JP2010064954A - SiC/Al系複合材料及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非加圧含浸でありながら短時間で金属を含浸させる。
【解決手段】まず、含浸促進材であるチタニア(TiO2)と炭化ケイ素粉末とを、炭化ケイ素に対する含浸促進材の粒径比が1/10以下、炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比が0.15以上となるように混合した混合粉末を作製し該混合粉末を成形してプリフォーにする。このプリフォームをカーボン坩堝に入れ、プリフォーム上にAl合金インゴットを載置した状態で、真空雰囲気下で1200℃に加熱することにより、Al合金をプリフォームに含浸させて含浸体とする。その後、含浸体を徐々に冷却することによりSiC/Al系複合材料を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、SiC/Al系複合材料及びその製法に関する。
従来より、セラミックス粒子多孔体の孔内に金属を主成分とするマトリックスが充填された構造のセラミックス/金属複合材料(メタル・マトリックス・コンポジット(MMC)ともいう)が知られている。こうしたセラミックス/金属複合材料は、軽量・高剛性を特徴とする半導体や液晶等の製造装置部材に利用されたり、軽量・高温強度・耐摩耗性を特徴とする自動車・輸送機器部材に利用されたり、高熱伝導・低熱膨張が要求される放熱部材に利用されたりする。こうした複合材料の中でも、SiC/Al複合材料は現在一番広く使用されているものであり、特に製造装置部材(特許文献1参照)や放熱材(特許文献2,3)の用途において有望な材料として期待されている。
ところで、こうした複合材料の製造方法としては、加圧含浸法、非加圧金属浸透法、粉末冶金法などが知られているが、このうち、非加圧金属浸透法が注目されている。この非加圧金属浸透法は、ランクサイド(Lanxide)社のPRIMEX法として知られる方法であり(特許文献4参照)、SiCなどのセラミックス粉末で形成されたプリフォームに、Mgを含むアルミニウムインゴットを接触させ、このインゴットを窒素ガス雰囲気中で加熱・溶融したアルミニウム合金をプリフォームに浸透させる方法である。この方法では、アルミニウム合金中のMgが揮発し、揮発したMgと窒素ガスとの気相反応によってセラミックス粉末の表面に窒化マグネシウムが生成し、これがアルミニウムと極めて反応し易いため、溶融したアルミニウム合金がプリフォームに加圧しなくても浸透していく。
特開平11−157965号公報 特開平11−116361号公報 特開2001−2476号公報 特許2801302号公報
しかしながら、PRIMEX法では、気相反応に伴って濡れ性を向上させて非加圧で金属を含浸させるため、含浸が完了するまでに非常に長い時間を要するという問題があった。また、SiC/Al複合材料として、従来の方法で製造されたものよりも熱膨張係数が小さくヤング率が大きいものが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、非加圧含浸でありながら短時間で金属を含浸させることのできるSiC/Al系複合材料の製法を提供することを目的とする。また、従来と比べて同じSiC体積率において熱膨張係数が小さくヤング率が大きいSiC/Al系複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、加圧含浸法やPRIMEX法の欠点を克服すべく鋭意検討した結果、炭化ケイ素粒子のプリフォーム中に含浸促進材としてチタニア又はジルコニアを添加し、そのプリフォームとアルミニウム合金のインゴットとを接触させた状態で真空下で1000℃以上に加熱したところ、非加圧でアルミニウム合金が速やかにプリフォームに含浸することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のSiC/Al系複合材料の製法は、(a)チタニア(TiO2)及びジルコニア(ZrO2)の少なくとも一方の含浸促進材と炭化ケイ素粉末とを、炭化ケイ素に対する含浸促進材の粒径比が1/10以下、炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比が0.15以上となるように混合した混合粉末を作製するか又は該混合粉末を成形してプリフォームにする工程と、(b)前記混合粉末又は前記プリフォームをアルミニウム又はアルミニウム合金と接触させた状態で、減圧下又は非加圧の不活性ガス雰囲気下で1000℃以上に加熱することにより、アルミニウム又はアルミニウム合金を前記混合粉末又は前記プリフォームに含浸させて含浸体とする工程と、(c)前記含浸体を冷却することによりSiC/Al系複合材料を得る工程と、を含むものである。
また、本発明のSiC/Al系複合材料は、炭化ケイ素のセラミックス粒子多孔体の孔内にアルミニウムを主成分とするマトリックスが充填された構造のSiC/Al系複合材料であって、前記マトリックスには、金属アルミニウムとアルミナのほかに、アルミニウム−チタン系化合物及びアルミニウム−ジルコニウム系化合物の少なくとも一方が含まれているものである。
本発明のSiC/Al系複合材料の製法によれば、非加圧で短時間のうちにSiC/Al系複合材料が得られるため、生産性が向上する。こうした効果が得られる理由は明らかではないが、工程(b)で溶融したアルミニウム又はアルミニウム合金が混合粉末又はプリフォームへ含浸する際に、含浸促進材であるチタニア又はジルコニアと反応して発熱することにより非加圧含浸が誘起されたものと考えられる。含浸促進材としてチタニアを用いた場合の発熱反応の式を以下に示す(△H:反応熱)。
3TiO2+13Al→2Al23+3Al3Ti+△H
また、本発明のSiC/Al系複合材料によれば、マトリックスに、金属アルミニウムとアルミナとアルミニウム−チタン系化合物及びアルミニウム−ジルコニウム系化合物の少なくとも一方とが含まれているため、従来の加圧含浸法や非加圧金属浸透法によって得られるマトリックスが金属アルミニウムだけのSiC/Al系複合材料に比べて、同じSiC体積率ではヤング率が高く、熱膨張係数が低いものとなる。
SiC/Al系複合材料の製造途中の装置構成を示す断面図である。 試験例11のSiC/Al系複合材料の断面SEM像の写真(倍率500倍)である。 試験例11のSiC/Al系複合材料のEDSマッピング像の写真である。
本発明のSiC/Al系複合材料の製法は、(a)チタニア(TiO2)及びジルコニア(ZrO2)の少なくとも一方の含浸促進材と炭化ケイ素粉末とを、炭化ケイ素に対する含浸促進材の粒径比が1/10以下、炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比が0.15以上となるように混合した混合粉末を作製するか又は該混合粉末を成形してプリフォームにする工程と、(b)前記混合粉末又は前記プリフォームをアルミニウム又はアルミニウム合金と接触させた状態で、減圧下又は非加圧の不活性ガス雰囲気下で1000℃以上に加熱することにより、アルミニウム又はアルミニウム合金を前記混合粉末又は前記プリフォームに含浸させて含浸体とする工程と、(c)前記含浸体を冷却することによりSiC/Al系複合材料を得る工程と、を含むものである。
工程(a)では、含浸促進材としてチタニア及びジルコニアのいずれか一方を用いてもよいし両方を用いてもよい。また、含浸促進材と炭化ケイ素粉末との混合粉末はそのまま次工程(b)に用いてもよいし、その混合粉末を成形してプリフォームとしたあと次工程(b)に用いてもよい。含浸促進材と炭化ケイ素粉末とを混合するには乾式混合、湿式混合のいずれを採用してもよい。湿式混合を採用した場合、例えば、有機溶媒に含浸促進材と炭化ケイ素粉末とを入れてスラリーとしたあと玉石やビーズなどと共に混合し、得られた混合スラリーを不活性ガスの気流下で乾燥して混合粉末とする。混合粉末を作製する際には、炭化ケイ素に対する含浸促進材の粒径比が1/10以下で且つ炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比が0.15以上になるようにする。粒径比が1/10未満であったり体積比が0.15未満であったりすると、工程(b)で、混合粉末又はプリフォームのうちアルミニウム又はアルミニウム合金が含浸しない部分が発生するため好ましくない。また、体積比は0.20以上が好ましい。体積比が0.15以上0.20未満では、工程(b)で、混合粉末又はプリフォームの全体にアルミニウム又はアルミニウム合金が含浸するものの緻密性が低い部分が生じることがあるのに対し、体積比が0.20以上ではそのような緻密性の低い部分がほとんど生じないため好ましい。
工程(b)では、混合粉末又はプリフォームを、アルミニウム又はアルミニウム合金と接触させた状態とする。例えば、混合粉末又はプリフォームの上に、アルミニウムのインゴット又はアルミニウム合金のインゴットを載せてもよいし、逆にインゴットの上に混合粉末又はプリフォームを載せてもよい。そして、減圧下又は非加圧の不活性ガス雰囲気下で、所定の設定温度に加熱する。設定温度は、1000℃以上、好ましくは1200℃以上とする。設定温度が1000℃の場合には、混合粉末又はプリフォームの全体にアルミニウム又はアルミニウム合金が含浸するものの緻密性が低い部分が生じることがあるのに対し、設定温度が1200℃の場合には、そのような緻密性の低い部分がほとんど生じないため好ましい。また、設定温度での保持時間は、アルミニウム又はアルミニウム合金が混合粉末又はプリフォームに十分に含浸するように設定すればよく、通常は、数秒〜数10分の間で設定すればよい。ここで、減圧とは、真空雰囲気(ここでは1Pa前後)であってもよいし数10〜数100Paの雰囲気であってもよい。また、不活性ガスとは、アルゴンガスなどのように含浸促進材や炭化ケイ素粉末と反応しないガスであれば特に限定されない。非加圧の不活性ガス雰囲気下にするには、例えば、系内を真空に引いたあと不活性ガスを1〜5L/minの流量で流すことで実現される。なお、設定温度まで加熱する前に、アルミニウム又はアルミニウム合金の融点より低い温度(例えば500℃とか550℃)で系内を数分〜数10分の間加熱して均熱化することが好ましい。
工程(c)では、含浸体を冷却することによりSiC/Al系複合材料を得る。通常は、工程(b)で設定温度に加熱した後、徐冷するのが好ましい。急冷した場合、凝固収縮により気孔が生成しやすくなる可能性が出てくるため余り好ましくない。
本発明のSiC/Al系複合材料は、炭化ケイ素のセラミックス粒子多孔体の孔内にアルミニウムを主成分とするマトリックスが充填された構造のSiC/Al系複合材料であって、前記マトリックスには、金属アルミニウムとアルミナのほかに、アルミニウム−チタン系化合物及びアルミニウム−ジルコニウム系化合物の少なくとも一方が含まれているものである。こうしたSiC/Al系複合材料は、上述した本発明のSiC/Al系複合材料の製法によって得ることができるものであり、従来の加圧含浸法や非加圧金属浸透法によって得られるSiC/Al複合材料に比べて、同じSiC体積率においてヤング率が高く、熱膨張係数が低い傾向にある。例えば、ヤング率が200GPa以上であったり熱膨張係数が7〜8ppm/Kであったりする。こうした複合材料は、半導体製造装置部材や自動車・輸送機器部材、半導体パワーモジュール(IGBT)の放熱部材などに有望である。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
[試験例1〜8]
以下のようにして混合粉末の調合とプリフォームの成形を行った。すなわち、平均粒径が約47μmのSiC粒子(GC系(緑色):純度98%以上)と平均粒径が約1μmの添加材(TiO2(試験例1)、ZrO2(試験例2)、NiO(試験例3)、Fe23(試験例4)、SiO2(試験例5)、Cr23(試験例6)、CuO(試験例7))を乾式で袋混合した。このときのSiC粒子に対する含浸促進材の体積比は、0.30とした。その後、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒とし、ナイロン製のポット、φ5mmのアルミナ玉石を用いて湿式混合した。混合後、スラリーを取り出し、窒素気流中110℃で乾燥し、調合粉末とした。得られた調合粉末をカーボンシートを敷き詰めた有底筒状のカーボン坩堝中に充填し、約50MPaにて一軸加圧成形を行い、直径30mm、高さ 5mmの円柱状のプリフォームとした。なお、添加材なしのSiC粒子についてもプリフォームを作製した(試験例8)。
次に、プリフォームに対して非加圧含浸を試みた。すなわち、カーボン坩堝中のプリフォーム上に縦20mm×横20mm×高さ20mmのAl合金(JIS規格でAC4C(Al−Si−Mg系))のインゴットを載置し、雰囲気炉にセッティングした。このときの様子を図1に示す。その後、約1Paの真空下にて、Al合金融点より低い500℃で30分間の均熱化後、昇温速度10K/minで所定の含浸温度(900℃,1200℃)まで加熱し、その温度で30分間保持したあと、徐冷してカーボン坩堝からSiC/Al系複合材料を取り出した。
試験例1〜8のSiC/Al系複合材料の含浸性を調べた結果を表1に示す。表1の「含浸性」の欄において、◎はプリフォームの全体的にほぼ緻密にAl合金が含浸したことを示し、○はプリフォームの全体的にAl合金が含浸したが緻密性の低い部分があったことを示し、△はプリフォームにAl合金が含浸していない部分があったことを示し、×はプリフォームにAl合金がほとんど含浸しなかったことを示す。含浸温度900℃では、試験例1〜8のいずれにおいてもAl合金がプリフォームに含浸しなかった。一方、含浸温度1200℃では、添加材としてTiO2,ZrO2を用いた試験例1,2においてAl合金がプリフォームの全体にわたって含浸していたのに対し、添加材としてNiOを用いた試験例3ではAl合金がプリフォームの上部のみに含浸しており、添加材としてFe23,SiO2,Cr23,CuOを用いた試験例4〜7や添加材を用いなかった試験例8ではAl合金がプリフォームに含浸しなかった。この結果から、TiO2,ZrO2が含浸促進材として機能することがわかった。なお、試験例1,2の含浸温度1200℃の場合が実施例に相当し、そのほかはすべて比較例に相当する。以下の試験例では、軽量性の点から、TiO2を含浸促進材として採用することとした。
[試験例9〜21]
平均粒径が約3〜200μmのSiC粒子(GC系(緑色):純度98%以上)と平均粒径が約0.3〜1μmの含浸促進材TiO2とを用いて、炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比を0.10〜0.50とし、上述した試験例1〜8の方法に準じて、プリフォームを作製し、そのプリフォーム上にAl合金(JIS規格でAC4C(Al−Si−Mg系))のインゴットを載置し、雰囲気炉にセッティングした。その後、約1Paの真空下にて、500℃で30分間の均熱化後、昇温速度10K/minで所定の含浸温度(1200℃,1000℃)まで加熱し、その温度で30分間保持したあと、徐冷してカーボン坩堝からSiC/Al系複合材料を取り出した。なお、試験例15では、真空下ではなく、アルゴンガス気流下で加熱した。具体的には、最初に約1Paの真空に引いた後、アルゴンガスを3L/minの流量で流しながら加熱した。
試験例9〜21のSiC/Al系複合材料の含浸性を調べた結果を表2に示す。表2の「含浸性」の欄の◎、○、△、×については、表1と同じであるためその説明を省略する。TiO2/SiC粒径比が1/10以下の場合には含浸性が非常に良好であったが(試験例9〜13)、1/3の場合には含浸性が不良となった(試験例14)。また、TiO2/SiC体積比は0.20以上であれば含浸性は非常に良好であったが(試験例9〜13,16〜18)、0.15では良好(試験例19)、0.10では不良となった(試験例20)。更に、アルゴン雰囲気下で加熱した場合には含浸性が良好であったが(試験例15)、真空雰囲気下で加熱した方がより優れた結果となった(試験例11)。加熱時の含浸温度を1000℃にした場合には含浸性が良好であったが(試験例21)、含浸温度を1200℃にした方がより優れた結果となった(試験例16)。なお、試験例9〜13,15〜19,21が実施例に相当し、試験例14,20が比較例に相当する。
[各種物性の評価]
試験例17,11,18について、各種の物性(密度、曲げ強度、ヤング率、熱伝導率、熱膨張係数)を測定した。また、試験例22として、SiC体積率を60vol%とした以外は試験例18と同条件でSiC/Al系複合材料を作製した。更に、試験例23として、従来の加圧含浸法によりSiC/Al複合材料を作製した。具体的には、含浸促進材を添加しない以外は試験例1〜8の手順に準じてカーボン坩堝中にSiC粒子を充填後、成形してプリフォームを作製した。そして、SiC粉末が充填されたカーボン坩堝の外周を断熱材であるセラミックファイバーシートで囲み、その後電気炉へ入れ大気中250℃で加熱した。電気炉加熱後、200℃に予熱した溶湯鍛造装置中の金型内に配置し、その上から溶湯温度700℃の溶融Alをプリフォーム上へ注ぎ、ピストン加圧力80MPaの条件で加圧含浸して複合材を製造した。ここで、試験例22は実施例に相当し、試験例23は比較例に相当する。これらの試験例22,23についても、先ほどと同様の物性を測定した。測定結果を表3に示す。なお、物性の測定方法は以下の通り。
(1)SiC体積率:プリフォームの体積に占める、使用したSiC粒子の体積の割合から算出した。尚、SiCの密度は3.22g/cm3を用いた。
(2)密度:純水を媒体としてアルキメデス法により測定した。
(3)曲げ強度:JISR1601に準じて4点曲げ試験を行い、曲げ強度を算出した。また、ヤング率については応力−歪曲線より弾性変形域を示す直線部から算出した。
(4)熱伝導率:JISR1611に準じ、室温にてレーザーフラッシュ法(真空理工製、TC−7000)により測定した。
(5)熱膨張係数:JISR1618に準じ、理学電機工業製のTMA8310を用いて測定した。測定条件は、昇温速度10K/min、Ar雰囲気とした。また、明細書記載の測定値は40−150℃でのデータとした。
表3から明らかなように、従来の加圧含浸法を採用した試験例23では、ヤング率が175GPa、熱膨張係数が10.5ppm/Kだったのに対して、本発明の非加圧含浸法を採用した試験例17,11,18,22では、ヤング率が200GPa以上に向上し、熱膨張係数が7.4〜7.8ppm/Kに低下した。特に、本発明の試験例11と従来の試験例23とを比較すると、両者はSiC体積率がほぼ同一であるが、試験例11では試験例23に比べて熱膨張係数が小さくヤング率が大きかった。これは、試験例23のSiC/Al系複合材料ではマトリックス中に金属Alが存在するにとどまるのに対し、試験例17,11,18,22のSiC/Al系複合材料では、後述するようにマトリックス中に金属AlのほかにAl23相とAl−Ti系化合物相とを含有していたことによると考えられる。また、製造プロセスとしては、試験例17,11,18,22では加圧力を利用しない非加圧含浸法のため、加圧力を利用する試験例23に比べて、設備制限が少なく、大型化に適するといえる。なお、従来の非加圧金属浸透法(PRIMEX法)で製造したSiC/Al複合材料も、試験例23と同様の2相複合材となるため、試験例23とほぼ同様の物性となる。また、試験例17,11,18,22では、TiO2/SiC体積比が0.40から0.20へ低くなるにつれて、SiC/Al系複合材料の熱伝導率は高く、ヤング率は低くなる傾向を示した。
[微構造観察等]
試験例11につき、走査型電子顕微鏡(SEM)による微構造観察と、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)による元素マッピングを行った。図2に断面SEM像、図3にEDSマッピング像を示す。EDSマッピング像より、試験例11のSiC/Al系複合材料は、炭化ケイ素のセラミックス粒子多孔体の孔内にアルミニウムを主成分とするマトリックスが充填された構造であること、マトリックス中にAl−Ti系化合物(Al3Ti)が存在することがわかった。なお、マトリックス中にAl23とAl−Ti系化合物が含まれるのは、前記の発熱反応が進行したためと考えられる。また、XRD解析を行い、主相がSiC,Al−Ti系化合物,金属Al,Al23からなることを確認した。

Claims (5)

  1. 炭化ケイ素のセラミックス粒子多孔体の孔内にアルミニウムを主成分とするマトリックスが充填された構造のSiC/Al系複合材料であって、
    前記マトリックスには、金属アルミニウムとアルミナのほかに、アルミニウム−チタン系化合物及びアルミニウム−ジルコニウム系化合物の少なくとも一方が含まれている、
    SiC/Al系複合材料。
  2. ヤング率が200GPa以上、熱膨張係数が8ppm/K以下である、
    請求項1に記載のSiC/Al系複合材料。
  3. (a)チタニア(TiO2)及びジルコニア(ZrO2)の少なくとも一方の含浸促進材と炭化ケイ素粉末とを、炭化ケイ素に対する含浸促進材の粒径比が1/10以下、炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比が0.15以上となるように混合した混合粉末を作製するか又は該混合粉末を成形してプリフォームにする工程と、
    (b)前記混合粉末又は前記プリフォームをアルミニウム又はアルミニウム合金と接触させた状態で、減圧下又は非加圧の不活性ガス雰囲気下で1000℃以上に加熱することにより、アルミニウム又はアルミニウム合金を前記混合粉末又は前記プリフォームに含浸させて含浸体とする工程と、
    (c)前記含浸体を冷却することによりSiC/Al系複合材料を得る工程と、
    を含むSiC/Al系複合材料の製法。
  4. 前記工程(b)では、真空雰囲気下で含浸させる、
    請求項3に記載のSiC/Al系複合材料の製法。
  5. 前記工程(b)では、1200℃以上に加熱する、
    請求項3又は4に記載のSiC/Al系複合材料の製法。
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