JP2010212058A - 固体電解質層の製造方法 - Google Patents

固体電解質層の製造方法 Download PDF

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幸久 片山
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Abstract

【課題】本発明は、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて固体電解質層を形成する際の、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制することができる固体電解質層の製造方法を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得る固体電解質層形成スラリー調製工程、および上記固体電解質層形成スラリーを用いて、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程を有することを特徴とする固体電解質層の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて固体電解質層を形成する際の、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制することができる固体電解質層の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶剤を溶媒とする有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。
これに対し、液体電解質を固体電解質に変えて、電池を全固体化した全固体型リチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
このような全固体リチウム二次電池には、正極層及び負極層(以下、単に電極層と称する場合がある)と、これらの間に配置される固体電解質層とが備えられ、電解質は、固体によって構成される。また、電極活物質のみを用いて粉末成形により電極層を構成する場合、電解質が固体であるため、電解質が電極層の内部へ浸透しにくく、電極活物質と電解質との界面が低減し、電池性能が低下してしまう。それゆえ、通常、電極活物質の粉末と電解質の粉末とを混合した混合粉末を含有する電極合剤を用いて電極層とすることにより、界面の面積を増大させている。
このような、全固体リチウム二次電池は固体によって構成されるため、可撓性、および加工性に乏しく、電解質層の薄型化・大面積化が困難であるという問題点を有していた。そのため、電池製造時における取り扱い性が悪いため、この点に関する改善が求められていた。
そこで、全固体リチウム二次電池に可撓性等を与えるために、例えば、特許文献1には、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて形成した固体電解質層の製造方法が開示されている。これは、上記結着剤ポリマーを含むことにより、可撓性を有し加工性に優れるものとしている。
特開2008−21416号公報 特開平10−3926号公報 特開2004−139853号公報 特許第2553588号公報
しかしながら、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて固体電解質層を形成した場合、硫化物系固体電解質材料が劣化してしまい、このような劣化した硫化物系固体電解質材料や、劣化した硫化物系固体電解質材料を用いて形成した固体電解質層等のリチウムイオン伝導率が低下してしまうという問題があった。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて固体電解質層を形成する際の、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制することができる固体電解質層の製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果、硫化物系固体電解質材料が劣化してしまう原因は、溶媒の極性等の影響で、硫化物系固体電解質材料が化学的に不安定な状態になり、溶媒と硫化物系固体電解質材料とが反応して劣化してしまったためであると考えられる。そこで、溶媒として、分子構造中に、硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒を用いることにより、硫化物系固体電解質材料が劣化を抑制し、リチウムイオン伝導率の低下を抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明においては、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得る固体電解質層形成スラリー調製工程、および上記固体電解質層形成スラリーを用いて、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程を有することを特徴とする固体電解質層の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記溶媒を用いることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した固体電解質層を得ることができる。
上記発明においては、上記溶媒がハロゲン系溶媒であることが好ましい。化学的な安定性に優れ、硫化物系固体電解質材料との反応性が低いからである。さらに、不燃性であり安全性に優れ、固体電解質層形成プロセスの安全性を向上させることもできるからである。
上記発明においては、上記ハロゲン系溶媒がフッ素系溶媒であることが好ましい。特に、化学的な安定性に優れ、硫化物系固体電解質材料との反応性が低いからである。
上記発明においては、上記結着剤ポリマーがSi、P、およびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。電気化学的な安定性が高く、固体電解質層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができるからである。
上記発明においては、結着剤ポリマーが、シリコーン系ポリマーであることが好ましい。効果的に、電気化学的な安定性を向上させることができるからである。
上記発明においては、上記結着剤ポリマーが不飽和結合を含まないことが好ましい。電気化学的な安定性が高く、固体電解質層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができるからである。
上記発明においては、上記固体電解質層形成スラリー調製工程に用いられる固体電解質層形成スラリー中における、上記結着剤ポリマー重量の、上記結着剤ポリマーおよび上記硫化物系固体電解質材料の合計重量に対するwt%(重量%)(結着剤ポリマー重量/(結着剤ポリマー重量+硫化物系固体電解質材料重量)×100)が、0.5〜5wt%の範囲内であり、かつ、上記結着剤ポリマーおよび上記硫化物系固体電解質材料の合計重量100重量部に対して、上記溶媒が、25〜250重量部の範囲内であることが好ましい。上記結着剤ポリマー重量の、上記結着剤ポリマーおよび上記硫化物系固体電解質材料の合計重量に対するwt%(重量%)が、上記範囲より多すぎると、固体電解質層のリチウムイオン伝導率が低下するおそれがあり、上記範囲より少なすぎると、固体電解質層の結着性が悪化するおそれがあるからである。また、上記結着剤ポリマーおよび上記硫化物系固体電解質材料の合計重量100重量部に対する、上記溶媒の重量部の範囲が、上記範囲より多すぎると、過剰な溶媒除去に多大な労力が必要になるおそれがあり、上記範囲より少なすぎると、加工時のハンドリング性が悪化するおそれがあるからである。
また、本発明においては、電極活物質と、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒中で混合することにより、電極層形成スラリーを得る電極層形成スラリー調製工程、および上記電極層形成スラリーを用いて、電極層を形成する電極層形成工程を有することを特徴とする電極層の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記溶媒を用いることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した電極層を得ることができる。
上記発明においては、上記溶媒がハロゲン系溶媒であることが好ましい。化学的な安定性に優れ、硫化物系固体電解質材料との反応性が低いからである。さらに、不燃性であり安全性に優れ、電極層形成プロセスの安全性を向上させることもできるからである。
上記発明においては、上記ハロゲン系溶媒がフッ素系溶媒であることが好ましい。特に、化学的な安定性に優れ、硫化物系固体電解質材料との反応性が低いからである。
上記発明においては、上記結着剤ポリマーがSi、P、およびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。電気化学的な安定性が高く、電極層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができるからである。
上記発明においては、上記結着剤ポリマーが、シリコーン系ポリマーであることが好ましい。効果的に、電気化学的な安定性を向上させることができるからである。
上記発明においては、上記結着剤ポリマーが不飽和結合を含まないことが好ましい。電気化学的な安定性が高く、電極層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができるからである。
また、本発明においては、上記固体電解質層の製造方法により得られた固体電解質層、もしくは上記電極層の製造方法により得られた電極層の少なくとも一方を用いて電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記固体電解質層の製造方法により得られた固体電解質層、もしくは上記電極層の製造方法により得られた電極層の少なくとも一方を用いることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した全固体リチウム二次電池を得ることができる。
本発明においては、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて固体電解質層を形成する際の、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した固体電解質層を得ることができるという効果を奏する。
本発明の固体電解質層の製造方法の一例を示す固体電解質層形成フロー図である。 本発明により得られる全固体リチウム二次電池の一例を模式的に示す概略断面図である。
A.固体電解質層の製造方法
本発明の固体電解質層の製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の固体電解質層の製造方法は、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒(以下、単に安定溶媒と称する場合がある。)中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得る固体電解質層形成スラリー調製工程、および上記固体電解質層形成スラリーを用いて、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記安定溶媒を用いることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した固体電解質層を得ることができる。また、固体電解質層形成プロセスの安全性を向上させることもできる。この理由を以下に示す。
従来は、可撓性を持たせるため、硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを、極性を有する一般的な溶媒に分散させて調製したスラリーを用いて固体電解質層を形成するが、硫化物系固体電解質材料は、極性溶媒、中極性溶媒に対して、化学的に不安定であるため、スラリー形成時に用いる溶媒の極性の影響で、硫化物系固体電解質材料が化学的に不安定な状態になり、溶媒と硫化物系固体電解質材料とが反応してしまう。そのため、硫化物系固体電解質材料のリチウムイオン伝導率が低下し、このような硫化物系固体電解質材料を用いて形成される固体電解質層のリチウムイオン伝導率も低下してしまう。
一方、本発明において用いられる上記安定溶媒は、溶媒の分子構造中に、Liイオンの引き抜き、および硫化物系固体電解質材料の結晶構造破壊を生じさせる極性基(硫化水素と反応する極性基)を有していない。このため、硫化物系固体電解質材料との反応性が非常に低く、安定溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制することができる。これにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応による硫化物系固体電解質材料のリチウムイオン伝導率の低下を抑制し、このような硫化物系固体電解質材料を用いて形成される固体電解質層のリチウムイオン伝導率の低下も抑制することができる。また、固体電解質層中に上記安定溶媒が残存した場合であっても、上記安定溶媒は電気化学的な安定性が高いため、リチウムイオン伝導率が低下するなどの悪影響を及ぼさない。
従って、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した固体電解質層を得ることができるのである。
具体的には図1に示すような固体電解質層形成フロー図に従って、次のような工程を経ることにより固体電解質層を得ることができる。
例えば、まず、メカニカルミリング工程において、硫化物系固体電解質材料原料粉末を、ポット内にボールと共に添加し、メカニカルミリングして、硫化物系固体電解質材料混合粉末を得る。
次に、硫化物系固体電解質材料形成工程において、硫化物系固体電解質材料混合粉末を、所定の温度、および時間で熱処理することにより、部分的に結晶化させて、硫化物系固体電解質材料を得る。
次に、固体電解質層形成スラリー調製工程において、上記硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒(例えば、ハロゲン溶媒)中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得る。
そして、固体電解質層形成工程において、上記固体電解質層形成スラリーを基材上に塗布する等した後、乾燥して、固体電解質層を得ることができる。
このような本発明の固体電解質層の製造方法は、少なくとも上記固体電解質層形成スラリー調製工程および上記固体電解質層形成工程を有する製造方法であれば、特に限定されるものではなく、その他の工程を有していても良い。
以下、本発明の固体電解質層の製造方法における、各工程について、詳細に説明する。
1.固体電解質層形成スラリー調製工程
本発明における固体電解質層形成スラリー調製工程とは、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒(安定溶媒)中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得る工程である。
本工程を経ることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制することができる固体電解質層形成スラリーを得ることができる。
本工程に用いられる上記安定溶媒としては、分子構造中に硫化物と反応する極性基がなく、上記結着剤ポリマーを溶解させることができるものであれば、特に限定されるものではない。また、この極性基が反応する硫化物としては、具体的には、本発明に用いられる硫化物固体電解質材料を挙げることができる。
ここで、硫化物と反応する極性基の具体例としては、水酸基、アミノ基、ピロリドン基、スルホキシド基、ケトン基、カルボニル基、アミド基、ニトロ基、環ヘテロ系官能基等を挙げることができる。本発明に用いることができる安定溶媒は、通常、このような官能基を有しないものである。一方、本発明に用いることができる安定溶媒としては、例えば、ハロゲン原子を分子構造中に含むハロゲン系溶媒等を挙げることができる。ハロゲン系溶媒は、化学的な安定性に優れ、硫化物系固体電解質材料との反応性が低く、さらに、不燃性であり安全性に優れるという利点を有する。本発明に用いられるハロゲン系溶媒としては、フッ素系溶媒、塩素系溶媒、フロン系溶媒および代替フロン系溶媒等を挙げることができる。本発明においては、中でも、フッ素原子を分子構造中に含むフッ素系溶媒であることが好ましい。特に、化学的な安定性に優れ、硫化物系固体電解質材料との反応性が低いからである。
上記フッ素系溶媒としては、例えばフルオロカーボン系溶媒等を挙げることができる。さらに、フッ素系溶媒の具体例としては、バートレル(登録商標、三井デュポンフロロケミカル社製)およびゼオローラ(登録商標、日本ゼオン社製)等を挙げることができる。また、上記塩素系溶媒としては、クロロカーボン系溶媒等を挙げることができる。さらに、塩素系溶媒の具体例としては、塩化メチレンおよびクロロホルム等を挙げることができる。
本工程に用いられる結着剤ポリマーとしては、全固体リチウム二次電池に用いられる硫化物系固体電解質材料などの材料同士を結着させる結着性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、通常は、上記安定溶媒に可溶なものが用いられる。
本発明においては、中でも、Si、P、およびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有する結着剤ポリマー、および不飽和結合を含まない結着剤ポリマーが好ましい。電気化学的な安定性が高く、固体電解質層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができるからである。
上記結着剤ポリマーがSi、P、およびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有する結着剤ポリマーである場合、具体的には、シリコーン系ポリマーおよびフォスファゼン系ポリマー(P、Nを含有するポリマー)等を挙げることができる。本発明においては、中でも、シリコーン系ポリマーであることが好ましい。効果的に、電気化学的な安定性を向上させることができるからである。
また、不飽和結合を含まない結着剤ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレンポリマー、スチレン−ブタジエンポリマー等を挙げることができる。
上記結着剤ポリマーの含有量としては、所望の可撓性および加工性を有し、かつリチウムイオン伝導率に優れた固体電解質層を得ることができる含有量であれば、特に限定されるものではない。具体的には、上記結着剤ポリマー重量の、上記結着剤ポリマーおよび上記硫化物系固体電解質材料の合計重量に対するwt%(重量%)(結着剤ポリマー重量/(結着剤ポリマー重量+硫化物系固体電解質材料重量)×100)が、例えば0.5〜5wt%の範囲内、中でも0.5〜2wt%の範囲内、特に0.5〜1wt%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より多すぎると、固体電解質層のリチウムイオン伝導率が低下するおそれがあり、上記範囲より少なすぎると、固体電解質層の結着性が悪化するおそれがあるからである。上記結着剤ポリマーは、ポリマーとして添加しても良いが、モノマーとして添加して、その後、重合等することにより、ポリマー化したものであっても良い。
上記結着剤ポリマーの分子量としては、数平均分子量が、具体的には1,000〜100,000の範囲内、中でも5,000〜80,000の範囲内、特に10,000〜65,000の範囲内であることが好ましい。数平均分子量が大きすぎると、結着剤ポリマーの溶解性、分散性が不十分になるおそれがあり、数平均分子量が小さすぎると、結着力が不十分になるおそれがあるからである。
なお、上記結着剤ポリマーは、硬化剤等で硬化させた後、上記安定溶媒中に添加しても良い。
本工程に用いられる硫化物系固体電解質材料としては、上記安定溶媒中で、上記結着剤ポリマーと混合することにより上記固体電解質層形成スラリーを得ることができるものであれば特に限定されるものではない。硫化物系固体電解質材料としては、例えば、ガラス系の硫化物系固体電解質材料および結晶系の硫化物系固体電解質材料を挙げることができる。ガラス系の硫化物系固体電解質材料としては、例えば、LiS−P材料、LiS−Sb材料、LiS−SiS材料、LiS−GeS材料およびLiS−B材料等を挙げることができる。さらに、ガラス系の硫化物系固体電解質材料は、架橋硫黄を有することが好ましい。イオン伝導性に優れているからである。ガラス系の硫化物系固体電解質材料の作製方法としては、例えば、ボールミル法等のメカニカルミリング法、および溶融急冷法等を挙げることができる。また、架橋硫黄を有するガラス系の硫化物系固体電解質材料は、原料の組成を適宜調整することにより得ることができる。
一方、結晶系の硫化物系固体電解質材料としては、例えば、チオリシコン材料、Li11等を挙げることができる。さらに、チオリシコン材料としては、例えば、Li−Ge−P−S材料、Li−P−S材料、Li−Si−P−S材料等を挙げることができる。チオリシコン材料の作製方法としては、例えば、固相法等を挙げることができる。
上記硫化物系固体電解質材料の形状としては、上記結着剤ポリマーと混合することができるものであれば特に限定されるものではないが、通常微粒子状である。上記微粒子の形状としては、例えば球状、楕円球状等であることが好ましい。上記硫化物系固体電解質材料が微粒子である場合の平均粒子径としては、例えば100μm以下とすることができ、中でも0.1〜20μmの範囲内、特に1〜10μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明において、上記硫化物系固体電解質材料の平均粒子径はSEM等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。
また、上記硫化物系固体電解質材料の形成方法としては、例えば、後述するメカニカルミリング工程および硫化物系固体電解質材料形成工程等を経ることにより得ることができる。
また、本工程においては、上記硫化物系固体電解質材料および上記結着剤ポリマー以外に、例えば硬化剤等を上記安定溶媒に添加して、固体電解質層形成スラリーとしても良い。
上記安定溶媒中の上記硫化物系固体電解質材料および上記結着剤ポリマーの含有量としては、少なくとも、上記硫化物系固体電解質材料と上記結着剤ポリマーとが上記安定溶媒中で混合された上記固体電解質層形成スラリーを得ることができる含有量であれば特に限定されるものではない。
具体的には、上記結着剤ポリマーおよび上記硫化物系固体電解質材料の合計重量100重量部に対して、上記安定溶媒が、例えば25〜250重量部の範囲内、中でも100〜200重量部の範囲内であることが好ましい。であることが好ましい。上記範囲より多すぎると、過剰な溶媒除去に多大な労力が必要になるおそれがあり、上記範囲より少なすぎると、加工時のハンドリング性が悪化するおそれがあるからである。
上記固体電解質層形成スラリーを調製する具体的な方法としては、少なくとも硫化物系固体電解質材料と結着剤ポリマーとを、上記安定溶媒中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得ることができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、結着剤ポリマーを硬化剤と共にヘプタンに溶かし、結着剤ポリマーを硬化させて、溶液とし、この溶液をハロゲン系溶媒中に攪拌しながら滴下し、分散させ、ここに、硫化物系固体電解質材料を添加し、充分に攪拌する方法等を挙げることができる。
2.固体電解質層形成工程
本発明における固体電解質層形成工程とは、上記固体電解質層形成スラリーを用いて、固体電解質層を形成する工程である。
本工程を経ることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制することにより硫化物系固体電解質材料の劣化を防止し、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した固体電解質層を得ることができる。
本工程において、固体電解質層を形成する方法としては、上記固体電解質層形成スラリーを用いて、固体電解質層を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、基材上に、固体電解質層形成スラリーを塗布等し、乾燥させる方法等を挙げることができる。
上記固体電解質層形成スラリーの塗布等を行う際に用いられる、上記基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属箔、テフロン(登録商標)シート等の剥離可能な基材、一般的に用いられる電極層、後述する「B.電極層の製造方法」により得られた電極層等を用いることができる。
上記テフロン(登録商標)シート等の剥離可能な基材を用いた場合は、基材から固体電解質層部分を剥離することにより、固体電解質層を得ることができる。
3.その他工程
本発明においては、例えば、上述した固体電解質層形成スラリー調製工程、および結合処理工程以外に、必要に応じて、その他工程を有していても良い。具体的には、硫化物系固体電解質材料混合粉末を得るためのメカニカルミリング工程、この硫化物系固体電解質材料混合粉末を部分的に結晶化させることにより、硫化物系固体電解質材料を得るための硫化物系固体電解質材料形成工程、上記固体電解質層形成工程で得られた固体電解質層に圧力を加える圧粉工程等を挙げることができる。
以下、メカニカルミリング工程、硫化物系固体電解質材料形成工程、圧粉工程等のその他工程について詳細に説明する。
(1)メカニカルミリング工程
本工程は、硫化物系固体電解質材料原料粉末をメカニカルミリングして、硫化物系固体電解質材料混合粉末を得る工程である。
本工程を経ることにより、硫化物系固体電解質材料原料粉末が均一に混合された硫化物系固体電解質材料混合粉末を得ることができる。なお、メカニカルミリング工程で得られた硫化物系固体電解質材料混合粉末は、硫化物系固体電解質材料原料粉末を単に混合したものではなく、機械的エネルギーによる合成反応を伴って混合したものである。また、本発明においては、本工程で得られる硫化物系固体電解質材料混合粉末を、そのまま、上述した硫化物系固体電解質材料として用いても良く、後述するように、硫化物系固体電解質材料混合粉末に熱処理を加えたものを、上述した硫化物系固体電解質材料として用いても良い。
本工程に用いられる硫化物系固体電解質材料原料粉末としては、硫化物系固体電解質材料を得ることができるものであれば、特に限定されるものではなく、得ようとする硫化物系固体電解質材料の種類に応じて、適宜選択することができる。具体的には、上述した硫化物系固体電解質材料の各種原料を挙げることができる。
本工程においては、上記硫化物系固体電解質材料原料粉末以外に、その他添加剤を添加しても良い。添加剤の一例としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBOおよびLiAlOからなる群から選択される少なくとも1種のオルトオキソ酸リチウムを挙げることができる。このようなオルトオキソ酸リチウムを加えることで、より安定な硫化物系固体電解質を得ることができる。また、添加剤の添加量は、目的とする硫化物系固体電解質材料を得ることができる程度の量であれば特に限定されるものではない。
上記メカニカルミリングの方法としては、硫化物系固体電解質材料原料粉末が均一に混合された硫化物系固体電解質材料混合粉末を得ることができるものであれば、特に限定されない。例えば、ボールミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。効率良く硫化物系固体電解質材料混合粉末を得ることができるからである。
上記メカニカルミリングの各種条件は、所望の、硫化物系固体電解質材料混合粉末を得ることができる程度に設定することが好ましく、メカニカルミリングの種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、遊星型ボールミルにより上記硫化物系固体電解質混合粉末を得る場合、通常、ポット内に、硫化物系固体電解質材料原料粉末および粉砕用ボールを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。遊星型ボールミルを行う際の回転数としては、例えば50rpm〜500rpmの範囲内、中でも100rpm〜300rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、硫化物系固体電解質材料原料粉末が均一に混合された硫化物系固体電解質材料混合粉末を得ることができるものであれば、特に限定されない。
なお、本工程により得られる硫化物系固体電解質材料混合粉末は、硫化物系固体電解質材料原料粉末が均一に混合されたものであるが、通常、アモルファス部分を有しているものである。
(2)硫化物系固体電解質材料形成工程
本工程は、上記メカニカルミリング工程で得られた硫化物系固体電解質材料混合粉末を熱処理することにより、部分的に結晶化させて、硫化物系固体電解質材料を得る工程である。
本工程を経ることによっても、上記固体電解質層形成スラリー調製工程に用いられる硫化物系固体電解質材料を得ることができる。
上記熱処理する方法としては、上記硫化物系固体電解質材料混合粉末を、部分的に結晶化させて、上記硫化物系固体電解質材料を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、上記硫化物系固体電解質材料混合粉末を不活性雰囲気中で、所定の温度および時間で加熱する方法等を挙げることができる。
上記熱処理する際の、雰囲気、温度、および時間等の熱処理条件としては、上記硫化物系固体電解質材料混合粉末の形成条件、すなわち、上記メカニカルミリングの種類、上記メカニカルミリングの条件、上記硫化物系固体電解質材料原料粉末の種類等によっても変化するものであり、所望の熱処理ができる条件であれば特に限定されるものではなく、予備実験等を行うことにより、適宜設定することができる。
(3)圧粉工程
本工程は、上記固体電解質層形成工程により得られた固体電解質層に圧力を付加する工程である。
本工程を経ることにより、固体電解質層中の空隙を減らし、固体電解質層中の硫化物系固体電解質材料同士の接触面積を増加させ、固体電解質層の性能をさらに向上させることができる。
上記固体電解質層に、圧力を付加する方法としては、固体電解質層中の空隙を減らして、固体電解質層の性能をさらに向上させることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、通常用いられているような加圧装置等を用いて行うことができる。
また、付加する圧力は、固体電解質層中の空隙を減らして、固体電解質層の性能を向上させることができる圧力であれば、特に限定されるものではない。
(4)その他工程
また、上記メカニカルミリング工程前に、例えば、硫化物系固体電解質材料原料粉末を、メノウ乳鉢等を用いて混合する、硫化物系固体電解質材料原料粉末調製工程を有していても良い。また、メカニカルミリング工程を行う前に、硫化物系固体電解質材料原料粉末の予備混合(プレミキシング)を行う予備混合工程等を有していても良い。
4.その他
本発明の製造方法により得られる固体電解質層は、例えば、全固体型リチウム電池用の固体電解質層として有用である。
B.電極層の製造方法
本発明の電極層の製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の電極層の製造方法は、電極活物質と、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒(安定溶媒)中で混合することにより、電極層形成スラリーを得る電極層形成スラリー調製工程、および上記電極層形成スラリーを用いて、電極層を形成する電極層形成工程を有することを特徴とするものである。
全固体リチウム二次電池においては、電極活物質のみを用いて粉末成形により電極層を構成する場合、電解質が固体であるため、電解質が電極層の内部へ浸透しにくく、電極活物質と電解質との界面が低減し、電池性能が低下してしまう。それゆえ、通常、電極活物質の粉末と電解質の粉末とを混合した混合粉末を含有する電極合剤を用いて電極層とすることにより、界面の面積を増大させている。
本発明によれば、このような電極合剤を用いた電極層において、電解質として硫化物系固体電解質材料を用いた場合に、上記「A.固体電解質層の製造方法」に記載したように、上記安定溶媒を用いることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した電極層を得ることができる。また、電極層形成プロセスの安全性を向上させることもできる。
なお、本発明においては、後述するように、電極活物質として、正極活物質を用いた場合は、正極層を得ることができる。また、電極活物質として、負極活物質を用いた場合は、負極層を得ることができる。
具体的には、次のような工程を経ることにより電極層を得ることができる。
例えば、まず、メカニカルミリング工程により、硫化物系固体電解質材料混合粉末を得る。次に、硫化物系固体電解質材料形成工程により、硫化物系固体電解質材料を得る。
次に、電極層形成スラリー調製工程において、電極活物質と、上記硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとをハロゲン系溶媒中で混合することにより、電極層形成スラリーを得る。
そして、電極層形成工程において、上記電極層形成スラリーを基材上に塗布する等した後、乾燥させて、電極層を得ることができる。
このような本発明の電極層の製造方法は、少なくとも上記電極層形成スラリー調製工程および上記電極層形成工程を有する製造方法であれば、特に限定されるものではなく、その他の工程を有していても良い。
以下、本発明の電極層の製造方法における、各工程について、詳細に説明する。
1.電極層形成スラリー調製工程
本発明における電極層形成スラリー調製工程とは、電極活物質と、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを上記安定溶媒中で混合することにより、電極層形成スラリーを得る工程である。
本工程を経ることにより、上述したように、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制することのできる電極層形成スラリーを得ることができる。
本工程に用いられる、電極活物質としては、上記硫化物系固体電解質材料と反応しにくいものであれば、特に限定されるものではない。
通常は、上記硫化物系固体電解質材料と反応しにくいものが用いられる。
具体的には、電極活物質が正極活物質の場合は、正極活物質として、例えばLiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等を挙げることができる。また、電極活物質が負極活物質の場合は、負極活物質として、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。さらに、金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
上記電極活物質の形状としては、上記硫化物系固体電解質材料および上記結着剤ポリマーと共に混合可能な形状であれば特に限定されるものではないが、通常微粒子状である。上記微粒子の形状としては、例えば球状、楕円球状等であることが好ましい。
上記電極活物質が微粒子である場合の平均粒子径としては、例えば100μm以下とすることができ、中でも0.1〜20μmの範囲内、特に1〜10μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明において、上記電極活物質の平均粒子径はSEM等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。
上記電極層中の電極活物質の含有量としては、二次電池とした際に充分なリチウムイオンを吸蔵放出することができる電極層を形成することができる含有量であれば、特に限定されるものではなく、全固体リチウム二次電池に通常用いられる、硫化物系固体電解質材料と電極活物質とを有する電極層と同程度の含有量とすることができる。
具体的には、上記電極層中の電極活物質の体積分率が20〜80vol%であることが好ましい。
また、本工程においては、上記電極層形成スラリーを形成することができるものであれば、上述した電極活物質、硫化物系固体電解質材料、および結着剤ポリマー以外に、導電性を向上させるための導電助剤、硬化剤、ヘプタン等の溶剤、分散剤等を上記安定溶媒に添加して、電極層形成スラリーとしても良い。
上記導電助剤としては、上記電極層形成スラリーを形成することが可能で、電極層の導電性を向上することができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。
電極層形成スラリーを調製する具体的な方法としては、少なくとも電極活物質と、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、安定溶媒中で混合することにより、電極層形成スラリーを得ることができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、結着剤ポリマーを硬化剤と共にヘプタンに溶かし、結着剤ポリマーを硬化させて溶液とし、この溶液をハロゲン系溶媒中に攪拌しながら滴下し、分散させ、ここに、電極活物質および硫化物系固体電解質材料を添加し、充分に攪拌する方法等を挙げることができる。
本工程についての、その他詳細については、「A.固体電解質層の製造方法 1.固体電解質層形成スラリー調製工程」に記載のものと同様であるので、省略する。
2.電極層形成工程
本発明における電極層形成工程とは、上記電極層形成スラリーを用いて、電極層を形成する工程である。
本工程を経ることにより、上述したように、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した電極層を得ることができる。
本工程は、電極層形成スラリーを用いて、電極層を形成するが、通常、所定の基材上に、電極層形成スラリーを塗布等し、これを乾燥等して電極層を得ることができる。
このような塗布等を行う際に用いられる、上記基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、集電体の機能を有する金属箔、テフロン(登録商標)シート等の剥離可能な基材、一般的に用いられる固体電解質層、上記「A.固体電解質層の製造方法」で得られた固体電解質層等を用いることもできる。
上記テフロン(登録商標)シート等の剥離可能な基材を用いた場合は、基材から電極層部分を剥離することにより、電極層を得ることができる。
本工程についての、その他詳細については、「A.固体電解質層の製造方法 2.固体電解質層形成工程」に記載したものと同様であるので、省略する。
3.その他工程
本発明においては、本発明に必須の工程である上記電極層形成スラリー調製工程、および上記電極層形成工程の他に、メカニカルミリング工程、硫化物系固体電解質材料形成工程、圧粉工程等を有していても良い。
これら、その他工程の詳細については、「A.固体電解質層の製造方法 3.その他工程」に記載のものと同様であるので、ここでの記載は、省略する。
なお、本発明においては、上記電極活物質を上記メカニカルミリング工程時にあらかじめ、添加しておいても良いが、通常は、上述した電極層形成スラリー調製工程において、または、電極層形成スラリー調製工程の後、添加することが好ましい。メカニカルミリングにより電極活物質の性能が低下するのを防止することができるからである。また、電極層形成スラリー調製工程の後、上記電極活物質を添加する場合、通常、添加後に上記電極活物質を電極層形成スラリーに混合させるための混合工程を行う。
4.その他
本発明の製造方法により得られる電極層は、例えば、全固体型リチウム電池用の電極層として有用である。
C.全固体リチウム二次電池の製造方法
本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法は、上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層、もしくは上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層の少なくとも一方を用いて電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とする製造方法である。
本発明によれば、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した上記固体電解質層、もしくは溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した上記電極層電極層の少なくとも一方を用いることにより、電池性能を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる。
より具体的には、固体電解質層として上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層を用い、電極層として通常用いられる一般的な電極層を用いて、電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とするもの(第1実施態様)と、電極層として上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層を用い、固体電解質層として通常用いられる一般的な固体電解質層を用いて、電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とするもの(第2実施態様)と、固体電解質層および電極層として上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層および上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層を用いて電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とするもの(第3実施態様)との3つの実施態様を挙げることができる。
以下、各態様に分けて、本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法について詳細に説明する。
1.第1実施態様
本実施態様の全固体リチウム二次電池の製造方法は、固体電解質層として上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層を用い、電極層として通常用いられる一般的な電極層を用いて、電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とするものである。
本実施態様によれば、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した全固体リチウム二次電池を得ることができる。
本実施態様においては、例えば、まず、「A.固体電解質層の製造方法」において、基材として、テフロン(登録商標)シート等の剥離可能な基材を用いて、基材上に形成された固体電解質層から基材を取り除いて、固体電解質層を得た場合は、通常、正極層を上記固体電解質層上に形成し、負極層を上記固体電解質層の他方、すなわち、正極層と反対側に形成して、固体電解質層、正極層、および負極層からなる電池素子を得る電池素子形成工程、上記正極層上に正極集電体を形成する正極集電体形成工程、上記負極層上に負極集電体を形成する負極集電体形成工程、上記電池素子が上記正極集電体と上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース等に挿入して電池とする電池組立工程等を有する。
また、本実施態様においては、上記固体電解質層を用いて形成された電池素子を有する全固体リチウム二次電池を得ることができれば、上述したような各工程を同時に行ったり、工程の順番を変更したりするなどしても良く、その他工程を有していても良い。
次に、本実施態様により得られる全固体リチウム二次電池について、図面を用いて説明する。図2は、本実施態様における全固体リチウム二次電池の一例を模式的に示す概略断面図である。図2に示される全固体リチウム二次電池は、「A.固体電解質層の製造方法」において得られた固体電解質層1、固体電解質層1を挟持する正極層2、および負極層3、からなる電池素子4と、正極層2上に形成された正極集電体5と、負極層3上に形成された負極集電体6と、さらに、これらを覆うように電池ケース7とが配されているものである。
このような全固体リチウム二次電池の製造方法は、少なくとも、上述した電池素子形成工程を有する製造方法であれば、特に限定されるものではなく、上述した正極集電体形成工程、負極集電体形成工程、電池組立工程等のその他工程を有していても良い。
以下、本実施態様の全固体リチウム二次電池の製造方法における、各工程について、詳細に説明する。
(1)電池素子形成工程
本発明における電池素子形成工程とは、固体電解質層として上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層を用い、電極層として通常用いられる一般的な電極層を用いて、電池素子を形成する工程である。
本工程における上記正極層に用いられる正極材料としては、一般的な全固体リチウム二次電池に用いられる材料と同様のものを使用することができる。例えば、Liを含有する金属酸化物、Liおよび酸素を含有する金属リン化物、Liおよび酸素を含有する金属ホウ化物等の正極活物質を挙げることができる。また、正極活物質と一般的に用いられる固体電解質材料とを混合することにより正極用合剤としたもの等を用いても良い。
また、必要に応じて、導電性を向上させるために、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の導電助剤を含有していても良い。
また、本工程における上記負極層に用いられる負極材料としては、一般的な全固体リチウム二次電池に用いられる材料と同様のものを使用することができる。例えば、負極としての機能を有する金属箔等の負極材料のみからなるもの、負極活物質(例えば、黒鉛)と一般的に用いられる固体電解質材料とを混合することにより負極用合剤としたもの等を挙げることができる。
また、必要に応じて、導電性を向上させるために、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の導電助剤を含有していても良い。
本工程において電池素子を形成する具体的方法については、固体電解質層として上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層を用い、電極層として通常用いられる一般的な電極層を用いて、電池素子を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、正極層を上記固体電解質層上に形成し、負極層を上記固体電解質層の他方、すなわち、正極層と反対側に形成して、固体電解質層、正極層、および負極層からなる電池素子を形成する方法等を挙げることができる。
(2)その他工程
本発明においては、本発明に必須の工程である上記電池素子形成工程の他に、通常、さらに、上述したような、正極層形成工程、負極層形成工程、正極集電体形成工程、負極集電体形成工程、電池組立工程等のその他工程を有する。
これらの工程については、一般的な全固体リチウム二次電池における工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、上記その他工程に用いられる正極集電体、負極集電体、電池ケース等について説明する。
上記正極集電体とは、正極層の集電を行うものである。上記正極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばアルミニウム、SUS、ニッケル、鉄およびチタン等を挙げることができ、中でもアルミニウムおよびSUSが好ましい。さらに、上記正極集電体は、緻密質集電体であっても良く、多孔質集電体であっても良い。
また、上記負極集電体とは、上記負極層の集電を行うものである。上記負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅、ステンレス、ニッケル等を挙げることができ、中でも銅が好ましい。さらに、上記負極集電体は、緻密質集電体であっても良く、多孔質集電体であっても良い。
上記電池ケースとしては、一般的には、金属製のものが用いられ、例えばステンレス製のもの等が挙げられる。また、上記電池ケースは、集電体の機能を兼ね備えたものであっても良い。具体的には、SUS(ステンレス鋼)製の電池ケースを用意し、その一部を集電体として用いる場合等を挙げることができる。
2.第2実施態様
本実施態様の全固体リチウム二次電池の製造方法は、電極層として上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層を用い、固体電解質層として通常用いられる一般的な固体電解質層を用いて、電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とするものである。
本実施態様によれば、上記電極層を用いることにより、電池性能を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる。
本実施態様においては、例えば、まず、「B.電極層の製造方法」において、基材として、一般的に用いられている固体電解質層を用いて、この固体電解質層上の一方の面上に正極層を形成した場合は、さらに、この固体電解質層の他方の面上に「B.電極層の製造方法」を用いて負極層を形成して、固体電解質層、正極層、および負極層からなる電池素子を得る電池素子形成工程、上記正極層上に正極集電体を形成する正極集電体形成工程、上記負極層上に負極集電体を形成する負極集電体形成工程、上記電池素子が上記正極集電体と上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース等に挿入して電池とする電池組立工程等を有する。
また、本実施態様においては、電極層のうち、少なくとも正極層および負極層のいずれか一方を上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層としていれば良い。このため、正極層を「B.電極層の製造方法」により形成した場合は、負極層の方は一般的に用いられる負極材料を用いて負極層を形成する負極層形成工程を行って形成しても良い。また、負極層を「B.電極層の製造方法」により形成した場合は、正極層の方は一般的に用いられる正極材料を用いて正極層を形成する正極層形成工程を行って形成しても良い。
本工程に用いられる上記固体電解質層に用いられる固体電解質材料としては、特に限定されるものではなく、一般的な全固体リチウム二次電池に用いられるものと同様のものを用いることができる。例えば酸化物系固体電解質、硫化物系結晶化ガラス、チオリシコン、塩化物系固体電解質、フッ化物系固体電解質等を挙げることができる。
その他詳細については、上述した「C.全固体リチウム二次電池の製造方法 1.第1実施態様」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
3.第3実施態様
本実施態様の全固体リチウム二次電池の製造方法は、固体電解質層および電極層として上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層、および上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層を用いて電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とするものである。
本実施態様によれば、上記固体電解質層、および電極層を用いることにより、リチウムイオン伝導率が向上することにより、電池性能に優れた全固体リチウム二次電池を得ることができる。
本実施態様においては、例えば、まず、「A.固体電解質層の製造方法」において、基材として、テフロン(登録商標)シート等の剥離可能な基材を用いて、基材上に形成された固体電解質層から、基材を取り除いて固体電解質層を得た場合は、この固体電解質の一方の面上に「B.電極層の製造方法」を用いて正極層を形成して、さらに、この固体電解質層の他方の面上に「B.電極層の製造方法」を用いて負極層を形成して、固体電解質層、正極層、および負極層からなる電池素子を得る電池素子形成工程、上記正極層上に正極集電体を形成する正極集電体形成工程、上記負極層上に負極集電体を形成する負極集電体形成工程、上記電池素子が上記正極集電体と上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース等に挿入して電池とする電池組立工程等を有する。
その他詳細については、上述した「C.全固体リチウム二次電池の製造方法 1.第1実施態様」および「C.全固体リチウム二次電池の製造方法 2.第2実施態様」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
4.その他
本発明により得られる全固体リチウム二次電池の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車用のリチウム二次電池等として、用いることができる。
また、本発明により得られる全固体リチウム二次電池の形状は、コイン型、ラミネート型、円筒型、角型等を挙げることができ、中でも角型、ラミネート型が好ましく、特にラミネート型が好ましい。
なお、本発明においては、上記第3実施態様であることが好ましい、固体電解質層および電極層を、上記の「A.固体電解質層の製造方法」により得られた固体電解質層および上記の「B.電極層の製造方法」により得られた電極層とすることにより、より効果的に、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した上記全固体リチウム二次電池を得ることができるからである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
以下の実施例および、比較例においては、特に示した場合を除き、全て作業はアルゴンガス充填グローブボックス内で行った。また、使用される材料は、全て使用前に120℃で24時間真空乾燥を行い、使用する溶媒もモレキュラーシーブにて水分量10ppmを確認したものを用いた。
[実施例1]
(硫化物固体電解質材料形成)
硫化リチウム(三津和化学薬品製、純度99.9%)7.0g、および五硫化二リン(Aldrich製、純度99%)3.0gをメノウ乳鉢でプレミキシング後に、乾式メカニカルミリングで300rpm、20時間の条件により、均一に混合することにより、硫化物固体電解質材料混合粉末を得た。これを、290℃で、2時間熱処理することにより、硫化物固体電解質材料を得た。
(固体電解質層形成)
次に、固体電解質層形成スラリーを調製するため、結着剤ポリマーとして、電気化学的安定性の非常に高いシリコーン系ポリマーであるKE−1417(信越シリコーン社製)を選択した。KE−1417(信越シリコーン社製)1.0gを硬化剤と共にヘプタン9.0gに溶かして10wt%の溶液とした後、この溶液1.0gを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒(ハロゲン系溶媒(バートレルXF、三井デュポンフロロケミカル社製))9.0g中に攪拌しながら滴下して、分散させて結着剤ポリマー分散溶液を得た。この分散溶液の分散状態は不安定であったため、分散後約10分以内に、以下のキャストまで行った。すなわち、上記結着剤ポリマー分散溶液5.0gに上記硫化物固体電解質材料5.0gを添加((結着剤ポリマー重量/(結着剤ポリマー重量+硫化物系固体電解質材料重量)×100)=1wt%に相当)して、分散させ、充分に攪拌してから、SUS箔上で、太佑機材製4面アプリケータを用いてギャップ間100μmでキャストした。この後、乾燥させ、約1cmサイズに切り抜いた。この後、専用冶具にて、1cmサイズで圧粉(40kN/cm)して、固体電解質層を得た。
[実施例2]
結着剤ポリマーとして、電気化学的安定性の高いスチレン−ブタジエンポリマーであるSBR−A(JSR社製)を選択し、硬化剤を用いず、結着剤ポリマー分散溶液の分散状態が不安定であるため、結着剤ポリマー分散溶液を得た後の操作(キャストまでの操作)を約20分以内に行った以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を得た。
[実施例3]
硬化剤を用いず、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒(ハロゲン系溶媒)として、ゼオローラH(日本ゼオン社製)を用い、結着剤ポリマー分散溶液の分散状態が不安定であるため、結着剤ポリマー分散溶液を得た後の操作(キャストまでの操作)を約30分以内に行った以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を得た。
[比較例1]
結着剤ポリマーとして、極性の高いポリビニルアルコール(アルドリッチ社製)を選択し、このポリビニルアルコール(アルドリッチ社製)1.0gをアセトン9.0gに溶かして10wt%の溶液とし、この溶液1.0gをヘプタン溶媒に攪拌し、分散させて結着剤ポリマー分散溶液を得た後、すぐに結着剤ポリマー分散溶液を得た後の操作(キャストまでの操作)を行った以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を得た。
比較例1においては、結着剤ポリマー分散溶液中に上記硫化物系固体電解質材料を添加した時点で、発泡反応が起こり、硫化物系固体電解質材料の表面の色が黄色から黄褐色に変化していることが確認された。
[比較例2]
結着剤ポリマーとして、低結晶性PVdF(クレハ社製)を選択し、この低結晶性PVdF(クレハ社製)1.0gをジエチルエーテル(関東化学社製)9.0gに高温で溶かして10wt%の溶液とし、この溶液1.0gをヘプタン溶媒に攪拌し、分散させて結着剤ポリマー分散溶液を得た後、すぐに結着剤ポリマー分散溶液を得た後の操作(キャストまでの操作)を行った以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を得た。
[評価]
(リチウムイオン伝導率測定)
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、および比較例2で得られた固体電解質層を用いて、リチウムイオン伝導率測定を行った。測定装置としては、ソーラトロン社製ポテンショスタットを使用した。
また、実施例1において、硫化物固体電解質材料混合粉末を、290℃で、2時間熱処理することにより得られた硫化物固体電解質材料を、単に圧粉してペレット状とした硫化物固体電解質材料のみからなる固体電解質層のリチウムイオン伝導率測定を行った。
(膜厚、結着状態評価)
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、および比較例2中で得られた固体電解質層を用いて、固体電解質層の膜厚測定、結着状態の確認を行った。
(電気化学安定性評価)
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、および比較例2中で得られた固体電解質層を用いて、対電極型でCV掃引を行い、さらに、CV掃引を行った後、リチウムイオン伝導率測定を行うことにより、電気化学安定性を評価した。
リチウムイオン伝導率測定を行った結果、単に圧粉してペレット状とした硫化物固体電解質材料のみからなる固体電解質層では、1.80×10−3S/cm(100kHz)であった。また、実施例1で得られた固体電解質層では、9.01×10−4S/cmであった。また、実施例2で得られた固体電解質層では、8.51×10−4S/cmであった。また、実施例3で得られた固体電解質層では、9.10×10−4S/cmであった。また、比較例1で得られた固体電解質層では、1.09×10−6S/cmであった。また、比較例2で得られた固体電解質層では、1.52×10−4S/cmであった。実施例で得られた固体電解質層においては、単に圧粉してペレット状とした硫化物固体電解質材料のみからなる固体電解質層と比較しても、リチウムイオン伝導率は、充分高いものであったが、比較例で得られた固体電解質層においては、大幅にリチウムイオン伝導率は低下していた。このように、実施例で得られた固体電解質層は、比較例で得られた固体電解質層と比較して、高いリチウムイオン伝導率を示した。
また、実施例1の固体電解質層の膜厚は、55μmであり、結着状態は良好であることが確認された。また、実施例2の固体電解質層の膜厚は、62μmであり、結着状態は良好であることが確認された。また、実施例3の固体電解質層の膜厚は、38μmであり、結着状態は良好であることが確認された。また、比較例1の固体電解質層の膜厚は、72μmであり、非常に脆く、結着状態は良好ではないことが確認された。また、比較例2の固体電解質層の膜厚は、72μmであり、非常に脆く、結着状態は良好ではないことが確認された。
また、実施例1の固体電解質層の電気化学安定性は高く、CV掃引を行った場合、−1.0V〜4.3Vまで反応ピークは現れず、CV掃引後のリチウムイオン伝導率は、CV掃引前のリチウムイオン伝導率と比較しても変化はなかった。また、実施例2の固体電解質層の電気化学安定性は比較的高く、CV掃引を行った場合、−1.0V〜2.2Vまで反応ピークは現れなかったが、さらに、4.3VまでCV電圧を上げた場合には、酸化反応と見られるピークが発生した。また、CV掃引後のリチウムイオン伝導率は、CV掃引前のリチウムイオン伝導率と比較して約1/2であった。また、実施例3の固体電解質層の電気化学安定性は高く、CV掃引を行った場合、−1.0V〜4.3Vまで反応ピークは現れず、CV掃引後のリチウムイオン伝導率は、CV掃引前のリチウムイオン伝導率と比較しても変化はなかった。
一方、比較例1の固体電解質層の電気化学安定性は非常に低く、CV掃引を行った場合、−1.0V付近で既に酸化反応が生じているピークが確認された。また、CV掃引後のリチウムイオン伝導率も、CV掃引前のリチウムイオン伝導率と比較して、10分の1程度まで低下した。また、比較例2の固体電解質層の電気化学安定性は非常に低く、CV掃引を行った場合、−1.0V付近で既に酸化反応が生じているピークが確認された。また、CV掃引後のリチウムイオン伝導率も、CV掃引前のリチウムイオン伝導率と比較して、3分の1程度まで低下した。
以上の結果から、実施例においては、分子構造中に、硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒を用いることにより、溶媒と硫化物系固体電解質材料との反応を抑制して、リチウムイオン伝導率の低下を抑制した固体電解質層を得ることができた。また、溶媒をハロゲン系溶媒とし、不燃性のものとすることにより、固体電解質層形成プロセスの安全性を向上させることもできた。さらに、無機系材料を含有する結着剤ポリマーを用いることにより、電気化学的な安定性が向上し、固体電解質層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができた。また、不飽和結合を含まない結着剤ポリマーを用いることにより、電気化学的な安定性が向上し、固体電解質層のリチウムイオン伝導率を長期間維持可能なものとすることができた。
1 … 本発明により得られた固体電解質層
2 … 正極層
3 … 負極層
4 … 電池素子
5 … 正極集電体
6 … 負極電極体
7 … 電池ケース

Claims (14)

  1. 硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒中で混合することにより、固体電解質層形成スラリーを得る固体電解質層形成スラリー調製工程、および前記固体電解質層形成スラリーを用いて、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程を有することを特徴とする固体電解質層の製造方法。
  2. 前記溶媒がハロゲン系溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質層の製造方法。
  3. 前記ハロゲン系溶媒がフッ素系溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解質層の製造方法。
  4. 前記結着剤ポリマーが、ケイ素(Si)、リン(P)、および窒素(N)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の固体電解質層の製造方法。
  5. 前記結着剤ポリマーが、シリコーン系ポリマーであることを特徴とする請求項4に記載の固体電解質層の製造方法。
  6. 前記結着剤ポリマーが不飽和結合を含まないことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の固体電解質層の製造方法。
  7. 前記固体電解質層形成スラリー調製工程に用いられる固体電解質層形成スラリー中における、前記結着剤ポリマー重量の、前記結着剤ポリマーおよび前記硫化物系固体電解質材料の合計重量に対するwt%(重量%)(結着剤ポリマー重量/(結着剤ポリマー重量+硫化物系固体電解質材料重量)×100)が、0.5〜5wt%の範囲内であり、かつ、前記結着剤ポリマーおよび前記硫化物系固体電解質材料の合計重量100重量部に対して、前記溶媒が、25〜250重量部の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の固体電解質層の製造方法。
  8. 電極活物質と、硫化物系固体電解質材料と、結着剤ポリマーとを、分子構造中に硫化物と反応する極性基を含まない化合物からなる溶媒中で混合することにより、電極層形成スラリーを得る電極層形成スラリー調製工程、および前記電極層形成スラリーを用いて、電極層を形成する電極層形成工程を有することを特徴とする電極層の製造方法。
  9. 前記溶媒がハロゲン系溶媒であることを特徴とする請求項8に記載の電極層の製造方法。
  10. 前記ハロゲン系溶媒がフッ素系溶媒であることを特徴とする請求項9に記載の電極層の製造方法。
  11. 前記結着剤ポリマーがケイ素(Si)、リン(P)、および窒素(N)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれかの請求項に記載の電極層の製造方法。
  12. 前記結着剤ポリマーが、シリコーン系ポリマーであることを特徴とする請求項11に記載の電極層の製造方法。
  13. 前記結着剤ポリマーが不飽和結合を含まないことを特徴とする請求項8から請求項12までのいずれかの請求項に記載の電極層の製造方法。
  14. 請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の固体電解質層の製造方法により得られた固体電解質層、もしくは請求項8から請求項13までのいずれかの請求項に記載の電極層の製造方法により得られた電極層の少なくとも一方を用いて電池素子を形成する電池素子形成工程を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法。
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