JP2010058985A - シリカゾルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該球状シリカ微粒子のBET法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定される該シリカ微粒子の平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.9〜5.0の範囲にあり、該平均粒子径(D2)が10〜200nmの範囲にあり、ナトリウム含有割合が100質量ppm以下の範囲にあることを特徴とするシリカゾル。
【選択図】なし
Description
(D2)の比D1/D2が5以上であり、D1は40〜500ミリミクロン、そして電子顕微
鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるシリカゾルの製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液に水溶性のカルシウム塩またはマ
グネシウム塩などを含有する水溶液を、所定量添加し、混合する工程、(b)更に、アルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基又はそれらの水溶性珪酸塩をSiO2/M2O (但し、Mは上記アルカリ金属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20〜200となるように加えて混合する工程、(c)前工程によって得られた混合物を60〜150℃で0.5〜40時間加熱する工程からなる製造方法が開示されている。
mL/g以下であるシリカ粒子に関する記載がある。特開2002−338232号公報(特許文献3)には、コロイダルシリカのシリカ粒子の電子線による透過投影像より求めた幾何学的平均粒子径(X1)と、シリカ粒子の表面積より算出した相当粒子径(X2)との比Y(X1/X2)が1.3から2.5の範囲であり、かつその幾何学的平均粒子径が20〜200nmの範囲であることを特徴とする二次凝集コロイダルシリカに関する発明が開示されている。より詳しくは、同二次凝集コロイダルシリカの製造方法として、単分散のコロイダルシリカにシリカ粒子の凝集剤を添加して球状の凝集二次粒子を作り、更に活性珪酸を添加して凝集粒子を一体化してなる製造方法が開示されている。
てなるシリカゾルを提供することにある。また、本発明はその様なシリカゾルの製造方法を提供するものである。
(1) 表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該球状シリカ微粒子のBET法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定される該シリカ微粒子の平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.9〜5.0の範囲にあり、該平均粒子径(D2)が10〜200nmの範囲にあり、ナトリウム含有割合が100質量ppm以下の範囲にあることを特徴とするシリカゾル、
(2) 前記球状シリカ微粒子の粒子径の変動係数が3.0〜30%の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のシリカゲル、
(3) 前記球状シリカ微粒子が[SiO4/2]単位および[SiO3/2]単位を含有するものであること特徴とする(1)または(2)に記載のシリカゲル、
(4) 次の[1]〜[4]の工程
[1]画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体
シリカ微粒子の分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存
在下、3官能シラン化合物を該母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、5.6×1
0-7〜9.4×10-6モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加することにより、
加水分解反応を進行させて、部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子水
系分散液を調製する工程、
[2]前記部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30
〜200℃にて熟成する工程、
[3]前記熟成された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃に保
持し、水分と加水分解用触媒の存在下、テトラエトキシシランを母体シリカ微粒子
の表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で連続的にまたは
断続的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、表面に複数の疣状突起
を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製する工程、およ
び
[4]表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリ
カゾルを、温度30〜200℃にて熟成する工程
を含むことを特徴とするシリカゾルの製造方法、
(5) 前記工程[1]における水分の3官能シラン化合物に対するモル比は8以上で
あり、前記工程[3]における水分のテトラエトキシシランに対するモル比が4以上
であることを特徴とする(4)に記載のシリカゾルの製造方法、
(6) 前記工程[3]において、テトラエトキシシランとともに水分と加水分解用触媒
の混合物を連続的にまたは断続的に添加することを特徴とする(4)又は(5)に記
載のシリカゲルの製造方法、および、
(7) 前記(1)〜(3)の何れかに記載のシリカゾルと、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする研磨用組成物である。
を特徴とするものである。また、このシリカ微粒子は、原料の純度に起因して、ナトリウムまたは炭素などの不純物の含有量が低水準にあることを特徴としている。これらの特徴は、前記のシリコンウェーハの研磨を始めとする研磨用途において、優れた効果を示すものである。
[表面粗度]
本発明に係るシリカゾルの分散質である球状シリカ微粒子は、その表面に複数の疣状突起を有し、凹凸に富むものである。この様な複数の疣状突起を有する表面については表面粗度によりその範囲が規定される。本発明において表面粗度は、BET法により測定された比表面積(単位質量当りの表面積)の値を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積の値を(SA2)としたとき、表面粗度=(SA1)/(SA2)として定義される。
ここで、D2は前記平均粒子径[nm]、ρは試料の密度[g/cm3]であり、ここ
ではシリカの密度2.2を使用した。 この比表面積(SA2)の値は、平均粒子径D2を有する球状で表面が平滑なシリカ微粒子の比表面積に対応するものと言える。
ここで比表面積は単位質量当りの表面積を示すから、表面粗度(SA1)/(SA2)の値については、球状粒子の場合、粒子表面に多くの疣状突起を有する程、(SA1)/(SA2)の値は大きくなる。また、粒子表面の疣状突起が少なく、平滑であるほど、(SA1)/(SA2)の値は小さくなり、その値は1に近づく傾向にある。
前記球状シリカ微粒子は、球状であることが必要であり、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状など、いわゆる異形粒子が含まれない。本発明において、球状とは、真球度が0.70〜1.00の範囲にある場合を言う。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡に
より写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、
それぞれ最大径(DL)を測定し、該最大径上で、該最大径を2等分する点(中心点)を求め、該中心点を通過し、該最大径に直交する径の長さ(DS)を測定し、(DL)/(DS)の値を求め、50個の粒子について平均値をとり、これを真球度とした。
前記球状シリカ微粒子の画像解析法により測定される平均粒子径(D2)については、10〜200nmの範囲が好適である。10nm未満の場合は、必要な表面粗度をもった球状シリカ微粒子を調製することが容易ではない。平均粒子径(D2)が200nm超える場合は、原料の核微粒子の大きさにもよるが、一般に突起が平坦化する傾向が著しくなるため良好な性状の球状シリカ微粒子を得ることが容易ではない。平均粒子径の範囲については、より好適には、20〜150nmの範囲が推奨される。また、より好適には25〜50nmの範囲が推奨される。
前記球状シリカ微粒子については、ナトリウム(Na)についてもその含有割合が低い水準にあることが望ましい。球状シリカ微粒子中のNa含有割合は球状シリカ微粒子中にNaとして100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは20質量ppm以下であることが望ましい。Na含有割合が100質量ppmを越えると、シリカ粒子を用いて研磨した基板にNaが残存し、このNaが半導体基板に形成された回路の絶縁不良を起こしたり回路が短絡したりすることがあり、絶縁用に設けた膜(絶縁膜)の誘電率が低下し金属配線にインピーダンスが増大し、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が起きることがある。また、Naイオンが移動(拡散)し、使用条件や使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがある。
本発明に係るシリカゾルの分散質である球状シリカ微粒子の表面状態については、前記表面粗度で定められるものであるが、望ましくは、粒子径の変動係数(CV値)が3.0〜30%の範囲にあるものが推奨される。
い場合が生じかねない。粒子径の変動係数(CV値)については、好ましくは3.3〜23%の範囲が推奨される。また、更に好ましくは、5.0〜12%の範囲が推奨される。
[溶媒]
前記球状シリカ微粒子が分散する分散媒としての溶媒については、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒のいずれであっても使用することができる。具体的には以下の例を挙げることができる。純水、超純水、イオン交換水などの水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などを例示することができる。また、これらの分散媒は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用しても構わない。
2.シリカゾルの製造方法
本発明に係るシリカゾルの製造方法は、最初にアルコキシシランを原料に調製されたシリカ微粒子(以下母体シリカ微粒子という。)を母体とし、その表面を完全に被覆しない範囲で、3官能性シラン化合物と加水分解反応を行う。ここで3官能シラン化合物は、反応性の極めて低い有機基1個とアルコキシ基などの加水分解基3個を有するものである。このため3官能シラン化合物が、シリカ微粒子表面のシラノール基と加水分解反応することにより結合する結果、該シリカ微粒子表面には、部分的にアルキルシリル基などのオルガノシリル基が存在することになる。(以下、シリカ微粒子表面を3官能シラン化合物と反応させることを「有機化処理」と呼ぶ場合がある。)
次に表面が部分的に有機化されたシリカ微粒子表面に残存するシラノール基とテトラエトキシシランとの加水分解反応を進めることにより、部分的に有機化処理されたシリカ微粒子(以下「有機化処理シリカ微粒子」ということがある。)表面を部分的にビルトアップさせ、それにより表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製することができる。
[第1工程および第2工程]
本発明製造方法における第1工程は、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体シリカ微粒子の分散液を温度30〜100℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、3官能シラン化合物を母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、
5.6×10-7〜9.4×10-6 モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、有機化処理シリカ微粒子水系分散液を調製するものであり、それに続いて行う第2工程は、前記有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃にて熟成するものである。
シリカ微粒子分散液
本発明に係るシリカゾルは、ナトリウム含有割合が100ppmのいわゆる高純度のシ
リカゾルである。このため原料として本発明に係る製造方法にて、使用する母体シリカ微粒子分散液についても、ナトリウム含有割合の低い、いわゆる高純度シリカゾルが適用される。この様な高純度シリカゾルとしては、特開2003−213249号で開示されるようなアルコキシシランを原料として調製されるシリカ微粒子が好ましい。具体的には、下記一般式[1]で表されるアルコキシシランの1種または2種以上を加水分解した後、必要に応じて150℃以下の温度で水熱処理して得られる。Xn Si(OR)4-n ・・・[1]式中、Xは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、n は0〜3の整数である。一般式[1] で表されるアルコキシシランとしては
、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物のうち、好適には4官能性シラン化合物が推奨される。具体的には、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。実用上は、テトラエトキシシランの使用が推奨される。
本発明における3官能性シラン化合物とは、1個の有機基と3個の加水分解性基を有するシラン化合物を意味する。本発明に係る製造方法においては、シリカ微粒子の表面のシラノール基と加水分解して、後の第3の工程で添加されるテトラエトキシシランと反応しないSi―R(Rは有機基)部分を設けることを目的として添加される。前記3官能性シラン化合物の有機基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基などが好適に使用される。また、加水分解性基としては、炭素原子数1〜6のアルコキシ基などが好適に使用される。通常は、3官能シラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどが使用される。このうち加水分解が早く、母体シリカ粒子との反応を制御しやすいという理由で、メチルトリ
メトキシシランの使用が特に推奨される。
の表面積1m2当り、5.6×10-7〜9.4×10-6モルの範囲が推奨される。3官能
シラン化合物が5.6×10-7モル/m2未満の場合は、所定の表面粗度または粒子径変
動係数(CV値)が形成される程度まで、アルキル化処理が進行しない場合があり、好ましくない。9.4×10-6 モルを超える場合は、シリカ微粒子表面に、後の第3の工程で添加されるテトラエトキシシランと反応するシラノール基が残存しないかあるいは、極端に少なくなる場合が含まれるため好ましくない。母体シリカ微粒子の表面積(1m2)
当りの3官能シラン化合物のモル比については、好適には2.0×10-7〜5.0×10-6の範囲が推奨される。
加水分解用触媒
本発明に係る製造方法で使用される加水分解用触媒としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属水素化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤など、塩基性を示す化合物が用いられる。なお、触媒としてアルカリ金属水素化物を用いることもできるが、前記アルコキシシランのアルコキシ基の加水分解を促進し、このため得られる粒子中に残存アルコキシ基(炭素)が減少しより硬いものとなるため、研磨速度は高いもののスクラッチが発生する場合がある。さらにナトリウム水素化物を使用した場合は、Naの含有量が高くなる問題がある。
また、加水分解用触媒の使用量については、前記の通り必ずしも限定されるものではないが、通常は、加水分解用触媒を添加した後のpHが3〜12の範囲であることが好ましい。この範囲である場合、核粒子との反応性の点で好ましい。pHが12を超える場合は溶解性が高くなり、核粒子との反応性が低下する。また、pHが3未満の場合は、粒子の安定性が低下し、ゲル化する傾向が強まるので好ましくない。
加水分解反応
第1工程においては、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体シリカ微粒子の分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、3官能シラン化合物を該母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、5.6×10-7〜9.4×10-6 モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加する。ここで保持温度が
30℃未満の場合は、3官能シラン化合物とシリカ微粒子表面のシラノール基との加水分解が充分に進行しない場合があるため好ましくない。 温度200℃を超える場合は、溶解性が高くなり、核粒子との反応性が低下するため好ましくない。シリカ微粒子分散液の保持温度範囲としては、さらに好適には60〜150℃の範囲が推奨される。
熟成
前記加水分解反応を経て有機化処理された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃にて、30分〜5時間かけて熟成する。このような熟成処理を行うことによりゾル状のシリカ微粒子が均一化するため好ましい。例えば、未反応の3官能性シラン化合物が残存していた場合、熟成することにより、反応を促進し、完結させることができる。なお、未反応の3官能性シラン化合物の残存量によっては、経時でシリカの凝集や沈殿が生じる場合がある。熟成時の前記温度範囲については好適には40〜200℃の範囲が推奨される。また、更に好適には、60〜150℃の範囲が推奨される。前記熟成時間範囲については、好適には1〜9時間が推奨される。また、更に好適には、2〜8時間が推奨される。
、有機化された部分とシラノール基が残存している部分が混在してなるものであり、第3工程において、粒子表面に部分的なビルトアップを行うために適したものと言える。
[第3工程および第4工程]
本発明製造方法における第3工程は、前記熟成された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、テトラエトキシシランを該シリカ微粒子の表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で連続
的にまたは断続的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製するものである。また、それに続いて行う第4工程は、表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを温度30〜200℃にて熟成するものである。
シリカ微粒子分散液
第3工程で使用される有機化処理シリカ微粒子分散液は、前記の通り、粒子表面が部分
的に有機化されており、ほかにシラノール基が残存してなるものである。この様なシリカ微粒子分散液については、第1工程と同様な理由で、固形分濃度が5〜40質量%のものが好適に使用される。また、その分散媒についても、第1工程と同様に1)水または2)水と水溶性有機溶媒の混合物が好適に使用される。
テトラエトキシシラン
本発明においてテトラエトキシシランは、前記残存シラノール基と反応して、シリカ微粒子表面にて、局所的にビルトアップを進行させ、疣状突起を形成させるために使用される。
カ微粒子の表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で使用される。
テトラエトキシシランが0.2×10-4モル/m2未満の場合は、所定の表面粗度また
は粒子径変動係数(CV値)が形成される程度まで、ビルトアップできない場合があり、
好ましくない。15×10-4モル/m2を超える場合は、表面粗度の小さい球状粒子とな
る傾向が強まり好ましくない。有機化処理シリカ微粒子の表面積(1m2)当りのテトラ
エトキシシランのモル比については、好適には0.7×10-4〜10×10-4の範囲が推奨される。
加水分解用触媒
第3工程で使用される加水分解用触媒については、第1工程で使用される加水分解用触媒と同様なものを使用することができる。
また、加水分解用触媒の使用量については、前記の通り必ずしも限定されるものではないが、通常は、加水分解用触媒を添加した後のpHが9〜12の範囲であることが好ましい。この範囲である場合、核粒子との反応性の点で好ましい。pHが12を超える場合は溶解性が高くなり、核粒子との反応性が低下する。また、pHが9未満の場合は、シリカ粒子の凝集が強まるので好ましくない。
加水分解反応
第3工程においては、第2工程を終了した有機化処理シリカ微粒子分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、3官能シラン化合物を該有機化処理シリカ微粒子の表面積1m2当り、1.0×10-5〜6.0×10-4モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加する。ここで保持温度が30℃未満の場合は、テトラエトキシシランとシリカ微粒子表面のシラノール基との加水分解が充分に進行しない場合があるため好ましくない。温度200℃を超える場合は、粒子の溶解が生じるなどの問題があり好ましくない。シリカ微粒子分散液の保持温度範囲としては、さらに好適には60〜150℃の範囲が推奨される。
加する必要はなく、シリカ微粒子分散液中の水分で充足される。また、加水分解用触媒が水溶液で使用される場合は、その水溶液に含まれる水分も加水分解反応に適用されるものと考えて構わない。
熟成
第3工程を終了したシリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃にて、30分〜5時間かけて熟成する。例えば、未反応のテトラエトキシシランが残存していた場合、熟成することにより、未反応のテトラエトキシシランの反応を促進し、完結させることができる。なお、未反応のテトラエトキシシランの残存量によっては、経時でシリカの凝集や沈殿が生じる場合がある。熟成時の前記温度範囲については好適には40〜180℃の範囲が推奨される。また、更に好適には、60〜150℃の範囲が推奨される。前記熟成時間範囲については、好適には1〜9時間が推奨される。また、更に好適には、2〜8時間が推奨される。
3.研磨剤組成物
本発明に係る研磨用粒子分散液は、それ自体で研摩剤として使用可能なものであるが、所望により、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を添加して使用しても構わない。本発明においては、前記研磨用粒子分散液にこれらの成分を添加して得られる混合物を「研磨用組成物」と呼称する。
研磨促進剤
本発明に係る研磨用組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
界面活性剤及び/又は親水性化合物
研磨用組成物の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。
チレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
ビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
複素環化合物
本発明の研磨用組成物については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層または溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
pH調整剤
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
pH緩衝剤
研磨用組成物のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水まどのリン酸塩及びホウ酸塩または有機酸などを使用することができる。
溶媒
本発明に係る研磨用組成物については、必要に応じて溶媒を用いることができる。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。また、水と有機溶媒からなる混合溶媒であっても構わない。
研磨用粒子の濃度
研磨用組成物中の(C)研磨用粒子の濃度は2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ粒子の濃度が50重量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
[1]動的光散乱法による平均粒子径の測定方法
試料シリカゾルを0.58%アンモニア水にて希釈して、シリカ濃度1質量調整し、下記粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
〔粒径測定装置〕
レーザーパーティクルアナライザー(製造元:大塚電子社、型番「レーザー粒径解析システム、LP−510モデルPAR−III」、測定原理 動的光散乱法 測定角度90°、受光素子 光電子倍増管2インチ、測定範囲3nm〜3μm、光源 He-Neレー
ザー 5mW 632.8nm、温度調整範囲5〜90℃、温度調整方式ペルチェ素子(
冷却)、セラミックヒーター(加熱)、セル 10mm角 プラスチックセル、測定対象:
コロイド粒子
[2]BET法(窒素吸着法)による比表面積測定方法
シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加
え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定し、その平均値を平均粒子径(D2)とした。また、平均粒子径(D2)の値を次の式(2)に代入して、比表面積(SA2)を求めた。
ここで、D2は平均粒子径[nm]、ρは試料の密度[g/cm3]であり、ここでは
シリカの密度2.2を使用した。
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、それぞれ最大径(DL)を測定し、該最大径上で、該最大径を2等分する点(中心点)を求め、該中心点を通過し、該最大径に直交する径の長さ(DS)を測定し、(DL)/(DS)の値を求め、50個の粒子について平均値をとり、これを真球度とした。
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍ないし50万倍で写真撮影して得られる写真投影図における球状シリカ微粒子の最長径を2等分する位置を該球状シリカ微粒子の中心とし、該中心から最長径の一方の端を角度0度とし、そこから10度づつ0度から180度までの半径を測定する。そして、その値から半径の平均値および標準偏差を算定する。更に該標準偏差を該平均値で除すことにより粒子径の変動係数(相対標準偏差)を求めた。この測定および算定を任意の50個の粒子について行い、粒子径の変動係数の平均値をとり、その値を粒子径の変動係数(CV値)とした。なお、粒子径の変動係数(CV値)については、粒子径の変動係数(CV値)[%]=(粒子径の標準偏差/粒子径の平均値)×100として表示した。
次の手順によりナトリウムの含有量を測定した。
1)試料シリカゾル約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量する。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解する。5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とする。
6)原子吸光分光光度計(株式会社日立製作所製、Z-5300、測定モード:原子吸光、測定波長:190〜900nm、シリカ試料の場合におけるNaの検出波長は589.0nm)にて、試料溶液中に存在する各金属の含有量を測定した。この原子吸光分光光度計は、フレームにより試料を原子蒸気化し、その原子蒸気層に適当な波長の光を照射し、その際の原子によって吸収された光の強さを測定し、これにより試料中の元素濃度を定量するものである。
7)試料シリカゾル10gに50%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量する。次に、秤量した固形物を微量の50%硫酸水溶液に溶かし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15分焼成後、冷却して秤量する。これらの重量差よりシリカ含有量を求めた。
8)上記6)と7)の結果からSiO2分に対するNaの割合を算出した。
研磨スラリーの調製 各実施例および各比較例で得たシリカ濃度12.6質量%のシリカゾルに、KOHを添加して、pHを10に調整した。
研磨試験 上記被研磨基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF330)にセットし、研磨パッド(ロデール社製「IC-1000」)を使用し、基板荷重0.05M
Pa、テーブル回転速度30rpmで研磨用研磨スラリーを20g/分の速度で5分間供給して研磨を行った。研磨前後の膜厚を短波長エリプソメーターで測定し、研磨速度を計算した。
[実施例1]
[準備工程]母体シリカ微粒子の調製
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を65℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28質量%)の水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比:2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532. 5g溶解したもの)2982. 5gおよび濃度0. 25質量%の触媒としてのアンモニア水596. 4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0. 034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で
3時間熟成した。
び198m2/gであった。
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン19.65g(0.14モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン655.8g(3.15モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水49.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモ
ル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り1.47×10-4であった。続いて、限外
濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12
.6質量%のシリカゾルを得た。
[実施例2]
[準備工程]母体シリカ微粒子の調製
純水418gとエタノール619.6gとを混合した混合溶媒を65℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28質量%)13.8Kgとエタノール26.21Kgの混合液および、濃度28.8質量%のアンモニア水963.7gと超純水13.27Kgとを混合した溶液を、同時に10時間
かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、エタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の母体シリカ粒子の分散液を得た。
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
メチルトリメトキシシランの質量を9.16gとし、メタノールの質量を111.1gとした以外は実施例1と同じ条件にて、4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.
5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン309g(1.49モル)とメタノール586.7gとの混合溶液と、超純水418.1gと28.6%アンモニア水23.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、1.51×10-4であった。続いて、限外濾過
膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[実施例3]
[準備工程]母体シリカ微粒子の調製
純水424.5gとエタノール630.3gとを混合した混合溶媒を65℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28質量%)28Kgとエタノール53.2Kgの混合液および、濃度28.8質量%のアンモニア水1955gと超純水26.92Kgとを混合した溶液を、同時に10時間かけ
て添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、エタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の母体シリカ粒子の分散液を得た。
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
メチルトリメトキシシランの質量を6.74gとし、メタノールの質量を113.26gとした以外は実施例1と同じ条件にて、4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2
.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン221g(1.06モル)とメタノール418.6gとの混合溶液と、超純水298.2gと28.6%アンモニア水16.5gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、1.46×10-4であった。続いて、限外濾過
膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[比較例1A]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン0.80g(0.01モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4101gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り0.1×10-7であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン655.8g(3.15モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水49.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモ
ル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り1.47×10-4であった。続いて、限外
濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[比較例1B]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン79.71g(0.59モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4180gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り0.1×10-5であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン655.8g(3.15モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水49.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。その結果、新たに核粒子が発生し、再度の粒子成長を均一に行うことが出来なかった。なお、使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り1.49×10-4であった。
[比較例1C]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキ
シシラン19.65g(0.14モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン12.19g(0.06モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水3.6gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.7×10-6であった。
続いて、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[比較例1D]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン19.65g(0.14モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン9752g(47モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水730gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。その結果、粒子は凝集し、白濁した。なお、使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.19×10-3であった。
実施例1〜3、比較例1A〜1Dに関する各種測定結果等を表1および表2に記した。
Claims (7)
- 表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該球状シリカ微粒子のBET法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定される該シリカ微粒子の平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.9〜5.0の範囲にあり、該平均粒子径(D2)が10〜200nmの範囲にあり、ナトリウム含有割合が100質量ppm以下の範囲にあることを特徴とするシリカゾル。
- 前記球状シリカ微粒子の粒子径の変動係数が3.0〜30%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のシリカゾル。
- 前記球状シリカ微粒子が[SiO4/2]単位および[SiO3/2]単位を含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカゾル。
- 次の[1]〜[4]の工程
[1]画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体シ
リカ微粒子の分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下
、3官能シラン化合物を該母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、5.6×10-7〜
9.4×10-6 モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加することにより、加水分
解反応を進行させて、部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子水系分散液
を調製する工程
[2]前記部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜
200℃にて熟成する工程
[3]前記熟成された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃に保持
し、水分と加水分解用触媒の存在下、テトラエトキシシランを該母体シリカ微粒子の
表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で連続的にまたは断続
的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、表面に複数の疣状突起を有す
る球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製する工程、および
[4]表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ
ゾルを、温度30〜200℃にて熟成する工程
を含むことを特徴とするシリカゾルの製造方法。 - 前記工程[1]における水分の3官能シラン化合物に対するモル比が8以上であり、前記工程[3]における水分のテトラエトキシシランに対するモル比が4以上であることを特徴とする請求項4に記載のシリカゾルの製造方法。
- 前記工程[3]において、テトラエトキシシランとともに水分と加水分解用触媒の混合
物を連続的にまたは断続的に添加することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のシリカゾルの製造方法。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載のシリカゾルと、研磨促進剤、界面活性剤、複素環
化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする研磨用組成物。
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