JP4167318B2 - 金属−セラミックス複合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属に強化材を複合させる金属−セラミックス複合材料の製造方法に関し、特にAlN粉末でプリフォームを形成して成る金属−セラミックス複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス繊維または粒子で強化されたセラミックスと金属の複合材料は、セラミックスと金属の両方の特性を兼ね備えており、例えばこの複合材料は、高剛性、低熱膨張性、耐摩耗性等のセラミックスの優れた特性を、延性、高靱性、高熱伝導性等の金属の優れた特性を備えている。このように、従来から難しいとされていたセラミックスと金属の両方の特性を備えているため、機械装置メーカ等の業界から次世代の材料として注目されている。
【0003】
この複合材料、特に金属としてアルミニウムをマトリックスとする複合材料の製造方法は、粉末冶金法、高圧鋳造法、真空鋳造法等の方法が従来から知られている。しかし、これらの方法は、強化材であるセラミックスの含有量を多くできない、あるいは大型の加圧装置が必要である、もしくはニアネット成形が困難である、コストが極めて高いなどの理由により、いずれも満足できるものではなかった。
【0004】
そこで最近では、上記問題を解決する製造方法として、米国ランクサイド社が開発した非加圧金属浸透法が特に注目されている。この方法は、SiCやAl2O3などのセラミックス粉末で形成されたプリフォームに、Mgを含むアルミニウムインゴットを接触させ、これをN2雰囲気中で700〜900℃に加熱して溶融したアルミニウム合金をプリフォームに含浸させる方法である。これは、MgとN2との化学反応を利用してセラミックス粉末への溶融金属の濡れ性を改善することにより、加圧しなくても金属をプリフォームに含浸できるようにした優れた方法である。
【0005】
また、この方法では、セラミックスの含有率を30〜85vol%と広く、かつ高い範囲まで変えることができ、しかも、この方法で形成されたプリフォームは、その形状の自由度が高いので、かなり複雑な形状をニアネットで作ることも可能である。このようにこの方法は、加圧装置が不要であり、セラミックスの含有率を高くすることができ、ニアネット成形も可能となる方法であるので、前記した問題が解決される優れた方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法で作製した複合材料の機械的強度は、セラミックス粉末がその表面をシリカコーティングしたAlN粉末の場合、Al2O3粉末に比べかなり低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、セラミックス粉末としてその表面をシリカコーティングしたAlN粉末を用いた金属−セラミックス複合材料の製造方法が有する課題に鑑みなされたものであって、その目的は、機械的強度を向上させることができる金属−セラミックス複合材料の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、シリカコーティング層の厚さを薄くすれば、複合材料の機械的強度を上げることができるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、セラミックス粉末を強化材としてプリフォームを形成し、そのプリフォームに基材であるアルミニウム又はアルミニウム合金を浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法において、該セラミックス粉末が、表面をシリカコーティングしたAlN粉末であり、そのシリカコーティング層の厚さが、該コーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり1.5〜3.5mg/m2となる厚さであることを特徴とする金属−セラミックス複合材料の製造方法とすることを要旨とする。以下さらに詳細に説明する。
【0010】
上記複合材料の製造方法としては、セラミックス粉末を、表面をシリカコーティングしたAlN粉末とし、そのシリカコーティング層の厚さを、該コーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり1.5〜3.5mg/m2となる厚さとする金属−セラミックス複合材料の製造方法とした。
【0011】
AlN粉末の場合には、水を使って混合や成形をすると、水と反応してしまうので、その粉末の表面をシリカコーティングする必要があるが、そのコーティング層の厚さとしては、従来は水との反応を完全に防ぐため、厚く被覆していた。しかし、複合材料の強度が低いため、このシリカコーティングが影響しているのではないかと詳細に検討すると、この厚さを薄くすると強度が上がることが判明した。強度が上がる理由は、詳細な機構は不明であるが、恐らくSiの含有量が少なくなり、AlN/Alの接合を阻害するSiO2が減少することに起因するものと推定される。
【0012】
その厚さとしては、コーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり1.5〜3.5mg/m2となる厚さが好ましく、この厚さであれば、強度の低下はなく、しかも水との反応も十分に防ぐことができる。コーティング層の厚さがSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり1.5mg/m2より少なくなるほど薄くなると、被覆の効果が十分に発揮できなくなり、3.5mg/m2より多くなるほど厚くなると、前記した通り複合材料の強度が低くなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法をさらに詳しく述べると、先ず強化材としてシリカコーティングしたAlN粉末を用意する。そのコーティング層の厚さは、該コーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり1.5〜3.5mg/m2となる厚さとする。この粉末にコロイダルシリカ液やアルミナ水和物コロイド液などのバインダー及び水を添加して混合し、成形する。成形は沈降鋳込成形、射出成形、CIP成形などいずれの方法でも構わない。
【0014】
得られた成形体を所定の温度で焼成してプリフォームを形成する。そのプリフォームの上にアルミニウム合金を置き、窒素気流中で非加圧で700〜1000℃の温度でアルミニウム合金を浸透させ、冷却して複合材料を作製する。
【0015】
以上の方法で金属−セラミックス複合材料を作製すれば、機械的強度を向上させることのできる金属−セラミックス複合材料が得られるようになった。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
(実施例1)
(1)プリフォームの形成
平均粒径が16μmで、表面をシリカコーティングしたAlN粉末であって、そのコーティングの厚さを、コーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり2.0mg/m2となる厚さとしたAlN粉末(ダウケミカル社
製)を強化材として用い、その100重量部にバインダーとしてコロイダルシリカ液をそのシリカ固形分が2重量部になる量添加し、これにさらにイオン交換水を30重量部加え、ポットミルで16時間混合した。得られたスラリーを80×80×厚さ20mmの成形体が得られるシリコーンゴム型に流し込み、沈降成形法で成形し、−30℃で冷凍させ、脱型した後、600℃の温度で3時間焼成してプリフォームを形成した。
【0018】
(2)複合材料の作製
得られたプリフォームの上面に#90のAl2O3粉末と150μmアンダーのMg粉末とを重量比9:1で混合した粉末80gを篩を用いて薄く敷き、さらにその上にプリフォームと敷き粉の合計量の1.0倍量のAl−5Mg組成のアルミニウム合金を置いて電気炉にセットし、窒素雰囲気中で850℃の温度で72時間非加圧浸透させた後、冷却して金属−セラミックス複合材料を作製した。
【0019】
(3)評価
得られた複合材料を切断し、その切断面を目視観察し、金属の浸透状況を調べた。その結果、浸透は完了していた。また、得られた複合材料から、幅4×高さ3×長さ40mmの曲げ試験片を切り出し、JIS R 1601(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法)に基づき、常温3点曲げ強さを測定した。その結果、525±30MPaであった。このことは、シリカコーティングする厚さを適正にすれば、Al2O3粉末の場合と同等の曲げ強度(520MPa程度)が得られることを示している。
【0020】
(比較例1)
比較のために、比較例1では、コーティングする厚さをコーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり4.5mg/m2となる厚さとした他は実施例1と同様にプリフォームを形成し、複合材料を作製し、評価した。その結果、浸透は完了していたが、その曲げ強さは従来の450±50MPaに過ぎなかった。
【0021】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の金属−セラミックス複合材料の製造方法であれば、従来より強度を向上させることができるAlN粉末から成る複合材料が得られるようになった。このことにより、製造手順や条件を変えずに原料を変えるだけで対応できるので、半導体製造装置等に用いられる材料に幅広く適用できるようになった。
Claims (1)
- セラミックス粉末を強化材としてプリフォームを形成し、そのプリフォームに基材であるアルミニウム又はアルミニウム合金を浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法において、該セラミックス粉末が、表面をシリカコーティングしたAlN粉末であり、そのシリカコーティング層の厚さが、該コーティング層に含まれるSiの含有量がAlN粉末の表面積あたり1.5〜3.5mg/m2となる厚さであることを特徴とする金属−セラミックス複合材料の製造方法。
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