JP2010285557A - 環状カルボジイミドを含有する樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂(A成分)、並びにカルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(B成分)を含有する樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
中でも活性水素を保有する極性基の導入により、樹脂の極性を制御することにより、他樹脂との相溶性、親和性、親水性、帯電防止性などを制御する手法が一般的であるが、前記極性基の導入は他面、加水分解、劣化などの副反応を促進する場合があり、前記樹脂の適用範囲が制限される場合がある。
かかる課題を解決するため極性基濃度の抑制、極性基の変成などの方策が提案されており、カルボキシル基を変成、低減するカルボキシル基封止剤の適用がよく知られている。かかるカルボキシル封止剤のうち、その反応性、得られる生成物の色相などの観点より、カルボジイミド化合物が広汎に使用されている(特許文献1)。しかし、かかる従来公知のカルボジイミド化合物は線状のモノあるいはポリカルボジイミド化合物であるため、カルボキシル基等の極性基の封止に適用された場合、遊離イソシアネート化合物を生成する問題がある。
またさらに、前記カルボジイミド化合物を介して、前述の極性基と他種官能基を保有するモノマー、ポリマーユニットとを結合することにより、両成分の特性を合わせ保有する新規ポリマー、ブロックポリマーを形成の形成あるいは新規構造、例えば架橋構造の導入により、相溶性、親水性、流動特性、成形性および耐熱性等の性能を改質して、塗膜、エナメル、半導体封止剤などに利用されているが、この場合においても前述の問題が避けられず、早急な解決が求められている。
その結果、環状構造の中にカルボジイミド基を有する化合物は、ポリマーの末端に反応してもイソシアネート化合物を遊離しないことを見出し、本発明を完成した。
本発明において、環状カルボジイミド化合物(B成分)は環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有する。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20である。
環状構造は、下記式(1)で表される構造であることが好ましい。
結合基は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基またはこれらの組み合わせであり、上記で規定される環状構造を形成するための必要炭素数を有する結合基が選択される。組み合わせの例としては、アルキレン基とアリーレン基が結合した、アルキレン−アリーレン基のような構造などが挙げられる。
結合基(Q)は、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
本発明で用いる環状カルボジイミドとして、下記式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
かかる環状カルボジイミド化合物(2)としては、以下の化合物が挙げられる。
Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であることが好ましい。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(3)としては、下記化合物が挙げられる。
脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(4)の化合物において、Qcは4価である。従って、これらの基の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であることが好ましい。
Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Z1およびZ2は結合部であり、複数の環状構造がZ1およびZ2を介して結合し、式(4)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(4)としては、下記化合物を挙げることができる。
環状カルボジイミド化合物は従来公知の方法により製造することができる。例として、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からトリフェニルホスフィン体を経由して製造する方法、アミン体から尿素体を経由して製造する方法、アミン体からチオ尿素体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法、ラクタム体を誘導して製造する方法などが挙げられる。
また、本発明の環状カルボジイミド化合物は、以下の文献に記載された方法により製造することができる。
J.Org.Chem.Vol.61,No.13,4289−4299,1996.
New Models for the Study of the Racemization Mechanism of Carbodiimides.Synthesis and Structure(X−ray Crystallography and 1H NMR)of Cyclic Carbojiimides,
Pedro Molina etal.
ibid.Vol.43,No8,1944−1946,1978.
Macrocyclic Ureas as Masked Isocyanates, Henri Ulrich etal.
ibid.Vol.48,No.10,1694−1700,1983.
Synthesis and Reactions of Cyclic Carbodiimides,
R.Richter etal.
ibid.Vol.59,No.24,7306−7315,1994.
A New and Efficient Preparation of Cyclic Carbojiimides from Bis(iminophosphoranea)and the System Bc2O/DMAP,
Pedro Molina etal.
製造する化合物に応じて、適切な製法を採用すればよいが、例えば、(1)下記式(a−1)で表されるニトロフェノール、下記式(a−2)で表されるニトロフェノールおよび下記式(b)で表される化合物を反応させ、下記式(c)で表されるニトロ体を得る工程、
(上記式中、Ar1およびAr2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。E1およびE2は各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニル基およびメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−ブロモベンゼンスルホニル基からなる群から選ばれる基である。Araは、フェニル基である。Xは、下記式(i−1)から(i−4)の結合基である。)
本発明において樹脂(A成分)は、ポリアミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、グラフト共重合体、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂の群より選択される少なくとも一種である。
これらのポリアミド樹脂の分子量は特に制限はないが、ポリアミド樹脂1重量%濃度の98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
また、これらのアミド樹脂は周知の方法、例えば、(ポリアミド樹脂ハンドブック(福本修著、日刊工業新聞社(昭和63年1月30日発行)等に準じて製造することができる。
かかるポリアミド樹脂は、原料より容易に理解されるごとく、カルボキシル基を30から100当量/ton、アミノ基を30から100当量/ton程度含有するが、カルボキシル基はポリアミドの安定性の好ましくない効果を有することは良く知られている。
本発明に用いられるポリアミド−イミド樹脂は、下記式(I)で示される主たる繰り返し構造単位を有する。
このようなポリアミド−イミド樹脂の代表的な合成方法としては、(1)ジイソシアネートと三塩基酸無水物を反応させる方法、(2)ジアミンと三塩基酸無水物を反応させる方法、(3)ジアミンと三塩基酸無水物クロライドを反応させる方法等が挙げられる。
ただし、本発明に用いられるポリアミド−イミド樹脂の合成方法は、これらの方法に制限するものではない。上記合成方法で用いられる代表的な化合物を次に列挙する。
また、ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン等が好ましいものとして挙げられる。これらの中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタンがより好ましいものとして挙げられる。
また、三塩基酸無水物としては、トリメリット酸無水物が好ましいものとして挙げられ、三塩基酸無水物クロライドとしては、トリメリット酸無水物クロライドなどが挙げられる。
H2N−R4−NH2
[式中、R4は、(i)単結合;(ii)C2〜12脂肪族炭化水素基;(iii)C4〜30脂環族基;(iv)C6〜30芳香族基;(v)−Ph−O−R5−O−Ph−基(式中、R5は、フェニレン基または−Ph−X−Ph−基を示し、Xは単結合、ハロゲン原子により置換されても良いC1〜4アルキレン基、−O−Ph−O−基、−O−、−CO一、−S−、−SO−または−SO2−基を示す);または(v)−R6−(SiR7 2−O)m−SiR7 2−R6−基(式中、R6は、−(CH2)S−、−(CH2)S−Ph−、−(CH2)S−O−Ph−、または−Ph−を示し、mは1〜100の整数であり;Sは1−4の整数を示し;R7はC1〜6アルキル基、フェニル基またはC1〜6アルキルフェニル基を示す)
本発明においてポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を主たる繰り返し単位とするポリマーであり、ポリイソシアネートと、高分子量または低分子量ポリオールよりなる。
三価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが例示される。
ポリウレタン樹脂に含有されるこれらのウレタン結合、ウレア結合これらの結合がさらにイソシアネート基と結合したアロハネート結合、ビューレット結合などの結合はポリウレタンの硬質セグメントの役割を成す。
ポリイソシアネート化合物と、ヒドラジン、脂肪族、芳香族の一級、二級アミンとが反応してなるウレア結合を保有するポリウレタンは、脂肪族ジアミンとの反応によるポリウレタンは溶剤型弾性PUコーティング剤などに、芳香族ジアミンとに反応によるポリウレタンは、注型エラストマー、半硬質から硬質PU、インテグラルスキンフォーム、RIMなどに好適に利用される。また、イソシアネート基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するポリイソシアネート化合物を用いることで、さらに樹脂シート被覆金属板の接着性、加工性等を向上させることができる。
本発明において、スチレン樹脂としては、スチレン成分を含む重合体であればよく、特に制限されるものではないが、たとえばスチレン重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などが挙げられ、また、ブタジエンゴムなどのエラストマーを共重合させたものであってもよい。かかるスチレン樹脂は、他種樹脂と併用されることが多く、例えば変性ポリフェニレンエーテルなどの他の樹脂とのポリマーアロイとして使用されることが多い。スチレン樹脂中には例えば他種樹脂との親和性を高めるため、アクリル系樹脂の項目で記載した不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体などを含有することができる。
スチレン樹脂は単独で使用されることもあるが、他種樹脂とブレンド使用される場合もあるが、このときスチレン樹脂に含有される酸性基とりわけカルボキシル基は、他種樹脂を劣化分解させる場合があり、環状カルボジイミド化合物により、工程上安全にカルボキシル基の封止された組成物の工業的意義は大きい。
これらのフェノール樹脂は単独で用いても2種類以上併用してもよい。好ましくは、フェノールアラルキル樹脂などが挙げられる。前記のエポキシ樹脂およびまたはフェノール樹脂は本発明カルボジイミド化合物を架橋剤として、例えば、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物を併用することにより、イソウリア結合を形成し、遊離イソシアネートを生成することなく好適に硬化させることができる。
不飽和カルボン酸成分としては、不飽和カルボン酸単量体に限定されず、不飽和カルボン酸単量体を含むアクリル系樹脂を選択することもできる。さらにエポキシ樹脂の一部を多塩基カルボン酸、フェノール樹脂、例えばノボラック樹脂で変成することも可能である。かかるビニルエステル樹脂は、通常モノマー類、反応触媒を混合し、熱、あるいは光により架橋される。
本発明のビニル樹脂はカルボキシル基を含むビニルエステル樹脂とアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物に粘度調節されいわゆるBMC(Bulk Molding Compound)を包含する。
後述するように本発明の樹脂組成物は、樹脂(A成分)と環状カルボジイミド化合物(B成分)とを混合することにより製造することができる。環状カルボジイミド化合物は、樹脂(A成分)の極性基と反応する。余剰の環状カルボジイミド化合物は未反応のまま樹脂組成物中に残留する。
未反応のまま樹脂組成物中に残留する環状カルボジイミド化合物(B成分)の含有量は、樹脂(A成分)100重量部あたり、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明の樹脂組成物は、樹脂(A成分)と環状カルボジイミド化合物(B成分)とを混合して製造することができる。
環状カルボジイミド化合物(B成分)を樹脂(A成分)に添加、混合する方法は特に限定なく、従来公知の方法により、溶液、融液あるいは適用する樹脂のマスターバッチとして添加する方法、あるいは環状カルボジイミドが溶解、分散または溶融している液体に樹脂の固体を接触させ環状カルボジイミドを浸透させることができる。
溶媒としてはたとえば、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒などを用いることができる。
炭化水素系溶媒として、ヘキサン、シクロへキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、デカンなどが挙げられる。ケトン系溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
環状カルボジイミドが溶解、分散または溶融している液体に樹脂の固体を接触させ環状カルボジイミドを浸透させる方法をとる場合には、上記のごとき溶剤に溶解したカルボジイミドに固体の樹脂を接触させる方法や、カルボジイミドのエマルジョン液に固体のポリ乳酸を接触させる方法などをとることができる。接触させる方法としては、樹脂を浸漬する方法や、樹脂に塗布する方法、散布する方法などを好適にとることができる。
反応は無触媒で十分速やかに進行するが、反応を促進する触媒を使用することもできる。触媒としては、従来の線状カルボジイミド化合物で使用される触媒が適用できる。これらは1種または2種以上使用することができる。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、樹脂(A成分)と環状カルボジイミド化合物(B成分)の合計100重量部に対し、0.001〜1重量部が好ましく、また0.01〜0.1重量部がより好ましく、さらには0.02〜0.1重量部が最も好ましい。
本発明の樹脂組成物には、安定剤を含有することができる。安定剤としては通常の熱可塑性樹脂の安定剤に使用されるものを用いることができる。例えば酸化防止剤、光安定剤等を挙げることができる。これらの剤を配合することで機械的特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた成形品を得ることができる。
なかでもトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,6―ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスファイト等が好ましく使用できる。
本発明の樹脂組成物は、有機若しくは無機の結晶化促進剤を含有することができる。結晶化促進剤を含有することで、機械的特性、耐熱性、および成形性に優れた成形品を得ることができる。
即ち結晶化促進剤の適用により、成形性、結晶性が向上し、通常の射出成形においても十分に結晶化し耐熱性、耐湿熱安定性に優れた成形品を得ることができる。加えて、成形品を製造する製造時間を大幅に短縮でき、その経済的効果は大きい。
本発明で使用する結晶化促進剤は一般に結晶性樹脂の結晶化核剤として用いられるものを用いることができ、無機系の結晶化核剤および有機系の結晶化核剤のいずれをも使用することができる。
これらのなかでタルク、および有機カルボン酸金属塩から選択された少なくとも1種が好ましく使用される。本発明で使用する結晶化促進剤は1種のみでもよく、2種以上を併用しても良い。
結晶化促進剤の含有量は、樹脂(A成分)100重量部当たり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部である。
本発明の樹脂組成物は、有機若しくは無機の充填剤を含有することができる。充填剤成分を含有することで、機械的特性、耐熱性、および金型成形性に優れた成形品を得ることができる。
これら有機充填剤は天然物から直接採取したものを使用してもよいが、古紙、廃材木および古衣等の廃材をリサイクルしたものを使用してもよい。
紙粉は成形性の観点から接着剤、とりわけ、紙を加工する際に通常使用される酢酸ビニル樹脂系エマルジョンやアクリル樹脂系エマルジョン等のエマルジョン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリアミド系接着剤等のホットメルト接着剤等を含むものが好ましく例示される。
本発明の組成物は、無機充填剤を含有することが好ましい。無機充填剤合により、機械特性、耐熱性、成形性の優れた組成物を得ることができる。本発明で使用する無機充填剤としては、通常の熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粉末状のものを用いることができる。
これらの無機充填剤のなかでは繊維状もしくは板状の無機充填剤が好ましく、特にガラス繊維、ワラステナイト、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、マイカ、およびカオリン、陽イオン交換された層状珪酸塩が好ましい。また繊維状充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上でありことがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
無機充填剤の配合量は、樹脂(A成分)100重量部に対し、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは1〜20重量部である。
本発明の樹脂組成物は、離型剤を含有することができる。本発明において使用する離型剤は通常の熱可塑性樹脂に用いられるものを使用することができる。
離型剤として具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン、低分子量のポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変性シリコーン等を挙げることができる。これらを配合することで機械特性、成形性、耐熱性に優れたポリ乳酸成形品を得ることができる。
オキシ脂肪酸としては1,2−オキシステリン酸、等が挙げられる。パラフィンとしては炭素数18以上のものが好ましく、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等が挙げられる。
低分子量のポリオレフィンとしては例えば分子量5000以下のものが好ましく、具体的にはポリエチレンワックス、マレイン酸変性ポリエチレンワックス、酸化タイプポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。脂肪酸アミドとしては炭素数6以上のものが好ましく、具体的にはオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸部分鹸化エステルとしてはモンタン酸部分鹸化エステル等が挙げられる。脂肪酸低級アルコールエステルとしてはステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、アジピン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、モンタン酸エステル、イソステアリン酸エステル等が挙げられる。
脂肪酸多価アルコールエステルとしては、グリセロールトリステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノステアレート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスルトールトリステアレート、ペンタエリスルトールジミリステート、ペンタエリスルトールモノステアレート、ペンタエリスルトールアジペートステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。脂肪酸ポリグリコールエステルとしてはポリエチレングリコール脂肪酸エステルやポリプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
そのうち脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、が好ましく、脂肪酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドがより好ましい。なかでもモンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、ポリエチレンワックッス、酸価ポリエチレンワックス、ソルビタン脂肪酸エステル、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましく、特にモンタン酸部分鹸化エステル、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
離型剤は、1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。離型剤の含有量は、樹脂(A成分)100重量部に対し、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.03〜2重量部である。
本発明の樹脂組成物は、帯電防止剤を含有することができる。帯電防止剤として、(β−ラウラミドプロピオニル)トリメチルアンモニウムスルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの第4級アンモニウム塩系、スルホン酸塩系化合物、アルキルホスフェート系化合物等が挙げられる。
本発明において帯電防止剤は1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。帯電防止剤の含有量は、樹脂(A成分)100重量部に対し、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明の樹脂組成物は、可塑剤を含有することができる。可塑剤としては一般に公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、およびエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。
グリセリン系可塑剤として、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノモンタネート等が挙げられる。
多価カルボン酸系可塑剤として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸イソデシル、アジピン酸−n−デシル−n−オクチル等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のセバシン酸エステルが挙げられる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ブロックおよびまたはランダム共重合体、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物および末端エーテル変性化合物等の末端封止剤化合物等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤として、エポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド、およびビスフェノールAとエピクロルヒドリンを原料とするエポキシ樹脂が挙げられる。
可塑剤として、特にポリエステル系可塑剤およびポリアルキレン系可塑剤から選択された少なくとも1種よりなるものが好ましく使用でき、1種のみでも良くまた2種以上を併用することもできる。
可塑剤の含有量は、樹脂(A成分)100重量部当たり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。本発明においては結晶化核剤と可塑剤を各々単独で使用してもよいし、両者を併用して使用することがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃改良剤を含有することができる。耐衝撃改良剤とは熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良に用いることができるものであり、特に制限はない。例えば以下の耐衝撃改良剤の中から選択される少なくとも1種を用いることができる。
さらに上記具体例に挙げた各種の(共)重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体およびブロック共重合体等のいずれであっても、本発明の耐衝撃改良剤として用いることができる。
耐衝撃改良剤は、樹脂(A成分)100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。
また本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲において、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有させても良い。また本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲において、臭素系、リン系、シリコーン系、アンチモン化合物等の難燃剤を含有させても良い。また有機、無機系の染料、顔料を含む着色剤、例えば、二酸化チタン等の酸化物、アルミナホワイト等の水酸化物、硫化亜鉛等の硫化物、紺青等のフェロシアン化物、ジンククロメート等のクロム酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、群青等の珪酸塩、マンガンバイオレット等のリン酸塩、カーボンブラック等の炭素、ブロンズ粉やアルミニウム粉等の金属着色剤等を含有させても良い。また、ナフトールグリーンB等のニトロソ系、ナフトールイエローS等のニトロ系、ナフトールレッド、クロモフタルイエロー等のアゾ系、フタロシアニンブルーやファストスカイブルー等のフタロシアニン系、インダントロンブルー等の縮合多環系着色剤等、グラファイト、フッソ樹脂等の摺動性改良剤等の添加剤を含有させても良い。これらの添加剤は単独であるいは2種以上を併用することもできる。
本発明の樹脂組成物よりなる成形品は、射出成形、押し出し成形、真空、圧空成形およびブロー成形等により成形できる。成形品として、ペレット、繊維、布帛、繊維構造体、フィルム、シート、シート不織布などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物よりなるペレットは、その溶融成形法は何ら限定されず、公知のペレット製造法により製造されたものが好適に使用できる。即ち、ストランド、あるいは板状におしだされた樹脂組成物を、樹脂が完全に固化した後、あるいは完全には固化されないで、いまだ溶融状態にあるとき、空気中、あるいは水中でカッティングする等の手法が従来公知であるが、本発明においてはいずれも好適に適用できる。射出成形は、樹脂の種類によって、成形条件を適宜設定すればよい。
またこれらの成形品は、各種ハウジング、歯車、ギア等の電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品(内装、外装部品等)および日用部品などを挙げることができる。
即ち樹脂(A成分)は、エクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融された後、ギアポンプにより計量され、パック内で濾過された後、口金に設けられたノズルからモノフィラメンント、マルチフィラメント等として吐出される。
口金の形状、口金数は特に制限されるものではなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。吐出された糸は直ちに冷却・固化された後集束され、油剤を付与されて巻き取られる。巻き取り速度は特に限定されるものではない。
延伸は1段延伸でも、2段以上の多段延伸でも良く、高強度の繊維を作製する観点から、延伸倍率は3倍以上が好ましく、さらには4倍以上が好ましい。好ましくは3〜10倍が選択される。しかし、延伸倍率が高すぎると繊維が失透し白化し繊維の強度が低下したり破断伸度が小さくなりすぎ繊維用途としては小さくなり過ぎたりして好ましくない。
延伸の予熱方法としては、ロールの昇温のほか、平板状あるいはピン状の接触式加熱ヒータ、非接触式熱板、熱媒浴などが挙げられるが、通常用いられる方法を用いればよい。
延伸に引き続き、巻き取り前には樹脂(A成分)のガラス転移温度(Tg)以上、融点未満の温度で、熱処理が行われることが好ましい。熱処理にはホットローラーのほか、接触式加熱ヒータ、非接触式熱板など任意の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物からなる繊維および繊維構造体は、樹脂組成物からなる繊維単独で使用してもよく、他種繊維と混用することもできる。混用の態様としては、他種繊維からなる繊維構造物との各種組み合わせのほか、他の繊維との混繊糸、複合仮撚糸、混紡糸、長短複合糸、流体加工糸、カバリングヤーン、合撚、交織、交編、パイル織物、混綿つめ綿、長繊維や短繊維の混合不織布、フェルトなどが例示される。混用する場合、樹脂(A成分)の特徴を発揮するため混用比率は1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上の範囲が選択される。
混用される他の繊維たとえば、綿、麻、レーヨン、テンセルなどのセルロース繊維、ウール、絹、アセテート、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリオレフィン、ポリウレタンなどを挙げることができる。
例えばフィルム、シートにおいては、押し出し成形、キャスト成形等の成形手法を用いることができる。即ち、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムを押し出し、さらに延伸、熱処理して成形することができる。このとき、未延伸のフィルムはシートとしてそのまま実用に供することもできる。フィルム化に際し、事前に樹脂組成物および前述した各種成分を溶融混練した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混練を経て成形することもできる。未延伸フィルムを押し出し時、溶融樹脂にスルホン酸四級ホスホニウム塩などの静電密着剤を配合し表面欠陥の少ない未延伸フィルムを得ることができる。
また、樹脂組成物および添加剤成分を共通溶媒、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、溶解、キャスト、乾燥固化することにより未延伸フィルムをキャスト成形することもできる。
本発明のフィルム、シートは単一の形態である以外、他種類のフィルム、シートと混用することもできる。混用の態様としては、他種材料からなるフィルム、シートとの各種組み合わせ、例えば、積層、ラミネートなどのほか、他種形態たとえば射出成形品、繊維構造体などとの組み合わせが例示できる。
各種特性は以下の方法で測定した。
合成した環状カルボジイミド化合物は1H−NMR、13C−NMRによって確認した。NMRは日本電子(株)製JNR−EX270を使用した。溶媒は重クロロホルムを用いた。
(2)環状カルボジイミドのカルボジイミド骨格のIRによる同定:
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の有無は、FT−IRによりカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の確認を行った。FT−IRはサーモニコレー製Magna−750を使用した。
(3)加水分解に対する安定性:
樹脂組成物の試料をプレッシャークッカーにて、130℃、100%RHにて10時間処理したときの還元粘度保持率を評価した。
還元粘度(ηsp/c)の測定は、試料1.2mgを〔テトラクロロエタン/フェノール=(6/4)wt%混合溶媒〕100mlに溶解、35℃でウベローデ粘度管を使用して測定し、還元粘度保持率は、分子を試料処理後の還元粘度、分母を試料処理前の還元粘度として求めた。
(4)イソシアネート臭の発生の有無:
300℃で5分間溶融した樹脂組成物について、測定者がイソシアネート臭を感じるか否かで判定した。イソシアネート臭を感じないとき、合格と判断した。
(5)作業環境の良否:
樹脂組成物製造時、作業環境がイソシアネート臭により悪化するかどうかにより判定した。悪化しない場合には良と評価した。
(6)イソシアネートガス発生の定性評価:
試料を、260℃で8分間加熱し、熱分解GC/MS分析により定性した。GC/MSは日本電子(株)製GC/MS Jms Q1000GC K9を使用した。
(7)末端カルボキシル基濃度
試料を精製o−クレゾールに窒素気流下溶解、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて求めた。
(8)末端アミノ基濃度
試料をフェノール/エタノール溶液(フェノール83.5%)をチモールブルーを指示薬として用い、塩酸で中和滴定した。
(9)相対粘度
相対粘度は、試料1gを精秤し、96%硫酸100ccに25℃で撹拌溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=(t)/(t0)
環状カルボジイミド化合物として以下の化合物を製造した。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに中間生成物B(0.05mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させた。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物C(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させる。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、CC2を得た。CC2の構造はNMR、IRにより確認した。
ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学(株)製「MXナイロン S6001」、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなり、相対粘度=2.1、末端アミノ基濃度30当量/ton、末端カルボキシル基濃度60当量/ton)98重量部と、環状カルボイミド(CC1)2重量部とをドライブレンドした後、秤量フィーダーにて6kg/hrの速度で、シリンダー径36mmの二軸ルーダーで、シリンダー温度260℃、ベント圧1.3kPaで溶融加混練した後、ダイより水槽中に押し出した。得られたストランドをチップカッターで切断してチップ化した。
得られた樹脂組成物の末端カルボキシル基濃度は3当量/ton,末端アミノ基濃度25当量/ton、相対粘度は2.5であった。得られた樹脂組成物は、遊離イソシアネートの悪臭を感じることは無く、GS/MS分析においてもイソシアネートガスは検出されなかった。以上のことから環状カルボジイミドにより末端カルボキシル基が有効に封止されると共に鎖延長効果が有効に発揮された。なお、還元粘度保持率は90%であった。
実施例1において、環状カルボジイミド化合物に替え、線状のポリカルボジイミド((日清紡績(株)製「カルボジライト」LA−1))を使用した。得られた組成物の末端カルボキシル基濃度は7当量/ton,末端アミノ基濃度23当量/ton、相対粘度は2.2であり線状カルボジイミド、「カルボジライト」LA−1により末端カルボキシル基が有効に封止されると共に鎖延長効果が有効に発揮されたがルーダー押し出し時イソシアネート臭が感じられ、GC/MS分析においてもイソシアネートは検出された。なお、還元粘度保持率は90%であった。
実施例1において、ポリメタキシリレンアジパミドに替え、ナイロン12(宇部興産(株)製、UBE3030XA、末端アミノ基濃度22当量/ton、末端カルボキシル基濃度51当量/ton、相対粘度2.2)98重量部と、環状カルボジイミド(CC2)、2重量部を使用した。
得られた樹脂組成物の末端カルボキシル基濃度は7当量/ton,末端アミノ基濃度21当量/ton、相対粘度は2.8であった。チップ製造時、遊離イソシアネートの悪臭を感じることは無く、環状カルボジイミドにより末端カルボキシル基が有効に封止されると共に鎖延長効果が有効に発揮された。なお、還元粘度保持率は93%であった。
実施例2において、環状カルボジイミド化合物CC2に替えて、線状のカルボジイミド((ラインケミージャパン(株)製のスタバクゾールi、を使用した。得られたペレット組成物の末端カルボキシル基濃度は6当量/ton,末端アミノ基濃度21当量/ton、相対粘度は2.8であったが、組成物製造時、イソシアネート臭を強く感じた。なお、還元粘度保持率は91%であった。
実施例1において、ポリメタキシリレンアジパミドに替え、ナイロン11(ATOFINA製「Rilsan BESVOA FDA」、末端アミノ基濃度10当量/ton、末端カルボキシル基濃度143当量/ton、相対粘度2.3)を使用し、環状カルボジイミド(CC2)2重量部を使用した。
得られた樹脂組成物のカルボキシル基濃度は8当量/ton,末端アミノ基濃度20当量/ton、相対粘度は3.1であった。チップ製造時、遊離イソシアネートの悪臭を感じることは無く、環状カルボジイミドにより末端カルボキシル基が有効に封止されると共に鎖延長効果が有効に発揮された。なお、還元粘度保持率は91%であった。
該組成物を得られたペレットをシリンダー径20mmのTダイ付き二軸押出機に供給したところ、問題なくフィルムを作製できた。
(ポリアミドイミド樹脂の調製)
2リットル反応容器に、m−フェニレンジアミン0.35モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.35モル、溶媒としてDMACを0.61リットルを仕込み、ジアミン成分を完全に溶解させた。次いで、重合反応液の温度が30℃を超えない様にトリメリット酸無水物モノクロリド0.70モルを徐々に添加、添加終了後、重合液を30℃に温調し1.0時間攪拌し、反応させ、重合溶液を得た。
得られた重合溶液をイオン交換水;1.7リットル中に投入、沈殿したポリアミドイミド樹脂を濾過分別し、真空度1.3kPa、200℃で3時間、乾燥した。得られたポリアミドイミド樹脂の相対粘度は0.95、末端カルボキシル基濃度は170当量/tonであった。
得られたポリアミドイミド樹脂の粉末95重量部および環状カルボジイミド化合物(CC2)5重量部を溶媒DMACに溶解させ10重量%濃度のポリアミドイミド樹脂溶液(ワニス)を作成した。このワニスは、遊離イソシアネート生成無く、末端カルボキシル基濃度は51当量/tonに減少していた。このワニスを約50μm(0.05mm)厚みのアルミニウム箔に流延し乾燥膜厚約3μmとなる様にコーティングし、130℃で5時間の乾燥処理を行ったところアルミ箔に強固の接着した塗膜を得ることができた。
Claims (16)
- ポリアミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン系樹脂、グラフト共重合体、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびビニルエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(A成分)、並びにカルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(B成分)を含有する樹脂組成物。
- B成分の環状構造を形成する原子数が8〜50である請求項1記載の樹脂組成物。
- Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である請求項3記載の樹脂組成物。
- Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項7記載の樹脂組成物。
- Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項10記載の樹脂組成物。
- B成分の含有量が、100重量部の樹脂(A成分)あたり0.001〜10重量部重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の樹脂組成物よりなる成形品。
- ポリアミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、グラフト共重合体、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびビニルエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(A成分)と、カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(B成分)とを混合することからなる樹脂組成物の製造方法。
- ポリアミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、グラフト共重合体、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびビニルエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(A成分)の酸性基1当量あたり、0.5〜5当量のカルボジイミド基に相当する量のB成分を混合する請求項15記載の製造方法。
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