JP2010176987A - 双極型二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の双極型二次電池は、双極型電極と、支持塩および溶媒を含む電解質層と、が積層されてなる発電要素を有する。双極型電極は、樹脂を基材とする導電性を有する樹脂層を含む集電体、集電体の一方の面に形成された正極活物質層、および集電体の他方の面に形成された負極活物質層を有する。そして、集電体に含まれるいずれか1つの樹脂層の基材を形成する樹脂の溶解度パラメータ(SP1)と、溶媒の溶解度パラメータ(SP2)との差の絶対値が、1.9以上である。
【選択図】なし
Description
図1は、本発明の一実施形態である双極型二次電池の全体構造を模式的に表わした断面図である。図1に示す本実施形態の双極型二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
双極型電極は、集電体と、該集電体の表面に形成されてなる活物質層とを有する。より詳しくは、一つの集電体の一方の面に正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質層が形成される。活物質層は正極活物質または負極活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
集電体は、正極活物質層と接する一方の面から、負極活物質層と接する他方の面へと電子の移動を媒介する機能を有する。本形態に係る集電体は、少なくとも1つの導電性を有する樹脂層を必須に含み、必要に応じてその他の層をさらに含みうる。
正極活物質層は正極活物質を含む。正極活物質は、放電時にイオンを吸蔵し、充電時にイオンを放出する組成を有する。好ましい一例としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が挙げられる。具体的には、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn2O4などのLi・Mn系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものなどが使用できる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル特性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することが可能である。この他、前記正極活物質としては、LiFePO4などの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V2O5、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3などの遷移金属酸化物や硫化物;PbO2、AgO、NiOOHなど、を用いることもできる。上記正極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
負極活物質層は負極活物質を含む。負極活物質は、放電時にイオンを放出し、充電時にイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti2O3、TiO2、もしくはSiO2、SiO、SnO2などの金属酸化物、Li4/3Ti5/3O4もしくはLi7MnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。また、負極活物質は、リチウムと合金化する元素を含むことが好ましい。リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
電解質層は、電極間でリチウムイオンの移動する際の媒体としての機能を有する。本形態において、電解質層を構成する電解質は、電解液として溶媒を含むものであれば特に制限はなく、従来公知の液体電解質および高分子ゲル電解質を適宜採用することができる。
シール部(絶縁層)層は、集電体同士の接触や単電池層の端部における短絡を防止する機能を有する。シール部を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム等が用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性等の観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が、絶縁層の構成材料として好ましく用いられる。
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。本発明では、高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用等の大型機器用電池に好適に利用することができるラミネートフィルムが望ましい。
本形態の複数の双極型二次電池を直列または並列に電気的に接続することによって組電池とすることができる。このように、複数の電池を直列または並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
本発明の車両は、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本発明では、長期信頼性および出力特性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
10cm角に切り出した厚さ100μmの集電体2枚ずつを、ドライ雰囲気下で3辺を厚物ガゼット用ポリシーラー(FT―230)を用いてシールした。そして、シールしていない残りの1辺より溶媒を5cc添加し、この1辺をシールすることによって、集電体で構成された電解液入りの袋を作製した。作製した袋を均等に並べ、一定時間経過後に重さを測定し、溶媒の残存率を算出した。なお、使用した樹脂および溶媒の組み合わせは表1の通りである。
(双極型電極の作製)
アセチレンブラック(AB)(導電助剤)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(バインダ)、平均粒子径5μmリチウムニッケル酸化物系活物質(LiNiO2)およびNMPを用いて、正極層用スラリーを作製した。各成分の配合比は、リチウムニッケル酸化物系活物質:AB:PVDF=86:6:8(質量比)である。また、アセチレンブラック(AB)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ハードカーボンおよびNMPを用いて、負極層用スラリーを作製した。各成分の配合比は、ハードカーボン:AB:PVDF=85:5:10(質量比)である。
得られた双極型電極の、正極活物質層が形成された面の導電性を有する樹脂層露出部分(電極未塗布部分)に、シール用シート(PP/PEN/PPを積層した3層構造品)を配置した。次に、170×140(mm)の樹脂系セパレータ(宇部興産製微多孔膜)を正極活物質層が形成された側の双極型電極が全て覆われるように配置した。その後、電極未塗布部に対応するセパレータ上にシール用シートを配置し、その上から、双極型電極を負極面を重ねた。かようにして、双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)・セパレータ・双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)・・・セパレータ・双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)、の順番で、双極型電極13枚をセパレータを介して積層し、シールすることによって、単電池層が12個積層された双極型二次電池構造体を作製した。
上記の方法で作製した各双極型二次電池について、25℃の雰囲気下、定電流方式(CC、電流:5C)で200Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:5C)で120Vまで放電し、放電後10分間休止させた。この充放電過程を1サイクルとし、10サイクルの充放電試験を行い、放電容量保持率を調べた。結果を下記の表2に示す。なお、表2において「放電容量保持率」は、1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量の割合を表す(百分率表示)。
2 金属層、
3 接着層、
10 双極型二次電池、
11 集電体、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
23 双極型電極、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29 ラミネートフィルム、
31 シール部、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 車両。
Claims (6)
- 樹脂を基材とする導電性を有する樹脂層を含む集電体、
前記集電体の一方の面に形成された正極活物質層、および
前記集電体の他方の面に形成された負極活物質層を有する双極型電極と、
支持塩および溶媒を含む電解質層と、が積層されてなる発電要素を有する双極型二次電池であって、
前記集電体に含まれるいずれか1つの樹脂層の基材を形成する樹脂の溶解度パラメータ(SP1)と、前記溶媒の溶解度パラメータ(SP2)との差の絶対値が、1.9以上である、双極型二次電池。 - 前記集電体が、複数の前記樹脂層を含む、請求項1に記載の双極型二次電池。
- 前記集電体に含まれるいずれか1つの樹脂層の基材を形成する樹脂の溶解度パラメータ(SP1)が、前記溶媒の溶解度パラメータ(SP2)よりも1.9以上大きい、請求項1または2に記載の双極型二次電池。
- 前記樹脂は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、およびポリアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記溶媒は、ジメチルカーボネートを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の双極型二次電池。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の双極型二次電池が、複数電気的に接続されてなる、組電池。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の双極型二次電池または請求項5に記載の組電池を、モータ駆動用電源として搭載した、車両。
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