JP2010100296A - カップ状容器の殺菌方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カップのフランジ裏面を適正に殺菌する。
【解決手段】カップ1のフランジ3をリテーナ9の容器挿入穴17の周縁で支持し、このカップを支持したリテーナを走行させつつカップの内外面に向かって過酸化水素のミストを吹き付けてカップを殺菌処理し、カップの内外面に向かって熱風を吹き付けてカップの少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させるカップ状容器の殺菌方法において、カップのフランジがリテーナの容器挿入穴の周縁に乗せられる前に、過酸化水素のミストをリテーナに吹き付けて、リテーナの少なくとも容器挿入穴の周縁に過酸化水素の皮膜Fを形成し、この皮膜の上からカップのフランジを乗せる。
【選択図】図5

Description

本発明は、カップ状容器の殺菌方法及び装置に関する。
従来、カップに飲料等を充填した包装品が市場で流通しているが、この包装品の大部分は冷却状態で搬送、陳列等されるチルド品である。しかし、このチルド状態での流通は温度管理が面倒であり、コストも高くなるので、常温での流通が望まれる。そこで、近年はカップの内面や外面を予め過酸化水素等の殺菌剤で殺菌処理したうえで飲料等を充填し、密封する無菌包装が行われている(例えば、特許文献1、2参照)。この方法によれば包装品を常温で流通させることが可能となる。
これらのカップの殺菌方法は、カップを搬送しつつ、カップの内面や外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けてカップを殺菌処理し、その後、カップに向かって熱風を吹き付けて、カップに付着した過酸化水素を乾燥させようというものである(例えば、特許文献1、2参照)。
カップの殺菌処理においてカップの搬送にはリテーナが用いられる。多数のリテーナが所定方向に走行する間にリテーナに保持されたカップに向かって殺菌剤が吹き付けられる。リテーナには、カップのフランジを複数個の爪片によって下方から受け止めるようにしたもの(例えば、特許文献1参照)や、リテーナの板面にカップが嵌り込む容器挿入穴を穿設し、容器挿入穴の周縁でカップのフランジを受け止めるようにしたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
特開昭59−115220号公報 特開2002−68142号公報
リテーナとして、カップのフランジを複数個の爪片によって下方から受け止めるようにしたものを用いる場合は、後にシート等の蓋材をカップに被せてフランジにヒートシールしようというときに、フランジを上下から加熱盤と受け盤とで挟む必要があるが、受け盤として機能するリテーナを別途用意し、このリテーナにカップを移し替えなければならないという問題がある。また、殺菌時にカップのフランジの裏面に爪片が当たっているが、その部分には殺菌剤が付着せず菌が生残しやすいので、殺菌不良を引き起こしやすいという問題がある。
リテーナとして、板面にカップの嵌り込む容器挿入穴が形成され、この容器挿入穴の周縁でカップのフランジを受け止めるようにしたものを用いる場合は、リテーナの容器挿入穴の周縁を上記ヒートシールの際の受け盤として利用することも可能であると考えられるが、このようなリテーナは容器挿入穴の周縁でカップのフランジが覆われ、フランジの裏面に殺菌剤が付着し難くなり、殺菌不良がさらに生じやすくなるという問題がある。カップの下方から殺菌剤を勢いよく噴霧してカップをリテーナ上に浮上させ、フランジとリテーナとの間にできた隙間に殺菌剤を流入させることによって、フランジの裏面にも殺菌剤を付着させることも考えられるが、カップの重量、容器挿入穴とカップとの間の隙間の形状や大きさ、フランジの形状等によって、殺菌剤の付着が適正に行われない場合がある。
したがって、本発明は、上記諸問題点を解決することができるカップ状容器の殺菌方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
すなわち、請求項1に係る発明は、カップ状容器(1)のフランジ(3)をリテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁で支持し、この容器(1)を支持したリテーナ(9)を走行させつつ容器(1)の内外面に向かって過酸化水素のミスト(a,b)又はガスを吹き付けて容器(1)を殺菌処理し、容器(1)の内外面に向かって熱風(c)を吹き付けて容器(1)の少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させるカップ状容器の殺菌方法において、容器(1)のフランジ(3)が上記リテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁に乗せられる前に、過酸化水素のミスト(f)又はガスを上記リテーナ(9)に吹き付けて、上記リテーナ(9)の少なくとも容器挿入穴(17)の周縁に過酸化水素の皮膜(F)を形成し、この皮膜(F)の上から容器(1)のフランジ(3)を乗せることを特徴とする。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載のカップ状容器の殺菌方法において、過酸化水素のミスト(f)又はガスを上記リテーナ(9)に吹き付ける前に、上記リテーナ(9)を冷却するようにしてもよい。
請求項3に記載されるように、請求項1に記載のカップ状容器の殺菌方法において、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付ける前に、上記リテーナに水のミスト又はスチームを吹き付けて過酸化水素のミスト又はガスの付着性を良くするようにすることも可能である。
請求項4に記載されるように、請求項1に記載のカップ状容器の殺菌方法において、上記リテーナ(9)の走行方向に交差するように伸びるスリット状ノズル(20)から上記リテーナ(9)に向かって過酸化水素のミスト(f)又はガスを吹き付けることにより、上記リテーナ(9)の少なくとも容器挿入穴(17)の周縁に過酸化水素の皮膜(F)を形成することも可能である。
請求項5に記載されるように、請求項4に記載のカップ状容器の殺菌方法において、上記スリット状ノズル(20)における上記リテーナ(9)の走行方向の前後を邪魔板(21)で覆うようにしてもよい。
また、請求項6に係る発明は、カップ状容器(1)の胴部が挿入される容器挿入穴(17)を有し、この容器挿入穴(17)の回りに容器(1)のフランジ(3)が乗せられる周縁を有したリテーナ(9)と、リテーナ(9)を一方向に走行させる走行手段(18)と、リテーナ(9)に保持された容器(1)の開口部と底部に向かってそれぞれ過酸化水素のミスト(a,b)又はガスを吹き付けて上記容器(1)を殺菌する殺菌用ノズル(7,8)と、上記過酸化水素のミスト(a,b)又はガスが吹き付けられた上記容器(1)の少なくとも開口部に向かって熱風(c)を吹き付ける乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)とを具備したカップ状容器の殺菌装置において、容器(1)のフランジ(3)が上記リテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁に乗せられる前に、過酸化水素のミスト(f)又はガスを上記リテーナ(9)に吹き付けて、上記リテーナ(9)の少なくとも容器挿入穴(17)の周縁に過酸化水素の皮膜(F)を形成するフランジ殺菌用ノズル(20)が設けられたことを特徴とする。
請求項7に記載されるように、請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、過酸化水素のミスト(f)又はガスを上記リテーナ(9)に吹き付ける前に冷却水(e)を上記リテーナ(9)に吹き付けてリテーナ(9)を冷却する冷却用ノズル(32)を設けるようにしてもよい。
請求項8に記載されるように、請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付ける前に、水のミスト又はスチームを上記リテーナに吹き付けて過酸化水素のミスト又はガスの付着性を良くするための水ミスト噴霧ノズル又は水スチーム噴霧ノズルが設けられたものとすることも可能である。
請求項9に記載されるように、請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、走行手段(18)が無端走行路を有し、容器(1)を単列又は複数列で搬送する多数のリテーナ(9)が、この無端走行路上に設けられているものとすることができる。
請求項10に記載されるように、請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、上記フランジ殺菌用ノズル(20)における上記リテーナ(9)の走行方向の前後が邪魔板(21)で覆われたものとすることができる。
本発明によれば、容器(1)のフランジ(3)が上記リテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁に乗せられる前に、過酸化水素のミスト(f)又はガスをリテーナ(9)に吹き付けて、リテーナ(9)の少なくとも容器挿入穴(17)の周縁に過酸化水素の皮膜(F)を形成し、この皮膜(F)の上に容器(1)のフランジ(3)を乗せることから、リテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁がその全周にわたって環状に形成されていたとしても、過酸化水素をフランジ(3)の裏面の全面にムラなく付着させてフランジ(3)の裏面の全面を適正に殺菌することができる。また、容器挿入穴(17)の周縁がその全周にわたって環状に形成されたリテーナ(9)を使用することができるので、後に容器(1)に蓋材(5b)を被せてフランジ(3)にヒートシールする場合、リテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁と加熱盤とでフランジ(3)と蓋材(5b)とをフランジ(3)の全周にわたって加圧することができ、従ってリテーナ(9)を交換することなく容器(1)を適正に密封することができる。
以下、本発明の最良の形態について図面に基づいて説明する。
この実施の形態において、殺菌処理しようとする容器は、図12に示すように、飲料等を充填する比較的底の深いカップであり、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン等所望の樹脂を用いた例えば真空圧空成形により成形される。
このカップ1は、略円筒形の胴部2を有する。カップ1の上部は開口部になっており、底部は底板で閉じられている。また、カップ1の開口部の回りにはフランジ3が設けられている。胴部2とフランジ3との境界には、スタッキングリブ2aが設けられている。スタッキングリブ2aは多数のカップ1を積み重ねた際にカップ同士が強く嵌り合わないようにするためのもので、充填機に供給した場合等においてカップ1の山からカップ1を一個ずつ確実に取り出しやすくするために設けられる。胴部2、フランジ3、スタッキングリブ2a等は、カップ1を成形する際に一体的に形成される。
図12中、二点鎖線で示すものはシート状又はフィルム状の殺菌された蓋5であり、カップ1が殺菌され、内容物が充填された後に、フランジ3の上面にヒートシール等によって接着される。これにより、カップ1内が内容物と共に無菌状態に保持された無菌包装体が完成する。
なお、図12中、符号5aは蓋5に設けられた摘み片を示す。この無菌包装体を購入した消費者等がこの摘み片5aを摘んで蓋5をフランジ3から引き剥がすことにより、無菌包装体を開封し内容物である例えば飲料4を取り出すことができる。
上記カップ1は、図1に示すように、無菌チャンバー16内において一連の工程A〜Qを経て、その表面が殺菌処理され、内容物である飲料4が充填され、蓋5で閉じられることにより無菌包装体とされる。無菌チャンバー16内は、給気口16cから無菌エアdが常時供給されることによって、外気が侵入しないように陽圧に保たれている。
次に、工程A〜Qの各々について順に説明する。
(1)工程A
図2及び図3に示すようなリテーナ9が用意される。リテーナ9は、平板をその本体として備える。この平板に長さ方向に沿って、カップ1の胴部2が挿入される容器挿入穴17が複数個形成される。図示例では容器挿入穴17が四個形成されるが、それ以上の個数又はそれ以下の個数に適宜変更可能である。これにより、カップ1は複数列で走行可能となる。
容器挿入穴17は、カップ1の胴部2の上端における外径よりも大きくフランジ3の外径より小さくなるように形成される。これにより、カップ1の胴部2が容器挿入穴17に挿入されると、フランジ3が容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9a上に留まり、胴部2が容器挿入穴17の周縁から下方に突出する。
容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aはその全周にわたって平坦な面として形成される。この容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aは、後にカップ1のフランジ3に蓋材5bをヒートシールする際に、フランジ3を蓋材5bごと図示しない加熱盤と共にプレスするための受け部として使用される。
容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aには、その上に乗ったフランジ3を取り巻くように環状溝6が形成される。図7に示すように、この環状溝6内の外周壁はトリミング刃19と共に蓋材5bの余剰部分を切除し、蓋5と摘み片5aとを残すための雌刃として機能する。
リテーナ9は多数用意され、図1に示すように、カップ1をそのフランジ3と平行な方向にリテーナ9ごと間欠走行させる走行手段に取り付けられる。走行手段は例えばスプロケットホイール18a,18b間に水平に掛け渡される無端チェーン18として構成され、多数のリテーナ9がこの無端チェーン18に所定の間隔で取り付けられる。無端チェーン18よりなる無端走行路に、多数のリテーナ9が単列又は複数列で取り付けられる。
リテーナ9、無端チェーン18等は上記無菌チャンバー16内に収納される。無端チェーン18の駆動により、この無菌チャンバー16内において、リテーナ9がカップ1を保持しつつ所定のピッチで間欠的又は連続的に走行する。これにより、多数のカップ1が効率良く各工程へと供給される。
この工程Aはリテーナ9の冷却工程であり、図1に示すように、上記無端走行路の最上流側に位置するリテーナ9に対して冷却水のミストeがノズル32によって吹き付けられ冷却される。具体的には、図1中、無端走行路のスプロケットホイール18a下に位置するリテーナ9に対して冷却水のミストeがノズル32により吹き付けられ、過酸化水素のミストf又はガスをリテーナ9に吹き付けるためのノズル20の位置に搬送されるまでに冷却される。
リテーナ9は無菌チャンバー16内において上記無菌空気d、後述する乾燥用空気c等によって加熱された状態にあるが、リテーナ9はこの冷却工程Aで45℃程度以下まで冷却されたうえで、次の工程Bにおいて過酸化水素のミストf又はガスが吹き付けられる。
なお、リテーナ9が45℃以上の状態であっても、過酸化水素のミストf又はガスをリテーナ9に吹き付ける前に、水のミスト或いは水のスチームをリテーナ9に吹き付けることによって過酸化水素のミストf又はガスのリテーナ9に対する付着性を良くし、殺菌効果を高めることができる。この水のミスト或いは水のスチームをリテーナに吹き付ける位置は過酸化水素のミストf又はガスをリテーナ9に吹き付けるノズル20の直前であるのが好ましい。この水のミスト或いは水のスチームをリテーナ9に吹き付けるためのノズルと上記リテーナ9に冷却水を吹き付けるノズル32とを併設することにより、リテーナ9の冷却と、リテーナ表面への水皮膜の形成の双方を行うことも可能である。
(2)工程B
図1に示すように、過酸化水素のミストf又はガスがリテーナ9の上面に向かって吹き付けられる。
これにより、図4に示すように、上記工程Aで冷却されたリテーナ9、又は水のミスト又は水のスチームが吹き付けられたリテーナ9の少なくとも容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aに過酸化水素の皮膜Fが形成される。この皮膜Fはリテーナ9の上面の全面に形成してもよい。この過酸化水素の皮膜Fによって、リテーナ9の少なくともフランジ3の裏面が当たるフランジ受け面9aが殺菌される。
この過酸化水素の皮膜Fは、過酸化水素のミストf又はガスをリテーナ9の走行方向に例えば直角に交差するように伸びるスリット状ノズル20からリテーナ9の上面に対して吹き出すことによって形成することができる。
その場合、図9に示すように、スリット状ノズル20におけるリテーナ9の走行方向の前後を邪魔板21で覆っておくのが望ましい。この邪魔板21によって、スリット状ノズル20から吹き出す過酸化水素のミストf又はガスが、無菌チャンバー16内を流れる無菌空気d等の流れに乱されないように、リテーナ9の上面に沿って滑らかに流れることになる。その結果、上記過酸化水素の皮膜Fがリテーナ9の上面にムラなく均一に塗布される。
(3)工程C
図1に示すように、カップ1の開口部及びフランジ3が上向きとなるようにカップ1の胴部2が、間欠停止したリテーナ9の容器挿入穴17内に挿入される。少なくとも容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aには、上記工程Bにおいて過酸化水素の皮膜Fが形成されており、図5に示すように、この皮膜Fの上からカップ1のフランジ3がフランジ受け面9a上に乗る。これにより、フランジ3の裏面の全面が過酸化水素の皮膜Fによって殺菌される。従来、このフランジ3の裏面には菌類が生残しやすく、この生残菌がカップ1内に混入するおそれがあったが、この工程Cによってフランジ3の裏面に付着した菌類が滅菌されることによって、そのようなおそれは払拭されることとなる。
(4)工程D
図1に示すように、カップ1の走行路の下方に配置した殺菌用ノズルヘッド7から、カップ1の外面に向かって過酸化水素のミストa又はガスが吹き付けられ、カップ1の外面が殺菌処理される。
この殺菌用ノズルヘッド7は、カップ1の所定の間欠停止位置に設置される。殺菌用ノズルヘッド7における間欠停止位置で一時停止したカップ1の底部に正対する箇所には、図10に示すように、多数の小さい吐出孔7aが形成される。ノズルヘッド7からカップ1の底部に向かって吹き出した過酸化水素のミストa又はガスは、カップ1の胴部2と底部の外面に付着し、カップ1の外面を適正に殺菌する。
(5)工程E
図1に示すように、カップ1の搬送路の上方に配置した殺菌用ノズルヘッド8から、カップ1の内面に向かって過酸化水素のミストb又はガスが吹き付けられ、カップ1の内面が殺菌処理される。
この殺菌用ノズルヘッド8は、カップ1の所定の間欠停止位置に設置される。殺菌用ノズルヘッド8における間欠停止位置で一時停止したカップ1の開口部に正対する箇所には、図10に示すように、多数の小さい吐出孔8aが形成される。
殺菌用ノズルヘッド8には過酸化水素のミストb又はガスの結露を防止するために、図示しないヒータが必要に応じて取り付けられる。
殺菌用ノズルヘッド8から過酸化水素のミストb又はガスがカップ1の開口部に向かって吹き付けられると、過酸化水素のミストb又はガスは多数の吐出孔8aからカップ1の開口部に向かってシャワー状に吹き出す。
過酸化水素のミストb又はガスの吐出圧は、多数の吐出孔8aから吹き出す過酸化水素のミストb又はガスの濃度が低下してカップ1の殺菌効果が薄れることがないように、また、過酸化水素のミストb又はガスが無菌チャンバー16内の各所で結露してカップ1内に滴下することがないように設定される。
また、殺菌用ノズルヘッド8とカップ1の開口部との間には、殺菌用ノズルヘッド8の回りからカップ1の開口部に設けられたフランジ3の回りに向かって延びる囲繞壁22が配置される。無菌チャンバー16内では、後述する乾燥用の熱風cや上記無菌チャンバー16内を陽圧に保つための無菌エアdが絶えず流れているが、この囲繞壁22はこうした熱風cや無菌エアdと殺菌用ノズルヘッド8から吹き出す過酸化水素のミストb又はガスの流れとの間を遮断する。
これにより、過酸化水素のミストb又はガスのカップ1に対する吹き付け時の流れは、囲繞壁22によって熱風cや無菌エアdの流れから保護され、乱されることなくカップ1の内面の全面に均一に行き渡ることとなる。その結果、カップ1の内面がムラなく一様に殺菌処理される。
囲繞壁22は、必要に応じて図示しないヒータ等によって加熱される。この加熱により、過酸化水素のミストb又はガスが囲繞壁22に接触することによる結露が防止される。
カップ1を複数列で搬送する場合は、殺菌用ノズルヘッド8はカップ1の列ごとに独立して配置してもよいし、全殺菌用ノズルヘッド8をカップ1の列間で連通する一体ものとして配置してもよい。囲繞壁22も同様にカップ1の列ごとに独立して配置してもよいし、カップの列間で連通する一体ものとして配置してもよい。
なお、この工程Eは上記工程Dよりも先に行ってもよいし、工程Dと同時に行ってもよい。
また、上記工程Dにおける殺菌用ノズルヘッド7とカップ1の底部との間にも、殺菌用ノズルヘッド7の回りからカップ1の底部の回りに向かって延びる囲繞壁を設けて、殺菌用ノズルヘッド7から吐出する過酸化水素のミストa又はガスの流れを乾燥用の熱風cや上記無菌チャンバー16内を陽圧に保つ無菌エアdから保護するようにしてもよい。
(6)工程F
工程Eの直後からカップ1を所定時間だけ走行させることにより、工程Eにおいて吹き付けられた過酸化水素のミストb又はガスがカップ1内に滞留する。これにより、過酸化水素がカップ1の内面の全面に行き渡り、所望の殺菌効果が得られることになる。
(7)工程G
工程Fにおいて過酸化水素のミストb又はガスがカップ1内に所定時間だけ滞留すると、その後直ちにカップ1の内外面に向かってカップ1が熱で変形しない程度に熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がある程度除去される。また、カップ1のフランジ3とリテーナ9のフランジ受け部9aとの間に挟まれた過酸化水素の皮膜Fも乾燥除去される。
熱風cの吹き付けは、多数の吐出孔(図示せず)を有した乾燥用ノズルヘッド10a,10bをカップ1の開口部と底部に向けることによって行うことができる。
(8)工程H
先の工程Gにおける熱風cの吹き付けから次の工程Iにおける熱風cの吹き付けまで、カップ1が搬送され、この搬送時間内でカップ1が所望の温度まで放冷される。これによりカップ1の熱による変形が防止される。
(9)工程I
工程Hで冷却されたカップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去される。
この熱風cは上記工程Gにおいて使用した乾燥用ノズルヘッド10aと同様なノズルヘッド11a,11bを用いることにより行われる。
(10)工程J
先の工程Iにおける熱風cの吹き付けから次の工程Kにおける熱風cの吹き付けまで、カップ1が搬送され、この搬送時間内でカップ1が所望の温度まで放冷される。これによりカップ1の熱による変形が防止される。
(11)工程K
工程Jで冷却されたカップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去される。
この熱風cは上記工程Gにおいて使用した乾燥用ノズルヘッド10a,10bと同様なノズルヘッド12a,12bを用いることにより行われる。
(12)工程L
先の工程Kにおける熱風cの吹き付けから次の工程Mにおける熱風cの吹き付けまで、カップ1が搬送され、この搬送時間内でカップ1が所望の温度まで放冷される。これによりカップ1の熱による変形が防止される。
(13)工程M
工程Lで放冷されたカップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去され、少なくともカップ1の内面の残留過酸化水素量が許容範囲まで低下する。
この熱風cは上記工程Gにおいて使用した乾燥用ノズルヘッド10a,10bと同様なノズルヘッド13a,13bを用いることにより行われる。
このように、工程G,I,K,Mで繰り返し熱風cをカップ1に吹き付けるのでカップ1に対し全体として多量の熱風を供給することとなり、また、熱風cは間に冷却時間を入れて複数回に分けて吹き付けるので、カップ1に熱変形を来たすことなく、カップ1に付着した過酸化水素を効率良く除去することができる。
なお、図示例では乾燥工程Mの後に放冷工程を設けていないが、必要に応じて放冷工程を設けることも可能である。
また、図示例では乾燥工程(G,I,K,M)と冷却工程(H,J,L)を交互に一定回数繰り返し行っているが、この乾燥工程と冷却工程の回数は少なくともカップ1の内面における残留過酸化水素量の許容値に応じて適宜増減可能である。
また、冷却工程(H,J,L)ではカップ1を自然放冷しているが、カップ1に冷風を吹き付けることにより強制冷却を行うことも可能である。
この工程Mの後、直ちにカップ1を集積して図示しない外装袋等の中に入れ、無菌状態で保管するようにしてもよい。これにより、例えば内容物である飲料4の充填装置が離れた場所に置かれている場合であっても、多量のカップ1を速やかに充填装置に供給することが可能である。
なお、上記冷却工程H,J,Lについては、この実施の形態におけるような熱変形のし易いPET製のカップ1を処理する場合は必ず必要であるが、耐熱性のあるカップの場合は、上記冷却工程H,J,Lを省略又は短縮し、乾燥工程(G,I,K,M)を連続して実施することが可能である。
(14)工程N
殺菌処理されたカップ1に、その開口部から内容物である飲料4が充填される。飲料4は予め殺菌処理され、冷却されている。
(15)工程O
カップ1の開口部に枚葉シート又は連続シートの殺菌された蓋材5bが被せられ、この蓋材5bがカップ1のフランジ3にヒートシールされる。このヒートシールは、図示しない加熱盤がリテーナへと降下し、リテーナのフランジ受け面9aとの間でカップ1のフランジ3と蓋材5bとを挟んで熱圧着することによって行われる。
(16)工程P
図1及び図7に示すように、トリミング刃19がリテーナ9の方へ降下し、リテーナ9の環状溝6内に侵入する。これにより、蓋材5bの余剰部分がトリミング刃19と環状溝6内の外周壁との間で切断される。
かくて、図12に示したような蓋5で密封された無菌包装体が完成する。
(17)工程Q
無菌包装体がリテーナ9から抜き取られ、無菌チャンバー16外へ取り出される。
次に、上記工程A〜Qを実施するための無菌充填装置について説明する。
図1に示すように、無菌充填装置は、カップ1を保持するための多数のリテーナ9、リテーナ9を連続走行させる走行手段、リテーナ9を冷却するための冷却用ノズル32、カップ1のフランジ3を殺菌するためのフランジ殺菌用ノズル20、カップ1の外面を殺菌するための殺菌用ノズルヘッド7、カップ1の内面を殺菌するための殺菌用ノズルヘッド8、過酸化水素をカップ1の表面から除去するための乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b、充填部14、蓋材シール部15、蓋材トリミング部15a、走行手段によるカップ1の走行路の全域を覆う無菌チャンバー16等を備える。
無菌チャンバー16の前後端には、カップ1をリテーナ9に供給する供給部16aと、無菌包装体をリテーナ9から取り出す取出部16bがそれぞれ設けられる。供給部16aは、多数のカップ1を積み重ねたカップ集積体からカップ1を一つずつ図示しないサッカー等により取り出してリテーナ9に嵌め込むようになっている。取出部16bはカップ1に飲料4が充填され、蓋5で密封されて完成した無菌包装体を図示しないサッカー等によりリテーナ9から抜き取り、無菌チャンバー16外に取り出すようになっている。
リテーナ9は、図2及び図3に示すように構成され、図1に示したように、多数のリテーナ9が走行手段としての無端チェーン18に所定の間隔で取り付けられる。
無端チェーン18は図示しない制御部で制御されるモータにより駆動される。無端チェーン18の駆動によりリテーナ9がカップ1を保持しつつ無菌チャンバー16内を上記供給部16aから取出部16bに向かって所定のピッチずつ間欠的又は必要に応じて連続的に走行する。
リテーナ9を冷却するための冷却用ノズル32又は過酸化水素の付着性をよくするための水のミスト若しくは水のスチームを噴霧するノズルは、リテーナ9の走行方向に例えば直角に交差するように伸びるスリット状ノズルとして構成される。
ノズル32はスプロケットホイール18aの下方において下向きとなったリテーナ9の表面に対向する。このノズル32からリテーナ9の表面に向かって冷却水のミストeが吹き付けられる。リテーナ9は冷却水のミストeの付着によって、過酸化水素が殺菌効果を発揮しやすい温度である45℃以下まで冷却される。
上述した過酸化水素の付着性を良くする為に水のミスト又は水のスチームをリテーナ9の表面に吹き付けるノズルは、過酸化水素のミスト又はガスをリテーナ9に吹き付けるノズル20の直前においてリテーナ9の上面に対向する。リテーナ9は、水のミスト又は水のスチームの付着によって、表面温度が45℃以上でも、過酸化水素のミスト又はガスの乾燥が抑制される。これにより、リテーナ9の表面は適正に殺菌され、また後にカップ1が投入された時もそのフランジ3の裏面がリテーナ9の上面に付着した過酸化水素のミスト又はガスによって適正に殺菌される。
なお、冷却用又は過酸化水素の付着性向上のために用いられる水は、通常の水道水でも良いが、フィルタでろ過された水又はプレート滅菌機等で製造された無菌水を使用することも可能である。
カップ1のフランジ3を殺菌するためのフランジ殺菌用ノズル20は、図8に示すように、リテーナ9の走行方向に例えば直角に交差するように伸びるスリット状ノズルとして構成される。このノズル20は箱体33に接続され、この箱体33にミスト生成器23が接続される。
このミスト生成器23は、殺菌剤である過酸化水素の水溶液を滴状にして供給する二流体スプレーである過酸化水素供給部24と、この過酸化水素供給部24から供給された過酸化水素の噴霧をその沸点以上、非分解温度以下に加熱して気化させる気化部25とを備える。過酸化水素供給部24は、過酸化水素供給路24a及び圧縮空気供給路24bからそれぞれ過酸化水素の水溶液と圧縮空気を導入して過酸化水素の水溶液を気化部25内に噴霧するようになっている。気化部25は内外壁間にヒータ25aを挟み込んだパイプであり、パイプ内に吹き込まれた過酸化水素の噴霧を加熱し気化させる。気化した過酸化水素のガスは噴霧管26から、ミストfとなって又はガスとして噴出する。
ミスト生成器23内で生成された過酸化水素のミストf又はガスは、そのノズル26から上記箱体33内へと流れ、スリット状ノズル20からその下方を走行するリテーナ9の上面に向かって吹き出る。
図8及び図9に示すように、スリット状ノズル20におけるリテーナ9の走行方向の前後が望ましくは邪魔板21で覆われる。邪魔板21はリテーナ9の上面に平行に延びる。スリット状ノズル20から吹き出た過酸化水素のミストf又はガスは、邪魔板21とリテーナ9との隙間内をリテーナ9の走行方向に沿って流れる。この隙間内に流入した過酸化水素のミストf又はガスは、無菌チャンバー16内を流れる無菌空気d等の流れから邪魔板21によって遮断され、乱されることなくリテーナ9の上面に沿って滑らかに流れ、リテーナ9の容器挿入穴17の周縁のフランジ受け部9aを含むリテーナ9の上面の略全域にわたって接触し、図4に示すように、リテーナ9の上面にムラのない均一な過酸化水素の皮膜Fとなって付着する。
上述したようにリテーナ9は冷却水のミストeによって冷却されているので、このリテーナ9に付着した過酸化水素は適正な殺菌効果を発揮し、リテーナ9における容器挿入穴17の周縁を含むリテーナ9の上面の略全域を殺菌する。
なお、上述したようにリテーナ9が45℃以上でも水のミスト又は水のスチームの吹き付けが行われることにより、このリテーナ9に付着した過酸化水素は適正な殺菌効果を発揮し、リテーナ9における容器挿入穴17の周縁を含むリテーナ9の上面の略全域を殺菌する。
カップ1をリテーナ9に供給する供給部16aは、上記スリット状ノズル20のリテーナ走行方向のやや下流側に設置される。供給部16aは公知の構造を有するものであるからその詳細な説明は省略する。
この供給部16aによって各カップ1はリテーナ9の各容器挿入穴17内に正立状態で投入され、その胴部2が容器挿入穴17に挿入される。そして、図5に示すように、そのフランジ3がリテーナ9の容器挿入穴17の周縁におけるフランジ受け面9aに乗り上がり、フランジ3の裏面がリテーナ9のフランジ受け面9a上に塗布された過酸化水素の皮膜Fに接触する。これにより、フランジ3の裏面がその全面にわたって適正に殺菌処理される。
図1に示すように、カップ1の外面を殺菌するための殺菌用ノズルヘッド7は、カップ供給部16aのやや下流側において、カップ1の間欠停止位置の下方に設置される。
図10に示すように、この殺菌用ノズルヘッド7は円錐台形に形成され、その円錐台形が倒立するようにカップ1の下方に設置される。倒立した円錐台の上端板は、間欠停止位置で一時停止したカップ1の底部に正対するように形成され、この上端板に多数の小さい吐出孔7aが如雨露状に穿設される。
カップ1が複数列で搬送される場合は、殺菌用ノズルヘッド7は望ましくはカップ1の列ごとに独立して配置される。
この殺菌用ノズルヘッド7にも上述したミスト生成器23と同様なミスト生成器23から各殺菌用ノズルヘッド7へと過酸化水素のミストa又はガスが供給される。
各殺菌用ノズルヘッド7は、各ヘッド室内に供給された過酸化水素のミストa又はガスを、リテーナ9に保持されまま一時停止したカップ1の底部に向かって吐出孔7bから吹き出す。吐出孔7aからカップ1に吹き付けられた過酸化水素のミストa又はガスはカップ1の外表面に薄い皮膜となって付着して結露し、高濃度の過酸化水素となってカップ1の外面を速やかに殺菌する。
なお、この下側の殺菌用ノズルヘッドは、上記円錐台形のノズルヘッド7をカップ1の列に交差する方向で連通する一体ものとして構成することも可能である。
図1に示すように、カップ1の内面を殺菌するための殺菌用ノズルヘッド8は、下側の殺菌用ノズルヘッド7よりも下流側において、カップ1の所定の間欠停止位置に設置される。カップ1が複数列で搬送される場合は、望ましくは殺菌用ノズルヘッド8はカップ1の列ごとに独立して配置される。
図10に示すように、殺菌用ノズルヘッド8は円錐台形に形成され、その円錐台形が正立するようにカップ1の上方に設置される。円錐台の底の端板は、間欠停止位置で一時停止したカップ1の開口部に正対するように形成され、この端板に多数の小さい吐出孔8aが如雨露状に穿設される。
この殺菌用ノズルヘッド8にも上述したミスト生成器23と同様なミスト生成器23から各殺菌用ノズルヘッド8へと過酸化水素のミストb又はガスが供給される。このミスト生成器23から供給される過酸化水素のミストb又はガスが、殺菌用ノズルヘッド8の吐出孔8aから、リテーナ9に保持されまま一時停止したカップ1の開口部に向かってシャワー状に吹き出す。
また、図1及び図10に示すように、上側の殺菌用ノズルヘッド8とカップ1の開口部との間には、この殺菌用ノズルヘッド8の回りからカップ1の開口部におけるフランジ3の回りに向かって延びる囲繞壁22が設けられる。
無菌チャンバー16内では、後述する乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bから吹き出す乾燥用の熱風cや上記無菌チャンバー16内を陽圧に保つための無菌エアdが絶えず流れているが、この囲繞壁22はこうした熱風cや無菌エアdと殺菌用ノズルヘッド8から吹き出る過酸化水素のミスト又はガスbの流れとの間を遮断する。
これにより、カップ1に対する過酸化水素のミストb又はガスの流れは、囲繞壁22によって熱風cや無菌エアdの流れから保護され、乱れることなくカップ1の開口部から内部へと流れる。この過酸化水素のミストb又はガスはカップ1の胴部2の内面、底部の内面、フランジ3の上面に接触して結露し、高濃度の薄い過酸化水素の皮膜となって付着し、カップ1の表面を速やかにかつ適正に殺菌する。
なお、上側の殺菌用ノズルヘッドは、上記円錐台形のノズルヘッド8をカップ1の列に交差する方向で連通する一体ものとして構成することも可能である。
図1に示すように、乾燥用ノズルヘッド10a,10bは、上側の殺菌用ノズルヘッド8の位置から下流側に所定距離だけ離れた位置に設置される。これにより、過酸化水素のミストb又はガスが吹き込まれ内部に滞留したカップ1は乾燥用ノズルヘッド10a,10bに至るまでの一定時間だけそのまま保持され、ミストb又はガスがカップ1の内面に均一に付着し、少なくともカップ1の内面が所望程度まで殺菌された直後に、乾燥処理に付されることになる。
乾燥用ノズルヘッド10a,10bは、図1及び図11に示すように、カップ1を保持したリテーナ9の走行路を上下から挟むように対向配置される。
図11に示すように、上側の乾燥用ノズルヘッド10aは、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体を有し、この箱体の下面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の開口及びフランジ3に対向する。この箱体の下面に熱風cを噴出する多数の小さい吐出孔27aが形成される。吐出孔27aは箱体の下面の全面に穿設してもよいが、カップ1の開口部およびフランジ3に正対する領域に穿設するようにしてもよい。あるいは、箱体に代えて、リテーナ9上のカップ1ごとに如雨露のような多数の吐出孔が開いた円錐体を設けるようにしてもよい。
また、箱体の下面にはカップ1の開口部に対向するように吹出し筒27bが必要に応じて取り付けられる。この吹き出し筒27bからも熱風cがカップ1の開口に向かって吹き出し、カップ1内に滞留した過酸化水素のミストb又はガスをカップ1外に排出すると共に、カップ1の内面を効率的に加熱してカップ1の内面に付着した過酸化水素を乾燥させる。
下側の乾燥用ノズルヘッド10bは、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体を有し、この箱体の上面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の底部に対向する。この箱体の上面に熱風cを噴出する多数の吐出孔28が形成される。この下側の乾燥用ノズルヘッド10bは、上側の乾燥用ノズルヘッド10aと吐出孔28の開口方向が逆である点、また吹出し筒27bが省略されている点を除いて略同じ構成である。
この下側の乾燥用ノズルヘッド10bから吐出される熱風cはカップ1の外面の全面に接触する。従って、カップ1の胴部2の外面についても適正な加熱が行われ、カップ1の外面から余剰の過酸化水素が除去される。
上下の乾燥用ノズルヘッド10a,10bはカップ1の走行方向でずれていてもよいが、望ましくはカップ1の走行路を挟んで正対するように配置される。ノズルヘッド10a,10b同士を正対させておくことで、カップ1に上下から風圧を作用させ、リテーナ9からのカップ1の脱落を防止することができる。風圧は、下側よりも上側の方を大きくするのが望ましい。
図1に示すように、上記上下の乾燥用ノズルヘッド10a,10bと同様な乾燥用ノズルヘッド11a,11b,12a,12b,13a,13bが、上下一対となってカップ1の走行路に沿って所定の間隔で配置される。
乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの設置数は、少なくともカップ1の内面での残留過酸化水素量を許容範囲内まで低下させることができる総風量を得ることができるように決定される。
また、乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの対間は、上流側の乾燥用ノズルヘッドによる熱風cの吹き付けから次の下流側の乾燥用ノズルヘッドによる熱風cの吹き付けまでの間にカップ1がそれぞれ所望の温度まで自然冷却される程度に離される。各乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bから吐出される熱風cは、カップ1を構成するPET又はポリプロピレンが変形して特にそのフランジ3の平滑性、平坦性が損なわれないようにすることができる温度及び流量とされる。
このようにカップ1に対する加熱と冷却を繰り返すことで、カップ1に変形を生じさせることなく、残留過酸化水素の除去を適正に行うことができる。そして、後の飲料4の充填、蓋材5のシールを適正に行うことができる。
この無菌充填装置は、図11に示すように、上記熱風cを作るためにブロア29、フィルタ30、加熱器31等を備える。ブロア29からの送風がフィルタ30で除菌され、加熱器31で加熱されて熱風cとされる。この熱風cが上下の乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a、11b,12a,12b,13a,13bの箱体27,28内に供給され、各箱体27,28の吐出孔27a,28からカップ1に向かって吹き出すことになる。
充填部14は、図1に示すように、カップ1の走行路において最終の乾燥用ノズルヘッド13a,13bよりも下流側に設置される。充填部14は、リテーナ9により運ばれて来た殺菌済みのカップ1内に殺菌処理済みの例えば飲料4を所定量充填するようになっている。充填部14は公知であるからその詳細な説明は省略する。
蓋材シール部15は、図1に示すように、カップ1の走行路において充填部14よりも下流側に設置される。蓋材シール部15は、リテーナ9により運ばれて来た充填済みのカップ1の開口部に蓋材5bを被せ、この蓋材5bの回りをカップ1のフランジ3にヒートシールするようになっている。蓋材5bは枚葉シートとして又は連続シートとしてカップ1の開口部上に供給される。
蓋材シール部15内には、図示しないがカップ1のフランジ3に対応した形状の加熱部を有する加熱盤が昇降可能に設けられる。この加熱盤が上記蓋材5bをカップ1のフランジ3と共にリテーナ9の容器挿入穴17の周縁におけるフランジ受け面9aに押し付ける。これにより、蓋材5bがカップ1のフランジ3にヒートシールされ、カップ1内が密封される。
蓋材トリミング部15aは、図1に示すように、カップ1の走行路において蓋材シール部15よりも下流側に設置される。蓋材トリミング部15a内には、上記蓋材5bから図12に示す蓋5を打ち抜くためのトリミング刃19が昇降可能に設けられる。
図7に示すように、トリミング刃19がリテーナ9の方へ降下してリテーナ9の環状溝6内に侵入すると、蓋材5bの余剰部分がトリミング刃19と環状溝6内の外周壁との間で切断される。これにより、図12に示すように摘み片5aを有した蓋5の輪郭が整えられると共に、蓋5で密封された無菌包装体が完成する。
なお、この無菌充填装置は、充填部14以降は省略して殺菌処理のみを行うものとし、乾燥処理が完了したカップ1を直ちに無菌チャンバー16外に取り出すような構成とすることも可能である。この場合は、充填、シールは他の場所で行われることになる。
次に、上記構成の無菌充填装置の作用について説明する。
無菌チャンバー16内が予め過酸化水素等の殺菌剤ミスト又はガスの供給、紫外線照射等により殺菌される。また、無菌チャンバー16内に給気口16cから無菌エアdが常時吹き込まれ、この無菌エアdが無菌チャンバー16の図示しない所定の出入口や隙間から排出されることによって、無菌チャンバー16内の無菌状態が維持される。
図1に示すように、リテーナ9が無端チェーン18の駆動により、例えばリテーナ9の走行方向における寸法ごとに間欠走行する。
リテーナ9はその上部走行路の始端において、ノズル32から冷却水のミストeを吹き付けられる。リテーナ9は無菌チャンバー16内において無菌エアd、乾燥用エアc等によって加熱された状態にあるが、リテーナ9はこの冷却水のミストeの吹き付けによって45℃以下の温度まで冷却される。
この冷却されたリテーナ9が次のフランジ殺菌用ノズルへ20と走行すると、フランジ殺菌用ノズル20からリテーナ9の上面に過酸化水素のミストf又はガスが吹き付けられる。図4に示すように、吹き付けられた過酸化水素のミストf又はガスはリテーナ9の上面に過酸化水素の皮膜Fとなって付着する。ノズル20から吹き出す過酸化水素のミストf又はガスは、無菌チャンバー16内を流れる無菌エアd等に乱されないように、図9に示す如く邪魔板21とリテーナ9との間を滑らかに流れ、リテーナ9の上面に過酸化水素のムラのない均一な皮膜Fとなって付着する。これにより、リテーナ9のフランジ受け面9aを含む上面が後の乾燥工程を経て殺菌処理される。
なお、リテーナ9の表面温度が45℃以上の場合でも、過酸化水素の噴霧直前に水のミスト又は水のスチームを吹き付けることにより、カップ1の投入まで過酸化水素が乾燥することなくリテーナ表面に殺菌に必要な量だけ留まる。すなわち、ノズル20から吹き出す過酸化水素のミストf又はガスは、無菌チャンバー16内を流れる無菌エアd等に乱されることなく、図9に示す如く邪魔板21とリテーナ9との間を滑らかに流れ、水のミスト又は水のスチームによる水皮膜が付着したリテーナ9の上面に過酸化水素のムラのない均一な皮膜Fとなって付着する。これにより、リテーナ9のフランジ受け面9aを含む上面が後の乾燥工程を経て殺菌処理される。
上面に過酸化水素が付着したリテーナ9が次のカップ供給部16aに至ると、カップ供給部16aがカップ1をリテーナ9の容器挿入穴17内に供給する。図5に示すように、上記過酸化水素の皮膜Fの上からカップ1のフランジ3が容器挿入穴17の周縁におけるフランジ受け面9a上に乗る。これにより、フランジ3の裏面の全面が過酸化水素の皮膜Fによって後の乾燥工程を経て殺菌される。
リテーナ9が次の下側の殺菌用ノズルヘッド7へとカップ1を送ると、殺菌用ノズルヘッド7が、多数の吐出孔7bからカップ1の底部に向かって過酸化水素のミストa又はガスを吹き付ける。これにより、カップ1の外面が後の乾燥工程を経て殺菌処理される。
リテーナ9が、上記外面が殺菌されたカップ1を次の上側の殺菌用ノズルヘッド8へと送ると、上側の殺菌用ノズルヘッド8が、多数の吐出孔8bからカップ1の開口部とフランジ3に向かって過酸化水素のミストb又はガスを吹き付ける。これにより、カップ1の内面が後の乾燥工程を経て殺菌処理される。
無菌チャンバー16内では、乾燥用ノズルヘッド10a、10b、11a、11b,12a,12b,13a,13bから吹き出す乾燥用の熱風cや無菌チャンバー16内を陽圧に保つための無菌エアdが絶えず流れているが、殺菌用ノズルヘッド8とカップ1との間に介在する囲繞壁22がこうした熱風cや無菌エアdと殺菌用ノズルヘッド8から吹き出る過酸化水素のミストb又はガスの流れとの間を遮断する。
これにより、上側の殺菌用ノズルヘッド8から吐出される過酸化水素のミストb又はガスは、熱風cや無菌エアdの流れにより乱されることなくカップ1のフランジ3の上面やカップ1の内面を伝って流れ、カップ1の胴部2の内面、底部の内面、フランジ3の上面にムラなく付着し、これらの全面を適正に殺菌する。
リテーナ9は、過酸化水素が塗布されたカップ1を保持しつつ走行し、カップ1を次の乾燥用ノズルヘッド10a,10bへと送る。
リテーナ9上のカップ1が、上側の殺菌用ノズルヘッド8による過酸化水素のミストb又はガスの吹き付けから最初の乾燥用ノズルヘッド10a,10bによる熱風cの吹き付けに至るまでの間、過酸化水素がカップ1内に滞留し、カップ1の内面を所望程度まで殺菌する。
乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの各対はそれぞれカップ1の開口側と底面側からカップ1を挟むように熱風cを吹き付けるので、カップ1は軽いもの、面積の大きいものであっても、リテーナ9から脱落することなく走行する。
初回の乾燥用ノズルヘッド10a,10bは、多数の小孔27a,28、吹き出し筒27bからカップ1の開口と底面に向かって熱風cを吹き付けてカップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を乾燥させる。
この初回の熱風cの吹き付け後、リテーナ9はカップ1を次の乾燥用ノズルヘッド11a,11bへと搬送し、その搬送の間にカップ1を放冷する。このカップ1の冷却は自然放冷であるが、冷却風等をカップ1に吹き付けることによりカップ1を強制冷却してもよい。このカップ1の冷却により、カップ1に蓄積された熱の一部が除去される。
乾燥用ノズルヘッド11a,11bは、前回と同様にして多数の小孔27a,28や吹き出し筒27bからカップ1の開口と底面に向かって熱風cを吹き付けてカップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を更に乾燥させる。
リテーナ9は、過酸化水素がある程度除去されたカップ1を放冷させながら次の段の乾燥用ノズルヘッド12a,12bへと搬送する。
この上下の乾燥用ノズルヘッド12a,12bも前回と同様にして多数の小孔27a,28や吹き出し筒27bからカップ1の上下に向かって熱風cを吹き付け、カップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を更に乾燥させる。
リテーナ9は、過酸化水素がさらに除去されたカップ1を放冷させながら次の段の乾燥用ノズルヘッド13a,13bへと搬送する。
この上下の乾燥用ノズルヘッド13a,13bも前回と同様にして多数の小孔27a,28や吹き出し筒27bからカップ1の上下に向かって熱風cを吹き付け、カップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を更に乾燥させる。
このように、各乾燥用ノズルヘッド10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bによる加熱と、各加熱間での放冷とが繰り返されることにより、カップ1の熱による変形が回避されつつカップ1の表面からの過酸化水素の除去が行われる。
但し、耐熱性のあるカップに関しては、冷却工程を設けることなく連続して乾燥処理してもよい。
リテーナ9は、最終の乾燥用ノズルヘッド13a,13b間を通過し、残留過酸化水素が許容値内まで低下したカップ1を保持して次の充填部14へと送る。充填部14は、連続走行するカップ1に開口から飲料4を定量充填する。
リテーナ9は、飲料4が充填されたカップ1を保持しつつ走行し、カップ1を次の蓋材シール部15へと送る。蓋材シール部15はカップ1の開口に殺菌された蓋材5bを被せ、蓋材5bをカップ1のフランジ3にヒートシールにより接着しカップ1を密封する。
リテーナ9は、蓋材5bがヒートシールされたカップ1を次の蓋材トリミング部15aへと送る。蓋材トリミング部15aは、蓋材5bをトリミングし蓋5としての輪郭に整える。これにより、無菌包装体が完成する。
リテーナ9は、無菌包装体を取出部16bへと搬送する。取出部16bは図示しないロボット等により無菌包装体を無菌チャンバー16の外に取り出す。
かくて、無菌包装体の出荷が可能になる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更可能である。
図12に示すような外観を有し、開口内径52mm、開口外径71mm、フランジ幅4mm、底面径46mm、高さ107mmの大きさに成形されたPET製のカップとポリプロピレン(PP)製のカップをそれぞれ多数個用意し、各カップにおけるフランジ裏面にBI(biological indicator)を貼り付けた。
BIは、5mm角のアルミニウム箔、及び両面粘着テープを貼り付けた各シャーレをエチレンオキサイドガス(EOG)で滅菌し、各シャーレ内に貼着した両面粘着テープ上に上記アルミニウム箔を貼り付け、各アルミニウム箔に2.3×105ヶ/spotの枯草菌芽胞を塗布し、しかる後、クリーンベンチ内で風乾することにより作成した。
BIを貼付した各カップについて、図1の工程(A)〜(K)を実施した。リテーナとして図2に示すようなものを使用した。リテーナは間欠走行させるものとし、リテーナの走行方向での幅を110mmとして走行速度を110mm/secとし、リテーナの幅分送るごとに1sec停止させた。
リテーナの温度は実施例において40〜42℃の範囲内で変化させ、比較例において46〜47℃の範囲で変化させた。フランジ殺菌用ノズル(スリット長350mm)から吐出する過酸化水素の流量は14〜16g/minとし、走行速度110mm/secで搬送中に吹き付けた。リテーナの上面へ過酸化水素の皮膜を形成した後、カップを容器挿入穴内に投入するまでの時間は、5秒〜12秒の範囲内で変化させ、比較例として12秒間とした。リテーナに投入したカップに対し上下から過酸化水素のミストを吹き付け、しかる後、カップの内面に対し140℃の熱風を流量0.6m3/minで三回にわたって各々1秒間吹き付けて過酸化水素を乾燥させた。
その後、カップからBIを剥し取り、トリプトソイブイヨン培地中で、35°C×7日間培養し、菌の発生の有無を確認し、表1、表2に示す殺菌効果(LRV(Logarithmic reduction value)=log(付着菌数/生残菌数))を得た。
表1はフランジ殺菌用ノズルにおける過酸化水素ミストの流量とカップをリテーナに投入するまでの時間とをパラメータとした殺菌効果を示し、表2はフランジ殺菌用ノズルにおける過酸化水素ミストの流量とリテーナ表面温度とをパラメータとした殺菌効果を示す。
表1,2中、例えば0/5、5/5は(菌が発生した陽性のカップの個数)/(カップの全個数)を表し、例えば6、5.2は殺菌効果を表す。
Figure 2010100296
Figure 2010100296
表1から明らかなように、リテーナの表面温度を45℃未満とした場合、リテーナに過酸化水素を噴霧した後10秒以内にカップをリテーナに投入すれば、フランジの裏面について殺菌効果6Dを達成することができる。また、表2から明らかなように、リテーナの表面温度が45℃よりも高くなると、リテーナに過酸化水素を噴霧した後5秒でカップを投入したとしても、フランジの裏面について殺菌効果6Dを達成することができないが、45℃以下であれば10秒後に投入しても殺菌効果6Dを達成することができる。
リテーナの温度を46〜47℃の範囲で保持し、過酸化水素を噴霧する5秒前にスチームをリテーナ表面に吹き付けた。スチームは、過酸化水素ミストを生成するミスト生成器と同じ構造のミスト生成器で作って供給した。スチーム噴霧用ノズル(スリット長350mm)から吐出するスチームは純水の供給量18g/minで、走行速度110mm/secで搬送するリテーナに吹き付けた。スチームをリテーナ表面に吹き付けた5秒後に、実施例1と同じ条件で過酸化水素をリテーナ表面に吹き付けた。カップをリテーナの容器挿入穴内に投入するまでの時間は10秒に設定した。しかる後、カップの内面に対し140℃の熱風を流量0.6m3/minで三回にわたって各々1秒間吹き付けて過酸化水素を乾燥させた。比較例はスチーム処理をなしとした。
Figure 2010100296
表3より、リテーナの温度が45℃以上でも、スチームをリテーナ表面に吹き付けることにより、カップ投入までに過酸化水素の乾燥が抑制され、フランジ裏面について殺菌効果6Dを達成することができる。
本発明の実施の形態に係るカップ殺菌装置の概略を示す垂直断面図である。 リテーナを示す斜視図である。 図2中、III−III線矢視断面図である。 リテーナの上面に過酸化水素の皮膜が付着した状態を示す断面図である。 リテーナにカップが投入された状態を示す断面図である。 カップのフランジに蓋材をヒートシールした状態を示す断面図である。 蓋材をトリミングした状態を示す断面図である。 リテーナの上面に過酸化水素ミストを吹き付ける工程を示す斜視図である。 フランジ殺菌用ノズルに取り付けた邪魔板の作用を説明する断面図である。 リテーナに保持されたカップに上下から過酸化水素ミストを吹き付ける工程を示す斜視図である。 リテーナに保持されたカップに上下から熱風を吹き付ける工程を示す斜視図である。 カップの一例の斜視図である。
符号の説明
1…カップ
3…フランジ
7,8…殺菌用ノズルヘッド
9…リテーナ
10a、10b、11a、11b,12a,12b,13a,13b…乾燥用ノズルヘッド
17…容器挿入穴
18…無端チェーン
20…フランジ殺菌用ノズル
21…邪魔板
32…冷却用ノズル
a、b、f…過酸化水素のミスト
c…熱風
F…過酸化水素の皮膜

Claims (10)

  1. カップ状容器のフランジをリテーナの容器挿入穴の周縁で支持し、この容器を支持したリテーナを走行させつつ容器の内外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けて容器を殺菌処理し、容器の内外面に向かって熱風を吹き付けて容器の少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させるカップ状容器の殺菌方法において、容器のフランジが上記リテーナの容器挿入穴の周縁に乗せられる前に、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付けて、上記リテーナの少なくとも容器挿入穴の周縁に過酸化水素の皮膜を形成し、この皮膜の上から容器のフランジを乗せることを特徴とするカップ状容器の殺菌方法。
  2. 請求項1に記載のカップ状容器の殺菌方法において、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付ける前に、上記リテーナを冷却することを特徴とするカップ状容器の殺菌方法。
  3. 請求項1に記載のカップ状容器の殺菌方法において、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付ける前に、上記リテーナに水のミスト又はスチームを吹き付けて過酸化水素のミスト又はガスの付着性を良くすることを特徴とするカップ状容器の殺菌方法。
  4. 請求項1に記載のカップ状容器の殺菌方法において、上記リテーナの走行方向に交差するように伸びるスリット状ノズルから上記リテーナに向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けることにより、上記リテーナの少なくとも容器挿入穴の周縁に過酸化水素の皮膜を形成することを特徴とするカップ状容器の殺菌方法。
  5. 請求項4に記載のカップ状容器の殺菌方法において、上記スリット状ノズルにおける上記リテーナの走行方向の前後を邪魔板で覆うことを特徴とするカップ状容器の殺菌方法。
  6. カップ状容器の胴部が挿入される容器挿入穴を有し、この容器挿入穴の回りに容器のフランジが乗せられる周縁を有したリテーナと、リテーナを一方向に走行させる走行手段と、リテーナに保持された容器の開口部と底部に向かってそれぞれ過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けて上記容器を殺菌する殺菌用ノズルと、上記過酸化水素のミスト又はガスが吹き付けられた上記容器の少なくとも開口部に向かって熱風を吹き付ける乾燥用ノズルとを具備したカップ状容器の殺菌装置において、容器のフランジが上記リテーナの容器挿入穴の周縁に乗せられる前に、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付けて、上記リテーナの少なくとも容器挿入穴の周縁に過酸化水素の皮膜を形成するフランジ殺菌用ノズルが設けられたことを特徴とするカップ状容器の殺菌装置。
  7. 請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付ける前に冷却水を上記リテーナに吹き付けてリテーナを冷却する冷却用ノズルが設けられたことを特徴とするカップ状容器の殺菌装置。
  8. 請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、過酸化水素のミスト又はガスを上記リテーナに吹き付ける前に、水のミスト又はスチームを上記リテーナに吹き付けて過酸化水素のミスト又はガスの付着性を良くするための水ミスト噴霧ノズル又は水スチーム噴霧ノズルが設けられたことを特徴とするカップ状容器の殺菌装置。
  9. 請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、走行手段が無端走行路を有し、容器を単列又は複数列で搬送する多数のリテーナが、この無端走行路上に設けられていることを特徴とするカップ状容器の殺菌装置。
  10. 請求項6に記載のカップ状容器の殺菌装置において、上記フランジ殺菌用ノズルにおける上記リテーナの走行方向の前後が邪魔板で覆われたことを特徴とするカップ状容器の殺菌装置。
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