JP2010185539A - 3次元免震ユニット - Google Patents

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栄治 高岡
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Yoshinori Matsunaga
義憲 松永
Ryuta Katamura
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Abstract

【課題】3次元免震装置を構成する水平免震装置と鉛直免震装置が並列状態で配置される場合に、水平方向の相対変位と鉛直方向の相対変位が同時に発生したときにも水平免震装置の機能を阻害させない。
【解決手段】上下に分離した上部構造8と下部構造9との間に、下部構造9に対する上部構造8の鉛直方向の振動を吸収する鉛直免震装置2と、下部構造9に対する上部構造8の水平方向の振動を吸収する水平免震装置3を設置する。
上部構造8と下部構造9のいずれか一方に、他方との間にクリアランスを置いて水平免震装置3を固定し、他方に、下部構造9に対する上部構造8の相対的な水平変位時に水平免震装置3に係止し、水平力を伝達する拘束部材4を固定する。
拘束部材4と水平免震装置3との間に、両者間の鉛直方向の相対移動時に、その相対移動を許容する絶縁材5を介在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は鉛直免震装置と水平免震装置が設置された上部構造と下部構造との間において、下部構造に対する上部構造の水平方向と鉛直方向の相対変位が同時に生じたときにも、水平免震装置に軸方向引張力が作用する事態を回避する機能を有する3次元免震ユニットに関するものである。
上下に分離した上部構造と下部構造との間に設置される3次元免震装置は下部構造に対する上部構造の鉛直方向の振動を吸収する鉛直免震装置と、水平方向の振動を吸収する水平免震装置から構成されるが、それぞれの機能は独立するため、両免震装置は上部構造と下部構造との間には並列状態で設置されることが合理的である(特許文献1参照)。
但し、下部構造に対する上部構造の水平方向と鉛直方向の相対変位が同時に発生することもあるため、鉛直免震装置が水平免震装置の機能を阻害せず、水平免震装置が鉛直免震装置の機能を阻害しない状態に両免震装置が組み合わせられることが必要である。具体的には水平免震装置は上部構造と下部構造との間の鉛直方向の相対変位を許容しながら、水平方向の振動を吸収する必要があり、鉛直免震装置は水平方向の相対変位を許容しながら、鉛直方向の振動を吸収する必要がある(特許文献2参照)。
特許文献2では上部構造と下部構造との間の鉛直方向の相対変位を許容しながら、水平方向の相対変位時に水平免震装置に水平力を伝達するために、上部構造に軸体を接合する一方、下部構造に固定された水平免震装置に、軸体に対して相対移動可能な筒体を固定している。上部構造の下部構造に対する鉛直方向の相対変位時には筒体が軸体に対して相対移動し、水平方向の相対変位時には筒体が軸体に係合することにより水平免震装置に水平力が伝達される。
この場合、軸体に対する筒体の軸方向の相対移動は両者間の摩擦力が小さい程、起こり易く、鉛直免震装置の機能が発揮されるから、特許文献2では筒体と軸体との間の相対移動が阻害されないよう、軸体の周面と筒体の内周面との間には摩擦力を低減させるための空隙を確保している(段落0027)。
特開2001−41283号公報(請求項1、段落0033〜0045、図1、図2) 特開2001−82542号公報(請求項1、段落0022〜0037、図1、図2)
しかしながら、水平断面上、筒体と軸体との間に放射方向に空隙を確保しても、空隙は水平方向の相対移動時になくなるから、水平方向の相対変位と鉛直方向の相対変位が同時に発生したときには、筒体が軸体に係合した状態で軸方向に相対移動し、筒体と軸体との間に摩擦力が発生する。この摩擦力は鉛直方向の相対変位時の筒体と軸体との間の相対移動時に抵抗になるため、鉛直免震装置の自由な変形が阻害され、鉛直免震装置の機能が損なわれることになる。
また上部構造が下部構造から浮き上がる向きに相対変位するときには、筒体と軸体との間の摩擦力が水平免震装置に引張力を作用させることになる。水平免震装置が積層ゴム支承である場合、水平免震装置は上部構造の鉛直荷重を軸方向圧縮力として負担することを前提とし、過大な引張力を負担することは想定されていないため、引張力の負担によって積層ゴムを構成する鋼板とゴムの接着状態が切れ、積層ゴムの機能が低下する可能性がある。
本発明は上記背景より、水平免震装置と鉛直免震装置が並列状態で配置される場合に、水平方向と鉛直方向の相対変位が同時に発生したときにも水平免震装置の機能を阻害しない形態の3次元免震ユニットを提案するものである。
請求項1に記載の発明の3次元免震ユニットは、上下に分離した上部構造と下部構造との間に設置され、下部構造に対する上部構造の鉛直方向の振動を吸収する鉛直免震装置と、下部構造に対する上部構造の水平方向の振動を吸収する水平免震装置とを備え、
上部構造と下部構造のいずれか一方に、他方との間にクリアランスを置いて水平免震装置が固定され、前記他方に、下部構造に対する上部構造の相対的な水平変位時に水平免震装置に係止し、水平力を伝達する拘束部材が固定され、
拘束部材と水平免震装置との間に、両者間の鉛直方向の相対移動時に、その相対移動を許容する絶縁材が介在していることを構成要件とする。
水平免震装置が下部構造に固定された場合には、拘束部材は上部構造に固定され、水平免震装置が上部構造に固定された場合には、拘束部材は下部構造に固定される。クリアランスは水平免震装置と拘束部材との間、または拘束部材が固定された側である上部構造、もしくは下部構造と水平免震装置との間に鉛直方向に確保される。拘束部材と水平免震装置はクリアランスの範囲内で鉛直方向に相対移動可能となり、この相対移動時には後述のように絶縁材の存在によって水平免震装置が軸方向力を負担することはない。
水平免震装置と拘束部材との間、または上部構造、もしくは下部構造との間のクリアランスは水平免震装置と拘束部材が上部構造、もしくは下部構造に固定された状態で確保される。水平免震装置が固定された上部構造、または下部構造の反対側である下部構造、または上部構造には拘束部材が固定されるため、水平免震装置と拘束部材が鉛直方向に対向する場合には、クリアランスは拘束部材と水平免震装置との間に確保される。この鉛直方向のクリアランスの範囲内で拘束部材が水平免震装置に対して相対移動可能となる。
拘束部材は上部構造と下部構造との間の水平方向の相対変位時に水平免震装置に係止することで、水平免震装置に水平力を伝達し、水平免震装置を水平変形させるか、相対変形させる等により水平免震装置に免震装置としての機能を発揮させるため、拘束部材は水平免震装置とは水平方向に対向する。
水平免震装置には積層ゴム支承の他、滑り支承、弾性滑り支承、転がり支承等が使用される。水平免震装置は積層ゴム支承の場合には水平力を受けて水平変形(せん断変形)するが、例えば滑り支承の場合には滑り部材とそれを受ける支承部材の2部材から構成され、滑り部材が支承部材に対して相対移動し、下部構造に対する上部構造の相対水平変位に追従することにより免震装置として機能する。
拘束部材は水平免震装置に免震装置としての機能を発揮させる上で、水平免震装置の周囲に水平2方向に均等に配置される。例えば水平免震装置が積層ゴム支承である場合には、積層ゴムの上下に上部構造、もしくは下部構造への接合のためのフランジが一体化するが、拘束部材はフランジの中心を挟んで少なくとも2方向に対向する位置に配置される。拘束部材はフランジの回りを連続して周回することもある。
水平免震装置は例えば免震装置本体とその軸方向両端位置に固定される上下のフランジから構成され、上部構造、または下部構造にはそれぞれの側のフランジにおいて固定される。拘束部材は水平免震装置が下部構造に固定される場合には、水平免震装置の上部フランジと水平方向に対向し、上部構造に固定される場合には、水平免震装置の下部フランジと水平方向に対向するため、絶縁材はこの対向する拘束部材と水平免震装置のいずれかのフランジとの間に介在する。
鉛直免震装置も上部構造と下部構造のいずれか一方である上部構造、もしくは下部構造に固定され、上部構造と下部構造との間の水平方向の相対変位時に水平力が伝達されないよう、他方である下部構造、もしくは上部構造とは絶縁される。鉛直免震装置は絶縁される側の下部構造、もしくは上部構造には例えば滑り支承、転がり支承等を介して直接、もしくは間接的に接触等する。鉛直免震装置にはコイルスプリング、皿ばね、空気ばね等、何らかのばね支承の他、軸を水平に向けた積層ゴム支承等が使用される。
上部構造と下部構造の内、いずれか一方に水平免震装置が固定され、他方に、鉛直方向の相対変位時に水平免震装置に対して相対移動し、水平方向の相対変位時に水平免震装置に係止する拘束部材が固定されることで、上部構造と下部構造との間の鉛直方向の相対変位時には、鉛直免震装置が相対変位に追従し、鉛直方向の振動を吸収することにより拘束部材が水平免震装置に対して相対移動する。鉛直免震装置は上部構造と下部構造との間の水平方向の相対変位時には、絶縁されている(接触している)下部構造、もしくは上部構造に対して相対移動し、水平力を負担しない。
下部構造に対する上部構造の鉛直方向と水平方向の相対変位が同時に発生したときには、水平方向に係止(接触)している拘束部材と水平免震装置との間に鉛直方向の摩擦力が発生する可能性があるが、拘束部材と水平免震装置との間に絶縁材が介在し、絶縁材が鉛直方向の相対変位を許容することで、両者間における摩擦力の作用が回避される。
具体的には拘束部材と水平免震装置との間に、両者間の鉛直方向の相対移動を許容する絶縁材が介在することで、拘束部材は水平免震装置に水平方向に係止した状態でも、水平免震装置に対して軸方向(鉛直方向)に相対移動可能な状態にあるため、摩擦力の作用が回避される。
「絶縁材が鉛直方向の相対変位を許容する」とは、絶縁材が拘束部材に、水平免震装置に対して自由に滑り、あるいは転がりを生じさせることにより鉛直方向の相対変位に追従すること、または絶縁材自体がせん断変形等、変形することにより鉛直方向の相対変位に追従することを言う。いずれの場合も拘束部材が水平免震装置に対して相対移動、もしくは相対変形することによって水平免震装置に対する軸方向力(引張力と圧縮力)の作用が回避される。絶縁材は拘束部材と水平免震装置との間の鉛直方向の相対移動を許容する機能を有すれば、形態と形状は問われず、絶縁材には後述のように滑り材、ローラ(ころ)等の他、低剛性部材が使用される。
「絶縁材が介在する」とは、拘束部材と水平免震装置の少なくともいずれか一方に絶縁材がその形態に応じ、接着、もしくは接合、あるいは連結された状態にあることを言う。絶縁材が拘束部材と水平免震装置との間の鉛直方向の相対移動を許容することで、両者間の相対移動は阻害されることなく、自由に発生する状態に置かれる。この結果、拘束部材と水平免震装置との間に水平力が作用した状態で、両者間に鉛直方向の相対移動が生じたときにも、両者間には摩擦力等、鉛直方向の相対移動を阻害する何らかの抵抗力は発生しないため、抵抗力の発生に起因して水平免震装置に軸方向引張力が作用することは回避される。
絶縁材が拘束部材と水平免震装置との間の鉛直方向の相対移動に起因する水平免震装置への軸方向引張力の作用を回避することで、水平免震装置が積層ゴム支承である場合に、ゴムに過大な引張力を作用させることがないため、鋼板とゴムの接着状態が切れ、積層ゴムの機能が低下する事態の発生は回避される。
絶縁材は主に、鉛直方向の相対変位時に拘束部材と水平免震装置との間に滑りを生じさせる滑り材であるか(請求項2)、または水平方向の剛性が高く、鉛直方向の剛性が低い低剛性部材であり(請求項3)、鉛直方向の相対変位時に、拘束部材と水平免震装置との間に自由な相対移動を生じさせる機能を有する。低剛性部材には例えば軸を水平に向けた状態の積層ゴムその他のゴム材料等、弾性変形時に復元力を発揮する弾性材料が使用される。この他、絶縁材には軸を水平に向けたローラ等も使用可能である。その場合、ローラの軸は拘束部材と水平免震装置が対向する方向に直交する水平方向を向く。
絶縁材としての滑り材は水平免震装置と拘束部材との間に介在し、少なくともいずれか一方に接着等により一体化する。具体的には水平免震装置を構成する上下いずれかのフランジの外周面と、拘束部材におけるフランジ側の面の少なくともいずれか一方に一体化し、フランジと拘束部材との間に挟み込まれる。このことから、滑り材には、拘束部材に鋼製材料等の金属材料が使用された場合にも拘束部材との間での摩擦力が小さくなるよう、金属材料との間の摩擦係数の小さいステンレスシート等の低摩擦材が使用される。
絶縁材が滑り材である場合には、絶縁材と水平免震装置との間の摩擦係数が小さいことで、絶縁材と水平免震装置との間に圧力が作用し、両者間で水平力が伝達される状況下においても、鉛直方向の相対変位時に絶縁材と水平免震装置との間に発生する摩擦力は小さい。従って鉛直方向の相対変位に伴って水平免震装置に与える軸方向引張力も小さいため、水平免震装置が積層ゴム支承である場合に、水平免震装置に与える軸方向引張力による影響は小さく、積層ゴムを構成するゴムを破断させる危険性が低下する。
絶縁材が低剛性部材である場合には、使用状態での水平方向の剛性が高く、鉛直方向の剛性が小さいことで、拘束部材と水平免震装置との間で、水平方向の荷重伝達能力を維持しながら、鉛直方向の高い変形能力を発揮する。この結果、水平方向と鉛直方向の相対変位が同時に発生したときにも、水平方向の荷重(水平力)を伝達しながらも、鉛直方向の荷重を水平免震装置に軸方向力として伝達することが回避され、水平免震装置が積層ゴム支承である場合にゴムを破断させる危険性が低下する。
上部構造と下部構造との間での水平方向の相対変位時に拘束部材と水平免震装置との間で水平力が確実に伝達されるようにする上では、例えば図3に鎖線で示すようにフランジの周囲(縁)部分の板厚を増す等によりフランジの外周面と拘束部材との間の十分な接触面積が確保される。
上部構造と下部構造のいずれか一方に水平免震装置を固定し、他方に水平免震装置に水平力を伝達する拘束部材を固定し、拘束部材と水平免震装置との間に、両者間の鉛直方向の相対移動を許容する絶縁材を介在させるため、拘束部材が水平免震装置に水平方向に係止した状態でも、拘束部材を水平免震装置に対して軸方向(鉛直方向)に自由に相対移動可能な状態に保つことができ、絶縁材と水平免震装置との間に発生する摩擦力を低減することができる。
この結果、水平免震装置に与える軸方向引張力も小さいため、水平免震装置が積層ゴム支承である場合に、水平免震装置に与える軸方向引張力による影響は小さく、積層ゴムを構成するゴムを破断させる危険性を低下させることができる。
上下に分離した上部構造と下部構造との間に水平免震装置と鉛直免震装置を配置した3次元免震ユニットの構成例を示した立面図である。 水平免震装置と拘束部材との具体的な関係を示した立面図である。 絶縁材が滑り材である場合の図2の一点鎖線円部分の拡大図である。 (a)は上部フランジが正方形の場合の拘束部材の配置例を示した図2のx−x線断面図、(b)は上部フランジが円形の場合の拘束部材の配置例を示した図2のx−x線断面図、(c)は上部フランジが正方形の場合にその四隅位置に拘束部材を配置した様子を示した平面図である。 絶縁材が低剛性部材である場合の、絶縁材の拘束部材への取付状態を示した平面図である。 図5のy−y線断面図である。 (a)は図5における絶縁材が変形していない状態での絶縁材の拘束部材への取付状態を示した立面図、(b)は上部構造が下部構造に接近したときの絶縁材の変形状態を示した立面図、(c)は上部構造が下部構造から遠ざかったときの絶縁材の変形状態を示した立面図である。 (a)は絶縁材がローラである場合の、絶縁材の拘束部材への取付状態を示した縦断面図、(b)は(a)の水平断面図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は上下に分離した上部構造8と下部構造9との間に設置され、下部構造9に対する上部構造8の鉛直方向の振動を吸収する鉛直免震装置2と、下部構造9に対する上部構造8の水平方向の振動を吸収する水平免震装置3とを備える3次元免震ユニット1の構成例を示す。
上部構造8と下部構造9のいずれか一方に、他方との間に鉛直方向にクリアランスを置いて水平免震装置3が固定され、他方に、下部構造9に対する上部構造8の相対的な水平変位時に水平免震装置3に係止し、これに水平力を伝達する拘束部材4が固定される。拘束部材4と水平免震装置3との間には両者間の鉛直方向の相対移動時に、その相対移動を許容する絶縁材5が介在する。
クリアランスは水平免震装置3と、拘束部材4が固定される上部構造8、もしくは下部構造9との間に確保されるが、水平免震装置3と上部構造8、もしくは下部構造9との間には拘束部材4が配置されるため、図1に示すように水平免震装置3と拘束部材4が鉛直方向にも対向する場合には、クリアランスは水平免震装置3と拘束部材4との間に確保される。
鉛直免震装置2には鉛直方向に柔らかい(鉛直方向の剛性が小さい)性質を有する振動遮断装置(絶縁装置)が使用され、水平免震装置3には水平方向に柔らかい(水平方向の剛性が小さい)性質を有する振動遮断装置(絶縁装置)が使用される。図1では鉛直免震装置2に空気ばねを使用し、水平免震装置3に積層ゴム支承を使用しているが、鉛直免震装置2と水平免震装置3が上記性能を有すれば、それぞれの種別と形態は任意である。鉛直免震装置2には例えばコイルスプリングや皿ばね、積層ゴム支承等も使用可能であり、水平免震装置3には例えば滑り支承、弾性滑り支承、転がり支承等も使用可能である。
鉛直免震装置2は常に上部構造8の鉛直荷重を負担するため、上部構造8と下部構造9との間に、双方に直接、もしくは間接的に接触した状態で設置される。鉛直免震装置2は原則として地震荷重や風荷重に伴う上部構造8の下部構造9に対する水平方向の相対変位時に水平荷重を負担しないよう、上部構造8と下部構造9のいずれか一方に固定され、他方には固定されず、水平方向に相対移動可能な状態に接触する。図1では鉛直免震装置2を下部構造9に固定し、鉛直免震装置2の上端と上部構造8との間に滑り支承、転がり支承等の移動支承7を介在させている。
図1では鉛直免震装置2を空気ばね等の免震装置本体21とその軸方向両側に固定される上部フランジ22及び下部フランジ23から構成し、下部フランジ23を下部構造9に固定し、上部フランジ22と上部構造8との間に、両者間の相対移動を自由に発生させるための移動支承7を介在させている。鉛直免震装置2が上部構造8に固定された場合には、移動支承7は下部フランジ23と下部構造9との間に介在させられる。
水平免震装置3も免震装置本体31とその軸方向両側に固定される上部フランジ32及び下部フランジ33から構成される。図面では下部フランジ33を下部構造9に固定し、上部フランジ32を上部構造8に固定せずに上部構造8との間にクリアランスを確保しているが、上部フランジ32を上部構造8に固定した場合には、下部フランジ33と下部構造9との間にクリアランスが確保される。
上部構造8と下部構造9の内、水平免震装置3が固定されない側に、下部構造9に対する上部構造8の相対的な水平変位時に水平免震装置3に係止し、水平力を伝達する拘束部材4が固定される。図面では水平免震装置3を下部構造9に固定していることに伴い、上部構造8に拘束部材4を固定しているが、水平免震装置3が上部構造8に固定されれば、拘束部材4は下部構造9に固定される。
下部構造9に水平免震装置3が固定された場合における水平免震装置3の上部フランジ32と上部構造8の下面との間、または上部構造8に水平免震装置3が固定された場合における水平免震装置3の下部フランジ33と下部構造9の上面との間に上記した鉛直方向のクリアランスが確保され、このクリアランスの範囲に拘束部材4が配置される。鉛直方向のクリアランスは拘束部材4の形態に応じて水平免震装置3と拘束部材4との間、または水平免震装置3とそれが固定されない側である上部構造8、または下部構造9との間に確保される。
拘束部材4は図1に示すように水平免震装置3の上部フランジ32、もしくは下部フランジ33の全体を包囲する形状をする場合と、図4−(a)〜(c)に示すように上部フランジ32、もしくは下部フランジ33の一部に接触し得る形状をし、上部フランジ32等の周囲に部分的に独立して配置される場合がある。前者の場合、鉛直方向のクリアランスは拘束部材4と上部フランジ32等との間に確保され、後者の場合には拘束部材4が固定された側である上部構造8とそれに対向する上部フランジ32等との間に確保される。図4−(a)、(b)は図2のx−x線の断面を示す。
拘束部材4と水平免震装置3との間には、両者間の鉛直方向の相対変位時に、その相対変位を許容する絶縁材5が介在する。絶縁材5は拘束部材4と水平免震装置3との間に、水平方向に挟み込まれる状態で介在し、上部構造8が下部構造9に対して相対的に水平変位しようとするときに、圧縮力を負担することにより拘束部材4からの水平力を水平免震装置3に伝達する。
具体的には絶縁材5は拘束部材4の内周面と、それに水平方向に対向する水平免震装置3の上部フランジ32、もしくは下部フランジ33の外周面との間に介在し、絶縁材5の形態に応じ、双方に接着、接合、もしくは連結等される。絶縁材5は拘束部材4と水平免震装置3との間に鉛直方向の相対移動が発生するときに、水平免震装置3との間で例えば滑りを生ずることにより、またはせん断変形等、変形を生ずることにより、あるいは転がりを生ずることにより水平免震装置3が拘束部材4に対して鉛直方向に相対移動するように作用する。
図2は絶縁材5が滑り材51である場合の、水平免震装置3と拘束部材4との間への絶縁材5の介在例を示す。図3は図2の一点鎖線円部分の拡大図である。拘束部材4は水平免震装置3の内、上部構造8と下部構造9のいずれかに固定されない側のフランジ、図面の場合には上部フランジ32に水平方向に係止するため、絶縁材5(滑り材51)は上部構造8と下部構造9に固定されない側のフランジ(上部フランジ32)と拘束部材4の対向する面の少なくともいずれか一方に接着等により一体化させられる。
図3と図4に滑り材51を太線で示すが、図3は滑り材51を上部フランジ32に一体化させた場合を、図4は拘束部材4に一体化させた場合を示している。滑り材51が上部フランジ32に一体化した図3の場合、滑り材51は拘束部材4との間で滑りを生じ、拘束部材4に一体化した図4の場合には上部フランジ32との間で滑りを生ずる。
滑り材51は拘束部材4、または上部フランジ32との間で滑りを生じ易いよう、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製のシート、ステンレスシート等の低摩擦材により形成(製作)される。滑り材51は水平免震装置3の上部フランジ32の外周面、または拘束部材4の内周面には接着剤によって接着されるか、滑り材51の表面に露出しないボルト等によって接合される。図3では水平免震装置3と拘束部材4との間の相対水平変位の開始時に双方に衝撃的な荷重が作用せず、水平力が静的に作用するよう、滑り材51が接着された上部フランジ32との間に弾性パッド6を介在させているが、拘束部材4は水平免震装置3に水平力を伝達し、水平免震装置3を変形させる機能を有するため、弾性パッド6は必ずしも必要ではない。
拘束部材4は上部構造8、または下部構造9に定着、埋設、接合等により固定される固定部41と、水平免震装置3の上部フランジ32、もしくは下部フランジ33に係止する係止部42の2部分を有する。係止部42は上部フランジ32等に水平力を圧縮力として伝達するため、上部フランジ32等側の面は上部フランジ32等に面で接触する形状に形成され、拘束部材4は全体では例えば箱形断面形状、またはT形断面形状に形成される。図3は拘束部材4の平面形状が箱形、もしくはT字形の場合、図4は拘束部材4の側面形状が箱形、もしくはT字形の場合である。
拘束部材4は上部構造8と下部構造9との間の鉛直方向の相対変位時に水平免震装置3の上部フランジ32に対して鉛直方向に相対移動し、その間も水平免震装置3に水平力を伝達し続ける必要から、上部フランジ32に水平方向に係止した状態を維持するよう、拘束部材4の高さは上部フランジ32の厚さに、上部フランジ32と拘束部材4との間に見込まれる鉛直方向の相対移動量分以上の高さを加えた大きさを有する。
この大きさ(高さ)は少なくとも拘束部材4の係止部42が有すればよいが、図面では係止部42で受けた水平力が固定部41から、それが固定される上部構造8、もしくは下部構造9に伝達されるよう、拘束部材4の全体に与えている。拘束部材4の水平免震装置3に対する鉛直方向の相対移動時にも、常に拘束部材4から水平免震装置3に水平力が確実に伝達されるようにする上では、図3に鎖線で示すように上部フランジ32の外周部分の厚さを大きくすることが有効である。
図4−(a)は上部フランジ32の平面形状が正方形である場合の、上部フランジ32の周囲への拘束部材4の配置例を示す。拘束部材4は上部構造8の下部構造9に対する水平2方向の相対変位時に常に水平免震装置3に係止した状態を維持するよう、上部フランジ32の周囲に分散して配置される場合には、上部フランジ32の中心を挟んで少なくとも2方向に対向する位置に配置される。図4−(a)は上部フランジ32の2方向の辺に平行な中心線上に拘束部材4を配置した場合を示している。図4−(b)は上部フランジ32が円形である場合の拘束部材4の配置位置を示すが、この場合も拘束部材4は上部フランジ32の中心を挟んで少なくとも2方向に対向する位置に配置される。
図4−(c)は正方形の上部フランジ32の四隅位置にL形の平面形状をした拘束部材4を配置した様子を示している。図4−(c)の場合、各拘束部材4が上部フランジ32に水平2方向に係止するため、拘束部材4は少なくとも上部フランジ32の中心を挟んで対向する位置の2箇所に配置されれば足り、必ずしも4箇所に配置される必要はない。拘束部材4はこの他、上部フランジ32の全体を包囲する大きさと形状を有し、上部フランジ32の全周が拘束部材4の内周面に係止することもある。
図5は絶縁材5が低剛性部材52である場合の、水平免震装置3と拘束部材4との間への絶縁材5の介在例を示す。図6は図5のy−y線の水平断面を示す。低剛性部材52には使用状態で水平方向の剛性が高く、鉛直方向の剛性が小さいゴムその他の弾性材料が使用される。図5では低剛性部材52として積層ゴム支承を、軸を水平方向に向けて使用している。絶縁材5が低剛性部材52の場合、絶縁材5の軸方向(水平方向)の一端が水平免震装置3の上部フランジ32、もしくは下部フランジ33に接着され、他端が拘束部材4に接着される。
図5、図6に示す例の場合の絶縁材5(低剛性部材52)は上部構造8と下部構造9の相対変位時に、図7に示すように軸に直交する方向に変形し、相対変位に追従することにより水平免震装置3への軸方向力の作用を回避する。図7−(a)は平常時の状態を、(b)は下部構造9が上部構造8に対して相対的に上昇し、上部構造8に接近したときの状態を、(c)は下部構造9が相対的に降下し、上部構造8から遠ざかったときの状態を示している。
低剛性部材52が積層ゴムの場合、低剛性部材52は軸に直交する方向にせん断変形することにより相対変位に追従する。この例の場合も滑り材51の場合と同様、絶縁材5は拘束部材4に面で接着され、拘束部材4は絶縁材5にせん断変形を発生させるだけの捩じり剛性を要することから、拘束部材4は図3の例と同様の形状に形成される。絶縁材5が低剛性部材52である場合も、拘束部材4は図6に示すように上部フランジ32の2方向の辺に平行な中心線上に、または図4−(b)、(c)に示すようにも配置される他、上部フランジ32の周囲を周回して配置される。
図8は絶縁材5がローラ(ころ)53である場合の、絶縁材5の拘束部材4への取付例を示す。この場合、絶縁材5(ローラ53)は水平免震装置3と拘束部材4との間に鉛直方向の相対変位が生じたときに、水平免震装置3の上部フランジ32に接触することにより、拘束部材4に対する上部フランジ32の自由な相対移動を生じさせる。ローラ53は軸を上部フランジ32と拘束部材4が対向する方向に直交する水平方向に向けた状態で、拘束部材4に支持され、上部フランジ32の外周面がローラ53の周面に接触したときに、軸回りに回転することにより上部フランジ32の自由な移動を生じさせる。
拘束部材4は例えば図8−(b)に示すように上部フランジ32側に、ローラ53の軸方向に対向するフランジを有する形状をし、ローラ53はこの対向するフランジに挟まれた状態で、中心を貫通するピン等により拘束部材4に支持される。
1……3次元免震ユニット、
2……鉛直免震装置、21……免震装置本体、22……上部フランジ、23……下部フランジ、
3……水平免震装置、31……免震装置本体、32……上部フランジ、33……下部フランジ、
4……拘束部材、41……固定部、42……係止部、
5……絶縁材、51……滑り材、52……低剛性部材、
6……弾性パッド、
7……移動支承、
8……上部構造、9……下部構造。

Claims (3)

  1. 上下に分離した上部構造と下部構造との間に設置され、前記下部構造に対する前記上部構造の鉛直方向の振動を吸収する鉛直免震装置と、前記下部構造に対する前記上部構造の水平方向の振動を吸収する水平免震装置とを備える3次元免震ユニットにおいて、
    前記上部構造と前記下部構造のいずれか一方に、他方との間にクリアランスを置いて前記水平免震装置が固定され、前記他方に、前記下部構造に対する前記上部構造の相対的な水平変位時に前記水平免震装置に係止し、水平力を伝達する拘束部材が固定され、
    前記拘束部材と前記水平免震装置との間に、両者間の鉛直方向の相対移動時に、その相対移動を許容する絶縁材が介在していることを特徴とする3次元免震ユニット。
  2. 前記絶縁材は鉛直方向の相対変位時に前記拘束部材と前記水平免震装置との間に滑りを生じさせる滑り材であることを特徴とする請求項1に記載の3次元免震ユニット。
  3. 前記絶縁材は水平方向の剛性が高く、鉛直方向の剛性が低い低剛性部材であり、鉛直方向の相対変位時に変形を生ずることを特徴とする請求項1に記載の3次元免震ユニット。
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