JPWO2013065491A1 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、実質的に水を含まないかまたは水を含む、水以外の液状媒体からなる分散媒(ただし、該分散媒中の水の含有割合は85質量%以下である)に砥粒が分散している研磨液でガラス基板本体の少なくとも一方の主面を研磨するガラス基板の製造方法に関する。
Description
本発明は、ガラス基板の製造方法に関する。より詳細には、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられるガラス基板に適した、高強度のガラス基板の製造方法に関する。
パーソナルコンピューターや携帯電話等の情報端末や、液晶テレビ等の表示装置として、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)が使用されている。
FPD用のガラス基板に対しては、機器等の小型化に伴い、軽量化、薄型化が求められている。しかしながら、ガラス基板の厚さを低減すると、強度が低下し、落下等による割れが生じ易くなる。このため、ガラス基板に対しては、薄型化とともに、強度が高く、優れた保護機能を得られるものが求められている。
FPD用のガラス基板は、例えばフロート法と呼ばれる製法により溶融ガラスを板状に成形し、このガラス基板を、例えば自転および公転する研磨具で研磨して、表面の微小な凹凸やうねりを除去することによって、FPD用ガラス基板に要求される平坦度を満足した所定の厚さ(例えば、0.4〜1.1mm)の薄板が製造されている(例えば、特許文献1参照)。
このような薄いガラス基板では、表面に凹凸や傷が存在すると、外観上劣るうえ、これらの箇所を起点として外圧により割れやひびが生じやすくなり、十分な強度を得られない。このため、このような薄いガラス基板において、表面を精度よく研磨して、より高い強度を得ることが求められている。
例えば特許文献1には、凹凸状コロイダルシリカ粒子が連結したコロイダルシリカ凝集体を水中に分散してなるスラリーにより、ガラス基板表面を研磨してなる表面研磨方法が開示されている。また、特許文献2にも、シリカ粒子の投影面積と、該シリカ粒子の最大内接円面積との面積比が所定の範囲内にあるシリカ粒子を含む研磨液組成物を用いてガラス基板を研磨する工程が開示されている。
上記の方法でガラス基板を表面処理することにより、ガラス基板表面の凹凸やうねりをある程度除去することができるものの、研磨後のガラス基板の強度向上の効果は必ずしも十分ではないという問題があった。このため、より高い精度でガラス基板の強度を向上させる方法が求められている。
ガラス基板に対する強化処理方法として、例えばガラス基板表面に圧縮応力層を形成して強度を高める方法が知られている。このうち、化学強化処理法は、アルカリ金属イオンを含む溶融塩にガラス基板を浸漬し、基板表面のガラス中のアルカリ金属イオンを溶融塩中のアルカリ金属イオンと置換することで、ガラス基板表面に圧縮応力層を形成する方法であり、ガラス基板の強度向上の手法として広く用いられている(例えば、特許文献3参照)。
化学強化処理法は、ガラス基板自体の厚さを要しないため、特に薄いガラス基板の強度向上に適しているが、処理に要する設備が大規模となり、コスト面で劣るという問題がある。
また、液晶表示装置等のディスプレイ用のガラス基板では、表面に金属又は金属酸化物の薄膜が形成されて用いられるものが多く、ガラス中にアルカリ金属が含まれていると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して、膜特性を劣化させるおそれがある。このため、ディスプレイ用のガラス基板としては、アルカリ金属を実質的に含まない無アルカリガラスが用いられており、このようなガラス基板には、上述した化学強化処理法を適用できないという問題がある。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、液晶表示装置等に適用されるガラス基板において、高い精度で強度を高められたガラス基板を得られるガラス基板の製造方法を提供することを目的としている。
本発明のガラス基板の製造方法は、実質的に水を含まないかまたは水を含む、水以外の液状媒体からなる分散媒(ただし、該分散媒中の水の含有割合は85質量%以下である)に砥粒が分散している研磨液でガラス基板本体の少なくとも一方の主面を研磨する。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記分散媒中の水の含有割合が3〜60質量%であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記分散媒中の水の含有割合が3質量%未満であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記水以外の液状媒体が有機溶媒であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記有機溶媒が、一価または多価のアルコールであることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記有機溶媒が、炭化水素類、エーテル類、エステル類またはケトン類であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記水以外の液状媒体が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、n−ヘキサン、オクタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびジエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記砥粒が、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、チタニア、ジルコニアおよび酸化マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物の微粒子であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記砥粒が、平均粒径が5〜500nmの粒子であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記研磨液に含まれる砥粒の含有割合が、該研磨液の全質量に対して0.1〜40質量%であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、研磨パッドに前記研磨液を供給し、前記ガラス基板本体の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により前記ガラス基板本体の被研磨面を研磨することが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板が、無アルカリガラスからなるガラス基板であることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板の厚さが0.1〜5mmであることが好ましい。
本発明によれば、従来より高い精度で強度が高められたガラス基板を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、LCD等のFPD用として使用されるガラス基板の製造方法を例にして説明する。
本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、本発明に包含される。
本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、本発明に包含される。
本発明のガラス基板の製造方法においては、研磨液を研磨パッドに供給しながら、ガラス基板の被研磨面と研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動によりガラス基板の被研磨面を研磨して行うことができる。
上記研磨に用いる研磨装置としては従来公知の研磨装置を使用することができる。図1は、本発明のガラス基板の製造方法に使用可能な研磨装置の一例を示す図である。
図1に示す研磨装置10においては、研磨定盤1がその垂直な軸心C1の回りに回転可能に支持された状態で設けられており、この研磨定盤1は、定盤駆動モータ2により、図に矢印で示す方向に回転駆動されるようになっている。この研磨定盤1の上面には、公知の研磨パッド3が貼り着けられている。
一方、研磨定盤1上の軸心C1から偏心した位置には、下面において、ガラス基板等の研磨対象物を吸着または保持枠等を用いて保持する基板保持部材(キャリヤ)5が、その軸心C2の回りに回転可能でかつ軸心C2方向に移動可能に支持されている。この基板保持部材5は、図示しないワーク駆動モータにより、あるいは上記研磨定盤1から受ける回転モーメントにより、矢印で示す方向に回転されるように構成されている。基板保持部材5の下面、すなわち上記研磨パッド3と対向する面には、研磨対象物であるガラス基板本体4が保持されている。ガラス基板本体4は、所定の荷重で研磨パッド3に押圧されるようになっている。
また、基板保持部材5の近傍には、滴下ノズル6等が設けられており、図示しないタンクから送出された研磨液7が研磨定盤1上に供給されるようになっている。
このような研磨装置10による研磨に際しては、研磨定盤1およびそれに貼り着けられた研磨パッド3と、基板保持部材5およびその下面に保持されたガラス基板本体4とが、定盤駆動モータ2およびワーク駆動モータによりそれぞれの軸心の回りに回転駆動された状態で、滴下ノズル6等から研磨液7が研磨パッド3の表面に供給されつつ、基板保持部材5に保持されたガラス基板本体4がその研磨パッド3に押し付けられる。それにより、ガラス基板本体4の被研磨面、すなわち研磨パッド3に対向する面が研磨される。
研磨液7としては、分散媒に砥粒を分散させてなるスラリー状のものである。本発明においては、分散媒として、実質的に水を含まないかまたは特定限度以下の水を含む、水以外の液状媒体からなる分散媒を使用する。
このような研磨液7を用いてガラス基板本体の被研磨面を研磨することで、研磨時に、研磨液中の水分がガラス基板本体内部に侵入するのを抑制できるとともに、ガラス基板本体に含まれる水分量を低減することができる。このため、研磨後に得られるガラス基板の強度を高い精度で向上させることができる。
このような研磨液7を用いてガラス基板本体の被研磨面を研磨することで、研磨時に、研磨液中の水分がガラス基板本体内部に侵入するのを抑制できるとともに、ガラス基板本体に含まれる水分量を低減することができる。このため、研磨後に得られるガラス基板の強度を高い精度で向上させることができる。
分散媒は、砥粒を安定に分散させるとともに、必要に応じて添加される後述する任意成分を分散・溶解するための液状媒体である。本発明における液状媒体とは、常温で液体である有機化合物や水をいい、それらの1種以上の混合物であってもよい。
液状媒体である有機化合物としては、通常有機溶媒と呼ばれている低分子化合物に限られず、常温で液状の高分子化合物(例えば、オイルと呼ばれる高分子化合物)であってもよい。液状媒体の沸点は60℃以上が好ましいが、これに限られるものではない。
液状媒体である有機化合物としては、通常有機溶媒と呼ばれている低分子化合物に限られず、常温で液状の高分子化合物(例えば、オイルと呼ばれる高分子化合物)であってもよい。液状媒体の沸点は60℃以上が好ましいが、これに限られるものではない。
本発明に用いる研磨液の分散媒は、実質的に水を含まないかまたは水を含む、水以外の液状媒体からなり、水を含む分散媒の場合、該分散媒中の水の含有量は85質量%以下である。
本発明において、実質的に水を含まない分散媒とは、水の含有割合が3質量%未満のものをいう。通常は、水以外の液状媒体に実質的な量の水を添加することなく使用する場合の分散媒をいう。なお、以下、特に言及しない限り、水以外の液状媒体を単に液状媒体という。
本発明において、実質的に水を含まない分散媒とは、水の含有割合が3質量%未満のものをいう。通常は、水以外の液状媒体に実質的な量の水を添加することなく使用する場合の分散媒をいう。なお、以下、特に言及しない限り、水以外の液状媒体を単に液状媒体という。
本発明における分散媒が水を含むものである場合、液状媒体と水とが相互に溶解した均一な混合物であることが好ましい。液状媒体と水とが相互に溶解していない場合、例えば分散媒中に溶解していない水が存在すると、研磨中にガラス基板内部に水が進入しやすくなり、研磨後に得られるガラス基板の強度が十分に高められないおそれがある。実質的に水を含まない分散媒の場合も、3質量%未満の範囲で存在する少量の水は、液状媒体中に溶解していることが好ましい。
分散媒中の水の含有割合が分散媒の全質量に対して85質量%を超えると、たとえ水と液状媒体とが相互に溶解した均一な分散媒であってもガラス基板の研磨中にガラス基板内部に水が進入しやすくなり、研磨後に得られるガラス基板の強度が十分に高められないおそれがある。水を含む分散媒の場合、分散媒中の水の含有割合は、分散媒の全質量に対し、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
研磨液7としては、研磨液の全質量に対する水の含有割合が80質量%以下、より好ましくは50質量%以下である研磨液を使用することがより好ましい。
液状媒体としては、沸点が40℃以上、好ましくは60℃以上の有機溶媒が好ましい。
有機溶媒のうち、親水性の有機溶媒は、比較的多量の水と混合して均一な混合物になりやすい。従って、親水性の有機溶媒は、水を含む分散媒における液状媒体として適している。また、親水性の有機溶媒であっても、実質的に水を含まないもの、すなわち水の含有割合が3質量%未満のものは、実質的に水を含まない分散媒として使用することもできる。
有機溶媒のうち、親水性の有機溶媒は、比較的多量の水と混合して均一な混合物になりやすい。従って、親水性の有機溶媒は、水を含む分散媒における液状媒体として適している。また、親水性の有機溶媒であっても、実質的に水を含まないもの、すなわち水の含有割合が3質量%未満のものは、実質的に水を含まない分散媒として使用することもできる。
一方、疎水性の高い有機溶媒は、それに均一に混合する水分量は少ないため、通常は実質的に水を含まない分散媒の液状媒体として使用される。
また、ある程度の親水性を有する有機溶媒は、その溶解度量以下の水を含み、かつ水の含有割合が3質量%以上である場合には、水を含む分散媒における液状媒体として使用できる。また、実質的に水を含まない場合、すなわち水の含有割合が3質量%未満の場合には、実質的に水を含まない分散媒における液状媒体として使用できる。
また、ある程度の親水性を有する有機溶媒は、その溶解度量以下の水を含み、かつ水の含有割合が3質量%以上である場合には、水を含む分散媒における液状媒体として使用できる。また、実質的に水を含まない場合、すなわち水の含有割合が3質量%未満の場合には、実質的に水を含まない分散媒における液状媒体として使用できる。
液状媒体としては、例えば、一価または多価のアルコール、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類等などの有機溶媒が好適に用いられる。また、液状媒体としては、相溶性のある2種以上の有機溶媒の混合物を使用することもできる。
これらの有機溶媒のうち、低炭素数の一価アルコールや多価アルコールなどは親水性の有機溶媒であり、前記したように、水を含む分散媒における液状媒体や実質的に水を含まない分散媒として適している。一価または多価のアルコールとしては、炭素数4以下のアルカノールや炭素数2〜8のモノアルキレングリコール又はジアルキレングリコールがより好ましい。
一方、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類などの炭化水素類は疎水性であり、前記したように、実質的に水を含まない分散媒の液状媒体として適している。炭化水素類としては、炭素数5〜12の飽和脂肪族炭化水素がより好ましい。
エーテル類としては、炭素数8以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル又はアルキレングリコールジアルキルエーテルが好ましく、エステル類としては、炭素数8以下の脂肪族カルボン酸アルキルエステルが好ましい。その他、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル、メチルエチルケトンなどのジアルキルケトンなども好ましい。
有機溶媒としては、具体的には、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール(以下、IPAという)、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール等の炭素数1〜12の一価アルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルアルコール等の不飽和アルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の環状アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングルコール等の二価アルコール、グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価以上の多価アルコール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルビニルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセタール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、ギ酸エチル、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エステル、シュウ酸エステル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルペンタン、ジメチルブタン、トリメチルペンタン、イソオクタン等の飽和脂肪族炭化水素類、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等の不飽和脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、ビシクロヘキシル、デカリン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、ドデシルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アリル、塩化ブチル、クロロベンゼン、臭化エチル、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、オレイン酸等の有機酸類、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、アリルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、トルイジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ピコリン、キノリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピロリドン、カプロラクタム等の窒素化合物類、チオフェン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類が挙げられる。
これらの中でも、砥粒の分散のし易さや、優れた研磨特性を得る観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、n−ヘキサン、オクタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびジエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を好適に用いることができる。
なお、液状媒体としては、水の含有割合の低い流体であれば、上述したような有機溶媒に限定されず、例えば石油エーテル、灯油、ガソリン等の石油系溶剤、天然油脂類、低分子ポリマー、シリコーンオイル等も使用可能である。
分散媒に分散させる砥粒としては、公知の砥粒の中から適宜選択することができる。具体的には、シリカ、アルミナ、酸化セリウム(セリア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化ゲルマニウム等の金属酸化物の微粒子、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化チタン等の窒化物の微粒子、炭化ケイ素、炭化ホウ素等の炭化物の微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、シリコーン樹脂等の樹脂の微粒子、金、銀、銅等の金属の微粒子、グラファイト、ダイアモンド等の炭素の微粒子、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等の塩の微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中でも、高い研磨精度、研磨速度を得る観点から、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、ジルコニア、チタニアおよび酸化マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物の微粒子を好適に用いることができる。
シリカとしては、公知の方法で製造されるものを使用することができる。例えば、エチルシリケート、メチルシリケート等のシリコンアルコキシドをゾルゲル法により加水分解することにより得られるコロイダルシリカを使用することができる。また、ケイ酸ナトリウム等の珪酸塩をイオン交換したコロイダルシリカや、四塩化ケイ素を酸素と水素の火炎中で気相合成したヒュームドシリカを使用することができる。
また、シリカ粒子としては、表面に凹凸形状を有するものを用いることも可能である。
また、シリカ粒子としては、表面に凹凸形状を有するものを用いることも可能である。
同様に、コロイダルアルミナも好ましく使用することができる。また、液相法や気相法で製造した酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛も好ましく使用することができる。これらの中でも、粒径が制御しやすく高純度品を得ることができる点から、コロイダルシリカの使用が好ましい。
砥粒の平均粒径は、研磨速度、研磨特性、分散安定性の点から、5〜500nmの範囲にあることが好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましい。砥粒の平均粒径が5nm未満であると、研磨液中で砥粒が凝集しやすくなり、安定した研磨液を得られないおそれがある。一方、砥粒の平均粒径が500nmを超えると、ガラス基板の被研磨面に与えるに与えるダメージが大きく、平滑で高品質な表面が得られない。すなわち、平均粒径が500nmを超える酸化セリウム粒子を含む研磨液を用いて研磨した場合には、研磨後のガラス基板の表面に傷や歪みが生じ易く、研磨後のガラス基板の強度をかえって低下させるおそれがある。
なお、本発明における砥粒の平均粒径は、動的光散乱式の粒度分布計により測定された平均粒径をいう。測定には、適正な散乱、反射光強度が得られるように、純水あるいは有機溶媒を用いて装置の定める適正濃度範囲に希釈したものを、測定サンプルとして使用する。動的光散乱式の粒度分布計としては、具体的には、粒度分析計「マイクロトラックUPA−ST150」(製品名、NIKKISO社製)を使用し、測定サンプルとしては、この装置の定める適正濃度範囲となるように、砥粒を純水あるいは有機溶媒で希釈したものを使用した。
研磨液中の砥粒の含有割合(濃度)は、研磨速度、ガラス基板面内の研磨速度の均一性、分散安定性等を考慮して適宜設定することができるが、十分な研磨特性を得るために、研磨液の全質量に対して0.1質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。砥粒の含有割合が、研磨液の全質量に対して0.1質量%未満では、研磨によるガラス基板の強度向上の効果を十分に得ることができず、40質量%を超えると分散性が低下するおそれがある。より好ましい含有割合は1〜20質量%であり、さらに好ましい含有割合は5〜10質量%である。
本発明で用いられる研磨液は、前記した成分が前記所定の割合で含有され、コロイダルシリカ等の砥粒については均一に分散し、それ以外の成分については均一に溶解した混合状態になるように調製され使用されることが望ましいが、研磨の効果が安定して得られる範囲においては研磨液中の各成分がある程度偏在していても構わない。具体的には砥粒の比重が高く研磨液中で沈降している場合でも、研磨液の供給方法の工夫により一定の割合で砥粒が研磨機に供給され、研磨パッド上に一定の砥粒が存在する状態が維持できるような状態であれば、研磨液中に砥粒が均一に分散していなくとも研磨の効果が十分に得られる場合もある。混合には、研磨液の製造に通常用いられる撹拌混合方法、例えば、超音波分散機、ホモジナイザー等による撹拌混合方法を採ることができる。本発明で用いられる研磨液は、必ずしも予め構成する研磨成分をすべて混合したものとして研磨の場に供給する必要はない。研磨の場に供給する際に、研磨成分が混合されて研磨液の組成になってもよい。
研磨液としては、砥粒が均一に分散したコロイダルシリカ等の分散液に、有機溶媒や水を配合して、分散媒の組成を適宜調整して製造することが好ましい。例えば、市販のコロイダルシリカとしては、水分散コロイダルシリカや有機溶媒分散コロイダルシリカがあり、研磨液は、このような市販の水分散コロイダルシリカや有機溶媒分散コロイダルシリカを用いて製造することができる。
具体的には、例えば、水分散コロイダルシリカに有機溶媒を配合する、又は有機溶媒分散コロイダルシリカに水を配合する等の方法により、所定の量の水を含有する分散媒にシリカ砥粒が分散した研磨液を得ることができる。
具体的には、例えば、水分散コロイダルシリカに有機溶媒を配合する、又は有機溶媒分散コロイダルシリカに水を配合する等の方法により、所定の量の水を含有する分散媒にシリカ砥粒が分散した研磨液を得ることができる。
また、市販の有機溶媒分散コロイダルシリカは、必要に応じて、その砥粒含有量を調整することで、本発明における研磨液として使用できる。通常は、有機溶媒分散コロイダルシリカに含まれる有機溶媒と同じ有機溶媒を配合することにより、所定の砥粒含有量の研磨液とする。ただし、本発明において用いる研磨液は、これに限られず、有機溶媒分散コロイダルシリカに含まれる有機溶媒とは異なる有機溶媒を配合することもできる。
水分散コロイダルシリカに有機溶媒を配合して研磨液とする場合に用いる有機溶媒や、有機溶媒分散コロイダルシリカに水を配合して研磨液とする場合の当該有機溶媒分散コロイダルシリカに含まれる有機溶媒としては、前述した親水性の有機溶媒を使用することにより、水と有機溶媒が相互に溶解した分散媒とすることができる。有機溶媒分散コロイダルシリカに、当該有機溶媒分散コロイダルシリカに含まれる有機溶媒とは異なる種類の有機溶媒を配合して研磨液とする場合は、それらの有機溶媒は相溶性であることが好ましい。
本発明に用いる研磨液には、本発明の趣旨に反しない限り、界面活性剤、キレート化剤、還元剤、粘性付与剤または粘度調節剤、凝集防止剤または分散剤、防錆剤等を必要に応じて適宜含有させることができる。これら任意成分の少なくとも1種を使用する場合、これら任意成分の総量は研磨液に対して10質量%以下が好ましい。
基板保持部材5は、回転運動だけでなく直線運動をしてもよい。また、研磨定盤1および研磨パッド3は、研磨対象物であるガラス基板本体4と同程度またはそれ以下の大きさであってもよい。その場合は、基板保持部材5と研磨定盤1とを相対的に移動させることにより、ガラス基板本体4の被研磨面の全面を研磨できるようにすることが好ましい。また、研磨定盤1および研磨パッド3も回転運動を行うものでなくてもよく、例えばベルト式で一方向に移動するものであってもよい。
このようにしてガラス基板本体4の被研磨面を研磨することで、強度が高い精度で高められたガラス基板を得ることができる。
また、研磨装置10は研磨対象物であるガラス基板本体4の片面を被研磨面として研磨する研磨装置であるが、例えば、ガラス基板本体4の上下面に研磨装置10と同様の研磨パッドを配した両面同時研磨装置を使用して研磨対象物の被研磨面(両面)を研磨することも可能である。
このような研磨装置10による研磨条件には特に制限はないが、基板保持部材5に荷重をかけて研磨パッド3に押し付けることでより研磨圧力を高め、研磨速度を向上させることが可能である。研磨圧力は5〜30kPa程度が好ましく、被研磨面内における研磨速度の均一性、平坦性、スクラッチ等の研磨欠陥防止の観点から、5〜15kPa程度がより好ましい。研磨定盤1および基板保持部材5の回転数は、20〜100rpm程度が好ましいがこれに限定されない。また、研磨液7の供給量については、被研磨面構成材料や研磨液の組成、上記各研磨条件等により適宜調整、選択されるが、例えば、一辺50mmのガラス基板を研磨する場合には、概ね20〜40cm3/分程度の供給量が好ましい。
研磨パッド3としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂、非多孔質樹脂等からなるものを使用することができる。また、研磨パッド3への研磨液7の供給を促進し、あるいは研磨パッド3に研磨液7が一定量溜まるようにするために、研磨パッド3の表面に格子状、同心円状、らせん状などの溝加工が施されていてもよい。さらに、必要により、パッドコンディショナーを研磨パッド3の表面に接触させて、研磨パッド3表面のコンディショニングを行いながら研磨してもよい。
なお、上述した実施形態では、1回の研磨使用毎に研磨液が廃棄される、いわゆる掛け流し構成の研磨装置を用いた方法を例に説明したが、研磨パッドに供給された研磨液が、研磨に使用された後回収使用される、いわゆる循環方式の構成の研磨装置を用いた態様で行うことも可能である。
循環方式の研磨装置としては、例えば図2で示すように、研磨対象物であるガラス基板本体21を保持する基板保持部材(キャリヤ)22と、研磨定盤23と、研磨定盤23の表面に貼り付けられた研磨パッド24と、研磨液25を貯留するタンク28と、タンク28から研磨液供給ユニット27を用いて、研磨パッド24に研磨液25を供給する滴下ノズル26とを備えた研磨装置20を用いることができる。
研磨装置20は、研磨に使用した研磨液25を研磨パッド24から回収する回収ユニット(図示せず)を有し、回収した研磨液25をタンク28に輸送する構成となっている。タンク28に戻った研磨液25は、再び研磨液供給ユニット27を用いて滴下ノズル26を経て研磨パッド24に供給され、循環使用される。
研磨装置20は、上述した研磨装置10と同様、滴下ノズル26から研磨液25を供給しながら、基板保持部材(キャリヤ)22に保持されたガラス基板本体21の被研磨面を研磨パッド24に接触させ、基板保持部材(キャリヤ)22と研磨定盤23とを相対的に回転運動させて研磨を行うことができる。
本発明におけるガラス基板本体のガラスとしては、例えば石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、無アルカリガラス、結晶化ガラス等が挙げられる。
特に、液晶ディスプレイ(LCD)等のFPDに用いられる無アルカリガラスからなるガラス基板について、従来よりも優れた強度向上の効果を得ることができる。
特に、液晶ディスプレイ(LCD)等のFPDに用いられる無アルカリガラスからなるガラス基板について、従来よりも優れた強度向上の効果を得ることができる。
本発明において、無アルカリガラスとは、酸化物基準で、アルカリ金属酸化物の含有量が2質量%未満のシリケート系ガラスをいう。特に、酸化物基準で、アルカリ金属酸化物の含有量が0.5質量%未満のボロシリケートガラスやアルミノボロシリケートガラスが好ましい。
ガラス基板の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜5mmが好ましい。本発明における研磨による強化は比較的薄いガラス基板に対して従来よりも優れた強度向上の効果を得ることができる。比較的薄いガラス基板としては、厚さ0.1〜1.1mmのガラス基板が挙げられる。
なお、本発明において、研磨前のガラス基板本体と、研磨後に得られるガラス基板との厚さの差は、ごく微量となるように行うことが好ましく、ガラス基板本体としても、その厚さは0.1〜5mmが好ましい。
なお、本発明において、研磨前のガラス基板本体と、研磨後に得られるガラス基板との厚さの差は、ごく微量となるように行うことが好ましく、ガラス基板本体としても、その厚さは0.1〜5mmが好ましい。
本発明によれば、ガラス基板本体を研磨する研磨液として、分散媒の水分量を所定値以下とした研磨液を用いることで、ガラス基板本体表面の微小な凹凸や傷を高精度に除去することができる。
また、このような研磨液を用いることで、研磨時における、ガラス内部への水分の侵入を抑制でき、また研磨後に得られるガラス基板中の水分量を低減できるため、研磨後のガラス基板の強度を高い精度で向上させることができる。
また、このような研磨液を用いることで、研磨時における、ガラス内部への水分の侵入を抑制でき、また研磨後に得られるガラス基板中の水分量を低減できるため、研磨後のガラス基板の強度を高い精度で向上させることができる。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の例において、「%」は、特に断らない限り質量%を意味する。
(1)研磨液の調製
(1−1)コロイダルシリカ分散液
<オルガノシリカ>
オルガノシリカ分散液a;日産化学工業株式会社製EG−ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径100nm)20質量%、エチレングリコールおよび水80質量%、水2質量%以下)
オルガノシリカ分散液b;日産化学工業株式会社製IPA−ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径120nm)20質量%、イソプロピルアルコールおよび水80質量%、水1質量%以下)
オルガノシリカ分散液c;日産化学工業株式会社製MEK−ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径130nm)20質量%、メチルエチルケトンおよび水80質量%、水0.5質量%以下)
<水分散コロイダルシリカ>
水分散コロイダルシリカ分散液a;フジミインコーポレーテッド製コンポール80
(コロイダルシリカ(平均粒径110nm)40質量%、水60質量%)
水分散コロイダルシリカ分散液b;日産化学工業株式会社製ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径140nm)40質量%、水60質量%)
<有機溶媒>
エタノール:和光純薬製(試薬特級、水分0.2質量%以下)
エチレングリコール:和光純薬製(試薬特級、水分0.2質量%以下)
メタノール:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
n−プロパノール:和光純薬製(試薬特級、水分0.2質量%以下)
n−ブタノール:和光純薬製(和光一級、水分0.3質量%以下)
イソプロピルアルコール:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
n−ヘキサン:和光純薬製(試薬特級、水分0.05質量%以下)
酢酸エチル:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
トルエン:和光純薬製(試薬特級、水分0.03質量%以下)
メチルエチルケトン:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
(1−1)コロイダルシリカ分散液
<オルガノシリカ>
オルガノシリカ分散液a;日産化学工業株式会社製EG−ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径100nm)20質量%、エチレングリコールおよび水80質量%、水2質量%以下)
オルガノシリカ分散液b;日産化学工業株式会社製IPA−ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径120nm)20質量%、イソプロピルアルコールおよび水80質量%、水1質量%以下)
オルガノシリカ分散液c;日産化学工業株式会社製MEK−ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径130nm)20質量%、メチルエチルケトンおよび水80質量%、水0.5質量%以下)
<水分散コロイダルシリカ>
水分散コロイダルシリカ分散液a;フジミインコーポレーテッド製コンポール80
(コロイダルシリカ(平均粒径110nm)40質量%、水60質量%)
水分散コロイダルシリカ分散液b;日産化学工業株式会社製ST−ZL
(コロイダルシリカ(平均粒径140nm)40質量%、水60質量%)
<有機溶媒>
エタノール:和光純薬製(試薬特級、水分0.2質量%以下)
エチレングリコール:和光純薬製(試薬特級、水分0.2質量%以下)
メタノール:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
n−プロパノール:和光純薬製(試薬特級、水分0.2質量%以下)
n−ブタノール:和光純薬製(和光一級、水分0.3質量%以下)
イソプロピルアルコール:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
n−ヘキサン:和光純薬製(試薬特級、水分0.05質量%以下)
酢酸エチル:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
トルエン:和光純薬製(試薬特級、水分0.03質量%以下)
メチルエチルケトン:和光純薬製(試薬特級、水分0.1質量%以下)
なお、研磨液中の砥粒の平均粒径は、粒度分析計「マイクロトラックUPA−ST150」(製品名、NIKKISO社製)を使用し、動的光散乱法で測定した。測定サンプルは、測定時に適正な散乱、反射光強度が得られるように定められた、装置の適正濃度範囲となるように、純水あるいは有機溶媒を用いて希釈して、測定を行った。
(1−2)
実施例1〜21及び比較例1〜3の各研磨液を、以下に示すように調製した。
実施例1〜21及び比較例1〜3の各研磨液を、以下に示すように調製した。
[実験A]
実施例1及び比較例1の研磨液を、以下に示すように調整した。
すなわち、表1に示す各コロイダルシリカ分散液に、液状媒体としての上記の有機溶媒又は水を、表1に示す割合となるように混合した後、十分に撹拌し、実施例1及び比較例1の研磨液を得た。
実施例1及び比較例1の各研磨液における、コロイダルシリカ分散液、液状媒体(有機溶媒)及び水の配合割合を、各研磨液の全質量を100質量%としたときの質量比(質量%)として表1に示す。水としては純水を使用した。
実施例1及び比較例1の研磨液を、以下に示すように調整した。
すなわち、表1に示す各コロイダルシリカ分散液に、液状媒体としての上記の有機溶媒又は水を、表1に示す割合となるように混合した後、十分に撹拌し、実施例1及び比較例1の研磨液を得た。
実施例1及び比較例1の各研磨液における、コロイダルシリカ分散液、液状媒体(有機溶媒)及び水の配合割合を、各研磨液の全質量を100質量%としたときの質量比(質量%)として表1に示す。水としては純水を使用した。
[実験B]
実施例2〜9及び比較例2〜3の研磨液を、以下に示すように調整した。
すなわち、表1に示す各コロイダルシリカ分散液に、液状媒体としての上記の有機溶媒又は水を表1に示す割合となるように混合した後、十分に撹拌し、実施例2〜9及び比較例2〜3の研磨液を得た。
実施例2〜9及び比較例2〜3の各研磨液における、コロイダルシリカ分散液、液状媒体(有機溶媒)及び水の配合割合を、各研磨液の全質量を100質量%としたときの質量比(質量%)として表1に示す。水としては純水を使用した。
実施例2〜9及び比較例2〜3の研磨液を、以下に示すように調整した。
すなわち、表1に示す各コロイダルシリカ分散液に、液状媒体としての上記の有機溶媒又は水を表1に示す割合となるように混合した後、十分に撹拌し、実施例2〜9及び比較例2〜3の研磨液を得た。
実施例2〜9及び比較例2〜3の各研磨液における、コロイダルシリカ分散液、液状媒体(有機溶媒)及び水の配合割合を、各研磨液の全質量を100質量%としたときの質量比(質量%)として表1に示す。水としては純水を使用した。
[実験C]
実施例10〜21の研磨液を、以下に示すように調整した。
すなわち、表1に示す各コロイダルシリカ分散液に、液状媒体としての上記の有機溶媒を表1に示す割合となるように混合した後、十分に撹拌し、実施例10〜21の研磨液を得た。
実施例10〜21の各研磨液における、コロイダルシリカ分散液及び液状媒体(有機溶媒)の配合割合を、各研磨液の全質量を100質量%としたときの質量比(質量%)として表1に示す。水としては純水を使用した。
実施例10〜21の研磨液を、以下に示すように調整した。
すなわち、表1に示す各コロイダルシリカ分散液に、液状媒体としての上記の有機溶媒を表1に示す割合となるように混合した後、十分に撹拌し、実施例10〜21の研磨液を得た。
実施例10〜21の各研磨液における、コロイダルシリカ分散液及び液状媒体(有機溶媒)の配合割合を、各研磨液の全質量を100質量%としたときの質量比(質量%)として表1に示す。水としては純水を使用した。
表1に、実施例1〜21及び比較例1〜3の研磨液組成について、各研磨液の砥粒、分散媒(総量)、及び水(有機溶媒及び水分散コロイダルシリカ分散液由来のものを含む)の研磨液全体に対する含有割合(濃度;質量%)、及び分散媒全体に対する水の含有割合(質量%)を、上述した各コロイダルシリカ等の配合割合と併せて表1に示す。
なお、研磨液組成(砥粒、分散媒及び水)は、調製して得られた研磨液全体に対する質量%で記した。また、研磨液全体に対する水の含有割合(濃度;質量%)、及び分散媒中水比率は、上述したコロイダルシリカ分散液及び有機溶媒に含まれる水分量から、研磨液全体に占める水の含有割合、及び分散媒全体に占める水の比率について、それぞれの最大値と最小値を算出して得た値である。
なお、研磨液組成(砥粒、分散媒及び水)は、調製して得られた研磨液全体に対する質量%で記した。また、研磨液全体に対する水の含有割合(濃度;質量%)、及び分散媒中水比率は、上述したコロイダルシリカ分散液及び有機溶媒に含まれる水分量から、研磨液全体に占める水の含有割合、及び分散媒全体に占める水の比率について、それぞれの最大値と最小値を算出して得た値である。
(2)研磨液の研磨特性の評価
実施例1〜21および比較例1〜3で得られた研磨液について、以下の方法で研磨性能の評価を行った。
実施例1〜21および比較例1〜3で得られた研磨液について、以下の方法で研磨性能の評価を行った。
(2−1)研磨条件
研磨は、以下の装置を使用し、以下に示す条件で行った。
研磨機:卓上小型ラッピングマシーンNF−300(ナノファクター社製)
研磨圧:表2に示す。
プラテン(定盤)回転数:表2に示す。
ヘッド(基板保持部)回転数:表2に示す。
研磨液供給速度:40ミリリットル/分
研磨パッド:スエードパッドH7000(フジボウ愛媛社製)
研磨時間:表2に示す。
研磨は、以下の装置を使用し、以下に示す条件で行った。
研磨機:卓上小型ラッピングマシーンNF−300(ナノファクター社製)
研磨圧:表2に示す。
プラテン(定盤)回転数:表2に示す。
ヘッド(基板保持部)回転数:表2に示す。
研磨液供給速度:40ミリリットル/分
研磨パッド:スエードパッドH7000(フジボウ愛媛社製)
研磨時間:表2に示す。
(2−2)被研磨物
被研磨物として、厚さ0.5mmのFPD用無アルカリガラスAN100(商品名、旭硝子社製)に、以下の前処理を施したガラス基板を使用した。
被研磨物として、厚さ0.5mmのFPD用無アルカリガラスAN100(商品名、旭硝子社製)に、以下の前処理を施したガラス基板を使用した。
(a)[実験A]
セリウム研磨剤(セリウム濃度;10質量%、セリウム粒径;0.5μm)を用いて、AN100基板表面を3分間研磨したガラス基板を使用した。
(b)[実験B]
水分散コロイダルシリカ分散液aと純水とを質量比で1:1の割合で混合した混合液を用いて、AN100基板表面を30分間研磨したガラス基板を使用した。
(c)[実験C]
水分散コロイダルシリカ分散液aと純水とを質量比で1:1の割合で混合した混合液を用いて、AN100基板表面を30分間研磨したガラス基板を使用した。
セリウム研磨剤(セリウム濃度;10質量%、セリウム粒径;0.5μm)を用いて、AN100基板表面を3分間研磨したガラス基板を使用した。
(b)[実験B]
水分散コロイダルシリカ分散液aと純水とを質量比で1:1の割合で混合した混合液を用いて、AN100基板表面を30分間研磨したガラス基板を使用した。
(c)[実験C]
水分散コロイダルシリカ分散液aと純水とを質量比で1:1の割合で混合した混合液を用いて、AN100基板表面を30分間研磨したガラス基板を使用した。
(2−3)研磨液の特性評価方法
研磨後に得られたガラス基板の強度は、以下に示す方法(Ball on Ring測定法)で評価した。すなわち、リング状の台(直径30mm)上に、実施例1〜21及び比較例1〜3の各ガラス基板を評価面を下向きにして設置した後、ガラス基板の上面に、直径10mmの剛球を押し当て、ヘッドスピード1mm/secの条件で荷重を印加し、基板に破損が生じたときの荷重を、ガラス基板の強度とした。
ガラス基板の強度測定には、オートグラフAG−1(商品名、島津製作所製)を使用した。なお、上述したガラス基板の強度評価は、各実施例及び比較例のガラス基板を3枚用意し、それぞれについて得られた測定値の最高値をガラス基板の強度とした。また、研磨処理前のガラス基板強度については、各実験A〜Cにおける前処理条件と同一条件で処理・作成したガラス基板を、上記の強度測定方法を用いて評価した値とした。
評価結果を表2に示す。また、このうち実施例2〜9及び比較例2〜3(実験B)について、研磨液の分散媒中の水の含有割合と、研磨後のガラス基板の強度との関係を、図3に示す。
研磨後に得られたガラス基板の強度は、以下に示す方法(Ball on Ring測定法)で評価した。すなわち、リング状の台(直径30mm)上に、実施例1〜21及び比較例1〜3の各ガラス基板を評価面を下向きにして設置した後、ガラス基板の上面に、直径10mmの剛球を押し当て、ヘッドスピード1mm/secの条件で荷重を印加し、基板に破損が生じたときの荷重を、ガラス基板の強度とした。
ガラス基板の強度測定には、オートグラフAG−1(商品名、島津製作所製)を使用した。なお、上述したガラス基板の強度評価は、各実施例及び比較例のガラス基板を3枚用意し、それぞれについて得られた測定値の最高値をガラス基板の強度とした。また、研磨処理前のガラス基板強度については、各実験A〜Cにおける前処理条件と同一条件で処理・作成したガラス基板を、上記の強度測定方法を用いて評価した値とした。
評価結果を表2に示す。また、このうち実施例2〜9及び比較例2〜3(実験B)について、研磨液の分散媒中の水の含有割合と、研磨後のガラス基板の強度との関係を、図3に示す。
表2の結果からあきらかなように、分散媒の全質量に対する水の含有割合が100%である研磨液を用いた比較例1では、研磨後に得られたガラス基板の強度は690Nしか得られなかったのに対し、分散媒の全質量に対する水の含有割合を1%以下とした研磨液で研磨処理を行って得られた実施例1のガラス基板では、836Nと高い強度を得られており、ガラス基板の強度を高い精度で高められることが認められた。
また、表2及び図3の結果からあきらかなように、分散媒の全質量に対する水の含有割合が85質量%以下である研磨液を用いて研磨して得られた実施例2〜9のガラス基板では、強度690Nのガラス基板本体の強度が、763N以上に高められており、水の含有割合を低減するにしたがって、より高い強度を得られることが認められた。一方、分散媒の全質量に対して水を85質量%超含む研磨液を用いて研磨して得られた比較例2〜3のガラス基板では、723N以下の強度しか得られておらず、特に分散媒中の水の含有割合が100%である比較例3では、研磨前のガラス基板本体よりも強度が低下していることが認められた。
また、研磨液に配合する有機溶媒の種類を種々変更して行った実施例10〜21でも、研磨後に得られたガラス基板において747N以上の高い強度が得られており、ガラス基板の強度を高精度に高められることが認められた。特に、分散媒中にエチレングリコールを含む研磨液を用いた実施例10〜14では、810〜840Nと高い強度を得られることが認められた。
本出願は、2011年11月1日出願の日本特許出願2011−240117に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明によれば、ガラス基板本体、とくにFPD用の無アルカリガラス基板本体において、高精度な研磨が可能となり、研磨後に得られるガラス基板の強度を従来より高精度に高めることができる。
1,23…研磨定盤、2…定盤駆動モータ、3,24…研磨パッド、4,21…ガラス基板本体、5,22…基板保持部材、6,26…滴下ノズル、7,25…研磨液、10,20…研磨装置、27…研磨液供給ユニット、28…タンク
本発明のガラス基板の製造方法は、実質的に水を含まないかまたは水を含む、水以外の液状媒体からなる分散媒(ただし、該分散媒中の水の含有割合は60質量%以下である)に砥粒が分散している研磨液でガラス基板本体の少なくとも一方の主面を研磨する。
本発明のガラス基板の製造方法は、実質的に水を含まないかまたは水を含む、水以外の液状媒体からなる分散媒(ただし、該分散媒中の水の含有割合は60質量%以下である)に、平均粒径が5〜500nmの砥粒が分散している研磨液でガラス基板本体の少なくとも一方の主面を研磨する。
Claims (13)
- 実質的に水を含まないかまたは水を含む、水以外の液状媒体からなる分散媒(ただし、該分散媒中の水の含有割合は85質量%以下である)に砥粒が分散している研磨液でガラス基板本体の少なくとも一方の主面を研磨するガラス基板の製造方法。
- 前記分散媒中の水の含有割合が3〜60質量%である、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記分散媒中の水の含有割合が3質量%未満である、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記水以外の液状媒体が有機溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記有機溶媒が、一価または多価のアルコールである、請求項4に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記有機溶媒が、炭化水素類、エーテル類、エステル類またはケトン類である、請求項4に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記水以外の液状媒体が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、n−ヘキサン、オクタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびジエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記砥粒が、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、チタニア、ジルコニアおよび酸化マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物の微粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記砥粒が、平均粒径が5〜500nmの粒子である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記研磨液に含まれる砥粒の含有割合が、該研磨液の全質量に対して0.1〜40質量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 研磨パッドに前記研磨液を供給し、前記ガラス基板本体の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により前記被研磨面を研磨する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板が、無アルカリガラスからなるガラス基板である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板の厚さが0.1〜5mmである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
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