JP2010254018A - タイヤ空気圧監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ内の温度変化にかかわらず、空気圧の低下を適切に検出して警報を発することが可能なタイヤ空気圧監視システムを提供する。
【解決手段】制御部は、リセット信号が入力されたときのタイヤ内の温度および空気圧をそれぞれ設定温度、設定空気圧として、その設定温度に対してその設定空気圧より所定量低い圧力値を判定用閾値の基準とし、タイヤ内の温度が高くなるほど所定の勾配で圧力値が高くなるよう判定用閾値を設定する一方、タイヤ内の温度が設定温度未満となる温度範囲の判定用閾値の勾配が、設定温度以上となる温度範囲の判定用閾値の勾配よりも緩やかになるよう判定用閾値を設定する。
【選択図】図5
【解決手段】制御部は、リセット信号が入力されたときのタイヤ内の温度および空気圧をそれぞれ設定温度、設定空気圧として、その設定温度に対してその設定空気圧より所定量低い圧力値を判定用閾値の基準とし、タイヤ内の温度が高くなるほど所定の勾配で圧力値が高くなるよう判定用閾値を設定する一方、タイヤ内の温度が設定温度未満となる温度範囲の判定用閾値の勾配が、設定温度以上となる温度範囲の判定用閾値の勾配よりも緩やかになるよう判定用閾値を設定する。
【選択図】図5
Description
本発明は、車両のタイヤの空気圧を監視し、その空気圧が警報処理の判定用閾値を下回ったときに警報を発するタイヤ空気圧監視システムに関する。
従来より、安全な車両の走行を実現するために、各車輪に設置された検出装置からタイヤの空気圧情報を無線で送信させ、車体側装置でこれを受信して監視するタイヤ空気圧監視システムが知られている。車体側装置は、受信された空気圧情報に基づいていずれかのタイヤの空気圧が予め定める警報処理の判定用閾値を下回ったと判定すると、その旨を運転者に報知する処理を実行する。このようなタイヤ空気圧監視システムのなかには、車両の車種やタイヤの種類に応じてその判定用閾値の設定・変更を行うことにより、システムの汎用化ひいては低コスト化を図るものもある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、一般にタイヤ内の空気圧は温度に比例して高くなる傾向にあることから、仮に判定用閾値を一定とすると、実際には空気圧の追加が不要であってもタイヤ内の温度が低いために空気圧が判定用閾値を下回って警報が発せられる可能性がある。
そこで、本発明は、タイヤ内の温度変化にかかわらず、空気圧の低下を適切に検出して警報を発することが可能なタイヤ空気圧監視システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のタイヤ空気圧監視システムは、複数の車輪のそれぞれに設けられ、対応する車輪のタイヤ内の空気圧および温度を検出して車輪情報として送信する車輪状態検出ユニットと、複数の車輪が装着される車両本体に設けられ、車輪状態検出ユニットから送信された車輪情報を受信する車体側受信機と、外部操作入力がなされることにより、タイヤの空気圧調整完了を示すリセット信号を出力する初期化スイッチと、車両本体に設けられ、車体側受信機にて受信された信号から車輪情報を取得し、タイヤの空気圧が予め設定された警報処理の判定用閾値よりも低い場合に警報を発するための報知信号を出力する一方、リセット信号が入力されると、タイヤ内の温度および空気圧に応じて判定用閾値を再設定する制御部と、を備える。
制御部は、リセット信号が入力されたときのタイヤ内の温度および空気圧をそれぞれ設定温度、設定空気圧として、その設定温度に対してその設定空気圧より所定量低い圧力値を判定用閾値の基準とし、タイヤ内の温度が高くなるほど所定の勾配で圧力値が高くなるよう判定用閾値を設定する一方、タイヤ内の温度が設定温度未満となる温度範囲の判定用閾値の勾配が、設定温度以上となる温度範囲の判定用閾値の勾配よりも緩やかになるよう判定用閾値を設定する。
ここで、設定温度を境界に切り替わる判定用閾値の各勾配については、車両の安全な走行に最低限必要として規定される最低空気圧、車両がおかれる温度環境の可能性、タイヤの材質強度等に応じ、適切とされる勾配値を予め設定することができる。
この態様によると、初期化スイッチの操作入力により判定用閾値の設定処理が実行される。タイヤ内の温度が高くなるほど判定用閾値が高くなるよう設定されるため、車両が低温環境下におかれてタイヤ内の温度が低下しても、それに合わせて判定用閾値が低くなるため、不要な警報が発せられる可能性が低くなる。一方、仮にその判定用閾値の勾配を常に一定とすると、特に低温領域において判定用閾値が低くなりすぎ、実際には空気圧の追加が必要であるにもかかわらず、警報が発せられなくなる可能性がある。これに対し、この態様ではタイヤ内の温度が低くなるほど判定用閾値の勾配が小さくなるように設定されるため、低温領域においても判定用閾値を適度に維持することができる。その結果、タイヤ内の温度変化に応じて空気圧の低下を適切に検出し、警報を発することが可能となる。
本発明によれば、タイヤ内の温度変化にかかわらず、空気圧の低下を適切に検出して警報を発することが可能なタイヤ空気圧監視システムを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。図1は、実施例に係る車輪状態監視システムを模式的に示す図である。この車輪状態監視システムは、タイヤ空気圧監視システムとして機能する。
車両10は車両本体12を有し、車両本体12には、右前輪14FR、左前輪14FL、右後輪14RR、および左後輪14RL(以下、必要に応じて「車輪14」と総称する)が装着される。車輪14はタイヤおよびホイールを有し、ホイールの外周部には円筒状に形成されたホイールリムが設けられ、ホイールリムの外周上にタイヤが組み付けられる。タイヤ内部とホイールリム外周によって囲われる領域にタイヤ気室が形成される。
車両10は車両本体12を有し、車両本体12には、右前輪14FR、左前輪14FL、右後輪14RR、および左後輪14RL(以下、必要に応じて「車輪14」と総称する)が装着される。車輪14はタイヤおよびホイールを有し、ホイールの外周部には円筒状に形成されたホイールリムが設けられ、ホイールリムの外周上にタイヤが組み付けられる。タイヤ内部とホイールリム外周によって囲われる領域にタイヤ気室が形成される。
本実施例の車輪状態監視システム200は、車輪状態検出ユニット16a、16b、16c、16d(以下、必要に応じて「車輪状態検出ユニット16」と総称する)、車体側受信機20、要求信号発信機22a、22b、22c、22d(以下、必要に応じて「要求信号発信機22」と総称する)、車輪速センサ24および電子制御ユニット(以下、「ECU」という)100を備える。車輪状態検出ユニット16aは右前輪14FRに、車輪状態検出ユニット16bは左前輪14FLに、車輪状態検出ユニット16cは右後輪14RRに、車輪状態検出ユニット16dは左後輪14RLに、それぞれ搭載される。また、要求信号発信機22aは車輪状態検出ユニット16aに、要求信号発信機22bは車輪状態検出ユニット16bに、要求信号発信機22cは車輪状態検出ユニット16cに、要求信号発信機22dは車輪状態検出ユニット16dに、それぞれ対応して設けられる。
車輪状態検出ユニット16は、タイヤバルブおよびユニット本体部を有する。ユニット本体部は電池や基盤を内部に有し、基盤には後述する処理装置が設けられる。ユニット本体部は、この他にも後述する空気圧センサ、温度センサ、送信機、および受信機などを内部に有する。処理装置は、空気圧センサ、温度センサなどの検出結果から車輪状態情報を生成する。電池は、基盤の処理装置などに電力を供給する。このため、車輪状態検出ユニット16は車両本体12から電力の供給を受けることなく、タイヤ空気圧やタイヤ気室内温度の検出および車輪状態情報の無線送信を行うことが可能となっている。ユニット本体部はタイヤバルブの一端に固定される。車輪状態検出ユニット16は、タイヤバルブがホイールリムに固定されることにより、車輪14に取り付けられる。車輪状態検出ユニット16は、例えば数分に1回などの所定の周期で、車輪状態情報を定期的に送信する。
車体側受信機20、要求信号発信機22、車輪速センサ24、初期化スイッチ26、報知部28およびECU100は車両本体12に設けられる。ECU100は、車輪状態検出ユニット16から送信される車輪状態情報からタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が警報処理の判定用閾値を下回る場合に、報知部28から運転者に警報を報知する機能をもつ。報知部28は、スピーカから音声により警報を出力してもよく、液晶パネルなどの画像出力装置から警報を出力してもよい。本実施例の車輪状態監視システム200において、ECU100は、タイヤ空気圧を判定するための判定用閾値を設定する機能も有する。
初期化スイッチ26は、タイヤを新しく交換したときや、また車体前後でタイヤをローテーションしたときなどに、警報処理の判定用閾値を設定するために、運転者により操作されるスイッチである。タイヤ交換等によって仕様が変更されると、タイヤ空気圧を監視するためには、新しいタイヤに対する警報処理の判定用閾値を設定しなおす必要がある。タイヤ交換後、運転者が初期化スイッチ26を操作すると、ECU100にその旨を表すリセット信号が入力される。ECU100は、そのリセット信号の入力をトリガとして判定用閾値の設定処理を開始する。なお、この判定用閾値の設定処理の具体的内容については後述する。
要求信号発信機22は、対応する車輪状態検出ユニット16に対して、車輪状態情報の送信を要求する信号を無線で発信する。要求信号発信機22はECU100に接続されており、ECU100からの指示に基づいて送信要求信号を発信する。ECU100は、初期化スイッチ26からの操作入力を受け付けることで、要求信号発信機22に送信要求信号の発信指示を供給する。発信された送信要求信号は、対応する車輪状態検出ユニット16の受信機により受信される。
車輪状態検出ユニット16は、送信要求信号を受信すると、検出した車輪状態を、その受信時における車輪状態であることを特定する指示情報とともに、車輪状態情報として送信する。車輪状態検出ユニット16は、車輪状態情報を定期的に送信しているが、送信要求信号を受信すると、送信周期とは関係なく、受信したタイミングで車輪状態情報を強制的に送信する。なお、車輪状態検出ユニット16は、送信要求信号を受信すると、送信周期にしたがって、送信要求信号を受信した直後に到来する送信タイミングで車輪状態情報を送信してもよい。
車体側受信機20は、車輪状態検出ユニット16から無線送信された車輪状態情報を受信する。車体側受信機20はECU100に接続されており、車体側受信機20によって受信された車輪状態情報はECU100に出力される。ECU100は、受信された車輪状態情報が要求信号発信機22からの送信要求信号に応答したものである場合、その車輪状態情報をもとに、例えばタイヤ空気圧の状態を判定する警報処理に用いられる判定用閾値を設定する。
車輪速センサ24は、4つの車輪14の各々の回転を検出し、4つの車輪14の各々について回転速度である車輪速を検出する。
図2は、図1の車両10に設けられる車輪14の部分断面図である。
各車輪14に含まれるタイヤ30は、いわゆるランフラットタイヤであり、空気圧の低下時にランフラット走行を可能とするものである。タイヤ30は、ビードコア32が埋設された一対のビード部34と、ビード部34からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部36と、両サイドウォール部36間に延在するトレッド部38とを含む。一対のビード部34、一対のサイドウォール部36およびトレッド部38には、例えば1枚の繊維材からなるカーカス40が埋設されており、トレッド部38には、カーカス40の外側に位置するようにベルト層42が埋設されている。そして、各サイドウォール部36には、インナーライナ44の内側に位置するように補強ゴム46が埋設されている。この補強ゴム46は、高い剛性を有し、ホイール50とタイヤ30とにより画成されるタイヤ30内の空気圧がパンク等により低下した際に、タイヤ30の全体をホイール50に対して支持し、それによってランフラット走行を可能とする。
各車輪14に含まれるタイヤ30は、いわゆるランフラットタイヤであり、空気圧の低下時にランフラット走行を可能とするものである。タイヤ30は、ビードコア32が埋設された一対のビード部34と、ビード部34からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部36と、両サイドウォール部36間に延在するトレッド部38とを含む。一対のビード部34、一対のサイドウォール部36およびトレッド部38には、例えば1枚の繊維材からなるカーカス40が埋設されており、トレッド部38には、カーカス40の外側に位置するようにベルト層42が埋設されている。そして、各サイドウォール部36には、インナーライナ44の内側に位置するように補強ゴム46が埋設されている。この補強ゴム46は、高い剛性を有し、ホイール50とタイヤ30とにより画成されるタイヤ30内の空気圧がパンク等により低下した際に、タイヤ30の全体をホイール50に対して支持し、それによってランフラット走行を可能とする。
各車輪14には、タイヤ30の空気圧調整用バルブとして機能する車輪状態検出ユニット16が装着されている。車輪状態検出ユニット16は、その検出部61がタイヤ30とホイール50との間に形成された内部空間Sに配置されており、その内部空間Sに突出するとともに後述する各種センサを収容して支持する樹脂製のケース62と、ケース62に一体に設けられた通気部63とを含む。空気圧の調整の際には空気がこの通気部63を介して内部空間Sに導入されるが、通常時においては通気部63の先端部にバルブキャップ58が装着されて通気が確実に遮断されている。
車輪状態検出ユニット16は、その通気部63の部分がホイール50のホイールリム52に設けられた取付孔54に弾性ゴムからなるグロメット56、ワッシャおよびボルトを介して取り付けられる。このため、ケース62は、通気部63との接続部を支点に片持ち状に内部空間Sに配置されている。グロメット56は、所定の剛性を有しており、タイヤ30内を気密に保持する。また、バルブキャップ58は、ホイールリム52の外側に突出しており、このバルブキャップ58を取り外して、図示しない弁口に空気供給装置のホースを接続することによりタイヤ30内に空気を供給可能となる。
図3は、車輪状態監視システム200における車両本体12の機能ブロック図である。 車両本体12は、車体側受信機20、要求信号発信機22、車輪速センサ24、初期化スイッチ26、報知部28およびECU100を備える。ECU100は、操作入力受付部102、車両状態判定部104、発信制御部106、車輪状態情報取得部108、判定用閾値設定部110、警報処理部112および記憶部120を備える。
操作入力受付部102は、運転者(作業員を含む)による初期化スイッチ26の操作入力を受け付ける。既述したように、運転者が初期化スイッチ26を操作すると、ECU100が判定用閾値の設定処理を開始する。
車両状態判定部104は、車両が判定用閾値を設定してよい状態にあるか判定する。本実施例の車輪状態監視システム200において、判定用閾値は、初期化スイッチ26の操作により送信要求信号が発信され、その送信要求信号が車輪状態検出ユニット16において受信されたときに取得されるタイヤ空気圧を利用して求められる。そのため、運転者は、タイヤを交換すると、車両を停止した状態で初期化スイッチ26を操作して判定用閾値の設定処理を開始させる。
なお、車両走行中は、タイヤ内の空気温度が上昇するため、タイヤ空気圧を適切に取得することができない。したがって、車両状態判定部104は、車両が停止状態にあるか判定し、初期化スイッチ26が走行中に操作されたのであれば、判定用閾値の設定処理を強制終了するようにする。車両状態判定部104は、車輪速センサ24からの検出値をもとに、車両が走行状態にあるか否かを判定する。
車両状態判定部104により車両状態が所定の条件を満足していることが判定されると、発信制御部106が、要求信号発信機22a〜22dのそれぞれを、車輪状態情報の送信要求信号を発信させるように制御する。例えば発信制御部106は、所定の時間間隔で、要求信号発信機22a〜22dのそれぞれを順番に発信させてもよい。例えば発信制御部106は、3秒間隔で要求信号発信機22a、22b、22c、22dの順に、それぞれ1回ずつ発信させてもよい。
要求信号発信機22はLF(Low Frequency)発信機であり、送信要求信号をLF信号にのせて送信できる。要求信号発信機22は、発信制御部106から送信指示をうけると、対応する車輪状態検出ユニット16に対して送信要求信号を発信する。
図4は、実施例に係る車輪状態検出ユニット16の機能ブロック図である。
車輪状態検出ユニット16は、車輪側受信機170、車輪側送信機172、空気圧センサ174、温度センサ176および処理装置150を備える。
車輪状態検出ユニット16は、車輪側受信機170、車輪側送信機172、空気圧センサ174、温度センサ176および処理装置150を備える。
空気圧センサ174および温度センサ176は、それぞれ車輪状態を検出する検出手段であり、空気圧センサ174は、タイヤ気室の空気圧(以下、「タイヤ空気圧」という)を検出し、温度センサ176は、タイヤ気室の温度(以下、「タイヤ内温度」という)を検出する。空気圧センサ174および温度センサ176は処理装置150に接続されており、空気圧センサ174および温度センサ176による検出結果は処理装置150に出力される。車輪側送信機172は、車輪状態情報を車体側受信機20に送信し、車輪側受信機170は、要求信号発信機22から発信される送信要求信号を受信する。
処理装置150はマイクロプロセッサによって構成され、要求信号取得部152、車輪状態情報生成部154、タイマ156、送信制御部158および記憶部160を有する。タイマ156は時間を計時する。記憶部160は、車輪状態検出ユニット16を一意に識別するための識別情報として利用されるユニットIDを格納する。車輪状態情報生成部154は、空気圧センサ174および温度センサ176の検出結果を利用して、タイヤ空気圧情報およびタイヤ内温度情報(以下、「タイヤ空気圧情報等」ともよぶ)を取得する。
車輪状態情報生成部154は、取得したタイヤ空気圧情報等を含む車輪状態情報を生成する。この車輪状態情報は、ユニットIDを含んだ所定のデータフォーマットで構成され、記憶部160に保持された後、送信制御部158からの送信指示により車輪側送信機172から送信される。車輪状態情報生成部154は、タイマ156からの時間情報をもとに所定の周期で車輪状態情報を生成し、車輪状態情報は、送信制御部158により車輪側送信機172から所定の周期で送信される。
本実施例の処理装置150は、定期的に車輪状態情報を生成して送信する機能だけでなく、車両本体12からの送信要求信号に応答して、その受信時における空気圧センサ174および温度センサ176の検出結果から生成した車輪状態情報を、送信周期とは無関係に強制的に送信する。
具体的に、車輪側受信機170が、要求信号発信機22からの送信要求信号を受信すると、要求信号取得部152が、その送信要求信号を取得する。要求信号取得部152は、判定用閾値設定用の車輪状態情報を生成することを車輪状態情報生成部154に指示する。車輪状態情報生成部154は、空気圧センサ174および温度センサ176の検出結果を受け取り、送信要求信号の受信時における車輪状態であることを特定する指示情報とともに、タイヤ空気圧情報等を含む車輪状態情報を生成する。
なお、車輪状態情報生成部154は、要求信号取得部152からの指示を受けると、その受信したタイミングで車輪状態情報を生成してもよく、または、定期的な生成周期における直近のタイミングで車輪状態情報を生成してもよい。前者の場合は、車輪状態情報を、生成周期とは異なって強制的に生成することになり、一方、後者の場合は、車輪状態情報を、通常の生成周期にあわせて生成することになる。なお、前者の場合、車輪状態情報生成部154により車輪状態情報が生成されると、その旨が送信制御部158に通知され、送信制御部158は、生成された車輪状態情報を車輪側送信機172より車体側受信機20に送信させる。これにより、車体側受信機20は、要求信号発信機22から送信要求信号を発信した後、比較的早いタイミングで、判定用閾値の設定処理に利用する車輪状態情報を受信できることになる。なお、送信制御部158は、所定の送信周期による送信タイミングで、車輪状態情報を車輪側送信機172より車体側受信機20に送信させてもよい。車輪状態情報生成部154は、送信要求信号に対する車輪状態情報を記憶部160に格納する。
図3に戻り、車体側受信機20は、車輪側送信機172から送信される車輪状態情報を受信し、車輪状態情報取得部108に引き渡す。車輪状態情報取得部108は、その車輪状態情報を判定用閾値設定部110に引き渡す。判定用閾値設定部110は、その車輪状態情報に含まれるタイヤ空気圧情報等に基づいて判定用閾値を設定する。
記憶部120は、車輪状態検出ユニット16のユニットIDと、車輪状態検出ユニット16の取付位置との対応表を格納している。タイヤ交換がなされたときには、運転者により、対応表が作成されてもよい。判定用閾値設定部110は、この対応表と、また車輪状態情報に含まれるユニットIDとを利用して、各輪における判定用閾値を定めることができる。なお、要求信号発信機22に発信機IDをもたせることで、車輪状態検出ユニット16のユニットIDと、車輪状態検出ユニット16の取付位置との対応表を作成することも可能である。その場合、判定用閾値設定部110は、要求信号発信機22a〜22dの発信機IDと、その設置位置との対応表を保持する。
各要求信号発信機22は、自身の発信機IDを含めて、送信要求信号を発信する。車輪状態検出ユニット16において、要求信号取得部152が送信要求信号を取得すると、車輪状態情報生成部154に、発信機IDの情報も通知する。これにより、車輪状態情報生成部154は、発信機IDの情報も含めて車輪状態情報を生成することが可能となる。既述したように、車輪状態情報は、送信制御部158により車輪側送信機172から車体側受信機20に送信される。
車輪状態情報取得部108は、車輪状態情報を取得し、判定用閾値設定部110は、車輪状態情報に含まれる発信機IDを取得する。これにより、判定用閾値設定部110は、発信機IDとその設置位置との対応表を参照して、車輪状態情報が、右前輪14FR、左前輪14FL、右後輪14RR、左後輪14RLのいずれの車輪状態検出ユニット16から送信されたものであるかを特定できる。このようにして判定用閾値設定部110は、車輪状態検出ユニット16のユニットIDと、車輪状態検出ユニット16の取付位置との対応表を作成し、各輪における判定用閾値を設定してもよい。
以上のように判定用閾値が設定されると、警報処理部112は、定期的に各車輪状態検出ユニット16から送信される車輪状態情報から、タイヤ空気圧が判定用閾値を下回っているか判定する。警報処理部112は、タイヤ空気圧が判定用閾値を下回ったことを検出すると、警報を発するための報知信号を出力し、報知部28から警報を発生させる。報知部28は、スピーカから音声により運転者にタイヤ空気圧が下がっていることを警告してもよく、また液晶パネルなどの画像出力装置に表示させたり、警報用ランプを点灯させるなどして視覚的に警報を発してもよい。
次に、本実施例の警報処理の判定用閾値の設定方法についてより具体的に説明する。
図5は、判定用閾値の設定方法を表す図である。図5(a)は本実施例にかかる設定方法を表し、図5(b)は比較例にかかる設定方法を表している。各図において、横軸はタイヤ内の温度(タイヤ内温度T)を表し、縦軸はタイヤ内の空気圧(タイヤ空気圧P)を表している。
図5は、判定用閾値の設定方法を表す図である。図5(a)は本実施例にかかる設定方法を表し、図5(b)は比較例にかかる設定方法を表している。各図において、横軸はタイヤ内の温度(タイヤ内温度T)を表し、縦軸はタイヤ内の空気圧(タイヤ空気圧P)を表している。
この判定用閾値の設定処理は、基本的に車両組立工場やディーラ等において運転者(作業員)が初期化スイッチ26を操作したときに実行される。すなわち、車両組立工場において新しいタイヤが組み付けられた際に判定用閾値を設定することはもちろん、例えば車検時のタイヤのローテーションおよびタイヤ空気圧調整が行われたときなど、事後的にも必要に応じて判定用閾値が再設定される。ECU100は、初期化スイッチ26の操作によりリセット信号が入力されると、各車輪に対して送信要求信号を出力する。これに応答して各車輪の処理装置150から車輪状態情報が送信されると、車輪状態情報取得部108がこれを取得し、判定用閾値設定部110に引き渡す。判定用閾値設定部110は、各車輪ごとに警報処理に用いる判定用閾値を設定する。
図5(a)に示すように、判定用閾値設定部110は、そのとき受け取った車輪状態情報に基づくタイヤ内温度Trとタイヤ空気圧Prとの組み合わせをリセットポイント(Tr,Pr)として記憶する。そして、いわゆる状態方程式からも導けるように、タイヤ内温度Tとタイヤ空気圧Pとが基本的に比例することを利用して、図中実線にて示すように所定の勾配を有する推奨設定値Psetを算出する。そして、この推奨設定値Psetに対して所定の乗算計数kを乗じた値を警報処理に用いる判定用閾値Pwとして設定する。本実施例では、乗算計数kとして0.75を設定し、タイヤ空気圧Pが推奨設定値Psetから25%低くなったときに警報を発するようにする。例えば、リセット時に取得したタイヤ空気圧Pが200kPaであれば、150kPa(=200kPa×0.75)を判定用閾値Pwの基準値として設定する。なお、乗算係数kの値については、車両が置かれる環境等に応じて適宜設定変更することができる。このときのタイヤ内温度Trとタイヤ空気圧Pw0との組み合わせが、タイヤ内温度Tに応じた判定用閾値Pwを決定するための設定基準ポイント(Tr,Pw0)となる。
ただし、車両が低温環境下で走行する場合も考慮し、図示のように、リセットポイントのタイヤ内温度Trを境界に判定用閾値Pwの勾配が異なるように設定する。すなわち、仮に図5(b)に示すように、タイヤ内温度Tの全ての温度範囲にわたって勾配を一律に設定した場合、タイヤ内温度Tが低温になると判定用閾値Pwが必要以上に低くなり、車両の安全走行に支障をきたすことも懸念される。逆に、勾配が緩やか過ぎると、車両が高温環境下におかれた場合、実際にはタイヤ空気圧が不足しているにもかかわらず警報が発っせられなくなる事態も想定される。
そこで、判定用閾値設定部110は、リセットポイントにおけるタイヤ内温度Tr未満となる温度範囲の勾配が、そのタイヤ内温度Tr以上となる温度範囲の勾配よりも緩やかになるよう判定用閾値Pwを設定する。具体的には、タイヤ内温度Tr以上となる温度範囲においては、上述のように推奨設定値Psetに対して乗算計数kを乗じた値を設定し、タイヤ内温度Tr未満となる温度範囲においては、それに対してさらに緩和係数m(例えば0.5)を乗算した値を設定する。なお、緩和係数mの値についても、車両が置かれる環境等に応じて適宜設定変更することができる。また、車両の安全な走行に最低限必要なタイヤ空気圧Pが確保されるよう、最低空気圧P0(例えば140kPa)についても設定する。すなわち、判定用閾値Pwは下記式に示すように設定される。
Pw=P0(T<T0)
Pw=αw・T+αw0(T0≦T<Tr)
Pw=βw・T+βw0(T≧Tr)
ここで、係数αwは係数βwよりも小さく(αw<βw)、各係数はタイヤの仕様等に応じて適切な値が適宜設定される。T0は、設定基準ポイント(Tr,Pw0)、係数αwおよび最低空気圧P0から逆算される最低基準温度である。すなわち、タイヤ内温度Tが最低基準温度T0以下になると、判定用閾値Pwは最低空気圧P0に固定される。警報処理部112は、取得されるタイヤ内温度Tに応じて判定用閾値Pwを決定し、取得されるタイヤ空気圧Pがその判定用閾値Pwを下回ったときに警報を発するための報知信号を出力する。
Pw=αw・T+αw0(T0≦T<Tr)
Pw=βw・T+βw0(T≧Tr)
ここで、係数αwは係数βwよりも小さく(αw<βw)、各係数はタイヤの仕様等に応じて適切な値が適宜設定される。T0は、設定基準ポイント(Tr,Pw0)、係数αwおよび最低空気圧P0から逆算される最低基準温度である。すなわち、タイヤ内温度Tが最低基準温度T0以下になると、判定用閾値Pwは最低空気圧P0に固定される。警報処理部112は、取得されるタイヤ内温度Tに応じて判定用閾値Pwを決定し、取得されるタイヤ空気圧Pがその判定用閾値Pwを下回ったときに警報を発するための報知信号を出力する。
また、本実施例では、このようにして設定された判定用閾値Pwに対し、所定圧ΔHだけ高い値を警報解除復帰値Pfとして設定する。この警報解除復帰値Pfは、一旦発せられた警報を解除するための閾値である。すなわち、その警報後にタイヤ空気圧が十分に補充されると、正常状態に戻ったとして警報が解除される。警報処理部112は、取得されるタイヤ空気圧Pが警報解除復帰値Pf以上に回復すると、警報を解除するための解除信号を出力し、報知部28による警報を解除する。このように、警報解除復帰値Pfとして判定用閾値Pwに一定のヒステリシスをもたせた値を設定することで、運転者に対する情報伝達が不安定になることを防止している。例えば、警報時に警報用ランプを点灯させるような仕様の場合、外気温の変化によってその警報用ランプの点灯と消灯が短期間に繰り返されるような状態が防止される。
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、実施例の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施例として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
10 車両、 12 車両本体、 14 車輪、 16 車輪状態検出ユニット、 20 車体側受信機、 22 要求信号発信機、 24 車輪速センサ、 26 初期化スイッチ、 28 報知部、 30 タイヤ、 50 ホイール、 100 ECU、 102 操作入力受付部、 106 発信制御部、 108 車輪状態情報取得部、 110 判定用閾値設定部、 112 警報処理部、 150 処理装置、 152 要求信号取得部、 154 車輪状態情報生成部、 174 空気圧センサ、 176 温度センサ、 200 車輪状態監視システム。
Claims (1)
- 複数の車輪のそれぞれに設けられ、対応する車輪のタイヤ内の空気圧および温度を検出して車輪情報として送信する車輪状態検出ユニットと、
前記複数の車輪が装着される車両本体に設けられ、前記車輪状態検出ユニットから送信された車輪情報を受信する車体側受信機と、
外部操作入力がなされることにより、前記タイヤの空気圧調整完了を示すリセット信号を出力する初期化スイッチと、
前記車両本体に設けられ、前記車体側受信機にて受信された信号から前記車輪情報を取得し、前記タイヤの空気圧が予め設定された警報処理の判定用閾値よりも低い場合に警報を発するための報知信号を出力する一方、前記リセット信号が入力されると、前記タイヤ内の温度および空気圧に応じて前記判定用閾値を再設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記リセット信号が入力されたときの前記タイヤ内の温度および空気圧をそれぞれ設定温度、設定空気圧として、その設定温度に対してその設定空気圧より所定量低い圧力値を前記判定用閾値の基準とし、前記タイヤ内の温度が高くなるほど所定の勾配で圧力値が高くなるよう前記判定用閾値を設定する一方、前記タイヤ内の温度が前記設定温度未満となる温度範囲の判定用閾値の勾配が、前記設定温度以上となる温度範囲の判定用閾値の勾配よりも緩やかになるよう前記判定用閾値を設定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
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