JP2010535528A - 核酸配列の同定 - Google Patents

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Abstract

本発明は、標的核酸の検出に使用するための方法であって、(i)標的核酸が存在する場合、前記標的核酸に対する一本鎖プローブ核酸の特異的ハイブリダイゼーションによってプローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、(ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じさせる工程と、(iii)ラマン分光法によって前記標識を検出する工程と、を含む方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は核酸配列の同定に関する。より具体的には、本発明は、標的核酸配列とプローブ核酸配列との間に形成された核酸二本鎖を分解することによって標的配列の同定を促進するためのエキソヌクレアーゼ酵素の使用に関し、その結果、標的または核酸二本鎖に結合/会合する場合、識別可能なシグナルがプローブの分解の際に生成され、そのシグナルはラマン分光法によって検出可能である。
現代の分子診断産業は、200億£と評価されており、1年あたり10%の割合で増加している。種々の異なる技術に頼っているが、このますます増加する市場は、増幅に基づく方法(主にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ)によって占められている。この理由は、生物、および実際にヒトのゲノムが特に複雑であり、特定の疾患または診断検査についての目的の領域の単純化を必要とするからである。ゲノムの複雑さを減少させることに加えて、増幅に基づく方法はまた、検出に利用可能な物質の量を増加させる。これは、蛍光または化学発光などの慣例の技術の利用可能性および感度を考慮する場合に重要である。
PCRは、DNA鎖の特定の領域(または遺伝子)を複製および増幅させるために使用される分子生物学的手法である。少量のDNAは、酵母または大腸菌(E.coli)などの生きた生物を用いずに、指数関数的に増幅することができ、適切に試験すべき十分なDNAを得る。この手法は、感染疾患または遺伝病および病状の検出、遺伝子のクローニング、実父確定試験ならびに科学捜査における遺伝子指紋法などの種々の用途のために使用される。
PCRプロセスはサイクルで実施される。各サイクルは3工程、すなわち変性、アニーリングおよび伸長からなる。
変性工程において、増幅対象の標的領域または目的の遺伝子を含む二本鎖DNAの鋳型を、二本鎖間の水素結合を切断するために加熱する。これにより、それらが分離し、プライマー(増幅対象のDNAの領域の最初および最後に相補的であるDNAまたはRNAの短い断片)がアクセス可能となる。
アニーリング工程において、温度を低下し、プライマーが、増幅対象の領域に隣接する標的DNAの相補配列にハイブリダイズすることを可能にする。大過剰のプライマーがしばしば使用されるため、標的鎖は互いに対向するものとしてプライマーに結合する。
伸長工程において、DNAポリメラーゼ(目的のDNA領域の新しいコピーを合成する酵素)は、各プライマーで開始するDNA鎖をコピーし、5’から3’方向に新しい鎖を伸長する。これにより、次のサイクルのための鋳型を作り出す二本鎖DNAの2つのコピーが生じる。このように、2倍の量のDNAが各々の新しいサイクルにおいて複製される。2回目のサイクルは、二本鎖標的DNA配列の4つのコピーを生成する。3回目のサイクルの後、二本鎖標的DNA配列の8つのコピーが存在し、そのうちの2つは単に標的領域からなる。他のコピーはまた、隣接するDNA領域を含む。典型的に、約20〜35サイクルが行われる。
リアルタイムPCRともいわれる定量PCR(QPCR)は、PCRの変法である。この技術は一般に、試料内のDNAの特定配列を検出するために使用される。特定配列が存在する場合、QPCRは、リアルタイムにおいてPCR産物の量を迅速に測定できる。従って、これは、存在する出発物質の量を間接的に測定するために使用され得る。ほとんどのQPCR法は、PCR産物が増幅の各サイクルで蓄積するにつれて増加する蛍光レポーター分子を使用する。
かかる技術の1つはSYBR Green法である。SYBR Green色素は、新規の合成された二本鎖DNAに結合でき、結果として生じる蛍光強度の増加を測定できる。これにより、その後に最初のDNA濃度が決定できる。
配列特異的プローブ(例えば、TaqManプローブまたは分子ビーコン)もまた一般に、QPCRに使用される。TaqManプローブは、特定のDNA配列、通常、所望のPCR産物の断片にハイブリダイズするように設計される。このプローブは、蛍光を発するレポーター色素を含む。このプローブはまた、レポーター色素によって発せられる蛍光を吸収するクエンチャーを含む。レポーター色素に対するクエンチャーの接近は、後の蛍光を阻止する。PCRサイクルの伸長段階の間、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、別の断片に入り込むプローブを「上書き(overwrite)」することを可能にする。その際に、クエンチャー分子は、レポーター色素から分離し、蛍光が増加する。
分子ビーコンは、TaqManプローブと同様の方法で作用する。分子ビーコンは、典型的に、フルオロフォア/クエンチャー対も含むヘアピン型プローブであり、DNAの特定配列を検出するように設計される。再び、クエンチャーの接近は、フルオロフォアの蛍光を阻止する。しかしながら、プローブが相補的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする場合、そのプローブは直線状になり、発光のためにフルオロフォアとクエンチャーとの間に十分な距離を導く。それにもかかわらず、蛍光検出は感度に関連し、比較的大きな蛍光シグナルが、走査するための首尾よい検出のために、バックグラウンドに対して必要とされ得る。
放射性標識プローブも、DNAを検出するために使用されている。それらの使用は、非常に高感度な手法を可能にするのに有利であったが、放射性標識したプローブの安全な取り扱い及び処分の困難性の理由で不利であった。さらに、かかる手法は、連続(均質といわれることもある)アッセイを可能にしなかった。なぜなら、未反応の基質の分離が、任意の定量測定を行う前に必要とされたからである。従って、かかる手法は、分子ビーコンおよびTaqManプローブに関与するものなどの現代の手法ほど頻繁に使用されていない。
S.C.Hillierら(Electrochemistry,Communications,6,1227−1232,2004)は、オリゴヌクレオチド配列を標的とする相補的プローブに対するT7エキソヌクレアーゼ活性を利用する電気化学的遺伝子検出アッセイを報告し、この方法は、5’−フェロセン標識されたプローブを用いて、特定のDNA配列を検出するために記載されている。このプローブは標的領域にハイブリダイズし、次いで二本鎖DNAに対して5’から3’エキソヌクレアーゼ活性を示すT7エキソヌクレアーゼは、フェロセンを遊離するプローブの5’末端において末端ヌクレオチドを切断する。遊離したフェロセンは、電極でフェロセン酸化電流の増加を生じる電極表面に移動する。しかしながら、このアッセイは、いかなる均一な態様も有さない。なぜなら、いくらかの組み込まれていないか、またはハイブリダイズしていないプローブは、それらが他にバックグラウンドシグナルを与えるため、検出前に分離する必要があるからである。
米国特許第5,853,990号(Wingerら)は、RNAプローブを用いることによるヌクレオチド配列の決定を記載している。RNAプローブは、標的DNA配列にハイブリダイズし、そのRNAプローブは、それが、TaqManアッセイにおいて使用されるものと同様の標識を含むように修飾されている。次いで、酵素RNaseHは、クエンチャーから標識を放出するようにキメラのRNA鎖を選択的に分解するために使用される。
本発明は、二本鎖(すなわち、二重らせん)核酸を消化する特定のエキソヌクレアーゼの能力の認識に基づく。かかるプロセシング能力は、提供されるシステムを可能にし、それによって、シグナル伝達分子は、ラマン分光法および特にSE(R)RSによって検出される核酸二本鎖およびシグナル伝達分子/標識の消化の際に放出され得る。
従って、第1の態様によれば、本発明は、標的核酸の検出に使用するための方法であって、以下の工程:
(i)標的核酸が存在する場合、プローブ核酸の前記標的核酸への特異的ハイブリダイゼーションによって前記プローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、
(ii)任意のプローブ/標的核酸二本鎖をエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化および前記二本鎖から標識分子の放出を生じる工程と、
(iii)ラマン分光法によって前記標識を検出する工程と、
を含む方法を提供する。
好ましくは、エキソヌクレアーゼは、オリゴヌクレオチド合成能、またはポリメラーゼの能力を有さない。つまり、エキソヌクレアーゼとの接触は、オリゴヌクレオチドの分解のみを生じ、オリゴヌクレオチドの構築を生じない。
標的核酸は、流体、液体、空気、固体表面からの標本などであり得る対象試料から得られる。
さらなる態様によれば、本発明は、
(i)一本鎖プローブ核酸と、
(ii)二本鎖核酸を消化できるエキソヌクレアーゼと、
(iii)ラマン検出可能な標識と、
を含む部材キットを提供する。
本発明の一実施形態において、プローブ核酸は標識で標識化される。別の実施形態において、標識は、二本鎖核酸に結合できる。標識は、表面増強ラマン散乱(SERS)または表面増強共鳴ラマン散乱(SERRS)手法などの方法を用いて、ラマン分光法によって検出され得るようなものである。適切な標識は、後述で参照する先行技術に開示されており、「SE(R)RS標識」と称し、この用語は、SERSおよび/またはSERRSによって検出され得る標識をいう。
PCRなどの先行技術と対照的に、本発明の特定の利点は、標的核酸の増幅が必ずしも行われなくてもよいことである。なぜなら、特にSE(R)RSでの検出可能なシグナルは、少量の標的ヌクレオチドで十分な感度を提供するからである。
検出様式としてのSE(R)RSの使用は、例えば、WO97/05280号、WO99/60157号およびWO2005/019812号ならびに多くの研究論文、特にDuncan Grahamによって(共)著されるもの(例えば、SERRS Dyes.Part2.Synthesis and evaluation of dyes for multiple labelling for SERRS(McHugh,C.J.,Docherty,F.T.,Graham,D.,Smith,W.E.Analyst,2004,129,1,69−72);およびBiosensing Using Silver Nanoparticles and Surface Enhanced Resonance Raman Scattering(Graham,D,Faulds,K,Smith,W.E.,Chemical Communications,2006,42,4363−4371)を参照のこと)に開示されている。
WO97/05280号、WO99/60157号およびWO2005/019812号において、特定核酸配列を検出または同定するための方法におけるSE(R)RSの使用が記載されている。これらの公報において、検出は、SE(R)RSでの標的核酸の結合の直接的作用の測定に基づく。対照的に、本発明が、核酸二本鎖の消化による標識の検出可能な放出によって標的配列の検出を可能にし、その放出が標的配列に結合しているプローブの指標であることは理解されるべきである。
エキソヌクレアーゼが、ハイブリダイズしたプローブ/標的二本鎖からラマン/SE(R)RSの検出可能な標識を放出するために使用される、核酸配列の同定とラマンまたはSE(R)RS検出との組み合わせは、本発明者らの知る限り、これまでに報告されておらず、本発明のさらなる態様を示す。この態様によれば、本発明は、標的核酸の検出に使用するための方法であって、以下の工程:
(i)対象試料に存在する場合、一本鎖プローブ核酸の標的核酸への特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させ、それによって、プローブ/標的核酸二本鎖を生成する工程と、
(ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じる工程と、
を含み、ここで標識分子はSE(R)RSによって検出される、上記方法を提供する。
さらに別の態様によれば、本発明は、対象試料中の複数の異なる標的核酸を同時に検出するための方法であって、異なる標識を前記標的核酸の各々を検出するために使用する、標的核酸の検出に使用するための本発明に係る方法の複数を含む方法を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、
(i)プローブ核酸と、
(ii)二本鎖核酸を消化できるエキソヌクレアーゼと、
(iii)SE(R)RS検出可能な標識と、
を含む部材キットを提供する。
特定の実施形態において、そのキットにおけるプローブ核酸は、5’リン酸基を有する一本鎖プローブ核酸であり、エキソヌクレアーゼはλエキソヌクレアーゼである。
標的の複製の非存在下において、場合により、少量の標的核酸を検出する能力は、特に本発明の利点であり、本発明のなおさらなる態様を示す。
この態様によれば、本発明は、標的核酸の検出に使用するための方法であって、以下の工程:
(i)存在する場合、一本鎖プローブ核酸の標的核酸への特異的ハイブリダイゼーションによってプローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、
(ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じる工程と、
を含み、工程(i)において、過剰の前記プローブ核酸を対象試料と接触させ、その結果、工程(ii)における二本鎖の消化は、1回以上、標的核酸を再利用し、それによって、さらなるプローブ分子が、標的に特異的にハイブリダイズでき、さらなる標識分子を放出するために消化されるさらなるプローブ/標的核酸二本鎖を形成する、上記方法を提供する。
また別の態様によれば、本発明は、一本鎖プローブ核酸が特異的にハイブリダイズする鋳型としての標的核酸の使用を提供し、得られるプローブ/標的核酸二本鎖は二本鎖から標識分子を放出するためにエキソヌクレアーゼによって分解され、前記標的核酸は、複数の二本鎖から複数の標識分子を放出するように、複数回、前記鋳型として使用され、前記複数の二本鎖の各々は、同じ標的核酸からなる。
図1(a)は、SERRS検出を利用する本発明の実施形態を概略的に示す。最初に、増幅していないゲノムDNAを含む試料を採取し、DNA一本鎖にするために加熱する。次いで、DNAの標的配列に特異的に結合するプローブを加える。このプローブは、使用される検出ストラテジーに依存して特異的に設計されている。それは、例えば、発生するλエキソヌクレアーゼ酵素の作用を可能にするための5’リン酸基を有してもよい。SERRS検出の場合において、そのプローブは、例えば、プローブに付着するが、SERRSシグナルを与えない3’ヒドロキシキノリン色素を含んでもよい。しかしながら、酵素の作用およびプローブの消化の際に、色素は溶液に放出されて、SERRSシグナルが銀ナノ粒子などの適切な基質の添加で得られる。 図2は本発明の別の実施形態を示し、ここで、検出プローブは、その表面にプローブ配列が付着された金属ナノ粒子である。それらは、ナノ粒子が静電反発力に起因して凝集するのを防ぐ。プローブ配列は、異なる方法で、特にSERRS検出および視覚的検出を促進するために修飾されてもよい。システム(a)は、3’末端で表面に付着されたプローブを使用し、これは、5’末端でリン酸基により修飾されている。標的配列へのハイブリダイゼーション、およびその後のエキソヌクレアーゼによる消化の際に、DNAは分解し、粒子の凝集を生じ、それが表面プラズモンのシフトとして、および必要に応じて特有の色の変化として観測され得る。システム(b)において、SERRS活性色素は、ナノ粒子の表面で間隔があいているが、しかし、シグナルは、標的に対するハイブリダイゼーション後まで観測されず、酵素による消化および結果として生じる凝集が起こる。凝集が起こった後、SERRSシグナルが得られる。システム(c)において、使用されるプローブは、図1に使用されるものと同じプローブである。ナノ粒子がハイブリダイズする場合、ハイブリダイゼーションおよび消化の際に、SERRS色素は放出され、表面に付着されて、SERRSシグナルを与える。 図3は、本発明に係るアッセイの概略的なフローチャートであり、標的核酸に結合した場合、オリゴヌクレオチドプローブを消化するためにλエキソヌクレアーゼを利用し、未消化のプローブは除去される。 図4は、一本鎖が5’リン酸部分を有する二本鎖DNAが、λエキソヌクレアーゼに曝露される場合の経時的な蛍光の増加、およびλエキソヌクレアーゼの非存在下において実施される同様の実験との比較を示す。 図5は、一本鎖が5’リン酸部分を有する二本鎖DNAが、2つの異なる量のλエキソヌクレアーゼに曝露される場合の経時的な蛍光の増加、およびλエキソヌクレアーゼの非存在下において実施される同様の実験との比較を示す。 図6は、λエキソヌクレアーゼに曝露された同じ二本鎖DNA上でλエキソヌクレーゼによってプロセシングする際の蛍光の増加を示し、その結果は図1および図2に示され、基質は5’陥凹(recess);平滑5’末端および3’尾部;5’ 陥凹および3’尾部を有する修飾されたDNAであり、そして非修飾のDNAとの比較はλエキソヌクレアーゼの非存在下である。 図7は、相補配列の存在/非存在下での酵素消化およびその後の精製段階の後のアッセイ反応のSERRSスペクトルを示す。 図8は、λエキソヌクレアーゼ酵素によって消化された後の相補標的配列の存在/非存在下でのTAMRA標識プローブ(PTBPROBE)の1650cm−1での平均主ピーク高さのSERRS強度を示す。酵素を含まないことを除いて同様の条件下で実施したコントロール反応を比較のために示す。引用した値は、反応の各種類に関して3つの別の複製について実施した3つの測定値の平均である。 図9は、消化、不活性化およびビオチン除去工程後のアッセイ反応(点線)と、酵素の非存在下で実施した同様の反応(直線)のSERRSスペクトルを示す。 図10は、FRETに基づくアッセイの概略図を示す。 図11は、低い標的濃度触媒研究において使用するアッセイ形式を示す。色素標識プローブを8点の星として、副溝結合剤をクロス(×)として、標的を太線として示す。FAM標識プローブと相補標的配列との異なる比(1:1;10:1;100:1)を、λエキソヌクレアーゼ酵素の存在下で消化した。FAM標識プローブおよびH33258の濃度を1μMで一定に維持し、相補配列の濃度を減少させた。反応混合物を、30分間、37℃まで加熱し、続いて、酵素不活性化工程で15分間、75℃に加熱した。蛍光のレベルは、検出器のもの以下であったため、過剰の標的を、二本鎖形成を試みるために加え、それによって、検知できる量のプローブが未消化のままであった場合、融解曲線を生成した。 図12は、λエキソヌクレアーゼの存在(下の曲線)/非存在(上の曲線)下でのFRET二本鎖の30分にわたる蛍光強度の変化を示す。蛍光強度の減少により、消化によるFRET系の破壊が示される。標識プローブ:相補体の比(1:1)。 図13は、初期の過剰のプローブを標的配列に対して100:1で含む試料についての蛍光アニーリング曲線を示す。両方の試料に過剰の標的を添加した。下のトレースは酵素を加えた試料を示し、蛍光強度の主要な変化がないことを示す。上のトレースは酵素を欠き、従って、鋭い蛍光遷移約58Cを示し、これは、この配列についての二本鎖のTmと相関する。 図14は、H33258およびλエキソの存在下でのコントロール一本鎖FAMプローブ(下の実線);H33258を含む二本鎖DNA(ハイブリダイズしたFAMプローブ)(上の実線);H33258およびλエキソを含む二本鎖DNA(点線)の蛍光を示し、30分内の消化の進行を示す。 図15は、未消化(実線)および消化(点線)DNAについてのアニーリング曲線を示す。未消化の試料はTM約57℃を示す。 図16は、FAMプローブについての異なる相補体を用いるλエキソでの消化の30分後の強度の変化を示す。全ての対に関して、左側のバーは、酵素を含まない試料の蛍光の変化を示し、右側は、酵素を含む試料を示す(5’オーバーハングは1回の測定値のみであることを除いて3回の測定値の平均を示す)。 図17は本発明の実施形態の概略図を示し、SE(R)RS標識およびビオチンを含む一本鎖プローブ核酸が使用され、未反応または過剰のプローブが、ストレプトアビジンコーティング磁石を用いて除去され、エキソヌクレアーゼによる分解の前に、プローブ/標的二本鎖に存在したSE(R)RS標識のみの検出を可能にする。 図18は、本発明の実施例による標的核酸(C.トラコマチスDNA)(レーン2〜9)対陰性コントロール(レーン12〜19)の検出を示すアガロースTBEゲルを示す。 図19は、陰性コントロール、および種々のプローブ濃度でのC.トラコマチスDNAのSERRS分析の結果を示す。 図20は、試料を含むC.トラコマチスDNA対陰性コントロールのSERRSスペクトルを示す。 図21は、アッセイプロトコルを概略的に示し、標的核酸は、ストレプトアビジンコーティング磁性ビーズに結合したビオチン化捕捉プローブ、次いで、SERRS活性色素で標識された5’リン酸末端化プローブと連続して接触させ、得られる二本鎖をλエキソヌクレアーゼによって消化し、SERRSを用いて色素の検出を可能にする。 図22は、図21に示したアッセイのSERRS反応(上のスペクトル)と、色素標識されていないプローブを使用した陰性コントロールでのSERRS反応(下のスペクトル)を示す。 図23は、8−ヒドロキシキノリン誘導色素のSERRSスペクトルを示す。 図24は、2つのプローブ核酸および標的核酸のハイブリダイゼーションの際に形成されたプローブ/標的核酸二本鎖からの標識の放出を含む本発明の方法を示す。 図25は、図24に示される実施形態の変形を示し、標的DNAは、ビーズまたはプレートなどの固体表面に固定された捕捉プローブによって捕捉される。
本明細書において、用語「標的」、「試料」または「対象試料」とは、任意の核酸を含む試料、例えば、個体(複数も含む)から単離される核酸を含む試料をいう。「標的核酸」は、DNA(任意の供与源、例えば、ゲノム、cDNA、合成など由来)、RNA(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、合成など)、またはそれらの誘導体(例えば、当該分野において公知である稀少/異常天然由来ヌクレオチド塩基および/または合成ヌクレオチド塩基の含有物)を含む任意の核酸であってよい。試料は、所定の供与源に存在する核酸の全てまたは一部のみを表してもよい。試料は、その試料内の標的核酸を試験プロセスに十分に利用可能とするために、試験する前に調製してもよい。例えば、標的核酸は、完全もしくは部分的に精製されてもよく、および/または断片が生成され、分離されてもよい。試料中の核酸を直接用いることの代替として、またはそれに加えて、コピーを、(例えば、PCRによって)調製して、使用してもよい。用語「標的核酸」は、これらの可能性の全てを含む。
本明細書において、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、2−デオキシ−D−リボースまたはD−リボースを含むヌクレオチド、および当該分野において公知のPNAまたはLNA分子に基づいたポリマーまたはオリゴマーに使用される。従って、これらの用語は、dsDNAおよびssDNAならびにdsRNAおよびssRNAを含む。この用語はまた、前述のキメラ混合物の可能性を含み、かかる混合物の例は、DNAおよびPNAまたはLNAの両方を含む一本鎖オリゴヌクレオチド構築物である。用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」との間に意図される差異はなく、これらの用語は交換可能に使用される。
標的核酸は任意の既存または天然の配列から単離された種である必要はないが、調べることが望ましい試料に存在するか、またはその試料内の任意の長さの任意の配列であってもよい。従って、それは、ゲノム、またはサブゲノム核酸、染色体、染色体外ベクター、または遺伝子、またはモチーフ、または非コード配列、または配列タグ付加部位、または発現された配列タグに見られる任意の配列でありうる。この配列は、例えば、公開された物質またはデータベース上のものに従って作製された任意の供与源由来であってもよい。
用語「特異的ハイブリダイゼーション」は、標的の核酸配列と実質的に相補的であるプローブ核酸配列をいうと意図される。これは、一方の配列の5’末端がもう一方の3’末端と対になるように配列された場合に、配列間で少なくとも95%、典型的に少なくとも97%、より典型的に少なくとも98%、最も典型的に少なくとも99%の同一性(すなわち、ワトソン−クリック塩基対)が存在するオリゴヌクレオチドを指す。一般に、天然の核酸に見られない修飾された塩基類似体が、その核酸に(酵素的または合成的に)組み込まれてもよい。当該分野において公知のように、2つの核酸鎖の相補性は完全でなくてもよい。一部の安定な二本鎖は、ミスマッチした塩基対またはマッチしない塩基を含んでもよく、核酸技術の分野における当業者は、オリゴヌクレオチドの長さならびにオリゴヌクレオチドにおけるシトシンおよびグアニン塩基の濃度および種類以外の多くの変数を考慮することによって仮にそれらの安定性を決定できる。これに関して、任意の所定の場合に使用される溶液のストリンジェンシーは、関連する例の要件に従って変更されてもよいことが理解され、適切なストリンジェンシーの選択は当業者の能力の範囲内である。
当業者は、温度および/または塩濃度の適切なコントロールが、例えば、特定の標的に対する所望の程度の特異性のプローブ配列のみが、その標的にハイブリダイズしたままであり、非特異的プローブは、その標的にハイブリダイズしないことを確実にできることを把握している。当業者は、これが特異的ハイブリダイゼーションに関連することを理解する。
当該分野において公知であるように、塩濃度および/または温度のパラメータは、プローブと標的核酸との間の所望の同一性を達成するように変更してもよい。かかる条件に関する指針は当業者に容易には利用可能であり、特に、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,7.9頁〜7.12頁(2001)に見出すことができる。
核酸二本鎖の安定性は、融解温度または解離温度、すなわち「Tm」によって測定される。特定の反応条件下での特定の核酸二本鎖のTmは、塩基対の半分が二本鎖構造に存在し、半分が一本鎖DNAに存在する温度である。
Tmを決定する主な支配要因は、配列の長さおよびG−C含量である。Tmを決定するための理論的および実験的手順は、Molecular Cloning−A Laboratory Manual,第2版,J Sambrookら,Cold Spring Harbor,第II章,セクション46および55に開示されている。本質的に、18ヌクレオチドより短いオリゴヌクレオチドに関して、ハイブリッドのTmは、そのハイブリッドにおけるA+T残基の数に2℃を掛け、G+C残基の数に4℃を掛け、2つを合計することによって評価される。長さが約14〜70ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドに関して、長いDNA分子のTMを決定するためのBoltonおよびMcCarthy,(P.N.A.S.48:1390,1962)によって考案された以下の式もまた適用可能である:
Tm=81.5−16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)
(式中、Nは鎖長、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液のイオン強度である)。
Tmを計算するための他の式は当業者に公知である。
上記のように、当業者は、正確なTmが、反応温度、塩濃度、ホルムアミドなどの変性剤の存在、およびオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせようとする配列との相補性の程度などの多くの要因に依存することを理解している。
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションで、最適なハイブリダイゼーション温度は一般に、Tmより2〜10℃低い条件下で実施される。理想的には、特に、捕捉オリゴヌクレオチドのハイブリダイズ可能な長さが短く、ハイブリダイズ可能な配列の末端の一方または他方で単一のヌクレオチドのみ異なり得る2つの配列間を識別する必要性が存在する場合、ハイブリダイゼーション温度は正確に、好ましくは±2℃、より好ましくは±0.5℃またはそれより良好にコントロールされる。
ハイブリダイゼーション条件の選択は、プローブと標的核酸との間に形成された二本鎖のTm計算値に可能な限り近接して設計される。使用されるハイブリダイゼーション溶液中の塩の濃度は特に重要である。1M NaClにおいて、G:C塩基対が、A:T塩基対より安定である。同様に、より高いG−C含量を有する二本鎖オリゴヌクレオチドは、同じ長さであるがより高いA−T含量を有さないものより高いTmを有する。わずかに異なる場合、すなわち、標的核酸の中で単一のヌクレオチドの相違と識別する必要性がある場合、最適ハイブリダイゼーション条件を確立することは、特に、オリゴヌクレオチドのハイブリダイズ可能な長さが短い場合(約30量体未満)、重要である。ここで、標的ヌクレオチドに加えて、対象試料中のヌクレオチドの種々の組成のため、広範囲のTmが存在する。このため、条件は、カオトロピックハイブリダイゼーション溶液を用いることによって、ヌクレオチド組成に対するTmの依存性を減少させるように操作してもよい。これは、例えば、第三級または第四級アミドのハイブリダイゼーション溶液への組み込みによって行ってもよい。
本明細書に使用する場合、プローブ核酸または「プローブ」は、標的核酸中の実質的に相補的な配列と二本鎖構造を形成するように設計される核酸配列を含む。従って、プローブ核酸が、例えば、一本鎖または二本鎖標的核酸と二本鎖を形成してもよいことは理解される。後者を用いて、得られる三重鎖構造は、標的核酸の一方の鎖と一本鎖プローブとの間のハイブリダイゼーションによって形成された二本鎖を含む。当業者は、より高次の二本鎖を含むオリゴヌクレオチド構築物が、例えば、可能な四重構造であることを理解する。
特定の実施形態において、標識は、「プローブ」核酸の1つ以上のヌクレオチド塩基に直接的に、付着、結合または会合される。会合することにより、一部分を形成する元のプローブ核酸にもはや付着されせず、個々のヌクレオチド、またはその一部分が検出可能である実施形態を含むことが理解される。
ラマン/SE(R)RSによって検出するための適切な標識は、例えば、WO97/05280号、WO99/60157号およびWO2005/019812号に記載されている。他の適切な標識としては、SERRS Dyes.Part2.Synthesis and evaluation of dyes for multiple labelling for SERRS(McHugh,C.J.,Docherty,F.T.,Graham,D.,Smith,W.E.Analyst,2004,129,1,69−72);およびBiosensing Using Silver Nanoparticles and Surface Enhanced Resonance Raman Scattering(Graham,D,Faulds,K,Smith,W.E.Chemical Communications,2006,42,4363−4371)に開示される色素が挙げられる。標識が特定の共鳴周波数を有することも可能であり、その周波数は、多くの標識が近接した場合に変化し得る。
蛍光標識は一般に、種々の検出システムにおいて使用され、種々の蛍光標識は当業者に公知である。本発明はまた、より詳細に以下に記載するように、FRETの技術および/または蛍光シグナルのクエンチングを利用してもよい。
従って、用語「標識」とは、検出可能シグナル、好ましくは定量可能シグナル、好ましくはリアルタイムのシグナルを与えるために使用され得る任意の原子または分子をいう。検出可能な標識は、核酸プローブに付着するか、または核酸プローブの本質的な部分であるか、あるいは、プローブ核酸と標的核酸との間に形成される二本鎖に結合されてもよい。かかる標識は、二本鎖の副溝または主溝に結合してもよいか、あるいは二本鎖核酸内に挿入してもよい。しかしながら、この種類の標識は、二本鎖がプローブと標的核酸との間に形成されない限り、標的核酸に結合できるはずはないことが理解される。多くのかかる標識は公知であり、PicoGreen(登録商標)(G.TolunおよびS.Myers(A real−time DNase assay(ReDA)based on PicoGreen(登録商標)fluorescence Nucleic Acids Res.2003,31:e111))を含む。
本明細書に使用する場合、「リアルタイム」とは、シグナルの生成速度の検出をいい、一定の期間にわたってシグナルを特徴付けるために、複数の読み取りを行うことを含む。例えば、リアルタイム測定は、検出可能な生成物の増加の速度の決定を含み得る。あるいは、リアルタイム測定は、標的配列が検出可能なレベルに増幅される前に必要とされる時間の決定を含んでもよい。
一部の実施形態において、プローブ/標的核酸二本鎖に導入/会合されている標識のみの検出を可能にするために、反応物からハイブリダイズしていないプローブを除去する必要があり得る。これを達成する1つの方法は、プローブ核酸上に/プローブ核酸に対して(本明細書で捕捉可能部分ともいわれる)捕捉部分を組み込むことである(例として磁性部分および/またはビオチンが挙げられる)。プローブ核酸が標的に結合しない場合、そのプローブはエキソヌクレアーゼによって消化されず、未消化のプローブは、磁性部分の場合、磁性ビーズなどの磁石によって、またはビオチンの場合、ストレプトアビジンでコーティングされた物質を用いて除去し得る。しかしながら、プローブがプローブ/標的二本鎖を形成する場合、捕捉部分は二本鎖消化の際にプローブから放出されるが、標識は依然として検出可能である。
従って、例えば、ラマン分光法(例えば、SE(R)RS)およびビオチンによって検出可能な標識で、例えば、3’末端において、プローブを二重標識することによって、未消化のプローブ(例えば、標的核酸が存在しなかったため)または過剰なプローブは、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性ビーズの使用によって除去してもよく、これは、シグナルが標的核酸が存在する場合のみ検出されることを意味する。
これは、(例としてSE(R)RS検出およびビオチン/ストレプトアビジン捕捉を用いて)図17に概略的に示される。
この方法は、Taq−Manプローブの使用と類似していると理解され得る。Taq−Manプローブを用いると、シグナルはクエンチャーの使用により抑制され、これは、PCRの増幅の間にレポーター色素から分離された後に、もはやレポーター色素の蛍光を抑制せず、蛍光は検出可能である。しかしながら、本発明において、クエンチャーの使用の必要性をなくすことがでる。なぜなら、過剰またはハイブリダイズしていないプローブの結果として他に生じるシグナルは、プローブに付着されているビオチンなどの捕捉可能な部分およびラマンにより検出可能な色素の使用によって除去され得るからである。有利には、検出様式の感度が可能な(例えば、SE(R)RSを用いる場合)最小のプローブを、使用することができる。
本発明のまた別の実施形態において、本発明の方法は、必要に応じて、標的核酸に対するプローブと組み合わせて作用する1つより多いプローブ核酸の利用を可能にする。従って、例えば、2つのプローブの使用を配置してもよく、1つは、対象試料に存在する場合、標的核酸を捕捉する作用を有し、もう1つは、(典型的に)検出可能な標識に標的が存在するシグナルを与える。従って、第1のプローブ核酸は、例えば、3’末端でビオチン化されてもよく、それにより、捕捉可能な部分を与える。これは対象試料と接触させ得る。標的核酸が存在する場合、これは、第1のプローブにハイブリダイズし、得られる二本鎖は、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性ビーズを用いて捕捉する。対象試料中の未結合のプローブおよび他の成分は、次いで洗い流してもよい。あるいは、第1のプローブ核酸は、ストレプトアビジンでコーティングされた磁石(または磁性ビーズ)と最初に接触させてもよく、未結合の捕捉プローブは、対象試料への曝露前に洗い流され、その後、対象試料のハイブリダイズしていない成分は、洗い流されてもよい。代替の実施形態は、図21に概略的に示される。
標的核酸の捕捉後、ラマンにより検出可能な標識は、次いで、第1プローブ核酸の標的核酸へのハイブリダイゼーションから得られる二本鎖に導入されてもよい。これは、本明細書に記載される二本鎖内に挿入できる標識を用いることにより達成されてもよい。あるいは、および典型的に、標識は、すでに第1のプローブ核酸に結合された、標的核酸にハイブリダイズする第2のプローブ核酸を用いて組み込まれる。標的核酸の異なる領域に相補的な第1のプローブ核酸および必要に応じて第2のプローブ核酸の鎖を含む得られる二本鎖は、次いで、ラマンにより検出可能(例えば、SE(R)RS活性)な標識を放出するためにエキソンクレアーゼによって分解されてもよい。
本発明の全ての実施形態において、例えば、本明細書に記載される捕捉技術を用いることにより、標的核酸から未結合の標識を分離することが可能である場合、標識を含むプローブ中のラマンにより検出可能な標識についてクエンチ部分を含まないことは可能であり、しばしば利点がある。これは、(標的核酸が標識の検出により示される場合には、バックグラウンドの偽陽性結果を他に生じ得る)未結合の標識含有プローブを除去することが可能であるためである。しかしながら、本明細書に記載される捕捉技術を使用しない場合、またはそれらを使用する場合でさえも、プローブ核酸中の標識についてクエンチャーを含むことは利点があり得る。このように、いかなる残余のハイブリダイズしていないが標識を含むプローブも、検出されるいかなるシグナルにも寄与しない。
図21は、一般用語で上記の実施形態の例を概略的に示し、別個の第1の核酸プローブおよび第2の核酸プローブを特に利用するが、必須ではなく、一連の洗浄段階を示す。このクエンチャーの存在が必須の特徴でないという直前の記載から理解されるが、第2のプローブ核酸が標識およびクエンチャー(クエンチャーは「標識」プローブ中の黒色の円である)を含むことが観測される。「P」は、λエキソヌクレアーゼの基質として得られた二本鎖核酸を与えるのに役立つ末端の5’リン酸部分を示す。従って、図21は、ストレプトアビジンコーティング磁性ビーズに結合した短い捕捉プローブ(3’ビオチン化)を示す。未結合のプローブは洗い流す。次いで、標的配列は、固定された捕捉プローブ(第1のプローブ核酸)にハイブリダイズさせる。未結合の標的核酸は洗い流す。(5’リン酸基を有する)色素標識オリゴヌクレオチド配列は、次いで、捕捉された標的配列にハイブリダイズする。λエキソヌクレアーゼの作用は、ハイブリダイズしたプローブ配列で生じる。酵素は、ハイブリダイズしたプローブDNAをモノヌクレオチドに分解し、色素を遊離する。
標的核酸に対するプローブと組み合わせて作用する1つより多い核酸を利用できる本発明の実施形態のさらなる例として、2つのプローブ核酸を使用でき、第1のプローブが標的核酸に対するプローブとして設計される配列を含む。標的核酸の少なくとも一部と相補的である第1のプローブの部分に加えて、第1のプローブはまた、第2のプローブ核酸に相補的な配列を含む。この第2のプローブ核酸は、SE(R)RSまたは他のラマン活性標識(それは第2のプローブ核酸から切断される場合、少なくともSE(R)RSまたはラマンにより検出可能である)および必要に応じてクエンチャーを含み得る。あるいは、標識は他のものを与えることができる。例えば、本明細書に記載される(第1のプローブ核酸および第2のプローブ核酸によってこの実施形態の構成要素となる)標的核酸とプローブ核酸との間にハイブリダイゼーションによって形成される二本鎖内に挿入できる標識である。第1のプローブまたは第2のプローブ、典型的に第2のプローブはまた、5’リン酸基を含んでもよく、使用されるエキソヌクレアーゼはλエキソヌクレアーゼである。図24は、検出様式がSERRSであり、標的核酸がDNAであり;第2のプローブ核酸がSERRS活性色素(星として示される)で標識され5’リン酸を有し;エキソヌクレアーゼとしてλエキソヌクレアーゼを使用する本発明のこの実施形態の概略図を示す。
本発明のこの実施形態の1つの利点は、第1のプローブが、標的核酸にハイブリダイズするように設計されるその配列の部分に基づく標的特異的プローブとして機能することを可能にすることである。第2のプローブにハイブリダイズするためのその配列の詳細部分は一般的であってもよく、これは、配列が標的核酸に特異的でないが、むしろ第2のプローブに特異的であることを意味する。従って、第2のプローブは、標的核酸に対していくらかの配列相補性を有することは必要とされず、従って、複数の標的核酸を検出するために使用することができる。これは、示される第2のプローブ核酸が典型的により構造的に複雑であり、典型的に標識および必要に応じてクエンチャーおよび必要に応じて5’リン酸基を含むため、利点がある。第2のプローブは、標的核酸に基づいてオーダーメイドであることを必要とせず、標的核酸に見出される配列上の部分に基づく第1のプローブは、簡単なオリゴヌクレオチド合成によって生成されてもよい。
この方法は、アッセイに使用される一般的なプローブを可能にする。すなわち、第2のプローブの配列(および第1のプローブにおけるその相補配列)は、全ての標的核酸について使用してもよく、作用する酵素、生じるハイブリダイゼーション、および最適な標識構造についての最善の可能な条件を与えるのに最適化してもよい。
第1のプローブ核酸の標的領域は、次いで、標的にハイブリダイズするように変更してもよい。特に有利には、その配列のこの部分はまた、LNA塩基などのハイブリダイゼーション効率を増加させる塩基を含むことができる。
本発明のこの実施形態のさらなる利点は、PNAまたはLNAを含む標的核酸の直線的な検出を可能にすることである。なぜなら、それは、切断される標的と第1のプローブとの間のハイブリダイゼーションによって形成される(必要に応じてキメラの)二本鎖核酸ではないためであり、標的DNAの構成に基づいて選択されるエキソヌクレアーゼを使用すること、または、例えばDNAもしくはRNAにのみ結合するプローブ核酸を使用することを必要としないためである。従って、LNAおよびPNAを利用することによって与えられる改善されたハイブリダイゼーション効率は、(i)第1のプローブの標的領域によって標的化される標的核酸の部分または(ii)PNAもしくはLNAを含む標的領域自体の両方またはいずれかによって与えられ得る。
従って、単にRNAまたはDNAに関するというよりも一般的な検出方法である。標的は、三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)を用いるdsDNA、適切な標的に結合するアプタマーまたは抗体を用いるタンパク質であってもよい。このような実施形態において、検出は、(例えば、第1のプローブ配列および第2のプローブ配列を含むプローブ配列を有する一本鎖DNAについて)本明細書に記載される同様の方法で実施されてもよい。従って、例えば、標的核酸として二本鎖DNAを用いて、第1のプローブ核酸は、三重鎖を形成する、すなわち二本鎖DNAを標的とし、第2のプローブ核酸に相補的な核酸の配列に結合される、特有の配列を有するTFOであってもよい。第2のプローブ核酸のハイブリダイゼーションおよび得られた二本鎖のその後の分解は、融解を少しも必要とせず、所望のdsDNAの存在を検出するのに役立つ。
同様に、核酸は、次いで、例えば、固体支持体に固定されていてもよい抗体に結合し得る。(例えば、抗原に対する)結合事象の検出は、標的核酸として役立つ核酸がさらなる抗体に結合することができる(例えば、サンドイッチELISAアッセイと同様のアッセイにおいて)本発明の方法によって達成され得る。固体支持体に結合した抗原の存在は、次いで、本発明の方法に従って標的核酸の検出によって決定され得る。このように、本発明の方法は、任意の所定の研究において生体分子プローブに標的核酸として適切な核酸を結合させることにより任意の結合事象を検出するために使用することができる。次いで、結合は、生体分子プローブ−標的核酸結合体をプローブ核酸に曝露することにより検出し、本発明の方法を実施する。
本発明のこの実施形態のさらなる利点は、単に第2のプローブにおける標識および第1のプローブの標的配列を変化させることによって多重化が容易に可能になることである。エキソヌクレアーゼによって実際に分解された配列は、一定のままとし、それによりエキソヌクレアーゼについて確立された1セットの最適な条件のみを一定に維持する必要があり、複数の標的核酸を検出しようとする多重アレイにおいてさえもエキソヌクレアーゼについて確立されたセットの最適条件のみを許容する。
上記の一般的なエキソヌクレアーゼによって切断可能な配列の使用はまた、本明細書に記載される捕捉方法と併せて使用され得る。従って、例えば、第2のプローブ核酸にハイブリダイズするように設計される第1のプローブ核酸の部分は、例えば、3’末端でビオチンを用いて誘導体化することができ、本明細書に記載され、図21に参照されるストレプトアビジン−ビオチンベースの捕捉および洗浄方法の使用を可能にする。このように、第1のプローブ核酸は本明細書に記載される捕捉可能プローブとして役立つ。かかる方法の使用は、(所望である場合)本発明の方法の特異性(およびそれによる信頼性)を改善することができる。
特異性を改善する別の方法は図25に示される。これは、固体表面、例えば、ビーズまたはプレート、あるいはストレプトアビジンコーティング磁石による捕捉を可能にするビオチンで誘導体化された例示的な代替物に結合し得る2つの捕捉プローブの使用を示す。2つの捕捉プローブが示されているが、1つ以上を使用することができる。従って、捕捉方法が、一般にエキソヌクレアーゼにより切断可能な配列からなるような使用が利用されるように誘導される場合には、捕捉プローブ(複数も含む)は、標識プローブにハイブリダイズする同じプローブである必要はない(図24に示される)。
本発明の一実施形態において、5’リン酸含有プローブ核酸は、5’リン酸含有鎖を分解するために、λエキソヌクレアーゼなどのエキソヌクレアーゼによって消化される標的核酸に特異的にハイブリダイズする。両方の鎖は分解され、消化され得るが、プローブのみの消化とラマン/SE(R)RSによる検出可能な標識の放出が本発明の一部の実施形態において十分である。
λエキソヌクレアーゼは、バクテリオファージλによってコードされる24kDの酵素である。この酵素は、バクテリオファージ遺伝子組み換えに関係があるが、DNAプロセシング酵素としても商業的に入手可能である。酵素の結晶構造は、ドーナツ型の四重構造を有するホモ二量体であることがわかっている。
λエキソヌクレアーゼは、リン酸化5’末端で開始する二本鎖(dsDNA)のうちの一つの鎖を消化する。λエキソヌクレアーゼの中心チャネルの寸法は、そのチャネルの一端でdsDNAを収容するのみであるようである。酵素は高いプロセッシビティを有し、酵素の中心の細くなったチャネルの中心を介して3’DNA鎖を通過させる。5’鎖は消化され、遊離5’モノヌクレオチドを放出する。リン酸化5’末端を有する一本鎖DNAもまた、消化されることが示されているが、dsDNAと比較して不十分な基質である(P.G.MitsisおよびJ.G.Kwagh,Nucleic Acids Research,27(15),3057−3063(1999)およびそれに引用される参照文献を参照のこと)。
本発明の一部の実施形態において、エキソヌクレアーゼはλエキソヌクレアーゼである。他の実施形態において、エキソヌクレアーゼはλエキソヌクレアーゼではない。本発明の使用に適切である他のエキソヌクレアーゼは、例えばリン酸化によって5’または3’末端核酸が修飾されるか否かに関わらず、5’または3’方向の核酸二本鎖の一方または両方の鎖を進行的に消化できるエキソヌクレアーゼである。しかしながら、エキソヌクレアーゼは、ほとんどまたは全く一本鎖核酸を消化する能力を有さないはずであることが理解される。他の適切なエキソヌクレアーゼとしては、Taqポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、およびDNAポリメラーゼT4などのポリメラーゼが挙げられる。
プローブは任意の都合のよい長さであってもよい。その実際の長さは、いかに正確に所定の標的配列を決定することが所望されるかに依存する。しかしながら、典型的に、プローブは、長さが約10〜50ヌクレオチド、例えば、長さが20〜30ヌクレオチドである。プローブは、エキソヌクレアーゼ、例えば、λエキソヌクレアーゼによるプローブの消化の際に検出すべき標識の環境の変化を可能にするように修飾される。好ましくは、プローブの一部またはプローブが一本鎖核酸として存在および/または標的配列にハイブリダイズするいずれかの場合に、標識は実質的に検出可能ではない。このように、記載されるエキソヌクレアーゼによって好ましくはほとんどプロセシングされない過剰なハイブリダイズしていないプローブは検出可能ではないので、検出可能な標識のみが、プローブ二本鎖核酸に結合する場合に存在し、二本鎖核酸の消化の際に放出されている。このように、検出される標識の変化は、対象試料中の標的配列の存在の指標である。
先行技術の方法と対照的に、プローブ鎖は、本発明の方法の間に伸長されることを必ずしも必要としない。ラマン分光法、特にSE(R)RSを用いて検出可能な標識を用いる検出の感度は、例えば、極度に低いレベルの標識を検出することができるものである。本発明の特定の実施形態において、さらなる利点は、最初のプローブが消化されると、第2のプローブ分子は標的核酸に結合でき、消化され、λエキソヌクレアーゼなどの特定のエキソヌクレアーゼの非常に高い回転率のために、標的核酸の同じ断片から十分なシグナルが生成する。実際に、シグナルは、これらの実施形態において、例えばPCRにおいて標的と対照的に増幅される。過剰のプローブ配列が使用されてもよい。例えば、ハイブリダイゼーションに有利な迅速なシグナル生成の動力学を確実にするために、試料中に10倍以上、または100倍以上の鋳型が存在するか、あるいは存在すると予測または推定される。この方法はまた、異なって標識されたプローブの使用を介して反応を多重化することを可能にする。
しかしながら、所望の場合、標的の増幅が行われてもよい。増幅の適切な方法は当業者に公知であり、等温増幅およびローリングサークル増幅が挙げられる。
本発明の特定の実施形態において、ラマン分光法によって検出可能な標識が蛍光である場合、検出様式としての蛍光それ自体は、ラマン分光法によって検出を補うことができる。これらの実施形態において、プローブは典型的に、上記の分子ビーコンまたはTaqManプローブと同様にフルオロフォアおよびクエンチャーを含む。インタクトな場合、クエンチャーは、フルオロフォアからのいかなる蛍光もクエンチする。しかしながら、エキソヌクレアーゼによるプローブDNAの分解の際に、標的核酸へのハイブリダイゼーション後、フルオロフォアはクエンチャーから放出されて、蛍光が得られる。問題のある場合、バックグラウンド蛍光は、共焦点顕微鏡法の使用によって改善され得る。これは、単一分子レベルに近づく超高感度の検出を可能にする。クエンチャー−ドナーと対照的であるFRET配置を使用することも可能であり、蛍光寿命測定の使用も可能である。任意の簡便な蛍光が使用されてもよい。一実施形態において、フルオレセイン−dT(516nmで発光)が使用されてよい。フルオレセイン−dTは修飾された塩基であり、ここで、フルオレセイン(FAM)は、6−炭素スペーサーアームによってチミン環の5位に結合される。任意の簡便なクエンチャーが使用されてもよい。例えば、Dabcyl(380〜530nmでクエンチする)。
別の実施形態において、検出様式は、ハイブリダイゼーションの指標としてナノ粒子プラズモン共鳴に頼るプラズモニクスに基づくため、エキソヌクレアーゼの作用後の溶液中のナノ粒子の凝集状態が変化する。この実施形態によれば、個々のナノ粒子は、プローブで官能化され、それによって、末端リン酸(例えば、λエキソヌクレアーゼがエキソヌクレアーゼとして使用される場合には5’リン酸)またはヌクレオチド塩基は、ナノ粒子の表面に対して遠位である。官能化される場合、プローブは特定の共鳴周波数を有する。これらのプローブが標的領域にハイブリダイズする場合、末端のリン酸/塩基は、ナノ粒子の表面上のプローブの消化を可能にするためにエキソヌクレアーゼの認識部位として作用する。プローブ配列でコーティングされたナノ粒子を単離し、溶液中で凝集しないが、標的配列へのハイブリダイゼーションおよびその後のプローブ配列の分解の際に、ナノ粒子はもはや離れて保持されず、凝集して検出可能な変化を生じる。
一実施形態において、表面は、プローブ核酸が結合されるように提供される。この表面は、ラマン(SE(R)RS検出の使用に適切なものであり、銀表面などの粗い金属表面であり得る。この表面は、例えば、ナノ粒子、マイクロタイタープレート、マイクロアレイ表面などの表面であってもよい。ラマン(例えば、SE(R)RS)により検出可能な標識は、核酸二本鎖の消化の際に表面上に落とされてもよい。
同様に、表面がナノ粒子の表面である場合、プローブは、粒子が凝集するのを防ぐが、プローブ消化の際に、粒子は凝集し、それにより、いくらかの検出可能なラマン(例えば、SE(R)RS)シグナルを増強する。
十分に少量のプローブがナノ粒子表面に結合される場合(例えば、10〜20%の表面被覆率)、ナノ粒子の凝集状態は、プローブが分解されて、ナノ粒子のプラズモン周波数の変化を生じるので、変化するとが推定され得る。これは、例えば、暗視野顕微鏡検査を用いて測定し得る(例えば、Homogeneous detection of unamplified genomic DNA sequences based on colimetric scatter of gold nanoaprticle probes(J.J.Storhoffら,Nature Biotech.2004,22(7),883−887)を参照のこと)。
この実施形態によれば、SE(R)RS活性色素(SE(R)RS標識)は、ナノ粒子に直接結合され得るが、プローブがインタクトなままである場合、標識は凝集が存在しないため目に見えない。プローブ/標的二本鎖の消化は、粒子の凝集を発生させ、またSERRS効果で変換する。
金または銀コロイドを、ナノ粒子として使用してもよい。これらのコロイドは、ゾル、すなわち、水に分散される固体粒子とみなされる。これらの粒子のサイズは、ナノスケールで存在し、従って、この用語ナノ粒子の使用は、典型的に2〜100nm、特に10〜80nm、例えば、15〜40nmである。コロイド媒体は、オリゴヌクレオチドが金または銀ナノ粒子の表面上に固定化され得るため、DNAハイブリダイゼーション反応に十分に適する。
好ましい実施形態において、上記のように、検出様式は、SE(R)RSに基づく。SERSおよびSERRSについての詳細は、例えば、WO97/05280号、WO99/60157号およびWO2005/019812号ならびにそれに引用される参照文献に記載されている。
当該分野において公知のように、ラマンスペクトルは、検体に対する入射光が、検体における核の動きおよび電子の励起に起因して散乱されるために生じる。スペクトルが記録される検体が、粗い金属表面などの適切な表面と近接して会合している場合、これにより、検出感度の大きな増加が導かれ、その効果は、「活性」表面に対して検体部位が近接するほどより顕著となる(最適な位置は、表面付近、すなわち、表面の約2nm内の第1の分子層にある)。これはSERSといわれる。
感度のさらなる増加は、検体の共鳴周波数を操作することにより得られ得る(この場合、通常、目的の標的に結合された色素である)。色素の最大吸光度に合わせたコヒーレント光源の使用は、感度の10〜10倍の増加を生じる(レーザー励起はまた、表面プラズモン共鳴の最大に設定されてもよく、色素の最大と一致してもしなくてもよい)。表面強化効果および共鳴効果は、SERRSを与えるために組み合わされてもよく、励起周波数の範囲はなお、組み合わされた強化効果を与える。
従って、SERRSの技術は、2つの条件が満たされる場合、検体の振動フィンガープリントを提供する。(i)適切な金属表面上への吸着、および(ii)目に見える発色団の存在である。金属の使用は、さらに、蛍光が効率的にクエンチされることを意味する。これは、標準的なフルオロフォアを含む広範囲の有色分子が、優れたSE(R)RSシグナルを生じることを意味する。
SERRSが一般に好まれるので、SE(R)RSに対する本明細書の全ての参照文献は、文脈が特に反対を示さない限り、SERRSと読まれ得る。しかしながら、本発明はまた、一般にSERS、およびラマン分光法で実施され得ることも理解される。SERSは、例えば、赤外線領域における励起周波数を用いることによりバックグラウンド蛍光を最小化する場合に利点がある。
SE(R)RSで見えないが、次いで酵素の作用後に視覚化できる標識を生成する方法の例は、例えば、Mooreら(2004 Nature Biotech.,22,p1133−1138)に記載されている。この例において、リパーゼは、SE(R)RS活性となる色素を放出するエステル結合を加水分解するために使用される。これを促進するために、本発明に適用されるように、ヒドロキシキノリンアゾ色素を、色素のフェノール基を介してプローブ核酸の3’リン酸に付着してもよい。これは、色素が、金属表面に付着することをマスクし、色素をSERRSに対して「見えなく」する。この方法において、プローブがその特異的配列にハイブリダイズした後、エキソヌクレアーゼはオリゴヌクレオチドを消化し、次いで、SE(R)RS活性表面に付着され得る色素によって、SERRSにより検出され得るヒドロキシキノリン色素を放出する。
SE(R)RSの非常に高い感度に起因して、鋳型の増幅は、このプロセスを実施するために、多くの場合において必要とされなくてもよい。しかしながら、所望される場合、標的の増幅が行われてもよい。増幅の適切な方法は、当業者に公知であり、等温増幅およびローリングサークル増幅が挙げられる。
さらなる実施形態によれば、プローブに付着される5’修飾されたSE(R)RS活性色素を有するプローブを使用してもよい。この色素は、プローブが金属表面上に接着せず、SERRSを与えるように付着される。プローブ/標的二本鎖の形成およびTaqなどのエキソヌクレアーゼの添加後、分解が生じ、標識が放出される。このプローブは、Taqmanプローブと同様の方法で分解される;しかしながら、蛍光クエンチングの除去および酵素の作用の際の蛍光の増加よりむしろ、本発明のこの実施形態において、金属表面に接着する色素の能力が増加し、それにより、SERRSシグナルの増加を与える。上記のように、この実施形態は、未結合または過剰のプローブの除去を可能にするために、ビオチンなどの捕捉可能部分の使用と併せて実施されてもよい。本発明のこれら、または他の実施形態のいずれかを用いて、かかるプローブを、例えばPCRにより対象試料に存在する核酸の増幅と併せて配置してもよい。
便利なことに、増幅手法が、ラマンにより検出可能なプローブと併せて使用される場合、使用されるプローブは、例えば、PCRに使用されるプライマーによりハイブリダイズされる標的核酸の異なる部分にハイブリダイズするように設計されてもよい。このように、ハイブリダイズする場合、プライマーがプローブへ続く際に、エキソヌクレアーゼ、例えば、Taqの作用は、ラマンにより検出可能な標識を放出する。
本発明を実施する別の方法は、SE(R)RS活性挿入剤(インターカレーター)、または好ましくは副溝結合剤(MGB)の使用を含み、これは、プローブ配列に付着される場合、ハイブリダイゼーションの特異性を増加させる。プローブ配列が標的にハイブリダイズする場合、挿入剤またはMGBは、SE(R)RSが得られないように設計される。しかしながら、エキソヌクレアーゼによる消化の際に、それは溶液中に放出され、金属表面上に吸収され、SE(R)RSを与えることができる。
本発明は、以下の非限定的な節を参照してさらに理解され得る:
1.標的核酸の検出に使用するための方法であって、
(i)標的核酸が存在する場合、前記標的核酸に対する一本鎖プローブ核酸の特異的ハイブリダイゼーションによってプローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、
(ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じさせる工程と、
(iii)ラマン分光法によって前記標識を検出する工程と、
を含む、方法。
2.前記エキソヌクレアーゼは、オリゴヌクレオチド合成能力を有さない、節1に記載の方法。
3.存在する場合、前記標的核酸を検出するように、前記標識における検出可能な変化を検出する工程をさらに含む、節1または2に記載の方法。
4.前記対象試料における標的核酸の量を、前記変化の大きさに関連して決定する、節3に記載の方法。
5.前記標識は、前記プローブ核酸に付着、結合または会合される、節1〜4のいずれか1つに記載の方法。
6.前記プローブ核酸は、前記標識に結合される、節5に記載の方法。
7.前記標識は、前記プローブ/標的核酸二本鎖の消化によって前記二本鎖核酸から放出される場合、ラマン分光法によってのみ検出され得る、節1〜6のいずれか1つに記載の方法。
8.前記標識はSE(R)RS活性色素である、節1〜7のいずれか1つに記載の方法。
9.前記プローブ配列は、SE(R)RS活性基質に付着される、節1〜8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記基質は、ナノ粒子の表面である、節9に記載の方法。
11.前記プローブ核酸は、DNAである、節1〜10のいずれか1つに記載の方法。
12.前記標的核酸は、DNAである、節1〜11のいずれか1つに記載の方法。
13.前記標的核酸は、二本鎖核酸である、節1〜12のいずれか1つに記載の方法。
14.前記標的核酸は、一本鎖核酸である、節1〜13のいずれか1つに記載の方法。
15.前記プローブ核酸は、約20〜約30ヌクレオチドを含む、節1〜14のいずれか1つに記載の方法。
16.前記エキソヌクレアーゼは、λエキソヌクレアーゼである、節1〜15のいずれか1つに記載の方法。
17.前記エキソヌクレアーゼは、λエキソヌクレアーゼでない、節1〜15のいずれか1つの記載の方法。
18.(i)一本鎖プローブ核酸と、
(ii)エキソヌクレアーゼと、
(iii)節1〜17のいずれか1つに記載される方法に使用するためのラマン分光法によって検出可能な標識と、
を含む、部材キット。
19.標的核酸の検出に使用するための方法であって、
(i)標的核酸が存在する場合、5’リン酸基を有する前記標的核酸に対する一本鎖プローブ核酸の特異的ハイブリダイゼーションによってプローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、
(ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをλエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じさせる工程と、
を含む、方法。
20.標的核酸の検出に使用するための方法であって、
(i)存在する場合、標的核酸に対する一本鎖プローブ核酸の特異的ハイブリダイゼーションによってプローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、
(ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じさせる工程と
を含み、
工程(i)において過剰な前記プローブ核酸を前記対象試料と接触させ、その結果、工程(ii)における二本鎖の消化は、1回以上、前記標的核酸を再利用し、それによって、さらなるプローブ分子が、前記標的に特異的にハイブリダイズでき、さらなる標識分子を放出するために消化されるさらなるプローブ/標的核酸二本鎖を形成する、方法。
21.存在する場合、前記標的核酸を検出するように、前記標識における検出可能な変化を検出する工程をさらに含む、節19または節20に記載の方法。
22.前記対象試料における標的核酸の量を、前記変化の大きさに関連して決定する、節21に記載の方法。
23.前記標識は、前記プローブ/標的核酸二本鎖の消化によって前記二本鎖核酸から放出される場合にのみ検出され得る、節19〜22のいずれか1つに記載の方法。
24.前記検出は、プラズモニクス、蛍光またはSE(R)RSに基づく、節19〜23のいずれか1つに記載の方法。
25.前記標識は、前記プローブ核酸に付着、結合または会合される、節19〜24のいずれか1つに記載の方法。
26.前記プローブ核酸は、前記標識に結合される、節25に記載の方法。
27.前記標識は、ラマン分光法によって検出可能である、節19〜26のいずれか1つに記載の方法。
28.前記標識は、SE(R)RS標識である、節27に記載の方法。
29.前記標識は、SERRS標識である、節28に記載の方法。
30.前記標識は、3’ヒドロキシキノリン色素である、節29に記載の方法。
31.前記標識は、フルオロフォアである、節19〜26のいずれか1つに記載の方法。
32.前記プローブは、フルオロフォア、および前記消化前に前記フルオロフォアをクエンチするクエンチャーを含む、節31に記載の方法。
33.前記標識を工程(i)において前記プローブ核酸および前記対象試料と接触させ、前記標識は、形成される場合、前記プローブ/標的核酸二本鎖内に挿入できる、節19〜24のいずれか1つに記載の方法。
34.前記標識は、前記二本鎖の副溝または主溝に結合できる、節33に記載の方法。
35.前記標識は、主溝結合剤である、節34に記載の方法。
36.前記標識は、PicoGreen(登録商標)である、節35に記載の方法。
37.前記プローブ核酸は、DNAである、節19〜36のいずれか1つに記載の方法。
38.前記標的核酸は、DNAである、節19〜37のいずれか1つに記載の方法。
39.前記標的核酸は、二本鎖核酸である、節19〜38のいずれか1つに記載の方法。
40.前記標的核酸は、一本鎖核酸である、節19〜39のいずれか1つに記載の方法。
41.前記プローブ核酸は、約20〜約30ヌクレオチドを含む、節19〜40のいずれか1つに記載の方法。
42.前記プローブ配列は、基質に付着または吸着されている、節19〜41のいずれか1つに記載の方法。
43.(i)5’リン酸基を有する一本鎖プローブ核酸と、
(ii)λエキソヌクレアーゼと、
(iii)節19〜42のいずれか1つに記載される方法に使用するための標識と、
を含む部材キット。
44.前記標識は、SE(R)RS活性標識である、節43に記載のキット。
45.一本鎖プローブ核酸が特異的にハイブリダイズする鋳型としての標的核酸の使用であって、得られるプローブ/標的核酸二本鎖は前記二本鎖から標識分子を放出するためにエキソヌクレアーゼによって分解され、前記標的核酸は、複数の二本鎖から複数の標識分子を放出するように、複数回、前記鋳型として使用され、前記複数の二本鎖の各々は、同じ標的核酸からなる、上記使用。
以下の実施例は本発明を例示するが、その範囲を限定することを意図するものではない。
(使用したオリゴヌクレオチド)
オリゴヌクレオチドは、atdbio(英国)およびMWG(独国)から購入し、HPLC精製した。
Figure 2010535528
(蛍光プローブおよび相補鎖のUV溶解)
フルオレセイン標識オリゴヌクレオチド(RWFAM)および相補配列(RWCOMP1)のUV融解曲線を、Cary 300 Bio UV−Vis分光光度計を用いて得た。この融解曲線を、二本鎖の融解温度を調べるために使用した。
54.6μlのRWFAMおよび31.8μlのRWCOMP1を、石英ガラスキュベット中の1913.6μlの0.3M PBSに加えた。これにより、各オリゴについて総容積2mlにおいて0.5μMの総濃度にした。
UV融解を、各段階の後に1分間保持して4種の勾配で実施した。
・勾配1:25℃→90℃
・勾配2:90℃→25℃
・勾配3:25℃→90℃
・勾配4:90℃→25℃
各勾配の第1回目の誘導体曲線を、RWFAMおよびRWCOMP1の平均融解温度を調べるために使用した。
(蛍光プローブ実験導入)
(概要)
これらの実験は、フルオロフォアおよびクエンチャーで修飾されたオリゴヌクレオチドプローブを使用することに関する。このプローブは、一連の相補的標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするように設計し、そうすることで、λエキソヌクレアーゼの作用の影響を受けやすくした。このプローブの分解を、蛍光の増加により検出した。
(オリゴヌクレオチドの希釈)
以下の表は、これらの実験に使用したオリゴヌクレオチドのストック溶液の希釈を示す。
Figure 2010535528
(酵素の詳細)
・λエキソヌクレアーゼはEpicentre(Cambio)から購入した。
・酵素保存バッファー:50mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1.0mM DTT、0.1mM EDTAおよび0.1% Triton(登録商標)X−100を含む50%グリセロール溶液。
・酵素を受領した際に、25×10μlの量にアリコートし、フリーザーに保存した。各10μlの量は100単位の酵素を含んだ。
(λエキソヌクレアーゼ反応バッファー)
・10×反応バッファー:670mM グリシン−KOH(pH9.4)、25mM MgClおよび0.1% Triton(登録商標)X−100。
・反応バッファーを150μlの量に分けた。
(機器)
・全ての反応はStratagene MX4000 QPCRで実施した。
(試料調製)
・全ての試料を無菌グローブボックス内の清浄環境中で調製した。
・試料を滅菌した200μlのチューブストリップに調製した。
・試料を総容積150μlに調製した。
・使用した反応成分のうちの一部の微量容積のために、試料を各段階の間、簡単に遠心した。これにより、全ての試薬が混合し、試料の本体から外に出てチューブの側面に付着しないことを確実にした。
(実験手順)
蛍光プローブを用いる実験を、Stratagene MX4000 QPCRワークステーションを用いて実施し、2つの段階を含んだ:
1.酵素を含まない反応混合物を90℃まで加熱し、10分間、この温度に維持して、DNA鎖の分離を確実にした。プローブおよび標的鎖を、試料を20℃まで冷却し、5分間、この温度を維持することによってハイブリダイズさせた。温度を第2段階に備えて37℃に戻した。
2.酵素(またはコントロールとしての水)を反応混合物に加えた。試料を37℃まで加熱し、蛍光を測定した。3つのわずかに異なるプログラムを使用した:
Figure 2010535528
3連の蛍光測定を各サイクルの終わりに行った。
(蛍光実験)
以下に示したデータを、各データ点から初期の蛍光値を減算することにより正規化した。測定を二連で行った場合、平均値のみを示す。
(実験1:初期試験)
この実験は本手法の実行可能性を確認するために行った。実験2および3にも使用する手順の例として、全体をここに記載する。
以下の試料を、8つのチューブストリップの別個のチューブにおいて二連で調製した:
Figure 2010535528
2つの試験試料を調製して、ハイブリダイズした0.1μM濃度のdsDNAを得た。RWFAM(8.2μl、1.8μM)およびRWCOMP1(4.8μl、3.1μM)を、121μlの滅菌水中の10倍反応バッファー(15μl)に加えた。
二連のコントロール試料を、同じ容量および濃度のオリゴヌクレオチドおよび122μlの滅菌水を用いたが反応バッファーを用いて調製した。
その試料を、この手順のハイブリダイゼーション段階のためにQPCR機器に入れた。ハイブリダイゼーション後、その試料を取り出し、1μl(10ユニット)のλエキソヌクレアーゼを2つの試験試料に加えた。その試料をQPCR機器に戻し、プログラムAを用いて蛍光を測定した。
結果を図4に示し、これにより、λエキソヌクレアーゼが加えられた試料においてのみ生じた蛍光の増加が示される。これは、酵素がプローブを分解し、クエンチャーから蛍光を放出できたことを示す。一定レベルの蛍光を50〜60分後に得た。コントロール試料を基準値に維持した。
(実験2)
これは、2倍にした濃度のλエキソヌクレアーゼの効果を調べた。
以下の試験試料およびコントロールを二連で調製した。
Figure 2010535528
実験1に記載されるように試料を調製し、ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、その試料をQPCR機器から取り出した。
1μlのλエキソヌクレアーゼを試料AおよびBに加えた。
2μlのλエキソヌクレアーゼを試料Cに加えた。
Dの試料をコントロールとして使用した。
その試料をQPCR機器に戻し、プログラムCを用いて蛍光を測定した。
図5のグラフにより、再び、コントロール試料において蛍光の変化が生じないことが示される。このデータにより、使用した酵素のユニット数が2倍の場合、生じる蛍光のより急速な増加、およびより短い時間で最大レベルの蛍光に到達することが示される。このデータにより、同じ濃度の蛍光プローブを分解するのにかかった時間は、存在する酵素の濃度にほぼ比例することが示される。0.1μM濃度の蛍光プローブに関して、2倍のユニット数のλエキソヌクレアーゼを用いると、最大レベルの蛍光に到達するのにかかる時間が半分になるようである。
(実験3)
これは、プローブ鎖を分解するλエキソヌクレーゼの能力に対する陥凹した(recessed)5’末端および3’尾部の効果を調べ、3つの異なる標的鎖を使用した:
・RWCOMP2−20塩基5’陥凹(recess)を与えた。
・RWCOMP3−平滑5’末端および20塩基3’尾部を与えた。
・RWCOMP4−20塩基の5’陥凹および20塩基の3’尾部の両方を与えた。
2連の以下の試料を調製した。
Figure 2010535528
上記で実施したように試料を調製し、ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、その試料をQPCR機器から取り出し、1μl(10ユニット)のλエキソヌクレアーゼを試料A、B、CおよびDに加えた。
その試料をQPCR機器に戻し、プログラムCを用いて蛍光を測定した。
この実験の目的は、より長い鎖長の標的DNAにハイブリダイズする場合、λエキソヌクレアーゼが蛍光プローブを分解できるか否かを決定することであった。これにより、プローブの5’末端は標的鎖と比べて陥凹し、長い尾部分も与える。これは、相補標的配列がより長い核酸鎖の部分である実際のDNA試料を反映することを意図した。
この実験データ(図6に示す)により、プローブと標的鎖との間の二本鎖の形成が、各場合に得た全蛍光の増加と同様であったため、酵素の全活性に実際に影響しないことが示される。
(化学物質および試薬)
化学物質はSigmaまたはAldrichのいずれかから購入し、全て分析グレードであった。
λエキソヌクレアーゼ酵素(2500ユニット、10ユニット/μl、Ref.LE032K)およびλエキソヌクレアーゼ反応バッファー(670mM グリシン−KOH、25mM MgCl、0.1% Triton X−100、10倍ストック、Ref.LE−バッファー)は、Cambio Ltd.,U.Kから得た。λエキソヌクレアーゼを、50mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1.0mM ジチオスレイトール、0.1mM EDTAおよび0.1% Triton(登録商標)X−100を含む50%グリセロール溶液に供給した。
ストレプトアビジンでコーティングした磁性ビーズを、New England Biolabsから購入した。バッファーを、使用前に0.2μmの孔サイズのシリンジフィルター(Whatman)で濾過した。
(オリゴヌクレオチド配列)
オリゴヌクレオチドは、ATDbioおよびMGWから購入した。
A2020/PTBPROBE(18量体)
5’−TTT TCC CAG CA CGA CGT
修飾:5’ リン酸
Mid(10) dT TAMRA
3’ ビオチン
A2020/PFBPROBE(18量体)
5’−TTT TCC CAG CA CGA CGT
修飾:5’ リン酸
Mid(10) dT FAM
3’ ビオチン
A0977/相補配列(18量体)−上記の両方の配列について
5’−ACG TCG TGA CTG GGA AAA
CT配列
A2057/CTPROBE(22量体)
5’−GCT AAA CTT GC TGC CAC TCA T
修飾:5’ リン酸
Mid(12) dT FAM
A2058/CTCOMP(22量体)
5’−ATG AGT GGC AAG CAA GTT TAG C
第1の鎖CT(100量体アンプリコン)
GGA ATT TCC ACT TGA TAT TAC CGC AGG AAC AGA AGC TGC GAC AGG GAC TAA GGA TGC CTC TAT TGA CTA CCA TGA GTG GCA AGC AAG TTT AGC CCT TTC T
FAMプローブについての結合部位は太字で示す
5’7塩基オーバーハング
3’71塩基
(機器)
SERRSスペクトルを、514.5nmおよび30mWの電力で操作するアルゴンイオンレーザーを備えるRenishaw In−Via Raman顕微鏡システムを用いて収集した。シリコン基準を、520cm−1ピークの強度を測定することにより機器を較正するために使用した。
蛍光測定を、光源として石英ハロゲンランプを使用するStratagene MX400 Q−PCRで実施した。帯域通過フィルターは、通常、EX.350nm、EMM.516に設定した。全ての他のチャネルは、遮光フィルターを用いることによって遮断した。Cary Eclipse分光光度計も、通常の蛍光測定のために使用した。
(λエキソヌクレアーゼを用いるアッセイ)
以下のアッセイは、(図3に示す略図に従って)分解可能なプローブとして5’リン酸、内部TAMRA dT修飾および3’末端ビオチンで標識された市販の18量体の使用に基づいた。
PTBPROBE=5’リン酸−TTT TCC CAG T(X)CA CGA CGT−ビオチン3’
式中、X=隣接TのTAMRA修飾
簡単に説明すると、反応混合物(1当量の相補的ssDNAの存在/非存在下における9〜10μl、1ピコモルのPTBPROBE)を90℃まで加熱し、20℃に冷却して、相補配列のハイブリダイゼーションを促進した。次いで、λエキソヌクレアーゼ酵素を加え、反応物を、消化を開始するために37℃で30分間、インキュベートした。この酵素は、生成物として5’−モノヌクレオチドおよびハイブリダイズしていない相補的一本鎖DNA(ssDNA)鎖を放出する、高処理能力を有する5’から3’エキソデオキシリボヌクレアーゼである。TAMRA標識したモノヌクレオチドは、上記のPTBPROBEの消化の際に放出されるはずである。
消化の後、反応混合物を、15分間、75℃まで加熱して、酵素を完全に不活性化し、反応を実質的にクエンチした後、試料を室温まで戻して冷やした。次いで、洗浄および結合バッファー(0.5M NaCl、20mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH7)中のストレプトアビジンでコーティングした磁性ビーズを、標識されたオリゴヌクレオチド上の3’ビオチン修飾との強い相互作用によって、消化されていないPTBPROBEを除去するために使用した。この工程を、バックグラウンドシグナルを引き起こし得る、消化されていない、色素標識されたプローブを除去するために導入した。磁石をエッペンドルフ側に磁性ビーズを引き寄せるために使用し、次いで、上清を新たなマイクロタイターウェルプレートに移した。凝集剤(20μl)、続いて、クエン酸還元Agコロイド(100μl)を加えた。SERRSスペクトルを、514nm励起レーザーラインを用いてInVia Raman顕微鏡で銀コロイド添加直後に記録した。
λエキソヌクレアーゼは、生成物として5’−モノヌクレオチドおよびハイブリダイズしていない相補的一本鎖DNA(ssDNA)鎖を放出する、高処理能力を有する5’から3’エキソデオキシリボヌクレアーゼである。色素標識されたモノヌクレオチドは、消化の際に放出されるはずである。
(SERRS検出ストラテジー)
反応混合物は、酵素、完全長オリゴヌクレオチド、切断消化生成物、および多数の化合物の複雑な組み合わせを含む。
SERRS分析前の反応混合物(20μl、ビオチン洗浄工程を含む)中の異なる種の適切な濃度を以下に示す:
0.1μM オリゴヌクレオチド標識プローブ(最初に、消化生成物を加えた)
0.1μM 相補的オリゴヌクレオチド標的
33.5mM グリシン.KOH
1.25mM MgCl
0.01% TX−100(界面活性剤)
0.255M NaCl
12.5mM Tris−HCl
0.505mM EDTA
2.5% グリセロール
0.05mM DTT
10ユニットのλエキソヌクレアーゼ酵素
単純なアミノ酸であるグリシンは、高濃度で存在し、クエン酸還元銀コロイドの表面と相互作用することが知られている(Surface−enhanced Raman scattering of biological molecules on metal colloid II:effects of aggregation of gold colloid and comparison of effects of pH of Glycine solutions between gold and silver colloids:X.Dou,Y.M.Jung,Z.Cao and Y.Ozaki,Appl.Spectrosc.,1993,53,1140)。銀表面との相互作用の程度はpHに影響を受け、これは、異なるイオン性種のpKa値と相関する場合もある。
銀および金コロイドにおける安定種のpKa値:
クエン酸:3.1、4.7、6.4
EDTA:2.0、2.7、6.1、10.2
グリシン:pK=2.34(COOH)、pK=9.6(NH )等電点は5.97である。
消化反応をpH9.4(緩衝化)で実施したが、クエン酸還元銀コロイド(pH6〜7)は、ある程度まで全体のpHを低下させる場合があった。いかなる場合においても、これは、銀コロイド上のクエン酸基が、これらの条件下で完全に脱プロトン化されることを示唆する。さらに、グリシンの大部分は、分析時に両性イオン(NH 、COO)であるはずである。
エキソヌクレアーゼ反応バッファーを、(異なる容量だが、実際のアッセイに使用されるものと同じ割合で)銀ナノ粒子に加えた場合、負のゼータ電位の減少が観測された(表1)。これは、粒子の表面電荷の変化を示唆する。しかしながら、粒子は、この段階で凝集の変化が現れないことを示した。
Figure 2010535528
表1.HOおよびエキソヌクレアーゼ反応バッファー中の銀コロイドについてのpHおよびゼータ電位値(比較のために含まれるが、この研究において金は使用していない)。
これは、pHの重要性および反応混合物中の異なる種のうちの一部に対するその効果を明らかにするのに役立つ。pHは、金属表面に対する異なる化学物質の親和性を決定づけるようであり、次に、これは、任意の後のSERRS研究に影響を与える。
SERRS粒子を凝集するためのMgSOの使用は、TAMRA標識オリゴヌクレオチドプローブを用いる場合の本発明者らの目的のために成功であると証明された(図7および8)。コントロール試料からの一部のバックグラウンドシグナルも観測されたが、放出されたTAMRA標識のSERRSシグナルを得ることは可能である。しかしながら、一連の3連の反応を用いる研究において、コントロール試料と、標的配列を含む陽性試験反応との間の大きな程度の識別を確立することは可能であった。
(簡単な実験)
PTBPROBE(5’リン酸、内部dT(TAMRA)、3’ビオチン)を、λエキソヌクレアーゼ反応バッファー(67mM グリシン−KOH、2.5MgCl、0.01% TX−100)中でその相補配列と混合し、90℃まで加熱し、次いで約15分にわたって20℃まで冷却した(0.1μM、1:1比率、10μl反応スケール、1ピコモルdsDNA)。λエキソヌクレーゼ(1μl、10ユニット)を加え、消化を、30分間、37℃で実施し、続いて不活性化工程を実施した(15分間、75℃)。反応混合物を96ウェルマイクロタイタープレートに移し、ロータリーシェーカーで室温にて30分間、ストレプトアビジンでコーティングした磁性ビーズ(10μl、4mg/ml)と共にインキュベートした。次いで、マイクロタイタープレートを磁性スタンドに置いて、ウェルの側面の方へ磁性ビーズを分離し、次いで上清(20μl)を新たなウェルに移した。凝集剤(20μl、1M MgSO)、続いて、100μlのクエン酸還元銀コロイドを加えた。SERRSスペクトルを、後で即座に獲得した(Renishaw in Via Raman,514.5nm、10倍対物レンズ、100%電力、10秒、3蓄積)(図9を参照のこと)。
(Fretベースのアッセイ)
この種類のアッセイの略図は図10に示す。
反応を、異なる比率のFAM標識プローブ(5’リン酸−TTT TCC CAG(AT−FAM)CA CGA CGT−ビオチン) 対 相補標的配列(1:1、10:1、100:1)を用いて10μlスケールで実施した。FAM標識プローブおよびH33258色素(M.Teng,N.Usman,C.A.FrederickおよびH.J.Wang,Nucl.Acids Res.,1988,16 No.6;D.E.Wemer,Biopolymers,1999,52,197−211;ならびにF.M.Ho & E.A.H Hall,Biosensors and Bioelectronics,2004,20,5,1001−1010)の濃度は1μMであった。λエキソヌクレアーゼ反応バッファー(1μl、10ユニット)を加え、反応混合物を、30分間、37℃まで加熱し、続いて、75℃で15分間かけて酵素の不活性化工程を行った。相補標的配列を含む溶液(100μl、0.1μM)を各反応に加え、融解/アニーリング曲線を調べた(温度範囲15〜75℃、1℃ごとのEX350nm、Emm520nmでの蛍光のモニタリング変化、3回アニーリング曲線および3回融解曲線)。コントロール試料(加えた酵素なし)は、UV融解データと一致するT約58℃を示した。消化した試料のどれも、FAM標識プローブが全ての場合で消化したことを示唆する識別できる融解曲線を示さなかった。
これらの結果を図12および13に示す。
(さらなる実施例)
(1.材料)
DNA配列はATDbioから購入した。使用したDNA配列は表2に示す。
表2:エキソヌクレアーゼアッセイについての使用したDNAプローブ
Figure 2010535528
Hoechst色素H33258はSigma−Aldrichから購入した。Quant−iT(商標)PicoGreen(登録商標)試薬はInvitrogenから購入した。
組み換えλエキソヌクレアーゼおよび10倍エキソヌクレアーゼ反応バッファーは、Cambioから購入した。1倍希釈した場合、このバッファーの組成は、67mM グリシン−KOH、2.5mM MgCl、0.1% Triton X−100;25℃でpH9.4である。種々の化学物質はSigma−Aldrichから購入した。実験に使用したリン酸バッファーは、0.3M NaClを含む6mM リン酸であった。
(2.機器)
吸収研究およびUV融解は、CARY 300 Bio UV可視分光光度計で実施した。発光研究は、Varian CaryEclipse蛍光分光計を用いて実施した。両方の場合において、光学的に透明な1cm経路長および3ml容積のプラスチックキュベットを使用した。酵素アッセイを、Stratagene M×4000 PCR機器を用いて実施した。
(6.エキソヌクレアーゼアッセイ)
試料を、150μlの最終体積で1倍λエキソヌクレアーゼ反応バッファー中で調製した。配列、相補体および/またはHoechst色素の濃度は全ての場合において1μMであった。酵素を含む試料において、10ユニットのλエキソ(1μlの10ユニット/μl濃度)を反応混合物に加えた。励起波長は350nm(10nm帯域通過)に設定し、発光測定は、FRET系について519nm、Hoechst色素蛍光について440nm(10nm帯域通過)で行った。試料を、調製の間、冷却プレートに置いて、初期の消化を回避した。
試料を、30分間(消化段階)、37℃で保持し、1分ごとに蛍光を測定した。次いで、酵素を、15分間、75℃で変性させた(不活性段階)。3つの融解段階をその後実施した:75℃〜20℃のアニーリング曲線、次いで75℃まで再び加熱および25℃まで最後の冷却段階。加熱または冷却速度は1℃/分であり、1分ごとに蛍光を測定した。
同じアッセイを、0.1μM濃度のTAMRAプローブおよび相補配列および1/10000希釈のPicoGreenの試料を用いるPicoGreen−TAMRA系に使用した。試料をλエキソ反応バッファー中で150μl容積にした。励起波長492nm(10nm帯域)、発光を515nm(10nm帯域)で測定した。
(V.結果および考察)
(4.エキソヌクレアーゼアッセイ)
(4.1.FAMプローブの消化)
λエキソヌクレアーゼでの消化は、実験の段落に記載されるように実施した。2つのコントロールを使用した:
・コントロール一本鎖DNA:酵素の存在下でエキソヌクレアーゼ反応バッファー中に1μM FAMプローブおよび1μM H33258を含む試料。本発明者らは、100%の消化したDNAと等しいこのコントロールの蛍光を仮定する。
・コントロール二本鎖DNA:エキソヌクレアーゼを含まないが、1μM FAMプローブ、相補体およびHoechstを含む試料。これは0%の消化と等しいと仮定する。
図14は、30分の消化内で消化したコントロールおよび試料の両方の蛍光を示す(3つの複製のうちの1つからのデータを示す)。コントロール試料に関して、蛍光強度の検知できる変化は存在しない。しかしながら、ハイブリダイズしたFAMプローブの発光は、100%のレベルの二本鎖DNAから出発して、一本鎖の値に到達する、優れた崩壊を示す。本発明者らは、時間とともに蛍光強度の段階的減少を見出すことができ、リアルタイムに酵素消化をモニターするこのFRET系の能力が示された。
後に試料で調べたアニーリング曲線(図15)によって、消化の十分な証拠が得られた。酵素を含まない試料を冷却した場合、再びハイブリダイズし、約57℃のTmを示し、FAMプローブについての以前の研究において観測されたものと同様であった。λエキソヌクレアーゼで消化した試料は、再びハイブリダイズする能力を示さず、これは、消化が実際に完全に分解されたFAMプローブを有することを意味する。
(4.2.異なる相補体を用いるFAMプローブの消化)
完全な相補体より長い配列とハイブリダイズする場合、DNAを消化するλエキソヌクレアーゼの能力を調べた。これに関して、同じ酵素反応を以下の試料に関して実施した:
・コントロール一本鎖DNA(FAMプローブ)
・完全な相補体:FAMプローブ、完全な相補体およびHoechst色素、λエキソ反応バッファー中に各1μM
・3’オーバーハング:同様だが、3’末端相補配列においてより長い12塩基対を用いる
・5’オーバーハング:同様だが、5’末端においてオーバーハングを有する
・両側オーバーハング:3’および5’末端の両方における12塩基対オーバーハング
上記の各々について、1セットの反応物(試料の種類ごとに3つの複製)を、コントロール二本鎖DNA(酵素を含まない)として使用し、別のセットを上記のようにλエキソヌクレアーゼを用いてアッセイした。
蛍光対時間プロットの出現は、強度の著しい減少を示す全ての場合において、完全な相補体(グラフは示さず)のものと非常に類似している(図16を参照のこと)。後に作成した融解曲線は、全ての試料が消化されたことを示した。
本発明者らは、これらの結果の後に相補配列がプローブより長い場合でさえもλエキソヌクレアーゼがDNAを消化できるという結論を出すことができる。
(SERRSによる生物学的試料中のヒト病原体を検出するための二重標識プローブの使用)
SERRSによる生物学的試料由来のヒト病原体の単一チューブ検出を、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)について実施した。Taq−Manに類似する技術を用いて、ompA遺伝子の領域(GenBank seq. AY535172)を、二重標識プローブの同時消化を用いてPCRにより増幅させた。以下のデータは、SERRSシグナルの強度に基づいてC.トラコマチス陽性試料とC.トラコマチス陰性試料とを区別できることを示す。この実施例において、SE(R)RS活性ローダミン色素R6Gを使用した。しかしながら、任意のSE(R)RS(または他のラマン)活性標識を使用することができる。このアッセイに使用したプローブ/プライマーセットは、クラミジア感染症の同定に使用した臨床診断用PCRに基づいた。試料は、種々の濃度のC.トラコマチスゲノムDNAを添加した凍結乾燥した尿の形態でQCMDプログラム(分子診断についての品質管理(Quality Control for Molecular Diagnostics))によって得た。C.トラコマチスDNAは、収集しかつ熱不活性化させたMcCoy細胞で増殖させた3日の培養物由来のものであった。
(材料および方法)
(試料の再構成)
試料を、凍結乾燥した尿素およびクラミジア・トラコマチスゲノムDNAを含む無菌ゴムで密閉したバイアルとして受け入れた。それらに、1.2mLの滅菌milliQ水を注入し、試料を再構成するために37℃で1時間、振とうした。
(鋳型の調製)
全試料をバイアルから滅菌1.5mLチューブに移し、酵母tRNA(Sigma)を、100μg.mL−1の最終濃度まで加えた。2容量の氷冷エタノールおよび1/10容量の3M酢酸ナトリウムをその試料に加えた。その試料を完全に混合し、15分間、−20℃でインキュベートした。その試料を、ベンチ遠心分離において、15分間、最大で遠心し、上清を捨てた。ペレットを、氷冷70%v/vエタノールで2回、および氷冷エタノールで1回洗浄し、空気乾燥させた。ペレットを、1時間、37℃で振とうすることによって、60μLの無菌milliQ水に再懸濁した。これを、鋳型としてその後のPCR反応に使用した。
(増幅)
プローブ/プライマーセット(MWG Biotech)を、クラミジア・トラコマチスompA遺伝子(Personal communication,Prof Paul Wallace)を検出するために使用される臨床診断用PCRに基づいて使用した。プライマーは、501塩基から600塩基(GenBank配列AY535172に基づいて)までの100bp領域の遺伝子を増幅し、そしてプローブは596塩基から535塩基にアニールするように設計した。使用したプライマーおよびプローブの配列は以下の5’から3’に記載する:
プライマー1:cacttratattaccgcaggaacag
プライマー2:gctaaacttgctgccactcat
プローブ:ビオチン−agaggcatccttagtccctgtcgcagc−R6G
PCRを、ホットスタートNova Taqポリメラーゼ(Novagen)、25pmolの各プライマー、100pmol〜0.1pmolのプローブ、2μLの鋳型および3mM MgSOを用いて実施した。反応物の全容積は50μLであり、それらを鉱油下で実施した。PCRは、以下のパラメータを用いて30増幅サイクルにわたって実施した:
1サイクル 94℃10分間
30サイクル 94℃20秒間、58℃20秒間、および72℃20秒間
1サイクル 72℃2分間。
(ストレプトアビジンビーズを用いる試料処理)
ストレプトアビジン常磁性ビーズは、New England Biolabsから4mg.mL−1で得た。このビーズは、ビオチン化オリゴヌクレオチドについて500pmol.mg−1のビーズの結合能力を有する。いずれのPCR反応におけるビオチン化プローブの最大量も100pmolであったため、0.2mg(50μl)のビーズが反応あたり必要とされる。
(使用のためのストレプトアビジンの調製)
ビーズを穏やかにボルテックスすることにより再懸濁した。必要とされるアリコート(50μL×アッセイしようとするPCR反応の数)を取り出し、滅菌1.5mLチューブに置いた。このビーズを、全てのビーズが隔離されるまで、2分以上の間、磁気分離ラックに置いた。ラックにチューブを維持して、上清を取り出し、捨てた。チューブをラックから除去し、ビーズを、2容量の2×B/Wバッファー、[2倍の結合および洗浄バッファー:10mM Tris−HCl pH7.5、1mM EDTA pH7.5、2M NaCl]に再懸濁した。チューブを分離ラックに再び戻し、2分以上インキュベートした。洗浄プロセスを2回繰り返した。ビーズを、それらの最終濃度が出発体積と同じになるように2×B/Wに再懸濁した。
(試料処理)
50μlの調製したビーズを50μLのPCR反応に加え、穏やかに混合した後、時折混合しながら室温で15分以上の間、インキュベートした。チューブを分離ラックに置いたので、磁石は鉱油の層の上になり、2分以上の間、またはビーズが鉱油の上に移動するまで、室温でインキュベートした。チューブをラックに維持したが、上清は新しいチューブに移した。次いで、この上清を全てのその後のSERRS分析に使用した。
(SERRS検出)
(銀ナノ粒子の調製)
クエン酸還元銀ナノ粒子のコロイド懸濁液を、LeeおよびMeisel手順の変法を用いて調製した。
(機器)
以下のラマン機器を使用した:レーザービームを、試料を含む1cmプラスチックキュベットに焦点を当てるために、20倍対物レンズを利用する514.5−nmアルゴンイオンレーザーを備えるRenishawモデル100プローブシステム。
(試料調製)
全ての試料を、以下の量の試薬を用いてSERRS分析のために調製した:10μLの検体、10μLのスペルミン、250μLの水、および250μLのクエン酸還元銀ナノ粒子。
(アガロースゲル電気泳動)
DNAを、水平で中性の2.5%(w/v)アガロースゲルで視覚化した。ゲルを、慣例通りに調製し、1×TBEバッファー(Sigma)に流した。100bpのマーカー(Novagen)およびHyper V(Bioline)マーカーを、サイズ基準として使用した。大きな16.5×23cm(200mL)ゲルを使用して、良好の分離を確実にした。DNA試料を、ゲルに負荷する前に、1/10容量の10倍ブルージュース(Bluejuice)ローディングバッファー(Sigma)と混合した。ゲルを、10〜20分間、1×TBEに溶解したエチジウムブロマイドの0.5μg.mL−1溶液中で染色した。
(結果および考察)
この技術は、二重標識プローブの同時消化を用いてC.トラコマチス由来のompAの特定領域を増幅させるためのプライマーセットを用いるTaq−manの適応である。
Taq−manにおいて、2つのプライマーおよびそれらの間にアニールする二重標識プローブが存在する。このプローブは、一方の末端にクエンチャーおよび他方の末端に蛍光色素を有する。プローブはインタクトであるが、クエンチャーは蛍光標識に十分近接して、発光を防ぐ。PCR増幅の間、ポリメラーゼの5’から3’のヌクレアーゼ活性は、プライマーを伸長するようにプローブを消化し、蛍光標識からクエンチャーを効果的に分離し、検出を可能にする。
この実施例において、プローブはビオチンおよびローダミンで標識されている。増幅の間、比例する量のプローブが破壊され、ビオチンおよびローダミンを放出する。両者は少数のヌクレオチドに依然として付着するが、もはや互いに物理的に会合していない。PCR後、未反応(インタクト)のプローブと、付着したビオチンおよびローダミン、遊離ビオチンおよび遊離ローダミンの両方との混合物が存在する。
ストレプトアビジンとビオチンとの間のほとんど不可逆的な相互作用において、ストレプトアビジンビーズは、インタクトなプローブおよび遊離ビオチンを容易に捕捉し、上清中には遊離ローダミンのみが残る。このプロセスは、いくらかの未反応のプローブを隔離し、後のSERRS分析からそれを除去するので、ローダミンシグナルは、C.トラコマチスについての陽性試験を示す。
SERRSの極めて感度の高い性質に起因して、使用されるプローブの量は、いくらかのバックグラウンドを減少させ、費用を減少させることが望まれる場合には、最小化してもよい。本発明者らは、100pmol〜0.1pmolで、どれが最も効果的であり得るかを調べるためにプローブ濃度の範囲を調べた。この実験を2セットの陽性PCRおよび2セットの陰性PCRを実施して、二連で実施した(陰性PCRはC.トラコマチスDNAを含まない)。各PCRの10μLアリコートを、2.5%(w/v)TBEアガロースゲルで電気泳動して、生成物の存在を調べた(図18)。全ての陽性反応を十分に増幅させ、陰性反応のどれも生成物を示さなかった。
図18は、PCRによる増幅の試験を示す:2.5%(w/v)アガロースTBEゲルは、100pmolプローブ、10pmol、1pmolおよび0.1pmolのプローブ希釈範囲について、2つの陽性複製物(レーン2〜9)および2つの陰性複製物(レーン12〜19)を示す。レーン1)100bpマーカー、2)100a、3)100b、4)10a、5)10b、6)1a、7)1b、8)0.1a、9)0.1b、10)100bpマーカー、11)Hyper Vマーカー、12)100a、13)100b、14)10a、15)10b、16)1a、17)1b、18)0.1a、19)0.1b、20)100bpマーカー。
PCR反応を50μLまで戻し、ストレプトアビジンビーズを用いて処理して、インタクトプローブと消化したプローブを分離した。次いで、上清をSERRS分析について使用した。
SERRS分析により、PCR陰性試料からのシグナルも存在したが、それらは、陽性コントロールより何倍も強度が低く、陽性反応が強いSERRSシグナルを与えたことを示した。図19および20を参照のこと。図19は、SERRSによって分析した試料の2つの陽性シリーズ(赤および緑)ならびに2つの陰性シリーズ(青および黒)を示すグラフでのプローブ希釈実験についてのスペクトル示す。プローブ濃度は左から右に増加する。図20は、反応当たり100pmolのプローブを用いる陽性試料と陰性試料との間のスペクトルの差を示す。
(エキソSERRSビーズアッセイ)
いわゆるエキソSERRSビーズアッセイを図21に示す。スキームの始めに、最上部に一本鎖標的DNAおよび3’末端でビオチン化された短い捕捉プローブが記載されている(大きな灰色の円として示されるストレプトアビジンコーティング磁性ビーズに結合している小さな薄灰色の長方形の内側の「B」として記載される)。3’ビオチン化捕捉プローブのストレプトアビジンコーティング磁性ビーズへの結合後、未結合のプローブを洗い流す。示される第1の工程において、標的DNAは固定化された捕捉プローブにハイブリダイズする。未結合の標的DNAは洗い流す。ヌクレオチドの5’リン酸標識は、SERRS活性色素(5’末端の方に示される薄灰色の円(この場合においてTAMRA))、およびまた必要に応じて3’標識クエンチャー(この場合においてBHQ2は、捕捉された標的DNAにハイブリダイズすることが可能になる)を含む。最終的に、標的DNA、捕捉プローブおよび色素標識プローブを含む得られた二本鎖DNAは、ハイブリダイズした色素標識プローブDNAをモノヌクレオチドに分解するλエキソヌクレアーゼの作用に曝露し、色素が遊離し、それにより、SERRSによる検出が可能となる。
このアッセイを図21に示し、強いビオチン−ストレプトアビジン相互作用を利用し、短い捕捉プローブ、完全長標的および色素標識プローブを使用する。スプリットプローブアッセイは、以下の組成の上記3つの合成オリゴヌクレオチドを利用する:
捕捉プローブ
3’TCT CCG TAG GAA 3’dTはビオチン化される
色素標識プローブ
3’TCA GGG ACA GCG XCG 3’dTはBHQ2で修飾される
XはTAMRAで修飾されたdTである
標的相補体
5’AGA GGC ATC CTT AGT CCC TGT CGC AGC
(実験)
1.捕捉プローブは、1倍結合および洗浄(B/W)バッファー中の3’ビオチン修飾を介してストレプトアビジンコーティング磁性ビーズに結合する。未結合プローブはB/Wバッファーで洗い流すが、結合プローブは磁化により分離する。
2.標的相補配列は、加熱プログラムを用いて結合捕捉プローブにハイブリダイズさせる(90℃10分間、20℃5分間)。未結合の標的は再び、3回以上の洗浄の間、1倍B/Wを用いて洗い流す。
3.色素標識プローブは、次いで、以前の加熱条件を用いて前もって形成された捕捉プローブ/標的二本鎖にハイブリダイズさせる。もう一度、未結合プローブを上記のように洗い流す。
4.スプリットプローブ複合体は、次いで、λエキソヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ反応バッファーに曝露する。消化は、37℃で30分間、実施し、続いて、15分間、75℃の酵素の不活性段階を実施する。
5.複合体は、96ウェルマイクロタイタープレートに移し、銀コロイド、凝集剤および水をSERRSのための調製に加える。
6.SERRSは、514.5nm、100%粉末、20倍対物レンズ、10秒で3回の蓄積にて、Renishaw inVia Ramanを用いてすぐに収集する。
7.蛍光測定もまた可能である。
(結果)
図22は、色素標識されたプローブを含まない実験に対するアッセイによる完全な実験のSERRS反応を示す。TAMRA反応の形は非常によく見える。コントロールにおいてピークの欠如が明らかである。
(SERRS活性プローブの合成)
SERRS活性プローブを合成し、これは不活性であるSERRS標識を含むプローブ配列からなる。すなわち、それがプローブの形態である場合、SERRSシグナルを与えない。この配列が標的配列にハイブリダイズした後、プローブは、λまたは他のエキソヌクレアーゼの作用後まで、不活性なままであり、SERRS標識を放出し、それにより、それをSERRS活性にする。
SERRS活性プローブは、5’リン酸、プローブ配列、次に、酵素開裂後にSERRS活性になる色素上の3’リン酸結合を有するオリゴヌクレオチドを生成することにより作製され得る。3’リン酸結合は、SERRS検出を使用する場合、「オフ」から「オン」に進行するアルカリ性ホスファターゼについての良好な基質であると示されているヒドロキシキノリンアゾ色素に直接結合することを可能にする(F.M.Campbellら、Analyst,2008,DOI 10.1039/B8087A)。この方法において、ヒドロキシキノリンアゾ色素は、逆転したオリゴヌクレオチドのホスホルアミダイト合成、すなわち、5’から3’方向の合成(通常のオリゴヌクレオチド合成は3’から5’である)を用いて3’末端に加えられる。これにより、標準的な固相合成の間、ホスホルアミダイトとしてヒドロキシキノリンアゾ色素の付加が可能になる。アゾ色素のさらなる芳香族成分を変化させることにより、異なる色素と、異なる配列、各々異なるSERRSシグナルと共に使用することができる。従って、これにより多重化(マルチプレックス)を可能にする。
(8−ヒドロキシキノリン誘導色素の合成)
Figure 2010535528
8−ヒドロキシキノリン誘導色素(3)を、o−アミノベンゾニトリルのジアゾ化、続く、8−ヒドロキシキノリンとのカップリングにより調製した。色素を精製するために、最初にアセチル化し、それにより、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより出発物質から分離でき、ホスホルアミダイトに変換する前に脱アセチル化し得る。色素の合成を、H、13C NMR、質量スペクトルにより確認した。
(実験)
O−アミノベンゾニトリル(1当量)をHCl(50%、10ml)中で攪拌し、10分間、徐々に加熱した。混合物を氷浴中で0℃まで冷却し、それに、2mlの水(蒸留)中のNaNO(1.2当量)を滴下した。反応物を0℃で30分間、攪拌して放置し、薄黄色の溶液を得た。別に、8−ヒドロキシキノリン(1当量)をMeOH(30ml)に溶解し、それにNaOH(10%、100ml)を加えた。8−ヒドロキシキノリン溶液を、15分にわたって、ジアゾニウム塩溶液に滴下して、一晩、攪拌した。
反応物をHCl(50%)の添加により中和し、得られた沈殿物を濾過により収集し、一晩乾燥させた。沈殿物を、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンとともに無水酢酸(100ml)に溶解した。TCL分析により、完全な反応が示された。この混合物を1600mlの氷/水に注ぎ、3時間放置した。過剰の水を捨てて、十分な氷を赤い油/水混合物に加えて、沈殿を生じさせた。その沈殿物を収集し、乾燥させて、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;溶離液:DCM−1% MeOH/DCM)により精製して、38%収率で脱アセチル化標的生成物3を得た。δ(400 MHz;DMSO)3.31(1H,br,s,OH),7.29−7.31(1H,d,J 8.0,ArH),7.67−7.71(1H,td,ArH),7.78−7.81(1H,q,J 4.0,ArH),7.87−7.91(1H,td,ArH),8.06−8.12(3H,m,ArH×3),9.00−9.02(1H,dd,ArH),9.36−9.38(1H,dd,ArH)。
(8−ヒドロキシキノリン誘導色素3のSERRS)
色素3のSERRS活性を、凝集剤として1%ポリ−L−リジンを用いて溶液(0.1μM)の分析により確認した。514nmレーザー源、1秒獲得、100%電力、1400cm−1。SERRSスペクトルを図23に示す。
(8−ヒドロキシキノリン誘導色素DNA修飾)
Figure 2010535528
8−ヒドロキシキノリン誘導色素3のホスフィチル化を、クロロホスフィチル化試薬4を用いて実施して、ホスホルアミダイト5を得た。PIIIホスホルアミダイトの合成を、31P NMRにより確認した。ホスホルアミダイト5を、逆塩基合成を用いて3’色素標識プローブ配列を生成するために使用し、リン酸CPGカラムの使用により5’末端にリン酸を導入した。

Claims (36)

  1. 標的核酸の検出に使用するための方法であって、
    (i)標的核酸が存在する場合、前記標的核酸に対する一本鎖プローブ核酸の特異的ハイブリダイゼーションによってプローブ/標的核酸二本鎖を生成するのに有効な条件下で、一本鎖プローブ核酸を対象試料と接触させる工程と、
    (ii)プローブ/標的核酸二本鎖のいずれかをエキソヌクレアーゼと接触させて、前記二本鎖の消化と前記二本鎖からの標識分子の放出を生じさせる工程と、
    (iii)ラマン分光法によって前記標識を検出する工程と、
    を含む方法。
  2. 前記エキソヌクレアーゼは、オリゴヌクレオチド合成能力を有さない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プローブ核酸は5’リン酸基を有し、前記エキソヌクレアーゼはλエキソヌクレーゼである、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 工程(i)において、過剰な前記プローブ核酸を前記対象試料と接触させ、その結果、工程(ii)における二本鎖の消化は、1回以上、前記標的核酸を再利用し、それによって、さらなるプローブ分子が、前記標的に特異的にハイブリダイズでき、さらなる標識分子を放出するために消化されるさらなるプローブ/標的核酸二本鎖を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 存在する場合、前記標的核酸を検出するように、前記標識における検出可能な変化を検出する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記対象試料における標的核酸の量を、前記変化の大きさに関連して決定する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記プローブ核酸はDNAである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記標的核酸はDNAである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記標的核酸は二本鎖核酸である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記標的核酸は一本鎖核酸である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記標識は、前記プローブ/標的核酸二本鎖の消化によって前記二本鎖核酸から放出される場合、ラマン分光法によってのみ検出され得る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記標識はSE(R)RS活性色素である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記標識はSERRS標識である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記標識はフルオロフォアである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記標識は3’ヒドロキシキノリン色素である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記プローブは、フルオロフォア、および前記消化前に前記フルオロフォアをクエンチするクエンチャーを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記ラマン分光法によって検出する工程は、プラズモニクスまたは蛍光に基づいた検出によって補われる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記プローブ配列は、SE(R)RS活性基質に付着される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記基質はナノ粒子の表面である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記標識は、工程(i)において前記プローブ核酸および前記対象試料と接触させ、前記標識は、形成される場合、前記プローブ/標的核酸二本鎖内に挿入できる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記標識は、前記二本鎖の副溝または主溝に結合できる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記標識は、副溝結合剤である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記標識は、前記プローブ核酸に付着、結合、または会合される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記プローブ核酸は、前記標識に結合される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記プローブ核酸は、約20〜約30ヌクレオチドを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記接触させる工程は、第1のプローブ核酸および第2のプローブ核酸と接触させる工程を含み、第1のプローブ核酸は、前記標的核酸の一部と相補的な核酸の配列、および標的核酸に対する第1のプローブ核酸のハイブリダイゼーションから得られる二本鎖の捕捉を可能にする捕捉部分を含み、第2のプローブは、第1のプローブ核酸が相補的である部分以外の前記標的核酸の一部と相補的な核酸の配列、および前記標識を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記対象試料を第1のプローブ核酸および第2のプローブ核酸と接触させる工程により形成された二本鎖は、前記接触させる工程の後、前記検出する工程の前に前記二本鎖の部分でない他の物質から単離される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記接触させる工程は、第1のプローブ核酸および第2のプローブ核酸と接触させる工程を含み、第1のプローブ核酸は、前記標的核酸の一部と相補的な核酸の配列および第2のプローブ核酸の一部と相補的な核酸の配列を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記接触させる工程は、捕捉核酸と接触させる工程をさらに含み、前記捕捉核酸は、第1のプローブ核酸が相補的でない前記標的核酸の一部と相補的であり、かつ捕捉可能な核酸複合体の捕捉を可能にする捕捉可能な部分に結合されており、前記捕捉可能な核酸複合体は、前記標的核酸が存在する場合、前記接触させる工程で形成される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記捕捉可能な核酸複合体は、前記接触させる工程の後で前記検出する工程の前に、前記二本鎖の部分でない他の物質から単離される、請求項29に記載の方法。
  31. 前記標識は、第2のプローブ核酸に付着、結合、または会合される、請求項26〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 第2のプローブ核酸は前記標識に結合される、請求項31に記載の方法。
  33. 第1のプローブ核酸および第2のプローブ核酸は各々、約20〜約30ヌクレオチドを含む、請求項26〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 対象試料における複数の異なる標的核酸を同時に検出するための方法であって、請求項1〜33のいずれか1項に記載される方法のうちの複数を同時に実施する工程を含み、異なる標識を前記標的核酸の各々を検出するために使用する、上記方法。
  35. (i)一本鎖プローブ核酸と、
    (ii)エキソヌクレアーゼと、
    (iii)請求項1〜34のいずれか1項に記載される方法に使用するためのラマン分光法によって検出可能な標識と、
    を含む、部材キット。
  36. 前記エキソヌクレアーゼはλエキソヌクレアーゼである、請求項35に記載のキット。
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