JP2022113597A - 無菌充填機及び無菌充填方法 - Google Patents

無菌充填機及び無菌充填方法 Download PDF

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Yoshihiko Takuwa
志記 山元
Shiki Yamamoto
憲二 遠藤
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Abstract

【課題】黒カビと芽胞菌の両方に対して高い殺菌能力を有し、かつ製造(充填)能力が高い、バックインボックスの内袋の無菌充填機、並びに無菌充填方法を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】本開示におけるバックインボックスの内袋10の無菌充填機20は、内容物を充填する工程の前に、注出口13及びキャップ14を殺菌するための深紫外線照射ステーション40と、蒸気吹き付けステーション50とを備えている。【選択図】図2

Description

本開示は、牛乳、クリーム、ジュース、酒及び清涼飲料水等の液状食品、若しくは液状薬品又は固形物を含む液状食品等を注出口付きバッグインボックスの内袋に、無菌充填するための無菌充填機及び無菌充填方法に関する。
従来、液体の大型容器としては一斗缶等の缶が多く使用されていたが、使用済みの容器の廃棄のための輸送や処理が煩雑であるために、内容物が充填されたプラスチックフィルムからなる袋を段ボールにより外装する、廃棄処理しやすいバッグインボックス(以降、BIBと呼ぶことがある。)の使用が広まっている。内容物が菌等により腐敗や変敗する物である場合、BIBの内袋の内部に内容物を充填してから加熱殺菌することは、内容物の容量が大容量であることが多く困難である。そこで、長期保存を行う腐敗しやすい内容物については、予めBIBの内袋を殺菌し、その殺菌されたBIBの内袋に殺菌した内容物を無菌雰囲気で充填する無菌充填が採用されている。無菌充填は、牛乳、クリーム、果汁、果肉入り果汁等の内容物を長期保存する場合に用いられることが多い。
BIBの内袋への無菌充填方法としては、まずは、BIBの内袋の注出口を有する袋をキャップにより密封し、エチレンオキサイドガスやγ線照射等によりBIBの内袋の内部を殺菌し、殺菌された内袋を無菌BIB充填機に供給する。そして、注出口及びキャップの外側を次亜塩素酸ナトリウム溶液、過酢酸溶液又は過酸化水素溶液等の液状殺菌剤により殺菌した後、無菌BIB充填機の無菌チャンバー内でキャップを取り外して、注出口と充填ノズルを嵌合させて、充填ノズルから内袋の内部に内容物を規定量充填し、注出口から充填ノズルを取り外し、注出口をキャップにより密封する。
また、無菌チャンバーを使用しないで、注出口を殺菌して、バッグ容器に流体製品を充填する充填方法および充填装置が提案されている(特許文献1)。この技術は一箇所の作業ステーションにて、順次、注出口のスチーム殺菌、注出口の開封、充填、注出口の封鎖、温水洗浄、エアーフラッシング、温水洗浄、スチームフラッシングの工程を行う充填方法および充填装置である。
ただし、特許文献1の無菌充填方法および無菌充填装置では、一箇所のみ作業ステーションがあり、その作業ステーションで複数の工程が実施されるので、タクトタイムが長くなり、生産能力を上げることが難しい。
特開2006-188251号公報
しかしながら、従来の無菌充填方法及び無菌充填機よりも、殺菌能力が高く、または生産能力が高い無菌充填方法および無菌充填機が望まれていた。
上記の課題の少なくとも一つを解決するために、本開示の無菌充填機及び無菌充填方法は開示されるものである。即ち、本開示の無菌充填機及び無菌充填方法は、BIBの無菌充填製品の生産(充填)能力を高くすることができ、また殺菌能力を高めることができる。
本開示の無菌充填機は、
バッグインボックスの内袋10の連続袋を搬送する搬送装置が設けられ、
前記搬送装置により搬送される前記バッグインボックスの内袋10の前記注出口13及び前記キャップ14を取り囲むチャンバー21が設けられ、
前記チャンバー21内に、少なくとも前記注出口13及び前記キャップ14に発光ダイオードから深紫外線を照射する深紫外線照射ステーション40と、前記注出口13及び前記キャップ14に蒸気を吹き付ける蒸気吹き付けステーション50が設けられ、
前記深紫外線照射ステーション40及び/又は前記蒸気吹き付けステーション50の、前記バッグインボックスの内袋10の排出側に、前記キャップ14を前記注出口13から離脱させ、前記注出口13から内容物を充填し、前記内容物を充填後に前記キャップ14を前記注出口13に装着する充填ステーション60が設けられ、
前記チャンバー21内を陽圧に保持する無菌陽圧エア供給部22が設けられている。
また、本開示の無菌充填機20は、
前記無菌充填機20の前記バッグインボックスの内袋10の供給側から順に、少なくとも前記深紫外線照射ステーション40と、前記蒸気吹き付けステーション50とが備えられていてもよい。
また、本開示の無菌充填機20は、
前記無菌充填機20の前記バッグインボックスの内袋10の供給側から順に、少なくとも前記蒸気吹き付けステーション50と、前記深紫外線照射ステーション40が備えられていてもよい。
本開示の無菌充填方法は、
バッグインボックスの内袋10の連続袋を搬送する搬送装置が設けられ、
前記搬送装置により搬送される前記バッグインボックスの内袋10の前記注出口13及び前記キャップ14を取り囲むチャンバー21が設けられ、
前記チャンバー21内に、少なくとも前記注出口13及び前記キャップ14に発光ダイオードから深紫外線を照射する深紫外線照射工程と、前記注出口13及び前記キャップ14に蒸気を吹き付ける蒸気吹き付け工程があり、
前記深紫外線照射工程及び/又は前記蒸気吹き付け工程の、前記バッグインボックスの内袋10の排出側に、前記キャップ14を前記注出口13から離脱させ、前記注出口13から内容物を充填し、前記内容物を充填後に前記キャップ14を前記注出口13に装着する充填工程を有する。
また、本開示の無菌充填方法は、
少なくとも順に、前記深紫外線照射工程と、蒸気吹き付け工程があってもよい。
また、本開示の無菌充填方法は、
少なくとも順に、前記蒸気吹き付け工程と、前記深紫外線照射工程があってもよい。
本開示の無菌充填機及び無菌充填方法では、BIBの内袋の生産(充填)能力を高くすることができ、また殺菌能力を高めることができる。
充填前のBIBの内袋の斜視図である。 図1Aに記載の断面A-Aの断面図である。 無菌充填機の側面図である。 注出口固定板が注出口を挟む状態を示す側面図である。 注出口固定板が注出口から離脱した状態を示す側面図である。 注出口固定板が注出口を挟む状態を示す平面図である。 注出口固定板が注出口から離脱した状態を示す平面図である。 搬送用リテーナーの配置を示す平面図である。 図4Aに記載の断面B-Bの拡大断面図である。 注出口用深紫外線照射装置が下降している状態を示す側面図である。 注出口用深紫外線照射装置が上昇している状態を示す側面図である。 図5Aに記載のC部の拡大図である。 吸引排気口の一の実施形態を示す側面図である。 吸引排気口の他の実施形態を示す側面図である。 吸引排気口の排気孔の形状の例示である。 吸引排気する工程を示す図である。 袋部深紫外線が照射されていない状態を示す平面図である。 袋部深紫外線が照射されている状態を示す平面図である。 図7Aに記載の断面D-Dの断面図である。 排気区画の説明図である。 第一の実施形態の無菌充填機の構成の説明図である。 第二の実施形態の無菌充填機の構成の説明図である。 第三の実施形態の無菌充填機の構成の説明図である。 第四の実施形態の無菌充填機の構成の説明図である。 第五の実施形態の無菌充填機の構成の説明図である。 第六の実施形態の無菌充填機の構成の説明図である。
以下、本開示について図面を用いながら説明する。但し、本開示はこれら具体的に例示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本開示の実施形態に係る無菌充填機20により内容物が充填されるBIBの内袋10とは、その斜視図である図1、及び断面図である図2のように、少なくとも二枚の柔軟性プラスチックフィルム11の周縁をヒートシールしてなる。二枚の柔軟性プラスチックフィルム11はヒートシールされることにより、ヒートシール部12で接着され、袋状に形成される。BIBの内袋10は、上側プラスチックフィルム11aと下側プラスチックフィルム11bにより形成される。上側プラスチックフィルム11aと下側プラスチックフィルム11bとがヒートシールされる際には、上記の2枚のフィルム間のエアをできる限り排除して行う。BIBの内袋10がγ線や電子線等(以下、放射線と記載することがある。)の照射により殺菌される際に、BIBの内袋10の内部に酸素が多く存在すると、BIBの内袋10の最内層を構成するポリエチレン等が酸素と反応して異臭を発生したり、酸素により内容物が酸化したりする虞れがあるからである。
柔軟性プラスチックフィルム11とは、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等の延伸フィルムなどがある。また、延伸フィルムにアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を蒸着したフィルム、アルミニウム箔等のヒートシール性を有していないフィルムの1種以上と、ポリエチレンフィルムをラミネートしたものなどでもよい。さらに、ポリエチレンフィルム単体、若しくはナイロン又はエチレン-ビニルアルコール共重合体のようなバリア性を有する樹脂とポリエチレンとの共押し出しフィルムなどでもよい。また、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11a及び下側プラスチックフィルム11bは1枚以上のプラスチックフィルムからなる。ヒートシールによる接着面は通常ポリエチレンが用いられる。ヒートシールは、加熱板を用いる直接加熱によるヒートシール、超音波シール、層としてアルミニウム箔を含む場合の高周波シール等である。
BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11a又は下側プラスチックフィルム11bは2枚以上であっても構わない。例えば、二軸延伸ナイロンフィルム15μm、アルミニウム箔7μm、ポリエチレン50μmを順次ラミネートしたフィルムと、ポリエチレンフィルム80μmとが2枚重ねられて上側プラスチックフィルム11aとし、下側プラスチックフィルム11bも同様として2枚重ね、80μmのポリエチレンフィルムを内側としてヒートシールにより袋を形成する。この場合は、ヒートシール部12は4枚のフィルムが接着されているが、非ヒートシール部では4枚のフィルムは各々接着されていない。このように上側プラスチックフィルム11aと下側プラスチックフィルム11bとが、ヒートシール部12でヒートシールにより接着されるようにして、各々2枚以上とすることで、輸送時における、柔軟性プラスチックフィルム11の外面と、外装であるダンボールとの擦れや、揺れによる内容物の移動による柔軟性プラスチックフィルム11の屈曲により発生するピンホールに起因する、内容物の漏れリスクを低減することができる。
ポリエチレンは密度が低いほど耐ピンホール性に優れる傾向があるが、滑り性が劣るため、ポリエチレンフィルムは多層構成として、密度の低いポリエチレン層の外側に密度の高いポリエチレン層を設けてもよい。
図1Bに示すように、上側プラスチックフィルム11aには孔が設けられ、注出口13が内側から接着され、注出口13を密封するためにキャップ14が嵌合される。キャップ14は嵌合タイプではなく、スクリュータイプでも構わない。キャップ14は注出口13を密封することができれば、どのような形状でも構わない。
注出口13及びキャップ14は、ポリエチレン等の樹脂が射出成形又は圧縮成形等されることにより得られる。注出口13のフランジ13aは柔軟性プラスチックフィルム11の内側面とヒートシールされるため、ポリエチレンが好ましい。また、注出口13の内面にはキャップ14が嵌合される。嵌合面は菌等が侵入しない程度の密着性が求められる。
そこで、注出口13を構成するポリエチレンの密度よりも、キャップ14を構成するポリエチレンの密度を高くしてもよい。注出口13が拡げられるように嵌合することで高い密着性が得られる。また、逆にキャップ14を構成するポリエチレンの密度よりも注出口13を構成するポリエチレンの密度を高くし、キャップ14が圧縮されるように嵌合することで高い密着性を得てもよい。
注出口13の側面には、例えば、BIBの内袋10を搬送する際に、後述するガイドレールとなる袋部遮蔽板34の端部が挿入される第一注出口溝13bや、BIBの内袋10を搬送する際に位置決めを行うために、後述する注出口固定板32又は搬送用リテーナー35が挿入される第二注出口溝13cが設けられる。注出口溝は必要に応じて3本以上設けられてもよい。
BIBの内袋10は、注出口13にキャップ14が嵌合されて密封された状態で、γ線や電子線等の照射により内部が殺菌される。その内部が殺菌されたBIBの内袋10が無菌充填機20に供給される。無菌充填機20に供給されたBIBの内袋10は、殺菌工程により注出口13及びキャップ14の外面が殺菌される。
<第一の実施形態>
<無菌充填機>
予め内部が放射線により殺菌されたBIBの内袋10は、図2に示される無菌充填機20に供給される。BIBの内袋10は1袋ごと供給されるのではなく、複数が連結された連続袋として供給される。内容物が充填されて、無菌充填機20から排出された後に断裁され、一袋の製品形態となる。
無菌充填機20には、注出口13及びキャップ14が外気に曝されないように、チャンバー21が設けられている。また、チャンバー21は、無菌充填機20の後述するステーションの全体を含むように設けられている。チャンバー21の内部に外気から菌等が侵入しないように、チャンバー21には無菌陽圧エア供給部22が設けられ、そこから無菌陽圧エアが供給されて、陽圧に保持される。無菌陽圧エアは、一例としてブロワ等の圧空エア源からの圧空エアを無菌フィルタに通すことにより得られる。圧空エア源と無菌フィルタとの間に加熱装置を設け、チャンバー内殺菌時において無菌陽圧エアを加熱してチャンバー21に供給してもよい。
チャンバー21は少なくとも、搬送されるBIBの内袋10の注出口13及びキャップ14を取り囲む。BIBの内袋10の全体を取り囲んでも構わないが、注出口13及びキャップ14を含むBIBの内袋10の一部を取り囲んでもよい。
チャンバー21は遮蔽構造となっているが、チャンバー21の内部が視認できるように、一部はガラス又はプラスチックのような透明部材により遮蔽されてもよい。また、トラブル発生時に、チャンバー21の内部を操作できるように、開閉できるような扉構造を設けてもよい。さらに、扉を開閉することなくトラブルを解消できるように、外気を透さない手袋(ゴム手袋等)を備えてもよい。
図2は、本開示の一実施形態の無菌充填機20であり、それぞれのステーション(工程)が示されている。図2の左側からBIBの内袋10の連続袋が供給され、各種工程を経た後、右側から排出される。
なお、BIBの内袋10の連続袋が供給される側を上流側又は供給側と呼び、BIBの内袋10が排出される側を下流側又は排出側と呼ぶことがある。
チャンバー21の供給側には、少なくとも注出口13及びキャップ14が通過できる大きさの切り欠きが設けられており、その切り欠きを供給部23とする。
また、チャンバー21の排出側には、少なくとも注出口13及びキャップ14が通過できる大きさの切り欠きが設けられており、その切り欠きを排出部24とする。
本実施形態の無菌充填機20は、上流側から順次に、深紫外線照射ステーション40と、排気ステーション90と、蒸気吹き付けステーション50と、冷却ステーション80と、充填ステーション60とが設けられている。各ステーションの間には、図6Dに示すように、少なくとも注出口13及びキャップ14が通過できる大きさの切り欠きが設けられた仕切り板31により、区画されている。
また、注出口13が供給部23から排出部24まで、それぞれのステーションを通過する軌跡に相当する部分には、間隙部38が設けられている。その間隙部38の両側縁部には、一対の袋部遮蔽板34が設けられている。
袋部遮蔽板34は、供給部23から排出部24まで連なる硬質の板材からなり、固定されており動かない。注出口13が袋部遮蔽板34の端部を摺動するので、袋部遮蔽板34の材質は、ステンレス鋼、テフロン(登録商標)、超高密度ポリエチレンなどでもよい。あるいは、金属板に摩耗性や滑り性を向上させる表面処理を施工した部材でもよい。
袋部遮蔽板34は、チャンバー21とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aと間を部分的に遮蔽している。
さらに、袋部遮蔽板34の下側には、袋部遮蔽板34とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aの間に形成される空間を吸引排気する吸引排気口25が設けられており、その空間に存在する汚染物が、チャンバー21の内部に浸入しにくくなっている。
また、本実施形態の無菌充填機20には、各ステーションに順次、BIBの内袋10の連続袋を送り込むための、搬送装置が備えられている。
<深紫外線照射ステーション>
BIBの内袋10は、まず初めに、無菌充填機20の供給部23に隣接している深紫外線照射ステーション40に供給される。
深紫外線照射ステーション40には、注出口用深紫外線照射装置41が設けられている。注出口用深紫外線照射装置41は、少なくとも注出口13及びキャップ14の外面を殺菌するために1個は必要であるが、複数設けてもよい。
深紫外線とは、一般的には255nm~350nmの波長の紫外線であるが、いわゆるUVCの波長範囲は200nm~280nmと言われている。このUVCの波長範囲で、殺菌に適した深紫外線は265nm付近である。本開示の実施形態に係る注出口用深紫外線照射装置41は265nmを含む250nm~295nmの範囲の深紫外線を照射できることが適当である。
従来、紫外線殺菌には水銀ランプから発光する深紫外線が使用され、主に253.7nmの波長に発光ピークを有する水銀ランプが使用されてきた。しかし、水銀ランプは水銀を使用すること、発熱が大きいという欠点を有している。そこで近年、水銀ランプに代わる深紫外線発光源として発光ダイオードが研究されてきた。発光ダイオードは水銀ランプに比べ出力が低いという欠点があったが、改良され殺菌用発光源として使用可能な出力レベルとなった。
本実施形態の無菌充填機20には、殺菌に使用する深紫外線源として発光ダイオードを使用し、その発光ダイオードを備えた注出口用深紫外線照射装置41が設けられる。注出口13及びキャップ14の外面に深紫外線を照射するために、注出口13及びキャップ14を覆うような形状の注出口用深紫外線照射装置41の内側に、発光ダイオードは備えられる。
発光ダイオードは、殺菌に最適と言われる265nm付近の波長を発光ピークとして有するものが適している。
しかし、265nmよりも殺菌効率が劣るが、285nmの波長の深紫外線を発光する発光ダイオードであっても、発光量が多ければ殺菌効果は高い。したがって、250nm~295nmの深紫外線を発光する発光ダイオードが注出口用深紫外線照射装置41に備わることがこの好ましい。
注出口用深紫外線照射装置41は1個以上の発光ダイオードを備えるが、注出口13及びキャップ14の外面を万遍なく殺菌するためには、複数の発光ダイオードが備えられてもよい。
発光ダイオードは水銀ランプよりも小型であるため、注出口用深紫外線照射装置41が備えるには好適である。また、発光ダイオードは水銀ランプに比べ発熱が少なく、発光ダイオードから照射される深紫外線による殺菌は、耐熱性の低いポリエチレンのような樹脂成形品に適した殺菌手段であり、注出口13及びキャップ14が変形することない温度範囲でその外面を殺菌することができる。
図2に示すように、深紫外線照射ステーション40において、注出口13及びキャップ14の外面が、注出口用深紫外線照射装置41により殺菌される。深紫外線照射ステーション40では、図5Aに示すように、水平方向の断面が円形である注出口13及びキャップ14の形状に合わせて、水平方向の断面が円形である注出口用深紫外線照射装置41が降下して、注出口13及びキャップ14を覆う。その後に、注出口用深紫外線照射装置41の内面に備えられる発光ダイオードから深紫外線が、注出口13及びキャップ14の外面に照射されて、殺菌が行われる。
注出口用深紫外線照射装置41の下端は、後述する袋部遮蔽板34に接しても構わない。また他の方法として、半円形の切り込みを設けた一対の注出口遮蔽板42が、図5Aのように注出口13を挟みこみ、注出口用深紫外線照射装置41の下端が注出口遮蔽板42に接するように、注出口用深紫外線照射装置41が下降する。そして、注出口13及びキャップ14が覆われた後に、注出口13及びキャップ14に深紫外線が照射される。
深紫外線は人間に当たると悪影響を及ぼす虞があるため、有害レベルの強度を有する深紫外線が外部に漏れないようにするためである。注出口遮蔽板42は、後述する図3Aの注出口固定板32としてもよい。
注出口用深紫外線照射装置41の内面が金属面又は金属蒸着面とされることで、注出口用深紫外線照射装置41の内面に設けられる発光ダイオードから照射される深紫外線が、注出口用深紫外線照射装置41の内部で反射し、効率的に注出口13及びキャップ14に照射されるようにしてもよい。
深紫外線が外部に漏れないように、図5C(図5Aに記載のC部の拡大図である。)に示すように、注出口用深紫外線照射装置41と接する注出口遮蔽板42に凸部を設けて、これと注出口用深紫外線照射装置41の下端に設ける凹部が組み合わさるようにしてもよい。図5Cでは、凸部及び凹部をそれぞれ2箇所としているが、1箇所でもよく、3箇所以上でもよい。注出口用深紫外線照射装置41の下端と注出口遮蔽板42が、上記のような形状で組み合わされることで、深紫外線の外部への漏洩を減らすことができる。
深紫外線が照射されて殺菌されるのは、注出口13及びキャップ14であり、BIBの内袋10の他の部分は積極的に殺菌されない。そこで、深紫外線が照射される注出口13及びキャップ14が移動する軌跡の領域以外である、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aの領域が、袋部遮蔽板34により遮蔽される。そして、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aに付着している菌等が、注出口13及びキャップ14に転移することを減少させる。
また、図6Aに示すように袋部遮蔽板34の端部が、注出口13の第一注出口溝13bに、注出口13の搬送方向に対して両側縁部がわから挿入され、注出口13は袋部遮蔽板34の端部をガイドレールとして搬送される。
図6Dに示すように、注出口13及びキャップ14が移動する軌跡の領域以外の領域において、注出口13を挟むように設けられる一対の袋部遮蔽板34により、注出口13とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとが遮蔽される。しかし、注出口13及びキャップ14が移動する領域は開放状態となる。
ここで、図6Aに示すように、袋部遮蔽板34と、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間が吸引排気されて、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aに付着している菌等が排出されることによっても、注出口13及びキャップ14が菌等により汚染されることを減少させる。さらに、袋部遮蔽板34とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間が吸引排気される吸引排気装置(不図示)が設けられる。
図6Aは、吸引排気口25が注出口13の側面に対向して設けられている。図6Bは、吸引排気口25が注出口13に対して上側から下側に向かって、外方に離れるように傾斜して設けられている。BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとなす角度が45°以上であることが有効である。45°未満で吸引排気口25を設けると、吸引排気の対象となるバッグインボックスの内袋10の上側プラスチックフィルム11aの領域が無駄に広くなるため、45°以上とされることが適切である。
BIBの内袋10に対し垂直、或いは上述の適切な角度で設けられる吸引排気口25には、等間隔に吸引孔26が設けられる。吸引孔26の形状は、円、長穴、楕円等、特に問われない。開孔位置も吸引孔26を設ける板の上中下に満遍なく開孔しても、下部のみ、上部のみ等であっても、特に問われない。
吸引孔26の大きさは、円形の場合はφ1~4mm、長孔及び長方形形状の場合は、縦、横共に2~4mmの範囲が好ましい。開孔の数、吸引量は、チャンバー21の大きさにより陽圧エア量が異なるため、陽圧度を維持し、かつ吸引排気口25の吸引力が失われない範囲で適宜調整される。
吸引排気口25の形状は、図6Cに例示するように、各種の形状でも構わない。吸引排気口25は図6Dに示すように、チャンバー21の供給部23から排出部24まで連続して設けられる。吸引排気口25には、図示されない吸引排気装置が接続され、袋部遮蔽板34とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間が吸引排気される。
上述のように、袋部遮蔽板34とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間が吸引排気される方法ばかりではなく、注出口13及びキャップ14が移動するために開放状態となる部分を積極的に殺菌する方法も取り得るために、以下にその方法について説明する。
図7Aに示すように、袋部遮蔽板34で覆われない上側プラスチックフィルム11aの部分(以下、剥き出し部15とする。)を、図7Bに示すように、袋部用深紫外線照射装置43が剥き出し部15を覆い、その後に、袋部用深紫外線照射装置43の下側に設けられた発光ダイオードから、剥き出し部15に深紫外線が照射されて、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aが殺菌される。
図7Aは、袋部用深紫外線照射装置43が、剥き出し部15を覆っていない状態であり、BIBの内袋10が搬送されている状態を示している。図7Bでは、BIBの内袋10の搬送が停止され、袋部用深紫外線照射装置43が剥き出し部15を覆っている状態を示している。そして、袋部用深紫外線照射装置43の下側に設けられる発光ダイオードから深紫外線が、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aに照射されている状態を示している。
また、図7Bに記載の断面D-Dの断面図である図7Cのように、BIBの内袋10の搬送が停止されたとき、袋部用深紫外線照射装置43は、BIBの内袋10の搬送方向に対して直交するように移動して、注出口13及びキャップ14を挟みこむ。
図7Cに示すように、袋部用深紫外線照射装置43が注出口13及びキャップ14を挟み込んだときに、注出口用深紫外線照射装置41が下降して、注出口13及びキャップ14に深紫外線を照射してもよい。
袋部用深紫外線照射装置43は図7Bに示されるように、少なくとも隣り合う2個の注出口13を挟むようにしなければならない。剥き出し部15の全ての面に深紫外線を照射するためである。
剥き出し部15の全ての面に深紫外線が照射される場合であっても、袋部遮蔽板34とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間が、吸引排気されてもよい。BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aに深紫外線が照射されることと、袋部遮蔽板34とBIBの内袋10上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間の吸引排気が併用されることによって、剥き出し部15の殺菌がより効果的に行われる。
<排気ステーション>
BIBの内袋10は、深紫外線照射ステーション40の次のステーションである、排気ステーション90に搬送される。このステーションでは、BIBの内袋10へは、何ら作業がされない。
排気ステーション90は、さらに次のステーションである蒸気吹き付けステーション50と、深紫外線照射ステーション40とに空間を設けることを目的としている。
詳しくは後述するが、蒸気吹き付けステーション50では、注出口13及びキャップ14が蒸気殺菌されるので、蒸気吹き付けステーション50の内部は湿気で充満している。
一方、深紫外線照射ステーション40には、注出口用深紫外線照射装置41、及び袋部用深紫外線照射装置43などの電気機器があり、それらの電気機器は湿気を嫌う。
したがって、蒸気吹き付けステーション50から上流側に漏れる湿気が、深紫外線照射ステーション40に到達することは望ましくない。さらに、漏れた湿気が、深紫外線照射ステーション40の内部で、注出口13及びキャップ14に結露すると、その結露が深紫外線を遮蔽することによる殺菌不良が生じる虞がある。
そのため、深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50との間に、排気ステーション90が設けられることにより、蒸気吹き付けステーション50の湿気が深紫外線照射ステーション40に到達することが減少して、上述したトラブルを回避できる。
<蒸気吹き付けステーション>
BIBの内袋10は、排気ステーション90の次のステーションである、蒸気吹き付けステーション50に搬送される。
図2に示すように、蒸気吹き付けステーション50には、蒸気吹き付けノズル51が設けられる。注出口13及びキャップ14の外面を殺菌するために、蒸気吹き付けノズル51は少なくとも1本必要であるが、複数設けてもよい。
なお、本実施形態で殺菌に使用する蒸気は、大気に開放された蒸気である。過熱蒸気は用いられないので、過熱状態を保持するための密閉チャンバーは不要である。そのため、チャンバーの構造が簡単であり、注出口13及びキャップ14のチャンバーへの出し入れと、チャンバーを密閉する作業時間を削減できる。それゆえ、この工程がBIBの内袋10の充填製品の製造能力の大きな律速とはならないで済む。
また、蒸気の殺菌温度が比較的に低いため、注出口13及びキャップ14の材料である樹脂の融点は比較的低温で良く、例示としてポリエチレンでもよく、融点が100℃以上の樹脂であれば使用できる
一方、蒸気による殺菌温度では、芽胞を形成した耐熱性菌(以後、芽胞菌)の殺菌能力が不充分となる虞がある。しかしながら、上述した深紫外線照射による殺菌方法と併用されるので、本実施形態の無菌充填機は、芽胞菌に対する充分な殺菌能力を有する。
蒸気吹き付けノズル51は、昇降することにより注出口13及びキャップ14を囲うような先端チャンバー53を有する。蒸気吹き付けノズル51の上部に位置する蒸気供給部52より蒸気が供給され、その蒸気は先端チャンバー53の内側に設けられた蒸気孔から、注出口13及びキャップ14に向かって吹き付けられる。先端チャンバー53は、中空の二重構造であり、その内部を蒸気が通過する。
先端チャンバー53の断面は、注出口13及びキャップ14の外形に合わせた円形が好ましい。特に、注出口13及びキャップ14を収納する先端チャンバー53の空洞は、注出口13及びキャップ14と適切な距離を有する形状が望ましい。これは、蒸気が注出口13及びキャップ14の外面に、均一に吹きかけられるようにするためである。
注出口13及びキャップ14を囲むように、蒸気吹き付けノズル51が下降してから、蒸気が注出口13及びキャップ14に吹き付けられる。なお、蒸気は蒸気吹き付けノズル51が下降している時のみ蒸気が噴き出してもよく、BIBの内袋10の充填作業中は常時、蒸気が噴き出していてもよい。
なお、蒸気殺菌の作業中に、注出口13及びキャップ14の温度を上昇させるためには、蒸気が流れ続ける必要がある。そのためには、先端チャンバー53の孔から噴き出した蒸気は、注出口13及びキャップ14に接触するか、若しくは近傍を通過した後に排出される。その排出経路を設けるために、注出口固定板32と先端チャンバー53との間に、適切なすき間が設けられる位置に、蒸気吹き付けノズル51が下降して、停止してもよい。あるいは、先端チャンバー53の下面部に切り欠きが設けられてもよい。または、注出口固定板32に孔が設けられてもよい。
<冷却ステーション>
BIBの内袋10は、蒸気吹き付けステーション50の次のステーションである、冷却ステーション80に搬送される。
冷却ステーション80にて、蒸気殺菌により高温となった注出口13及びキャップ14は、冷却される。冷却工程は高温になり膨張した注出口13及びキャップ14を常温の形状に復帰させるためである。膨張した状態でBIBの内袋10に内容物を充填し、注出口13とキャップ14とを嵌合させる場合、嵌合による密着が不十分となり、密封性が損なわれる虞がある。
冷却工程は、無菌水、次亜塩素酸ナトリウム溶液又は無菌エアを注出口13及びキャップ14に吹き付けてもよい。このために、注出口13及びキャップ14に無菌水、次亜塩素酸ナトリウム溶液又は無菌エアを吹き付けるノズルと、ノズルに無菌水、次亜塩素酸ナトリウム溶液又は無菌エアを供給する供給装置とが設けられる。無菌水、次亜塩素酸ナトリウム溶液又は無菌エアは常温ではなく冷却されてもよい。この場合、供給装置には無菌水、次亜塩素酸ナトリウム溶液又は無菌エアを冷却する冷却装置が設けられる。
<充填ステーション>
BIBの内袋10は、冷却ステーション80の次のステーションである、充填ステーション60に搬送される。
充填ステーション60では、キャップ14が注出口13から離脱して、注出口13から殺菌された内容物がBIBの内袋10の内部に充填される。そして内容物の充填後に、キャップ14が注出口13に装着される。これらの充填工程を行うために、充填ステーション60にはキャップ14を注出口13から離脱させ、注出口13から内容物を充填し、内容物を充填後にキャップ14を注出口13に装着する充填装置61が設けられる。
キャップ14が装着されて密封されたBIBの内袋10は、チャンバー21の排出部24から排出された後に、BIBの内袋10の連続袋に予め設けられたミシン目部がカッターで切断されて、一袋の製品形態となり、段ボール箱に梱包される。
充填ステーション60の無菌陽圧エア供給部22は、充填装置61の近傍から無菌陽圧エアを供給することが好ましい。充填ステーション60において、キャップ14が注出口13から離脱され、内容物が注出口13から充填されるので、充填を行う箇所が、最も菌等による汚染を防止しなければならない箇所である。それゆえ、菌等の混入を防ぐために、充填装置61の近傍から無菌陽圧エアを供給してもよい。
充填ステーション60は、上述のようにもっとも汚染を防止する必要があるステーションであることから、各ステーションの区画陽圧の高さと比較して、充填ステーション60の区画陽圧が最も高くてもよい。
各ステーションで供給される無菌陽圧エアは、無菌充填機20のBIBの内袋10の供給部23、及び排出部24から排気される。さらに、チャンバー21が陽圧に保持される程度に、チャンバー21に排気口部33を適宜に設けて、図示はしていない排気装置により排気してもよい。
<搬送装置>
チャンバー21に供給され、各ステーションを経るBIBの内袋10は、搬送装置により搬送される。BIBの内袋10の連続袋の搬送は、チャンバー21の内部で、BIBの内袋10の進行方向の両側縁部がチャックで挟まれて搬送される。チャックは、BIBの内袋10と同速度で運転される水平方向に回転する無端ベルトに、等間隔で複数設けられる。
すなわち、BIBの内袋10の搬送装置とは、BIBの内袋10と同速度で運転されて、BIBの内袋10の進行方向の両側端部を挟むチャックを備える、水平方向に回転する無端ベルトである。無端ベルトはBIBの内袋10の両側端部がわに各々1列で、合わせて2列設けられ、同速度で運転される。
搬送装置はチャンバー21のBIBの内袋10の供給部23から、その排出部24まで設けられるが、搬送装置はチャンバー21の外部に設けられてもよい。
搬送されるBIBの内袋10の下側には、平板が設けられ、この平板の上をBIBの内袋10の下側プラスチックフィルム11bの外面が滑って、BIBの内袋10は移動する。内容物が充填される充填ステーション60では、BIBの内袋10の下側に、BIBの内袋10の搬送方向に対して直交するように多数のローラー(不図示)が設けられ、内容物が充填されたBIBの内袋10は、回転する多数のローラー上を移動する。ローラーは下流方向に向かい下方向に傾斜するように設けられ、内容物が充填されたBIBの内袋10が、自重により移動するようにしてもよい。
搬送されるBIBの内袋10に対して各工程が施されるが、各工程で停止するBIBの内袋10の注出口13及びキャップ14の位置が規制されなければならない。そのために、BIBの内袋10の搬送が停止されたとき、図3Aに示すように、注出口13を固定するための注出口固定板32が、BIBの内袋10の進行方向に対して直交方向から注出口13を挟む。なお図3Aは、BIBの内袋10の供給部23側から排出部24の方向を観察する図である。図3Aは、注出口固定板32の端部が注出口13の第二注出口溝13cに挿入されることにより、注出口13が固定された状態を示す。このように、注出口13及びキャップ14が固定された状態で各工程が行われる。
図3Bは、工程が終了し、注出口固定板32が注出口13から離脱した状態を示し、この後に、BIBの内袋10は搬送される。図3Cは、注出口固定板32が注出口13を固定している状態を平面図として示す。図3Dは、注出口固定板32が注出口13から離脱している状態を平面図として示す。
BIBの内袋10は、進行方向に平行に設けられる袋部遮蔽板34の端部が、注出口13の第一注出口溝13bに挿入されることで、幅方向に対しては位置規制されながら搬送される。
BIBの内袋10の搬送方法として、BIBの内袋10の両側縁部をチャックにより挟んで搬送する方法を述べたが、他の方法として、注出口13を搬送用リテーナー35により挟んで搬送する方法を図4Aに示す。4分割された搬送用リテーナー35が注出口13を挟んでBIBの内袋10を搬送する。搬送用リテーナー35は無端ベルトに設けられる。さらに、一の搬送用リテーナー35と、次の注出口13を挟む搬送用リテーナー35の間には、注出口13と次の注出口13との間のBIBの内袋10の領域を遮蔽するために複数枚の移動遮蔽板36が設けられる。
図4B(図4Aに記載の断面B-Bの拡大断面図である。)に示すように、搬送用リテーナー35の端部が注出口13の第二注出口溝13cに挿入されることで、搬送用リテーナー35が注出口13を固定する。図4Aに示すように、搬送用リテーナー35はBIBの内袋10の進行方向に対して平行な回転する2式の無端ベルトに設けられる。
チャンバー21は少なくとも注出口13及びキャップ14を遮蔽するが、注出口13を挟まない領域(BIBの内袋10の供給部23付近、及び排出部24付近)でも、搬送用リテーナー35が移動する領域を含めて遮蔽することが好ましい。理由は、注出口13を挟まない領域の搬送用リテーナー35がチャンバー21の外気に曝されると、搬送用リテーナー35及び無端ベルトに菌等が付着し、その後に搬送用リテーナー35から注出口13に菌等が転移する虞れがあるためである。
図4A、図4Bに示すように、注出口13とBIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとは、搬送用リテーナー35及び移動遮蔽板36により遮蔽されるため、搬送用リテーナー35及び移動遮蔽板36と、BIBの内袋10の上側プラスチックフィルム11aとの間に形成される空間が吸引排気されなくてもよい。
しかし、搬送用リテーナー35や移動遮蔽板36は、それらに隣接する搬送用リテーナー35や移動遮蔽板36の間に隙間が生じており、密閉されない虞もあるため、吸引排気してもよい。
<チャンバーの区画陽圧>
チャンバー21は、外気から菌等の侵入を防ぐために、大気圧より高い陽圧となっている。チャンバーの無菌性を保持するためには、区画された各ステーションの陽圧の高さに差をつけてもよい。
図9に、本実施形態の無菌充填機の構成の説明図を示し、各ステーションの区画陽圧PPの陽圧指標Pの高さを説明する。
陽圧指標Pの高さをP1からP4で示す。小さい方から順にP1、P2、P3、P4とし、隣り合う陽圧指標Pの高さは同じ高さを含まない。例えばP1とP2であれば、P1<P2であり、P1≦P2とはしない。陽圧指標Pの関係を不等号で示すと、P1<P2<P3<P4<P5である。なお、それぞれの陽圧指標Pの高さを割愛することもあり、例えば、P1、P2,P4が存在する場合などがあるが、陽圧指標Pの大きさは、添え字の大きさの順番とする。
各ステーションの区画陽圧PPを示す。
深紫外線照射ステーション40の区画陽圧:PPuv
排気ステーション90の区画陽圧:PPex
蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧:PPst
冷却ステーション80の区画陽圧:PPco
充填ステーションの区画陽圧:PPfi
本実施形態には現れないが、後述される区画陽圧PPを以下に示す。
排気区画37の区画陽圧:PPes
乾燥ステーション70の区画陽圧:PPdr
また、チャンバー21に設けられる排気口部33は、各ステーション及び各排気区画37に必要に応じて設けられる。したがって、各ステーション及び各排気区画37に設けられなくてもよい。あるいは、1箇所もしくは2箇所以上に設けられてもよい。
各ステーションに供給される無菌陽圧エアは、最終的にはチャンバー21の供給部23及び排出部24から排気される。あるいは、チャンバー21の下部に存在する、BIBの内袋10と、袋部遮蔽板34との隙間から排出されてもよい。
さらに、一のステーションの区画陽圧PPが、その上流側ステーションの区画陽圧PP及び下流側ステーションの区画陽圧PPの両方よりも低い場合は、上流側ステーション及び下流側ステーションへは、無菌陽圧エアが排気されない。その場合は、一のステーションに排気口部33が設けられて、その排気口部33から、無菌陽圧エアが排気されてもよい。
各ステーションの区画陽圧PPの高さについて説明する。なお、以下に説明する区画陽圧PPの陽圧指標Pの高さは一例であり、無菌状態の維持機能を満たせば、他の態様でも構わない。
充填ステーション60の区画陽圧PPfiは、充填ステーション60が最も汚染を避けるべきであることから、区画陽圧は最も高い陽圧指標P4とする。
他のステーションの区画陽圧PPは、上流側から、深紫外線照射ステーション40の区画陽圧PPuvは陽圧指標P2とし、排気ステーション90の区画陽圧PPexは陽圧指標P2とし、蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstは陽圧指標P2とし、冷却ステーション80の区画陽圧PPcoは陽圧指標P3とする。
排気ステーション90には、排気口部33が設けられる。排気口部33の区画陽圧は、ほぼ大気圧であるが、若干大気圧より高くてもよい。また、排気ステーション90の区画陽圧PPexの陽圧指標P1よりは低い。
排気ステーション90の区画陽圧PPexの陽圧指標P1は、その上流側の深紫外線照射ステーション40の区画陽圧PPuvの陽圧指標P2、及び下流側の蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2よりも小さい。これは、蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、深紫外線照射ステーション40に流れ込まずに、排気ステーション90から排気されるためである。
深紫外線照射ステーション40の区画陽圧PPuvの陽圧指標P2は、下流側の排気ステーション90の区画陽圧PPuvの陽圧指標P1よりも大きければよく、過剰に高くする必要はない。過剰に高くすると、無菌陽圧エアを製造するエネルギーが無駄になる。他のステーションの陽圧無菌エアも、過剰に高くすると、エネルギーの無駄になるため、必要充分の高さの区画陽圧が適宜に選定される。
蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2は、その上流側の排気ステーション90の区画陽圧PPstの陽圧指標P1よりも高い。これは、蒸気ステーション吹き付け50の湿気が、排気ステーション90に流れるようにするためである。
さらに、蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2は、その下流側の冷却ステーション80の区画陽圧PPcoの陽圧指標P3よりも小さい。これは、蒸気吹き付けステーション50の高温の湿気が、冷却ステーション80に流れ込まないようにして、冷却効果が低下しないようにするためである。
冷却ステーション80の区画陽圧PPcoの陽圧指標P3は、その下流側の充填ステーション60の区画陽圧PPfiの陽圧指標P4よりも低い。これは、充填ステーション60に、冷却ステーション80のエアが流れないようにするためである。
さらに、冷却ステーション80の区画陽圧PPcoの陽圧指標P3は、その上流側の蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2よりも高い。これは、上述したように蒸気吹き付けステーション50の高温の湿気が、冷却ステーション80に流れ込まないようにして、冷却効果が低下しないようにするためである。
各ステーションの区画陽圧PPの陽圧指標Pについて、一例を説明した。しかしながら、チャンバー21の無菌状態の維持機能が確保されるならば、他の区画陽圧の設定でもよい。以降に例示する区画陽圧の設定についても同様である。
なお、陽圧指標P1からP4は、1Paから600Paの間で適切に設定される。望ましくは10Paから100Paの間で設定される。一例としてP1=10Pa、P2=20Pa、P3=30Pa、P4=50Paが例示される。
<第二の実施形態>
本実施形態は、第一の実施形態のチャンバー21から、排気ステーション90を削減して、深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50とが直接に接続されている。
蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、深紫外線照射ステーション40に流れ込まないように、深紫外線照射ステーション40と、蒸気吹き付けステーション50との間に、排気区画37が設けられている。図8に示すように、その排気区画37には、排気口部33が設けられている。なお、排気区画37は、独立したステーションではないため、その位置にてBIBの内袋10の注出口13及びキャップ14は停止しない
図10に、第二の実施形態の無菌充填機の構成の説明図を示す。区画陽圧の説明のために、深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50との間に、排気区画37は記載されているが、実際には深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50とは隣接している。深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50との間の上部に、排気機能として排気区画37が設けられている。排気区画37に設けられる排気口部33の区画陽圧は、ほぼ大気圧であるが、若干大気圧より高くてもよい。また、排気区画37の区画陽圧PPesの陽圧指標P1よりは低い。
排気区画37の区画陽圧PPesの陽圧指標はP1であり、その上流側である深紫外線照射ステーション40の区画陽圧PPuvの陽圧指標P2、及びその下流側である蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2より低い。このようにすることで、蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、深紫外線照射ステーション40に流れ込まない。
<第三の実施形態>
本実施形態は、第一の実施形態のチャンバー21から、冷却ステーション80を削減して、蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60とが直接に接続されている。
蒸気吹き付けステーション50での蒸気殺菌条件(温度、時間等)によっては、積極的な冷却作業をしなくても、充填ができる。また、注出口の材質によっては、冷却作業をしなくても、充填ができる。したがって上記のように、冷却ステーション80が不要な場合は、装置の小型化、コストダウンのために、冷却ステーション80を設けなくてもよい。
但し、蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、充填ステーション60に流れ込まないように、蒸気吹き付けステーション50と、充填ステーション60との間に、排気区画37が設けられている。その排気区画37には、排気口部33が設けられている。排気区画37の説明は、第二の実施形態で説明した図8と同様であるために、割愛する。
図11に、第三の実施形態の無菌充填機の構成の説明図を示す。区画陽圧の説明のために、蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60との間に、排気区画37は記載されているが、実際には蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60とは隣接している。蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60との間の上部に、排気機能として排気区画37が設けられている。排気区画37に設けられる排気口部33の区画陽圧は、ほぼ大気圧であるが、若干大気圧より高くてもよい。また、排気区画37の区画陽圧PPesの陽圧指標P1よりは低い。
排気区画37の区画陽圧PPesの陽圧指標はP1であり、その上流側である蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2、及びその下流側である充填ステーション60の区画陽圧PPfiの陽圧指標P3より低い。
充填ステーション60がもっとも防汚性を要する工程であるため、区画陽圧PPfiはチャンバー21の各ステーションのうちで、最も高い。また、充填ステーション60の陽圧の多くは、排出部24から排気される。また一部は、隣接する上流側の排気区画37から排出される。このようにすることで、蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、充填ステーション60に流れ込まない。
蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2と、充填ステーション60の区画陽圧PPfiの陽圧指標P3を比較すると、充填ステーション60の区画陽圧PPfiのほうが高い。これは、蒸気吹き付けステーション50で生じた湿気が、排気区画37で排出しきれない場合でも、充填ステーション60には流れ込まないようにするためである。
<第四の実施形態>
本実施形態は、第一の実施形態のチャンバー21から、排気ステーション90と、冷却ステーション80とが削減されている。深紫外線照射ステーション40と、蒸気吹き付けステーション50と、充填ステーション60とが、上流側から順次に直接に接続されている。
なお、排気ステーション90が削減される理由は、上述の第二の実施形態にて説明し、冷却ステーション80が削減される理由は、上述の第三の実施形態にて説明しているので、ここでは割愛する。
蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、深紫外線照射ステーション40に流れ込まないように、深紫外線照射ステーション40と、蒸気吹き付けステーション50との間に、第一排気区画371が設けられている。なお、本実施形態では、排気区画37が2箇所に設けられるために、上記の第一排気区画371と、後述する第二排気区画372とに区分するが、それらの作用、効果、構造は同一である。第一排気区画371には、排気口部33が設けられている。
また、蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、充填ステーション60に流れ込まないように、蒸気吹き付けステーション50と、充填ステーション60との間に、第二排気区画372が設けられている。第二排気区画372には、排気口部33が設けられている。
各々の排気区画37の構造、効果については、第二の実施形態と第三の実施形態で説明しているので、割愛する。
図12に、第四の実施形態の無菌充填機の構成の説明図を示す。区画陽圧PPの説明のために、深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50との間に、第一排気区画371が記載されているが、実際には深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50とは隣接している。深紫外線照射ステーション40と蒸気吹き付けステーション50との間の上部に、排気機能として第一排気区画371が設けられている。第一排気区画371に設けられる排気口部33の区画陽圧PPは、ほぼ大気圧であるが、若干大気圧より高くてもよい。また、第一排気区画371の区画陽圧PPes1の陽圧指標P1よりは低い。
また、蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60との間に、第二排気区画372が記載されているが、実際には蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60とは隣接している。蒸気吹き付けステーション50と充填ステーション60との間の上部に、排気機能として第二排気区画372が設けられている。第二排気区画372に設けられる排気口部33の区画陽圧は、ほぼ大気圧であるが、若干大気圧より高くてもよい。また、第二排気区画372の区画陽圧PPes2の陽圧指標P1よりは低い。
蒸気吹き付けステーション50の上流側の第一排気区画371の区画陽圧PPes1の陽圧指標P1は、蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2より低いので、蒸気吹き付けステーション50で生じた湿気は、第一排気区画371へ流れ込む。
また、蒸気吹き付けステーション50の下流の第二排気区画372の区画陽圧PPes2の陽圧指標P1は、蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2より低いので、蒸気吹き付けステーション50で生じた湿気は、第二排気区画372へ流れ込む。
なお、上流の第一排気区画371の陽圧指標P1と、下流の第二排気区画372の陽圧指標P1は、同じ高さでなくてもよい。
深紫外線照射ステーション40の下流の第一排気区画371の区画陽圧PPes1の陽圧指標P1は、深紫外線照射ステーション40の区画陽圧PPuvの陽圧指標P2より低いので、深紫外線照射ステーション40のエアは、大部分が供給部23に流れ、一部は第一排気区画371に流れる。
充填ステーション60の上流の第二排気区画372の区画陽圧PPes2の陽圧指標P1は、充填ステーション60の区画陽圧PPfiの陽圧指標P3より低いので、充填ステーション60のエアは、大部分が排出部24に流れ、一部が第二排気区画372に流れる。
蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2と、充填ステーション60の区画陽圧PPfiの陽圧指標P3を比較すると、充填ステーション60の区画陽圧PPfiのほうが高い。これは、蒸気吹き付けステーション50で生じた湿気が、第二排気区画372で排気しきれない場合でも、充填ステーション60には流れ込まないようにするためである。
<第五の実施形態>
本実施形態の無菌充填機20は、蒸気吹き付けステーション50と、深紫外線照射ステーション40との、上流側からの順番が、第一の実施形態から第四の実施形態とは異なっている。
図13に、本実施形態の無菌充填機の構成の説明図を示す。各ステーションの配置が、上流側から、蒸気吹き付けステーション50、乾燥ステーション70、深紫外線照射ステーション40、充填ステーション60となっている。
このように蒸気吹き付けステーション50が、深紫外線照射ステーション40の上流側に位置する効果としては、BIBの内袋10の注出口13及びキャップ14に汚れが付着している場合に、蒸気による洗浄効果が期待できる。その結果、深紫外線照射による殺菌の際に、汚れにより深紫外線が遮蔽されて、その遮蔽された箇所の殺菌不良を防止できる。
さらに、次の乾燥ステーション70で、注出口13及びキャップ14に付着する可能性がある結露が乾燥されるので、結露により深紫外線が遮蔽されて、その遮蔽された箇所の殺菌不良を防止できる。
乾燥ステーション70では、図示はしていない無菌エアを圧空源とするホットエアが、吹き付けられて乾燥させてもよく、常温の圧空エアが結露に吹き付けられて、結露が吹き飛ばされてもよい。
さらに蒸気殺菌の条件(温度、時間等)によっては、乾燥ステーション70では何ら操作をせずに、滞留時間中に乾燥させてもよい。乾燥ステーション70内は、そこに備えられた排気口部33から陽圧が排気されるので、エアの流れがあり、そのエアの流れで、結露の乾燥は促進される。
なお、図示はしないが第一の実施形態と同様に、深紫外線照射ステーション40と充填ステーション60との間に、排気区画37を設けてもよい。そのようにすることにより、充填ステーション60の湿気が、深紫外線照射ステーション40に到達しにくくなる。
排気口部33の区画陽圧の陽圧指標は、大気圧よりも高いが、排気口部33が設けられる乾燥ステーション70の区画陽圧PPdrの陽圧指標P1よりも低い。
乾燥ステーション70の区画陽圧PPdrの陽圧指標P1は、その上流側の蒸気吹き付けステーション50の区画陽圧PPstの陽圧指標P2、及び下流側の深紫外線照射ステーション40の区画陽圧PPuvの陽圧指標P2よりも小さい。これは、蒸気吹き付けステーション50の湿気を含む空気が深紫外線照射ステーション40に流れ込まずに、乾燥ステーション70から排気されるようにするためである。
充填ステーション60の区画陽圧PPfiの陽圧指標P3は、充填ステーション60が最も汚染を避けるべきであることから、最も高い。
<第六の実施形態>
本実施形態は、第五の実施形態のチャンバー21から、乾燥ステーション70を削減して、蒸気吹き付けステーション50と深紫外線照射ステーション40とが直接に接続されている。
蒸気吹き付けステーション50での蒸気殺菌条件(温度、時間等)によっては、乾燥ステーション70がなくても、深紫外線照射による殺菌に支障がない。また、BIBの内袋10の注出口13及びキャップ14の搬送中に、無菌圧縮エアを吹き付けて、蒸気による結露を吹き飛ばしてもよい。上記のように、機能的に乾燥ステーション70が不要な場合は、装置の小型化、コストダウンのために、乾燥ステーション70を設けなくてもよい。
蒸気吹き付けステーション50で生じる湿気が、深紫外線照射ステーション40に流れ込まないように、深紫外線照射ステーション40と、蒸気吹き付けステーション50との間に、排気区画37が設けられている。排気区画37の説明は、第二の実施形態で説明しているので、割愛する。
図14に、第六の実施形態の無菌充填機の構成の説明図を示す。区画陽圧の説明のために、蒸気吹き付けステーション50と深紫外線照射ステーション40との間に、排気区画37は記載されているが、実際には蒸気吹き付けステーション50と深紫外線照射ステーション40とは隣接している。蒸気吹き付けステーション50と深紫外線照射ステーション40との間の上部に、排気機能として排気区画37が設けられている。排気区画37に設けられる排気口部33の区画陽圧は、ほぼ大気圧であるが、若干大気圧より高くてもよい。また、排気区画37の区画陽圧PPesの陽圧指標P1よりは低い。
本開示は上記に説明したように構成されるが、上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々変更可能である。
これまでは、無菌充填機について説明してきたが、無菌充填方法については、上記で説明した内容と同様であるので、説明は割愛する。
以下、本開示を実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<殺菌テスト>
本開示の第一の実施形態の無菌充填機20を用いて、黒カビと芽胞菌の殺菌テストを行った。
蒸気吹き付けステーション50における、蒸気殺菌の条件は、以下の通りであった。
蒸気噴射温度:100℃ (開放蒸気)
蒸気噴射時間:3秒
上記元圧:0.02MPa、0.05MPa の2基準
深紫外線照射ステーション40における、深紫外線殺菌の条件は、以下の通りであった。
注出口用深紫外線照射装置 日機装株式会社製 型式VM0303F
波長 280nm
LED個数 9個
駆動電圧 63V
黒カビのバイオロジカルインジケータは、以下の通りである。
菌種 黒カビ A.Brasiliensis NBRC9455
付着菌数 7.4×10、7.4×102、7.4×103、7.4×104
7.4×105 の5基準
付着箇所 BIBの内袋10の注出口13
芽胞菌のバイオロジカルインジケータは、以下の通りである。
菌種 芽胞菌 B.atrophaeus ATCC9372
付着菌数 3.5×10、3.5×102、3.5×103、3.5×104
の4基準
付着箇所 BIBの内袋10の注出口13
菌が付着されたBIBの内袋10は、深紫外線照射ステーション40での深紫外線照射による殺菌工程と、蒸気吹き付けステーション50での蒸気殺菌工程の両方を施された。
BIBの内袋10は、充填容量5リットルの連続袋とし、内容物は水とした。殺菌テスト回数は、各水準ごとに、n=3とした。
蒸気吹き付けにおける黒カビを指標とした殺菌テストの結果を表1に示す。また、深紫外線照射における芽胞菌を指標とした殺菌テストの結果を表2に示す。表の中の○は殺菌が良好であることを示し、●は殺菌が不良であることを示す。LRVは、殺菌能力の対数減少値を示す。
Figure 2022113597000002
Figure 2022113597000003
表1より、本実施例の無菌充填機20は、蒸気元圧0.02Mpa以上、蒸気噴射時間3秒以上の条件で、黒カビにおいて、LRV6以上の殺菌能力を有することが分かった。
また表2より、本実施例の無菌充填機20は、深紫外線照射時間3秒以上の条件で、芽胞菌において、LRV5以上の殺菌能力を有することが分かった。
なお、本実施例の無菌充填機の充填能力は毎分6袋であり、タクトタイムは10秒である。充填時間が3秒より長い場合、蒸気殺菌工程及び深紫外線照射工程が、律速にならないことが分かった。
第二の実施形態から第六の実施形態の無菌充填機20においても、上記と同様の殺菌テストを実施した。その結果、第二の実施形態から第六の実施形態の無菌充填機20はいずれも、黒カビに対してはLRV6以上の殺菌能力を有することが分かった。さらに、芽胞菌において、LRV5以上の殺菌能力を有することが分かった。
<比較例1>
第一の実施形態の無菌充填機20において、深紫外線照射ステーション40での深紫外線照射殺菌工程を停止し、蒸気吹き付けステーション50での蒸気殺菌工程のみの殺菌工程とした。
実施例と同様に、黒カビと芽胞菌の両方の殺菌テストを行った結果、黒カビの殺菌結果は良好であったが、芽胞菌の殺菌結果において殺菌不良が生じた。
<比較例2>
第一の実施形態の無菌充填機20において、蒸気吹き付けステーション50での蒸気殺菌工程の殺菌工程停止し、深紫外線照射ステーション40での深紫外線照射殺菌工程のみとした。
実施例と同様に、黒カビと芽胞菌の両方の殺菌テストを行った結果、芽胞菌の殺菌結果は良好であったが、黒カビの殺菌結果において殺菌不良が生じた。
10 バッグインボックス(BIB)の内袋
11 柔軟性プラスチックフィルム
11a 上側プラスチックフィルム
11b 下側プラスチックフィルム
12 ヒートシール部
13 注出口
13a フランジ
13b 第一注出口溝
13c 第二注出口溝
14 キャップ
15 剥き出し部
20 無菌充填機
21 チャンバー
22 無菌陽圧エア供給部
23 BIBの供給部
24 BIBの排出部
25 吸引排気口
26 吸引孔
31 仕切り板
32 注出口固定板
33 排気口部
34 袋部遮蔽板
35 搬送用リテーナー
36 移動遮蔽板
37 排気区画
371 第一排気区画
372 第二排気区画
38 間隙部
40 深紫外線照射ステーション
41 注出口用深紫外線照射装置
42 注出口遮蔽板
43 袋部用深紫外線照射装置
50 蒸気吹き付けステーション
51 蒸気吹き付けノズル
52 蒸気供給部
53 蒸気吹き付けノズルの先端チャンバー
60 充填ステーション
61 充填装置
70 乾燥ステーション
80 冷却ステーション
90 排気ステーション

PP 区画陽圧
PPco 冷却ステーションの区画陽圧
PPdr 乾燥ステーションの区画陽圧
PPfi 充填ステーションの区画陽圧
PPex 排気ステーションの区画陽圧
PPes 排気区画の区画陽圧
PPes1 第一排気区画の区画陽圧
PPes2 第二排気区画の区画陽圧
PPst 蒸気吹き付けステーションの区画陽圧
PPuv 深紫外線照射ステーションの区画陽圧

P 陽圧指標
P1 最も低い陽圧指標
P2 やや低い陽圧指標
P3 やや高い陽圧指標
P4 最も高い陽圧指標

Claims (6)

  1. バッグインボックスの内袋の連続袋を搬送する搬送装置が設けられ、
    前記搬送装置により搬送される前記バッグインボックスの内袋の前記注出口及び前記キャップを取り囲むチャンバーが設けられ、
    前記チャンバー内に、少なくとも前記注出口及び前記キャップに発光ダイオードから深紫外線を照射する深紫外線照射ステーションと、前記注出口及び前記キャップに蒸気を吹き付ける蒸気吹き付けステーションが設けられ、
    前記深紫外線照射ステーション及び/又は前記蒸気吹き付けステーションの、前記バッグインボックスの内袋の排出側に、前記キャップを前記注出口から離脱させ、前記注出口から内容物を充填し、前記内容物を充填後に前記キャップを前記注出口に装着する充填ステーションが設けられ、
    前記チャンバー内を陽圧に保持する無菌陽圧エア供給部が設けられる無菌充填機。
  2. 前記無菌充填機の前記バッグインボックスの内袋の供給側から順に、少なくとも前記深紫外線照射ステーションと、前記蒸気吹き付けステーションが備えられる請求項1に記載の無菌充填機。
  3. 前記無菌充填機の前記バッグインボックスの内袋の供給側から順に、少なくとも前記蒸気吹き付けステーションと、前記深紫外線照射ステーションが備えられる請求項1に記載の無菌充填機。
  4. バッグインボックスの内袋の連続袋を搬送する搬送装置が設けられ、
    前記搬送装置により搬送される前記バッグインボックスの内袋の前記注出口及び前記キャップを取り囲むチャンバーが設けられ、
    前記チャンバー内に、少なくとも前記注出口及び前記キャップに発光ダイオードから深紫外線を照射する深紫外線照射工程と、前記注出口及び前記キャップに蒸気を吹き付ける蒸気吹き付け工程があり、
    前記深紫外線照射工程及び/又は前記蒸気吹き付け工程の、前記バッグインボックスの内袋の排出側に、前記キャップを前記注出口から離脱させ、前記注出口から内容物を充填し、前記内容物を充填後に前記キャップを前記注出口に装着する充填工程がある無菌充填方法。
  5. 少なくとも順に、前記深紫外線照射工程と、蒸気吹き付け工程がある請求項4に記載の無菌充填方法。
  6. 少なくとも順に、前記蒸気吹き付け工程と、前記深紫外線照射工程がある請求項4に記載の無菌充填方法。
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