JP2021011921A - 免震装置の固定構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】建設時の施工が容易であるとともに、大地震発生時の大変形に追従でき、かつ、長周期・長時間地震動が生じても、高い免震性能を実現すること。【解決手段】上部構造物と下部構造物の間に配置されて 上部構造物を免震支承する免震装置の固定構造であって、下部構造物に設けられる面状部と、面状部上に設置され、且つ、上面のすべり面で、上部構造物に固定されるすべり支承本体が摺動可能に載置されるすべり板と、を有し、すべり板の外縁部には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、面状部には、面状部から上方に突出して、すべり板の貫通孔内に配置される突出部材が設けられ、突出部材は、面状部に固定され、突出部材の先端面は貫通孔内に配設され、突出部材と貫通孔の内周面との間には、面状部に対するすべり板の水平移動を許容する水平隙間が設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、ビルディング、戸建て住宅、橋梁等の建造物や機械装置の免震構造に用いられる免震装置の固定構造に関し、特に、すべり支承を利用した免震装置の固定構造に関する。
従来、地震発生時に、短周期の激しい地震動を長周期化することにより、建造物等に伝わる地震力(衝撃)を低減する免震装置が知られている。免震装置は、建造物等(以下、「上部構造物」と称する)と基礎(以下、「下部構造物」と称する)との間に介在し、免震層を構成する。免震装置は、上部構造物を支持するとともに、地震発生時に上部構造物を長周期でゆっくりと変位させるアイソレーターを備えている。アイソレーターとしては、例えば、積層ゴム、すべり支承、転がり支承、積層ゴムとすべり支承を組み合わせた弾性すべり支承などがある。
一般に、アイソレーターにすべり支承を適用した免震装置(以下、「すべり支承型免震装置」と称する)は、例えば、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)等の低摩擦材料からなるすべり材を有するすべり支承本体と、研磨及び/又はコーティング等の表面処理が施されたステンレス鋼板からなるすべり板を備える(特許文献1、2参照)。支承本体とすべり板は、すべり材がすべり板に摺動可能に当接するように配置される。例えば、特許文献1及び特許文献2では、上部構造物の下面に支承本体が固定され、下部構造物としての基礎にすべり板が、その周縁部で固定される。すべり板は、基礎に対して、ボルト等の止着部材により固定されることが一般的である。
すべり支承型免震装置を設置した場合、地震発生時に、上部構造物は、すべり材を介してすべり板上を摺動し、水平方向に変形しつつ、すべり材がすべり板上を摺動するときの摩擦力によって地震力を吸収する。これにより、上部構造物に地震動が作用したときの揺れの加速度(いわゆる応答加速度)は、地震動の加速度の数分の一になるので、上部構造物を地震から保護することができる。
近年、地震観測記録の蓄積、長周期地震動や断層直下地震などの研究が進むにつれ、建物設計において従来よりも大きな地震動を想定する必要性が生じている。地震動の入力レベルの増大は、免震層の応答変形(振幅)の増大に繋がるため、大地震発生時の大変形に対応するためには、免震層に配置される免震装置の変形性能やすべり性能(上部構造物の可動範囲)を向上する必要がある。
すべり支承型免震装置においては、すべり板のサイズを拡大し、すべり支承本体の可動範囲(すべり領域)を拡大することで、比較的容易に大地震の大変形に対して構造物を支持しながら変形することが可能であり、免震性能を向上させることができる。
特開2011−214677号公報 特開2016−121747号公報
しかしながら、上記のような従来のすべり支承型免震装置では、従来の想定を超えた長周期・長時間地震動の揺れが生じた場合、ステンレス鋼板であるすべり板は、すべり支承本体下面のすべり材とで摺動を繰り返し、高温に発熱し、熱膨張して変形することが想定される。これによりすべり面の変形により摩擦係数が変化したり、すべり支承の摺動が妨げられてしまう虞がある。
このすべり板の熱膨張により、基礎にすべり板を固定するボルト等の止着部材に応力が集中し、ボルト等の止着部材が破損したり、または、ステンレス鋼板やその補強板に変形が生じたりすることが想定され、これにより、免震性能が低下するという問題がある。
本発明の目的は、上記の課題を解消するためになされたもので、建設時の施工が容易であるとともに、大地震発生時の大変形に追従でき、かつ、長周期・長時間地震動が生じても、高い免震性能を有する免震装置の固定構造を提供することである。
本発明に係る免震装置の固定構造は、
上部構造物と下部構造物の間に配置されて前記上部構造物を免震支承する免震装置の固定構造であって、
前記下部構造物に設けられる面状部と、
前記面状部上に設置され、且つ、上面のすべり面で、前記上部構造物に固定されるすべり支承本体が、前記すべり支承本体の下部に備えるすべり材を介して摺動可能に載置されるすべり板と、
を有し、
前記すべり板の外縁部には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記面状部には、前記面状部から上方に突出して、前記すべり板の前記貫通孔内に配置される突出部材が設けられ、
前記突出部材は、前記面状部に固定され、
前記突出部材の先端面は前記貫通孔内に配設され、
前記突出部材と前記貫通孔の内周面との間には、前記面状部に対する前記すべり板の水平移動を許容する水平隙間が設けられている。
本発明によれば、建設時の施工が容易であるとともに、大地震発生時の大変形に追従でき、かつ、長周期・長時間地震動が生じても、高い免震性能を有する免震装置の固定構造を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る免震装置の構成を示す外観斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る免震装置の固定構造の説明に供する断面図である。 免震装置におけるすべり板とベースプレートが設けられた基礎との関係を示す拡大断面図である。 免震装置の動作を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る免震装置10の構成を示す外観斜視図であり、図2は、本発明の一実施の形態に係る免震装置の固定構造の説明に供する断面図である。図3は、免震装置におけるすべり板とベースプレートが設けられた基礎との関係を示す拡大断面図である。
免震装置10は、すべり支承本体20、及びすべり板30を備えるすべり支承である。免震装置10は、支持機能及び減衰機能を有する。本実施の形態では、すべり支承本体20が建築物2(上部構造物)に固定され、すべり板30が基礎3(下部構造物)に水平方向へ移動を規制された状態で載置される。なお、上部構造物は、建築物2として建物或いは工作物であってもよい。
図2に示すように、上部構造物としての建築物2、下部構造物としての基礎3との間に、免震層を構成する免震システムの一部として設けられる。免震装置10は、上部構造物及び下部構造物とともに免震建築物を構成する。
免震装置10は、下部構造物である基礎を介して上部構造物である建築物2を支持する。免震装置10は、安定して建築物2を支える支持機能、地震エネルギーを吸収して建築物2の揺れを低減する減衰機能を有する。なお、免震装置10は、すべり支承型免震装置であり、免震システムは、複数の免震装置10と、すべり支承型免震装置以外の他の複数の免震装置を有する。他の免震装置は、例えば、積層ゴム支承体などの支持機能、減衰機能及び復元機能を有するものであってもよいし、オイルダンパー、鋼材ダンパー、鉛ダンパーなどの支持機能を有さないものであってもよい。
<すべり支承本体20>
図1〜図2に示すように、すべり支承本体20は、積層ゴム体21、すべり材22、及びフランジ27を備える。
積層ゴム体21は、ゴム状弾性板24(本体ゴム)と中間鋼板25が交互に積層され、上下両端部に連結鋼板23a、23bが加硫接着された構造を有する。また、積層ゴム体21は、ゴム状弾性板24と中間鋼板25からなる積層体(符号略)の外周面を覆う、耐候性に優れた保護ゴム26を有する。積層ゴム体21は、四角柱状、多角柱状又は円柱状の柱状部材である。本実施の形態では、積層ゴム体21は、円柱形状を有している。
ゴム状弾性板24は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、ゴムと合成樹脂との混合材料など、ゴムを主成分とする材料で形成される。保護ゴム26は、積層体の外周面に接着剤を塗布して貼りつけて形成してもよいし、ゴム製の自己融着テープを巻いて形成してもよい。保護ゴム26は、本実施の形態では、ゴム状弾性板24と保護ゴム26のゴム材を同時に加硫成型することで、ゴム状弾性板24と一体化して形成されている。
すべり材22は、板状の部材であり、例えば、PTFE(polytetrafluoroethylene)などのフッ素樹脂等により形成される。すべり材22は、積層ゴム体21の下面(連結鋼板23b)に、例えば、接着により固定される。すべり材22は、すべり板30のすべり面を構成するすべり面材32(すべり相手材)に当接する。
すべり材22は、すべり面材32に当接して摺動する際に、摩擦係数が小さく、好適に摺動可能であれば、どのように形成されてもよい。例えば、すべり材22は、一枚の板材であってもよいし、複数の小さい板材で構成されてもよい。本実施の形態では、すべり材22は、円板形状の一枚板で構成されている。すべり材22の外径は、例えば、800mmである。
フランジ27は、積層ゴム体21の上面(連結鋼板23a)に、例えば、ボルトにより接合される。フランジ27の平面形状は、矩形状、円盤状、楕円状或いは多角形状等のどのような形状であってもよい。本実施の形態では、フランジ27は、円板形状を有している。フランジ27は上部構造物である建築物2において基礎と対向する部位に固定される。また、すべり支承本体20は、剛すべり支承であり、すべり材22、及びフランジ27を備えたものであってもよい。
<すべり板30>
すべり板30は、すべり板本体であるすべり面材32と、補強板34とを有する。すべり板30はベースプレート4上に、水平方向の移動が規制された状態で、取り外し可能に載置されている。これにより、すべり板30のすべり面材32が損傷する等生じた場合に、交換可能となっている。
すべり面材32は、例えば、研磨及び/又はコーティング等の表面処理が施された金属板(例えば、ステンレス鋼板)で形成される。すべり面材32は、すべり支承本体20の外形よりも大きい形状を有する。本実施の形態では、すべり面材32は、八角形状を有している。すべり面材32は、予め補強板34上に形成され、この状態で施工現場まで運搬される。
すべり面材32は、すべり支承本体20の外形よりも大きい形状であれば、どのような形状でもよく円形状、正方形状、多角形状等いずれの形状をなしていてもよい。また、すべり面材32の表面であるすべり面322を、中央の領域と中央を囲む外周の領域とを異なる材料で構成して、それぞれの領域におけるすべり材22との摩擦係数を異なるようにしてもよい。
補強板34は、すべり面材32を裏面(すべり面322とは逆側の面)側から補強し、すべり面材32の機械的強度を確保する。また、補強板34は、すべり面材32の輸送、施工時の変形を防止できる。
補強板34は、すべり面材32を基礎側に固定する。補強板34は、鋼材により形成され、すべり面材32と溶接接合、あるいは皿ねじ等の止着部材を用いた結合により一体的に形成されている。補強板34は、すべり面材32と同等又は若干大きい外形を有する。なお、補強板34は、円形状に形成されてもよい。
補強板34は、すべり面材32の外縁よりも外方に張り出して設けられる外縁部342を有し、外縁部342を介して突出部材60によりベースプレート4に取り付けられる。
補強板34は、外縁部342に貫通孔70を有し、突出部材60の上部が遊嵌される。
貫通孔70は、突出部材60の外形よりも内径が大きく、貫通孔70は、突出部材60が貫通孔70内において中央部に位置する大きさに形成される。
<突出部材60>
突出部材60は、ベースプレート4に、上方に突設され、すべり板30を着脱自在に保持する。突出部材60は、ベースプレート4の表面41から突出するように設けられる軸状部材である。突出部材60において少なくとも、補強板34の貫通孔70内に配置される上部(他端部側の部位)62の外径は、貫通孔70の内径よりも小さい。
また、突出部材60(具体的には、突出部材60において貫通孔70内に突出する突出部分である上部)は、貫通孔70内で、貫通孔70に遊嵌する。突出部材60の端面60aはすべり面322と面一若しくはすべり面322よりも下側に配置される。本実施の形態では、突出部材60の上部は、すべり面材32の下側の補強板34の貫通孔70内に配置されている。すなわち、突出部材60は、ベースプレート(面状部)4に固定され、突出部材60の端面(先端面)60aは、貫通孔70内に配設されている。このように、突出部材60は、すべり面322よりも上方、つまり、すべり支承本体20側に突出することなく、滑り支承本体20の水平方向の移動を阻害しない。
突出部材60は、本実施の形態では、頭部の無い軸状のボルト、所謂、寸切りボルトにより構成されている。本実施の形態の寸切りボルトは、軸状体の上部62に、六角穴等の嵌合孔623が設けられている。嵌合孔は、治具を嵌合して、突出部材60を軸回りに回転するものである。突出部材60は、軸状体の少なくとも下部(一端部側の部位)64の外周に、基礎3或いはベースプレート4に螺合するおねじ部が設けられ、回転させることにより、ベースプレート4に螺合している。
突出部材60は、本実施の形態では、ベースプレート4において、すべり板30の四隅の外縁部342に対応する位置に設けられた固定孔80に下部64を内嵌して、上部が突出するように配置されている。
<ベースプレート(面状部)4>
ベースプレート4は、上部にすべり板30が載置され、このすべり板30のすべり面が平滑な水平面を確保できるように、基礎3に一体的に設けられている。ベースプレート4は、本発明における面状部である。ベースプレート4は、本実施の形態では、すべり板30が載置される上面を露出させた状態で埋設されている。
ベースプレート4は、本実施の形態では、板状であり、矩形状の鋼板を用いて構成される。ベースプレート4は、すべり板30が上面の領域内に配置されるように構成され、平面視して中央から放射方向に同じ領域が広がる形状を有することが好ましい。ベースプレート4の形状は、円盤状、円板状、四角形状を含む多角形状のいずれの形状に形成されてもよい。また、これらの形状の板部材において中央部に開口を設けた、所謂リングプレートをベースプレート4として用いてもよい。
ベースプレート4は、コンクリートを打設して基礎3を構築する際に、半乾きの基礎3上に配置し、埋め込まれて一体化するように設けられる。ベースプレート4がリングプレートの場合、中央部の開口には、基礎打設時のコンクリートが充填される。この中央部内のコンクリート部分の表面は、リングプレートの表面と面一な水平な平滑面となるように形成されている。なお、リングプレートは、分割体として構成され、現場に搬入されて、互いを溶接等により接合してリング状のリングプレートとして形成されてもよい。基礎3に埋め込まれるように設けてもよい。
ベースプレート4とすべり板30の補強板34との間の摩擦係数は、すべり材22とすべり板本体としてのすべり面材32の表面であるすべり面322との間の摩擦係数よりも大きくなるように構成されている。これにより、小規模地震が発生しても、ベースプレート4と、すべり板30とが摺動することがなく、すべり板30上をすべり支承本体20が摺動し、上部構造物である建築物2に対して、地震の規模に対応した免震を行うことができる。
ベースプレート4及び基礎3には、すべり板30の貫通孔70に連続するように設けられ、突出部材60を固定する固定孔80が設けられている。本実施の形態では、固定孔80に、突出部材60が、上部がベースプレート4の上方に突出するように固定される。
固定孔80は、本実施の形態では突出部材60が寸切りボルトであるので、寸切りボルトが螺合するボルト孔である。すなわち、ベースプレート4の上側固定孔42及び基礎3の下側固定孔3bの少なくとも一方の内周壁には、寸切りボルトのおねじ部が螺合する雌ねじ部が設けられている。なお、上側固定孔42は、ベースプレート4に形成された貫通孔であり、基礎3の下側固定孔3bは,例えば、埋込ナット3aなどにより形成される。上側固定孔42及び下側固定孔3bは、本実施の形態では、それぞれの内周面に雌ねじ部が設けられている。
なお、ベースプレート4をリングプレートとし、基礎3上に配置して、中央開口にコンクリートを打設する構成では、ベースプレート4となる鋼板よりもコンクリートよる表面の方が一般的には摩擦係数が高い。よって、リングプレート上に、すべり板30を設置する場合、開口の無い矩形板状のベースプレートと比較して、すべり板30を滑りにくく設置することができる。
貫通孔70と突出部材60とは、貫通孔70と、貫通孔70の内部に位置する突出部材60との間に、水平方向に形成されるギャップである水平隙間Gが設けられるように構成されている。
これにより、ベースプレート4に対してすべり板30は、ベースプレート4の摩擦係数よりも大きい力を受けると、水平隙間Gを水平に移動可能となっている。
<免震装置10の動作>
図4は、本実施の形態の免震装置10の動作を模式的に示す図である。
通常時は、すべり支承本体20は、すべり面材32の中央部に位置している(図4において実線20で示す)。地震が発生し、建築物2に水平方向の地震力が加わると、まず、すべり支承本体20の積層ゴム体21(図2参照)が水平方向にせん断変形する。そして、摩擦限界を超えるとすべりが生じて、すべり支承本体20は、すべり面材32のすべり面322上を摺動する(破線20で示す)。なお、ベースプレート4とすべり板30との摩擦係数は、すべり板30とすべり材22との摩擦係数よりも大きい。これにより、免震装置10が地震動を受けても、ベースプレート4に対してすべり板30が滑り出すことがなく、つまり、地震動によりがたつくことが無く、すべり支承本体20が地震動に応じてすべり板30に対して摺動できる。
また、想定する地震動の巨大化、例えば、南海トラフ地震や上町断層地震等による想定外ともいえる規模の大きな地震が発生する場合が考えられる。
本実施の形態の免震装置10の固定構造では、従来のすべり支承型免震装置と異なり、すべり板30(具体的には、すべり面材32)より上側には、ボルトの頭部等のようなすべり面材の水平移動を阻害する阻害物は存在しない。これにより、規模の大きな地震が発生しても、免震装置10のすべり支承本体20は、変形したまま、すべり板30からはみ出す位置まで摺動することができる。また、すべり支承本体20は、復元力により、減衰しつつ元の位置に戻るように移動して地震力を減衰する。
このように、すべり支承本体20が、変形し、すべり板30上を摺動することにより、建築物2に作用する応答加速度を数分の一に低減し、建築物2に作用する地震力を低減し、建物、工作物を地震から保護する。
また、想定する地震動の巨大化により規模の大きな地震が発生する場合、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ(長周期地震動)が生じる。
このように長周期振動が発生する場合、すべり板30上ですべり支承本体20は長周期摺動を繰り返す。これにより、すべり面材32は発熱し、その熱は補強板34に伝達し、すべり板30自体が高温となり熱膨張することが考えられる。特にすべり面材32はステンレス板、補強板34は鋼板であるので、長周期振動によりすべり板全体が熱くなり、すべり板30全体で熱膨張する。なお、図4では、熱膨張前のすべり板30(補強板34)の長さと熱膨張後のすべり板30(補強板34)の長さを示している。
このように想定外の大きな規模の地震の発生により、すべり支承本体20と摺動するすべり板30が熱膨張して、すべり板30自体が延伸する場合が想定される。このとき、従来のすべり支承型免震装置では、すべり板を固定するボルトに応力が集中し、ひいては、ボルトが破損したり、すべり板におけるすべり面が湾曲したりすることが考えられる。
しかしながら、本実施の形態の免震装置10の固定構造では、すべり板30は、従来のすべり支承型免震装置と異なり、ベースプレート4に対して所定範囲、つまり水平隙間Gの範囲で水平移動できるように保持されている。つまり、すべり板30は、ベースプレート4に固着されておらず、すべり板30の変形を許容可能にベースプレート4に設けられている。
すなわち、ベースプレート4上のすべり板30が変形し、すべり板30に伸びが生じても、その延びは、突出部材60であるボルトと、ボルトが挿入される貫通孔70との間の水平隙間Gで許容される。これにより、ボルト自体によりすべり板30が反る等の変形によりすべり面322の平面度を阻害することがなく、すべり板30をベースプレート4上に水平に維持させることができる。すなわち、図4に示すように、すべり板30は、熱膨張前であっても、熱膨張後であっても、ベースプレート4を介して基礎3に好適に維持される。
本実施の形態では、すべり支承本体20が摺動するすべり板30は、基礎3に設けられたベースプレート4に、突出部材60を介して水平隙間Gの範囲で水平方向に移動可能に取り付けられている。また、すべり板30は、ボルト頭部の無い突出部材60により、ベースプレート4に設けられているので、引き抜き方向で拘束されることがない。このように、すべり板30は、ベースプレート4に引き抜き方向で止着される必要が無く、すべり板30のベースプレート4への敷設を容易に行うことができる。
また、突出部材60は、すべり板30のすべり面322から上方に突出していないので、ボルト頭部がすべり面より上方に突出する従来の免震装置と比較して、すべり面322を摺動するすべり支承本体20の摺動範囲を広くすることができる。
また、突出部材60は、寸切りボルトであり、ベースプレート4から着脱できるので、すべり板30のすべり面322の損傷等のようにすべり板30をメンテナンスしたいときに容易に取り外して対応することができる。
また、既存の免震装置において、本実施の形態と同様の構造にすることができれば、既存の免震装置の固定構造に本実施の形態を適用できる。
すなわち、ベースプレートと、ベースプレート上のすべり板とをすべり板の貫通孔を介してボルトにより固着された既設の免震装置である場合、ボルトに代えて、貫通孔よりも直径の小さい軸状部材を用いることで本実施の形態の免震装置の固定構造としてもよい。突出部材60の下部64をベースプレートに固定し、直径の小さい部分である上部を貫通孔内に位置させることで本実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これにより、既設のすべり支承型免震装置に対しても、すべり板におけるすべり支承本体の可動範囲を、地震の規模に応じて対応可能なように容易に拡大できる。よって、既存建造物の改修工事においても、免震層の大変形に対応できる免震構造を実現することができる。
このように、本実施の形態によれば、製造、輸送、施工の各工程のコスト増大を抑制できるとともに、建設時の施工が容易であり、大地震発生時の大変形に追従でき、かつ、長周期・長時間地震動が生じても、高い免震性能を実現できる。また、新築、耐震改修のいずれにおいても適用可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。なお、本実施の形態では、突出部材60として寸切りボルトを用いたが、これに限らず、ベースプレート4上から突出して、すべり板30の貫通孔に水平隙間Gを空けて挿入されるものであれば、ピン等どのような棒状部材を適用してもよい。また、本実施の形態は建造物に適用されてもよく、これにより上述した効果と同様の効果をうることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 建築物(上部構造物)
3 基礎(下部構造物)
3a 埋込ナット
3b 下側固定孔
4 ベースプレート(面状部)
10 免震装置
20 すべり支承本体
21 積層ゴム体
22 すべり材
23a、23b 連結鋼板
24 ゴム状弾性板
25 中間鋼板
26 保護ゴム
27 フランジ
30 すべり板
32 すべり面材
34 補強板
42 上側固定孔
60 突出部材
62 上部(他端部)
64 下部(一端部)
70 貫通孔
80 固定孔
322 すべり面
342 外縁部

Claims (5)

  1. 上部構造物と下部構造物の間に配置されて前記上部構造物を免震支承する免震装置の固定構造であって、
    前記下部構造物に設けられる面状部と、
    前記面状部上に設置され、且つ、上面のすべり面で、前記上部構造物に固定されるすべり支承本体が、前記すべり支承本体の下部に備えるすべり材を介して摺動可能に載置されるすべり板と、
    を有し、
    前記すべり板の外縁部には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
    前記面状部には、前記面状部から上方に突出して、前記すべり板の前記貫通孔内に配置される突出部材が設けられ、
    前記突出部材は、前記面状部に固定され、
    前記突出部材の先端面は前記貫通孔内に配設され、
    前記突出部材と前記貫通孔の内周面との間には、前記面状部に対する前記すべり板の水平移動を許容する水平隙間が設けられている、
    免震装置の固定構造。
  2. 前記すべり板は、
    前記すべり材が摺動する前記すべり面を構成するすべり板本体と、
    前記すべり板本体に前記すべり面と逆側の面で一体的に固定され、少なくとも前記すべり板本体の外周の一部から突出する端部を有する補強板と、
    を有する、
    請求項1記載の免震装置の固定構造。
  3. 前記補強板における前記端部が前記外縁部を形成する、
    請求項2に記載の免震装置の固定構造。
  4. 前記すべり板と前記面状部との間の摩擦係数は、前記すべり材と前記すべり面との間の摩擦係数よりも大きい、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の免震装置の固定構造。
  5. 前記下部構造物は基礎であり、
    前記面状部は、前記基礎に設けられる鋼板であるベースプレートであり、
    前記突出部材は、軸状の寸切りボルトであり、前記寸切りボルトの下部が前記ベースプレートに止着される、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の免震装置の固定構造。
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