JP4215597B2 - タイヤ故障警報装置及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
本発明は、空気入りタイヤの故障を検知して警報を発するタイヤ故障警報装置、及び該装置の温度センサーを有する空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤ故障の検知精度を向上するようにしたタイヤ故障警報装置及び空気入りタイヤに関する。
車両の走行中にタイヤ故障が発生したのを知らずに走行し続けると、タイヤが破壊し、大きな事故に発展するおそれがある。特に高速道路などでの高速走行時には大惨事を招く。そこで、タイヤ故障が発生した際には、それを速やかに発見することが極めて重要である。
従来、タイヤ故障を検知する装置として、温度センサーを使用し、その温度センサーによりタイヤの表面温度や空洞部内の温度を検出し、その温度変化からタイヤの故障を検知するようにした装置が提案されている（例えば、特許文献１，２参照）。空気入りタイヤは、故障が発生すると、その故障箇所での発熱が大幅に増大するため、温度センサーによるタイヤ故障の検知は極めて有効である。
しかしながら、空気入りタイヤの故障は、一般に、タイヤ内に埋設したベルト層やカーカス層などのタイヤ構成部材の端部や、過大な負荷が作用した場合には更にゴム層を厚肉にしたトレッド部のショルダー部などのタイヤ内部で発生する。そのため、上述した装置はその故障内部の温度を直接検知するものではないため、検知遅れなどの精度上の問題があり、改善の余地が残されていた。
特開平３−２６２７１６号公報
実開昭６３−１８９７０３号公報
本発明は、タイヤ故障の検知精度を向上することが可能なタイヤ故障警報装置及び空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ故障警報装置は、空気入りタイヤの温度を検出する温度センサーからの検出信号に基づいてタイヤ故障を検知し、警報を発するタイヤ故障警報装置において、タイヤ装着ユニットと車両装着ユニットとで構成され、前記タイヤ装着ユニットは温度センサーと、この温度センサーの検出信号を車両装着ユニット側に送信する送信部とを備え、前記車両装着ユニットは前記温度センサーからの検出信号を処理する処理部とタイヤ故障の警報を発する警報部とを有し、前記タイヤ装着ユニットを前記空気入りタイヤ内に配置したタイヤ構成部材の端部周辺に少なくとも埋設し、前記処理部は入力された検出信号から温度の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発するとともに、前記処理部は単位時間当たりの温度上昇量の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した温度上昇量の値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発し、前記温度センサーで検出した温度が−３０℃よりも低い場合にもタイヤ故障が発生した警報を発することを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、空気入りタイヤの温度を検出する温度センサーからの検出信号に基づいてタイヤ故障を検知し、警報を発するタイヤ故障警報装置の前記温度センサーを有する空気入りタイヤであって、前記タイヤ故障警報装置がタイヤ装着ユニットと車両装着ユニットで構成され、前記タイヤ装着ユニットは前記温度センサーとこの温度センサーの検出信号を車両装着ユニット側に送信する送信部とを備え、前記車両装着ユニットは前記温度センサーからの検出信号を処理する処理部とタイヤ故障の警報を発する警報部とを有して、前記処理部は入力された検出信号から温度の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発するとともに、前記処理部は単位時間当たりの温度上昇量の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した温度上昇量の値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発し、前記温度センサーで検出した温度が−３０℃よりも低い場合にもタイヤ故障が発生した警報を発する仕様であり、前記タイヤ装着ユニットを前記空気入りタイヤ内に配置したタイヤ構成部材の端部周辺に少なくとも埋設したことを特徴とする。
空気入りタイヤは、通常、埋設されたベルト層やカーカス層などのタイヤ構成部材の端部に最も応力集中を招くため、その箇所で故障が最も発生し易い。故障が発生すると、層間剥離が発生して剥離面同士の摩擦による異常発熱を生じる。
上述した本発明では、温度センサーを空気入りタイヤ内に配置したタイヤ構成部材の端部周辺に埋設し、直接故障箇所の温度を測定するようにしたので、従来のように間接的に測定した際の検知遅れが改善され、検知精度の向上が可能になる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図１は本発明のタイヤ故障警報装置の一実施形態を示し、１はタイヤに装着されるタイヤ装着ユニット、２は車両に装着される車両装着ユニットである。
タイヤ装着ユニット１は、空気入りタイヤの温度を検出する温度センサー３と、この温度センサー３の検出信号をアンテナ４を介して車両装着ユニット２側に送信する送信部５を備えている。送信部５は不図示のバッテリーにより作動し、温度センサー３で検出した信号を所定の時間間隔（例えば、１分間隔）で送信するようになっている。温度センサー３としは、例えば、熱電対を好ましく使用することができる。
車両装着ユニット２は、送信部５からの検出信号をアンテナ６を介して受信する受信部７と、この受信部７から入力された検出信号を処理する処理部８、及び処理部８でタイヤ故障が発生していると判断した場合に運転者に警報を発する警報部９を備えている。
処理部８は、入力された検出信号から温度の値を算出し、その算出した値と予め設定した２つの閾値とを比較する。２つの閾値の一方は、故障温度の閾値であり、算出した値が故障温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には、タイヤ故障が発生したとして警報部９をオンにし、運転者に警報を発する。例えば、赤ランプを点灯させたり、あるいは警報音を出したりする。警報により運転者が車両を即座に停止することで、タイヤ破壊を回避することができる。
もう一方の閾値は、故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度の閾値であり、算出した値が警戒温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には、タイヤ故障が発生する危険がある過負荷の状態にあるため、警報部９をオンにして運転者に警告を発する。例えば、黄色ランプを点灯させたり、あるいは警報音とは別の警告音を出したりする。警告により運転者が走行速度を下げることで、タイヤ故障の発生を回避することができる。
また、処理部８は、単位時間当たり（例えば、１分当たり）の温度上昇量の値を算出し、その算出した値と予め設定した２つの閾値とを比較する。２つの閾値の一方は、単位時間当たりの故障温度上昇量の閾値であり、算出した値が故障温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合にはタイヤ故障が発生したとして、警報部９をオンにして運転者に警報を発する。もう一方の閾値は、故障温度上昇に近づいたことを知らせる警戒温度上昇量の閾値であり、算出した値が警戒温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合にはタイヤ故障が発生する危険がある過負荷の状態にあるため、警報部９をオンにして運転者に警告を発する。
図２にトラックなどの車両に用いられる重荷重用空気入りタイヤに使用した場合の一例を示す。このグラフ図において、Ａは故障領域、Ｂは故障警戒領域、Ｃは正常領域である。発熱による故障温度の閾値が１２０℃、警戒温度の閾値が１１０°であり、温度センサー３で検出した温度が１１０°を超えると故障警戒領域Ｂになり、タイヤ故障が発生する危険がある過負荷の状態にあることを警報部９を介して運転者に知らせる。１２０°を超えると故障領域Ａになり、タイヤ故障が発生したとして警報部９から故障警報を発する。また、タイヤに使用されるゴムが−３０℃より低くなると、ゴムとしての機能を発揮しなくなるため、温度センサー３で検出した温度が−３０℃より低い場合にもタイヤ故障が発生した警報を発する。
縦軸には温度上昇量が示されており、例えば、温度センサー３で検出した温度が５０℃における警戒温度上昇量の閾値は６℃／min.、故障温度上昇量の閾値は１２℃／min.であり、温度上昇量が６℃／min.以上ある場合には故障警戒領域Ｂになり、警報部９を介して運転者に警告する。温度上昇量が１２℃／min.以上になった場合には故障領域Ａになり、タイヤ故障が発生したとして警報部９から故障警報を発する。因みに、温度１００℃における警戒温度上昇量の閾値は４℃／min.、故障温度上昇量の閾値は８℃／min.である。
図３に、上記タイヤ装着ユニット１を装着した空気入りタイヤ１０の一例を示す。図において、１１はトレッド部、１２はサイドウォール部、１３はビード部である。タイヤ内には、左右のビード部１３間にタイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に沿って配列したカーカス層（タイヤ構成部材）１４が配置され、その両端部側がビード部１３に埋設したビードコア１５の周りにタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部１１のカーカス層１４の外周側には、タイヤ周方向に対して傾斜配列した補強コードを備えた複数のベルト層（タイヤ構成部材）１６が設けられている。
タイヤ装着ユニット１は、ベルト層１６の端部１６ａ近傍周辺とカーカス層１４の端部１４ａ近傍周辺、更に肉厚ゴム部となるトレッド部１１のショルダー部１１Ａに埋設されている。
この例では重荷重用の空気入りタイヤ１０を示すため、トレッド部１１のショルダー部１１Ａのゴム厚さが厚くなり、そこに高荷重による過大な負荷が作用するため、タイヤ装着ユニット１を配置したが、過大な負荷が作用しない乗用車用などの空気入りタイヤではトレッド部１１のショルダー部１１Ａにタイヤ装着ユニット１を埋設しなくてもよく、少なくともタイヤ構成部材の端部周辺に埋設すればよい。
また、ベルト層１６の端部１６ａとカーカス層１４の端部１４ａにおいて、いずれか一方が早く故障が起きることが判っているような構成を有するタイヤの場合には、必ずしも両端部１４ａ，１６ａに対して設ける必要はなく、早く故障が起きる一方の端部周辺にのみタイヤ装着ユニット１を埋設することができる。
上述した本発明によれば、空気入りタイヤ１０の温度を検出する温度センサー３からの検出信号に基づいてタイヤ故障を検知し、警報を発するタイヤ故障警報装置において、タイヤ故障が発生する箇所であるタイヤ構成部材の端部周辺や肉厚ゴム部となるトレッド部１１のショルダー部１１Ａに温度センサー３を埋設し、直接故障箇所の温度を測定するため、検知遅れなどの問題がなく、検知精度を向上することができる。そのため、タイヤ故障を速やかに発見してタイヤ破壊を防ぐことができ、走行安全性を高めることができる。
また、タイヤ故障が発生する前に運転者に警告することができるので、タイヤ故障の発生を防止し、走行安全性を一層高めることができる。
本発明では、更に故障検知精度を向上するため、外気温度や路面温度を検出するセンサーを車外に設置し、該センサーにより検出した温度に基づいて、上述した閾値を補正するようにしてもよい。
また、送信部５を作動する電源は、上述したバッテリーに代えて、車両装着ユニット２側からタイヤ装着ユニット１側に高周波信号を定期的に送信し、それをタイヤ装着ユニット１側が電力に変えて送信部５を作動させ、送信部５から受信部７に検出信号を送信する構成にしてもよい。
１ タイヤ装着ユニット ２ 車両装着ユニット
３ 温度センサー ５ 送信部
７ 受信部 ８ 処理部
９ 警報部 １０ 空気入りタイヤ
１１ トレッド部 １１Ａ ショルダー部（肉厚ゴム部）
１４ カーカス層（タイヤ構成部材） １４ａ 端部
１６ ベルト層（タイヤ構成部材） １６ａ 端部
３ 温度センサー ５ 送信部
７ 受信部 ８ 処理部
９ 警報部 １０ 空気入りタイヤ
１１ トレッド部 １１Ａ ショルダー部（肉厚ゴム部）
１４ カーカス層（タイヤ構成部材） １４ａ 端部
１６ ベルト層（タイヤ構成部材） １６ａ 端部
Claims (6)
- 空気入りタイヤの温度を検出する温度センサーからの検出信号に基づいてタイヤ故障を検知し、警報を発するタイヤ故障警報装置において、タイヤ装着ユニットと車両装着ユニットとで構成され、前記タイヤ装着ユニットは温度センサーと、この温度センサーの検出信号を車両装着ユニット側に送信する送信部とを備え、前記車両装着ユニットは前記温度センサーからの検出信号を処理する処理部とタイヤ故障の警報を発する警報部とを有し、前記タイヤ装着ユニットを前記空気入りタイヤ内に配置したタイヤ構成部材の端部周辺に少なくとも埋設し、前記処理部は入力された検出信号から温度の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発するとともに、前記処理部は単位時間当たりの温度上昇量の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した温度上昇量の値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発し、前記温度センサーで検出した温度が−３０℃よりも低い場合にもタイヤ故障が発生した警報を発するタイヤ故障警報装置。
- 前記タイヤ構成部材がカーカス層であり、前記タイヤ装着ユニットをカーカス層の端部周辺にのみ埋設した請求項１に記載のタイヤ故障警報装置。
- 車外に外気温度を検出するセンサーを設置し、このセンサーにより検出した温度に基づいて前記閾値を補正する請求項２に記載のタイヤ故障警報装置。
- 車外に路面温度を検出するセンサーを設置し、このセンサーにより検出した温度に基づいて前記閾値を補正する請求項２に記載のタイヤ故障警報装置。
- 空気入りタイヤの温度を検出する温度センサーからの検出信号に基づいてタイヤ故障を検知し、警報を発するタイヤ故障警報装置の前記温度センサーを有する空気入りタイヤであって、前記タイヤ故障警報装置がタイヤ装着ユニットと車両装着ユニットで構成され、前記タイヤ装着ユニットは前記温度センサーとこの温度センサーの検出信号を車両装着ユニット側に送信する送信部とを備え、前記車両装着ユニットは前記温度センサーからの検出信号を処理する処理部とタイヤ故障の警報を発する警報部とを有して、前記処理部は入力された検出信号から温度の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発するとともに、前記処理部は単位時間当たりの温度上昇量の値を算出し、その算出した値が予め設定した故障温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警報を発し、かつ、前記算出した温度上昇量の値が予め設定した故障温度に近づいたことを知らせる警戒温度上昇量の閾値を超えたか否か判定し、超えたと判定した場合には前記警報部が警告を発し、前記温度センサーで検出した温度が−３０℃よりも低い場合にもタイヤ故障が発生した警報を発する仕様であり、前記タイヤ装着ユニットを前記空気入りタイヤ内に配置したタイヤ構成部材の端部周辺に少なくとも埋設した空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ構成部材がカーカス層であり、前記タイヤ装着ユニットをカーカス層の端部周辺にのみ埋設した請求項５に記載の空気入りタイヤ。
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