JP2016094989A - 振動吸収装置及び建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】省スペース化を図りつつ設置コストを抑制することができる振動吸収装置及び建物を提供する。
【解決手段】建物において上下に対向する構造部材間に設けられる振動吸収装置1であって、上下一対のベース部材2と、下側ベース部材2Aに固定される下段ガイド3と、下段ガイド3に案内される下段スライダ4と、下側ベース部材2Aと下段スライダ4とを互いに摺動させる下段摺動板11と、下段ガイド3と下段スライダ4との相対変位に伴ってエネルギー吸収する下段ダンパー5と、下段スライダ4に固定されるとともに上側ベースプレート2Bに対して移動可能に支持される上段ガイド6と、上段ガイド6に案内されるとともに上側ベースプレート2Bに固定される上段スライダ7と、下段スライダ4と上段スライダ7とを互いに摺動させる上段摺動板12と、上段ガイド6と上段スライダ7との相対変位に伴ってエネルギー吸収する上段ダンパー8と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、建物において上下に対向する構造部材間に設けられる振動吸収装置、及び、この振動吸収装置を備えた建物に関するものである。
従来、基礎などの下部構造と建物本体などの上部構造とを備えた建物において、地盤から下部構造に入力される地震動を上部構造へ伝達させないようにして、上部構造の振動を抑制して損傷を低減させるためのものとして、各種の免震構造あるいは免震装置が利用されている。このような免震装置の一例として、水平面内の二方向(X,Y方向)に滑動又は転動することでスライド自在に設けられたスライダを備えたものであって、所謂、滑り支承や転がり支承と呼ばれる免震装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された免震装置は、建物における上側の構造部材としての土台と下側の構造部材としての基礎コンクリートとの間に設けられるものであって、土台と基礎とに上下一対の摺動部材が互いに直交する方向に延びて固定され、これらの摺動部材に亘ってそれぞれ摺動自在にスライダ(滑り子)が支持されている。従って、地震によって建物本体側の土台と地盤側の基礎とに水平方向の変位が生じる場合には、スライダが上下の摺動部材に沿って移動することによって水平変位を吸収し、地盤の地震動が建物本体に伝達されにくくなっている。
特開2000−192686号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の免震装置は、スライダの移動によって水平変位を吸収することはできるものの、その水平変位を減衰させることができず、即ち、振動エネルギーを吸収することができない。このため、従来の免震装置では、地震や風などの外力の大きさに比例して生じる水平変位が大きくなってしまい、摺動部材の長さ寸法が大型化し、設置スペースを圧迫することになる。また、振動エネルギーを吸収するダンパー等を免震装置に加えて設置するとしても、設置スペースを圧迫するとともに、設置コストが増大してしまうという新たな問題が生じる。
本発明は、省スペース化を図りつつ設置コストを抑制することができる振動吸収装置及び建物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の振動吸収装置は、建物において上下に対向する構造部材間に設けられ、上側の構造部材からの鉛直荷重を下側の構造部材に伝達するとともに、上側の構造部材と下側の構造部材との間に生じる水平変位によってエネルギー吸収を行う振動吸収装置であって、前記上側及び下側の構造部材にそれぞれ固定される上下一対のベース部材と、前記上下一対のベース部材のうち一方のベース部材に固定される第一案内部材と、前記第一案内部材によって水平面内の第一方向に案内されて前記一方のベース部材に対して移動自在に支持される第一移動部材と、前記一方のベース部材と前記第一移動部材とを互いに摺動させるとともに相互間に鉛直荷重を伝達させる第一摺動手段と、前記第一移動部材と前記第一案内部材との相対変位に伴ってエネルギー吸収する第一減衰部材と、前記第一移動部材に固定されるとともに前記上下一対のベース部材のうち他方のベース部材に対して移動可能に支持される第二案内部材と、前記第二案内部材によって前記第一方向と交差する水平面内の第二方向に案内されるとともに前記他方のベース部材に固定される第二移動部材と、前記第一移動部材と前記第二移動部材とを互いに摺動させるとともに相互間に鉛直荷重を伝達させる第二摺動手段と、前記第二移動部材と前記第二案内部材との相対変位に伴ってエネルギー吸収する第二減衰部材と、を備えたことを特徴とする。
このような本発明の振動吸収装置によれば、第一案内部材によって第一方向に案内される第一移動部材が一方のベース部材に対して移動するとともに第一摺動手段によって摺動し、第二案内部材によって第二方向に案内される第二移動部材が第一移動部材に対して移動するとともに第二摺動手段によって摺動することで、上側の構造部材と下側の構造部材との間に生じる水平変位を吸収することができる。さらに、第一移動部材と第一案内部材との相対変位に伴って第一減衰部材がエネルギー吸収するとともに、第二移動部材と第二案内部材との相対変位に伴って第二減衰部材がエネルギー吸収することで、上側の構造部材と下側の構造部材との間に生じる水平変位によって振動エネルギーを吸収することができる。従って、上下の構造部材間に生じる水平変位を抑制することができるので、案内部材や移動部材、ベース部材が大型化することなく、設置スペースの省スペース化を図ることができる。さらに、別途のダンパー等を設置する必要がなくなることで、省スペース化を促進させることができるとともに、設置コストを抑制することができる。
この際、本発明の振動吸収装置では、前記第一案内部材は、前記第一移動部材を挟んで対向する一対の第一案内側面部を有して構成され、前記第一移動部材は、前記一対の第一案内側面部の各々に所定の間隔を介して対向する一対の第一移動側面部を有して構成され、前記第一減衰部材は、各一対の前記第一案内側面部と前記第一移動側面部との間にそれぞれ介装される一対の第一粘弾性体を有して構成され、前記第二案内部材は、前記第二移動部材を挟んで対向する一対の第二案内側面部を有して構成され、前記第二移動部材は、前記一対の第二案内側面部の各々に所定の間隔を介して対向する一対の第二移動側面部を有して構成され、前記第二減衰部材は、各一対の前記第二案内側面部と前記第二移動側面部との間にそれぞれ介装される一対の第二粘弾性体を有して構成されることが好ましい。
この構成によれば、第一減衰部材が各一対の第一案内側面部と第一移動側面部との間にそれぞれ介装される一対の第一粘弾性体を有して構成され、第二減衰部材が各一対の第二案内側面部と第二移動側面部との間にそれぞれ介装される一対の第二粘弾性体を有して構成されているので、大きな面積(体積)の第一粘弾性体及び第二粘弾性体を設置することができ、これらによるエネルギー吸収量を増大させることができる。また各粘弾性体が案内側面部と移動側面部との間に介装されているので、粘弾性体に鉛直荷重が作用しないことから、粘弾性体のクリープ変形を防止することができるとともに、地震や風等の建物に作用する水平外力に対して粘弾性体を有効にせん断変形させて振動エネルギーを吸収させることができる。
また、本発明の振動吸収装置では、前記一方のベース部材及び前記第一案内部材の少なくとも一方と、前記第一移動部材との間には、該第一移動部材の移動範囲を規制する第一規制手段が設けられ、前記第一案内部材及び前記第二案内部材の少なくとも一方と、前記第二移動部材との間には、該第二移動部材の移動範囲を規制する第二規制手段が設けられることが好ましい。
この構成によれば、第一移動部材の移動範囲が第一規制手段によって規制され、第二移動部材の移動範囲が第二規制手段によって規制されるので、第一移動部材及び第二移動部材の過度な移動を防止することができ、振動吸収装置が破損したり建物が不安定な状態になったりすることを抑制することができる。また、規制手段がベース部材や案内部材に設けられていることで、別途の規制部材を設ける必要がなくなり、部品点数や組立工数を削減することができ、設置コストをさらに抑制することができる。
さらに、本発明の振動吸収装置では、前記一方のベース部材及び前記第一案内部材の少なくとも一方と、前記第一移動部材との間には、該第一移動部材を初期位置に復帰させる第一復帰手段が設けられ、前記第一案内部材及び前記第二案内部材の少なくとも一方と、前記第二移動部材との間には、該第二移動部材を初期位置に復帰させる第二復帰手段が設けられることが好ましい。
この構成によれば、移動した第一移動部材を第一復帰手段によって初期位置に復帰させ、移動した第二移動部材を第二復帰手段によって初期位置に復帰させることで、振動吸収装置を初期の設置状態に戻すことができる。従って、建物における上下の構造部材間に生じる水平変位に伴い、振動吸収装置によって振動エネルギーを吸収して建物の揺れを抑制した後に、上下の構造部材間の残留変形が残らないようにして、建物の所定の機能を維持させることができる。
また、本発明の振動吸収装置では、前記上下一対のベース部材は、該一対のベース部材同士の平行状態を維持する平行維持手段によって連結されていることが好ましい。
この構成によれば、上下のベース部材同士の平行状態が平行維持手段によって維持されることで、第一移動部材及び第二移動部材を円滑に移動させることができ、第一減衰部材及び第二減衰部材によるエネルギー吸収性能を高めることができる。また、上下のベース部材同士の平行状態が維持されることで、各部材の傾きが防止でき、第一移動部材及び第二移動部材が移動する際の余計な応力の発生を抑制して、装置の破損を防ぐとともに耐久性を高めることができる。
一方、本発明の建物は、上側の構造部材としての建物本体と、下側の構造部材としての基礎と、を備え、前記建物本体と前記基礎との間に前記いずれかの振動吸収装置が設けられていることを特徴とする。
このような本発明の建物によれば、前述した振動吸収装置と同様に、建物本体と基礎との間に生じる水平変位を振動吸収装置によって吸収するとともに、その第一減衰部材及び第二減衰部材がエネルギー吸収することで、建物本体と基礎との間に生じる水平変位によって振動エネルギーを吸収することができ、地盤から基礎を通じて入力する地震動や、建物本体に作用する風に対し、建物本体の揺れを低減させて耐震、耐風性能を向上させることができる。
以上の本発明によれば、建物における上下の構造部材間に生じる水平変位を吸収するとともに、建物に対する外乱の入力エネルギーを減衰部材が吸収することで、地震や風、交通振動などの外乱に対する建物の揺れを抑制し、耐久性や居住性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る振動吸収装置を示す斜視図である。 前記振動吸収装置を示す分解斜視図である。 前記振動吸収装置を示す側面図である。 前記振動吸収装置を示す図3と直交する方向の側面図である。 前記振動吸収装置を示す縦断面図である。 前記振動吸収装置を示す図5と直交する方向の縦断面図である。 図3、4に矢視VII線で示す前記振動吸収装置の横断面図である。 図3、4に矢視VIII線で示す前記振動吸収装置の横断面図である。 図3、4に矢視IX線で示す前記振動吸収装置の横断面図である。 図3、4に矢視X線で示す前記振動吸収装置の横断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る振動吸収装置及び建物を、図1〜10に基づいて説明する。本実施形態の振動吸収装置1は、例えば、戸建て住宅や小規模の集合住宅等の木造建物に適用されるものである。ここで、建物は、図1に示すように、地盤G上に構築される鉄筋コンクリート造の基礎(下側の構造部材)Fと、この基礎Fの上側に設けられる建物本体(上側の構造部材)Sと、を有して構成され、これらの基礎Fと建物本体Sとの間に振動吸収装置1が設けられている。基礎Fは、基礎スラブF1と、この基礎スラブF1よりも下方に突出した基礎梁F2と、を有して形成されている。建物本体Sは、振動吸収装置1に支持される土台S1と、この土台S1の上に立設される柱(不図示)と、柱に接合される梁や壁、屋根等と、を有して構成されている。
振動吸収装置1は、建物本体Sからの鉛直荷重を基礎Fに伝達する、つまり建物本体Sを支持するとともに、建物本体Sと基礎Fとの間に生じる水平変位を吸収しつつ、この水平変位によってエネルギー吸収を行うものである。即ち、振動吸収装置1は、地盤Gから基礎Fを介して建物本体Sに地震動が入力しようとした際に、建物本体Sと基礎Fとの間に生じる水平変位によって振動エネルギーを吸収し、建物本体Sへの入力動を減じることで、建物本体Sの揺れを抑制する基礎制震装置として機能する。また、振動吸収装置1は、風荷重によって建物本体Sに揺れが生じた場合に、建物本体Sと基礎Fとの間に生じる水平変位によって振動エネルギーを吸収することで、建物本体Sの揺れを抑制する制振装置としても機能する。さらに、振動吸収装置1は、地盤Gから基礎Fを介して建物本体Sに入力する交通振動や工事等の振動エネルギーを吸収することで、建物本体Sの揺れを抑制する制振装置としても機能するようになっている。
振動吸収装置1は、図1、2に示すように、基礎F及び土台S1にそれぞれ固定される上下一対のベース部材としてのベースプレート2(一方のベース部材である下側ベースプレート2A及び他方のベース部材である上側ベースプレート2B)と、下側ベースプレート2Aに固定される第一案内部材としての下段ガイド3と、この下段ガイド3に案内される第一移動部材としての下段スライダ4と、下段ガイド3と下段スライダ4との間に介装される第一減衰部材としての下段ダンパー5と、下段スライダ4の上側に固定される第二案内部材としての上段ガイド6と、この上段ガイド6に案内される第二移動部材としての上段スライダ7と、上段ガイド6と上段スライダ7との間に介装される第二減衰部材としての上段ダンパー8と、を備えて構成されている。
さらに、振動吸収装置1は、図2に示すように、下側ベースプレート2Aと下段スライダ4とを互いに摺動させるとともに相互間に鉛直荷重を伝達させる第一摺動手段としての下段摺動板11と、下段スライダ4と上段スライダ7とを互いに摺動させるとともに相互間に鉛直荷重を伝達させる第二摺動手段としての上段摺動板12と、下段ガイド3に固定されて下段スライダ4を初期位置に復帰させる第一復帰手段としての下段ばね13と、上段ガイド6に固定されて上段スライダ7を初期位置に復帰させる第二復帰手段としての上段ばね14と、下段スライダ4と上段ガイド6とを固定する下段固定板15と、上段スライダ7と上側ベースプレート2Bとを固定する上段固定板16と、を備えて構成されている。
下側ベースプレート2Aは、平面矩形状の鋼板21と、この鋼板21の下面に固定された平面井桁状の脚部22と、を有して構成されている。鋼板21は、例えば、板厚寸法が6mmであり、X方向の幅寸法及びY方向の奥行寸法がそれぞれ450mmに設定されている。脚部22は、例えば、板厚寸法が6mm、Z方向の高さ寸法が40mmの鋼板を用い、この鋼板をX方向及びY方向にそれぞれ2列ずつ並べて構成されている。鋼板21には、基礎梁F2に埋設されて立ち上がる8本のアンカーボルトBを各々挿通させるための8個の第一挿通孔23と、基礎梁F2に埋設されて立ち上がる4本のケーブルアンカーCを各々挿通させるための4個の第二挿通孔24と、が形成されている。
上側ベースプレート2Bは、平面矩形状の鋼板25と、この鋼板25の上面に固定されて土台S1を接合するための接合金物26と、を有して構成されている。鋼板25は、下側ベースプレート2Aの鋼板21と同様に、例えば、板厚寸法が6mmであり、X方向の幅寸法及びY方向の奥行寸法がそれぞれ450mmに設定されている。鋼板25には、基礎梁F2から立ち上がる4本のケーブルアンカーCを各々挿通させるための4個の挿通孔27が形成されている。接合金物26は、例えば、板厚寸法が1mm〜2mmの鋼板を曲げ加工したU字形金物を4個用い、これらのU字形金物をX方向及びY方向にそれぞれ2個ずつ並べて鋼板25の上面に金属接着により固定されている。この接合金物26は、立上壁を貫通するビスによって土台S1に固定され、これにより土台S1と上側ベースプレート2Bとが接合されるようになっている。
下段ガイド3は、X方向に対向する左右一対のガイド部材3A,3Bで構成され、これら一対のガイド部材3A,3Bが下側ベースプレート2Aの上面に対し、それぞれ4本ずつのアンカーボルトBと、各アンカーボルトBに螺合するナットNと、によって固定されている。ガイド部材3A,3Bは、それぞれ上フランジ31、下フランジ32、及びウェブ33を有した同一断面形状のチャンネル材から形成され、このチャンネル材としては、例えば、高さ寸法が180mm、幅寸法が70mm、板厚寸法が4.5mmの規格品が用いられ、Y方向の長さ寸法が350mmに設定されている。一対のガイド部材3A,3Bは、各々のウェブ33を背中合わせに対向させて設置され、これらのウェブ33によって第一案内側面部が構成されている。
ガイド部材3A,3Bの上フランジ31は、長さ方向(Y方向)両端部から所定長さが折り曲げられ、各々のウェブ33同士が対向する内方に向かって延びて設けられ、これらの折り曲げられた部位によって規制片34が構成されている。また、規制片34以外の上フランジ31、下フランジ32、及びウェブ33には、鋼板からなる2枚の補強リブ35が溶接固定されている。さらに、規制片34以外の上フランジ31上面には、上段スライダ7を摺動させる摺動板36が設けられている。下フランジ32には、4本のアンカーボルトBを各々挿通させるための4個の挿通孔37が形成され、これらの挿通孔37に挿通させたアンカーボルトBにナットNを締め付けることで、ガイド部材3A,3Bが下側ベースプレート2Aに固定されるとともに、下側ベースプレート2Aが基礎Fに固定されるようになっている。
下段スライダ4は、上面部41、下面部42、及び左右の側面部(一対の第一移動側面部)43を有した角型鋼管4Aと、この角型鋼管4Aの長手方向(Y方向)両端部の開口を塞ぐ一対の端面板44と、を有して構成されている。角型鋼管4Aとしては、例えば、高さ寸法が175mm、幅寸法が175mm、板厚寸法が4.5mmの規格品が用いられ、Y方向の長さ寸法が350mmに設定されている。端面板44は、例えば、板厚寸法が4.5mmの鋼板からなり、角型鋼管4Aの内周面に溶接固定されている。即ち、下段スライダ4は、角型鋼管4Aと一対の端面板44とによって中空直方体状の箱型に形成されている。この下段スライダ4は、下側ベースプレート2A上の下段摺動板11に載置されることで、摺動可能に支持されている。さらに、左右の側面部43とガイド部材3A,3Bの各ウェブ33とが所定間隔を有して対向して設けられることで、下段スライダ4は、下段ガイド3によってY方向に移動自在に案内されるようになっている。
下段ダンパー5は、弾性と粘性を有した第一粘弾性体としての粘弾性体5A(VEM:Visco-elastic Material)で構成され、板状又はシート状に形成されるとともに、下段スライダ4の左右に一対で設けられている。ここで、粘弾性体は、外力や振動によって変形することで内部発熱し、振動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、エネルギー吸収する減衰部材である。一対の下段ダンパー5は、それぞれ例えば、高さ寸法が155mm、厚さ寸法が15mm、Y方向の長さ寸法が340mmに設定されている。各下段ダンパー5は、ガイド部材3A,3Bの各ウェブ33と下段スライダ4の左右の側面部43とにそれぞれ接着され、これらの間に介装されている。従って、下段スライダ4がY方向に移動した際に、その左右の側面部43とガイド部材3A,3Bの各ウェブ33との間に相対変位が生じると、この相対変位に伴って粘弾性体5Aがせん断変形し、これによってエネルギー吸収が行われるようになっている。
上段ガイド6は、Y方向に対向する左右一対のガイド部材6A,6Bで構成され、これら一対のガイド部材6A,6Bが下段スライダ4の上面部41に対し、それぞれ金属接着又は溶接によって固定されている。ガイド部材6A,6Bは、下段ガイド3のガイド部材3A,3Bと同様に、それぞれ上フランジ61、下フランジ62、及びウェブ63を有した同一断面形状のチャンネル材から形成され、このチャンネル材としては、例えば、高さ寸法が180mm、幅寸法が70mm、板厚寸法が4.5mmの規格品が用いられ、X方向の長さ寸法が350mmに設定されている。一対のガイド部材6A,6Bは、各々のウェブ63を背中合わせに対向させて設置され、これらのウェブ63によって第二案内側面部が構成されている。
ガイド部材6A,6Bの上フランジ61は、長さ方向(X方向)両端部から所定長さが折り曲げられ、各々のウェブ63同士が対向する内方に向かって延びて設けられ、これらの折り曲げられた部位によって規制片64が構成されている。また、規制片64以外の上フランジ61、下フランジ62、及びウェブ63には、鋼板からなる2枚の補強リブ65が溶接固定されている。さらに、規制片64以外の上フランジ61上面には、上側ベースプレート2Bを摺動させる摺動板66が設けられている。ガイド部材6A,6Bの下フランジ62は、下段スライダ4の上面部41に金属接着又は溶接によって固定され、これによって上段ガイド6は、下段スライダ4の移動に伴ってY方向に移動するように構成されている。
上段スライダ7は、上面部71、下面部72、及び左右の側面部(一対の第二移動側面部)73を有した角型鋼管7Aと、この角型鋼管7Aの長手方向(X方向)両端部の開口を塞ぐ一対の端面板74と、を有して構成されている。角型鋼管7Aとしては、下段スライダ4の角型鋼管4Aと同様に、例えば、高さ寸法が175mm、幅寸法が175mm、板厚寸法が4.5mmの規格品が用いられ、X方向の長さ寸法が350mmに設定されている。端面板74は、例えば、板厚寸法が4.5mmの鋼板からなり、角型鋼管7Aの内周面に溶接固定されている。この上段スライダ7は、下段スライダ4上の上段摺動板12に載置されることで、摺動可能に支持されている。さらに、左右の側面部73とガイド部材6A,6Bの各ウェブ63とが所定間隔を有して対向して設けられることで、上段スライダ7は、上段ガイド6によってX方向に移動自在に案内されるようになっている。
上段ダンパー8は、下段ダンパー5と同様に、弾性と粘性を有した第二粘弾性体としての粘弾性体8Aで構成され、板状又はシート状に形成されるとともに、上段スライダ7の左右に一対で設けられている。一対の上段ダンパー8は、それぞれ例えば、高さ寸法が155mm、厚さ寸法が15mm、X方向の長さ寸法が340mmに設定されている。各上段ダンパー8は、ガイド部材6A,6Bの各ウェブ63と上段スライダ7の左右の側面部73とにそれぞれ接着され、これらの間に介装されている。従って、上段スライダ7がX方向に移動した際に、その左右の側面部73とガイド部材6A,6Bの各ウェブ63との間に相対変位が生じると、この相対変位に伴って粘弾性体8Aがせん断変形し、これによってエネルギー吸収が行われるようになっている。
下段摺動板11は、表面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)の被膜が形成され、摩擦係数が小さく摺滑性に優れた鋼板で構成されている。この下段摺動板11は、下側ベースプレート2Aの上面に金属接着等によって固定され、その上側に下段スライダ4を載置することで、下側ベースプレート2Aに対して下段スライダ4を摺動自在かつ鉛直荷重を伝達可能に支持するようになっている。上段摺動板12は、下段摺動板11と同様に摩擦係数が小さく摺滑性に優れた鋼板で構成され、下段スライダ4の上面部41に金属接着等によって固定されている。上段摺動板12は、その上側に上段スライダ7を載置することで、下段スライダ4に対して上段スライダ7を摺動自在かつ鉛直荷重を伝達可能に支持するようになっている。
下段ばね13は、弾性域が大きいばね鋼などからなる鋼板や鋼棒を略M字状に曲げ加工して形成されるものであって、その両端部に設けられて下段ガイド3に固定される一対の固定部131と、一対の固定部131から延びて円弧状に曲がる一対の弧状部132と、これら一対の弧状部132と逆向きの円弧状に曲がり下段スライダ4に当接可能な当接部133と、を有して形成されている。この下段ばね13は、図10にも示すように、一対の固定部131がそれぞれガイド部材3A,3Bのウェブ33に金属接着や溶接によって固定され、当接部133を下段スライダ4の端面板44に当接させて設けられている。このような下段ばね13は、下段ガイド3及び下段スライダ4の長手方向(Y方向)両端部に一対で設けられており、下段ガイド3に対して下段スライダ4が移動した際に、下段スライダ4によって当接部133が押圧されて一対の弧状部132が弾性変形し、その復元力によって当接部133が端面板44を押圧することで、下段スライダ4を初期位置に復帰させるようになっている。
上段ばね14は、下段ばね13と同様の材料から、上段ガイド6に固定される一対の固定部141と、一対の弧状部142と、上段スライダ7に当接可能な当接部143と、を有して形成されている。この上段ばね14は、図8にも示すように、一対の固定部141がそれぞれガイド部材6A,6Bのウェブ63に金属接着や溶接によって固定され、当接部143を上段スライダ7の端面板74に当接させて設けられている。このような上段ばね14は、上段ガイド6及び上段スライダ7の長手方向(X方向)両端部に一対で設けられており、上段ガイド6に対して上段スライダ7が移動した際に、上段スライダ7によって当接部143が押圧されて一対の弧状部142が弾性変形し、その復元力によって当接部143が端面板74を押圧することで、上段スライダ7を初期位置に復帰させるようになっている。
下段固定板15は、適宜な板厚寸法を有した鋼板などから形成され、下段スライダ4の上面部41と、上段ガイド6におけるガイド部材6A,6Bの下フランジ62と、の間に介装され、これらに金属接着や溶接により固定されている。即ち、下段固定板15は、上面部41と下フランジ62とを適宜な間隔だけ離隔させるスペーサーとして機能するとともに、下段スライダ4に対して上段ガイド6を固定する固定手段として機能するものである。上段固定板16は、下段固定板15と同様の材料から形成され、上段スライダ7の上面部71と、上側ベースプレート2Bの下面と、の間に介装され、これらに金属接着や溶接により固定されている。即ち、上段固定板16は、上面部71と上側ベースプレート2Bとを適宜な間隔だけ離隔させるスペーサーとして機能するとともに、上側ベースプレート2Bに対して上段スライダ7を固定する固定手段として機能するものである。
また、図9にも示すように、下段ガイド3に対して下段スライダ4がY方向に移動した際に、上段摺動板12は、下段スライダ4とともに移動し、下段ガイド3におけるガイド部材3A,3Bの規制片34に当接するようになっている。即ち、上段摺動板12と規制片34とによって、下段スライダ4の移動範囲を規制する第一規制手段が構成されている。一方、図7にも示すように、上段ガイド6に対して上段スライダ7が移動した際に、上段固定板16は、上段スライダ7及び上側ベースプレート2Bとともに移動し、上段ガイド6におけるガイド部材6A,6Bの規制片64に当接するようになっている。即ち、上段固定板16及び規制片64によって、上段スライダ7の移動範囲を規制する第二規制手段が構成されている。このような下段スライダ4及び上段スライダ7の移動範囲としては、例えば、片方向に40mmに設定されている。
ケーブルアンカーCは、その中間部分が複数の鋼線を撚った撚り線で構成され、可撓性を有して構成され、撚り線の下端部が長ナット(スリーブ)でアンカーボルトに接続され、このアンカーボルトが基礎Fに埋設されている。このケーブルアンカーCは、図1に示すように、下側ベースプレート2Aの鋼板21対し、第二挿通孔24に挿通されるとともに、表裏2個のナットによって移動不能に固定されている。さらに、ケーブルアンカーCは、上側ベースプレート2Bの鋼板25に対し、挿通孔27に挿通されるとともに、表裏2個のナットによって移動不能に固定されている。このようにケーブルアンカーCによって下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとが外周部の4箇所で連結されることで、下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの間隔が維持されるとともに、互いの平行状態が維持されるようになっている。即ち、ケーブルアンカーCによって平行維持手段が構成されている。
このような本実施形態の振動吸収装置1の動作として、地震動が建物に作用した場合について説明する。地震の際に建物本体Sと地盤Gとが互いに異なる周期で振動すると、土台S1と基礎Fとの間に相対的な水平変位が生じる。この水平変位(応答変位)や、応答加速度、応答速度は、振動吸収装置1を含む地盤G、基礎F及び建物本体Sの連成系の振動特性に依存することになるが、ここでは、説明を簡明にするために、土台S1と基礎Fとの間にある水平変位が生じた場合における振動吸収装置1の動作について説明する。また、水平変位は、水平面内の二次元方向に生じるが、このような二次元方向の変位は、X方向及びY方向の各成分に分解可能であり、分解した各変位成分を以下ではX方向変位、Y方向変位と称することがある。
先ず、土台S1と基礎Fとの間に生じるX方向変位に対し、振動吸収装置1は、図7、8に示すように、上段ガイド6と上段スライダ7とがX方向に相対変位し、これによってX方向変位を吸収する。この際、上段ガイド6は、下段固定板15を介して下段スライダ4に固定され、この下段スライダ4が下段ガイド3及び下側ベースプレート2Aに対してX方向に移動不能に支持されていることから、上段ガイド6は、X方向について基礎Fと一体に移動する。一方、上段スライダ7は、上段固定板16を介して上側ベースプレート2Bに固定されていることから、X方向について土台S1と一体に移動する。さらに、上段スライダ7は、上段摺動板12及び摺動板36を介して下段スライダ4及び下段ガイド3に支持されていることから、下段スライダ4及び下段ガイド3に対してX方向に摺動する。
このようにX方向変位によって上段ガイド6と上段スライダ7とがX方向に相対変位すると、ガイド部材6A,6Bの各ウェブ63と上段スライダ7の左右の側面部73との間に介装された上段ダンパー8にせん断力が作用し、粘弾性体8Aにせん断変形が生じる。粘弾性体8Aがせん断変形することにより、その変形速度に応じた減衰力が発揮され、粘弾性体8Aによって振動エネルギーが吸収される。この際、X方向変位によって下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの間に相対変位が生じることになるが、これらは互いに四隅のケーブルアンカーCで連結されていることから、下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの平行状態が維持され、下段ガイド3や下段スライダ4の倒れや回転が防止できるようになっている。
また、図7に示すように、上段スライダ7が上段ガイド6に対してX方向の片側(右向き又は左向き)に40mm移動した場合、上段固定板16が規制片64に当接し、上段スライダ7の移動が規制される。このように片側40mmを超える上段スライダ7の移動が規制されることで、大地震によって過大な水平変位が振動吸収装置1に生じることが防止されるようになっている。また、上段ガイド6に対して上段スライダ7が移動すると、図8に示すように、上段スライダ7の移動方向前方側の端面板74が上段ばね14の当接部143を押圧し、これによって一対の弧状部142が弾性変形する。このように弾性変形した上段ばね14は、その復元力によって当接部143が端面板74を押圧し、上段スライダ7を初期位置に向かって付勢する。従って、地震後において、上段スライダ7は初期位置に復帰する、即ち、基礎Fと建物本体Sとの間に残留変形が生じないようになっている。
次に、土台S1と基礎Fとの間に生じるY方向変位に対し、振動吸収装置1は、図9、10に示すように、下段ガイド3と下段スライダ4とがY方向に相対変位し、これによってY方向変位を吸収する。この際、下段ガイド3は、アンカーボルトBによって下側ベースプレート2Aに固定されていることから、基礎Fと一体に移動する。一方、下段スライダ4は、下段固定板15を介して上段ガイド6に固定され、この上段ガイド6が上段スライダ7及び上側ベースプレート2Bに対してY方向に移動不能に支持されていることから、下段スライダ4は、Y方向について土台S1と一体に移動する。さらに、下段スライダ4は、下段摺動板11を介して下側ベースプレート2Aに支持されていることから、下側ベースプレート2Aに対してY方向に摺動する。
このようにY方向変位によって下段ガイド3と下段スライダ4とがY方向に相対変位すると、ガイド部材3A,3Bの各ウェブ33と下段スライダ4の左右の側面部43との間に介装された下段ダンパー5にせん断力が作用し、粘弾性体5Aにせん断変形が生じる。粘弾性体5Aがせん断変形することにより、その変形速度に応じた減衰力が発揮され、粘弾性体5Aによって振動エネルギーが吸収される。この際、Y方向変位によって下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの間に相対変位が生じることになるが、これらは互いに四隅のケーブルアンカーCで連結されていることから、下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの平行状態が維持され、上段ガイド6や上段スライダ7の倒れや回転が防止できるようになっている。
また、図9に示すように、下段スライダ4が下段ガイド3に対してY方向の片側(前向き又は後向き)に40mm移動した場合、上段摺動板12が規制片34に当接し、下段スライダ4の移動が規制される。このように片側40mmを超える下段スライダ4の移動が規制されることで、大地震によって過大な水平変位が振動吸収装置1に生じることが防止されるようになっている。また、下段ガイド3に対して下段スライダ4が移動すると、図10に示すように、下段スライダ4の移動方向前方側の端面板44が下段ばね13の当接部133を押圧し、これによって一対の弧状部132が弾性変形する。このように弾性変形した下段ばね13は、その復元力によって当接部133が端面板44を押圧し、下段スライダ4を初期位置に向かって付勢する。従って、地震後において、下段スライダ4は初期位置に復帰する、即ち、基礎Fと建物本体Sとの間に残留変形が生じないようになっている。
以上のように、X方向変位及びY方向変位に対し、振動吸収装置1の上段スライダ7及び下段スライダ4がそれぞれ上段ガイド6及び下段ガイド3に対して移動することで、水平面内の二次元方向に生じる水平変位を振動吸収装置1によって吸収することができる。さらに、上段スライダ7及び下段スライダ4の移動に伴い、上段ダンパー8及び下段ダンパー5の粘弾性体5A,8Aがせん断変形して振動エネルギーを吸収することで、基礎Fと建物本体Sとの間に生じる水平変位を抑制することができる。
以上のような本実施形態の振動吸収装置1によれば以下の効果が得られる。即ち、基礎Fと建物本体Sとの間に生じる水平変位を抑制することができるので、上段ガイド6及び下段ガイド3や、上段スライダ7及び下段スライダ4、ベースプレート2が大型化することなく、設置スペースの省スペース化を図ることができる。さらに、上段ダンパー8及び下段ダンパー5の粘弾性体5A,8Aがエネルギー吸収することで、別途のダンパー等を設置する必要がなくなり、省スペース化を促進させることができるとともに、設置コストを抑制することができる。そして、上段ダンパー8及び下段ダンパー5の粘弾性体5A,8Aによって、地盤Gから基礎Fを通して建物本体Sに入力する地震動の入力エネルギーを減少させることができ、建物の揺れを低減させるとともに建物本体Sの損傷を抑制することができる。
下段ガイド3におけるガイド部材3A,3Bの各ウェブ33と下段スライダ4の左右の側面部43との間に下段ダンパー5が介装され、上段ガイド6におけるガイド部材6A,6Bの各ウェブ63と上段スライダ7の左右の側面部73との間に上段ダンパー8が介装されているので、各ダンパー5,8の粘弾性体5A,8Aの面積(体積)を大きくすることができ、これらによるエネルギー吸収量を増大させることができる。また各粘弾性体5A,8Aがウェブ33,63と側面部43,73との間に介装されているので、粘弾性体5A,8Aに鉛直荷重が作用しないことから、粘弾性体5A,8Aのクリープ変形を防止することができるとともに、建物に作用する水平外力に対して粘弾性体5A,8Aを有効にせん断変形させて振動エネルギーを吸収させることができる。
また、上段スライダ7の移動範囲が上段固定板16と規制片64との当接によって規制され、下段スライダ4の移動範囲が上段摺動板12と規制片34との当接によって規制されるので、上段スライダ7及び下段スライダ4の過度な移動を防止することができ、振動吸収装置1が破損したり建物が不安定な状態になったりすることを抑制することができる。また、規制片34,64がガイド部材3A,3B,6A,6Bに一体に設けられていることで、別途の規制部材を設ける必要がなくなり、部品点数や組立工数を削減することができ、設置コストをさらに抑制することができる。
また、上段スライダ7及び下段スライダ4がそれぞれ上段ばね14及び下段ばね13によって初期位置に復帰することで、振動吸収装置1を初期の設置状態に戻すことができる。従って、建物における基礎Fと建物本体Sと間に生じる水平変位に伴い、振動吸収装置1によって振動エネルギーを吸収して建物の揺れを抑制した後に、基礎Fと建物本体Sとの間の残留変形が残らないようにして、建物の所定の機能を維持させることができる。
下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとが四隅のケーブルアンカーCで連結され、これらのケーブルアンカーCによって下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの平行状態が維持されることで、上段スライダ7及び下段スライダ4を円滑に移動させることができ、上段ダンパー8及び下段ダンパー5によるエネルギー吸収性能を高めることができる。また、下側ベースプレート2Aと上側ベースプレート2Bとの平行状態が維持されることで、上段ガイド6、下段ガイド3、上段スライダ7及び下段スライダ4の傾きが防止でき、上段スライダ7及び下段スライダ4が移動する際の余計な応力の発生を抑制して、振動吸収装置1の破損を防ぐとともに耐久性を高めることができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態では、振動吸収装置1が戸建て住宅や小規模の集合住宅等の木造建物に適用されるものとしたが、建物としては木造に限らず、鉄筋コンクリート造や、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造等であってもよい。また、本発明の振動吸収装置1は、住宅に限らず、事務所ビルや商業ビル、官公庁、学校、図書館、倉庫等、任意の用途の建物に適用可能である。さらに、本発明の振動吸収装置1は、新築の建物の施工時に設置されてもよいし、既存の建物に対して後から取り付けられてもよい。
また、前記実施形態では、上側の構造部材としての建物本体Sの土台S1と、下側の構造部材としての基礎Fと、の間に振動吸収装置1が設置される構成を例示したが、振動吸収装置の設置場所は基礎Fと建物本体Sとの間に限らず、杭と基礎との間や、建物本体における途中階など、任意の位置に設置されてもよい。また、前記実施形態では、一方のベース部材を下側ベースプレート2Aとして基礎Fに固定し、他方のベース部材を上側ベースプレート2Bとして建物本体Sの土台S1に固定したが、一方のベース部材を上側の構造部材に固定し、他方のベース部材を下側の構造部材に固定してもよい。
また、前記実施形態では、第一案内部材及び第二案内部材として、それぞれ一対のチャンネル材からなるガイド部材3A,3B,6A,6Bを有する構成としたが、各案内部材はチャンネル材から構成されるものに限らず、任意の断面形状を有した部材で構成されていてもよい。また、前記実施形態では、第一移動部材及び第二移動部材として、それぞれ角型鋼管4A,7Aを有する構成としたが、各移動部材は角型鋼管から構成されるものに限らず、任意の断面形状を有した部材で構成されていてもよい。また、前記実施形態では、第一摺動手段及び第二摺動手段として、下段摺動板11及び上段摺動板12を用いたが、これに限らず、各案内部材や各移動部材に表面処理を施し、その摩擦係数を小さくして摺滑性に優れたものとしてもよい。
また、前記実施形態では、第一減衰部材及び第二減衰部材として、粘弾性体5A,8Aを有した下段ダンパー5及び上段ダンパー8を採用したが、各減衰部材は粘弾性体を有したものに限らず、変形によって減衰力を発揮できるものであればよく、各減衰部材を構成する素材は特に限定されない。また、前記実施形態では、第一復帰手段及び第二復帰手段として、ばね鋼などを曲げ加工した下段ばね13及び上段ばね14を採用したが、各復帰手段はばね鋼から形成されるものに限らず、各移動部材を初期位置に復帰させる復元力を発揮できるものであればよく、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など適宜な弾性部材を利用することができる。さらに、各復帰手段としては、ばね鋼と粘弾性体とを積層した複合材から構成されていてもよく、この場合には、各移動部材に対する復元力の発揮速度を抑え、各移動部材を緩やかに初期位置に復帰させることで、余計な振動の発生を抑制することができる。
1 振動吸収装置
2 ベースプレート(ベース部材)
2A 下側ベースプレート(一方のベース部材)
2B 上側ベースプレート(他方のベース部材)
3 下段ガイド(第一案内部材)
4 下段スライダ(第一移動部材)
5 下段ダンパー(第一減衰部材)
5A 粘弾性体(第一粘弾性体)
6 上段ガイド(第二案内部材)
7 上段スライダ(第二移動部材)
8 上段ダンパー(第二減衰部材)
8A 粘弾性体(第二粘弾性体)
11 下段摺動板(第一摺動手段)
12 上段摺動板(第二摺動手段、第一規制手段)
13 下段ばね(第一復帰手段)
14 上段ばね(第二復帰手段)
16 上段固定板(第二規制手段)
33 ウェブ(第一案内側面部)
34 規制片(第一規制手段)
43 側面部(第一移動側面部)
63 ウェブ(第二案内側面部)
64 規制片(第二規制手段)
73 側面部(第二移動側面部)
C ケーブルアンカー(平行維持手段)
F 基礎(下側の構造部材)
S 建物本体(上側の構造部材)

Claims (6)

  1. 建物において上下に対向する構造部材間に設けられ、上側の構造部材からの鉛直荷重を下側の構造部材に伝達するとともに、上側の構造部材と下側の構造部材との間に生じる水平変位によってエネルギー吸収を行う振動吸収装置であって、
    前記上側及び下側の構造部材にそれぞれ固定される上下一対のベース部材と、
    前記上下一対のベース部材のうち一方のベース部材に固定される第一案内部材と、
    前記第一案内部材によって水平面内の第一方向に案内されて前記一方のベース部材に対して移動自在に支持される第一移動部材と、
    前記一方のベース部材と前記第一移動部材とを互いに摺動させるとともに相互間に鉛直荷重を伝達させる第一摺動手段と、
    前記第一移動部材と前記第一案内部材との相対変位に伴ってエネルギー吸収する第一減衰部材と、
    前記第一移動部材に固定されるとともに前記上下一対のベース部材のうち他方のベース部材に対して移動可能に支持される第二案内部材と、
    前記第二案内部材によって前記第一方向と交差する水平面内の第二方向に案内されるとともに前記他方のベース部材に固定される第二移動部材と、
    前記第一移動部材と前記第二移動部材とを互いに摺動させるとともに相互間に鉛直荷重を伝達させる第二摺動手段と、
    前記第二移動部材と前記第二案内部材との相対変位に伴ってエネルギー吸収する第二減衰部材と、
    を備えたことを特徴とする振動吸収装置。
  2. 前記第一案内部材は、前記第一移動部材を挟んで対向する一対の第一案内側面部を有して構成され、
    前記第一移動部材は、前記一対の第一案内側面部の各々に所定の間隔を介して対向する一対の第一移動側面部を有して構成され、
    前記第一減衰部材は、各一対の前記第一案内側面部と前記第一移動側面部との間にそれぞれ介装される一対の第一粘弾性体を有して構成され、
    前記第二案内部材は、前記第二移動部材を挟んで対向する一対の第二案内側面部を有して構成され、
    前記第二移動部材は、前記一対の第二案内側面部の各々に所定の間隔を介して対向する一対の第二移動側面部を有して構成され、
    前記第二減衰部材は、各一対の前記第二案内側面部と前記第二移動側面部との間にそれぞれ介装される一対の第二粘弾性体を有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の振動吸収装置。
  3. 前記一方のベース部材及び前記第一案内部材の少なくとも一方と、前記第一移動部材との間には、該第一移動部材の移動範囲を規制する第一規制手段が設けられ、
    前記第一案内部材及び前記第二案内部材の少なくとも一方と、前記第二移動部材との間には、該第二移動部材の移動範囲を規制する第二規制手段が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動吸収装置。
  4. 前記一方のベース部材及び前記第一案内部材の少なくとも一方と、前記第一移動部材との間には、該第一移動部材を初期位置に復帰させる第一復帰手段が設けられ、
    前記第一案内部材及び前記第二案内部材の少なくとも一方と、前記第二移動部材との間には、該第二移動部材を初期位置に復帰させる第二復帰手段が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動吸収装置。
  5. 前記上下一対のベース部材は、該一対のベース部材同士の平行状態を維持する平行維持手段によって連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の振動吸収装置。
  6. 上側の構造部材としての建物本体と、下側の構造部材としての基礎と、を備え、前記建物本体と前記基礎との間に請求項1〜5のいずれか一項に記載の振動吸収装置が設けられていることを特徴とする建物。
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