JP2010207236A - 複数のアンテナ構造を有する改変型糖タンパク質の生成 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一組のグリコシルトランスフェラーゼ、糖および糖ヌクレオチドトランスポーターの異種発現によってグリコシル化に関与する任意の望ましい遺伝子を発現して標的とするために使用され、哺乳動物の例えばヒト治療糖タンパク質の生成のための宿主株になるようにさらに改変され得る下等真核生物宿主細胞であって、改変型脂質結合型オリゴ糖を有する宿主細胞。その操作された宿主細胞において生成されるN−グリカンは、GnTIII活性、GnTIV活性、GnTV活性、GnT VI活性、またはGnTIX活性を示す。このN−グリカンは、二分されかつ/または複数のアンテナを有するN−グリカン構造を生じ、1つ以上の酵素、糖、糖ヌクレオチドトランスポーターの異種発現によって、ヒト様糖タンパク質を生じるようにさらに改変される。
【選択図】なし
Description
本出願は、2003年10月7日に出願された米国特許出願番号10/680,963
の一部継続出願であり、この米国特許出願番号10/680,963は、2003年2月
20日出願された米国特許出願番号10/371,877の一部継続出願であり、この米
国特許出願番号10/371,877は、2001年6月27日に出願された米国特許出
願番号09/892,591の一部継続出願であり、この米国特許出願番号09/892
,591は、2000年6月28日に出願された米国仮出願番号60/214,358、
2000年6月30日出願された米国仮出願番号60/215,638、および2001
年3月30日に出願された米国仮出願番号60/279,997の米国特許法第119条
(e)下の利益を主張する。これらの出願の各々は、その全体が、参考として本明細書中
に援用される。
本発明は、非ヒト真核生物宿主細胞(例えば、真菌細胞または他の真核生物細胞)が、
動物細胞(特に、ヒト細胞)によって生成される糖タンパク質のグリコシル化パターンと
類似するグリコシル化パターンを有するグリコシル化タンパク質(糖タンパク質)を生成
するように遺伝子改変され得る、方法および組成物に関する。これらは、ヒトまたは動物
の治療剤として有用である。
(ヒトおよび下等真核生物におけるグリコシル化経路)
DNAが転写され、タンパク質に翻訳された後の、さらなる翻訳後プロセシングは、グ
リコシル化として知られるプロセスである、糖残基の結合を含む。異なる生物は、異なる
グリコシル化酵素(グリコシルトランスフェラーゼおよびグリコシダーゼ)を生産し、利
用可能な異なる基質(ヌクレオチド糖)を有し、従って、同一タンパク質のものでさえ、
グリコシル化パターンならびに個々のオリゴ糖の組成は、特定のタンパク質が発現される
宿主系に依存して、異なる。細菌は、典型的には、タンパク質をグリコシル化せず、そし
てグリコシル化する場合でも、非常に非特異的方法でのみグリコシル化する(Moens
およびVanderleyden,1997 Arch Microbiol.168(
3):169−175)。糸状真菌および酵母のような下等真核生物は、主として、マン
ノースおよびマンノシルホスフェート糖を付加する。得られたグリカンは、「高マンノー
ス」型のグリカンまたはマンナンとして知られている。植物細胞および昆虫細胞(例えば
、Sf9細胞)は、なお別の方法でタンパク質をグリコシル化する。対照的に、ヒトのよ
うな高等真核生物においては、発生期のオリゴ糖側鎖がトリミングされて、いくつかのマ
ンノース残基が除去され得、下等真核生物のN−グリカンでは典型的には見られないさら
なる糖残基で延長され得る。例えば、Bretthauerら,(1999)Biote
chnology and Applied Biochemistory 30:19
3−200;Martinetら,(1998)Biotechnolgy Lette
rs 20:1171−1177;Weikertら,(1999)Nature Bi
otechnology 17:1116−1121;M.Maliassardら,(
2000)Biochemical and Biophysical Researc
h Communications 267:169−173;Jarvisら,(19
98)Current Opinion in Biotechnology 9:52
8−533;ならびにTakeuchi(1997)Trends in Glycos
cience and Glycotechnology 9:S29−S35参照。
いて、当該タンパク質が宿主生物における分泌経路に沿って転移する間に、糖残基が付加
および除去される。宿主生物または細胞のグリコシル化経路に沿って存在する酵素は、分
泌されるタンパク質の得られるグリコシル化パターンを決定する。従って、下等真核生物
宿主細胞で発現されるタンパク質の得られるグリコシル化パターンは、ヒトおよび他の哺
乳動物のような高等真核生物で発現されるタンパク質のグリコシル化パターンとはかなり
異なる(Bretthauer,1999)。典型的な真菌N−グリカンの構造を図1A
に示す。
:(i)脂質結合Glc3Man9GlcNAc2オリゴ糖は、小胞体(ER)の膜での
系列的な一連の反応によって組み立てられ(図13)、そして(ii)該脂質からのこの
オリゴ糖の転移は、ドリチルピロホスフェートを、デノボ合成されたタンパク質に係留さ
せる。特異的転移の部位は、配列Asn−Xaa−Ser/Thr(配列番号1および配
列番号2)(Xaaはプロリン以外の任意のアミノ酸であり得る)中のアスパラギン(A
sn)残基によって規定される(Gavelおよびvon Heijne(1990)P
rotein Eng.3:433−42)。グリコシダーゼおよびマンノシダーゼによ
るさらなるプロセシングは、発生期の糖タンパク質が初期ゴルジ装置に転移する前にER
で起こり、そこで、さらなるマンノース残基はゴルジ特異的アルファ(α)−1,2−マ
ンノシダーゼによって除去される。タンパク質がゴルジを通って進むにつれ、プロセシン
グは継続する。ゴルジ中間嚢において、N−アセチルグルコサミルトランスフェラーゼ(
GnTI、GnTII、GnTIII、GnTIVおよびGnTV)、マンノシダーゼI
Iおよびフコシルトランスフェラーゼを含めた多数の修飾酵素が、特定の糖残基を付加お
よび除去する。最後に、トランス−ゴルジ(trans−Golgi)において、ガラク
トシルトランスフェラーゼ(GalT)およびシアリルトランスフェラーゼ(ST)は糖
タンパク質構造を生じ、これがゴルジから遊離される。糖タンパク質にそのヒト特徴を与
えるものは、ガラクトース、フコース、N−アセチルグルコサミンおよび高度の末端シア
ル酸を含有する、ビ−アンテナ構造、トリ−アンテナ構造およびテトラ−アンテナ構造に
よって特徴付けられるこの構造である。典型的なヒトN−グリカンの構造を図1Bに示す
。哺乳動物型N−グリカンプロセシングに関与する工程については、図14および図15
もまた参照のこと。
リゴ糖前駆体Glc3Man9GlcNAc2−ドリコール−ピロホスフェートに由来す
る。小胞体内では、ドリコールピロホスフェート結合オリゴ糖の合成およびプロセシング
は全ての公知の真核生物の間で同一である。しかしながら、真菌細胞(例えば、酵母)に
よるコアオリゴ糖のさらなるプロセシングは、それが分泌経路に沿って転移するにつれ、
ヒトとはかなり異なる。
1p、Mnt1pおよびMnn1pのような、ゴルジに存在するマンノシルトランスフェ
ラーゼによって触媒される。得られる構造は、ヒト様タンパク質の生産には望ましくなく
、従って、マンノシルトランスフェラーゼ活性を低下または排除するのが望ましい。マン
ノシルトランスフェラーゼ活性を欠くS.cerevisiaeの変異体(例えば、oc
h1またはmnn9変異体)は、致死的ではなく、酵母糖タンパク質のオリゴ糖おいて低
下したマンノース含有量を呈することが示されている。他のオリゴ糖プロセシング酵素(
例えば、マンノシルホスフェートトランスフェラーゼ)はまた、宿主の特定のグリコシル
化パターンに依存して、排除されなければならないかもしれない。
動物糖タンパク質のN−グリカンは、典型的には、ガラクトース、フコース、および末
端シアル酸を含む。これらの糖は酵母および糸状真菌で生産される糖タンパク質では見出
されない。ヒトにおいては、十分な範囲のヌクレオチド糖前駆体(例えば、UDP−N−
アセチルグルコサミン、UDP−N−アセチルガラクトサミン、CMP−N−アセチルノ
イラミン酸、UDP−ガラクトース、GDP−フコースなど)が細胞質ゾルで合成され、
ゴルジに輸送され、そこで、それらはグリコシルトランスフェラーゼによってコアオリゴ
糖に結合される(SommersおよびHirschberg(1981)J.Cell
Biol.91(2):A406−A406;SommersおよびHirschbe
rg(1982)J.Biol.Chem.257(18):811−817;Pere
zおよびHirschberg(1987)Methods in Enzymolog
y 138:709−715)。
酸である副産物を生じる。一リン酸は、交互輸送機構によってヌクレオチド三リン酸糖に
代えての交換において直接的に輸送され得るが、ジホスホヌクレオシド(例えば、GDP
)は、輸送されるに先立って、ホスファターゼ(例えば、GDPase)によって切断さ
れて、ヌクレオシド一リン酸および無機ホスフェートを生じなければならない。この反応
は効率的なグリコシル化に重要であり;例えば、Saccharomyces cere
visiae(S.cerevisiae)由来のGDPaseは、マンノシル化に必要
であることが判明している。しかしながら、そのGDPaseは、UDPに向けて90%
低下した活性を有する(Berninsoneら(1994)J.Biol.Chem.
269(1):207−211)。下等真核生物は、典型的にはゴルジにおいてUDP特
異的ジホスファターゼ活性を欠く。なぜなら、それはゴルジベースの糖タンパク質合成の
ためにUDP糖前駆体を利用しないからである。Schizosaccharomyce
s pombe(ガラクトース残基を(UDP−ガラクトースからの)細胞壁多糖に加え
ることが判明している酵母)は、特異的UDPase活性を有することが判明しており、
これは、そのような酵素についての潜在的要件を示す(Berninsoneら(199
4)J.Biol.Chem.269(1):207−211)。UDPはグリコシルト
ランスフェラーゼの強力な阻害剤であることが公知であり、このグリコシル化副産物の除
去は、ゴルジの管腔においてグリコシルトランスフェラーゼの阻害を妨げるのに重要であ
り得る(Khataraら(1974)Eur.J.Biochem.44:537−5
60)。Berninsoneら(1995)J.Biol.Chem.270(24)
:14564−14567;Beaudetら(1998)Abc Transport
ers:Biochemical,Cellular,and Molecular A
spects 292:397−413参照。
糖トランスフェラーゼおよびグリコシダーゼ(例えば、マンノシダーゼ)はERおよび
ゴルジ装置の内部(ルミナル)表面をライニングし、それにより、それがERおよびゴル
ジネットワークを進行するにつれ、糖タンパク質の順次のプロセシングを可能とする「触
媒」表面を提供する。シスゴルジ、ゴルジ中間嚢およびトランスゴルジの多数区画ならび
にトランス−ゴルジネットワーク(TGN)は、グリコシル化反応の順序だった系列が起
こり得る異なる場所を提供する。糖タンパク質が後期ゴルジまたはTGNにおいてERに
おける合成から十分な成熟まで進行するにつれ、それは、特定の炭水化物構造が合成され
得るように、異なるグリコシダーゼ、マンノシダーゼおよびグリコシルトランスファラー
ゼに順次に暴露される。これらの酵素をその各細胞小器官に保持し、係留する正確な機構
を明らかにするために、多くの研究が捧げられてきた。進化する図式は複雑であるが、証
拠は、ステム領域、膜貫通領域および小胞体テイルは、個々に、あるいは共同して、酵素
を個々の細胞小器官の膜に向け、それにより、関連する触媒ドメインをその遺伝子座に局
在化することを示唆する(例えば、Gleeson(1998)Histochem.C
ell Biol.109,517−532参照)。
出された。例えば、ラット由来のα2,6−ST(該動物のトランス−ゴルジに局在化す
ることが知られている酵素)の膜貫通ドメインは、酵母ゴルジにおいてやはりレポーター
遺伝子(インベルターゼ)を局在化することが示された(Schwientekら(19
95)J.Biol.Chem.270(10):5483−9)。しかしながら、全長
α2,6−STの一部と非常に同一の膜貫通ドメインはERに保持され、酵母のゴルジに
さらには輸送されなかった(Krezdornら(1994)Eur.J.Bioche
m.220(3):809−17)。ヒト由来の全長GalTは、明らかに高い転写レベ
ルにも拘らず、酵母では合成さえされなかった。対照的に、インベルターゼレポーターに
融合された同じヒトGalTの膜貫通領域は、低いレベルにも拘らず、酵母ゴルジへの局
在化を方向付け得た。Schwientekおよび共同研究者は、酵母マンノシルトラン
スフェラーゼ(MNT1)の28アミノ酸、細胞質テイルを含む領域、膜貫通領域および
ステム領域の8つのアミノ酸を、ヒトGalTの触媒領域へ融合させることが、活性なG
alTのゴルジ局在化に十分であることを示した。他のガラクトシルトランスフェラーゼ
は特定の細胞小器官に存在する酵素との相互作用に依拠するようである。なぜならば、そ
の膜貫通領域の除去の後には、それは依然として適切に局在化できるからである。
。例えば、多数のα−1,2−マンノシダーゼを有するAspergillus nid
ulans(EadesおよびHintz(2000)Gene 255(1):25−
34)は、GnTI活性の高い総じてのレベルにも拘らず、ウサギGnTI遺伝子で形質
転換される場合に、GlcNAcをMan5GlcNAc2に付加しない(Kalsne
rら(1995)Glycoconj.J.12(3):360−370)。GnTIは
、活発に発現されるものの、該酵素がその基質の双方:UDP−GlcNAcおよび生産
的Man5GlcNAc2基質(全てのMan5GlcNAc2構造が生産的というので
はない;後記参照)と接触しないように不正確に局在化され得る。あるいは、宿主生物は
、ゴルジにおいて適切なレベルのUDP−GlcNAcを提供しないかもしれず、または
この酵素は、適切に局在化され得るが、それにも拘らず、その新しい環境で不活性である
かもしれない。さらに、宿主細胞に存在するMan5GlcNAc2構造は、哺乳動物で
見出されるMan5GlcNAc2とは構造が異なり得る。Marasおよび共同研究者
は、T.reeseiから得られたセロビオヒドロラーゼI(CBHI)からのN−グリ
カンの約3分の1が、インビトロにて、A.Saitoi 1,2−マンノシダーゼよっ
てMan5GlcNAc2にトリミングされ得ることを見出した。しかしながら、それら
のN−グリカンの1%未満がGnTIに対する生産的基質として働くことができた。Ma
rasら(1997)Eur.J.Biochem.249,701−707。従って、
Man5GlcNAc2の単なる存在は、Man5GlcNAc2のさらなるインビボプ
ロセシングが達成され得ることを保証しない。必要なのは、生産的なGnTI反応性Ma
n5GlcNAc2構造の形成である。Man5GlcNAc2は細胞で生産され得るが
(約27モル%)、小さな割合のみが、Man5GlcNAc2に変換され得る(約5%
未満、Chibaら WO 01/14522参照)。
ーゼまたはマンノシダーゼが(1)十分に翻訳されるか、(2)触媒的に活性であるか、
または(3)分泌経路内で適切な細胞小器官に局在化されるかを予測する信頼できる方法
はない。これらの全ての3つは、下等真核生物においてグリコシル化パターンに影響する
必要があるので、現在利用できない、予測ツールの非存在下で酵素の所望の触媒機能およ
び適切な保持を達成するための系統的なスキームが望まれる。
ヒトまたは動物から単離されたかなりの数のタンパク質が翻訳後に修飾され、グリコシ
ル化は最も重要な修飾のうちの一つである。全ての治療タンパク質の推定70%がグリコ
シル化され、従って、現在、ヒトと類似の様式でグリコシル化し得る生産系(すなわち、
宿主細胞)に頼っている。いくつかの研究はグリコシル化が(1)免疫原性、(2)薬物
動態学特性、(3)トラフィッキングおよび(4)治療タンパク質の効力を決定すること
において重要な役割を演じることを示している。従って、製薬産業によるかなりの努力が
、可能な限り「ヒューマノイド」または「ヒト様」である糖タンパク質を得るためのプロ
セスを開発することに向けられてきたことは、驚くべきことではない。現在まで、ほとん
どの糖タンパク質は哺乳動物宿主系で作られる。これは、細胞によって発現されるタンパ
ク質のシアル化(すなわち、シアル酸の末端添加)の程度を増強させるための、そのよう
な哺乳動物細胞の遺伝子操作を含み得、これは、そのようなタンパク質の薬物動態学特性
を改良することが公知である。あるいは、公知のグリコシルトランスフェラーゼおよびそ
のそれぞれのヌクレオチド糖(例えば、2,3−シアリルトランスフェラーゼおよびCM
P−シアル酸)を用いるそのような糖のインビトロ付加によって、シアリル化の程度を改
良し得る。
、前記宿主系で発現される組換えヒトタンパク質は、不変的に、その「天然」ヒト対応物
とは異なる(Rajuら(2000)Glycobiology 10(5):477−
486)。従って、広範な開発研究が、これらの発現系で作られるタンパク質の「ヒト特
性」を改良する方法を見出すことに向けられてきた。これは、醗酵条件の最適化、および
ヒト様グリコ形態の形成に関与する酵素をコードする遺伝子を導入することによる、タン
パク質発現宿主の遺伝的修飾を含む。Goocheeら(1999)Biotechno
logy 9(12):1347−55;AndersenおよびGoochee(19
94)Curr Opin Biotechnol.5(5):546−49;Wern
erら(1998)Arzneimittelforschung.48(8):870
−80;Weikertら(1999)Nat Biotechnol.17(11):
1116−21;YangおよびButler(2000)Biotech.Bioen
g.68;370−80。全ての哺乳動物発現系に関する固有の問題は解決されていない
。
小胞体においてタンパク質に転移されるコアオリゴ糖構造は、基本的には、哺乳動物と
下等真核生物とで同一であるが、かなりの差が、真菌および哺乳動物のゴルジ装置で起こ
るその後のプロセシング反応で見出されている。事実、異なる下等真核生物の間でさえ、
かなり多様なグリコシル化構造が存在する。このことは、歴史的には、哺乳動物発現系よ
りも優れたその他の注目すべき利点にも拘らず、組換えヒト糖タンパク質の生産のための
宿主としての下等真核生物の使用を妨げてきた。
タンパク質は、哺乳動物細胞で生産されたものと構造的に異なり、典型的には、大いに低
下した治療効力を示す。そのような糖タンパク質は、典型的には、ヒトにおいては免疫原
性であり、投与の後にはインビボで低下した半減期(従って、低下した生物活性)を示す
(Takeuchi(1997)Trends in Glycoscience an
d Glycotechnology 9,S29−S35)。ヒトおよび動物における
特異的受容体(すなわち、マクロファージマンノース受容体)は、末端マンノース残基を
認識し得、そして血流からの外来性糖タンパク質の迅速なクリアランスを促進し得る。さ
らなる悪影響はタンパク質フォールディング、溶解度、プロテアーゼに対する感受性、ト
ラフィッキング、輸送、区画化、分泌、他のタンパク質もしくは因子による認識、抗原性
、またはアレルギー性の変化を含み得る。
方の生産のために、首尾よく用いられてきた(CereghinoおよびCregg(2
000)FEMS Microbiology Reviews 24(1):45−6
6;Harkkiら(1989)Bio−Technology 7(6):596;B
erkaら(1992)Abstr.Papers Amer.Chem.Soc.20
3:121−BIOT;Svetinaら(2000)J.Biotechnol.76
(2−3):245−251)。K.lactis,Pichia pastoris,
Pichia methanolica,およびHansenula polymorp
haのような種々の酵母は、真核生物発現系として特に重要な役割を演じてきた。何故な
らば、それらは、高い細胞密度まで増殖し得、そして大量の組換えタンパク質を分泌し得
るからである。同様に、Aspergillus niger,Fusarium sp
,Neurospora crassaなどのような糸状真菌は、産業スケールで糖タン
パク質を効率的に生産するのに用いられてきた。しかしながら、前記したように、これら
の真核生物微生物のいずれかにおいて発現される糖タンパク質は、動物におけるものとは
N−グリカン構造が実質的に異なる。このことは、多くの治療糖タンパク質のための生産
のための宿主としての、酵母または糸状真菌の使用を妨げてきた。
かの共通する要素が共有されている。第一の工程、コアオリゴ糖構造の新成タンパク質へ
の転移は、酵母、真菌、植物およびヒトを含めた全ての真核生物で高度に保存されている
(図1Aと図1Bとを比較のこと)。しかしながら、コアオリゴ糖のその後のプロセシン
グは、酵母においてかなり異なり、数個のマンノース糖の付加を含む。この工程は、ゴル
ジに存在するマンノシルトランスフェラーゼ(例えば、OCH1、MNT1、MNN1な
ど)によって触媒され、これらは、マンノース糖をコアオリゴ糖に順次に付加する。得ら
れた構造は、ヒューマノイドタンパク質の生産には望ましくなく、従って、マンノシルト
ランスフェラーゼ活性を低下または排除することが望ましい。マンノシルトランスフェラ
ーゼ活性を欠くS.cerevisiaeの変異体(例えば、och1またはmnn9変
異体)は致死的ではなく、酵母糖タンパク質のオリゴ糖において低下したマンノース含有
量を呈することが示されている。また、マンノシルリン酸トランスフェラーゼのような他
のオリゴ糖プロセシング酵素もまた、宿主の特定の内因性グリコシル化パターンに依存し
て、排除されなければならないかもしれない。望ましくない内因性グリコシル化反応を低
下させた後、複合N−グリカンの形成が宿主系で操作されなければならない。これは、い
くつかの酵素および糖ヌクレオチドトランスポーターの安定な発現を必要とする。さらに
、成熟化するグリコシル化構造の順次のプロセシングが確実になるように、これらの酵素
を局在化する必要がある。
微生物のグリコシル化経路を改変しようとする、いくつかの努力がなされてきた。例えば
、数個のグリコシルトランスフェラーゼが別々にクローン化され、S.cerevisi
ae(GalT、GnTI)、Aspergillus nidulans(GnTI)
および他の真菌で発現されている(Yoshidaら(1999)Glycobiolo
gy 9(1):53−8,Kalsnerら(1995)Glycoconj.J.1
2(3):360−370)。しかしながら、ヒト細胞で作製されたものに似ているN−
グリカンは得られなかった。
おけるMNN1のような1,3−マンノシルトランスフェラーゼ;GrahamおよびE
mr(1991)J.Cell.Biol.114(2):207−218)、1,2−
マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、S.cerevisiaeに由来するKTR/
KREファミリー)、1,6−マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、S.cerev
isiaeに由来するOCH1)、マンノシルリン酸トランスフェラーゼおよびそのレギ
ュレーター(例えば、S.cerevisiaeに由来するMNN4およびMNN6)、
ならびに内因性グリコシル化反応に関与するさらなる酵素を生産する。これらの遺伝子の
多くは個々に欠失され、改変されたグリコシル化プロフィールを有する生きた生物を生じ
る。その例を表1に示す。
るOCH1ホモログの欠失を開示している。S.cerevisiaeにおいて、OCH
1は、マンノースをグリカン構造Man8GlcNAc2に付加してMan9GlcNA
c2を生じさせる1,6−マンノシルトランスフェラーゼをコードする。次いで、3つの
1,6マンノース残基を含むMan9GlcNAc2構造は、インビボにてさらなる1,
2−マンノシルトランスフェラーゼ、1,6−マンノシルトランスフェラーゼおよび1,
3−マンノシルトランスフェラーゼに対する基質となり、これは、S.cerevisi
aeに特徴的であって、典型的には、N−グリカン当たり30〜40のマンノース残基を
有し得る高マンノシル化糖タンパク質に導く。Och1pは、1,6マンノースのMan
8GlcNAc2コアへの転移を開始するので、それは、しばしば、それをゴルジにおい
て後に作用する他の1,6マンノシルトランスフェラーゼから区別するために、「開始1
,6マンノシルトランスフェラーゼ」と呼ばれる。S.cerevisiaeのoch1
mnn1 mnn4変異体株において、Man8GlcNAc2でグリコシル化された
タンパク質が蓄積し、超マンノシル化は起こらない。しかしながら、Man8GlcNA
c2は、ヒトUDP−GlcNAcトランスフェラーゼIのような哺乳動物グリコシルト
ランスフェラーゼに対する基質ではなく、従って、それ自身での、その変異体株の使用は
、哺乳動物様タンパク質(すなわち、複合グリコシル化パターンまたはハイブリッドグリ
コシル化パターンを有する)を生産するのに有用ではない。
よって、(インビボにて50%より高い高効率トリミングは未だ証明されていないが)S
.cerevisiaeにおいてMan8GlcNAc2構造をMan5GlcNAc2
異性体にトリミングすることができる。このアプローチの欠点は二倍にある:(1)形成
されたMan5GlcNAc2構造が実際に(分泌され、細胞外部でマンノシダーゼによ
ってさらに修飾されたというよりはむしろ)インビボで形成されたか否かは明確ではなく
;そして(2)いずれかの形成されたMan5GlcNAc2構造は、もし実際にインビ
ボで形成されたならばGlcNAcトランスフェラーゼIによるその後のN−グリカン修
飾に対する生産的な基質である正しいアイソフォームであるかは明らかでない(Mara
sら(1997)Eur.J.Biochem.249,701−707)。
,251号は、Trichoderma reseeiに由来するハイブリッド糖タンパ
ク質を生産する方法を開示する。ハイブリッドN−グリカンは、コアマンノース構造のM
anα1−6アーム上にマンノース残基のみ、およびManα1−3アーム上に1または
2の複雑なアンテナを有する。この構造は有用性を有するが、該方法は、多数の酵素工程
がインビトロで行われなければならず、これは、コスト高で時間を消費するという不利を
有する。単離された酵素は、調製するのにコスト高であり、コスト高の基質(例えば、U
DP−GlcNAc)を必要とする。また、該方法は所望のタンパク質上での複雑なグリ
カンの生成を可能としない。
α−1,2−マンノシダーゼ活性は、哺乳動物における複合N−グリカン形成のための
主な中間体であるMan5GlcNAc2を形成するためのMan8GlcNAc2のト
リミングのために必要である。以前の研究は、短縮型のマウスα−1,2−マンノシダー
ゼ、真α−1,2−マンノシダーゼ菌およびヒトα−1,2−マンノシダーゼが、メチロ
トロピック酵母P.pastorisで発現され得、Man8GlcNAc2からのMa
n5GlcNAc2へのトリミング活性を呈することができることを示した(Lalら(
1998)Glycobiology 8(10):981−95;Tremblayら
(1998)Glycobiology 8(6):585−95,Callewaer
tら(2001)FEBS Lett.503(2−3):173−8)。しかしながら
、今日まで、P.pastorisから分泌された糖タンパク質でのMan8GlcNA
c2からMan5GlcNAc2への高レベルのインビボトリミングを示す報告は存在し
ない。
8GlcNAc2からMan5GlcNAc2への適切な細胞内トリミングを保証しない
(例えば、T.reeseiのHDELタグ化マンノシダーゼが主としてERに局在化さ
れ、Man5GlcNAc2が事実上検出され得ないインフルエンザヘマグルチニン(H
A)レポータータンパク質と共に共発現される、Contrerasら,WO 02/0
0856 A2参照。また、S.cerevisiaeのER、初期ゴルジおよび細胞質
ゾルに局在化されたキメラα−1,2−マンノシダーゼ/Och1p膜貫通ドメイン融合
物がマンノシダーゼトリミング活性を有しない、Chibaら(1998)J.Biol
.Chem.273(41):26298−26304も参照されたし)。従って、ER
またはゴルジにおけるマンノシダーゼの単なる局在化は、その標的化された細胞小器官に
おいて各酵素の活性を保証するには不十分である(また、T.reesei由来のα−1
,2−マンノシダーゼが、細胞内に局在化しつつ、マンノシル化の程度を減少させるより
はむしろ増加させたことを示す、Martinetら(1998)Biotech.Le
tters 20(12):1171−1177も参照されたし)。現在まで、膜貫通局
在化配列を用いる、酵母または真菌いずれかにおける活性な異種α−1,2−マンノシダ
ーゼの細胞内の局在化を示す報告はない。
有用であるが、ヒトグリカンにより近く似せるようにこれらの高マンノース前駆体構造を
さらに修飾しようとするいずれの試みも、さらなるインビボ工程またはインビトロ工程を
必要とする。インビトロにて真菌および酵母由来のグリカンをさらにヒト化する方法は、
米国特許第5,834,251号(前出)に記載されている。もし、Man5GlcNA
c2をさらにインビボでヒト化すべきならば、生じたMan5GlcNAc2構造が、事
実、細胞内で生じ、培地中でのマンノシダーゼ活性の生成物ではないことを保証しなけれ
ばならない。酵母または真菌における複合N−グリカン形成は、高レベルのMan5Gl
cNAc2が、細胞内で生成されること必要とする。なぜならば、細胞内Man5Glc
NAc2グリカンのみが、インビボで、ハイブリッドN−グリカンおよび複合N−グリカ
ンにプロセシングされ得るからである。さらに、生じたMan5GlcNAc2構造の大
部分が、実際に、GnTIに対する基質であり、ハイブリッドN−グリカンおよび複合N
−グリカンの形成を可能とすることを示さなければならない。
糖タンパク質構造へさらにプロセシングされ得る、高い細胞内Man5GlcNAc2含
有量によって特徴付けられる糖タンパク質を生産するための方法に対する必要性が存在す
る。
N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(「GnT」)は、分泌経路において
N結合型オリゴ糖を修飾するグリコシル化酵素の別のクラスに属する。このようなグリコ
シルトランスフェラーゼは、特定の糖ヌクレオチドドナーに由来する単糖を、2つのあり
得るアノマー結合のうちの1つ(αまたはβのいずれか)において、伸長しているグリカ
ン鎖における単糖の特定のヒドロキシル位置へと転移することを触媒する。Dennis
ら(1999)Bioessays 21(5):412−21。特定のGnTは、N−
アセチルグルコサミン(「GIcNAc」)を、N−グリカン基質(例えば、Man5G
lcNAc2(「マンノース−5コア」)およびMan3GlcNAc2(「内部コア構
造」))のManα1,6アームまたはManα1,3アームに付加する。その反応生成
物(例えば、GlcNAcMan5GlcNAc2またはGlcNAc2Man3Glc
NAc2)は、次いで、バイアンテナ(bi−antennary)N結合型オリゴ糖構
造、トリアンテナ(tri−antennary)N結合型オリゴ糖構造、およびテトラ
アンテナ(tetra−antennary)N結合型オリゴ糖構造へと修飾され得る。
合型オリゴ糖のトリマンノースコア(Manα1,6(Manα1,3)Manβ1,4
−GlcNAcβ1,4−GlcNAcβ1,4−Asn)の真ん中のマンノースへのG
IcNAcの付加を触媒する酵素である。GnTIIIによるアクセプター基質(例えば
、トリマンノースコア)への二分している(beisecting)GlcNAcの付加
は、いわゆる、二分型(bisected)N−グリカンを生じる。例えば、GnTII
IによるGlcNAcMan3GlcNAc2構造への二分しているGlcNAcの付加
は、二分型N−グリカン(すなわち、GlcNAc2Man3GlcNAc2)を生じ得
る。同様に、Gn TIIIによるGlcNAc2MAn3GlcNAc2構造への二分
しているGlcNAcの付加は、別の二分型N−グリカン(GlcNAc3Man3Gl
cNAc2)を生じる。この後者の構造は、より大きな抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(
ADCC)に関係付けられている。Umanaら(1999)Nat.Biotechn
ol.17(2):176〜80。他の二分型N−グリカンが、Gn TIIの作用によ
る形成され得る。例えば、GlcNAcMan4GlcNAc2が、二分型GlcNAc
2Man4GlcNAc2へと変換され得、Man5GlcNAc2が、二分型GlcN
AcMan5GlcNAc2へと変換され得、GlcNAcMan5GlcNAc2が、
二分型GlcNAc2Man5GlcNAc2へと変換され得る。例えば、Narash
imhan(1982)J.Biol.Chem.257:10235〜42参照のこと
。これまでは、GnT III活性は、哺乳動物細胞においてのみしか示されていない。
ずらわしい作業である。特にGnT IIIの場合、この酵素の過剰発現は、増殖阻害に
関係付けられており、調節性(誘導性)遺伝子発現に関与する方法は、二分型N−グリカ
ンを伴う免疫グロブリンを生成するために使用されなければならなかった。Umanaら
(1999)Biotechnol Bioeng.65(5):542〜9;Uman
aら(1999)Nat.Biotechnol.17(2):176〜80;Uman
aら、WO 03/011878;米国特許第6,602,684号。そのような増殖阻
害硬化は、標的タンパク質とGnT IIIとを同時発現させる能力を複雑にし、GnT
III過剰発現に対して上限を課し得る。米国特許第6,602,684号。GnT
IIIの発現レベルを注意深く最適化することが、必要であり得る(同書)。しかし、上
記のように、そのよな生成系において使用される下等真核生物宿主細胞の開発には、その
宿主細胞の内因性グリコシル化経路がさらに改変されることが必要である。
は、特定の立体構造のGlcNAc残基が、オリゴ糖基質上へと転移して、複数のアンテ
ナを有するグリカン構造を生成するのを触媒することが公知である。UDP−N−アセチ
ルグルコサミニン:α1,3−D−マンノシドβ1,4−N−アセチルグルコサミニルト
ランスフェラーゼ(GnT IV;EC2.4.1.145)は、β1,4結合中の残基
のUDP−GlcNAcから、GlcNAcβ1−2Manα1−6(GlcNAcβ1
−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNacβ1−4GlcNAcβ1−Asn上
のα1,3−D−マンノシドへの転移を触媒する(GleesonおよびSchacht
er,J Biol Chem.1983 May 25;258(10):6162〜
73;Schachterら(1989)Methods Enzymol.,179,
351〜397)。UDP−N−アセチルグルコサミン:α−6−D−マンノシドβ1,
6−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnTV;EC4.1.155)
は、β1,6結合中のα1,6マンノシルへとN−アセチルグルコサミンを付加してトリ
アンテナN−グリカンおよびテトラアンテナN−グリカンを形成するのを触媒する。
転移を触媒する。具体的には、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc
):GlcNacβ1−6(GlcNAcβ1−2)Manα1−R[GlcNac→M
an]β1,4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼVI(GnT VI)
は、ペンタアンテナN−グリカンの形成を触媒する(Sakamotoら、J.Bio.
Chem.2000 Nov 17;275(46):36029〜34)。GnT V
Iをコードする遺伝子は、最近、精製されて単離されている。Taniguchiら、J
P2002209587A2。
主において合成されていない(Hamiltonら、Science 2003 Aug
29;301(5637):1244〜6)。哺乳動物細胞は、代表的には、一群の複
合グリカン(例えば、バイアンテナ糖形態、トリアンテナ糖形態、テトラアンテナ糖形態
、およびペンタアンテナ糖形態さえ)を、特異的なGnTの連続反応を介して生成する。
そのような細胞のゴルジ装置において、糖タンパク質のN−グリカンプロセシングは、ト
リアンテナ構造およびテトラアンテナ構造の形成に加えて、バイアンテナ構造を優勢に生
成する。複合グリカンの形成において、特異的GnTが、特定のβ−GlcNAc結合(
β1,2;β1,4;β1,6)を触媒して、哺乳動物細胞において複数のアンテナを有
するグリカンを生成することが現在理解されている。これらの細胞は、しかし、高収率で
はどのような均一な糖形態も生成不能である。
作された(Science 2003 Aug 29;301(5637):1244〜
6)。下等真核生物において複数のアンテナを有する複合グリカンを生成する能力は、大
量の適切にフォールディングされグリコシル化されたタンパク質を、産業規模で低コスト
にて、より迅速な時間、より安全かつ高品質で提供する。従って、必要とされるものは、
固有の高生成力価の能力(例えば、下等真核生物宿主細胞(例えば、酵母および糸状真菌
)において生成される能力)を利用するタンパク質生成系であって、複数のアンテナを有
する(そして必要に応じて二分型である)N結合型グリカンを、これらの細胞において発
現されるタンパク質(特に、治療タンパク質)上に生成する、タンパク質生成系である。
哺乳動物(特に、ヒト)における糖タンパク質のプロセシングを模倣する一連の酵素反
応を行うことが可能な遺伝子改変されたグリコシル化経路を有する宿主細胞および細胞株
を、開発した。これらの操作された宿主において発現される組換えタンパク質は、それら
の哺乳動物に、実質的に同一ではないかもしれないが、より類似している糖タンパク質(
例えば、ヒト対応物)を与える。本発明の宿主細胞(例えば、培養下で増殖される下等真
核微生物および他の非ヒト真核生物宿主細胞)は、N−グリカン(例えば、二分型N−グ
リカン、またはヒトグリコシル化経路に沿って生成される他の構造)を生成するように改
変される。この結果は、例えば、真菌糖タンパク質に特徴的な望ましくない構造を作り出
す酵素を発現せず、かつ、例えば、「ヒト様」糖タンパク質を生成し得る異種酵素を発現
する、株の操作および/または選択の組み合わせを使用して達成される。
、または(2)ヒトとは異なるグリコシル化パターンを有する任意の非ヒト真核生物を使
用して、哺乳動物において見出される糖質構造によりよく似ているように、宿主生物(「
宿主細胞」)において生成されるタンパク質(例えば、ヒトタンパク質)のグリコシル化
組成および構造を改変する、糖タンパク質生成方法を提供する。そのプロセスにより、学
術文献において十分に確立され、かつタンパク質発現の分野の当業者に周知の方法を用い
て、任意の所望の遺伝子(例えば、グリコシル化に関与する遺伝子)を発現し標的とする
ために使用され得る、操作された宿主細胞を得ることが可能となる。改変されたオリゴ糖
を有する宿主細胞が、作り出されるかまたは選択される。治療タンパク質の生成のために
は、この方法は、任意の望ましいグリコシル化構造が獲得され得る細胞株を操作するよう
に、適合され得る。
ーゼIII活性を下等真核生物宿主細胞に導入することによって、その細胞においてヒト
様糖タンパク質を生成するための方法を提供する。好ましい実施形態において、そのN−
アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性は、その細胞において発現され、
なおより好ましい実施形態において、この発現は、GlcNAc3Man3GlcNAc
2二分型構造、GlcNAc2Man3GlcNAc2二分型構造、またはGlcNAc
2Man5GlcNAc2二分型構造を含む、N−グリカンの生成を生じる。別の好まし
い実施形態において、そのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性は
、実質的に細胞内にある。本発明の別の好ましい実施形態において、その二分型構造を有
するN−グリカンを含む糖タンパク質は、下等真核生物宿主細胞から単離される。なおよ
り好ましい実施形態において、その宿主細胞において生成される糖タンパク質は、治療タ
ンパク質である。
活性およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII活性の両方を含む、下等
真核生物宿主細胞を提供する。好ましい実施形態において、上記N−アセチルグルコサミ
ニルトランスフェラーゼIII活性を含む宿主細胞は、この活性と反応し得るGlcNA
cMan3GlcNAc2構造を含むN−グリカンを生成する。より好ましい実施形態に
おいて、この活性は、二分型グリカンを生成する。従って、本発明のいくつかの実施形態
の下等真核生物宿主細胞は、二分型グリカンを有するN−グリカンを含み得る。好ましい
実施形態において、そのN−グリカンは、10モル%を超える上記二分型グリカンを含む
。いくつかの実施形態において、その宿主細胞は、GlcNAc3Man3GlcNAc
2二分型構造、GlcNAc2Man3GlcNAc2二分型構造またはGlcNAc2
Man5GlcNAc2二分型構造を含む、N−グリカンを含む。好ましい実施形態にお
いて、その宿主細胞は、二分しているGlcNAcにより修飾される、Man5GlcN
Ac2コア構造またはMan3GlcNAc2コア構造を含む。なおより好ましい実施形
態において、その細胞は、10モル%を超える上記の修飾された構造を生成する。
ミニルトランスフェラーゼI活性、加えて、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラ
ーゼIII活性を含む。好ましい実施形態において、その活性は、実質的に細胞内にある
。別の好ましい実施形態において、その細胞は、GnT III活性と反応し得るGlc
NAcMan3GlcNAc2を含むN−グリカンを生成する。さらにより好ましい実施
形態において、その細胞のGnT III活性は、二分型グリカンを生成する。
ルトランスフェラーゼIII活性およびマンノシダーゼII活性の両方を含む。好ましい
実施形態において、その宿主細胞は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI
活性をさらに含む。別の好ましい実施形態において、その宿主細胞は、N−アセチルグル
コサミニルトランスフェラーゼII活性をさらに含む。別の好ましい実施形態において、
その宿主細胞は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI活性およびN−アセ
チルグルコサミニルトランスフェラーゼII活性の両方をさらに含む。
物宿主細胞に導入することによって、その細胞においてヒト様糖タンパク質を生成するた
めの方法を提供する。好ましい実施形態において、そのN−アセチルグルコサミニルトラ
ンスフェラーゼIV活性は、その細胞において発現され、なおより好ましい実施形態にお
いて、この発現は、GlcNAc3Man3GlcNAc2構造を含む、N−グリカンの
生成を生じる。別の好ましい実施形態において、そのN−アセチルグルコサミニルトラン
スフェラーゼIV活性は、実質的に細胞内にある。本発明の別の好ましい実施形態におい
て、そのN−グリカンを含む糖タンパク質は、下等真核生物宿主細胞から単離される。な
おより好ましい実施形態において、そのN−グリカンは、90モル%より多いトリアンテ
ナグリカンを含む。なおより好ましい実施形態において、その宿主細胞において生成され
る糖タンパク質は、治療タンパク質である。
ゼIV活性およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV活性の両方を含む、
下等真核生物宿主細胞を提供する。好ましい実施形態において、上記N−アセチルグルコ
サミニルトランスフェラーゼIV活性およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラ
ーゼV活性を含む宿主細胞は、GlcNAc4Man3GlcNAc2構造を含むN−グ
リカンを生成する。より好ましい実施形態において、この活性は、テトラアンテナグリカ
ンを生成する。従って、本発明のいくつかの実施形態の下等真核生物宿主細胞は、テトラ
アンテナグリカンを有するN−グリカンを含み得る。好ましい実施形態において、そのN
−グリカンは、10モル%を超える上記二分型グリカンを含む。いくつかの実施形態にお
いて、その宿主細胞は、GlcNAc3Man3GlcNAc2構造およびGlcNAc
4Man3GlcNAc2構造を含む、N−グリカンを含む。好ましい実施形態において
、その宿主細胞は、GnT IVにより修飾されるGlcNAcMan5GlcNAc2
コア構造、あるいはGnT IVおよびGnT Vにより修飾されるGlcNAc2Ma
n3GlcNAc2コア構造を含む。好ましい実施形態において、そのN−グリカンは、
70モル%より多いテトラアンテナグリカンを含む。なおより好ましい実施形態において
、その細胞は、75モル%を超えるテトラアンテナグリカンを生成する。
真核生物宿主細胞を提供する。好ましい実施形態において、上記N−アセチルグルコサミ
ニルトランスフェラーゼVI活性を含む宿主細胞は、GlcNAc5Man3GlcNA
c2構造を含むN−グリカン(例えば、ペンタアンテナグリカン)を生成する。従って、
本発明のいくつかの実施形態の下等真核生物宿主細胞は、ペンタアンテナグリカンを有す
るN−グリカンを含み得る。いくつかの実施形態において、その宿主細胞は、GlcNA
c5Man3GlcNAc2構造を含む、N−グリカンを含む。好ましい実施形態におい
て、その宿主細胞は、GnT VIにより修飾される、GlcNAc2Man3GlcN
Ac2コア構造を含む。
X活性を下等真核生物宿主細胞に導入することによって、その細胞においてヒト様糖タン
パク質を生成するための方法を提供する。好ましい実施形態において、そのN−アセチル
グルコサミニルトランスフェラーゼIX活性は、その細胞において発現され、なおより好
ましい実施形態において、この発現は、GlcNAc3Man3GlcNAc2構造およ
びGlcNAc4Man3GlcNAc2構造を含む、N−グリカンの生成を生じる。別
の好ましい実施形態において、そのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIX
活性は、実質的に細胞内にある。本発明の別の好ましい実施形態において、複数のアンテ
ナを有する構造を有するN−グリカンを含む糖タンパク質は、下等真核生物宿主細胞から
単離される。なおより好ましい実施形態において、その宿主細胞において生成される糖タ
ンパク質は、治療タンパク質である。
ミニルトランスフェラーゼI活性およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ
II活性の両方を含む。好ましい実施形態において、その活性は、実質的に細胞内活性で
ある。別の好ましい実施形態において、その細胞は、トリアンテナグリカンを生成するG
nT IVと反応し得るGlcNAc2Man3GlcNAc2構造を含む、N−グリカ
ンを含む。なおより好ましい実施形態において、その細胞のGNT V活性は、テトラア
ンテナグリカンを生成する。
コサミニルトランスフェラーゼIV活性およびマンノシダーゼII活性の両方を含む。好
ましい実施形態において、その宿主細胞は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラ
ーゼI活性をさらに含む。別の好ましい実施形態において、その宿主細胞は、N−アセチ
ルグルコサミニルトランスフェラーゼII活性をさらに含む。別の好ましい実施形態にお
いて、その宿主細胞は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV活性をさらに
含む。
ゼ活性を欠いている。このような細胞は、例えば、Dol−P−Man:Man5Glc
NAc2−PP−Dolマンノシルトランスフェラーゼ活性を欠いていることもある。な
お別の実施形態において、本発明の宿主細胞は、α−1,2−マンノシダーゼI活性をさ
らに含む。別の実施形態において、その宿主細胞は、糖ヌクレオチドトランスポーターを
さらに含み得る。好ましくは、その宿主細胞は、UDP−GlcNAcトランスポーター
を含み、GlcNAc残基の転移は、上記のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラ
ーゼ活性のうちのいずれか1つによって促進される。
形態において、その糖タンパク質は、Man5GlcNAc2コア構造またはMan3G
lcNAc2コア構造に二分しているGlcNAcを含み、下等真核生物宿主細胞におい
て生成される。別の実施形態において、その糖タンパク質は、Man5GlcNAc2コ
ア構造、Man4GlcNAc2コア構造、Man3GlcNAc2コア構造、GlcN
AcMan3GlcNAc2コア構造、GlcNAcMan5GlcNAc2コア構造、
またはGlcNAc2Man3GlcNAc2コア構造に結合した、二分しているGlc
NAcを含み、下等真核生物宿主細胞において生成される。好ましい実施形態において、
本発明の糖タンパク質の10モル%を超えるコア構造が、二分しているGlcNAcによ
り修飾される。
Man3GlcNAc2)を含み、かつ下等真核生物宿主細胞において生成される、糖タ
ンパク質を提供する。好ましい実施形態において、本発明の糖タンパク質のコア構造のう
ちの90モル%よりも多くが、GnT IVによって修飾される。別の実施形態において
、その糖タンパク質は、テトラアンテナ構造(例えば、GlcNAc4Man3GlcN
Ac2)を含み、かつ下等真核生物宿主細胞において生成される。より好ましい実施形態
において、本発明の糖タンパク質のコア構造のうちの75モル%よりも多くが、GnT
Vによって修飾される。
パク質を含む薬学的組成物を提供する。1種以上のN−アセチルグルコサミニルトランス
フェラーゼIII活性、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV活性、N−
アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV活性、N−アセチルグルコサミニルトラン
スフェラーゼVI活性、およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIX活性
を有し、かつ結合した標的化ペプチド配列を含む、タンパク質をコードするベクターもま
た、本発明によって提供される。好ましい実施形態において、そのベクターによってコー
ドされるタンパク質は、下等真核生物宿主細胞が、二分型構造および/または複数のアン
テナを有する構造を有するN−グリカンを生成するように、その下等真核生物宿主細胞に
おいて局在化される。
本明細書中で他に規定されない限り、本発明に関係して使用される科学用語および技術
用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。さらに、文脈上必要とされない限
り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。本発明の方法および技
術は、一般的には、当該分野で周知の従来法に従って行われる。一般的には、生化学、酵
素学、分子生物学および細胞生物学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質化学および
核酸化学、ならびに本明細書中に記載されるハイブリダイゼーションの技術に関連して用
いられる命名法および技術は当該分野で周知であり、かつ一般に使用されるものである。
に従って、そして本明細書中に引用されかつ本明細書中にわたって議論される種々の一般
的かつより具体的な参考文献に記載されるように行われる。例えば、Sambrookら
、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第
2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,C
old Spring Harbor,N.Y.(1989);Ausubelら、Cu
rrent Protocols in Molecular Biology,Gre
ene Publishing Associates(1992,および2002の補
遺);HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory
Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990);Introd
uction to Glycobiology,Maureen E.Taylor,
Kurt Drickamer,Oxford Univ.Press(2003);W
orthington Enzyme Manual,Worthington Boi
chemical Corp.Freehold,NJ;Handbook of Bi
ochemistry:Section A Proteins,第I巻 1976 C
RC Press;Handbook of Biochemistry:Sectio
n A Proteins,第II巻 1976 CRC Press;Essenti
als of Glycobiology,Cold Spring Harbor L
aboratory Press(1999)を参照のこと。本明細書中に記載される分
子生物学および細胞生物学、タンパク質生化学、酵素学、および医化学および医薬化学(
pharmaceutical chemistry)に関連して用いられる命名法、お
よびその実験室的手法および技術は、当該分野で周知であり、かつ一般に使用されるもの
である。
用される。
。
リペプチドのアスパラギン残基に対するアスパラギン−N−アセチルグルコサミン結合に
よって結合したもの)をいう。N−グリカンは、Man3GlcNAc2の共通の五糖コ
アを有する(「Man」は、マンノースをいい;「Glc」は、グルコースをいい;そし
て「NAc」は、N−アセチルをいい;GlcNAcはN−アセチルグルコサミンをいう
)。N−グリカンに関して用いられる用語「トリマンノースコア」もまた、構造Man3
GlcNAc2(「Man3」)をいう。N−グリカンに関して使用される用語「ペンタ
マンノースコア」または「マンノース−5コア」または「Man5」は、構造Man5G
lcNAc2をいう。N−グリカンは、Man3コア構造に結合された周辺の糖(例えば
、GlcNac、フコースおよびシアル酸)を含む分枝(アンテナ)の数に関して異なる
。N−グリカンは、その分枝した成分に従って分類される(例えば、高マンノース、複合
体またはハイブリッド)。
−グリカンは、代表的には、トリマンノースコアの1,3マンノースアームに結合した少
なくとも1つのGlcNAc、および1,6マンノースアームに結合した少なくとも1つ
のGlcNAcを有する。複合N−グリカンはまた、ガラクトース(「Gal」)残基を
有し得、この残基は、必要に応じて、シアル酸または誘導体(「NeuAc」、ここで、
「Neu」とはノイラミン酸をいい、そして「Ac」はアセチルをいう)で修飾される。
複合N−グリカンは、代表的には、例えば:NeuNAc−;NeuAcα2−6Gal
NAcα1−;NeuAcα2−3Galβ1−3GalNAcα1−;NeuAcα2
−3/6Galβ1−4GlcNAcβ1−;GlcNAcα1−4Galβ1−(ムチ
ンのみ);Fucα1−2Galβ1−(血液型H)のような、オリゴ糖で終わる少なく
とも1つの分枝を有する。硫酸エステルは、ガラクトース残基、GalNAc残基、およ
びGlcNAc残基で生じ得、そしてリン酸エステルは、マンノース残基で生じ得る。N
euAc(Neu:ノイラミン酸;Ac:アセチル)はO−アセチル化され得るか、また
はNeuGl(N−グリコリルノイラミン酸)によって置換され得る。複合N−グリカン
はまた、「分枝している」GlcNAcおよびコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内置
換を有し得る。「ハイブリッド」N−グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノー
スアームの末端に少なくとも1つのGlcNAc、およびトリマンノースコアの1,6マ
ンノースアームに0またはそれ以上のマンノースを有する。
ックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF)分析によって
検出される主要なピークを表す構造をいう。
糖の略語を参照のこと)。他の共通の略語としては、ペプチドN−グリコシダーゼF(E
C3.2.2.18)をいう「PNGase」;N−アセチルグルコサミニルトランスフ
ェラーゼ酵素をいう「GlcNAc Tr」または「GnT」;N−アセチルノイラミン
酸をいう「NANA」が挙げられる。
とは、3以下のマンノース残基を有するN−グリカンがそれに結合しているタンパク質、
および少なくとも5つのマンノース残基を有する合成糖タンパク質中間体(これもまた有
用であり、さらにインビトロまたはインビボで操作され得る)を代替的にいう。好ましく
は、本発明により産生される糖タンパク質は、少なくとも一時的には、少なくとも30モ
ル%、好ましくは少なくとも40モル%、より好ましくは50モル%、60モル%、70
モル%、80モル%、90モル%、または100モル%さえのMan5GlcNAc2中
間体を含む。これは、例えば、本発明の宿主細胞を、「より優れた」、すなわちより効率
的なグリコシル化酵素を発現するように操作することによって、達成され得る。例えば、
マンノシダーゼは、タンパク質がグリコシル化されて、好ましくは、活性が望まれる宿主
細胞の細胞小器官に対してこの酵素を標的化することによって宿主細胞中に導入される、
宿主細胞中の部位に存在する条件下で、最適な活性を有するように選択される。
、少なくとも1つの酵素活性を有する分子をいい、全長酵素、触媒活性フラグメント、キ
メラ、複合体などを含む。酵素の「触媒活性フラグメント」とは、検出可能なレベルの機
能的(酵素的)活性を有するポリペプチドをいう。酵素活性は、溶解した細胞から測定可
能なものと比較して、その酵素活性の10%未満が、細胞の外側で測定可能である場合、
「実質的に細胞内」である。
合、高マンノース含有N−グリカンを通常産生する任意の真核生物細胞をいい、従って、
いくつかの動物細胞または植物細胞および最も代表的な下等真核生物細胞(単細胞および
多細胞の真菌細胞および藻細胞が挙げられる)を包含することが意図される。
ラインをいい、この系に対して、細胞質から小胞体(ER)およびゴルジ装置の区画への
新生ポリペプチド鎖の分子の流れに従って、脂質結合オリゴ糖前駆体およびN−グリカン
基質が順に曝露される。酵素は、この経路に沿って局在化されるといわれる。酵素Yの前
に脂質結合グリカンまたはN−グリカンに作用する酵素Xは、酵素Yに対して「上流」に
あるか、または「上流」で作用するといわれ;同様に、酵素Yは酵素Xから「下流」にあ
るか、または「下流」に作用する。
ドをコードするヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をいい、この細胞標的シグナルペプ
チドは、細胞下の位置(例えば、細胞小器官)に対する関連配列の局在化(または保持)
を媒介する。
レオチドのポリマー形態をいう。該用語は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノム
DNAまたは合成DNA)およびRNA分子(例えば、mRNAまたは合成RNA)、な
らびに非天然ヌクレオチドアナログ、非天然ヌクレオチド間結合、または双方を含むDN
AまたはRNAのアナログを含む。核酸は、いずれのトポロジー的立体配座でもあり得る
。例えば、核酸は、一本鎖、二本鎖、三本鎖、四重鎖、部分的に二本鎖、分岐状、ヘアピ
ン状、環状、または南京錠様の立体配座であり得る。この用語は、一本鎖形態のDNAお
よび二本鎖形態のDNAを含む。本発明の核酸分子は、RNA、cDNA、ゲノムDNA
、ならびに前記の合成形態および混合ポリマーの、センス鎖とアンチセンス鎖との両方を
含み得る。当業者に容易に認識されるように、それらは化学的に改変されていても、生化
学的に改変されていてもよく、あるいは非天然ヌクレオチド塩基を含んでいてもよいし、
誘導体化ヌクレオチド塩基を含んでいてもよい。そのような改変としては、例えば、標識
、メチル化、1以上の天然に存在するヌクレオチドのアナログでの置換、ヌクレオチド間
改変(例えば、荷電していない結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル
、ホスホルアミデート、カルバメートなど)、荷電した結合(例えば、ホスホロチオエー
ト、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部位(例えば、ポリペプチド)、インター
カレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレーター、アルキレーターおよび
改変された結合(例えば、αアノマー核酸など))が挙げられる。また、指定された配列
に、水素結合および他の化学的相互作用を介して結合する、それらの能力において、ポリ
ヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。そのような分子は当該分野で公知であり、
例えば、ペプチド結合が分子の骨格中のリン酸結合に代えて置き換えるものを含む。
列番号Xの配列、または(ii)配列番号Xに相補的な配列のいずれかを有する核酸をい
う。その2つの間の選択は文脈によって決定される。例えば、もし核酸がプローブとして
用いられる場合、その2つの間の選択はプローブがその所望の標的に対して相補的である
という要件によって決定される。
A、DNAまたは混合されたポリマー)は、その天然宿主細胞においてネイティブなポリ
ヌクレオチドに天然では伴う他の細胞構成要素(例えば、それに対して天然に会合するリ
ボソーム、ポリメラーゼ、およびゲノム配列)から実質的に分離されたものである。該用
語は、(1)その天然に存在する環境から取り出されてしまっている核酸またはポリヌク
レオチド、(2)「単離されたポリヌクレオチド」が天然に見出されるポリヌクレオチド
の全部または一部と会合していない核酸またはポリヌクレオチド、(3)天然には結合し
ていないポリヌクレオチドに作動可能に連結している核酸またはポリヌクレオチド、ある
いは(4)天然には存在しない核酸またはポリヌクレオチドを含む。用語「単離された」
または「実質的に純粋な」は、組換えDNA単離体もしくはクローンDNA単離体、化学
的に合成されたポリヌクレオチドアナログ、または異種系によって生物学的に合成される
ポリヌクレオチドアナログに関して用いることもできる。
が、その天然の環境から物理的にそれ自体が取り出されてしまっていることを必ずしも必
要としない。例えば、もし異種配列(すなわち、内因性核酸配列に天然では隣接しない配
列)が、生物のゲノム中の内因性核酸配列の発現が改変されるように、この内因性核酸配
列に隣接して置かれるならば、この内因性核酸配列は、本明細書中では、「単離された」
とみなされる。その例として、非ネイティブプロモーター配列は、ヒト細胞のゲノム中の
遺伝子が改変された発現パターンを有するように、この遺伝子の天然プロモーターに代え
て(例えば、相同組換えによって)置き換えることができる。この遺伝子は今や「単離さ
れた」ものとなっている。何故ならば、それは、天然ではそれに近接する配列の少なくと
もいくつかから分離されているからである。
場合、この核酸は、「単離された」と考えられる。例えば、もし内因性コード配列が、例
えば、ヒト介入によって人工的に導入された挿入、欠失または点変異を含むならば、それ
は「単離された」と考えられる。「単離された核酸」としては、異種部位において宿主細
胞染色体に組み込まれた核酸、エピソームとして存在する核酸構築物が挙げられる。さら
に、「単離された核酸」は、他の細胞物質を実質的に含み得ないか、あるいは組換え技術
によって生産される場合、培養培地を実質的に含み得ないか、あるいは化学的に合成され
る場合、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含み得ない。
暗号に従い、翻訳されて参照核酸配列から翻訳されたものと同一なアミノ酸配列を供する
ように翻訳され得る核酸配列を含む。
応性に対して整列させた場合に同一である、2つの配列中の残基をいう。配列同一性比較
の長さは、少なくとも約9つのヌクレオチド、通常少なくとも約20ヌクレオチド、より
通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、よ
り典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36以上のヌクレ
オチドのストレッチにわたることができる。ヌクレオチド配列同一性を測定するのに用い
ることができる当該分野で公知の多数の異なるアルゴリズムがある。例えば、Wisco
nsin Package Version 10.0、Genetics Compu
ter Group(GCG)、Madison、Wisconsinにおけるプログラ
ムであるFASTA、GapまたはBestfitを用いて、ポリヌクレオチド配列を比
較することができる。FASTAは、クエリ配列とサーチ配列との間の最良の重複の領域
の整列および配列同一性パーセントを提供する(Pearson(1990)Metho
ds Enzymol.183:63−98、その全体が本明細書中に参考として援用さ
れる)。例えば、核酸配列の間の配列同一性パーセントは、デフォルトパラメーター(ス
コアリングマトリックスのための6のワードサイズおよびNOPAM因子)でFASTA
を用いてか、あるいは本明細書中に参考として援用されるGCG Version 6.
1で提供されるようなデフォルトパラメーターでGapを用いて、決定され得る。
言及する場合、もう1つの核酸(またはその相補鎖)と、ヌクレオチドの適切な挿入また
は欠失を伴って最適に整列させた場合に、前記したようなFASTA、BLASTまたは
Gapのようないずれかの周知の配列同一性のアルゴリズムによって測定して、ヌクレオ
チド塩基の少なくとも約50%、より好ましくは約60%、通常少なくとも約70%、よ
り通常には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なく
とも約95%、96%、97%、98%または99%においてヌクレオチド配列同一性が
あることを示す。
ン条件下で、もう1つの核酸、もう1つの核酸の鎖、その相補鎖にハイブリダイズする場
合に、かなりの相同性または類似性が存在する。核酸ハイブリダイゼーション実験の文脈
における、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェン
トな洗浄条件」は、多数の異なる物理的パラメーターに依存する。核酸ハイブリダイゼー
ションは、当業者に容易に認識されるように、塩濃度、温度、溶媒、ハイブリダイズする
種の塩基組成、相補的な領域の長さ、およびハイブリダイズする核酸の間のヌクレオチド
塩基ミスマッチの数のような条件によって影響される。当業者であれば、どのようにして
これらのパラメーターを変化させ、ハイブリダイゼーションの特定のストリンジェンシー
を達成するかを知っている。
特異的なDNAハイブリッドについての熱融解温度(Tm)より約25℃低い温度で行わ
れる。「ストリンジェントな洗浄」は条件の特定の組の下で、特異的なDNAハイブリッ
ドについてのTmより約5℃低い温度で行われる。Tmは、標的配列の50%が完全にマ
ッチしたプローブにハイブリダイズする温度である。本明細書中に参考として援用される
Sambrookら、前掲、頁9.51参照。本明細書中での目的では、「高ストリンジ
ェンシー条件」は、液相ハイブリダイゼーションでは、8〜12時間の65℃における6
×SSC(ここで、20×SSCは3.0M NaClおよび0.3Mクエン酸ナトリウ
ムを含む)、1%SDSでの水性ハイブリダイゼーション(すなわち、ホルムアミドを含
まない)、続いての20分間の65℃における0.2×SSC、0.1%SDSでの2回
の洗浄として定義される。65℃におけるハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズす
る配列の長さおよびパーセント同一性を含めた多数の因子に応じて異なる速度で起こるこ
とは当業者に認識される。
酸配列と比較して、挿入され得るか、欠失され得るか、または変化され得ることを意味す
る。単一の改変は遺伝子座でなすことができ(点変異)、あるいは多数のヌクレオチドを
単一遺伝子座において挿入し、欠失し、または変化させることができる。加えて、1以上
の改変を、核酸配列内のいずれかの数の遺伝子座で行うことができる。核酸配列は、限定
されるものではないが、「エラープローンPCR」(点変異の高い率がPCR産物の全長
に沿って得られるように、DNAポリメラーゼのコピー忠実度が低い条件下でPCRを行
うプロセス;例えば、Leungら(1989)Technique 1:11−15な
らびにCalbwellおよびJoyce(1992)PCR Methods App
lic.,2:28−33参照);および「オリゴヌクレオチド指向性変異誘発」(目的
の任意のクローン化DNAセグメントにおいて部位特異的変異の生成を可能とするプロセ
ス;例えば、Reidhaar−Olsonら(1988)Science 241:5
3−57参照)のような変異誘発技術が挙げられる、当該分野で公知のいずれかの方法に
よって変異させることができる。
とができる核酸分子をいうことを意図する。1つのタイプのベクターは「プラスミド」で
あり、これは、さらなるDNAセグメントをその中に連結することができる環状二本鎖D
NAループをいう。他のベクターはコスミド、細菌人工染色体(BAC)および酵母人工
染色体(YAC)を含む。もう1つのタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここ
に、さらなるDNAセグメントはウイルスゲノムに連結することができる(後により詳細
に議論する)。ある種のベクターは、それが導入される宿主細胞において自律複製できる
(例えば、宿主細胞中で機能する複製起点を有するベクター)。他のベクターは、宿主細
胞への導入に際して、宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、従って、宿主ゲノムに沿
って複製される。さらに、ある種の好ましいベクターは、それに作動可能に連結されるゲ
ノムの発現を指令することができる。そのようなベクターは本明細書中では「組換え発現
ベクター」(または単に、「発現ベクター」)といわれる。
目的の遺伝子を制御する結合、ならびにトランス、またはある距離を置いて作用して目的
の遺伝子を制御する発現制御配列をいう。
の発現に影響するのに必要なポリヌクレオチド配列をいう。発現制御配列は、核酸配列の
転写、転写後事象、および翻訳を制御する配列である。発現制御配列としては、適切な転
写開始配列、終止配列、プロモーター配列およびエンハンサー配列;スプライシングシグ
ナルおよびポリアデニル化シグナルのような効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞
質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増強する配列(例えば、リボソーム結合部位
);タンパク質安定性を増強する配列;および所望の場合、タンパク質分泌を増強する配
列が挙げられる。そのような制御配列の性質は宿主生物に応じて異なり、原核生物の場合
には、そのような制御配列としては、一般には、プロモーター、リボソーム結合部位、お
よび転写終止配列が挙げられる。用語「制御配列」は、最小限、その存在が発現に必須で
ある全ての構成要素を含むことを意図し、また、その配列が有利であるさらなる構成要素
(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)も含み得る。
の中へ組換えベクターのような核酸が導入されている細胞をいうことを意図する。そのよ
うな用語は、特定の対象細胞のみならず、そのような細胞の子孫をもいうことを意図する
ことが、理解されるべきである。ある種の改変は、変異または環境の影響のいずれかに起
因して、継続する世代で起こり得るので、そのような子孫は、事実、親細胞と同一でない
可能性があるが、依然として、本明細書中で用いられる用語「宿主細胞」の範囲内に含ま
れる。組換え宿主細胞は、単離された細胞であっても、培養で増殖された細胞系であって
もよく、あるいは生きた組織または生物中に存在する細胞であってもよい。
は約50アミノ酸未満の長さ、より典型的には約30アミノ酸未満の長さのものをいう。
本明細書中で用いられる該用語は、アナログ、ならびに構造および従って生物学的機能を
模倣する模倣物を含む。
しないものとの両方のタンパク質、ならびにそのフラグメント、変異体、誘導体およびア
ナログを含む。ポリペプチドはモノマーまたはポリマーであり得る。さらに、ポリペプチ
ドは、その各々が、1以上の区別される活性を有する多数の異なるドメインを含み得る。
誘導の源により、(1)そのネイティブ状態でそれに伴う天然に会合した構成要素に会合
しないタンパク質またはポリペプチド、(2)それが天然で見出されない純度で存在する
場合、その純度を他の細胞物質の存在に関連して調整できる(例えば、同一種由来の他の
タンパク質はない)タンパク質またはポリペプチド、(3)異なる種由来の細胞によって
発現されるタンパク質またはポリペプチド、あるいは(4)天然に存在しない(例えば、
それは天然で見出されるポリペプチドのフラグメントであるか、あるいはそれは天然で見
出されないアミノ酸アナログまたは誘導体、あるいは標準的なペプチド結合以外の結合を
含む)タンパク質またはポリペプチドである。従って、化学的に合成されたか、またはそ
れが天然で由来する細胞とは異なる細胞系で合成されたポリペプチドは、その天然に会合
した構成要素から「単離」されている。また、ポリペプチドまたはタンパク質は、当該分
野で周知のタンパク質精製技術を用いて、単離によって天然に会合した構成要素を実質的
に含まないようにされ得る。そのように定義されたように、「単離された」は、そのよう
に記載されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチドがその天然環境
から物理的に取り出されてしまっていることを必ずしも必要としない。
してアミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドをいう。好ま
しい実施形態において、ポリペプチドフラグメントは、そのフラグメントのアミノ酸配列
が天然に存在する配列における対応する位置と同一である連続配列である。フラグメント
は、典型的には少なくとも5、6、7、8,9または10アミノ酸長、好ましくは少なく
とも12、14、16または18アミノ酸長、より好ましくは少なくとも20アミノ酸長
、より好ましくは少なくとも25、30、35、40または45アミノ酸長、なおより好
ましくは少なくとも50または60アミノ酸長、なおより好ましくは少なくとも70アミ
ノ酸長である。
ンビボまたはインビトロでの化学的改変および生化学的改変を含む、あるいはネイティブ
ポリペプチドに見出されないアミノ酸を取り込んだポリペプチドまたはそのフラグメント
をいう。そのような改変としては、例えば、当業者に容易に認識されるように、例えば、
アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、標識(例えば、
放射性核種での標識)、および種々の酵素的改変が挙げられる。そのような目的で有用な
、ポリペプチドを標識するための多様な方法、および多様な置換基または標識は、当該分
野で周知であり、125I、32P、35S、および3Hのような放射性同位体、標識抗
リガンドに結合するリガンド(例えば、抗体)、発蛍光団、化学発光剤、酵素、および標
識されたリガンドに対する特異的結合対メンバーとして働くことができる抗リガンドを含
む。標識の選択は、必要な感度、プライマーとの結合体化の容易性、安定性の要件、およ
び利用可能な機器に依存する。ポリペプチドを標識する方法は当該分野で周知である。本
明細書中で参考として援用される、Ausubelら,Current Protoco
ls in Molecular Biology,Greene Publishin
g Associates(1992,および2002の補遺)参照。
ンパク質のアミノ酸配列と比較して、1以上のアミノ酸の挿入、複製、欠失、再編成また
は置換を含むポリペプチドをいう。ムテインは、ある位置における単一アミノ酸が別のア
ミノ酸に変化されている1以上のアミノ酸点置換、1以上のアミノ酸が天然に存在するタ
ンパク質の配列において、各々、挿入または欠失されている1以上の挿入および/もしく
は欠失、ならびに/またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端いずれかまたは双方におけ
るアミノ酸配列の短縮を有することができる。ムテインは、天然に存在するタンパク質と
比較して、同一の生物学的活性を有することができるが、好ましくは、異なる生物学的活
性を有する。
する。なおより好ましいのは、野生型タンパク質に対して80%、85%または90%の
総じての配列相同性を有するムテインである。なおより好ましい実施形態においては、ム
テインは、95%の配列同一性、なおより好ましくは97%、なおより好ましくは98%
、なおより好ましくは99%の総じての配列同一性を呈する。配列相同性は、Gapまた
はBestfitのような、任意の一般的な配列分析アルゴリズムによって測定され得る
。
換、(2)酸化に対する感受性を低下させるアミノ酸置換、(3)タンパク質複合体を形
成するための結合親和性を改変するアミノ酸置換、(4)結合親和性または酵素活性を改
変するアミノ酸置換、および(5)そのようなアナログの他の物理化学的特性または機能
的特性を付与するか、または改変するアミノ酸置換である。
う。本明細書中に参考として援用される、Immunology−A Synthesi
s(第2版,E.S.GolubおよびD.R.Gren編,Sinauer Asso
ciates,Sunderland,Mass.(1991))参照。20の慣用的ア
ミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α−,α−ジ置換アミノ酸、N−アルキ
ルアミノ酸、および他の非慣用的アミノ酸のような非天然アミノ酸もまた、本発明のポリ
ペプチドのための適切な構成要素であり得る。非慣用的アミノ酸の例としては、4−ヒド
ロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε
−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニ
ン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、N−メチルアルギニン、および他の
類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明
細書中で用いられるポリペプチド表記においては、標準用法および約束に従い、左手方向
はアミノ酸末端方向であって、右手方向はカルボキシ末端方向である。
似の配列を有するならば、そのタンパク質は第二のタンパク質に対して「相同性」を有し
、あるいはそれに対して「相同」である。あるいは、もし2つのタンパク質が「類似の」
アミノ酸配列を有するならば、タンパク質は第二のタンパク質に対して相同性を有する(
従って、用語「相同タンパク質」とは、2つのタンパク質が類似のアミノ酸配列を有する
ことを意味すると定義される)。好ましい実施形態において、相同タンパク質は、野生型
タンパク質に対して60%の配列相同性、より好ましくは70%配列相同性を呈するもの
である。なおより好ましいのは、野生型タンパク質に対して80%、85%または90%
配列相同性を呈する相同タンパク質である。なおより好ましい実施形態において、相同タ
ンパク質は95%、97%、98%、または99%配列同一性を呈する。本明細書中で用
いられる場合、(特に、予測された構造類似性に関して)アミノ酸配列の2つの領域の間
の相同性は、機能において類似性を意味するものと解釈される。
置は、しばしば、保存的アミノ酸置換だけ異なると認識される。「保存的アミノ酸置換」
は、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を持つ側鎖(R基)を有する別のア
ミノ酸残基によってアミノ酸残基が置換されたものである。一般に、保存的アミノ酸置換
は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。2以上のアミノ酸配列が相互に保
存的置換だけ異なる場合、配列同一性パーセントまたは相同性の程度は、置換の保存的性
質を修正するように上方に調整することができる。この調整をなす手段は当業者に周知で
ある(例えば、Pearson(1990)Methods Enzymol.183:
63−98参照)。
ン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)ア
スパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソ
ロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アラニン(A)、バリン(V)、
および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
列分析ソフトウエアを用いて測定される。例えば、Sequence Analysis
Software Package of the Genetics Comput
er Group(GCG),University of Wisconsin Bi
otechnology Center,910 University Avenue
,Madison,Wisconsin 53705参照。タンパク質分析ソフトウエア
は、保存的アミノ酸置換を含めた、種々の置換、欠失および他の改変に帰属される相同性
の尺度を用いて類似の配列をマッチングさせる。例えば、GCGは、「Gap」および「
Best fit」のようなプログラムを含み、これは、デフォルトパラメーターを用い
て、異なる種の生物に由来する相同なポリペプチドのような密接に関連するポリペプチド
の間、または野生型タンパク質とそのムテインとの間の配列相同性または配列同一性を決
定するために使用され得る。例えば、GCG Version 6.1参照。
合の好ましいアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLAST(Altschulら
.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410;GishおよびSta
tes(1993)Nature Genet.3:266−272;Maddenら.
(1996)Meth.Enzymol.266:131−141;Altschulら
.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402;Zh
angおよびMadden(1997)Genome Res.7:649−656)、
特に、blastpまたはtblastn(Altschulら,1997)である。B
LASTpについての好ましいパラメーターは:期待値:10(デフォルト):フィルタ
ー:seg(デフォルト);ギャップを開くためのコスト:11(デフォルト);ギャッ
プを拡大するためのコスト:1(デフォルト);最大整列:100(デフォルト);ワー
ドのサイズ11:(デフォルト);記載の番号:100(デフォルト):ペナルティマト
リックス:BLOWSUM62である。
ノ酸残基、通常少なくとも約20残基、より通常には少なくとも約24残基、典型的には
少なくとも約28残基、好ましくは約35を超える。非常に多数の異なる生物に由来する
配列を含むデータベースを検索する場合、アミノ酸配列を比較するのが好ましい。アミノ
酸配列を用いるデータベース検索は、当該分野で公知のblastp以外のアルゴリズム
によって測定することができる。例えば、ポリペプチド配列はFASTA(GCG Ve
rsion 6.1におけるプログラム)を用いて比較することができる。FASTAは
、クエリ配列とサーチ配列との間の最良な重複の領域の整列および配列同一性パーセント
を提供する(Pearson(1990)Methods Enzymol.183:6
3−98参照)。例えば、アミノ酸配列の間の配列同一性パーセントは、本明細書中に参
考として援用される、GCG Version6.1に提供されているように、そのデフ
ォルトパラメーター(ワードサイズ2およびPAM250スコアリングマトリックス)を
用いて決定することができる。
はフラグメントを含むポリペプチドをいう。融合タンパク質は、2以上の異なるタンパク
質由来の2以上の所望の機能的エレメントを含むように構築することができるので有用で
ある。融合タンパク質は、目的のポリペプチドからの少なくとも10の連続アミノ酸、よ
り好ましくは少なくとも20または30アミノ酸、なおより好ましくは少なくとも40、
50または60アミノ酸、なおより好ましくは少なくとも75、100または125アミ
ノ酸を含む。融合タンパク質は、異なるタンパク質またはペプチドをコードする核酸配列
とインフレームであるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を構築
し、次いで、融合タンパク質を発現させることによって、組換えにより生産することがで
きる。別法として、融合タンパク質は、ポリペプチドまたはそのフラグメントをもう一つ
のタンパク質に架橋させることによって化学的に生産することができる。
いう。タンパク質の場合には、領域は、そのタンパク質のアミノ酸配列の連続部分によっ
て定義される。
に寄与する生体分子の構造をいう。ドメインは、領域またはその部分と同じ範囲であり得
;ドメインは、生体分子の別個の非連続領域を含むこともできる。タンパク質ドメインの
例としては、限定されるものではないが、Igドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイ
ン、および細胞質ドメインが挙げられる。
ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、核酸、脂質などを含めた任意の化合物を意味
し、そのような化合物は、天然または合成のものであり得る。
属する分野における当業者によって通常理解されるのと同一な意味を有する。例示的な方
法および材料が以下に記載されるが、本明細書中に記載したのと同様なまたは同等な方法
および材料も本発明の実施で用いることができ、それは当業者に明らかである。本明細書
中で言及する全ての刊行物および他の文献は本明細書にその全体が参考として援用される
。矛盾がある場合、定義を含めた本明細書が優先する。材料、方法および例は説明のため
だけのものであり、限定する意図のものではない。
でいる」のような変形は、述べられた整数または整数の群を含むことを意味するが、他の
いかなる整数も整数の群も排除するものではないと理解される。
本発明は、非ヒト真核生物宿主細胞においてヒト様グリコシル化を有する糖タンパク質
を生産する方法を提供する。後により詳細に記載するように、高マンノース構造の生産に
関与する1以上の酵素を天然では発現しないか、またはそれを発現しないように操作され
ている真核生物宿主細胞が、出発宿主細胞として選択される。そのような選択された宿主
細胞は、ヒト様糖タンパク質を生産するように必要な1以上の酵素、または他の因子を発
現するように操作される。所望の宿主株は、一度に1つ以上の酵素を発現するように操作
することができる。加えて、1以上の酵素または活性をコードする核酸分子を用いて、本
発明の宿主株を操作することができる。好ましくは、潜在的に有用な酵素(例えば、異種
細胞下標的化配列とインフレームにて連結された触媒的に活性な酵素フラグメントを含む
キメラ酵素)をコードする核酸分子のライブラリーが(例えば、酵素フラグメントを含む
サブライブラリーと細胞下標的化配列との連結によって)創製され、そして最適な活性を
持つ1以上の酵素を有するか、または最も「ヒト様」の糖タンパク質を生産する株が、ラ
イブラリーの1以上のメンバーで標的宿主細胞を形質転換することによって、選択され得
る。
複合N−グリカンを得る目的で、少なくとも一時的に、Man5GlcNAc2構造を高
い収率でインビボで得ることを可能とする。下等真核生物のような宿主細胞において適当
なMan5GlcNAc2構造を適当な収率で得るための成功したスキームは、一般には
、2つの平行したアプローチ:(1)もしあれば、内因性マンノシルトランスフェラーゼ
活性によって作製された高マンノース構造を低下させること、および(2)1,2−α−
マンノースをマンノシダーゼによって除去して、さらに宿主細胞の内部で反応されて複合
体ヒト様グリコ形態を形成することができる高レベルの適当なMan5GlcNAc2構
造を得ることを含む。
よってインビボでGlcNAcを許容し得るMan5GlcNAc2の特異的前駆体構造
を生産し得る、真核生物宿主細胞(例えば、下等真核生物)の選択または創生を含む。一
つの実施形態において、この方法は、糖タンパク質上のN−グリカンに関して1,6マン
ノシルトランスフェラーゼ活性が枯渇した非ヒト真核生物宿主細胞を作製すること、また
はそれを用いることを含む。好ましくは、宿主細胞は、開始1,6マンノシルトランスフ
ェラーゼ活性(後記参照)が枯渇したものである。そのような宿主細胞は、ヒト様糖タン
パク質を生産するのに望ましくない高マンノース構造の生産に関与する1以上の酵素を欠
く。
のMan5GlcNAc2(「Man5」)炭水化物構造を有することによって特徴付け
られるN−グリカンを、宿主細胞内で生産する。Man5GlcNAc2構造は複合N−
グリカン形成に必要である:Man5GlcNAc2は、少なくとも一時的に、高い収率
で(例えば、30%を超えて)インビボで形成されなければならない。なぜなら、引き続
いての哺乳動物様およびヒト様のグリコシル化反応はMan5GlcNAc2またはその
誘導体を必要とするからである。
形成も必要とする。Man5GlcNAc2構造は複合N−グリカン形成に必要であるが
、その存在は決して十分ではない。これは、Man5GlcNAc2は、GlcNAcト
ランスフェラーゼIに対する基質として働くことができる、またはできない異なる異性体
形態で存在し得るからである。殆どのグリコシル化反応は完全ではないので、特定のグリ
コシル化タンパク質は、一般に、その表面に、ある範囲の異なる炭水化物構造(すなわち
、グリコ形態)を含む。従って、Man5GlcNAc2のような特定の構造の微量の(
すなわち、5%未満の)単なる存在は、哺乳動物様糖タンパク質またはヒト様糖タンパク
質を生産するのにほとんど現実的な関連性はない。必要なのは、高い収率での(すなわち
、30%を超える)GlcNAcトランスフェラーゼIを許容するMan5GlcNAc
2中間体(図1B)の形成である。この中間体の形成は、目的のグリコシル化タンパク質
(標的タンパク質)上の複合N−グリカンの引き続いてのインビボでの合成を可能とする
のに必要である。
たは全ては、哺乳動物グリコシル化経路に沿った酵素活性に対する生産的基質でなければ
ならず、例えば、GlcNAcトランスフェラーゼI活性に対する基質としてインビボで
働くことができ、それにより、宿主細胞においてヒト様N−グリカン中間体GlcNAc
Man5GlcNAc2を形成する。好ましい実施形態において、本発明の宿主細胞にお
いて生産されたMan5GlcNAc2中間体の少なくとも10%、より好ましくは少な
くとも30%、最も好ましくは50%以上は、インビボにてGnTIに対する生産的基質
である。もし、例えば、GlcNAcMan5GlcNAc2が10%で生産され、Ma
n5GlcNAc2が標的タンパク質上で25%で生産されるならば、一時的に製造され
たMan5GlcNAc2の合計量は35%であることが理解される。なぜならば、Gl
cNAcMan5GlcNAc2は、Man5GlcNAc2の産物だからである。
NAc2を生産する現存する真菌または他の下等真核生物)を選択し得る。しかしながら
、合計N−グリカンの1.8%を超えてインビボにてそのような構造を供することが示さ
れた下等真核生物は未だない(例えば、Marasら(1997)Eur.J.Bioc
hem.249,701−707参照)。あるいは、そのような宿主細胞は、インビボで
Man5GlcNAc2構造を生産するように遺伝子的に操作することができる。米国特
許第5,595,900号に記載されたもののような方法を用いて、目的の標的宿主細胞
または生物における特定のグリコシルトランスフェラーゼ、マンノシダーゼおよび糖ヌク
レオチドトランスポーターの非存在または存在を同定することができる。
本発明の方法は、改変された、好ましくはヒト様N−グリカン構造を有する糖タンパク
質を生産する宿主細胞の作製に関する。好ましい実施形態において、この方法は、オリゴ
糖前駆体がMan5GlcNAc2で豊富である宿主細胞の作製に関する。好ましくは、
高マンノース構造の生産に関与する1以上の酵素を発現しない真核生物宿主細胞が用いら
れる。そのような宿主細胞は、天然で見出すことができるか、例えば、酵母における既に
記載された多くのそのような変異体の一つで出発して操作され得るか、あるいはこの変異
体から誘導されて操作され得る。従って、選択された宿主細胞に応じて、非ヒトグリコシ
ル化反応の特徴であることが既知である酵素をコードする1つまたは多数の遺伝子を、欠
失しなければならない。そのような遺伝子およびその対応するタンパク質は、多数の下等
真核生物(例えば、S.cerevisiae、T.reesei、A.nidulan
aなど)において広く特徴付けられており、それにより、下等真核生物における公知のグ
リコシルトランスフェラーゼ、その活性およびその各遺伝子配列のリストを提供する。こ
れらの遺伝子は、マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、1,3マンノシルトランスフ
ェラーゼ(例えば、S.cerevisiaeにおけるMNN1)(Graham、19
91)、1,2マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、S.cerevisiae由来
のKTR/KREファミリー)、1,6−マンノシルトランスフェラーゼ(S.cere
visiae由来のOCH1)、マンノシルリン酸トランスフェラーゼおよびそれらのレ
ギュレーター(S.cerevisae由来のMNN4およびMNN6))、ならびに異
常な、すなわち、非ヒトグリコシル化反応に関与するさらなる酵素の群から選択されるよ
うである。これらの遺伝子の多くは、事実、個々に欠失されており、改変されたグリコシ
ル化プロフィールを持つ生きた表現型を生じる。その例は、表1に示される。
真核生物宿主細胞は、Pichia pastorisまたはK.lactisの過マン
ノシル化−マイナス(och1)変異体である。他の下等真核生物のようにP.past
orisは、Man8GlcNAc2を生じさせるためにα−1,2−マンノシダーゼと
共にER中にMan9GlcNAc2構造を保有する(図1A)。数個のマンノシルトラ
ンスフェラーゼの作用を介して、次いで、この構造はマンナンとしても知られた過マンノ
シル化された構造(Man>9GlcNAc2)に変換される(図35A)。加えて、P
.pastorisは、マンノシルリン酸トランスフェラーゼの作用を介して、非末端リ
ン酸基を炭水化物構造へ付加することができることが判明した。これは、マンノース糖の
付加よりはむしろ除去を包含する、哺乳動物細胞で行われる反応とは異なる(図35A)
。存在するMan8GlcNAc2構造を過マンノシル化する真核生物宿主細胞(例えば
、真菌)の能力を排除するのは特に重要である。これは、超マンノシル化しない宿主細胞
を選択すること、またはそのような細胞を遺伝的に操作することのいずれかによって、達
成され得る。
sにおいて、同定されており、これらの遺伝子中に変異を作り出すことによって、「望ま
しくない」グリコ形態の生産を低下させることができる。そのような遺伝子は、C.al
bicans、Pichia angustaまたはS.cerevisiaeのような
他の下等真核生物で見出される現存のマンノシルトランスフェラーゼまたはそれらのレギ
ュレーター(例えば、OCH1、MNN4,MNN6、MNN1)に対する相同性によっ
て、あるいは宿主株を変異誘発し低下したマンノシル化を持つグリコシル化表現型を選択
することによって同定することができる。公知のマンノシルトランスフェラーゼおよびマ
ンノシルリン酸トランスフェラーゼの間の相同性に基づき、PCRプライマー(その例は
表2に示される)を設計することができるか、そのような酵素をコードする遺伝子または
遺伝子フラグメントをプローブとして用いて、標的または関連生物のDNAライブラリー
においてホモログを同定することができる。別法として、関連生物において特定のグリコ
シル化表現型を補うその能力によってバンノシルトランスフェラーゼ活性を有する機能的
ホモログを同定することができる。
はT、K=GまたはT、V=AまたはCまたはG、H=AまたはCまたはT、D=Aまた
はGまたはT、B=CまたはGまたはT、N=GまたはAまたはTまたはC。
る遺伝子を得るためには、例えば、以下の工程を行う:S.cerevisiaeのOC
H1変異体は温度感受性であり、高温では遅く成長する。従って、S.cerevisi
aeのOCH1変異体をP.pastorisのDNAまたはcDNAライブラリーで補
うことによって、P.pastorisにおいてOCH1の機能的ホモログを同定するこ
とができる。S.cerevisiaeの変異体は、例えば、Stanford Uni
versityから入手可能でありResGen、Invitrogen Corp.(
Carlsbad,CA)から市販されている。高温において正常な増殖表現型を呈する
変異体は、P.pastoris DNAライブラリーで形質転換された後は、P.pa
storisのOCH1ホモログを有するようである。そのようなライブラリーは、P.
pastorisの染色体DNAを適当な制限酵素で部分的に消化し、制限酵素を不活化
した後、消化されたDNAを、適合する制限酵素で消化されている適当なベクターに連結
することによって作り出すことができる。
tに基づく低コピー(CEN6/ARS4)プラスミドであるpRS314(Sikor
skiおよびHieter(1989)Genetics 122:19−27頁)、お
よびURA3マーカーを含有する改変されたpUC19に基づく高コピー(2μ)プラス
ミドであるpFL44S(Bonneaudら(1991)Yeast 7:609−6
15頁)が挙げられる。そのようなベクターは、学術研究者によって通常用いられ、同様
なベクターは多数の異なる販売業者(例えば、Invitrogen(Carlsbad
,CA);Pharmacia(Piscataway,NJ);New Englan
d Biolabs(Beverly,MA))から入手可能である。さらなる例として
は、pYES/GS、Invitrogenからの2μ複製起点に基づく酵母発現プラス
ミド、またはNew England BiolabsからのYep24クローニングビ
ヒクルが挙げられる。
.cerevisiaeの株に形質転換し、対応する表現型の修正を選択することができ
る。野生型表現型を回復することができるDNAフラグメントをサブクローニングし、配
列決定した後、このフラグメントを用いて、当業者に周知のインビボ変異誘発および/ま
たは組換え技術を用い、P.pastorisにおけるOCH1によってコードされた遺
伝子産物の活性を排除することができる。
ならば、NCBI、Swissprotのようないくつかの情報源から入手可能な、公に
利用可能なDNAデータベースを単に検索することによって、そのような遺伝子を同定す
ることができる。例えば、与えられたゲノム配列、または公知の1,6マンノシルトラン
スフェラーゼ遺伝子(例えば、S.cerevisiae由来のOCH1)からの配列を
含むデータベースを検索することによって、1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性
を有するタンパク質をコードできる(必ずしも必要でない)そのような宿主細胞ゲノムに
おいて高い相同性の遺伝子を同定することができる。しかしながら、核酸配列相同性単独
は、同一の活性を有する酵素をコードするホモログを同定し、単離したことを証明するに
は十分ではない。今日まで、例えば、P.pastorisにおけるOCH1欠失が非常
に重要な開始1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を排除することを示すデータは
存在しない(Martinetら(1998)Biotech.Letters 20(
12)(Dec.1998):1171−1177;Contrerasら,WO02/
00856 A2)。従って、P.pastoris OCH1遺伝子ホモログがその機
能を現実にコードすることを証明するデータはない。その証明はここに初めて提供される
。
は、これらのアプローチを用いてP.pastorisにおいて同定されている。相同な
遺伝子は、しばしば、S.cerevisiaeにおけるタンパク質のマンノシル化に関
与する遺伝子と同様な機能を有し、従って、それらの欠失を用いて、P.pastori
sまたは、同様に、同様なグリコシル化経路を持つ任意の他の宿主細胞(例えば、真菌細
胞、植物細胞、昆虫細胞または動物細胞)において、グリコシル化パターンを操作するこ
とができる。
分野におけるよく確立された技術であり、当業者が行うことができる(例えば、R.Ro
thstein,(1991)Methods in Enzymology 194:
281参照)。宿主生物の選択は、良好な形質転換および遺伝子破壊技術の利用可能性に
よって影響され得る。
えば、AlaniおよびKleckner(1987)Genetics 116:54
1−545によって開発された方法は、選択マーカー(例えば、酵母におけるURA3マ
ーカー)の反復された使用を可能として、全ての望ましくない内因性マンノシルトランス
フェラーゼ活性を順次に排除することができる。この技術は他者によって改良されている
が、基本的には、逆選択マーカーに隣接する2つの反復DNA配列の使用を含む。例えば
、URA3をマーカーとして用いて、構築物を取り込んだ形質転換体の選択を確実とする
ことができる。URA3マーカーに直接反復物を隣接させることによって、まず、構築物
を取り込み、従って、標的遺伝子を破壊した形質転換体を選択することができる。形質転
換体の単離、およびその特徴付けの後、5−フルオロオロチン酸(5−FOA)に対して
耐性であるものを、第二ラウンドにて逆選択することができる。5−FOAを含有するプ
レート上で生存することができるコロニーは、先に述べた反復を含む交差事象を介して再
度URA3マーカーを失っている。このアプローチは、従って、同一マーカーの反復され
た使用を可能とし、さらなるマーカーを必要とすることなく複数遺伝子の破壊を容易とす
る。他の選択マーカーおよび逆選択マーカーを持つ別の真核生物宿主細胞で用いるのに適
合された、遺伝子の順次の排除のための同様な技術もまた、用いられ得る。
たはマンノシルリン酸トランスフェラーゼ(MNN6、またはlbd変異体を相補する遺
伝子)のような特定のマンノシルトランスフェラーゼ、またはレギュレーター(MNN4
)の排除は、この生物の操作された株の創製を可能とし、該株は主にMan8GlcNA
c2を合成し、これを用いて、より複雑なグリコ形態構造(例えば、哺乳動物(例えば、
ヒト細胞)で生産されるもの)に似るようにグリコシル化パターンをさらに改変すること
ができる。この方法の好ましい実施形態は、P.pastorisにおいて同様なまたは
同一の生化学的機能を排除して、遺伝子的に変更されたP.pastoris株で生産さ
れた糖タンパク質のグリコシル化構造を改変するために生化学的グリコシル化活性をコー
ドするDNA配列を利用する。
方法は、引き続いての修飾のために好ましい基質を生産するために糸状菌で用いることが
できる。例えば、A.nigerおよび他の糸状菌におけるグリコシル化経路を改変する
ための戦略は、酵母においてヒト様糖タンパク質を生産するように株を操作することに関
して本明細書中に記載したのと同様なプロトコルを用いて、開発することができる。1,
2マンノシルトランスフェラーゼ活性(例えば、KTR/KREホモログ)に関与する望
まない遺伝子活性を改変または排除する。Aspergillusのような糸状菌は好ま
しい宿主である。なぜならば、それは1,6マンノシルトランスフェラーゼ活性を欠くか
らであり、それゆえ、この宿主において超マンノシル化遺伝子活性(例えば、OCH1)
は予測されない。対照的に、グリコシル化に関与する他の所望の活性(例えば、α−1,
2−マンノシダーゼ、UDP−GlcNAcトランスポーター、グリコシルトランスフェ
ラーゼ(GnT)、ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)およびシアリルトラン
スフェラーゼ(ST))は、本発明の標的化方法を用いて宿主に導入される。
は選択)
好ましい実施形態において、本発明の方法は、開始α−1,6−マンノシルトランスフ
ェラーゼ(すなわち、Man3GlcNAc2コア構造のα−1,3アーム上で外部鎖マ
ンノシル化を開始する開始特異的酵素)活性が減少した、または枯渇した宿主細胞の作製
または使用を含む。S.cerevisiaeにおいて、この酵素は、OCH1遺伝子に
よってコードされる。S.cerevisiaeにおけるOCH1遺伝子の破壊の結果、
N結合型糖がポリ−マンノース外側鎖を完全に欠く表現型をもたらす。真菌株において哺
乳動物型グリコシル化を得るための従前のアプローチは、OCH1の不活化を必要とした
(例えば、Chibaら(1998)J.Biol.Chem.273:26298−3
04参照)。しかしながら、本発明の宿主細胞における開始α−1,6−マンノシルトラ
ンスフェラーゼ活性の破壊は、(選択された宿主細胞に応じて)、任意であり得る。なぜ
なら、Och1p酵素は、効率的なマンノース外側鎖開始のために、インタクトなMan
8GlcNAc2を必要とするからである。従って、7以下のマンノース残基を有するオ
リゴ糖を蓄積する、本発明に従って選択されるかまたは生産された宿主細胞は、Och1
pに対する貧弱な基質であるような低グリコシル化N−グリカンを生産し得る(例えば、
Nakayamaら(1997)FEBS Lett.412(3):547−50参照
)。
びK.lactis(実施例9)からクローン化された。K.lactis由来のOCH
1遺伝子の核酸配列およびアミノ酸配列を、配列番号7および配列番号8に記載する。遺
伝子特異的プライマーを用いて、各クローンから構築物を作製して、P.pastori
sおよびK.lactisのゲノムからOCH1遺伝子を欠失させた(各々、実施例1お
よび9)。開始α−1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性が枯渇し、かつMan5
GlcNAc2糖鎖構造を有するN−グリカンを生産するように操作された宿主細胞は、
それにより、得られた(例えば、図5、6および12;実施例4および9参照)。
番号7)の少なくとも45、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも60
、最も好ましくは75以上のヌクレオチド残基を含む、またはそれよりなる核酸配列を有
する単離された核酸分子、ならびにそのホモログ、改変体および誘導体を提供する。また
、本発明は、ストリンジェントな条件下で上記した核酸分子にハイブリダイズする核酸分
子を提供する。同様に、本発明の核酸分子によってコードされた単離ポリペプチド(ムテ
イン、対立遺伝子改変体、フラグメント、誘導体、およびアナログを含む)が提供される
。また、さらに本明細書中で記載するように、本発明の上記核酸分子を含む、ベクター(
発現ベクターを含む)も提供される。同様に、本発明の核酸分子またはベクターで形質転
換された宿主細胞が提供される。
活性を含めたalg活性)が減少した、または枯渇した非ヒト真核生物宿主細胞を作製し
、または用い、少なくとも1つのグリコシダーゼ活性を宿主細胞に導入する方法を提供す
る。好ましい実施形態において、グリコシダーゼ活性は、宿主細胞内で1以上のマンノシ
ダーゼ活性の発現を引き起こすことによって、例えば、宿主細胞において、マンノシダー
ゼ活性の活性化によって、またはマンノシダーゼ活性の核酸分子からの発現によって、導
入される。
に転移する1種以上の酵素の活性を減少させたかまたは除去した宿主細胞を作製するかま
たは使用することを包含する(図13)。本発明の宿主細胞は、脂質結合オリゴ糖前駆体
の1,6アームに糖残基(例えば、マンノシレート)を転移する酵素をコードする遺伝子
のうちの1種以上における変異について選択されるか、またはこれらの遺伝子のうちの1
種以上において変異を導入することによって、操作される。その糖残基は、より好ましく
は、マンノースであり、好ましくは、グルコース、GlcNAc、ガラクトース、シアル
酸、フコースまたはGlcNAcリン酸残基である。好ましい実施形態において、脂質結
合オリゴ糖前駆体の1,6アームをマンノシル化する1種以上の酵素の活性を、減少させ
るかまたは除去する。この方法は、宿主細胞に少なくとも1種以上のグリコシダーゼ活性
を導入する工程をさらに包含し得る(以下を参照のこと)。
質を生産する方法を提供し、ここで、糖タンパク質は、トリマンノースコア構造に結合し
た少なくとも2つのGlcNAcを有するN−グリカンを含む。
NAc2構造(ここでXは、3、4または5である)を富化される宿主細胞を作製するこ
とに関する(図14)。これらの構造は、宿主細胞のREにおいて、生成しようとしてい
るポリペプチド鎖に、オリゴサッカリルトランスフェラーゼによって転移され、グリコシ
ダーゼ(例えば、α−マンノシダーゼ)およびグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、
GnTI)で処理して、GlcNAcManXGlcNAc2コア構造(ここでXは、3
、4または5であり、好ましくは3である)を有するN−グリカンを生成することによっ
てプロセシングされ得る(図14および15)。図14に示されるように、GlcNAc
ManXGlcNAc2コア構造(ここでXは、3より大きい)を有するN−グリカンは
、適用可能である場合には、GlcNAcMan3GlcNAc2に(例えば、α−1,
3マンノシダーゼ活性および/またはα−1,2−1,3マンノシダーゼ活性で処理する
ことによって)変換され得る。
an3GlcNAc2のさらなるプロセシングは、GlcNAc2Man3GlcNAc
2コア構造を生じ、これは、次いで、所望であれば、例えば、エキソビボ処理によって、
または宿主細胞における一連のグリコシル化酵素(グリコシルトランスフェラーゼ、糖ト
ランスポーターおよびマンノシダーゼ(後記参照)を含める)の異種発現によって、修飾
して、ヒト様N−グリカンとなるようにされ得る。本発明に従って生産され得る好ましい
ヒト様糖タンパク質としては、7以下個または3個以下のマンノース残基を有するN−グ
リカンを含むヒト様糖タンパク質の;ガラクトース、GlcNAc、シアリル酸、および
フコースからなる群より選択される1以上の糖を含むヒト様糖タンパク質;ならびに構造
NeuAc−Gal−GlcNac−Manを含む少なくとも1つのオリゴ糖分枝を含む
ヒト様糖タンパク質が挙げられる。
−PP−Dolマンノシルトランスフェラーゼ活性が減少したかまたは除去されている。
この活性は、ERの管側において、Man5GlcNAc2−PP−DolからMan6
GlcNAc2−PP−Dolへの第1のマンノシル化工程に関与する活性である(例え
ば、ALG3 図13;図14)。S.cerevisiaeにおいて、この酵素は、A
LG3遺伝子によってコードされる。上記のように、漏出性のalg3−1変異を有する
S.cerevisiae細胞は、Man5GIcNAc2−PP−Dolを蓄積し、a
lg3が欠失した細胞は、Man5GlcNAc2構造を、ER内で生成しているポリペ
プチド鎖に転移するようである。従って、この実施形態において、宿主細胞は、Man5
GlcNAc2構造が富化されたN−グリカンを蓄積する。この構造は、次いで、グリコ
シダーゼ活性(例えば、α−1,2マンノシダーゼ、α−1,3マンノシダーゼ、または
α−1,2−1,3マンノシダーゼ活性)およびグリコシルトランスフェラーゼ活性(例
えば、GnTI、GnTII)での処理によってGlcNAc2Man3GlcNAc2
に変換され得る(図14;図35B)。
するAlg3タンパク質配列、D.melanogasterに由来するAlg3タンパ
ク質配列およびヒト(H.sapiens)に由来するAlg3タンパク質配列のアライ
メント(図16および17)に基づいて設計し、これらを使用して、P.pastori
sゲノムDNAから生成物を増幅した。得られたPCR生成物を、S.cerevisi
ae ALG3遺伝子に対する35%の全体的な配列同一性および53%の配列類似性を
有するタンパク質をコードする(図18および19)オープンリーディングフレーム(O
RF)を含むP.pastorisゲノムクローンを同定および単離するために、プロー
ブとして使用した。このP.pastoris遺伝子は、本明細書で「PpALG3」と
いわれる。そのALG3遺伝子を、K.lactisから同様に同定および単離した(実
施例10;図20および21)。
18)およびK.lactis ALG3遺伝子(図20)のうちの少なくとも45個、
好ましくは50個、より好ましくは少なくとも60個および最も好ましくは75個以上の
ヌクレオチド残基を含むかまたはそれらからなる核酸配列、ならびにそれらのホモログ、
改変体および誘導体を有する核酸配列を有する、単離された核酸分子を提供する。本発明
はまた、ストリンジェントな条件下で上記の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を提
供する。同様に、本発明の核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチド(ムテ
イン、対立遺伝子改変体、フラグメント、誘導体およびアナログを含む)が、提供される
(P.pastoris ALG3遺伝子生成物およびK.lactis ALG3遺伝
子生成物は、図18および図20に示される)。さらに、本明細書にさらに記載されるよ
うな、本発明の核酸分子を含むベクター(発現ベクターを含む)もまた、提供される。
伝子を欠失させる構築物を、作製した(実施例10)。この株を使用して、Dol−P−
Man:Man5GlcNAc2−PP−Dolマンノシルトランスフェラーゼ活性が除
去された宿主細胞を生成し、脂質結合Man5GlcNAc2−PP−Dol前駆体を生
成した。この前駆体は、生成しているポリペプチド鎖に転移されて、Man5GlcNA
c2糖質構造を有するN−グリカンを生成する。
c2コア糖質構造を有するN−グリカンを生成するために、適切なマンノシダーゼの発現
によって操作され得る。宿主細胞における(例えば、以下に記載のように、核酸分子また
は核酸分子ライブラリーを標的化することによる)GnTの発現は、改変された宿主細胞
が、Man3コア構造の各アームに結合した1つまたは2つのGlcNA構造(すなわち
、GlcNAc1Man3GlcNAc2、GlcNAc2Man3GlcNAc2、ま
たはGlcNAc3Man3GlcNAc2;図15を参照のこと)を有するN−グリカ
ンを生成することを可能にする。これらの構造は、本発明の方法をさらに使用してプロセ
シングされて、宿主細胞の分泌経路に入るタンパク質上にヒト様N−グリカンを生成し得
る。
3GlcNAc2(「Man3」)コア糖質構造のα−1,6アーム上のN−グリカンを
マンノシル化する1以上の活性において、減少されるかもしくは除去され;かつ(b)開
始α−1,6−マンノシルトランスフェラーゼ(すなわち、(Man3コア構造のα−1
,3アーム上での)外側鎖マンノシル化を開始する開始特異的酵素)の活性において減少
されるかまたは除去される、宿主細胞を作製するかまたは使用することを包含する。S.
cerevisiaeにおいて、この酵素は、OCH1遺伝子によってコードされる。S
.cerevisiaeにおけるoch1遺伝子の破壊は、N結合型糖が、ポリマンノー
ス外側鎖を完全に欠いている表現型を生じる。真菌株において哺乳動物型グリコシル化を
得るための以前のアプローチは、OCH1の不活性化を要した(例えば、Chibaら.
(1998)J Biol Chem.273:26298−304を参照のこと)。し
かし、本発明の宿主細胞におけるその開始α−1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活
性の破壊は、必要に応じる。なぜなら、(選択される宿主細胞に依存して)Och1p酵
素は、効率的なマンノース外側鎖開始のためにインタクトなMan8GlcNAcを要す
るからである。従って、本発明に従って選択されるかまたは生成される宿主細胞は、7個
以下のマンノース残基を有する脂質結合オリゴヌクレオチドを蓄積し、転移後に、Och
1pについての不十分な基質であるようである低グリコシル化(hypoglycosy
lated)N−グリカンを生成する(例えば、Nakayamaら(1997)FEB
S Lett.412(3):547−50を参照のこと)。
は選択)
本発明は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性(全長の酵素、
そのホモログ、改変体、誘導体、および触媒的に活性なフラグメントを含む)を発現する
ことによって、下等真核生物宿主細胞においてヒト様糖タンパク質を生成するための方法
をさらに提供する。一実施形態において、宿主細胞(例えば、P.pastoris)は
、例えば、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性の活性化によって
かまたはN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性を核酸分子から発現
することによって、よりヒト様のN−グリカンを生成するように操作される。当該分野で
周知の技術を使用して、遺伝子特異的プライマーは、GnTIII遺伝子(好ましくは、
哺乳動物GnTIII遺伝子(例えば、マウスGnTIII))の相同領域に相補的であ
るように設計される(図24)。これらの配列は、当該分野で容易に入手可能であり(例
えば、Genbank登録番号L39373)、PCR増幅される。
においてヒト様糖タンパク質を生成するための方法を提供する。ここでこの糖タンパク質
は、トリマンノースまたはトリマンノシル(Man3GlcNAc2)コア構造上に二分
しているGlcNAcを示すN−グリカンを含む。この実施形態において、GlcNAc
Man3GlcNAc2(これは、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(
「GnTI」)活性とトリマンノースコアとを反応させることにより生成され得るが、代
表的には、GlcNAcMan5GlcNAc2をα−1,3−マンノシダーゼ活性/α
−1,6−マンノシダーゼ活性(例えば、マンノシダーゼII)によりトリミングするこ
とにより生成される(Hamiltonら.(2003)Science 301:12
44−46))。これは、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性と
反応して、二分型GlcNAc2Man3GlcNAc2を生成する。従って、本発明は
、GnTIII活性を提供し、この活性は、β−1,4 GlcNAcを、下等真核生物
細胞において二分しているGlcNAcを受容し得る基質上へと転移する。
おいてヒト様糖タンパク質を生成するための方法を提供し、ここでその糖タンパク質は、
トリマンノースコアに結合した少なくとも2つのGlcNAcを有するトリマンノースま
たはトリマンノシル(Man3GlcNAc2)コア構造上に二分しているGlcNAc
を示す、N−グリカンを含む。この実施形態において、Man3GlcNAc2は、Gn
TI活性と反応し、次いで、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII(「G
nTII」)活性およびGnTIII活性(いずれの順でも)と反応して、二分型Glc
NAc3Man3GlcNAc2を生成する(図38)。この実施形態の二分型トリマン
ノシルコア構造がまた、GlcNAc残基の代わりにさらなるマンノシル基を含み得るこ
とが、理解されるべきである。例えば、GlcNAcMan4GlcNAc2は、GnT
III活性と反応して、二分型GlcNAc2Man4GlcNAc2を生成し得る。
糖タンパク質を生成するための方法を提供し、ここでその生成される糖タンパク質は、ペ
ンタマンノースコア構造(Man5GlcNAc2)に結合した少なくとも2つのGlc
NAcを有し、かつ二分型N−グリカンを示す、するN−グリカンを含む。従って、この
実施形態において、ペンタマンノースコア構造(Man5GlcNAc2)は、GnTI
II活性と反応して、二分型GlcNAcMan5GlcNAc2構造およびGlcNA
c2Man5GlcNAc2構造を生成する。
れるペンタマンノースコア構造は、α1,2−マンノシダーゼ活性、GnTI活性、Gn
TII活性およびGnTIII活性ならびにUDP−GlcNAcと反応して、二分型G
lcNAc3Man3GlcNAc2グリカンを生成する(図35B)。別の実施形態に
おいて、ペンタマンノースコア構造は、GnTI活性およびGnTIII活性と(いずれ
の順番でもよいし、組み合わせてもよい)反応して、二分型GlcNAc2Man5Gl
cNAc2構造を生成する(図37)。
使用して、以下に記載のように、マウス由来の触媒的に活性なGnTIIIドメイン(G
nTIII Δ32)に融合したS.cerevisiae MNN2リーダー(Gen
Bank登録番号NP_009571)を含むpVA53構築物は、P.pastori
s株YSH−1(実施例13)において発現され、それにより、二分型GlcNAc2M
an5GlcNAc2構造を有するN−グリカンを生成する(実施例20)。図26(下
)は、上記の株(PBP26と名付けられる(図36))において発現されたクリングル
3タンパク質から遊離されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。これ
は、1666m/zにおいて優勢なピーク[a]を示し、このピークは、二分型GlcN
Ac2Man5GlcNAc2に対応する(比較のために、図26(上)は、pVA53
構築物を欠いている株YSH−1において発現されるクリングル3タンパク質から遊離さ
れるN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。1461m/zにおける優勢
なピーク[d]は、非修飾グリカン:GlcNAcMan5GlcNAc2に対応する)
。従って、一実施形態において、本発明の宿主は、二分しているGlcNAcを有する、
少なくとも50モル%のGlcNAc2Man5GlcNAc2構造または少なくとも5
0モル%のGlcNAc2Man3GlcNAc2構造を示すN−グリカンを少なくとも
一時的に生成する能力によって、特徴付けられる。そのグリカンのモル%は、MALDI
−TOFによって検出される総中性グリカンの%に関する。例えば、二分しているGlc
NAcを有するGlcNAc2Man3GlcNAc2が、標的タンパク質上に少なくと
も20%で生成され、GlcNAc3Man3GlcNAc2が標的タンパク質上に25
%で生成される場合、二分しているGlcNAcを有する一時的に生成されるGlcNA
c2Man3GlcNAc2の総量は、45%であることが、理解される。なぜなら、G
lcNAc3Man3GlcNAc2は、二分しているGlcNAcを有するGlcNA
c2Man3GlcNAc2(GnTIIとさらに反応する)の生成物であるからである
。
GnTIII Δ32)に融合したS.cerevisiae MNN2(1)リーダー
(GenBank登録番号NP_009571)を含むpVA55構築物は、P.pas
toris株(YSH−1)において発現され、それによって、N−グリカンGlcNA
cMan5GlcNAc2および二分型N−グリカンGlcNAc2Man5GlcNA
c2構造を生成する。図27(下)に示されるように、これらの構造は、それぞれ、14
63m/zおよび1667m/zにおけるピークに対応しする(比較のために、図27(
上)は、pVA53構築物を欠いている株YSH−1において発現されるクリングル3タ
ンパク質から遊離されたN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。その優勢
なピークは、1461m/zにおける修飾GlcNAcMan5GlcNAc2[d]に
対応する)。従って、別の実施形態において、本発明の宿主は、少なくとも一時的に、二
分しているGlcNAcを有する、少なくとも20モル%GlcNAc2Man5Glc
NAc2構造または少なくとも20モル%のGlcNAc2Man3GlcNAc2構造
を示すN−グリカンを生成するその能力によって、特徴付けられる。
ン(GnTIII Δ32)に融合されたS.cerevisiae MNN2(s)リ
ーダー(GenBank登録番号NP_009571)を含むpVA53構築物は、P.
pastoris株YSH−44(実施例15)において発現され、それにより、二分型
GlcNAc3Man3GlcNAc2構造を有するN−グリカンを生成する(実施例2
0)。図30は、上記の株(YSH−57と名付けられる)において発現されるクリング
ル3タンパク質から遊離されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。こ
れは、1542m/zにおいて優勢なピーク[y]を示し、二分型グリカンGlcNAc
3Man3GlcNAc2に対応する(比較のために、図29は、pVA53構築物を欠
いている株YSH−44において発現されるクリングル3タンパク質から遊離されるN−
グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。図29の1356m/zにおける優勢
なピーク[x]は、修飾グリカン:GlcNAc2Man3GlcNAc2に対応する)
。従って、一実施形態において、本発明の宿主は、二分しているGlcNAcを有する、
少なくとも80モル%のGlcNAc3Man3GlcNAc2構造を示すN−グリカン
を少なくとも一時的に生成するその能力によって、特徴付けられる。そのグリカンのモル
%は、MALDI−TOFによって検出される総中性グリカンのパーセントに対する。
(GnTIIIΔ32)に融合されたS.cerevisiae MNN2(s)リーダ
ー(GenBank登録番号NP_009571)を含むpVA53構築物は、P.pa
storis株(PBP6−5)(実施例11)において発現され、それによって、Gl
cNAc2Man3GlcNAc2構造および二分型GlcNAc3Man3GlcNA
c2構造を有する、N−グリカンを生成する。図32に示されるように、これらの構造は
、それぞれ、1340m/zおよび1543m/zにおけるピークに対応する。従って、
別の実施形態において、本発明の宿主は、alg3変異宿主細胞において二分しているG
lcNAcを有する少なくとも20モル%のGlcNAc3Man3GlcNAc2構造
を示すN−グリカンを少なくとも一時的に生成するその能力によって、特徴付けられる。
ここでその糖タンパク質は、Man5GlcNAc2コア構造またはMan3GlcNA
c2コア構造を含み、そしてそのコア構造は、2以上のGlcNAcでさらに修飾される
。本発明のいくつかの実施形態において、そのコア構造の10%以上は、2以上のGlc
NAcで修飾される。他の好ましい実施形態において、20%、30%、40%、50%
、60%、70%、80%以上の上記コア構造が、そのように修飾される。非常に好まし
い実施形態において、それらのGlcNAcのうちの1つは、二分しているGlcNAc
である。
コンビナトリアル核酸ライブラリーが、下等真核生物宿主細胞においてGnTIII活性
を発現するために使用される(実施例18)。好ましくは、本発明のライブラリーは、単
一の核酸分子にインフレームで融合されたリーダー配列のサブライブラリー、またはGn
TIII配列を含む核酸分子のサブライブラリーを含み、これらの核酸分子のうちの1つ
以上が、宿主細胞においてGnTIII活性を有する触媒ドメインをコードする。あるい
は、単一の核酸分子またはリーダー配列を含む核酸分子のライブラリーは、GnTIII
配列を含む核酸分子のサブライブラリーにインフレームで融合され、これらの核酸分子の
うちの1以上が、宿主細胞においてGnTIII活性を有する触媒ドメインをコードする
(以下を参照のこと)。これらおよび他のこのようなコンビナトリアルライブラリーの発
現は、標的糖タンパク質を発現する宿主細胞において行われ、その標的糖タンパク質のN
−グリカン構造が、GnTIIIが発現されるか否か、およびどの程度発現されるかを決
定するために、分析される。広い範囲の触媒的に活性なGnTIII酵素が、本発明の方
法およびライブラリーを使用して宿主細胞において発現されう得る。当業者が、宿主細胞
において、ほとんどまたは全く活性を有さないGnTIII酵素と、活発に発現されて優
勢なレベルの望ましい二分型オリゴ糖中間体(例えば、GlcNAc2Man5GlcN
Ac2、GlcNAc3Man3GlcNAc2またはGlcNAc2Man3GlcN
Ac2)を生成する酵素との間を作りだして示すことを可能にするのが、本発明のこの局
面である。
切な細胞下位置に適切に標的化すること、およびその細胞下位置の特定のpHにおいて酵
素活性が十分であることは、望ましい構造を有するN−グリカンを有する糖タンパク質の
生成において重要な要因である。酵素キメラの多様な集団を生成するための融合タンパク
質のコンビナトリアルライブラリーの使用、および形質転換細胞におけるこれらのライブ
ラリーのスクリーニングは、適切な位置において目的の活性を有する宿主株を同定するた
めの強力な方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、その酵素活性は、宿主
細胞において発現されるN−グリカン含有糖タンパク質が、分泌プロセスの間にその活性
と反応し得るように、位置付けられる。
い。しかし、広く種々のリーダー/触媒ドメインの組み合わせが作り出され、そのうちの
ごくわずかが、本発明で望ましい中間体を生成するにあたって有用であり得る。本発明は
、にもかかわらず、例示される宿主細胞において望ましい酵素活性を現在は示さない組み
合わせもなお包含する。図28(下)は、GnTIII活性を容易には示さない、P.p
astoris株Y8H−1において発現されるマウス由来の触媒的に活性なGnTII
Iドメイン(GnTIII Δ32)に融合されたK.lactis GNT(s)リー
ダー(GenBank登録番号AF106080)を含むpVB51構築物を示す(比較
のために、図28(上)は、pVA53構築物を欠いている株YSH−1において発現さ
れるクリングル3タンパク質から遊離されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクト
ルを示す。その優勢なピークは、1461m/zにおける非修飾GlcNAcMan5G
lcNAc2に対応する。図28(下)の1463m/zにおける優勢なピーク(Glc
NAcMan5GlcNAc2,の質量に相関する)が、観察される。1726m/zに
おける第2のピーク(これは、GlcNAc2Man5GlcNAc2の質量に相関しな
い)もまた、観察される。例えば、他の宿主細胞(ヒト様糖形態を生成するように改変さ
れた宿主細胞を含む)において、これらおよび他のこのような組み合わせが発現される場
合、これらの組み合わせは、当該分野で周知の技術を使用して改変しても改変しなくても
有用であり得ることが、予測される。
び形質転換細胞におけるこれらのライブラリーのスクリーニングにより、その酵素活性が
実質的に細胞内にある株が同定されることが、さらに可能になる。以下の実施例6は、細
胞外α−1,2−マンノシダーゼ活性を測定するために有用なアッセイ条件の例を提供す
る。実施例22および23はまた、培地中でのグリコシルトランスフェラーゼ活性(Gn
TIII)についてのアッセイの例を提供する。以下の表9、およびChoiら(200
3)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(9):5022−2
7もまた参照のこと。本発明の目的のために、酵素活性は、その酵素活性の10%未満が
細胞外培地において測定可能である場合に、実質的に細胞内にある。
主細胞は、望ましい糖質構造(例えば、GlcNAc2Man3GlcNAc2、Glc
NAc3Man3GlcNAc2)を有するN−グリカンを生成するために、適切なグリ
コシルトランスフェラーゼ(例えば、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ)
の発現によって操作され得る。その宿主細胞における(例えば、以下およびChoiら(
2003)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(9):502
2−27およびWO02/00879に記載される、核酸分子または核酸分子のライブラ
リーを標的化することによる)GnTの発現は、その改変された宿主細胞が中間のマンノ
ース上に二分しているGlcNAcを有するN−グリカンを生成することを可能にする。
これらの構造は、本発明の方法をさらに使用して、宿主細胞の分泌経路に入るタンパク質
上にヒト様N−グリカンを生成するようにプロセシングされ得る。
糖−トランスフェラーゼの同時発現は、末端のα−1,6残基およびα−1,3残基、な
らびにGlcNAcを有する中間のマンノースをキャップし、哺乳動物型の複合N―グリ
コシル化(例えば、GlcNAc3Man3GlcNAc2)および混成型N−グリコシ
ル化のための前駆体を生じる。これらのペプチド結合N結合型オリゴ糖鎖は、次いで、哺
乳動物型オリゴ糖構造に対するさらなる修飾のための前駆体として働く。ガラクトシルト
ランスフェラーゼのその後の発現、および末端にシアリル酸を転移する能力を遺伝的に操
作すること(図1Bを参照のこと)は、哺乳動物型(例えば、ヒト様)N−グリカン構造
を生成する。
ミニルトランスフェラーゼV活性、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼVI
活性、またはN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIX活性を有する宿主の操
作または選択)
本発明は、糖ヌクレオチドUDP−GlcNAcの存在下でオリゴ糖のManα1,6
アームおよび/またはManα1,3アーム上でのGlcNAcβ1,4グリコシド結合
またはGlcNAcβ1,6グリコシド結合の形成を触媒する、N−アセチルグルコサミ
ニルトランスフェラーゼ活性を有する新規な下等真核生物宿主を提供する。そのGlcN
ac残基の転移は、一般的には、UDP−GlcNAcトランスポーターの存在下が好ま
しい。本発明は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク
質をコードする組換え核酸分子、および酵母分泌経路において活性な酵素を発現するため
の方法を提供する。さらに、本発明は、治療投与のために有用な形質転換細胞から生成さ
れるオリゴ糖構造を提供する。N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性によ
りUDP−GlcNAcから上記オリゴ糖基質上へと糖GlcNAcを転移するのを触媒
することによって、複数のアンテナを有する糖形態が、タンパク質上に形成され、その後
、ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼによって伸長され
る。
チルグルコサミニルトランスフェラーゼV活性、N−アセチルグルコサミニルトランスフ
ェラーゼVI活性、またはN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIX活性(全
長の酵素、そのホモログ、改変体、誘導体、および触媒的に活性なフラグメントを含む)
を発現することによって、下等真核生物宿主細胞においてヒト様糖タンパク質を生成する
ための方法を提供する。一実施形態において、宿主細胞(例えば、P.pastoris
)は、例えば、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV、V、VI、IXの
活性の活性化によってかまたはN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV、V
、VI、IXの活性を核酸分子から発現することによって、よりヒト様のN−グリカンを
生成するように操作される(図39)。当該分野で周知の技術を使用して、遺伝子特異的
プライマーは、グリコシルトランスフェラーゼファミリーのメンバー(例えば、GnT
IV遺伝子配列、GnT V遺伝子配列、GnT VI遺伝子配列、GnT IX遺伝子
配列)の相同領域にハイブリダイズするように設計される。これらの配列は、当該分野で
容易に入手可能であり(例えば、Genbank、SwissProtデータベース)、
PCR増幅される。
本発明の一局面において、下等真核生物が、オリゴ糖構造のGlcNAcβ1,2−M
anα1,6(GlcNAcβ1,2Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAcβ
1,4−GlcNAcβ1,4−AsnのManα1,3アーム上での糖残基β(1,4
)N−アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)の付加を触媒する酵素N−アセチルグ
ルコサミニルトランスフェラーゼIV(「GnT IV」)をコードするヌクレオチド配
列で形質転換される。アクセプター糖(例えば、GlcNAc2Man3GlcNAc2
)のManα1,3アーム上への、GnT IVによるGlcNAcβ1,4の付加によ
り、いわゆるトリアンテナN−グリカンが生じる。
においてヒト様糖タンパク質を生成するための方法を提供する。ここでこの糖タンパク質
は、オリゴ糖構造(例えば、GlcNAc3Man3GlcNAc2)上にあるトリアン
テナN−グリカン構造を含む。この実施形態において、上記オリゴ糖構造GlcNAcM
an5GlcNAc2(Choiら(2003)Proc Natl Acad Sci
USA 2003 Apr 29;100(9):5022〜7)が、α−1,3−マ
ンノシダーゼ活性/α−1,6−マンノシダーゼ活性(例えば、マンノシダーゼII)に
よりトリミングすることにより生成される(Hamiltonら.(2003)Scie
nce 301:1244−46))。これは、次に、N−アセチルグルコサミニルトラ
ンスフェラーゼIV活性と反応して、トリアンテナ構造GlcNAc3Man3GlcN
Ac2を生成する(図39)。好ましい実施形態において、S.cerevisiae
MNN(s)標的化ペプチド配列のヌクレオチド1〜108にインフレームで連結されて
いるヒトGnT IVをコードする遺伝子フラグメント(図42)が、P.pastor
is YSH−44中に導入されてその中で発現される(実施例15)。従って、特定の
実施形態において、本発明の宿主細胞は、少なくとも50モル%、60モル%、70モル
%、80モル%、90モル%以上の望ましいN−グリカン構造GlcNAc3Man3G
lcNAc2を好ましくは示すN−グリカンを少なくとも一時的に生成する能力によって
、特徴付けられる。なおより好ましい実施形態において、オリゴ糖GlcNAc3Man
3GlcNAc2が、ガラクトシルトランスフェラーゼ反応の基質である。従って、本発
明は、下等真核生物において、オリゴ糖基質上にGlcNAc残基を転移して、オリゴ糖
基質(例えば、GlcNAc2Man3GlcNAc2)のManα1,3アーム上でG
lcNAcβ1−4グリコシド結合を形成するのを触媒する、GnT IV活性を提供す
る。
使用して、マウス由来の触媒的に活性なGnTIVドメイン(GnTIV Δ104)に
融合したS.cerevisiae MNN2(s)リーダー(GenBank登録番号
NP_009571)を含むpPB144構築物(図40A)が、P.pastoris
株YSH−44(実施例15)において発現され、それにより、トリアンテナN−グリカ
ンGlcNAc3Man3GlcNAc2を生成する(実施例25)。図47は、PBP
43と呼ばれる形質転換株において発現されたクリングル3タンパク質から遊離されるN
−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。これは、1543m/zにおいて優
勢なピーク[y]を示し、このピークは、トリアンテナN−グリカン構造GlcNAc3
Man3GlcNAc2に対応する(比較のために、GlcNAc2Man3GlcNA
c2を生成するYSH−44において発現されるクリングル3タンパク質から遊離される
N−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す、図29を参照のこと)。従って、
特定の実施形態において、本発明の宿主細胞は、少なくとも50モル%のGlcNAc3
Man3GlcNAc2を好ましくは示すN−グリカンを少なくとも一時的に生成する能
力によって、特徴付けられる。別の実施形態において、本発明の宿主細胞は、少なくとも
60モル%、70モル%、80モル%、より好ましくは90モル%以上の量で、GnTI
Vにより触媒されるトリアンテナ構造GlcNAc3Man3GlcNAc2を生成する
。本明細書全体を通して、上記グリカンのモル%は、MALDI−TOF MSにより検
出される総中性グリカンのパーセントに関する。
ニルトランスフェラーゼVの発現)
本発明の別の局面において、下等真核生物宿主細胞が、トリアンテナオリゴ糖構造(例
えば、GlcNAc3Man3GlcNAc2)を生成するように操作または選択され、
この宿主細胞は、オリゴ糖構造のGlcNAcβ1,2−Manα1,6(GlcNAc
β1,4(GlcNAcβ1,2)Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAcβ1
,4−GlcNAcβ1,4−AsnのManα1,6アーム上での糖残基β(1,6)
N−アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)の付加を触媒する酵素N−アセチルグル
コサミニルトランスフェラーゼV(「GnT V」)をコードする核酸配列で形質転換さ
れる。GlcNAc残基の存在下でのアクセプター糖(例えば、GlcNAc3Man3
GlcNAc2)の、GnT VによるGlcNAcβ1,6の付加により、テトラアン
テナN−グリカンであるGlcNAc4Man3GlcNAc2が生じる。好ましくは、
本発明のGnT V活性が、トリアンテナグリカンを生成する下等真核生物宿主細胞(例
えば、P.pastoris PBP43)において発現され、この宿主細胞において、
オリゴ糖基質GlcNAcMan3GlcNAc2のManα1,6アーム上へGlcN
Ac残基を転移してGlcNAcβ1,6グリコシド結合を形成するのをGnT V活性
が触媒する、
一実施形態において、本発明のコンビナトリアルDNAライブラリー方法を使用して、
P.pastoris YSH−44が、GnTIVB/S.cerevisiae M
NN2(s)融合構築物およびGnTV/S.cerevisiae MNN2(s)融
合構築物で形質転換される。図49は、PBP46と呼ばれる形質転換株において発現さ
れたクリングル3タンパク質から遊離されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクト
ルを示す。これは、1747m/zにおいて優勢なピーク[z](このピークは、テトラ
アンテナN−グリカン構造GlcNAc4Man3GlcNAc2に対応する)および1
543m/zにおける残基ピーク[y](このピークは、トリアンテナN−グリカン構造
GlcNAc3Man3GlcNAc2に対応する)を示す。
、P.pastoris YSH−44が、GnTIVA(Δ82)/S.cerevi
siae MNN2(s)融合構築物を含むプラスミドpPB128と、GnTV(Δ1
45)/S.cerevisiae MNN2(s)融合構築物を含むプラスミドpPB
140との、酵素およびリーダー融合物の異なる組み合わせで形質転換される。図50は
、PBP94と呼ばれる形質転換株において発現されたクリングル3タンパク質から遊離
されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。これは、1747m/zに
おいて優勢なピーク[z]を示し、このピークは、テトラアンテナN−グリカン構造Gl
cNAc4Man3GlcNAc2に対応する。
0モル%、80モル%、90モル%以上の望ましいN−グリカン構造GlcNAc4Ma
n3GlcNAc2を示すN−グリカンを少なくとも一時的に生成する能力によって特徴
付けられる、宿主細胞を提供する。より好ましい実施形態において、GnTIV活性およ
びGnTV活性を発現することによって、上記宿主細胞は、望ましい複数のアンテナを有
するN−グリカン構造を生成する。
の生成において望ましい酵素活性を生じるわけではない。本発明の方法およびライブラリ
ーを使用して、広く種々のリーダー/触媒ドメインの組み合わせが作り出され、そのうち
のごくわずかが、本発明で望ましい中間体を生成するにあたって有用であり得る。本発明
は、にもかかわらず、例示される宿主細胞において望ましい酵素活性を現在は示さない組
み合わせもなお包含する。例えば、他の宿主細胞(ヒト様糖形態を生成するように改変さ
れた宿主細胞を含む)において、これらおよび他のこのような組み合わせが発現される場
合、これらの組み合わせは、当該分野で周知の技術を使用して改変しても改変しなくても
有用であり得ることが、予測される。
本発明の別の実施形態において、GnTV活性をコードする核酸が、コアGlcNAc
2Man3GlcNAc2構造を生成する宿主において発現されて、トリアンテナ構造G
lcNAc3Man3GlcNAc2の形成がもたらされる。公知のGnTV配列が、図
43において提供される。一実施形態において、本発明のコンビナトリアルDNAライブ
ラリー方法を使用して、マウス由来の触媒的に活性なGnTVドメイン(GnTV Δ1
45)に融合したS.cerevisiae MNN2(s)リーダー(GenBank
登録番号NP_009571)を含むpPB140構築物(図40B)が、P.past
oris株YSH−44(実施例15)において発現され、それにより、トリアンテナN
−グリカンGlcNAc3Man3GlcNAc2を生成する(実施例25)。図48は
、PBP32と呼ばれる形質転換株において発現されたクリングル3タンパク質から遊離
されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す。これは、1559m/zに
おいて優勢なピーク[y](このピークは、テトラアンテナN−グリカン構造に対応する
)および1355m/zにおける第二ピーク[u](これは、トリアンテナN−グリカン
構造GlcNAc3Man3GlcNAc2に対応する)(比較のために、GlcNAc
2Man3GlcNAc2を生成するYSH−44において発現されるクリングル3タン
パク質から遊離されるN−グリカンのMALDI−TOFスペクトルを示す、図29を参
照のこと)。従って、特定の実施形態において、本発明の宿主細胞は、少なくとも40モ
ル%のトリアンテナ構造GlcNAc3Man3GlcNAc2を示すN−グリカンを少
なくとも一時的に生成する能力によって、特徴付けられる。好ましくは、本発明の宿主は
、少なくとも50モル%、60モル%、70モル%、80モル%、90モル%以上の、G
nTVにより触媒されるトリアンテナ構造を生成する。
本発明はまた、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼVI「GnTVI」)
活性をコードする核酸で形質転換された下等真核生物宿主細胞も提供し、この活性は、オ
リゴ糖構造のGlcNAcβ1,4(GlcNAcβ1,2)Manα1,6(GlcN
Acβ1,4(GlcNAcβ1,2)Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAc
β1,4−GlcNAcβ1,4−AsnのManα1,6アーム上での糖残基β(1,
4)N−アセチルグルコサミンの転移を触媒する。アクセプター糖(例えば、GlcNA
c4Man3GlcNAc2)への、GnT VIによるGlcNAcβ1,4の付加に
より、いわゆるペンタアンテナN−グリカンが生じる。GlcNAc残基の付加により、
オリゴ糖基質上にGlcNAcβ1,4グリコシド残基が形成される。一実施形態におい
て、GnTVI活性をコードする核酸が、ペンタアンテナN−グリカン(例えば、Glc
NAc5Man3GlcNAc2)を生成する宿主において発現される。別の実施形態に
おいて、GnTVI活性をコードするDNAフラグメント(例えば、図44において示さ
れる)を使用して、Gallus gallus由来の触媒的に活性なGnTVIドメイ
ンに融合したS.cerevisiae MNN2(s)リーダー(GenBank登録
番号NP_009571)を含むプラスミド構築物が、P.pastoris株YSH−
44において発現され、それにより、ペンタアンテナN−グリカンGlcNAc5Man
3GlcNAc2を生成する。従って、本発明の宿主細胞は、検出可能な部分でペンタア
ンテナN−グリカン生成するN−グリカンを少なくとも一時的に生成する能力によって、
特徴付けられる。
別の実施形態において、GnTIX活性をコードする核酸(例えば、GenBank
AN NP_945193)が、宿主細胞において発現され、この宿主細胞において、G
NTIVも、GNTVも、GnTVIもない状態で複合グリカンアクセプター基質(例え
ば、GlcNAc2Man3GlcNAc2)上へのGlcNAc残基の転移をGnTI
X活性が触媒する。GnTIX活性をコードする核酸(これは、通常は、脳において独占
的に発現されるようである)は、CHOマウス細胞において独特なN結合型オリゴ糖の合
成を触媒することが示されている(Rajuら(1998)J Biol Chem 2
73,14090〜14098)。組換えヒトGnTIXの発現は、GnTV活性を示し
、β1,6結合を介してオリゴ糖GlcNAc2Man3GlcNAc2−PAのα1,
6結合マンノースアームの6−OH位置へのGlcNAcの転移を触媒し、それに加えて
、α1,3結合マンノースアーム上で作用した(J Biol Chem.2003 O
ct 31;278(44):43102〜9)。GnTIXは、配列GlcNAcβ1
,2−Manα1におけるマンノースの6−OH位置へのGlcNAcの転移を触媒する
ことが可能である。
storisにおいてテトラアンテナグリカン構造を生成する方法を提供する。好ましく
は、GnTIX活性の導入および発現によって、アクセプター基質GlcNAc2Man
3GlcNAc2上へとGlcNAc残基が転移されてGlcNAc4Man3GlcN
Ac2およびGlcNAc3Man3GlcNAc2が生成されるのを触媒する。GnT
IX活性の宿主発現は、コアGlcNAc2Man3GlcNAc2オリゴ糖基質のMa
nα1,3アームおよびManα1,6アームの好ましくは両方の6−OH位置にGlc
NAc残基が転移するのを触媒する。一実施形態において、アクセプター基質GlcNA
c2Man3GlcNAc2を生成する宿主細胞(例えば、P.pastoris YS
H−44)が、S.cerevisiae MNN2(s)リーダーにインフレームで融
合されたGNTIX活性(Δ43)をコードする遺伝子を含むプラスミド(例えば、pB
176)で形質転換される(実施例29)。その宿主細胞は、β1,6結合を介してオリ
ゴ糖GlcNAc2Man3GlcNAc2のα1,6結合マンノースの6−OH位置へ
のGlcNAcの転移を触媒し、さらに、そのオリゴ糖基質のα1,3結合マンノースに
対して作用する、好ましくは少なくとも5モル%以上のGnTIX活性を示すN−グリカ
ンを少なくとも一時的に生成する能力によって、特徴付けられる。
訳効率についてコドンを最適化され得る。図46は、PCRを使用してオリゴヌクレオチ
ドから合成されたTMドメインを欠く(Δ43)ヒトGnTIXの一部をコードする、コ
ドンを最適化されたDNAフラグメントを提供する。
本発明は、治療目的のために適切な種々の複数のアンテナを有するグリカンを生成する
ように適合される。同じGlcNAcβ結合を有するグリカンは、そのタンパク質の半減
期を増加し得ることが、企図される。従って、本発明は、トリマンノースコアオリゴ糖中
間体(例えば、Man3GlcNAc2)上に少なくとも2つのGlcNAC残基を有す
るN−グリカンを含む、下等真核生物宿主細胞を提供する。一実施形態において、その下
等真核生物宿主は、トリマンノースコアオリゴ糖中間体(例えば、Man3GlcNAc
2)のManα1,3およびManα1,6アーム上に少なくとも2つのGlcNAcβ
1,4残基を含む。別の実施形態において、その下等真核生物宿主細胞は、トリマンノー
スコアオリゴ糖中間体(例えば、Man3GlcNAc2)のManα1,3およびMa
nα1,6アーム上に少なくとも2つのGlcNAcβ1,6残基を含む。なお別の実施
形態において、その下等真核生物宿主細胞は、トリマンノースコアオリゴ糖中間体(例え
ば、Man3GlcNAc2)のManα1,3およびManα1,6アーム上に少なく
とも2つのGlcNAcβ1,2残基を含む。
成するために好ましい宿主ではあるが、本発明はまた、任意の真核生物宿主細胞(好まし
くは、非ヒト(例えば、哺乳動物)宿主細胞)において生成される糖タンパク質のN−グ
リカン形態を改変するためにも有用である。
本発明の好ましい宿主細胞は、下等真核生物細胞(例えば、酵母、単細胞および多細胞
または糸状真菌)である。しかしながら、広範な種々の宿主細胞が、本発明の方法で有用
であると考えられる。例えば、植物細胞または昆虫細胞は、本発明に従って、ヒト様糖タ
ンパク質を発現するように操作され得る。同様に、本発明の方法を用い、種々の非ヒト哺
乳動物宿主細胞を改変して、よりヒト様の、またはそうでなければ改変された糖タンパク
質を発現させる得る。当業者が認識するように、(ヒト細胞を含めた)任意の真核生物宿
主細胞は、本発明のライブラリーと組み合わせて用いて、1以上のキメラタンパク質を発
現させることができ、これは、該タンパク質の活性が修飾され、好ましくは増強される宿
主細胞における細胞下位置(例えば、オルガネラ)に標的化される。そのようなタンパク
質は、好ましくは、本明細書中で例示したように、タンパク質グリコシル化に関与する酵
素であるが、必ずしもそうではない。任意のタンパク質コード配列も、本明細書中に記載
された方法を用いて、標的化され得、そして真核生物宿主細胞において修飾された活性に
ついて選択され得ることが予測される。
ができる下等真核生物が特に有用である。何故ならば、(a)高度なマンノシル化を欠き
(例えば、N−グリカン当たり8マンノースを超え、または特に30〜40マンノース)
、それらはヒトにおいて低下した免疫原性を示し;そして(b)N−グリカンは、例えば
、GlcNAcMan5GlcNAc2を形成するためのGlcNAcトランスフェラー
ゼIの作用によって(図1B;β1,2GnTI)、なおよりヒト様のグリコ形態を形成
するためのさらなるグリコシル化反応のための基質であるからである。30モル%より大
きい、より好ましくは50モル%、60モル%、70モル%、80モル%、90モル%、
または100モル%さえの、Man5GlcNAc2構造を有するN−グリカンを持つ糖
タンパク質の収率が得られる。好ましい実施形態において、50%を超えるMan5Gl
cNAc2構造が、GnTI活性に対する基質であり、インビボにてそのような基質とし
て働くことができることが示される。
pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehal
ophila、Pichia koclamae、Pichia membranaef
aciens、Pichia minutia(例えば、Ogatae minuta、
Pichia lidneri)、Pichia opuntiae、Pichia t
hermotolerans、Pichia salictaria、Pichia g
uercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pi
chia methanolica、Pichia種、Saccharomyces c
erevisiae、Saccaromyces種、Hansenula polymo
rpha、Kluyveromyces種、Candida albicans、Asp
ergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspe
rgillus oryzae、Trichoderma reseei、Chryso
sporium lucknowense、Fusarium種、Fusarium g
ramineum、Fusarium venenatumおよびNeurospora
crassaが挙げられる。
化された宿主細胞を作製することに関する。これらの構造は望ましい。何故ならば、それ
らは、次いで、例えば、MarasおよびContreras、米国特許第5,834,
251号の方法を用い、インビトロでの処理によってプロセシングされ得るからである。
しかしながら、好ましい実施形態においては、Man5GlcNAc2が富化された前駆
体は−−グリコシダーゼ(例えば、α−マンノシダーゼ)およびグリコシルトランスフェ
ラーゼ(例えば、GnTI)で−−インビボでの少なくとも1つのさらなるグリコシル化
反応によって処理されて、ヒト様N−グリカンを生じる。例えば、Man5GlcNAc
2が富化されたオリゴ糖前駆体は、好ましくは、Xが3、4または5であり、好ましくは
3であるGlcNAcManxGlcNAc2コア構造を有するものへとプロセシングさ
れる。Xが3より大きなGlcNAcManxGlcNAc2コア構造を有するN−グリ
カンは、例えば、適用可能であれば、α−1,3マンノシダーゼ活性および/またはα−
1,6マンノシダーゼ活性での処理によって、GlcNAcMan3GlcNAc2に変
換することができる。グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、GnTII)での処理に
よるGlcNAcMan3GlcNAc2のさらなるプロセシングはGlcNAc2Ma
n3GlcNAc2コア構造を生じ、これは、次いで、所望であれば、例えば、グリコシ
ルトランスフェラーゼ、糖トランスポーターおよびマンノシダーゼ(後記参照)を含めた
さらなるグリコシル化酵素の宿主細胞におけるエキソビボ処理によって、または異種発現
によって修飾して、ヒト様N−グリカンとなることができる。
3以下のマンノース残基を有するN−グリカンを含むもの;およびガラクトース、Glc
NAc、シアル酸、およびフコースよりなる群から選択される1以上の糖を含むものを含
む。
状の真菌)であり、これは、1種以上のalg遺伝子活性(alg活性に対するホモログ
または等価物である酵素活性を含む)の活性が減少または除去されている。本発明の別の
好ましい宿主細胞は、脂質結合オリゴ糖構造のα−1,6アームをマンノシル化する1種
以上の酵素の活性(alg活性以外)が減少または除去されている。
発明の方法で有用であると考えられる。例えば、植物細胞は、本発明に従ってヒト様糖タ
ンパク質を発現するように操作することができる。同様に、種々の非ヒト哺乳動物宿主細
胞は、本発明の方法を用い、よりヒト様の糖タンパク質を発現するように改変することが
できる。適当な宿主細胞が操作され得るか、あるいは酵母において既に記載された多くの
そのような変異体の1つが用いられ得る。本明細書中で例示したように、本発明の好まし
い宿主細胞は、alg3を欠失するようにさらに改変されたPichia pastor
isにおける高マンノシル化−マイナス(OCH1)変異体である。
、GlcNAc2Man5GlcNAc2、GlcNAc2Man3GlcNAc2、お
よび好ましくはGlcNAc3Man3GlcNAc2)を有する糖タンパク質を生成し
得る下等真核生物宿主細胞をさらに提供する。本発明の好ましい実施形態において、その
宿主細胞は、GnTIII活性を含む。より好ましい実施形態において、その宿主細胞は
、GnTI、GnTII、GnTIV、およびGnTVから選択される1種以上の活性を
さらに含む。好ましい宿主細胞は、GnTI、GnTII、およびGnTIIIを発現す
る。他の好ましい宿主細胞は、GnTIVおよび/またはGnTVをさらに発現する。な
おより好ましくは、その宿主細胞の1種以上のGnT活性は、実質的に細胞内活性である
。
、GnTIII酵素活性と反応して、対応する二分型N−グリカンを生成し得る構造(G
lcNAcMan3GlcNAc2、GlcNAcMan4GlcNAc2、またはGl
cNAcMan5GlcNAc2が挙げられるが、これらに限定されない)を含むN−グ
リカンを生成する。その酵素活性は、それにより、これらのN−グリカンを含む糖タンパ
ク質を、新たなかつより望ましい特性を有する形態に変換する。GnTIIIは、哺乳動
物細胞においてさらなるGnT活性を阻害することが現在理解されているので、当業者は
、その連続的なグリコシル化反応が、重要であっても重要でなくてもよいことを理解する
はずである。しかし、本発明は、いずれの順でも、あるいは一緒でもGnTIおよびGn
TIIIの付加を意図する。その細胞内の他の酵素活性(例えば、1種以上の望ましいマ
ンノシダーゼ活性(例えば、α1,2マンノシダーゼ、マンノシダーゼI、マンノシダー
ゼII))が、GnT活性と協働して、目的のさらに他のヒト様糖タンパク質を生成する
ように作用し得る(図1Bを参照のこと)こともまた、理解されるべきである。
トは、二分型5マンノースコア構造(例えば、GlcNAc2Man5GlcNAc2)
のα1,3マンノースを含むアームおよびα1,6マンノースを含むアームを切り取るた
めに、宿主細胞に導入される。得られたグリカン(例えば、二分型GlcNAc2Man
4GlcNAc2およびGlcNAc2Man3GlcNAc2)は、その後のヒト様N
−グリカン修飾のための好ましい基質である。
される、Man5GlcNAc2コア構造またはMan3GlcNAc2コア構造を含む
。いずれのコア構造も、GlcNAcによる修飾に加えて、さらなる修飾を含み得ること
が理解されるべきである。好ましくは、10%以上のコア構造が、GlcNAcにより修
飾される。最も好ましくは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%
以上のコア構造が、GlcNAc修飾を含む。
複合N−グリカン合成の形成は、それにより特異的糖残基が除去され、コアオリゴ糖構
造に結合される連続的プロセスである。高等真核生物においては、これは、基質を種々の
プロセシング酵素に連続的に暴露させることによって達成される。これらの酵素は、全プ
ロセシングカスケード内のそれらの特定の位置に依存して、特異的反応を行う。この「組
立てライン」はER、初期ゴルジ、ゴルジ中間嚢および後期ゴルジ、ならびにトランスゴ
ルジネットワークよりなり、全てはその特異的プロセシング環境を持つ。下等真核生物の
ゴルジおよびERにおいてヒト糖タンパク質のプロセシングを再度創製するには、多数の
酵素(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、グリコシダーゼ、ホスファターゼおよび
トランスポーター)が発現され、これらのオルガネラへ、好ましくは、それらが、それら
の環境ならびに経路における他の酵素に対して最も効率的に機能するような位置に特異的
に標的化されなければならない。
できる頑強なタンパク質生産株を達成することにあるので、複数の遺伝子の、宿主細胞染
色体への組込みは、注意深い計画を含む。上記したように、非ヒトグリコシル化反応に特
徴的であることが知られている酵素をコードする1以上の遺伝子は、好ましくは、欠失さ
れる。操作された細胞株は、所望の活性をコードするある範囲の異なる遺伝子で形質転換
され、これらの遺伝子は安定な様式で形質転換され、それにより、所望の活性が醗酵プロ
セスを通じて維持されるのを保証する。
へ操作することができる:シアリルトランスフェラーゼ、マンノシダーゼ、フコシルトラ
ンスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、GlcNAcトランスフェラーゼ、
ER特異的トランスポーターおよびゴルジ特異的トランスポーター(例えば、UDP−ガ
ラクトースおよび他の前駆体に対するsynポートトランスポーターおよびアンチポート
トランスポーター)、オリゴ糖のプロセシングに関与する他の酵素、ならびにUDP−ガ
ラクトースおよびCMP−N−アセチルノイラミン酸のような活性化されたオリゴ糖前駆
体の合成に関与する酵素。好ましくは、酵素活性を、1以上の核酸分子に導入することが
できる(下記も参照)。核酸分子は単一でまたは複数で、例えば、本発明のコンビナトリ
アルライブラリーのような核酸ライブラリーの意味で導入することができる。しかしなが
ら、単一または複数の酵素活性を、限定されるものではないが、タンパク質送達方法およ
び/または本発明の核酸ライブラリーもコンビナトリアルライブラリーも必ずしも用いる
ことのない1以上の核酸分子の使用を含めたいずれかの方法で宿主細胞に導入することが
できることが、理解されるべきである。
DNA配列情報を用い、当業者はGnT活性をコードするDNA分子をクローン化する
ことができる(例えば、実施例3、8、11、15および18)。当業者に周知である標
準的な技術を用い、GnTI、GnTII、GnTIII、GnTIVまたはGnTVを
コードする(またはその触媒的に活性なフラグメントをコードする)核酸分子を、本明細
書中に記載されたように、プロモーター、および本発明の選択された宿主細胞(例えば、
Pichia種、Kluyveromyces種およびAspergillus種のよう
な真菌宿主)において転写を駆動することができる他の発現制御配列の転写制御下にある
適当な発現ベクターに挿入することができ、従って、これらの哺乳動物GnT酵素の1以
上を、ヒト様複合型糖タンパク質の生産のために選択された宿主細胞で活発に発現させる
ことができる(例えば、実施例8、20、および21)。
、GnTI)、Aspergillus nidulans(GnTI)および他の真菌
においてクローン化され、そして発現されているが、生物のグリコシル化パターンに対す
る「ヒト化」の所望の結果を証明しない(Yoshidaら.(1999) Glyco
biology 9(1):53−8; Kalsnerら.(1995)Glycoc
onj.J.12(3):360−370)。そのようなグリコシルトランスフェラーゼ
の作用によって糖を許容するのに必要な炭水化物構造は十分な量で存在せず、それは複合
N−グリカン形成の欠如に最も寄与したようであると推測された。
GnTI、GnTIIおよびGnTIIIのような他のGnTの機能的発現を提供し、そ
して(例えば、UDP−GlcNAcトランスポーターの発現によって;後記の実施例を
参照)UDP−GlcNAcの十分な供給を保証する。
グリコシルトランスフェラーゼがゴルジにおいて満足して機能するためには、酵素は、
新成糖タンパク質に付加される糖部分の高エネルギードナーである適当なヌクレオチド糖
の十分な濃度を必要とする。ヒトにおいては、十分な範囲のヌクレオチド糖前駆体(例え
ば、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−N−アセチルガラクトサミン、CMP
−N−アセチルノイラミン酸、UDP−ガラクトースなど)は、一般には、サイトゾルで
合成され、ゴルジに輸送され、そこで、それらはグリコシルトランスフェラーゼによって
コアオリゴ糖に結合される。
クレオシド特異的トランスポーターがゴルジで発現されて、ヌクレオシド糖前駆体の適切
なレベルが確保されなければならない(SommersおよびHirschberg(1
981) J.Cell Biol.91(2):A406−A406;Sommers
およびHirschberg(1982)J.Biol.Chem.257(18):8
11−817;PerezおよびHirschberg(1987)Methods i
n Enzymology 138:709−715)。ヌクレオチド糖は、例えば、宿
主微生物において糖ヌクレオチドトランスポーターをコードする外因性遺伝子を発現させ
ることによって、適切な区画に提供され得る。トランスポーター酵素の選択は、用いられ
る外因性グリコシルトランスフェラーゼの性質によって影響される。例えば、GlcNA
cトランスフェラーゼは、UDP−GlcNAcトランスポーターを必要とし得、フコシ
ルトランスフェラーゼは、GDP−フコーストランスポーターを必要とし得、ガラクトシ
ルトランスフェラーゼは、UDP−ガラクトーストランスポーターを必要とし得、そして
シアリルトランスフェラーゼは、CMP−シアル酸トランスポーターを必要とし得る。
置へ運び、そこで、ヌクレオチド糖はグリコシルトランスフェラーゼによって反応して、
例えば、N−グリカンを伸長させ得る。この反応は、ヌクレオシド二リン酸またはヌクレ
オシド一リン酸(例えば、UDP、GDPまたはCMP)を遊離する。ヌクレオシド一リ
ン酸は、アンチポートメカニズムによってヌクレオシド三リン酸糖に代えての交換におい
てゴルジから直接的に輸出することができる。しかしながら、ヌクレオシド二リン酸の蓄
積は、グリコシルトランスフェラーゼのさらなる活性を阻害する。この反応は、効率的な
グリコシル化のために重要なようであるので、ヌクレオチド二リン酸をコードする遺伝子
の発現されたコピーを提供するのがしばしば望ましい。(適切にはUDPまたはGDPに
特異的な)ジホスファターゼはジホスホヌクレオシドを加水分解して、ヌクレオシド一リ
ン酸および無機リン酸塩を生じる。
素は、本発明の方法を用い、選択された宿主細胞に操作することができる。
ランスフェラーゼは、ガラクトース残基を、ヒトのトランス−ゴルジおよびTGNにおい
てシアル酸でキャップを施し、糖タンパク質の成熟形態に導く(図1B)。このプロセシ
ング工程を、代謝的に操作された酵母または真菌へ再度操作することは、酵母の後期ゴル
ジにおいて、(1)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性またはα2,6−シアリ
ルトランスフェラーゼ活性および(2)CMP−N−アセチルノイラミン酸の十分な供給
を必要とする。後期ゴルジにおいて十分なα2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を
得るためには、例えば、(例えば、ヒト由来の)公知のシアリルトランスフェラーゼの触
媒ドメインは、真菌における後期ゴルジに向けられなければならない(上記参照)。同様
に、トランスポーターは、後期ゴルジへのCMP−N−アセチルノイラミン酸の輸送を可
能とするように操作されなければならない。現在、真菌が十分量のCMP−N−アセチル
ノイラミン酸を合成し、またはそれをゴルジに輸送さえできることを示すものはない。そ
の結果、対応するグリコシルトランスフェラーゼに対する基質の適切な供給を確保するた
めには、真菌へのCMP−シアル酸の生産を代謝的に操作しなければならない。
発現S配列タグデータベース(dbEST)における相同性サーチを介して認識された
、ヒトUDP−N−アセチルグルコサミントランスポーターのcDNAがクローン化され
ている(Ishida(1999)J.Biochem.126(1):68−77)。
UDP−N−アセチルグルコサミンについての哺乳動物ゴルジ膜トランスポーターは、上
記ヌクレオチド糖のゴルジ輸送が欠乏した最近特徴付けられたKluyveromyce
s lactis変異体のイヌ腎臓細胞(MDCK)由来のcDNAでの表現型修正によ
ってクローン化された(Guillenら(1998)Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 95(14):7888−7892)。結果は、哺乳動物ゴルジUDP
−GlcNAcトランスポーター遺伝子が、タンパク質が発現されて酵母のゴルジ装置へ
機能的に標的化されるために必要な情報の全てを有すること、および非常に異なるアミノ
酸配列を持つ2つのタンパク質が、同一ゴルジ膜内の同一溶質を輸送し得ることを示す(
Guillenら.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95
(14):7888−7892)。
(例えば、複製起点、または染色体組込みを媒介する領域)、(2)ura3またはT−
urfl3(Soderholmら.(2001) Biotechniques 31
(2):306−10)または他のよく特徴付けられた選択マーカー(例えば、his4
、bla、Sh bleなど)のような逆選択マーカーおよびリサイクル可能マーカーを
含めた、形質転換されている細胞の選択を可能とするマーカー遺伝子、(3)機能的UD
P−GlcNAcトランスポーターをコードする遺伝子またはそのフラグメント(例えば
、K.lactis由来(Abeijon, (1996) Proc.Natl.Ac
ad.Sci.U.S.A.93:5963−5968)、またはH.sapiels由
来(Ishida ら.(1996)J.Biochem.(Tokyo)120(6)
:1078−8))、および(4)上記した局在化/触媒ドメイン融合構築物ライブラリ
ーの発現を活性化するプロモーターを含み得る核酸構築物によって、UDP−GlcNA
cトランスポーターの発現を宿主細胞に取込むことができる。
ラット肝臓ゴルジ膜GDP−フコーストランスポーターは、Puglielliおよび
Hirschberg(1999)J.Biol.Chem.274(50):3559
6−35600)によって同定され、精製されている。対応する遺伝子は同定されていな
いが、N末端配列決定は、対応する遺伝子に特異的なヌクレオチドプローブの設計で用い
ることができる。これらのオリゴヌクレオチドはプローブとして用いて、GDP−フコー
ストランスポーターをコードする遺伝子をクローン化することができる。
2つの異種遺伝子、Schizosaccharomyces pombe由来のα1
,2−ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,2 GalT)をコードするgmal2
(+)、およびヒトUDP−ガラクトース(UDP−Gal)トランスポーターをコード
する(hUGT2)は、ガラクトシル化に必要な細胞内条件を調べるために、S.cer
evisiaeにおいて機能的に発現されている。糖タンパク質ガラクトシル化とUDP
−ガラクトース輸送活性との間の相関は、α1,2GalTよりはむしろUDP−Gal
トランスポーターの外因的供給がS.cerevisiaeにおける十分なガラクトシル
化についての鍵となる役割を演じたことを示した(Kainuma(1999)Glyc
obiology 9(2):133−141)。同様に、S.pombe由来のUDP
−ガラクトーストランスポーターが、クローニングされた(Segawa(1999)F
EBS Letters 451(3):295−298)。
ヒトCMP−シアル酸トランスポーター(hCST)はクローン化され、Lec8 C
HO細胞で発現されている(Aoki et al.(1999) J.Biochem
.(Tokyo)126(5):940−50; Eckhardt et al.(1
997)Eur.J.Biochem.248(1):187−92)。マウスCMP−
シアル酸トランスポーターの機能的発現はSaccharomyces cerevis
iaeで達成された(Berninsone et al.(1997)J.Biol.
Chem.272(19):12616−9)。シアル酸はいくつかの真菌で見出されて
いるが、選択された宿主系が十分なレベルのCMP−シアル酸を供給できるかは明らかで
ない。シアル酸は培地または、別法として、シアル酸合成に関与する真菌経路いずれかに
供給することができ、また宿主ゲノムに組込むこともできる。
糖が糖タンパク質に移動されると、ヌクレオシド二リン酸または一リン酸いずれかが糖
ヌクレオチド前駆体から遊離される。一リン酸はアンチポートメカニズムによってヌクレ
オシド三リン酸糖に代えての交換において直接的に輸出することができるが、ジホスホヌ
クレオシド(例えば、GDP)はホスファターゼ(例えば、GDPase)によって切断
されて、輸出されるに先立ってヌクレオシド一リン酸および無機リン酸塩を生じなければ
ならない。この反応は十分なグリコシル化のために重要であるようである。というのは、
S.cerevisiaeに由来するGDPaseはマンノシル化で重要であることが判
明しているからである。しかしながら、この酵素はUDPに向けての活性の10%を有す
るに過ぎない(Berninsone et al.(1994) J.Biol.Ch
em.269(1):207−211)。下等真核生物は、しばしば、ゴルジにおいてU
DP特異的ジホスファターゼ活性を有しない。というのは、それらはゴルジにおける糖タ
ンパク質合成のためにUDP−糖前駆体を利用しないからである。Schizosacc
haromyces pombe(ガラクトース残基を(UDP−ガラクトースからの)
細胞壁多糖に加える酵母)は、特異的UDPase活性を有することが判明しており、こ
れは、さらに、そのような酵素についての要件を示唆する(Berninsone et
al.(1994) J.Biol.Chem.269(1):207−211)。U
DPはグリコシルトランスフェラーゼの強力な阻害剤であることが知られており、このグ
リコシル化副産物の除去は、ゴルジの腔におけるグリコシルトランスフェラーゼ阻害を妨
げるのに重要である(Kharataら、(1974)Eur.J.Biochem.4
4:537−560)。
改変するための方法)
本発明は、さらに、非ヒト宿主細胞においてヒト様糖タンパク質を生産するための方法
を提供し、この方法は、Man5GlcNAc2炭水化物構造の生産のための酵素または
複数酵素をコードする1以上の核酸分子を、この細胞に導入する工程を包含する。1つの
好ましい実施形態において、Man8GlcNAc2またはMan9GlcNAc2から
のMan5GlcNAc2の生産に関与する1以上のマンノシダーゼ活性をコードする核
酸分子を宿主に導入する。本発明は、加えて、1以上のグリコシル化酵素または活性をコ
ードする核酸分子を宿主細胞に導入する工程を含む、宿主細胞において改変された糖タン
パク質を作製する方法に関する。好ましい酵素活性はUDP−GlcNAcトランスフェ
ラーゼ、UDP−ガラクトシルトランスフェラーゼ、GDP−フコシルトランスフェラー
ゼ、CMP−シアリルトランスフェラーゼ、UDP−GlcNAcトランスポーター、U
DP−ガラクトーストランスポーター、GDP−フコーストランスポーター、CMP−シ
アル酸トランスポーター、およびヌクレオチドジホスファターゼよりなる群から選択され
る。特に好ましい実施形態において、宿主は、1つの活性の産物が別の活性、例えば、グ
リコシルトランスフェラーゼおよび対応する糖トランスポーター、例えば、GnTIおよ
びUDP−GlcNAcトランスポーター活性の基質レベルを増加させる2以上の酵素活
性を発現するように選択されるか、または操作される。別の好ましい実施形態において、
宿主は、引き続いてのグリコシル化反応を阻害することができる産物を除去する活性、例
えば、UDP特異的またはGDP特異的なジホスファターゼ活性を発現するように選択さ
れるかまたは操作される。
せることを含み、酵素の触媒ドメインおよび細胞標的化シグナルペプチド、例えば、通常
は触媒ドメインに連結またはそれに会合していない異種シグナルペプチドを含む融合タン
パク質を形成することによって、少なくとも1つの酵素活性を所望の細胞下位置(例えば
、オルガネラ)へ標的化する工程を含む。融合タンパク質は、酵素(例えば、グリコシル
化酵素)、またはその触媒的に活性なフラグメントをコードする核酸フラグメントへ同一
翻訳リーディングフレームにて(「インフレーム」)連結された細胞標的化シグナルペプ
チドをコードする核酸フラグメントを含む少なくとも1つの遺伝子構築物(「融合構築物
」)によってコードされる。
はゴルジの膜結合タンパク質、検索シグナル、タイプII膜タンパク質、タイプIタンパ
ク質、膜スパニングヌクレオチド糖トランスポーター、マンノシダーゼ、シアリルトラン
スフェラーゼ、グルコシダーゼ、マンノシルトランスフェラーゼおよびホスホマンノシル
トランスフェラーゼよりなる群のメンバーに由来する。
I、GnTIII、GnTIV、GnTV、GnTVI、GalT、フコシルトランスフ
ェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼよりなる群のメンバーに由来するグリコシダ
ーゼ、マンノシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼ活性に由来する。触媒ドメイ
ンは、好ましくは、酵素が局在化されたオルガネラにおける他の代表的な酵素の平均pH
最適値の1.4pHユニット内にpH最適値を有するか、あるいは5.1と8.0との間
のpHにおいて最適活性を有する。好ましい実施形態において、触媒ドメインはC.el
egansマンノシダーゼIA、C.elegansマンノシダーゼIB、D.mela
nogasterマンノシダーゼIA、H.sapiensマンノシダーゼIB、P.c
itrinumマンノシダーゼI、マウスマンノシダーゼIA、マウスマンノシダーゼI
B、A.nidulansマンノシダーゼIA、A.nidulansマンノシダーゼI
B、A.nidulansマンノシダーゼIC、マウスマンノシダーゼII、C.ele
gansマンノシダーゼII、H.sapiensマンノシダーゼII、およびマンノシ
ダーゼIIIよりなる群から選択されるマンノシダーゼをコードする。
本発明の1つの実施形態において、ヒト様糖タンパク質は、標的化細胞下区画において
他の酵素のpH最適値と同様なpH最適値を有するように選択されたグリコシル化酵素を
細胞の細胞下区画に導入することによって、非−ヒト真核生物宿主細胞において効率的に
作製される。例えば、S.cerevisiaeのERおよびゴルジ装置において活性は
ほとんどの酵素は、約6.5と7.5との間にあるpH最適値を有する(表3参照)。タ
ンパク質のグリコシル化は高度に進化しかつ効果的なプロセスである故に、ERおよびゴ
ルジの内部pHもまた約6〜8の範囲にある。しかしながら、真菌宿主における組換えマ
ンノシダーゼの作用によってマンノシル化を低下させる全ての従前のアプローチは、pH
5.0程度のpH最適値を有する酵素を導入している(Martinet et al.
(1998) Biotech.Letters 20(12):1171−1177、
およびChiba et al.(1998)J.Biol.Chem.273(41)
:26298−26304)。pH7.0において、それらのマンノシダーゼのインビト
ロ決定活性はそれらの使用点、すなわち、N−グリカン上でのMan5GlcNAc2の
効果的なインビボ生産のための、ERおよび初期ゴルジにおいて不十分な活性であるよう
な10%未満まで低下される。
ドメイン)、例えば、α−マンノシダーゼを宿主細胞における細胞下位置(例えば、オル
ガネラ)へ標的化し、そこで、酵素またはドメインのpH最適値は、同一オルガネラに局
在化された他の代表的なマーカー酵素の平均pH最適値の1.4pHユニット内にある。
特定のオルガネラへ標的化されるべき酵素のpH最適値は、同一オルガネラで見出された
他の酵素のpH最適値とマッチングさせて、得られた単位酵素当たりの活性を最大化すべ
きである。表3は、種々の源からのマンノシダーゼの活性およびそれらの各pH最適値を
まとめる。表4は、それらの典型的な細胞下位置をまとめる。
会合していない細胞標的化シグナルペプチドを含むタンパク質をコードするキメラ融合構
築物によって、宿主細胞中の細胞下位置に標的化される。好ましくは、酵素またはドメイ
ンは宿主細胞のER、初期ゴルジ、メディアルゴルジもしくは後期ゴルジ、またはトラン
スゴルジ装置に標的化される。
ルトランスフェラーゼまたはグリコシダーゼである。特に好ましい実施形態において、マ
ンノシダーゼ活性は、ERまたはシスゴルジに標的化され、そこで、グリコシル化の初期
反応が起こる。この方法は非ヒト宿主細胞においてヒト様糖タンパク質を生産するのに有
用であるが、この方法は、ヒト宿主細胞を含めたいずれかの真核生物宿主細胞において糖
タンパク質の炭水化物プロフィールを修飾するのにより一般的には有用でもあることを認
識されるであろう。
列は周知であり、標的化配列および標的化された酵素の選択用のライブラリーに関して後
により詳細に議論するように、科学文献および公のデータベースに記載されている。その
ような細胞下標的化配列は、単独、または組合せて用いて、選択されたグリコシル化酵素
(またはその触媒ドメイン)を宿主細胞における特定の細胞下位置(すなわち、特に酵素
がpH最適値または他の同様な因子の存在に基づいて増強されたまたは最適な活性を有す
る細胞下位置)に標的化することができる。
Rまたはゴルジ装置においてMan5GlcNAc2を生じさせようと試みる場合、例え
ば、(1)十分に近いpH最適値(すなわち、pH5.2とpH7.8との間)を有し、
そして(2)単独で、または協働して、GnTIによるGlcNAcの引き続いての付加
を許容するのに必要な特定の異性体Man5GlcNAc2構造を作り出すことが知られ
ている、任意の酵素または酵素の組合せを選択することができる。インビトロにてGnT
IによってGlcNAcMan5GlcNAc2に変換することができる構造を作り出す
ことが知られているいずれかの酵素または酵素の組合せは、適当な選択を構成する。この
知識は、科学文献から、あるいは実験的に得ることができる。例えば、潜在的マンノシダ
ーゼがMan8GlcNAc2−2AB(2−アミノベンズアミド)をMan5GlcN
Ac2−ABに変換することができるかを判断することができ、次いで、得られたMan
5GlcNAc2−2AB構造がGnTIおよびUDP−GlcNAcに対する基質とし
て働いて、インビトロでGlcNAcMan5GlcNAc2を与えることができること
を証明することができる。ヒトまたはマウス源からのマンノシダーゼIAは、例えば、適
切な選択であろう(例えば、実施例4参照)。本明細書中に記載した例は、2−アミノベ
ンズアミド標識N結合オリゴマンノースを利用し、その後、この判断を行うためにHPL
C分析を利用する。
H最適値)
ル化酵素は、5.1と8.0との間のpHにおいて最適な活性を有する。好ましい実施形
態において、この酵素は5.5と7.5との間のpHにおいて最適な活性を有する。C.
elegansマンノシダーゼ酵素は、例えば、本発明の方法でよく働き、約5.5の見
掛けのpH最適値を有する。好ましいマンノシダーゼとしては適当なpH最適値を有する
表3に列挙したもの、例えば、Aspergillus nidulans、Homo
sapiens IA(ゴルジ)、Homo sapiens IB(ゴルジ)、Lep
idopteran昆虫細胞(IPLB−SF21AE)、Homo sapiens、
マウスIB(ゴルジ)、Xanthomonas manihotis、Drosoph
ila melanogasterおよびC.elegansが挙げられる。
る。培地に漏出するキメラ融合タンパク質BB27−2(Saccharomyces
MNN10(s)/C.elegansマンノシダーゼIBΔ31)を種々のpH範囲に
供して、酵素の最適活性を決定した。実験の結果は、α−1,2−マンノシダーゼはその
機能に対して約5.5の最適pHを有することを示す(図11)。
て発現される。しかしながら、いくつかの場合、数個の異なるマンノシダーゼ遺伝子、ま
たは1つの特定の遺伝子の数個のコピーを発現させて、Man5GlcNAc2の適切な
生産を達成するのが望ましいであろう。複数遺伝子を用いる場合、コードされたマンノシ
ダーゼは、好ましくは、全て、約5.1〜約8.0、または特に約5.5と約7.5との
間の好ましい範囲内にpH最適値を有する。好ましいマンノシダーゼ活性はマウス、ヒト
、Lepiboptera、Aspergillus nidulans、またはBac
illus種、C.elegans、D.melanogaster、P.citrin
um、X.laevisまたはA.nibulansに由来するα−1,2−マンノシダ
ーゼを含む。
)
本発明のある種の方法は、好ましくは(必ずしも必要ではないが)、1以上の核酸ライ
ブラリーを用いて行われる。本発明のコンビナトリアル核酸ライブラリーの例示的特徴は
、それが、細胞標的化シグナルペプチドをコードする配列、および標的化すべきタンパク
質(例えば、限定されるものではないが、グリコシル化を媒介するものを含めた酵素また
はその触媒ドメイン)をコードする配列を含むことである。
的化シグナルペプチドをコードする少なくとも2つの核酸配列;および(b)標的化すべ
きポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。別の実施形態において、
コンビナトリアル核酸ライブラリーは、(a)細胞標的化シグナルペプチドをコードする
少なくとも1つの核酸配列、および(b)宿主細胞へ標的化すべきポリペプチドをコード
する少なくとも2つの核酸配列を含む。後にさらに記載するように、(a)に由来する核
酸配列、および(b)に由来する核酸配列を連結させて、目的のポリペプチドドメインに
機能的に連結した細胞標的化シグナルペプチドをコードする1以上の融合構築物を生じさ
せる。機能的結合の1つの例は、細胞標的化シグナルペプチドが同一翻訳リーディングフ
レームにて(「インフレーム」)目的のポリペプチドドメインに連結される場合である。
ンにインフレーム連結した細胞標的化シグナルペプチドを含む1以上の融合タンパク質を
発現させる。コードされた融合タンパク質は、好ましくは、N−グリカンの哺乳類様修飾
またはヒト様修飾に関与する酵素の触媒ドメインを含む。より好ましい実施形態において
、触媒ドメインは、マンノシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、および1以上の標
的化シグナルペプチドにインフレームに連結した他のグリコシダーゼよりなる群から選択
される酵素に由来する。酵素ドメインは、宿主細胞に対して外因性および/または内因性
であり得る。特に好ましいシグナルペプチドは、ERからゴルジへの輸送を受けるタンパ
ク質に通常は会合したものである。
ト様N−グリカン修飾に関与する酵素をインビボで生産し、局在化するのに用い得る。コ
ンビナトリアルDNAライブラリーの融合構築物は、コードされた酵素が、それが目的の
糖タンパク質上で特定のN−グリカンを生産することに関与する宿主細胞のER、ゴルジ
またはトランス−ゴルジネットワークに局在化されるように操作される。本発明のN−グ
リカン修飾酵素の局在化は、付着機構(anchoring mechanism)を介
して、またはタンパク質−タンパク質相互作用を介して達成され、ここに、コンビナトリ
アルDNAライブラリーから構築した局在化ペプチドは、ER、ゴルジまたはトランスゴ
ルジネットワークのような分泌経路の所望の細胞小器官に局在化される。
産される有用なN−グリカンの例は、Man5GlcNAc2である。十分な量のMan
5GlcNAc2が、インビボでのさらなるヒト様プロセシングのために目的の糖タンパ
ク質に必要とされる(例えば、30モル%より多く)。Man5GlcNAc2中間体は
、さらなるN−グリカン修飾用の基質として用いて、GlcNAcMan5GlcNAc
2を生産し得る(図1B;上記参照)。従って、本発明のコンビナトリアルDNAライブ
ラリーを用いて、引き続いて、GlcNAcMan5GlcNAc2、または他の所望の
複合N−グリカンを有用な量で生産する酵素を生産し得る。
る局面は、それらが、操作された宿主細胞において十分かつしばしば完全に近い細胞内N
−グリカントリミング活性を可能とすることである。本発明のコンビナトリアルDNAラ
イブラリーによって生産された好ましい融合構築物は、グリコシル化酵素(例えば、マン
ノシダーゼ)をコードし、これは、細胞内宿主細胞区画に効果的に局在化され、それによ
り、細胞外活性をほとんど、好ましくは全く呈しない。マンノシダーゼ酵素をコードする
本発明の好ましい融合構築物は、N−グリカンが修飾される場所(すなわち、ERおよび
ゴルジ)に局在化されることが示されている。本発明の融合酵素は分泌経路中のそのよう
な特定の細胞小器官に標的化され、そこでは、それらは局在化され、Man8GlcNA
c2のようなN−グリカンに作用して、目的の糖タンパク質上でMan5GlcNAc2
を生産する。
れたGnTIII融合構築物を、任意の細胞外活性を決定するためにアッセイした。宿主
細胞のグリコシル化のインビボでの変化を示すGnTIII融合構築物の例は、pVA5
3と称される。P.pastoris YSH−1を融合構築物pVA53で形質転換し
た後に、任意のエキソビボGnTIII活性を検出するために、その上清を試験した。図
33は、培地中で細胞外GnTIII活性を明らかにする条件下で、標準的な基質Glc
NAcMan5GlcNAc2の明白な変化を示さない(実施例22)。同様に、図34
は、P.pastoris YSH−57中での、基質GlcNAc2Man3GlcN
Ac2と反応する検出可能な細胞外GnTIII活性を示さない(実施例23)。
、6および25〜34に示すように、P.pastorisにおいて発現されたK3また
はIFN−βタンパク質について示されたように、目的の糖タンパク質上でN−グリカン
を修飾することができる(また、実施例2、4および18〜23参照)。しかしながら、
限定されるものではないが、エリスロポエチン、インターフェロン−α、インターフェロ
ン−β、インターフェロン−γ、インターフェロン−ωのようなサイトカイン、および顆
粒球−CSF、第VIII因子、第IX因子のような凝固因子、およびヒトプロテインC
、可溶性IgEレセプターα鎖、IgG、IgGフラグメント、IgM、インターロイキ
ン、ウロキナーゼ、セイメース、および尿素トリプシンインヒビター、IGF結合タンパ
ク質、上皮増殖因子、成長ホルモン放出因子、アネキシンV融合タンパク質、アンジオス
タチン、血管内皮成長因子2、骨髄前駆体阻害因子1、オステオプロテゲリン、α−1抗
トリプシン、DNaseII、α−フェトタンパク質、AAT、rhTBP−1(オネル
セプト、aka TNF結合タンパク質1)、TACI−Ig(膜貫通活性化因子および
カルシウム調節因子およびシクロフィリンリガンド相互作用因子(interactor
))、FSH(卵胞刺激ホルモン)、GM−CSF、FC(グルカゴン様タンパク質1)
IL−1レセプターアゴニストを伴うか伴わないGLP−1、sTNFr(エンブレル、
aka可溶性TNFレセプターFc融合)ATIII、rhトロンビン、グルコセレブロ
シダーゼおよびCTLA4−Ig(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4−Ig)を含めた他
のタイプの糖タンパク質も、このようにしてグリコシル化され得るのが認識される。
融合構築物のコンビナトリアルDNAライブラリーは、一般に、(例えば、C末端欠失
を作製することによって)天然タンパク質のN末端ドメインに由来する1以上の細胞標的
シグナルペプチド(「標的化ペプチド」)を特徴とする。しかしながら、いくつかの標的
化ペプチドは、天然タンパク質(例えば、SEC12)のC末端に由来する。ERまたは
ゴルジの膜結合タンパク質は、好ましくは、ペプチド配列を標的化するための源として用
いられる。これらのタンパク質は、長さが変化する、サイトゾルテイル(ct)、膜貫通
ドメイン(tmd)およびステム領域(sr)をコードする配列を有する。これらの領域
はタンパク質配列整列および公知のホモログおよび/または他の局在化されたタンパク質
との比較(例えば、疎水性プロットの比較)によって認識可能である。
び長い(l)として示される。短い(s)と示された標的化ペプチド配列は膜−結合タン
パク質の膜貫通ドメイン(tmd)に対応する。長い(l)と示された標的化ペプチド配
列は膜貫通ドメイン(tmd)およびステム領域(sr)の長さに対応する。中程度(m
)と示された標的化ペプチド配列は膜貫通ドメイン(tmd)、およびステム領域(sr
)の長さのほぼ半分に対応する。触媒ドメイン領域は、ここでは、その野生型グリコシル
化酵素に対するヌクレオチド欠失の数によって示される。
いくつかの場合において、本発明のコンビナトリアル核酸ライブラリーは存在する遺伝
子または野生型遺伝子から直接構築することができる。好ましい実施形態において、上記
DNAライブラリーは、2以上のサブライブラリーの融合から構築される。サブライブラ
リーのインフレーム連結によって、有用な標的化されたタンパク質ドメイン(例えば、グ
リコシル化活性を有するもの)をコードする非常に多数の新規な遺伝子構築物を創製する
ことが、可能である。
1つの有用なサブライブラリーは、グリコシダーゼ(例えば、マンノシダーゼ)、グリ
コシルトランスフェラーゼ(例えば、フコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトラン
スフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ)、GlcNAcトランスフェラーゼおよ
びシアリルトランスフェラーゼのような酵素をコードするDNA配列を含む。触媒ドメイ
ンは、操作されるべき宿主から、ならびに他の関連する生物または関連しない生物から選
択され得る。哺乳類酵素、植物酵素、昆虫酵素、爬虫類酵素、藻類酵素または真菌酵素は
、全て有用であり、これは、最適温度および最適pHに関して広いスペクトルの生化学特
性を示すように選択されるべきである。好ましい実施形態において、遺伝子を切断し、そ
のいくつかがその酵素の触媒ドメインをコードするフラグメントを得る。内因性標的化配
列を除去することによって、次いで、それらの酵素を再度方向付けし、他の細胞遺伝子座
で発現させ得る。
の環境についての知識によって誘導され得る。例えば、特定のグリコシル化酵素が後期ゴ
ルジにおいて活性であり、かつ後期ゴルジにおける宿主生物の全ての公知の酵素が特定の
pH最適値を有するか、あるいは後期ゴルジが特定のpHを有することが公知である場合
、上記したように、そのpHにおいて十分な(好ましくは最大の)活性を示す触媒ドメイ
ンを、選択する。
別の有用なサブライブラリーは、ER、ゴルジ、またはトランスゴルジネットワーク内
の特定の位置へのタンパク質の局在化をもたらす標的化シグナルペプチドをコードする、
核酸配列を含む。これらの標的化ペプチドは、操作されるべき宿主生物から、ならびに他
の関連する生物または関連しない生物から、選択され得る。一般に、そのような配列は、
3つのカテゴリー:(1)一緒にかまたは個々に、タンパク質をゴルジの内膜(腔膜)に
係留させる、サイトゾルテイル(ct)、膜貫通ドメイン(tmd)、およびステム領域
(sr)の一部またはステム領域の全てをコードする、N末端配列;(2)HDELテト
ラペプチド(配列番号41)またはKDELテトラペプチド(配列番号42)のようなC
末端で一般に見出される検索シグナル;および(3)ゴルジ中に局在化することが知られ
ている種々のタンパク質(例えば、ヌクレオチド糖トランスポーター)由来の膜貫通領域
;に分類される。
からなる場合、上記ライブラリーは、ct、tmdおよびステム領域の種々の部分が提示
されるように設計される。従って、標的化ペプチド配列のサブライブラリーの好ましい実
施形態は、ERまたはゴルジの膜結合型タンパク質由来のct配列、tmd配列および/
またはsr配列を含む。いくつかの場合、種々の長さのsr配列を持つサブライブラリー
を提供することが、望ましいものであり得る。これは、サイトゾル領域をコードするDN
Aの5’末端に結合するプライマーを用い、かつステム領域の種々の部分に結合する一連
の対向プライマーを使用するPCRによって、達成され得る。
輸送されるタンパク質のC末端において代表的には見出される、検索シグナルペプチド(
例えば、テトラペプチドHDELまたはKDEL)が挙げられる。標的化ペプチド配列の
さらに他の供給源としては、(a)II型膜タンパク質、(b)表3に列挙した酵素、(
c)ゴルジに局在化される膜貫通ヌクレオチド糖トランスポーター、および(d)表5に
おいて言及される配列、が挙げられる。
望のグリコシル化反応の系列内で最適に機能することが、非常に好ましい。例えば、新生
N−グリカンの末端シアリル化(ヒトにおいて後期ゴルジで起こるプロセス)が可能な改
変された宿主微生物を開発するにおいて、後期ゴルジタンパク質に由来する標的化ペプチ
ド配列のサブライブラリーを利用することが、望ましい。同様に、Man5GlcNAc
2を与えるようにα−1,2−マンノシダーゼによりMan8GlcNAc2のトリミン
グすることは、ヒトにおける複合N−グリカン形成における初期工程である(図1B)。
従って、この反応を、操作された宿主微生物のERまたは初期ゴルジで生じさせることが
、望ましい。ER滞留シグナルおよび初期ゴルジ滞留シグナルをコードするサブライブラ
リーが、使用される。
ー)が、1つまたは一連の標的化ペプチド配列を、触媒ドメインをコードする1つまたは
一連の配列に機能的に連結させることによって構築する。好ましい実施形態において、こ
れは、標的化ペプチド配列(上記)をコードするDNAを含むサブライブラリーを、グリ
コシル化酵素または触媒的に活性なそのフラグメント(後記参照)をコードするDNAを
含むサブライブラリーへとイン−フレーム連結することよって、達成される。
合成遺伝子を含む。いくつかの場合、融合タンパク質のN末端に、あるいは他の場合には
C末端に、標的化ペプチド配列を提供することが、望ましい。いくつかの場合、標的化ペ
プチド配列は、酵素のオープンリーディングフレーム内に挿入され得、但し、個々の折り
畳まれたドメインのタンパク質構造は、破壊されないものとする。融合タンパク質の各タ
イプは、(段階的指向性様式または半ランダム様式にて)構築され、最適な構築物は、本
発明の方法を用いて、宿主細胞の形質転換、および形質転換された細胞におけるグリコシ
ル化パターンの特徴付けに基づいて、選択され得る。
変)
好ましいコンビナトリアルDNAライブラリーの構築が、図2に模式的に示され、実施
例4に記載される。その融合構築物は、多数のベクター(例えば、当該分野で周知の発現
ベクター)に作動可能に連結され得る。種々のそのような融合構築物が、表6に示したよ
うな代表的な活性を用いて組立てられた。標的化ペプチド/触媒ドメインの組合せは、本
発明に従って、ER、ゴルジおよびトランスゴルジネットワークにおいて、標的化マンノ
シダーゼ活性、グリコシルトランスフェラーゼ活性およびグリコシダーゼ活性で用いるた
めに組み立てられ得る。驚くべきことに、同じ触媒ドメインは、用いる標的化ペプチドの
タイプに応じ、N−グリコシル化パターンに対する多大な影響に対して何の影響も有さな
いものであり得る(例えば、表7、実施例4)。
本発明のコンビナトリアルDNAライブラリーに由来するマンノシダーゼ融合構築物の
代表的な例は、pFB8であり、これは、マウスα−マンノシダーゼIA(Genban
k AN 6678787)の187N末端アミノ酸除去物に対してインフレーム連結し
た短縮型Saccharomyces SEC12(m)標的化ペプチド(SwissP
rot P11655からのSEC12の988〜1296ヌクレオチド)を有する。従
って、本明細書中で用いる命名法は、グリコシル化酵素の標的化ペプチド/触媒ドメイン
領域を、Saccharomyces SEC12(m)/マウスマンノシダーゼIAΔ
187と呼ぶ。コードされた融合タンパク質は、そのマンノシダーゼ触媒ドメイン活性を
保持しつつ、SEC12標的化ペプチド配列によってERに局在化し、Man5GlcN
Ac2構造を有するN−グリカンをインビボで生成可能である(実施例4;図6Fおよび
7B)。
ダーゼIBΔ99)は、細胞内マンノシダーゼトリミング活性を有する融合構築物の別の
例である(実施例4;図5Dおよび8B)。融合構築物pBC18−5(Sacchar
omyces VAN1(s)/C.elegansマンノシダーゼIB Δ80)は、
Man5GlcNAc2構造を有するN−グリカンをインビボで生成可能である効率的な
融合構築物のさらに別の例である。本発明によるこれらのマンノシダーゼ融合構築物およ
び他のそのようなマンノシダーゼ融合構築物のコンビナトリアルDNAライブラリーを作
製することによって、当業者は、最適細胞内トリミング活性を有する構築物を、比較的低
い活性を持つかまたは活性を全く持たない構築物から区別し、そしてそれを選択し得る。
本発明のコンビナトリアルDNAライブラリーを用いる方法は、選択された少数のマンノ
シダーゼ融合構築物のみが、特に望ましいN−グリカンをインビボで生成し得るので、有
利である。
あり得る。従って、全ての標的化ペプチド/マンノシダーゼ触媒ドメイン融合構築物が同
等によく機能して、目的の糖タンパク質上で適切なグリコシル化を生じさせ得るというわ
けではないことが、さらに理解されるべきである。従って、目的のタンパク質は、コンビ
ナトリアルDNAライブラリーでトランスフェクトされた宿主細胞に導入されて、目的の
タンパク質にとって最適なマンノシダーゼ活性を発現する1以上の融合構築物が同定され
得る。当業者は、本明細書中に記載されたコンビナトリアルDNAライブラリーアプロー
チを用い、最適な融合構築物を生じさせて選択することが可能であり得る。
意の酵素のドメイン)を示す他のそのような融合構築物は、実施例4に例示される技術お
よび本明細書中に記載された技術のような技術を用いて、生成され得ることが、明らかで
ある。本発明のコンビナトリアルDNAライブラリーを生成しそれを用いて、例えば、特
定の宿主細胞中に導入された特定の発現ベクターにおける融合構築物のライブラリーから
のMan5GlcNAc2生成を最適化することは、当業者にとって慣用的実験である。
同様に、グリコシルトランスフェラーゼコンビナトリアルDNAライブラリーが、本発
明の方法を用いて生成された。グリコシルトランスフェラーゼI(GnTI)活性に由来
する配列のコンビナトリアルDNAライブラリーが、標的化ペプチドを用いて組み立てら
れ、マーカー糖タンパク質上でのGlcNAcMan5GlcNAc2N−グリカン構造
の下等真核生物宿主細胞における効率的な生成についてスクリーニングされた。GlcN
AcMan5GlcNAc2(Saccharomyces MNN9(s)/ヒトGn
TI Δ38)を生じることが示された融合構築物(pPB104)、が同定された(実
施例8)。多種多様なそのようなGnTI融合構築物を構築した(実施例8、表10)。
標的化ペプチド/GnTI触媒ドメインの他の組合せは、コンビナトリアルDNAライブ
ラリーを生成することによって容易に組み立て得る。また、グリコシルトランスフェラー
ゼ活性を示す他のそのような融合構築物は、実施例8に示すように生成され得ることが、
当業者にとって明らかである。本明細書中に記載されたコンビナトリアルDNAライブラ
リー方法を用いて、特定の発現ベクターおよび宿主細胞系において選択された融合構築物
を用い、GlnNAcMan5GlcNAc2生成を最適化することは、当業者にとって
慣用的実験である。
I触媒ドメイン融合構築物が同等によく機能して、本明細書中に記載するように目的の糖
タンパク質上で適切なグリコシル化を生じるというわけではない。しかしながら、当業者
は、本明細書中に記載したDNAライブラリーアプローチを用い、最適な融合構築物を生
成してそれを選択することが可能である。実施例8は、標的化ペプチドと、優勢なGlc
NAcMan5GlcNAc2構造を持つ糖タンパク質の生成に関与するGnTI触媒ド
メイン融合構築物とを含む、コンビナトリアルDNAライブラリーの好ましい実施形態を
示す。
本発明の方法およびライブラリーを用いて宿主細胞のグリコシル化を改変する別の例に
おいて、レポータータンパク質(K3)を発現するOCH1欠失を持つP.pastor
is株を、本発明のコンビナトリアルライブラリーから単離された多重融合構築物で形質
転換して、高マンノースN−グリカンをヒト様N−グリカンに変換した(実施例8)。ま
ず、マンノシダーゼ融合構築物pFB8(Saccharomyces SEC12(m
)/マウスマンノシダーゼIAΔ187)を、1,6開始マンノシルトランスフェラーゼ
活性を欠くP.pastoris株(すなわち、och1欠失;実施例1)に形質転換し
た。第二に、UDP−GlcNAcトランスポーターをコードするK.lactis M
NN2−2遺伝子(Genbank AN AF106080)を含むpPB103を構
築して、GlcNAcMan5GlcNAc2のさらなる生成を増加させた。UDP−G
lcNAcトランスポーターの付加は、図10Bに示すように、P.pastoris株
においてGlcNAcMan5GlcNAc2の生成を有意に増加させた。第3に、Sa
ccharomyces MNN9(s)/ヒトGnTI Δ38を含むpPB104を
、この株に導入した。このP.pastoris株を「PBP−3」という(図36参照
)。
または共形質転換され得ることが、当業者によって理解される。また、形質転換の順番は
、目的の糖タンパク質を生成するのに特には関係しないことも、理解される。当業者は、
本明細書中に開示された手法の慣用的改変は、目的の糖タンパク質の生成において改良さ
れた結果を提供し得ることを認識する。
明細書中に記載された実験から容易に明らかになる。コンビナトリアルDNAライブラリ
ーは、ヒト様糖タンパク質を生成するのに特に有用な、目的の糖タンパク質上でのN−グ
リカンの改変に関与する酵素融合物を構築するためのツールを提供する。(しかしながら
、本発明のライブラリーおよび方法を用い、任意の酵素融合物が、選択され得る)。適切
に標的化された活性なα−1,2−マンノシダーゼを発現する所望の形質転換体は、図5
Dおよび5Eに示されたように、構造Man5GlcNAc2のN−グリカンを持つK3
を生じる。これは、図5CにおいてMALDI−TOF質量分析によって検出されたよう
に、親OCH1欠失株のK3と比較して、切断されたグリカンに減少した分子質量を与え
る。
を優勢に含むIFN−β)を生成した。このMan5GlcNAc2は、PNGase消
化によって除去し(Papacら.,1998,Glycobiology 8,445
−454)によって除去し、図6A〜6Fに示すようにMALDI−TOFに供した。1
254(m/z)における単一の顕著なピークは、図6E(pGC5)(Sacchar
omyces MNS1(m)/マウスマンノシダーゼIB Δ99)および図6F(p
FB8)(Saccharomyces SEC12(m)/マウスマンノシダーゼIA
Δ187)において、IFN−β上でのMan5GlcNAc2の生成を確認する。さ
らに、pFB8(Saccharomices SEC12(m)/マウスマンノシダー
ゼIA Δ187)、pPB104(Saccharomyces MNN9(s)/ヒ
トGnTI Δ38)およびpPB103(K.lactis MNN2−2遺伝子)を
含むP.pastoris株PBP−3において、ハイブリッドN−グリカンGlcNA
cMan5GlcNAc2[b]が、MALDI−TOFによって検出された(図10)
。
ノシダーゼ(トリミング)活性がインビボで起こり、これは、優勢には、増殖培地中での
細胞外活性の結果ではないことを確認した(実施例6;図7〜9)。
の他の種を含めた他の真核生物宿主細胞を、本明細書中に記載したように改変して、ヒト
様糖タンパク質を生成し得ることが、当業者に理解されるべきである。望ましくない宿主
細胞グリコシル化遺伝子(例えば、OCH1)の同定および破壊のための本明細書中に記
載した技術は、他の酵母および真菌株のような他の真核生物宿主細胞におけるこれらおよ
び/または他の相同遺伝子または機能的に関連した遺伝子について適用可能であることが
、理解される。実施例9に記載されたように、och1 mnn1遺伝子が、K.lac
tisから欠失されて、1,2−マンノシダーゼによってMan5GlcNAc2へと完
全に変換されるN−グリカンに導く宿主細胞を操作した(図12C)。
。K.lactis MNN1遺伝子の核酸配列および推定アミノ酸配列は、各々、配列
番号43および配列番号44に示される。遺伝子特異的プライマーを用い、K.lact
isのゲノムからMNN1遺伝子を欠失するように、構築物を操作した(実施例9)。o
ch1活性およびmnn1活性を除去した宿主細胞は、Man9GlcNAc2糖質構造
を有するN−グリカンを生じる(例えば、図12B参照)。そのような宿主細胞は、例え
ば、本発明の方法およびライブラリーを用いてさらに操作して、哺乳動物様糖タンパク質
またはヒト様糖タンパク質を生成され得る。
番号43)の少なくとも45ヌクレオチド残基、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド
残基、より好ましくは少なくとも60ヌクレオチド残基、最も好ましくは75のヌクレオ
チド残基以上を含む核酸配列を有する単離された核酸分子、またはそれらのヌクレオチド
残基からなる核酸配列を有する単離された核酸分子、およびそれらのホモログ、改変体お
よび誘導体を提供する。また、本発明は、ストリンジェントな条件下で上記した核酸分子
にハイブリダイズする核酸分子を提供する。同様に、本発明の核酸分子によってコードさ
れた単離ポリペプチド(ムテイン、対立遺伝子改変体、フラグメント、誘導体およびアナ
ログを含む)が提供される。加えて、さらに本明細書中で記載するような、本発明の核酸
分子を含むベクター(発現ベクターを含む)も提供される。同様に、本発明の核酸分子ま
たはベクターで形質転換された宿主細胞が、提供される。
N−グリカンを含む糖タンパク質を発現する、非ヒト真核生物宿主株に関する。従って、
酵母細胞および真菌細胞以外の種における本発明の方法の実行が、企図され、これは本発
明に含まれる。本発明のコンビナトリアル核酸ライブラリーを用いて、任意の真核生物宿
主細胞系におけるグリコシル化経路を改変する構築物を選択し得ることが、企図される。
例えば、本発明のコンビナトリアルライブラリーは、植物、藻類および昆虫、ならびに他
の真核生物宿主細胞(哺乳動物細胞およびヒト細胞を含む)で用いて、宿主細胞分泌経路
に沿った望む位置において、タンパク質(グリコシル化酵素またはその触媒ドメインを含
む)を局在化し得る。好ましくは、グリコシル化酵素または触媒ドメインなどは、宿主細
胞分泌経路に沿って亜細胞位置に標的化され、その場所で、それらの酵素は、機能可能で
あり、好ましくは、それらが最も効率的に機能するように設計または選択される。
現されたタンパク質のグリコシル化を改変するように作製し得る。さらに、ヒト細胞を含
めた哺乳動物細胞におけるグリコシル化はまた、本発明のコンビナトリアルライブラリー
および方法を用いて修飾され得る。例えば、本発明のコンビナトリアルライブラリーおよ
び方法を用いて、特定の酵素活性を最適化するか、あるいは哺乳動物宿主細胞において作
製された種々のN−グリカンの相対的割合を修飾することが可能であり得る。
例は:(1)Man8GlcNAc2からのマンノース残基をトリミングして、Man5
GlcNAc2N−グリカンを生じるように真核生物宿主細胞を操作する工程;(2)G
lcNAcトランスフェラーゼIの作用によってN−アセチルグルコサミン(GlcNA
c)残基をMan5GlcNAc2に付加するように真核生物宿主細胞を操作する工程;
(3)N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnTI、GnTII、GnT
III、GnTIV、GnTV、GnTVI)、マンノシダーゼII、フコシルトランス
フェラーゼ(FT)、ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)またはシアリルトラ
ンスフェラーゼ(ST)のような酵素を機能的に発現するように真核生物宿主細胞を操作
する工程である。
生物のような標的宿主に操作し得る。1つの好ましい実施形態において、宿主微生物は、
グリコシル化活性をコードする配列を含むDNAライブラリーで2回以上形質転換する。
所望の表現型の選択は、各ラウンドの形質転換の後に、あるいは、数回の形質転換が生じ
た後に行われ得る。複合グリコシル化経路はこのようにして迅速に操作され得る。
好ましい例において、そのような標的化ペプチド/触媒ドメインライブラリーは、高等
真核生物において、グリコシル化反応の連続的性質についての既存の情報を組み込むよう
に設計される。糖タンパク質プロセシングの間に初期に起こることが公知の反応は、その
ような反応を触媒する酵素をゴルジまたはERの初期部分に標的化する工程を必要とする
。例えば、マンノシダーゼによるMan8GlcNAc2のMan5GlcNAc2への
トリミングは、複合N−グリカン形成における初期の工程である(図1Bおよび35A)
。タンパク質プロセシングはERで開始され、次いで、初期ゴルジ、内側ゴルジおよび後
期ゴルジを通じて進行するので、この反応はERまたは初期ゴルジで生じさせることが望
ましい。従ってマンノシダーゼI局在化のためのライブラリーを設計する場合、例えば、
ERおよび初期ゴルジ標的化シグナルをマンノシダーゼIの触媒ドメインと対応させるよ
う試みられる。
この実施形態の方法は、宿主中に形質転換された核酸(例えば、DNAライブラリー)
が非常に多様な配列を含み、それにより、少なくとも1つの形質転換体が、望まれる表現
型を示す確率を増加させる場合に、最も効果的である。単一アミノ酸変異は、例えば、糖
タンパク質プロセシング酵素の活性を劇的に改変し得る(Romeroら(2000))
。従って、形質転換に先立ち、DNAライブラリーまたは構成サブライブラリーが、1つ
以上の技術に供されて、さらなる配列多様性が生成され得る。例えば、1回以上の遺伝子
シャッフリング、エラープローンPCR、インビトロ変異誘発、または配列多様性を生じ
るための他の方法が、融合構築物のプール内により多様性の配列を得るために実施され得
る。
上記したオープンリーディングフレーム配列に加えて、発現制御配列(例えば、プロモ
ーター、転写ターミネーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、および宿主生物への
融合構築物の形質転換に際して、融合タンパク質の効果的な転写および翻訳を確保する必
要であり得るような他の機能的配列)を持つ各ライブラリー構築物を提供することが、一
般には好ましい。
ー、エンハンサー、ターミネーターなど)および必要に応じて、宿主細胞における自律複
製に必要な配列が、どの特定の宿主細胞が選択されるかの関数として選択される。特定の
哺乳動物または下等真核生物宿主細胞で用いるための適切なベクター構成要素についての
選択基準は、慣用的である。本発明の好ましい下等真核生物宿主細胞としては、Pich
ia pastoris、Pichia finlandica、Pichia tre
halophila、Pichia koclamae、Pichia membran
aefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermot
olerans、Pichia salictaria、Pichia guercuu
m、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia m
ethanolica、Pichia種、Saccharomyces cerevis
iae、Saccharomyces種、Hansenula polymorpha、
Kluyveromyces種、Kluyveromyces lactis、Cand
ida albicans、Aspergillus nidulans、Asperg
illus niger、Aspergillus oryzae、Trichoder
ma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusa
rium種、Fusarium gramineum、Fusarium venena
tumおよびNeurospora crassaが挙げられる。宿主がPichia
pastorisである場合、適切なプロモーターとしては、例えば、AOX1プロモー
ター、AOX2プロモーター、GAPDHプロモーターおよびP40プロモーターが挙げ
られる。
少なくとも1つの選択マーカー(薬物耐性を付与するためまたは宿主代謝障害を補完す
るための遺伝子)を、各構築物に提供することもまた、好ましい。そのマーカーの存在は
、形質転換体のその後の選択において有用である。例えば、酵母においては、URA3遺
伝子、HIS4遺伝子、SUC2遺伝子、G418遺伝子、BLA遺伝子、またはSH
BLE遺伝子が、使用され得る。多数の選択マーカーが、公知であり、そして酵母宿主細
胞、真菌宿主細胞、植物宿主細胞、昆虫宿主細胞、哺乳動物宿主細胞および他の真核生物
宿主細胞で用いるために利用可能である。
次いで、上記核酸ライブラリーが、宿主生物中に形質転換される。酵母においては、D
NA移入のための任意の簡便な方法(例えば、エレクトロポレーション、塩化リチウム法
、またはスフェロプラスト法)が、使用され得る。繊維状真菌細胞および植物細胞におい
て、従来の方法としては、粒子ボンバードメント(bombardment)、エレクト
ロポレーションおよびアグロバクテリウム媒介形質転換が挙げられる。高密度培養(例え
ば、酵母における発酵)に適した安定な株を生成するために、上記DNAライブラリー構
築物を、宿主染色体中に組込むことが、望ましい。好ましい実施形態において、組込みは
、当該分野で周知の技術を用いて、相同組換えを介して生じる。例えば、DNAライブラ
リーのエレメントに、宿主生物の配列に対して相同な隣接配列を設ける。このようにして
、組込みは、所望される遺伝子も必須遺伝子も破壊することなく、宿主ゲノムにおいて規
定された部位で起こる。
い遺伝子の部位中に組み込まれ、その遺伝子の破壊または欠失をもたらす。例えば、OC
H1遺伝子、MNN1遺伝子またはMNN4遺伝子の部位への組込みは、糖タンパク質の
酵母超マンノシル化(hypermannosylation)に関与する酵素の発現を
妨げつつ、所望のライブラリーDNAの発現を可能とする。他の実施形態において、ライ
ブラリーDNAは、核酸分子、プラスミド、ベクター(例えば、ウイルスベクターまたは
レトロウイルスベクター)、染色体を介して宿主中に導入され得、自律核酸分子としてか
、または宿主ゲノム中への相同組み込みもしくはランダム組込みによって、導入され得る
。いずれの場合においても、一般には、安定に形質転換された宿主生物の容易な選択を可
能とするために、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子を各ライブラリーDNA構築物と
ともに含ませることが、一般に望ましい。そのために、またはそれに抗して選択され得る
再生可能なマーカー遺伝子(例えば、ura3)は、特に適切である。
DNAライブラリーを用いて宿主株を形質転換した後、所望のグリコシル化表現型を示
す形質転換体が、選択される。選択は、単一工程で、または種々のアッセイもしくは検出
方法のいずれかを用いる一連の表現型の富化および/または除去工程によって行われ得る
。表現型特徴付けは、手動により、または自動高スループットスクリーニング機器を用い
て、行なわれ得る。通常、宿主微生物は、種々の糖タンパク質が局在化される細胞表面上
にタンパク質N−グリカンを提示する。
端GlcNAc含有量にてタンパク質を分泌する細胞につき、スクリーニングし得る。そ
のようなスクリーニングは、染色手順のような目に見える方法、特異的末端GlcNAc
結合抗体またはマーカー結合体化レクチン(そのようなレクチンは、E.Y.Labor
atories Inc.,San Mateo,CAから入手可能である)に結合する
能力、特異的レクチンが末端マンノース残基に結合する能力の低下、インビトロで放射性
標識糖を取り込む能力、染料または荷電表面への改変された結合に基づいてスクリーニン
グされ得るか、あるいは発蛍光団標識レクチンまたは発蛍光団標識抗体と組み合せた蛍光
支援細胞ソーティング(FACS)デバイスを用いることによって達成され得る(Gui
llenら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(14)
:7888−7892)。
ことによって、インタクトな細胞が、所望のグリコシル化表現型についてスクリーニング
され得る。広汎な種類のオリゴ糖特異的レクチンは、(例えば、EY Laborato
ries,San Mateo,CAから)市販されている。あるいは、特異的ヒトN−
グリカンに対する抗体または動物N−グリカンに対する抗体は、市販されているか、ある
いは標準技術を用いて製造され得る。適切なレクチンまたは抗体は、レポーター分子(例
えば、発色団、発蛍光団、放射性同位体、または発色性基質を有する酵素)に結合体化さ
れ得る(Guillenら.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 95(14):7888−7892)。
細胞ソーティング、またはシンチレーションカウンティング)を用いて実施され得る。他
の場合には、形質転換された細胞からの単離された糖タンパク質またはN−グリカンを分
析することが、必要であり得る。タンパク質単離は、当該分野で公知の技術によって行わ
れ得る。好ましい実施形態において、レポータータンパク質が、培地に分泌され、アフィ
ニティークロマトグラフィー(例えば、Ni−アフィニティークロマトグラフィーまたは
グルタチオン−S−トランスフェラーゼアフィニティークロマトグラフィー)によって精
製される。単離されたN−グリカンが好ましい場合、エンド−β−N−アセチルグルコサ
ミニダーゼ(Genzyme Co.,Boston,MA;New England
Bioladbs,Beverly,MA)のような酵素を用いて、糖タンパク質からN
−グリカンが切断され得る。次いで、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC)、質
量分析法、または他の適切な手段によって、単離されたタンパク質またはN−グリカンが
、分析され得る。米国特許第5,595,900号は、所望の細胞外糖質構造を持つ細胞
を同定し得るいくつかの方法を教示する。好ましい実施形態において、MALDI−TO
F質量分析法を用いて、切断されたN−グリカンが分析される。
を除去することが、望ましいものであり得る。例えば、その方法を用いて機能的マンノシ
ダーゼ活性を細胞中に操作する場合、所望の形質転換体は、細胞糖タンパク質において、
より低レベルのマンノースを有する。培地中のマンノースの致死的放射性同位体への形質
転換された集団の暴露は、望まない表現型(すなわち、高レベルの取り込まれたマンノー
ス)を有する形質転換体の集団を除去する(HuffakerおよびRobbins(1
983)PW,Proc Natl Acad Sci USA. 80(24):74
66−70)。あるいは、細胞傷害性レクチンまたは望ましくないN−グリカンに対する
抗体を用いて、望まない表現型の形質転換集団を除去し得る(例えば、Stanleyお
よびSiminovitch(1977),Somatic Cell Genet 3
(4):391−405)。米国特許第5,595,900号は、望まれる細胞外糖質構
造を持つ細胞を同定し得るいくつかの方法を教示する。この戦略を反復して行うと、下等
真核生物において、より多くの複合グリカンの連続操作が可能となる。
面に有する宿主細胞を検出するためには、例えば、インビトロ細胞アッセイにおいて、G
lcNAcトランスフェラーゼによるUDP−GlcNAcからのGlcNAcの最も効
果的な転移を可能とする形質転換体につき選択し得る。このスクリーニングは、寒天プレ
ート上での選択圧下で形質転換されたライブラリーを保有する細胞を増殖させること、個
々のコロニーを96ウェルマイクロタイタープレートに移すことによって、実施され得る
。細胞を増殖させた後、細胞は遠心分離され、細胞は、緩衝液中に再懸濁され、UDP−
GlcNAcおよびGnTIIの添加の後、UDPの遊離が、HPLCまたはUDPにつ
いての酵素連結アッセイによって、測定される。あるいは、放射性標識UDP−GlcN
AcおよびGnTIIを用い得、細胞を洗浄し得、次いで、N−アセチルグルコサミニダ
ーゼによって放射性GlcNAcの遊離を探索し得る。これはすべて、手動により行って
も、あるいは高スループットスクリーニング機器の使用を介して自動化されてもよい。第
一のアッセイにおいてより多くのUDPを遊離する形質転換体、または第二のアッセイに
おいてより多くの放射性標識GlcNAcを遊離する形質転換体は、その表面により高い
程度のGlcNAcMan3GlcNAc2を有し、従って、所望の表現型を構成すると
予測される。同様なアッセイもまた、同様に、分泌タンパク質上のN−グリカンを見るよ
うに適合され得る。
他の適切な任意のスクリーニング(例えば、レクチン結合アッセイ)を用い得る。この場
合、末端マンノースに対して特異的なレクチンの結合減少は、適切な選択ツールであり得
る。Galantus nivalisレクチンは、末端α−1,3マンノースに特異的
に結合し、これは、十分なマンノシダーゼII活性がゴルジに存在する場合には低下する
ことが、予測される。また、高い末端マンノース含有量を含む細胞の除去を可能とするク
ロマトグラフィー分離工程を行うことによって、所望の形質転換体を富化し得る。この分
離工程は、低い末端マンノース含有量を有する細胞よりも、高い末端マンノース含有量を
持つ細胞に特異的に結合するレクチンカラム(例えば、アガロースに結合したGalan
tus nivalisレクチン、Sigma、St.Louis、MO)を用いて行う
。
なる情報は科学文献にて入手可能となるので、そのような融合タンパク質構築物を直接作
製し得る。例えば、ヒトβ1,4−GalTrは、MNT(S.cerevisiae由
来のマンノシルトランスフェラーゼ)の膜ドメインに融合され得、その触媒活性を保有し
つつゴルジ装置に局在化され得ることが、公知である(Schwientekら.(19
95)J.Biol.Chem.270(10):5483−9)。S.cerevis
iaeまたは関連生物が、操作されるべき宿主である場合、そのような知見を全体的戦略
に直接的に組み込んで、そのような宿主から複合N−グリカンを取得し得る。P.pas
torisにおけるいくつかのそのような遺伝子フラグメントが同定されており、これら
はS.cerevisiaeにおけるグリコシルトランスフェラーゼに関連する。従って
、これらは、その目的で使用され得る。
この遺伝子工学の試みの1つの最終的な目標は、産業的醗酵プロセスにおいて首尾よく
実行し得る頑強なタンパク質生産株であるので、宿主(例えば、真菌)染色体への複数遺
伝子の組込みは、好ましくは、注意深い設計を含む。操作された株は、ある範囲の異なる
遺伝子で形質転換されなければならないようであり、これらの遺伝子は、安定に形質転換
されて、所望の活性が醗酵プロセスを介して維持されることを確実としなければならない
であろう。本明細書中に記載されたように、種々の所望の酵素活性(例えば、シアリルト
ランスフェラーゼ、マンノシダーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトラン
スフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、GlcNAcトランスフェラーゼ、ER
およびゴルジ特異的トランスポーター(例えば、UDP−ガラクトースおよび他の前駆体
についてのsynおよび交互輸送トランスポーター)、オリゴ糖のプロセシングに関与す
る他の酵素、およびUDP−ガラクトース、CMP−N−アセチルノイラミン酸のような
活性化されたオリゴ糖前駆体の合成に関与する酵素)のいずれかの組合せを真菌タンパク
質発現宿主中に作製し得る。Pichia pastorisのような下等真核生物宿主
細胞においてグリコシル化を改変するための好ましい方法の例を表6に示す。
(表6.下等真核微生物におけるグリコシル化を改変するためのいくつかの好ましい実施
形態)
の戦略は特定のグリコシルトランスフェラーゼ活性の除去ならびに付加の両方を含むので
、包括的なスキームは、両方の要件を協調させる試みであろう。望ましくない酵素をコー
ドする遺伝子は、望ましい遺伝子についての潜在的組込み部位として働く。例えば、1,
6マンノシルトランスフェラーゼ活性は、多くの既知の下等真核生物におけるグリコシル
化の特徴である。α−1,6マンノシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子(OCH
1)はS.cerevisiaeからクローン化され、この遺伝子における変異は低下し
たマンノシル化と共に生存可能な表現型を生じる。従って、α−1,6マンノシルトラン
スフェラーゼ活性をコードする遺伝子座は、グリコシルトランスフェラーゼ活性をコード
する遺伝子の組込み用のプライミング標的である。同様に、その遺伝子座における遺伝子
破壊事象に基づいて、(1)よりヒト様の様式でグリコシル化する細胞の能力を改良し、
(2)タンパク質を分泌する細胞の能力を改良し、(3)外来性タンパク質のタンパク質
分解を低減させ、そして(4)その精製または醗酵プロセス自体を容易にするプロセスの
他の特徴を改良することが期待されるある範囲の他の染色体組込み部位を選択し得る。
本明細書中に記載された方法は、糖タンパク質、特に、ヒトにおいて治療的に用いられ
る糖タンパク質を生成するのに有用である。特異的グリコ形態を有する糖タンパク質は、
例えば、治療タンパク質の標的化において特に有用であり得る。例えば、マンノース−6
−リン酸は、タンパク質を、少数を挙げればゴーシェ病、ハンター病、フルラー病、シャ
イエ病、ファブリー病およびテイ−サックス病のようなリソソーム貯蔵障害に関連する数
種の酵素の適切な機能に必須であり得るリソソームに指向することが示されている。同様
に、グリカン側鎖への1以上のシアリン酸残基の付加は、投与後に、インビボで治療糖タ
ンパク質の寿命を増大させ得る。従って、宿主細胞(例えば、下等真核生物または哺乳動
物)は、細胞中で発現された糖タンパク質における末端シアリン酸の程度を増加させるよ
うに遺伝的に操作され得る。あるいは、シアリン酸は、シアリン酸トランスフェラーゼお
よび適切な基質を用いて投与の前に、インビトロで目的のタンパク質に結合され得る。増
殖培地組成における変化を、ヒト様グリコシル化に関与する酵素活性の発現に加えて使用
して、ヒト形態により密接に似ている糖タンパク質を生成し得る(Weikertら、(
1999)Nature Biotechnology 17,1116−1121;W
ernerら、(1998)Arzneimittelforschung 48(8)
:870−880;YangおよびButler(2000)Biotechnol.B
ioengin.68(4):370−380)。モノクローナル抗体への特異的グリカ
ン修飾(例えば、二分されたGlcNAcの付加)は、抗体依存性細胞傷害性を改良する
ことが示されており(Umanaら、(1999)Nat.Biotechnoil.1
7(2):176−80)、これは、抗体または他の治療タンパク質の生成に望ましくあ
り得る。
本発明に従って生成され得る適した標的糖タンパク質の例としては、エリスロポエチン、
サイトカイン(例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ
、インターフェロンω)、および顆粒球−CSF、凝固因子(例えば、第VIII因子、
第IX因子)、およびヒトプロテインC、可溶性IgEレセプターα鎖、IgG、IgG
フラグメント、IgM、インターロイキン類、ウロキナーゼ、キマーゼ、および尿素トリ
プシンインヒビター、IGF−結合タンパク質、上皮増殖因子、成長ホルモン放出因子、
アネキシンV融合タンパク質、アンジオスタチン、血管内皮成長因子2、骨髄前駆体阻害
因子1、オステオプロテグリン(osteoprotegerin)、α−1抗トリプシ
ン、DNaseII、αフェトタンパク質、AAT、rhTBP−1(オネルセプト、別
名TNF結合タンパク質1)、TACI−Ig(膜貫通アクチベーターおよびカルシウム
モジュレーターおよびシクロフィリンリガンドインターアクター)、FSH(小胞刺激ホ
ルモン)、GM−CSF、GLP−1 w/およびw/o FC(グルカゴン様プロテイ
ン1)IL−1レセプターアゴニスト、sTNFr(エンブレル、別名可溶性TNFレセ
プターFc融合物)ATIII、rhトロンビン、グルコセレブロシダーゼおよびCTL
A4−Ig(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4−Ig)が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIおよびアセチルグルコサミニルト
ランスフェラーゼIIIによるGlcNAcMan3GlcNAc2構造へのN−アセチ
ルグルコサミン残基の付加は、いわゆる二分型N−グリカンであるGlcNAc3Man
3GlcNAc2を生じる(図15)。この構造は、より大きな抗体依存性細胞傷害性(
ADCC)に関与していた(Umanaら(1999)Nat.Biotechnol.
17(2):176−80)。哺乳類細胞により発現される免疫グロブリンのグリコ形態
の再操作は、単調として進まず、かつ煩わしい仕事である。特にGnTIIIの場合(こ
の酵素の過剰発現が増殖阻害に関与している場合)、調節された(誘導性の)遺伝子発現
を含む方法が、二分型N−グリカンを有する免疫グロブリンを生成するために使用されな
ければならなかった(Umanaら(1999)Biotechnol Bioeng.
65(5):542−9;Umanaら(1999)Nat.Biotechnol.1
7(2):176−80;Umanaら WO03/011878;米国特許第6,60
2,684号)。
ノースコア構造上に二分型N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有するヒト様N
−グリカンを生成するためのシステムおよび方法を提供する。好ましい実施形態において
、本発明は、二分型N−グリカンを有する免疫グロブリンを生成するためのシステムおよ
び方法を提供する。本明細書中に記載されるシステムおよび方法は、以前の問題(例えば
、GnTIIIの過剰発現またはADCCと関連した細胞傷害性)にあった欠点がない。
なぜなら、本発明の宿主細胞は、実質的に修飾されたヒト型グリコ形態(例えば、Glc
NAc2Man3GlcNAc2)を有するN−グリカンを生成する生細胞(好ましくは
、強い細胞)であるように操作され、選択されるからである。従って、本発明の宿主細胞
における二分型N−アセチルグルコサミンの付加は、増殖表現型またはそれらの宿主細胞
の生存性に対してごくわずかな影響しか有さない。
の間に線形的な相関はないことが示された。Umanaら(1999)Nature B
iotechnol.17(2):176−80。従って、哺乳動物細胞における最適な
発現レベルを見いだし、FDAによって認可された発行プロセス全体を通してその最適な
レベルを維持することは、困難であると思われる。しかし、本発明の宿主細胞(例えば、
真菌細胞)において、強い、信頼性のあるかつ最適なGnTIII発現レベルを確立する
ための適切な強度のプロモーターを見いだすことは、当業者にとって比較的容易な作業で
ある。
は、本発明に従って、宿主細胞にGnTIII活性を誘導することによって操作される(
実施例12)。好ましくは、宿主細胞は、GnTIIIをコードする核酸(例えば、図2
4参照)、または酵素活性を有するそのドメインを用いて形質転換され、必要に応じて、
(例えば、本発明のライブラリーおよび関連する方法を使用して)異種細胞シグナル標的
化ペプチドに融合される。GnTIIIを発現するように操作された宿主細胞は、哺乳類
細胞が生じ得る抗体力価よりも高い抗体力価を生じる。それらの宿主細胞はまた、ADC
Cに関してより高い効力を有する抗体を生産する。
ンスフェクトされていない細胞株によって生産された抗体と同じくらいに有効であること
が示されているが、10〜20分の1低い濃度においてである(Davisら、(200
1)Biotechnol.Bioeng.74(4):288−94)。20の因子に
よる哺乳類系を上回る本発明の生産ビヒクルの生産性の増加、および効力の10倍増加は
、200の正味の生産性の改善を生じる。従って、本発明は、高い効力(例えば、現在生
じ得る効力よりも強力な数オーダーの大きさまで)を有する抗体の高い力価を生じるため
のシステムおよび方法を提供する。そのシステムおよび方法は、安全であり、かつ短い期
間で強力な抗体を提供する。本発明に従ってGnTIIIを発現するように操作された宿
主細胞は、少なくとも一日当たり50mg/リットル〜500mg/リットルの速度で、
二分されたN−グリカンを有する免疫グロブリンを生産する。さらに、各免疫グロブリン
(Ig)分子(二分したGlcNAcを含む)は、二分したGlcNAcなしで生産され
た同じIg分子よりも強力である。
テトラアンテナ構造の合成は、種々のタンパク質(例えば、EPOおよびα1−酸性糖
タンパク質)のインビボでの生物学的活性にとって重要であることが見出されている。T
akeuchiら、Proc Natl Acad Sci USA 1989 Oct
;86(20):7819〜22;Borisら、Inflammation(1990
14,315〜323。薬物動態研究によって、テトラアンテナ分岐の嵩高い構造は、E
POが尿中へろ過されるのを防ぐことが示された。タンパク質を、例えば、化学結合体(
例えば、ポリエチレングリコール)で改変すると、潜在的な治療糖タンパク質のクリアラ
ンスを遅らせることが考案された。従って、一実施形態において、本発明は、下等真核生
物(P.pastoris)において複数のアンテナ構造を含む糖タンパク質を合成する
ための方法を提供し、この糖タンパク質は、より良好なインビボの生物学的活性を有し、
そして減少したアンテナを有する同じ糖タンパク質よりも迅速には排泄されない。本質的
には、本発明の方法に従って生成される糖タンパク質(また、本明細書中に援用されるW
O02/00879およびWO03/056914を参照のこと)は、治療効力を改善し
ている。
のとして解釈されるべきではなく:実施例は説明の目的のみのために含まれる。
(P.pastorisにおけるOCH1遺伝子のクローニングおよび破壊)
(P.pastorisのOCH1変異体の作製)
P.pastoris OCH1配列(日本国特許出願公開番号8−336387号)
に基づいて設計されたオリゴヌクレオチド
を用いて、推定α−1,6マンノシルトランスフェラーゼをコードするP.pastor
is OCH1遺伝子の1215bp ORFを、P.pastorisゲノムDNA(
X−33株、Invitrogen、Carlsbad、CA)から増幅した。その後、
OCH1遺伝子における内部オリゴヌクレオチド
gene,La Jolla,CA)の骨格における
上流および1175bp下流を、P.pastorisゲノムDNAライブラリー(Bo
ehm,T.ら、Yeast 1999 5月;15(7):563−72)から増幅し
た。得られた5075bpフラグメントをpCR2.1−TOPOベクター(Invit
rogen,Carlsbad,CA)にクローン化し、これをpBK9と命名した。
築物を構築した後、P.pastorisを形質転換し、コロニーを37℃における温度
感受性についてスクリーニングした。S.cerevisiaeのOCH1変異体は温度
感受性であり、上昇した温度における成長が遅い。従って、S.cerevisiaeの
OCH1変異体に、P.pastoris DNAまたはcDNAライブラリーを補完す
ることによって、P.pastorisにおけるOCH1の機能的ホモログを同定するこ
とができる。約20の温度感受性株を、さらに、コロニーPCRスクリーニングに供して
、欠失したoch1遺伝子でコロニーを同定した。数個のoch1欠失を得た。
および1.5kb下流配列を有する直線化pBK9.1を、P.pastoris BK
1[AOX1遺伝子座においてヒトIFN−β遺伝子を保有するGS115(his4
Invitrogen Corp.,San Diego,CA)]に形質転換して、野
生型OCH1遺伝子をノックアウトした。形質転換体の初期スクリーンニングは、ヒスチ
ジンドロップ−アウト培地を用いて行い、その後、レプリカプレーティングを行って、温
度感受性コロニーを選択した。200のヒスチジン−陽性コロニーのうち20が、37℃
における温度感受性表現型を示した。PichiaゲノムへのpBK9.1のランダムな
組込みを排除するために、20の温度−感受性単離体を、組込み部位の上流配列、および
HIS4 ORFに特異的なプライマーを用いてコロニーPCRに供した。20のコロニ
ーのうち2つはoch1障害性であり、サザンブロットおよびウェスタンブロットを用い
てさらに分析し、これは、och1ノック−アウト構築物による機能性och1破壊を示
す。2つの別々の制限酵素BglIIおよびClaIを用いてゲノムDNAを消化して、
och1のノックアウトを確認し、オープンリーディングフレームにおける組込みを確認
した。ウェスタンブロットは、46.2kDaにおいてGS115野生型で生じた区別さ
れるバンドを欠くoch1変異体を示した。
(Man5GlcNAc2含有IFN−β前駆体を生成するためのP.pastori
sのα―1,2−マンノシダーゼを用いた操作)
α−1,2−マンノシダーゼは、Man8GlcNAc2をトリミングして、複合N−
グリカン形成のための必須の中間体であるMan5GlcNAc2を得るのに必要である
。Man5GlcNAc2前駆体の生成は必須であるが、それは、ハイブリッドおよび複
合体グリカンの生成に必ずしも十分ではない。なぜなら、Man5GlcNAc2の特異
的異性体は、GnTIについての基質であってもなくてもよいからである。P.past
orisのoch1変異体は、aoxプロモーターの制御下で分泌されるヒトインターフ
ェロンβを発現するように操作される。DNAライブラリーは、ヒトマンノシダーゼIB
(α−1,2−マンノシダーゼ)の触媒ドメインと、初期ゴルジおよびER局在化ペプチ
ドをコードする配列を含むサブ−ライブラリーとのインフレーム連結によって構築される
。次いで、DNAライブラリーを宿主生物に形質転換し、その結果、個々の形質転換体が
各々、インターフェロンβならびにライブラリーからの合成マンノシダーゼ遺伝子を発現
する遺伝的に混合された集団が生じる。個々の形質転換体コロニーを培養し、インターフ
ェロンの生成をメタノールの添加によって誘導する。これらの条件下で、分泌されたタン
パク質の90%より多くはグリコシル化インターフェロンβである。
雑物を除去する。適切に標的化された活性なα−1,2−マンノシダーゼを発現する所望
の形質転換体は、親株のインターフェロンβと比較して低下した分子質量を有する、構造
Man5GlcNAc2のN−グリカンを含むインターフェロンβを生成する。精製され
たインターフェロンβをMALDI−TOF質量分析によって分析し、インターフェロン
βの所望の形態を発現するコロニーを同定する。
(ヒト様糖タンパク質の生成のためのα−1,2−マンノシダーゼ、GnTIおよびG
nTIIを発現するoch1変異体株の作製)
P.pastoris OHC1遺伝子の1215bpのオープンリーディングフレー
ムならびに2685bp上流および1175bp下流をPCRによって増幅し(WO 0
2/00879も参照のこと)、pCR2.1−TOPOベクター(Invitroge
n)にクローン化し、これをpBK9と命名した。複数の栄養要求性マーカーを含むoc
h1ノックアウト株を作製するために、100μgのpJN329、SfiI制限部位が
隣接したoch1::URA3変異体対立遺伝子を含むプラスミドをSfiIで消化し、
これを用いて、エレクトロポレーションによって、P.pastoris株JC308(
Cereghinoら、Gene 263(2001)159−169)を形質転換した
。室温における10日間の、ウラシルを欠く規定された培地上でのインキュベーションに
続き、1000のコロニーを選択し、再度画線培養した。37℃では増殖できないが、室
温では増殖したURA+クローンをコロニーPCRに供して、och1::URA3変異
体対立遺伝子の正しい組込みについて試験した。予測されたPCRパターンを呈した1つ
のクローンをYJN153と命名した。ヒトプラスミノーゲン(K3)のクリングル3ド
メインをモデルタンパク質として用いた。K3遺伝子を含むNeoRでマークしたプラス
ミドを株YJN153に形質転換し、K3を発現する得られた株をBK64−1と命名し
た。
romyces lactis MNN2−2遺伝子を含むプラスミドpPB103を、
ベクターpDL02(Abeijonら、(1996)Proc.Natl.Acad.
Sci.U.S.A.93:5963−5968)からの平滑BglII−HindII
Iフラグメントを、P.pastoris ADE1遺伝子(Cereghinoら、(
2001)Gene 263:159−169)を含むBglIIおよびBamHI消化
した平滑末端pBLADE−SXにクローン化することによって、構築した。このプラス
ミドをEcoNIで線状化し、エレクトロポレーションによって株BK64−1に形質転
換し、1つの株はPCR分析によりMNN2−2を含むと確認され、これをPBP1と命
名した。
の触媒ドメインと融合させたS.cerevisiaeおよびP.pastorisから
の数個のI型またはII型膜タンパク質のリーダードメインのインフレーム融合物を含む
マンノシダーゼ構築物のライブラリーを作製した(例えば、WO 02/00879を参
照のこと、これは、本明細書中に参考として援用される)。このライブラリーをP.pa
storis HIS4組込みベクターにおいて作製し、SalIで線状化し、エレクト
ロポレーションによって株PBP1に形質転換し、K3レポータータンパク質から遊離さ
れたグリカンを分析することによってスクリーニングした。1つの活性な選択された構築
物は、187ヌクレオチドを失った、マウスα―1,2−マンノシダーゼIA遺伝子(図
3)のN末端欠失と融合させた酵母SEC12遺伝子の988−1296ヌクレオチド(
C末端)のキメラであった。この構築物を発現するP.pastoris株をPBP2と
命名した(図36もまた参照のこと)。
ダーライブラリーのインフレーム融合物を含むGnTI構築物のライブラリーを作製した
(WO 02/00879)。このライブラリーをP.pastoris ARG4組込
みベクターにおいて作製し、そして、AatIIで直線化し、エレクトロポレーションに
よって株PBP2に形質転換し、K3から遊離されたグリカンを分析することによってス
クリーニングした。選択された1つの活性な構築物は、最初の154bpが失われた、ヒ
トGnTI遺伝子の欠失に融合したS.cerevisiae MNN9遺伝子の最初の
120bpのキメラであった。この構築物を発現するP.pastoris株をPBP3
と命名した。
リーのインフレーム融合物を含むGnTII構築物のライブラリーを作製した(WO 0
2/00879)。このライブラリーを、薬物ノロセオトリシン(nourseothr
icin)に対する耐性を与えるNSTR遺伝子を含む、P.pastoris組込みベ
クターにおいて作製した。これらのライブラリープラスミドを、EcoRIで線状化し、
エレクトロポレーションによって株RDP27内に形質転換し、そしてこの得られた株を
、精製したK3から遊離されるグリカンの分析によって、スクリーニングした。
MOPS、カコジル酸ナトリウム、塩化マンガン、UDP−ガラクトースおよびCMP
−N−アセチルノイラミン酸は、Sigma製であった。トリフルオロ酢酸(TFA)は
、Sigma/Aldrich,Saint Louis,MO製であった。Spodo
ptera frugiperda由来の組換えラットα2,6−シアリルトランスフェ
ラーゼ、および牛乳由来のβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、Calbio
chem(San Diego,CA)製であった。タンパク質N−グリコシダーゼF、
マンノシダーゼ、およびオリゴ糖は、Glyko(San Rafael,CA)製であ
った。DEAE ToyoPearl樹脂は、TosoHaas製であった。金属キレー
ト化「HisBind」樹脂は、Novagen(Madison,WI)製であった。
96ウェル溶解−清浄化プレートは、Promega(Madison,WI)製であっ
た。タンパク質結合96ウェルプレートは、Millipore(Bedford,MA
)製であった。塩および緩衝剤は、Sigma(St.Louis,MO)製であった。
MALDIマトリックスは、Aldrich(Milwaukee,WI)製であった。
クリングル(Kringle)3を、96ウェル形式で、Beckman BioMe
k 2000サンプル取り扱いロボット(Beckman/Coulter Ranch
Cucamonga,CA)で精製した。Kringle 3を、C末端ヘキサヒスチ
ジンタグを使用して、発現培地から精製した。このロボットによる精製は、Novage
nによって、そのHisBind樹脂について提供されるプロトコルの適合である。簡単
に言えば、150uL(μL)の沈降した体積の樹脂を、96ウェルの溶解−結合プレー
トのウェルに注ぎ、3倍体積の水で洗浄し、そして5倍体積の50mM NiSO4を充
填し、そして3倍体積の結合緩衝液(5mMイミダゾール、0.5M NaCl、20m
M Tris−HCL(pH7.9))で洗浄する。このタンパク質発現培地を、3:2
で、培地/PBS(60mM PO4,16mM KCl、822mM NaCl(pH
7.4))で希釈し、そしてカラムに充填する。排液後、このカラムを、10倍体積の結
合緩衝液および6倍体積の洗浄緩衝液(30mMイミダゾール、0.5mM NaCl、
20mM Tris−HCl(pH7.9))で洗浄し、そしてタンパク質を、6倍体積
の溶出緩衝液(1Mイミダゾール、0.5M NaCl、20mM Tris−HCl(
pH7.9))で溶出する。溶出した糖タンパク質を、凍結乾燥によって、蒸発乾固させ
る。
グリカンを、以前に報告された方法(Papacら、A.J.S.(1998)Gly
cobiology 8,445−454)の改変によって、糖タンパク質から遊離させ
、そして分離する。96ウェルのMultiScreen IP(Immobilon−
P膜)プレート(Millipore)のウェルを、100uLのメタノールで湿らせ、
3×150uLの水および50uLのRCM緩衝液(8M尿素、360mM Tris,
3.2mM EDTA(pH8.6))で洗浄し、各添加後に、穏やかな減圧で排液する
。乾燥したタンパク質サンプルを、30uLのRCM緩衝液に溶解し、そして10uLの
RCM緩衝液を含むウェルに移す。これらのウェルを排液し、そしてRCM緩衝液で2回
洗浄する。RCM緩衝液中60uLの0.1M DTTの添加によって、37℃で1時間
、タンパク質を還元する。これらのウェルを、300uLの水で3回洗浄し、そして60
uLの0.1Mヨード酢酸の添加によって、室温で暗所で30分間カルボキシメチル化す
る。これらのウェルを、水で再度3回洗浄し、そしてその膜を、水中1%のPVP 36
0(100uL)の添加によって、室温で1時間ブロックする。これらのウェルを排液し
、そして300uLの水で3回洗浄し、そして1ミリ単位のN−グリカナーゼ(Glyk
o)を含有する10mM NH4HCO3(pH8.3)の30μLの添加によって、脱
グリコシル化する。37℃で16時間後、このグリカンを含有する溶液を遠心分離によっ
て除去し、そして蒸発乾固させた。
グリカンの分子量を、Voyager DE PRO線形MALDI−TOF(App
lied Biosciences)質量分析計を使用して、遅延抽出を用いて決定した
。各ウェルからの乾燥したグリカンを、15uLの水に溶解し、そして0.5uLをステ
ンレス鋼サンプルプレート上にスポットし、そして0.5uLのS−DHBマトリックス
(1:1の水/アセトニトリル0.1%TFA中9mg/mLのジヒドロキシ安息香酸、
1mg/mLの5−メトキシサリチル酸)と混合し、そして乾燥させた。
ることによって、生成させた。この器具を、125nsの遅延および20kVの加速電圧
を用いて、遅延抽出モードで操作した。格子電圧は、93.00%であり、格子ワイヤ電
圧は、0.10%であり、内圧は、5×10−7トル未満であり、そして低質量ゲートは
875Daであった。スペクトルを、100〜200のレーザーパルスの合計から生成し
、そして2GHzデジタイザーで獲得した。Man5GlcNAc2オリゴ糖を、外部分
子量標準として使用した。全てのスペクトルを、陽イオンモードでこの器具を用いて生成
した。このスペクトルの推定質量精度は、0.5%であった。
り、陽イオンの分子量によって質量は増加する。最も一般的な付加物は、H+、Na+、
およびK+である。
(コンビナトリアルDNAライブラリーを用いる優勢なN−グリカン構造としてのMa
n5GlcNAc2を生成するためのP.pastorisの操作)
誘導性AOXIプロモーターの制御下で、ヒトプラスミノーゲンのクリングル3ドメイ
ン(K3)のようなタンパク質を発現し、それを分泌するように、P.pastoris
のoch1変異体(実施例1および3を参照のこと)を作成した。ヒトプラスミノーゲン
のクリングル3ドメイン(K3)をモデルタンパク質として用いた。Pfu turbo
ポリメラーゼ(Strategene,La Jolla,CA)を用いて、K3をコー
ドするDNAフラグメントを増幅し、pPICZαA(Invitrogen,Carl
sbad,CA)のEcoRIおよびXbaI部位にクローン化し、C−末端6−His
タグを得た。K3のN−結合グリコシル化効率を改良する(Hayesら、1975 J
.Arch.Biochem.Biophys.171,651−655)ために、部位
特異的変異誘発を用いてPro46をSer46で置き換えた。得られたプラスミドをp
BK64と命名した。PCR構築物の正確な配列を、DNA配列決定によって確認した。
よび初期ゴルジ局在化ペプチドをコードする配列を含むサブライブラリーと、マウスα−
1,2−マンノシダーゼIB(Genbank AN 6678787)およびIA(G
enbank AN 6754619)触媒ドメインとのイン−フレーム連結によって構
築した。組み合わされたDNAライブラリーを用いて、個々の融合構築物を生成し、次い
で、これをK3発現宿主生物に形質転換し、その結果、個々の形質転換体各々がK3なら
びにライブラリーからの局在化シグナル/マンノシダーゼ融合遺伝子を発現する遺伝的に
混合された集団を得た。個々の形質転体を培養し、K3の産生を、メタノール含有培地へ
の移動によって誘導した。これらの条件下で、誘導の24時間後に、培地中のタンパク質
の90%より多くはK3であった。K3レポータータンパク質を上清から精製して、Ni
―アフィニティークロマトグラフィーによって塩および低分子量夾雑物を除去した。アフ
ィニティー精製に続き、Sephadex G10樹脂(Sigma,St.Louis
,MO)上でのサイズ排除クロマトグラフィーによってタンパク質を脱塩し、後記するM
ALDI−TOF分析に直接的に供するか、あるいはN−グリカンを後記するようなPN
Gase消化によって除去し(N−グリカンの遊離)、MALDI−TOF分析に供した
(Mieleら、1997 Biotechnol.Appl.Biochem.25,
151−157)。
アウト株と比較してN−グリカンの修飾を示さず;他のものは高度なマンノーストリミン
グを示した(図5Dおよび5E)。適切に標的化された活性なα−1,2−マンノシダー
ゼを発現する所望の形質転換体は、構造Man5GlcNAc2のN−グリカンを有する
K3を産生した。これは、親och1欠失株のK3と比較して、糖タンパク質に対して低
下した分子質量を付与し、この差はMALDI−TOF質量分析によって容易に検出され
た(図5)。表7は、相対的なMan5GlcNAc2産生レベルを示す。
代表的なコンビナトリアルDNAライブラリー)
代表的なコンビナトリアルDNAライブラリー)
こと、Nucleic Acid Libraries;Combinatorial
DNA Library of Fusion Constructs)におけるMNS
I(SwissProt P32906)およびS.cerevisiae(988〜1
140ヌクレオチド:短)および(988〜1296:中程度)におけるSEC12(S
wissProt P11655)から選択した。標的化ペプチド配列の大部分はN末端
欠失であったが、SEC12のようないくつかの標的化ペプチド配列はC末端欠失であっ
た。この実験で用いた触媒ドメインは、187アミノ酸N−末端欠失を含むマウスマンノ
シダーゼ1A;および58、99および170アミノ酸欠失を含むマウスマンノシダーゼ
1Bから選択した。本明細書中で使用される場合、(+)の数は、Man5GlcNAc
2産生の相対的レベルを示す。表示(−)は、Man5GlcNAc2の明白な産生が無
いことを示す。表示(+)は、Man5GlcNAc2の10%未満の産生を示す。表示
(++)は、Man5GlcNAc2の約10〜20%の産生を示す。表示(+++)は
、Man5GlcNAc2の約20〜40%の産生を示す。表示(++++)は、Man
5GlcNAc2の約50%の産生を示す。表示(+++++)は、Man5GlcNA
c2の50%を超える産生を示す。
α−1,2マンノシダーゼ触媒ドメインを32の真菌ER、およびシス−ゴルジリーダー
に融合させることによって作製されたコンビナトリアル遺伝子ライブラリーからの単一構
築物で各々を形質転換することによって、P.pastoris(Δoch1)の608
の異なる株を作製した。
orisへの形質転換の前にE.coli中で増殖し得なかったからである。
+最高程度のMan5GlcNAc2トリミング(30/51)を有するクローンを、培
地の上清中のマンノシダーゼ活性についてさらに分析した。大部分(28/30)は、上
清中に検出可能なマンノシダーゼ活性を示した(例えば図4B)。2つの構築物のみが培
地中のマンノシダーゼ活性を欠如するが、高いMan5GlcNAc2レベルを示した(
例えば、図4C)。
5を示す。表8は、
より好ましい構築物である、pBC18−5(80アミノ酸N−末端欠失を有するC.e
legansマンノシダーゼIB(Saccharomyces Van1(s)/C.
elegansマンノシダーゼIB Δ80)(Genbank AN CAA9811
4)にインフレーム連結したS.cerevisiae VAN1(s)標的化ペプチド
配列(SwissProt23642由来))、を示す。この融合構築物はまた、図5E
に示すように、優勢なMan5GlcNAc2構造を生成する。この構築物は、50%を
超えるMan5GlcNAc2を生成することが示された(+++++)。
標的化ペプチドに融合したα−1,2−マンノシダーゼ触媒ドメインのコンビナトリア
ルDNAライブラリーの作製は、多数の生物からの種々の長さのN−末端欠失を含むマン
ノシダーゼドメインの増幅を必要とした。この目的にアプローチするために、α−1,2
−マンノシダーゼの全長オープンリーディングフレーム(ORF)を、以下の源:Hom
o sapiens,Mus musculus.Drosophila melano
gaster,Caenorhabditis elegans、Aspergillu
s nidulansおよびPenicillium citrinumから得られたc
DNAまたはゲノムDNAのいずれかからPCR増幅した。各場合において、PCR反応
を行うのに必要な試薬に加え、所望のマンノシダーゼ配列に特異的なオリゴヌクレオチド
プライマーの存在下でDNAをインキュベートした。例えば、M.musculus α
−1,2−マンノシダーゼIAのORFを増幅するために、5’−プライマー
la,CA)の存在下でインキュベートし、循環パラメーター:94℃で1分間(1サイ
クル);94℃で30秒間、68℃で30秒間、72℃で3分間(30サイクル)を用い
るStratageneによって推奨される条件下で増幅した。増幅に続いて、ORFを
コードするDNA配列を、pCR2.1−TOPO(Invitrogen、Carls
bad,CA)への連結の前に1UのTaq DNAポリメラーゼ(Promega,M
adison,WI)と共に72℃にて5分間インキュベートし、Invitrogen
によって推奨されるように、TOP10の化学的にコンピテントなE.coliに形質転
換した。クローン化されたPCR産物は、マンノシダーゼORFに特異的なプライマーを
用いるABI配列決定によって確認した。
なORFを、PCR反応の後のラウンドでテンプレートとして用い、ここで、5’プライ
マーのアニーリング位置は所望の短縮形の5’末端に特異的であり、3’プライマーはO
RFの元来の3’末端に特異的なままであった。酵母発現ベクターへの短縮形マンノシダ
ーゼフラグメントのサブクローニングを容易にするために、pJN347(図2C)As
cIおよびPacI制限部位をそれぞれ、5’および3’末端において、各短縮産物に操
作した。各マンノシダーゼORFについて作製されたN−末端短縮形の数および位置は、
触媒ドメイン)(CD)に関して膜貫通(TM)領域の位置に依存した。例えば、TMお
よびCDの間に位置したステム領域が150bp未満である場合、そのタンパク質につい
ての1つの短縮形のみが生じた。しかしながら、ステム領域が150bpよりも長い場合
、ステム領域の長さに応じて1以上の短縮形が作製された。
についての短縮形をいかにして作製したかの例を本明細書に記載し、同様なアプローチを
他のマンノシダーゼについて用いた。図3は、M.musculus α−1,2−マン
ノシダーゼIAのORFを示し、予測された膜貫通ドメインおよび触媒ドメインを太字で
強調した。この構造に基づいて、3つの5’プライマーを設計して(図3において下線を
施したアニーリング位置)、Δ65−、Δ105−およびΔ187−N−末端欠失を作製
した。Δ65N−末端欠失を例として用いた、使用された5’プライマーは、
の両方を用いて、全長M.musculusマンノシダーゼ1A ORFを増幅するため
の上記にて概説した条件下で1561bpフラグメントを増幅した。さらに、全長ORF
で得られた産物のように、短縮産物もまたTaq DNAポリメラーゼと共にインキュベ
ートし、pCR2.1−TOPO(Invitrogen,Carlsbad,CA)に
連結し、TOP10に形質転換し、ABI配列決定した。短縮マンノシダーゼフラグメン
トの配列を増幅し、確認した後に、得られたプラスミド、pCR2.1−Δ65mMan
nIAを、37℃にて16時間、New England Biolabs緩衝液#4(
Beverly,MA)中でAscIおよびPacIで消化した。平行して、pJN34
7(図2C)を同一酵素で消化し、上記のようにインキュベートした。消化後、pJN3
47(図2C)骨格および短縮触媒ドメインの両方をゲル抽出し、製造業者によって推奨
されているように、Quick Ligation Kit(New England
Biolabs,Beverly,MA)を用いて連結し、化学的にコンピテントなDH
5α細胞(Invitrogen,Carlsbad,CA)に形質転換した。コロニー
PCRを用いて、pJN347−マウスマンノシダーゼIAΔ65構築物の生成を確認し
た。
媒ドメインのライブラリーを生成し、標的化ペプチド/触媒ドメインライブラリーの生成
における残りの工程は、標的化ペプチド配列(図2)をイン−フレームクローン化するこ
とであった。pJN347−マンノシダーゼ構築物(図2D)およびpCR2.1TOP
O−標的化ペプチド構築物(図2B)両方を、制限酵素NotIおよびAscIの存在下
で、New England Biolabs緩衝液#4中で37℃において一晩インキ
ュベートした。消化に続き、pJN347−マンノシダーゼ骨格および標的化ペプチド領
域の双方をゲル抽出し、製造業者によって推奨されているように、Quick Liga
tion Kit(New England Biolabs,Beverly,MA)
を用いて連結し、化学的にコンピテントなDH5α細胞(Invitrogen,Car
lsbad,CA)に形質転換した。引き続いて、pJN347−標的化ペプチド/マン
ノシダーゼ構築物をABI配列決定して、生成された融合がイン−フレームであることを
確認した。最終標的化ペプチド/α−1,2−マンノシダーゼライブラリーの推定サイズ
は、上記アプローチによって生成された1300を超える構築物を含む。図2は、コンビ
ナトリアルDNAライブラリーの構築を示す。
操作)
プラスミド構築における最初の工程は、ノックアウトすべき遺伝子の5’および3’領
域についてのスペースホールダー(space holder)としての、P.past
oris(Boehmら、Yeast 1999年5月;15(7):563−72)の
KEX1遺伝子のDNA領域を含むユニバーサルプラスミドの組を作製する工程を包含し
た。プラスミドはまた、栄養要求性マーカーについてのスペースホールダーとしてのS.
cerevisiae Ura−ブラスター(Alaniら(1987)、Geneti
cs 116,541−545)、および外来性遺伝子の挿入用の多重クローニング部位
を有する発現カセットを含んだ。P.pastoris KEX1−5’領域の0.9k
bのフラグメントは、プライマー
用いるPCRによって増幅し、pUC19(New England Biolabs.
Beverly,MA)のSacI,SalI部位にクローン化した。得られたプラスミ
ドをBamHIおよびSalIで切断し、プライマー
開いた部位にクローン化し、pJN262を作製した。このプラスミドをBamHIで切
断し、pNKY51(Alaniら(1987)、Genetics 116,541−
545)の3.8kbのBamHI、BglIIフラグメントを可能な双方の向きに挿入
し、その結果、プラスミドpJN263(図4A)およびpJN284(図4B)を得た
。
P.pastorisのGAPDHプロモーターを、プライマー
gen)とを用いて増幅し、pUC19(New England Biolabs,B
everly,MA)のBamHI,SphI部位にクローン化した(図4B)。得られ
たプラスミドをSpeIおよびSphIで切断し、プライマー
gen)とを用いて増幅したCYC1転写ターミネーター領域(「TT」)を開いた部位
にクローン化し、pJN261を作製した(図4B)。
63をSalIおよびSpeIで消化することによって作製し、プライマー
増幅したOCH1−5’領域の2.9kbのDNAフラグメントを開いた部位にクローン
化した(図4C)。得られたプラスミドをEcoRIおよびPmeIで切断し、プライマ
ー
トを挿入して、pJN298を生成した(図4C)。プラスミドを同時に用いて新しい遺
伝子を導入する可能性を可能とするために、pJN261のBamHI発現カセット(図
4B)をpJN298(図4C)の固有のBamHI部位にクローン化して、pJN29
9を作製した(図4E)。
141−146に記載されている同様な戦略を用い、P.pastoris Ura3−
ブラスターカセットを構築した。P.pastoris URA3の2.0kbのPst
I、SpeIフラグメントをpUC19(New England Biolabs,B
everly,MA)のPstI,XbaI部位に挿入して、pJN306を作製した(
図4D)。次いで、lacZオープンリーディングフレームの0.7kbのSacI、P
vuII DNAフラグメントをSacI、SmaI部位にクローン化して、pJN30
8を得た(図4D)。PstIでのpJN308(図4D)の消化、およびT4 DNA
ポリメラーゼでの処理に続いて、T4 DNAポリメラーゼで平滑末端化したlacZ由
来のSacI−PvuIIフラグメントを挿入し、pJN315を作製した(図4D)。
lacZ/URA3カセットを、SacIおよびSphIでの消化によって遊離し、T4
DNAポリメラーゼで平滑末端化し、PmeIおよびAflIIで消化し、T4 DN
Aポリメラーゼで平滑末端化したpJN299の骨格にクローン化した。得られたプラス
ミドをpJN329と命名した(図4E)。
した発現プラスミドを作製した(図4F)。NgoMIVおよびSwaIで切断したプラ
イマー
化したPichia pastoris HIS4遺伝子の2.7kbのフラグメントを
、次いで、開いた部位に連結した。このプラスミドをpJN337と命名した(図4F)
。融合ライブラリーの構築に適した多重クローニング部位を有するプラスミドを構築する
ために、pJN337をNotIおよびPacIで切断し、インビトロでアニーリングし
た2つのオリゴヌクレオチド
のpJN329をSfiIで消化し、これを用いて、P.pastoris株JC308
(Cereghinoら、Gene263(2001)159−169)をエレクトロポ
レーションによって形質転換した。形質転換に続いて、URAドロップアウトプレートを
室温で10日間インキュベートした。1000のコロニーを選択し、再度画線培養した。
次いで、全ての1000のクローンを2組のURAドロップアウトプレート上で画線培養
した。1つの組を室温にてインキュベートし、他方、第二の組を37℃でインキュベート
した。37℃では増殖できないが、室温では増殖したクローンをコロニーPCRに供して
、正しいOCH1ノックアウトについて試験した。予測されたPCRシグナル(約4.5
kb)を示した1つのクローンをYJN153と命名した。
P.pastorisゲノムへのマンノシダーゼ構築物の組込みを確認するためにコロ
ニーPCRによってスクリーニングした陽性形質転換体(実施例4)を、1%酵母抽出物
、2%ペプトン、100mMリン酸カリウム緩衝液、pH6.0、1.34%酵母窒素ベ
ース、4×10−5%ビオチン、および1%グリセロールよりなる増殖培地としての50
mlのBMGY緩衝化メタノール−複合培地中で、室温にて、引き続いてOD600nm
2−6まで増殖し、その時点で、5mlのBMMY中での室温での24時間のレポーター
タンパク質の誘導に先立ち、10mlのBMMY(増殖培地としての1%酵母抽出物、2
%ペプトン、100mMリン酸カリウム緩衝液、pH6.0、1.34%酵母窒素ベース
、4×10−5ビオチン、および1.5%メタノールよりなる緩衝化メタノール−複合培
地)で洗浄した。その結果、レポータータンパク質を単離し、実施例3に記載される通り
に分析して、そのグリカン構造を特徴付けた。表6中の標的化ペプチドを用い、ERまた
はゴルジいずれかに局在化されたマンノシダーゼ触媒ドメインは、Man5GlcNAc
2を主に含有するグリカンに対してMan8GlcNAc2を主に含有するグリカンのト
リミングのかなりのレベルを示した。これは、レポーター糖タンパク質のグリカン構造を
、図5Cおよび6CにおけるP.pastoris och1ノックアウトのそれと、図
5D、5E、6D〜6Fに示したM.musculusマンノシダーゼ構築物で形質転換
された同株との間で比較する場合で明らかである。図5および6は、P.pastiri
sにおいて有意なマンノシダーゼ活性を示すコンビナトリアルDNAライブラリーから創
製された構築物の発現を示す。pGC5(Saccharomyces MNS1(m)
/マウスマンノシダーゼIBΔ99(図5Dおよび6E)の発現は、Man5GlcNA
c2にトリミングされた全てのグリカンのほぼ30%を有するタンパク質を生じ、他方、
pF8(Saccharomyces SEC12(m)/マウスマンノシダーゼIAΔ
187)(図6F)の発現はほぼ50%のMan5GlcNAc2を生じ、pBC18−
5(Saccharomyces VAN1(s)/C.elegansマンノシダーゼ
IBΔ80)(図5E)の発現は70%のMan5GlcNAc2を生じた。
(α−1,2−マンノシダーゼによるインビボでのトリミング)
実施例4の新規な操作された株が、事実、インビボにて所望のMan5GlcNAc2
構造を生じたことを確実にするために、細胞上澄みをマンノシダーゼ活性につきテストし
た(図7〜9を参照のこと)。後記した各構築物/宿主株については、HPLCを1.0
ml/分の流量にて、Altechの4.0mm×250mmカラム(Avondale
,PA,USA) Econosil−NH2樹脂(5μm)を用いて30℃にて40分
間行った。図7および8において、標準的なMan9GlcNAc2[b]の分解は、M
an8GlcNAc2に対応するピークを生じるように起こることが示された。図7にお
いて、Man9GlcNAc2[b]標準は24.61分で溶出し、Man5GlcNA
c2[a]は18.59分で溶出した。図8において、Man9GlcNAc2は21.
37分で溶出し、Man5GlcNAc2は15.67分で溶出した。図9において、標
準Man8GlcNAc2[b]は20.88分で溶出することが示された。
シダーゼIA Δ187)を含むP.pastoris細胞は、30℃にてBMGY中で
OD600=約10まで増殖させた。遠心分離によって細胞を収穫し、BMMYに移して
、AOX1プロモーターの制御下でのK3(ヒトプラスミノーゲン由来のクリングル3)
の生産を誘導した。24時間の誘導後、細胞を遠心分離によって除去して、実質的に透明
な上澄を得た。上澄のアリコートをマンノシダーゼアッセイのために取り出し、残りを分
泌された可溶性K3の回収に用いた。CM−セファロースクロマトグラフィーおよび25
mM NaAc、pH5.0〜25mM NaAc、pH5.0、1M NaClの溶出
勾配を用いる単一精製工程の結果、300〜500mM NaClの間で溶出する95%
純度のK3が得られた。K3由来グリカンのN−グリカン分析を図6Fに示す。上澄のよ
り早く取り出されたアリコートを、さらに、分泌されたマンノシダーゼ活性の存在につき
テストした。2−アミノベンズアミド標識N結合型オリゴマンノース9(Man9−2−
AB)の商業的に入手可能な標準(Glyko,Novato,CA)を、BMMY(図
7A)、上記アリコートからの上澄(図7B)、および(Contrerasら,WO
02/00856 A2から得られた)Trichoderma reeseiからの1
0ngの75mU/mLのα−1,2−マンノシダーゼを含有するBMMY(図7C)に
加えた。室温での24時間のインキュベーションの後、試料をアミノシリカHPLCによ
って分析して、マンノシダーゼトリミングの程度を測定した。
ダーゼIB Δ99)を含むP.pastoris細胞を同様に増殖させ、アッセイした
。細胞を室温にてBMGY中でOD600=約10まで増殖させた。細胞を遠心分離によ
って収穫し、BMMYに移して、AOX1プロモーターの制御下のK3の生産を誘導した
。24時間の誘導後、細胞を遠心分離によって除去して、実質的に透明な上澄を得た。上
澄のアリコートをマンノシダーゼアッセイのために取り出し、残りを分泌された可溶性K
3の回収に用いた。CM−Sepharoseクロマトグラフィーおよび25mM Na
Ac、pH5.0〜25mM NaAc、pH5.0、1M NaClの溶出勾配を用い
る単一精製工程の結果、300〜500mM NaClの間で溶出する95%純度のK3
が得られた。K3由来グリカンのN−グリカン分析を図5Dに示す。上澄のより早く取り
出されたアリコートを、さらに、図8Bに示すように、分泌されたマンノシダーゼ活性の
存在につきテストした。Man9−2−ABの商業的に入手可能な標準(Glyko,N
ovato,CA)を、BMMY(図8A)、上記アリコートからの上澄(図8B)、お
よび(Contrerasら,WO 02/00856 A2から得られた)Trich
oderma reeseiからの10ngの75mU/mLのα−1,2−マンノシダ
ーゼを含有するBMMY(図8C)に加えた。室温での24時間のインキュベーションの
後、試料をアミノシリカHPLCによって分析して、マンノシダーゼトリミングの程度を
測定した。
ダーゼ活性は、pFB8(Saccharomyces SEC12(m)/マウスマン
ノシダーゼIA Δ187)株消化物(図7B)およびpGC5(Saccharomy
ces MNS1(m)/マウスマンノシダーゼIB Δ99)株消化物(図8B)の上
澄に実質的に存在しなかったことは明らかであり、他方、陽性コントロール(Contr
erasから得られたT.reeseiからの精製されたα−1,2−マンノシダーゼ)
は、図7Cおよび8Cに示すように、同一条件下でMan9GlcNAc2からMan5
GlcNAc2への完全な変換を導く。これは、P.pastoris pGC5株;お
よびpFB8株におけるインビボマンノシダーゼトリミングを示す決定的なデータであり
、これは、今日までに報告されているものとは明らかに異なる(Contrerasら、
WO 02/00856 A2)。
(Saccharomyces VAN1(m)/C.elegansマンノシダーゼI
B Δ80)を含むP.pastorisを、BMGY中で室温にてOD600=約10
まで増殖させた。細胞を遠心分離によって収穫し、BMMYに移して、AOX1プロモー
ターの制御下でのK3の生産を誘導した。24時間の誘導の後、細胞を遠心分離によって
除去して、実質的に透明な上澄を得た。上澄のアリコートをマンノシダーゼアッセイのた
めに取り出し、残りを分泌された可溶性K3の回収のために用いた。CM−Sephar
oseクロマトグラフィーおよび25mM NaAc、pH5.0〜25mM NaAc
、pH5.0、1M NaClの溶出勾配を用いる単一精製工程の結果、300〜500
mM NaClの間で溶出する95%純度のK3を得た。K3由来グリカンのN−グリカ
ン分析を図5Eに示す。上澄のより早く取り出されたアリコートを、さらに、図9Bに示
すように、分泌されたマンノシダーゼ活性の存在につきテストした。Man8−2−AB
の商業的に入手可能な標準(Glyko,Novato,CA)を、BMMY(図9A)
、上記アリコートpBC18−5(Saccharomyces VAN1(s)/C.
elegansマンノシダーゼIB Δ80)からの上澄(図9B)、および異なる融合
構築物pDD28−3((SwissProt50108からの)Saccharomy
ces MNN10(m)/H.sapiensマンノシダーゼIB Δ99)からの培
地を含有するBMMY(図9C)に加えた。室温での24時間のインキュベーションの後
、試料をアミノシリカHPLCによって分析して、マンノシダーゼトリミングの程度を決
定した。図9Bは、陰性結果を呈する融合構築物pDD28−3(Saccharomy
ces MNN10(m)/H.sapiensマンノシダーゼIB Δ99)と比較し
た細胞内マンノシダーゼ活性を示す(図9C)。
(操作されたα−1,2−マンノシダーゼのpH最適アッセイ)
プラスミドpBB27−2((SwissProt50108からの)Sacchar
omyces MNN10(s)/C.elegansマンノシダーゼIB Δ31)を
含むP.pastoris細胞を室温にてBMGY中でOD600=約17まで増殖させ
た。これらの細胞の約80μLを600μLのBMGY中に接種し、一晩増殖させた。引
き続いて、細胞を遠心分離によって収穫し、BMMYに移して、AOX1プロモーターの
制御下のK3(ヒトプラスミノーゲンからのクリングル3)の生産を誘導した。24時間
のインキュベーションの後、細胞を遠心分離によって除去して、実質的に透明な上澄(p
H6.43)を得た。上澄をマンノシダーゼpH最適アッセイのために取り出した。蛍光
標識Man8GlcNAc2(0.5μg)を、種々のpHに調整された20μLの上澄
に加え(図11)、室温にて8時間インキュベートした。インキュベーションの後、Ec
onosil NH2 4.6×250mm、5ミクロンビーズ、アミノ−結合シリカカ
ラム(Altech,Avondane,PA)を用いるHPLCによって試料を分析し
た。流量は40分間で1.0ml/分であり、カラムを30℃に維持した。3分間のイソ
クラフィック溶出(68%A:32%B)の後、直線溶媒勾配(68%A:32%B〜4
0%A:60%B)を27分間にわたって使用して、グリカン(18)を溶出させた。溶
媒A(アセトニトリル)および溶媒B(ギ酸アンモニウム、50mM、pH4.5)。カ
ラムを実施している(run)間の20分間、溶媒(68%A:32%B)で平衡化した
。
(構造GlcNAcMan5GlcNAc2を持つN−グリカンを生産するためのP.
pastorisの操作)
GlcNAcトランスフェラーゼI活性は、複合N−グリカンおよびハイブリッドN−
グリカンの成熟化に必要である(米国特許第5,834,251号)。Man5GlcN
Ac2は単にマンノシダーゼIIによってトリミングされ得、これは、GlcNAcトラ
ンスフェラーゼIによるN−アセチルグルコサミンの、トリマンノースステムの末端α−
1,3マンノース残基への付加の後における、ヒトグリコ形態の形成に必要な工程である
(Schachter, 1991 Glycobiology 1(5):453−4
61)。従って、C.elegansおよびHomo sapiensからのGlcNA
cトランスフェラーゼI遺伝子の適切に標的化された触媒ドメインと;KTRホモログで
あるS.cerevisiae:D2、D9およびJ3からの相同性に基づき、S.ce
revisiaeおよびP.pastorisの推定α−1,2−マンノシルトランスフ
ェラーゼからのGLS、MNS、SEC、MNN9、VAN1、ANP1、HOC1、M
NN10、MNN11、MNT1、KTR1、KTR2、MNN2、MNN5、YUR1
、MNN1、およびMNN6からの局在化配列とをコードするDNAフラグメントを含む
コンビナトリアルDNAライブラリーを調製した。表10は、限定されるものではないが
、P.pastorisおよびK.lauctis GnTIからのSECおよびOCH
1のような標的化ペプチド配列を含む(表6および表10参照)。
ーゼI(GnTI)の触媒ドメインの代表的なコンビナトリアルライブラリー)
1(実施例4参照)およびS.cerevisiae短および中程度におけるMNN9(
SwissProt P39107)から選択した。触媒ドメインを、各々、38および
86アミノ酸N−末端欠失を持つヒトGnTI、35および63アミノ酸欠失を持つC.
elegans(gly−12)GnTIならびに88アミノ酸N−末端欠失を持つC.
elegans(gly−14)GnTIならびに33および103アミノ酸N−末端欠
失を持つX.leavis GnTIから選択した。
GATI、登録番号NM002406)をコードする遺伝子の一部を、オリゴヌクレオチ
ド
03)とを用いるPCRによって増幅した。得られたPCR産物をpCR2.1−TOP
Oにクローン化し、正しい配列を確認した。AscIおよびPacIでの消化に続き、短
縮型GnTIをプラスミドpJN346に挿入して、pNAを創製した。NotIおよび
AscIでのpJN271の消化の後、120bpインサートをpNAに連結して、MN
N9膜貫通ドメインとGnTIとのイン−フレーム融合物を作製し、pNA15を創製し
た。
、OCH1変異体)、ゴルジおよび/またはERにおける基質UDP−GlcNAcを提
供し(すなわち、機能的UDP−GlcNAcトランスポーターを含み)、ゴルジおよび
/またはERにおける構造Man5GlcNAc2のN−グリカンを提供する(例えば、
上記からのP.pastoris pFB8(Saccharomyces SEC12
(m)/マウスマンノシダーゼIA Δ187))。まず、pBLADE−SXプラスミ
ド(Cereghinoら(2001),Gene 263159−169)のBamH
IおよびBglII部位にクローン化された(UDP−GlcNAcトランスポーターを
コードする)Kluyveromyces lactis MNN2−2遺伝子(Gen
bank AN AF106080)を含有するpPB103で、P.pastoris
pFB8を形質転換した。次いで、外因性または内因性のGnTI/局在化遺伝子の組
合せをコードする上記コンビナトリアルDNAライブラリーを形質転換し、コロニーを選
択し、コロニーPCRによってGnTI構築物の存在につき分析した。我々の形質転換お
よび組込み効率は、一般には、80%を超え、PCRスクリーニングは、一旦頑強な形質
転換パラメーターが確立されれば省略することができる。
K3は、Beckman BioMek 2000試料−取扱ロボットにて96ウェル
フォーマットを用いてNiアフィニティークロマトグラフィーにより、培地から精製した
。ロボット精製は、そのHisBind樹脂についてNovagenによって供されたプ
ロトコルの適合であった。別のスクリーニング方法は、特異的末端GlcNAc結合抗体
または末端GlcNAcに結合するレクチン(例えば、Griffonia simpl
ificolia由来のGSIIレクチン)(EY Laboratories,San
Mateo,CA)を使用して行われ得る。これらのスクリーニングは、FITCのよ
うな蛍光標識で改変されたレクチンまたは抗体を使用することによって自動化し得るか、
あるいはMALDI−TOFによって分析され得る。
れ得、等量のタンパク質が、高タンパク質結合型96ウェルプレートに結合され得る。B
SAでブロッキングした後、プレートを、GSII−FACSレクチンでプローブし得、
最大蛍光応答についてスクリーニングした。上記の糖タンパク質を検出する好ましい方法
は、96ウェル培養形質転換体の上清から分泌K3をアフィニティー精製した後に、MA
LDI−TOF質量分析によってスクリーニングすることを含む。形質転換されたコロニ
ーは拾い上げられ、30℃において、BMGY中、2mlの96ウェルプレートにおいて
OD600=約10にまで増殖させた。細胞を遠心分離によって回収し、BMMYで洗浄
し、250μlのBMMYで再懸濁した。24時間インキュベートした後、細胞を遠心分
離によって除去し、その上清を回収し、K3を上清からNiアフィニティークロマトグラ
フィーによって精製した。そのN−グリカンを遊離させ、本明細書に記載のように、MA
LDI−TOF遅延抽出質量分析によって分析した。
n5GlcNAc2を生成するP.pastoris株を生成する。そのN−グリカンの
60%は、GlcNAcMan5GlcNAc2である。今日までに、いずれの酵母にお
いても分泌された可溶性形態でのGlcNAcMan5GlcNAc2の形成を記載した
報告は存在しない。本明細書に示される結果は、GnTI活性とともにUDP−GlcN
Acトランスポーターの付加が、1457(m/z)におけるピークによって確認される
、優勢なGlcNAcMan5GlcNAc2構造を生成することを示す(図10B)。
K3を発現するP.pastoris株(Δoch1、arg−、ade−、his−
)を、順次、以下のベクターで形質転換した。まず、pFB8(Saccharomyc
es SEC12(m)/マウスマンノシダーゼIA Δ187)を、エレクトロポレー
ションによって、P.pastoris株において形質転換した。第二に、BamHI酵
素およびBglII酵素で消化されたpBLADX−SXプラスミド(Cereghin
oら(2001),Gene 263159−169)にクローン化された(UDP−G
lcNAcトランスポーターをコードする)Kluyveromyces lactis
MNN2−2遺伝子(Genbank AN AF106080)を含有するpPB1
03を、P.pastoris株において形質転換した。第三に、NotI−PacIフ
ラグメントとしてpJN336にクローン化された遺伝子をコードするSaccharo
myces MNN9(s)/ヒトGnTI Δ38を含むpPB104を、P.pas
toris株に形質転換した。
(構造Man5GlcNAc2を持つN−グリカンを生産するためのK.lactis
細胞の操作)
(K.lactis OCH1遺伝子の同定および破壊)
出芽酵母S.cerevisiaeのOCH1遺伝子は、分泌されたタンパク質上のM
an8GlcNAc2N−グリカン構造への第一のゴルジ局在化マンノース付加を担う1
,6−マンノシルトランスフェラーゼをコードする(Nakanishi−Shindo
ら(1993),J.Biol.Chem.;268(35):26338−45)。こ
のマンノース転移は、一般には、N−グリカン構造の真菌特異的ポリマンノシル化におけ
る鍵となる最初の工程として認識される(Nakanishi−Shindoら(199
3)J.Biol.Chem.268(35):26338−26345;Nakaya
maら(1992)EMBO J.11(7):2511−19;Morin−Gane
tら,Traffic 1(1):56−68)。S.cerevisiaeにおけるこ
の遺伝子の欠失の結果、かなり短いN−グリカン構造がもたらされ、これは、高温におけ
るこの典型的なポリマンノシル化も増殖欠損も含まない(Nakayamaら(1992
) EMBO J.11(7):2511−9)。
ンスフェラーゼであるS.cerevisiae(Neimanら(1997),Gen
etics,145(3):637−45およびK.lactis (PENDENT
ESTデータベース)のHoc1タンパク質と共に、Candida albicans
(Genbank登録番号AAL49987)、およびP.pastorisからの既知
のホモログと整列させた。Och1pホモログの間では共通するが、Hoc1pホモログ
とは異なる高相同性の領域を用いて、K.lactis株MG1/2(Bianchiら
, Current Genetics 12,185−192(1987))からのゲ
ノムDNAに対する縮重プライマーの対を設計した。プライマーRCD33
、配列決定し、予測された翻訳はOch1タンパク質に対して高度な相同性を有すること
が示された(S.cerevisiae Och1pに対して>55%)。
lecular Cloning:A Laboratory Manual,第二版、
Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold
Spring Harbor,NY,1989)でのK.lactis株(MG1/2
)からのゲノムDNAのサザンブロットをプローブした。ハイブリダイゼーションが、単
一遺伝子と合致するパターンで観察され、これは、この302bpセグメントがK.la
ctisゲノムの一部に対応し、K.lactis(KlOCH1)がこの遺伝子の単一
コピーを含むことを示す。全KlOCH1遺伝子をクローン化するために、サザンブロッ
トを用いて、ゲノム遺伝子座をマッピングした。従って、ゲノムDNAを消化し、5.2
kbの範囲のフラグメントをpUC19(New England Biolabs,B
everly,MA)に連結して、K.lactisサブゲノムライブラリーを作ること
によって、5.2kb BamHI/PstIフラグメントをクローン化した。このサブ
ゲノムライブラリーをE.coliに形質転換し、数百のクローンをRCD33/34を
用いるコロニーPCRによってテストした。予測されたKlOCH1遺伝子を含む5.2
kbクローンを配列決定し、予測されたタンパク質をコードする1362bpのオープン
リーディングフレームは、S.cerevisiae OCH1遺伝子と46.5%同一
である。この5.2kb配列を用いて、PCR重複方法(Davidsonら(2002
) Microbiol.148(Pt 8):2607−15)を用い、och1::
KANR欠失対立遺伝子の構築のためのプライマーを作製した。この欠失対立遺伝子を2
つのK.lactis株に形質転換し、G418耐性コロニーを選択した。これらのコロ
ニーを双方のPCRによって、および温度感受性につきスクリーニングして、OCH1
ORFが欠失した株を得た。実験の結果は、変異体PCRパターンを明らかにする株を示
し、これは、種々の温度における増殖の分析、およびPNGase消化の後における分泌
されたタンパク質および細胞壁タンパク質のN−グリカン糖質分析によって特徴付けした
。och1変異は、株を30℃では増殖させるが35℃では増殖させない、温度感受性を
付与した。図12Aは、Man8GlcNAc2[c]およびそれより高次のN−グリカ
ンを生産する野生型K.lactis株のMALDI−TOF分析を示す。
S.cerevisiae MNN1は、ゴルジα−1,3−マンノシルトランスフェ
ラーゼについての構造遺伝子である。MNN1の産物は、762アミノ酸タイプII膜タ
ンパク質である(Yipら(1994),Proc Natl Acad Sci US
A.91(7):2723−7)。mnn1変異体から単離されたN結合オリゴ糖および
O結合オリゴ糖双方はα−1,3−マンノース結合を欠く(Raschkeら(1973
),J Biol Chem.,248(13):4660−6)。
ム配列(PEDANT)をサーチした。Mnnlpに対して有意な類似性の推定タンパク
質フラグメントをコードする1つの405bpのDNA配列を同定した。この配列の内部
セグメントを、引き続いて、プライマーKMN1
らのゲノムDNAのサザンブロットをプローブした。サザンハイブリダイゼーションデー
タに基づき、4.2Kb BamHI−PstIフラグメントを、本明細書中に記載した
ように、サイズで選択されたライブラリーを作ることによってクローン化した。K.la
ctis MNN1遺伝子を含む単一クローンを、プライマーKMN1およびKMN2を
用いる全コロニーPCRによって同定し、配列決定した。このクローン内で、S.cer
evisiae MNN1遺伝子に34%同一である予測されたタンパク質をコードする
2241bp ORFが同定された。PCR重複方法(Davidsonら(2002)
Microbiol.148(Pt 8):2607−15))を用い、mnn1::N
ATR欠失対立遺伝子の構築のためにプライマーを設計した。
転換し、ヌーセオトリシン耐性形質転換体を選択し、破壊対立遺伝子の相同挿入のために
PCR増幅した。変異体PCRパターンを明らかにする株は、公知のレポーター遺伝子の
N−グリカン糖質分析に供し得る。
続いて観察されたK.lactis och1 mnn1欠失株からのN−グリカンを示
す。[d]として示される1908(m/z)における優勢なピークはMan9GlcN
Ac2の質量と合致する。
国特許第5,955,422号、米国特許第4,775,622号、米国特許第6,01
7,743号、米国特許第4,925,796号、米国特許第5,766,910号、米
国特許第5,834,251号、米国特許第5,910,570号、米国特許第5,84
9,904号、米国特許第5,955,347号、米国特許第5,962,294号、米
国特許第5,135,854号、米国特許第4,935,349号、米国特許第5,70
7,828号および米国特許第5,047,335号のような文献に記載されている。適
当な酵母発現系は、American Type Culture Collectio
n, Rockville,MDのような源から得ることができる。ベクターは種々の源
から商業的に入手可能である。
(P.pastorisおよびK.lactisにおけるALG3遺伝子の同定、クロ
ーニングおよび欠失)
縮重プライマーを、S.cerevisiaeに由来するAlg3タンパク質配列、H
.sapiensに由来するAlg3タンパク質配列、およびD.melanogast
erに由来するAlg3タンパク質配列のアラインメントに基づいて作製し、これを用い
て、P.pastorisゲノムDNAから83bp生成物を増幅した:
en,Carlsbad,CA)にクローニングし、配列分析により、既知のALG3/
RHK1/NOT56ホモログ(Genbank NC_001134.2、AF309
689、NC_003424.1)に対する相同性を明らかにした。その後、最初のPC
R生成物の1929bp上流および2738bp下流を、P.pastorisゲノムD
NAライブラリーから、内部オリゴヌクレオチド
ならびに上記ライブラリーを保有するプラスミドλZAP II(Stratagene
,La Jolla,CA)の骨格中のT3
alville,IA)を用いて、増幅した(Boehm(1999)Yeast 15
(7):563−72)。得られたフラグメントを、pCR2.1−TOPOベクター(
Invitrogen)にクローニングし、配列決定した。この配列から、(BLAST
プログラムを用いて)S.cerevisiae ALG3遺伝子に対して35%同一性
および53%類似性を有するタンパク質をコードする、1395bp ORFが同定され
た。この遺伝子を、PpALG3と名付けた。
LG3遺伝子の欠失構築物を作製した(Davidsonら(2002) Microb
iol.148(Pt8):2607−15)。以下のプライマーを使用して、それぞれ
、そのPpALG3 ORFの5’側にある1kb領域および3’側にある1kb領域と
、KANR遺伝子とを増幅した:RCD142
その後、プライマーRCD142およびRCD147を使用して、3つの得られたPCR
生成物を重ねて、単一の3.6kb alg3::KANR 欠失対立遺伝子を得た。
S.cerevisiaeに由来するALG3p配列、Drosophila mel
anogasterに由来するALG3p配列、Homo sapiensなどに由来す
るALG3p配列を、K.lactis配列と整列させた(PENDANT ESTデー
タベース)。共通するホモログに存在するが、そのホモログとは正確な配列においては異
なる高い相同性の領域を使用して、K.lactis株MG1/2(Bianchiら,
1987)に由来するゲノムDNAに対する1対の縮重プライマーを作製した。ALG3
の場合、プライマーKAL−1
定し、その推定翻訳物は、Alg3pタンパク質に対して高い程度の相同性を有すること
が示された(S.cerevisiae Alg3pに対して>50%)。
NAのサザンブロットを、高ストリンジェンシー(Sambrookら,Molecul
ar Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold
Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spri
ng Harbor,NY,1989)でプローブした。ハイブリダイゼーションは、単
一の遺伝子と一致したパターンで観察された。このサザンブロットを使用して、ゲノム遺
伝子座をマッピングした。ゲノムDNAを消化し、適切なサイズ範囲におけるそれらのフ
ラグメントをpUC19に連結して、K.lactisサブゲノムライブラリーを作製す
ることによって、ゲノムフラグメントをクローニングした。このサブゲノムライブラリー
を、E.coliに形質転換し、数百個のクローンを、プライマーKAL−1およびKA
L−2を使用して、コロニーPCRによって試験した。この推定KlANG3遺伝子およ
びKlALG61遺伝子を含むクローンを配列決定し、オープンリーディングフレームを
同定した。
用いる)(Davidsonら(2002)Microbiol.148(Pt8):2
607−15)を設計し、得られた欠失対立遺伝子を、2つのK.lactis株に形質
転換し、NAT耐性コロニーを選択した。これらのコロニーをPCRによってスクリーニ
ングし、ALG3 ORFが、och1::NATR変異対立遺伝子で置き換わった形質
転換体を得た。
(ヒト様糖タンパク質の生成のためのα−1,2−マンノシダーゼ、GnTIおよびG
nTIIを発現する、alg3 och1変異株の生成)
P.pastoris alg3::KANR欠失構築物を、実施例10に記載のよう
に生成した。約5μgの得られたPCR生成物を、株PBP−3(実施例3を参照のこと
)に形質転換し、コロニーを、200μg/ml G418を含むYPD培地で選択した
。PCRによってスクリーニングした20株のうちの1株が、そのalg3::KANR
変異対立遺伝子の正確な組み込みを含み、野生型対立遺伝子を欠いていることを、確認し
た。この株を、RDP27(図36)と名付けた。
源およびラット供給源に由来するGnTII遺伝子の触媒ドメイン(WO02/0087
9)との、リーダーライブラリーのインフレーム融合物から構成された。このライブラリ
ーを、NSTR遺伝子(これは、薬物ニューロセオトリシン(nourseothric
in)に対する耐性を付与する)を含むP.pastoris組み込みベクターにおいて
、作製した。このライブラリープラスミドをEcoRIで線状にし、株RDP27にエレ
クトロポレーションにより形質転換し、得られた株を、精製K3から遊離させたグリカン
の分析によってスクリーニングした。S.cerevisiae MNN9(s)構築物
にインフレームで融合したラットGnTIIを発現するP.pastoris株を、PB
P6−5と名付けた(図36)。
S.cerevisiae MNN9遺伝子のN末端部分と融合したヒトGnTI遺伝
子を含むGnTI発現ベクター(pNA15)の構築は、Choiら(2003)Pro
c Natl Acad Sci USA.100(9):5022−27に記載される
。同様の様式において、ラットGnTII遺伝子をクローニングした。そのラットGnT
II遺伝子(GenBank登録番号U21662)を、Takara EX TaqT
Mポリメラーゼ(Panvera)を用いて、ラット肝臓cDNAライブラリー(Clo
ntech)から以下のプライマー:RAT1
Oベクター(Invitrogen)にクローニングし、配列決定した。このベクターを
テンプレートとして用いて、GnTIIのAscI−PacIフラグメント(アミノ酸8
8〜443をコードする)を、Pfu Turboポリメラーゼ(Stratagene
)、ならびにそれぞれプライマーRAT44
に下線を付す)。配列決定による確認後、ラットGnTIIの触媒ドメインを、pBP1
24中のAscI−PacIフラグメントとして、PMA1プロモーターの下流にクロー
ニングした。最終工程において、S.cerevisiae Mnn2局在シグナルをコ
ードする遺伝子フラグメントを、NotI−AscIフラグメントとしてpJN281か
らクローニングして、GnTIIの触媒ドメインとのインフレーム融合物を生成し、プラ
スミドpTC53を作製した。
(抗体機能性を高める二分しているGlcNAcを生成するためのGnTIIIのクロ
ーニングおよび発現)
N−アセチルグルコサミンをGlcNAc2Man3GlcNAc2構造へN−アセチ
ルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIにより付加することにより、いわゆる二分型
N−グリカンが生じる(図15を参照のこと)。この構造は、抗体依存性細胞媒介性細胞
傷害(ADCC)に大きく関与していた(Umanaら(1999)Nat.Biote
chnol.17(2):176−80)。
発明に従って、その宿主細胞にGnTIII活性を導入することによって操作する。好ま
しくは、その宿主細胞を、必要に応じて、異種細胞のシグナル標的化ペプチドに(例えば
、本発明のライブラリーおよび関連した方法を用いて)融合したGnTIII(例えば、
図24に示される、マウスのような哺乳動物のGnTIII)または酵素活性を有するそ
のドメインをコードする核酸分子で、形質転換する。
、3つのジスルフィド架橋を介してヒンジ領域に相互に連結される)、および2つの軽鎖
(図22におけるVL、CL)からなる。その軽鎖(ドメインVLおよびCL)は、別の
ジスルフィド架橋により、重鎖のCH1部分に、CH1およびVHフラグメントと一緒に
連結され、いわゆるFab領域を構成する。抗原は、このFab領域の末端部分に結合す
る。IgGのFc領域は、CH3領域、CH2領域およびヒンジ領域からなり、いわゆる
エフェクター機能の発揮を担う(以下を参照のこと)。
菌毒素の場合のように)抗原を不活性化しない場合、いわゆるエフェクター機能が誘発さ
れなければ、単なる結合は意味がない。IgGサブクラスの抗体は、2つの主要なエフェ
クター機能を発揮する:補体系の活性化およびファゴサイトーシスの誘導である。補体系
は、炎症事象の制御、ファゴサイトーシスの活性化、および細胞膜の溶解による破壊に関
与する、血清タンパク質の複雑な群からなる。補体活性化は、C1複合体が2つのIgG
のFc部分へ極めて近接して結合することで開始する。C1は、1つの分子C1q、なr
びに2つの分子C1rおよびC1sからなる。ファゴサイトーシスは、IgGのFcフラ
グメントとFc−γレセプター(図22におけるFcγRI、FcγRIlおよびFcγ
RIII)との間の相互作用を介して開始される。Fcレセプターは、免疫系のエフェク
ター細胞(特にマクロファージ、単球、骨髄細胞および樹状細胞)の表面に主に発現され
る。
コシル化部位を有する。そのAsn297のN−グリカンは、非常に不均一であり、かつ
Fcレセプター結合および補体活性化に影響を及ぼすことが公知である。IgGのごく少
数(すなわち、約15〜20%)が、脱シアル化されたN−グリカンを有し、3〜10%
が、モノシアル化N−グリカンを有する(Jefferis(2001)Biophar
m.14:19−26に総説されている)。興味深いことに、補体活性化およびFcレセ
プター結合が可能な十分に機能的な抗体に必要であることが示された最小のN−グリカン
構造は、末端N−アセチルグルコサミン残基を有する五糖(GlcNAc2Man3)で
ある(Jefferis,R.,Glycosylation of human Ig
G Antibodies.BioPharm,2001において総説されている)。A
sn297においてGlcNAc2Man3N−グリカン未満しか有さないかまたはN−
グリコシル化が全くない抗体は、なお抗原に結合し得るが、ファゴサイトーシスおよび補
体活性化のような重要な下流事象をほとんど活性化しないようである。さらに、Asn2
97に真菌型N−グリカンが結合した抗体は、おそらく、哺乳動物において免疫応答を誘
発し、抗体を治療タンパク質として役に立たなくする。
TMドメインを欠いているマウスGnTIIIタンパク質の部分をコードするDNAフ
ラグメントを、マウス(または他の哺乳動物)のゲノムDNAから、順方向プライマー
よびPacI制限部位を含み、これらの部位は、リーダーライブラリーとの融合に適した
ベクターへのクローニングに使用され得る。
は、図24に示される。
抗体の可変領域のクローニングのためのプロトコル(プライマー配列を含む)は、以前
に公開されている。抗体源およびコード遺伝子は、とりわけ、インビトロで免疫されたヒ
トB細胞(例えば、Borrebackら(1988)Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 85:3995−3999を参照のこと)、末梢血リンパ球または単一
のヒトB細胞(例えば、Lagerkvistら(1995)Biotechnique
s 18:862−869;およびTernessら(1997)Hum.Immuno
l.56:17−27を参照のこと)およびヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランス
ジェニックマウス(これは、ハイブリドーマ細胞株の作製を可能にする)であり得る。
得る。目的の免疫グロブリンをコードする遺伝情報の供給源は、代表的には、目的の細胞
からの総RNA調製物(例えば、血液リンパ球またはハイブリドーマ細胞株)である。例
えば、特異的プライマーを使用するPCRベースのプロトコルを使用することによって、
可変領域を、IgG CH1ドメイン部位にハイブリダイズする配列特異的プライマーお
よびおよびマウスκ定常領域のアミノ酸111〜118をコードする第2のプライマーか
ら開始される逆転写を介して、クローニングし得る。そのVHおよびVKのコードcDN
Aは、次いで、以前に公開されているように増幅され得る(例えば、Grazianoら
(1995)J.Immunol.155(10):4996−5002;Welsch
ofら(1995)J.Immunol.Methods 179:203−214;お
よびOrlandiら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
6:3833を参照のこと)。免疫グロブリン全体(重鎖および軽鎖)のクローニング手
順もまた、公開されている(例えば、Buckelら(1987)Gene 51:13
−19;Recinosら(1994)Gene 149:385−386;Recin
osら(1995)Gene 158:311−12を参照のこと)。抗体フラグメント
のクローニングおよび生成ならびに抗体発現構築物のためのさらなるプロトコルは、An
tibody Engineering,KontermannおよびDubel(20
01)編,Springer Verlag:Berlin Heidelberg N
ew Yorkに記載されている。
(例えば、Abdel−Salamら(2001)Appl.Microbiol.Bi
otechral.56:157−164;およびOgunjimiら(1999)Bi
otechnology Letters 21:561−567を参照のこと)。従っ
て、免疫グロブリンの定常領域を有する発現プラスミドが生成され得る。これらの発現ベ
クターへの可変領域のクローニングを容易にするために、適切な制限部位を、可変領域の
末端に極めて近く配置し得る。この定常領域は、可変領域が単一の制限消化/連結実験に
よってそれらにインフレームで容易に融合されうるように、構築され得る。図23は、種
々のモジュール様式で設計されたそのような発現構築物の模式図を示し、プロモーター、
転写ターミネーター、組み込み標的化ドメインおよびさらに選択マーカーの容易な交換を
可能にする。
CL領域およびCH領域とインフレームで容易にクローニングされ得る。最初の組み込み
を、P.pastoris AOX遺伝子座(または別の真菌細胞における相同な遺伝子
座)に標的化し、そのメタノール誘導性AOXプロモーターは発現を駆動する。あるいは
、任意の他の望ましい構成的プロモーターカセットまたは誘導性プロモーターカセットを
使用し得る。従って、望ましいのであれば、その5’AOX領域および3’AOX領域な
らびに転写ターミネーター(TT)フラグメントを、異なるTT、プロモーター、および
組み込み標的化ドメインで容易に置き換えて、発現を最適化し得る。最初に、標準的なK
EXプロテアーゼ部位を有するα因子分泌シグナルを使用して、重鎖および軽鎖の分泌を
容易にする。発現ベクターの特性を、標準的な技術を使用して、さらに洗練し得る。
のゴルジ装置において発現する、本発明の宿主細胞に導入される。このような宿主細胞に
おいて発現されるIg分子は、二分しているGlcNAcを有するN−グリカンを含む。
(酵母株YSH−1(Δoch1,α1,2−マンノシダーゼ,GnTI)の生成)
以前に報告されたP.pastoris株BK64(Choiら(2003)Proc
Natl Acad Sci USA.100(9):5022−7)(OCH1ノッ
クアウトを有し、ヒトプラスミノゲンのクリングル3ドメイン(K3)を発現する三重栄
養要求株(ADE、ARG、HIS))を、宿主株として使用した。BK64を、制限酵
素EcoNIで線状にしたプラスミドpPB103で形質転換して、K.lactis
UDP−N−アセチルグルコサミントランスポーターを宿主細胞に導入し、このようにし
て、株PBP−1を作製した。マウスMnsIを、制限酵素EcoNIで線状にしたプラ
スミドpFB8で形質転換することによってこの株に導入し、株PEP−2を生成した。
株PBP−2から単離されたタンパク質のK3グリカン分析により、存在する主な糖形態
がMan5GlcNAc2であることが実証された。
A15で形質転換し、株PBP−3を生成した。株PBP−3において生成されたK3糖
形態の分析により、混成型グリカンGlcNAcMan5GlcNAc2が主な構造であ
ることが実証された。URA3マーカーをPBP−3から回収するために、この株を、5
−Fluoroorotic(5−FOA,BioVectra)およびウラシル(Bo
ekeら.(1984)Mol.Gen.Genet.197:345−346)を含む
最小培地での選択の前に、YPD中で増殖させた。GlcNAcMan5GlcNAc2
糖形態を生成する、その回収されたUra−株を、YSH−1と名付けた(図36)。株
YSH−1からのそのN−グリカンプロフィールを図25(上)に示す。このプロフィー
ルは、1465m/zにおける優勢なピークを示し、このピークは、GlcNAcMan
5GlcNAc2[d]の質量に対応する。
(酵母株YSH−37(P.pastoris発現マンノシダーゼII)の作製)
YSH−1(実施例13)を、制限酵素ApaIで線状化したD.melanogas
terマンノシダーゼIIΔ74/S.cerevisiae MNN2(s)プラスミ
ド(pKD53)で形質転換し、株YSH−37(図36)を作製した。YSH−37に
おいて産生されたK3グリカン構造の分析(図25(下))は、1140m/zにおいて
支配的な糖形態が、GlcNAcMan3GlcNAc2[b]の質量に対応すること、
ならびに1303m/zにおける他の糖形態GlcNAcMan4GlcNAc2[c]
、および1465m/zにおけるGlcNAcMan5GlcNAc2[d]を示した。
(酵母株YSH−44の作製)
株YSH−37(実施例14)を、制限酵素EcoRIで線状化したラットGnTII
/MNN2(s)リーダーをコードするプラスミド(pTC53)で形質転換した。得ら
れた株のYSH−44(図36)は、ポジティブモードのMALDI−TOF質量分析に
よって1356m/z(これは、GlcNAc2Man3GlcNAc2[x]の質量に
対応する)における単一の糖形態を有する、K3 N−グリカンを産生した(図29)。
YSH−44由来のグリカンを、糖タンパク質から、以前に報告された方法(Papa
cら.A.J.S.(1998)Glycobiology 8,445−454)の改
変によって、遊離させ、そして分離した。これらのタンパク質を還元し、そしてカルボキ
シメチル化し、そしてその膜をブロックした後に、ウェルを水で3回洗浄した。このタン
パク質を、1ミリ単位のN−グリカナーゼを含有する10mMのNH4HCO3(pH8
.3)(Glyko,Novato,CA)(30μl)の添加によって、脱グリコシル
化した。37℃で16時間の消化後、このグリカンを含有する溶液を遠心分離によって除
去し、そして蒸発乾固させた。次いで、これらのグリカンを、aSC210A spee
d vac(Thermo Savant,Halbrook,NY)で乾燥させた。こ
の乾燥させたグリカンを、37℃で50mM NH4Ac(pH5.0)中に一晩置き、
そして1mUのヘキソース(hexos)(Glyco,Novato,CA)を添加し
た。
(プラスミドpJN 348の構築)
プラスミドpBLURA−SX(Jim Creggから)を、BamHIおよびBg
lIIで消化して、AOX発現カセットを遊離した。次いで、pJN261由来のGAP
DH/CYC1発現カセットを含有するBamHIフラグメント(図4B)(実施例4)
を、pBLURA−SX骨格に連結して、pJN338を作製した。プラスミドpJN3
38を、NotIおよびPacIで切断し、そしてインビトロでアニーリングされた2つ
のオリゴヌクレオチド
(組込みプラスミドpRCD259の構築)
GAPDH発現ベクターpJN348を含有するPpURA3を、XhoIで線状化し
、そしてT4 DNAポリメラーゼで平滑化し、そしてウシ腸ホスファターゼ(CIP)
で処理した。HYG耐性マーカーを、pAG32から、BgIIIおよびSacIで消化
し、そして平滑化し、次いで、pJN348に連結して、pRCD259を作製した。こ
のpRCD259は、PpURA3遺伝子座において組み込むHYG発現ベクターとして
使用され得る。
(GnTIII融合構築物の作製)
哺乳動物GnTIIIと酵母標的化配列との間の融合構築物を、マウスMgat3遺伝
子(GenBank登録番号L39373、Bhaumikら、1995)を使用して作
製した。マウスGnTIII遺伝子のN末端決質Δ32、Δ86、およびΔ212に対応
する3つのDNAフラグメントを、Pfu Turboポリメラーゼ(Stratage
ne)を使用して、順方向プライマーMG3−B
48ベクターにAscI−PacIフラグメントとしてクローニングし、配列決定した。
得られたベクターpVA(GnTIIIΔ32)、pVB(GnTIIIΔ86)、およ
びpVC(GnTIIIΔ212)を、NotI−AscI酵素で消化し、酵母リーダー
ライブラリー(リーダー20〜67)との連結のために使用した。これらの標的化ペプチ
ドを、32アミノ酸N末端欠失、86アミノ酸N末端欠失、212アミノ酸N末端欠失を
有する、マウスGnTIIIから選択される触媒ドメインに融合する。例えば、S.ce
revisiaeに由来するMNN2標的化ペプチド(長、中間および短)およびK.l
actisに由来するGNTI(中間および短)(実施例11を参照のこと)を、表11
に示す。
ミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を示す標的化ペプチド配列/触媒
ドメインの代表的なコンビナトリアルライブラリー)
(二分型GlcNAc2Man5GlcNAc2を生成するためのP.pastori
sの操作)
GlcNAcMan5GlcNAc2を生成するP.pastoris株(PBP−3
)(実施例8を参照のこと)を、5−FOAに対して対比選択し、それにより、URA3
+マーカーおよびura3−表現型の遺伝子座について選択する。この株(YSH−1と
名付けた(図36))を、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(Gn
TIII)触媒ドメインのライブラリー(ベクターpVA、pVB、およびpVC)なら
びにリーダーで形質転換した。形質転換体を、BMGY中で、OD600=約10になる
まで30℃で増殖させ、遠心分離によって採取し、BMMYに移して、AOX1プロモー
ターの制御下で、K3(ヒトプラスミノゲンのクリングル3)の生成を誘導した。K3を
、96ウェル形式を利用して、Beckman BioMek 2000実験ロボットで
Ni−アフィニティークロマトグラフィーによって培地から精製した。そのロボット精製
は、Novagenによって提供される、彼らのHisBind樹脂についてのプロトコ
ルの適合形である(実施例3)。そのN−グリカンを、PNGase消化によって遊離さ
せた(実施例3)。N−グリカンを、MALDI−TOF MS(実施例3)で分析した
。そのGnTIII活性を、表11に示す。(+)の数は、本明細書で用いられる場合、
中性グリカン%のうちの二分型N−グリカン生成の相対レベルを示す。標的化ペプチド配
列を、以下からなる群より選択した:Saccharomyces GLS1、Sacc
haromyces MNS1、Saccharomyces SEC12、Picha
OCH1、Saccharomyces MNN9、Saccharomyces V
AN1、Saccharomyces ANP1、Saccharomyces HOC
1、Saccharomyces MNN10、Saccharomyces MNN1
1、Saccharomyces MNT1、Pichia D2、Pichia D9
、Pichia J3、Saccharornyces KTR1、Saccharom
yces KTR2、Kluyveromyces GnTI、Saccharomyc
es MNN2、Saccharomyces MNN5、Saccharornyce
s YUR1、Saccharomyces MNN1、およびSaccharomyc
es MNN6。二分しているGlcNAc(例えば、GlcNAc2Man5GlcN
Ac2)を示すそのpVA53形質転換体を、PBP26と名付けた(図36)。
(二分型GlcNAc3Man3GlcNAc2を生成するためのP.pastori
s YSH−44の操作)
株YSH−44におけるGnTIIIの発現のために(図36)、ベクターpVA53
、pVB53、pVA54、およびpVB54からのGnTIII構築物を、NotI−
PacIフラグメントとしてpRCD259に移して、ベクターpPB135、pPB1
37、pPB136、およびpPB138を作製した。そのベクターは、HYG耐性マー
カーおよびP.pastoris URA3遺伝子を、ゲノム組み込みのための標的化タ
ンパク質として含む。プラスミドをSalIで線状にし、株YSH−44にエレクトロポ
レーションによって形質転換し、ハイグロマイシンを含む培地で選択し、得られた株を、
精製K3から遊離されたグリカンの分析によりスクリーニングする。形質転換体を、BM
GY中、OD600=約10になるまで24℃で増殖させ、遠心分離によって採取し、B
MMYに移して、AOX1プロモーターの制御下で、K3(ヒトプラスミノゲンのクリン
グル3)の生成を誘導した。K3を、96ウェル形式を利用して、Beckman Bi
oMek 2000実験ロボットでNi−アフィニティークロマトグラフィーによって培
地から精製した(実施例3)。そのロボット精製は、Novagenによって提供される
、彼らのHisBind樹脂についてのプロトコルの適合形である(実施例3)。そのN
−グリカンを、PNGase消化によって遊離させた(実施例3)。N−グリカンを、M
ALDI−TOF MSで分析した(実施例3)。二分しているGlcNAc(例えば、
GlcNAc2Man5GlcNAc2)を示すpPB135形質転換体を、YSH−5
7と名付けた(図36)。表11は、マウスGnTIIIの活性を示す。
(二分型GlcNAc3Man3GlcNAc2を生成するためのP.pastori
s PBP6−5の操作)
そのP.pastoris PBP6−5(実施例11)を、S.cerevisia
e MNN2に由来する標的化ペプチドにインフレームで連結したマウスGnTIII触
媒ドメイン(A32)をコードするプラスミドpPB135(表11)で形質転換した。
形質転換体を、BMGY中で、OD600が約10になるまで30℃で増殖させた。細胞
を遠心分離によって採取し、BMMYに移して、AOX1プロモーターの制御下で、K3
(ヒトプラスミノゲンのクリングル3)の生成を誘導した。K3を、96ウェル形式を利
用して、Beckman BioMek 2000実験ロボットでNi−アフィニティー
クロマトグラフィーによって培地から精製した。そのロボット精製は、Novagenに
よって提供される、彼らのHisBind樹脂についてのプロトコルの適合形である(実
施例3)。そのN−グリカンを、PNGase消化によって遊離させた(実施例3)。二
分しているGlcNAc(例えば、GlcNAc2Man3GlcNAc2)を示す形質
転換体を、PBP−38と名付けた(図36)。表11は、マウスGnTIIIの活性を
示す。
(操作されたP.pastoris株YSH−57において基質GlcNAcMan5
GlcNAc2を使用する、インビトロGnTIII活性のアッセイ)
P.pastoris株YSH−57におけるあらゆる潜在的なエキソビボGnTII
I活性を試験するために、細胞培養上清を、GnTIII活性について試験した。P.p
astoris YSH−57細胞を、BMGY中で24℃でOD600=約10まで増
殖させた。細胞を遠心分離によって採取し、そしてBMMYに移して、AOX1プロモー
ターの制御下で、K3(ヒトプラスミノーゲン由来のクリングル3)の産生を誘導した。
24時間の誘導後、細胞を遠心分離によって回収して、本質的に透明な上清を得た。この
上清のアリコートを、GnTIIIアッセイのために取り出し、そして残りを、分泌され
た可溶性K3の回収のために使用した。K3を、Beckman BioMek 200
0実験室ロボットでの96ウェル形式を利用するNiアフィニティークロマトグラフィー
によって、培地から精製した。このロボットによる精製は、Nobagenによって、そ
のHisBind樹脂に対して提供されるプロトコルの適合形である(実施例3)。これ
らのN−グリカンを、PNGase消化(実施例3)によって遊離させた。先に取り出し
た上清のアリコートを、分泌されたGnTIII活性の存在について、さらに試験した。
PBP−3株において発現されたK3から精製されたGlcNAcMan5GlcNAc
2を、以下に添加した:BMMY(A);BMMY中の1mM UDP−GlcNAc(
Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))(B);pVA5
3で形質転換したYSH−44[YSH−57]の上清(C);YSH−57の上清+1
mM UDP−GlcNAc;(D)。室温で8時間のインキュベーション後、サンプル
を、アミノシリカHPLCによって分析して、GnTIII活性の程度を決定した。
(操作されたP.pastoris株YSH−57における、基質GlcNAc2Ma
n3GlcNAc2を用いるインビトロGnTIII活性アッセイ)
P.pastoris株YSH−57におけるあらゆる潜在的なエキソビボGnTII
I活性を試験するために、細胞培養上清を、GnTIII活性について試験した。P.p
astoris YSH−57細胞を、BMGY中で24℃でOD600=約10まで増
殖させた。細胞を遠心分離によって採取し、そしてBMMYに移して、AOX1プロモー
ターの制御下で、K3(ヒトプラスミノーゲン由来のクリングル3)の産生を誘導した。
24時間の誘導後、細胞を遠心分離によって回収して、本質的に透明な上清を得た。この
上清のアリコートを、GnTIIIアッセイのために取り出し、そして残りを、分泌され
た可溶性K3の回収のために使用した。K3を、Beckman BioMek 200
0実験室ロボットでの96ウェル形式を利用するNiアフィニティークロマトグラフィー
によって、培地から精製した。このロボットによる精製は、Nobagenによって、そ
のHisBind樹脂に対して提供されるプロトコルの適合形である(実施例3)。これ
らのN−グリカンを、PNGase消化(実施例3)によって遊離させた。先に取り出し
た上清のアリコートを、分泌されたGnTIII活性の存在について、さらに試験した。
YSH−44株において発現されたK3から精製されたGlcNAc2Man3GlcN
Ac2を、以下に添加した:BMMY(A);BMMY中の1mM UDP−GlcNA
c(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))(B);pV
A53で形質転換したYSH−44[YSH−57]の上清(C)。室温で8時間のイン
キュベーション後、サンプルを、アミノシリカHPLCによって分析して、GnTIII
活性の程度を決定した。
(P.pastorisにおけるGnTIVのクローニングおよび発現)
ヒトGnTIVタンパク質アイソエンザイムA(MGAT4A)の、TMドメインを欠
く部分をコードするDNAフラグメントを、ヒトcDNAから、順方向プライマーHGI
V−2
合物のために適切なベクター中にクローニングするために、DNAフラグメントを、As
cI制限部位を含むプライマーおよびPacI制限部位を含むプライマーを用いてPCR
増幅した。AscI順方向プライマー:HGIV−ASC1
インを欠く部分をコードするDNAフラグメントを、ヒトcDNAから、順方向プライマ
ーHGIVB−2
trogen)中にクローニングし、配列決定した。リーダーライブラリーとの融合物の
ために適切なベクター中にクローニングするために、DNAフラグメントを、AscI制
限部位を含むプライマーおよびPacI制限部位を含むプライマーを用いてPCR増幅し
た。AscI順方向プライマー:HGIVB−A1
TIV融合構築物を含む、プラスミド)
(トリアンテナグリカン構造を生成するP.pastoris)
複合グリカン構造を生成するP.pastoris YSH−44株(実施例15)を
、S.cerevisiae MNN2(s)[ヌクレオチド1〜108]標的化ペプチ
ドにインフレームで連結されたヒトGnTIVB触媒ドメイン(Δ104)をコードする
遺伝子フラグメントを含むプラスミドpPB144(表12)で形質転換した。プラスミ
ドpPB144はまた、HYG耐性マーカーと、ゲノム組み込みのための標的化配列とし
てのP.pastoris URA3遺伝子とを含む。1μgプラスミドを、SalIを
用いて線状化し、エレクトロポレーションによって株YSH−44中に形質転換し、ハイ
グロマイシンを含む培地上で選択した。生じた株を、精製K3から遊離されたグリカンの
分析によってスクリーニングした。形質転換体を、BMGY中で30℃にてOD600=
約100まで増殖させ、遠心分離によって収集し、そしてBMMYに移して、AOX1プ
ロモーターの制御下でのK3(ヒトプラスミノゲン由来のクリングル3)の生成を誘導し
た。K3を、Beckman BioMek 2000実験室ロボットにて96ウェル形
式を使用するNiアフィニティクロマトグラフィーによって、培地から精製した。このロ
ボット精製は、そのHisBand樹脂についてNovagenによって提供されるプロ
トコル(実施例3)の適合形である。そのN−グリカンを、PNGアーゼ消化(実施例3
)によって遊離させた。そのN−グリカンを、MALDI−TOF MS(実施例3)を
用いて分析した。オリゴ糖(例えば、GlcNAc2Man3GlcNAc2)のMan
α1,3アーム上へのGlcNAc残基の転移を示す形質転換体を、PBP43(図47
)と名付けた。N−グリカンの分析により、1543m/zにおける優勢なピーク[y]
が提供され、これは、グリカンGlcNAc3Man3GlcNAc2の質量と一致する
。
(P.pastorisにおけるGnTVのクローニングおよび発現)
TMドメインを欠くマウスGnTVタンパク質の一部(MGAT45)をコードするD
NAフラグメントを、順方向MGV−2プライマー
vitrogen)中にクローニングし、そして配列決定した。リーダーライブラリーと
の融合物のために適切なベクター中にクローニングするために、DNAフラグメントを、
AscI制限部位を含むプライマーおよびPacI制限部位を含むプライマーを用いてP
CR増幅した。AscI順方向プライマー:MGV−ASC1
(GnTVを発現するP.pastoris)
複合グリカン構造を生成するP.pastoris YSH−44株(実施例15)を
、S.cerevisiae MNN2(s)に由来する標的化ペプチドにインフレーム
で連結されたマウスGnTV触媒ドメイン(Δ45)をコードする遺伝子フラグメントを
含むプラスミドpPB140(表12)で形質転換した。培養条件は、実施例25と同じ
であった。2つの形質転換体由来のK3レポータータンパク質を、MALDI−TOFを
使用して分析した。1559m/zにおけるピーク[y]は、グリカンGlcNAc3M
an3GlcNAc2の質量と一致する(図48)。1355m/zにおけるピーク[u
]は、グリカンGlcNAc2Man3GlcNAc2の質量と一致する。
(糖タンパク質上でテトラアンテナ構造を生成するためのP.pastoris)
テトラグリカン構造(例えば、GlcNAc3Man3GlcNAc2)を生成するP
.pastoris PBP43株(実施例25)を、マウスGnTVをコードするプラ
スミドpPB140(図40B)で形質転換した。このベクターpPB140は、KAN
耐性マーカーと、ゲノム組み込みのための標的化配列としてのP.pastoris H
IS3遺伝子とを含む。1μgのプラスミドを、KpnIを用いて線状化し、エレクトロ
ポレーションによって株PBP43中に形質転換し、カナマイシンを含む培地上で選択し
た。生じた株を、精製K3から遊離されたグリカンの分析によってスクリーニングした。
培養条件は、実施例25と同じであった。MALDI−TOFによるK3レポータータン
パク質の分析は、1747m/zにおける優勢なピーク[z]を示した。これは、テトラ
アンテナグリカンGlcNAc4Man3GlcNAc2の質量と一致する(図49)。
生じたグリカンのヘキソサミニダーゼ消化(実施例15参照)によって、Man3Glc
NAc2に対応するピークの質量が示された(データは示さない)。
PB140(表12)で形質転換した。K3レポータータンパク質を生成する形質転換体
のMALDI−TOFによる分析によって、1743m/zにおける優勢なピーク[z]
が示された。このピークは、テトラアンテナグリカンGlcNAc4Man3GlcNA
c2の質量と一致する(図50)。
(P.pastorisにおけるGnTIXのクローニングおよび発現)
ヒトGnTIX(AB109185.1)の核酸配列およびアミノ酸配列が、図45に
示される。TMドメインを欠く(Δ43)ヒトGnTIXの一部をコードするコドンを最
適化したDNAフラグメントを、PCRを使用してオリゴヌクレオチドから合成した(図
46)。GnTIX触媒ドメインをコードするDNAフラグメントを、S.cerevi
siae MNN2(s)に由来する標的化ペプチドにインフレームで連結した。生じた
プラスミドpPB176(図40C)を、KpnIを用いて線状化し、P.pastor
is YSH−44株(実施例15)中に形質転換して、複合テトラアンテナグリカン構
造を生成した。培養条件は、実施例25と同じであった。形質転換体由来のK3レポータ
ータンパク質を、MALDI−TOF MSを使用して分析した。
Claims (51)
- 下等真核生物宿主細胞中で糖タンパク質を生成するためのプロセスであって、
該細胞中に、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV活性、N−アセチル
グルコサミニルトランスフェラーゼV活性、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラ
ーゼVI活性、およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIX活性からなる
群より選択されるN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を導入する工程、
を包含し、該糖タンパク質は、トリマンノースコア上に少なくとも3つのアンテナを含む
、プロセス。 - 下等真核生物宿主細胞中で糖タンパク質を生成するためのプロセスであって、
該細胞において、GlcNAcβ1,2−Manα1,6(GlcNAcβ1,4Gl
cNAcβ1,2Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAcβ1,4−GlcNA
cβ1,4−Asn構造、GlcNAcβ1,4GlcNAcβ1,2−Manα1,6
(GlcNAcβ1,4GlcNAcβ1,2Manα1,3)Manβ1,4−Glc
Nacβ1,4−GlcNAcβ1,4−Asn構造;およびGlcNAcβ1,6Gl
cNAcβ1,4GlcNAcβ1,2−Manα1,6(GlcNAcβ1,4Glc
NAcβ1,2Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAcβ1,4−GlcNAc
β1,4−Asn構造を含む、複数のアンテナを有するN−グリカンを生成する1つ以上
の酵素活性を発現させる工程、
を包含する、プロセス。 - 請求項1または2に記載のプロセスであって、前記活性は、実質的に細胞内活性である、
プロセス。 - 請求項1または2に記載のプロセスであって、前記宿主細胞から前記糖タンパク質を単離
する工程をさらに包含する、プロセス。 - 請求項1または2に記載のプロセスであって、前記宿主細胞は、Pichia past
oris、Pichia finlandica、Pichia trehalophi
la、Pichia koclamae、Pichia membranaefacie
ns、Pichia minutia、Ogataea minuta、Pichia
lindneri、Pichia opuntiae、Pichia thermoto
lerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum
、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia me
thanolica、Pichia sp.、Saccharomyces cerev
isiae、Saccharomyces sp.、Hansenula polymo
rpha、Kluyveromyces sp.、Kluyveromyces lac
tis、Candida albicans、Aspergillus nidulan
s、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、T
richoderma reesei、Chrysosporium lucknowe
nse、Fusarium sp.、Fusarium gramineum、Fusa
rium venenatum、およびNeurospora crassaからなる群
より選択される、プロセス。 - 請求項5に記載のプロセスであって、前記宿主細胞は、Pichia pastoris
、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、P
ichia koclamae、Pichia membranaefaciens、P
ichia minutia、Ogataea minuta、Pichia lind
neri、Pichia opuntiae、Pichia thermotolera
ns、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pic
hia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methan
olica、およびPichia sp.からなる群より選択される、プロセス。 - 請求項6に記載のプロセスであって、前記宿主細胞は、Pichia pastoris
である、プロセス。 - 請求項1または2に記載のプロセスであって、前記糖タンパク質は、治療タンパク質であ
る、プロセス。 - 請求項8に記載のプロセスであって、前記治療タンパク質は、ヒトプラミノゲンのクリン
グルドメイン、エリスロポエチン、サイトカイン、凝固因子、可溶性IgEレセプターα
鎖、IgG、IgGフラグメント、IgM、インターロイキン、ウロキナーゼ、カイメー
ス、尿素トリプシンインヒビター、IGF結合タンパク質、上皮増殖因子、成長ホルモン
放出因子、アネキシンV融合タンパク質、アンギオスタチン、脈管内皮増殖因子2、骨髄
前駆体阻害因子1、オステオプロテゲリン、α1アンチトリプシン、DNアーゼII、α
−フェトタンパク質、FSH、およびペプチドホルモンからなる群より選択される、プロ
セス。 - 下等真核生物宿主細胞であって、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV活
性、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV活性、N−アセチルグルコサミニ
ルトランスフェラーゼVI活性、またはN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ
IX活性を含む、宿主細胞。 - 下等真核生物宿主細胞であって、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV活
性およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV活性を含む、宿主細胞。 - 請求項10または11に記載の宿主細胞であって、前記活性は、実質的に細胞内活性であ
る、宿主細胞。 - 請求項10または11に記載の宿主細胞であって、該細胞は、GnT IV活性、GnT
V活性、またはGnT VI活性と反応可能であるGlcNAc2Man3GlcNA
c2構造を含むN−グリカンを生成する、宿主細胞。 - 下等真核生物宿主細胞であって、Man3GlcNAc2オリゴ糖上に少なくとも3つの
GlcNAcを含むN−グリカンを含む、宿主細胞。 - 請求項14に記載の宿主細胞であって、前記N−グリカンは、少なくとも50モル%、6
0モル%、70モル%、80モル%、90モル%以上のトリアンテナグリカンを含む、宿
主細胞。 - 請求項14に記載の宿主細胞であって、前記N−グリカンは、少なくとも70モル%、8
0モル%、90モル%以上のトリアンテナグリカンを含む、宿主細胞。 - 下等真核生物宿主細胞であって、GlcNAcβ1,2−Manα1,6(GlcNAc
β1,4GlcNAcβ1,2Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAcβ1,4
−GlcNAcβ1,4−Asn構造、GlcNAcβ1,4GlcNAcβ1,2−M
anα1,6(GlcNAcβ1,4GlcNAcβ1,2Manα1,3)Manβ1
,4−GlcNacβ1,4−GlcNAcβ1,4−Asn構造;およびGlcNAc
β1,6GlcNAcβ1,4GlcNAcβ1,2−Manα1,6(GlcNAcβ
1,4GlcNAcβ1,2Manα1,3)Manβ1,4−GlcNAcβ1,4−
GlcNAcβ1,4−Asn構造を含む、複数のアンテナを有するN−グリカンを含む
、宿主細胞。 - 請求項10、11、14、または17に記載の宿主細胞であって、該宿主細胞は、Pic
hia pastoris、Pichia finlandica、Pichia tr
ehalophila、Pichia koclamae、Pichia membra
naefaciens、Pichia minutia、Ogataea minuta
、Pichia lindneri、Pichia opuntiae、Pichia
thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia
guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、P
ichia methanolica、Pichia sp.、Saccharomyc
es cerevisiae、Saccharomyces sp.、Hansenul
a polymorpha、Kluyveromyces sp.、Candida a
lbicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus
niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma re
esei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium
sp.、Fusarium gramineum、Fusarium venenatu
m、およびNeurospora crassaからなる群より選択される、宿主細胞。 - 請求項18に記載の宿主細胞であって、該宿主細胞は、Pichia pastoris
、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、P
ichia koclamae、Pichia membranaefaciens、P
ichia minutia、Ogataea minuta、Pichia lind
neri、Pichia opuntiae、Pichia thermotolera
ns、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pic
hia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methan
olica、およびPichia sp.からなる群より選択される、宿主細胞。 - 請求項19に記載の宿主細胞であって、該宿主細胞は、Pichia pastoris
である、宿主細胞。 - 下等真核生物宿主細胞であって、GlcNAcβ1,4トランスフェラーゼもしくはGl
cNAcβ1,6トランスフェラーゼによって改変された、トリマンノースコア(Glc
NAc2Man3GlcNAc2)構造もしくはMan5コア構造(GlcNacMan
5GlcNAc2)を含む、宿主細胞。 - 請求項21に記載の宿主細胞であって、該細胞は、70モル%を超える前記改変型構造を
生成する、宿主細胞。 - 請求項21に記載の宿主細胞であって、該細胞は、90モル%を超える前記改変型構造を
生成する、宿主細胞。 - 下等真核生物宿主細胞であって、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI活性
およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIV活性を含む、宿主細胞。 - 請求項24に記載の宿主細胞であって、前記活性は、実質的に細胞内活性である、宿主細
胞。 - 請求項24に記載の宿主細胞であって、該細胞は、GnT V活性、GnT VI活性、
またはGnT IX活性と反応可能であるGlcNAc2Man3GlcNAc2を含む
N−グリカンを生成する、宿主細胞。 - 請求項24に記載の宿主細胞であって、前記N−アセチルグルコサミニルトランスフェラ
ーゼ活性は、複数のアンテナを有するグリカンを生成する、宿主細胞。 - 下等真核生物宿主細胞であって、GnT IV活性、GnT V活性、GnT VI活性
またはGnT IX活性と、マンノシダーゼII活性とを含む、宿主細胞。 - 請求項28に記載の宿主細胞であって、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ
I活性をさらに含む、宿主細胞。 - 請求項29に記載の宿主細胞であって、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ
II活性をさらに含む、宿主細胞。 - 請求項28に記載の宿主細胞であって、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ
I活性およびN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII活性をさらに含む、宿
主細胞。 - 請求項10、11、24、または28のうちのいずれか1項に記載の宿主細胞であって、
1,6マンノシルトランスフェラーゼ活性が欠損している、宿主細胞。 - 請求項10、11、24、または28のうちのいずれか1項に記載の宿主細胞であって、
Dol−P−Man:Man5GlcNac2−PP−Dolマンノシルトランスフェラ
ーゼ活性が欠損している、宿主細胞。 - 請求項10、11、24、または28のうちのいずれか1項に記載の宿主細胞であって、
α−1,2−マンノシダーゼI活性をさらに含む、宿主細胞。 - 請求項10、11、24、または28のうちのいずれか1項に記載の宿主細胞であって、
UDP−GlcNAcトランスポーターをさらに含む、宿主細胞。 - 請求項1に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 請求項2に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 請求項5に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 請求項6に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 請求項7に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 請求項8に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 請求項9に記載のプロセスによって生成される糖タンパク質。
- 糖タンパク質であって、下等真核生物宿主細胞において生成されたGlcNAc2Man
3GlcNAc2コア構造上に、少なくとも3つのGlcNAcβ1,4残基または少な
くとも3つのGlcNAcβ1,6残基を含む、糖タンパク質。 - 糖タンパク質であって、下等真核生物宿主細胞において生成された基質GlcNAc2M
an3GlcNAc2コア構造、基質GlcNAc3Man3GlcNAc2コア構造、
基質GlcNAcMan3GlcNAc2コア構造、基質Man3GlcNAc2コア構
造、基質GlcNAcMan5GlcNAc2コア構造、または基質Man5GlcNA
c2コア構造のManα1,3アームもしくはManα1,6アームのうちのいずれかに
結合している、GlcNAcβ1,4残基を含む、糖タンパク質。 - 請求項44に記載の糖タンパク質であって、前記コア構造のうちの70モル%より多くが
、GnT IVによって改変されている、糖タンパク質。 - 請求項44に記載の糖タンパク質であって、前記コア構造のうちの50モル%より多くが
、GnT Vによって改変されている、糖タンパク質。 - 請求項36〜46のうちのいずれか1項に記載の糖タンパク質を含む、薬学的組成物。
- 下等真核生物宿主においてGnT IV活性、GnT V活性、GnT VI活性、Gn
T IX活性を発現可能である、ベクター。 - 下等真核生物宿主細胞であって、トリマンノースコアオリゴ糖中間体のManα1,3ア
ームまたはMan1,6アームのいずれかにて少なくとも2つのGlcNAc残基を有す
るN−グリカンを含む、宿主細胞。 - 請求項49に記載の下等真核生物宿主細胞であって、前記トリマンノースコアオリゴ糖中
間体のManα1,3アームおよびMan1,6アームにて2つのGlcNAcβ1,4
残基をさらに含む、宿主細胞。 - 請求項49に記載の下等真核生物宿主細胞であって、前記トリマンノースコアオリゴ糖中
間体のManα1,3アームおよびMan1,6アームにて2つのGlcNAcβ1,6
残基をさらに含む、宿主細胞。
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