしめ積層した複数のコアブロック１２、１３を有している。

各コアブロック１２は、中央に軸孔１４を備え、この軸孔１４の半径方向外側で円周位置１５から半径方向内側の領域には、この回転子鉄心１０の半径方向に対称に屈曲配置された磁石装入孔１６、１７が複数組（この実施の形態では８組）設けられている。なお、この実施の形態では、回転子鉄心１０を形成するコアブロック１２、１３は１組であって、コアブロック１２に対してコアブロック１３は１８０度回転（即ち、転積）して積み重ねられている。

軸孔１４の内周面には対向してキーとして作用する突条１８、１９を備えている。磁石装入孔１６、１７は断面長方形の未磁化の永久磁石からなる同一長さの磁石片２０を直列にそれぞれ複数装入するもので、磁石片２０を隙間を有して収納できる空間を有している。回転子鉄心１０の高さｈは、磁石片２０の長さをｂ、一つの磁石装入孔１６又は１７に入れ込む磁石片２０の数をｎとすると、ｈ＝ｂ×ｎ＋ｃ（０＜ｃ＜１．２ｍｍ）となっている。

この実施の形態ではｎ＝２である。なお、図１では、理解を容易にするため、コアブロック１２、１３の間に隙間ｇを設けて記載しているが実際はｇ＝０である。また、必要に応じて、上下のコアブロック１２、１３は溶接又はねじ止めによって連結することもできる（以下の実施の形態においても同じ）。

そして、コアブロック１２の高さＡは磁石片２０の長さより長く、コアブロック１３の高さＢは磁石片２０の長さより短くして、コアブロック１２とコアブロック１３の高さを異ならせることによって、上下の磁石片２０が当接する境界部２２の位置が、上下のコアブロック１２、１３が当接する転積部２３の位置とは少なくとも１ｍｍ以上は異なっている。

なお、この実施の形態においてはＡ＝Ｂ＋Ｋ（たとえば、Ｋ＝１．２ｍｍ又はそれ以上）となっている。ここで、Ｋは鉄心片１１の板厚（例えば、０．３ｍｍ）の４枚分（以上）の厚みとしている。この理由は、コアブロックは、その形状に厚み、径によって板厚偏差が生じ、また、磁石片にも高さ寸法において若干のバラツキが存在するので、この板厚偏差や磁石片の寸法のバラツキの影響を受けないで、転積部２３と磁石片２０の境界部２２との位置を確実に異ならせようとした場合、転積部２３の位置と磁石片２０の境界部２２との位置とが少なくとも１ｍｍ以上離間するよう各コアブロック１２、１３の高さを異ならせる必要がある。

このように、コアブロック１２、１３を転積して積み重ねた状態で、磁石片２０を磁石装入孔１６、１７に装入し、例えば、特開２００７−３３６７１８号公報に記載のように、下型及び上型に挟んで、上型に設けられている樹脂ポットからプランジャーで溶融した樹脂を磁石装入孔１６、１７内に流し込み、更に加熱して樹脂硬化させ、所定数の磁石片２０を磁石装入孔１６、１７に固定（樹脂封止）している。

続いて、図３に示す本発明の第２の実施の形態に係る回転子鉄心２５について説明する。この回転子鉄心２５は、３つのコアブロック２６〜２８が転積されて構成され、磁石装入孔１６、１７には、複数（この実施の形態では４）の磁石片２０が装入配置されている。この実施の形態においても、各コアブロック２６〜２８の上下の当接位置、即ち、転積部３０、３０ａの位置は、上下隣り合う磁石片２０の当接位置、即ち、境界部３１の位置と異なっている。

また、この回転子鉄心２５においては、コアブロック２６の高さＡはその上に載っているコアブロック２７の高さＢより低くなって、しかも、コアブロック２７の高さＢとその上の載っているコアブロック２８の高さＣは同一となっている（即ち、Ａ＜Ｂ＝Ｃ）。これによって、上下隣り合うコアブロック２６〜２８の転積部３０、３０ａの位置と、各磁石片２０の境界部３１の位置が一致しない。

この実施の形態においては、複数のコアブロック２６〜２８のうち、一部のコアブロック２６の高さのみを他のコアブロック２７、２８の高さと異ならせているが、複数のコアブロックの全部のコアブロックの高さをそれぞれ変えることによって、上下隣り合うコアブロックの転積部の位置と、磁石片の境界部の位置とを異ならせることもでき、この場合も本発明は適用される。従って、磁石片２０の長さをｂとすると、転積部３０、３０ａの高さ位置はｂの倍数ではない。
なお、図３において、ｃは磁石片２０の頂部と回転子鉄心２５の頂部との隙間（通常、０を超え１．２ｍｍ未満）を示す。

従って、以上の実施の形態に係る回転子鉄心１０、２５においては、隣り合うコアブロック１２、１３、２６〜２８の継ぎ目となる転積部２３、３０、３０ａの位置を一つの磁石片２０が貫通していることになり、仮に隣り合うコアブロック１２、１３、２６〜２８を溶接等によって連結しない場合も、この磁石片２０を芯材とする樹脂によって強固に連結されている。

本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、鉄心の形状、寸法等を変えることもでき、この場合も本発明は適用される。

１０：回転子鉄心、１１：鉄心片、１２、１３：コアブロック、１４：軸孔、１５：円周位置、１６、１７：磁石装入孔、１８、１９：突条、２０：磁石片、２２：境界部、２３：転積部、２５：回転子鉄心、２６〜２８：コアブロック、３０、３０ａ：転積部、３１：境界部

Claims (5)

1. それぞれ複数枚の鉄心片をかしめ積層した複数のコアブロックを転積して重ね、円周位置から半径方向内側に形成された磁石装入孔のそれぞれに複数の永久磁石を入れて樹脂封止する回転子鉄心において、
   前記コアブロックの転積部の位置と前記永久磁石の境界部の位置が異なることを特徴とする回転子鉄心。
2. 請求項１記載の回転子鉄心において、個々の前記永久磁石の長さが同一であり、前記永久磁石の長さをｂとした場合、上下隣り合う前記コアブロックの高さ位置がｂの倍数でないことを特徴とする回転子鉄心。
3. 請求項１及び２のいずれか１記載の回転子鉄心において、前記複数のコアブロックのうち一部又は全部のコアブロックの高さが異なることを特徴とする回転子鉄心。
4. 請求項１〜３のいずれか１記載の回転子鉄心において、前記転積部の位置と前記永久磁石の境界部の位置が少なくとも１ｍｍ以上離間していることを特徴とする回転子鉄心。
5. 請求項１〜４のいずれか１記載の回転子鉄心において、上下隣り合う前記コアブロックの転積は１８０度位相で行われていることを特徴とする回転子鉄心。

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