JP2010115950A - ステアリングコラム及びこれを使用した電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コラプシブル機能を実現しながらも、別途回り止め部材を設けることなく第1のコラムに対する第2のコラムの回り止めを確保できるステアリングコラム及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】車体に固定される円筒状を有する第1のコラム3Lと、前記第1のコラム3Lに対して嵌合し、軸方向に移動可能に支持された円筒状の第2のコラム3Uと、前記第1のコラム3Lと前記第2のコラム3Uとの一方に形成された軸方向の複数の突条8と、他方に形成された個々の前記突条に対向する凸部を有する凹凸部UNとで構成される嵌合部とを有し、前記嵌合部は、所定の収縮力を受けたときに、前記第1のコラム3Lと前記第2のコラム3Uの軸線方向における相対移動を許容する構成を有する。
【選択図】図4

Description

本発明はステアリングコラムの改良に関するものであり、特に衝突エネルギーを吸収するためにコラプシブル構造を備えたステアリングコラム及びこれを使用した電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリングコラムの周辺には、コンビネーションスイッチ等が配置されており、特にステアリングコラムに電動式パワーステアリング装置を組み込んだ構成においては、それに加えてモータや減速機などが設けられるので、スペース的な制約が大きくなっている。又、安全への要求の高まりから、ステアリング装置をコラプシブルな構造として、衝突時の衝撃エネルギーを吸収したいという要求もある。これに伴い、ステアリングシャフトを支持するコラムを二分割構造の入れ子式とすることも行われている。
ここで、例えばコンビネーションスイッチがアッパコラムに取り付けられている場合、運転者がウインカー操作等をするために、その操作レバーを上下させると、コンビネーションスイッチには、コラム軸に対して回転しようとする力(捩じりモーメント)が作用する。すると、コンビネーションスイッチを介して、アッパコラムにもコラム軸に対して回転しようとする力が作用するため、それに抗する構成が必要になる。
従来、特許文献1に記載されているように、アッパコラムを固定コラム部材とし、ロアコラムを移動コラム部材として両者を嵌合させ、固定コラム部材を後側車体取付部の横板にボルトを挿入し、このボルトに嵌合された樹脂製スペーサを、固定コラム部材に嵌合させた移動コラム部材に形成した長孔に嵌合させることにより、回り止めしたステアリングコラム装置が知られている。
また、特許文献2に記載されているように、コラプシブル機能を実現するために、ロアコラムにアッパコラムをこれに形成された隆起部を嵌合させることにより、アッパコラムをロアコラムに対して軸方向に移動可能とし、さらにロアコラムに形成した切欠に回り止め部材を嵌合し、この回り止め部材に形成した凹溝にアッパコラムの隆起部を係合させるか又はロアコラム及びアッパコラム間にピン部材を貫通させることにより、ロアコラムとアッパコラムとの相対回転を阻止するようにしたステアリング装置も知られている。
さらに、特許文献3に記載されているように、図13〜図16に示すステアリングシャフト102を回転自在に支持するステアリングコラム103を内管103a及び外管103bを嵌合させて構成し、内管103aを減速ギヤボックス104に固定し、外管103bをアッパブラケット106に固定し、このアッパブラケット106にコラプス時に破断する樹脂インジェクション106aを介して車体側部材に固定されたカプセル106bを装着するようにした電動パワーステアリング装置も知られている。ここで、内管103aと外管103bとは図16に示すように内管103aの外周面に形成した4つの軸方向に延長する隆起部107が外管103bの内周面に嵌合されている。
特開2005−162072号公報 特開2008−230555号公報 特開2007−276743号公報
上記特許文献1に記載された従来例のように、軸方向に二分割構造のコラムにおいて、アッパコラムがブラケットを介して車体に連結されている場合には、コンビネーションスイッチを介して入力されるモーメント力に抗することができる。
しかしながら、スペースの関係から、アッパコラムを、ブラケットを介して車体に連結できない場合がある。かかる場合、ロアコラムしか固定されてないのであるから、ロアコラムに対してアッパコラムを圧入嵌合することによって、両者間に発生する摩擦力を用いてアッパコラムの回り止めを行うことが考えられる。しかるに、衝突エネルギーを吸収する際には、ロアコラムとアッパコラムとの軸線方向における相対移動を許容させなくてはならないという問題がある。即ち、ロアコラムに対するアッパコラムの回り止めを確保しようとすると、ロアコラムとアッパコラムとの軸線方向移動を生じさせるために必要な力が大きくなり、吸収エネルギーの制御が困難となってしまう。
そこで、特許文献2に記載された従来例のように、回り止め部材を設けることが考えられるが、ロアコラムに形成した切欠に回り止め部材を嵌合するので、ロアコラムが切欠により機械的強度が低下すると共に、別途回り止め部材を設ける必要があり、部品点数が増加して製造コストが嵩み、また、樹脂等の異材料を回り止め部材として用いることで温度変化の影響を受けるとともに、コラプス時に回り止め部材の軸方向剪断力がコラプス荷重に含まれるため、目標コラプス荷重に対して、内管103aおよび外管103b間の嵌合力の許容範囲が狭くなるという未解決の課題がある。
さらに、特許文献3に記載された従来例にあっては、ステアリングコラム103のアッパコラムとなる外管103bを車体側部材に支持されるアッパブラケット106に固定するようにしているので、この外管103bの回り止めを行なう必要はないが、アッパブラケット106にコラプスストロークを確保するための部材(例えば樹脂インジェクション106a、カプセル106b)を設ける必要があり、アッパ取付ブラケットの構造が複雑となるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、コラプシブル機能を実現しながらも、別途回り止め部材を設けることなく第1のコラムに対する第2のコラムの回り止めを確保できるステアリングコラム及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、一の形態に係るステアリングコラムは、車体に固定される円筒状を有する第1のコラムと、前記第1のコラムに対して嵌合し、軸線方向に移動可能に支持された円筒状の第2のコラムと、前記第1のコラムと前記第2のコラムとの一方に形成された軸方向の複数の突条と、他方に形成された個々の前記突条に対向する複数の凸部を有する凹凸部とで構成される嵌合部とを有し、前記嵌合部は、所定の収縮力を受けたときに、前記第1のコラムと前記第2のコラムの軸線方向における相対移動を許容する構成を有する。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記突条の外周面が円弧状に形成されている。
また、他の形成に係るステアリングコラムは、前記突条の外接円の直径が前記凹凸部の凸直径より大きな値に設定されている。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記凹凸部をセレーション溝で構成した。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記第1のコラムはアッパコラムであり、前記第2のコラムはロアコラムであって、且つ前記ロアコラムに前記アッパコラムが内嵌され、前記アッパコラムに前記突条が形成され、前記ロアコラムに前記凹凸部が形成された構成を有する。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記凹凸部を、1つの前記突条に対して複数の凸部が接するように形成した構成とされている。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記突条が前記凹凸部の軸方向の形成範囲を超えて嵌合された構成を有する。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記凹凸部が全周に設けられた構成を有する。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記凹凸部が前記突条に対向する部分にのみ形成された構成を有する。
また、他の形態に係るステアリングコラムは、前記突条及び前記凹凸部が円周方向に4個所形成された構成を有する。
また、一の形態に係る電動パワーステアリング装置は、上記形態の何れか1つに記載のステアリングコラムを備えたコラムアシスト式の構成を有する。
本発明によれば、嵌合部が第1のコラム及び第2のコラムの一方に形成した軸方向の複数の突条と、他方に形成された個々の突条に対向する複数の凸部を有する凹凸部とで構成されているので、一つの突条に対して凹凸部の複数の凸部が嵌合することにより、別途回り止め部材を設けることなく、確実な回り止めを行うことができる。
ここで、突条の外周面は円弧上に形成すると、第1のコラムに第2のコラムを嵌合させる際に、突条の先端部で複数の凸部を潰しながら嵌合する又は突条に複数の凸部が食い込みながら嵌合することになり、回転保持力をより向上させることができる。
また、突条の外接円の直径を前記凹凸部の凸部直径より大きな値に設定すると、突条の先端側で溝部を潰す、または突条に複数の凸部が食い込んでガタのない確実な嵌合状態を得ることができる。
また、凹凸部をセレーション溝とすると、第1のコラム又は第2のコラムの外周面又は内周面に容易に形成することができるので好ましい。
さらに、アッパコラムに突条を形成し、ロアコラムに凹凸部を形成すると、ロアコラムに車体側部材に固定するブラケットを溶接する際の変形が凹凸部にのみ影響し、突条は変形の影響を受けることがなく、外接円径が変化することがなく、ロアコラムに対するアッパコラムの嵌合を良好に行うことができる。
また、突条を凹凸部の軸方向の形成範囲を超えて嵌合させることにより、コラプス時にアッパコラムがストロークする際に、コラプス荷重が変化することを抑制でき、安定したコラプスストロークを確保することができる。
また、凹凸部を突条に対向する部分にのみ形成することより、凹凸部を形成するコラムに溶接等による変形が生じた場合でも、変形後に凹凸部を容易に形成することができる。
また、突条及び凹凸部を円周方向に4個形成すると、コラム同士の嵌合を的確に行うことができると共に、ロアコラムのブラケット溶接部を避けて凹凸部の成形性を良好に維持することができる。
さらに、上記ステアリングコラムを電動パワーステアリング装置に適用することにより、コラプス機能を安定して発揮することができる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態であるコラムアシスト形式の電動式パワーステアリング装置の斜視図、図2は、同電動式パワーステアリング装置の側面図、図3は、図2のA−A線上の断面図、図4はステアリングコラムを分解した状態の斜視図、図5はロアコラムにアッパコラムを圧入した状態の断面図、図6は嵌合部の拡大図、図7はロアコラムの斜視図である。
図1及び図2において、1はコラムアシスト形式の電動パワーステアリング装置である。この電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール(図示せず)に連結されたステアリングシャフト2を回転自在に内装するステアリングコラム3に、減速ギヤボックス4が連結され、この減速ギヤボックス4に、軸方向がステアリングコラム3の軸方向と直交する方向に延長された電動モータ5が配設されている。
ステアリングコラム3は、図2〜図6に示すように、車両前方側の端部が減速ギヤボックス4に固定された第1のコラムとしてのロアコラム3Lと、このロアコラム3Lの車両後方側端部に内嵌する第2のコラムとしてのアッパコラム3Uとで構成されている。アッパコラム3Uには図2に一点鎖線図示のようにコンビネーションスイッチCSが組付けられている。
そして、ロアコラム3Lにはアッパコラム3Uが内嵌される車両後方端部側の内周面に、図4〜図7に示すように、全周に亘ってピッチの細かい断面三角形状のセレーション溝部6を形成して、その山部及び谷部でなる凹凸部UNが形成されている。この凹凸部UNがロアコラム3Lの車両後方端部側から所定距離だけ内方の位置まで形成され、この凹凸部UNの形成範囲の長さがLに設定されている。
一方、アッパコラム3Uは、図4〜図6に示すように、ロアコラム3Lの内径dより小さい外径D1に設定された円筒部7と、この円筒部7の外周面に軸方向の突条8が90度の等間隔で4つ形成されている。これら突条8は内周面側からプレス加工等の塑性加工を行なうことにより、アッパコラム3Uの外周面を先端面が円弧状となるように隆起させて形成されている。また、図6に示すように、突条8は、その先端の外接円の直径D2がロアコラム3Lの内径d及びこの内径dと等しく設定されたセレーション溝部6の山径(凸部直径)ds1より大きい値に設定されるが、セレーション溝部6の谷径(凹部直径)ds2(>ds1)以下に設定するのが好ましい。さらに、突条8の外周面とロアコラム3Lに形成されたセレーション溝部6との関係は、アッパコラム3Uをロアコラム3L内に嵌合させたときに、突条8の外周面にセレーション溝部6の山部(凸部)が2以上対向するように、突条8の外周面の径とセレーション溝部6のピッチとが設定されている。また、突条8の軸方向長さはセレーション溝部6の軸方向の形成長さL以上に設定されている。ここで、凹凸部UNと突条8とで嵌合部9が構成されている。
そして、アッパコラム3Uをロアコラム3Lに対して圧入することにより、突条8に対してセレーション溝部6の山部(凸部)が複数対向することになり、これら山部を突条8の半径方向先端側で押し潰すか又はセレーション溝部6の山部が突条の外周面に食い込んで互いに嵌合することになる。
そして、アッパコラム3Uの突条8の先端がロアコラム3Lのセレーション溝部6の内端に達して圧入が完了すると、突条8の先端部は、セレーション溝部6の山部を潰すか又はセレーション溝部6の山部が突条8の外周面に食い込んで互いに嵌合し、アッパコラム3Uとロアコラム3Lとの相対回転を規制する回り止め作用を確実に発揮することができる。しかも、アッパコラム3U及びロアコラム3Lとの嵌合状態で、アッパコラム3Uに突出形成された突条8がセレーション溝部6の山部と嵌合しているだけであり、他に接触部材がないので、後述するコラプスストローク時のコラプス荷重が突条8とロアコラム3Lの内周面との嵌合力で設定される。
そして、減速ギヤボックス4がロア取付ブラケット10によって車体側に取付けられ、ステアリングコラム3のロアコラム3Lがアッパ取付ブラケット11によって車体側に取付けられている。
ロア取付ブラケット10は、車体側部材(図示せず)に取付けられる取付板部10aと、この取付板部10aの下面に所定間隔を保って平行に延長する一対の支持板部10bとで形成されている。そして、支持板部10bの先端が、図2に示すように、減速ギヤボックス4に一体形成された支持部4bに枢軸10cを介して回動自在に連結されている。
また、アッパ取付ブラケット11は、ロアコラム3Lに溶接されたU字状のディスタンスブラケット11aを囲む逆U字状の支持部11bと、この支持部11bの上部に溶接された車体側部材へ固定される取付板部11cとで構成されている。
そして、支持部11bのディスタンスブラケット11aと対向する板部11d及び11eにチルト機構12が設けられている。このチルト機構12は、図3に示すように、板部11d及び11eに形成されたロア取付ブラケット10の枢軸10cを中心とする円弧状の長孔11f及び11g内にディスタンスブラケット11aを貫通するクランプボルト12aを有する。このクランプボルト12aの長孔11fから突出する端部には締付ナット12bが螺合されているとともに、締付ナット12bと一体に形成された操作レバー12cが挿通され、さらに端部に固定ナット12dが螺合されている。
そして、操作レバー12cを所定の方向に回動させると、操作レバー12cとともに締付ナット12bも回動し、クランプボルト12aに、アッパ取付ブラケット11の板部11d及び11eを接近する方向に変位させる締付力が発生する。この締付力により、板部11d及び11eとディスタンスブラケット11aとを締付け、板部11d及び11eに対してロアコラム3Lを固定できる。
一方、操作レバー12cを逆方向に回動させると、クランプボルト12aの締付力が解放され、板部11d及び11eとびディスタンスブラケット11aとの間の締付力がすくなくなり、ロア取付ブラケット10の枢軸10cを中心としてステアリングコラム3を長孔11f及び11gの範囲内で任意にチルト調整することができる。
また、ステアリングシャフト2は減速ギヤボックス4内で入力軸2aと出力軸2bとが図示しないトーションバーを介して連結されている。
さらに、減速ギヤボックス4は、高熱伝導性及び電導性を有する材料例えばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の何れか1つを例えばダイキャスト成型することにより形成されている。この減速ギヤボックス4は、例えばウォーム歯車機構の構成を有し、ウォームが電動モータ5の出力軸に連結されているとともに、ウォームホイールがステアリングシャフト2の出力軸2bに連結されている。
そして、減速ギヤボックス4にはステアリングシャフト2に伝達される操舵トルクを検出するトルクセンサが内装されているとともに、ウォームホイールの上方位置に電動モータ5を駆動制御する制御ユニット15が装着されている。この制御ユニット15は、トルクセンサのトルク検出値が入力された演算処理装置を内装し、この演算処理装置で、トルク検出値及び別途入力される車速に基づいて電動モータ5で操舵トルクに応じた最適な操舵補助力を発生するように操舵補助電流指令値を演算し、演算した操舵補助電流指令値と実際に電動モータ5を流れるモータ電流との偏差に基づいてフィードバック制御を行なって電圧指令値を算出し、算出した電圧指令値をモータ駆動回路に供給することにより、このモータ駆動回路から電動モータ5を駆動するモータ電流を出力することにより、電動モータ5で操舵補助力を発生する。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両が停車状態にあって、アッパ取付ブラケット11のチルト機構12によってステアリングコラム3がチルト位置が固定されたチルトロック状態であるものとする。この状態で、ステアリングコラム3のチルト位置を調整するには、操作レバー12cを逆方向に回動させることにより、チルトロック状態を解除し、この状態でステアリングコラム3をロア取付ブラケット10の枢軸10cを中心として回動させることにより、チルト位置を調整することができる。
この車両の停車状態で、車両の図示しないイグニッションスイッチをオン状態として制御ユニット15にバッテリから電力を供給すると、演算処理装置によって操舵補助制御処理が実行されて、図示しないトルクセンサ及び車速センサの検出値に基づいて操舵補助電流指令値が算出される。この操舵補助電流指令値とモータ電流検出部で検出したモータ電流とに基づいて電流フィードバック処理を実行して、電圧指令値を算出する。この電圧指令値をモータ駆動回路に供給することにより、モータ駆動回路から電動モータ5にモータ駆動電流が流れて電動モータ5で必要とする操舵補助力を発生するように駆動する。
このため、電動モータ5からステアリングホイールの操舵トルクに応じた操舵補助力が発生され、この操舵補助力がウォーム及びウォームホイールを介してステアリングシャフト2の出力軸2bに伝達されることにより、ステアリングホイールを軽い操舵力で操舵することができる。
また、車両の右左折時にはコンビネーションスイッチCSを操作することにより、右折ランプや左折ランプを点灯させるが、この際に、ステアリングコラム3のアッパコラム3Uに円周方向の回転力が伝達される。このとき、ステアリングコラム3のロアコラム3Lがアッパ取付ブラケット11によって車体側部材に固定され、このロアコラム3Lに対してアッパコラム3Uが圧入されている。このとき、前述したように、ロアコラム3Lの内周面に形成されたセレーション溝部6にアッパコラム3Uの突条8が圧入されているので、突条8の先端部によってセレーション溝部6の山部が潰されるか又はセレーション溝部6の山部が突条8に食い込んだ状態となり、この状態で、アッパコラム3Uがロアコラム3Lに突条8の先端がセレーション溝部6の内端まで圧入される。このため、ロアコラム3Lに対する突条8の回動が規制されるので、ロアコラム3L及びアッパコラム3Uの相対回転が確実に阻止される。
一方、二次衝突の発生時に図示しないステアリングホイールに乗員が接触して、ステアリングコラム3のアッパコラム3Uにステアリングシャフト2を介して車両前方側に摺動させる衝撃力が作用すると、このアッパコラム3Uに形成された突条8とロアコラム3Lの内周面との摩擦力によって所定のコラプス荷重を維持しながらアッパコラム3Uがロアコラム3L内に圧入され、必要なコラプスストロークを確保してステアリングコラム3が収縮してコラプシブル機能を発揮することができる。
このように上記実施形態によると、ステアリングコラム3のロアコラム3Lをアッパ取付ブラケット11によって車体側部材に固定し、このロアコラム3Lにアッパコラム3Uを圧入するだけで、別途回り止め部材を用意することなく、ロアコラム3Lの回動を規制し、アッパコラム3Uについては車体側部材に固定することなく回動可能とするが、アッパコラム3Uをロアコラム3Lに圧入する際に、アッパコラム3Uの外周面に形成した軸方向の突条8をロアコラム3Lに形成したセレーション溝部6に嵌合させて、突条8の半径方向先端部でセレーション溝部6の山部を潰しながら、または突条8に複数のセレーション溝部6が食い込みながら圧入する。このため、突条8の軸方向先端がセレーション溝部6の軸方向内端に達した圧入完了時に、セレーション溝部6と突条8とが確実に嵌合して、ロアコラム3Lに対するアッパコラム3Uの回転が確実に阻止される。また、セレーション溝部6のピッチを細かくすることにより突条8との間にガタのない嵌合状態を得ることができる。
しかも、ロアコラム3Lとアッパコラム3Uとの嵌合状態では、アッパコラム3Uに形成された突条8がロアコラム3Lのセレーション溝部6の内端に当接し、アッパコラム3Uの外周面はロアコラム3Lの内周面に対して隙間があるので、コラプスストローク時のコラプス荷重を突条8の半径方向先端部とロアコラム3Lの内周面との間に生じる嵌合力だけで形成されるので、コラプス荷重の設定を容易に行なうことができるとともに、安定したコラプス荷重を得ることができる。
このため、ステアリングコラム3の製作コストを低減することができるとともに、組付工数も削減することができる。
また、アッパコラム3U側に突条8を形成することにより、ロアコラム3Lのようにディスタンスブラケット11aを溶接する際の熱変形の影響を受けることがなく、突条8の半径方向先端部を外接円上に正確に保持することができる。
さらに、アッパ取付ブラケット11にコラプスストロークを確保するための部材を設ける必要がないので、アッパ取付ブラケットの構成を簡易化することができる。
さらに、上記構成を有するステアリングコラム3を電動パワーステアリング装置に適用することにより、全体構成を簡易化しながら安定したコラプス荷重でコラプスストロークさせることができる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
なお、上記実施形態においては、ステアリングコラム3のロアコラム3Lにアッパコラム3Uを圧入する際に、突条8の軸方向先端部をセレーション溝部6の内方端部に到達するまで圧入した場合について説明したがこれに限定されるものではなく、図8に示すように、突条8をセレーション溝部6の形成範囲Lを超えて圧入するようにしてもよい。この場合には、コラプスストロークの開始時に、突条8の軸方向先端部がセレーション溝部6ではなくロアコラム3Lの内周面に確実に圧入されているのでコラプス荷重が変化することなく安定したコラプスストロークを確保することができる。因みに、圧入不足により突条8の軸方向端面がセレーション溝部6の内方端面より外側となった場合には、二次衝突によってコラプスストロークを開始したときには、突条8は未だセレーション溝部6と嵌合しており、嵌合力が比較的小さく、その後突条8の軸方向先端がセレーション溝部6の終端に達したときに嵌合力が大きくなることになり、コラプス荷重が変化することになる。
また、上記実施形態においては、ロアコラム3Lの内周面の全周にセレーション溝部6を形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図9〜図12に示すように、アッパコラム3Uの突条8に対応する4個所にのみセレーション溝部6a〜6dを形成するようにしてもよい。この場合には、ロアコラム3Lにディスタンスブラケット11aを溶接した際に、ロアコラム3Lが変形することになり、この変形量が大きくなるとロアコラム3Lに均一にセレーション溝部6を形成することは困難であるが、突条8に対応する位置に対応させてセレーション溝部6a〜6dを形成することにより、必要なセレーション溝部6a〜6dの形成が容易となる。また、4つの突条等偶数の突条を成形すると、ロアコラム3Lの芯が出やすくて成形性に優れている。さらに、ディスタンスブラケット11aの溶接部を避けてセレーション溝部6a〜6dを形成することが可能となる。
さらに、上記実施形態においては、ロアコラム3Lの内周面にセレーション溝部6を形成し、アッパコラム3Uの外周面に突条8を形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロアコラム3Lの内周面に突条を形成し、アッパコラム3Uの外周面にセレーション溝を形成するようにしてもよい。さらに、突条8の設置数は4個所に限らず、3個所以上の任意数とすることができる。さらにまた、突条8としては、塑性加工によって形成する場合に限らず、切削加工によって形成したり、ダイキャストで一体成形したりするようにしてもよい。なおさらに、突条8の外周形状としては円弧状に限らず楕円形状とすることもできる。また、溝部としてもセレーション溝部に限定されるものではなく、他の任意形状の溝部とすることができ、要は複数の山部が突条8と嵌合すればよい。
なおさらに、上記実施形態においては、セレーション溝部6の山径ds1とロアコラム3Lの内径dとが等しい場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロアコラム3Lの内径dをセレーション溝部6の山径ds1を超える値に設定するようにしてもよく、コラプスストローク時のコラプス荷重を確保する意味ではロアコラム3Lの内径dをセレーション溝部6の山径ds1を超え、谷径ds2未満の値に設定することが好ましい。
また、上記実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動操舵補助機構を有さない通常のステアリング装置にも本発明を適用することができる。
本実施の形態であるコラムアシスト形式の電動式パワーステアリング装置を示す斜視図である。 同電動式パワーステアリング装置の側面図である。 図2のA−A線上の断面図である。 ステアリングコラムを分解した状態で示す斜視図である。 ロアコラム及びアッパコラムの嵌合状態の断面図である。 図5の突条の嵌合部を示す拡大図である。 ロアコラムを示す斜視図である。 本発明の他の実施形態を示すロアコラム及びアッパコラムの嵌合状態を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施形態を示すステアリングコラムの分解斜視図である。 本発明の他の実施形態を示すロアコラム及びアッパコラムの嵌合状態を示す断面図である。 図10の突条部の拡大断面図である。 本発明の他の実施形態を示すロアコラムを示す斜視図である。 従来例を示す電動パワーステアリング装置の斜視図である。 図13の側面図である。 図14のB−B線上の断面図である。 従来例のロアコラム及びアッパコラムの嵌合状態の断面図である。
符号の説明
1…電動式パワーステアリング装置、2…ステアリングシャフト、3…ステアリングコラム、3L…ロアコラム、3U…アッパコラム、4…減速ギヤボックス、5…電動モータ、6、6a〜6d…セレーション溝部、UN…凹凸部、7…円筒部、8…突条、9…嵌合部、CS…コンビネーションスイッチ、10…ロア取付ブラケット、11…アッパ取付ブラケット、11a…ディスタンスブラケット、12…チルト機構、15…制御ユニット、L… セレーション溝部6の形成範囲

Claims (11)

  1. 車体に固定される円筒状を有する第1のコラムと、
    前記第1のコラムに対して嵌合し、軸線方向に移動可能に支持された円筒状の第2のコラムと、
    前記第1のコラムと前記第2のコラムとの一方に形成された軸方向の複数の突条と、他方に形成された個々の前記突条に対向する凸部を有する凹凸部とで構成される嵌合部とを有し、
    前記嵌合部は、所定の収縮力を受けたときに、前記第1のコラムと前記第2のコラムの軸線方向における相対移動を許容することを特徴とするステアリングコラム。
  2. 前記突条は外周面が円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングコラム。
  3. 前記突条の外接円の直径が前記凹凸部の凸部直径より大きい値に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリングコラム。
  4. 前記前記凹凸部をセレーション溝で構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  5. 前記第1のコラムはアッパコラムであり、前記第2のコラムはロアコラムであって、前記アッパコラムに前記突条が形成され、前記ロアコラムに前記凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  6. 前記凹凸部は、1つの前記突条に対して複数の凸部が接するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  7. 前記突条は前記凹凸部の軸方向形成範囲を超えて嵌合されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  8. 前記凹凸部は全周に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  9. 前記凹凸部は前記突条に対向する部分にのみ形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  10. 前記突条及び前記凹凸部は円周方向に4個所形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のステアリングコラム。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載のステアリングコラムを備えたコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置。
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