JP2010120252A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加減速時にも画像形成を行う際の画質劣化を抑える。
【解決手段】プリンタ装置は、キャリッジを、主走査方向に往復動させると共に、搬送路におけるキャリッジの折返し地点周辺においては、キャリッジを加減速させながら、インク液滴の吐出動作を行うことにより、副走査方向に搬送されてくる用紙への画像形成を行う。この装置では、キャリッジが折返し地点から定速となるまでの移動距離を加速距離として求め、目標停止位置から加速距離分遡った地点を減速開始位置として、この地点にキャリッジが到達した時点から、加速時と対称な速度指令関数に従い目標速度を設定して、減速時の速度制御を行う。そして、目標停止位置より手前の制御切替位置でキャリッジの搬送制御を速度制御から位置制御に切り替えることにより、加減速時の速度軌跡が対称な形状となるようにしつつ、精度よく目標停止位置でキャリッジを停止させる。
【選択図】図5
【解決手段】プリンタ装置は、キャリッジを、主走査方向に往復動させると共に、搬送路におけるキャリッジの折返し地点周辺においては、キャリッジを加減速させながら、インク液滴の吐出動作を行うことにより、副走査方向に搬送されてくる用紙への画像形成を行う。この装置では、キャリッジが折返し地点から定速となるまでの移動距離を加速距離として求め、目標停止位置から加速距離分遡った地点を減速開始位置として、この地点にキャリッジが到達した時点から、加速時と対称な速度指令関数に従い目標速度を設定して、減速時の速度制御を行う。そして、目標停止位置より手前の制御切替位置でキャリッジの搬送制御を速度制御から位置制御に切り替えることにより、加減速時の速度軌跡が対称な形状となるようにしつつ、精度よく目標停止位置でキャリッジを停止させる。
【選択図】図5
Description
本発明は、記録ユニットを主走査方向に搬送すると共に、記録ユニットの搬送時に、インク液滴を記録ユニットに吐出させることによって、副走査方向に通過するシートに、画像を形成する画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置としては、インクジェット記録方式の画像形成装置が知られている。インクジェット記録方式の画像形成装置では、記録ユニットを主走査方向に定速移動させると共に、定速移動時に、記録ユニットにインク液滴を吐出させることにより、副走査方向に通過するシートに、画像を形成するのが一般的である。
記録ユニットの定速移動時に、記録ユニットにインク液滴を吐出させるのは、インク液滴の着弾点のムラを抑えるためである。インク液滴の吐出タイミングは、記録ユニットの速度及び位置を検出可能なエンコーダ情報を基に決定される。また、吐出分解能より低い分解能のエンコーダを使用する場合、そのパルス信号が検出された時点での速度から次のパルス信号が検出されるまでの時間を推定して、記録ユニットがインク液滴を吐出するタイミングを制御する。
従って、加速中及び減速中に、記録ユニットにインク液滴を吐出させる場合には、記録ユニットの移動速度が常に変化していることが原因で、インク液滴の吐出タイミングを、上手く調整することができず、主走査方向の各位置において着弾位置がばらつく。
このような理由から、従来では、記録ユニットを定速移動させた状態で、インク液滴を吐出することにより、着弾点のずれを揃えて、ムラのない均一な画像を形成するようにしている。
また、この種の画像形成装置では、記録ユニットを往復動させながら、往路及び復路の夫々において、インク液滴の吐出動作を行うことで、高速にシートに画像形成をするようにしている。
ところで、このようにして画像形成動作を行う場合には、記録ユニットを折返し地点で正確に停止させないと、停止後において次ラインの画像形成動作を行う際に、停止地点から画像形成開始地点までの距離が定まらない。従って、停止精度が悪い場合には、画像形成開始地点に移動するまでに記録ユニットが定速状態に確実に移行するように、加速領域を冗長に確保する必要がある。また、正確に記録ユニットを折返し地点で停止させることができない場合には、記録ユニットが正規の折返し地点で停止しない場合を考慮して、正規の折返し地点より記録ユニット搬送方向下流に、冗長に記録ユニットの搬送路を用意しなければならない。
即ち、停止精度が悪い場合には、記録ユニットの搬送路が長くなり、装置が大型化するといった問題がある。
このため、従来では、記録ユニットの減速時の制御を工夫することで、記録ユニットを折返し地点で正確に停止させるようにしている。尚、記録ユニットを正確に目標停止位置で停止させるための技術としては、目標停止位置手前で、記録ユニットを、低等速度で搬送し、更に、目標停止位置近傍で、速度制御から位置制御へ切り替えることで、高精度に、記録ユニットを目標停止位置に停止させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−040779号公報
しかしながら、記録ユニットを主走査方向に定速移動させた状態で、インク液滴を吐出して画像形成を行う方法では、上述したように、記録ユニットがインク液滴の吐出動作を行う画像形成対象領域に進入する前に記録ユニットを定速状態に移行させなければならず、更には、画像形成対象領域から離脱した後でなければ、減速動作を開始することができないため、記録ユニットの搬送路の短縮に、限界がある。
このため、本発明者らは、加減速時においても画像形成動作を行うことで、主走査方向における記録ユニットの搬送路を短くし、装置を小型化することを考えている。即ち、画像形成対象領域の一部に加減速領域を重ねることで、搬送路全体の長さを抑えることを考えている。
しかしながら、加減速時のインク着弾点の制御については、その精度に限界がある。従って、単に、加減速時にも画像形成動作を行うだけでは、装置の小型化を達成できるものの、画質の劣化といった新たな問題が生じる。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、往路及び復路の夫々で加減速時にも画像形成動作を行う画像形成装置において、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑え、シートに高画質な画像を形成することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、往路及び復路の夫々で加減速時にも画像形成動作を行う画像形成装置においては、加速時の位置に対する速度軌跡と減速時の位置に対する速度軌跡とを、対称的な形状に揃え、往路及び復路において記録ユニットの位置に対する速度軌跡を揃えることで、各走査ライン間でのインク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑えられることに気がついた。
インク液滴の着弾態様は、上述したように、記録ユニットの速度に依存する。一方、往路及び復路の夫々で加減速時にも画像形成動作を行う場合、往路において加速しながら画像形成を行う領域では、復路において減速しながら画像形成を行うことになる。
従って、記録ユニットが画像形成動作を行う搬送路上の領域である画像形成対象領域において、加速時の位置に対する速度軌跡と減速時の位置に対する速度軌跡とが対称的な形状になっていない場合には、隣接するライン間で、画像形成時の記録ユニットの速度変化が異なることになる。
このため、隣接するライン間においてインク液滴の着弾点のムラが目立つことになり、結果として、シートに形成される画像の画質が低下することになるのである。
しかしながら、画像形成対象領域において、位置に対する加速時の速度軌跡と減速時の速度軌跡とを対称的な形状にし、往路及び復路において記録ユニットの位置に対する速度軌跡を揃えることは、時間に対する目標速度軌跡を固定としている従来技術では、できない。
なぜならば、図9に示すように、記録ユニットの静止摩擦特性により、記録ユニットの実速度は、目標速度軌跡に対して、立ち上がりで遅れ、その後目標速度軌跡に追従する。このため、実速度が、時間に対して目標速度軌跡に追従していても、位置に対する実速度の軌跡は、図10に示すように、目標速度軌跡からずれることになる。
即ち、加速中の記録ユニットの各位置における速度が、目標速度軌跡から想定されるものよりも大きくなり、その分短い距離で記録ユニットが定速状態へと到達するため、加速距離が短くなる。
つまり、目標速度軌跡を固定して速度制御を行った場合、図10上段に示すように、加速距離が短くなった分、キャリッジの全体の走査距離が短くなる。一方、減速時には、加速時のような静止摩擦による遅れが生じないので、加減速距離が異なることになって、位置に対する速度軌跡が往路と復路とにおいて一致しない。
以上の理由により、従来技術では、加減速中にインク液滴の吐出動作を行うと、ライン間でインク液滴の着弾点のムラが生じ、画質ムラが生じるのである。
そこで、本発明者らは、往路及び復路の夫々で加減速時にも画像形成動作を行うに際して、次のように、画像形成装置を構成することで、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑え、シートに高画質な画像を形成できるようにした。以下、本発明の画像形成装置の説明に移る。
本発明(請求項1記載)の画像形成装置は、インク液滴を吐出可能な記録ユニットと、モータの駆動力により記録ユニットを主走査方向に搬送する搬送機構と、搬送機構が備えるモータを駆動して、記録ユニットの搬送制御を行う搬送制御手段と、搬送制御手段による記録ユニットの搬送時に、インク液滴を記録ユニットに吐出させることによって、インク液滴の吐出位置を副走査方向に通過するシートに、画像を形成する画像形成手段と、を備える。
また、搬送制御手段は、記録ユニットの搬送路における主走査方向両側の折返し地点で、記録ユニットの搬送方向を逆方向に切り替えることにより、記録ユニットを往復動させると共に、次のように動作する。
即ち、搬送制御手段は、記録ユニットが搬送方向上流の折返し地点から、搬送方向下流の予め定められた制御切替地点に到達するまでは、記録ユニットを目標速度に速度制御し、記録ユニットが制御切替地点に到達した時点以降は、その地点から記録ユニットが搬送方向下流の折返し地点に到達するまで、記録ユニットを目標位置に位置制御する。
また、このような速度制御及び位置制御によって、搬送制御手段は、記録ユニットを、搬送方向上流の折返し地点から加速させた後、定速で搬送し、「搬送方向下流の折返し地点から加速に要した距離分、搬送方向上流に遡った地点に、記録ユニットが到達した時点」以降は、記録ユニットを減速させて、記録ユニットを、搬送方向下流の折返し地点で停止させるように制御する。
尚、本発明では、加減速時の画像形成動作を想定しているため、画像形成手段による画像形成動作が行われる搬送路上の領域である画像形成対象領域は、搬送制御手段が記録ユニットを定速移動させる搬送路上の領域である定速移動領域を包含する当該定速移動領域よりも広い領域に、定められる。
また、制御切替地点は、画像形成対象領域の搬送方向下流側の終点、又は、当該終点よりも搬送方向下流の地点に定められる。
この他、目標速度は、記録ユニットが画像形成対象領域の搬送方向上流側の始点から定速状態に移行するまでの加速区間、及び、記録ユニットが減速開始地点から画像形成対象領域の搬送方向下流側の終点に到達するまでの減速区間において、記録ユニットの速度軌跡が、加速区間の終了地点と減速区間の始点である減速開始地点との中点を通る速度方向の軸に対して対称となるように設定される。
このように、本発明では、減速開始地点を、搬送方向上流の折返し地点から記録ユニットが定速状態に移行するまでに要した加速距離の分、搬送方向下流の折返し地点より上流の地点に設定するので、加速距離及び減速距離を一致させることができる。
そして、加減速を伴う画像形成対象領域において、記録ユニットの速度軌跡が対称となるように目標速度を設定するため、結果として、図10下段に示すように、記録ユニットの加速時の速度軌跡と減速時の速度軌跡とを位置に対して対称的な形状にすることができ、往路及び復路において記録ユニットの位置に対する速度軌跡を揃えることができて、往路及び復路の夫々で加減速時に画像形成動作を行う場合でも、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑えることができる。
よって、本発明によれば、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑えつつ、装置の小型化を実現することができ、コンパクトで高性能な画像形成装置を製造することができる。
尚、本発明の画像形成装置において、目標速度は、「記録ユニットが搬送方向上流の折返し地点から定速状態に移行するまで」の加速区間、及び、「記録ユニットが減速開始地点から制御切替地点に到達するまで」の減速区間において、記録ユニットの速度軌跡が対称となるように設定されてもよい。このようにしても、小型化を実現しつつ、シートに高画質な画像を形成することが可能な画像形成装置を製造することができる(請求項2)。
一方、目標位置は、時刻に対する目標位置軌跡が搬送方向下流の折返し地点を極点とする滑らかな単調関数となるように設定されるのが好ましい(請求項3)。目標位置軌跡を搬送方向下流の折返し地点を極点とする滑らかな単調関数に定めれば、折返し地点で、より一層精度よく記録ユニットを停止させて、折返し搬送を行うことができる。
折返し地点で精度よく記録ユニットを停止させることができない場合には、時間に対する関数で定まる目標速度軌跡の開始点が、想定された正しい地点からずれることが原因で、位置に対する速度軌跡が理想的な軌跡から外れてしまうが、上述のように目標位置を定めれば、そのような問題の発生を回避することができる。
従って、この発明によれば、折返し地点の停止精度の影響から、隣接するライン間で記録ユニットの速度変化にズレが生じるのを抑えることができ、一層ムラなく、高品質な画像をシートに形成することができる。
また、搬送制御手段は、具体的に次のように構成することができる。
即ち、搬送制御手段は、請求項4記載のように、位置検出手段と、速度検出手段と、第一目標速度設定手段と、加速距離特定手段と、減速開始地点設定手段と、第一到達判定手段と、第二目標速度設定手段と、第二到達判定手段と、目標位置設定手段と、第一操作量決定手段と、第二操作量決定手段と、駆動手段と、切替手段と、を備える構成にすることができる。
この搬送制御手段において、位置検出手段は、記録ユニットの搬送路における位置を検出し、速度検出手段は、記録ユニットの搬送路における速度を検出する。
一方、第一目標速度設定手段は、「記録ユニットを搬送方向上流の折返し地点から加速させて定速状態へ移行させるまでの加速区間における目標速度及び当該加速区間に続く定速区間での目標速度が定められた目標速度軌跡」に従い、定速区間が終了するまでの各時刻における目標速度を設定する。
また、加速距離特定手段は、位置検出手段の検出結果に基づき、折返し地点から定速状態に移行するまでに要した記録ユニットの移動距離である加速距離を特定し、減速開始地点設定手段は、記録ユニットの搬送方向下流に位置する折返し地点から、加速距離特定手段により特定された加速距離の分、記録ユニットの搬送方向上流に遡った地点を、減速開始地点に設定する。
第一到達判定手段は、位置検出手段の検出結果に基づき、記録ユニットが上記減速開始地点に到達したか否かを判定し、第二目標速度設定手段は、第一到達判定手段にて記録ユニットが減速開始地点に到達したと判定されると、予め定められた目標速度軌跡であって、加速区間における目標速度軌跡と対称な速度軌跡を示す減速区間の目標速度軌跡に従い、記録ユニットが減速開始地点に到達して以降の各時刻における目標速度を設定する。
そして、第二到達判定手段は、位置検出手段の検出結果に基づき、減速開始地点よりも搬送方向下流の地点であって、予め定められた制御切替地点に、記録ユニットが到達したか否かを判定し、目標位置設定手段は、記録ユニットが制御切替地点に到達して以降の各時刻における目標位置を設定する。
一方、第一操作量決定手段は、記録ユニットが搬送方向上流の折返し地点から減速開始地点に到達するまでは、第一目標速度設定手段により設定された目標速度を指標とし、記録ユニットが減速開始地点に到達した後には、第二目標速度設定手段により設定された目標速度を指標として、当該指標とする目標速度と、速度検出手段により検出された記録ユニットの速度との偏差に基づき、当該偏差が縮まる方向に、モータに対する操作量を決定する。
また、第二操作量決定手段は、目標位置設定手段により設定された目標位置と、位置検出手段により検出された記録ユニットの位置との偏差に基づき、当該偏差が縮まる方向に、モータに対する操作量を決定する。
この他、切替手段は、記録ユニットが搬送方向上流の折返し地点から制御切替地点に到達するまでは、第一操作量決定手段により決定された操作量を駆動手段に入力し、記録ユニットが制御切替地点に到達した後には、第二操作量決定手段により決定された操作量を駆動手段に入力することで、駆動手段に入力する操作量を切り替える。そして、駆動手段は、入力された操作量に対応する駆動電圧又は電流で、モータを駆動する。
このように搬送制御手段を構成すれば、往路及び復路の夫々で加減速時にも画像形成動作を行う画像形成装置において、請求項1記載の画像形成装置と同様、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑えることができ、コンパクトで高性能な画像形成装置を製造することができる。
尚、上記画像形成装置には、第二到達判定手段にて記録ユニットが制御切替地点に到達したと判定されると、速度検出手段にて検出された制御切替地点到達時点での記録ユニットの速度、及び、制御切替地点から搬送方向下流の折返し地点までの距離の情報に基づき、当該折返し地点で記録ユニットを停止可能な制御切替地点から折返し地点までの目標位置軌跡を定める目標位置軌跡決定手段を設け、目標位置設定手段は、目標位置軌跡決定手段により定められた目標位置軌跡に従って、記録ユニットが制御切替地点に到達して以降の各時刻における目標位置を設定する構成にされるとよい(請求項5)。
このように構成された画像形成装置によれば、折返し地点で、精度よく記録ユニットを停止させて、折返し搬送を行うことができる。
また、上記目標位置軌跡決定手段は、時刻を入力変数とし目標位置を出力変数とする所定関数の内部パラメータを、制御切替地点到達時点での記録ユニットの速度、及び、折返し地点までの距離に基づき、当該関数が搬送方向下流の折返し地点を極点とする滑らかな単調関数となるように決定することによって、目標位置軌跡を、当該関数で定義される軌跡に定める構成にすることができる(請求項6)。
このように目標位置軌跡決定手段を構成すれば、制御切替地点到達時点での記録ユニットの速度に依らず、目標位置軌跡を搬送方向下流の折返し地点を極点とする滑らかな単調関数に設定することができ、折返し地点で、一層、精度よく記録ユニットを停止させて、折返し搬送を行うことができる。
また、上述の所定関数は、二次関数とするのがよい(請求項7)。二次関数を用いて目標位置軌跡を定めるようにすれば、簡単な演算で目標位置軌跡を定めることができて、装置の処理負荷を抑えることができる。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1は、本実施例のプリンタ装置1の電気的構成を表すブロック図である。
本実施例のプリンタ装置1は、CPU11と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するROM13と、プログラム実行時に作業領域として使用されるRAM15と、各種設定情報を記憶するEEPROM17と、パーソナルコンピュータ(PC)3から送信されてくる印刷指令や当該印刷指令と共に送信されてくる印刷対象データを受信するためのインタフェース19(例えば、USBインタフェース)と、印字制御部21と、モータ制御部30と、を備える。
また、このプリンタ装置1は、インク液滴を吐出するためのノズルが複数配列された記録ヘッド23と、記録ヘッド23を駆動するためのヘッド駆動回路25と、キャリッジ搬送機構40と、用紙搬送機構60と、キャリッジ搬送機構40が備えるCRモータ43を駆動するためのCRモータ駆動回路51と、CRモータ43によって駆動されるキャリッジ41の位置に対応してパルス信号を出力するCRエンコーダ53と、用紙搬送機構60が備えるLFモータ63を駆動するためのLFモータ駆動回路71と、LFモータ63が所定角度回転する度にパルス信号を出力するロータリーエンコーダからなるLFエンコーダ73と、を備える。
キャリッジ搬送機構40は、図2に示すように、記録ヘッド23を主走査方向に搬送するキャリッジ41や、キャリッジ41を主走査方向に移動させるための直流モータであるCRモータ43等を備え、キャリッジ41がガイド軸42に沿って主走査方向に移動可能に設置され、キャリッジ41が、無端ベルト44に連結された構成にされている。図2は、プリンタ装置1が備えるキャリッジ搬送機構40の構成を表す斜視図である。
このキャリッジ搬送機構40において、無端ベルト44は、直流モータであるCRモータ43の回転軸に設けられたプーリー45と、アイドルプーリー46(図4参照)との間に掛けられており、CRモータ43の回転力を、プーリー45を介して受けて、回転する。
即ち、キャリッジ搬送機構40は、CRモータ43の回転力を受けて、無端ベルト44が回転することにより、キャリッジ41が、キャリッジ搬送路を構成するガイド軸42に沿って、主走査方向に移動する構成にされている。
また、プリンタ装置1には、ガイド軸42に沿って、スリットが一定の微小間隔で形成されたタイミングスリット47が設けられ、タイミングスリット47に形成されたスリットの間隔を読み取ってキャリッジ41の位置に対応したパルス信号を出力するセンサ素子48が、キャリッジ41に設けられている。即ち、本実施例においては、タイミングスリット47とセンサ素子48とにより、リニアエンコーダとしてのCRエンコーダ53が構成されている。
また、記録ヘッド23は、周知のピエゾ型インクジェットヘッドと同一構成にされ、駆動電圧が印加されると、インク室に隣接する圧電部を変形させて、インク室の容積を変化させることにより、インク室内のインクをノズルから用紙に向けて吐出する構成にされている。この記録ヘッド23は、キャリッジ41に搭載されており、キャリッジ41に搬送されて、主走査方向に移動する。
また、用紙搬送機構60は、用紙Pを副走査方向に搬送するための搬送ローラ61や搬送ローラ61を回転させるための直流モータであるLFモータ63等を備え、LFモータ63により搬送ローラ61を回転させることで、用紙Pを、記録ヘッド23のノズルと対向する記録ヘッド23の下方に向けて、主走査方向とは直交する副走査方向に搬送する。
また、印字制御部21は、CPU11の指令によって動作を開始すると、CRエンコーダ53から入力されるパルス信号及びCPU11から入力される画像データに基づき、記録ヘッド23を、ヘッド駆動回路25を通じて制御し、CPU11から入力される画像データに応じた画像を、インク液滴の吐出位置を副走査方向に通過する用紙Pに形成する。具体的に、印字制御部21は、周知のプリンタ装置と同様、CRエンコーダ53から入力されるパルス信号に基づき、キャリッジ41の移動に同期して駆動電圧を記録ヘッド23に印加し、記録ヘッド23に、ノズルからインク液滴を吐出させる。
この他、モータ制御部30は、CRモータ制御部31及びLFモータ制御部33を備え、CPU11の指令によって動作を開始すると、CRモータ制御部31によりCRモータ43を制御し、LFモータ制御部33によりLFモータ63を制御する。
即ち、CRモータ制御部31は、CPU11からの指令を受けて動作すると、CRエンコーダ53から入力されるパルス信号に基づき、キャリッジ41の移動速度(実速度)Vmを検出し、その検出速度Vmと目標速度Vrが一致するように、キャリッジ41の移動速度を制御し、CPU11から指定された搬送方向に、キャリッジ41を目標速度Vrで移動させる(詳細後述)。
一方、LFモータ制御部33は、CPU11からの指令を受けて動作し、CPU11から指定された量、用紙Pを送り出すように、LFモータ63を制御する構成にされている。具体的に、LFモータ制御部33は、LFエンコーダ73から入力されるパルス信号に基づき、LFモータ63に対する操作量を決定して、用紙Pが上記指定された量、送り出されるように、LFモータ63を制御する。
図3は、CPU11が、PC3からインタフェース19を通じて、印刷指令を受信すると、実行する印刷制御処理を表すフローチャートである。モータ制御部30は、CPU11が印刷制御処理を開始すると入力される指令を受けて、CRモータ43及びLFモータ63を制御する。
印刷制御処理を開始すると、CPU11は、キャリッジ41の搬送方向を「正方向」に設定すると共に(S110)、用紙搬送機構60に、用紙Pの給紙動作を実行させ(S115)、更に、CRモータ制御部31に対して指令入力し、ホームポジションにあるキャリッジ41を、キャリッジ搬送路における「正方向」上流側の初期位置まで移動させる(S120)。
更には、給紙された用紙Pにおける印字領域の先頭(印字対象の領域の副走査方向先頭)が、記録ヘッド23下方のインク吐出位置に到達するまで、用紙Pを副走査方向に搬送するように、LFモータ制御部33に対して指令入力する(S130)。
尚、CRモータ制御部31は、CRエンコーダ53から入力されるパルス信号に基づき、キャリッジ搬送路上のキャリッジ41の位置Xmを検出する機能を有するが、CRモータ制御部31が検出する位置Xmの座標系において、位置Xmの値が上昇する方向を、以下では、「正方向」と表現し、位置Xmの値が減少する方向を、「負方向」と表現する。キャリッジ41は、キャリッジ搬送路を構成するガイド軸42に規制されて主走査方向に一次元的に移動するので、キャリッジ41の搬送方向は、「正方向」及び「負方向」のいずれかとなる。
S130の処理後には、印字制御部21及びCRモータ制御部31に対して指令入力することにより、印字制御部21及びCRモータ制御部31に、1パス分の画像形成動作を実行させる(S140)。
尚、「1パス分の画像形成動作」とは、キャリッジを主走査方向に片道分移動させると共に、この際にインク液滴を記録ヘッド23に吐出させることにより、用紙Pに所定ライン数分の画像を形成する動作のことを言う。「1パス分の画像形成動作」にて画像形成可能なライン数は、記録ヘッド23の能力によるが、本実施例では、Nライン分の画像が形成可能であるとして話を進める。Nとしては、例えば、値1(N=1)を挙げることができる。
S140の処理について詳述すると、ここでは、印字制御部21に対して、キャリッジ搬送路における画像形成開始位置及び画像形成終了位置を指定すると共に、画像形成開始位置から画像形成終了位置までの間で画像形成すべき画像データを与えることにより、印字制御部21にヘッド駆動回路25を通じて記録ヘッド23を制御させ、画像形成開始位置から画像形成終了位置までをキャリッジ41が移動する間に、記録ヘッド23が画像データに対応するインク液滴の吐出動作を、キャリッジ41の移動に併せて実行するようにする。
尚、画像形成開始位置及び画像形成終了位置は、用紙Pのサイズ毎及びキャリッジ41の搬送方向毎に予め定められ、ROM13に記憶されている。具体的に、画像形成開始位置は、用紙Pがキャリッジ搬送路の下方を副走査方向に通過するときに、用紙Pと対向するキャリッジ搬送路の領域であって、搬送方向上流の端点に対応する位置に定められ、画像形成終了位置は、用紙Pがキャリッジ搬送路の下方を通過するときに、用紙Pと対向するキャリッジ搬送路の領域であって、搬送方向下流の端点に対応する位置に定められている。
補足すると、S120でキャリッジ41が配置される初期位置は、搬送方向が「正方向」であるときの画像形成開始位置よりも、所定距離D1、搬送方向上流の位置に、予め定められている。
一方、CRモータ制御部31に対しては、S110又はS170で設定した搬送方向を、キャリッジ41の搬送方向として指定すると共に、キャリッジ41の目標停止位置Xeを指定することにより、CRモータ制御部31に、上記指定した搬送方向にキャリッジ41を搬送させ、目標停止位置Xeでキャリッジ41が停止するように、CRモータ43を制御させる。
尚、目標停止位置Xeは、用紙Pのサイズ毎及びキャリッジ41の搬送方向毎に予め定められ、ROM13に記憶されている。具体的に、搬送方向が「負方向」であるときの目標停止位置Xeは、S120でキャリッジ41が配置される初期位置に定められ、搬送方向が「正方向」であるときの目標停止位置Xeは、画像形成終了位置よりも搬送方向下流に、上記距離D1離れた位置に定められている。
また、S140での1パス分の画像形成動作が終了すると、CPU11は、S150に移行し、用紙1頁分の画像形成動作が完了したか否かを判断し、用紙1頁分の画像形成動作が完了していないと判断すると(S150でNo)、S160に移行する。
そして、S160では、LFモータ制御部33に指令入力することにより、LFモータ制御部33に、用紙搬送機構60を通じて、用紙Pを1パス分の距離、副走査方向下流に搬送させる。尚、ここでいう「1パス分の距離」は、S140における「1パス分の画像形成動作」によって用紙Pに形成可能な画像の副走査方向の長さに対応する。
また、S160での処理を終えると、CPU11は、キャリッジ41の搬送方向を現在設定されている方向とは逆方向に設定する。即ち、現在の設定値が「正方向」であれば、搬送方向を「負方向」に設定し、現在の設定値が「負方向」であれば、搬送方向を「正方向」に設定する(S170)。
その後、CPU11は、S140に移行して、印字制御部21及びCRモータ制御部31に、上述した「1パス分の画像形成動作」を実行させる。また、この処理を終えると、S150に移行して、用紙1頁分の画像形成動作が完了したか否かを判断し、完了していない場合には、S160に移行して同様の処理を繰り返す。
即ち、CPU11は、図4に示すように、CRモータ制御部31を通じてキャリッジ41を、主走査方向に往復動させる。尚、図4は、印刷制御処理実行時のキャリッジの搬送態様を表す説明図である。用紙P上をキャリッジ41が主走査方向に通過する際には、上述した印字制御部21の動作により、記録ヘッド23からインク液滴が吐出され、用紙Pに、印刷指令と共にPC3から受信した画像データに基づく画像が形成される。
そして、用紙1頁分の画像形成動作が完了したと判断すると(S150でYes)、CPU11は、S180に移行し、用紙搬送機構60に、用紙Pの排紙動作を実行させる(S180)。また、S180での処理を終えると、次頁の画像データがあるか否かを判断し(S190)、次頁の画像データがあると判断すると(S190でYes)、S110に移行して、次頁の画像形成を、上述した手順と同様に実行する。一方、次頁の画像データがないと判断すると(190でNo)、CPU11は、CRモータ制御部31に対して指令入力して、キャリッジ41をホームポジションまで移動させた後(S195)、当該印刷制御処理を終了する。
ところで、従来装置では、記録ヘッド23によるインク液滴の吐出動作が行われる画像形成開始位置から画像形成終了位置までのキャリッジ搬送路上の領域である画像形成対象領域において、キャリッジ41を一定速度で移動させることができるように、加速及び減速に十分な長さの領域を画像形成対象領域前後に設けていたが、このようにするとキャリッジ搬送路が長くなる。
このため、本実施例では、用紙Pに対して画像形成を行う際、画像形成開始位置付近において、キャリッジ41を加速させた状態で、インク液滴の吐出動作を行い、画像形成終了位置付近では、キャリッジ41を減速させた状態で、インク液滴の吐出動作を行うように、プリンタ装置1を構成することで、キャリッジ搬送路を短くしてプリンタ装置1を小型化するようにしている。
即ち、キャリッジ41が定速状態に移行するまでに移動する距離として予想される距離(目標速度がゼロから定速に切り替わるまでの目標速度の積分で得られる理論上の距離)よりも、キャリッジ41の加速開始位置から画像形成開始位置までの距離が短くなるように、距離D1を定めることで、画像形成対象領域内では、キャリッジ41を一定速度で搬送するという従来の前提を採用するのを止めて、図4に示すように、画像形成対象領域の開始点及び終了点の周辺ではキャリッジ41の加減速を行うようにしている。
しかしながら、単に、加減速時にも画像形成動作を行うだけでは、装置の小型化を達成できるものの、画質劣化といった新たな問題が生じる。
そこで、本実施例では、図5に示すように、目標速度軌跡を設定することで、画質の劣化を抑えるようにしている。
具体的に、本実施例では、キャリッジ41が定速状態に移行した時点で、加速前の停止位置から定速状態に移行するまでにキャリッジ41が移動した距離である加速距離を求め、目標停止位置Xeから加速距離分上流に遡った位置を、減速開始位置Xdに設定する。
そして、キャリッジ41が減速開始位置Xdに到達した時点で、加速時の目標速度軌跡と時間的に線対称な関係にある目標速度軌跡に従って、キャリッジ41の速度を制御することにより、キャリッジ41を、加速時と対称な速度軌跡で減速させる。
更に、目標停止位置Xeより所定距離遡った地点である制御切替位置Xcで、キャリッジ41の制御を、速度制御から位置制御に切り替えることで、キャリッジ41を目標停止位置Xeに精度よく停止させる。
具体的には、キャリッジ41が制御切替位置Xcに到達した時点で、制御切替位置Xcでのキャリッジ41の速度を考慮して、目標位置軌跡を、目標停止位置Xeに極点を有した二次関数となるように、設計することにより、精度よくキャリッジ41を目標停止位置Xeに停止させる。
このようにして、本実施例では、位置に対する加速時の速度軌跡と減速時の速度軌跡とを対称的な形状とし、往路及び復路において記録ヘッド23の位置に対する速度軌跡を揃えるようにし、画質の劣化を抑えるようにしている。
続いて、このような動作を実現するCRモータ制御部31の構成について、図6〜図8を用いて説明する。図6は、CRモータ制御部31の構成を表す機能ブロック図である。
図6に示すように、CRモータ制御部31は、指令生成部310と、減算器311,312と、速度制御器313と、位置制御器314と、切替部315と、速度検出部317と、位置検出部319と、を備える。
指令生成部310は、目標速度Vr又は目標位置Xrを出力するものである。指令生成部310の詳細動作については、図7を用いて後述する。
一方、減算器311は、指令生成部310から出力される目標速度Vrを、速度検出部317から出力されるキャリッジ41の検出速度Vmで減算して、その偏差ΔV=Vr−Vmを求め、この偏差ΔVを、速度制御器313に入力するものである。
また、減算器312は、指令生成部310から出力される目標位置Xrを、位置検出部319から出力されるキャリッジ41の検出位置Xmで減算して、その偏差ΔX=Xr−Xmを求め、この偏差ΔXを、位置制御器314に入力するものである。
速度制御器313は、減算器311から入力される偏差ΔVを、所定の伝達関数Gvに入力して、CRモータ43に対する操作量Uvを求め、この操作量Uvを、切替部315に出力する。尚、伝達関数Gvは、偏差ΔVを縮小する方向の操作量Uvを算出するものであり、周知の手法で設計される。
一方、位置制御器314は、減算器312から入力される偏差ΔXを、所定の伝達関数Gxに入力して、CRモータ43に対する操作量Uxを求め、この操作量Uxを、切替部315に出力する。尚、伝達関数Gxは、偏差ΔXを縮小する方向の操作量Uxを算出するものであり、周知の手法で設計される。
また、切替部315は、操作量Uv及び操作量Uxの内、いずれか一方を選択的に、CRモータ駆動回路51に出力するものである。具体的に、この切替部315は、操作量Uv及び操作量Uxの内、指令生成部310から指示された一方の操作量を、CRモータ駆動回路51に出力する。
CRモータ駆動回路51は、この切替部315から入力される操作量Uv又は操作量Uxに対応する駆動電圧(又は駆動電流)で、CRモータ43を駆動する。これにより、キャリッジ41は、目標速度Vr又は目標位置Xrに対応する速度軌跡又は位置軌跡で、キャリッジ搬送路を「正方向」又は「負方向」に移動する。
また、速度検出部317は、CRエンコーダ53から入力される上記パルス信号としてのA相信号及びB相信号の内、一方の信号におけるパルスエッジ間の時間間隔を計測することにより、計測した時間間隔の逆数を、キャリッジ41の実速度として検出し、これを、上記検出速度Vmとして出力する。
尚、速度検出部317は、キャリッジ41が「正方向」に移動しているとき、検出速度Vmとして正の値を出力し、キャリッジ41が「負方向」に移動しているときには、検出速度Vmとして負の値を出力する。また、速度検出部317から出力される検出速度Vmは、減算器311及び指令生成部310に入力される。
また、位置検出部319は、CRエンコーダ53から入力されるA相信号及びB相信号に基づき、キャリッジ41の実位置を検出し、これを上記検出位置Xmとして出力するものである。
具体的に、位置検出部319は、A相信号及びB相信号の位相差によりキャリッジ41の移動方向を特定し、キャリッジ41が正方向に移動しているときには、パルスエッジが検出される度に、カウンタを1加算した値に更新し、キャリッジ41が負方向に移動しているときには、パルスエッジが検出される度に、カウンタを1減算した値に更新する。このような動作により、位置検出部319は、カウンタ値を、キャリッジ41の実位置として検出する。尚、位置検出部319から出力される検出位置Xmは、減算器312及び指令生成部310に入力される。
続いて、指令生成部310が実行する処理について図7を用いて説明する。図7は、S140でCPU11から入力される指令に従って、指令生成部310が実行する搬送制御処理を表すフローチャートである。
S140の処理では、上述したように、CPU11からCRモータ制御部31の指令生成部310に対し、搬送方向及び目標停止位置Xeの情報が入力される。
従って、指令生成部310は、図7に示す搬送制御処理を開始すると、CPU11から入力された情報に従って、目標停止位置Xeを設定すると共に、目標停止位置Xeから搬送方向上流に所定距離D遡った位置(Xe−q・D)を、制御切替位置Xcに設定する(S210)。
但し、変数qは、搬送方向が「正方向」であるとき、値「1」を採り、搬送方向が「負方向」であるとき、値「−1」を採るものとする。
この他、距離Dは、制御切替位置Xcが、画像形成終了位置、又は、画像形成終了位置より搬送方向下流に設定されるように、予め設計段階で、上記距離D1以下の値に定められる。
目標停止位置Xe及び制御切替位置Xcを設定すると、指令生成部310は、動作モードを、速度制御モードに設定する(S215)。即ち、切替部315に対して指令入力し、速度制御器313から出力される操作量Uvが切替部315を通じてCRモータ駆動回路51に入力されるように設定する。
そして、この処理後には、加速終了時刻Taが到来するまで、予め定められた加速区間の速度指令関数q・fa(t)に従って、速度制御器313に、現在時刻tに対応する目標速度Vr=q・fa(t)を出力する(S220)。尚、関数fa(t)は、搬送方向が正方向であるときの制御開始時刻t=0から加速終了時刻t=Taまでの目標速度Vrを規定する単調増加関数である。
また、加速終了時刻Taが到来すると(S225でYes)、指令生成部310は、加速終了時刻Taで位置検出部319から得られたキャリッジ41の検出位置Xmと、加速開始位置Xs(制御開始時刻t=0の時点で位置検出部319から得られたキャリッジ41の検出位置)との差を算出することにより、加速距離Da=|Xm−Xs|を算出し(S230)、更に、目標停止位置Xeから搬送方向上流に加速距離Da分だけ遡った位置(Xe−q・Da)を、減速開始位置Xdに設定する(S235)。
その後、指令生成部310は、位置検出部319から得られるキャリッジ41の検出位置Xmに基づき、キャリッジ41が減速開始位置Xdに到達するまでの期間(換言すれば、条件式q・(Xm−Xd)≧0が満足されるまでの期間)、速度制御器313に、現在時刻tに対応する目標速度Vrとして、定速区間の目標速度q・Vrcを出力する(S240)。尚、定速区間の目標速度q・Vrcは、加速区間における時刻t=Taでの目標速度q・fa(t=Ta)に一致する(S240)。
そして、キャリッジ41が減速開始位置Xdに到達すると(S245でYes)、減速開始位置到達時刻Td(換言すれば、条件式q・(Xm−Xd)≧0が満足された時刻Td)から、キャリッジ41が制御切替位置Xcに到達するまでの期間(換言すれば、条件式q・(Xm−Xc)≧0が満足されるまでの期間)、加速区間の速度指令関数q・fa(t)とは時間的に線対称な関係にある関数q・fa(Ta−(t−Td))で定められた減速区間の速度指令関数fd(t)=q・fa(Ta−(t−Td))に従い、速度制御器313に、現在時刻tに対応する目標速度Vr=fd(t)を出力する(S250)。
そして、位置検出部319から得られるキャリッジ41の検出位置Xmに基づき、キャリッジ41が制御切替位置Xcに到達したと判断すると(S255でYes)、S270に移行し、キャリッジ41が制御切替位置Xcに到達した時刻Tc(換言すれば、条件式q・(Xm−Xc)≧0が満足された時刻Tc)から、キャリッジ41が目標停止位置Xeに到達するまでの目標位置Xrを規定する位置指令関数fx(t)を定める。具体的には、次式に従う位置指令関数fx(t)を定める。尚、図8は、S270で定められる位置指令関数fx(t)を示したグラフである。
この他、減速係数kは、1以上の範囲で設計者により任意に定められるものである。例えば、減速係数kは、値1に設定される。
k=1のときには、時刻Tcで、位置指令関数fx(t)の時間一階微分fx’(t)の値fx’(t=Tc)が、速度Vcとなる。このため、k=1に設定すれば、制御切替位置Xcでキャリッジ41に対する制御を位置制御に切り替えたときに、キャリッジ41の急な速度変動が生じるのを抑えることができる。
また、本実施例においては、位置指令関数fx(t)を、目標停止位置Xeで極点を有する二次関数で定義しているので、この位置指令関数fx(t)に従う位置制御によれば、精度よく目標停止位置Xeにて、キャリッジ41を停止させることができる。
S270で位置指令関数fx(t)を決定すると、指令生成部310は、動作モードを、位置制御モードに切り替える(S275)。即ち、切替部315に対して指令入力し、位置制御器314から出力される操作量Uxが切替部315を通じてCRモータ駆動回路51に入力されるように設定する。
そして、この処理後には、式(3)で定まる停止時刻Teが到来するまで、S270で決定した位置指令関数fx(t)に従って、位置制御器314に、現在時刻tに対応する目標位置Xr=fx(t)を出力する(S280)。
そして、停止時刻Teが到来すると(S285でYes)、所定時間、目標位置として、Xr=Xeを、位置制御器314に出力した後(S290)、当該搬送制御処理を終了する。
指令生成部310は、CPU11にてS140の処理が実行される度、このような搬送制御処理を実行することにより、図5に示すように、画像形成対象領域において、加速時の目標速度軌跡と減速時の目標速度軌跡とを時間的に対称的な形状にすると共に、加速距離及び減速距離を、等しくする。
従って、本実施例のプリンタ装置1においては、記録ヘッド23が画像形成開始位置から定速状態に移行するまでの区間、及び、記録ヘッド23が減速開始位置Xdから画像形成終了位置を通過し、更に、制御切替位置Xcするまでの区間において、図10下段に示すように、記録ヘッド23の速度軌跡を、加速終了地点と減速開始地点との中点(換言すれば、搬送方向上流及び下流の折返し地点の中点)を通る速度方向の軸に対して対称とすることができて、往路及び復路の夫々で加減速時に画像形成動作を行う場合でも、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑えることができる。
また、本実施例によれば、位置指令関数fx(t)を、目標停止位置Xeで極点を有する滑らかな単調関数であって、搬送方向が正方向のとき単調増加関数となり、搬送方向が負方向のとき単調減少関数となる二次関数で定めているので、精度よく、目標停止位置Xe(折返し地点)で記録ヘッド23を停止させることができる。
よって、本実施例によれば、記録ヘッド23の位置に対する速度軌跡を対称とし、往路及び復路における記録ヘッド23の位置に対する速度軌跡を揃える搬送動作を実現することができ、インク液滴の着弾点のムラによる画質の劣化を抑えて、コンパクトで高性能な画像形成装置を製造することができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、「特許請求の範囲」に記載の画像形成装置は、本実施例のプリンタ装置1に対応し、記録ユニットは、記録ヘッド23に対応し、モータを備える搬送機構は、CRモータ43を備えるキャリッジ搬送機構40に対応する。
また、搬送制御手段は、CPU11が実行する印刷制御処理及びCRモータ制御部31が実行する搬送制御処理により実現され、画像形成手段は、印刷制御部21等により実現されている。
その他、搬送制御手段が備える位置検出手段は、位置検出部319により実現され、速度検出手段は、速度検出部317により実現されている。
また、第一目標速度設定手段は、S220,S240の処理により実現され、加速距離特定手段は、S230の処理により実現され、減速開始地点設定手段は、S235の処理により実現され、第一到達判定手段は、S245の処理により実現され、第二目標速度設定手段は、S250の処理により実現され、第二到達判定手段は、S255の処理により実現され、目標位置軌跡決定手段は、S270の処理により実現され、目標位置設定手段は、S280の処理により実現され、第一操作量決定手段は、減算器311及び速度制御器313により実現され、第二操作量決定手段は、減算器312及び位置制御器314により実現され、切替手段は、切替部315により実現され、駆動手段は、CRモータ駆動回路51により実現されている。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、加速距離Daを求める際に、加速開始位置Xsとして、制御開始時刻t=0の時点で位置検出部319から得られたキャリッジ41の検出位置Xmを設定するようにしたが、加速開始位置Xsとして、設計上定められた加速開始位置(搬送方向が逆方向であるときの目標停止位置Xe)を用いて、加速距離Daを求められてもよい。本実施例では、精度よく目標停止位置Xeにキャリッジ41を停止させることができるので、加速開始位置Xsとして、どちらの値を採用しても、等価な結果を得ることができる。
1…プリンタ装置、11…CPU、13…ROM、15…RAM、17…EEPROM、19…インタフェース、21…印字制御部、23…記録ヘッド、25…ヘッド駆動回路、30…モータ制御部、31…CRモータ制御部、33…LFモータ制御部、40…キャリッジ搬送機構、41…キャリッジ、42…ガイド軸、43…CRモータ、44…無端ベルト、45,46…プーリー、47…タイミングスリット、48…センサ素子、51…CRモータ駆動回路、53…CRエンコーダ、60…用紙搬送機構、61…搬送ローラ、63…LFモータ、71…LFモータ駆動回路、73…LFエンコーダ、310…指令生成部、311,312…減算器、313…速度制御器、314…位置制御器、315…切替部、317…速度検出部、319…位置検出部、P…用紙、
Claims (7)
- インク液滴を吐出可能な記録ユニットと、
内蔵するモータの駆動力により前記記録ユニットを主走査方向に搬送する搬送機構と、
前記モータを駆動して、前記記録ユニットの搬送制御を行う搬送制御手段と、
前記搬送制御手段による前記記録ユニットの搬送時に、インク液滴を前記記録ユニットに吐出させることによって、前記インク液滴の吐出位置を副走査方向に通過するシートに、画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記搬送制御手段は、
前記記録ユニットの搬送路における主走査方向両側の折返し地点で、前記記録ユニットの搬送方向を逆方向に切り替えることにより、前記記録ユニットを往復動させると共に、
前記記録ユニットが搬送方向上流の折返し地点から、搬送方向下流の予め定められた制御切替地点に到達するまでは、前記記録ユニットを目標速度に速度制御し、前記記録ユニットが前記制御切替地点に到達した時点以降は、その地点から前記記録ユニットが搬送方向下流の折返し地点に到達するまで、前記記録ユニットを目標位置に位置制御し、
前記速度制御及び前記位置制御によって、前記記録ユニットを、前記搬送方向上流の折返し地点から加速させた後、定速で搬送し、前記搬送方向下流の折返し地点から加速に要した距離分、前記搬送方向上流に遡った地点である減速開始地点に、前記記録ユニットが到達した時点以降は、前記記録ユニットを減速させて、前記記録ユニットを、前記搬送方向下流の前記折返し地点で停止させるように制御する
構成にされ、
前記画像形成手段による画像形成動作が行われる前記搬送路上の領域である画像形成対象領域は、前記搬送制御手段が前記記録ユニットを定速移動させる前記搬送路上の領域である定速移動領域を包含する当該定速移動領域よりも広い領域に、定められ、
前記制御切替地点は、前記画像形成対象領域の前記搬送方向下流側の終点、又は、前記終点よりも前記搬送方向下流の地点に定められ、
前記目標速度は、前記記録ユニットが前記画像形成対象領域の前記搬送方向上流側の始点から定速状態に移行するまでの加速区間、及び、前記記録ユニットが前記減速開始地点から前記画像形成対象領域の前記搬送方向下流側の終点に到達するまでの減速区間において、前記記録ユニットの速度軌跡が、前記加速区間の終了地点と前記減速区間の始点である減速開始地点との中点を通る速度方向の軸に対して対称となるように設定されること
を特徴とする画像形成装置。 - 前記目標速度は、前記加速区間及び前記減速区間に代えて、前記記録ユニットが前記搬送方向上流の折返し地点から定速状態に移行するまでの加速区間、及び、前記記録ユニットが前記減速開始地点から前記制御切替地点に到達するまでの減速区間において、前記記録ユニットの速度軌跡が、前記加速区間の終了地点と前記減速区間の始点である減速開始地点の中点を通る速度方向の軸に対して対称となるように設定されること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記目標位置は、時刻に対する目標位置軌跡が前記搬送方向下流の折返し地点を極点とする滑らかな単調関数となるように設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
- インク液滴を吐出可能な記録ユニットと、
内蔵するモータの駆動力により前記記録ユニットを主走査方向に搬送する搬送機構と、
前記モータを駆動して、前記記録ユニットの搬送制御を行う搬送制御手段と、
前記搬送制御手段による前記記録ユニットの搬送時に、インク液滴を前記記録ユニットに吐出させることによって、前記インク液滴の吐出位置を副走査方向に通過するシートに、画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記搬送制御手段は、
前記記録ユニットの搬送路における主走査方向両側の折返し地点で、前記記録ユニットの搬送方向を逆方向に切り替えることにより、前記記録ユニットを往復動させる構成にされており、
前記記録ユニットの前記搬送路における位置を検出する位置検出手段と、
前記記録ユニットの前記搬送路における速度を検出する速度検出手段と、
前記記録ユニットを搬送方向上流の折返し地点から加速させて定速状態へ移行させるまでの加速区間における目標速度及び当該加速区間に続く定速区間での目標速度が定められた前記目標速度軌跡に従い、前記定速区間が終了するまでの各時刻における目標速度を設定する第一目標速度設定手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記記録ユニットが前記折返し地点から前記定速状態に移行するまでに要した前記記録ユニットの移動距離である加速距離を特定する加速距離特定手段と、
前記記録ユニットの搬送方向下流に位置する前記折返し地点から、前記加速距離特定手段により特定された加速距離の分、前記記録ユニットの搬送方向上流に遡った地点を、減速開始地点に設定する減速開始地点設定手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記記録ユニットが前記減速開始地点に到達したか否かを判定する第一到達判定手段と、
前記第一到達判定手段にて前記記録ユニットが前記減速開始地点に到達したと判定されると、予め定められた目標速度軌跡であって、前記加速区間における前記目標速度軌跡と対称な速度軌跡を示す減速区間の目標速度軌跡に従い、前記記録ユニットが前記減速開始地点に到達して以降の各時刻における目標速度を設定する第二目標速度設定手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記減速開始地点よりも搬送方向下流の地点であって予め定められた制御切替地点に、前記記録ユニットが到達したか否かを判定する第二到達判定手段と、
前記記録ユニットが前記制御切替地点に到達して以降の各時刻における目標位置を設定する目標位置設定手段と、
前記記録ユニットが前記搬送方向上流の折返し地点から前記減速開始地点に到達するまでは、前記第一目標速度設定手段により設定された目標速度を指標とし、前記記録ユニットが前記減速開始地点に到達した後には、前記第二目標速度設定手段により設定された目標速度を指標として、当該指標とする目標速度と、前記速度検出手段により検出された前記記録ユニットの速度との偏差に基づき、当該偏差が縮まる方向に、前記モータに対する操作量を決定する第一操作量決定手段と、
前記目標位置設定手段により設定された目標位置と、前記位置検出手段により検出された前記記録ユニットの位置との偏差に基づき、当該偏差が縮まる方向に、前記モータに対する操作量を決定する第二操作量決定手段と、
入力された操作量に対応する駆動電圧又は電流で、前記モータを駆動する駆動手段と、
前記記録ユニットが前記搬送方向上流の折返し地点から前記制御切替地点に到達するまでは、前記第一操作量決定手段により決定された操作量を前記駆動手段に入力し、前記記録ユニットが前記制御切替地点に到達した後には、前記第二操作量決定手段により決定された操作量を前記駆動手段に入力する切替手段と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第二到達判定手段にて前記記録ユニットが前記制御切替地点に到達したと判定されると、前記速度検出手段にて検出された前記制御切替地点到達時点での前記記録ユニットの速度、及び、前記制御切替地点から前記搬送方向下流の折返し地点までの距離の情報に基づき、前記制御切替地点から前記折返し地点までの目標位置軌跡として、前記折返し地点で前記記録ユニットを停止可能な目標位置軌跡を定める目標位置軌跡決定手段
を備え、
前記目標位置設定手段は、前記目標位置軌跡決定手段により定められた前記目標位置軌跡に従って、前記記録ユニットが前記制御切替地点に到達して以降の各時刻における目標位置を設定する
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。 - 前記目標位置軌跡決定手段は、時刻を入力変数とし目標位置を出力変数とする所定関数の内部パラメータを、前記制御切替地点到達時点での前記記録ユニットの速度、及び、前記折返し地点までの距離に基づき、当該関数が前記搬送方向下流の折返し地点を極点とする滑らかな単調関数となるように決定することによって、前記目標位置軌跡を、当該関数で定義される軌跡に定めることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
- 前記所定関数は、二次関数であることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
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