JP2010278423A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010278423A
JP2010278423A JP2010089199A JP2010089199A JP2010278423A JP 2010278423 A JP2010278423 A JP 2010278423A JP 2010089199 A JP2010089199 A JP 2010089199A JP 2010089199 A JP2010089199 A JP 2010089199A JP 2010278423 A JP2010278423 A JP 2010278423A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive polymer
polymer layer
layer
derivative
anode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010089199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5484995B2 (ja
Inventor
Toru Ishikawa
徹 石川
Masayuki Fujita
政行 藤田
Kenji Sano
健志 佐野
Manabu Harada
学 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2010089199A priority Critical patent/JP5484995B2/ja
Priority to US12/767,953 priority patent/US8724296B2/en
Priority to CN201010214713.XA priority patent/CN101877281B/zh
Publication of JP2010278423A publication Critical patent/JP2010278423A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5484995B2 publication Critical patent/JP5484995B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/15Solid electrolytic capacitors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/0029Processes of manufacture
    • H01G9/0036Formation of the solid electrolyte layer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】静電容量が高く、耐熱性に優れた固体電解コンデンサを得る。
【解決手段】陽極2と、陽極2の表面上に設けられる誘電体層3と、誘電体層3の上に設けられる第1の導電性高分子層4aと、第1の導電性高分子層4aの上に設けられる第2の導電性高分子層4bと、第2の導電性高分子層4bの上に設けられる第3の導電性高分子層4cと、第3の導電性高分子層4cの上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、第1の導電性高分子層4aがピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、第2の導電性高分子層4bがチオフェンまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、第3の導電性高分子層4cがピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、弁作用金属またはその合金からなる陽極を用いた固体電解コンデンサに関するものである。
固体電解コンデンサは、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム等の弁作用金属またはその合金からなる陽極の上に、誘電体層、固体電解質層、及び陰極層をこの順で積層することにより一般に作製されている。固体電解コンデンサは、パソコン、携帯電話等の各種携帯情報端末、デジタルカメラ等の各種映像情報機器、その他の電子機器等において、CPUの電源回路、その周辺回路等に組み込まれて使用されている。
このような電子機器等においては、固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)の低減、リフロー耐性などの耐熱性の改善が課題となっている。特に、表面実装タイプのチップ型の固体電解コンデンサにおいては、電源回路の周辺に配置されるため、処理する電流量も大きく、周辺機器の発熱やコンデンサを流れる電流による抵抗熱による影響を受ける。また、鉛フリー半田の利用によるリフロー温度の高温化(ピーク温度:250〜260℃)により、リフロー工程に対する耐熱性も要求される。
固体電解コンデンサの固体電解質層としては、導電性高分子が用いられるようになってきている。耐熱性を有する導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンが知られている。例えば、高い耐熱性を有するポリチオフェンと、電解重合などの高速重合に優れるポリピロールとを組み合わせて固体電解質層に用いた従来技術としては、特許文献1及び特許文献2が知られている。
特許文献1においては、第1の導電性高分子層をポリチオフェンまたはその誘導体から形成し、第2の導電性高分子層を電解重合によりポリピロールまたはその誘電体から形成している。それにより、容量が維持される旨記載されている。
特許文献2においては、第1の導電性高分子層をポリチオフェンとポリピロールから構成し、第2の導電性高分子層をポリピロールから構成しており、第1の導電性高分子層は、島状にポリチオフェンの膜を形成した後、島間を埋めるようにポリピロールを形成している。これにより、ポリチオフェンの高い導電性と、第1の導電性高分子層及び第2の導電性高分子層におけるポリピロールの接触抵抗の低減によるESRの低下を実現することができる旨記載されている。
特許文献3においては、誘電体層の上に、プレコート層、第1の導電性高分子層、及び第2の導電性高分子層を形成することが開示されており、具体的な導電性高分子の組み合わせとしては、プレコート層及び第1の導電性高分子層をそれぞれポリピロールから形成し、第2の導電性高分子層をポリチオフェンにカーボンファイバを加えて形成することが開示されている。これにより、半田付け等の熱ストレスによって、コンデンサに加わる応力を小さくし、耐熱性を向上できる旨記載されている。
特開平10−321471号公報 特開2008−147392号公報 特開2002−15956号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示された技術では、誘導体層上にポリチオフェンを含む導電性高分子層が形成されているため、誘電体層に対するポリチオフェン層の密着性が悪く、耐熱性に劣るという問題がある。
特許文献3においては、第1の導電性高分子層であるポリピロールの上に、ポリチオフェンにカーボンファイバを混合した第2の導電性高分子層が形成されているが、耐熱性を十分に向上することができないという問題がある。
本発明の目的は、耐熱性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の局面に従う固体電解コンデンサは、陽極と、陽極の表面上に設けられる誘電体層と、誘電体層の上に設けられる第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層の上に設けられる第2の導電性高分子層と、第2の導電性高分子層の上に設けられる第3の導電性高分子層と、第3の導電性高分子層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、第1の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、第2の導電性高分子層がチオフェンまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、第3の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなることを特徴としている。
本発明の第2の局面に従う固体電解コンデンサは、陽極と、陽極の表面上に設けられる誘電体層と、誘電体層の上に設けられる第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層の上に設けられる第2の導電性高分子層と、第2の導電性高分子層の上に設けられる第3の導電性高分子層と、第3の導電性高分子層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、第1の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、第2の導電性高分子層がチオフェンまたはその誘導体を下記一般式(1)で表される添加剤の存在下で重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、第3の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなることを特徴としている。
Figure 2010278423
(ただし、上記の式(1)中のR1、及びR2は、C(2n+1)で表されるアルキル基、C(2n+1)Oで表されるアルコキシ基、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、アリル基、またはアリール基である。また、ベンゼン環またはピリジン環は、複数のR1またはR2で置換されていてもよい。その場合、R1同士及びR2同士は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
以下、本発明の第1の局面及び第2の局面に共通する事項については、「本発明」として説明する。
本発明においては、誘電体層の上に、第1の導電性高分子層、第2の導電性高分子層、及び第3の導電性高分子層がこの順に設けられている。誘電体層上に設けられる第1の導電性高分子層は、ピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなる。ピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜は、膜構造中のヘテロ環に窒素を含んでおり、この窒素は、金属原子に配位することができる。従って、誘電体層中の弁作用金属の酸化物中の金属に配位することができる。このため、ポリピロールまたは誘導体からなる第1の導電性高分子層は、誘電体層に対し良好な密着性を有する。
また、本発明においては、第1の導電性高分子層上に設けられる第2の導電性高分子層が、チオフェンまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなる。ポリチオフェンまたはその誘導体は、ポリピロールまたはその誘導体に比べ、導電性の高い高分子膜である。従って、ポリチオフェンまたはその誘導体からなる導電性高分子膜を設けることにより、ポリピロール及びその誘導体に比べ、耐熱性が高いため、リフロー工程における耐熱性を高めることができる。
本発明においては、第2の導電性高分子層の上に、ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより形成される第3の導電性高分子層を設けている。ポリピロールまたはその誘導体は、ポリチオフェンまたはその誘導体に比べ、酸化電位が低いので、容易にかつ速い成膜速度で、電解重合により導電性重合膜を形成することができる。
また、第3の導電性高分子層を形成する際の下地層となるポリチオフェンまたはその誘導体は、ポリピロールまたはその誘導体よりも酸化電位が高い。このため、ポリピロールを電解重合により形成する際、低い重合電位で、ポリピロールまたはその誘導体を形成することができるので、下地層である第2の導電性高分子層にダメージを与えることなく、第3の導電性高分子層を形成することができるため、耐熱性を高めることができる。
本発明において、第2の導電性高分子層は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンから形成することができる。
本発明の第2の局面においては、第2の導電性高分子層が、上記一般式(1)で表される添加剤の存在下でチオフェンまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子から形成されている。添加剤の存在下で重合することにより、得られる導電性高分子のドープ率や配向性を改善することができ、導電性高分子の結晶性や緻密性を高めることができるので、導電性高分子の導電率を高めることができる。従って、静電容量を高めることができ、ESRを低減することができるとともに、耐熱性をさらに高めることができる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、上記本発明の固体電解コンデンサを製造することができる方法であり、陽極と、陽極の表面上に設けられる誘電体層と、誘電体層の上に設けられる第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層の上に設けられる第2の導電性高分子層と、第2の導電性高分子層の上に設けられる第3の導電性高分子層と、第3の導電性高分子層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサを製造する方法であって、ピロールまたはその誘導体を化学重合することにより、第1の導電性高分子層を形成する工程と、チオフェンまたはその誘導体を化学重合することにより、第2の導電性高分子層を形成する工程と、ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより、第3の導電性高分子層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の製造方法においては、第1の導電性高分子層を、ピロールまたはその誘導体を化学重合することにより形成し、第2の導電性高分子層を、チオフェンまたはその誘導体を化学重合することにより形成し、第3の導電性高分子層を、ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより形成している。
本発明の製造方法によれば、ピロールまたはその誘導体を化学重合することにより誘電体層上に第1の導電性高分子層を形成しているので、密着性が良好で、かつ耐熱性に優れた第1の導電性高分子層とすることができる。
また、第1の導電性高分子層の上に、チオフェンまたはその誘導体を化学重合することにより第2の導電性高分子層を形成しているので、導電性に優れた第2の導電性高分子層を形成することができ、耐熱性に優れた固体電解コンデンサとすることができる。
また、本発明の製造方法では、第3の導電性高分子層を、ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより形成しているので、上述のように、下地層である第2の導電性高分子層にダメージを与えることなく、第3の導電性高分子層を形成することができる。
電解重合により形成しているので、高い成膜速度で第3の導電性高分子層を形成することができ、効率良く固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明の第2の局面に従う固体電解コンデンサは、上記本発明の製造方法の第2の導電性高分子層を形成する工程において、チオフェンまたはその誘導体を上記一般式(1)で表される添加剤の存在下で化学重合する工程を含むことにより製造することができる。
本発明によれば、耐熱性に優れた固体電解コンデンサとすることができる。
本発明の製造方法によれば、耐熱性に優れた固体電解コンデンサを効率良く製造することができる。
本発明の一実施形態に従う固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 図1に示す固体電解コンデンサにおける導電性高分子層を示す拡大断面図。 本発明の第2の局面に従う実施例における添加剤量比と静電容量との関係を示す図。 本発明の第2の局面に従う実施例における添加剤量比とESRとの関係を示す図。
以下、本発明を実施形態に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することが可能なものである。
図1は、本発明の一実施形態の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
図1に示すように、陽極2には、陽極リード1が埋設されている。陽極2は、弁作用金属または弁作用金属を主成分とする合金からなる粉末を成形し、この成形体を焼結することにより作製されている。従って、陽極2は、多孔質体から形成されている。図1において図示されていないが、この多孔質体には、その内部から外部に連通する微細な孔が多数形成されている。このように作製された陽極2は、本実施形態において、外形が略直方体になるように作製されている。
陽極2を形成する弁作用金属としては、固体電解コンデンサに用いることができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。これらの中でも、酸化物の誘電率が高く、原料の入手が容易な、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムが特に好ましい。また、弁作用金属を主成分とする合金としては、例えば、タンタルとニオブ等の2種以上からなる弁作用金属同士の合金や、弁作用金属と他の金属との合金が挙げられる。弁作用金属と他の金属との合金を用いる場合には、弁作用金属の割合を50原子%以上とすることが好ましい。
陽極2を形成する金属粒子の粒子径としては、0.08μm〜1μmものを用いることができる。特に高い容量を得るためには、0.2μm〜0.5μmのものが好ましく用いられる。
陽極2の表面には、誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、陽極2の孔の表面にも形成されている。図1においては、陽極2の外周側に形成された誘電体層3を模式的に示しており、上述の多孔質体の孔の表面に形成された誘電体層は図示していない。誘電体層3は、陽極2を陽極酸化などで酸化することにより形成することができる。
誘電体層3の膜厚としては、例えば、10nm〜500nmの範囲が好ましい。誘電体層の膜厚が500nmより厚いと、静電容量が低下するとともに、陽極リード1及び陽極2からの剥離が起こりやすくなる等の不都合が生じるおそれがある。また、誘電体層3の膜厚が10nmより薄いと、耐電圧が低下するとともに、漏れ電流の増大を招くおそれがある。
誘電体層3の表面には、第1の導電性高分子層4aが形成されている。第1の導電性高分子層4aは、ピロールまたはその誘電体を重合することにより形成されている。第1の導電性高分子層4aは、陽極2の孔の表面上の誘電体層3の上にも形成されている。なお、図1には、陽極2の孔の表面上の第1の導電性高分子層4aは図示していない。
第1の導電性高分子層4aの上には、第2の導電性高分子層4bが形成されている。第2の導電性高分子層4bは、チオフェンまたはその誘導体を重合することにより形成されている。第2の導電性高分子層4bは、陽極2の孔の表面上の第1の導電性高分子層4aの上にも形成されている。図1には、陽極2の孔の表面上の第2の導電性高分子層4bは図示していない。
第2の導電性高分子層4bの上には、第3の導電性高分子層4cが形成されている。第3の導電性高分子層4cは、ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより形成されている。第3の導電性高分子層4cは、陽極2の孔の表面上の第2の導電性高分子層4bの上に形成されていてもよい。図1において、陽極2の孔の表面上の第3の導電性高分子層4cは、図示されていない。
第1の導電性高分子層4aの膜厚は、10nm〜2000nmの範囲であることが好ましい。また、第2の導電性高分子層4bの膜厚は、10nm〜2000nmの範囲であることが好ましい。また、第3の導電性高分子層4cの膜厚は、10μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
第1の導電性高分子層4aは、化学重合により形成することが好ましい。第2の導電性高分子層4bでは、化学重合または電解重合により形成することができるが、化学重合で形成することが特に好ましい。
第1の導電性高分子層4aを化学重合により形成する場合、陽極2を酸化剤が溶解した溶液中に浸漬し、下地層の上に予め酸化剤を付着させる。酸化剤を付着させた後、モノマーが溶解した溶液に陽極2を浸漬させるか、あるいはモノマー蒸気雰囲気中に陽極2を放置することにより、酸化剤が付着した下地層に気化したモノマー蒸気を接触させ、重合反応をおこして、高分子膜を形成する。
第2の導電性高分子層4bを化学重合により形成する場合は、第1の導電性高分子層4aの場合と同様に、酸化剤を付着させた後、モノマーが溶解した溶液に浸漬させるか、あるいはモノマー蒸気雰囲気中に放置することにより、高分子膜を形成する。
第1の導電性高分子層4aの形成工程と第2の導電性高分子層4bの形成工程の間、あるいは第2の導電性高分子層4bの形成工程と第3の導電性高分子層4cの形成工程の間に、陽極酸化に用いたリン酸水溶液などの溶液を用いて、再度化成処理を行ってもよい。このような化成処理を行うことにより、第1の導電性高分子層4aまたは第2の導電性高分子層4bの形成工程において劣化した誘電体層3を修復させることができ、漏れ電流を低減することができる。
第3の導電性高分子層4cは、電解重合により形成する。電解重合は、第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bを形成した陽極2を、モノマーを溶解した溶液中に浸漬し、溶液中に設置した陰極と陽極2との間に電流を流し、通電させることにより行うことができる。
図2は、陽極2の誘電体層3の表面上に形成した第1の導電性高分子層4a、第2の導電性高分子層4b、及び第3の導電性高分子層4cを示す断面図である。本発明に従い、誘電体層3上に設ける第1の導電性高分子層4aをポリピロールまたはその誘導体から形成することにより、誘電体層3に対し密着性のよい第1の導電性高分子層4aを形成することができる。これは、ピロールに含まれているヘテロ環の窒素が、誘電体層3の金属に配位しやすいため、誘電体層3に対し密着性が良好な導電性高分子膜を形成することができるからである。
第1の導電性高分子層4aの上には、第2の導電性高分子層4bが設けられ、第2の導電性高分子層4bはポリチオフェンまたはその誘導体から形成されている。ポリチオフェンまたはその誘導体は、ポリピロールまたはその誘導体に比べ、導電性に優れており、また耐熱性においても優れている。従って、本発明によれば、耐熱性に優れた固体電解コンデンサとすることができる。
第2の導電性高分子層4bの上には、第3の導電性高分子層4cが設けられる。第3の導電性高分子層4cは、ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより形成されている。第3の導電性高分子層4cの下地層となる第2の導電性高分子層4bは、ポリピロールまたはその誘導体より酸化電位が高いポリチオフェンまたは誘導体から形成されているので、第3の導電性高分子層4cを電解重合により形成する際、第2の導電性高分子層4bに酸化反応等が生じることはなく、第2の導電性高分子層4bがダメージを受けることなく、第3の導電性高分子層4cを形成することができる。
図1に示すように、第3の導電性高分子層4cの上には、カーボン層5が形成され、カーボン層5の上には、銀層6が形成されている。カーボン層5と銀層6から陰極層が構成されている。このように陰極層を形成することにより、第3の導電性高分子層4cが陰極層と接している。
銀層6の上には、導電性接着剤層7を介して、陰極端子9が接続されている。また、陽極リード1には、陽極端子8が接続されている。陽極端子8及び陰極端子9の端部が外部に引き出されるようにモールド外装樹脂10が形成されている。
本実施形態においては、誘電体層3の上に、第1の導電性高分子層4a、第2の導電性高分子層4b、及び第3の導電性高分子層4cを形成することにより、耐熱性に優れた固体電解コンデンサとすることができる。
図2に示すように、一般に、第3の導電性高分子層4cは、成膜速度が速い電解重合により形成されるので、第3の導電性高分子層4cは、第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bよりも厚い膜厚で形成される。
本発明の第2の局面においては、第2の導電性高分子層4bを形成する際、上記一般式(1)で表される添加剤の存在下で、チオフェンまたはその誘導体を重合している。添加剤を重合液中に添加することにより、重合反応を抑制する効果が得られる。これにより、導電性高分子膜の配向性が向上し、導電性高分子膜の結晶性及び膜の緻密性が高められる。
また、上記添加剤を重合液に添加することにより、重合液のpHを一定に保つ緩衝効果が得られる。上記添加剤は、重合液に添加されることにより、スルホン酸陰イオンとピリジン陽イオンに解離し、重合液中にスルホン酸陰イオンが多く存在する状態になる。重合反応により生成したスルホン酸陰イオンと水素イオンは、平衡反応により、スルホン酸として存在するため、重合液のpHの変動を抑制することができる。重合液のpHの変動を抑制することにより、反応速度を一定に保ち、重合反応に最適な条件を保つことができる。このため、導電性高分子の配向性、結晶性及び膜の緻密性が膜全体において保たれ、導電性高分子膜の導電性を向上させることができる。
また、添加剤は、重合液中で、上述のように、ドーパントであるスルホン酸陰イオンと、塩基性物質であるピリジン陽イオンに解離する。塩基性物質は酸化剤に作用して、重合速度を抑制する。一方、ドーパントは、重合液中に存在することで、ドーピングを促進し、ドープ率を向上する効果を発揮する。これによって、ドーパントのドープ率を高めることができる。この効果は、重合後に、ドーパントを含む塩を添加することによっては得られない効果であり、添加剤の存在下で重合させることにより得られる効果である。
酸化剤に対する添加剤の割合は、酸化剤1モルに対し、添加剤0.1〜5.0モルの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3.0モルの範囲である。このような範囲内とすることにより、静電容量をより高めることができ、ESRをより低減することができ、耐熱性をより向上させることができる。
添加剤の具体的な例として、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ピリジニウム、メシチレンスルホン酸ピリジニウム、ナフタレンスルホン酸ピリジニウム、ブチルナフタレンスルホン酸ピリジニウム、アントラキノンスルホン酸ピリジニウム、2−アミノエタンチオール−パラトルエンスルホン酸塩、アミノマロノニトリル−パラトルエンスルホン酸塩、フェニルアラニンベンジル−パラトルエンスルホン酸塩、2,6−ジメチルピリジニウム−パラトルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウム−パラトルエンスルホナート、2−クロロ−1−メチルピリジン−パラトルエンスルホナート、2−フルオロ−1−メチルピリジン−パラトルエンスルホナート、ピリジニウム−3−ニトロベンセンスルホナート、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラトルエンスルホナート、グリシンベンジル−パラトルエンスルホナート、6−アミノヘキサン酸ヘキシル−パラトルエンスルホナート、β−アラニンベンジル−パラトルエンスルホナート、D−アラニンベンジル−パラトルエンスルホナート、D−ロイシンベンジル−パラトルエンスルホナート、D−バリンベンジル−パラトルエンスルホナート、L−アラニンベンジル−パラトルエンスルホナート、L−ロイシンベンジル−パラトルエンスルホナート、L−チロシンベンジル−パラトルエンスルホナート、プロピオニル−パラトルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウム−パラトルエンスルホナート、テトラエチルアンモニウム−パラトルエンスルホナート、トスフロキサシン−パラトルエンスルホナート、イミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。
以下、具体的な実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能なものである。
(実施例1)
タンタル粉を原料として、バインダー(アクリル系樹脂と有機溶剤との混合物)と混練し、混練タンタル粉を調製した。タンタル粉としては、電解酸化被膜形成後のタンタル焼結体の容量と電解電圧の積であるCV値が50000(μF・V/g)であるタンタル粉を用いた。
上記のバインダーと混練したタンタル粉を、陽極リード1となる0.5mmの直径の金属タンタル製ワイヤとともに金型を用いて、4.5×3.3×1.0mmのサイズに成形した。この成形体を、減圧下でバインダー除去した後、1100℃で焼結させて、陽極2を作製した。
上記のようにして作製された陽極2を、約60℃に保持した約0.1重量%のリン酸水溶液中に浸漬し、約10Vの電圧を10時間印加することにより、陽極酸化して陽極2の表面上に誘電体層3を形成した。
次に、p−トルエンスルホン酸第2鉄(酸化剤)の20重量%イソプロピルアルコール溶液中に、上記の陽極2を浸漬した後取り出し、これをピロール溶液(濃度:95%以上)中に浸漬した後取り出し、乾燥した。p−トルエンスルホン酸第2鉄からなる酸化剤の溶液と、ピロール溶液への浸漬工程を、5回繰り返すことにより、誘電体層の上に、ポリピロールからなる第1の導電性高分子層4aを形成した。
次に、p−トルエンスルホン酸第2鉄の40重量%ブタノール溶液中に浸漬した後、取り出し、その後エチレンジオキシチオフェン(EDOT)液(濃度:95%以上)中に浸漬した後、取り出し、乾燥した。この酸化剤溶液とEDOT液への浸漬工程を5回繰り返して、第1の導電性高分子層4aの上にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第2の導電性高分子層4bを形成した。
第1の導電性高分子層4aは膜厚100nmとなるように形成し、第2の導電性高分子層4bは膜厚20nmとなるように形成した。
ピロール1重量%、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量%を含む水溶液を調製し、pHが5以下となるまで硫酸を添加し、重合液とした。この重合液をステンレス容器に入れ、上記の化成処理後の陽極を、この重合液中に浸漬し、陽極の第2の導電性高分子層にステンレス製電極を接触するように押し当てた。ステンレス製容器を陰極とし、ステンレス製電極を陽極としてこれらの間に直流電源を接続し、一定電流(素子1個あたり0.1mA)を所定時間(10時間)通電して、電解重合により第2の導電性高分子層4bの上に、ポリピロールからなる第3の導電性高分子層4c(膜厚20〜30μm)を形成した。
第3の導電性高分子層4cを形成した後、第3の導電性高分子層4cの上にカーボンペーストを塗布した後乾燥して、カーボン層5を形成した。また、カーボン層5の上に銀ペーストを塗布した後、乾燥し、銀層6を形成した。銀層6の上に、導電性接着剤層7を介して陰極端子9を接続するとともに、陽極リード1に陽極端子8を接続し、その後モールド外装樹脂10を被覆して、固体電解コンデンサAを作製した。
(比較例1)
実施例1と同様にして、誘電体層3を形成した後、実施例1における第2の導電性高分子層4bと同様にして、誘電体層3の上にPEDOTからなる第1の導電性高分子層4aを形成した。次に、PEDOTからなる第1の導電性高分子層4aの上に、実施例1における第1の導電性高分子層4aと同様にして、化学重合によりポリピロールからなる第2の導電性高分子層4bを形成した。その後、実施例1と同様にして第3の導電性高分子層4cを形成し、実施例1と同様にして固体電解コンデンサXを作製した。
(比較例2)
実施例1における第1の導電性高分子層4aと同様にして、第2の導電性高分子層4bもポリピロールから形成した。すなわち、酸化剤溶液への浸漬と、ピロール溶液への浸漬を合計10回繰り返し、ポリピロールからなる第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bを化学重合により形成し、その後は実施例1と同様にして固体電解コンデンサYを作製した。
(比較例3)
実施例1における第2の導電性高分子層4bと同様にして、誘電体層3上にPEDOTからなる第1の導電性高分子層4aを形成した。それ以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサZを作製した。本比較例では、第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bを化学重合法によりPEDOTから形成している。従って、実施例1における酸化剤溶液への浸漬と、EDOT液への浸漬を10回繰り返すことにより、第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bを形成している。
(比較例4)
実施例1と同様にして、誘電体層3及びポリピロールからなる第1の導電性高分子層4a(膜厚100nm)を形成した後、ポリピロールからなる第2の導電性高分子層4b(膜厚20〜30μm)を、実施例1における第3の導電性高分子層4cと同様にして形成した。
次に、PEDOTからなる第3の導電性高分子層4c(膜厚20nm)を、実施例1における第2の導電性高分子層4bと同様にして形成した。
第3の導電性高分子層4cを形成した後、実施列1と同様にして固体電解コンデンサWを作製した。
〔作製直後静電容量及びESRの測定〕
実施例1及び比較例1〜4の各コンデンサについて、作製直後静電容量及びESRを測定した。実施例1及び比較例1〜4における固体電解コンデンサは、それぞれ100個ずつ作製し、各試料について静電容量とESRを測定し、静電容量の平均値(平均容量)及びESRの平均値(平均ESR)を求めた。LCRメータを用い、静電容量は周波数120Hzで測定し、ESRは100kHzで測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2010278423
〔リフロー工程後の静電容量及びESRの測定〕
実施例1及び比較例1〜4の各コンデンサについて、260℃をピーク温度としたリフロー工程を2回行った。リフロー工程後24時間経過した後、静電容量及びESRを、上記と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。
表2には、表1に示す作製直後の平均容量及び平均ESRも併せて示す。また、作製直後とリフロー工程後の容量及びESRから求めた容量維持率及びESR変化量を表2に示す。
Figure 2010278423
表1から明らかなように、実施例1のコンデンサXと比較例2のコンデンサYは静電容量がほぼ同じであるのに対し、比較例1のコンデンサXは静電容量がやや低くなっており、比較例3のコンデンサZの静電容量はさらに低くなっている。これは、第1の導電性高分子層4aとして形成したPEDOT膜が、誘電体層3への密着性が劣るため、誘電体層3の被覆率が低下したためであると考えられる。
上記のことを確認するため、実施例1及び比較例1においてPEDOT膜を形成した後、UPS(紫外線光電子分光)により硫黄原子(S)の電子状態とシグナル強度の面分布を測定した。実施例1においては、第2の導電性高分子層4bを形成した後のものを測定対象とし、比較例1においては、第1の導電性高分子層4aを形成した後のものを測定対象とした。
その結果、実施例1においては、測定領域全体からチオフェンによる硫黄が検出されたのに対し、比較例1においては、チオフェンによる硫黄の分布にばらつきが認められ、濃度の濃い部分が島状に点在していることが確認された。従って、実施例1のように、ポリピロールからなる第1の導電性高分子層の上に、PEDOT膜を形成する場合には、均一にPEDOT膜を形成することができるが、誘電体層3の上にPEDOT膜を形成する場合、島状に点在した状態で不均一に形成されることが確認された。
表1に示すように、第2の導電性高分子層4bとしてPEDOT膜を形成している実施例1のコンデンサAは、第2の導電性高分子層4bとしてポリピロール膜を形成している比較例2のコンデンサYに比べ、平均ESRが低減されている。これは、導電性が良好なPEDOT膜を第2の導電性高分子層4bとして形成しているためであると思われる。
表2に示すリフロー工程後の容量維持率及びESR変化量の結果から明らかなように、本発明に従う実施例1のコンデンサAは、比較例1〜4のコンデンサX,Y,Z,Wに比べ耐熱性において優れていることがわかる。
表2に示す実施例1のコンデンサAと比較例1のコンデンサXの結果を比較すると、作製直後においてはESR値はほぼ同程度であるが、リフロー工程後に比較例1のコンデンサXにおいてESRの増加と静電容量の低下が認められる。また、表2に示す実施例1のコンデンサAと比較例2のコンデンサYの結果を比較すると、リフロー工程後に比較例2のコンデンサYは静電容量が大幅に低下し、ESRが大幅に増加している。これらは、比較例1及び2においては、第2の導電性高分子層としてのポリピロール膜の上に、第3の導電性高分子層としてのポリピロール膜を電解重合により形成しているためであると思われる。サイクリックボルタンメトリー(CV)により酸化還元電位を測定すると、ポリピロールは水溶液中で約1.0V(対Ag/AgCl)の酸化電位を示すのに対し、PEDOTはアセトニトリル溶液中で約4.0V(対Ag/AgCl)の酸化電位を示す。従って、ポリピロールを電解重合により作製する際、下地層である第2の導電性高分子層4bとしてのポリピロール膜の酸化が進行し、下地層の第2の導電性高分子層4bがダメージを受けるため、静電容量や耐熱性が低下することによるものと思われる。実施例1においては、第2の導電性高分子層4bとして、酸化電位の高いPEDOT膜が形成されており、酸化電位が相対的に低いポリピロール膜を電解重合で形成しても、下地層である第2の導電性高分子層4bはダメージを受けることがない。従って、実施例1は耐熱性を高めることができた。
比較例3は、第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bがいずれもPEDOT膜から形成されているため、誘電体層3との密着性が悪く、実施例1及び比較例1〜2と比較して静電容量が低下しているものと思われる。また、誘電体層3との密着性が悪いため、表2に示すように、リフロー工程後のESR変化量も大きくなっている。
比較例4は、ポリピロールからなる第1の導電性高分子層4aの上にポリピロールからなる第2の導電性高分子層4bを形成しているので、上述のように、下地層である第1の導電性高分子層4aがダメージを受けており、またPEDOTからなる第3の導電性高分子層4cとカーボン層5との密着性が悪いため、ESRが増加し、静電容量が低下している。また、第1の導電性高分子層4aがダメージを受けたり、第3の導電性高分子層4cとカーボン層5との密着性が低下することにより、耐熱性が低下している。
(実施例2)
実施例1と同様にして、第1の導電性高分子層4aを形成した後、p−トルエンスルホン酸第2鉄の40重量%ブタノール溶液に、p−トルエンスルホン酸第2鉄に対しモル比で0.1当量のp−トルエンスルホン酸ピリジニウムを加え、酸化液を調製した。この酸化剤液中に、陽極2を浸漬した後、陽極2を取り出し、これを3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の蒸気で充満した容器内に入れ、その後取り出して乾燥した。この工程により、第1の導電性高分子層4aの上に、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第2の導電性高分子層4bを、気相重合により形成した。
その後は、実施例1と同様にして、第3の導電性高分子層4cを形成し、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサBを作製した。
(実施例3〜7)
p−トルエンスルホン酸第2鉄(Fe・pTS)に対するp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)の比を、以下のようにする以外は、実施例2と同様にして、固体電解コンデンサC〜Gを作製した。
(Fe・pTS):(PPTS)
実施例3 1.0:0.5
実施例4 1.0:0.8
実施例5 1.0:1.0
実施例6 1.0:2.0
実施例7 1.0:5.0
〔作製直後及びリフロー工程後の静電容量及びESRの測定〕
実施例2〜7の各コンデンサについて、上記と同様にして、作製直後及びリフロー工程後の静電容量及びESRを測定した。測定結果を表3及び表4に示す。
Figure 2010278423
Figure 2010278423
また、p−トルエンスルホン酸第2鉄に対するP−トルエンスルホン酸ピリジニウムの比(添加剤量比)と、静電容量の関係を図3に示す。また、添加剤量比とESRとの関係を図4に示す。
表1に示す実施例1と、表4に示す実施例2〜7との比較から明らかなように、本発明の第2の局面に従い、添加剤であるP−トルエンスルホン酸ピリジニウムの存在下で気相重合により、第2の導電性高分子層4bを形成することにより、静電容量を高め、ESRを低減できることがわかる。また、リフロー工程後における容量維持率が高く、ESR変化量が小さくなっており、耐熱性においてもより優れていることがわかる。
図3及び図4に示す結果から、酸化剤に対する添加剤の割合は、酸化剤1モルに対し、添加剤0.1〜5.0モルの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0の範囲であることがわかる。
以上のように、本発明の固体電解コンデンサは、耐熱性に優れた固体電解コンデンサである。従って、リフロー工程により半田付けされる表面実装タイプの固体電解コンデンサ等として好適なものである。
1…陽極リード
2…陽極
3…誘電体層
4a…第1の導電性高分子層
4b…第2の導電性高分子層
4c…第3の導電性高分子層
5…カーボン層
6…銀層
7…導電性接着剤層
8…陽極端子
9…陰極端子
10…モールド外装樹脂

Claims (5)

  1. 陽極と、前記陽極の表面上に設けられる誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられる第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上に設けられる第2の導電性高分子層と、前記第2の導電性高分子層の上に設けられる第3の導電性高分子層と、前記第3の導電性高分子層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、
    前記第1の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、前記第2の導電性高分子層がチオフェンまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、前記第3の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 陽極と、前記陽極の表面上に設けられる誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられる第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上に設けられる第2の導電性高分子層と、前記第2の導電性高分子層の上に設けられる第3の導電性高分子層と、前記第3の導電性高分子層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、
    前記第1の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、前記第2の導電性高分子層がチオフェンまたはその誘導体を下記一般式(1)で表される添加剤の存在下で重合することにより形成される導電性高分子膜からなり、前記第3の導電性高分子層がピロールまたはその誘導体を重合することにより形成される導電性高分子膜からなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
    Figure 2010278423
    (ただし、上記の式(1)中のR1、及びR2は、C(2n+1)で表されるアルキル基、C(2n+1)Oで表されるアルコキシ基、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、アリル基、またはアリール基である。また、ベンゼン環またはピリジン環は、複数のR1またはR2で置換されていてもよい。その場合、R1同士及びR2同士は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
  3. 前記第2の導電性高分子層が、ポリエチレンジオキシチオフェンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 陽極と、前記陽極の表面上に設けられる誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられる第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上に設けられる第2の導電性高分子層と、前記第2の導電性高分子層の上に設けられる第3の導電性高分子層と、前記第3の導電性高分子層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサを製造する方法であって、
    ピロールまたはその誘導体を化学重合することにより、前記第1の導電性高分子層を形成する工程と、
    チオフェンまたはその誘導体を化学重合することにより、前記第2の導電性高分子層を形成する工程と、
    ピロールまたはその誘導体を電解重合することにより、前記第3の導電性高分子層を形成する工程とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記第2の導電性高分子層を形成する工程は、前記チオフェンまたはその誘導体を下記一般式(1)で表される添加剤の存在下で化学重合する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
    Figure 2010278423
    (ただし、上記の式(1)中のR1、及びR2は、C(2n+1)で表されるアルキル基、C(2n+1)Oで表されるアルコキシ基、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、アリル基、またはアリール基である。また、ベンゼン環またはピリジン環は、複数のR1またはR2で置換されていてもよい。その場合、R1同士及びR2同士は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
JP2010089199A 2009-04-28 2010-04-08 固体電解コンデンサ及びその製造方法 Active JP5484995B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010089199A JP5484995B2 (ja) 2009-04-28 2010-04-08 固体電解コンデンサ及びその製造方法
US12/767,953 US8724296B2 (en) 2009-04-28 2010-04-27 Solid electrolytic capacitor and fabrication method thereof
CN201010214713.XA CN101877281B (zh) 2009-04-28 2010-04-28 固体电解电容器及其制造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009109583 2009-04-28
JP2009109583 2009-04-28
JP2010089199A JP5484995B2 (ja) 2009-04-28 2010-04-08 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010278423A true JP2010278423A (ja) 2010-12-09
JP5484995B2 JP5484995B2 (ja) 2014-05-07

Family

ID=42991927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010089199A Active JP5484995B2 (ja) 2009-04-28 2010-04-08 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8724296B2 (ja)
JP (1) JP5484995B2 (ja)
CN (1) CN101877281B (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6016780B2 (ja) * 2011-02-28 2016-10-26 Necトーキン株式会社 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料、ならびにそれを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPWO2018020985A1 (ja) * 2016-07-29 2019-05-16 パナソニックIpマネジメント株式会社 電解コンデンサおよびその製造方法

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8206467B2 (en) * 2010-03-24 2012-06-26 Sanyo Electric Co., Ltd. Method for manufacturing a solid electrolytic capacitor
US8848342B2 (en) 2010-11-29 2014-09-30 Avx Corporation Multi-layered conductive polymer coatings for use in high voltage solid electrolytic capacitors
JP2012146867A (ja) * 2011-01-13 2012-08-02 Sanyo Electric Co Ltd 固体電解コンデンサおよびその製造方法
US9053861B2 (en) 2012-03-16 2015-06-09 Avx Corporation Wet capacitor cathode containing a conductive coating formed anodic electrochemical polymerization of a colloidal suspension
US9076592B2 (en) 2012-03-16 2015-07-07 Avx Corporation Wet capacitor cathode containing a conductive coating formed anodic electrochemical polymerization of a microemulsion
US8971020B2 (en) 2012-03-16 2015-03-03 Avx Corporation Wet capacitor cathode containing a conductive copolymer
JP5476511B1 (ja) * 2012-06-22 2014-04-23 昭和電工株式会社 コンデンサ素子
US9362057B2 (en) 2012-07-26 2016-06-07 Industrial Technology Research Institute Electrolyte mixture for electrolytic capacitor, composition for conductive polymer synthesis and conductive polymer solid electrolytic capacitor formed by using the same
US9183991B2 (en) 2013-09-16 2015-11-10 Avx Corporation Electro-polymerized coating for a wet electrolytic capacitor
US9165718B2 (en) 2013-09-16 2015-10-20 Avx Corporation Wet electrolytic capacitor containing a hydrogen protection layer
US10403444B2 (en) 2013-09-16 2019-09-03 Avx Corporation Wet electrolytic capacitor containing a composite coating
EP3145986A4 (en) * 2014-05-22 2018-01-24 Rhodia Operations Polymer compositions, polymer films, and electronic devices containing such films
EP2950317B1 (en) * 2014-05-30 2017-08-23 Heraeus Deutschland GmbH & Co. KG Two or polyfunctional compounds as adhesion primers for conductive polymers
JP6796755B2 (ja) * 2015-02-04 2020-12-09 パナソニックIpマネジメント株式会社 電解コンデンサおよびその製造方法
US10224150B2 (en) * 2016-02-02 2019-03-05 Kemet Electronics Corporation Solid electrolytic capacitor with enhanced humidity resistance and method for producing the same
US10504657B2 (en) 2016-11-15 2019-12-10 Avx Corporation Lead wire configuration for a solid electrolytic capacitor
EP3349033A1 (en) 2017-01-13 2018-07-18 Autoliv Development AB Enhanced object detection and motion estimation for a vehicle environment detection system
WO2019199485A1 (en) * 2018-04-13 2019-10-17 Avx Corporation Solid electrolytic capacitor containing an adhesive film
WO2019199483A1 (en) * 2018-04-13 2019-10-17 Avx Corporation Solid electrolytic capacitor containing a sequential vapor-deposited interior conductive polymer film
CN114521278A (zh) * 2019-09-18 2022-05-20 京瓷Avx元器件公司 用于高电压下使用的固体电解电容器
KR20210061616A (ko) * 2019-11-20 2021-05-28 삼성전기주식회사 고체 전해 커패시터 및 이의 제조방법

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001307958A (ja) * 2000-04-26 2001-11-02 Nichicon Corp 固体電解コンデンサ

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06112094A (ja) 1992-09-25 1994-04-22 Elna Co Ltd 固体電解コンデンサの製造方法
JPH10321471A (ja) 1997-05-22 1998-12-04 Nichicon Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
DE69939262D1 (de) * 1998-06-25 2008-09-18 Nichicon Corp Verfahren zur herstellung eines festelektrolytkondensators
JP2000068152A (ja) 1998-08-19 2000-03-03 Nichicon Corp 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2002015956A (ja) 2000-06-29 2002-01-18 Nichicon Corp 固体電解コンデンサ
JP3906043B2 (ja) 2001-08-20 2007-04-18 三洋電機株式会社 固体電解コンデンサの製造方法
WO2005012599A1 (ja) 2003-07-31 2005-02-10 Kaneka Corporation イオン性液体を用いた金属表面酸化皮膜形成法、電解コンデンサ及びその電解質
JP4845645B2 (ja) * 2006-08-30 2011-12-28 三洋電機株式会社 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4845699B2 (ja) 2006-12-08 2011-12-28 三洋電機株式会社 固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法
DE102007048212A1 (de) 2007-10-08 2009-04-09 H.C. Starck Gmbh Verfahren zur Herstellung von Elektrolytkondensatoren mit polymerer Zwischenschicht

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001307958A (ja) * 2000-04-26 2001-11-02 Nichicon Corp 固体電解コンデンサ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6016780B2 (ja) * 2011-02-28 2016-10-26 Necトーキン株式会社 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料、ならびにそれを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPWO2018020985A1 (ja) * 2016-07-29 2019-05-16 パナソニックIpマネジメント株式会社 電解コンデンサおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5484995B2 (ja) 2014-05-07
CN101877281A (zh) 2010-11-03
CN101877281B (zh) 2013-03-27
US20100271757A1 (en) 2010-10-28
US8724296B2 (en) 2014-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5484995B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5461110B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4845699B2 (ja) 固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法
JP2009505413A (ja) 固体コンデンサおよびその製造方法
JP2007119633A (ja) 導電性高分子用ドーパント溶液、導電性高分子用酸化剤兼ドーパント、導電性組成物、固体電解コンデンサおよびその製造方法
TW200425190A (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing same
JP5062770B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP5502562B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
KR100365370B1 (ko) 고체 전해 콘덴서의 제조방법
US8349683B2 (en) Production method of a capacitor
JP2011228636A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4019968B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
US8026137B2 (en) Production method of a capacitor
JP5965100B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2001148330A (ja) 金属酸化物電極上に伝導性高分子被膜を形成する方法およびこれを利用した固体電解コンデンサーの製造方法
JP3992706B2 (ja) コンデンサの製造方法
JP4488303B2 (ja) コンデンサの製造方法
JP4891140B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
US20160217933A1 (en) Electrolytic capacitor and manufacturing method for same
JP2006147900A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2716032B2 (ja) 固体電解コンデンサとその製造方法
JP2008109070A (ja) 固体電解コンデンサ素子およびその製造方法
US8198126B2 (en) Method for producing solid electrolytic capacitor
JP2007048947A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2012119604A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5484995

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150