JP2010241566A - エレベータシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】乗り継ぎ階での上方向と下方向の交通需要のバランスに係わらず、輸送効率を向上し、迅速な乗り継ぎを可能とする。
【解決手段】複数台のエレベータかご(40A,40B,41A,41B)の運行を制御し、所定の乗り継ぎ階(第2ロビー階)で相互に乗り継ぎ可能なエレベータシステムにおいて、乗り継ぎ階で、上方向へ向かう利用人数と下方向へ向かう利用人数との比率を算出し、算出された値に基づいてエレベータかごの乗り継ぎ階への到着時間を制御(201)する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数のエレベータの運行制御を行う群管理エレベータシステムに係わり、特に、複数の群(グループ)で構成されたものに好適である。
従来、複数の群(グループ)で構成された群管理エレベータシステムにおいて、群から群へ乗り継ぐときの待ち時間を短縮、つまり、乗り継ぎエレベータが到着後乗り継がれるエレベータが到着するようにし、かつ輸送能力も低下させないため、乗り継ぎ階へ各エレベータが到着する周期と位相、つまり乗り継ぎ客(乗客,利用者)の方向に応じて到着時刻を変更できるように割当て制御することが知られ、例えば特許文献1に記載されている。
また、エレベータ群に対する乗り換えレベルがある場合、乗り換えにかかる時間を最小とするため、乗り換えレベルの上または下側にて作動するエレベータ群に対して、トラヒックの需要に応じてエレベータ群に対する制御パラメータを変更して、トラヒックの主方向が上向きである場合には、乗り換えレベルの反対側で作動しているエレベータを乗り換えレベルに迅速に到着させること、および乗り換えレベルに停止しているエレベータの出発を遅らせること、が特許文献2に記載されている。
さらに、シャトルエレベータの下方基準階及び上方基準階での乗場待時間の短縮及び待人数の減少を図るため、自かごの停止階からの出発時刻をこの自かごの前に出発した前発かご及び自かごの次に出発する次発かごの自かご停止階に対する到着時刻又は出発時刻に基づいて決定する、ことが特許文献3に記載されている。
:特開平07−187526号公報 :特開平01−98579号公報 :特開平09−255244号公報
上記従来技術は、単に、乗り継ぎ客の方向に応じて乗り継ぎ階でのエレベータの到着時刻の順序を変更するだけなので、実際の乗り継ぎ階における交通流が考慮されていない。
したがって、上方向の流れが主である場合や下方向の流れが主である場合には良いが、実際には両者が半々の場合、やや上方向の流れが主である場合、等中間的な交通流が多くの時間を占めており、従来技術では、このような中間的な交通流では、迅速な乗り継ぎを行うこと、乗り継ぎのあるエレベータシステムとして輸送効率を向上することが困難である。
例えば、やや上方向の交通量が大きいような交通流に対して、上層側のエレベータを乗り継ぎ階に到着させるようにすると、下方向へ向かう乗客(利用者)の待ち時間を長くしてしまうこととなり、乗り継ぎ階での上方向と下方向の交通需要のバランスに応じて適正なものとはならない。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、乗り継ぎ階での上方向と下方向の交通需要のバランスに係わらず、輸送効率を向上し、迅速な乗り継ぎを可能とすることにある。また、他の目的は、乗り継ぎ階があるエレベータシステムであっても利用者全体にとってエレベータが到着するまでに長く待たされることを無くすことにある。
上記目的を達成するため、本発明は、複数台のエレベータの乗りかご(40A,40B,41A,41B)の運行を制御し、所定の乗り継ぎ階(第2ロビー階)で相互に乗り継ぎ可能なエレベータシステムにおいて、乗り継ぎ階で、上方向へ向かう利用人数と下方向へ向かう利用人数との比率を算出し、算出された値に基づいてエレベータかごの乗り継ぎ階への到着時間を制御(201)するものである。
本発明によれば、所定の乗り継ぎ階(第2ロビー階)で、上方向へ向かう利用人数と下方向へ向かう利用人数との比率を算出し、算出された値に基づいてエレベータかごの乗り継ぎ階への到着時間を制御するので、乗り継ぎ階での上方向と下方向の交通需要のバランスに係わらず、迅速な乗り継ぎを行い、輸送効率を向上することができる。
本発明による一実施の形態のエレベータシステムを示すブロック図。 一実施の形態の乗り継ぎ階での状況を示す平面図。 一実施の形態の上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部の詳細を示すブロック図。 一実施の形態の乗り継ぎ階での到着時間差目標値設定部を示すブロック図。 一実施の形態の到着時間差制御による各エレベータの運行動作を示すグラフ。 一実施の形態において、乗りかご内での乗り継ぎ号機の案内表示の例を示す正面図。 一実施の形態の時間的等間隔化制御部を示すブロック図。 一実施の形態の総合時間調整量演算部示すブロック図。 一実施の形態における制御時定数の関係を説明する図。 一実施の形態における制御時定数説明する図。 一実施の形態の乗り継ぎ交通流が上方向混雑の場合における各エレベータの運行動作を示すグラフ。 図11に対して制御時定数を変えた場合おける各エレベータの運行動作を示すグラフ。 一実施の形態における到着時間差制御と時間的等間隔制御を説明するグラフ。 一実施の形態における到着時間調整指令作成部のフローチャート。 一実施の形態における調整項目テーブルと調整指令を示す図。 一実施の形態における停止時間を延長した場合の案内表示を示す正面図。 本発明による他の実施の形態のエレベータシステムを示すブロック図。 一実施の形態における到着時間差の調整を説明するグラフ。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、数百mの高さがある超高層ビルにおいて実施さるエレベータシステムの構成を示し、下段のシャトルエレベータ群と上段のシャトルエレベータ群からなるエレベータシステムに対して、統括群管理装置20,下段シャトルエレベータ群管理装置10A,上段シャトルエレベータ群管理装置10Bによって、複数群のエレベータシステム全体を統括制御する。
下段シャトルエレベータ群は、ビルの入り口階(玄関階)となる第1ロビー階50とその上層にある第2ロビー階51を接続している。上段シャトルエレベータ群は第2ロビー階51とさらにその上層にある第3ロビー階52とを接続している。ここで、第2ロビー階51,第3ロビー階52は、スカイロビー階(上層階に設けられたロビー階)と呼ばれるものに相当する。
第1ロビー階から第3ロビー階以上の階を目的階とする利用者は、まず下段シャトルエレベータに乗って第2ロビー階へ行き、この階で下段シャトルエレベータから上段シャトルエレベータに乗り継いで、第3ロビー階へと至る経路をたどる。尚、第3ロビー階から上層について図示はしていないが、ローカルエレベータ(各階をサービスするエレベータ)やさらに上層のロビー階へサービスするシャトルエレベータがサービスしている。逆方向の移動も同じであり、第3ロビー階より上層の階から第1ロビー階を目的する利用者は、第3ロビー階に行き、上段シャトルエレベータに乗って第2ロビー階へ行き、次に下段シャトルエレベータに乗り変えて第1ロビーへ至る経路をたどる。
下段シャトルエレベータは、2台のエレベータかご40A,41Aが運行しており、それぞれのエレベータかごは号機制御装置30A,31Aによって制御されている。これら2台のエレベータを群として管理しているのが、下段シャトルエレベータ群管理装置10Aとなる。下段シャトルエレベータ群管理装置10Aから、それぞれの号機制御装置(30A,31A)へ制御指令が発信されて、2台のエレベータの乗りかご40A,41Aが群として運行制御される。
第1ロビー階および第2ロビー階は、それぞれホール呼び登録装置501,ホール待ち客検出センサ502があり、これらの装置で得られたホール呼びやホール待ち人数の情報は、下段シャトルエレベータ群管理装置のホール情報収集部10A2へ伝送される。各エレベータかごには、かご内の人数検出のために用いられるかご内荷重センサ40A2,かご内乗り人数検出カメラ40A3,行先階を登録するかご内呼び登録装置40A1が備えられており、登録された行先階情報やかご内乗り人数データは図示しない通信線または無線を介して、各かごの号機制御装置に伝送される。荷重センサ,かご内計測カメラ,行先階の情報を組合わせることによって、エレベータかごの各停止階での乗降人数を検出または推定でき、このデータから交通流(各階間を移動する単位時間当りの利用者数)を検出または推定する。これらの演算処理は、各段シャトルエレベータ群管理装置の運行情報分析部において実行される。
各エレベータかごには、かご内の乗客に次に乗車すべき乗り継ぎ号機の表示や乗到着時間調整のための停止時間の表示などを行う乗り継ぎ制御表示装置40A4が設けられている。乗り継ぎ制御表示装置40A4によって、かご内の乗客はあらかじめ次の乗り継ぎ号機を知ることができ、乗り継ぎ階(第2ロビー階)に到着後から速やかに次の乗り継ぎ号機へとたどり着くことが可能となる。尚、図1では、下段シャトルエレベータの乗りかご40Aのみについて、かご内装置を図示しているが、他のかご41A,40B,41Bについてもそれぞれ同じ装置が備えられている。
上段シャトルエレベータについても、下段シャトルエレベータと同じ構成となっている。上段シャトルエレベータ群管理装置10Bから、それぞれの号機制御装置(30B,31B)へ制御指令が発信されて、2台のエレベータの乗りかご40B,41Bが群として運行制御される。
下段シャトルエレベータ群と上段シャトルエレベータ群で構成されるような複数群連係のエレベータシステムに対して、乗り継ぎ利用者の交通流の状況,各かごの運行状況に応じて、下段と上段を合わせたシステム全体で各かごを適正に制御することで、より速やかな乗り継ぎを実現できる。つまり、統括群管理装置20にある上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201,下段シャトルエレベータ群管理装置10Aにある時間的等間隔化制御部10A6,総合時間調整量算出部10A7,到着時間調整指令作成部10A8、および上段シャトルエレベータ群管理装置10Bにある時間的等間隔化制御部10B6,総合時間調整量算出部10B7,到着時間調整指令作成部10B8、の制御処理により、交通流に応じた適切な上段・下段シャトルエレベータの連係制御(両者の到着時間差に対する連係制御)を実施し、さらに各段の群管理されたエレベータに対する等間隔化制御を組合わせ、システム全体で利用者の状況,各かごの運行状況に応じた制御を実現する。
統括群管理装置20について説明する。
統括群管理装置20は、下段シャトルエレベータ群管理装置の共通通信線10A1,上段シャトルエレベータ群管理装置の共通通信バス10B1から、それぞれの交通流についての情報を入力して(群管理装置の運行情報分析部10A4,10B4より得られる)、上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201に入力する。上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201では、これらの入力情報から乗り継ぎ階での交通流を検出または推定し、交通流に応じて、主要な交通流の利用者ほど乗り継ぎがより速やかとなるように(次のかごに乗り込むまでの時間がより短くなるように)、上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの乗り継ぎ階での到着時間差を適正な時間差に調整する。この詳細は、図3,図4,図6により後ほど詳細に説明する。
上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201からは、下段および上段の各シャトルエレベータの乗り継ぎ階到着時間に対する調整量の指令が各段の群管理装置10A,10Bに発信される。
下段シャトルエレベータ群管理装置10Aの構成について説明する。
共通通信線10A1は、各制御部間をデータ(情報)の送受信が通信可能なように接続されている。制御部となるホール情報収集部10A2では、下段シャトルエレベータの各エレベータホールの呼び情報や待ち客情報が、ホール呼び入力装置,ホール待ち人数検出センサによって収集される。号機情報収集部10A3では、各エレベータの乗りかご(40A,41A)の位置,速度などの運行状態,かご内人数や行先階などの情報が収集される。運行情報分析部10A4では、収集されたホール情報,号機情報に基づいて、下段シャトルエレベータ群が担当するサービス階領域の交通流(利用者の垂直移動の流れの量)や各サービス階の停止確率,平均停止時間などを算出する。
交通流の情報は、統括群管理装置に伝送されて乗り継ぎ階交通流の検出,推定に用いられる。各サービス階の停止確率,平均停止時間の情報は、到着予測時間算出部10A5に伝送されて、各かごの乗り継ぎ階での到着予測時間の算出に用いられる。到着予測時間算出部10A5では、各かごの現在位置,かごの移動方向,速度または停止状態,階間距離,定格速度,各サービス階の停止確率,平均停止時間,ホール呼び,かご呼び(かご内の行先階登録装置で登録される呼び)の情報等から、各かごが次および次の次に乗り継ぎ階(第2ロビー階)および第1ロビー階に到着するまでの時間となる到着予測時間が算出される。例えば、対象とするかごが第1ロビー階にあり、出発直前で途中の停止が無く乗り継ぎ階(第2ロビー階)まで直通の場合、その到着予測時間は、階床ピッチ×直通区間の階床数/定格速度によって算出できる(実際には加速領域と減速領域があるため、若干の誤差は生じる)。
時間的等間隔化制御部10A6は、下段シャトルエレベータ群の各エレベータかごの乗り継ぎ階での到着時間を等間隔に制御しようとするもので、各エレベータかごの乗り継ぎ階に対する到着予測時間から到着時間間隔の予測値を求め、これが等間隔の目標値に近づくように、各かごの到着時間の調整量を算出する。
総合時間調整量算出部10A7は、統括群管理装置20の上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201にて算出された下段シャトルエレベータの各かごに対する乗り継ぎ階到着時間の調整量(以下、調整量1)と、時間的等間隔化制御部10A6で算出された各かごに対する乗り継ぎ階到着時間の調整量(以下、調整量2)と、により、両者(上段シャトルエレベータとの到着時間差,時間的等間隔化)に基づいて各かごの到着時間調整量を算出する。その詳細は後ほど図8,図9,図11,図13により説明する。
到着時間調整指令作成部10A8は、総合時間調整量算出部10A7で算出された各かごの到着時間調整量から、調整手段(項目)と調整する時間量を決定して、調整手段と調整する時間量を一組とした情報として、到着時間調整指令を対象かごの号機制御装置(30Aまたは31A)に伝送する。下段シャトルエレベータ各号機の号機制御装置は、それぞれの到着時間調整指令に従って、各かごの乗り継ぎ階への到着時間を制御する。その結果、各かごは上段シャトルエレベータとの到着時間差が調整され、下段シャトルエレベータ群内の近接かごとの時間的間隔を等しくされる。
上段シャトルエレベータ群管理装置10Bも、下段シャトルエレベータ群管理装置10Aと同様であり、到着予測時間算出部10B5で各かごの乗り継ぎ階における到着予測時間を算出し、時間的等間隔化制御部10B6で各かごの乗り継ぎ階での到着時間間隔を等間隔に近づけるような到着時間調整量を算出する。そして、総合時間調整量算出部10B7は、上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201で算出された到着時間調整量(調整量1)と時間的等間隔化制御部10B6で算出された到着時間調整量(調整量2)とにより、各かごの到着時間調整量を算出する。
到着時間調整指令作成部10A8は、算出された各かごの到着時間調整量から各かごに対する到着時間調整指令を決定する。到着時間調整指令は、上段シャトルエレベータの各号機制御装置(30B,31B)に伝送され、各かごの乗り継ぎ階(第2ロビー階)への到着時間が制御(調整)される。
図2は、下段シャトルエレベータ(6台で群管理)と上段シャトルエレベータ(6台で群管理)で構成されるエレベータシステムの乗り継ぎ階での状況を表している。
下段シャトルエレベータの5号機が到着して、乗り継ぎ利用者が降車して、上段シャトルエレベータ(この場合は2号機が乗り継ぎ号機)に乗り込もうとしてフロアを移動している。このとき、以下のことが必要とされる。
(1)下段もしくは上段のエレベータがだんご運転状態で到着する場合、乗り継ぎ階が非常に混雑した状態となり、人の流れが錯綜するため、乗り継ぎが速やかにいかず、乗り継ぎ号機に乗れない利用者が増加する。下段シャトルエレベータ5号機の到着直後に4号機が到着すると、5号機と4号機から降車した利用者が交じり合い、下段シャトルエレベータ5号機から上段シャトルエレベータ2号機への乗り継ぎが妨げられる。従って、円滑な乗り継ぎのためには、まず各群管理エレベータに対するだんご運転の抑制を最優先させる必要がある。
(2)適切な乗り継ぎを実現するようにエレベータを制御するには、乗り継ぎに要する時間、つまり、下段シャトルエレベータ5号機の乗り場から上段シャトルエレベータ2号機の乗り場への歩行時間を考慮する必要がある。
図1に示すようなエレベータシステムは、時間的等間隔化制御部(図1の10A6,10B6で実施)と上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部(図1の201で実施)の制御時定数(制御目標値への追従に対する時間的な速さ,応答速度または応答時間に対応する定数)に差をつけることにより、だんご運転の抑制と交通状況に応じた乗り継ぎのスムーズ化の両立が実現される。
図3は、上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201の詳細構成を示している。制御部では、乗り継ぎ利用者の交通流を検出または推定して、その交通流の上(UP)方向と下(DN)方向の利用人数の比率(需要比率)に応じて、下段シャトルエレベータと上段シャトルエレベータの乗り継ぎ階での到着時間の差を調整する制御を実施している。これにより乗り継ぎ利用者全体において乗り継ぎの円滑化を図っている。
乗り継ぎ交通流算出部2011では、下段シャトルエレベータの交通流データ(図1の下段シャトルエレベータ群管理装置の運行情報分析部10A4より伝送される)と上段シャトルエレベータの交通流データ(図1の上段シャトルエレベータ群管理装置の運行分析部10B4より伝送される)とを用いて、乗り継ぎ利用者に対する交通流を算出する。乗り継ぎ交通流とは、具体的には次の2つの要素で表される。
(1)所定時間当たりのUP方向乗り継ぎ利用者数(例えば、100人/5分間)
(2)所定時間当たりのDN方向乗り継ぎ利用者数
UP方向の利用者とは、下段シャトルエレベータから上段シャトルエレベータへ乗り継ぐ利用者であり、DN方向の利用者とは、上段シャトルエレベータから下段シャトルエレベータへ乗り継ぐ利用者を表している。それぞれは、例えば次のようにして求めることができる。
UP方向乗り継ぎ利用者数=(下段シャトルエレベータ群の乗り継ぎ階での降り人数 +上段シャトルエレベータ群の乗り継ぎ階での乗り人数)/2
DN方向乗り継ぎ利用者数=(上段シャトルエレベータ群の乗り継ぎ階での降り人数 +下段シャトルエレベータ群の乗り継ぎ階での乗り人数)/2
乗り継ぎ階での上段と下段のエレベータの到着時間差目標値設定部2012は、算出された乗り継ぎ交通流に基づいて、乗り継ぎ階における上段と下段のエレベータの到着時間差の目標値を設定する。目標値の設定法は図4により後ほど説明する。
乗り継ぎ号機ペア選定部2013では、下段シャトルエレベータの乗り継ぎ階への到着予測時間データと上段シャトルエレベータの乗り継ぎ階への到着予測時間データから、到着時間の近接するペア(組)として、乗り継ぎ号機のペアを選定する。例えば、UP方向の乗り継ぎ号機のペアは、下段シャトルエレベータかごとその後に最も早く到着予定の上段シャトルエレベータかごの組として選定する。
乗り継ぎ階での上段と下段の各かご間の到着時間差算出部2014では、選定した乗り継ぎペアの各かごの到着予測時間の差から予想される到着時間差を算出する。UP方向の乗り継ぎ号機ペアの場合、上段シャトルエレベータの乗り継ぎ階到着予測時間(仮に20秒とする)と下段シャトルエレベータの乗り継ぎ階到着予測時間(仮に10秒とする)から、予想される到着時間差は10秒と算出できる。
上段または下段の各かごの到着時間調整量算出部2015は、到着時間差の目標値と実際に予想される到着時間差から、例えば両者の偏差に基づいて各かごの到着時間に対する調整量を算出する。このように到着時間差の目標値を定めて、目標値と到着時間差の予測値とを比較(偏差)によって到着時間差を制御する(各かごの到着時間を制御する)。
例として、予想到着時間差10秒のケースの場合、仮に目標値を20秒とすると、+10秒の到着時間差を増加させる必要があり、この1/2を下段,上段のシャトルエレベータの到着時間調整量と割り振る。従って、下段シャトルエレベータの到着時間調整量は−5秒(5秒早く到着するように調整する)、上段シャトルエレベータの到着時間調整量は+5秒(5秒遅く到着するように調整する)となる。このような計算を下段および上段シャトルエレベータの乗り継ぎペアの各組について計算する。
偏差を1/2に等分配する例を説明したが、どちらかに偏らせるように割り振ってもよい。例えば、到着時間を遅らせる方が容易なため、遅らせる側を多く分配する。
偏差を全て調整量とせず、偏差に係数ゲインをかけたもの(例えば、偏差の30%)を調整量としても良い。つまり、一度に目標値に近づけようとすると、調整量が大きくなり、かごの運行制御の変更量も大きくなるため、変更量を抑えて、時間をかけて近づける。
係数ゲインを各段のシャトルエレベータ群管理装置の総合時間調整量算出部で乗じることが望ましく、上段または下段の各かごの到着時間調整量算出部2015で計算された各エレベータかごの到着時間調整量は、対応する各段のシャトルエレベータ群管理装置の総合時間調整量算出部に伝送される。
乗り継ぎ号機ペア選定部2013で選定された乗り継ぎ号機ペアのデータは、通信線を介して、図1の各段のシャトルエレベータ群管理装置を経由し、ペアのうちの該当号機に対して、その号機の号機制御装置を経由して、乗りかご内の乗り継ぎ制御表示装置に伝送される。これにより、下段シャトルエレベータから上段シャトルエレベータに乗り継ぐような場合、下段シャトルエレベータの乗りかご内で、次に乗るべき上段シャトルエレベータの号機を案内する。
図6はその一例であり、下段シャトルエレベータ1号機の乗りかご(40A)内において、乗り継ぎ階にて乗り換えるべき号機名とその号機へ至るまでの動線(道順)を示している。このように事前に乗り継ぎ号機を案内できるのは、乗り継ぎ号機ペア選定部において、到着予測時間から乗り継ぎのペアを選定しているために可能となっている。さらに、上段と下段とのシャトルエレベータの到着時間差の制御とそれぞれの段のシャトルエレベータの時間的等間隔制御とを組合わせて制御するため、乗り継ぎペアを安定に維持・確立することができ(後述する図11(c)のように各ペアが明確に区別できる)、事前の乗り継ぎ号機案内を確実に実施することが可能となっている。
図4は、横軸が乗り継ぎ交通流(乗り継ぎ利用者のUP方向とDN方向の人数比率をパラメータとしている)、縦軸が上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差の目標値(Tref)を表しており、乗り継ぎ交通流に応じて決まる到着時間差目標値を示している。上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差は、下段シャトルエレベータの乗り継ぎ階到着時点を始点にした上段シャトルエレベータの到着時点までの時間として表す(図4の右上図Tref)。下段シャトルエレベータのかごの乗り継ぎ階到着時間から同じ下段シャトルエレベータの次の到着かごの到着時間までの差をtaとする(図4の右上図ta)。
到着時間差の目標値Trefは、UP方向利用人数の比率が大きい(DN方向利用人数比率が小さい)場合は小さい値となり、UP方向利用人数比率が減る(DN方向利用人数が増える)に連れて、その値が連続的に増加する特性とする。UP方向利用人数とDN方向利用人数の比率が等しい時には、目標値Trefは、taの1/2、つまり同じ下段シャトルエレベータの当該かごと、その次に到着するかごと、の到着時間間隔の半分値となるように定める。つまり、乗り継ぎ交通流のUP方向またはDN方向の比率に応じて、連続的に上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差の目標値Trefが定められる(調整される)点と、UP方向利用人数比率が大きいほど(DN方向利用人数が小さいほど)、対(ペア)をなしている下段シャトルエレベータと上段シャトルエレベータとの乗り継ぎ階の到着時間差が短くなるように目標値Trefを定める。以上により、以下の利点がある。
UP方向の乗り継ぎ利用者の乗り継ぎをスムーズにするには、下段シャトルエレベータを降車した乗客が上段シャトルエレベータの乗り場に到着した時点(またはその直前)で、乗り継ぐべき上段シャトルエレベータのかごが到着し、そのかごに乗り込める状況が最も良い。同様に、DN方向の乗り継ぎ利用者の乗り継ぎをスムーズにするには、上段シャトルエレベータを降車した乗客が下段シャトルエレベータの乗り場に到着した時点(またはその直前)で、乗り継ぐべき下段シャトルエレベータのかごが到着し、そのかごに乗り込める状況が最も良い。従って、UP方向の乗り継ぎ利用人数比率が大きい場合は、比率が大きいほどUP方向利用者の利便性を優先するのがよく、下段シャトルエレベータの到着から上段シャトルエレベータの到着までの時間差(Trefに対応)を小さくする。
逆に、DN方向の乗り継ぎ利用人数比率が大きい場合は、比率が大きいほどDN方向利用者の利便性を優先するのがよく、上段シャトルエレベータの到着から下段シャトルエレベータの到着までの時間差を大きくする(下段シャトルエレベータの到着から上段シャトルエレベータの到着までの時間差(Trefに対応)を大きくする)のがよい。従って、図4に示した特徴を持つ特性によって、乗り継ぎ交通流に応じた適正な到着時間差の目標値を設定することができる。
乗り継ぎ交通流のUP方向利用人数比率とDN方向利用人数比率は、ビルの用途,曜日,時間帯,ビル内のイベントの発生等によって、様々に変わりうる。従って、図4のように、乗り継ぎ交通流(UP方向利用人数比率またはDN方向利用人数比率)に応じて連続的で、かつUP方向利用人数比率が大きくなるほど、下段シャトルエレベータと上段シャトルエレベータとの乗り継ぎ階の到着時間差が短くなるような目標値を設定することにより、様々に変化する乗り継ぎ交通流に柔軟に対応することができる。その結果、どのような乗り継ぎ交通流状態に対しても、常に利用者の多くがスムーズに乗り継ぎできるように各段のシャトルエレベータの運行を制御することができる。
また、図4に示した上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間目標値の特性には、乗り継ぎ時間のマージン(tm)が設ける。具体的には、UP方向利用人数比率が100%の状態で、到着時間差の目標値Trefをゼロにせずに、乗り継ぎ時間のマージン値tm以上に設定する。マージン値tmは、乗り継ぎ階での乗り継ぎ必要時間(下段シャトルエレベータ乗り場と上段シャトルエレベータ乗り場との移動時間)に対応している。乗り継ぎ必要時間を考慮して(乗り継ぎ必要時間以上となるように)、上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差の調整に条件を付けることにより、全ての乗り継ぎ利用者をより確実に次のかごへ乗り継げるようにすることが可能となる。乗り継ぎ必要時間は、そのビルの乗り継ぎ階のレイアウト構造、利用者の状況によって変化するため、乗り継ぎ時間のマージン値tmも、ビルに応じて(場合によってはさらに時間帯に応じて)調整するのが良い。
図5は、上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差の制御による各かご運行状況の例を表している。図5(a)は、乗り継ぎ利用人数に対するUP方向の人数比率が95%、DN方向の人数比率が5%の場合の制御結果例を表している。グラフは横軸が時間、縦軸が階床位置を表したもので、各線はエレベータかごの運行軌跡を表している。以下、この図を運行線図と呼ぶ。
各線は、実線A01と点線A02が下段シャトルエレベータ2台の運行軌跡を表しており、実線B01と点線B02が上段シャトルエレベータ2台の運行軌跡を表している。実線同士(例えば、実線A01と実線B01)が、上段と下段シャトルエレベータの到着時間差制御が選定した乗り継ぎペアとなっている(図3の乗り継ぎ号機ペア選定部で選定)。各エレベータかごの運行軌跡について、乗り継ぎ階に到着してから再び同じ乗り継ぎ階へ戻るまでの時間(1周時間)は、およそ1分間〜3分間、長い場合で5分間程度になる。
図5(a),(b),(c)はそれぞれ乗り継ぎ交通流の状況に応じた上段と下段シャトルエレベータの到着時間差の制御結果を表すものであり、以下2点の特徴がある。
(1)乗り継ぎ交通流のUP方向またはDN方向の比率に応じて、連続的に上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差が調整される。
(2)UP方向利用人数比率の増加に従って、下段シャトルエレベータの到着から上段シャトルエレベータ到着までの到着時間差が短くなるように制御され、DN方向利用人数比率の増加に従って、上段シャトルエレベータの到着から下段シャトルエレベータ到着までの到着時間差が短くなるように調整される。
図5(a)は、UP方向の人数比率が95%とほぼUP方向の利用者が支配的な場合で、実線A01の下段シャトルエレベータかごが乗り継ぎ階に到着後(X01)、乗り継ぎ必要時間を考慮した最小時間(T01)で実線B01の上段シャトルエレベータかごが乗り継ぎ階に到着している(X02)。同様に、点線A02の下段シャトルエレベータかごが乗り継ぎ階に到着後(X03)、乗り継ぎ必要時間を考慮した最小時間(T02)で実線B02の上段シャトルエレベータかごが乗り継ぎ階に到着している(X04)。その結果、乗り継ぎ利用者の大多数を占めるUP方向利用者は、下段シャトルエレベータから上段シャトルエレベータへ待ち時間無くスムーズに乗り継ぐことができる。
図5(b)は、乗り継ぎ利用人数に対するUP方向の人数比率が50%、DN方向の人数比率が50%の場合で、両方向の利用者の乗り継ぎ階での待ち時間を等しくするように、到着時間差が制御されている。実線A01の下段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Y01)から実線B01の上段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Y02)までの時間(T03)と、実線B01の上段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Y02)から実線A01の下段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Y03)までの時間(T04)が等しくなるように制御されている。その結果、UP方向,DN方向の両方の利用者に対して、乗り継ぎ階での待ち時間を等しく短くでき、片方向が長い待ち時間となることを回避できる。
図5(c)は、乗り継ぎ利用人数に対するUP方向の人数比率が30%、DN方向の人数比率が70%の場合で、ややDN方向の人数比率が勝っている状況となっている。この場合も図4に示した通り、各方向の人数比率に応じて到着時間差が制御されるため、DN方向の乗り継ぎ利用者をやや優先して、DN方向利用者の待ち時間を短くするように到着時間差が制御されている。実線A01の下段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Z01)から実線B01の上段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Z02)までの時間(T05)はより長く、実線B01の上段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Z02)から実線A01の下段シャトルエレベータかごの乗り継ぎ階到着(Z03)までの時間(T06)はより短くなる。その結果、やや人数の多いDN方向の乗り継ぎ利用者の方が、より乗り継ぎの待ち時間が短くなっている。
以上、図3,図4により説明した上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御により、UP方向の乗り継ぎ利用者とDN方向の乗り継ぎ利用者の比率に応じて、それぞれの利用者の乗り継ぎかご(次に乗り換えるかご)に対する待ち時間が極端に長くなる、つまり、長待ちの発生を無くして適切に配分され、図5(a),(b),(c)のような乗り継ぎ交通流に応じて各かごが連係した運行状況になる。
図7は、各段のシャトルエレベータ群の群管理装置内にある時間的等間隔化制御部(図1の10A6,10B6)の詳細な制御構成を示し、下段シャトルエレベータ群の各かご、上段シャトルエレベータ群の各かごをそれぞれ時間的等間隔に乗り継ぎ階に到着するように制御する。つまり、各エレベータかごの到着時間の目標値(時間的に等間隔に到着した場合の時間間隔)を定めて、定められた値を予測される各かごの到着時間間隔と比較して、各かごの乗り継ぎ階への到着時間を調整する。
到着時間間隔目標値算出部10A61では、平均1周時間データ(運行情報分析部で算出)とエレベータ台数データ(号機情報収集部で算出)から、到着時間間隔目標値を算出する。到着時間間隔目標値は各かごが時間的に等間隔に到着した場合の時間間隔であり、到着時間間隔目標値=平均1周時間データ/エレベータ台数によって算出する。
乗り継ぎ階への到着予測時間算出部10A62では、到着予測時間データ(到着予測時間算出部で算出)より、各かごの乗り継ぎ階への到着予測時間が算出される。乗り継ぎ階への到着時間間隔算出部10A63では、近接する各かごの到着予測時間の差から、各かごの乗り継ぎ階への到着時間間隔(予測値)を算出する。到着時間調整量算出部10A64では、到着時間間隔目標値と算出された到着時間間隔(予測値)から、例えば両者の偏差により、各かごの到着時間の調整量が算出される。
例えば、下段シャトルエレベータ2台の構成の場合で、1号機(先)と2号機(次)の到着間隔(予測値)が10秒で、到着時間間隔目標値が20秒の場合、その偏差10秒をそれぞれに均等に調整するようにして、1号機の到着時間の調整量を−5秒(早く到着)、2号機の到着時間の調整量を+5秒(遅く到着)のように決めることができる。このように各エレベータかごの到着時間間隔を目標値と予測値の偏差に基づいて調整することにより、各かごが乗り継ぎ階に時間的等間隔に到着できるように制御できる。
図8は、各段のシャトルエレベータ群の群管理装置内にある総合時間調整量算出部(図1の10A7,10B7)の詳細な制御構成を表している。各かごに対して、上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御による到着時間調整量(以下、調整量1)と時間的等間隔化制御による到着時間調整量(以下、調整量2)とを総合して、当該かごに対する最終的な到着時間調整量を算出する。調整量1と調整量2はそれぞれ異なる狙いを持っており、単純に組合わせると互いに干渉して制御全体でおかしくなる可能性がある。そこで、お互いが干渉せずに制御全体で適正な制御ができるように組合わせる。
上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部(図1の201)からの時間調整量信号(以下、S1と表す)は、乗算回路10A71により重み係数(ゲイン)K1を乗算されて加算回路10A73に入力される。時間的等間隔化制御部(図1の10A6または10B6)からの時間調整量信号(以下、S2と表す)は、乗算回路10A72により重み係数K2を乗算されて加算回路10A73に入力される。加算回路10A73では、K1・S1とK2・S2が加算され、この結果(K1・S1+K2・S2)が総合時間調整量となる。つまり総合時間調整量は、S1とS2の重み付け線形和で計算されるが、ここで重要な点は、その重み係数K1,K2が次の条件を満たすことになる。
K2>K1 (1)
この結果、S2(時間的等間隔化制御部の時間調整量)を優先して到着時間の調整がなされる。ここで、K2とK1の関係であるが、K2はK1の3〜10倍程度の大きさに設定するのが良い。
上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部の時間調整量と時間的等間隔化制御部の時間調整量とを後者により大きな重み係数を乗じて重み付け加算することにより、等間隔化制御部の制御時定数を上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部の制御時定数よりも小さくすることができる。言い換えると、等間隔化制御の制御速度を上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御の制御速度よりも、大きくして制御できる。図9はこの関係を表している。以上のように2つの制御の制御時定数に差をつけることによって、両者の干渉を抑えて、制御全体を適正に働かせることができる。この効果の詳細は後ほど、図11と図12により説明する。
以下では図10により、「制御時定数」の意味について説明する。「制御時定数」は、目標値に従うように制御される制御対象の状態値の目標値への追従に対する時間的な速さ、言い換えると応答速度または応答時間に対応する。図10において、目標値(点線)に対して制御対象の状態値(実線)が近づいていき、目標値の約63%に到達するまでの時間が時定数になる。フィードバック制御の場合、一般的に制御ゲイン(目標値とフィードバック値の偏差に対するゲイン)を大きくするほど、目標値への追従速度が速くなり、時定数は短くなる。
図11は、図1に示したエレベータシステムに対して、図8に示す総合時間調整量演算部の重み係数を式(1)に従い設定した場合の制御結果を表している。この図では、『同じ段(または群)における各かごの等間隔制御の時定数<異なる段(または群)に対する各かごの到着時間差制御の時定数』となるように制御されているため、まず先に各段(または群)の各かごが時間的等間隔になるように制御され、その後に上段シャトルエレベータと下段シャトルエレベータの到着時間差(または到着時間間隔)が制御される様子が図11(a),(b),(c)の順で時間推移に従って示されている。
図面のグラフは図5のグラフと同じであり、下段シャトルエレベータ2台と上段シャトルエレベータ2台の運行線図を表している。各線は、実線A01と点線A02が下段シャトルエレベータ2台の運行軌跡、実線B01と点線B02が上段シャトルエレベータ2台の運行軌跡を表している。実線同士(例えば、実線A01と実線B01),点線同士(実線A02と実線B02)が、上段と下段シャトルエレベータの到着時間差制御が選定した乗り継ぎペアとなっている(図3の乗り継ぎ号機ペア選定部で選定)。以下、図11(a),(b),(c)の順に従って制御動作の経過を説明する。尚、乗り継ぎ交通流は、UP方向混雑時の場合を想定している。
図11(a)は、制御実施前の状態を表している。実際に常時制御がなされると、このような状態にはならないが、仮に制御を止めてこのような状態(以下に述べるように最も悪い状態)になったと仮定する。図のように、下段シャトルエレベータ群,上段シャトルエレベータ群共に、2台のエレベータかごがだんご運転状態(数珠つなぎ、かごが近接して運転している状態)になっている。また乗り継ぎ交通流はUP方向混雑時にも関わらず、下段シャトルエレベータ(例えば実線A01)到着から乗り継ぎ相手となる上段シャトルエレベータ(例えば実線B01)到着までは長い時間が経過している。従って、多数いるUP方向乗り継ぎ客は、上段シャトルエレベータが到着するまで相当な時間待たされることになる。この状態で、エレベータシステムの制御(図1に示した制御)が作用を始める。
図11(b)は、しばらく時間が経過した後の運行線図を表している。図8の総合時間調整量演算部の働きにより、制御時定数が小さい(制御速度が速い、応答速度が速い)時間的等間隔化制御がより早く作用する。その結果、図11(b)のように下段シャトルエレベータ群2台(運行軌跡A01,A02で示される)、および上段シャトルエレベータ群2台(運行軌跡B01,B02で示される)はそれぞれ時間的に等間隔な状態で運行するようになる。この結果、乗り継ぎ階では各エレベータが等間隔に到着するため、下段シャトルエレベータからの降車客はある間隔(等間隔)をおいて現れることになり、乗り継ぎ階での混雑は緩和される(複数台のかごから降車客が一斉に降りて乗り継ぎ階が混雑することを回避できる)。
図11(c)はさらにしばらく時間が経過した後の運行線図を表している。今度は制御時定数が大きい(制御速度が遅い,応答速度が遅い)上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御が作用するため、対(ペア)となっている上段シャトルエレベータかごと下段シャトルエレベータかご(実線A01とB01,点線A02とB02)の乗り継ぎ階への到着時間差(到着時間間隔)が調整される。乗り継ぎ交通流のUP方向利用人数比率が非常に大きいため、対となっている下段シャトルエレベータの到着から上段シャトルエレベータの到着までの時間が短くなるように調整される(例えば、図11(c)の運行軌跡A01と運行軌跡B01)。その結果、乗り継ぎ利用者の大多数を占めるUP方向利用者は、下段シャトルエレベータから上段シャトルエレベータへ待ち時間が短く乗り継ぐことができ、第1ロビー階から第3ロビー階までの移動時間を短縮することができる。
尚、下段シャトルエレベータ到着から上段シャトルエレベータ到着までの時間差は、下段シャトルエレベータと上段シャトルエレベータ間の乗り継ぎに必要な時間(両者間を移動するのに必要な時間)を考慮して決められ、乗り継ぎできない利用者を極力抑えている。
図12は、交通流状況,各かご運行の初期状態は図11と同じ状況で、上段と下段のシャトルエレベータの到着時間差制御と各段毎の各かごの時間的等間隔制御の制御時定数の大小関係を逆にした場合の結果例を示している。大小関係を逆にすると、2つの制御の組合わせがうまく作用せず、乗り継ぎがうまくいかなくなる。
図12(a)は図11(a)と同じであり、制御開始前の初期状態を表している。図12(b)は時間経過後の状況を表している。上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御の時定数が小さいため、この制御の効果が先に表れる。その結果、対となっている下段シャトルエレベータの到着から上段シャトルエレベータの到着までの時間が短くなるように調整される(例えば、図12(b)の運行軌跡A01と運行軌跡B01)。
図12(b)の符号L01を付した箇所での乗り継ぎ階での状況を説明する。
点線A02で表される下段シャトルエレベータかごが到着し、乗客が一斉に降車する。
だんご運転状態がまだ続いているため、直後に実線A01で表される下段シャトルエレベータかごも到着して、乗客が一斉に降車する。この結果、乗り継ぎ階は一気に乗り継ぎ利用者であふれてしまい、人同士がぶつかりあうなどして、次の上段シャトルエレベータ乗り場までの移動がスムーズにいかなくなる。その結果、点線A02で表される下段シャトルエレベータを降りた利用者は点線B02の上段シャトルエレベータに乗り継ぐことができず、同様に実線A01で表される下段シャトルエレベータを降りた利用者は実線B01で表される上段シャトルエレベータに乗り継ぐことができなくなるケースが生じる。特に、実線B01で表される上段シャトルエレベータに乗り継ぐことができなかった場合、上段シャトルエレベータ2台がだんご運転状態のため、次の上段シャトルエレベータが乗り継ぎ階に到着するまで長い時間待たされることになる。さらに、そのかご到着する前に下段シャトルエレベータ2台が相次いで到着するため、乗り継ぎ階は利用者で大混雑となる。
上段と下段のシャトルエレベータの到着時間差制御と各段毎の各かごの時間的等間隔制御の制御時定数の大小関係を適正に定めないと、制御全体がうまく機能せず、乗り継ぎ階が混雑してスムーズな乗り継ぎができなくなる。具体的には、「上段と下段のシャトルエレベータの到着時間差制御の時定数>各段毎の各かごの時間的等間隔制御の時定数」(別の表現では、「上段と下段のシャトルエレベータの到着時間差制御を各段毎の各かごの時間的等間隔制御よりも遅く(目標状態への到達時間を長く)なるように制御させる」)とすることにより、各段毎に各かごが時間的等間隔に乗り継ぎ階に到着することになり、乗り継ぎ階での乗客の降車間隔が均等になり、乗り継ぎ階に乗り継ぎ客があふれることを優先的に回避できる。その後、下段シャトルエレベータと上段シャトルエレベータの到着時間差を、乗り継ぎ利用者の移動方向の人数比率に応じて調整する。それにより、それぞれの移動方向の比率に応じて乗り継ぎ階での待ち時間を調整でき、乗り継ぎ階での混雑発生を回避した上でよりスムーズに乗り継ぎすることが可能となる。
図11と図12より、エレベータシステムの制御の要点は次のようにまとめられる。下段シャトルエレベータ群を第1のエレベータ群、上段シャトルエレベータ群を第2のエレベータ群として、統括群管理装置を第1のエレベータ群と第2のエレベータ群を統括し、両群の運行を交通流等に応じて連係させる制御(以下、群連係制御)とすると、第1のエレベータ群,第2のエレベータ群の各群毎に実施する群管理制御の制御時定数と、群連係制御の制御時定数について、前者の時定数を後者の時定数よりも小さくすることにより、個々の群内エレベータの運行が先に制御されて、その後に群同士が連係するように両エレベータの運行が制御される。これにより、複数のエレベータ群からなるシステム全体として適正な運行制御が可能となり、両エレベータ群を乗り継いでビル内を移動する利用者に対して、乗り継ぎ階での待ち時間を短くし、かつ混雑を回避してスムーズな乗り継ぎが可能となる。
図13は、エレベータシステムの制御概念(上記で述べた各エレベータ群毎の制御と群連係制御の動作関係)を図的に表したものである。図13のグラフの横軸は、各エレベータ群に実行される時間的等間隔化制御部(図1の10A6と10B6、詳細は図7)の目標値と実際の状態値(この場合は、予想される乗り継ぎ階への到着時間間隔)の偏差(目標偏差)を表しており、縦軸は、上段シャトルエレベータ群と下段シャトルエレベータ群の各かごの到着時間差制御の目標値と実際の状態値(上段と下段シャトルエレベータの到着時間差)の偏差を表している。グラフ内にある各黒丸の点は、制御の状態を表している。
初期状態においては点M01の状態にあると仮定する。この状態から制御が開始され、上段シャトルエレベータ群,下段シャトルエレベータ群の各群毎に実施される時間的等間隔化制御(制御時定数が小)が強く作用する。その結果、時間的等間隔化制御に対する目標偏差がまず先に小さくなり、図中の黒丸M02の状態に到達する。その後に制御時定数の大きい上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御の作用が強くなり、その結果、上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御の目標偏差が小さくなって、図中の黒丸M03の状態に到達する。
群毎に実施する群管理制御(時間的等間隔化制御)と群連係制御(両群の到着時間差制御)に優先度をつけることによって、エレベータを乗り継いで移動する利用者に対して、待ち時間を短くかつ乗り継ぎ階での混雑を回避して、よりスムーズな移動を可能とする。
なお、実際には2つの制御が同時に働いているため、制御の状態は図の実線M04のような過程をたどる。
図14は、図1に示した下段シャトルエレベータ群管理装置10Aおよび上段シャトルエレベータ群管理装置10Bのそれぞれにある到着時間調整指令作成部(10A8,10B8)の詳細な処理内容(フローチャート)を表している。総合時間調整量算出部(10A7,10B7)によって算出された上段・下段それぞれの各エレベータ毎の最終的な到着時間調整量に対して、これを実行するための調整項目(手段)と調整する時間量の決定を行う処理を実施する。
以下、図14のフローチャートを説明する。
初期設定として、調整項目の優先順を表す変数NをN=1に定める。調整必要量を総合時間調整量算出部(10A7,10B7)より出力された各かごに対する最終調整量に設定する(F01)。次に優先順N番目の調整項目を調整項目テーブル(図15(a))より取得し(F02)、調整項目における調整量範囲データを調整項目テーブルより取得する(F03)。調整項目は、各エレベータかごの到着時間を調整するための調整手段であり、調整量範囲データは、各調整項目に対する到着時間調整量の範囲を表している。
図15(a)は調整項目テーブルの具体例を示し、調整項目テーブルには、優先順が与えられた調整項目,各調整項目における調整量範囲のデータが記録されている。調整項目の優先順は、到着時間調整の容易さ,調整による利用者サービスへの影響,調整効果の大きさ等に基づいて決定される。調整項目としては、(1)かご停止時間(別の表現ではドア開放時間),(2)戸開き遅延時間、(3)ドア速度、(4)かご速度(速度を通常より下げる場合),(5)かご速度(速度を通常より上げる場合),(6)かご加速度,減速度等が良い。
かご停止時間は、サービス停止階(例えば、第1,第2,第3ロビー階)において、かごの停止時間を通常設定時間よりも短くしたり、長くしたりする。サービス停止階におけるかごの出発時間を通常設定時間よりも短くしたり、長くしたりすることとなる。戸開き遅延時間は、時間を遅らせる調整法で、かごがサービス階に到着してからドアを開けるまでの開始時間を遅延させる。図15(a)の調整項目テーブルにある調整量範囲のデータは負の符号が時間を早めることを表し、正の符号が時間を遅らせることを表している。
図14において、優先順N番目の調整項目とその調整量範囲のデータを取得(F03)した後、調整必要量の値が調整量範囲内にあるか否かをチェックする(F04)。調整量範囲内にある場合は、優先順N番目の調整項目の調整量を調整量=調整必要量として、その調整項目とその調整量を調整指令のメモリ(制御を実施しているマイコンなどのメモリ)に記録する(F05)。ここまでの処理で、必要な調整量を満たす到着時間調整指令が確定したことになる。メモリ上には、元々必要な最終調整量を満たす調整項目とその調整量のデータが記録されており、これが当該エレベータかごの到着時間調整指令となる。図15(b)は到着時間調整指令の一例である。つまり、複数の調整項目を組合わせて到着時間を調整させ、到着時間調整指令は、各エレベータ号機の号機制御装置(図1の30A,31A,30B,31B)に伝送され、各エレベータ号機の乗り継ぎ階への到着時間はこの指令に従って調整されることなる。
図14のチェック処理F04において、調整必要量が調整量範囲内に無い場合は、優先順N番目の調整項目の調整量を調整量=調整量範囲内での調整可能量として、その調整項目とその調整量を調整指令のメモリ(制御を実施しているマイコンなどのメモリ)に記録する(F07)。その後に新たな調整必要量を、新たな調整必要量=今の調整必要量−上記の調整量として変更し(F08)、Nを一つ加算して(F09)、処理F02に戻り、次の優先順の調整量項目による調整へ進む。
到着時間調整指令およびその作成処理の特徴は以下にある。
(1)調整の容易さや利用者サービスへの影響を考慮して、到着時間調整の調整項目(調整法または調整手段)の選定(または実行)に対する優先順を設けていること。
(2)複数の調整項目の組合わせで到着時間調整を実施すること。
これにより、制御の要求している到着時間調整量(図14の最終調整量)を満たし((2)の効果)、調整の実施が容易でかつ利用者へのサービスに影響を与えにくい((1)の効果)、到着時間の調整を各かご毎に実施することが可能となる。
図16は、到着時間調整指令において、かご停止時間を増加(延長)させる調整指令を設定した場合(図15(b)がそれに該当)の利用者への表示案内の例を表している。本来出発すべき時間よりも意図的に遅れて出発させるため、かご内の乗客を困惑させたり、心理的ストレスを増加させたり、する可能性がある。そこで、かご内の乗り継ぎ制御表示装置(図1および図16の40A4)に、到着時間調整量より分かるかご停止時間(出発時間)の延長時間を表示させる。これにより、かご内の乗客にどれだけ停止時間を遅らせるかが事前に通知されるので、乗客の困惑やストレス増加を回避することが可能となる。
なお、かごの乗客は少しの時間待たねばならないが、乗り継ぎの利用者全体で見ると、図11(c)に示すような効率的な各かごの運行が図られる。したがって、乗り継ぎ階での混雑や待ち時間増加,乗り継ぎの失敗などを抑制することができる。
上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御では、乗り継ぎ利用者の人数比を考慮した到着時間差の目標値を決めて、予測到着時間を用いて到着時間差の予測値を算出して、目標値との偏差から各かごに必要な到着時間の調整量を決めている(図3で説明)。
ここで、到着時間差の予測値によって調整量を定めていることにより、事前に状況を予測して調整に必要な量を決めることになるので、必要量が大きくなる前に、少しずつステップバイステップで調整する。従って、かご停止時間調整の場合でもその停止時間調整量を長くする(乗客のストレス増加を引き起こす)ことなく、小さい量で事前に対応できる。
図17は、他の実施例を示し、図1と異なる点は、統括制御群管理装置(図1の20)を設けずにその機能(上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部201)を下段シャトルエレベータ群管理装置10Aで実施する点にある。統括群管理装置を新たに設けるスペースが無い場合や群管理装置の演算処理に余裕がある場合は、この構成により、よりコンパクトな構成となる。図17では、下段シャトルエレベータの群管理装置10Aで上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部の処理を実施する構成としているが、上段シャトルエレベータの群管理装置10Bで実施しても同じ効果を得ることができる。
図18は、図1の上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差の調整内容を示している。この場合、図18の左側の図より、乗り継ぎ階に対して下段側のシャトルエレベータの到着予測時間は30秒、上段側のシャトルエレベータの到着予測時間は35秒となっており、両者の到着予測時間の差は5秒になる。ここで、到着予測時間差の目標値は10秒のため、この場合の時間調整量は+5秒であり、上段側のシャトルエレベータの到着を5秒遅らせるように運行(ここでは停止時間を延長)を調整する(図18の右側の図)。この結果、両者の到着時間差は目標通りの10秒に制御され、下段シャトルエレベータから上段シャトルエレベータへの乗り継ぎ利用者は、乗り継ぎに必要な時間が確保されるため、確実に乗り換えることが可能となる。
図1では、上段および下段シャトルエレベータ間の到着時間差の目標値をエレベータ号機の組合わせによらず、一律であるとしているが、乗り継ぐエレベータ号機の組合わせ毎に変更させると、さらに乗り継ぎを円滑にすることが可能となる。具体的には、図2に示すエレベータの配置について、下段シャトルエレベータと上段シャトルエレベータの乗り継ぎの組合わせに対して、その物理的な距離に応じて、到着予測時間差の目標値を調整する。例えば、下段シャトルエレベータ6号機から上段シャトルエレベータ3号機へ乗り継ぐ場合は、物理的な移動距離が長いため、それに応じて到着予測時間差の目標値も長くする。一方、下段シャトルエレベータ4号機から上段シャトルエレベータ6号機へ乗り継ぐ場合は、移動距離が短いため、それに応じて到着予測時間差の目標値も短くする。このように、乗り継ぎの交通流だけではなく、乗り継ぐエレベータ号機の組合わせ(配置関係または距離関係)に応じて、乗り継ぎ階への到着予測時間差を調整することで、利用者の乗り継ぎ時間を考慮したより適切な乗り継ぎが可能となる。
乗り継ぎ階の混雑状況に応じて、上段および下段シャトルエレベータの到着時間を調整することにより、乗り継ぎ階の混雑を緩和することが可能となる。例えば、上段および下段シャトルエレベータの運行状況(乗り継ぎ階への到着状況,降車人数情報等)から乗り継ぎ階での利用者数を算出することが可能であり、この人数が大きくなるほど、上段および下段シャトルエレベータのそれぞれの到着時間を遅らせるような制御を実施する。この時、到着時間差は乗り継ぎ交通流で定められる値(図4の特性で定められる値)に基づいてその値もしくはそれに近い値に設定する。このような制御を実施することにより、乗り継ぎ階が一時的に混雑している場合は、その後のエレベータの到着を遅らせて、さらに混雑が増える状況を回避することができると同時に、後続するエレベータの乗り継ぎ利用者が円滑に乗り継ぎを実施することが可能となる。
10A 下段シャトルエレベータ群管理装置
10A1 共通通信線
10A2 ホール情報収集部
10A3 号機情報収集部
10A4 運行情報分析部
10A5 到着予測時間算出部
10A6 時間的等間隔化制御部
10A7 総合時間調整量算出部
10A8 到着時間調整指令作成部
10B 上段シャトルエレベータ群管理装置
20 統括群管理装置
201 上段・下段シャトルエレベータ間の到着時間差制御部
30A 号機制御装置(下段シャトルエレベータ:1号機)
31A 号機制御装置(下段シャトルエレベータ:2号機)
30B 号機制御装置(上段シャトルエレベータ:1号機)
31B 号機制御装置(上段シャトルエレベータ:2号機)
40A 乗りかご(下段シャトルエレベータ:1号機)
41A 乗りかご(下段シャトルエレベータ:2号機)
40B 乗りかご(上段シャトルエレベータ:1号機)
41B 乗りかご(上段シャトルエレベータ:2号機)
40A1 かご内呼び登録装置
40A2 かご内荷重センサ
40A3 かご内乗り人数検出カメラ
50 第1ロビー階(低層ロビー階)
51 第2ロビー階(スカイロビー階)
53 第3ロビー階(スカイロビー階)
501 ホール呼び登録装置(行き先階登録装置を含む)
502 ホール待ち客検出カメラ

Claims (9)

  1. 複数台のエレベータかごの運行を制御し、所定の乗り継ぎ階で相互に乗り継ぎ可能なエレベータシステムにおいて、
    前記乗り継ぎ階で、上方向へ向かう利用人数と下方向へ向かう利用人数との比率を算出し、算出された値に基づいて前記エレベータかごの前記乗り継ぎ階への到着時間を制御することを特徴とするエレベータシステム。
  2. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階より下で運行され複数台の前記エレベータを有する下段シャトルエレベータと、前記乗り継ぎ階より上で運行され複数台の前記エレベータを有する上段シャトルエレベータと、を備えたことを特徴とするエレベータシステム。
  3. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階より下で運行される前記エレベータの前記乗り継ぎ階への到着予測時間と、前記乗り継ぎ階より上で運行される前記エレベータの前記乗り継ぎ階への到着予測時間と、から乗り継ぎ号機の組を選定することを特徴とするエレベータシステム。
  4. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階への到着時間の制御は、上方向へ向かう利用人数が大きくなるほど、前記乗り継ぎ階より下で運行される前記エレベータの前記乗り継ぎ階への到着時間から前記乗り継ぎ階より上で運行される前記エレベータの前記乗り継ぎ階への到着時間までの差が小さくなるように行われることを特徴とするエレベータシステム。
  5. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階への到着時間の制御は、下方向へ向かう利用人数が大きくなるほど、前記乗り継ぎ階より下で運行される前記エレベータの前記乗り継ぎ階への到着時間から前記乗り継ぎ階より上で運行される前記エレベータの前記乗り継ぎ階への到着時間までの差が大きくなるように行われることを特徴とするエレベータシステム。
  6. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階より下で運行され複数台の前記エレベータを有する下段シャトルエレベータと、前記乗り継ぎ階より上で運行され複数台の前記エレベータを有する上段シャトルエレベータと、を備え、
    前記下段シャトルエレベータ及び前記上段シャトルエレベータのそれぞれにおいて、各前記エレベータかごが前記乗り継ぎ階へ到着する時間の間隔目標値を定め、定められた値となるように各前記エレベータかごの前記乗り継ぎ階へ到着する時間を制御することを特徴とするエレベータシステム。
  7. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階より下で運行され複数台の前記エレベータを有する下段シャトルエレベータと、前記乗り継ぎ階より上で運行され複数台の前記エレベータを有する上段シャトルエレベータと、を備え、
    前記下段シャトルエレベータ及び前記上段シャトルエレベータのそれぞれにおいて、各前記エレベータかごが前記乗り継ぎ階へ到着する時間の間隔目標値を定め、定められた値となるように各前記エレベータかごの前記乗り継ぎ階へ到着する時間を制御し、その後、前記エレベータかごの前記乗り継ぎ階への到着時間が制御されることを特徴とするエレベータシステム。
  8. 請求項1に記載のものにおいて、前記乗り継ぎ階より下で運行され複数台の前記エレベータを有する下段シャトルエレベータと、前記乗り継ぎ階より上で運行され複数台の前記エレベータを有する上段シャトルエレベータと、を備え、
    前記下段シャトルエレベータ及び前記上段シャトルエレベータのそれぞれにおいて、各前記エレベータかごが前記乗り継ぎ階へ到着する時間の間隔目標値を定め、定められた値となるように各前記エレベータかごの前記乗り継ぎ階へ到着する時間を制御し、
    前記乗り継ぎ階へ到着する時間の制御は、前記乗り継ぎ階への到着時間の制御よりも大きい重み付け加算をして行われることを特徴とするエレベータシステム。
  9. 請求項1に記載のものにおいて、前記各エレベータの乗り継ぎ階への到着時間の制御は、少なくとも各前記エレベータの開放時間、ドア開速度、ドア閉速度、乗りかごの速度、乗りかごの加速度のいずれかによって行われることを特徴とするエレベータシステム。
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