JP5534153B2 - カップ状容器の外面殺菌方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、カップ状容器の外面を殺菌する方法及び装置に関する。
従来、カップに飲料等を充填した包装品が市場で流通しているが、この包装品の大部分は冷却状態で搬送、陳列等されるチルド品である。しかし、このチルド状態での流通は温度管理が面倒であり、コストも高くなるので、常温での流通が望まれる。そこで、近年はカップの内面や外面を予め過酸化水素等の殺菌剤で殺菌処理したうえで飲料等を充填し、密封する無菌包装が行われている(例えば、特許文献1、2参照)。この方法によれば、飲料等の無菌状態を維持しつつ包装品を常温で流通させることが可能となる。
これらのカップ殺菌方法は、カップを搬送しつつ、カップの内面や外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けてカップを殺菌処理し、その後、カップに向かって熱風を吹き付けて、カップに付着した過酸化水素を乾燥させようというものである(例えば、特許文献1、2参照)。
カップの内外面に過酸化水素を供給する場合、二流体式ノズルをカップの開口部と底部に各々対向させ、空気流で過酸化水素をカップの内部や底部に向かって噴射したり(例えば、特許文献1参照)、円管状のノズルをカップの開口部と底部に各々対向させ、過酸化水素のミストを円管状ノズルからカップの内部や底に向かって吹き付けたりしている(例えば、特許文献2参照)。
ところが、前者の二流体式ノズルでは過酸化水素がカップ表面に均一に付着し難く、また、ノズルから過酸化水素がカップにボタ落ちして過酸化水素が過剰に付着するという問題がある。後者の円管状ノズルから過酸化水素ミストを吐出する場合は、特にカップの外面に過酸化水素が均一に付着し難いという問題がある。
このような問題点を解消するため、本願の発明者は、特許文献3で開示するように如雨露目状ノズルを用いることとした。如雨露目状ノズルをカップの開口部と底部に対向させて過酸化水素のミストを如雨露目から吹き出させるようにすると、カップの表面に過酸化水素が過不足無く均一に付着させることができる。
特開昭59−115220号公報 特開2002−68142号公報 特開2009−18852号公報
特許文献3が開示する如雨露目状ノズルによれば、カップの内面には均一に過酸化水素を付着させることができるが、カップの外面に対しては過酸化水素の供給量をカップ内面に対する供給量よりも二倍以上にしなければカップ外面に均一に塗布することができず、カップ外面を適正に殺菌することができなくなるという問題がある。
また、如雨露目状ノズルから過酸化水素のミストを大量に吐出すると、ノズルの細かい如雨露目が詰まりやすくなり、ノズルのメンテナンスが面倒になるという問題もある。
したがって、本発明は、上記問題点を解決することができるカップ状容器の外面の殺菌方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
なお、本発明の理解を容易にするため図面の参照符号を付するが、本発明はこれに限定されるものでない。
すなわち、請求項1に係る発明は、カップ状容器(1)のフランジ(3)をリテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁で支持し、この容器(1)を支持したリテーナ(9)を間欠走行させつつ容器(1)の外面に向かって過酸化水素のミスト(a)又はガスを吹き付けて容器(1)の外面を殺菌するカップ状容器の外面殺菌方法において、一時停止したリテーナ(9)下に突出する容器(1)の底部をリテーナ(9)の走行方向の前後から挟むようにスリット状ノズル口(20)を各々配置し、各ノズル口(20)を容器(1)の底部の縁に斜め下方から対向せしめ、各ノズル口(20)から過酸化水素のミスト(a)又はガスを容器(1)の底部の縁(2b)に向かって吹き付けるようにし、上記前後のスリット状ノズル口(20)間を邪魔板(32)で遮蔽し、上記リテーナ(9)の走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口(20)から上流側へと邪魔板(33)を突出させ、下流側のスリット状ノズル口(20)から下流側へと邪魔板(34)を突出させ、一時停止したリテーナ(9)下に突出する容器(1)の底部をリテーナ(9)の走行方向に交差する方向から挟むように邪魔板(35)を設けたカップ状容器の外面殺菌方法を採用する。
また、請求項5に係る発明は、カップ状容器(1)のフランジ(3)をリテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁で支持し、この容器(1)を支持したリテーナ(9)を間欠走行させつつ容器(1)の外面に向かって過酸化水素のミスト(a)又はガスを吹き付けて容器(1)の外面を殺菌するカップ状容器の外面殺菌装置において、一時停止したリテーナ(9)下に突出する容器(1)の底部をリテーナ(9)の走行方向の前後から挟むようにスリット状ノズル口(20)が各々配置され、各ノズル口(20)が容器(1)の底部の縁に斜め下方から対向するように形成され、各ノズル口(20)から過酸化水素のミスト(a)又はガスが容器(1)の底部の縁(2b)に向かって吹き付けられるようにし
、上記前後のスリット状ノズル口(20)間が邪魔板(32)で遮蔽され、上記リテーナ(9)の走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口(20)から上流側へと邪魔板(33)が突設され、下流側のスリット状ノズル口(20)から下流側へと邪魔板(34)が突設され、一時停止したリテーナ(9)下に突出する容器(1)の底部をリテーナ(9)の走行方向に交差する方向から挟むように邪魔板(35)が設けられたカップ状容器の外面殺菌装置を採用する。
本発明によれば、カップ状容器(1)のフランジ(3)をリテーナ(9)の容器挿入穴(17)の周縁で支持し、この容器(1)を支持したリテーナ(9)を間欠走行させつつ容器(1)の外面に向かって過酸化水素のミスト(a)又はガスを吹き付けて容器(1)の外面を殺菌するカップ状容器の外面殺菌方法において、一時停止したリテーナ(9)下に突出する容器(1)の底部をリテーナ(9)の走行方向の前後から挟むようにスリット状ノズル口(20)を各々配置し、各ノズル口(20)を容器(1)の底部の縁(2b)に斜め下方から対向せしめ、各ノズル口(20)から過酸化水素のミスト(a)又はガスを容器(1)の底部の縁(2b)に向かって吹き付けるようにし、上記前後のスリット状ノズル口(20)間を邪魔板(32)で遮蔽し、上記リテーナ(9)の走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口(20)から上流側へと邪魔板(33)を突出させ、下流側のスリット状ノズル口(20)から下流側へと邪魔板(34)を突出させ、一時停止したリテーナ(9)下に突出する容器(1)の底部をリテーナ(9)の走行方向に交差する方向から挟むように邪魔板(35)を設けたことから、カップ状容器(1)の外面に対し従来よりも少量の過酸化水素を供給することで容器(1)の外面に過酸化水素を均一に付着させることができ、容器(1)の外面を簡易かつ迅速に殺菌することができる。また、ノズル口(20)はスリット形であり、かつ、過酸化水素のミスト(a)又はガスの吐出量は従来よりも少量であるから、ノズル口(20)を詰まり難くすることができ、ノズル(7)のメンテナンスを簡易化することができる。
本発明に係るカップ状容器の殺菌装置の概略を示す垂直断面図である。 リテーナを示す斜視図である。 図1中、工程Bにおいてカップの外面に過酸化水素ミストを噴霧するための装置構成を示す斜視図である。 図3中、IV−IV線矢視断面図である。 図3中、V−V線矢視断面図である。 図1中、工程Cにおいてカップの内面に過酸化水素ミストを噴霧するための装置構成を示す斜視図である。 図1中、工程E〜Hの各工程においてカップに付着した過酸化水素を乾燥させるための装置構成を示す斜視図である。 図1中、工程Jにおいてカップのフランジに蓋材をヒートシールした状態を示す断面図である。 図1中、工程Kにおいて蓋材をトリミングした状態を示す断面図である。 カップの一例の斜視図である。
以下、本発明の望ましい形態について図面に基づいて説明する。
この実施の形態において、殺菌処理しようとする容器は、図10に示すように、飲料等を充填する比較的底の深いカップであり、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン等所望の樹脂を用いて例えば真空圧空成形により成形される。あるいは、層構成が例えばポリエチレン層/紙/ポリプロピレン層である積層シートを用いることにより形成される。
このカップ1は、略円筒形の胴部2を有する。カップ1の上部は開口部になっており、底部は底板で閉じられている。また、カップ1の開口部の回りにはフランジ3が設けられている。胴部2とフランジ3との境界には、スタッキングリブ2aが設けられている。スタッキングリブ2aは多数のカップ1を積み重ねた際にカップ同士が強く嵌り合わないようにするためのもので、充填機に供給した場合等においてカップ1の山からカップ1を一個ずつ確実に取り出しやすくするために設けられる。胴部2、フランジ3、スタッキングリブ2a等は、カップ1を成形する際に一体的に形成される。
図10中、二点鎖線で示すものはシート状又はフィルム状の殺菌された蓋5であり、カップ1が殺菌され、無菌処理された内容物が充填された後に、フランジ3の上面にヒートシール等によって接着される。これにより、カップ1内が内容物と共に無菌状態に保持された無菌包装体が完成する。
なお、図10中、符号5aは蓋5に設けられた摘み片を示す。この無菌包装体を購入した消費者等がこの摘み片5aを摘んで蓋5をフランジ3から引き剥がすことにより、無菌包装体を開封し内容物である例えば飲料4(図1及び図8参照参照)を取り出すことができる。
上記カップ1は、図1に示すように、無菌チャンバー16内において一連の工程A〜Lを経て、その内外の表面が殺菌処理され、内容物である飲料4が充填され、蓋5で閉じられることにより無菌包装体とされる。無菌チャンバー16内は、給気口16cから無菌エアdが常時供給されることによって、外気が侵入しないように陽圧に保たれている。
次に、工程A〜Lの各々について順に説明する。
(1)工程A
図2に示すようなリテーナ9が用意される。リテーナ9は、例えばステンレス鋼製の平板をその本体として備える。この平板に長さ方向に沿って、カップ1の胴部2が挿入される容器挿入穴17が複数個形成される。図示例では容器挿入穴17が四個形成されるが、それ以上の個数又はそれ以下の個数に適宜変更可能である。これにより、カップ1は複数列で走行可能となる。
容器挿入穴17は、カップ1の胴部2の上端における外径よりも大きく、フランジ3の外径より小さくなるように形成される。これにより、カップ1の胴部2が容器挿入穴17に挿入されると、フランジ3が容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9a上に留まり、胴部2が容器挿入穴17の周縁から下方に突出する。
容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aはその全周にわたって平坦な面として形成される。この容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aは、後にカップ1のフランジ3に蓋材5bをヒートシールする際に、フランジ3を蓋材5bごと図示しない加熱盤と共にプレスするための受け部として使用される。
容器挿入穴17の周縁のフランジ受け面9aには、その上に乗ったフランジ3を取り巻くように環状溝6が形成される。図8及び図9に示すように、この環状溝6内の外周壁はトリミング刃19と共に蓋材5bの余剰部分を切除し、蓋5と摘み片5aとを残すための雌刃として機能する。
リテーナ9は多数用意され、図1に示すように、カップ1をそのフランジ3と平行な方向にリテーナ9ごと間欠走行させる走行手段に取り付けられる。走行手段は例えば複数対のスプロケットホイール18a,18b間に水平に掛け渡される複数本の無端チェーン18として構成され、多数のリテーナ9がこの無端チェーン18に所定の間隔で取り付けられる。無端チェーン18よりなる無端走行路上に、多数のリテーナ9が単列又は複数列で取り付けられる。
リテーナ9、無端チェーン18等は上記無菌チャンバー16内に収納される。無端チェーン18の駆動により、この無菌チャンバー16内において、リテーナ9がカップ1を保持しつつ所定のピッチで間欠的に走行する。これにより、多数のカップ1が効率良く各工程へと供給される。
図1に示すように、カップ1の開口部及びフランジ3が上向きとなるようにカップ1の胴部2が、間欠停止したリテーナ9の容器挿入穴17内に挿入される。カップ1はそのフランジ3がリテーナ9のフランジ受け面9a(図4参照)に当接してリテーナ9上で静止する。
(2)工程B
図1及び図4に示すように、リテーナ9が間欠走行して工程Bにおいて一時停止すると、リテーナ9の容器挿入穴17内に挿入されたカップ1の底部に向かって過酸化水素のミストa又はガスが吹き付けられる。
このリテーナ9が一時停止する位置において、一対の外面殺菌用ノズル7,7が設置され、リテーナ9下に突出するカップ1の底部をリテーナ9の走行方向の前後から挟むようにスリット状ノズル口20,20が各外面殺菌用ノズル7,7に形成され、各ノズル口20,20がカップ1の底部の縁2bに向かって斜め下方から対峙せしめられる。
具体的には、図3乃至図5に示すように、中空の箱体21,21がリテーナ9の下方でリテーナ9の走行方向に見てリテーナ9の前後に各々配置される。各箱体21,21には、スリット状ノズル口20,20がリテーナ9の走行方向に直交する方向に伸び、リテーナ9から垂下するカップ1の底部の縁2bに向かって斜め下方から対峙するように設けられる。両箱体21,21は両者を一体化した単一の箱とし、この単一の箱に上記二条のノズル口20,20を形成するようにしてもよい。
各箱体21,21には、後述するミスト生成器23から過酸化水素のミストa又はガスが供給される。図4に示すように、各箱体21,21内に流入した過酸化水素のミストa又はガスは、各箱体21,21のスリット状ノズル口20,20からカップ1の底部の縁2bに向かって吹き出し、カップ1の外面にムラなく均一に接触する。そして、カップ1の外面に接触すると同時に凝結し、高濃度の過酸化水素の皮膜となってカップ1の外面を殺菌する。
また、このように前後のスリット状ノズル口20,20から過酸化水素のミストa又はガスをカップ1の底部の縁2bに向かって斜め下方より吹き付けることから、従来の如雨露目状ノズルによって吹き付ける場合に比べ過酸化水素のミストa又はガスの流量をすこぶる低減することができる。このことは後述する実施例において明らかにする。
また、各ノズル口20,20はスリット形であり、かつ、過酸化水素のミストa又はガスの吐出量は従来よりも少量であるから、ノズル口20,20が詰まり難く、ノズル7,7のメンテナンスが簡易化される。
図3及び図4に示すように、必要に応じて上記前後のスリット状ノズル口20,20間は、邪魔板32で遮蔽される。この邪魔板32の存在により、スリット状ノズル口20,20から吐出された過酸化水素のミストa又はガスはカップ1の下方への流下が防止され、それだけカップ1の外面に付着しやすくなる。
また、上記リテーナ9の走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口20から上流側へと邪魔板33が突設され、下流側のスリット状ノズル口20からも下流側へと邪魔板34が突設される。これらの邪魔板32,33,34の存在によっても、スリット状ノズル口20,20から吐出された過酸化水素のミストa又はガスはカップ1の下方への流下が防止され、カップ1の外面へと向かいやすくなる。
さらに、図3乃至図5に示すように、一時停止したリテーナ9下に突出するカップ1の底部をリテーナ9の走行方向に直角に交差する方向から挟むように邪魔板35が設けられる。これらの邪魔板35の存在によって、スリット状ノズル口20,20からカップ1側に吹き上げられた過酸化水素のミストa又はガスはカップ1の胴部2の表面へと方向付けられ、カップ1の外面に付着しやすくなる。
上記スリット状ノズル口20,20がリテーナ9の走行方向に直角に交差する方向に長く伸びるものである場合は、箱体21,21に対する過酸化水素ミストa又はガスの導入口から離れるに連れて過酸化水素ミストa又はガスの吐出圧や温度が低下しやすくなるので、ノズル口20,20の長さに応じて過酸化水素ミストa又はガスの流れに熱風を追加供給するのが望ましい。
(3)工程C
図1に示すように、カップ1の走行路の上方に配置した内面殺菌用ノズル8から、カップ1の内面に向かって過酸化水素のミストa又はガスが吹き付けられ、カップ1の内面が殺菌処理される。
この内面殺菌用ノズル8は、カップ1の所定の間欠停止位置に設置される。内面殺菌用ノズル8における間欠停止位置で一時停止したカップ1の開口部に正対する箇所には、図6に示すように、多数の小さい吐出孔8aが形成される。過酸化水素のミストa又はガスは、内面殺菌用ノズル8の多数の吐出孔8aからカップ1の開口部に向かってシャワー状に吹き出し、カップ1の内面に接触し、凝結して均一厚さの高濃度の皮膜となって付着し、カップ1の内面を速やかに殺菌する。
過酸化水素のミストa又はガスの吐出圧は、多数の吐出孔8aから吹き出す過酸化水素のミストa又はガスの濃度が低下してカップ1の殺菌効果が薄れることがないように、また、過酸化水素のミストa又はガスが無菌チャンバー16内の各所で結露してカップ1内に滴下することがないように適正な値に設定される。
また、内面殺菌用ノズル8とカップ1の開口部との間には、内面殺菌用ノズル8の回りからカップ開口部のフランジ3の回りに向かって延びる囲繞壁22が配置される。無菌チャンバー16内では、後述する乾燥用の熱風cや上記無菌チャンバー16内を陽圧に保つための無菌エアdが絶えず流れているが、この囲繞壁22はこうした熱風cや無菌エアdと内面殺菌用ノズル8から吹き出す過酸化水素のミストa又はガスの流れとの間を遮断する。
これにより、過酸化水素のミストa又はガスのカップ1に対する吹き付け時の流れは、囲繞壁22によって熱風cや無菌エアdの流れから保護され、乱されることなくカップ1の内面の全面に均一に行き渡り、均一厚さの皮膜となって付着することとなる。その結果、カップ1の内面がムラなく一様に殺菌処理される。
(4)工程D
工程Cの直後からカップ1が所定時間だけ走行する間、工程Cにおいて吹き付けられた過酸化水素のミストa又はガスがカップ1内に滞留する。これにより、過酸化水素がカップ1の内面の全面に、より一層均一に行き渡ることになる。さらに、過酸化水素がより長い時間菌に接触することになるので、殺菌効果が向上する。
(5)工程E
工程Dにおいて過酸化水素のミストa又はガスがカップ1内に所定時間だけ滞留すると、その後直ちにカップ1の内外面に向かってカップ1が熱で変形しない程度に熱風cが吹き付けられる。この熱風cによる加熱によって、カップ1内の殺菌効果が高められるとともに、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がある程度除去される。
熱風cの吹き付けは、図7に示すように、多数の吐出孔27a,28を有する乾燥用ノズル10a,10bを各々カップ1の開口部と底部に向けることによって行うことができる。
(6)工程F
工程Eに続いて、カップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去される。
この熱風cは上記工程Eにおいて使用した乾燥用ノズル10a,10bと同様なノズル11a,11bを用いることにより行われる。
(7)工程G
工程Fに続いて、カップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去される。
この熱風cは上記工程Eにおいて使用した乾燥用ノズル10a,10bと同様なノズル12a,12bを用いることにより行われる。
(8)工程H
工程Gに続いて、カップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風cが吹き付けられる。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去され、少なくともカップ1の内面の残留過酸化水素量が許容範囲まで低下する。
この熱風cは上記工程Eにおいて使用した乾燥用ノズル10a,10bと同様なノズル13a,13bを用いることにより行われる。
このように、工程E〜Hで繰り返し熱風cをカップ1に吹き付けるのでカップ1に対し全体として多量の熱風を供給することとなり、カップ1に付着した過酸化水素を効率良く除去することができる。
なお、乾燥工程E〜Hの間に、必要に応じて放冷工程、強制冷却工程を設けることも可能である。
(9)工程I
殺菌処理されたカップ1に、その開口部から内容物である飲料4が充填される。飲料4は予め殺菌処理され、冷却されている。
(10)工程J
図1及び図8に示すように、カップ1の開口部に枚葉シート状又は連続シート状の殺菌された蓋材5bが被せられ、この蓋材5bがカップ1のフランジ3にヒートシールされる。このヒートシールは、図示しない加熱盤がリテーナ9へと降下し、リテーナ9のフランジ受け面9aとの間でカップ1のフランジ3と蓋材5bとを挟んで熱圧着することによって行われる。
リテーナ9は、容器挿入穴17の周縁がその全周にわたってカップ1の外形に対応した形状に形成されているので、リテーナ9の容器挿入穴17の周縁と加熱盤とでフランジ3と蓋材5bとがフランジ3の全周にわたって均一に加熱及び加圧され、従って、カップ1の開口部がその全周にわたって適正に密封される。
(11)工程K
図1及び図9に示すように、トリミング刃19がリテーナ9の方へ降下し、リテーナ9の環状溝6内に侵入する。これにより、蓋材5bの余剰部分がトリミング刃19と環状溝6内の外周壁との間で切断される。
かくて、図10に示したような蓋5で密封された無菌包装体が完成する。
(12)工程L
無菌包装体がリテーナ9から抜き取られ、無菌チャンバー16外へ取り出される。
次に、上記工程A〜Lを実施するための無菌充填装置について説明する。
図1に示すように、無菌充填装置は、カップ1を保持するための多数のリテーナ9、及びリテーナ9を連続走行させる走行手段を有し、走行手段の走行方向に沿って、カップ1をリテーナ9に供給する供給部16a、カップ1の外面を殺菌するための外面殺菌用ノズル7、カップ1の内面を殺菌するための内面殺菌用ノズル8、カップ1の表面から過酸化水素を除去するための乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b、充填部14、蓋材シール部15、蓋材トリミング部15a、完成した無菌包装体をリテーナ9から取り出す取出部16bを備える。また、走行手段によるカップ1の走行路の全域を覆う無菌チャンバー16を備える。
リテーナ9は、図2に示すように構成され、図1に示したように、多数のリテーナ9が走行手段としての無端チェーン18に所定の間隔で取り付けられる。
無端チェーン18は、図示しない制御部で制御されるモータにより駆動される。無端チェーン18の駆動によりリテーナ9がカップ1を保持しつつ無菌チャンバー16内を上記供給部16aから取出部16bに向かって所定のピッチずつ間欠的に走行する。
無菌チャンバー16の前端である無端チェーン18の上流側には、カップ1をリテーナ9に供給する供給部16aが設けられる。
供給部16aは、多数のカップ1を積み重ねたカップ集積体からカップ1を一つずつ図示しないサッカー等により取り出してリテーナ9の各容器挿入穴17内に嵌め込むようになっている。
この供給部16aによって各カップ1はリテーナ9の各容器挿入穴17内に正立状態で投入され、その胴部2が容器挿入穴17に挿入される。そして、各カップ1のフランジ3がリテーナ9の容器挿入穴17の周縁におけるフランジ受け面9aに乗り上がり、フランジ3の裏面がリテーナ9のフランジ受け面9aに接触する。
外面殺菌用ノズル7は、図3乃至図5に示すように、所定箇所に二基設けられる。すなわち、リテーナ9が一時停止する所定位置の下方において、リテーナ9の走行方向の前後からリテーナ9を挟むように配置される。
各外面殺菌用ノズル7,7は、上述したように、中空の箱体21,21を有し、各箱体21,21にはスリット状ノズル口20,20がリテーナ9の走行方向に直交する方向に伸び、リテーナ9から垂下するカップ1の底部の縁2bに向かって斜め下方から対峙するように設けられる。
また、上述したように、必要に応じて、前後のスリット状ノズル口20,20の間が邪魔板32で遮蔽され、リテーナ9の走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口20から上流側へと邪魔板33が突設され、下流側のスリット状ノズル口20から下流側へと邪魔板34が突設される。さらに、一時停止したリテーナ9下に突出するカップ1の底部をリテーナ9の走行方向に直角に交差する方向から挟むように邪魔板35が設けられる。
図3に示すように、上記箱体21,21には、各々ミスト生成器23が接続される。
このミスト生成器23は、殺菌剤である過酸化水素の水溶液を滴状にして供給する二流体スプレーである過酸化水素供給部24と、この過酸化水素供給部24から供給された過酸化水素の噴霧をその沸点以上、非分解温度以下に加熱して気化させる気化部25とを備える。過酸化水素供給部24は、過酸化水素供給路24a及び圧縮空気供給路24bからそれぞれ過酸化水素の水溶液と圧縮空気を導入して過酸化水素の水溶液を気化部25内に噴霧するようになっている。気化部25は内外壁間にヒータ25aを挟み込んだパイプであり、パイプ内に吹き込まれた過酸化水素の噴霧を加熱し気化させる。気化した過酸化水素のガスは噴霧管26から、ミストaとなって又はガスとして噴出する。
ミスト生成器23内で生成された過酸化水素のミストa又はガスは、その噴霧管26から上記箱体21内へと流れ、上述したようにスリット状ノズル口20からカップ1に向かって吹き出る。
図3に示すように、スリット状ノズル口20はリテーナ9の走行方向に直交する方向に長く伸びるので、箱体21に対するミストaの導入口から離れた箇所でのミストaの吐出圧が低下し、過酸化水素が結露しやすくなる。そこで、望ましくはミスト生成器23の噴霧管26から箱体21に向かう導管36に、ヒータ37を有する送風管38が連結される。これにより、この送風管38からノズル口20のスリット長さに応じて熱風が追加供給され、過酸化水素のミストaは箱体21内等で結露することなくスリット状ノズル口20からカップ1に向かって吹き出ることとなる。
図1に示すように、カップ1の内面を殺菌するための内面殺菌用ノズル8は、外面殺菌用ノズル7の下流側におけるカップ1の間欠停止位置の上方に設置される。
図6に示すように、この内面殺菌用ノズル8は円錐台形に形成され、その円錐台形がカップ1の上方に設置される。円錐台の下端板は、間欠停止位置で一時停止したカップ1の開口部に正対するように形成され、この下端板に多数の小さい吐出孔8aが如雨露目状に穿設される。
カップ1が複数列で搬送される場合は、内面殺菌用ノズル8は望ましくはカップ1の列ごとに独立して配置される。
この内面殺菌用ノズル8にも上述したミスト生成器23と同様なミスト生成器23から各内面殺菌用ノズル8へと過酸化水素のミストa又はガスが供給される。
各内面殺菌用ノズル8は、各ノズルヘッド内に供給された過酸化水素のミストa又はガスを、リテーナ9に保持されまま一時停止したカップ1の開口部に向かって吐出孔8aから吹き出す。吐出孔8aからカップ1内に吹き付けられた過酸化水素のミストa又はガスはカップ1の内表面に薄い皮膜となって付着して結露し、高濃度の過酸化水素となってカップ1の内面を速やかに殺菌する。
なお、必要に応じて内面殺菌用ノズル8には、カップ1のフランジ3の回りに向かって垂下する囲繞壁22が設けられる。
無菌チャンバー16内では、乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bから吹き出す乾燥用の熱風cや上記無菌チャンバー16内を陽圧に保つための無菌エアdが絶えず流れているが、この囲繞壁22はこうした熱風cや無菌エアdと内面殺菌用ノズル8から吹き出る過酸化水素のミストa又はガスの流れとの間を遮断する。
図1に示すように、乾燥用ノズル10a,10bは、内面殺菌用ノズル8の位置から下流側に所定距離だけ離れたリテーナ9の一時停止位置に設置される。
これにより、過酸化水素のミストa又はガスが吹き込まれたカップ1は乾燥用ノズル10a,10bに至るまでの一定時間そのまま保持され、ミストa又はガスがカップ1の内面に均一に付着し、少なくともカップ1の内面が所望程度まで殺菌された後に、乾燥処理に付されることになる。
乾燥用ノズル10a,10bは、図1及び図7に示すように、カップ1を保持して一時停止したリテーナ9を上下から挟むように対向配置される。
図7に示すように、上側の乾燥用ノズル10aは、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体を有し、この箱体の下面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の開口及びフランジ3に対向する。この箱体の下面に熱風cを噴出する多数の小さい吐出孔27aが形成される。
吐出孔27aは箱体の下面の全面に穿設してもよいが、カップ1の開口部およびフランジ3に正対する領域に穿設するようにしてもよい。あるいは、箱体に代えて、リテーナ9上のカップ1ごとに如雨露のような多数の吐出孔が開いた円錐体を設けるようにしてもよい。
また、箱体の下面にはカップ1の開口部に対向するように吹き出し筒27bが必要に応じて取り付けられる。この吹き出し筒27bからも熱風cがカップ1の開口に向かって吹き出し、カップ1内に滞留した過酸化水素のミストa又はガスをカップ1外に排出すると共に、カップ1の内面を効率的に加熱してカップ1の内面に付着した過酸化水素を乾燥させる。また、この加熱によって、過酸化水素の付着したカップ1の内面の殺菌効果が高められる。
下側の乾燥用ノズル10bは、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体を有し、この箱体の上面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の底部に対向する。この箱体の上面に熱風cを噴出する多数の吐出孔28が形成される。この下側の乾燥用ノズル10bは、上側の乾燥用ノズル10aと吐出孔28の開口方向が逆である点、また吹き出し筒27bが省略されている点を除いて略同じ構成である。
この下側の乾燥用ノズル10bから吐出される熱風cはカップ1の外面の全面に接触する。従って、カップ1の胴部2の外面についても適正な加熱が行われ、カップ1の外面から余剰の過酸化水素が除去される。また、この加熱によって、過酸化水素の付着したカップ1の外面の殺菌効果が高められる。
上下の乾燥用ノズル10a,10bはカップ1の走行方向でずれていてもよいが、望ましくはカップ1の走行路を挟んで正対するように配置される。ノズル10a,10b同士を正対させておくことで、カップ1に上下から風圧を作用させ、リテーナ9からのカップ1の脱落を防止することができる。風圧は、下側よりも上側の方を大きくするのが望ましい。
図1に示すように、上記上下の乾燥用ノズル10a,10bと同様な乾燥用ノズル11a,11b,12a,12b,13a,13bが、上下一対となってカップ1の走行路に沿って所定の間隔で配置される。
乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの設置数は、少なくともカップ1の内面での残留過酸化水素量を許容範囲内まで低下させることができる総風量を得ることができるように決定される。
乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの対間は、リテーナ9の隣り合った間欠停止位置に配置される。しかし、上流側の乾燥用ノズルによる熱風cの吹き付けから次の下流側の乾燥用ノズルによる熱風cの吹き付けまでの間にカップ1が冷却されるように、乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの間隔は多少離してもよい。
このようにカップ1に対する熱風cによる加熱が繰り返されることで、残留過酸化水素の除去が適正に行われる。また、後の飲料4の充填、蓋材5bのシールも適正に行われる。
図7に示すように、上記熱風cを作るためにブロア29、フィルタ30、加熱器31等が設けられる。ブロア29からの送風がフィルタ30で除菌され、加熱器31で加熱されて熱風cとされる。この熱風cが上下の乾燥用ノズル10a,10b,11a、11b,12a,12b,13a,13bの箱体内に供給され、各箱体の吐出孔27a,28からカップ1に向かって吹き出すことになる。
充填部14は、図1に示すように、カップ1の走行路において最終の乾燥用ノズル13a,13bよりも下流側におけるリテーナ9の一時停止位置に設置される。充填部14は、リテーナ9により運ばれて来た殺菌処理済みのカップ1内に殺菌処理済みの例えば飲料4を所定量充填するようになっている。充填部14は公知であるからその詳細な説明は省略する。
蓋材シール部15は、図1に示すように、カップ1の走行路において充填部14よりも下流側のリテーナ9の一時停止位置に設置される。蓋材シール部15は、リテーナ9により運ばれて来た充填済みのカップ1の開口部に蓋材5bを被せ、この蓋材5bの回りをカップ1のフランジ3にヒートシールするようになっている。蓋材5bは枚葉シートとして又は連続シートとしてカップ1の開口部上に供給される。
蓋材シール部15内には、図示しないがカップ1のフランジ3に対応した形状の加熱部を有する加熱盤が昇降可能に設けられる。この加熱盤が上記蓋材5bをカップ1のフランジ3と共にリテーナ9の容器挿入穴17の周縁におけるフランジ受け面9aに押し付ける。これにより、蓋材5bがカップ1のフランジ3にヒートシールされ、カップ1内が密封される。
蓋材トリミング部15aは、図1に示すように、カップ1の走行路において蓋材シール部15よりも下流側のリテーナの一時停止位置に設置される。蓋材トリミング部15a内には、上記蓋材5bから図10に示す蓋5を打ち抜くためのトリミング刃19が昇降可能に設けられる。
図9に示すように、トリミング刃19がリテーナ9の方へ降下してリテーナ9の環状溝6内に侵入すると、蓋材5bの余剰部分がトリミング刃19と環状溝6内の外周壁との間で切断される。これにより、図10に示すように摘み片5aを有した蓋5の輪郭が整えられると共に、蓋5で密封された無菌包装体が完成する。
図1に示すように、無菌包装体をリテーナ9から取り出す取出部16bが、カップ1の走行路において蓋材トリミング部15aよりも下流側のリテーナの一時停止位置に設置される。
取出部16bは、カップ1に飲料4が充填され、蓋5で密封されて完成した無菌包装体を図示しないサッカー等によりリテーナ9から抜き取り、無菌チャンバー16外に取り出すようになっている。
次に、上記構成の無菌充填装置の作用について説明する。
無菌チャンバー16内が、予め過酸化水素等のミスト又はガスの供給、紫外線照射等により殺菌される。また、無菌チャンバー16内に給気口16cから無菌エアdが常時吹き込まれ、この無菌エアdが無菌チャンバー16の図示しない所定の出入口や隙間から排出されることによって、無菌チャンバー16内の無菌状態が維持される。
リテーナ9が間欠走行し、カップ供給部16aで一時停止すると、カップ供給部16aからカップ1がリテーナ9の容器挿入穴17内に供給される。
各カップ1のフランジ3は、リテーナ9の容器挿入穴17の周縁におけるフランジ受け面9aに乗り上がり、フランジ3の裏面がリテーナ9のフランジ受け面9aに接触する。
カップ1を保持したリテーナ9がカップ供給部16aよりも下流側で一時停止すると、外面殺菌用ノズル7,7のスリット状ノズル口20,20から過酸化水素のミストa又はガスがカップ1の外面に吹き付けられる。これにより、過酸化水素がカップ1の外面に皮膜となってムラなく付着し、カップ1の外面が殺菌処理される。
外面に過酸化水素のミストa又はガスが供給されたカップ1は、リテーナ9によって内面殺菌用ノズル8へと搬送されて一時停止する。
カップ1の開口部が内面殺菌用ノズル8に正対すると、内面殺菌用ノズル8の多数の吐出孔8bから、カップ1の開口部に向かって過酸化水素のミストa又はガスが吹き付けられる。過酸化水素のミストa又はガスがカップ1の内面に接触し薄い皮膜となって付着し、高濃度の過酸化水素となってカップ1の内面を速やかに殺菌する。
内外面に過酸化水素の皮膜が付着したカップ1は、各乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bに対向する都度停止し、上下の殺菌用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bによって熱風cを吹き付けられる。
乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの各上下対はそれぞれカップ1の開口側と底面側からカップ1を挟むように熱風cを吹き付けるので、カップ1は軽いもの、面積の大きいものであっても、リテーナ9から脱落することなく走行する。
乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bにより吹き付けられる熱風cによってカップ1の内外面が加熱され、これによりカップ1の表面に付着した過酸化水素が乾燥し除去される。また、過酸化水素も加熱されることから、カップ1の内外面がより効果的に殺菌される。カップ1は搬送中に複数箇所の乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bによって繰り返し熱風cを吹き付けられるので、カップ1の表面に付着した過酸化水素は効率よく除去される。
最終の乾燥用ノズル13a,13b間を通過したカップ1は、残留過酸化水素が許容値内まで低下しており、リテーナ9が次の充填部14で一時停止することにより、充填部14によってカップ1内に定量の飲料4が充填される。
飲料4が充填されたカップ1を保持しつつ、リテーナ9が次の蓋材シール部15で一時停止すると、蓋材シール部15によってカップ1の開口に殺菌された蓋材5bが被せられ、蓋材5bがカップ1のフランジ3にヒートシールされ、これによりカップ1が密封される。
蓋材5bがヒートシールされたカップ1を保持しつつ、リテーナ9が次の蓋材トリミング部15aで一時停止すると、蓋材トリミング部15aによって蓋材5bがトリミングされ、これにより蓋5としての輪郭が整えられ、無菌包装体が完成する。
無菌包装体を保持しつつ、リテーナ9が取出部16bで一時停止すると、取出部16bの図示しないロボット等により、無菌包装体が無菌チャンバー16の外に製品として取り出される。
図10に示すような外観を有し、開口内径52mm、開口外径71mm、フランジ幅4mm、底面径46mm、高さ107mmの大きさに成形されたポリプロピレン(PP)製カップを多数個用意し、各カップにおける胴部外面の上部、胴部外面の下部、底部外面の縁、底部外面の中央にそれぞれBI(biological indicator)を貼り付けた。
BIは、5mm角のアルミニウム箔、及び両面粘着テープを貼り付けた各シャーレをエチレンオキサイドガス(EOG)で滅菌し、各シャーレ内に貼着した両面粘着テープ上に上記アルミニウム箔を貼り付け、各アルミニウム箔に2.3×105ヶ/spotの枯草菌芽胞を塗布し、しかる後、クリーンベンチ内で風乾することにより作成した。
BIを貼付した各カップについて、図1の工程(A)(B)(E)を実施例1,2として行い、また、図1の外面殺菌用ノズルを如雨露目状ノズルに置き換えて同様な工程を比較例1,2として行った。
実施例1,2では、いずれも外面殺菌用ノズルのスリット状ノズル口を長さ200mm、幅1mmとし、これらノズル口をカップ底部の15mm下方に設けた。過酸化水素のミストは、35重量%過酸化水素溶液を用いてミスト生成器によって作り、吐出圧0.5MPaでノズル口へと供給し、これに流量0.03m3/minのアシストエアを付加してノズル口から常時吐出させた。
本実施例では、カップを3列で走行させ、2列目のカップがスリット長200mmのノズルの中央を通過するようにした。
また、実施例1,2では、ミスト生成器への過酸化水素の供給量をそれぞれ5g/min、6g/minとした。実機でカップを10列で走行させる場合は、外面殺菌用のスリットノズルのスリット長を1000mmとして、過酸化水素供給量は、実施例1について25g/min、実施例2について30g/minとなる。
また、実施例1については二列のスリット状ノズル口間に邪魔板を設け、前側ノズルからリテーナ走行方向の下流側に邪魔板を延ばし、後側ノズルからリテーナ走行方向の上流側に邪魔板を延ばし、さらに、リテーナ走行方向に直交する方向から各カップを挟む邪魔板を設けたが、実施例2では各カップをリテーナ走行方向に直交する方向から挟む邪魔板は省略した。
比較例1,2では、いずれも外面殺菌用ノズルのノズルとして従来の如雨露目状ノズルを用い、この如雨露目状ノズルを一時停止したカップの底部の15mm直下に配置し、カップの底部に向かって吹き付けた。過酸化水素ミストは、35重量%過酸化水素溶液を用いてミスト生成器によって作り、吐出圧0.5MPaで如雨露目状ノズルに供給し、如雨露目状ノズルから上方に常時吐出させた。
また、比較例1,2でも、ミスト生成器への過酸化水素の供給量をそれぞれ5g/min、6g/minとした。実機でカップを10列で走行させる場合は、外面殺菌用のスリットノズルのスリット長を1000mmとして、過酸化水素供給量は、比較例1について50g/min、比較例2について60g/min必要になる。
実施例1,2及び比較例1,2のいずれにおいても、リテーナによるカップの搬送条件は、間欠走行によるものとし、一停止時間が1.2秒、一走行時間が0.8秒の計2秒間を一サイクルとして搬送した。
その後、図1に示した乾燥用ノズルを用いて、カップの内面及び外面に乾燥エアを吹き付け、カップ外面に付着した過酸化水素を乾燥させた。乾燥エアは、140℃とし、各カップ列に対応したノズル1本当たり、内面乾燥について0.4m3/min、外面乾燥について0.2m3/minとした。
乾燥終了後、試料のカップからBIを剥し取り、トリプトソイブイヨン培地中で、35°C×7日間培養し、菌の発生の有無を確認し、表1に示す滅菌効果(Log Reduction)=Log(付着菌数/生残菌数)を得た。
Figure 0005534153
表1から明らかなように、本発明のスリット状ノズル口を使用してカップ外面を殺菌すると、従来の如雨露目状ノズルを使用してカップ外面を殺菌する場合に比べ、過酸化水素の使用量を略半減させることが可能である。
なお、本発明は上記実施の形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更可能である。
1…カップ
2b…カップ底部の縁
3…フランジ
9…リテーナ
17…容器挿入穴
20…スリット状ノズル口
32,33,34,35…邪魔板
a…過酸化水素のミスト

Claims (2)

  1. カップ状容器のフランジをリテーナの容器挿入穴の周縁で支持し、この容器を支持したリテーナを間欠走行させつつ容器の外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けて容器の外面を殺菌するカップ状容器の外面殺菌方法において、一時停止したリテーナ下に突出する容器の底部をリテーナの走行方向の前後から挟むようにスリット状ノズル口を各々配置し、各ノズル口を容器の底部の縁に斜め下方から対向せしめ、各ノズル口から過酸化水素のミスト又はガスを容器の底部の縁に向かって吹き付けるようにし、上記前後のスリット状ノズル口間を邪魔板で遮蔽し、上記リテーナの走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口から上流側へと邪魔板を突出させ、下流側のスリット状ノズル口から下流側へと邪魔板を突出させ、一時停止したリテーナ下に突出する容器の底部をリテーナの走行方向に交差する方向から挟むように邪魔板を設けたことを特徴とするカップ状容器の外面殺菌方法。
  2. カップ状容器のフランジをリテーナの容器挿入穴の周縁で支持し、この容器を支持したリテーナを間欠走行させつつ容器の外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けて容器の外面を殺菌するカップ状容器の外面殺菌装置において、一時停止したリテーナ下に突出する容器の底部をリテーナの走行方向の前後から挟むようにスリット状ノズル口が各々配置され、各ノズル口が容器の底部の縁に斜め下方から対向するように形成され、各ノズル口から過酸化水素のミスト又はガスが容器の底部の縁に向かって吹き付けられるようにし、上記前後のスリット状ノズル口間が邪魔板で遮蔽され、上記リテーナの走行方向に見て上流側のスリット状ノズル口から上流側へと邪魔板が突設され、下流側のスリット状ノズル口から下流側へと邪魔板が突設され、一時停止したリテーナ下に突出する容器の底部をリテーナの走行方向に交差する方向から挟むように邪魔板が設けられたことを特徴とするカップ状容器の外面殺菌装置。
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