JP4223439B2 - タイヤ状態監視装置及びタイヤ破損の通告方法 - Google Patents
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そこで、パンク状態においても車輌の走行を可能にするため、タイヤサイド部を補強したランフラットタイヤや、リムに中子などによる内部支持体を固定した中子付きタイヤなどの安全タイヤ(例えば、特許文献1,2参照)や、図4に示すような、タイヤ本体21とリム22とで区画されたタイヤ気室23に、樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子23Pが多数を配置された内圧復帰型タイヤ20が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この内圧復帰型タイヤ20では、タイヤ本体21が受傷すると、タイヤ本体21とリム22とで区画されたタイヤ気室23内に配置されている粒子23P,23P間の空隙23Sに存在していた気体がタイヤ20の外側に漏れ出し、タイヤ内圧は一旦低下するが、上記粒子23P内の独立気泡中の気泡内圧はタイヤ20の受傷後も上記圧力を保っているので、タイヤ内圧がゼロ(大気圧)になっても荷重を支え、内圧100kPa程度のタイヤ高さを保つことができる。そして、パンク後の走行では、上記粒子23Pが摩擦を引き起こして自己発熱して上記粒子23Pの温度が上昇し、この温度が粒子23Pの連続相を形成する樹脂の膨張開始温度を超えると、上記粒子23Pが一気に膨張するので、タイヤ内圧を200kPa程度まで回復させることができ、タイヤ高さを通常走行レベルまで復元することができる。
また、このような受傷したタイヤで長時間ランフラット走行を続けるとタイヤ破壊にもつながるので、タイヤはパンクしており、タイヤ内圧の回復は粒子23Pの発泡によるものであることを運転者に警告する必要がある。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ状態監視装置において、車速検出手段を備え、タイヤ内圧の変化と車速とに基づいて、上記第2の警報手段を作動させるようにしたものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ状態監視装置において、車速検出手段と、タイヤ内の温度を検出する手段とを備え、タイヤ内温度の変化と車速とに基づいて、上記第2の警報手段を作動させるようにしたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のタイヤ状態監視装置において、タイヤ内圧検出手段と、タイヤ内の温度を検出する手段と、上記検出されたタイヤ内圧とタイヤ内温度とを車体側に送信する送信手段とを備えたモニタリング装置を、タイヤのリム部、もしくは、リム内面、もしくは、バルブに装着したものである。
請求項6に記載の発明は、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子が多数配置されたタイヤのタイヤ破損を運転者に通告する方法であって、上記タイヤの内圧が所定の値よりも低くなった場合には第1の警報を発し、車輌が所定の速度以上で走行している状態で、かつ、上記タイヤ内温度の上昇率が予め設定された温度上昇率よりも大きくなった場合には第2の警報を発して、運転者にタイヤの破損を通告するようにしたことを特徴とする。
なお、停車時における外部空気源からの供給でもタイヤ内圧は回復するが、タイヤ内圧の変化と車速とに基づいて、上記第2の警報手段を作動させるようにすれば、上記粒子の発泡が起こっているかどうかを判定することができるので、運転者にタイヤの損傷を確実に通告することができる。
また、このとき、タイヤ内温度の変化も参照すれば、上記粒子の発泡を確実に検出することができる。
図1は、本最良の形態に係るタイヤ状態監視装置10の構成を示すブロック図で、このタイヤ状態監視装置10は、上記図4に示した、タイヤ本体21とリム22とで区画されたタイヤ気室23内に、樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子23Pが多数配置された内圧復帰型タイヤ20の状態を監視するものである。
同図において、11は図示しないタイヤのリム部に装着された、タイヤ気室内の圧力を検出するタイヤ内圧検出手段11aとタイヤ内の温度を検出するタイヤ内温度検出手段11bとを備えたモニタリング装置、12は上記モニタリング装置11から送られるタイヤ内圧のデータを、予め設定された、パンク状態と判定するタイヤ圧(以下、パンク圧という)と比較し、タイヤの内圧状態を判定する内圧判定手段、13は上記内圧判定手段12がパンク判定した時に出力される第1の警報制御信号を入力して、運転者にタイヤ20がパンクしていることを通告する第1の警報手段、14は上記タイヤ内圧のデータからタイヤ内圧の上昇率を検出するタイヤ内圧増加検出手段、15は上記検出されたタイヤ内圧の上昇率と、上記タイヤ内温度検出手段11bから出力されるタイヤ内温度と、ハブ部に取付けられ、走行中の車輪の速度を検出する車輪速センサなどの車速検出手段16から送られる車速とから、上記タイヤ20のタイヤ気室23内の粒子23Pが発泡したかどうかを判定するタイヤ気室内粒子発泡判定手段(以下、粒子発泡判定手段という)、17は粒子発泡判定手段15が粒子の発泡を判定した時に出力される第2の警報制御信号を入力して、運転者にタイヤが損傷していることを通告する第2の警報手段である。
タイヤ気室23内に配置された樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子23Pは、パンク後の走行時において、粒子23P同士が摩擦を引き起こして自己発熱して膨張するので、上記粒子23Pに走行時の繰返し応力のような力が作用しないと発泡しない。すなわち、タイヤ20がパンクしてタイヤ内圧が減少していても、上記粒子23P内の独立気泡中の気泡内圧が圧力を保っているとき、すなわち、上記粒子23Pに力が作用するまで発泡せず、車輌がある程度の速度以上で走行した場合に発泡する。したがって、図2(a)に示すように、タイヤ内圧の上昇率が負の場合には上記粒子23Pは発泡せず、車輌が所定の速度以上で走行した時に発泡する。なお、上記発泡開始の車速は、荷重等により異なるが、ほぼ15km/hr程度である。
また、図2(b)に示すように、上記粒子23Pの発泡はタイヤ内温度でも判定することができる。すなわち、タイヤ温度の上昇率が負の場合には発泡せず、車輌が所定の速度以上で走行した時に発泡して温度が上昇する。なお、上記発泡後の温度上昇は急激なので、発泡を判定するためのタイヤ内温度の上昇率を、例えば、10℃/minに設定しておけば、発泡による温度上昇と環境温度による温度上昇とを区別することができる。
まず、走行中にタイヤ20が受傷しタイヤ内圧が低下すると、内圧判定手段12は、タイヤ内圧検出手段11aから送られてくるタイヤ内圧のデータと予め設定されたパンク圧と比較し、上記タイヤ内圧が上記パンク圧以下になった場合には、パンクが起きたと判定し、第1の警報手段13に第1の警報制御信号を出力する。これにより、上記第1の警報手段13は運転者にタイヤ20がパンクしていることを通告する警報を発する。
運転者がそのまま走行を続けると、タイヤ20内の粒子23Pが発泡し、タイヤ内圧が徐々に回復するので、上記第1の警報手段13からの警報は停止する。なお、運転者が上記第1の警報手段13からの警報を停止させる場合もある。
一方、タイヤ内圧増加検出手段14はタイヤ内圧に関わらず、上記タイヤ内圧のデータからタイヤ内圧の上昇率を算出して粒子発泡判定手段15に送り続ける。粒子発泡判定手段15では、上記タイヤ内圧増加検出手段14からのタイヤ内圧の上昇率のデータと、タイヤ内温度検出手段11bからのタイヤ内温度と、車速検出手段16からの車速とから、タイヤ気室23内の粒子23Pが発泡したかどうかを判定する。すなわち、図3に示すように、タイヤ内圧の上昇率が正で、タイヤ内温度の上昇率が10℃/min以上であり、かつ、車速が所定速度(例えば、15km/hr)以上の場合には、粒子が発泡したと判断し、トリガーを作動させ、第2の警報手段17に第2の警報制御信号を出力する。上記第2の警報手段17は運転者にタイヤ20が損傷していることを通告する警報(上記パンクを通告する警報とは異なる警報)を発する。
このように、運転者がそのまま走行し、第1の警報手段13からの警報が停止した場合でも、運転者に上記タイヤ20が損傷していることを通告することができるので、運転者にランフラット走行を停止させることができ、車輌の安全性を確保することができる。
また、上記図2(b)に示したように、タイヤ内温度だけでも十分に上記粒子23Pの発泡を判定することができるので、タイヤ内温度と車速とから上記粒子23Pの発泡を判定するようにしてもよい。
なお、タイヤ内圧はタイヤ内温度に依存するので、タイヤ内温度に基づいて上記タイヤ内圧を補正するようにすれば、発泡を更に確実に判定することができる。
また、上記例では、モニタリング装置11をタイヤのリム部に装着したが、リム内面、もしくはバルブに装着してもよい。また、タイヤ内圧検出手段11aとタイヤ内温度検出手段11bとを備えたモニタリング装置11に送信手段を付加して、上記検出されたタイヤ内圧やタイヤ内温度のデータを無線にて車体側に送るようすれば、ケーブルが不要となり、装置を小型化することができる。
11b タイヤ内温度検出手段、12 内圧判定手段、13 第1の警報手段、
14 タイヤ内圧増加検出手段、15 タイヤ気室内粒子発泡判定手段、
16 車速検出手段、17 第2の警報手段、20 内圧復帰型タイヤ、
21 タイヤ本体、22 リム、23 タイヤ気室、
23P 樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子。
Claims (6)
- タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子が多数配置されたタイヤの状態を監視する装置であって、上記タイヤ気室内の圧力を検出するタイヤ内圧検出手段と、上記検出されたタイヤ内圧が所定の値よりも低くなった場合に警報を発する第1の警報手段と、上記タイヤ内圧が再び増加したことを検知して警報を発する第2の警報手段とを備えたことを特徴とするタイヤ状態監視装置。
- 車速検出手段を備え、タイヤ内圧の変化と車速とに基づいて、上記第2の警報手段を作動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
- 車速検出手段と、タイヤ内の温度を検出する手段とを備え、タイヤ内温度の変化と車速とに基づいて、上記第2の警報手段を作動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
- タイヤ内圧検出手段と、タイヤ内の温度を検出する手段と、上記検出されたタイヤ内圧とタイヤ内温度とを車体側に送信する送信手段とを備えたモニタリング装置を、タイヤのリム部、もしくは、リム内面、もしくは、バルブに装着したことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ状態監視装置。
- タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子が多数配置されたタイヤにおいて、上記タイヤの内圧が所定の値よりも低くなった場合には第1の警報を発し、上記タイヤ内圧が再び増加し、かつ、車輌が所定の速度以上で走行している場合には第2の警報を発して、運転者にタイヤの破損を通告するようにしたことを特徴とするタイヤ破損の通告方法。
- タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、樹脂による連続相と独立気泡とから成る略球形状の粒子が多数配置されたタイヤにおいて、上記タイヤの内圧が所定の値よりも低くなった場合には第1の警報を発し、車輌が所定の速度以上で走行している状態で、かつ、上記タイヤ内温度の上昇率が予め設定された温度上昇率よりも大きくなった場合には第2の警報を発して、運転者にタイヤの破損を通告するようにしたことを特徴とするタイヤ破損の通告方法。
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