JP5814153B2 - 積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物 - Google Patents

積層ゴム体用接合部材並びに該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物 Download PDF

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Description

本発明は、建築構造物における免震構造に用いられる積層ゴム体に用いる接合部材、並び に該接合部材を用いた積層ゴム体及び構造物に関する。
建築構造物及び土木構造物の支承取付構造、特に、建築構造物における免震構造、土木構造物における免震構造及び水平力分散構造に用いられる積層ゴム体は、その積層ゴム体の構造上、圧縮方向には大きな耐力を有し、上部構造物の荷重を支持することができるものの、引張方向の耐力は圧縮方向に比べ劣る。
そのため、免震装置としての積層ゴム体の開発初期段階では、積層ゴム体に引張力を作用させず、その引張力によって生じる積層ゴム体の損傷や破断を防止するため、積層ゴム体と上部及び下部構造物との取付けをダウエルピンによる連結で行い、設計者を上下方向の引張力の検討から解放していた。
しかし、前記ダウエルピン式の接合方法によると、水平変形時にダウエルピン部分の離反の程度が大きくなると、ダウエルピンが抜け、積層ゴム体自体に変形が生じる虞があった。このような状態になると、積層ゴム体の水平抵抗力が低下し、積層ゴム体が転倒を始める危険性もあるため、ダウエルピンを用いた取付構造を採用する場合には、水平力の低下を生じる変形量を転倒限界(ロールアウト変位)として、積層ゴム体の使用限界を定める必要があった(例えば、非特許文献1参照)。
そのため、積層ゴム体と上部及び下部構造体との連結には、一般的に、前出した転倒限界を考慮しなくてよい取付ボルトによる緊結手段が広く用いられるようになったが、近年、建築構造物の免震設計は、高層建築物への適用や、アスペクト比の大きな建築構造物への適用が進められ、それに伴って、高い引張能力を有する積層ゴム体の開発や、積層ゴム体に鉛直方向の耐力以上の引張力を伝達させないようにするため、上部構造物と地盤との間に浮上り防止装置を設ける工夫が行われるようになってきている。また、積層ゴム体に大きな引張力を伝達させないようにするため、積層ゴム体と上部及び下部構造体との緊結方法について種々研究されている。
しかし、特許文献1に記載の積層ゴム免震支承装置の取付構造のように、積層ゴム体の取付板を二重構造にしたり、特許文献2に記載の積層ゴム支承体のように、積層ゴム体のフランジ部材の曲げ剛性を低下させるためにフランジに加工を施すことにより積層ゴム体への引張力を低減させる手段は、積層ゴム体の構造本体の設計変更を伴い、費用も時間もかかる上に、据え付けスペースの見直しも必要になり、簡単に適用できるものではなかった。
一方、特許文献3に記載の免震アイソレータの締結法や、特許文献4に記載の免震装置の引き抜き対応機構のような、積層ゴム体の取付部分に緩衝材を介在させる技術は、鋼材の接触部や弾性変形を生じる部分の防錆や、ゴム材料の圧縮特性を利用した単なる円筒状の形態では、圧縮時において筒状内径方向にゴム材料が膨出し、取付ボルトとの緩衝を生じ、筒状ゴム座金からなる緩衝材の破損に繋がる虞があった。
そこで、本出願は、特許文献5において、図7に示すように、構造物43の上部構造体38と下部構造体39との間に介装された積層ゴム体37を、上部構造体38及び下部構造体39と積層ゴム体37との浮上りを許容しながら接合する積層ゴム体用接合部材31A、31B(31)を提案した。
図8に示すように、この積層ゴム体用接合部材(以下、適宜「接合部材」と略称する)31は、せん断形筒状ゴム体として形成され、内周面側円筒状鋼材31aと、フランジ部31e’を有する外周面側円筒状鋼材31eと、中間円筒状鋼材31cと、これらの円筒状鋼材31a、31c、31eの間に各々介装される円筒状ゴム31b、31dとで構成され、隣接する円筒状鋼材31a、31c、31eと円筒状ゴム31b、31dとは互いに加硫接着等で頑強に接着され、接合部材31は、断面視同心円状の積層ゴム形状に形成される。
上記接合部材31は、図7に示すように、下側フランジプレート33Aと下側アンカープレート34Aとの間で、積層ゴム体37の複数取付ボルト32Aの各々に介装されると共に、上側フランジプレート33Bと上側アンカープレート34Bとの間で、積層ゴム体37の複数取付ボルト32Bの各々に、上記と同様の要領で介装される。
上記構成を有する接合部材31は、地震時等に、構造物43の上部構造体38にロッキング等により浮上りが生じ、積層ゴム体37の取付部に鉛直方向に引張力が作用した場合、具体的には、図8に示すように、積層ゴム体37のフランジプレート33と上部及び下部構造体38、39に固定されたアンカープレート34との間に鉛直方向の浮上りを生じても、積層ゴム形状に形成された接合部材31の内周面側円筒状鋼材31aがアンカープレート34に不動に固定されていると共に、外周面側円筒状鋼材31eのフランジ部31e’がフランジプレート33の上面に接合されているため、接合部材31が鉛直方向にせん断変形を生じることができ、積層ゴム体37の上方への浮上りを吸収し、積層ゴム体37の弾性層、接着層等に大きな引張力が生じるのを防止し、積層ゴム体37の損傷や破断を防止することができる。
そのため、大掛かりな積層ゴム体の取付部分の形状変更を行わずに、アスペクト比の大きな免震建築構造物等において、上部構造物に浮上りが生じた場合でも、当該浮上り量を吸収できると共に、積層ゴム体の弾性層や接着層に対する鉛直方向の引張力を低減して積層ゴム体の破損や損傷を防止することのできる接合部材を提供すると共に、該接合部材を備えた積層ゴム体及び該積層ゴム体により支持される構造物を提供することができる。
特開2005−163281号公報 特開2002−195327号公報 特開平10−110551号公報 特開平11−153191号公報 国際公開第2011−043242号パンフレット
ジェームス・M・ケリー著、日本振動技術協会訳/藤田隆史監訳、「免震構造と積層ゴムの基礎理論」、東京電機大学出版局、p160−p162
しかし、上記特許文献5に記載の積層ゴム体用接合部材31によれば、円筒状ゴム31b、31dは、円筒状鋼材31a、31c、31eに比較して材料強度が小さいため、長期間の使用等により強度が限界に達すると、円筒状ゴム31b、31d自体又は円筒状ゴム31b、31dと円筒状鋼材31a、31c、31eとの接着部で破断する虞があり、例えば、図9に示すように、円筒状ゴム31bと円筒状鋼材31cの接着部で破断すると、接合部材31によるフランジプレート33とアンカープレート34との接合が機能せず、接合部材31によって積層ゴム体37の引張り荷重を支持することができなくなる。そのため、別途フェイルセーフ装置を設ける必要があった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、円筒状ゴム等が破断しても引張り荷重を支持することができ、別途フェイルセーフ装置を設ける必要のない接合部材を提供すると共に、該接合部材を備えた積層ゴム体及び該積層ゴム体により支持される構造物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、ゴム材料からなる弾性層と補強板とを交互に積層した積層ゴム部の下端面にフランジプレートが接合されて形成された積層ゴム体を、該フランジプレートを介して下部構造体に、該積層ゴム体の浮上りを許容しながら接合する積層ゴム体用接合部材であって、前記フランジプレートに穿設された取付ボルト孔に挿入され、外周面側が前記フランジプレートの鉛直方向の離反に対して追従するように該フランジプレートと接合される外側筒状鋼材と、前記取付ボルト孔に挿入され、内周面側が前記下部構造体に固定されたアンカープレート側に、取付用ボルトを介して不動に固定される内側筒状鋼材と、前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に配され、該外側筒状鋼材の内周面及び該内側筒状鋼材の外周面と一体化された筒状ゴムとを備え、前記外側筒状鋼材の内周面は、上径が下径より大径である逆円錐台状に形成され、前記内側筒状鋼材の外周面は、逆円錐台状で、かつ該外周面の上径が前記外側筒状鋼材の内周面の下径より大径に形成されることを特徴とする。
そして、本発明によれば、外側筒状鋼材の内周面を上径が下径より大径である逆円錐台状に形成し、内側筒状鋼材の外周面を、逆円錐台状で、かつ該外周面の上径が前記外側筒状鋼材の内周面の下径より大径に形成したため、筒状ゴムが破断しても、内側筒状鋼材の外周面を外側筒状鋼材の内周面で保持することができ、筒状ゴムが破断しても、この積層ゴム体用接合部材によって引張り荷重を支持することができ、別途フェイルセーフ装置を設ける必要がない。
また、本発明に係る積層ゴム体用接合部材は、外側筒状鋼材の内周面及び内側筒状鋼材の外周面を逆円錐台状に形成しているため、自己調芯機能を発揮させることができ、積層ゴムの設置位置を安定的に維持することができる。
更に、上記積層ゴム体用接合部材が水平方向に変形しながら、積層ゴム体の引張り荷重を支持する際には、この接合部材は、鉛直方向の剛性に非線形性を有するため、積層ゴム体の回転モーメントを打ち消す力が発生することを期待できる。
上記積層ゴム体用接合部材は、前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に、前記筒状ゴムを前記外側筒状鋼材側部分と前記内側筒状鋼材側部分とに分割するように、かつ該分割された筒状ゴムと一体化されるように配され、外周面及び内周面が共に逆円錐台状に形成される少なくとも1つの筒状鋼材を備え、該少なくとも1つの筒状鋼材の外周面の上径は、隣接する外側の筒状鋼材の内周面の下径よりも大径に形成することができる。これにより、上記発明と同様に、引張り荷重を支持することができると共に、積層ゴムの設置位置を安定的に維持することなどが可能となる。
また、本発明は、ゴム材料からなる弾性層と補強板とを交互に積層した積層ゴム部の上端面にフランジプレートが接合されて形成された積層ゴム体を、該フランジプレートを介して上部構造体に、該積層ゴム体の浮上りを許容しながら接合する積層ゴム体用接合部材であって、前記フランジプレートに穿設された取付ボルト孔に挿入され、外周面側が前記フランジプレートの鉛直方向の離反に対して追従するように該フランジプレートと接合される外側筒状鋼材と、前記取付ボルト孔に挿入され、内周面側が前記上部構造体に固定されたアンカープレート側に、取付用ボルトを介して不動に固定される内側筒状鋼材と、前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に配され、該外側筒状鋼材の内周面及び該内側筒状鋼材の外周面と一体化された筒状ゴムとを備え、前記外側筒状鋼材の内周面は、下径が上径より大径である円錐台状に形成され、前記内側筒状鋼材の外周面は、円錐台状で、かつ該外周面の下径が前記外側筒状鋼材の内周面の上径より大径に形成されることを特徴とする。
そして、本発明によれば、外側筒状鋼材の内周面を下径が上径より大径である円錐台状に形成し、内側筒状鋼材の外周面を、円錐台状で、かつ該外周面の下径が前記外側筒状鋼材の内周面の上径より大径に形成したため、筒状ゴムが破断しても、内側筒状鋼材の外周面を外側筒状鋼材の内周面で保持することができ、筒状ゴムが破断しても、この積層ゴム体用接合部材によって引張り荷重を支持することができ、別途フェイルセーフ装置を設ける必要がない。また、外側筒状鋼材の内周面及び内側筒状鋼材の外周面を円錐台状に形成しているため、自己調芯機能を発揮させることができ、積層ゴムの設置位置を安定的に維持することができる。更に、上記積層ゴム体用接合部材が水平方向に変形しながら、積層ゴム体の引張り荷重を支持する際には、この接合部材は、鉛直方向の剛性に非線形性を有するため、積層ゴム体の回転モーメントを打ち消す力が発生することを期待できる。
上記積層ゴム体用接合部材は、前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に、前記筒状ゴムを前記外側筒状鋼材側部分と前記内側筒状鋼材側部分とに分割するように、かつ該分割された筒状ゴムと一体化されるように配され、外周面及び内周面が共に円錐台状に形成される少なくとも1つの筒状鋼材を備え、該少なくとも1つの筒状鋼材の外周面の下径は、隣接する外側の筒状鋼材の内周面の上径よりも大径に形成することができる。これにより、上記発明と同様に、引張り荷重を支持することができると共に、積層ゴムの設置位置を安定的に維持することなどが可能となる。
また、本発明は、積層ゴム体及び構造物であって、上記いずれかに記載の積層ゴム体用接合部材を備えることを特徴とする。これにより、上述のように、別途フェイルセーフ装置を設ける必要がなく、低コストで、積層ゴム体及び構造物の安全性を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、別途フェイルセーフ装置を設ける必要のない接合部材を提供することができると共に、該接合部材を備えた積層ゴム体及び該積層ゴム体により支持される構造物を提供することができる。
本発明にかかる積層ゴム体用接合部材の一実施の形態の取付状態を示す断面図である。 図1の接合部材を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 図1の接合部材を取り付けた積層ゴム体及び構造物の一部破断断面図であって、上部構造物と下部構造物との間に水平方向の相対変形が生じる前の状態を示す。 図1の接合部材を取り付けた積層ゴム体及び構造物の一部破断断面図であって、上部構造物と下部構造物との間に水平方向の相対変形が生じた後の状態を示す。 図4における接合部材及びその近傍を示す拡大図である。 図1の接合部材の筒状ゴムが破断した状態を示す断面図である。 従来の積層ゴム体用接合部材を取り付けた積層ゴム体及び構造物の一部破断断面図である。 図7の積層ゴム体の浮上り時における接合部材の変形状態を示す断面図である。 図7の積層ゴム体用接合部材の筒状ゴムが破断した状態を示す断面図である。
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1乃至図3は、本発明にかかる積層ゴム体用接合部材の一実施の形態を示し、この接合部材1は、図3に示すように、構造物13の上部構造体8と下部構造体9との間に介装された積層ゴム体7を、上部構造体8及び下部構造体9と積層ゴム体7との浮上りを許容しながら接合するために用いられる。
積層ゴム体7は、ゴム層6aと補強板6bとを交互に積層した積層ゴム部6の上下端面の各々にフランジプレート3(3A、3B)が接合されて形成され、ゴム層6aと補強板6b及びゴム層6aとフランジプレート3との接触面は、加硫接着により一体的に形成される。積層ゴム部6の貫通孔には、円柱状の鉛プラグ6cが封入され、2枚のキャッププレート6dで封止される。
上部構造体8の下面には、頭付きスタッド11Bを介して上側アンカープレート4Bが固定され、下部構造体9の上面には、頭付きスタッド11Aを介して下側アンカープレート4Aが固定され、積層ゴム体7のフランジプレート3の延出部に接合部材1(1A、1B)が装着される。
図1及び図2に示すように、接合部材1は、せん断形筒状ゴム体として形成され、挿通穴1a’を有する内周面側筒状鋼材1aと、フランジ部1e’及び雌ねじ部1fを有する外周面側筒状鋼材1eと、中間筒状鋼材1cと、これらの筒状鋼材1a、1c、1eの間に各々介装される筒状ゴム1b、1dとで構成され、隣接する筒状鋼材と筒状ゴムとは互いに接着剤により頑強に接着され、好ましくは積層ゴム部6等に用いられる加硫接着とするのがよい。これによって、接合部材1は、断面視同心円状の積層ゴム形状に形成される。
上記内周面側筒状鋼材1aの外周面1aO、中間筒状鋼材1cの内周面1cI及び外周面1cO、外周面側筒状鋼材1eの内周面1eIは、各々逆円錐台状に形成され、各筒状鋼材1a、1c、1eの外周面及び内周面の寸法関係は以下のように設定されている。
中間筒状鋼材1cの外周面1cOの上径D1>外周面側筒状鋼材1eの内周面1eIの下径D3
内周面側筒状鋼材1aの外周面1aOの上径D2>中間筒状鋼材1cの内周面1cIの下径D4
上記筒状鋼材1a、1c、1eは、鋼からなる材料に代えて、せん断形筒状ゴムからなる接合部材に求められる、筒状の軸方向へのせん断変形機能及び筒状外周面方向からの圧縮変形機能に支障がない範囲であれば、合成樹脂、アルミ等の非鉄金属材料も使用することができる。
筒状ゴム1b、1dの各々の外周面及び内周面も、上記筒状鋼材1a、1c、1eと同様に逆円錐台状に形成され、筒状ゴム1b、1dに使用されるゴムの材料は、機械的特性に優れていることに加え、それらの経年変化が小さく、更に耐水性、耐オゾン性等の環境特性も好ましい材料がよく、天然ゴム、合成ゴムいずれの材料であっても、天然ゴムと合成ゴムを混合したゴム材料であってもよい。
取付ボルト2は、六角穴付きボルトであって、頭部(膨大部)2aに六角穴2cが穿設され、雄ねじ部2bを有する。また、袋ナット5は、大径部5aと、小径部5bとを有し、小径部5bの上面に開口する雌ねじ部5cを有する。
接合部材1の取付にあたっては、図1に示すように、アンカープレート4の貫通穴4aに袋ナット5の小径部5bを収容し、フランジプレート3の貫通穴3aに接合部材1を収容し、接合部材1の外周面側筒状鋼材1eのフランジ部1e’をフランジプレート3の上面に当接させ、フランジプレート3とアンカープレート4とを重ね合わせ、取付ボルト2を接合部材1の挿通穴1a’に挿通させた後、取付ボルト2の雄ねじ部2bと袋ナット5の雌ねじ部5cを螺合させる。これによって、接合部材1の内周面側筒状鋼材1aが、取付ボルト2の膨大部2aと袋ナット5の小径部5bとで強固に挟持され、アンカープレート4に不動に固定される。一方、接合部材1の外周面側筒状鋼材1eのフランジ部1e’が、雌ねじ部1fに螺合する雌ねじ(不図示)によってフランジプレート3の上面に固定される。
上記接合部材1は、図3に示すように、下側フランジプレート3Aと下側アンカープレート4Aとの間で、積層ゴム体7の複数取付ボルト2Aの各々に介装されると共に、上側フランジプレート3Bと上側アンカープレート4Bとの間で、積層ゴム体7の複数取付ボルト2Bの各々に、上記と同様の要領で介装される。
次に、上記構成を有する接合部材1の動作について図3乃至図5を中心に参照しながら説明する。
地震時等に、構造物13の上部構造体8にロッキング等により浮上りが生じ、積層ゴム体7の取付部に鉛直方向に引張力が作用した場合、具体的には、図4に示すように、積層ゴム体7のフランジプレート3と下部構造体9に固定されたアンカープレート4との間に鉛直方向の浮上りを生じても、図5に示すように、積層ゴム形状に形成された接合部材1の内周面側筒状鋼材1aがアンカープレート4に不動に固定されていると共に、外周面側筒状鋼材1eのフランジ部1e’がフランジプレート3の上面に接合されているため、接合部材1が鉛直方向にせん断変形を生じることができ、積層ゴム体7の上方への浮上りを吸収し、積層ゴム体7の弾性層、接着層等に大きな引張力が生じるのを防止し、積層ゴム体7の損傷や破断を防止することができる。
また、上記断面視同心円状の筒状積層ゴム構造を有する接合部材1を用いることにより、せん断方向、換言すれば、フランジプレート3の浮上り方向への変形が容易で、接合部材1のせん断方向と直交する方向である同心円状に積層された部材の外周面から中心軸方向への変形(いわゆる圧縮変形)、換言すれば、構造物13を支持する積層ゴム体7の水平方向の力の伝達においては大きな剛性を有するため、若干の圧縮変形は生じるものの、何ら従来の取付ボルトによる力の伝達状況と比較して特別考慮することなく使用することができる。
更に、せん断形筒状ゴムからなる接合部材1を、積層ゴム体7の取付ボルトの各々に配することにより、積層ゴム体7に作用する水平力が、接合部材1の同心円状の筒状積層ゴムの外周面から中心方向へ作用する際に生じる若干の変形により、特定の取付ボルトに集中することを防止することができ、従来の取付ボルトで生じる虞のある各個撃破を回避することもできる。
また、フランジプレート3の浮上りが、上部構造体8と下部構造体9との間に配された積層ゴム体7の水平せん断変形に伴う転倒現象(ロールアウト現象)により、また、上部構造体8のロッキング現象による浮上りにより、取付ボルト2の軸線に垂直ではなく、軸線と角度をもって生じた場合においても、接合部材1の筒状ゴム1b、1dにおいて曲げ変形を生じ、フランジプレート3の浮上りに対して大きな抵抗力となる齧りや摩擦を生じることがない。
更に、積層ゴム体7に大きな水平せん断変形が生じた場合に生じる曲げモーメントによる積層ゴム体7の端部の浮上り現象において、浮上りが生じる範囲のゴム材料及び接着層への鉛直方向の過大な引張力を低減することができる結果、積層ゴム体7の健全性を確保できると共に、積層ゴム体7が大きな水平せん断変形を生じる際に現れるハードニング現象による水平力の著しい上昇をも抑制できるため、大きな水平せん断変形下での免震周期の短縮を防ぎ得て、広い範囲で長周期を得ることができ、大地震時における安全性を確保できる効果がある。
また、この接合部材1についても、長期間の使用等により強度が限界に達すると、筒状ゴム1b、1d自体又は筒状ゴム1b、1dと筒状鋼材1a、1c、1eの接着部で破断する虞があるが、例えば、筒状ゴム1b自体、又は筒状ゴム1bと筒状鋼材1a又は1eの接着部で破断した場合でも、図2(b)に示すように、筒状鋼材1aの外周面1aOの上径D2は、筒状鋼材1cの内周面1cIの下径D4よりも大きいため、図6に示すように、筒状鋼材1a、1cが互いに離間せずに、接合部材1によるフランジプレート3とアンカープレート4との接合が維持され、引き続き接合部材1によって積層ゴム体7の引張り荷重を支持することができる。そのため、別途フェイルセーフ装置を設ける必要がない。
尚、筒状ゴム1d自体、又は筒状ゴム1dと筒状鋼材1c又は1eの接着部で破断した場合でも、図2(b)に示すように、筒状鋼材1cの外周面1cOの上径D1は、筒状鋼材1eの内周面1eIの下径D3よりも大きいため、接合部材1によるフランジプレート3とアンカープレート4との接合が維持され、積層ゴム体7の引張り荷重の支持を継続することができる。この点については、上部構造体8側のフランジプレート3Bとアンカープレート4Bとの間に配した接合部材1Bについても同様に機能する。
また、上記接合部材1の筒状鋼材1a、1c、1eの外周面及び内周面を逆円錐台状又は円錐台状に形成しているため、自己調芯機能を発揮させることができ、積層ゴム体7の設置位置を安定的に維持することができる。
更に、接合部材1が水平方向に変形しながら、積層ゴム体7の引張り荷重を支持する際には、接合部材1は、鉛直方向の剛性に非線形性を有するため、積層ゴム体7の回転モーメントを打ち消す力が発生することを期待できる。
尚、上記実施の形態においては、接合部材1の外周面側筒状鋼材1eのフランジ部1e’をフランジプレート3の上面に接合したが、フランジ部1e’を設けずに、外周面側筒状鋼材1eの外周面とフランジプレート3の貫通穴3aの内周面とを嵌合させ、外周面側筒状鋼材1eをフランジプレート3に固定することもできる。また、上側フランジプレート3Bが上昇した後、下降時に接合部材1に抜けが生じ、外周面側筒状鋼材1eのフランジ部1e’が初期位置に復元しないことを防止するため、フランジ部1e’をフランジプレート3に固定用ねじなどで機械的に固定してもよい。
また、上記実施の形態においては、接合部材1を3つの筒状鋼材1a、1c、1eで構成したが、3つ又は4つ以上の筒状鋼材によって構成することもできる。
1(1A、1B) 積層ゴム体用接合部材
1a 内周面側筒状鋼材
1aO 外周面
1a’ 挿通穴
1b 筒状ゴム
1c 中間筒状鋼材
1cI 内周面
1cO 外周面
1d 筒状ゴム
1e 外周面側筒状鋼材
1eI 内周面
1e’ フランジ部
1f 雌ねじ部
2(2A、2B) 取付ボルト(六角穴付きボルト)
2a 頭部
2b 雄ねじ部
2c 六角穴
3(3A、3B) フランジプレート
3a 貫通穴
4(4A、4B) アンカープレート
4a 貫通穴
5(5A、5B) 袋ナット
5a 大径部
5b 小径部
5c 雌ねじ部
6 積層ゴム部
6a ゴム層
6b 補強板
6c 鉛プラグ
6d キャッププレート
7 積層ゴム体
8 上部構造体
9 下部構造体
11(11A、11B) 頭付きスタッド
13 構造物

Claims (6)

  1. ゴム材料からなる弾性層と補強板とを交互に積層した積層ゴム部の下端面にフランジプレートが接合されて形成された積層ゴム体を、該フランジプレートを介して下部構造体に、該積層ゴム体の浮上りを許容しながら接合する積層ゴム体用接合部材であって、
    前記フランジプレートに穿設された取付ボルト孔に挿入され、外周面側が前記フランジプレートの鉛直方向の離反に対して追従するように該フランジプレートと接合される外側筒状鋼材と、
    前記取付ボルト孔に挿入され、内周面側が前記下部構造体に固定されたアンカープレート側に、取付用ボルトを介して不動に固定される内側筒状鋼材と、
    前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に配され、該外側筒状鋼材の内周面及び該内側筒状鋼材の外周面と一体化された筒状ゴムとを備え、
    前記外側筒状鋼材の内周面は、上径が下径より大径である逆円錐台状に形成され、前記内側筒状鋼材の外周面は、逆円錐台状で、かつ該外周面の上径が前記外側筒状鋼材の内周面の下径より大径に形成されることを特徴とする積層ゴム体用接合部材。
  2. 前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に、前記筒状ゴムを前記外側筒状鋼材側部分と前記内側筒状鋼材側部分とに分割するように、かつ該分割された筒状ゴムと一体化されるように配され、外周面及び内周面が共に逆円錐台状に形成される少なくとも1つの筒状鋼材を備え、
    該少なくとも1つの筒状鋼材の外周面の上径は、隣接する外側の筒状鋼材の内周面の下径よりも大径に形成されることを特徴とする請求項1に記載の積層ゴム体用接合部材。
  3. ゴム材料からなる弾性層と補強板とを交互に積層した積層ゴム部の上端面にフランジプレートが接合されて形成された積層ゴム体を、該フランジプレートを介して上部構造体に、該積層ゴム体の浮上りを許容しながら接合する積層ゴム体用接合部材であって、
    前記フランジプレートに穿設された取付ボルト孔に挿入され、外周面側が前記フランジプレートの鉛直方向の離反に対して追従するように該フランジプレートと接合される外側筒状鋼材と、
    前記取付ボルト孔に挿入され、内周面側が前記上部構造体に固定されたアンカープレート側に、取付用ボルトを介して不動に固定される内側筒状鋼材と、
    前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に配され、該外側筒状鋼材の内周面及び該内側筒状鋼材の外周面と一体化された筒状ゴムとを備え、
    前記外側筒状鋼材の内周面は、下径が上径より大径である円錐台状に形成され、前記内側筒状鋼材の外周面は、円錐台状で、かつ該外周面の下径が前記外側筒状鋼材の内周面の上径より大径に形成されることを特徴とする積層ゴム体用接合部材。
  4. 前記外側筒状鋼材の内周面と前記内側筒状鋼材の外周面との間に、前記筒状ゴムを前記外側筒状鋼材側部分と前記内側筒状鋼材側部分とに分割するように、かつ該分割された筒状ゴムと一体化されるように配され、外周面及び内周面が共に円錐台状に形成される少なくとも1つの筒状鋼材を備え、
    該少なくとも1つの筒状鋼材の外周面の下径は、隣接する外側の筒状鋼材の内周面の上径よりも大径に形成されることを特徴とする請求項3に記載の積層ゴム体用接合部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の積層ゴム体用接合部材を備えることを特徴とする積層ゴム体。
  6. 請求項5に記載の積層ゴム体により支持されることを特徴とする構造物。
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