JP6807013B2 - アルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金−セラミックス複合材およびアルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法に関する発明である。
近年、基材となる金属に、セラミックスの繊維や粒子等を強化材とする金属−セラミックス複合材が注目されている。特に、アルミニウム合金−セラミックス複合材(以下、アルミニウム合金−セラミックス複合材を、単に複合材という場合がある。)は、アルミニウムやアルミニウム合金などの基材となる金属が有する強度、延性、靭性、成形性および熱伝導性等と、強化材である炭化ケイ素、窒化アルミ、アルミナなどの繊維や粒子からなるセラミックスが有する剛性、耐摩耗性、低熱膨張性等とを併せもつために、主に放熱用途の製品、例えば軽量化、高熱伝導、低熱膨張などが要求される輸送用機器部品、電子部品等、特に半導体素子の作動熱を放散させるための放熱基板に利用されてきている。
このような複合材に関連する先行技術の一例が、下記特許文献1〜3に開示されている。特許文献1に開示された複合材の製造方法は、「強化材であるセラミックス粉末またはセラミックス繊維にTiO粉末、MgO粉末、TiC粉末またはTiN粉末の少なくとも1種を添加し、それを混合したセラミックス粉末またはセラミックス繊維でプリフォームを形成し、そのプリフォームにマトリックスである溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を窒素雰囲気中にて非加圧で浸透させる」、複合材の製造方法である。かかる特許文献1の製造方法によれば、「TiO粉末などの粉末をプリフォーム中に含ませれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の浸透を改善することができる」、と記載されている。
また、特許文献2に開示された複合材の製造方法は、「セラミックス粉末でプリフォームを形成し、そのプリフォームに溶融したアルミニウム合金を窒素雰囲気中で非加圧で浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法において、該セラミックス粉末が、チタニア粉末を1〜3質量%含有するアルミナ系のセラミックス粉末であり、該アルミニウム合金が、Al−Mg系のアルミニウム合金である」、複合材の製造方法である。かかる特許文献2の製造方法によれば、「加工面に存在する500μm以上のポアの数が大幅に減少する複合材料が得られる」、と記載されている。
さらに、特許文献3に開示された複合材は、「炭化ケイ素のセラミックス粒子多孔体の孔内にアルミニウムを主成分とするマトリックスが充填された構造のSiC/Al系複合材料であって、前記マトリックスには、金属アルミニウムとアルミナのほかに、アルミニウム−チタン系化合物及びアルミニウム−ジルコニウム系化合物の少なくとも一方が含まれている、SiC/Al系複合材料」である。そして、特許文献3には、当該複合材の製造方法として、「(a)チタニア(TiO)及びジルコニア(ZrO)の少なくとも一方の含浸促進材と炭化ケイ素粉末とを、炭化ケイ素に対する含浸促進材の粒径比が1/10以下、炭化ケイ素に対する含浸促進材の体積比が0.15以上となるように混合した混合粉末を作製するか又は該混合粉末を成形してプリフォームにする工程と、(b)前記混合粉末又は前記プリフォームをアルミニウム又はアルミニウム合金と接触させた状態で、減圧下又は非加圧の不活性ガス雰囲気下で1000℃以上に加熱することにより、アルミニウム又はアルミニウム合金を前記混合粉末又は前記プリフォームに含浸させて含浸体とする工程と、(c)前記含浸体を冷却することによりSiC/Al系複合材料を得る工程と、を含むSiC/Al系複合材料の製法」が、開示されている。
特開2002−241869号公報 特開2003−277850号公報 特開2010−64954号公報
ここで、例えば複合材の一つの用途である放熱基板を例としてあげると、半導体素子の高性能化や高パワーデバイス化(例えば、インバータモジュール用)などに伴い、当該放熱基板に搭載される半導体素子や絶縁基板と同程度の6〜10(ppm/K)の範囲の低い熱膨張率を有するとともに、半導体素子が発生する熱を、放熱基板を介し冷却体等へより早く逃がすため、より高い熱伝導率を有する放熱基板が要請されている。しかしながら、上記特許文献1〜3に開示された複合材または複合材の製造方法により得られた複合材は、より高い熱伝導率を有する放熱基板を具現することが困難であり、上記要請に十分に対応することができなかった。
本発明は、上記要請を鑑みてなされた発明であり、その目的は、所定の熱膨張率を有しつつ高い熱伝導率を有するアルミニウム合金−セラミックス複合材およびそのようなアルミニウム合金−セラミックス複合材を製造するために好適な製造方法を提供することである。
上記目的を達成する本発明の一つの態様は、SiC粒子とFe、Ti、Ni、およびVからなる元素群のうち少なくとも1つの元素を含む粒子を有する成形用粉であって、前記粒子中に含まれる前記元素群の割合が前記成形用粉に対して0.09〜0.49質量%である前記成形用粉から、プリフォームを成形し、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、前記元素群:0.25〜0.31質量%、残部Alおよび不可避不純物元素からなるアルミニウム合金溶湯を、前記プリフォームに浸透させてなるアルミニウム合金−セラミックス複合材を製造する方法であって、前記アルミニウム合金−セラミックス複合材は、アルミニウム合金からなる基地と前記基地中に分散した複数個のSiC粒子とを有し、切断面において、前記SiC粒子の面積率が50〜75%、円相当粒径分布がd10:25〜100μm、d50:75〜200μm、d90:130〜320μmであり、さらに前記元素群のうち少なくも1つの元素からなる化合物粒子を前記基地中に有しており、前記化合物粒子で形成される直径が5μm以上の凝集部の面積率が0.3〜1.0%である、アルミニウム合金−セラミックス複合材を製造する方法であるただし、前記円相当粒径分布は、前記切断面において、画像解析装置で5視野ごとに円相当粒径、粒径分布(d10、d50、d90)を求め、さらに前記5視野の平均値として求める円相当粒径分布(d10、d50、d90)であり、前記化合物粒子は、前記切断面において、前記元素群と、前記元素群と化合物を構成する元素とがなす粒子をエネルギー分散型X線分析により特定されるものであり、前記凝集部は、前記切断面において、互いに隣接する間隔が1μm以下に寄り集まった前記化合物粒子の集合部分であり、前記凝集部の直径は、前記凝集部を内包する最小円の直径をいう。
上記アルミニウム合金−セラミックス複合材において、前記凝集部のうち直径が5μm以上の凝集部の平均径が5〜15μmであることが望ましく、加えて、前記凝集部のうち直径が5μm以上の凝集部の最大径が20μm以下であることが更に望ましい。
さらに加えて、円相当径が10μm以上の気孔の面積率が1.5%以下であることが望ましい。
上記アルミニウム−セラミックス複合材によれば、熱伝導率が180〜240W/m・K、熱膨張率が6〜10ppm/Kである複合材を構成することができる。
上記目的を達成する本発明の他の一つの態様は、D10:30〜120μm、D50:90〜250μm、D90:160〜400μmの粒度分布を有するSiC粒子と、Fe、Ti、Ni、およびVからなる元素群のうちの少なくとも1つの元素を含む粒子とを有する成形用粉から前記SiC粒子の体積率が50〜75体積%のプリフォームを形成するプリフォーム成形工程と、前記プリフォームに、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、前記元素群:0.25〜0.31質量%、残部がAlおよび不可避不純物元素からなるアルミニウム合金溶湯を大気雰囲気下で浸透させて浸透体を形成する浸透工程と、前記浸透体を冷却して前記アルミニウム合金溶湯を凝固させる冷却工程と、を有し、前記粒子中に含まれる前記元素群の前記成形用粉に対する質量%の値と、前記アルミニウム合金溶湯に含まれる前記元素群の質量%の値との和が0.36〜0.90であって、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、残部Alおよび不可避不純物元素からなる基地と、前記基地中に分散した複数個のSiC粒子とを有し、切断面における、前記基地中に分散した前記SiC粒子は、面積率が50〜75%であり、円相当粒径分布がd10:25〜100μm、d50:75〜200μm、d90:130〜320μmであり、前記元素群のうち少なくも1つの元素からなる化合物粒子を前記基地中に有し、前記化合物粒子で形成される直径が5μm以上の凝集部の面積率が0.3〜1.0%である、アルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法、である。
ただし、前記基地中に分散した前記SiC粒子は、エネルギー分散型X線分析でSiとCがともに検出される粒子として同定し、前記円相当粒径分布は、前記切断面において、画像解析装置で5視野ごとに円相当粒径、粒径分布(d10、d50、d90)を求め、さらに前記5視野の平均値として求める円相当粒径分布(d10、d50、d90)であり、前記化合物粒子は、前記切断面において、前記元素群と、前記元素群と化合物を構成する元素とがなす粒子をエネルギー分散型X線分析により特定されるものであり、前記凝集部は、前記切断面において、互いに隣接する間隔が1μm以下に寄り集まった前記化合物粒子の集合部分であり、前記凝集部の直径は、前記凝集部を内包する最小円の直径をいう。
なお、上記製造方法において、D10:50〜150μm、D50:100〜300μm、D90:170〜450μmの粒度分布を有するSiC粒子からなる第1の原料粉 100質量部に対し、D10:5〜20μm、D50:10〜40μm、D90:15〜60μmの粒度分布を有するSiC粒子からなる第2の原料粉 を1〜20質量部、混合して混合粉を得る混合工程を有し、前記プリフォーム成形工程では、前記混合粉を前記成形用粉として使用することが望ましい。
本発明により、低熱膨張率を有しつつ高い熱伝導率を有するアルミニウム合金−セラミックス複合材およびそのようなアルミニウム合金−セラミックス複合材を製造するために好適な製造方法が提供される。
本発明の実施例1に係るアルミニウム合金−セラミックス複合材の切断面の一例を示すミクロ組織写真である。 実施例1の組織をEDXにより分析した結果のうちAl、Si、C各元素の像を示す図である。 実施例1の組織をEDXにより分析した結果のうちOおよびMgの像を示す図である。 実施例1の組織をEDXにより分析した結果のうちFe、TiおよびNiの各元素の像を示す図である。 本発明に係る凝集部の定義を説明するための概念図である。
以下、本発明について、その実施形態および実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。ここで、図1は、本発明の実施例1に係るアルミニウム合金−セラミックス複合材の切断面の一例を示すミクロ組織写真である。図2は、実施例1の組織をEDXにより分析した結果のうちAl、SiおよびC各元素の像を示す図である。図3は、実施例1の組織をEDXにより分析した結果のうちOおよびMgの像を示す図である。図4は、実施例1の組織をEDXにより分析した結果のうちFe、TiおよびNiの各元素の像を示す図である。図5は、本発明に係る凝集部の定義を説明するための概念図である。なお、図2〜4は、上記のとおり各元素のEDX分析結果をグレースケールで示しており、黒色、灰色、白色の順で元素の含有量が増加していることを示している。
本発明に係る複合材10は、図1に示すように、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、残部Alおよび不可避不純物元素からなる基地12と、前記基地12中に分散した複数個のSiC粒子11とを有し、前記SiC粒子11は、面積率が50〜75%であり、円相当粒径分布がd10:25〜100μm、d50:75〜200μm、d90:130〜320μmであり、Fe、Ti、NiおよびVの元素のうち少なくも1つの元素からなる化合物粒子を前記基地12中に有し、前記化合物粒子で形成される直径が5μm以上の凝集部13の面積率は0.3〜1.0%である複合材である。かかる複合材によれば、上記のように所定の割合で化合物粒子を含有させることにより、6〜10ppm/Kの範囲の低い熱膨張率を有し、かつ高い熱伝導率を有する複合材が具現される。
上述した構成から明らかであるが、本発明に係る複合材とは、アルミニウム合金からなる基地中に、所定の粒径分布のSiC粒子が所定の面積率で分散された部材のことを指すが、例えば弾性率を調整する目的で、下記する本化合物元素を含まない化合物粒子(例えばSiO等)を添加してもよい。以下、本発明に係る複合材の構成要素について、詳細に説明する。
(基地)
複合材の基地を構成するアルミニウム合金の組成の限定理由は、下記のとおりである。Siが2.5質量%未満だと、基地組織を構成するアルミニウム合金の強度が低くなり、総合的に複合材の強度が低下するおそれがある。一方で、13質量%を超えると、凝固時に初晶Siが晶出して複合材の強度が低下するおそれがある。また、Mgが1質量%未満だと、下記詳述する浸透工程においてプリフォームにアルミニウム合金溶湯が十分に浸透せず、気孔面積率が増加し、複合材の強度が低下するおそれがある。一方で、Mgが8質量%を超えると熱伝導率が低下するおそれがある。
(SiC粒子)
SiC粒子の円相当粒径分布は、d10:25〜100μm、d50:75〜200μm、d90:130〜320μmであることが望ましい。その理由は、以下のとおりである。SiC粒子のd10〜d90がいずれも下限未満となると、気孔面積率が高くなり、複合材の強度が低下するおそれがある。一方で、d10〜d90がいずれも上限を超えると、同様に複合材の強度が低下するおそれがある。なお、「d10」、「d50」および「d90」とは、SiC粒子の円相当粒径分布の面積基準の累積分布における、10%累積粒径、50%累積粒径、90%累積粒径のことを指す。
SiC粒子の面積率は、50%未満の場合および75%超える場合いずれにおいても、基地とSiC粒子の配分のバランスが悪く、放熱用途の部材として要求される特性である熱的特性(熱伝導率、熱膨張率等)、機械的特性(強度、剛性、靱性等)のいずれかを満足できない可能性がある。よって、SiC粒子の面積率は50〜75%が望ましい。なお、SiC粒子の面積率とは、観察する視野の全体の面積に対し、当該視野に存在するSiC粒子の面積の割合のことを指す。
なお、SiC粒子の結晶構造は多形であるが、本発明に係る複合材に使用するSiC粒子としては、結晶型が4H以上のSiC粒子を使用することが好ましく、熱伝導率を低下させる不純物(例えば、Fe、Mg、Mn、Al、B等)の含有量が少ない、好ましくは500ppm以下のSiC粒子を使用することが望ましい。
(本化合物粒子、凝集部)
本発明に係る化合物粒子(以下、この化合物粒子を本化合物粒子という場合がある。)は、Fe、Ti、NiおよびVからなる元素(以下、これらの元素を本化合物元素と言う場合がある。)のうち少なくとも1つの元素からなる化合物(以下、この化合物を本化合物という場合がある。)、具体的には酸化物(FeO、TiO、NiO等)、窒化物(AlN、TiN等)、炭化物(TiC等)、酸窒化物または炭窒化物などで構成されている。ここで、本化合物粒子は、その全てが本化合物で構成されている必要はなく、粒子の断面視において、概ね50%以上の面積が本化合物で占められていればよい。つまり、SiC粒子の外周部にも本化合物元素を含む層が形成される場合もあるが、SiC粒子の断面視における当該層の面積は、厚くてもたかだか20%程度に過ぎない。このように外周部に薄い本化合物元素を含む層が形成されたSiC粒子は、本発明で定義する本化合物粒子からは除外され、SiC粒子と見なされる。なお、上記化合物粒子は、例えば、EDX(Energy dispersive X−ray spectrometry:エネルギー分散型X線分析)により特定することができる。具体的には、図2〜4に示すように、EDXにより本化合物元素(Fe、Ti、NiおよびV)および本化合物元素と結合するO、NおよびCその他の元素をマッピングし、本化合物元素とO、NまたはC等が重複する粒子を本化合物粒子として特定することができる。
本発明に係る複合材の1つの特徴は、上記本化合物粒子で構成された凝集部のうち、直径が5μm以上の凝集部を面積率が0.3〜1.0%で、基地中に配置することにある。ここで直径が5μm未満の凝集部は、熱伝導率および熱膨張率に影響を及ぼさないので、対象とする本化合物粒子の凝集部の直径は5μm以上に限定する。また、凝集部の面積率が0.3%未満、1.0%を超える場合には、いずれも熱伝導率が低下するので、面積率は、0.3〜1.0%であることが望ましい。本発明に係る複合材によれば、上記した構成要素の複合効果により、熱膨張率が6〜10ppm/K、熱伝導率が180W/m・K以上の複合材を具現することができる。なお、本発明に係る凝集部13とは、複合体の断面の概念図である図5に示すように、複数の本化合物粒子13aが寄り集まった部分のことを指し、具体的には隣接する粒子間の間隙Sが1μm以下である本化合物粒子13aの集合部分のことを言う。また、当該凝集部13の直径Lとは、図示するように、凝集部13を内包する最小円の直径のことを言う。
加えて、より高い熱伝導率を有する複合材を構成するためには、前記凝集部のうち直径が5μm以上の凝集部の平均径が5〜15μmであることが望ましく、前記凝集部のうち直径が5μm以上の化合物粒子の最大径が20μm以下であることがより好ましい。
さらに本発明に係る複合材は、上記のように適切な範囲で配合された基地、SiC粒子および本化合物粒子で構成されているので、円相当径が10μm以上の気孔の面積率(気孔面積率)が1.5%以下と低くなる。なお、気孔の面積率の下限値は複合材の特性という面では0(つまり、円相当径が10μm以上の気孔が存在しない)であっても良いが、工業生産上妥当な費用で複合材を提供するという面から0.1%以上であることが好ましい。
上記した複合材の製造方法は、特段限定されず、例えば粉末法や加圧浸透法などを適用して製造することができるが、本発明に係る製造方法、すなわち、
(1)D10:30〜120μm、D50:90〜250μm、D90:160〜400μmの粒度分布を有するSiC粒子と、Fe、Ti、Ni、およびVからなる元素群のうち少なくとも1つの元素を含む粒子とを有する成形用粉を成形し、前記SiC粒子の体積率が50〜75体積%のプリフォームを形成するプリフォーム成形工程と、
(2)前記プリフォームに、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、残部がAl、前記元素群および不可避不純物元素からなるアルミニウム合金溶湯を大気雰囲気下で浸透させて浸透体を形成する浸透工程と、
(3)前記浸透体を冷却して前記アルミニウム合金溶湯を凝固させる冷却工程と、
を有し、
前記粒子中に含まれる前記元素群の前記成形用粉に対する質量%の値と、前記アルミニウム溶湯に含まれる前記元素群の質量%の値との和が0.36〜0.90であるアルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法を適用し、製造することが好ましい。
かかる複合材の製造方法によれば、上記所定の粒度分布を有するSiC粒子からなる成形用粉を用いて、50〜75体積%のプリフォームをプリフォーム成形工程で形成し、浸透工程および冷却工程を経て複合材を形成することにより、低い熱膨張率と高い熱伝導率を併せもつ複合材が具現される。より具体的には、本発明に係る複合材の製造方法は、上記所定の範囲に規定された粒度分布の成形用粉を使用することにより、複合材中に分散させるSiC粒子が高い密度で充填され、熱伝導率を高め、かつ低い熱膨張率が具現される。さらに、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム溶湯中の本化合物元素の質量%の値との和、0.36〜0.90に限定する、換言すれば成形用粉およびアルミニウム溶湯中に含まれる本化合物粒子を構成するFe、Ti、Ni、およびVからなる元素群の含有量を所定の範囲に規定することにより、熱伝導率をさらに向上せしめているのである。加えて、本発明に係る複合材の製造方法では、プリフォームへのアルミニウム合金溶湯の浸透を大気雰囲気下で行うので、浸透工程における圧力制御や雰囲気制御などの操作が不要となり、低コストで複合材を形成することができるので好ましい。
なお、プリフォーム成形工程で使用される成形用粉は、上記所定の粒度分布および本化合物元素含有量になるよう調整されたものであれば、特にその製造方法は限定されない。しかしながら、D10:50〜150μm、D50:100〜300μm、D90:170〜450μmの粒度分布を有するSiC粒子からなる第1の原料粉100質量部に対し、D10:5〜20μm、D50:10〜40μm、D90:15〜60μmの粒度分布を有するSiC粒子からなる第2の原料粉を1〜20質量部、混合して混合粉を得る混合工程を有し、前記プリフォーム形成工程では、前記混合工程で得られた混合粉を前記成形用粉として使用することが望ましい。以下、好ましい態様である混合工程を含む製造方法を例として、本発明に係る製造方法について詳述する。
(混合工程)
混合工程は、所定の粒度分布を有するSiC粒子からなる第1の原料粉(D10:50〜150μm、D50:100〜300μm、D90:170〜450μm)に第2の原料粉(D10:5〜20μm、D50:10〜40μm、D90:15〜60μm)を、所定割合で混合して成形用粉を得る工程である。ここで、「D10」、「D50」および「D90」とは、JIS Z 8825:2013に準拠して粒度分布を測定したときの体積基準の累積分布における、10%累積粒子径、50%累積粒子径、90%累積粒子径のことを指す。第1の原料粉および第2の原料粉において、D10〜D90がいずれも下限未満となると微細なSiC粒子の割合が多くなり、浸透工程におけるプリフォームへのアルミニウム合金溶湯の浸透が進み難く、気孔の面積率が高くなり、熱伝導率が低下するおそれがある。一方で、第1の原料粉および第2の原料粉において、D10〜D90がいずれも上限を超えると粗大なSiC粒子の割合が多くなり、同様に熱伝導率が低下するおそれがある。
第1の原料粉と第2の原料粉との配合比は、第1の原料粉100質量部に対し第2の原料粉を1〜20質量部とすることが望ましい。そして、この配合比で、上記粒度分布を有する第1および第2の原料粉を混合し、所定の粒度分布を有する成形用粉(D10:40〜120μm、D50:80〜300μm、D90:100〜500μm)を形成し、当該成形用粉で所定のプリフォームを形成することにより、所望の水準の熱膨張率および熱伝導率を有する複合材を得ることができるのである。
本発明に係る複合材の製造方法では、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム溶湯に含まれる本化合物元素の質量%の値との和、06〜0.90とすることを一つの特徴としている。ここで、成形用粉を主体的に構成するSiC粒子自身も微量ながら本化合物元素(Fe、Ti、Ni、V)を含んでいるが、結晶型が4H以上のSiC粒子に含む本化合物元素の総量はたかだか500ppm程度である。つまり、成形用粉に含まれる本化合物元素は、SiC粒子にほぼ含まれず、SiC粒子以外に、本化合物元素を含む化合物(酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または炭窒化物)粒子または本化合物元素からなる金属粒子という形態で存在しているのである。
上記のような含有量で本化合物元素を含む成形用粉の形成方法は、特段限定されない。特に、成形用粉に含まれる、本化合物元素を含む化合物粒子または金属粒子は、成形用粉を主として構成するSiC粒子に対し比較的粒径の小さな粒子であるので、例えば成形用粉を分級処理し、微粒のみを取り除いても良い。この分級処理は、成形用粉の原料である、混合工程前の第1の原料粉または第2の原料粉に各々施しても良い。
本発明に係る混合工程では、上記以外の操作は特に限定されない。例えば、成形用粉のみでは成形後のプリフォームの強度が不足するのであれば、バインダ(結合剤)や分散剤などを混合工程で混合粉に添加してもよい。バインダを添加する場合には、成形用粉を100質量部としたとき、SiOを0〜0.5質量部含む水溶液を使用することが望ましい。ここでSiOが0質量部の場合の水溶液とは、SiOを含まない水溶液、すなわち水である。SiOを含む水溶液の場合には、SiO源として市販のコロイダルシリカ、水ガラス等を使用することができる。
第1の原料粉および第2の原料粉の混合方法は、特に限定されず、慣用される周知の湿式または乾式混合装置を使用することができる。例えば、上記のようにバインダとして水溶液を添加する場合には、例えばボールミルやミキサーなどの各種の湿式混合装置を使用することができる。
(プリフォーム成形工程)
プリフォーム成形工程では、上記混合工程で得られた混合粉を成形し、粒子体積率が50〜75体積%であるプリフォームを形成する。このプリフォームは、25〜50体積%を占める多数の細孔を有する多孔質体であり、浸透工程では、この細孔を満たすようにアルミニウム合金溶湯が浸透する。なお、アルミニウム合金溶湯の浸透を円滑に進め気孔面積率の低い複合材を得るためには、平均細孔径は10〜45μmであることが好ましく、さらに細孔の比表面積は0.15mm/g以下であることが望ましい。
プリフォームの成形方法は、特に限定されず、例えば周知の加圧法、押出法、射出法または泥漿鋳込み法など湿式や乾式の各種の成形方法を使用することができる。例えば、上記のようにバインダとして水溶液を混合粉に添加してスラリーとした場合には、当該スラリーを成形型の開口部よりキャビティに供給し、加圧して充填し、適度に固めた後に抜型する方法で成形すればよい。なお、単に成形しただけの成形体でも十分な強度を有する場合には、成形体をプリフォームとして浸透工程に供すればよい。一方で、成形体のままでは強度が不足する場合には、成形体に加熱(焼成)処理を施し、十分な強度を有する焼成体または仮焼体を形成し、これらをプリフォームとして浸透工程に供すればよい。
(浸透工程)
本発明に係る浸透工程は、上記プリフォーム成形工程で形成されたプリフォームに、凝固後には基地となるアルミニウム合金溶湯を大気雰囲気下で浸透させる。ここで、「大気雰囲気下」とは、大気圧下(非加圧・非減圧)で大気(空気)中という意味である。本発明に係る浸透工程では、このように大気雰囲気中で処理されるので、鋳造法、粉末冶金法または加圧浸透法のように大掛かりな装置を必要とせず、低コストで複合材を製造することが可能となる。加えて、本発明に係る大気雰囲気下の浸透法によれば、上記のようにプリフォームを形成する成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム溶湯中の本化合物元素の質量%の値との和の下限値を限定しているので、当該本化合物元素で構成される本化合物粒子の存在によりプリフォームの細孔にアルミニウム合金溶湯がより円滑に浸透される。その結果、複合材を構成するSiC粒子等とアルミニウム合金との間に大きな気孔が生じにくく、両者の間の熱伝達ロスが少ないので、高い熱伝導率を有する複合材を得ることができる。
浸透工程で使用するアルミニウム合金溶湯は、上記のように成形用粉と併せ本化合物元素の量を限定したうえで、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、本化合物元素(Fe、Ti、Ni、およびVからなる元素群)、残部Alおよび不可避不純物元素からなる溶湯であることが好ましい。Siが2.5質量%未満だと、基地組織を構成するアルミニウム合金の強度が低くなり、総合的に複合材の強度が低下するおそれがある。一方で、13質量%を超えると、凝固時に初晶Siが晶出して複合材の強度が低下するおそれがある。また、Mgが1質量%未満だと浸透工程においてプリフォームにアルミニウム合金溶湯が十分に浸透せず、複合材の強度が低下するおそれがある。一方で、Mgが8質量%を超えると熱伝導率が低下するおそれがある。
不可避不純物元素としてはMn、Sr、Sn、P、Cr、Cu、Znなどの元素も、溶解原材料等に由来する不可避的な不純物元素として混入する。このため、これらの元素も、基本的にはJIS規格等に沿った各不純物の許容含有量とすればよいが、本発明の目的を阻害しない含有範囲であれば有意な量を含むことは許容される。また本発明の目的に対してさらに好ましい効果を奏する不純物元素は、これを積極的に付加し含有させることを妨げるものではない。
なお、アルミニウム合金溶湯の溶解方法や溶湯処理方法は特段限定されない。例えば、アルミニウム合金溶湯に溶存する水素量を減少させることは、複合材に含まれる気孔を抑制する点で有効である。具体的には、アルミニウム合金溶湯に適度な流量のアルゴンガスを吹き込む方法や、フラックス処理の投入フラックス量や処理時間を適当に選ぶ方法などにより、溶存水素量を低減することができる。
(冷却工程)
上記浸透工程後、プリフォームの細孔にアルミニウム合金溶湯が浸透してなる浸透体を冷却し、アルミニウム合金溶湯を凝固させる冷却工程を行い、複合材を形成する。浸透体の冷却方法は特段限定されず、例えば大気中で徐冷してもよいし、適宜な冷やし金のうえに浸透体を載置して急冷してもよい。また、凝固時における引け巣の発生を抑制するため、浸透体の必要な個所に溶湯補給部を配置してもよい。
(実施例および比較例)
次に、本発明の具体的な実施例と比較例を、以下に表と図面を参照しつつ示す。但し本発明はこれらに限定されるものではない。また、特に断りのない製造条件および測定条件は、表に示す各実施例と比較例との両者に共通である。
(成形用粉)
表1に示すように、所定の粒度分布(D10、D50、D90)を有する第1の原料粉および第2の原料粉を準備し、第1の原料粉100質量部に対し所定の配合比で第2の原料粉を混合し(混合工程)、実施例に使用する型番A〜E、比較例に使用する型番F〜Iの成形用粉を得た。なお、第1の原料粉、第2の原料粉および成形用粉の粒度分布および成形用粉に含まれる本化合物元素(Fe、Ti、NiおよびV)の割合(質量%)は表1に示すとおりである。なお、粒度分布の測定方法はJIS Z8825:2013に準拠し、日機装株式会社製マイクロトラック(型式:MT3100II)で測定した。また、成形用粉中における本化合物元素の割合は、島津製作所製ICP発光分光分析装置(型式:ICPS−8000)により測定した。
(実施例1)
上記混合工程で得られた100gの成形用粉Aに対し、さらにケイ酸ソーダ(富士化学製、2号)と水とを体積比で1:2に希釈した水溶液を4.5mlの割合で添加し、その後3分間撹拌し混合してスラリーを得た。
キャビティ形状が縦50mm、横150mm、深さ50mmのMCナイロン製の成形型にスラリーを充填して成形後、炭酸ガスを通気させてスラリーを硬化させた後に抜型し、加熱炉に挿入して800℃で2時間加熱処理(保持)して焼成し、プリフォームを得た(プルフォーム成形工程)。実施例1のプリフォームのSiC粒子体積率、すなわち外形の体積に占めるSiC粒子の割合は、表2に示すように、61.0%であった。このSiC粒子体積率は、作製したプリフォームの質量を、上記成形型のキャビティ体積とSiCの密度との積で除して求めた。
表2に示すように、Si:9質量%、Mg:4.5質量%、本化合物元素の総量:0.27質量%、残部Alおよび不可避不純物元素からなるアルミニウム合金溶湯を、黒鉛るつぼからなる保持炉中において830℃に保持し、当該保持されたアルミニウム合金溶湯浴中に、上記成形工程で得られたプリフォームを、大気雰囲気下(非加圧)で30分間保持し、アルミニウム合金溶湯を浸透させた(浸透工程)。なお、プリフォームを溶湯浴に浸漬する前に予め溶湯の脱水素処理を行った。脱水素処理はアルゴンガスを溶湯に吹き込む方法により行った。浸透工程が完了した後、アルミニウム合金溶湯が浸透したプリフォームを溶湯浴から取り出し、冷却して複合材を得た(冷却工程)。
得られた各実施例および比較例の複合材の、組織形態(基地面積率、SiC粒子の円相当平均粒径および粒径分布、本化合物粒子の凝集部の面積率、直径、最大径、円相当径10μm以上の気孔面積率)、密度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数および室温における熱伝導率の測定は、下記の方法で行った。
組織形態は、次のようにして求めた。まず、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により250倍で拡大した任意の5視野について上記のようにEDX分析を行った。そして、下記のように同定したSiC粒子の面積を、各視野全体の面積で除することによりSiC粒子の面積率を求めた。そして、5視野の平均値をSiC粒子面積率とした。実施例1のSiC粒子面積率は、表3に示すように、60.8%であった。
SiC粒子は、EDX分析で、SiとCがともに検出される粒子をSiC粒子と同定し、画像解析装置(旭化成エンジニアリング社製、商品名「A像くん」、以下の画像解析で同じ)で、5視野ごとに円相当粒径、粒径分布(d10、d50、d90)を求め、5視野の平均値を円相当粒径分布(d10、d50、d90)とした。実施例1のSiC粒子のd10は73μm、d50は111μm、d90は162μmであった。
本化合物粒子は、図2〜4に示すように、EDX分析で、本化合物元素(Fe、Ti、NiまたはV)とO、NまたはCがともに検出される粒子を本化合物粒子と同定した。なお、各実施例および比較例に含まれるVは、EDX分析でTiと同一場所で検出されるため、VのEDX分析結果の表示は省略している。そして、画像解析装置で、隣接する粒子間の間隙が1μm以下の本化合物粒子を選択して凝集部を確認し、当該凝集部の直径を求め、同定された凝集部のうち直径が5μm以上の凝集部の面積を算出し、5視野の平均値を凝集部の面積率(%)とした。また、直径が5μm以上の凝集部の平均径は5視野の平均値と、最大径は5視野の最大値とした。成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.38であった実施例1の直径が5μm以上の凝集部の面積率(以下、単に凝集部の面積率と言う場合がある。平均径および最大径について同じ。)は、表3に示すように、0.6%、平均径は10μm、最大径は14μmであった。
気孔面積率は次のようにして求めた。得られた複合材の断面において、光学顕微鏡で100倍に拡大した任意の5視野を観察した。それぞれの視野について、製品特性(強度、熱伝導率など)に影響を与える円相当径で直径10μm以上の気孔とそれ以外の部分とに2値化し、画像解析装置で気孔の面積率を測定した。測定した5視野の気孔面積率の平均値を円相当径10μm以上の気孔面積率とした。実施例1の複合材の気孔面積率は、表3に示すように、0.6%であった。
JISZ8807:2012規定の固体比重測定方法に準じて幾何学的測定により求めた、実施例1の複合材の密度は、表4に示すように2.92×10kg/mであった。曲げ強度は、得られた複合材から45mm×4mm×3mmに切り出した試験片をインストロン万能試験機(インストロン社製、5565型、最大荷重5kN)にてJIS R1601:2008に準拠した3点曲げ試験により測定した。実施例1の複合材の曲げ強度は、表4に示すように、300MPaであった。
線膨張係数は、得られた複合材から5mm×5mm×15mmに切り出した試験片を熱機械分析装置(Netzsch社製、形式:TMA4000)によりJIS R1618:2002に準拠した方法で測定した。実施例1の複合材の線膨張係数は、8ppm/Kであった。
熱伝導率を算出するために必要な密度は次のようにして求めた。得られた複合材から20mm×20mm×20mmに切り出した試験片について、室温において質量を測定し、この質量から、上記試験片と同一寸法の体積に相当する量の工業用精製水の室温における質量を除した値を密度とした。
室温における熱伝導率は、得られた複合材から直径10mm×厚さ3.0mmに切り出した円板状の試験片を、レーザーフラッシュ法(Nezsch社製熱拡散率測定装置、型式:NFL−447型)を用いて25℃±1℃における熱拡散率と比熱を測定し、この両者の積と上記で求めた密度との積を室温における熱伝導率とした。実施例1の複合材の熱伝導率は208W/m・Kであった。
(実施例2)
実施例2では、表1に示す成形用粉Bを使用し、表2に示すように、SiC体積率が61.5%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:11.8質量%、Mg:1.3質量%および本化合物元素:0.25質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。実施例2の複合材のSiC粒子の面積率は61.5%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、29μm、79μm、138μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.38であった実施例2の凝集部の面積率は1.0%、平均径は11μm、最大径は15μmであった。さらに、気孔面積率は1.4%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.85×10kg/m、320MPa、9ppm/Kおよび189W/m・Kあった。
(実施例3)
実施例3では、表1に示す成形用粉Cを使用し、表2に示すように、SiC体積率が70.1%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:12質量%、Mg:4.5質量%および本化合物元素:0.28質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。実施例3の複合材のSiC粒子の面積率は68.5%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、77μm、174μm、281μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.37であった実施例3の凝集部の面積率は0.3%、平均径は7μm、最大径は10μmであった。さらに、気孔面積率は0.3%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.96×10kg/m、250MPa、6.5ppm/Kおよび223W/m・Kであった。
(実施例4)
実施例4では、表1に示す成形用粉Dを使用し、表2に示すように、SiC体積率が58.0%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:6質量%、Mg:7.6質量%および本化合物元素:0.28質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。実施例4の複合材のSiC粒子の面積率は58.0%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、80μm、112μm、159μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.37であった実施例4の凝集部の面積率は0.7%、平均径は12μm、最大径は18μmであった。さらに、気孔面積率は0.9%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.91×10kg/m、280MPa、9.5ppm/Kおよび200W/m・Kであった。
(実施例5)
実施例5では、表1に示す成形用粉Eを使用し、表2に示すように、SiC体積率が54.0%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:3.5質量%、Mg:4.5質量%および本化合物元素:0.31質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。実施例5の複合材のSiC粒子の面積率は56.9%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、40μm、85μm、137μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.8であった実施例5の凝集部の面積率は1.0%、平均径は15μm、最大径は20μmであった。さらに、気孔面積率は1.3%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.90×10kg/m、310MPa、8.5ppm/Kおよび190W/m・Kであった。
(比較例1)
比較例1では、表2に示すように、SiC体積率が49.4%の成形体を成形した点以外は、成形用粉Aを用いた実施例1と同様にして複合材を製造した。比較例1の複合材のSiC粒子の面積率は49.1%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、80μm、115μm、168μmであった。また、比較例1の凝集部の面積率は0.9%、平均径は15μm、最大径は18μmであった。さらに、気孔面積率は1.3%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.88×10kg/m、245MPa、11.3ppm/Kおよび184W/m・Kであった。
(比較例2)
比較例2では、表2に示すように、SiC体積率が76.8%の成形体を成形した点以外は、成形用粉Aを用いた実施例1と同様にして複合材を製造した。比較例2の複合材のSiC粒子の面積率は76.2%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、64μm、109μm、172μmであった。また、比較例2の凝集部の面積率は1.3%、平均径は14μm、最大径は17μmであった。さらに、気孔面積率は2.4%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.85×10kg/m、240MPa、5.8ppm/Kおよび169W/m・Kであった。
(比較例3)
比較例3では、表1に示す成形用粉Fを使用し、表2に示すように、SiC体積率が68.9%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:12質量%、Mg:2.5質量%および本化合物元素:0.25質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。比較例3の複合材のSiC粒子の面積率は68.9%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、10μm、71μm、127μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.36であった比較例3の凝集部の面積率は0.8%、平均径は11μm、最大径は18μmであった。さらに、気孔面積率は7.8%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.80×10kg/m、220MPa、7ppm/Kおよび159W/m・Kであった。
(比較例4)
比較例4では、表1に示す成形用粉Gを使用し、表2に示すように、SiC体積率が54.0%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:9質量%、Mg:4.4質量%および本化合物元素:0.25質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。比較例4の複合材のSiC粒子の面積率は54.0%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、163μm、272μm、340μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.4であった比較例4の凝集部の面積率は0.6%、平均径は16μm、最大径は21μmであった。さらに、気孔面積率は0.7%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.88×10kg/m、120MPa、9.8ppm/Kおよび184W/m・Kであった。
(比較例5)
比較例5では、表1に示す成形用粉Hを使用し、表2に示すように、SiC体積率が61.3%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯がSi:8.8質量%、Mg:4.3質量%および本化合物元素:0.30質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。比較例5の複合材のSiC粒子の面積率は60.8%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、73μm、111μm、162μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が0.34であった比較例5の凝集部の面積率は0.25%、平均径は4μm、最大径は6μmであった。さらに、気孔面積率は5.2%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.82×10kg/m、250MPa、8.2ppm/Kおよび167W/m・Kであった。
(比較例6)
比較例6では、表1に示す成形用粉Iを使用し、表2に示すように、SiC体積率が61.0%の成形体を成形した点、およびアルミニウム合金溶湯のSi:9.2質量%、Mg:4.6質量%および本化合物元素:0.32質量%である点以外は、実施例1と同様にして複合材を製造した。比較例6の複合材のSiC粒子の面積率は60.8%であり、SiC粒子のd10・d50・d90は、各々、73μm、111μm、162μmであった。また、成形用粉に対する本化合物元素の質量%の値とアルミニウム合金溶湯中に含まれる本化合物元素の質量%の値との和が1.11であった比較例6の凝集部の面積率は1.6%、平均径は22μm、最大径は34μmであった。さらに、気孔面積率は0.4%であり、密度、曲げ強度、線膨張係数および室温における熱伝導率は、各々、2.92×10kg/m、300MPa、7.8ppm/Kおよび175W/m・Kであった。
上記実施例および比較例の結果から明らかなように、本発明の範囲内である実施例1〜5では、低い熱膨張係数と高い熱伝導率とが両立した複合材を得ることができた。一方で、本発明の範囲外である比較例1〜3、5および6では、熱膨張係数が高い、または熱伝導率が低かった。また、比較例4では、熱膨張係数は低く、熱伝導率も高いものの、曲げ強度が著しく低いことが判った。












Figure 0006807013




















Figure 0006807013
Figure 0006807013










Figure 0006807013
10 アルミニウム合金−セラミックス複合材
11 SiC粒子
12 基地
13 凝集部
13a 本化合物粒子
14 気孔

Claims (2)

  1. D10:30〜120μm、D50:90〜250μm、D90:160〜400μmの粒度分布を有するSiC粒子と、Fe、Ti、Ni、およびVからなる元素群のうち少なくとも1つの元素を含む粒子とを有する成形用粉から、前記SiC粒子の体積率が50〜75体積%のプリフォームを形成するプリフォーム成形工程と、
    前記プリフォームに、Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、前記元素群:0.25〜0.31質量%、残部がAlおよび不可避不純物元素からなるアルミニウム合金溶湯を大気雰囲気下で浸透させて浸透体を形成する浸透工程と、
    前記浸透体を冷却して前記アルミニウム合金溶湯を凝固させる冷却工程と、
    を有し、
    前記粒子中に含まれる前記元素群の前記成形用粉に対する質量%の値と、前記アルミニウム合金溶湯に含まれる前記元素群の質量%の値との和が0.36〜0.90であって、
    Si:2.5〜13質量%、Mg:1〜8質量%、残部Alおよび不可避不純物元素からなる基地と、前記基地中に分散した複数個のSiC粒子とを有し、切断面における、前記基地中に分散した前記SiC粒子は、面積率が50〜75%であり、円相当粒径分布がd10:25〜100μm、d50:75〜200μm、d90:130〜320μmであり、前記元素群のうち少なくも1つの元素からなる化合物粒子を前記基地中に有し、前記化合物粒子で形成される直径が5μm以上の凝集部の面積率が0.3〜1.0%である、アルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法。
    ただし、前記基地中に分散した前記SiC粒子は、エネルギー分散型X線分析でSiとCがともに検出される粒子として同定し、前記円相当粒径分布は、前記切断面において、画像解析装置で5視野ごとに円相当粒径、粒径分布(d10、d50、d90)を求め、さらに前記5視野の平均値として求める円相当粒径分布(d10、d50、d90)であり、
    前記化合物粒子は、前記切断面において、前記元素群と、前記元素群と化合物を構成する元素とがなす粒子をエネルギー分散型X線分析により特定されるものであり、
    前記凝集部は、前記切断面において、互いに隣接する間隔が1μm以下に寄り集まった前記化合物粒子の集合部分であり、
    前記凝集部の直径は、前記凝集部を内包する最小円の直径をいう。
  2. D10:50〜150μm、D50:100〜300μm、D90:170〜450μmの粒度分布を有するSiC粒子からなる第1の原料粉100質量部に対し、D10:5〜20μm、D50:10〜40μm、D90:15〜60μmの粒度分布を有するSiC粒子からなる第2の原料粉を1〜20質量部、混合して混合粉を得る混合工程を有し、前記プリフォーム成形工程では、前記混合粉を前記成形用粉として使用する請求項に記載のアルミニウム合金−セラミックス複合材の製造方法。
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