JP6628988B2 - 免震装置 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物に生じる地震力を低減する免震装置に関し、特に積層ゴムとすべり支承を併用した免震装置に関する。
免震装置に要求される機能としては、構造物を支えるための支持機能、地震エネルギーを吸収し揺れを低減する減衰機能、地震により上部構造に伝わる振動・加速度を低減する絶縁機能、地震後に構造物を元の位置に戻す復元機能などがある。
従来の免震装置は、積層ゴム支承とすべり支承が主である。
図12に示す免震装置51は、下部構造53に固定した下部鋼板55と上部構造57に固定した上部鋼板59との間に積層ゴム支承61を設けたものである。
積層ゴム支承61は、鋼板とゴムシートの積層による鉛直支持力と、せん断変形に対するゴムの復元力を併せ持つ。
積層ゴム支承61は、積層ゴムに高減衰系ゴムを使用することにより、高い減衰性能を得ることが可能となるが、鉛直力に対する面圧は20N/mm2程度と小さく、上載荷重が大きい場合には積層ゴムの面積を大きくする必要があり、大きなスペースを必要とする。
また、限界変形量を増加させる場合、積層数を増やして高さを高くする必要があるが、変形性能を発揮するための幅と高さの比を一定量確保するためには、やはり面積を大きくする必要がある。
なお、天然ゴム系の積層ゴム支承は、減衰機能は期待できず、他の減衰材(ダンパー)を併用する必要がある。鉛プラグ入り積層ゴムや高減衰ゴム系積層ゴムでは、鉛プラグあるいはゴム自体に減衰機能を持つ。ただし、せん断変形に伴い上部構造と下部構造の軸心がずれることによる付加曲げモーメントが発生する。
すべり支承は、低摩擦加工を施した鋼板同士の接触により高い鉛直支持力を持つとともに、摩擦により地震エネルギーを吸収することで減衰力を発揮する。ただし、復元機能はないため、復元機能を持つ積層ゴム支承などと併用する必要がある。
すべり支承に復元機能を付加するため、図13に示すように、積層ゴム支承61の下部にすべり機能を有するすべり支承部67を設けた弾性すべり支承63がある(例えば、特許文献1参照)。
このような弾性すべり支承63は、風振動や小地震時にはすべり支承部67は静止摩擦力により滑動せず、積層ゴムがせん断変形を生じてエネルギーを吸収し、さらに大地震時にはすべり支承が滑動し、すべり面の摩擦と積層ゴムのせん断変形によってエネルギー吸収を行う。
しかしながら、大地震時にすべりを生じた後は復元力に期待できないため、一般的なすべり支承と同様に、例えば図13に示すように、オイルダンパー等の復元装置65を別途設置する必要がある。
また、すべり支承の一つとして、接触面を曲面状にした曲面すべり支承(振り子すべり免震装置)がある。これは振り子の原理で曲面上を滑動することで、地震後も鉛直自重により元の位置に戻る復元機能を持つ。ただし、曲面の移動に伴い免震装置の上下移動が発生したり、曲率が大きくなる(長周期化する)ほど残留変形が大きくなるといった課題もある。また、変形に伴う付加曲げモーメントも発生する。
特開2010−190409号公報
前述のように、多くの免震装置が開発されているが、単体の装置で支持機能、減衰機能、絶縁機能、復元機能を発揮できるのは、高減衰系積層ゴム支承(鉛プラグ入り積層ゴムや高減衰ゴム系積層ゴムなど)と、曲面すべり支承に限定される。
一般的に許容されている積層ゴムの鉛直力に対する最大面圧は20〜30N/mm2程度であり、すべり支承の最大面圧(海外などの実績では60N/mm2を超える事例あり)に比べて小さい。よって、上部構造物に作用する鉛直力が大きくなるほど、免震装置が巨大化し、製造・輸送・設置などのコスト増加につながる。また、免震層(ピット)が大きくなる要因ともなり、掘削コストの増加とともに、敷地面積も多く必要となる。
曲面すべり支承は、前述に示した課題のほか、すべり面の曲面加工および表面処理に高い精度が要求されるとともに、コストも大きくなるという問題がある。
本発明は、単体の装置で高い支持機能、減衰機能、絶縁機能、復元機能を兼ね備えるとともに、省スペースで低コストな免震装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る免震装置は、下部構造から上部構造に伝達する地震力を軽減するための免震装置であって、下部構造に固定される下部プレートと、上部構造に固定される上部プレートと、該上部プレートと前記下部プレートの間に緊結された積層ゴムと、該積層ゴムに並列して設けられ、前記上部プレート又は前記下部プレートのいずれか一方に緊結され、前記上部プレート又は前記下部プレートのいずれか他方と水平方向に滑動可能としたすべり支承部と、を備えてなることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記積層ゴムを囲むように前記すべり支承部が配置されていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、前記すべり支承部は、前記積層ゴムが内部に配置された鋼管を備えてなることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記すべり支承部における滑動可能な面が、該すべり支承部が滑動可能に当接する上部プレート又は下部プレートから上下方向に離れないように拘束する拘束部材を設けたことを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記すべり支承部の滑動範囲を所定の範囲に規制するストッパーを設けたことを特徴とするものである。
(6)本発明に係る免震装置は、下部構造から上部構造に伝達する地震力を軽減するための免震装置であって、下部構造に固定される下部プレートと、上部構造に固定される上部プレートと、該上部プレートと前記下部プレートの間に配置された中間プレートと、該中間プレートと前記下部プレートの間に緊結された下部積層ゴムと、該下部積層ゴムに並列して設けられ、前記中間プレート又は前記下部プレートのいずれか一方に緊結され、前記中間プレート又は前記下部プレートのいずれか他方と水平方向に滑動可能とした下部すべり支承部と、該下部すべり支承部の滑動方向を一方向に規制する下部規制部材と、前記中間プレートと前記上部プレートの間に緊結された上部積層ゴムと、該上部積層ゴムに並列して設けられ、前記中間プレート又は前記上部プレートのいずれか一方に緊結され、前記中間プレート又は前記上部プレートのいずれか他方と水平方向に滑動可能とした上部すべり支承部と、該上部すべり支承部の滑動方向を前記下部すべり支承部の滑動方向と直交する方向に規制する上部規制部材と、を備えてなることを特徴とするものである。
(7)また、上記(6)に記載のものにおいて、前記下部すべり支承部及び/又は前記上部すべり支承部における滑動可能な面が、該下部すべり支承部及び/又は前記上部すべり支承部が滑動可能に当接する上部プレート、中間プレート又は下部プレートから上下方向に離れないように拘束する拘束部材を設けたことを特徴とするものである。
(8)また、上記(6)又は(7)に記載のものにおいて、前記下部すべり支承部及び/又は前記上部すべり支承部の滑動範囲を所定の範囲に規制するストッパーを設けたことを特徴とするものである。
本発明においては、下部構造に固定される下部プレートと、上部構造に固定される上部プレートと、該上部プレートと前記下部プレートの間に緊結された積層ゴムと、該積層ゴムに並列して設けられ、前記上部プレート又は前記下部プレートのいずれか一方に緊結され、前記上部プレート又は前記下部プレートのいずれか他方と水平方向に滑動可能としたすべり支承部とを備えてなることにより、減衰機能と復元機能を積層ゴムが主に負担し、支持機能と絶縁機能をすべり支承が主に負担する機構を形成することが可能となり、高支持力で高減衰力の免震機能を発揮することができる。そのため、支持力の増大に対しても免震装置の大型化を避けることができ、オイルダンパー等の装置を別途配置する必要が無くなる。
また、免震装置をコンパクトに設計できるため、免震層にかかるコストを大幅に低減することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る免震装置の説明図である。 図1の矢視A−A断面図である。 本発明の実施の形態1に係る免震装置の作用を説明する説明図である(その1)。 本発明の実施の形態1に係る免震装置の作用を説明する説明図である(その2)。 本発明の実施の形態1に係る免震装置の他の態様の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る免震装置のさらに他の態様の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る免震装置の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る免震装置の説明図である。 図8の矢視B−B図である。 本発明の実施の形態3に係る免震装置における上部すべり支承部43と下部すべり支承部37の配置関係を説明する説明図である。 本発明の実施の形態3に係る免震装置の他の態様の説明図である。 従来の免震装置の説明図である(その1)。 従来の免震装置の説明図である(その2)。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る免震装置1は、図1、図2に示すように、下部構造3に固定される下部プレート5と、上部構造7に固定される上部プレート9と、上部プレート9と下部プレート5の間に緊結された積層ゴム11と、積層ゴム11に並列して設けられ、上部プレート9に緊結されると共に下部プレート5と水平方向に滑動可能としたすべり支承部13とを備えてなるものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
<下部プレート、上部プレート>
下部プレート5及び上部プレート9は、例えば鋼板によって形成されており、下部プレート5は下部構造3と、上部プレート9は上部構造7と例えばボルトによって緊結されている。
<積層ゴム>
積層ゴム11は、鋼板とゴムシートの積層による鉛直支持力と、せん断変形に対するゴムの復元力を併せ持つものである。
ゴムシートとしては、高減衰積層ゴムあるいは鉛プラグ入り積層ゴムなど、減衰機能の高いものが望ましいが、すべり支承部13での減衰機能に期待できる場合は、天然ゴム系の積層ゴムを使用することを妨げない。
<すべり支承部>
すべり支承部13は、積層ゴム11に並列して設けられ、上部プレート9に緊結されると共に下部プレート5と水平方向に滑動可能になっている。
すべり支承部13は、逆台形状の複数の板部材からなる支承部13aを有し、本例では、3枚の板部材を一組として、一組の板部材の下端部に矩形状のすべり板13bが固定されている。そして、4枚のすべり板13bが積層ゴム11を囲むように、四方に配置されている。
すべり板13bの下面および下部プレート5の上面におけるすべり板13bが滑る範囲(滑動範囲)は摩擦係数を低減した表面処理加工がなされた表面処理加工部15となっている。
支承部13aを構成する各板部材は、上述したように、逆台形状に形成され、積層ゴム11との間のクリアランスが下方になるほど広くなるように設定されている。
そして、前記クリアランスは地震時において積層ゴム11と支承部13a及びすべり板13bとが干渉しないように設定されている。
支承部13aを逆台形状にして、上端部を幅広にすることで、上部構造7の鉛直力を下部構造3にスムーズに伝達することができる。
次に上記のように構成された本実施の形態の免震装置1の作用について図3、図4に基づいて説明する。
図3は、上部構造7から下部構造3への鉛直力の伝達機構を模式的に表現している。上部プレート9、支承部13a及びすべり板13bが一体となって、一種のラーメン架構を形成する。これにより、上部構造7からの鉛直力の大部分は、高面圧を可能とするすべり支承部13を介して下部構造3に伝達される。
なお、上部プレート9の剛性あるいは支承部13aの断面積などのバランスを調整することにより、積層ゴム11に伝達する軸力を調整することができる。
構造物が水平力を受けると、すべり面に発生する静止摩擦力を超えるまでは、免震装置1の水平移動は生じない。よって、上部構造7に影響を及ぼさない小規模地震動や風振動などに対して免震装置1は作動せず、低振幅に対するゴムの疲労損傷を抑えることができる。作動を開始させる水平力は、すべり面の摩擦係数(静止摩擦力)を調整することで設定できる。
前述の静止摩擦力を超える水平力が作用すると、すべり面が滑動し、積層ゴム11にせん断力が加わり変形を生じる。
図4は積層ゴム11が変形した際の、鉛直力による付加曲げモーメントの発生状況を模式的に示している。上部構造7の荷重重心と、下部構造3の反力重心にずれが生じるため、上部構造7の柱や基礎梁、下部構造3の床版や杭頭、下部プレート5及び上部プレート9に付加曲げモーメントが発生する。
この付加曲げモーメントの発生は、従来構造も本発明も同様であり、上部構造7の基礎梁や下部構造3の床版の断面を大きくし、曲げ耐力を確保する必要がある。
しかしながら、下部構造3及び上部構造7を完全な剛体とすることは難しく、従来の装置では躯体の弾性変形や設置精度等により、少なからず積層ゴムに曲げが作用する。
一方、本発明の構造では、一定の距離をとった支承部13aおよびすべり板13bに発生するてこ反力によって曲げに抵抗できるため、積層ゴム11への曲げ発生を従来装置より抑制することができる。
積層ゴム11の性能は形状係数に依存する。1次形状係数S1はゴム1層の側面積に対する受圧面積で表され、鉛直方向の剛性を表す指標として用いられる。S1が小さい(相対的に厚さが厚くなる)と、鉛直変形に対する抵抗が小さくなり、支持力が低減する。また、2次形状係数S2はゴムの総厚に対する直径で表され、ゴムの扁平度を表す指標として用いられる。S2が小さい(幅に対する高さが高い)と水平変形に伴う曲げ変形が大きくなり変形性能が低下する。よって、30<S1、4<S2が一般的な目安とされている。
しかしながら、本発明では、前述のように鉛直支持力はすべり支承部13で負担し、てこ反力によって、曲げの影響を最小限に抑えることができることから、これらの形状係数の目標値を小さくすることが可能となる。すなわち、同じ積層ゴム高さに対し、層数を減らし、鋼板とゴムとの接着加工を減らすことが可能となる。さらに、同じ積層ゴム高さに対し、直径を小さくできるため、積層ゴム11の設置スペースを小さくでき、結果として、同じ性能を得るための積層ゴム11のコストを低減できる。
なお、想定以上の地震動(変形量)が発生すると、積層ゴム11の破断や積層ゴム11と支承部13aとの衝突、さらには免震層と建物との衝突などが生ずることが想定される。そこで、例えば図5に示すように、積層ゴム11の限界ひずみに応じたクリアランスを設けて、それ以上の変形を生じさせないためのストッパー17を設置することで、これを回避することができる。さらには、ストッパー17と支承部13aとの衝突部に緩衝材17a(粘性体、粘弾性体)を設けることで、衝突による急激な加速度の発生を抑えることも可能である。
また、図6に示すように、すべり板13bの上動を規制する拘束部材19を設けることによって、引抜き力に対しても抵抗させることができ、免震装置1に引抜き力が発生した場合も積層ゴム11の破断あるいはすべり支承部13の離間を避けることができる。
なお、この場合、すべり板13bの上面にも摩擦係数を低減した表面処理加工を行った表面処理加工部15を設けるようにする。
なお、拘束部材19、ストッパー17において、その目的を達する機構を有していれば、その形状は限定しない。
以上のように、本実施の形態によれば、一つの装置内に積層ゴム11とすべり支承部13を並列に配置したことにより、減衰機能と復元機能を積層ゴム11が主に負担し、支持機能と絶縁機能をすべり支承部13が主に負担する機構を形成することが可能となり、高支持力で高減衰力の免震機能を有する。そのため、支持力の増大に対しても免震装置1の大型化を避けることができ、オイルダンパー等の装置を別途配置する必要が無くなる。
また、免震装置1をコンパクトに設計できるため、免震層にかかるコストを大幅に低減することが可能となる。
また、積層ゴム11への鉛直支持力負担を軽減でき、すべり支承部13が所定の距離を離して積層ゴム11の周囲に配置されていることから、積層ゴム11に掛かる大変形時の偏芯付加曲げを小さくすることができる。また、積層ゴム11への鉛直力および付加曲げが軽減されることで、平面的な大きさを増加させずに限界変形量を増加する(ゴムと鋼板の積層数を増やす)ことも可能となる。
積層ゴム11への鉛直支持力負担が軽減されることで、積層ゴム11に要求される鉛直方向特性(耐荷重、圧縮変形性能)を抑制することができ、その分、せん断方向特性(減衰、せん断変形性能)を高性能化することが可能となり、結果としてコストパフォーマンスの高い積層ゴムを採用することができる。
なお、上記の実施の形態では、積層ゴム11を囲むようにすべり支承部13を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば積層ゴム11の両側にすべり支承部13を設けるように積層ゴム11とすべり支承部13が並列配置されるものを広く含む。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る免震装置21は、すべり支承部は、積層ゴムが内部に配置された鋼管を備えてなることを特徴とするものである。
具体的には、図7(a)に示すように、水平断面が円形の円形積層ゴム23に円形鋼管からなる円形鋼管支承部25を組み合わせた場合や、図7(b)に示すように、水平断面が角形の角形積層ゴム27に角形鋼管からなる角形鋼管支承部29を組み合わせた場合がある。
このように積層ゴムの形状に応じた鋼管によって支承部形状を設定することにより、任意の方向に対して限界変形に応じたクリアランスを最小限に設定できるため、省スペース化が可能となる。さらに、既製の鋼管をすべり支承部に用いることで、溶接に伴う施工工数・コストを減らすことが可能となる。
なお、積層ゴムの定期点検やメンテナンスを考慮すると、積層ゴムを完全に覆い隠すことは好ましくなく、監視窓を設置するのが望ましい。
円形鋼管や角形鋼管に限られず、積層ゴムの水平断面形状に応じた形状の鋼管を用いるようにすればよい。
[実施の形態3]
本実施の形態に係る免震装置31を、図8〜図11に基づいて説明する。なお、図8〜図11において、図1と同一部分及び対応する部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態に係る免震装置31は、図8、図9に示すように、下部構造3に固定される下部プレート5と、上部構造7に固定される上部プレート9と、上部プレート9と下部プレート5の間に配置された中間プレート33と、中間プレート33と下部プレート5の間に緊結された下部積層ゴム35と、下部積層ゴム35に並列して設けられ、中間プレート33に緊結され、下部プレート5と水平方向に滑動可能とした下部すべり支承部37と、下部すべり支承部37の滑動方向を一方向に規制する下部規制部材39と、中間プレート33と上部プレート9の間に緊結された上部積層ゴム41と、上部積層ゴム41に並列して設けられ、上部プレート9に緊結され、中間プレート33と水平方向に滑動可能とした上部すべり支承部43と、上部すべり支承部43の滑動方向を下部すべり支承部37の滑動方向と直交する方向に規制する上部規制部材45とを備えてなるものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
下部プレート5及び上部プレート9については実施の形態1と同様である。
また、中間プレート33も、下部プレート5及び上部プレート9と同様に、例えば鋼板によって形成されている。
<下部積層ゴム>
下部積層ゴム35は、中間プレート33と下部プレート5の間に緊結されており、その材質については実施の形態1と同様である。
下部積層ゴム35の形状は、この例では平面視で四角形の直方体形状をしている。
<下部すべり支承部>
下部すべり支承部37は、下部積層ゴム35に並列して設けられ、上端部が中間プレート33に緊結され、下端部が下部プレート5と水平方向に滑動可能になっている。
下部すべり支承部37の形状は特に限定されないが、例えば図8、図9に示すように、下部積層ゴム35の左右の側面に対向するように配置された(図8参照)2枚の矩形状の鋼板によって形成することができる。
下部すべり支承部37の下面および下部プレート5の上面における下部すべり支承部37が滑る範囲(滑動範囲)には、摩擦係数を低減した表面処理加工がなされた表面処理加工部15となっている。
<下部規制部材>
下部規制部材39は、下部すべり支承部37の滑動方向を一方向に規制する部材である。本実施の形態では、下部規制部材39は、下部すべり支承部37の滑動方向を図8の紙面直交方向にのみ滑動可能に規制するものであり、図8、図9に示すように、下部すべり支承部37の外側に近接して設けられた板部材によって形成されている。
<上部積層ゴム>
上部積層ゴム41は、中間プレート33と上部プレート9の間に緊結されており、その材質については実施の形態1と同様である。
上部積層ゴム41の形状は、この例では下部積層ゴム35と同様に平面視で四角形の直方体形状をしている。
<上部すべり支承部>
上部すべり支承部43は、上部積層ゴム41に並列して設けられ、上端部が上部プレート9に緊結され、下端部が中間プレート33と水平方向に滑動可能になっている。
上部すべり支承部43の形状は特に限定されないが、例えば図8、図9に示すように、図9における下部積層ゴム35の左右側面を囲むように配置された2枚の矩形状の鋼板によって形成することができる。
上部すべり支承部43の下面および中間プレート33の上面における上部すべり支承部43が滑る範囲(滑動範囲)は摩擦係数を低減した表面処理加工がなされた表面処理加工部15となっている。
<上部規制部材>
上部規制部材45は、上部すべり支承部43の滑動方向を一方向に規制する部材である。本実施の形態では、上部規制部材45は、上部すべり支承部43の滑動方向を図8の左右方向にのみ滑動可能に規制するものであり、図8、図9に示すように、下部すべり支承部37の外側に近接して設けられた板部材によって形成されている。
上記のように構成された本実施の形態の免震装置31においては、地震動が生じたときに、下部すべり支承部37が図8に示す紙面直交方向に滑動し、上部すべり支承部43が下部すべり支承部37に直交する方向(図8の矢印で示す左右方向)に滑動するので、免震装置31全体としては、あらゆる方向の地震動に対して滑動可能となり、制振作用を発揮することができる。
また、一般的に、積層ゴムの変形性能(限界ひずみ)は、2方向の変形を許容するよりも、1方向のみに変形を許容した方が大きくなる。
したがって、本実施の形態のように、下部積層ゴム35と上部積層ゴム41に対してそれぞれ1方向のみに変形を許容させることにより、同じ特性のゴムを使用した場合に変形性能を向上させることが可能となる。
また、下部すべり支承部37は下部積層ゴム35に、上部すべり支承部43は上部積層ゴム41に、それぞれ近接して設けることができるので、一つの積層ゴムの全周にすべり支承部を設けるのに比較すると、積層ゴムとすべり支障部との間のクリアランスを小さくでき、省スペース化が図れる。
なお、上部積層ゴム41及び下部積層ゴム35がそれぞれの限界ひずみに達するまで変形した際にも、上部すべり支承部43と下部すべり支承部37が高さ方向で交差するように、換言すれば上部すべり支承部43と下部すべり支承部37が平面視したときに重なるように設定するのが望ましい(図10参照)。このように設定することで、鉛直力をスムーズに伝達させることができる。
なお、上記のような設定でなくても、中間プレート33の厚みを十分に厚くすることで、上部すべり支承部43と下部すべり支承部37にずれが生じた場合も、鉛直力をスムーズに伝達させることも可能である。
本実施の形態においても、図11に示すように、規制部材に鉛直方向の移動を拘束する拘束部材47を設け、上下面に表面処理を施した下部すべり板37bを下部プレート5と拘束部材47で挟み込むようにすることにより、引抜き力に対しても抵抗させることが可能となる。
なお、図11は下部すべり支承部37の近傍のみを図示しているが、上部すべり支承部43についても同様の構成にするのが好ましい。
また、上記の説明では、下部すべり支承部37が中間プレート33に緊結され、上部すべり支承部43が上部プレート9に緊結される例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、下部すべり支承部37が下部プレート5に緊結され、上部すべり支承部43が上部プレート9に緊結される場合や、下部すべり支承部37が中間プレート33に緊結され、上部すべり支承部43が中間プレート33に緊結される場合であってもよい。
なお、積層ゴムが十分な減衰機能を有している場合には、すべり支承部をベアリング等の転がり支承として置き換えることも可能な場合もある。
本発明に係る免震装置の各機能を他の免震装置と比較したものを下記の表1に示す。
表1において、◎は非常に優れている、○は優れている、△は普通又は許容範囲である、×は劣っているという評価を示している。
表1に示すように、本発明の免震装置は、すべての機能において普通以上であり、免震装置としての総合力に優れている。
1 免震装置
3 下部構造
5 下部プレート
7 上部構造
9 上部プレート
11 積層ゴム
13 すべり支承部
13a 支承部
13b すべり板
15 表面処理加工部
17 ストッパー
17a 緩衝材
19 拘束部材
21 免震装置(実施の形態2)
23 円形積層ゴム
25 円形鋼管支承部
27 角形積層ゴム
29 角形鋼管支承部
31 免震装置(実施の形態3)
33 中間プレート
35 下部積層ゴム
37 下部すべり支承部
37a 下部支承部
37b 下部すべり板
39 下部規制部材
41 上部積層ゴム
43 上部すべり支承部
45 上部規制部材
47 拘束部材
51 免震装置(従来例)
53 下部構造
55 下部鋼板
57 上部構造
59 上部鋼板
61 積層ゴム支承
63 弾性すべり支承
65 復元装置
67 すべり支承部

Claims (3)

  1. 下部構造から上部構造に伝達する地震力を軽減するための免震装置であって、
    下部構造に固定される下部プレートと、上部構造に固定される上部プレートと、該上部プレートと前記下部プレートの間に配置された中間プレートと、該中間プレートと前記下部プレートの間に緊結された下部積層ゴムと、該下部積層ゴムを囲むように設けられ、上端が前記中間プレートに緊結され、下端が前記下部プレートと水平方向に滑動可能とするか、又は下端が前記下部プレートに緊結され、上端が前記中間プレートと水平方向に滑動可能とした下部すべり支承部と、該下部すべり支承部の滑動方向を一方向に規制する下部規制部材と、前記中間プレートと前記上部プレートの間に緊結された上部積層ゴムと、該上部積層ゴムを囲むように設けられ、下端が前記中間プレートに緊結され、上端が前記上部プレートと水平方向に滑動可能とするか、又は上端が前記上部プレートに緊結され、下端が前記中間プレートと水平方向に滑動可能とした上部すべり支承部と、該上部すべり支承部の滑動方向を前記下部すべり支承部の滑動方向と直交する方向に規制する上部規制部材と、を備えてなることを特徴とする免震装置。
  2. 前記下部すべり支承部及び/又は前記上部すべり支承部における滑動可能な面が、該下部すべり支承部及び/又は前記上部すべり支承部が滑動可能に当接する上部プレート、中間プレート又は下部プレートから上下方向に離れないように拘束する拘束部材を設けたことを特徴とする請求項に記載の免震装置。
  3. 前記下部すべり支承部及び/又は前記上部すべり支承部の滑動範囲を所定の範囲に規制するストッパーを設けたことを特徴とする請求項又はに記載の免震装置。
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