JP2017145839A - 免震機構 - Google Patents
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Abstract
Description
可動子が傾斜面に沿って移動することにより、地震が生じた際の加速度の低減、振動の減衰、および変位の回復を図ることができる。
これに対し、上部案内部材および下部案内部材を可動子と相対変位する方向に長くすることが考えられるが、免震機構が大型化し設置スペースが増大してしまうという問題がある。
また、上部案内部材や下部案内部材に対して可動子が大きく移動した際に可動子が所定範囲以上移動しないようにストッパを設けた場合、可動子がストッパと衝突した際の加速度が上部案内部材を介して上部構造体に伝達してしまう虞がある。
そして、上部ストッパと可動子との間に上部緩衝材が設けられていることにより、上部ストッパに向かって上部傾斜面に沿って移動した可動子は、上部緩衝材と当接した後に上部ストッパに衝突する。これにより、可動子が直接上部ストッパに衝突する場合と比べて、上部緩衝材が可動子の上部ストッパに向かう速度を低減させることができ、可動子から上部ストッパに伝達される衝撃を低減させることができる。その結果、可動子が上部ストッパと衝突した際に上部案内部材を介して上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
同様に、下部ストッパと可動子との間に下部緩衝材が設けられていることにより、下部ストッパに向かって下部傾斜面に沿って移動した可動子は、下部緩衝材と当接した後に下部ストッパに衝突する。これにより、可動子が直接下部ストッパに衝突する場合と比べて、下部緩衝材が可動子の下部ストッパに向かう速度を低減させることができ、可動子から下部ストッパに伝達される衝撃を低減させることができる。その結果、可動子が下部ストッパに衝突した際の反力によって上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
また、可動子が上部案内部材および下部案内部材から外れることを防止するために上部案内部材および下部案内部材を可動子と相対変位する方向に長くする必要がないため、免震機構の設置スペースを小さくすることができる。
このような構成とすることにより、可動子が上部ストッパに向かうように可動子と上部案内部材とが相対移動すると、可動子と上部ストッパとの間のシート部材が圧縮され、可動子の上部ストッパに向かう速度が低減するため、可動子から上部ストッパに伝達される衝撃を低減させることができる。これにより、可動子が上部ストッパに衝突した際に上部案内部材を介して上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
同様に、可動子が下部ストッパに向かうように可動子と下部案内部材とが相対移動すると、可動子と下部ストッパとの間のシート部材が圧縮され、可動子の下部ストッパに向かう速度が低減するため、可動子から下部ストッパに伝達される衝撃を低減させることができる。これにより、可動子が下部ストッパに衝突した際の反力によって上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
このような構成とすることにより、可動子が上部ストッパに向かうように可動子と上部案内部材とが相対移動すると、可動子と上部ストッパとの間のばね部材が弾性変形し、可動子の上部ストッパに向かう速度が低減するため、可動子から上部ストッパに伝達される衝撃を低減させることができる。これにより、可動子が上部ストッパに衝突した際に上部案内部材を介して上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
同様に、可動子が下部ストッパに向かうように可動子と下部案内部材とが相対移動すると、可動子と下部ストッパとの間のばね部材が弾性変形し、可動子の下部ストッパに向かう速度が低減するため、可動子から下部ストッパに伝達される衝撃を低減させることができる。これにより、可動子が下部ストッパに衝突した際の反力によって上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
このような構成とすることにより、可動子が上部ストッパおよび下部ストッパに想定外の力で衝突した際に、下部案内部材と下部構造体とが水平方向に相対変位できるため、下部構造体に伝達する衝撃の反力によって上部構造体に伝達される加速度を低減させることができる。
以下、本発明の第1実施形態による免震機構について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、第1実施形態による免震機構1Aは、上部構造体11と下部構造体12との間の免震層13に設けられている。下部構造体12は地盤に支持されている。上部構造体11と下部構造体12とは水平方向に相対変位可能に構成されている。なお、免震層13には複数の免震機構1Aが設けられているものとする。
免震機構1Aでは、上部案内部材2と下部案内部材3とは、水平方向に相対変位可能で、鉛直方向の相対変位が水平方向の相対変位により決定されるように構成されている。
上部案内部材2と可動子4とが相対移動すると、可動子4が第1上部傾斜面211または第2上部傾斜面212に沿って移動するように構成されている。第1上部傾斜面211および第2上部傾斜面212には、可動子4との摩擦を低減させるように、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材が設けられている。
下部案内部材3と可動子4とが相対移動すると、可動子4が第1下部傾斜面311または第2下部傾斜面312に沿って移動するように構成されている。第1下部傾斜面311および第2下部傾斜面313には、可動子4との摩擦を低減させるように、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材が設けられている。
本体部41には、上部に上部当接面44が形成され、下部に下部当接面45が形成されている。
上部当接面44は、X方向に沿ってX方向の略中央部が上側に凸となる略逆V字状の傾斜面に形成されている。この上部当接面44のX方向の略中央部の屈曲している部分を上部屈曲部44aとする。
また、上部当接面44のうち、上部屈曲部44aのX方向の一方側を第1上部当接面441とし、X方向の他方側を第2上部当接面442とする。
なお、本体部41には、第1上部当接面441に代わって上部案内部材2の第1上部傾斜面211に沿って転動可能な転動部材が設けられていて、第2上部当接面442に代わって上部案内部材2の第2上部傾斜面212に沿って転動可能な転動部材が設けられていてもよい。
また、下部当接面45のうち、下部屈曲部45aのY方向の一方側を第1下部当接面451とし、X方向の他方側を第2下部当接面452とする。
なお、本体部41には、第1下部当接面451に代わって下部案内部材3の第1下部傾斜面311に沿って転動可能な転動部材が設けられていて、第2下部当接面452に代わって下部案内部材3の第2下部傾斜面312に沿って転動可能な転動部材が設けられていてもよい。
第1孔部411と第2孔部412とはY方向に間隔をあけて平行に配置されている。第3孔部413と第4孔部414とはX方向に間隔をあけて平行に配置されている。第1孔部411および第2孔部412は、第3孔部413および第4孔部414よりも上側に第3孔部413および第4孔部414と交差しない位置に配置されている。
一対の上部突出板部42,42の互いに対向する面における上端部近傍には、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材421,421(図1および図5参照)が設けられている。
一対の上部突出板部42,42は、第1上部当接面441および第2上部当接面442よりも上側に突出している。一対の上部突出板部42,42は、可動子4が上部案内部材2の下側に配置されると、上部案内部材2をY方向の両側から挟み込むように上部案内部材2の側方に配置され、それぞれに設けられた滑り材421,421が上部案内部材2の側面と当接するように構成されている。このとき、一対の上部突出板部42,42の上端面は、上部案内部材2を上部構造体11に固定する上部固定板22の下面と所定間隔をあけて離間するように設定されている。
一対の下部突出板部43,43の互いに対向する面における下端部近傍には、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材431,431(図2および図6参照)が設けられている。
一対の下部突出板部43,43は、第1下部当接面451および第2下部当接面452よりも下側に突出している。一対の下部突出板部43,43は、可動子4が下部案内部材3の上側に配置されると、下部案内部材3をX方向の両側から挟み込むように下部案内部材3の側方に配置され、それぞれに設けられた滑り材431,431が下部案内部材3の側面と当接するように構成されている。このとき、一対の下部突出板部43,43の上端面は、下部案内部材3を下部構造体12に固定する下部固定板32の下面と所定間隔をあけて離間するように設定されている。
第1上部ストッパ51および第2上部ストッパ52は、可動子4が上部案内部材2とX方向に相対移動した際の軌道上に配置されていて、可動子4が上部案内部材2のX方向の両端部から外側に外れることを阻止するように構成されている。
一対の上部緩衝材6,6は、一方の第1上部緩衝材61が可動子4と第1上部ストッパ51との間に配置され、他方の第2上部緩衝材62が可動子4と第2上部ストッパ52との間に配置されている。
第1上部緩衝材61および第2上部緩衝材62は、第1上部ストッパ51との間に架設された第1上部線材63および第2上部線材64にそれぞれ支持されている。
なお、図2および図3では、説明のために第1上部緩衝材61および第2上部緩衝材62を、厚みのあるシート状に示している。
第1上部線材63は、一方の端部が第1上部ストッパ51のY方向一方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2上部ストッパ52のY方向一方側の部近傍に固定されている。第1上部線材63は可動子4の第1孔部411に挿通されている。
第2上部線材64は、一方の端部が第1上部ストッパ51のY方向他方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2上部ストッパ52のY方向他方側の部近傍に固定されている。第2上部線材64は可動子4の第2孔部412に挿通されている。
このような第1上部緩衝材61は、第1上部傾斜面211との間に隙間が設けられた状態で第1上部傾斜面211を覆っている。
このような第2上部緩衝材62は、第2上部傾斜面212との間に隙間が設けられた状態で第2上部傾斜面212を覆っている。
第1下部ストッパ71および第2下部ストッパ72は、可動子4が下部案内部材3とY方向に相対移動した際の軌道上に配置されていて、可動子4が下部案内部材3のY方向の両端部から外側に外れることを阻止するように構成されている。
一対の下部緩衝材8,8は、一方の第1下部緩衝材81が可動子4と第1下部ストッパ71との間に配置され、第2下部緩衝材82が可動子4と第2下部ストッパ72との間に配置されている。第1下部緩衝材81および第2下部緩衝材82は、第1下部ストッパ71との間に架設された第1下部線材83および第2下部線材84にそれぞれ支持されている。
なお、図1および図3では、説明のために第1下部緩衝材81および第2下部緩衝材82を、厚みのあるシート状に示している。
第1下部線材83は、一方の端部が第1下部ストッパ71のX方向一方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2下部ストッパ72のX方向一方側の部近傍に固定されている。第1下部線材83は可動子4の第3孔部413に挿通されている。
第2下部線材84は、一方の端部が第1下部ストッパ71のX方向他方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2下部ストッパ72のX方向他方側の部近傍に固定されている。第2下部線材84は可動子4の第4孔部414に挿通されている。
このような第1下部緩衝材81は、第1下部傾斜面311との間に隙間をあけた状態で第1下部傾斜面311を覆っている。
このような第2下部緩衝材82は、第2下部傾斜面312との間に隙間をあけた状態で第2下部傾斜面312を覆っている。
図5乃至図8示すように、地震が生じて上部構造体11と下部構造体12とが水平方向に相対変位すると、上部案内部材2と下部案内部材3とが水平方向に相対変位して、上部案内部材2と下部案内部材3に対して交差部10が移動する。
可動子4は、常に上部案内部材2と下部案内部材3との交差部10に配置されている。このため、図1および図2に示す初期状態から、図5および図6に示すように、可動子4と下部案内部材3とがY方向に相対変位した状態となると、下部案内部材3に対する可動子4の位置が初期状態よりも高い位置となり、ポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)が蓄積される。また、初期状態から図7および図8に示すように、可動子4と上部案内部材2とがX方向に相対変位した状態となると、可動子4に対する上部案内部材2の位置が初期状態よりも高い位置となり、ポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)が蓄積される。
このとき、下部緩衝材8の第2下部緩衝材82は、可動子4にY方向他方側に押されて可動子4と第2下部ストッパ72とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第2下部緩衝材82の復元力、および圧縮された第2下部緩衝材82を介して可動子4が第2下部ストッパ72と衝突することにより、可動子4は、下部案内部材3に対するY方向他方側への移動が停止され、第2下部傾斜面312沿ってY方向一方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
このとき、下部緩衝材8の第1下部緩衝材81は、可動子4にY方向一方側に押されて可動子4と第1下部ストッパ71とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第1下部緩衝材81の復元力、および圧縮された第1下部緩衝材81を介して可動子4が第1下部ストッパ71と衝突することにより、可動子4は、下部案内部材3に対するY方向一方側への移動が停止され、第1下部傾斜面311沿ってY方向他方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
このとき、上部緩衝材6の第2上部緩衝材62は、可動子4にX方向他方側に押されて可動子4と第2上部ストッパ52とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第2上部緩衝材62の復元力、および圧縮された第2上部緩衝材62を介して可動子4が第2上部ストッパ52と衝突することにより、可動子4は、上部案内部材2に対するX方向他方側への移動が停止され、第2上部傾斜面212沿ってX方向一方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
このとき、上部緩衝材6の第1上部緩衝材61は、可動子4にX方向一方側に押されて可動子4と第1上部ストッパ51とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第1上部緩衝材61の復元力、および圧縮された第1上部緩衝材61を介して可動子4が第1上部ストッパ51と衝突することにより、可動子は、上部案内部材2に対するX方向一方側への移動が停止され、第1上部傾斜面211沿ってX方向他方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
上述した第1実施形態による免震機構1Aでは、一対の上部ストッパ5,5を有するとともに、一対の下部ストッパ7,7を有することにより、免震機構1Aに巨大地震等の過大外力や、風圧力等の免震機構1Aの滑動限界を超過する片流れ荷重が作用した際に可動子4が上部案内部材2および下部案内部材3から外れることを防止できる。
可動子4が上部案内部材2および下部案内部材3から外れることが防止されることにより、過大外力が作用した際の免震機構1Aならびにその周囲の復旧に必要な期間を大幅に短縮することが可能となる。
また、風圧力の作用する屋外設置設備機器類等に対して、免震機構1Aを設けることによって、風圧力による免震機構の脱落を防止することができる。
また、上部緩衝材6,6は上部傾斜面21を覆うように配置されていることにより、上部緩衝材6,6を上部傾斜面21の防塵カバーとすることができる。また、下部緩衝材8,8は、下部傾斜面31を覆うように配置されていることにより、下部緩衝材8,8を下部傾斜面31の防塵カバーとすることができる。
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図9乃至11に示すように、第2実施形態による免震機構1Bは、図1に示すような第1実施形態による免震機構1Aのような自己復元性を有するゴムシートなどの弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方で同様に形成された薄膜状のシート部材を利用した上部緩衝材6,6、下部緩衝材8,8(図1乃至図3参照)に代わって、皿ばね93を利用した上部緩衝材6B,6B、下部緩衝材8B,8Bが設けられている。
第1上部緩衝材65、第2上部緩衝材66、第1下部緩衝材85および第2下部緩衝材86は、同一の構造に形成されていて、支持される上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7および上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7に支持された際の向きが異なっている。このため、第2下部緩衝材86の構造について説明し、第1上部緩衝材65、第2上部緩衝材66、および第1下部緩衝材85の構造については説明を省略する。
ボルト91は、第2下部ストッパ72に形成されたY方向に貫通する貫通孔721に挿通され、頭部91aが第2下部ストッパ72よりもY方向他方側となり、脚部91bの先端部が第2下部ストッパ72よりもY方向一方側となるように配置されている。
ボルト91は、第2下部ストッパ72の貫通孔721にY方向の他方側から挿通され、頭部91aが貫通孔721を挿通できないように構成されている。
第2板部922には、ボルト91の脚部91bの先端部分が固定されている。本実施形態では、第2板部922には、4本のボルト91が固定されている。
第2板部922は、下端部が下部案内部材3の第2下部傾斜面312の上側に第2下部傾斜面312と離間するように配置されている。第2板部922は、ボルト91とともに第2下部ストッパ72とY方向に相対移動可能に構成されている。
皿ばね93は、ボルト91、可動子当接部92および第2下部ストッパ72とY方向に相対移動可能に構成されている。
このとき、上部案内部材2は第1緩衝シート923と当接するため、第1緩衝シート923によって上部案内部材2が第1板部921に当接した際の衝撃が吸収される。また、可動子4は、第2緩衝シート924と当接するため第2緩衝シート924によって可動子4が第2板部922に当接した際の衝撃が吸収される。
そして、皿ばね93が圧縮されることにより、可動子4から第2下部緩衝材86を介して第2下部ストッパ72に伝達される衝撃を低減することができる。
このとき、ボルト91は第2下部ストッパ72およびに固定されていないため、可動子当接部92とともに変位することになる。
なお、可動子4が初期状態となるように復元すると、皿ばねにY方向の力が作用しないため、皿ばね93の形状が復元する。
例えば、上記の実施形態による免震機構1A,1Bでは、下部案内部材3と下部構造体12に固定されているが、下部案内部材3と下部構造体12とが水平方向に相対移動に可能に構成されていてもよい。この場合、可動子4と上部案内部材2および下部案内部材3との摩擦係数よりも下部案内部材3と下部構造体12との摩擦係数が大きくなるように設定する。このようにすることにより、可動子4が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7に想定外の力で衝突した際に、免震機構1A,1Bが下部構造体と水平方向に相対移動することにより、下部構造体から上部構造体に伝達する加速度を低減させることができる。
上部緩衝材6,6および下部緩衝材8,8に自己復元性がない布などを用いたシート部材の場合、シート部材の一方の端部を上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7近傍の上部傾斜面21、下部傾斜面31に固定し、他方の端部を磁石などで可動子4に固定する。これにより、可動子4が上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7と衝突する際には、シート部材が圧縮されてその衝撃を低減させることができる。そして、可動子4が初期状態に復元されると、シート部材も初期状態に復元されることになる。なお、磁石に代わってゼンマイ式のばねなどを用いてもよい。
また、上記の第1実施形態による免震機構1Aでは、上部緩衝材6,6および下部緩衝材8,8は可動子4に固定されていないが、弾性変形可能な形態であれば固定されていてもよい。
また、上記の第2実施形態による免震機構1Bの変形例として、図18に示すように、上部緩衝材6B,6Bおよび下部緩衝材8B,8Bのボルト91に引張ばね94が挿通されていて、引張ばね94がボルト91の頭部91aと上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7との間に配置されていてもよい。このように構成されていることにより、皿ばね93および引張ばね94によって可動子4が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7に衝突した際の衝撃を低減することができる。また、衝突した方向と反対方向の反発力を発生させることができ、可動子4を初期状態に確実に復元することができる。
また、上記の第2実施形態による免震機構1Bでは、上部緩衝材6B,6Bおよび下部緩衝材8B,8Bの可動子当接部92に第1緩衝シート923および第2緩衝シート924が設けられているが、設けられていなくてもよい。
ここで、図20に示すような上部緩衝材および下部緩衝材が設けられていない免震機構100が設置された構造物101と、図21に示すように上部緩衝材(不図示)および下部緩衝材8C,8Cが設けられた免震機構1Cを有する構造物102と、のそれぞれにおける時刻歴地震応答解析を行った。
また、解析モデルは、いずれの構造物101,102においても、上部ストッパ(不図示)、下部ストッパ7,7を有し、初期状態の可動子4から上部ストッパ、下部ストッパ7,7までの寸法aが300mmの不感帯付剛ばねとしている。
部緩衝材および下部緩衝材が設けられていない免震機構100が設置された構造物101の解析モデルでは、上部緩衝材、下部緩衝材8C,8Cは、上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7から可動子4側への寸法bが50mmの不感帯不粘性要素(1.0kNs/cm)とした。
上部緩衝材および下部緩衝材8C,8Cが設けられていない構造物101では、図23(a)に示すように、初期状態からの最大変位は300mm、図23(b)に示すように最大加速度は5994galであった。また、上部ストッパ、下部ストッパ7,7の反力は678kNであった。
M=678×0.01=6078kNm
上部ストッパ、下部ストッパ7,7の幅寸法は、下部案内部材3の幅寸法と同じ120mm、上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7厚さ寸法を30mmとすると以下のように示すことができる。
Z=120×302/6=18000mm3
よって、σ=6.78×106/18000=377N/mm2となる。これは、SS400程度の鋼材で、最大耐力以下の値となる。なお、不感帯付剛バネの剛性は1.0×1010N/mとした。この値によって応答値が変化するため、上記の諸検討結果は参考値である。
以上のことから、免震機構1Cに上部緩衝材および下部緩衝材8C,8Cが設けられていることにより、上部構造体11に伝達する衝撃を低減させることができる。
なお、上部緩衝材6,6、下部緩衝材8、8の弾性および粘弾性の値を調節することによって、最大変位および最大加速度を調整することができる。このため、免震機構に終破壊モードの自由度(変位重視か加速度重視か)を付与することができる。
また、免震機構の終局時まで含めた性能の評価が可能となる。
2 上部案内部材
3 下部案内部材
4 可動子
5 上部ストッパ
6,6B 上部緩衝材
7 下部ストッパ
8,8B 下部緩衝材
11 上部構造体
12 下部構造体
13 免震層
21 上部傾斜面
31 下部傾斜面
44 上部当接面
45 下部当接面
51 第1上部ストッパ
52 第2上部ストッパ
65 第1上部緩衝材
66 第2上部緩衝材
71 第1下部ストッパ
72 第2下部ストッパ
81,85 第1下部緩衝材
82,86 第2下部緩衝材
91 ボルト
92 可動子当接部
93 皿ばね(ばね部材)
Claims (4)
- 水平方向に相対変位可能な上部構造体と下部構造体との間に設けられる免震機構において、
前記上部構造体の底部に設けられ、一の水平方向に沿って上側に凸となる逆V字型状に傾斜する上部傾斜面を有する上部案内部材と、
前記下部構造体の上部に設けられ、前記一の水平方向に直交する他の水平方向に沿って下側に凸となるV字型状に傾斜する下部傾斜面を有する下部案内部材と、
前記上部案内部材と前記下部案内部材との間に配置され、前記上部傾斜面に沿って前記上部案内部材と前記一の水平方向に相対変位可能であるとともに、前記下部傾斜面に沿って前記下部案内部材と前記他の水平方向に相対変位可能な可動子と、
前記上部案内部材に支持され前記可動子の前記上部案内部材に対する軌道の前記一の水平方向の両端に配置された一対の上部ストッパと、
該一対の上部ストッパと前記可動子との間それぞれに配置された一対の上部緩衝材と、
前記下部案内部材に支持され前記可動子の前記下部案内部材に対する軌道の前記他の水平方向の両端に配置された一対の下部ストッパと、
該一対の下部ストッパと前記可動子との間それぞれに配置された一対の下部緩衝材と、を有することを特徴とする免震機構。 - 前記上部緩衝材は、弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方によって形成され、前記上部ストッパと前記可動子との間全体に配置された薄膜状のシート部材を有し、
前記下部緩衝材は、弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方によって形成され、前記下部ストッパと前記可動子との間全体に配置された薄膜状のシート部材を有することを特徴とする請求項1に記載の免震機構。 - 前記上部緩衝材は、前記一の水平方向に弾性変形可能に構成され前記上部ストッパに支持されたばね部材を有し、
前記下部緩衝材は、前記他の水平方向に弾性変形可能に構成され前記下部ストッパに支持されたばね部材を有することを特徴とする請求項1に記載の免震機構。 - 前記上部案内部材は、前記上部構造体と水平方向の相対移動が拘束され、
前記下部案内部材は、前記下部構造体と水平方向に相対移動可能に構成されていて、
前記下部案内部材と前記下部構造体との摩擦係数は、前記可動子と前記下部傾斜面との摩擦係数よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の免震機構。
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