JP2011006662A - 粘着付与樹脂エマルジョンおよびその製造方法並びに水系粘・接着剤組成物 - Google Patents

粘着付与樹脂エマルジョンおよびその製造方法並びに水系粘・接着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【目的】本発明は乳化工程で溶剤や可塑剤などを使用することなく、軟化点130〜180℃の粘着付与樹脂エマルジョンを安定的に高い収率で提供することを目的とする。
【解決手段】軟化点130〜180℃の重合ロジン系エステル樹脂を、無溶剤かつ乳化剤成分の存在下、1〜2.8MPaの加圧下で水中に分散させ、エマルジョン中に含まれる有機溶剤の量が50ppm以下で、体積平均粒子径が0.7μm以下である、粘着付与樹脂エマルジョンを得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着付与樹脂エマルジョンおよびその製造方法並びに水系粘・接着剤組成物に関する。
近年、環境負荷を低減できるということから水系型粘・接着剤が広く用いられるようになったが、水系用途が拡大するにつれて、求められる性能も高度なものとなり、かかる要求性能としては保持力や定荷重剥離性、曲面接着性が重要視されるようになってきた。これらを解決する方法の一つとして、高軟化点の粘着付与樹脂エマルジョンを用いることが考えられる。高軟化点の粘着付与樹脂としては、重合ロジン系エステル樹脂が広く用いられているが、重合ロジン系エステル樹脂をエマルジョン化するには、種々の問題点があった。
従来、粘着付与樹脂エマルジョンの製造法としては、高圧乳化法と転相乳化法が用いられていた。前者は、粘着付与樹脂をトルエンなどの有機溶剤に溶解して溶液とし、これに適当な乳化剤と水を添加し、次いで高せん断力乳化機(例えば高圧乳化機)を使用し強制乳化させて水中油型エマルジョンとする方法であり、後者は、加熱溶融した粘着付与樹脂に適当な乳化剤を添加した後、水を添加して一旦油中水型エマルジョンとなし、これに更に水を添加して転相せしめることにより水中油型エマルジョンを得る方法である。
高圧乳化法では、樹脂の軟化点に関わらず、作業上の問題なく安定なエマルジョンが得られるが、有機溶剤を使用するために粘着付与樹脂エマルジョンの製造時に、労働安全衛生上好ましくないという問題があった。また、溶剤を減圧蒸留により除去する工程が必須となるため、多くのエネルギーを消費するうえ、溶剤を完全に除去することは困難であり、溶剤が残留するという問題があった。さらに、使用する有機溶剤としては、作業性やコストの観点からトルエン等の芳香族系有機溶剤が一般的であるが、近年その環境に対する影響から芳香族系有機溶剤の使用が敬遠されるようになってきている。
他方、転相乳化法では、粘着付与樹脂エマルジョンの製造時に溶剤を使用しないため、粘着付与樹脂エマルジョン中に溶剤を一切含有しないという利点があるが、従来の方法では低軟化点の樹脂については、安定なエマルジョンを得る技術が確立されているものの、高軟化点樹脂については分散性が悪いため、凝固物が多量に副生し、収率やろ過時の作業性が著しく低下するなどの問題を抱えていた。
その改良方法として、特許文献1では、重量平均分子量が500〜5万のアクリル系オリゴマーを可塑剤成分として用い、軟化点120〜190℃の粘着付与樹脂を1MPa以下の圧力条件下で乳化する方法が提案されているが、実質的に粘着付与樹脂の軟化点が低下するため、得られる粘接着剤の保持力や定荷重剥離性、曲面接着性を著しく低下させるという問題があった。
また特許文献2では、ロジン系物質を、ロジン石鹸および水と共に約170℃まで加熱し、140〜560kg/cm2の圧力でホモジナイザーを通過させて強制分散する方法が提案されているが、シール材などの劣化が激しく、100kg/cm2以上の耐圧を長時間に渡って確保することができず、連続運転が困難である等の問題があった。
特開2005−330436号公報 特開昭50−156564号公報
本発明は乳化工程で溶剤や可塑剤などを使用することなく、軟化点130〜180℃の粘着付与樹脂エマルジョンを安定的に高い収率で提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、乳化装置内の圧力に着目し、特定範囲の加圧下で乳化を行うことで、上記課題を解決することが出来ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、軟化点130〜180℃の重合ロジン系エステル樹脂を、無溶剤かつ乳化剤成分の存在下、1〜2.8MPaの加圧下で水中に分散させたことを特徴とする粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法に関する。更には、当該製造方法により得られる、エマルジョン中に含まれる有機溶剤の量が50ppm以下で、体積平均粒子径が0.7μm以下である、粘着付与樹脂エマルジョン、並びに当該粘着付与樹脂エマルジョンを含有してなる水系粘・接着剤組成物に関する。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、貯蔵安定性が良好であり、また当該粘着付与樹脂エマルジョンを用いて得られる粘・接着剤組成物は従来のものに比較して、特に保持力や定荷重剥離性、曲面接着性が良好であるため好ましい。また、当該粘着付与樹脂エマルジョン中にも有機溶剤を含有しないため、粘・接着剤を使用する者にとっても安全衛生面において好ましい。特に、保持力や定荷重剥離性、曲面接着性の要求が高く、製品中の残留溶剤の基準が厳しい建材・自動車用粘・接着剤に、好適に使用できる。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法は、軟化点130〜180℃の重合ロジン系エステル樹脂を、無溶剤かつ乳化剤成分の存在下、1〜2.8MPaの加圧下で水中に分散させることを特徴とし、当該製造方法により得られる粘着付与樹脂エマルジョンは、エマルジョン中に含まれる有機溶剤の量が50ppm以下で、体積平均粒子径が0.7μm以下であることを特徴とする。
本発明に用いられる重合ロジン系エステル樹脂は、ロジンを重合させることにより得られる重合ロジン及び/又はその誘導体(以下、適宜、「重合ロジン等」という。)をアルコール類と反応させてエステル化したものであって、その軟化点が130〜180℃程度であるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
なお、重合ロジンの誘導体としては、重合ロジンの変性物、重合ロジンの水素化物、重合ロジンの不均化物等が挙げられる。
重合ロジンとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。なお、重合ロジンは、通常、ロジンの二量体とロジンの混合物として提供されているが、ロジンの二量体の含有量が40重量%以上のものを用いることが保持力、定荷重剥離性、曲面接着性の向上の点から好ましい。
重合ロジンの変性物としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、重合ロジンを不飽和カルボン酸類で変性した重合ロジンの不飽和カルボン酸変性物、重合ロジンをフェノール類で変性した重合ロジンのフェノール変性物などを用いることができる。
重合ロジンの不飽和カルボン酸変性物の製造に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。重合ロジンの不飽和カルボン酸変性物の製造は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。具体的には、例えば、重合ロジンと不飽和カルボン酸を150〜300℃程度で、1〜24時間程度反応させれば良い。なお、各成分の使用量としては、特に限定されないが、例えば、重合ロジン100重量部に対して、不飽和カルボン酸0.1〜20重量部程度である。
重合ロジンのフェノール変性物の製造に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール等が挙げられる。重合ロジンのフェノール変性物の製造は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば重合ロジンとフェノール類を150〜300℃程度で、1〜24時間程度反応させれば良い。なお、各成分の使用量としては、特に限定されないが、例えば、重合ロジン100重量部に対して、フェノール類0.1〜50重量部程度である。
重合ロジンの水素化物としては、重合ロジンを水素化したものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。水素化の方法も、特に限定されず、公知の方法により行えば良く、通常、公知水素源の存在下、必要に応じて水素化触媒を用い、0.1〜30MPa程度で反応させればよい。水素源としては、水素ガスの他、リチウムアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、水素化触媒としては、ラネーニッケル、パラジウム炭素等があげられる。
重合ロジンの不均化物としては、重合ロジンを不均化したものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。不均化の方法も、公知の方法で行えばよく、例えば、通常、公知水素源の存在下、不均化触媒を使用し、常圧で反応させればよい。
重合ロジン及び/又はその誘導体とアルコール類のエステルとしては、前述の重合ロジン等と、アルコール類のエステルであれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。使用するアルコール類としては、例えば、1価アルコール、2価アルコール、3価アルコール、4価アルコール、6価アルコール等が挙げられる。1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の公知のものが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等が挙げられる。4価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等が挙げられる。6価アルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。なお、これらアルコール類には分子中にアミノ基が含まれるアミノアルコールや、分子中にグリシジル基が含まれるグリシジルアルコール、シリル基が含まれるシリルアルコールであってもよい。
エステル化の方法は特に限定されず、公知の方法で行えば良い。具体的には、例えば、重合ロジン等とアルコール類を、重合ロジン等のカルボキシル基当量に対してアルコールの水酸基当量比換算でCOOH/OHが1/(0.2〜2.0)程度となるように混合し、150〜300℃程度で、2〜30時間程度反応させればよい。なお、重合ロジン系エステル樹脂は、重合ロジンとアルコールを反応させた後に、変性、水素化、不均化等の各反応を行うことによっても得ることができる。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、前記重合ロジン系エステル樹脂を乳化することにより得られる。
重合ロジン系エステル樹脂を乳化する際には、通常、乳化剤を用いる。使用する乳化剤としては、特に限定されず公知の乳化剤を用いることができる。具体的には、ビニルモノマーを重合させて得られる高分子量乳化剤、低分子量アニオン性乳化剤、低分子量ノニオン性乳化剤などが挙げられる。これらは一種を単独で用いても、数種を併用してもよい。本発明では、特に高分子量乳化剤を用いることが接着性能(特に保持力)、及び機械的安定性を向上させることができるため好ましい。
高分子量乳化剤の製造に用いられるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリル酸エステル、等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系ビニルモノマー類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸系ビニルモノマー類;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン酸系ビニルモノマー類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等のリン酸エステル系ビニルモノマー等のリン酸系ビニルモノマー類;およびこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー類;酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、炭素数6〜22のα−オレフィン、ビニルピロリドン等のその他のモノマー類などが挙げられ、これらの1種または2種以上を公知の方法で重合させたものがあげられる。
共重合の方法としては、溶液重合、懸濁重合、後述する高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤、高分子量乳化剤以外の非反応性乳化剤などを用いた乳化重合などがあげられる。
このようにして得られた高分子量乳化剤の重量平均分子量は特に限定されないが、通常1000〜500000程度とすることが乳化能と得られる粘着付与樹脂エマルジョンの性能において好ましい。また、(メタ)アクリルアミド系モノマーを50モル%以上用いて得られる(メタ)アクリルアミド系ポリマーを用いることが、粘着剤の塗工性能や接着剤の初期接着性の点で好ましい。また、全乳化剤成分中の少なくとも10重量%以上、好ましくは80重量%以上を高分子量乳化剤とすることにより、保持力、定荷重剥離性、曲面接着性を向上させることができるため好ましい。
高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基と、アルキル基、フェニル基などの疎水基を有する界面活性剤であって、分子中に炭素−炭素二重結合を有するものをいう。炭素−炭素二重結合としては、たとえば、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ビニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基等の官能基があげられる。反応性乳化剤の具体例としては、たとえば、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテル、およびそれらのスルホコハク酸エステル塩や硫酸エステル塩があげられ、さらに、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびそのスルホコハク酸エステル塩、その硫酸エステル塩、そのリン酸エステル塩、その脂肪族もしくは芳香族カルボン酸塩があげられるほか、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化剤、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(特開平4−256429号公報参照)、特開昭63−23725号公報、特開昭63−240931号公報、特開昭62−104802号公報に記載の乳化剤等の各種のものがあげられる。
さらには前記反応性乳化剤中のポリオキシエチレンを、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンをブロック共重合またはランダム共重合したものに代えたものもあげられる。なお、これらの市販品としては、例えば、「KAYAMER PM−1」、「KAYAMER PM−2」、「KAYAMER PM−21」(以上、日本化薬(株)製)、「SE−10N」、「NE−10」、「NE−20」、「NE−30」、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」、「アデカリアソープER−20」(以上、(株)ADEKA製)、「ニューフロンティアA229E」、「ニューフロンティアN117E」、「ニューフロンティアN250Z」、「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−50」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」(以上、第一工業製薬(株)製)、「エミノールJS−2」(三洋化成工業(株)製)、「ラテルムK−180」(花王(株)製)等がその代表例としてあげられる。
これら高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤としては、重合性、得られる高分子乳化剤の乳化性の点からポリオキシエチレンアルキルエーテル系のものが好ましく、(メタ)アリル基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩を用いることが特に好ましい。これらの市販品としては、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」(商品名、(株)ADEKA製)、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」(第一工業製薬(株)製)が好ましい。
高分子量乳化剤以外の非反応性乳化剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン性乳化剤が挙げられる。
これら高分子量乳化剤以外の乳化剤は1種を単独でまたは2種以上を適宜選択して使用することができる。これらの中では、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤を用いることが、粘・接着剤組成物に用いられるベースポリマーとの相溶性・混合安定性の点から好ましい。
なお、乳化剤の使用量は、通常、重合ロジン系エステル樹脂100重量部に対し、固形分換算で1〜10重量部程度、好ましくは2〜8重量部である。乳化剤の使用量を1重量部以上とすることにより、確実な乳化を行うことができ、また、10重量部以下とすることにより、高い耐水性、粘着性能を確保することができる点で好ましい。
粘着付与樹脂エマルジョンは、一般的には、例えば、重合ロジン系エステル樹脂を有機溶剤とを混合し、乳化剤の存在下で機械的シェアーを加える機械的乳化などにより製造されるのであるが、本発明の製造方法においては、溶剤を使用せずに重合ロジン系エステル樹脂を溶融攪拌し、1〜2.8MPaの加圧下で乳化剤および水を所定量ずつ添加し、重合ロジン系エステル樹脂が連続相であり水が分散相であるエマルジョンを形成させ、次いで水を添加して該エマルジョンを相反転させて重合ロジン系エステル樹脂が分散相であり水が連続相であるエマルジョンとすることを特徴とするものである。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法における、前記乳化分散時の加圧条件(例えば、乳化装置内の圧力)を1〜2.8MPaの範囲内とすることにより、加熱温度条件を軟化点よりも10〜50℃高い温度に設定することができ、凝固物の発生を抑え、安定的に高い収率でエマルジョンを得ることができる。圧力が1MPa未満の場合は、重合ロジン系エステル樹脂の温度を前記温度範囲にまで昇温することができず、乳化装置内の温度が重合ロジン系エステル樹脂の軟化点よりも低い温度となり、重合ロジン系エステル樹脂の粘度が高くなるために分散性が悪くなり、その結果、凝固物が多量に発生し、収率を大幅に低下させることとなる。また、圧力が2.8MPaを超えると、乳化装置に使用しているシール材等の耐圧性の許容範囲を超える場合があり、設備的な不具合を発生させ易く、また長時間の連続運転に耐えることが出来ない等の生産性に問題がある。
なお、本発明の粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法において、攪拌条件や、乳化剤および水の添加条件は、それぞれ適宜に決定できる。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンの製造で用いる乳化装置としては、攪拌翼を供えたオートオートクレーブ等を用いることが出来るが、その他にも、高せん断型回転式乳化機等を用いることができる。
市販されている攪拌翼を供えたオートクレーブとしては、各種サイズ、攪拌形式のものがあるが、例えばナックドライブ式攪拌機(ナックオートクレーブ(株)製)、磁力誘導攪拌式オートクレーブLCシリーズ、FCシリーズ((株)東洋高圧製)、電磁誘導回転攪拌式オートクレーブMK型((株)栗原製作所)、スターラーリアクター(HES(株))、加圧バッチ反応装置(コスモエンジニアリング(株))等が例示できる。
市販されている高せん断回転式型乳化機としては、T.K.ホモミクサー、T.K.フィルミックス(プライミクス(株)製)、ホモミキサー(みづほ工業(株)製、等)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、シャーポンプ(フリスタンポンプジャパン(株)製)、オンレーター、ロータリーミキサー((株)櫻製作所製)、マイルダー((株)荏原製作所製)、ペンタックスミキサー(ブランルーべ社製)、キャビトロン((株)ユーロテック製)等が例示できる。
このようにして得られた粘着付与樹脂エマルジョンの固形分濃度は特に限定されないが、通常20〜70重量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られたエマルジョンの体積平均粒子径は、通常0.1〜2μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散しているが、当該体積平均粒子径を0.7μm以下とすることが、貯蔵安定性の点から好ましい。また、該エマルジョンは白色ないし乳白色の外観を呈し、pHは2〜10程度で、粘度は通常10〜1000mPa・s程度(25℃、固形分濃度50%において)、また、乳化分散工程に有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の含有率が50ppm以下である。
本発明の水系粘・接着剤組成物は、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックスおよび合成樹脂系エマルジョンからなる群より選ばれる少なくとも一種のベースポリマーに、前記粘着付与樹脂エマルジョンを配合してなるものであり、これら水系粘・接着剤組成物の固形分濃度は通常40〜70重量%程度であり、好ましくは55〜70重量%である。
アクリル系重合体エマルジョンとしては、一般に各種のアクリル系粘・接着剤に用いられているものを使用でき、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーの一括仕込み重合法、モノマー逐次添加重合法、乳化モノマー逐次添加重合法、シード重合法等の公知の乳化重合法により容易に製造することができる。
使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等をあげることができ、これらを単独でまたは二種以上を混合して用いる。また、得られるエマルジョンに貯蔵安定性を付与するため前記(メタ)アクリル酸エステルに代えて(メタ)アクリル酸を少量使用してもよい。さらに所望により(メタ)アクリル酸エステル重合体の接着特性を損なわない程度において、たとえば、酢酸ビニル、スチレン等の共重合可能なモノマーを併用できる。なお、アクリル系重合体エマルジョンに用いられる乳化剤にはアニオン系乳化剤、部分ケン化ポリビニルアルコール等を使用でき、その使用量は重合体100重量部に対して0.1〜5重量部程度、好ましくは0.5〜3重量部である。
アクリル系重合体エマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンによる改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による保持力、定荷重剥離性、曲面接着性の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、アクリル系重合体エマルジョン100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2〜40重量部程度(固形分換算)とするのがよい。
また、ゴム系ラテックスとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用できる。例えば天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
ゴム系ラテックスと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンによる改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による保持力、定荷重剥離性、曲面接着性の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、ゴム系ラテックス100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常10〜150重量部程度(固形分換算)とするのがよい。
合成樹脂系エマルジョンとしては、水系接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用でき、例えば酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンがあげられる。
合成樹脂系エマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンの改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による保持力、定荷重剥離性、曲面接着性の低下を引き起こさない適当な使用割合としては、合成樹脂系エマルジョン100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2〜40重量部程度(固形分換算)とするのがよい。
本発明の水系粘・接着剤組成物は、ベースポリマーとして、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックスおよび合成樹脂系エマルジョンを併用することもでき、さらに必要に応じて消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤等を使用することもできる。
以下に実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。なお、得られた高分子乳化剤、粘着樹脂エマルジョンの分析は次の方法によって実施した。
(粘着付与樹脂エマルジョンの収率)
得られた粘着付与樹脂エマルジョンの収率は、下記式により求めた。
Figure 2011006662
(粘着付与樹脂エマルジョン中の溶剤含有量)
ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC−14A」、カラム:J&W製、商品名「DB−5」)により測定し、既知溶剤濃度水溶液を用いた検量線によりエマルジョン中の溶剤含有量を求めた。本測定による有機溶剤の検出限界(n.d.)は、10ppmである。
(粘着付与樹脂エマルジョンの体積平均粒子径)
レーザー回折式粒度測定装置((株)島津製作所製、商品名「SALD−2000」)を用い、屈折率1.70−0.20i、吸光度0.06の条件で測定した。
(粘着付与樹脂エマルジョンの貯蔵安定性評価)
得られた粘着付与樹脂エマルジョンを25℃で10日間放置し、沈降物の有無を目視で判定した。結果を表1に示す。
○:良好 △:少量の沈降あり ×:多量の沈降物あり
製造例1 [フマル酸変性重合ロジンエステルの製造]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、樹脂酸ダイマーを66%含有するガム系重合ロジン100部(ガムロジン34部とガムロジンの樹脂酸ダイマー66部からなる樹脂酸)を仕込んだ後、窒素ガス気流下に系内温度が220℃となるまで加熱し、フマル酸を3部加えて1時間反応させた。その後、ペンタエリスリトール14部を加え同温度で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し、同温度で7時間反応させた。その後、減圧下に低沸点留分を除去し、フマル酸変性重合ロジンのペエンタエリスリトールエステル(粘着付与樹脂)を得た。軟化点は168℃、酸価11.8、水酸基価49、色調(ガードナー)は11であった。
製造例2 [フマル酸変性重合ロジンエステルの製造]
製造例1と同様の反応装置に、ガム系重合ロジン(製造例1と同一のもの)100部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に系内温度が220℃となるまで加熱し、フマル酸を3部加えて1時間反応させた。その後、ペンタエリスリトール14部を加え同温度で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し、同温度で7時間反応させた。その後、0.1MPaの水蒸気を3時間吹き込み、フマル酸変性重合ロジンのペエンタエリスリトールエステル(粘着付与樹脂)を得た。軟化点は178℃、酸価9.5、水酸基価45、色調(ガードナー)は11であった。
製造例3 [スチレン系高分子乳化剤の製造]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−50」:第一工業製薬(株)製)を固形分換算で25部、スチレン12.5部、メタクリル酸メチル12.5部、メタクリル酸40部およびスチレンスルホン酸ソーダ10部を仕込み、さらに水20部を加えて前記仕込み成分を透明な均一系とした。次いで、これにドデカンチオール1部、ベンゾイルパーオキシド2部および水300部を混合し重合を開始した。65℃で2時間攪拌した後、28%アンモニア水29部を添加し、さらに65℃で6時間攪拌して重合を終了した後に常温まで冷却した。不揮発分22.5%、重量平均分子量50,000の共重合体の水溶液を得た。
製造例4 [アクリルアミド系高分子乳化剤の製造]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド57.7部(単量体の総モル和の73モル%、以下同様)、イタコン酸21.7部(15モル%)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸9.2部(4モル%)、アクリル酸ブチル11.4部(8モル%)、ラウリルメルカプタン5部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)5部、過硫酸アンモニウム5部及び水400部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。その後冷却し、60℃で2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と等モルの水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度15%、重量平均分子量40000の共重合体の水溶液を得た。
製造例5 [アクリルアミド系高分子乳化剤の製造]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド25.1部(単量体の総モル和の39.1モル%、以下同様)、イタコン酸50部(42.5モル%)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸9.2部(4.9モル%)、アクリル酸ブチル15.7部(13.5モル%)、ラウリルメルカプタン5部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)5部、過硫酸アンモニウム5部及び水400部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。その後冷却し、60℃で2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と等モルの水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度15%、重量平均分子量35000の共重合体の水溶液を得た。
製造例6 [ベースポリマーエマルジョンの製造]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、水43.4部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)0.92部からなる水溶液を仕込み、70℃に昇温した。次いで、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸2−エチルヘキシル7部およびアクリル酸3部からなる混合物と、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.24部、pH調整剤(重曹)0.11部および水8.83部からなる開始剤水溶液の各々の1/10量を反応容器に添加し、窒素ガス気流下にて70℃、30分間予備重合応を行った。次いで、前記混合物と前記開始剤水溶液の残りの9/10量を2時間にわたり反応容器に添加して乳化重合を行い、その後70℃で1時間保持して重合反応を完結させた。こうして得られたアクリル系重合体エマルジョンを室温まで冷却した後100メッシュ金網を用いてろ過し、固形分47.8%のアクリル系重合体エマルジョンを得た。
実施例1 [粘着付与樹脂エマルジョンの製造]
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを備えた加圧バッチ反応装置(コスモエンジニアリング(株)製)に、粘着付与樹脂である軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)100部を仕込み、180℃にて約1時間溶融した。その後、反応装置を窒素で1.5MPaまで加圧し、加圧下でアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)5部(固形分換算)を攪拌しながら添加し、系内を180℃に保ちながら滴下ロートから熱水15部を添加することによりクリーム状の油中水型エマルジョンを得た。次いで、激しく攪拌しながら180℃の熱水を54部添加し転相させ水中油型エマルジョンとし、さらに熱水で濃度50%まで希釈した。該エマルジョンを25℃まで冷却し、250メッシュ金網でろ過して粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
実施例2〜9
用いた粘着付与樹脂および乳化剤、ならびに乳化装置の圧力条件を表1のように変更した他は実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
実施例10
用いた加圧バッチ反応装置にホモミキサーを設置し、乳化剤および熱水を添加する際に回転数500rpmで運転した他は実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
比較例1
実施例1と同様の加圧バッチ反応装置に、粘着付与樹脂である軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)100部を仕込み、180℃にて約1時間溶融した。その後、反応装置を窒素で0.5MPaまで加圧し、加圧下でアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)5部(固形分換算)を攪拌しながら添加したところ、系内温度は150℃まで低下した。0.5MPaを保ちながら滴下ロートから熱水15部を添加することによりクリーム状の油中水型エマルジョンを得た。次いで、激しく攪拌しながら150℃の熱水を54部添加し転相させ水中油型エマルジョンとし、さらに熱水で濃度50%まで希釈した。次いで、該エマルジョンを冷却したところ、冷却途中で異音がし、攪拌が停止した。底排弁よりエマルジョンを抜き出し、250メッシュ金網でエマルジョンをろ過した。得られたエマルジョンの体積平均粒子径は2.15μmであった。また、乳化装置内には凝固物が多量に発生し、収率は15%であった。
比較例2
実施例1と同様の加圧バッチ反応装置に、粘着付与樹脂である軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)100部を仕込み、180℃にて約1時間溶融した。その後、反応装置を窒素で3.0MPaまで加圧し、加圧下でアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)5部(固形分換算)を攪拌しながら添加し、系内を180℃に保ちながら滴下ロートから熱水15部を添加することによりクリーム状の油中水型エマルジョンを得た。次いで、激しく攪拌しながら180℃の熱水を54部添加し転相させ水中油型エマルジョンを得ようとしたところ、熱水を添加する途中で攪拌軸及び底排弁より漏れが生じた。そのまま熱水で濃度50%まで希釈した後、該エマルジョンを25℃まで冷却し、250メッシュ金網でろ過して粘着付与樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンの体積平均粒子径は0.75μmであった。また、凝固物も多く発生し、収率は60%であった。
比較例3
実施例1と同様の加圧バッチ反応装置に、粘着付与樹脂である軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)80部と、ガラス転移温度−71℃、重量平均分子量1600のアクリル酸ブチル系ポリマー(商品名「ARUFON UP−1021」、東亞合成(株)製)20部を仕込み、180℃にて約1時間溶融し、軟化点120℃の粘着付与樹脂混合物を得た。その後、160℃まで冷却し、反応装置を窒素で0.8MPaまで加圧し、加圧下でアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)5部(固形分換算)を攪拌しながら添加し、系内を140℃に保ちながら滴下ロートから熱水15部を添加することによりクリーム状の油中水型エマルジョンを得た。次いで、激しく攪拌しながら140℃の熱水を54部添加し転相させ水中油型エマルジョンとし、さらに熱水で濃度50%まで希釈した。該エマルジョンを25℃まで冷却し、250メッシュ金網でろ過して粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
比較例4
粘着付与樹脂である軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)100部をトルエン60部に100℃にて約1時間溶解した後、80℃まで冷却してアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)を3部(固形分換算)および水160部を添加し、75℃にて1時間強撹拌し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物を高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、減圧蒸留装置に前記乳化物を仕込み、50℃、130hPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分50%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
比較例5および6
粘着付与樹脂および乳化剤、ならびに乳化装置の圧力条件を表1のように変更した他は実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
(水系粘着剤組成物の評価方法)
製造例6で得られたアクリル系重合体エマルジョン100部(固形部)に、前記実施例および比較例で得られた粘着付与樹脂エマルジョン10部(固形部)を混合した調製物に、さらに増粘剤(商品名「プライマルASE−60」、日本アクリル化学(株)製)0.5部を添加し粘着剤組成物を得た。
(粘着性能試験)
上記水系粘着剤組成物を厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)にサイコロ型アプリケーター(大佑機材(株)製)にて乾燥膜厚が25μm程度となるように塗布し、次いで105℃の循風乾燥機中で5分間乾燥させて試料テープ用フィルムを作成した。以下の試験方法により粘着特性を評価した。評価結果は表2に示す。なお、各評価例の番号は、水系粘着剤組成物の実施例の番号に対応する。
(1)保持力
前記試料テープ用フィルムから試料テープ(巾25mm×長さ25mm)を作成し、これをステンレス板に貼り付け、60℃で1kgの荷重をかけ、落下時間(時間)を測定した。
(2)定荷重剥離性
前記試料テープ用フィルムから試料テープ(巾25mm×長さ150mm)を作成し、これをポリプロピレン板に2kgのローラーで2往復させて貼り合せ、テープ末端に200gの荷重をかけ、90°剥離となるように固定し、23℃で1時間あたりの剥離距離(mm)を測定した。
(3)曲面接着性
前記試料テープ用フィルムから試料テープ(巾20mm×長さ28mm)を作成し、これを直径が12mmのポリプロピレン製円柱に屈曲して貼り付け、40℃で3日間後のテープの浮き(mm)を測定した。
Figure 2011006662
表中、n.d.は検出限界(10ppm)以下であることを示す。
樹脂a:軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)
樹脂b:軟化点135℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−135」、荒川化学工業(株)製)
樹脂c:重量平均分子量1600のアクリル酸ブチル系ポリマー(商品名「ARUFON UP−1021」、東亞合成(株)製)
樹脂d:軟化点125℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−125」、荒川化学工業(株)製)
乳化剤a:アニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)
Figure 2011006662

Claims (6)

  1. 軟化点130〜180℃の重合ロジン系エステル樹脂を、無溶剤かつ乳化剤成分の存在下で、1〜2.8MPaの加圧下で水中に分散させることを特徴とする粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法。
  2. 有機溶剤の含有量が50ppm以下で、体積平均粒子径が0.7μm以下である、請求項1に記載の製造方法により製造された粘着付与樹脂エマルジョン。
  3. 全乳化剤成分の10重量%以上が高分子量乳化剤である請求項2に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
  4. 全乳化剤成分の80重量%以上が高分子量乳化剤である請求項3に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
  5. 高分子量乳化剤が(メタ)アクリルアミド系モノマーを50モル%以上用いて得られるアクリルアミド系ポリマーである請求項3または4に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョンを含有してなる水系粘・接着組成物。
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