JP4816102B2 - タイヤ空気圧監視システム - Google Patents
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Description
各タイヤのパンクを判定するパンク判定手段と、
パンクと判定された後、パンク修理剤を使用してパンクを修理したか否かを判定するパンク修理剤使用判定手段と、を設け、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、パンクしたタイヤがパンク修理剤を使用して修理したと判定されると、前記空気圧センサからのタイヤ空気圧値が正常値であっても警報を継続し、
前記パンク修理剤使用判定手段は、パンク判定後、タイヤ空気圧が警報閾値以上に回復した場合、タイヤ空気圧回復後のタイヤ空気圧の低下割合を示す値が、パンク修理剤を使用することなく空気圧調整のみを行った場合のタイヤ空気圧減少による低下割合を示す値より小さな修理剤使用判定閾値未満である場合、パンク修理剤を使用してパンクを修理したと判定することを特徴とする。
例えば、パンク後、パンク修理剤を使用してパンクを修理し、空気圧調整を行った場合には、パンクが直っていて空気漏れが少なく、その後、自然な空気圧減と同様に非常に小さな減少勾配により減少する特性を示す。若しくは、空気圧センサの圧力検出用の穴がパンク修理剤により塞がれている場合には、ある一定値を維持したままとなる特性を示す。
これに対し、パンク後、パンク修理剤を使用することなく単に空気圧調整のみを行った場合には、空気圧低下の原因であるパンクが直っていなくパンク箇所からの空気漏れが多いため、その後、タイヤ空気圧は大きな減少勾配により減少する特性を示す。
このように、パンク修理剤の使用有無により、パンク修理後のタイヤ空気圧の低下特性は明かに異なる特性を示すため、パンク修理後のタイヤ空気圧低下特性を監視することにより、パンク修理剤の使用有無を判定することができる。
そして、パンク修理剤の使用有りと判定された場合には、センサユニットからのタイヤ空気圧値が正常値であるかどうかにかかわらず警報を出し続ける。
この結果、パンク修理時、パンク修理剤を使用してパンクを修理した場合、その後、タイヤ空気圧が低下する可能性があることを乗員に知らせることができる。
図1は実施例1のタイヤ空気圧監視システムが適用された車両を示す全体斜視図、図2は実施例1のタイヤ空気圧監視システムを示す制御ブロック図である。
実施例1のタイヤ空気圧監視システムは、図1および図2に示すように、第1センサユニット1と、第2センサユニット2と、第3センサユニット3と、第4センサユニット4と、右前輪速センサ5と、左前輪速センサ6と、右後輪速センサ7と、左後輪速センサ8と、受信機9と、制御ECU10(タイヤ空気圧監視制御手段)と、表示器11と、ワーニングランプ12と、を備えている。
この各センサユニット1,2,3,4のそれぞれは、タイヤ空気圧を検出する空気圧センサと、電源としてのバッテリと、データ送信のトリガ信号を出す遠心スイッチと、コイルアンテナを備えた送信機と、タイヤ温度を検出する温度センサと、各情報を処理するセンサコントローラ(ASIC)と、を有する。
そして、例えば、遠心スイッチによるトリガ信号に基づき、車速に応じた所定時間毎にタイヤ空気圧情報とタイヤ温度情報とをセンサID(識別コード)と共に送信する。
なお、バッテリは、寿命が有限であることで、受信機をレシーバからトランシーバに換えて測定結果の送受信ができるようにし、空気圧・温度センサ側の結果を送信するトランスミッタをトランスポンダとすることにより、トランシーバから送信されてきた信号のエネルギーそのものにより返信することができるバッテリレスによるセンサユニットを用いても良い。
ここで、パンク判定閾値は、通常のタイヤ空気圧減少の場合における低下割合を示す値より大きな勾配の値に設定される。
なお、パンク警報閾値は、空気圧警報閾値と同じ値に設定しても良いし、別個の値に設定しても良く、例えば、プラカード圧に対して25%程度低下したタイヤ空気圧にパンク警報閾値を設定する(図7)。
すなわち、タイヤ空気圧低下の割合を示す値がパンク判定閾値以上であっても、タイヤ空気圧がパンク警報閾値以下となるまでは、ユーザによるタイヤ空気圧調整による場合も考えられることでパンク判定を保留しておき、タイヤ空気圧がパンク警報閾値以下となった時点で、タイヤにパンクやバーストが発生したと判定する。
ここで、タイヤやセンサユニットが交換されたことの検出方法としては、センサユニットから制御ECU10へ送られてくるセンサIDが変化する、ディーラで故障診断機を使用して制御ECU10に指示を与える等が考えられる。
[背景技術]
まず、タイヤ空気圧監視システムとは、4輪のタイヤに搭載された空気圧センサから受信機に送られる空気圧値が、一定閾値以下か否かを検出し、一定閾値以下ならユーザに警告灯を点灯する等の告知を行い、空気圧が一定値以上に回復すると、警告灯を消灯するという単純な構造のシステムである。
すなわち、図4に示すように、通常時、空気圧センサは斜線のタイヤ内の圧力を計測し、出力することで問題ないが、パンク修理剤を使用すると、空気圧センサの穴が塞がり、タイヤ内の空気圧が検出不能、または、誤った値を検出する。つまり、空気圧センサはセンサ内部の空間の空気圧値を出力する等の現象が発生し、制御ECUはセンサの出力する圧力が一定閾値以上になったので警告灯を消灯する。
パンク修理剤を使用してのパンク修理後、走行によりタイヤ空気圧が低下すると、警報を出す必要があるが、空気圧センサは、タイヤ空気圧が低下しても、低下しないセンサ内部の一定値を制御ECUに送信し続けるので、異常を検知できない。
ここで、スペアタイヤレスの設定とは、スペアタイヤの代わりにパンク修理剤を車両に常備させることをいい、スペアタイヤのスペースが他の用途に使えるし、軽量化や低コスト化にも寄与するというメリットを持つ。
このため、パンク修理剤を使用したかどうかを検出することが必要となる。
しかし、この従来例では、ユーザが手動でパンク修理剤を使用した場合には、これを検出することができないという問題があった。また、このような外部装置をさらに搭載することは、非常に高価なものとなり、車両レイアウト上も大きな制約を受けてしまう。
これに対し、実施例1のタイヤ空気圧監視システムでは、パンク修理剤の使用有無によりタイヤ空気圧が回復した後の空気圧低下具合が異なる点に着目し、パンク発生時、パンク修理剤の使用有無を判定し、パンク修理剤の使用有りとの判定時には警報を出し続けることで、パンク修理時、パンク修理剤を使用してパンクを修理した場合、その後、タイヤ空気圧が低下する可能性があることを乗員に知らせることができるようにした。
まず、各タイヤ13,14,15,16の各センサユニット1,2,3,4から送信された電波を一台の受信機9により受信し、制御ECU10にてタイヤ空気圧情報が取り込まれる。なお、各センサユニット1,2,3,4は、タイヤ空気圧が低下したら、少なくとも一回、空気圧センサからのタイヤ空気圧情報が制御ECU10に対し送信される。そして、各センサユニット1,2,3,4は、タイヤ空気圧の低下割合を示す値が大きいほど、空気圧センサからのタイヤ空気圧情報を制御ECU10に対して送信する送信周期が短くされる。
なお、パンク修理剤を使用してのパンク修理後、パンク発生輪のタイヤを交換した場合には、ステップS113からステップS104へと進み、ワーニングランプ12を消灯すると共に、通常のTPMS検出ロジックへ進む(ステップS104)。
まず、タイヤ空気圧をモニタし、空気圧低下具合が異なることでパンク発生の有無を判定できる理由について説明する。
図5に示すタイヤ空気圧特性に示すように、通常、パンク等が発生しなくてもタイヤの空気圧は自然と減少するが、その割合は月に3〜5%と穏やかである。しかし、仮にバーストが発生した場合は、タイヤの空気圧は急落する。また、パンク発生タイヤ(釘が刺さったタイヤ等)でも、正常なタイヤと比較すると、空気圧の低下具合は大きくなる。
そのため、タイヤ空気圧の低下速度に閾値(=パンク判定閾値)を設けてやることにより、タイヤパンクやバーストによる空気圧の低下か、自然な空気圧減によるものなのかを制御ECU10は検出することが可能である。
すなわち、図7に示すように、高速道路走行用にタイヤ空気圧を高く設定しておいたものを、ユーザがプラカード圧付近に設定し直すと、一定閾値以上で空気圧低下(パンク発生)→プラカード圧付近に空気圧調整実施→空気圧低下具合が通常状態になると制御ECU10が判断し、手動による空気圧調整をパンク発生であると誤検知してしまう可能性がある。
このため、実施例1では、タイヤ空気圧低下の割合を示す値がパンク判定閾値以上であっても(ステップS101)、タイヤ空気圧がパンク警報閾値を超えている限りは(ステップS105)、ユーザによるタイヤ空気圧調整であると判定することで(ステップS106)、手動による空気圧調整をパンク発生であると誤検知することを防止できる。
パンクによりタイヤ空気圧が低下した場合、ユーザは当然、空気圧の調整を行う。この空気圧の調整を行うにあたり、パンク修理剤を使用した場合、パンクが直っているため、図6に示すように、タイヤ空気圧の低下度合いは通常同等となるか、若しくは、ある一定値に固着する(空気圧センサの検出穴を修理剤で塞いだ場合)。
しかし、パンク修理剤を使用せず、単にタイヤ空気圧の補充を行った場合、パンクは直っていないため、タイヤ空気圧は通常の状態に比べ、タイヤ空気圧の低下度合いは大きなものとなる。
よって、パンク発生時、タイヤ空気圧を調整した後、タイヤ空気圧の変化を監視し、空気圧の低下速度に閾値(=修理剤使用判定閾値)を設けてやることにより、パンク修理剤を使用したかどうかの検出を行うことが可能である。
なお、修理剤使用判定閾値は、一定値、すなわち、Δ空気圧/Δ時間が一定であるように設定しても良いが、検出時間によって可変に設定しても良い。例えば、24時間で12%の空気圧の減少を基準として修理剤使用判定閾値を一定値により決定した場合、1時間で0.5%、1分で0.01%の空気圧の低下を判断基準としてしまう。その結果、センサのノイズや空気圧センサのBITRATEの関係で誤検知してしまう可能性が出てくる。そのため、1分で1%以上の低下、1時間で3%以上の低下、24時間で12%以上の低下を判断基準にする等、Δ空気圧/Δ時間の修理剤使用判定閾値を、検出時間によって可変にすることでこの問題を対処できる。
実施例1のタイヤ空気圧監視システムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
加えて、パンク修理剤の使用を検出できることにより、スペアタイヤの代わりにパンク修理剤を車両に常備させるスペアタイヤレスの設定を行うことができ、スペアタイヤのスペースを他の用途に使用できたり、従来例に比べ、軽量化や低コスト化が達成される。
すなわち、現在バッテリの保護のため、車両停車中は、空気圧センサから制御ECU10への送信周期を走行中より長くする処置をとっている。ここで、停車中にパンク発生→圧力急落→ユーザがパンクを修理するという一連の流れを、停車中の長い送信周期中に行われた場合、パンク等の発生を検知できず、その結果、パンク修理剤の使用も検知できず、ユーザに適切な警告を行えない可能性がある。しかし、上記ロジックを加えることで、空気圧が低下した際に必ず制御ECU10にタイヤ空気圧の情報が行くことになり、この可能性を排除できる。
すなわち、各タイヤ13,14,15,16に設けられた前記空気圧センサからの加速度信号をモニタすることで、各タイヤ13,14,15,16に発生する振動を検知し、パンク発生輪のみに加速度閾値以上の加速度が発生したか否かを判断、言い換えると、タイヤ空気圧回復後にタイヤが脱着されたか否かを判断する。
[タイヤ空気圧監視制御作動]
ステップS207でのパンク発生との判定後、落ち込んだタイヤ空気圧がパンク警報閾値以上に回復すると、ステップS208からステップS215へと進み、ステップS215において、イグニッションスイッチのオフ中に、パンク発生輪のみに強い加速度Gが発生したか否かが判断される。
なお、パンク修理剤を使用してのパンク修理後、パンク発生輪のタイヤを交換した場合には、ステップS213からステップS204へと進み、ワーニングランプ12を消灯すると共に、通常のTPMS検出ロジックへ進む(ステップS204)。
実施例2では、パンクが発生した後、イグニッションスイッチのオフ中に、パンク発生輪のみに強い加速度Gが発生した場合、タイヤ空気圧値の減少率が、パンク修理剤使用判断条件(ステップS210)を満たしていても、パンク修理剤を使用したとは判断しないというロジックを加えた。
なお、他の作用は、実施例1の作用と同様である。
実施例2のタイヤ空気圧監視システムにあっては、実施例1の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
すなわち、パンク判定後、タイヤ空気圧が警報閾値以上に回復し、タイヤ空気圧回復後にパンク発生輪のタイヤ空気圧のバラツキとパンク発生輪以外のタイヤ空気圧のバラツキとに差がある場合、パンク修理剤を使用してパンクを修理したと判定する。
具体的には、パンク修理剤使用判定手段であるステップS318は、パンク発生輪のバラツキを一次関数により近似したタイヤ空気圧特性の傾きを示す値と、パンク発生輪以外のバラツキを一次関数により近似したタイヤ空気圧特性の傾きを示す値と、の偏差が、温度上昇による空気圧変化及び車輪回転での空気圧変動を考慮して決められたパンク修理剤使用判定閾値以上のとき、パンク修理剤を使用してパンクを修理したと判定する。
[タイヤ空気圧監視制御作動]
ステップS307でのパンク発生との判定後、落ち込んだタイヤ空気圧がパンク警報閾値以上に回復すると、ステップS308からステップS315へと進み、ステップS315において、イグニッションスイッチのオフ中に、パンク発生輪のみに強い加速度Gが発生したか否かが判断される。
なお、パンク修理剤を使用してのパンク修理後、パンク発生輪のタイヤを交換した場合には、ステップS313からステップS304へと進み、ワーニングランプ12を消灯すると共に、通常のTPMS検出ロジックへ進む(ステップS304)。
実施例3では、パンクが発生した後、タイヤ空気圧値の変化でパンク修理剤の使用を検知するにあたり、パンク発生輪の送信機から送られてくる空気圧センサ値と他のタイヤから送られてくる空気圧センサ値を比較し、パンク発生輪以外のバラツキとパンク発生輪からのバラツキとが相違することにより、パンク修理剤の使用有りを判断するというロジックを加えた。
そして、バラツキの発生原因は、上記のように、タイヤ温度や車輪回転によるものであるため、偏差のパンク修理剤使用判定閾値は、温度上昇による空気圧変化及び車輪回転での空気圧変動を考慮して決めるようにした。
なお、他の作用は、実施例1の作用と同様である。
実施例3のタイヤ空気圧監視システムにあっては、実施例1の(1),(3),(4),(5)の効果および実施例2の(6),(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
すなわち、各センサユニット1,2,3,4は、空気圧センサにより計測されるタイヤ空気圧に基づきパンク修理剤の使用を判定するパンク修理剤使用判定手段を有する。
そして、パンク修理剤使用判定手段によりパンク修理剤の使用を判定した場合、決まった周期にて送信するべきタイヤ空気圧情報の送信を停止する、または、修理剤使用情報を送信する。なお、各センサユニット1,2,3,4内のパンク修理剤使用判定手段は、実施例1,2,3のいずれの判定手段でも良い。
[タイヤ空気圧監視制御作動]
ステップS407でのパンク発生との判定後、落ち込んだタイヤ空気圧がパンク警報閾値以上に回復すると、ステップS408からステップS415へと進み、ステップS415において、パンク発生輪のセンサユニットからの送信が停止したか、または、修理剤使用情報を受信したか否かを判断、言い換えると、パンク修理剤を使用してパンクが修理されたか否かが判定される。
なお、パンク修理剤を使用してのパンク修理後、パンク発生輪のタイヤを交換した場合には、ステップS413からステップS404へと進み、ワーニングランプ12を消灯すると共に、通常のTPMS検出ロジックへ進む(ステップS404)。
実施例4では、実施例1〜実施例3が制御ECU10においてパンク修理剤使用の有無を判定するのに対し、パンク修理剤使用の有無を判定するロジックをセンサユニット1,2,3,4に持たせた。
これによって、実施例4のタイヤ空気圧監視システムにあっては、実施例1と同様に、パンク修理時、パンク修理剤を使用してパンクを修理した場合、その後、タイヤ空気圧が低下する可能性があることを乗員に知らせることができる。
すなわち、現行のタイヤ空気圧監視システムでは、通常、センサユニットから一定時間、信号が来ない場合、システムフェールでワーニングランプ12を点灯させる。そのため、パンク発生輪のセンサユニットからの送信を停止することで、パンク修理剤を使用してのパンク修理時、ワーニングランプ12を点灯させることができる。
すなわち、車両停止中、現行のタイヤ空気圧監視システムでは、バッテリ節約のため、制御ECUへの送信周期を長くしている。これに対し、実施例1のように、タイヤ空気圧の低下を検知したら、送信周期を短くし、パンク判定やパンク修理剤使用判定を早期に行えるようにしている。しかし、センサユニット自体がパンク修理剤の使用を検出し、「パンク修理剤使用」等という情報を、イグニッションスイッチのオン時に制御ECU10に送信するという仕様とすることで、一旦、パンク修理剤使用情報を制御ECU10側で受信したら、センサユニットから制御ECU10への送信周期を短くする必要が無くなる。
なお、他の作用は、実施例1の作用と同様である。
実施例4のタイヤ空気圧監視システムにあっては、実施例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
図13は実施例5の制御ECU10にて実行されるタイヤ空気圧監視制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS501〜ステップS510、および、ステップS512〜ステップS514の各ステップは、図3に示すフロートチャートのステップS101〜ステップS110、および、ステップS112〜ステップS114と同様の処理を行うステップである。また、ステップS515〜ステップS518の各ステップは、図10に示すフローチャートのステップS315〜ステップS318と同様の処理を行うステップである。よって、これらの各ステップの説明を省略する。
なお、ステップS500およびステップS519でのタイヤ温度に基づくパンク判定閾値と修理剤使用判定閾値の設定は、温度と空気圧の関係をあらわすボイル=シャルルの法則にしたがって行われる。
[タイヤ空気圧監視制御作動]
まず、パンク判定を行う場合について説明する。
図13のフローチャートにおいて、ステップS500→ステップS501へと進み、ステップS500において、タイヤ温度に基づいてパンク判定閾値が設定され、次のステップS501において、そのときのタイヤ空気圧の低下割合を示す値が、ステップS500にて変更されたパンク判定閾値以上である場合、パンクの可能性が高いとしてステップS505へ進む。そして、ステップS505にてタイヤ空気圧がパンク警報閾値以下である場合、ステップS507へ進んで、パンクと判定する。
前記ステップS507でのパンク発生との判定後、落ち込んだタイヤ空気圧がパンク警報閾値以上に回復し、且つ、パンク発生輪のみに強い加速度Gの発生が無い場合には、図13のフローチャートにおいて、ステップS507からステップS508→ステップS515→ステップS519→ステップS510へと進む。このステップS519において、タイヤ温度に基づいて修理剤使用判定閾値が設定され、次のステップS510において、タイヤ空気圧回復後のタイヤ空気圧の変化をモニタし、タイヤ空気圧の低下割合を示す値が、ステップS519にてタイヤ温度に基づき変更された修理剤使用判定閾値以上か否かが判断される。そして、ステップS510において、タイヤ空気圧の低下割合を示す値が修理剤使用判定閾値未満である場合、ステップS510からステップS512へ進んで、パンク修理剤を使用してのパンク修理と判定される。
まず、タイヤ温度による判定閾値の補正方法について説明する。
通常、ボイル=シャルルの法則により、温度と空気圧は以下の関係にある。
PV=nRT …(1)
P:圧力
V:容積(タイヤ内容積は、ほぼ一定)
n:Mol(タイヤ内などの密閉空間では一定)
R:定数
T:絶対温度(摂氏温度+273.15)
よって、上記式(1)は、簡易的にタイヤ内では、
P≒kT(kは定数)
と書き換えることができる。
例えば、走行中から車両が停止するなどで、タイヤ内の温度が急激に低下した場合(1時間で77度から27度に低下したことを仮定)を想定する。この場合、絶対温度は、350から300に落ちる。タイヤ空気圧は、絶対温度に比例するため、理論上、パンクしていなくても1時間で(50/350)≒14%低下する。
この結果、温度による閾値の補正を行っていない場合、パンク修理剤の使用について誤判断してしまう可能性がある。
100−{(300/350)×0.9}×100≒23%
よって、1時間でタイヤ内温度が77度から27度に低下した場合、その1時間で23%以上のタイヤ空気圧の低下を閾値とすることになる。つまり、修理剤使用判定閾値は、温度一定状態での閾値10%から閾値23%に変更されることになる。
なお、他の作用は、実施例1,2,3の作用と同様である。
実施例5のタイヤ空気圧監視システムにあっては、実施例1,2,3,4の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
2 第2センサユニット
3 第3センサユニット
4 第4センサユニット
5 右前輪速センサ
6 左前輪速センサ
7 右後輪速センサ
8 左後輪速センサ
9 受信機
10 制御ECU(タイヤ空気圧監視制御手段)
11 表示器
12 ワーニングランプ
13,14,15,16 タイヤ
Claims (12)
- 車両の各タイヤに設けられ、空気圧センサと送信機を有するセンサユニットと、該センサユニットから送信された電波を受信する受信機と、各タイヤの空気圧が空気圧警報閾値以下となった場合、乗員にタイヤ空気圧低下を知らせる警報を出すタイヤ空気圧監視制御手段と、を備えたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
各タイヤのパンクを判定するパンク判定手段と、
パンクと判定された後、パンク修理剤を使用してパンクを修理したか否かを判定するパンク修理剤使用判定手段と、を設け、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、パンクしたタイヤがパンク修理剤を使用して修理したと判定されると、前記空気圧センサからのタイヤ空気圧値が正常値であっても警報を継続し、
前記パンク修理剤使用判定手段は、パンク判定後、タイヤ空気圧が警報閾値以上に回復した場合、タイヤ空気圧回復後のタイヤ空気圧の低下割合を示す値が、パンク修理剤を使用することなく空気圧調整のみを行った場合のタイヤ空気圧減少による低下割合を示す値より小さな修理剤使用判定閾値未満である場合、パンク修理剤を使用してパンクを修理したと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク判定手段は、タイヤ空気圧の低下割合を示す値が、パンク判定閾値以上の低下を示し、かつ、タイヤ空気圧がパンク警報閾値以下を示すとき、タイヤはパンクであると判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1または2に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記センサユニットは、タイヤ空気圧が低下したら、少なくとも一回、空気圧センサからのタイヤ空気圧情報を前記タイヤ空気圧監視制御手段に対し送信し、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、前記センサユニットから送信されるタイヤ空気圧情報に基づきパンクを判定するパンク判定手段と、パンク修理剤の使用を判定するパンク修理剤使用判定手段と、を有することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項3に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記センサユニットは、タイヤ空気圧の低下割合を示す値が大きいほど、空気圧センサからのタイヤ空気圧情報を前記タイヤ空気圧監視制御手段に対して送信する送信周期を短くすることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至4の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク修理剤使用判定手段は、パンク判定後、タイヤ空気圧が警報閾値以上に回復し、タイヤ空気圧回復後の停車中にタイヤが脱着された場合、パンク修理剤を使用しないでパンク修理されたと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項5に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク修理剤使用判定手段は、各タイヤに設けられた前記空気圧センサからの加速度信号をモニタすることで、各タイヤに発生する振動を検知し、パンク発生輪のみに加速度閾値以上の加速度が発生した場合にタイヤ脱着であると判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至6の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク修理剤使用判定手段は、パンク判定後、タイヤ空気圧が警報閾値以上に回復し、タイヤ空気圧回復後の走行中にパンク発生輪のタイヤ空気圧のバラツキとパンク発生輪以外のタイヤ空気圧のバラツキとに差がある場合、パンク修理剤を使用してパンクを修理したと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項7に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク修理剤使用判定手段は、パンク発生輪のバラツキを一次関数により近似したタイヤ空気圧特性の傾きを示す値と、パンク発生輪以外のバラツキを一次関数により近似したタイヤ空気圧特性の傾きを示す値と、の偏差が、温度上昇による空気圧変化及び車輪回転での空気圧変動を考慮して決められたパンク修理剤使用判定閾値以上のとき、パンク修理剤を使用してパンクを修理したと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1または2に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記センサユニットは、空気圧センサにより計測されるタイヤ空気圧に基づきパンク修理剤の使用を判定する前記パンク修理剤使用判定手段を有することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項9に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記センサユニットは、前記パンク修理剤使用判定手段によりパンク修理剤の使用を判定した場合、タイヤ空気圧情報の送信を停止、または、修理剤使用情報を送信し、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、パンク判定後、タイヤ空気圧が警報閾値以上に回復した場合であって、前記センサユニットからタイヤ空気圧情報の送信が停止された場合、または、修理剤使用情報を受信した場合、警報を継続することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク判定手段は、タイヤ温度情報に基づき、パンクを判定するタイヤ空気圧の低下割合を示すパンク判定閾値を変更することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至11の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記パンク修理剤使用判定手段は、タイヤ温度情報に基づき、パンク修理剤の使用を判定するタイヤ空気圧の低下割合を示す修理剤使用判定閾値を変更することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
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