JP2011161570A - 研磨剤および研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強誘電体単結晶基板の被研磨面を、より高速度で、平坦かつ平滑な表面に研磨するための研磨剤および研磨方法を提供する。
【解決手段】強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤であり、平均粒子径10〜200nmの酸化ケイ素微粒子と、脂肪族ポリカルボン酸と、水とをそれぞれ含有することを特徴とする研磨剤、およびこの研磨剤を研磨パッドに供給し、強誘電体単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により研磨する研磨方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤および研磨方法に関する。より詳しくは、強誘電体単結晶基板の被研磨面を、高速度で、高精度に研磨するための研磨剤および研磨方法に関する。
圧電性、焦電性、電気光学効果に優れるタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の強誘電体単結晶は、従来より、テレビやビデオ機器等の映像機器用各種弾性表面波デバイス用基板材料として用いられてきたが、近年、急速に市場拡大している移動体通信機器(携帯電話、PHS、ページャー、等)に使用される各種弾性表面波デバイス用基板としても重要な基板材料となっている。
各種弾性表面波デバイス用基板表面には、通常、鏡面を得るために、ポリッシング加工が施されるが、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体単結晶は、硬度(モース硬度で5〜6)が高く、また、化学的にも極めて安定な材料であることから、研磨速度は非常に遅い。ポリッシング加工は、工業的には、研磨液の供給、回収の繰り返しによる循環供給方式で行われているが、所望の厚みを得るために10時間近い研磨時間を必要とする場合もあり、その生産性の低さが問題となっていた。
そこで、強誘電体単結晶基板の生産性の向上、具体的には、研磨速度の向上による研磨時間の短縮化を目指して、様々な研磨用組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、平均一次粒子径Aが40〜150nmであり、平均二次粒子径Bとの径の比率B/Aが1以上1.4未満の酸化珪素粒子を含み、酸化珪素1重量%あたり10mS/m以上の導電性を付与された研磨用組成物が提案されている。
また、特許文献2には、水とコロイダルシリカとポリアミノカルボン酸系化合物、ポリアミン系化合物、ホスホン酸系化合物、ビピリジン系化合物、ポリカルボニル系化合物、芳香族ポリヒドロキシ系化合物及びこれらの塩から選ばれるキレート性化合物を含有する研磨液組成物が提案されている。特許文献3には、平均一次粒子径が30〜200nmの酸化珪素粒子を5〜40重量%含有する水性コロイド溶液よりなり、リン酸塩化合物をリン酸として0.01〜0.5モル含み、pH9.0〜11.0で緩衝作用を呈する研磨用組成物が提案されている。
さらに、特許文献4には、水、研磨粒子を含み、研磨促進剤として有機酸、具体的には、フタル酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、キナルジン酸、グリシン等、または有機酸塩を含有する液性が酸性を示す研磨スラリーが提案されている。これらの提案においては、いずれも強誘電体単結晶基板表面に対する研磨速度が改善されてはいるものの、未だ十分とはいえず、さらなる速度の向上が望まれていた。
特開2001−152134号公報 特開2003−188121号公報 特開2003−313543号公報 特開2003−306669号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、強誘電体単結晶基板の被研磨面を、より高速度で、平坦かつ平滑な表面に研磨するための研磨剤および研磨方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤および研磨方法を提供する。
[1]強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤であり、平均粒子径10〜200nmの酸化ケイ素微粒子と、脂肪族ポリカルボン酸と、水とをそれぞれ含有することを特徴とする研磨剤。
[2]前記強誘電体単結晶が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムであって、pHが2.0〜8.0の範囲にあることを特徴とする[1]に記載の研磨剤。
[3]前記強誘電体単結晶がアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種がドープされたニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムであって、pHが2.0〜6.0の範囲にあることを特徴とする[1]に記載の研磨剤。
[4]前記脂肪族ポリカルボン酸の含有量が、研磨剤全量に対して0.01〜2.0質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の研磨剤。
[5]前記酸化ケイ素微粒子の含有量が、研磨剤全量に対して10〜50質量%である[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨剤。
[6]前記脂肪族ポリカルボン酸が、マレイン酸、クエン酸、シュウ酸および酒石酸から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨剤。
[7]研磨剤を研磨パッドに供給し、強誘電体単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により研磨する方法であって、前記研磨剤として[1]〜[6]のいずれかに記載の研磨剤を使用する研磨方法。
本発明の研磨剤およびこれを用いた研磨方法によれば、強誘電体単結晶基板の被研磨面を、より高速度で、平坦かつ平滑な表面に研磨することが可能である。
本発明の研磨方法に使用可能な研磨装置の一例を示す図である。 実施例で得られた研磨剤のマグネシウムドープニオブ酸リチウム基板に対する研磨速度を示すグラフである。 実施例で得られた研磨剤のニオブ酸リチウム基板に対する研磨速度を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係る研磨剤は、例えば、強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤であって、平均粒子径10〜200nmの酸化ケイ素微粒子と、脂肪族ポリカルボン酸と、水とをそれぞれ含有する。この研磨剤には分散剤を含有させてもよい。
強誘電体単結晶基板を構成する、強誘電体単結晶としては、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等が挙げられる。さらに、光伝播特性の向上を目的に上記ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等にアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種がドープされた強誘電体単結晶からなる基板も本発明の研磨剤が対象とする強誘電体単結晶基板に含まれる。
[研磨剤]
強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤であり、平均粒子径10〜200nmの酸化ケイ素微粒子と、脂肪族ポリカルボン酸と、水とをそれぞれ含有する。
(1)酸化ケイ素微粒子
本発明の研磨剤において、酸化ケイ素微粒子は研磨砥粒として用いられる。酸化ケイ素微粒子としては、種々の公知の方法で製造されるものを使用できる。例えば、四塩化ケイ素を酸素と水素の火炎中で気相合成したヒュームドシリカやケイ酸ナトリウムをイオン交換したコロイダルシリカまたはケイ素アルコキシドを液相で加水分解したコロイダルシリカ等の酸化ケイ素微粒子が挙げられる。これらのうちでも、本発明の研磨剤においては、粒子径の均一な高純度品を得ることができるコロイダルシリカがより好ましい。
本発明の研磨剤が含有する酸化ケイ素微粒子は、研磨特性と分散安定性の点から、平均粒子径が10〜200nmのものが用いられる。平均粒子径は、さらに20〜180nmが好ましく、30〜150nmがより好ましく、90〜110nmが特に好ましい。酸化ケイ素微粒子の平均粒子径が、この範囲であれば、脂肪族ポリカルボン酸の添加に見合った研磨速度の向上が十分に得られ、かつ、研磨して得られる強誘電体単結晶基板被研磨面の平滑性や平坦性を十分に確保することが可能である。
なお、平均粒子径の測定には、レーザー回折・散乱式、動的光散乱式、光子相関式などの粒度分布計を使用することができる。粒子径がある程度大きく沈降しやすいような場合には、レーザー回折・散乱式の粒度分布計が好ましく、本明細書における平均粒子径の範囲は動的光散乱式の粒度分布計を用いて測定した場合の好ましい範囲である。
また、本発明の研磨剤中の酸化ケイ素微粒子の含有量は、研磨剤全質量に対して10〜50質量%の範囲で研磨速度、均一性、材料選択性、分散安定性等を考慮して適宜設定することが好ましい。さらに、本発明の研磨剤における酸化ケイ素微粒子の含有量は、研磨剤全質量に対して20〜30質量%の範囲がより好ましい。酸化ケイ素微粒子の含有量が、研磨剤全質量に対して10質量%未満では、十分な研磨速度が得られないことがあり、50質量%を超えると、砥粒濃度の増加に見合った研磨速度の向上が認められず、また、研磨剤の粘性が上がり過ぎたり、研磨剤のゲル化を促進する場合がある。また、研磨工程のコスト上昇にも繋がり好ましいとはいえない。
(2)脂肪族ポリカルボン酸
本発明の研磨剤において、脂肪族ポリカルボン酸は、研磨促進剤として作用する。従来から研磨剤に各種酸を添加することにより各種基板に対する研磨速度が向上することは知られていたが、本発明においては、数多く存在する酸のなかでも特に脂肪族ポリカルボン酸を研磨促進剤として酸化ケイ素微粒子からなる砥粒と組合わせて用いることで、強誘電体単結晶基板の被研磨面に対する研磨速度を、従来の研磨剤に比べて著しく改善したものである。
本発明に用いる脂肪族ポリカルボン酸としては、2以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物であれば特に制限なく用いることが可能である。脂肪族ポリカルボン酸のカルボキシル基の数としては、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。また、上記脂肪族ポリカルボン酸は、カルボキシル基以外に本発明の効果を損なわない範囲で水酸基、スルホン基、エステル基、チオール基等の置換基を有していてもよい。
上記脂肪族ポリカルボン酸における、カルボキシル基が結合する脂肪族炭化水素基の炭素数は、0〜4であることが好ましく、0〜3がより好ましい。また、この脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造をとっていてもよい。脂肪族炭化水素基へのカルボキシル基の結合位置は特に制限されず、また、不飽和である場合、二重結合の数および位置についても特に制限されない。さらに、上記脂肪族炭化水素基は、炭化水素の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有していてもよい。
本発明に用いる脂肪族ポリカルボン酸として具体的には、マレイン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、アジピン酸、グルタル酸、フマル酸等が挙げられるが、これらのなかでも本発明においては、マレイン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸等が好ましく、マレイン酸およびクエン酸がより好ましい。本発明においては、これら脂肪族ポリカルボン酸の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の研磨剤中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量は、研磨剤全質量に対して0.01〜2.0質量%の範囲で適宜設定することが好ましい。さらに、本発明の研磨剤における脂肪族ポリカルボン酸の含有量は、研磨剤全質量に対して0.05〜1.5質量%の範囲がより好ましく、0.08〜1.0質量%の範囲が特に好ましい。脂肪族ポリカルボン酸の含有量が、研磨剤全質量に対して0.01質量%未満では、研磨速度向上の効果が不十分な場合があり、2.0質量%を超えると、研磨剤中の酸化ケイ素微粒子の凝集が促進される場合がある。
(3)水
本発明の研磨剤が含有する水は、酸化ケイ素微粒子を分散させるとともに、脂肪族ポリカルボン酸やその他任意の添加成分を溶解するための溶媒である。水については、特に制限はないが、他の剤に対する影響、不純物の混入、pH等への影響から、純水または脱イオン水が好ましい。水は本発明の第1の実施形態の研磨剤の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は、研磨速度、平坦化特性等の目標とする研磨特性に合わせて適宜設定することができる。水は、本発明の研磨剤全質量に対して40〜95質量%の範囲で含まれることが好ましく、45〜90質量%の範囲で含まれることが、特に好ましい。水の含有量が、研磨剤全質量に対して40質量%未満では、研磨剤の粘性が高くなり流動性が損なわれる場合があり、95質量%を超えると、酸化ケイ素微粒子や研磨促進剤の濃度が低くなり十分な研磨速度が得られないことがある。
(4)任意成分
本発明の研磨剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記(1)〜(3)の必須成分以外に任意成分を含有させてもよい。含有可能な代表的な任意成分としては、以下に説明する分散剤、pH調整成分等を挙げることができる。
(4−1)分散剤
分散剤とは、酸化ケイ素微粒子を純水などの分散媒中に安定的に分散させるために添加するものである。分散剤としては、陰イオン性、陽イオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や界面活性作用のある水溶性ポリマーを使用することができる。ここで、界面活性剤は質量平均分子量(Mw)が500以下のものをいうものとする。
Mwが500以下の界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を挙げることができる。界面活性作用のある水溶性ポリマーとしては、ポリアクリル酸塩などのカルボン酸塩基を有する水溶性ポリマーやポリビニルピロリドンなどの他の水溶性ポリマーを挙げることができる。特に、カルボン酸アンモニウム塩基を有する水溶性ポリマーが好ましい。具体的には、ポリアクリル酸のカルボン酸基の少なくとも一部がカルボン酸アンモニウム塩基に置換されたポリマー(以下、ポリアクリル酸アンモニウムと示す。)などが挙げられる。界面活性作用のある水溶性ポリマーのMwは500を超えることが好ましく、特に800〜100,000の範囲が好ましい。
このような分散剤(分散作用を有する水溶性ポリマーを含む)を使用する場合、その配合割合は、酸化ケイ素微粒子の質量に対して0.005〜2.0質量%とすることが好ましく、0.01〜1.5質量%とすることがより好ましい。分散剤の配合割合が0.005質量%未満の場合には、砥粒である酸化ケイ素微粒子の分散性が不十分となりやすい。また、分散剤の配合割合が2.0質量%を超えると、被研磨面の平坦性や研磨速度に対して影響を与えやすくなる。
(4−2)pH調整成分
本発明の研磨剤は、研磨対象基板を構成する材料にもよるが幅広いpH領域で研磨速度を向上させることが可能である。
具体的には、強誘電体単結晶基板の構成材料がニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムである場合、pHが2.0〜8.0の範囲で良好な研磨速度を得ることが可能である。この場合、より好ましいpH範囲は、2.5〜7.5である。また、強誘電体単結晶基板の構成材料がニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等にアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種がドープされた強誘電体単結晶である場合には、pHが2.0〜6.0の範囲で良好な研磨速度を得ることが可能である。この場合、より好ましいpH範囲は、2.5〜5.5である。
本発明の研磨剤には、上記必須成分である酸化ケイ素微粒子、脂肪族ポリカルボン酸、水の他に、任意の成分として、上記のように好ましいpHに調整する目的や分散安定性を確保する目的のために、脂肪族ポリカルボン酸以外の酸が含まれてもよい。酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸およびカルボン酸(1価)から選ばれる1種以上が好ましい。酸のなかでも、酸化力のあるオキソ酸であり、ハロゲンを含まない硝酸がより好ましい。なお、フッ酸は強誘電体単結晶基板をエッチングする可能性があるので使用は避けるべきである。また、本発明の研磨剤中の酸の含有量は、研磨剤全質量に対して、0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
また、本発明の研磨剤を所定のpHに調整するために、脂肪族ポリカルボン酸以外の酸と同時に本発明の研磨剤中に塩基性の化合物を添加してもよい。塩基性の化合物としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TEAHという。)のような4級アンモニウムヒドロキシド等、あるいは、エノタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンのような有機アミン等が使用できる。なお、研磨剤がアルカリ金属を含まない方が望ましい場合には、アンモニアが好適である。これら塩基性の化合物は1種を単独で用いることも2種以上を組合わせて用いることも可能である。また、本発明の研磨剤中の塩基性化合物の含有量は、研磨剤全質量に対して、0.01〜0.5質量%の範囲が好ましい。
なお、本発明の研磨剤が必須に含有する成分、例えば、酸化ケイ素微粒子を、酸または塩基性化合物で処理したものを研磨剤の成分として使用することも可能であるが、そのような処理に用いられた酸(脂肪族ポリカルボン酸を除く)や塩基性化合物も、上記に説明する酸や塩基性化合物の添加に該当する。
本発明の研磨剤は、必ずしも前記構成成分の全てが予め混合されたものとして研磨工程に供給される必要がない。研磨工程に供給されたときにはじめて、全ての構成成分が混合されて研磨剤の組成になるようにしてもよい。例えば、酸化ケイ素微粒子と水および必要に応じて分散剤(例えば、ポリアクリル酸アンモニウム)を含む液と、脂肪族ポリカルボン酸を含む液とに分け、研磨の際に適宜混合比率を調整して使用してもよい。また、その他の分け方で分けた2液を、適宜比率を調整して混合し使用してもよい。例えば、酸化ケイ素微粒子と脂肪族ポリカルボン酸と水および必要に応じて分散剤を混合した液に、pH調節などのために酸(脂肪族ポリカルボン酸を除く)や塩基性化合物を添加し研磨剤を調製してもよい。
[研磨方法]
本発明の研磨剤を用いて、強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨する方法としては、研磨剤を研磨パッドに供給しながら、強誘電体単結晶基板の被研磨面と研磨パッドとを接触させ、両者間の相対運動により研磨を行う研磨方法が好ましい。
上記研磨方法において、研磨装置としては従来公知の研磨装置を使用することができる。図1は、本発明の実施形態に使用可能な研磨装置の一例を示す図である。この研磨装置10は、強誘電体単結晶基板1を保持する研磨ヘッド2と、研磨定盤3と、研磨定盤3の表面に貼り付けられた研磨パッド4と、研磨パッド4に研磨剤5を供給する研磨剤供給配管6とを備えている。研磨剤供給配管6から研磨剤5を供給しながら、研磨ヘッド2に保持された強誘電体単結晶基板1の被研磨面を研磨パッド4に接触させ、研磨ヘッド2と研磨定盤3とを相対的に回転運動させて研磨を行うように構成されている。なお、本発明の実施形態に使用される研磨装置はこのような構造のものに限定されない。
研磨ヘッド2は、回転運動だけでなく直線運動をしてもよい。また、研磨定盤3および研磨パッド4は、強誘電体単結晶基板1と同程度またはそれ以下の大きさであってもよい。その場合は、研磨ヘッド2と研磨定盤3とを相対的に移動させることにより、強誘電体単結晶基板1の被研磨面の全面を研磨できるようにすることが好ましい。さらに、研磨定盤3および研磨パッド4は回転運動を行なうものでなくてもよく、例えばベルト式で一方向に移動するものであってもよい。
このような研磨装置10の研磨条件には特に制限はないが、研磨ヘッド2に荷重をかけて研磨パッド4に押しつけることで、より研磨圧力を高め、研磨速度を向上させることも可能である。研磨圧力は0.5〜50kPa程度が好ましく、研磨速度の強誘電体単結晶基板1の被研磨面内均一性、平坦性、スクラッチなどの研磨欠陥防止の観点から、3〜40kPa程度がより好ましい。研磨定盤3および研磨ヘッド2の回転数は、50〜500rpm程度が好ましいがこれに限定されない。また、研磨剤5の供給量については、被研磨面構成材料や研磨剤の組成、上記各研磨条件等により適宜調整、選択されるが、例えば、直径200mmのウェハを研磨する場合には、概ね100〜300ml/分程度の供給量が好ましい。
研磨パッド4としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂、非多孔質樹脂などからなるものを使用することができる。また、研磨パッド4への研磨剤5の供給を促進し、あるいは研磨パッド4に研磨剤5が一定量溜まるようにするために、研磨パッド4の表面に格子状、同心円状、らせん状などの溝加工が施されていてもよい。
また、必要により、パッドコンディショナーを研磨パッド4の表面に接触させて、研磨パッド4表面のコンディショニングを行いながら研磨してもよい。
以下に本発明を、実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、例1〜6は実施例、例7〜13は比較例である。
[例1〜13]
表1に示す組成の通りに、酸化ケイ素微粒子(コロイダルシリカ)、水、および、研磨促進剤である各種酸を含有する(ただし、例10、11については酸を含有せず)例1〜13の各例の研磨剤を以下の方法で調製した。なお、それぞれの成分の含有量は、調製して得られた研磨剤全体に対する質量%で記した。研磨促進剤である各種酸については、あらかじめ同組成の研磨剤を別途調合し、所望のpH値とするために必要な含有量を求めておいた。
例1〜9の研磨剤については、研磨促進剤である各種酸の所定量を、砥粒である各種コロイダルシリカを含むスラリーに添加し充分に撹拌し、研磨剤中のコロイダルシリカ濃度が質量%で27〜29%になるように調整した。
例10、例11の研磨剤については、砥粒であるコロイダルシリカを含むスラリーを純水で希釈し、研磨組成物中のコロイダルシリカ濃度が質量%で30%になるように調整した。
例12、例13の研磨剤については、研磨促進剤である各種酸の所定量を、砥粒である各種コロイダルシリカを含むスラリーに添加し充分に撹拌し、研磨剤中のコロイダルシリカ濃度が質量%でそれぞれ20%および30%になるように調整した。
表1には、研磨剤における各成分の組成と共に、以下の方法で測定した、研磨剤のpHおよび砥粒であるコロイダルシリカの平均粒子径を示した。
研磨剤のpH値は、横河電機社製のpHメーター:pH81−11で測定した。
研磨剤中の砥粒であるコロイダルシリカの平均粒子径は、NIKKISO社製のマイクロトラックUPA−ST150粒度分析計を使い、動的光散乱法で測定した。測定サンプルは、測定に適正な散乱、反射光強度が得られる、装置の定める適正濃度範囲に純水で希釈して測定を行った。
例1〜10の研磨剤に砥粒として用いたコロイダルシリカは、平均粒子径が100nmであった。例11〜13の研磨剤に砥粒として用いたコロイダルシリカは、平均粒子径が110nmであった。
Figure 2011161570
[評価]
上記で得られた例1〜13の研磨剤について研磨特性を下記の方法により評価した。
<被研磨物>
被研磨物として、ニオブ酸リチウム基板、およびマグネシウム(Mg)をドープしたニオブ酸リチウム基板を使用した。
ニオブ酸リチウム基板として、3インチウェハ(山寿セラミックス社製OptグレードZカット)を使用した。基板の厚みは全て500μmのものを使用した。
マグネシウムドープニオブ酸リチウム基板としては、3インチウェハ(山寿セラミックス社製OptグレードZカット)を使用した。基板の厚みは500μmのものを使用した。
<研磨方法>
研磨機としては、ナノファクター社製卓上研磨装置を使用した。研磨パッドとしては、単層IC1000のK−groove(ニッタハース社製)を使用し、MEC100−PH3.5L(三菱マテリアル社製)を用いてコンディショニングをおこなった。
研磨は、研磨剤の供給速度を10cm/分、研磨ヘッドおよび研磨定盤の回転数は60rpmとし、研磨圧を2psiすなわち13.78kPa、研磨時間は15分間としておこなった。
<研磨速度の算出>
各基板を用いた研磨速度の測定は、精密天秤(エー・アンド・デイ社製、HR−202i)を使用しておこなった。すなわち、各基板について、厚みが既知の未研磨基板の重量と15分間研磨した後の基板重量とを測定し、その差から重量変化を求め、更に厚みの変化を下記の式を用いて算出し求めた。Δm(g)は研磨前後の重量変化、m0(g)は未研磨基板の初期重量、m1(g)は研磨後基板の重量、Vは研磨速度(μm/hr)、T0は未研磨基板の基板厚み(μm)、tは研磨時間(min)を表す。
Δm=m0−m1
V=Δm/m0 × T0 × 60/t
<外観の評価>
上記、各研磨剤を用いて研磨速度を測定した後の各基板について研磨面について、目視で外観評価を行った。全ての評価基板について、傷等の問題はなく、平滑かつ平坦な研磨面が得られた。
研磨評価結果を、マグネシウムをドープしたニオブ酸リチウム基板(「表2および図2において、「MgOLN」で示す。)を被研磨物とした場合については表2および図2(例10、例11は除く)に、ニオブ酸リチウム基板(表3および図3において、「LN」で示す。)を被研磨物とした場合については表3および図3(例10、例11は除く)にまとめた。なお、図2および図3において、研磨速度は「RR」の略号で示す。
Figure 2011161570
Figure 2011161570
マグネシウムドープニオブ酸リチウム基板に関して、研磨促進剤に無機酸である硝酸を使用した例7、研磨促進剤に脂肪族モノカルボン酸であるグリコール酸を使用した例8に対し、本発明の研磨剤では、研磨促進剤に脂肪族トリカルボン酸であるクエン酸を使用した例1および例2、研磨促進剤に脂肪族ジカルボン酸であるマレイン酸を使用した例4および例5において、pH2.0〜6.0広い範囲で10μm/hr以上の高い研磨速度を維持できることがわかる。
また、ニオブ酸リチウム基板に関して、研磨促進剤に無機酸である硝酸を使用した比較例7、研磨促進剤に脂肪族モノカルボン酸であるグリコール酸を使用した例9に対し、本発明の研磨剤では、研磨促進剤に脂肪族トリカルボン酸であるクエン酸を使用した例1〜3、研磨促進剤に脂肪族ジカルボン酸であるマレイン酸を使用した例4〜6において、pH2.0〜7.0の広い範囲で10μm/hr以上の高い研磨速度を維持できることがわかる。
研磨促進剤を含有しない例10、11については、マグネシウムドープニオブ酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板共に、本発明の研磨剤の実施例に対して非常に小さな研磨速度を示すことから、本発明の研磨剤に含まれる研磨促進剤が高い研磨能力を有することがわかる。また、研磨促進剤として芳香族ポリカルボン酸であるフタル酸水素カリウムを用いた例12、例13に対しても、本発明の研磨剤の実施例がより大きな研磨速度を示し高い研磨能力を有していることがわかる。
本発明によれば、圧電性、焦電性、電気光学効果に優れ、各種映像機器用や移動体通信機器用の弾性表面波デバイス用基板として用いられている、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の強誘電体単結晶からなる基板の被研磨面の研磨速度が向上することで、これら基板の生産性の向上に寄与することができる。
1…強誘電体単結晶基板、2…研磨ヘッド、3…研磨定盤、4…研磨パッド、5…研磨剤、6…研磨剤供給配管、10…研磨装置

Claims (7)

  1. 強誘電体単結晶基板の被研磨面を研磨するための研磨剤であり、
    平均粒子径10〜200nmの酸化ケイ素微粒子と、脂肪族ポリカルボン酸と、水とをそれぞれ含有することを特徴とする研磨剤。
  2. 前記強誘電体単結晶が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムであって、pHが2.0〜8.0の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の研磨剤。
  3. 前記強誘電体単結晶がアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種がドープされたニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムであって、pHが2.0〜6.0の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の研磨剤。
  4. 前記脂肪族ポリカルボン酸の含有量が、研磨剤全量に対して0.01〜2.0質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨剤。
  5. 前記酸化ケイ素微粒子の含有量が、研磨剤全量に対して10〜50質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨剤。
  6. 前記脂肪族ポリカルボン酸が、マレイン酸、クエン酸、シュウ酸および酒石酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨剤。
  7. 研磨剤を研磨パッドに供給し、強誘電体単結晶基板の被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により研磨する方法であって、
    前記研磨剤として請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨剤を使用する研磨方法。
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