JP2023108405A - 有機無機複合微粒子分散液およびその製造方法、並びに砥粒分散液 - Google Patents

有機無機複合微粒子分散液およびその製造方法、並びに砥粒分散液 Download PDF

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真也 碓田
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Abstract

【課題】優れた研磨特性を有する有機無機複合微粒子分散液を提供すること。【解決手段】下記[1]、[2]および[3]の要件を備え、動的光散乱法により測定した平均粒子径(D1)が10nm以上300nm以下の有機無機複合微粒子が溶媒に分散してなる、有機無機複合微粒子分散液。[1]前記有機無機複合微粒子は、有機成分を含まない無機成分からなる母粒子と、前記母粒子の表面上に無機成分と有機成分を含有する有機無機複合層とを有すること。[2]前記有機無機複合微粒子は、無機成分あたりのCOD値が100ppm以上10%以下であること。[3]前記有機無機複合層の厚さは、1nm以上200nm以下であること。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用砥粒分散液として好適な有機無機複合微粒子分散液およびその製造方法、並びに砥粒分散液に関する。
研磨用途ではシリカが砥粒として用いられることが多いが、研磨性能はシリカ砥粒のサイズや分布および形状の影響を大きく受けることが知られている。分布がブロードな粒子や形状が非球状の粒子を研磨用途に用いた場合、比較的高い研磨速度を示す。しかしながら、非球状の粒子を用いた場合、スクラッチが多く発生し研磨後の基板表面も粗くなる傾向にある。一方、球状の粒子を用いた場合、スクラッチが少なく基板表面も平滑にできるが、研磨速度が遅い傾向にあることが知られている。
また、特許文献1には、シリカ粒子と有機系粒子の凝集体からなる平均粒子径(Dm)10~300nmの研磨用粒子が分散媒に分散してなる研磨用粒子分散液が記載されている。そして、特許文献1に記載の研磨用粒子分散液によれば、研磨圧が高くなると粒子が変形し、研磨速度を維持して、スクラッチ発生が抑制され、良好な研磨性能を示すことができると記載されている。本発明者らが実際に試作してみたところ、特許文献1に記載の発明では、シリカ粒子と有機粒子は完全には凝集せずに、一部の単粒子が残存することが判明した。そのため、特許文献1に記載の発明では、単粒子が基板上に残留する傾向にあることが判明した。また、研磨速度を維持できるものの、向上できるわけではない。
特開2011-136402号公報
本発明は、優れた研磨特性を有する有機無機複合微粒子分散液およびその製造方法、並びに砥粒分散液を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、下記[1]、[2]および[3]の要件を備え、動的光散乱法により測定した平均粒子径(D1)が10nm以上300nm以下の有機無機複合微粒子が溶媒に分散してなる、有機無機複合微粒子分散液が提供される。
[1]前記有機無機複合微粒子は、有機成分を含まない無機成分からなる母粒子と、前記母粒子の表面上に無機成分と有機成分を含有する有機無機複合層とを有すること。
[2]前記有機無機複合微粒子は、無機成分あたりのCOD値が100ppm以上10%以下であること。
[3]前記有機無機複合層の厚さは、1nm以上200nm以下であること。
本発明の一態様によれば、前記本発明の一態様に係る有機無機複合微粒子分散液を含む、砥粒分散液が提供される。
本発明の一態様によれば、下記工程1を含む、前記本発明の一態様に係る有機無機複合微粒子分散液の製造方法が提供される。
工程1:SiO濃度0.05質量%以上10質量%以下の原料シリカ微粒子分散液に、有機高分子成分を下記の割合(WA/WS)の範囲内で添加し、続いて、40℃以上98℃以下に加熱し、有機高分子吸着シリカ微粒子分散液を得る工程
0.001≦WA/WS≦0.1
(ここで、WSは、原料シリカのシリカ質量であり、WAは、有機高分子成分の質量である。)
本発明によれば、優れた研磨特性を有する有機無機複合微粒子分散液およびその製造方法、並びに砥粒分散液を提供できる。
本発明に係る有機無機複合微粒子を示す概略図である。 本発明に係る有機無機複合微粒子における微粒子の中心からの距離とCOD値との関係を示すグラフである。
[有機無機複合微粒子分散液]
本発明の有機無機複合微粒子分散液は、下記[1]、[2]および[3]の要件を備え、動的光散乱法により測定した平均粒子径(D1)が10nm以上300nm以下の有機無機複合微粒子が溶媒に分散してなることを特徴とする。
[1]前記有機無機複合微粒子は、有機成分を含まない無機成分からなる母粒子と、前記母粒子の表面上に無機成分と有機成分を含有する有機無機複合層とを有すること。
[2]前記有機無機複合微粒子は、無機成分あたりのCOD値が100ppm以上10%以下であること。
[3]前記有機無機複合層の厚さは、1nm以上200nm以下であること。
(動的光散乱法/粒子径/粒子形状)
本発明の有機無機複合微粒子の形状は、格別に制限されるものではないが、前記有機無機複合微粒子を研磨用途に適用する場合、実用的な研磨速度かつスクラッチ等の研磨傷が少ない平滑な表面を得るうえで、好適には真球状であることが好ましい。有機無機複合微粒子の大きさは、動的光散乱法により測定される平均粒子径(D1)が10nm以上300nm以下の範囲にあるものが必要である。前記有機無機複合微粒子分散液を研磨用途に適用した場合、平均粒子径(D1)が10nm未満の場合、実用的な研磨速度を得られない場合がある。また、平均粒子径(D1)が300nmを超える場合は、研磨基板にスクラッチ(線状痕)が生じ易くなる。
平均粒子径(D1)の範囲としては、好ましくは15nm以上200nm以下、より好ましくは15nm以上150nm以下の範囲である。
(母粒子/有機無機複合層/COD値)
本発明の有機無機複合微粒子は、下記の要件[1]を備えることが必要である。
要件[1]有機成分を含まない無機成分からなる母粒子と、前記母粒子の表面上に無機成分と有機成分を含有する有機無機複合層を有すること。
すなわち、本発明の有機無機複合微粒子の構造は、少なくとも、母粒子と、これを覆う被覆層を備えている。前記母粒子は、有機成分を含まない無機成分からなる。また、前記被覆層は、無機成分と有機成分を含有してなる。なお、本発明では、この被覆層を「有機無機複合層」ともいう。
また、有機無機複合微粒子は、図1に示すように、母粒子MOTと、これを覆う有機無機複合層CMPと、これを覆う最外層OUTとを備えていることが好ましい。この最外層OUTにより、有機無機複合層CMPから有機成分が溶出することを抑制できる。
本発明の有機無機複合微粒子は、下記の要件[2]を備えることが必要である。
要件[2]無機成分あたりのCOD値が100ppm以上10%以下であること。
なお、前記有機無機複合層は、無機成分と有機成分の複合系である。有機成分の存在については、有機無機複合微粒子を溶解させた場合におけるCOD(化学的酸素要求量)を測定することで確認できる。有機無機複合微粒子は、無機成分あたりのCOD値が300ppm以上5%以下であることがより好ましい。なお、COD測定値は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
なお、前記有機無機複合層中の有機成分は粒子の中心から外側に向って濃度勾配を備えていることが好ましい。すなわち、粒子の中心を含む母粒子は有機成分を含んでいないが、母粒子の外側の有機無機複合層は、有機成分を含む。有機無機複合層中の有機成分の濃度は、外側に向かうにつれて次第に低くなっていく。更に有機無機複合層の外側の層、すなわち最外層は有機成分を含んでいない。このように、粒子の中心から外側に向かって有機成分の濃度が変動していくことを濃度勾配があるという。また、有機成分の有無や濃度勾配は粒子の中心から外側に向かってCOD値を測定することで確認できる(図2参照)。
このような粒子の内部に含まれる有機成分は無機成分と比較して柔らかいため、研磨用砥粒として用いた場合、弾性変形し易くなる傾向にある。砥粒が弾性変形すると基板との接触面積が増え、研磨速度が向上するため好ましい。しかし局所的に有機成分の濃度が高い領域があると、粒子の強度が不足し、研磨時に粒子が崩壊する懸念がある。そこで、有機成分が研磨粒子内に偏在、即ち有機成分の濃度勾配を備えることで、粒子の強度は保ちつつ、粒子が崩壊することなく高い研磨速度を示すと推定している。
前記母粒子の無機成分としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、およびセリア等、並びに、これらの複合体が挙げられる。このうち、シリカあるいはシリカ-アルミナ複合系が好ましい。
前記有機無機複合層の無機成分としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、およびセリア等、並びに、これらの複合体が挙げられる。このうち、シリカあるいはシリカ-アルミナ複合系が好ましい。同じく前記有機無機複合層の有機成分としては、有機化合物(有機高分子化合物を含む)であれば限定されるものではない。通常は有機無機複合微粒子の合成段階で使用する有機化合物(有機高分子化合物を含む)あるいは、その分解物である。具体的な分解物としては、イミノ基またはアミノ基を備える化合物、カルボン酸、アルデヒド、ニトリル、ケトン、アルコール、エーテル、アルケン、アルキン、エステル、アミド、またはシアノ基を備える化合物、アミノ酸系の化合物、並びに、これらの塩等が挙げられる。具体的な有機化合物としては、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート(PDEAEM)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(PDMDAAC)、およびポリアルキレンイミン等の化合物、並びに、これら化合物に前述の官能基を備える化合物等が挙げられる。
前記母粒子の平均粒子径は、通常、5nm以上200nm以下の範囲である。
本発明の有機無機複合微粒子は、下記の要件[3]を備えることが必要である。
要件[3]有機無機複合層の厚さは、1nm以上200nm以下であること。
本発明の有機無機複合微粒子分散液を研磨用途に適用する場合、有機無機複合層の厚さが前記範囲内であれば、砥粒も有機無機複合層に由来して、研磨時に弾性変形し易いため研磨傷が発生しにくく、さらに研磨基板の平坦性も向上するため有用である。なお、有機無機複合層の厚さが1nm未満の場合、有機無機複合層が薄いため、砥粒が弾性変形しにくくなるため、研磨速度や平坦性が向上し難くなる。
前記有機無機複合層の厚さとしては、3nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、前記有機無機複合層の厚さの測定については、後述の方法を用いて測定できる。
(有機無機複合微粒子の形状)
本発明の有機無機複合微粒子の形状は、球状であることが好ましい。なお、ここで球状の粒子とは、長径に対する短径の比(短径/長径)が0.8以上1以下の範囲のものを意味する。このような球状の有機無機複合微粒子を研磨用途に適用する場合、スクラッチを低減でき、基板表面の平坦性が向上し、高い研磨速度を得ることができる。
また、同様の観点から、有機無機複合微粒子においては、長径に対する短径の比(短径/長径)が0.8未満の粒子の含有比率が10%未満であることが好ましい。
比(短径/長径)は、次のように求める。有機無機複合微粒子分散液(固形分濃度0.05質量%)の透過型電子顕微鏡写真(20万倍)により、200個の任意の粒子を選択する。選択した200個における個々の粒子の短径と長径を測定し、その平均値を算出する。200個の粒子の比(短径/長径)の個数平均値が0.8以上である場合に、真球状粒子であるといえる。
本発明において、粒子の特徴を、透過型電子顕微鏡写真または走査型電子顕微鏡写真を用いて特定する場合がある。この場合において、写真の代わりに透過型電子顕微鏡画像を用いても同様に行うことができる。走査型電子顕微鏡写真においても、同様に走査型電子顕微鏡画像を用いることができる。
[有機成分]
本発明の有機無機複合微粒子は、有機成分を含有する。
ここで、「含有する」とは、有機無機複合微粒子の内部への内包を指すが、有機成分の一部が、当該粒子表面へ吸着していても構わない。なお、有機成分は、有機無機複合微粒子分散液において、有機成分の一部が当該分散液中に溶出していてもよい。
本発明の有機無機複合微粒子は、有機成分を内包することが好ましい。
通常、有機成分は、粒子表面へ吸着する傾向にある。この粒子表面に有機成分が吸着した有機無機複合微粒子を研磨砥粒として使用した場合に、有機成分が研磨基板と粒子間のクッション層として働くためか、研磨速度を低下させる場合があり好ましくない。また、有機無機複合微粒子表面から脱離した有機成分が被研磨基板に吸着することで汚染させるため好ましくない。
これに対し、本発明の有機無機複合微粒子においては、有機成分の大部分または全部を粒子の内部に内包するために、上述の研磨速度低下や、基板の汚染を生じないという利点がある。
なお、前記有機成分とは、本発明の製造方法において、原料として添加された有機高分子成分に由来するものである。有機高分子成分は、本発明の製造方法を経て得られる有機無機複合微粒子において、有機高分子の性状を維持する場合と、有機高分子の性状を維持せず、例えば、有機化合物や低分子成分となっている場合がある。
なお、有機無機複合微粒子が内部に有機成分を内包することは、例えば、次のような方法で確認できる。すなわち、有機無機複合微粒子を溶解させた場合におけるCOD(化学的酸素要求量)を測定することで確認できる。COD測定値は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の製造方法に用いる有機高分子成分は、その分子構造を限定されず直鎖状、平面分岐上、立体分岐状のいずれでもよい。
有機高分子成分は、カチオン性官能基を有するカチオン性であり、その構造にカチオン性官能基を含んでいるが、アニオン性官能基、ノニオン性官能基のいずれか、または全てを含んでいてもよい。上述の通り、カチオン性官能基を有することで、有機無機複合微粒子の表面電荷を制御することが可能であるため、好ましい。
有機高分子成分の重量平均分子量は、300以上100,000以下であることが好ましく、300以上50,000以下であることがより好ましく、300以上5,000以下であることが特に好ましく、300以上2,000以下であることが最も好ましい。有機高分子成分の重量平均分子量が上記範囲を下回る場合、有機高分子が高分子として機能しなくなる傾向にあり、粒子が弾性を帯びにくくなるため好ましくない。また、有機高分子成分の重量平均分子量が上記範囲を超える場合は有機無機複合微粒子の調製時に凝集や沈殿が生じ、真球状でかつ単分散の有機無機複合微粒子が得られ難い傾向にあるため好ましくない。
有機高分子成分は、特に限定されないが、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート(PDEAEM)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(PDMDAAC)、およびポリアルキレンイミン等が挙げられる。
本発明で用いるポリアルキレンイミンとは、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ジメチルエチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、オクチレンイミンといった炭素数2~8のアルキレンイミンを重合して得られるポリマー、並びに、これらを種々の化合物と反応させて化学的に変性させたポリマーを意味する。
[有機無機複合微粒子における29Si-NMRスペクトル]
本発明における有機無機複合微粒子の29Si-NMRスペクトルを測定した場合、以下の条件を満たすことが好ましい。
Q4のピーク面積に対するQ2およびQ3のピーク面積の合計の比[(Q2+Q3)/Q4]は、1.0以上2.0以下の範囲にあることが好ましい。この機構は定かではないが、粒子調製プロセスにおいて有機成分がシラノール基またはシラノール基周辺に吸着することで縮重合が阻害され、結果として、[(Q2+Q3)/Q4]の値が1.0以上となると、本発明者らは推測する。すなわち、上記の仮説と本発明の有機無機複合微粒子が有機成分を内包していることに基づくと、[(Q2+Q3)/Q4]の値がこの範囲にあることから、本発明の有機無機複合微粒子内部は、従来公知の有機無機複合微粒子と比較して、縮重合が進行していないと推測される。縮重合が進行していないことから、本発明の有機無機複合微粒子は、その粒子密度が比較的疎であると推測される。すなわち研磨砥粒として用いた場合の粒子個数の増加、より具体的には、有機無機複合微粒子と研磨基板との接触面積を増大させることができ、高い研磨速度を得ることができると、本発明者らは推測している。さらに、粒子の内部に有機成分を含有していることから、粒子が柔らかくなり弾性変形し易くなる。その結果、基板との接触面積が増えるため、研磨速度が向上する。また、2.0を超えてしまうとシロキサン結合が不足し、粒子の強度が顕著に低下するため、研磨砥粒として用いた場合に粒子破壊が生じ、研磨性能が低下するため好ましくない。
[有機無機複合微粒子分散液の有機無機複合微粒子が含有するCa、MgおよびAlの割合]
本発明の有機無機複合微粒子分散液における有機無機複合微粒子が含有するCa、Mg、AlおよびFeの割合は、それぞれ、25ppm以下、25ppm以下、150ppm以下および50ppm以下が好ましい。各元素の含有割合は、有機無機複合微粒子の単位質量あたりに含まれる各元素の質量の割合として表す。
通常、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属等は半導体デバイスの研磨用途においては、汚染原因となる元素である。そのため、前記粒子有機無機複合微粒子分散液中の有機無機複合微粒子におけるCa含有量は10ppm以下、Mg含有量は10ppm以下、Al含有量は100ppm以下、Fe含有量は30ppm以下、がより好ましい。
粒子分散液の固形分濃度は2質量%以上50質量%以下が好ましい。この範囲であれば、経時での粒子の凝集も生じ難く、貯蔵ないし運送にも適用できる。50質量%を超えると、粒子の凝集およびそれに伴う沈降が生じやすくなる。特に粒子分散液を研磨用途に適用した場合、その様な粒子の凝集あるいは沈降は、研磨砥粒分散液の安定性を損ない、研磨速度や研磨効率を低下させる場合がある。また、研磨処理のために研磨砥粒分散液を保管する容器内あるいは供給する工程で、容器あるいは供給装置内の内壁に付着した研磨砥粒分散液は、容易に乾燥して凝集物となり、再度研磨砥粒分散液に混入して、研磨処理により傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。2質量%未満では、粒子分散液を各種用途に適用するにあたり濃縮が必要となり、実用的ではない。
前記固形分濃度は5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
ここで固形分濃度は、粒子分散液の分散質の濃度を意味し、具体的には、有機無機複合微粒子の質量に基づく濃度である。
前記粒子分散液の溶媒または分散媒については、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒のいずれであってもよい。有機溶媒としては、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)、エーテル類、エステル類およびケトン類等の水溶性の有機溶媒が挙げられる。
[有機無機複合微粒子分散液の製造方法]
<工程1>
工程1は、原料シリカ微粒子分散液(SiO濃度0.05質量%以上10質量%以下)に有機高分子成分を、下記の割合(WA/WS)の範囲内で添加し、続いて、40℃以上98℃以下に加熱し、0.5時間以上保持し、有機無機複合微粒子分散液を得る工程である。
0.001≦WA/WS≦0.1
(ここで、WSは、原料シリカのシリカ質量(g)であり、WAは、有機高分子成分の質量(g)である。)
工程1で使用する原料シリカ微粒子分散液は、分散媒に原料シリカ微粒子が分散したものである。分散媒としては、粒子分散液の溶媒または分散媒が挙げられる。
原料シリカ微粒子としては、粒子における複合微粒子と同様の形状を有することが好ましい。
また、原料シリカ微粒子が含有するCa、Mg、AlおよびFe濃度は、シリカ微粒子の単位質量あたり、Ca、Mg、AlおよびFeの質量として、下記のとおりであることが好ましい。
Ca:25ppm以下
Mg:25ppm以下
Al:150ppm以下
Fe:50ppm以下
工程1で使用する原料シリカ微粒子分散液のSiO濃度は、0.05質量%以上10質量%以下が好ましい。有機無機複合微粒子分散液のSiO濃度が0.05質量%未満の場合は、SiO濃度が薄いため、効率よく生産ができない。また、SiO濃度が10質量%を超える場合は、シリカ微粒子の連結化や凝集が生じ、単分散性が保てなくなる。工程1で使用する有機無機複合微粒子分散液のSiO濃度は、0.1質量%以上5質量%以下の範囲がより好ましい。
工程1で使用する原料シリカ微粒子分散液において、SiO/NaO(モル比)は制限されるものではなく、Naを全く含まないものを使用してもよい。
工程1において脱塩する方法としては、陽イオン交換樹脂で、NaイオンをHイオンに交換する方法が挙げられる。
陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂または弱酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられ、-SOHまたは-COOH等に置換した構造を有する樹脂が挙げられる。
工程1で使用する原料シリカ微粒子分散液のpHは、シリカ微粒子分散液が安定であればよく、特に制限されない。工程1で使用する原料シリカ微粒子分散液のpHは、2以上12以下で構わない。pH調整は、例えば、Naのイオン交換より行うことができる。
工程1で使用する有機高分子成分は、原料シリカ微粒子分散液に、WA/WSが0.001以上0.1以下の割合で添加する(ここで、WSは、原料シリカのシリカ質量(g)であり、WAは、有機高分子成分の質量(g)である)。
WA/WSが上記範囲でpH緩衝液またはpH調整剤を使用すると、溶液のpHが安定するため粒子成長時に使用するケイ酸が効率よく溶解し、粒子表面に沈着し易くなる。
WA/WSが0.001未満では、有機高分子量成分の含有量が少なすぎるため、有機成分を粒子内部に含有する効果が著しく低下する。また、WA/WSが0.1を超えると、粒子の連結化や凝集が生じやすくなり、粒子の単分散性が保てなくなり、長径に対する短径の比(短径/長径)が0.8以上の有機無機複合微粒子が得られなくなる。WA/WSは、0.002以上0.05以下であることがより好ましく、0.005以上0.02以下であることが特に好ましい。
有機高分子成分は、水に溶解させて水溶液として使用してもよい。この有機高分子成分は、前述の通りのものである。
なお、本発明の有機無機複合微粒子分散液の製造方法においては、従来公知の無機系凝集剤を用いないことが好ましい。この無機系凝集剤が不純分となったり、粒子を凝集させるからである。
有機高分子成分、特にカチオン性の官能基を含む有機高分子成分を用いることで、有機無機複合微粒子表面の電荷を制御することができる。そして、無機系凝集剤を用いることなく所望の有機無機複合微粒子を得ることができる。さらには、従来公知の手法により得られる有機無機複合微粒子と比較して、金属不純分の含有量を低くすることができ、特に半導体研磨用途においては研磨基板または研磨装置の汚染を防ぐことができるため好適である。
なお、本発明のメカニズムについて発明者らは以下のように解釈している。
本発明の製造方法の工程1において、原料シリカ微粒子分散液に所定の割合で有機高分子を添加して、必要に応じてアルカリを添加して最適なpHに調整して加熱し、所定時間保持すると、負に帯電した原料シリカ微粒子表面の全面または一部に有機高分子が吸着する。この際、有機高分子の吸着平衡が生じるため、添加した有機高分子の多くは原料シリカ微粒子に吸着されるが、一部は溶媒中にも存在する。また、原料シリカ微粒子分散液の比表面積に対して過剰量の有機高分子を添加した場合も、同様に溶媒中に有機高分子が存在する。次に、工程2では、この溶液に、酸性珪酸液を添加する。添加された酸性珪酸液は溶解して粒子表面に沈着するが、粒子表面の一部または全部は有機高分子で覆われており、有機高分子層の上をシリカが被覆する。そのため、有機高分子は粒子の内部に含包される。有機高分子層がシリカで被覆されると、その表面は再びシリカ表面になるため、溶媒中に残存していた有機高分子が再びシリカ表面に吸着され始める。酸性珪酸液は所望のサイズになるまで継続して添加されているため、再び高分子上にシリカが沈着する。これを繰り返すことで、シリカ母粒子上に、シリカと有機高分子からなる有機無機複合層が形成される。更に、酸性珪酸液を添加して粒子成長を続けると、やがて溶媒中に有機高分子が存在しなくなり、シリカ表面への有機高分子の吸着が生じなくなる。この状態で粒子成長を続けることで、最外層は無機成分のみからなる層が形成される。また、このようなメカニズムによって有機高分子層の濃度勾配が生じ、最外層に無機成分のみからなる層が形成されると発明者らは推定している。
なお、有機高分子が粒子表面に吸着すると粒子の安定性が低下し、凝集を生じることがあるが、シリカ濃度、シリカと有機高分子との質量比、温度、保持時間、またはシリカ微粒子サイズ等を好適な条件を選択することで、単粒子状の有機無機複合微粒子を得ることができる。
更に、有機高分子を粒子内部に含包するため、有機無機複合層においては、シロキサン結合が十分に進まないため、29Si-NMRスペクトルを測定すると、有機無機複合層を備えない粒子と比較して、Q2やQ3のピーク強度比が大きくなる。
工程1においては、必要に応じて、pH緩衝剤およびpH調整剤を使用してもよい。pH緩衝剤としては、公知の無機系または有機系のpH緩衝剤を使用することが望ましい。
pH緩衝剤の例としては、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウムおよび水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのうち、酢酸アンモニウムまたは酢酸ナトリウムが特に好ましい。
また、pH調整剤としては、公知の無機系または有機系のpH調整剤を使用することが望ましい。
pH調整剤の例としては、酸としては、酢酸、ギ酸、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸およびヘキサメタリン酸等が挙げられる。
塩基の例としては、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物およびアンモニア等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性から水酸化カリウムまたはアンモニアが好ましい。
工程1における加熱前のpHは、9.0以上13.0以下の範囲にあることが好ましい。
[加熱等の処理]
工程1においては、必要に応じてpH緩衝材またはpH調整剤で有機無機複合微粒子分散液のpHを調整し、40℃以上98℃以下に加熱し、例えば、0.5時間以上64時間以下に保持することが好ましい。
加熱することにより、次工程で珪酸を添加した際に、珪酸が粒子に反応し易くなるからである。また所定時間保持することで、有機高分子の粒子表面への吸着が平衡状態となるからである。
加熱温度が、40℃未満であると、工程2で添加した珪酸が溶解し難いため、珪酸による自己核生成が生じる傾向にある。一方、加熱温度が98℃を超えると凝集塊を生じ易く所望の有機無機複合微粒子を得られないため、好ましくない。
また、保持時間が、0.5時間未満であると、有機高分子の吸着が平衡状態に達しないため、再現性が悪くなる恐れがあるため好ましくない、また、保持時間が、64時間を超えると、工程時間が長くなり高コストとなるために、経済的に好ましくない。
本発明では、工程1のみを経て得られた有機無機複合微粒子分散液を便宜上、有機無機複合微粒子分散液(I)とし、工程1および工程2を経て得られた有機無機複合微粒子分散液を有機無機複合微粒子分散液(II)と称する場合がある。
<工程2>
工程1では原料シリカ微粒子上に有機高分子が吸着された状態であるが、工程2では、工程1で得た有機高分子吸着シリカ微粒子に対し、酸性珪酸液を、下記の割合(WF/WS)となるように連続的または断続的に添加し、粒子成長させる処理を施す。
0.01≦WF/WS≦20
(ここで、WSは、原料シリカのシリカ質量(g)であり、WFは、酸性珪酸液中のシリカ質量(g)である。)
酸性珪酸液を添加する前に、必要に応じてアルカリ成分を添加してもよく、アルカリ性成分としては、アンモニア、アルカリ金属および水ガラス等を使用できる。アルカリ性成分は、溶液にして用いることもできる。アルカリ性成分を溶解する溶媒は、粒子分散液の溶媒または分散媒が挙げられる。溶媒は、工程1で使用した分散媒が好ましく、水がより好ましい。
工程2における有機高分子吸着シリカ微粒子分散液のSiO濃度は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。
工程2では、有機高分子吸着シリカ微粒子分散液に酸性珪酸液を連続的または断続的に、WF/WSが0.01以上20以下の範囲で添加する。
WF/WSが0.01未満であると、有機高分子吸着シリカの表面を覆うシリカの量が少ないため、有機高分子が粒子内部に包含されにくくなるため、好ましくない。またWF/WSが20を超えると相対的に有機高分子の割合が減少し、弾性を帯びなくなるため好ましくない。
工程2おける温度は、添加した酸性珪酸液が溶解し、粒子上に沈着させるための温度であり、70℃以上98℃以下が好ましい。
工程2における酸性珪酸液の添加は、連続的または断続的に行うことができる。
酸性珪酸液は、珪酸アルカリ金属(珪酸ナトリウム等)を水で希釈し、アルカリ金属イオンを水素イオンに交換したものである。アルカリ金属イオンを水素イオンに交換する方法としては、陽イオン交換樹脂を使用する方法が挙げられる。酸性珪酸液は、pHが6以下であれば使用することができる。酸性珪酸液のSiO濃度としては、1質量%以上6質量%以下のものを使用することができる。
SiO濃度が1質量%未満であると、添加する酸性珪酸液が多量に必要となるため、経済上好ましくない。また、SiO濃度が6質量%を超えると、酸性珪酸液自体が不安定であるため、好ましくない。SiO濃度は、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
工程2では、母粒子表面の一部または全面に有機高分子が吸着した状態で、反応溶液に珪酸を添加することで吸着した有機高分子成分上にシリカ成分が沈着し、結果として粒子内部に前記有機高分子成分に由来する有機成分が内包された有機無機複合微粒子が得られる。
なお、工程2では必ずしも有機高分子成分の全てが有機無機複合微粒子に内包される必要はなく、粒子表面に吸着された状態も存在してもよい。
<工程3>
粒子をさらに成長させるという観点から、さらに工程3を行ってもよい。
工程3は、工程2を施している有機無機複合微粒子分散液に対し、pH10.0以上にpHを調整し、続いて、酸性珪酸液を連続的または断続的に添加し、粒子成長させる処理を施す工程である。
工程3の操作は、工程2の操作とほぼ同様である。例えば、工程2で得られた有機無機複合微粒子分散液(II)に対して、さらに、工程3を施すことによって、粒子をさらに成長させることができる。
なお、工程3は、上記の観点から、複数回を繰り返して行ってもよい。
[有機無機複合微粒子分散液を含む砥粒分散液]
本発明の有機無機複合微粒子分散液を含む砥粒分散液(「研磨用組成物」ともいう。)は、さらに他の成分を含むことができる。
他の成分として、研磨促進剤、界面活性剤、親水性化合物、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤から選ばれる1以上の成分を使用することができる。
研磨促進剤の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
本発明に係る研磨用組成物が研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。研磨用組成物の分散性や安定性を向上させるために、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。
界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤および親水性化合物のうちの少なくとも1つとしては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、およびリン酸エステル塩等が挙げられる。カルボン酸塩として、石鹸、N-アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、およびアシル化ペプチド等が挙げられる。スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、およびN-アシルスルホン酸塩等が挙げられる。硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、およびアルキルアミド硫酸塩等が挙げられる。リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、およびイミダゾリニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、およびアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤もしくは非イオン系界面活性剤が好ましい。また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、エステル(グリセリンエステル、ソルビタンエステルおよびアラニンエチルエステル等)、エーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、およびアルケニルポリプロピレングリコール等)、多糖類(アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードランおよびプルラン等)、アミノ酸塩(グリシンアンモニウム塩およびグリシンナトリウム塩等)、ポリカルボン酸およびその塩(ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p-スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩およびポリグリオキシル酸等)、ビニル系ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクロレイン等)、スルホン酸およびその塩(メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1-アリルスルホン酸ナトリウム塩、2-アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3-エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等)、およびアミド等(プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミドおよびスルファニルアミド等)が挙げられる。
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板等の場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
本発明に係る研磨用組成物が界面活性剤および親水性化合物のうちの少なくとも1つを含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用組成物の1L中、0.001g以上10g以下とすることが好ましく、0.01g以上5g以下とすることがより好ましく0.1g以上3g以下とすることが特に好ましい。
界面活性剤および親水性化合物のうちの少なくとも1つの含有量は、充分な効果を得る上で、研磨用組成物の1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
界面活性剤または親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
本発明の研磨用組成物については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層または溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、または水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、およびホウ素原子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾール等を用いることができる。より具体的には、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る研磨用組成物に複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上0.7質量%以下であることがより好ましく、0.002質量%以上0.4質量%以下であることがさらに好ましい。
上記各添加剤の効果を高めるため等に必要に応じて酸または塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
本発明に係る研磨用組成物をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミン等のアミンが使用される。
研磨用組成物をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸等のヒドロキシ酸類が使用される。
研磨用組成物のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水等のリン酸塩およびホウ酸塩または有機酸等を使用することができる。
本発明に係る研磨用組成物については、必要に応じて溶媒を用いることができる。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類等水溶性の有機溶媒を用いることができる。また、水と有機溶媒からなる混合溶媒であってもよい。
本発明に係る研磨用組成物中の研磨用粒子の濃度は、0.5質量%以上50質量%以下、さらには5質量%以上30質量%以下の範囲にあることが好ましい。濃度が0.5質量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。研磨用粒子の濃度が50質量%を超えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
[実施例および比較例で用いた分析方法]
以下に本発明の好適な実施例を述べる。実施例および比較例における各種特性の測定方法については、特に断りの無い限り、以下に記す方法にて実施した。
[1]動的光散乱法による平均粒子径測定方法
動的光散乱法による有機無機複合微粒子の平均粒子径(D1)の測定方法は次のとおりである。
試料(有機無機複合微粒子を含む分散液)を0.58%アンモニア水にて希釈して、シリカ濃度1質量%に調整し、レーザーパーティクルアナライザー(例えば粒径測定装置(1))を用いて測定する。
[粒径測定装置(1)の概要]
大塚電子株式会社製、型番「ゼータ電位・粒径測定システム ELSZ-1000」(測定原理:動的光散乱法、光源波長:665.70nm、温度調整範囲:10~90℃、セル:10mm角のプラスチックセル)
[2]有機無機複合微粒子における比表面積換算粒子径の測定方法
Naタイトレーション法による比表面積測定および平均粒子径測定
1)SiOとして1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mLにする。(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行った。)
2)0.1モル/L塩酸を加え、pHを3.6にする。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mLに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、pH8.7~9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)次の式(2)からSiO1.5g当たりのpH4.0から9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液の消費量V(mL)を求め、後記式(3)に従って比表面積SA[m/g]を求める。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C)・・・(2)
上記式中、
A:SiO1.5g当たりpH4.0から9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(mL)
f:0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
W:試料採取量(g)
C:試料のSiO濃度(質量%)
をそれぞれ表す。
SA=29.0V-28・・・(3)
また、比表面積換算粒子径D2(nm)は、式(4)から求める。
比表面積換算粒子径D2(nm)=6000/(ρSiO2×SA)・・・(4)
(ここで、ρSiO2はシリカ粒子の密度2.2[g/cm]を表す。)
BET法(窒素吸着法)による比表面積測定および平均粒子径測定
粒子型シリカゾル50mLをHNOでpH3.5に調整し、1-プロパノール40mLを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%とヘリウム70v%との混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積を算出した。また、得られた比表面積(SA)を前記式(4)に代入して比表面積換算粒子径d1を求めた。
[3]Ca、Mg、AlおよびFeの含有割合の測定方法
1.試料の調製
固形分濃度20質量%に調整した有機無機複合微粒子分散液80gを試料とする。
2.Ca、Mg、AlおよびFeの含有割合の測定方法
(1)約1gの有機無機複合微粒子分散液を白金皿に精秤する。
(2)上記(1)に、リン酸3mL、硝酸5mLおよび弗化水素酸10mLを加えて、サンドバス上で加熱する。
(3)乾固したら、少量の水と硝酸50mLを加え溶解させて、100mLのメスフラスコにおさめ、水を加えて、100mLにする。
(4)次に、100mLにおさめた溶液から分液10mLを20mLのメスフラスコに採取する操作を5回繰り返し、分液10mLを5個得る。
(5)これを用いて、ICPプラズマ発光分析装置(SII製、品番SPS5520)にて、標準添加法で測定を行う。
(6)同様の方法でブランクを測定し、ブランク分を差し引いて調整し、各元素における測定値とする。
(7)上記測定値から、有機無機複合微粒子分散液に含まれる有機無機複合微粒子の単位質量あたりに含まれる各元素(Ca、MgおよびAl)の質量の割合を求めた。
[4]有機無機複合微粒子を溶解させた場合におけるCOD(化学的酸素要求量)の測定方法
過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(COD)は以下の手順で測定した。
試料の適量を三角フラスコ300mLにとり、水を加えて100mLとし、硫酸(1+2)(体積比で硫酸1:水2)10mLを加え、硝酸銀溶液(200g/L)5mLを加えて振り混ぜた後、5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液10mLを加えて、沸騰水浴中にフラスコを入れ30分間加熱した。
このとき沸騰水浴の面は、つねに試料面より上部にあるようにした。
次に、しゅう酸ナトリウム溶液(12.5mmol/L)10mLを加え、50~60℃に保ちながら5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液で逆滴定し、液の色がうすい紅色を呈した点を終点とした。
別に同一条件で水を用いた空試験を行った。
次式によって、過マンガン酸カリウムによる酸素消費量のmgO/Lを算出した。
COD=(a-b)×f×1000/V×0.2
COD:過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(mgO/L)
a:滴定に要した5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液量(mL)
b:空試験の滴定に要した5mmol過マンガン酸カリウム溶液量(mL)
f:5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクタ
V:試料量(mL)
0.2:5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液1mLの酸素相当量(mg)
[5]有機無機複合微粒子の29Si-NMRスペクトルの測定
29Si CPMAS NMRスペクトルの測定には、Agilent製VNMRS-600(14.1T、H共鳴周波数:600MHz)を用いた。
測定サンプルは乳鉢を用いて粉砕し、均一になるように5mmの固体NMR試料管に充填した後に、外部磁場に対するマジック角(54.7°)で、6kHzにて回転させた。このときの29Si共鳴周波数は、119.2MHz、H 90°パルス幅は5.0μs、コンタクト時間は7ms、FID後の待ち時間は5s、FIDの積算回数は10000回程度であった。ポリジメチルシランのピーク-34.44ppmをケミカルシフトの二次標準とし、得られたスペクトルを、Originを用いGaussian関数で近似して波形分離した。
以上のようにして、29Si-NMRスペクトルを測定し、このスペクトルから、Q2、Q3およびQ4のピーク強度、およびピーク面積を読み取った。そして、Q4のピーク面積に対するQ2およびQ3のピーク面積の合計の比[(Q2+Q3)/Q4]を算出した。
[6]母粒子、有機無機複合層および最外層の存在確認と、有機無機複合層における有機成分の濃度勾配の確認
比表面積換算粒子径が既知(溶解前粒子径)のシリカゾルを4.8%の水酸化ナトリウムで希釈し、SiO濃度5.0%に調整した。この溶液を70℃で加熱して1時間保持することで溶解処理を行った。溶解処理後の溶液を限外膜で分離し、分離した液中のシリカ濃度とCODを分析した。なお、溶解後の粒子サイズは、下記計算式に基づいて算出した。
溶解後粒子径 = {(5.0-限外膜で分離した溶液中のシリカ濃度)/5.0}1/3×溶解前粒子径
溶解層の厚みは、溶解前粒子径から溶解後の粒子径を差し引くことで算出でき、有機無機複合層の厚みは、下記計算式に基づいて算出した。
有機無機複合層厚み=溶解前粒子径-(母粒子粒子径+無機成分からなる最外層厚み)
また、溶解処理において添加する水酸化ナトリウム量や加熱時間および温度を調整することで溶解層の厚みを調整することができ、数nm単位で溶解することができる。
数nm単位の溶解操作を繰り返して行うと、まず溶解層の厚みが薄い場合は、溶解液にはCOD値が検出されないか、または、極めて低い濃度で検出される。CODが検出されない層が無機成分からなる最外層である。なお、COD値が検出される溶解液に相当する厚みが有機無機複合層である。続けて、溶解処理を繰り返していくと溶解液中に含まれるCOD値が徐々に高くなる。このように溶解層中のCOD濃度が変化していく場合に有機成分の濃度勾配があると判断される。
更に続けて溶解処理を行っていくと、溶解液中にCOD値が検出されなくなる。COD値が検出されなくなった際の溶解後粒子径が母粒子サイズである。
より具体的には、図2に示すように、有機無機複合微粒子の中心からの距離と、COD値との関係を示すグラフを作成することで、母粒子、有機無機複合層および最外層の存在を確認できる。微粒子の中心からの距離が大きい側からみて、COD値が検出されない部分が最外層である。次に、COD値が検出される部分が有機無機複合層である。次いで、COD値が検出されなくなった部分が母粒子である。
なお、製造時に予め原料として調合に使用する原料無機粒子のサイズがわかっている場合は、原料無機粒子のサイズと母粒子のサイズとは良い一致を示す。
なお、有機無機複合微粒子の厚みを測定する際の粒子径は、比表面積換算粒子径を用いるものとする。
[7]SiO絶縁膜(厚み1μm)基板に対する研磨特性の評価方法と研磨用砥粒分散液の調製方法
[研磨用砥粒分散液の調製]
実施例および比較例の各々において得られた有機無機複合微粒子分散液またはシリカ微粒子分散液について、それぞれイオン交換水を加えて希釈し、いずれも固形分濃度1.0質量%に調整し、それぞれ硝酸水溶液(濃度5%)を添加してpH6.0に調整し、研磨用砥粒分散液とした。
[研磨試験方法]
被研磨基板として、熱酸化法により作製したSiO絶縁膜(厚み1μm)基板を準備し、この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「IC-1000/SUBA400同心円タイプ」)を使用し、基板荷重0.04MPa、テーブル回転速度90rpmで研磨用砥粒分散液を200mL/分の速度で1分間供給して研磨を行った。
そして、研磨前後の被研磨基板の重量変化を求めて研磨速度(nm/min)を算定した。また、研磨基材の表面の平滑性(表面粗さ[Ra])を原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。平滑性と表面粗さは概ね比例関係にあるため、表には表面粗さを記載した。
[酸性珪酸液]
珪酸ナトリウム水溶液(SiO濃度5質量%)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより調製し、酸性珪酸液(SiO濃度4.6質量%、pH2.3)を調製した。
以下、実施例および比較例では、この酸性珪酸液を使用した。
<有機無機複合微粒子分散液の調製>
[実施例1]
原料シリカ微粒子分散液「カタロイドSI-50」(比表面積換算粒子径25nm、固形分濃度48質量%、日揮触媒化成(株)製)124gを、純水で固形分濃度0.5質量%に希釈した。
この希釈したシリカ微粒子分散液に、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度5.0質量%)71gを添加した。次に、このpHを調整した有機無機複合微粒子分散液に有機高分子として重量平均分子量600のポリエチレンイミン水溶液(濃度0.1質量%)500gを添加した。添加後のPHは12.0であった。
続いて、このpHを調整したシリカ微粒子分散液を98℃に昇温し、98℃で30分間保持した。続いて酸性珪酸液(SiO濃度4.6質量%)5,518gを、16時間かけて添加した。添加終了後、温度を保持したまま1時間熟成を行った。その後、限外膜にてSiO濃度で12質量%まで濃縮し、ついでロータリーエバポレーターで40質量%まで濃縮して、有機無機複合微粒子分散液を得た。得られた有機無機複合微粒子分散液について、前述のとおりの方法にて各種測定を行った。
[実施例2]
原料シリカ微粒子分散液「カタロイドSI-40」(比表面積換算粒子径18nm)、固形分濃度40.5質量%、日揮触媒化成(株)製)111gを、純水で固形分濃度0.2質量%に希釈した。
この希釈したシリカ微粒子分散液に、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度5.0質量%)62gを添加した。
次に、このpHを調整したシリカ微粒子分散液に、有機高分子として重量平均分子量600のポリエチレンイミン水溶液(濃度0.3質量%)125gを添加した。添加後のPHは12.1であった。
続いて、この有機高分子を含む有機無機複合微粒子分散液を98℃に昇温し、98℃で120分間保持した。続いて酸性珪酸液(SiO濃度4.6質量%)9106gを、24時間かけて添加した。添加終了後、温度を保持したまま1時間熟成を行った。その後、限外膜にてSiO濃度で12質量%まで濃縮し、ついでロータリーエバポレーターで40質量%まで濃縮して、有機無機複合微粒子分散液を得た。得られた有機無機複合微粒子分散液について、各種測定を実施例1と同様に行った。
[比較例1]
シリカ微粒子分散液「カタロイドSI-50」、固形分濃度48質量%、日揮触媒化成(株)製)について、各種測定を実施例1と同様に行った。
[比較例2]
シリカ微粒子分散液「カタロイドSI-45P」(比表面積換算粒子径45nm、固形分濃度40.5質量%、日揮触媒化成(株)製)について、各種測定を実施例1と同様に行った。
[比較例3]
ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL50)300gにイオン交換水と5%の水酸化ナトリウムを加え、pH10.0でSiO濃度2.5質量%に調整した。その後、φ0.5mmのジルコニアビーズを用い、アシザワファインテック社製ビーズミルLMZ06を用いて湿式粉砕を行った。ビーズと粉砕液を分離したのち、更にφ0.25mmの高純度シリカビーズを用い、湿式粉砕をした。得られた粉砕液をロータリーエバポレーターでSiO濃度40質量%に濃縮し、シリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液について、各種測定を実施例1と同様に行った。
[製造条件および各種測定の結果]
実施例における製造条件を表1に示す。また、実施例および比較例における各種測定の結果を表2に示す。
Figure 2023108405000001
Figure 2023108405000002
表2に示す結果からも明らかなように、実施例1~2で得られた有機無機複合微粒子分散液によれば、研磨性の優れた特性を有することが確認された。

Claims (11)

  1. 下記[1]、[2]および[3]の要件を備え、動的光散乱法により測定した平均粒子径(D1)が10nm以上300nm以下の有機無機複合微粒子が溶媒に分散してなる、有機無機複合微粒子分散液。
    [1]前記有機無機複合微粒子は、有機成分を含まない無機成分からなる母粒子と、前記母粒子の表面上に無機成分と有機成分を含有する有機無機複合層とを有すること。
    [2]前記有機無機複合微粒子は、無機成分あたりのCOD値が100ppm以上10%以下であること。
    [3]前記有機無機複合層の厚さは、1nm以上200nm以下であること。
  2. 前記有機無機複合層中の有機成分は粒子の中心から外側に向かって濃度勾配を備えている、請求項1に記載の有機無機複合微粒子分散液。
  3. 前記有機無機複合微粒子が、前記有機無機複合層の表面に、更に無機成分のみからなる最外層を有する、請求項1または請求項2に記載の有機無機複合微粒子分散液。
  4. 前記有機無機複合微粒子の29Si-NMRスペクトルを測定した場合、Q4のピーク強度に対するQ3のピーク強度の比[(Q2+Q3)/Q4]が、1.0以上2.0以下の範囲にある、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機無機複合微粒子分散液。
  5. 前記有機無機複合微粒子は、長径に対する短径の比(短径/長径)が0.8未満の粒子の含有比率が10%未満である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機無機複合微粒子分散液。
  6. 前記有機無機複合微粒子に含まれるCa、Mg、FeおよびAlの割合が、下記のとおりである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機無機複合微粒子分散液。
    Ca:25ppm以下
    Mg:25ppm以下
    Al:150ppm以下
    Fe:50ppm以下
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機無機複合微粒子分散液を含む、砥粒分散液。
  8. 下記工程1を含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機無機複合微粒子分散液の製造方法。
    工程1:SiO濃度0.05質量%以上10質量%以下の原料シリカ微粒子分散液に、有機高分子成分を下記の割合(WA/WS)の範囲内で添加し、続いて、40℃以上98℃以下に加熱し、有機高分子吸着シリカ微粒子分散液を得る工程
    0.001≦WA/WS≦0.1
    (ここで、WSは、原料シリカのシリカ質量であり、WAは、有機高分子成分の質量である。)
  9. 前記工程1において、加熱前のpHが9.0以上13.0以下の範囲にある、請求項8に記載の有機無機複合微粒子分散液の製造方法。
  10. 前記工程1に続いて、下記工程2を含む、請求項8または請求項9に記載の有機無機複合微粒子分散液の製造方法。
    工程2:前記工程1で得た有機高分子吸着シリカ微粒子分散液に対し、酸性珪酸液を、下記の割合(WF/WS)となるように連続的または断続的に添加し、粒子成長させる処理を施す工程
    0.01≦WF/WS≦20
    (ここで、WSは、原料シリカのシリカ質量であり、WFは、酸性珪酸液中のシリカ質量である。)
  11. 前記有機高分子成分の重量平均分子量が、300以上100,000以下の範囲にある、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の有機無機複合微粒子分散液の製造方法。
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