JP2001073102A - 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料 - Google Patents

高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料

Info

Publication number
JP2001073102A
JP2001073102A JP24494599A JP24494599A JP2001073102A JP 2001073102 A JP2001073102 A JP 2001073102A JP 24494599 A JP24494599 A JP 24494599A JP 24494599 A JP24494599 A JP 24494599A JP 2001073102 A JP2001073102 A JP 2001073102A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
composite material
carbon
aluminum
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24494599A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Kawahara
晃 川原
Junji Ninomiya
淳司 二宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP24494599A priority Critical patent/JP2001073102A/ja
Publication of JP2001073102A publication Critical patent/JP2001073102A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散
アルミニウム基複合材料を提供する。 【解決手段】 マトリックスがマグネシウムを0.1〜
10重量%含むアルミニウム−マグネシウム合金、分散
材の炭素繊維の表面層は珪素を含有したもので、この炭
素繊維同士が炭素を主成分とするバインダーで固着及び
連通されている炭素繊維分散アルミニウム基複合材料
で、高熱伝導性、低熱膨張性を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明、炭素繊維を分散した
アルミニウム基複合材料に係り、特に低熱膨張で高い熱
伝導性を有し熱的な衝撃に対してもこれらの熱特性が劣
化しない炭素繊維分散アルミニウム基複合材料に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】最近、電子機器その他の産業部材とし
て、低熱膨張でまた、放熱性を高めるために熱特性に優
れた材料が要求されている。従来、このような分野に適
用する材料には、Cu−W合金、Fe−Co合金、アル
ミナ、窒化アルミニウムなどの低熱膨張係数を持つ材
料、もしくはCu、Alなどの高熱伝導性の金属があ
る。さらに近年では、これらの材料に対し高熱伝導性か
つ熱膨張係数の小さい炭素繊維を分散材とし、マトリッ
クスとして高熱伝導性のアルミニウム等の金属で構成さ
れた複合材料の検討が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように検討されている複合材料は、分散材の炭素繊維は
マトリックスのアルミニウムと濡れ性が悪く、そのため
複合材料中の繊維とマトリックスの界面の密着性が不十
分なものである。また、炭素繊維同士の接着点(面)も
密着性が弱いために剥離の起点となる。これらの問題を
解決する方法としては、(1)マトリックスを変更す
る、(2)炭素繊維に表面処理を施す、(3)炭素繊維
同士の固着をバインダーを用いて改善する、ことが挙げ
られる。上記の解決方法(2)に関して、炭素繊維成形
体の作製時に用いるアルミナ、シリカ等の無機バインダ
ーは、炭素繊維表面とアルミニウムとの濡れ性を向上さ
せるものの炭素繊維と無機バインダー間の界面の密着性
は十分ではなく、このような複合材料に熱ストレスを繰
り返して加えると剥離が生じ熱膨張係数が劣化するとい
う問題がある。また、無機バインダーを用いると、炭素
繊維と無機バインダーの界面が熱障壁となり十分な熱伝
導特性を示さないという問題もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの問題を
鑑みて、高熱伝導性と高信頼性を両立させるために炭素
繊維/マトリックス合金界面の密着性を改善したもので
ある。すなわち、本発明は、0.1wt%以上10wt
%以下のマグネシウムを含んだアルミニウム合金をマト
リックスとし、表面層に硅素を重量比5%以上40%以
下で含有する炭素繊維を分散材とし、それら分散材を固
着、連通させる炭素を主成分とするバインダーを体積充
填率で10%以上60%以下加えたことを特徴とする高
熱伝導性、低熱膨張性を有する炭素繊維分散アルミニウ
ム基複合材料である。
【0005】また、本発明の炭素繊維分散アルミニウム
基複合材料は、分散材である炭素繊維が複合材料の熱膨
張を抑制しようとする方向に二次元ランダム状態で配向
しており、厚み方向に層構造をとっていることを特徴と
するものである。さらに、本発明の炭素繊維分散アルミ
ニウム基複合材料は、分散材である炭素繊維の表面が炭
化珪素になっており、さらに炭素繊維内部に向かって珪
素が減少する濃度分布を持つことを特徴とするものであ
る。
【0006】
【作用】本発明の炭素繊維を分散したアルミニウム基複
合材料は、分散材である炭素繊維が炭素を主成分とする
バインダーで固着及び連通されているため高い熱伝導率
を示し、また炭素繊維の表面層は珪素を含有し、さらに
マトリックスがマグネシウムを0.1〜10重量%含む
アルミニウム−マグネシウム合金であることにより、マ
トリックスと炭素との濡れ性が良好で界面の密着性が改
善されているものであり、そのため熱的なストレスを加
えても熱性能の劣化が生じることがない信頼性の高い、
高熱伝導性、低熱膨張性を持つものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の炭素繊維を分散したアル
ミニウム基複合材料において、その分散材である炭素繊
維はグラファイト質かグラファイト質に近い構造のもの
が適当である。炭素質のものでは、複合化後十分な界面
特性が得られないことがあり、その特性劣化を招くAl
などの化合物が生じるためである。また、炭素を
主成分とするバインダーとしては、炭素繊維の成形体を
作成後、焼成時に固化し、グラファイト化する樹脂が好
ましい。特にグラファイト収率の高いピッチ系樹脂、フ
ェノール樹脂等が適当である。
【0008】また、本発明の炭素繊維を分散したアルミ
ニウム基複合材料は、バインダーとして炭素を主成分と
するものを用いているのでバインダーを多く加えても繊
維表面に付着しないということがなく、炭素繊維同士の
固着および連通が十分に確保されるものであり、十分な
熱伝導特性が得られるものである。本発明の炭素繊維を
分散したアルミニウム基複合材料に対して、バインダー
の体積充填率は10〜60%にする必要がある。その理
由は、体積充填率が10%未満では十分な熱伝導特性を
得ることが出来ず、また60%を越えるとバインダーの
熱伝導率が律速となり、より十分な熱伝導特性を得るこ
とが出来なくなるためである。熱伝導特性のみを考慮し
た場合、バインダーの体積充填率としては10〜40%
がより好ましい。
【0009】本発明の炭素繊維を分散したアルミニウム
基複合材料は、その分散材である炭素繊維が、複合材料
の熱膨張を抑制しようとする方向に二次元ランダム状態
に配向していることが好ましい。それにより炭素繊維に
よるアンカー効果をより有効に発現することができる。
また、炭素繊維長手方向での熱伝導率が高いため熱移送
を有効に行うことができるものである。
【0010】また、本発明の炭素繊維を分散したアルミ
ニウム基複合材料は、分散材である炭素繊維の表面の一
部がSiC化していることにより、マトリックス合金と
の密着性をさらに改善させている。炭素繊維の表層近傍
部、及び表面をSiC化する方法としては、Siの粒子
を予め成形体内に混入し、これを高温で溶解、流動、反
応させる方法、或いはSiO(一酸化珪素)を含む気体
(シランガス等)を炭素繊維成形体に流し化学反応させ
る方法を用いることができる。分散材中のSi重量比は
5〜40%であることが必要である。Si量が5%より
少ないと炭素繊維表面のSiC化量が小さく、本発明の
炭素繊維を分散したアルミニウム基複合材界面の改善が
十分になされない。またSi量が40%を越えると熱膨
張係数及び熱伝導率ともにSiが律速となり十分な性能
が得られない。特にSi粒子を成形体内に混入する場
合、溶解しやすいSi粒径として、1〜50μmである
ことが好ましい。
【0011】また、本発明の分散材である炭素繊維の表
面が炭化珪素になっており、さらに炭素繊維内部に向か
って珪素が減少する濃度分布を持つことにより、マトリ
ックスの界面では密着性を上げることができ、また炭素
繊維内部に向かって珪素が減少する濃度分布により界面
での熱膨張差によるストレスを軽減することができるも
のである。
【0012】本発明の炭素繊維を分散したアルミニウム
基複合材料は、そのマトリックスがMgを0.1〜10
重量%含むアルミニウム合金であり、このMgはアルミ
ニウム溶湯の分散材との界面を活性化させる元素である
ため、アルミニウムの表面張力を低下させて炭素繊維へ
の濡れ性を改善させる。さらには分散材とこの合金の溶
湯との界面に濃縮され、溶湯の分散材への濡れ性を改善
させる効果があるため炭化珪素のコーティングが十分で
ない炭素繊維部分の界面特性(溶湯の濡れ性)が改善さ
れる。また脆性である炭化物を生成しないことからもア
ルミニウム基複合材料としたときの界面特性の向上が実
現できる。ただしMgが0.1重量%未満では、十分な
界面特性の改善が得られない。また10重量%を越える
と含浸性が劣化し、鋳造欠陥である”す”の発生につな
がる。また、熱伝導率、熱膨張係数も本発明の範囲内よ
り劣化するため適当でない。
【0013】また、本発明の炭素繊維を分散したアルミ
ニウム基複合材料の製造は、炭素を主成分とするバイン
ダーを用い、さらにまた炭素繊維の表層の一部をSiC
化して作製した炭素繊維成形体を鋳造金型に入れ、アル
ミニウム−マグネシウム合金溶湯を鋳込みマトリックス
を含浸させるものである。
【0014】
【実施例1】本発明の実施例1について表1に示し説明
する。まず、所定量のピッチ系樹脂を200℃程度に加
熱し、これに繊維径10μm、繊維長500μmの高配
向の炭素繊維を所定量投入してスラリーを作製した。こ
のスラリーにさらに粒径が平均40μmであるSi粒子
を混入した。これを金型に入れてプレス成形を行い、乾
燥硬化後、1900℃で保持した。この保持によってS
iの粒子は溶解し、炭素繊維表面を流動しながら繊稚表
面の炭素と化学反応してSiC化しているものである。
このようにして寸法200mm×150mm×10mm
の炭素繊維成形体を得た。この炭素繊維成形体は、分散
材である炭素繊維が炭素を主成分とするバインダーで固
着及び連通されており、繊維の表面近傍がSiC化して
いることによりマトリックス合金との界面での密着性が
改善されているものであり、またプレス成形により炭素
繊維はその長手方向が面方向に、ランダムに配列し厚み
方向には層構造をとるものである。
【0015】次に、この炭素繊維成形体を予熱炉にてア
ルゴン雰囲気中で700℃に加熱した。成形体と同形状
のキャビテイを有する250℃に予熟した鋳造金型に、
予熱炉から取り出した繊維成形体を設置した。そして、
溶湯鍛造法による加圧鋳造装置で型締め後、Mgを含む
アルミニウム合金の750℃の溶湯を、射出速度10c
m/secで鋳込み、鋳込み後1000atmの圧力で
一分間加圧保持後、凝固させた。
【0016】表1は、上記のようにして作製したアルミ
ニウム基複合材料について、その炭素繊維の体積充填率
を変化させた発明例の熱特性を示すものである。熱伝導
率は、炭素繊維成形体の横方向にサンプルを作製し、レ
ーザーフラッシュ法を用いて測定した。また接触式によ
り熱膨張係数を測定し、熱的なストレスとして125
℃、−40℃で、それぞ10分ずつ保持した後、室温に
戻すサイクルを3000回行ったものである。表1に示
すように、No.1〜No.8の発明例の炭素繊維分散
アルミニウム基複合材料は、熱的なストレスを加えた後
の熱膨張係数(10−6/K)に初期値に比べて劣化が
見られず、炭素繊維とマトリックスとの界面の密着性が
向上していることがわかる。
【0017】また、発明例のNo.3とNo.4はバイ
ンダーの体積充填率が異なるものであり、これはバイン
ダーの体積充填率の増加は、熱伝導率の向上にはそれ程
関係しないか、熱膨張特性の向上(即ち、熱膨張係数の
低下)には大きく関係するものであることを示してい
る。これは発明例のNo.5とNo.6からも、また発
明例のNo.7とNo.8からも明らかである。
【0018】
【表1】
【0019】
【実施例2】本発明の実施例2を表2に示す。。実施例
2は、上記実施例1と同様の製造条件によりアルミニウ
ム基複合材料を作製したもので、分散材である炭素繊維
は繊維径10μm、繊維長500μmのもの、バインダ
ーはピッチ系樹脂であり、バインダーの体積充填率を変
化させたものを作製し、上記実施例1と同様に熱特性を
測定したものであり、表2は結果を示したものである。
【0020】表2に示すように、発明例のNo.9〜N
o.13の炭素繊維分散アルミニウム基複合材料は、バ
インダーの体積充填率を10%〜50%に変化させたも
のであるが、これらは、熱性能及び熱ストレスを加えた
後の劣化に対して実施例1と同様に、良好な結果が得ら
れたものである。比較例のNo.14はバインダーの体
積充填率が0.2%、比較例のNo.15はバインダー
の体積充填率が8%と少ないものであり、また比較例の
No.16はバインダーの体積充填率が65%と多いも
のである。このように発明例のNo.9〜No.13の
バインダーの体積充填率が10%〜50%の場合に較べ
て、バインダー量が少ない場合、多い場合ともに十分な
熱性能を得ることができなかった。
【0021】
【表2】
【0022】
【実施例3】本発明の実施例3を表3に示す。。実施例
3は、上記実施例1と同様の製造条件により作製したも
ので、この実施例3の炭素繊維を分散したアルミニウム
基複合材料は、分散材である炭素繊維は繊維径10μ
m、繊維長500μm、バインダーはピッチ系樹脂、炭
素繊維の体積充填率は30%、バインダーの体積充填率
は15%に固定し、SiC化させるSiの添加量を変化
させたものを作製し、上記実施例1と同様に熱持性を測
定したものであり、表3は結果を示したものである。
【0023】表3に示すように、発明例のNo.17〜
No.20の炭素繊維分散アルミニウム基複合材料は、
炭素繊維:Siの重量比を、95:5から60:40で
変化させたもので、このようにSiが炭素繊維との重量
比で、炭素繊維:Si=60〜95:40〜5であるこ
とにより熱特性にすぐれたアルミニウム基複合材料が得
られるものである。特に、発明例のNo.18,No.
19のように炭素繊維:Siが80:20〜70:30
では、優れた熱特性のものが得られた。比較例のNo.
21は、Si粒子の混入を行わないもので、炭素繊維の
表面層に珪素を含有していないものであり、これは熱的
なストレスにより熱膨張係数の劣化が見られる。また比
較例のNo.22は、炭素繊維:Siの重量比50:5
0で発明例のものよりSi量が多いものであるが、これ
は十分な熱性能が得られないものである。
【0024】
【表3】
【0025】
【実施例4】実施例4は、分散材である炭素繊維表面の
炭化珪素についてのもので、所定量のピッチ系樹脂を2
00℃に加熱し、これに繊維径10μm、繊維長500
μmの炭素繊維を所定量投入してスラリーを作製した。
これを金型に入れてプレス成形を行い、乾燥硬化後、3
000℃にて焼成を行い、寸法200mm×150mm
×10mmの炭素繊稚成形体を得た。炭素繊維成形体の
体積充填率が、炭素繊維30%、バインダー15%とな
るように調整した。次にこの炭素繊維成形体にシランガ
スを1900℃で通し、気相状態で炭素繊維と化学反応
を起こさせ、炭素繊維の表層の一部をSiC化した。そ
の後の製造条件は、上記実施例1と同様の条件によりア
ルミニウム基複合材料を作製した。この実施例のアルミ
ニウム基複合材料の熱性能を上記実施例1と同様に熱持
性を測定したところ、実施例1〜実施例3のアルミニウ
ム基複合材料と同等の性能を示すものであった。
【0026】
【実施例5】実施例5は、アルミニウム基複合材料のマ
トリックスであるアルミニウム−マグネシウム合金に含
まれるMgの量を変化させたものである。まず、所定量
のピッチ系樹脂を200℃程度に加熱し、これに繊維径
10μm、繊維長500μmの高配向の炭素繊維を所定
量投入してスラリーを作製した。このスラリーにさらに
粒径が44μmであるSi粒子を炭素繊維との体積比が
80:20となるように混入した。これを金型に入れて
プレス成形を行い、乾燥硬化後、1900℃にて焼成を
行い、寸法200mm×150mm×10mmの炭素繊
維成形体を得た。炭素繊維成形体の体積充填率が炭素繊
維30%、バインダー15%となるように調整した。
【0027】次に、この炭素繊維成形体を予熱炉にてア
ルゴン雰囲気中で700℃に加熱した。炭素繊維成形体
と同形状のキャビティを有する250℃に予熱した鋳造
金型に、予熱炉から取り出した炭素繊維成形体を設置し
た。そして、溶湯鍛造法による加圧鋳造装置で型締め
後、種々の量のMgを含有するアルミニウム合金の75
0℃の溶湯を、射出速度10cm/secで鋳込み、鋳
込み後1000atmの圧力で一分間加圧保持後、凝固
させた。上記のようにして作製したアルミニウム基複合
材料の熱特性を、上記実施例1と同様に測定し、表4に
結果を示すものである。
【0028】表4に示すように、発明例のNo.23〜
No.26の炭素繊維分散アルミニウム基複合材料は、
マトリックスのアルミニウム−マグネシウム合金に含ま
れるMgの量が、0.1重量%〜10重量%のものであ
り、熱的なストレスを加えた後の熱膨張係数(10−6
/K)に初期値に比べて劣化が見られず、炭素繊維とマ
トリックスの界面の密着性が向上していることがわか
る。なお、マトリックス中のMgの量が増えるに従い熱
性能は多少低下するものの、熱ストレス後の劣化がな
く、すなわち界面の密着性は向上しているものである。
比較例のNo.27はアルミニウム−マグネシウム合金
に含まれるMgの量が、0.01%と、本発明のMg量
0.1wt%より少ないものである。これは熱膨張係数
の劣化に改善が見られない。またMg量が10wt%を
越えたものは含浸性が低下し、鋳塊に鋳造欠陥の”す”
が見られた。
【0029】
【表4】
【0030】
【実施例6】本発明の実施例6を図1〜図3に示す。図
1は本発明の実施例1〜5と同様の製造条件にて作製し
た炭素繊維成形体のSEM像(×2000)である。図
2は本発明の実施例のアルミニウム基複合材料のプリフ
ォーム横方向のSEM像(×400)であり、図3は本
発明の実施例のアルミニウム基複合材料のプリフォーム
厚み方向のSEM像(×400)である。
【0031】図1のSEM(走査電子顕微鏡)像は、炭
素繊維(1)とSiCコート部層(3)が示されてお
り、分散材である炭素繊維の表面が炭化珪素になってい
るものである。これは添加したSiの粒子が焼成により
溶解、炭素繊維表面を流動し、炭素繊維との化学反応に
よりSiC化した細かい粒子状のコート層が確認でき
る。SEM像よりこのコーティング層の厚さは0.1〜
0.9μmである。さらに同じ炭素繊維成形体に対しオ
ージェ電子分光分析装置を用いて炭素繊維表面のコーテ
ィング層をイオンスパッタリングにより深さ方向に掘り
進めながら定性分析を行った。その結果、Si量は徐々
に低下し、逆にC量が増加した。これより通常炭素繊維
に施されたコーティング層と異なり濃度傾斜を有するS
iCコーティング層が形成されていることが確認され
た。
【0032】また、図2、図3は、上記実施例1〜5と
同様の製造条件にて作製したアルミニウム基複合材料の
SEM像であり、炭素繊維(1)、炭素バインダー
(2)、SiCコート部(3)、マトリックスのAl−
Mg合金(4)が示され、分散材である炭素繊維同士が
炭素を主成分とするバインダーで固着及び連通されいる
ものである。また図2の横方向のSEM像、及び図3の
厚み方向のSEM像に示すように、二次元ランダム状態
で配向しており厚み方向に層構造をとっているものであ
る。
【0033】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明のアルミニ
ウム基複合材料は、分散材である炭素繊維が炭素を主成
分とするバインダーで固着及び連通されているため高い
熱伝導率を示し、また炭素繊維表面の一部がSiC化し
ており、さらにマトリックスに炭素との濡れ性が良好な
Al−Mg合金を用いているので界面の密着性が改善さ
れているもので、そのため熱的なストレスを加えても熱
性能の劣化が生じることがない信頼性の高い複合材料を
提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の炭素繊維成形体のSEM像
【図2】 本発明の実施例のアルミニウム基複合材料の
プリフォーム横方向のSEM像
【図3】 本発明の実施例のアルミニウム基複合材料の
プリフォーム厚み方向のSEM像
【符号の説明】
1.炭素繊維 2.炭素バインダー 3.SiCコート部 4.マトリックス(Al−Mg)合金

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1wt%以上10wt%以下のマグ
    ネシウムを含んだアルミニウム合金をマトリックスと
    し、表面層に硅素を重量比5%以上40%以下で含有す
    る炭素繊維を分散材とし、それら分散材を固着、連通さ
    せる炭素を主成分とするバインダーを体積充填率で10
    %以上60%以下加えたことを特徴とする高熱伝導性、
    低熱膨張性を有する炭素繊維分散アルミニウム基複合材
    料。
  2. 【請求項2】 分散材である炭素繊維が複合材料の熱膨
    張を抑制しようとする方向に二次元ランダム状態で配向
    しており、厚み方向に層構造をとっていることを特徴と
    する請求項1に記載の高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭
    素繊維分散アルミニウム基複合材料。
  3. 【請求項3】 分散材である炭素繊維の表面が炭化珪素
    になっており、さらに炭素繊維内部に向かって珪素が減
    少する濃度分布を持つことを特徴とする請求項1または
    2に記載の高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散
    アルミニウム基複合材料。
JP24494599A 1999-08-31 1999-08-31 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料 Pending JP2001073102A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24494599A JP2001073102A (ja) 1999-08-31 1999-08-31 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24494599A JP2001073102A (ja) 1999-08-31 1999-08-31 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001073102A true JP2001073102A (ja) 2001-03-21

Family

ID=17126309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24494599A Pending JP2001073102A (ja) 1999-08-31 1999-08-31 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001073102A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006046515A1 (ja) * 2004-10-29 2006-05-04 Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha 蓄電体セルのパッケージ構造
JP2010024500A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Denki Kagaku Kogyo Kk アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法
JP2010024488A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Denki Kagaku Kogyo Kk アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法
CN101705458B (zh) * 2009-11-11 2011-07-13 青海大学 改性硼酸镁晶须增强镁基复合材料的制备工艺
JP2013155106A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America Inc 水酸化触媒
CN108823514A (zh) * 2018-06-12 2018-11-16 大连理工大学 一种碳纤维/碳化硅颗粒共增铝基复合材料的制备方法与应用
CN109402534A (zh) * 2018-12-26 2019-03-01 大连大学 利用原子堆积理论和低压加压法制备颗粒与纤维强化Al基合金复合材料的方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006046515A1 (ja) * 2004-10-29 2006-05-04 Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha 蓄電体セルのパッケージ構造
JP2006127938A (ja) * 2004-10-29 2006-05-18 Fuji Heavy Ind Ltd 蓄電体セルのパッケージ構造
JP2010024488A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Denki Kagaku Kogyo Kk アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法
JP2010024500A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Denki Kagaku Kogyo Kk アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法
CN101705458B (zh) * 2009-11-11 2011-07-13 青海大学 改性硼酸镁晶须增强镁基复合材料的制备工艺
JP2013155106A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America Inc 水酸化触媒
CN108823514A (zh) * 2018-06-12 2018-11-16 大连理工大学 一种碳纤维/碳化硅颗粒共增铝基复合材料的制备方法与应用
CN109402534A (zh) * 2018-12-26 2019-03-01 大连大学 利用原子堆积理论和低压加压法制备颗粒与纤维强化Al基合金复合材料的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10335538A (ja) 半導体基板材料、半導体基板、半導体装置、及びその製造方法
US10919811B2 (en) Aluminum-silicon-carbide composite and method of manufacturing same
JP4809216B2 (ja) 金属マトリックス複合体製造用組成物
JP5340864B2 (ja) SiC/Al系複合材料及びその製法
JP2001073102A (ja) 高熱伝導性、低熱膨張性を持つ炭素繊維分散アルミニウム基複合材料
JP4113971B2 (ja) 低膨張材料及びその製造方法
US20020192453A1 (en) Composite material having a high thermal conductivity and method for manufacturing the composite material
WO2019194137A1 (ja) SiC-Siコンポジット部材の製造方法およびSiC-Siコンポジット部材
JP3698571B2 (ja) 炭化珪素質複合体及びその製造方法
JP2020012194A (ja) 金属−炭化珪素質複合体及びその製造方法
JP3655207B2 (ja) 電子機器用放熱部材およびその製造方法
JP2001089834A (ja) 高信頼性アルミニウム基複合板
JPH11256253A (ja) 複合材用炭素繊維及び複合材料
JP4907777B2 (ja) 金属−セラミックス複合材料
JP4594433B1 (ja) 放熱部材
JP4233133B2 (ja) 炭化珪素質複合体とそれを用いた放熱部品
JP2000129413A (ja) 炭素繊維含有金属材料およびその製造方法
JP3948797B2 (ja) 炭化珪素質複合体の製造方法
JP2002249832A (ja) 金属−セラミックス複合材料およびその製造方法
JP4167318B2 (ja) 金属−セラミックス複合材料の製造方法
JPH11116361A (ja) 炭化珪素質複合体とそれを用いた放熱部品
JP4279370B2 (ja) 金属−セラミックス複合材料の製造方法
JP3871421B2 (ja) 複合体とそれを用いたヒ−トシンク
JPH11157964A (ja) 板状複合体とそれを用いた放熱部品
JPH10298685A (ja) 半導体製造装置用電極部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080522

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080617

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081010