JP2010077249A - 光透過層用フィルム - Google Patents

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Tetsuya Motoyoshi
哲也 本吉
Masatoshi Ando
正寿 安藤
Akiko Nishijima
明子 西嶋
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Abstract

【課題】光ディスクの光透過層用フィルムの提供。
【解決手段】下記式
Figure 2010077249

(式中、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示し、RおよびRは、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、mおよびnは0〜4の整数を示し、pおよびqは0以上の整数を示す。)で表される繰り返し単位(A)及びスピロ環を有する特定構造のジヒドロキシ化合物から誘導される繰り返し単位(B)を含み、単位(A)と単位(B)が特定割合である共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光などにより情報の記録、再生、消去などを行う光ディスクの光透過層として用いる薄肉のフィルムに関する。
<光記録層と光透過層>
ポリカーボネート樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、更に加工性に優れることから光学用途に広く利用されている。例えば、レーザー光を使用する光ディスクは、高密度、大容量の記録媒体として種々の研究、開発、商品化がおこなわれている。光ディスクに動画情報を含む大容量の記憶が可能なような種々の技術が開発されている。その一つに片面から情報を読み出す膜面入射方式の光ディスクの技術が提案され、特許文献1及び非特許文献1〜2等が公表されている。
膜面入射方式の光ディスクとは、上記の文献類に記載されたように主にポリカーボネート樹脂より形成されたディスク状に光記録層が付与された高密度記録媒体のことであり、光記録層は厚み約0.6〜1.1mmのディスク面上に形成される。さらにこの光記録層を保護するために、約0.01〜0.1mmの厚みのフィルムを光透過層として接着剤等で光記録層に付着(接着)させたものである。
本発明では光ディスクの信号記録層を光記録層と呼び、また、この光記録層を保護するための薄肉フィルムを光透過層用フィルムと呼ぶことにする。
<光透過層>
従来からポリカーボネート樹脂フィルムを製造する方法としては、溶融製膜法または溶液製膜法が採用されている。
特許文献2には、溶融キャスト法(実質的に溶液製膜法)により作製された樹脂シートを光透過層として用いること、その樹脂の一つとしてポリカーボネートを用いること、該シートで、厚み斑、複屈折並びに残留溶媒等が制御された特性のものを用いて、光学記録媒体を製造する方法が提案されている。
また、特許文献3及び4には、ポリカーボネートを用い溶液製膜法によって光透過層用フィルムを製造することが記載されている。ここには、フィルムの厚み、厚み斑、熱寸法変化率、全光線透過率、含有溶媒量、面内レターデーション、厚み方向のレターデーションKの最大値、表面粗さなどが規定されている。
光透過層フィルムを貼り合せたディスクであるBlu−rayDiscには、通常のビスフェノールAをモノマーとしたポリカーボネートを溶液製膜法もしくは溶融製膜法によって製造されたポリカーボネートフィルムを使用することが出来る。しかしながら、たとえば溶液製膜法によって製造されたポリカーボネートフィルム(粘度平均分子量が15,000程度)は50μm以上の厚みの透明フィルムを作成することが難しい。そのため、溶液製膜法において光ディスク用の光透過層フィルムを作成する場合、結晶化の起こりにくい高分子量のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量が35,000〜40,000程度)のものが用いられている。しかし粘度平均分子量が15,000程度のポリカーボネートを射出成形して作成した光ディスクの基板と溶液製膜法により作成した高分子ポリカーボネートフィルムとでは、物性が異なるため、両者を貼り合せたディスクの品質は、特に長期の安定性には課題があるのが現状である。
一方、溶融製膜法であれば溶融したビスフェノールA−PCをフィルム状にして、急冷すれば溶融状態からの結晶化が防止できるから容易に高透明のフィルムを作ることができるという利点がある。また厚みムラが小さく、溶融製膜法フィルムの複屈折・レターデーションの小さいフィルムが得られている(特許文献5)。
しかしながら、製膜条件を厳密にコントロールしなければならなかった。そのため、製膜条件の幅が広く、生産性の高い、溶融製膜フィルムが求められている。またさらなる複屈折・レターデーション・光弾性定数の小さいフィルムが求められている。
また、光学的性質に優れた、高い耐熱性を有するポリカーボネート共重合体が開示されている(特許文献6)。しかしながら、該特許文献には光ディスクの光透過層用フィルム用途に関する記載はない。
特開平08−235638号公報 特開2002−074749号公報 特開2001−243658号公報 特開2001−243659号公報 特開2007−141408号公報 特開平09−268225号公報 片面12Gbyteの大容量光ディスクOplusE、20巻、No.2、183ページ(1998年2月) 並びに光ディスク及び周辺材料98−2高分子光エレクトロニクス研究会講演要旨集 高分子学会高分子エレクトロニクス研究会(平成11年1月22日)
本発明の目的は、高い耐熱性を有し、複屈折が小さく、かつ光弾性定数が低い光ディスクの光透過層用フィルムを提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、負の複屈折性を持つフルオレン構造を有するジオールと光弾性定数が低く、流動性の高い脂肪族ジオールとの共重合ポリカーボネートよりなる溶融製膜フィルムが、複屈折が小さく、かつ光弾性定数が低いことから、光ディスクの光透過用フィルムとして優れていることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
1.下記式
Figure 2010077249
(式中、RおよびRは夫々独立して、水素原子、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示し、RおよびRは夫々独立して、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、mおよびnは夫々独立して0〜4の整数を示し、pおよびqは、夫々独立して0以上の整数を示す。)
で表される繰り返し単位(A)及び下記式
Figure 2010077249
(式中、R〜Rは夫々独立して、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
で表される繰り返し単位(B)を含み、単位(A)と単位(B)の割合がモル比で(A):(B)=5:95〜80:20の範囲であるポリカーボネート共重合体からなる光ディスクの光透過層用フィルム、
2.単位(A)と単位(B)の割合がモル比で(A):(B)=10:90〜70:30の範囲である前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、
3.繰り返し単位(A)が下記式で表される繰り返し単位(A1)である前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、
Figure 2010077249
4.繰り返し単位(A)が下記式で表される繰り返し単位(A2)である前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、
Figure 2010077249
5.繰り返し単位(B)が下記式で表される繰り返し単位(B1)である前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、
Figure 2010077249
6.下記式(1)を満たす前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、
R(550)<5nm・・・(1)
但し、R(550)は、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。
7.ポリカーボネート共重合体の光弾性定数が25×10−12Pa−1以下である前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、
8.フィルムが溶融押出法または溶液キャスト法により成形された前項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム、および
9.前項1記載の光透過層用フィルムを使用した光ディスク、
が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
<光記録層および光ディスク基板>
光ディスクにおける光記録層は、読み出しだけ可能なROM型、読み出しと書き込みだけが可能なWORAM型、および読み出し、書き込み、消去が可能な書き換え可能型がある。ROM型には誘電体やALなどの光反射膜を利用するCD、CD−ROMやビディオディスク、また、書き込み型には有機色素やTeなどの無機材料を用いるCD−Rや一般の追記型ディスク、また、書き換え型にはTbFeCoに代表される光磁気記録媒体やGeTeSbに代表される相変化記録媒体が挙げられる。ただし本発明で使用される光ディスクの光記録層はこれらの材料に限られるものではない。
<光透過層>
本発明は上記の光ディスクの光記録層を保護し、光透過層として用いるためのポリカーボネートフィルムである。
本発明の光ディスクの光透過層用フィルムは、厚みが10〜150μmの範囲であり、好ましくは10〜100μmの範囲である。この厚みは光ディスクの信号を最適状態で入出力するために重要である。
本発明の光ディスクの光透過層用フィルムは、全光線透過率が好ましくは89%以上であり、より好ましくは90%以上である。光透過層を通しての光信号の劣化を防止するには全光線透過率は高いほど良く、89%未満では光信号の劣化が光ディスクとして許容できない場合がある。
本発明の光ディスクの光透過層用フィルムは、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)が下記式(1)
R(550)<5nm・・・(1)
の範囲にあり、より好ましくは下記式(2)
R(550)<3nm・・・(2)
の範囲にあり、特に好ましくは下記式(3)
R(550)<1nm・・・(3)
の範囲である。
面内の複屈折率が高くなると、読取り光の再生信号へのモジュレーションが大きくなり再生信号レベルが不安定化する。
(ポリカーボネート共重合体)
本発明の光透過層用フィルムは、繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)を含むポリカーボネート共重合体から形成される。
(繰り返し単位(A))
単位(A)は下記式で表される。
Figure 2010077249
単位(A)中、RおよびRは夫々独立して、水素原子、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示す。炭化水素基として、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基が挙げられる。ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
およびRは夫々独立して、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、より好ましくはエチレン基である。
pおよびqは、それぞれ−(R−O)−および(O−R)−の繰り返しの数を表す。pおよびqは、夫々独立して、0以上の整数であり、好ましくは0〜20の整数、さらに好ましくは0〜12の整数、さらにより好ましくは0〜8の整数、特に好ましくは0〜4の整数、最も好ましくは0または1である。
mおよびnは、夫々独立して0〜4の整数を示す。
(pおよびqが1以上の整数の場合)
pおよびqが1以上の整数の場合、単位(A)として、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロペニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フルオロフェニル]フルオレン、およびこれらの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレンから誘導される単位が挙げられる。また、pおよびqが2以上である9,9−ビス[ヒドロキシポリ(アルキレンオキシ)フェニル]フルオレン等から誘導される単位が挙げられる。
これらのうち、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン}等が好ましい。
特に、下記式
Figure 2010077249
で示される9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)から誘導される単位(A1)が好ましい。
これらの単位(A)を誘導する化合物は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて用いることもできる。
単位(A)を誘導する化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、基RおよびRに対応する化合物(アルキレンオキサイド、ハロアルカノール等)とを反応させることにより得られる。例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキサイドを付加することにより得られる。9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンは、例えば、9,9−ビス[4−ヒドロキシフェニル]フルオレンと3−クロロプロパノールとをアルカリ条件下にて反応させることにより得られる。なお、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンは、フルオレノン(9−フルオレノン等)と対応するフェノールとの反応により得ることができる。9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンは、例えば、フェノールと9−フルオレノンとの反応によって得ることができる。
(pおよびqが0の場合)
pおよびqが0の場合、単位(A)として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン等から誘導される単位が挙げられる。これらの単位(A1)を誘導する化合物は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて用いることもできる。
特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンから誘導される下記式
Figure 2010077249
で表される単位(A2)が好ましい。
単位(A2)を含むポリカーボネート共重合体は、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5.0以下である。このb値が上記範囲内であれば、ポリカーボネート共重合体から形成される光ディスク基板は色相が良好で強度が高い。
単位(A2)の原料である9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、o−クレゾールとフルオレノンの反応によって得られる。b値の小さい9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、不純物を除去することによって得ることができる。
具体的には、o−クレゾールとフルオレノンの反応後に、未反応のo−クレゾールを留去した後、残さをアルコール系、ケトン系またはベンゼン誘導体系の溶媒に溶解し、これに活性白土または活性炭を加えてろ過後、ろ液から結晶化した生成物をろ過して、精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンを得ることができる。除去される不純物としては、2,4’−ジヒドロキシ体、2,2’−ジヒドロキシ体および構造不明の不純物等である。かかる精製に用いるアルコール系の溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールが好ましい。ケトン系の溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこれらの混合物が好ましい。ベンゼン誘導体系の溶媒としてはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合物が好ましい。溶媒の使用量はフルオレン化合物が十分に溶解する量であれば足り、通常フルオレン化合物に対して2〜10倍量程度である。活性白土としては市販されている粉末状または粒状のシリカ−アルミナを主成分とするものが用いられる。また、活性炭としては市販されている粉末状または粒状のものが用いられる。
(繰り返し単位(B))
繰り返し単位(B)は下記式で表される。
Figure 2010077249
式中、R〜Rは夫々独立して、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。アルキル基として炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。特にメチル基が好ましい。単位(B)は、光弾性定数が低く、耐熱性の高いスピロ環を有するジヒドロキシ化合物から誘導される単位である。
単位(B)として、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジエチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)、3,9−ビス(1,1−ジプロピル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等から誘導される単位が挙げられる。
(単位(B1))
特に、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(以下スピログリコールと略す)から誘導される下記式で表される単位(B1)が好ましい。
Figure 2010077249
(ポリカーボネート共重合体の組成比)
ポリカーボネート共重合体中の、単位(A)と単位(B)の割合がモル比で(A):(B)=5:95〜80:20の範囲である。好ましくは(A):(B)=10:90〜70:30の範囲であり、より好ましくは(A):(B)=15:85〜60:40の範囲である。単位(A)の割合が5モル%未満の場合、ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度が100℃より低くなり、耐熱性に劣り好ましくない。また、単位(A)の割合が80モル%を超えるとポリカーボネート共重合体の光弾性定数が25×10−12Pa−1を超えるため好ましくない。単位(A)と単位(B)とのモル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
(ポリカーボネート共重合体の粘度平均分子量)
本発明に使用されるポリカーボネート共重合体の分子量は、粘度平均分子量で表して好ましくは1.0×10〜3.0×10の範囲である。粘度平均分子量が1.0×10より低いとフィルムとして脆くなり、自己支持性がなく製膜が困難となる場合があり好ましくない。一方、粘度平均分子量が3.0×10より高いと溶融粘度が高くなることから製膜時にポリマーが配向しやすくなるためフィルムに複屈折が生じやすくなり、またゲル、ダイ筋等が出やすくなる場合があるため好ましくない。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、1.2×10〜1.9×10の範囲であることがより好ましく、更に好ましくは1.4×10〜1.8×10の範囲である。上記分子量は、使用されるポリカーボネート樹脂が2種以上の混合物である場合には、混合物全体についての分子量をいう。
ここで粘度平均分子量とは、塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液の20℃における比粘度ηspを測定し、下記式により算出される粘度平均分子量Mをいう。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
(ただし、[η]は極限粘度であり、cは濃度(0.7g/dL)である。)
(ポリカーボネート共重合体の光弾性定数)
ポリカーボネート共重合体の光弾性定数の絶対値は、25×10−12Pa−1以下、より好ましくは20×10−12Pa−1以下である。絶対値が25×10−12Pa−1より大きいと、応力による複屈折が大きく、光透過層用フィルムとして好ましくない。光弾性定数はフィルムから長さ50mm、幅10mmの試験片を切り出し、日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し測定する。
(ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度:Tg)
本発明で用いられるポリカーボネート共重合体のガラス転移温度は100〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは120〜180℃の範囲である。ガラス転移温度が高すぎると樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ溶融製膜が困難となるため好ましくなく、一方ガラス転移温度が低すぎると得られるフィルムの耐熱性が不足することがあり、特に偏光膜の保護フィルムとして使用する場合に好ましくない。
(ポリカーボネート共重合体の製造方法)
ポリカーボネート共重合体は、フルオレンジヒドロキシ成分、脂肪族ジオール成分および炭酸ジエステルを溶融重合して製造することができる。
炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。
ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が挙げられる。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が挙げられる。金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−5当量の範囲で選ばれる。
溶融重縮合反応は、従来知られているように不活性ガス雰囲気下および減圧下で加熱しながら攪拌して生成するモノヒドロキシ化合物を留出させることで行なわれる。
反応温度は通常120〜350℃の範囲であり、反応後期には系の減圧度を10〜0.1Torrに高めて生成するモノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせて反応を完結させる。必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。その中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
また、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
(光ディスクの光透過層用フィルムの製造方法)
本発明のポリカーボネート共重合体樹脂から形成される光ディスクの光透過層用フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押し出し法、熱プレス法、カレンダー法など公知の方法を挙げることが出来る。本発明の光透過層用フィルムの製造法としては、溶融押し出し法が生産性の点から好ましい。
溶融押し出し法においては、Tダイを用いて樹脂を押し出し冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの温度はポリカーボネートの分子量、Tg、溶融流動特性などから決められるが、180〜350℃の範囲であり、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすく好ましくない。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)などの問題が起きやすく、好ましくない。
また、本発明で用いるポリカーボネート共重合体樹脂は有機溶媒に対する溶解性が良好なので、溶液キャスト法も適用することが出来る。溶液キャスト法の場合は、溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジオキソラン、ジオキサンなどが好適に用いられる。溶液キャスト法で用いられるフィルム中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。2重量%より残留溶媒が多いとフィルムのガラス転移温度の低下が著しくなり耐熱性の点で好ましくない。
本発明の光ディスクの光透過層用フィルムは、高い耐熱性を有し、複屈折が小さく、かつ光弾性定数が低いことから、その奏する工業的効果は格別である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂及び評価方法は以下のとおりである。
(1)粘度平均分子量
ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度を測定し、下記式から算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
ηsp:比粘度
η:極限粘度
c:定数(=0.7)
M:粘度平均分子量
(2)ガラス転移温度
ポリカーボネート樹脂を用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
(3)光弾性定数
フィルムから長さ50mm、幅10mmの試験片を切り出し、日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し光弾性定数を測定した。
(4)位相差測定
フィルムから長さ50mm、幅10mmの試験片を切り出し、切り出したフィルムを日本分光(株)製Spectroellipsometer M−220を使用し、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差(R(550))を測定した。
(5)ポリマー組成比(H−NMR)
日本電子社製JNM−AL400のH−NMRにて測定し、ポリマー組成比を算出した。
[実施例1]
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下スピログリコールと略す)85.13部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)45.37部、ジフェニルカーボネート89.29部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.8×10−2部と水酸化ナトリウム1.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、触媒量の4倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
<光学フィルムの製造>
次に、(株)テクノベル製15φ二軸押出混練機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート樹脂をフィルム成形することにより透明な押出しフィルムを得た。得られたフィルムの中央部付近の厚み60±0.8μmである部分より50mm×10mmサイズのサンプルを切り出し、そのサンプルを用いて光弾性定数、面内位相差を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
スピログリコール72.97部、BCF60.49部、ジフェニルカーボネート89.29部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを得た。NMRより組成比を測定した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルム(厚み60±0.7μm)を作成した。得られたフィルムの光弾性定数、面内位相差を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
スピログリコール60.81部、BCF75.61部、ジフェニルカーボネート89.29部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを得た。NMRより組成比を測定した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルム(厚み60±0.9μm)を作成した。得られたフィルムの光弾性定数、面内位相差を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
スピログリコール60.81部、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下BPEFと略す)87.71部、ジフェニルカーボネート89.29部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを得た。NMRより組成比を測定した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルム(厚み60±0.8μm)を作成した。得られたフィルムの光弾性定数、面内位相差を評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
スピログリコール48.65部、BPEF105.25部、ジフェニルカーボネート89.29部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを得た。NMRより組成比を測定した。
<光学フィルムの製造>
次に実施例1と同様にしてフィルム(厚み60±0.9μm)を作成した。得られたフィルムの光弾性定数、面内位相差を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
<ポリカーボネート共重合体樹脂の製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水9809部、48%水酸化ナトリウム水溶液2271部を加え、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1775部及びナトリウムハイドロサルファイト3.5部を溶解し、塩化メチレン7925部を加えた後、攪拌しながら16〜20℃にてホスゲン1000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール52.6部と48%水酸化ナトリウム水溶液327部を加え、さらにトリエチルアミン1.57部を添加して20〜27℃で40分間攪拌して反応を終了した。生成物を含む塩化メチレン層を希塩酸、純水にて洗浄後、塩化メチレンを蒸発させポリカーボネート樹脂を得た。
<光学フィルムの製造>
得られたポリカーボネート樹脂を15φ二軸押し出し混練機によりペレット化した。次に実施例1と同様にしてフィルム(厚み60±0.8μm)を作成した。得られたフィルムの光弾性定数、面内位相差を評価した。結果を表1に示す。本フィルムは光弾性定数が80×10−12Pa−1と高いため、応力がかかると複屈折が発生しやすい。
Figure 2010077249
[実施例6]
<光ディスクの作成>
実施例1で製膜したフィルムを光透過層とする光ディスク(Blu−ray Disc(商品名)仕様)を作成した。
先ず、ポリカーボネート樹脂のペレット(帝人化成(株)製、商品名「AD−5503」、ビスフェノールAのホモポリマー、Tg=145℃、粘度平均分子量M=15,000)を光ディスク用射出成形機((株)名機製作所製、型式「M35B−D−DM」)により射出成形し、外径120mmφ、内径15mmφ、厚み1.1mmの光記録層用の基板を作成した。この射出成形の際、Blu−ray Disc ROM用のスタンパーを金型に装着して成形することにより、基板の片面表面にデータ情報、トラッキングサーボ信号等を記録したピットを形成した。
次いで、形成した基板を高周波マグネトロンスパッタ装置の真空層内に固定して5.3×10−5Paまで排気した後、Arガスを導入して圧力0.067Paとなるようガス流量を調整し、Agのターゲットを用いて放電電力500Wsにて基板のピット面側にDCスパッタリングによりAg膜を25nm堆積して光反射層とした。
上記のAg膜を有する基板のAg膜側に、紫外線硬化性のフェノールノボラックエポキシアクリレート樹脂をスピンコートにより塗布した。
実施例1で製膜したポリカーボネート共重合体樹脂フィルムを外径120mmφ、内径15mmφに切り出し、マスキングフィルムを剥がした後に上記基板上に塗布したフェノールノボラックエポキシアクリレート樹脂層の上に貼り合わせ、紫外線照射装置を通過させて樹脂を硬化した。更に、貼り合せたポリカーボネート樹脂フィルム上にアクリレート系ハードコート剤をスピンコートにより塗布し、紫外線硬化させることにより、ポリカーボネート樹脂フィルムを光透過層とする光ディスク(Blu−ray Disc媒体)を得た。
上記の如くして得られた光ディスクは、フォーカス残差が非常に小さく、信号の時間軸方向のずれであるジッタが非常に小さいものであった。
[比較例2]
<光ディスクの作成>
比較例1で得られた面内の位相差の大きいポリカーボネート樹脂フィルムを光透過層として用いた以外は実施例6と同様にして光ディスク(Blu−ray Disc媒体)を得た。
上記の如くして得られた光ディスクは、再生信号のレベルが不安定であり、ノイズの大きいものであった。

Claims (9)

  1. 下記式
    Figure 2010077249
    (式中、RおよびRは夫々独立して、水素原子、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示し、RおよびRは夫々独立して、炭素数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、mおよびnは夫々独立して0〜4の整数を示し、pおよびqは、夫々独立して0以上の整数を示す。)
    で表される繰り返し単位(A)及び下記式
    Figure 2010077249
    (式中、R〜Rは夫々独立して、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
    で表される繰り返し単位(B)を含み、単位(A)と単位(B)の割合がモル比で(A):(B)=5:95〜80:20の範囲であるポリカーボネート共重合体からなる光ディスクの光透過層用フィルム。
  2. 単位(A)と単位(B)の割合がモル比で(A):(B)=10:90〜70:30の範囲である請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
  3. 繰り返し単位(A)が下記式で表される繰り返し単位(A1)である請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
    Figure 2010077249
  4. 繰り返し単位(A)が下記式で表される繰り返し単位(A2)である請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
    Figure 2010077249
  5. 繰り返し単位(B)が下記式で表される繰り返し単位(B1)である請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
    Figure 2010077249
  6. 下記式(1)を満たす請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
    R(550)<5nm・・・(1)
    但し、R(550)は、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差値を示す。
  7. ポリカーボネート共重合体の光弾性定数が25×10−12Pa−1以下である請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
  8. フィルムが溶融押出法または溶液キャスト法により成形された請求項1記載の光ディスクの光透過層用フィルム。
  9. 請求項1記載の光透過層用フィルムを使用した光ディスク。
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