JP2016044724A - 構造体の免震方法および免震装置ならびに免震装置に用いるボルト取り付け用積層ゴム - Google Patents

構造体の免震方法および免震装置ならびに免震装置に用いるボルト取り付け用積層ゴム Download PDF

Info

Publication number
JP2016044724A
JP2016044724A JP2014168429A JP2014168429A JP2016044724A JP 2016044724 A JP2016044724 A JP 2016044724A JP 2014168429 A JP2014168429 A JP 2014168429A JP 2014168429 A JP2014168429 A JP 2014168429A JP 2016044724 A JP2016044724 A JP 2016044724A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
laminated rubber
flange plate
seismic isolation
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014168429A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6420991B2 (ja
Inventor
佳也 中村
Yoshiya Nakamura
佳也 中村
佐々木 聡
Satoshi Sasaki
聡 佐々木
佐々木 康人
Yasuhito Sasaki
康人 佐々木
健一 田原
Kenichi Tahara
健一 田原
泉 小原
Izumi Ohara
泉 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujita Corp
Original Assignee
Fujita Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujita Corp filed Critical Fujita Corp
Priority to JP2014168429A priority Critical patent/JP6420991B2/ja
Publication of JP2016044724A publication Critical patent/JP2016044724A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6420991B2 publication Critical patent/JP6420991B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Springs (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Bolts, Nuts, And Washers (AREA)

Abstract

【課題】簡単な構造で免震用積層ゴムに引っ張り力が伝達されないようにすること。
【解決手段】内側鋼管30と、薄肉の筒状のゴムシート3202と薄肉の鋼管3204とが交互に積層された筒状積層ゴム32と、筒状積層ゴム32の外周面に取着された外側鋼管34とを備え、内側鋼管30の内側の空間はアンカーボルト24の軸部を挿通させるボルト挿通孔26とされたボルト取り付け用積層ゴム20が設けられている。アンカーボルト24を介して下部フランジプレート16が下部構造体12に取着された状態で、外側鋼管34は下部フランジプレート16に対して下部構造体12から離れる方向に対して一体に変位するように結合され、内側鋼管30はアンカーボルト24に対して鉛直方向に変位不能に結合され、筒状積層ゴム32はその軸方向にせん断変形可能な状態となっている。筒状積層ゴム32の上方ヘの変形量の上限を規制する規制手段22が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として塔状比が高い免震構造物や連層耐震壁がある免震構造物などで、地震時に引抜き力が作用する箇所に設置される構造体の免震方法および免震装置ならびに免震装置に用いるボルト取り付け用積層ゴムに関するものである。
高層あるいは塔状比(高さ/幅)の高い免震構造物は、建物の重心が高く、地震時に転倒モーメントが発生し、建物端部に設置される免震装置の軸方向に過大な引抜き力が生じやすい。また連層耐震壁がある免震構造物では、連層耐震壁直下に設置される免震装置の軸方向に過大な引抜き力が生じやすい。鉛直支持している建物荷重を上回る引抜き力が生じると、免震装置に引っ張り力が作用する。
積層ゴムは、圧縮荷重に対しては強く、大きな圧縮荷重を支持して水平方向に小さな剛性で大きく変位できるが、引張り荷重に対しては弱いので、過大な引張り荷重が作用すると、免震装置としての特性が発揮できなくなり、最悪の場合破断してしまう可能性がある。対策としては、(1)引張り荷重が作用しないように設計するか、(2)引張り荷重が作用しても抵抗できる免震装置を使用するか、(3)積層ゴムに引張り荷重が作用しないような工夫をする、の3種類が考えられる。(1)の方法が一般に採用されるが、建物の形状から(1)の対策を採れない場合もある。そこで(2)、(3)の方法を採用することになるが、(2)の代表的な従来技術は、リニアガイドを用いた装置のみである。(3)の技術はいくつかあり公知となっている(例えば、特許文献1:特開2006−226387、特許文献2:特開平11−153191、特許文献3:特開2003−194146、特許文献4:特許4330171)。(3)の従来技術について以下に少し説明をする。
特許文献1は、積層ゴム下部フランジプレートの周辺に下部構造との間に、翼状鋼板を取り付けたもので、鋼板の面内剛性は大きく面外剛性は小さい特徴を活かし、積層ゴムに引っ張り力が作用したとき、翼状鋼板が面外変形を生じて積層ゴムが下部構造から離れて浮き上がり、積層ゴムに引っ張り力が作用しないようにしたものである。
特許文献2〜4は、いずれも積層ゴム下部フランジプレートを下部構造に固定するアンカーボルトに工夫をしたもので、アンカーボルトとフランジプレートの間に弾性体を設置し、積層ゴムに引っ張り力が作用したときに、弾性体が変形し、積層ゴムが下部構造から離れて浮き上がり、積層ゴムに引っ張り力が作用しないようにしたものである。特許文献2は弾性体としてゴムシート、特許文献3は弾性体として皿ばね、特許文献4は弾性体としてリング状ゴム等を使用したものである。
特開2006−226387 特開平11−153191 特開2003−194146 特許4330171
建物の形状及びそのほかの理由で、引抜き力がどうしても発生する場合の対策として、積層ゴムタイプの免震装置であればゴム断面積が大きなものを採用する方法や引抜きに抵抗できる免震装置を採用する方法が考えられるが、いずれもコストが高くなってしまう。
積層ゴムタイプの免震装置で引抜きに対応するため積層ゴムを下部構造から浮上させ積層ゴムに引張力をさせないような従来技術がいくつかあるが、それぞれ欠点がある。
特許文献1は、積層ゴム周辺に大きなスペースが必要となること、鋼板を大量のアンカーボルトで固定しなければならず施工が大変である、鋼板なので錆等の耐久性対策が必要であることなどが欠点として挙げられる。
特許文献2は、ゴムシートを入れているだけなので、積層ゴムの浮上量が小さい。引抜き力が大きくなると、ゴムシートの圧縮変形が大きくなり破損してしまう可能性があるなどの欠点が挙げられる。
特許文献3は、アンカーボルトに比べ冶具が大きく皿ばねを使用しているのでさらに大きい、錆等の耐久性対策が必要、設置時に皿ばねの予圧縮管理が必要で施工が大変である、などの欠点が挙げられる。
特許文献4は、アンカーボルトに比べ冶具が大きい、アンカーボルトと積層ゴム下部フランジレートとは水平方向に隙間があり、せん断力伝達のための機構が別途必要であることなどの欠点が挙げられる。
本発明の目的は、簡単な構造で、大きなスペースが必要とせず、設置が簡単で、積層ゴムにせん断力は伝達するが引っ張り力はできるだけ伝達しないような構造体の免震方法および免震装置ならびに免震装置に用いるボルト取り付け用積層ゴムを提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の発明は、免震用積層ゴムの上部に設けられた上部のフランジプレートをアンカーボルトを介して上部の構造体に取着し、前記免震積層用ゴムの下部に設けられた下部のフランジプレートをアンカーボルトを介して下部の構造体に取着し、前記下部の構造体上において前記上部の構造体を免震支持する免震方法であって、薄肉の筒状のゴムシートと薄肉の鋼管とが半径方向に交互に積層されて構成された筒状積層ゴムを設け、前記筒状積層ゴムの軸心を鉛直方向に向け前記筒状ゴムの外周部を前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して一体に変位するように前記フランジプレートに結合させ、前記筒状積層ゴムの中心に前記アンカーボルトを挿通させて前記フランジプレートを前記筒状積層ゴムと共に前記構造体に取着し、前記筒状積層ゴムの内周部を前記アンカーボルトに対して前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して変位不能に結合させ、前記免震積層用ゴムに引っ張り力が作用した際に前記筒状積層ゴムを鉛直方向にせん断変形させて前記フランジプレートと前記構造体とを離間させ、前記免震積層用ゴムに作用する引っ張り力を低減するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記筒状積層ゴムの内周部は前記アンカーボルトの軸部に接合され、前記筒状積層ゴムと前記アンカーボルトとは一体化されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、前記筒状積層ゴムの外周部は前記フランジプレートに形成された孔の内周面に接合され、前記筒状積層ゴムと前記フランジプレートとは一体化されていることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、前記筒状積層ゴムの鉛直方向の変形量の上限を規制手段により規制するようにしたことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、免震用積層ゴムと、前記免震積層用ゴムの上部に設けられ上部の構造体に取着される上部のフランジプレートと、前記免震積層用ゴムの下部に設けられアンカーボルトを介して下部の構造体に取着される下部のフランジプレートとを備える免震装置であって、内側鋼管と、前記内側鋼管の外周面に薄肉の筒状のゴムシートと薄肉の鋼管とが前記内側鋼管の半径方向外側に交互に積層されて構成された筒状積層ゴムと、前記筒状積層ゴムの外周面に取着された外側鋼管とを備え、前記内側鋼管の内側の空間は前記アンカーボルトの軸部を挿通させるボルト挿通孔とされたボルト取り付け用積層ゴムが設けられ、前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記外側鋼管は前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して一体に変位するように前記フランジプレートに結合され、前記内側鋼管は前記アンカーボルトに対して前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して変位不能に結合され、前記筒状積層ゴムは鉛直方向にせん断変形可能な状態となっており、前記筒状積層ゴムの鉛直方向の変形量の上限を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、前記外側鋼管が前記フランジプレートに鉛直方向に変位不能に取着されることで前記ボルト取り付け用積層ゴムが予め前記フランジプレートに組み込まれており、前記アンカーボルトの頭部寄りの軸部の箇所に、前記内側鋼管の外径以下の寸法の外径を有し前記内側鋼管の軸方向の端面に当接可能な当接部が設けられ、前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記当接部と前記内側鋼管の軸方向の端面とが当接していることを特徴とする。
また、請求項7記載の発明は、前記筒状積層ゴムの前記ボルト挿通孔の軸方向に沿った長さと、前記フランジプレートの厚さとは等しく、前記筒状積層ゴムの軸方向の両端面は、前記フランジプレートの上面、下面と同一面上に位置していることを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記筒状積層ゴムに、前記免震用積層ゴムを鉛直方向に引っ張る方向と反対の方向に予め荷重が掛けられていることを特徴とする。
また、請求項9記載の発明は、前記アンカーボルトの頭部下面は、前記外側鋼管の前記構造体から離れた側の軸方向の端面に当接可能に形成され、前記アンカーボルトの頭部寄りの軸部の箇所に、前記内側鋼管の外径以下の寸法の外径を有し前記内側鋼管に当接可能な当接部が設けられ、前記フランジプレートにボルト挿通孔が形成されると共に、前記構造体から離れた側の前記ボルト挿通孔の箇所に、前記フランジプレートが前記外側鋼管と共に前記構造体から離れる方向で鉛直方向に変位した際に前記内側鋼管および前記筒状積層ゴムの収容を可能とした収容凹部が設けられ、前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記当接部と前記内側鋼管とが当接し、前記外側鋼管の前記構造体側の軸方向の端面が前記収容凹部の周囲の前記下部フランジプレートの箇所に当接し、前記外側鋼管の前記構造体から離れた側の軸方向の端面が前記アンカーボルトの頭部下面から離れた箇所に位置していることを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、前記アンカーボルトの頭部下面は、前記内側鋼管の外径以下の寸法の外径を有し前記内側鋼管の軸方向の一方の端面に当接可能に形成され、前記フランジプレートにボルト挿通孔が形成されると共に、前記構造体から離れた側の前記ボルト挿通孔の箇所に、前記フランジプレートが前記外側鋼管と共に前記構造体から離れる方向で鉛直方向に変位した際に前記内側鋼管および前記筒状積層ゴムの収容を可能とし、かつ、前記内側鋼管の軸方向の他方の端面に当接可能な底面を有する収容凹部が設けられ、前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記アンカーボルトの頭部下面と前記内側鋼管の軸方向の一方の端面とが当接すると共に前記外側鋼管の軸方向の一方の端面が前記下部フランジプレートに当接し、前記内側鋼管および前記筒状積層ゴムが鉛直方向において前記フランジが前記構造体から離れる方向で前記収容凹部の外部の箇所に位置していることを特徴とする。
また、請求項11記載の発明は、前記アンカーボルトは、頭部と、前記頭部から突設された軸部と、前記軸部の先部に雄ねじが形成され構造体側に結合される雄ねじ部と、前記頭部の直下の前記軸部の箇所に雄ねじが形成された第2の雄ねじ部とを有し、前記当接部は、前記第2の雄ねじ部に螺合されたナットで構成されていることを特徴とする。
また、請求項12記載の発明は、前記アンカーボルトの頭部下面は、前記アンカーボルトの軸方向において前記外側鋼管に当接可能に形成され、前記規制手段は、前記アンカーボルトの頭部下面と前記外側鋼管とで構成されていることを特徴とする。
また、請求項13記載の発明は、内側鋼管と、前記内側鋼管の外周面に薄肉の筒状のゴムシートと薄肉の鋼管とが前記内側鋼管の半径方向外側に交互に積層されて構成された筒状積層ゴムと、前記筒状積層ゴムの外周面に取着された外側鋼管とを備え、前記内側鋼管の内側の空間はボルトの軸部を挿通させるボルト挿通孔とされていることを特徴とする。
また、請求項14記載の発明は、前記ボルト挿通孔の軸方向に沿った前記内側鋼管、前記筒状積層ゴム、前記外側鋼管の長さは同一の寸法で形成され、前記軸方向の両端に位置する前記内側鋼管、前記筒状積層ゴム、前記外側鋼管の端面は同一面上に位置していることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、免震用積層ゴムに軸方向の引っ張り力が作用したとき、筒状積層ゴムが上下方向にせん断変形し、免震装置は下部構造体から浮き上がり、免震用積層ゴムの引張り変形を小さく抑えることができる。したがって、何らスペースを確保することなく、しかも簡単に施工でき、免震用積層ゴムの破断、損傷を防止する上で有利となる。
請求項2、3記載の発明によれば、部品点数の削減化、施工の簡単化を図れ、免震装置のコンパクト化を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、筒状積層ゴムの鉛直方向のせん断変形を、筒状積層ゴムの特性が変化しない範囲に収まるように設定でき、筒状積層ゴムの耐久性を確保する上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、免震用積層ゴムに軸方向の引っ張り力が作用したとき、筒状積層ゴムが上下方向にせん断変形し、免震装置は下部構造体から浮き上がり、免震用積層ゴムの引張り変形を小さく抑えることができる。したがって、何らスペースを確保することなく、しかも簡単に施工でき、ボルト取り付け用積層ゴムは破損することもなく、免震用積層ゴムに作用する引張り荷重を低減でき、免震用積層ゴムの破断、損傷を防止する上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、部品点数の削減化、施工の簡単化を図れ、免震装置のコンパクト化を図る上で有利となる。
請求項7記載の発明によれば、ボルト取り付け用積層ゴムを予め下部フランジプレートに取り付けておくことで、従来と同様な施工手順で免震装置を設置でき、施工の簡単化、免震装置のコンパクト化を図る上で有利となる。
請求項8記載の発明によれば、前記筒状積層ゴムに予め掛ける荷重の値を適宜設定することで、免震装置が浮上する引抜き力を任意に設定できる。
請求項9、10記載の発明によれば、外側鋼管の外周部および下部フランジプレートにねじ加工をする必要がなく、加工、設置が容易であるという利点がある。
請求項11記載の発明によれば、アンカーボルトとナットを利用して当接部を簡単に得ることができる。
請求項12記載の発明によれば、アンカーボルトと外側鋼管を利用して規制手段を簡単に得ることができる。
請求項13記載の発明によれば、免震装置に用いられ免震用積層ゴムの破断、損傷を防止する上で有利となる。
請求項14記載の発明によれば、ボルト取り付け用積層ゴムの取り扱い性や保管性を向上できる。
第1の実施の形態の説明図で、(A)は免震装置の設置状態を示し、(B)は免震用積層ゴムに引っ張り力が作用し免震装置が下部構造体から浮き上がった状態を示している。 (A)はアンカーボルトの正面図、(B)はボルト取り付け用積層ゴムの断面正面図、(C)は同平面図である。 第2の実施の形態の説明図である。 第3の実施の形態の説明図で、(A)は免震装置の設置状態を示し、(B)は免震用積層ゴムに引っ張り力が作用し免震装置が下部構造体から浮き上がった状態を示している。 第4の実施の形態の説明図で、(A)は免震装置の設置状態を示し、(B)は免震用積層ゴムに引っ張り力が作用し免震装置が下部構造体から浮き上がった状態を示している。 第5の実施の形態の説明図で、(A)は免震装置の設置状態を示し、(B)は免震用積層ゴムに引っ張り力が作用し免震装置が下部構造体から浮き上がった状態を示している。 第1の実施の形態において免震用積層ゴムに作用する引っ張り荷重と免震装置の鉛直方向変位の関係図である。 第3の実施の形態において免震用積層ゴムに作用する引っ張り荷重と免震装置の鉛直方向変位の関係図である。 (A)、(B)は、内側鋼管が省略されアンカーボルトに筒状積層ゴムが一体化された実施の形態の説明図である。 (A)、(B)は、外側鋼管が省略されフランジプレートに筒状積層ゴムが一体化された実施の形態の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図1、図2を参照して、まず、第1の実施の形態から説明すると、免震装置10は、上部構造体(不図示)と下部構造体12との間に設けられ、下部構造体12上において上部構造体を免震支持するものである。
ここで下部構造体12とは、例えば、基礎や建物であり、上部構造体とは、建物や柱、床などであり、免震装置10はこのような上部構造体と下部構造体12との間に複数設けられる。
免震装置10は、免震用積層ゴム14と、免震用積層ゴム14の上部に接合された上部フランジプレート(不図示)と、免震用積層ゴム14の下部に接合された下部フランジプレート16と、下部フランジプレート16に設けられたボルト取り付け用積層ゴム20と、規制手段22とを備えている。
免震用積層ゴム14は、多数のゴムシート1402と鋼板1404とが交互に重ねあわされ接合され、内部に、振動エネルギを吸収する鉛プラグが挿入されているものや挿入されていないものがあり、本発明は双方に適用される。
上部フランジプレートは、免震用積層ゴム14の上部をアンカーボルトを介して上部構造体に取り付けるものであり、下部フランジプレート16は、免震用積層ゴム14の下部をアンカーボルト24を介して下部構造体12に取り付けるものである。
上部フランジプレートと下部フランジプレート16は、免震用積層ゴム14よりも大きい断面で形成され、上部フランジプレートと下部フランジプレート16の中心と免震用積層ゴム14の軸心とは合致し、それらプレートの周方向に間隔をおいた複数箇所に、アンカーボルト24を挿通させるボルト挿通孔26が形成されている。
図2(B)、(C)に示すように、ボルト取り付け用積層ゴム20は、内側鋼管30と、筒状積層ゴム32と、外側鋼管34とを備えている。
内側鋼管30の内側の空間は、アンカーボルト24の軸部を挿通させるボルト挿通孔26となっている。
筒状積層ゴム32は、内側鋼管30の外周面に薄肉の筒状のゴムシート3202と薄肉の鋼管3204とが内側鋼管30と同軸上で内側鋼管30の半径方向外側に交互に重ね合わされ接合されて構成されている。
外側鋼管34は、その内周面が筒状積層ゴム32の外周面に取着され、外側鋼管34の外周面に雄ねじ3402が形成されている。
内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34は同軸上に位置し、ボルト挿通孔26の軸方向に沿った内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34の長さは同一の寸法で形成され、軸方向の両端に位置する内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34の端面は同一面上に位置している。ボルト取り付け用積層ゴム20をこのように構成することで、取り扱い性や保管性の向上が図られている。
また、ボルト挿通孔26の軸方向に沿ったボルト取り付け用積層ゴム20の長さは、下部フランジプレート16の厚さと同一の寸法で形成され、後述するようにボルト取り付け用積層ゴム20が下部フランジプレート16に取り付けられた状態で、ボルト取り付け用積層ゴム20の軸方向の両端の端面は、下部フランジプレート16の上面、下面と同一面上に位置し、免震装置10の取り扱い性や保管性の向上が図られている。
ボルト取り付け用積層ゴム20は、円盤形状をしていて半径方向にゴム3202と鋼板(鋼管)3204を積層しているので、軸方向(面外方向)の剛性は小さく、半径方向(面内方向)の剛性は大きいので、軸方向に容易にかつ無摩擦で変位することができる。
ボルト取り付け用積層ゴム20の特性(剛性、強度)は、ゴムの材料、ゴムの形状(1層あたりの厚さ、断面積)、鋼管の厚さ、積層数などで調整可能である。
ボルト取り付け用積層ゴム20は、雄ねじ3402が下部フランジプレート16の雌ねじ1602に螺合することで下部フランジプレート16に取り付けられている。すなわち、外側鋼管34は下部フランジプレート16が下部構造体12から離れる方向に対して一体に変位するように下部フランジプレート16に結合されている。
このようにボルト取り付け用積層ゴム20が下部フランジプレート16に取り付けられた状態で、ボルト取り付け用積層ゴム20の軸方向が上下方向となる。
本実施の形態では、ねじ結合によりボルト取り付け用積層ゴム20が下部フランジプレート16に予め取着され、免震装置10の施工の簡易化が図られている。
アンカーボルト24の頭部2402は、図1、図2(A)に示すように、外側鋼管34が上方に変位した際に、外側鋼管34に当接可能な寸法で形成されている。本実施の形態では、筒状積層ゴム32の上方ヘの変形量の上限を規制する規制手段22が、アンカーボルト24の頭部2402と外側鋼管34とで構成されている。なお、規制手段22は、アンカーボルト24の頭部2402と下部フランジプレート16とで構成するようにしてもよく、あるいは、下部構造体12上の取り付けプレート36に設けられ下部フランジプレート16に当接可能なL字状のストッパと下部フランジプレート16で構成するなど、種々考えられるが、アンカーボルト24の頭部2402と、外側鋼管34や下部フランジプレート16を利用して規制手段22を構成すると、部品点数の削減化、免震装置10のコンパクト化を図る上で有利となる。
アンカーボルト24の頭部2402寄りの軸部2404の箇所に、内側鋼管30の外径以下の寸法の外径を有し内側鋼管30の上端面に当接可能な当接部2406が設けられている。
詳細には、アンカーボルト24は、頭部2402と、頭部2402から突設された軸部2404と、軸部2404の先部に雄ねじが形成された雄ねじ部2408と、頭部2402の直下の軸部2404の箇所に軸部2404の外径よりも大きい外径でかつ内側鋼管30の外径以下の寸法の大径部が設けられ、この大径部が当接部2406を構成している。
免震装置10は、上部フランジプレートがアンカーボルトを介して上部構造体に取り付けられ、下部フランジプレート16がアンカーボルト24を介して下部構造体12に取り付けられることで設置されている。詳細には、下部フランジプレート16が下部構造体12の取り付けプレート36の上に載置され、ボルト取り付け用積層ゴム20のボルト挿通孔26、取り付けプレート36のボルト挿通孔3602に挿通されたアンカーボルト24の雄ねじ部2408が下部構造体12に埋め込み固定された袋ナット38の雌ねじに螺合され、アンカーボルト24により下部フランジプレート16が下部構造体12に締結されることで設置されている。
このように免震装置10が設置された状態で、内側鋼管30は、当接部2406と取り付けプレート36とにより挟持され、内側鋼管30はアンカーボルト24に対して下部フランジプレート16が下部構造体12から離れる方向に対して変位不能に結合されている。言い換えると、アンカーボルト24は下部構造体12に螺合され鉛直方向に移動不能であるため、内側鋼管30は鉛直方向に移動不能に結合されている。
また、外側鋼管34は、下部フランジプレート16に対して下方への移動が不能に結合されている。言い換えると、下部フランジプレート16が上方に変位した際に外側鋼管34は下部フランジプレート16と一体に上方に変位するように結合されている。
また、筒状積層ゴム32はその軸方向にせん断変形可能な状態となっている。言い換えると、筒状積層ゴム32は、下部フランジプレート16が上方に変位した際に、外側鋼管34が下部フランジプレート16と一体に上方に変位し、上方にせん断変形できる状態となっている。
このような第1の実施の形態によれば、免震用積層ゴム14に軸方向の引っ張り力が作用したとき、図7に直線Aで示すように、筒状積層ゴム32が主に軸方向にせん断変形し、免震装置10は下部構造体12から浮き上がり、免震用積層ゴム14の引張り変形を小さく抑えることができる。
したがって、免震用積層ゴム14に引抜き力が作用しても、筒状積層ゴム32のみがせん断変形するので、引抜き未対応の通常の免震装置10に比べ、免震用積層ゴム14の性能の劣化は生じにくい。
また、筒状積層ゴム32は、軸方向が上下方向になるように設置されるので、免震用積層ゴム14に水平方向にせん断力が作用したとき、筒状積層ゴム32はほとんど変形せず、免震用積層ゴム14の位置を保持し、下部構造体12へせん断力を伝達することができる。
また、アンカーボルト24の頭部2402は、下部フランジプレート16(または外側鋼管34)に当接可能な寸法で形成され、すなわち、筒状積層ゴム32の上方ヘの変形量の上限を規制する規制手段22が設けられているので、筒状積層ゴム32の軸方向せん断変形が大きくなるのを防止できる。
筒状積層ゴム32の上方ヘの変形量の上限、すなわち、アンカーボルト24の頭部2402の下面と下部フランジプレート16(または外側鋼管34)の間の隙間は、地震時の引抜きによる免震用積層ゴム14の浮上量以上で、かつ筒状積層ゴム32の特性が変化しない範囲、たとえば、ゴムのせん断変形100%程度に収まるように(例えば、おおよそ20〜30mmの範囲に)設定する。
図7において点Bは、下部フランジプレート16が浮き上がってアンカーボルト24の頭部2402の下面と下部フランジプレート16(または外側鋼管34)とが当接した状態を示しており、直線Cは、以後、免震用積層ゴム14が引っ張り変形する状態を示している。また、点線Dは、筒状積層ゴム32を有さない従来の免震装置10の免震積層用ゴムの変位を示し、想像線Eは免震用積層ゴムにボイドなどが発生して損傷する際の引っ張り荷重を示している。
したがって、第1の実施の形態によれば、何らスペースを確保することなく、しかも簡単に施工でき、ボルト取り付け用積層ゴム20は破損することもなく、免震用積層ゴム14に作用する引張り荷重を低減でき、免震用積層ゴム14の破断、損傷を防止する上で有利となる。
より詳細に説明すると、免震用積層ゴム14に作用する水平方向せん断力は、下部フランジプレート16から、筒状積層ゴム32及びアンカーボルト24を経由して下部構造体12に伝達される。アンカーボルト24は、作用するせん断力と付加曲げに対して設計するが、本装置の場合、免震用積層ゴム14に引抜き力が作用して免震用積層ゴム14と下部フランジプレート16が浮き上がっても、アンカーボルト24に作用するせん断力の上下位置は変化せず、付加曲げは増大しないので、アンカーボルト24の設計が容易になり、径の増大を防止できる。
筒状積層ゴム32は、下部フランジプレート16にあらかじめねじ込みで簡単に一体化されているので、免震装置10の設置作業は、通常の免震装置と同様にアンカーボルト24で締め付けるだけで、追加の作業は無く、作業が簡単である。
本実施の形態の免震装置10は簡単な構造なので、下部フランジプレート16及び下部構造体12の取り付けプレート36等の寸法の増大を抑えることができる。
次に、図3を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以後の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な箇所に同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
第2の実施の形態は、当接部2406の構成が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、アンカーボルト24は、頭部2402と、頭部2402から突設された軸部2404と、軸部2404の先部に雄ねじが形成された雄ねじ部2408と、頭部2402の直下の軸部2404の箇所に雄ねじが形成された第2の雄ねじ部2410とを有している。
そして、当接部2406が、第2の雄ねじ部に螺合されたナットNで構成されている。
このような第2の実施の形態によれば、市販品であるボルト、ナットを用いて当接部2406を簡単に構成でき、コスト削減を図る上で有利となる。
次に、図4を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、免震装置10の設置状態で筒状積層ゴム32に予め荷重を掛けている点が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、ボルト挿通孔26の軸方向に沿った内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34の長さは、下部フランジプレート16の厚さよりも小さい同一の寸法で形成されている。
ボルト挿通孔26に挿通されたアンカーボルト24を介して下部フランジプレート16が下部構造体12に取着され、免震装置10が設置された状態で、内側鋼管30の下面は、下部フランジプレート16の下面と同一面上に位置し、外側鋼管34の上面は、下部フランジプレート16の上面と同一面上に位置している。すなわち、免震装置10が設置された状態で、筒状積層ゴム32に予めせん断荷重が掛けられ、筒状積層ゴム32は、内周部よりも外周部が上方に位置するように予めせん断変形し、これにより下部フランジプレート16が下部構造体12に押し付けられ、引っ張り力がこの荷重以下の状態では免震装置10は浮上しない。
第3の実施の形態では、図8に示すように、免震用積層ゴム14に軸方向の引っ張り力が作用したとき、図8に点Aで示すように、その引っ張り力が、筒状積層ゴム32に予め掛けられたせん断荷重になるまでは免震装置10は下部構造体12から浮き上がることがない。そして、直線Bで示すように、引っ張り力が、筒状積層ゴム32に予め掛けられたせん断荷重を超えた時点から、筒状積層ゴム32が当初の状態からさらにせん断変形し、免震装置10は下部構造体12から浮き上がり、免震用積層ゴム14の引張り変形を小さく抑えることができる。
また、図8において点Cは、下部フランジプレート16が浮き上がってアンカーボルト24の頭部2402の下面と下部フランジプレート16とが当接した状態を示しており、直線Fは、以後、免震用積層ゴム14が引っ張り変形する状態を示し、点線D、想像線Eは図7と同様である。
したがって、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な効果が奏される他、免震装置10が浮上する引抜き力を任意に設定できる利点がある。
次に、図5を参照して第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、下部フランジプレート16の上面に、筒状積層ゴム32がせん断変形した際に内側鋼管30および筒状積層ゴム32が収容される収容凹部40が設けられている点、および、規制手段22が、アンカーボルト24の頭部2402の下面と外側鋼管34とで構成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、アンカーボルト24の頭部2402の下面は、外側鋼管34の上面に当接可能に形成され、規制手段22は、アンカーボルト24の頭部2402の下面と外側鋼管34とで構成されている。
また、アンカーボルト24の頭部2402寄りの軸部2404の箇所に、内側鋼管30の外径以下の寸法の外径を有し内側鋼管30の上面に当接可能な当接部2406が設けられている。
下部フランジプレート16にボルト挿通孔1604が形成されると共に、ボルト挿通孔1604の上部に、外側鋼管34が内側鋼管30に対して上方に変位した際に内側鋼管30および筒状積層ゴム32の収容を可能とした収容凹部40が設けられている。
ボルト挿通孔26,1604,3602に挿通されたアンカーボルト24を介して下部フランジプレート16が下部構造体12に締結された状態で、当接部2406の下面が内側鋼管30の上面に当接し、外側鋼管34の下面が収容凹部40の周囲の下部フランジプレート16の上面に当接している。すなわち、外側鋼管34は下部フランジプレート16が下部構造体12から離れる方向に対して一体に変位するように下部フランジプレート16に結合されている。また、内側鋼管30はアンカーボルト24に対して下部フランジプレート16が下部構造体12から離れる方向に対して変位不能に結合されている。
このような第4の実施の形態によれば、免震用積層ゴム14に軸方向の引っ張り力が作用したとき、筒状積層ゴム32が主に軸方向にせん断変形し、免震装置10は下部構造体12から浮き上がり、免震用積層ゴム14の引張り変形を小さく抑えることができるので、第1の実施の形態と同様な効果が奏される。また、この実施の形態では、外側鋼管34の外周部および下部フランジプレート16にねじ加工をする必要がなく、加工、設置が容易であるという利点がある。
次に、図6を参照して第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態は、下部フランジプレート16の上面に、筒状積層ゴム32がせん断変形した際に内側鋼管30および筒状積層ゴム32が収容される収容凹部40が設けられている点、および、規制手段22が、内側鋼管30と収容凹部40の底面4002とで構成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、アンカーボルト24の頭部2402の下面は、内側鋼管30の外径以下の寸法の外径を有し内側鋼管30に当接可能に形成されている。
下部フランジプレート16にボルト挿通孔1604が形成されると共に、ボルト挿通孔1604の上部に、外側鋼管34が内側鋼管30に対して上方に変位した際に内側鋼管30および筒状積層ゴム32の収容を可能とし、かつ、内側鋼管30の下面に当接可能な底面4002を有する収容凹部40が設けられている。
ボルト挿通孔26,1604,3602に挿通されたアンカーボルト24を介して下部フランジプレート16が下部構造体12に締結された状態で、アンカーボルト24の頭部2402の下面と内側鋼管30の上面とが当接すると共に外側鋼管34の下面が下部フランジプレート16の上面に当接し、内側鋼管30および筒状積層ゴム32が収容凹部40の上方に位置している。すなわち、外側鋼管34は下部フランジプレート16が下部構造体12から離れる方向に対して一体に変位するように下部フランジプレート16に結合されている。また、内側鋼管30はアンカーボルト24に対して下部フランジプレート16が下部構造体12から離れる方向に対して変位不能に結合されている。
このような第5の実施の形態によれば、免震用積層ゴム14に軸方向の引っ張り力が作用したとき、筒状積層ゴム32が収容凹部40内でせん断変形し、免震装置10は下部構造体12から浮き上がり、免震用積層ゴム14の引張り変形を小さく抑えることができ、また、内側鋼管30の下面が収容凹部40の底面4002に当接することで、筒状積層ゴム32の変形量の上限が規制されるので、第1の実施の形態と同様な効果が奏される。また、この実施の形態でも、第4の実施の形態と同様に、外側鋼管34の外周部および下部フランジプレート16にねじ加工をする必要がなく、加工、設置が容易であるという利点がある。
なお、上記の実施の形態では、本発明を、下部構造体12と下部フランジプレート16に適用した場合について説明しているが、本発明は、上部構造体と上部フランジプレートに適用してもよく、また、下部構造体12と下部フランジプレート16および上部構造体と上部フランジプレートの双方に適用してもよい。
また、上記の実施の形態では、筒状積層ゴム32を有するボルト取り付け用積層ゴム20がアンカーボルト24や下部フランジプレート16と別部材である場合について説明したが、筒状積層ゴム32はアンカーボルト24や下部フランジプレート16(または上部フランジプレート)に一体化されていてもよい。
例えば、図5、図6に示す実施の形態では、内側鋼管30がアンカーボルト24に一体化されていてもよい。この場合には、図9(A)に示すように、内側鋼管30が省略され、アンカーボルト24の軸部2420に筒状積層ゴム32の内周面が接合され、アンカーボルト24と筒状積層ゴム32とが一体化されている。また、図9(B)に示すように、アンカーボルト24の大径部2422に筒状積層ゴム32の内周面が接合され、アンカーボルト24と筒状積層ゴム32とが一体化されている。
また、図1、図3、図4に示す実施の形態では、外側鋼管32が下部フランジプレート16(または上部フランジプレート)に一体化されていてもよい。この場合には、図10(A)、(B)に示すように、外側鋼管32が省略され、下部フランジプレート16(または上部フランジプレート)の孔1620の内周面に筒状積層ゴム32の外周面が接合され、下部フランジプレート16(または上部フランジプレート)と筒状積層ゴム32とが一体化されている。
また、本実施の形態では、内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34が全て円環状で、ボルト取り付け用積層ゴム20も円環状である場合について説明したが、内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34、ボルト取り付け用積層ゴム20の形状は円環状に限定されない。
例えば、図1〜図4に示す実施の形態では、内側鋼管30、筒状積層ゴム32を多角形断面の筒状とし、外側鋼管34の内周部を多角形断面としてもよい。さらに、ねじ結合以外の手段で外側鋼管34を下部フランジプレート16に取り付ける場合、例えば、接着材を用いて外側鋼管34を下部フランジプレート16に取り付ける場合には、外側鋼管34の形状は多角形断面の筒状としてもよく、あるいは、大径部と小径部とを設けそれらの間に段差を設けるなど外側鋼管34の外周部の形状は種々考えられる。
また、図5〜図6に示す実施の形態では、内側鋼管30、筒状積層ゴム32、外側鋼管34、ボルト取り付け用積層ゴム20を多角形断面の筒状としてもよい。さらに、外側鋼管34の外周部は任意の形状にしてもよい。
また、図9に示す実施の形態では、軸部2420を多角形断面とし、筒状積層ゴム32を多角形断面の筒状とし、外側鋼管34の内周部を多角形断面とし、外側鋼管34の外周部を任意の形状にしてもよく、図10に示す実施の形態では、内側鋼管30、筒状積層ゴム32を多角形断面の筒状としてもよい。
また、ボルト取り付け用積層ゴム20の用途は免震装置10に限定されず、せん断力は伝達するが引っ張り力はできるだけ伝達しないような箇所に広く適用される。
10……免震装置
12……下部構造体
14……免震用積層ゴム
16……下部フランジプレート
20……ボルト取り付け用積層ゴム
22……規制手段
24……アンカーボルト
2402……頭部
2406……当接部
26,1604,3602……ボルト挿通孔
30……内側鋼管
32……筒状積層ゴム
34……外側鋼管
40……収容凹部

Claims (14)

  1. 免震用積層ゴムの上部に設けられた上部のフランジプレートをアンカーボルトを介して上部の構造体に取着し、前記免震積層用ゴムの下部に設けられた下部のフランジプレートをアンカーボルトを介して下部の構造体に取着し、前記下部の構造体上において前記上部の構造体を免震支持する免震方法であって、
    薄肉の筒状のゴムシートと薄肉の鋼管とが半径方向に交互に積層されて構成された筒状積層ゴムを設け、
    前記筒状積層ゴムの軸心を鉛直方向に向け前記筒状ゴムの外周部を前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して一体に変位するように前記フランジプレートに結合させ、
    前記筒状積層ゴムの中心に前記アンカーボルトを挿通させて前記フランジプレートを前記筒状積層ゴムと共に前記構造体に取着し、前記筒状積層ゴムの内周部を前記アンカーボルトに対して前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して変位不能に結合させ、
    前記免震積層用ゴムに引っ張り力が作用した際に前記筒状積層ゴムを鉛直方向にせん断変形させて前記フランジプレートと前記構造体とを離間させ、前記免震積層用ゴムに作用する引っ張り力を低減するようにした、
    ことを特徴とする構造体の免震方法。
  2. 前記筒状積層ゴムの内周部は前記アンカーボルトの軸部に接合され、前記筒状積層ゴムと前記アンカーボルトとは一体化されている、
    ことを特徴とする請求項1記載の免震方法。
  3. 前記筒状積層ゴムの外周部は前記フランジプレートに形成された孔の内周面に接合され、前記筒状積層ゴムと前記フランジプレートとは一体化されている、
    ことを特徴とする請求項1記載の免震方法。
  4. 前記筒状積層ゴムの鉛直方向の変形量の上限を規制手段により規制するようにした、
    ことを特徴とする請求項1〜3に何れか1項記載の構造体の免震方法。
  5. 免震用積層ゴムと、前記免震積層用ゴムの上部に設けられ上部の構造体に取着される上部のフランジプレートと、前記免震積層用ゴムの下部に設けられアンカーボルトを介して下部の構造体に取着される下部のフランジプレートとを備える免震装置であって、
    内側鋼管と、前記内側鋼管の外周面に薄肉の筒状のゴムシートと薄肉の鋼管とが前記内側鋼管の半径方向外側に交互に積層されて構成された筒状積層ゴムと、前記筒状積層ゴムの外周面に取着された外側鋼管とを備え、前記内側鋼管の内側の空間は前記アンカーボルトの軸部を挿通させるボルト挿通孔とされたボルト取り付け用積層ゴムが設けられ、
    前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記外側鋼管は前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して一体に変位するように前記フランジプレートに結合され、前記内側鋼管は前記アンカーボルトに対して前記フランジプレートが前記構造体から離れる方向に対して変位不能に結合され、前記筒状積層ゴムは鉛直方向にせん断変形可能な状態となっており、
    前記筒状積層ゴムの鉛直方向の変形量の上限を規制する規制手段が設けられている、
    ことを特徴とする免震装置。
  6. 前記外側鋼管が前記フランジプレートに鉛直方向に変位不能に取着されることで前記ボルト取り付け用積層ゴムが予め前記フランジプレートに組み込まれており、
    前記アンカーボルトの頭部寄りの軸部の箇所に、前記内側鋼管の外径以下の寸法の外径を有し前記内側鋼管の軸方向の端面に当接可能な当接部が設けられ、
    前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記当接部と前記内側鋼管の軸方向の端面とが当接している、
    ことを特徴とする請求項5記載の免震装置。
  7. 前記筒状積層ゴムの前記ボルト挿通孔の軸方向に沿った長さと、前記フランジプレートの厚さとは等しく、
    前記筒状積層ゴムの軸方向の両端面は、前記フランジプレートの上面、下面と同一面上に位置している、
    ことを特徴とする請求項5または6記載の免震装置。
  8. 前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記筒状積層ゴムに、前記免震用積層ゴムを鉛直方向に引っ張る方向と反対の方向に予め荷重が掛けられている、
    ことを特徴とする請求項5または6記載の免震装置。
  9. 前記アンカーボルトの頭部下面は、前記外側鋼管の前記構造体から離れた側の軸方向の端面に当接可能に形成され、
    前記アンカーボルトの頭部寄りの軸部の箇所に、前記内側鋼管の外径以下の寸法の外径を有し前記内側鋼管に当接可能な当接部が設けられ、
    前記フランジプレートにボルト挿通孔が形成されると共に、前記構造体から離れた側の前記ボルト挿通孔の箇所に、前記フランジプレートが前記外側鋼管と共に前記構造体から離れる方向で鉛直方向に変位した際に前記内側鋼管および前記筒状積層ゴムの収容を可能とした収容凹部が設けられ、
    前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記当接部と前記内側鋼管とが当接し、前記外側鋼管の前記構造体側の軸方向の端面が前記収容凹部の周囲の前記下部フランジプレートの箇所に当接し、前記外側鋼管の前記構造体から離れた側の軸方向の端面が前記アンカーボルトの頭部下面から離れた箇所に位置している、
    ことを特徴とする請求項5または6記載の免震装置。
  10. 前記アンカーボルトの頭部下面は、前記内側鋼管の外径以下の寸法の外径を有し前記内側鋼管の軸方向の一方の端面に当接可能に形成され、
    前記フランジプレートにボルト挿通孔が形成されると共に、前記構造体から離れた側の前記ボルト挿通孔の箇所に、前記フランジプレートが前記外側鋼管と共に前記構造体から離れる方向で鉛直方向に変位した際に前記内側鋼管および前記筒状積層ゴムの収容を可能とし、かつ、前記内側鋼管の軸方向の他方の端面に当接可能な底面を有する収容凹部が設けられ、
    前記ボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルトを介して前記フランジプレートが前記構造体に取着された状態で、前記アンカーボルトの頭部下面と前記内側鋼管の軸方向の一方の端面とが当接すると共に前記外側鋼管の軸方向の一方の端面が前記下部フランジプレートに当接し、前記内側鋼管および前記筒状積層ゴムが鉛直方向において前記フランジが前記構造体から離れる方向で前記収容凹部の外部の箇所に位置している、
    ことを特徴とする請求項5または6記載の免震装置。
  11. 前記アンカーボルトは、頭部と、前記頭部から突設された軸部と、前記軸部の先部に雄ねじが形成され構造体側に結合される雄ねじ部と、前記頭部の直下の前記軸部の箇所に雄ねじが形成された第2の雄ねじ部とを有し、
    前記当接部は、前記第2の雄ねじ部に螺合されたナットで構成されている、
    ことを特徴とする請求項6または9記載の免震装置。
  12. 前記アンカーボルトの頭部下面は、前記アンカーボルトの軸方向において前記外側鋼管に当接可能に形成され、
    前記規制手段は、前記アンカーボルトの頭部下面と前記外側鋼管とで構成されている、
    ことを特徴とする請求項5〜9の何れか1項記載の免震装置。
  13. 内側鋼管と、
    前記内側鋼管の外周面に薄肉の筒状のゴムシートと薄肉の鋼管とが前記内側鋼管の半径方向外側に交互に積層されて構成された筒状積層ゴムと、
    前記筒状積層ゴムの外周面に取着された外側鋼管とを備え、
    前記内側鋼管の内側の空間はボルトの軸部を挿通させるボルト挿通孔とされている、
    ことを特徴とするボルト取り付け用積層ゴム。
  14. 前記ボルト挿通孔の軸方向に沿った前記内側鋼管、前記筒状積層ゴム、前記外側鋼管の長さは同一の寸法で形成され、
    前記軸方向の両端に位置する前記内側鋼管、前記筒状積層ゴム、前記外側鋼管の端面は同一面上に位置している、
    ことを特徴とする請求項13記載のボルト取り付け用積層ゴム。
JP2014168429A 2014-08-21 2014-08-21 免震装置 Active JP6420991B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168429A JP6420991B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 免震装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168429A JP6420991B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 免震装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016044724A true JP2016044724A (ja) 2016-04-04
JP6420991B2 JP6420991B2 (ja) 2018-11-07

Family

ID=55635484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014168429A Active JP6420991B2 (ja) 2014-08-21 2014-08-21 免震装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6420991B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021156160A (ja) * 2017-10-30 2021-10-07 旭化成ホームズ株式会社 免震構造用ダンパー機構、免震構造用ダンパー機構の配置構造、免震構造用トリガー機構、免震構造用トリガー機構の配置構造、免震構造用すべり支承機構、及び建物
JP2021167661A (ja) * 2021-01-28 2021-10-21 日鉄エンジニアリング株式会社 免震構造

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008215442A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Tokyo Institute Of Technology アイソレータ保護装置、免震装置
WO2011043242A1 (ja) * 2009-10-06 2011-04-14 オイレス工業株式会社 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物
JP2013163930A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Oiles Ind Co Ltd 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008215442A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Tokyo Institute Of Technology アイソレータ保護装置、免震装置
WO2011043242A1 (ja) * 2009-10-06 2011-04-14 オイレス工業株式会社 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物
JP2013163930A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Oiles Ind Co Ltd 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021156160A (ja) * 2017-10-30 2021-10-07 旭化成ホームズ株式会社 免震構造用ダンパー機構、免震構造用ダンパー機構の配置構造、免震構造用トリガー機構、免震構造用トリガー機構の配置構造、免震構造用すべり支承機構、及び建物
JP7148679B2 (ja) 2017-10-30 2022-10-05 旭化成ホームズ株式会社 免震構造用ダンパー機構、免震構造用ダンパー機構の配置構造、免震構造用トリガー機構、免震構造用トリガー機構の配置構造、免震構造用すべり支承機構、及び建物
JP7360519B2 (ja) 2017-10-30 2023-10-12 旭化成ホームズ株式会社 免震構造用ダンパー機構、免震構造用ダンパー機構の配置構造、免震構造用トリガー機構、免震構造用トリガー機構の配置構造、免震構造用すべり支承機構、及び建物
JP2021167661A (ja) * 2021-01-28 2021-10-21 日鉄エンジニアリング株式会社 免震構造
JP2022115788A (ja) * 2021-01-28 2022-08-09 日鉄エンジニアリング株式会社 免震構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP6420991B2 (ja) 2018-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4330171B2 (ja) アイソレータ保護装置、免震装置
JP5694175B2 (ja) 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物
TWI565865B (zh) 疊層橡膠體之安裝構造及具有該安裝構造之構造體
WO2017183542A1 (ja) 免震装置
JP3205393U (ja) 免震装置
JP6420991B2 (ja) 免震装置
JP5918643B2 (ja) 構造物用両面スライド支承装置
JP5284915B2 (ja) 構造物の移動方法及び建築物
JP2008025830A (ja) 免震装置
JP2009133475A (ja) 回転吸収層付支承装置
JP5814153B2 (ja) 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物
JP4488383B1 (ja) 橋梁用支承装置
JP2006275215A (ja) 振動エネルギー吸収装置およびその製造方法
JP5522971B2 (ja) ゴム座金並びに該ゴム座金を用いた支承及び構造物
JP7427578B2 (ja) 免震装置
JP2010276186A (ja) 構造物の滑り支承構造
CN204592114U (zh) 一种减隔振装置
JP6148045B2 (ja) 構造物用両面スライド支承装置
JP2011184936A (ja) アイソレータ保護装置、およびその組立方法
JP2002181129A (ja) 支承装置
JP5795905B2 (ja) 橋梁支承構造
JP6594050B2 (ja) 免震装置の取り付け構造
JP6982350B1 (ja) 構造物用免震支承装置
JP2012145196A (ja) 免震装置
JP2005147220A (ja) 免震装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180925

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6420991

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250