JP2005344459A - 免震装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本実施形態による免震装置10は、積層ゴム3と滑り支承4からなり、上部構造物1と下部構造物2間に介装されている。滑り支承4は、円柱状の滑り部材5と、円柱または角柱状の第一固定部材6とからなる。滑り部材5の一方の端部は滑り面5aになっており、外周面にはねじ部5bが形成されている。一方、第一固定部材6の一方の端部6aは上部構造物1に固定され、他方の端部6bには、内周面にねじ部6dが形成された孔6cが設けられている。そして、滑り部材5は、ねじ部5b、6dを介して第一固定部材6の孔6cに螺挿され、中心軸方向に移動自在となっている。滑り支承4の滑り面5aと下部構造物2の滑り面2aとの間には、間隙Cが設けられており、第一固定部材6を回転軸として滑り部材5を回すことにより、間隙幅Dを容易に調節することができる。
【選択図】 図1
Description
他方、積層ゴムは圧縮面圧下において極めて大きな水平変形性能を有しているが、引張面圧は1N/mm2以下に制限されており、過大な引張力が作用する部位に積層ゴムを使用することは避けねばならない。特に超高層建物等では、免震層より上部の構造計画において、コアウォールやブレースなど一定部位に引張力が集中するシステムを採用する場合、それらの配置や仕様が、免震層に設置された積層ゴムに作用する引張力による制約を受ける場合がある。そこで、例えば特許文献2では、建屋の下端に許容値以上の上下動による変形が生じた際に基礎上に着床する着床脚を突設した免震建屋において、着床脚間に水平材を架設するとともに、基礎側に水平材を跨ぐように門形のフレームを突設させた過大変形防止装置に関する発明が開示されている。
他方、特許文献2に記載の発明では、地震による建屋の転倒を防止して積層ゴムに過大な引張力が作用しないようにすることはできるが、小変形時から積層ゴムの引張面圧を低減することはできない。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、積層ゴムに作用する面圧の制御が可能な免震装置を提供することを目的とする。
ここで、上部構造物は免震層より上部の構造物を称し、下部構造物は免震層より下部の構造物を称する。従って、基礎免震構造物の場合は基礎が下部構造物になるが、中間階免震構造物の場合は中間階より下階が下部構造物となる。
本発明では、滑り支承の滑り面と当該滑り面に対向する上部構造物または下部構造物の滑り面との間に間隙を設けているので、平常時には上部構造物の鉛直荷重は積層ゴムのみが負担するが、地震時に過大な圧縮力が積層ゴムに作用した場合は、積層ゴムが鉛直方向に弾性収縮し、滑り支承が上部構造物または下部構造物と接触して圧縮力の一部を負担する。これにより、積層ゴムに許容値以上の圧縮面圧が作用するのを防ぐことができる。また、積層ゴムに過大な水平変形が生じた場合には、滑り支承が圧縮力の一部を負担するので、積層ゴムの座屈を防ぐことができ、特に軽量建物等で積層ゴムの断面積を小さく設定している場合に有効である。
加えて、本発明では、対向する滑り面間の間隙幅が調節自在なので、滑り面間の間隙幅を高い精度で制御することができる。これにより、平常時には確実に滑り支承を絶縁させることができるし、また経年変化に対する調整も可能となる。
本発明では、滑り部材がねじ部を介して第一固定部材に螺嵌されているので、第一固定部材を回転軸として滑り部材を回すことにより、間隙幅を容易に調節することができる。
本発明では、上部構造物と下部構造物間にバネが張設されているので、積層ゴムに水平変形が生じた場合、バネに張力が発生し、その鉛直方向分力により積層ゴムの引張面圧が低減される。さらに、バネの水平方向分力は、積層ゴムの水平変位を小さくする方向に働くので、積層ゴムの破断を回避することができる。
加えて、本発明では、バネの張力を調節する張力調整手段を備えているので、平常時にバネに若干の張力を導入しておくことにより、小変形時から高い精度で積層ゴムに作用する引張面圧を制御することができる。この際、バネの支点間距離とバネの剛性を調整することにより、設計者の意図する変形状態や応力状態を作り出すことができる。
本発明では、結合部材がねじ部を介して第二固定部材に螺嵌されているので、第二固定部材を回転軸として結合部材を回すことにより、バネの張力を容易に調節することができる。
また、本発明によれば、上部構造物と下部構造物間にバネが張設され、当該バネの少なくとも一方の端部には当該バネの張力を調節する張力調整手段を備えることにより、積層ゴムに作用する引張面圧の制御が可能となる。
図1は、本発明に係る免震装置の第一の実施形態を示す概略立面図であり、(a)は平常時の状態、(b)は地震時の状態にそれぞれ対応する。
図1に示すように、本実施形態による免震装置10は、積層ゴム3と滑り支承4からなり、上部構造物1と下部構造物2間に介装されて、地震時に水平方向に移動可能な機構となっている。
滑り支承4は、円柱状の滑り部材5と、円柱または角柱状の第一固定部材6とからなる。滑り部材5の一方の端部は滑り面5aになっており、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)など摩擦係数の低い材料で形成されており、滑り部材5の外周面にはねじ部5bが形成されている。一方、第一固定部材6の一方の端部6aは、上部構造物1に図示しないボルト等で固定され、他方の端部6bには、内周面にねじ部6dが形成された孔6cが設けられている。そして、滑り部材5は、ねじ部5b、6dを介して第一固定部材6の孔6cに螺挿され、中心軸方向に移動自在となっている。
積層ゴムのみの場合、積層ゴムに水平変形を徐々に加えていくと、積層ゴムの面圧は平常時の面圧P1から徐々に増大し、耐力線Rに到達した時点で最大面圧P2を示す。その後は水平変形を増大しても積層ゴムの座屈荷重に制限され面圧は低下する。
これに対して、本発明に係る免震装置の場合、積層ゴムに水平変形を徐々に加えていくと、積層ゴムの面圧は平常時の面圧P1から徐々に増大し、滑り面の間隙幅がゼロとなる面圧P3に到達すると、それ以後は水平変形が増大しても面圧はP3を維持する。
加えて、第一の実施形態による免震装置10では、対向する滑り面5a、2a間の間隙幅Dが調節自在なので、滑り面5a、2a間の間隙幅Dを高い精度で制御することができる。これにより、平常時には確実に滑り支承4を絶縁させることができるし、また経年変化に対する調整も可能となる。
図3に示すように、本実施形態による免震装置20は、積層ゴム13が上部構造物11と下部構造物12間に介装されるとともに、バネ14が上部構造物11と下部構造物12間に張設されて、地震時に水平方向に移動可能な機構となっている。
張力調整手段15は、円柱状の結合部材16と、円柱または角柱状の第二固定部材17とからなる。結合部材16は、一方の端部16aにバネ14が結合され、外周面にはねじ部16bが形成されている。一方、第二固定部材17の一方の端部17aは、下部構造物12に図示しないボルト等で固定され、他方の端部17bには、内周面にねじ部17dが形成された孔17cが設けられている。そして、結合部材16は、ねじ部16b、17dを介して第二固定部材17の孔17cに螺挿され、中心軸方向に移動自在となっている。
バネが無い場合の積層ゴムの状態をXとすると、バネを取り付けることにより、積層ゴムの状態はYに移動する。即ち、バネを取り付けることにより、積層ゴムは破断曲線Tから離れる方向(安全側)に移動し、積層ゴムの破断が防止される。
加えて、第二の実施形態による免震装置20では、バネ14の張力を調節する張力調整手段15を備えているので、平常時にバネ14に若干の張力を導入しておくことにより、小変形時から高い精度で積層ゴム13に作用する引張面圧を制御することができる。この際、バネ14の支点間距離Lとバネ14の剛性を調整することにより、設計者の意図する変形状態や応力状態を作り出すことができる。
2、12 下部構造物
3、13 積層ゴム
4 滑り支承
14 バネ
15 張力調整手段
10、20 免震装置
Claims (4)
- 上部構造物と下部構造物の間に設けられる免震層に設置される積層ゴムと滑り支承とからなる免震装置において、
前記滑り支承は、前記滑り支承の滑り面と当該滑り面に対向する前記上部構造物または前記下部構造物の滑り面との間に調節自在な間隙幅を有するように設置されていることを特徴とする免震装置。 - 前記滑り支承は、滑り面を有する滑り部材と、前記上部構造物または前記下部構造物に固定される第一固定部材とを備え、前記滑り部材は、前記滑り部材および前記第一固定部材に形成されるねじ部を介して前記第一固定部材に螺嵌されることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
- 上部構造物と下部構造物の間に設けられる免震層に設置される積層ゴムと、前記上部構造物と前記下部構造物間に張設されるバネとからなる免震装置であって、
前記バネの少なくとも一方の端部には、前記バネの張力を調節する張力調整手段を備えることを特徴とする免震装置。 - 前記張力調整手段は、前記バネが結合される結合部材と、前記上部構造物または前記下部構造物に固定される第二固定部材とを備え、前記結合部材は、前記結合部材および前記第二固定部材に形成されるねじ部を介して前記第二固定部材に螺嵌されることを特徴とする請求項3に記載の免震装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004168384A JP2005344459A (ja) | 2004-06-07 | 2004-06-07 | 免震装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004168384A JP2005344459A (ja) | 2004-06-07 | 2004-06-07 | 免震装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005344459A true JP2005344459A (ja) | 2005-12-15 |
Family
ID=35497093
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004168384A Pending JP2005344459A (ja) | 2004-06-07 | 2004-06-07 | 免震装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005344459A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016070011A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 株式会社日建設計 | 免震構造及び免震構造建築物 |
JP2017009040A (ja) * | 2015-06-23 | 2017-01-12 | Jfeスチール株式会社 | 免震装置 |
KR101912063B1 (ko) * | 2018-02-28 | 2018-10-25 | 단국대학교 산학협력단 | 면진 장치의 인장하중 방지용 고정 장치 |
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2004
- 2004-06-07 JP JP2004168384A patent/JP2005344459A/ja active Pending
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JP2016070011A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 株式会社日建設計 | 免震構造及び免震構造建築物 |
JP2017009040A (ja) * | 2015-06-23 | 2017-01-12 | Jfeスチール株式会社 | 免震装置 |
KR101912063B1 (ko) * | 2018-02-28 | 2018-10-25 | 단국대학교 산학협력단 | 면진 장치의 인장하중 방지용 고정 장치 |
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