JP4279370B2 - 金属−セラミックス複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属に強化材を複合させる金属−セラミックス複合材料の製造方法に関し、特にAlN粉末でプリフォームを形成して成る金属−セラミックス複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス繊維または粒子で強化されたセラミックスと金属の複合材料は、セラミックスと金属の両方の特性を兼ね備えており、例えばこの複合材料は、高剛性、低熱膨張性、耐摩耗性等のセラミックスの優れた特性と、延性、高靱性、高熱伝導性等の金属の優れた特性を備えている。このように、従来から難しいとされていたセラミックスと金属の両方の特性を備えているため、機械装置メーカ等の業界から次世代の材料として注目されている。
【0003】
この複合材料、特に金属としてアルミニウムをマトリックスとする複合材料の製造方法は、粉末冶金法、高圧鋳造法、真空鋳造法等の方法が従来から知られている。しかし、これらの方法は、強化材であるセラミックスの含有量を多くできない、あるいは大型の加圧装置が必要である、もしくはニアネット成形が困難である、コストが極めて高いなどの理由により、いずれも満足できるものではなかった。
【0004】
そこで最近では、上記問題を解決する製造方法として、米国ランクサイド社が開発した非加圧金属浸透法が特に注目されている。この方法は、SiCやAl23などのセラミックス粉末で形成されたプリフォームに、Mgを含むアルミニウムインゴットを接触させ、これをN2雰囲気中で700〜900℃に加熱して溶融したアルミニウム合金をプリフォームに含浸させる方法である。これは、MgとN2との化学反応を利用してセラミックス粉末への溶融金属の濡れ性を改善することにより、加圧しなくても金属をプリフォームに含浸できるようにした優れた方法である。
【0005】
また、この方法では、セラミックスの含有率を30〜85vol%と広く、かつ高い範囲まで変えることができ、しかも、この方法で形成されたプリフォームは、その形状の自由度が高いので、かなり複雑な形状をニアネットで作ることも可能である。このようにこの方法は、加圧装置が不要であり、セラミックスの含有率を高くすることができ、ニアネット成形も可能となる方法であるので、前記した問題が解決される優れた方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法で作製した複合材料は、セラミックス粉末がAlN粉末の場合には、プリフォームに細かい亀裂が入り、その亀裂部分に浸透したアルミニウム合金が入り込むため、複合材料にメタルベインと呼ばれる欠陥が発生する問題があった。この欠陥は、その部分には強化材がほとんど含まれないため、他の部分に比べて強度が低くなる欠陥であり、しかも見た目が悪いため、ユーザーからのクレームを受け易い欠陥である。
【0007】
本発明は、上述した金属−セラミックス複合材料の製造方法が有する課題に鑑みなされたものであって、その目的は、メタルベインの発生を抑えることができる金属−セラミックス複合材料の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、プリフォームの焼成温度を従来より低くすれば、メタルベインの発生を抑えることができるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、セラミックス粉末を強化材としてプリフォームを形成し、そのプリフォームに基材である金属を浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法において、該プリフォームの形成方法が、シリカで表面を被覆したAlN粉末にバインダーを加え、混合して成形し、得られた成形体を450〜650℃の温度で焼成する方法であることを特徴とする金属−セラミックス複合材料の製造方法とすることを要旨とする。以下さらに詳細に説明する。
【0010】
上記複合材料の製造方法としては、プリフォームの形成方法を、シリカで表面を被覆したAlN粉末にバインダーを加え、混合して成形し、得られた成形体を450〜650℃で焼成することとする製造方法とした。
【0011】
複合材料を製造するには先ずプリフォームを形成するが、そのプリフォームを形成する焼成温度としては、従来は保形性を高めるため、バインダーの焼結が十分となり、強化材の結合強度も十分となる700℃程度の温度で焼成していた。しかし、作製した複合材料にメタルベインの発生が多いため、この焼成温度が影響しているのではないかと詳細に検討してみると、この温度を低くするとメタルベインの発生を抑えることができることが判明した。メタルベインを抑えることができる理由は、詳細な機構は不明であるが、強化材であるセラミックス粉末とそれを結合する無機バインダーとの熱膨張率の差に起因するものと推定される。
【0012】
その焼成温度としては450〜650℃が好ましく、この温度であれば、プリフォームに亀裂が入ることなく、しかも強度は多少落ちるものの、プリフォームの保形性には十分である。その焼成温度が450℃より低くなると、強度の発現が低く、プリフォームに亀裂が入り、メタルベインが発生する。逆に650℃より高くても、前記したように熱膨張率の差が大きくなってプリフォームに亀裂が入り、メタルベインが発生する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法をさらに詳しく述べると、先ず強化材としてAlN粉末を用意する。この粉末にアルミナ水和物のコロイド液あるいはコロイダルシリカ液などのバインダーを添加して混合し、成形する。成形は沈降成形、射出成形、CIP成形などいずれの方法でも構わないが、水を用いて湿式成形する場合には、AlN粉末が水と反応し、分解してしまうため、シリカで表面を被覆したAlN粉末を用いる必要がある。
【0014】
得られた成形体を450〜650℃の温度で焼成してプリフォームを形成する。焼成時間は、あまり長いと焼結が始まり好ましくない。そのプリフォームの上にアルミニウム合金を置き、窒素気流中で非加圧で700〜1000℃の温度でアルミニウム合金を浸透させ、冷却して複合材料を作製する。
【0015】
以上の方法で金属−セラミックス複合材料を作製すれば、亀裂の入らないプリフォームを形成することができ、その結果、メタルベインの発生を抑えることができる金属−セラミックス複合材料が得られる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
(実施例1)
(1)プリフォームの形成
強化材として平均粒径が16μmのシリカコーティングしたAlN粉末(ダウケミカル社製)を用い、その100重量部にバインダーとしてコロイダルシリカ液をそのシリカ固形分が2重量部になる量添加し、これにさらにイオン交換水を30重量部加え、ポットミルで16時間混合した。得られたスラリーをφ230×厚さ28mmの成形体が得られるシリコーンゴム型に流し込み、沈降成形法で成形し、−30℃で冷凍し、脱型した後、600℃の温度で5時間焼成してプリフォームを形成した。
【0018】
(2)複合材料の作製
得られたプリフォームの上面に#90のAl23粉末と150μmアンダーのMg粉末とを重量比9:1で混合した粉末500gを篩を用いて薄く敷き、さらにその上にプリフォームの1.2倍量のAl−5Mg組成のアルミニウム合金を置いて電気炉にセットし、窒素雰囲気中で850℃の温度で72時間非加圧浸透させた後、冷却して金属−セラミックス複合材料を作製した。
【0019】
(3)評価
得られた複合材料を切断し、その切断面を目視観察し、メタルベインの有無を調べた。その結果、メタルベインは認められなかった。このことは、プリフォームの焼成温度を適正にすれば、メタルベインの発生を抑えることができることを示している。
【0020】
(比較例1、2)
比較のために、比較例1では、プリフォームの焼成温度を700℃とした他は、比較例2では、それを400℃とした他は実施例1と同様にプリフォームを形成し、複合材料を作製し、評価した。その結果、比較例1では、プリフォームに生じた無数のひび割れに起因するメタルベインが観察され、比較例2でも、比較例1ほどではないが、一部にメタルベインが観察された。
【0021】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の金属−セラミックス複合材料の製造方法であれば、プリフォームの亀裂を防ぐことができ、その結果、メタルベインの発生を抑えることができるようになった。このことにより、ユーザーのクレームもなくすことが可能となった。

Claims (1)

  1. セラミックス粉末を強化材としてプリフォームを形成し、そのプリフォームに基材である金属を浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法において、該プリフォームの形成方法が、シリカで表面を被覆したAlN粉末にバインダーを加え、混合して成形し、得られた成形体を450〜650℃の温度で焼成する方法であることを特徴とする金属−セラミックス複合材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010222155A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Taiheiyo Cement Corp 炭化珪素質焼結体及びその製造方法

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