JP2018108924A - シリカ粒子分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実質的に有機溶媒からなる液Iに対して、シランアルコキシドを含有する液Aと、アルカリ触媒及び水を含有する液Bとを同時に添加することにより、シランアルコキシドを加水分解及び重縮合させてシリカ粒子を製造するシリカ粒子分散液の製造方法であって、反応開始から終了までの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対するアルカリ触媒のモル比の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10であり、反応開始から終了までの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対する水のモル比の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10であるシリカ粒子分散液の製造方法である。
【選択図】図3
Description
例えば、半導体集積回路は、シリコンウエハー等の基材上に配線層間膜(絶縁膜)を成膜し、その配線層間膜(絶縁膜)上に金属配線用の溝パターンを形成し、必要に応じてスパッタリング法などによって窒化タンタル(TaN)等のバリアメタル層を形成し、ついで金属配線用の銅を化学蒸着(CVD)法等により成膜する。ここで、TaN等のバリアメタル層を設けた場合には層間絶縁膜への銅や不純物などの拡散や侵食に伴う層間絶縁膜の絶縁性の低下などを防止することができ、また層間絶縁膜と銅の接着性を高めることができる。
次いで、溝内以外に成膜された不要な銅及びバリアメタル(犠牲層ということがある)を化学機械研磨(CMP)法により研磨して除去するとともに上部表面を可能な限り平坦化して、溝内にのみ金属膜を残して銅の配線・回路パターンを形成する。
好ましくは、次の(1)及び(2)の条件を満たすシリカ粒子分散液の製造方法である。
(1)液A及び液Bの添加を開始してから終了するまでの期間(反応開始(添加開始)から終了までの期間)の反応系におけるシランアルコキシドに対するアルカリ触媒のモル比(アルカリ触媒/シランアルコキシド)の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10である。
(2)液A及び液Bの添加を開始してから終了するまでの期間(反応開始(添加開始)から終了までの期間)の反応系におけるシランアルコキシドに対する水のモル比(水/シランアルコキシド)の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10である。
本発明のシリカ粒子分散液においては、シリカ粒子中のU、Thの各々の含有量が0.3ppb未満であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの各々の含有量が0.1ppm未満、Cu、Ni、Crの各々の含有量が1ppb未満であることが好ましい。
本発明のシリカ粒子分散液の製造方法は、実質的に有機溶媒からなる液Iに対して、シランアルコキシドを含有する液Aと、アルカリ触媒及び水を含有する液Bとを同時に添加することにより、シランアルコキシドを加水分解及び重縮合させてシリカ粒子を製造する方法である。本発明のシリカ粒子分散液の製造方法においては、反応開始から終了までの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対するアルカリ触媒のモル比の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10であり、反応開始から終了までの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対する水のモル比の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10であることが好ましい。
液Iは、実質的に有機溶媒からなる。有機溶媒としては、アルコール、ケトン、エーテル、グリコール、エステルなどが挙げられ、アルコールが好ましい。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステルが挙げられる。これらの中でも、メタノール又はエタノールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
液Aは、シランアルコキシドを含有するものであり、好ましくは有機溶媒を含有する。通常は、実質的にシランアルコキシドからなるか、実質的にシランアルコキシド及び有機溶媒の2成分からなる。なお、「実質的にシランアルコキシドからなる」、「実質的に2成分からなる」とは、上記同様、シランアルコキシドや有機溶媒の製造過程から不可避的に含まれる不純物等は含まれ得るが、それ以外は含まないことを意味し、例えば、99質量%以上であり、好ましくは99.5質量%以上である。
液Bは、アルカリ触媒及び水を含有するものであり、通常、実質的に2成分からなる。なお、「実質的に2成分からなる」とは、上記液Aで説明したのと同様の意味である。
本発明のシリカ粒子分散液の製造方法は、上記のように、実質的に有機溶媒からなる液Iに対して、シランアルコキシドを含有する液Aと、アルカリ触媒及び水を含有する液Bとを同時に添加することにより、シランアルコキシドを加水分解及び重縮合させてシリカ粒子を製造するものであり、次の2つの条件を満足することが好ましい。
(1)反応開始から終了までの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対するアルカリ触媒のモル比の初期値に対する変化率(触媒割合変化率)が、0.90〜1.10であり、
(2)反応開始から終了までの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対する水のモル比の初期値に対する変化率(水割合変化率)が、0.90〜1.10である。
本発明のシリカ粒子分散液は、平均粒子径(d)が5〜300nmのシリカ粒子を含み、未反応物の含有量が200ppm以下であることを特徴とする。シリカ粒子分散液は、上記説明した本発明の製造方法により製造することができる。シリカ粒子分散液は、研磨材に有用であり、このまま分散体の状態で用いてもよいし、乾燥して用いてもよい。
上記上澄み中に存在する含珪素化合物(未反応物)を、株式会社島津製作所製 ICP発光分析装置ICPS−8100で測定したSiから求めたSiO2濃度で比較する。
その構造は、透過電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡で確認して、粒子として存在することで判断できる。
ここで、平均粒子径が5nm未満の場合は、シリカ粒子分散液の安定性が不充分となる傾向にあり、また粒子径が小さすぎて充分な研磨速度が得られない。平均粒子径が300nmを超える場合は、研磨材として使用した場合、基板または絶縁膜の種類にもよるが、スクラッチが発生しやすく、充分な平滑性が得られないことがある。好ましい平均粒子径は10〜200nm、より好ましくは15〜100nmである。
アスペクト比の算出方法について、図2を用いて説明する。図2は、一次粒子が単独で存在する粒子や複数の一次粒子が連結した粒子を例示している。黒塗り部は粒子間の接合部のイメージであり、接合部は空間を含んでいてもよい。このアスペクト比は、走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、100個の粒子について、図2に例示するように粒子を長方形で囲んだ時、長い辺を辺b、短い辺を辺aとして縦横比(b/a)を測定し、その平均値として得たものである。
これら不純分の金属元素の含有量が上述の範囲を超えて多く存在すると、シリカ粒子を用いて研磨した基板に金属元素が残存し、この金属元素が半導体基板に形成された回路の絶縁不良を起こしたり回路が短絡したりして、絶縁用に設けた膜(絶縁膜)の誘電率が低下し、金属配線にインピーダンスが増大し、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が起きることがある。また、金属元素イオンが移動(拡散)し、使用条件や使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがある。特に、U、Thの場合は、放射線を発生するため微量でも残存した場合に放射線による半導体の誤作動を引き起こす点で好ましくない。
ここで、アルカリ金属とは、Li、Na、K、Rb、Cs、Frを表し、アルカリ土類金属とは、Be,Mg、Ca、Sr,Ba,Raを表す。
また、使用する原料については、蒸留・イオン交換・フィルター除去で精製することが好ましい。特にアルコキシドの加水分解時に使用するアルコールは、タンク等からの金属不純分や合成時の触媒が残存するおそれがあり、特に精度の高い精製を必要とする場合がある。
〈シリカ粒子分散液(SA)の製造〉
メタノール(液I)410.0gを40℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシラン(多摩化学工業(株)製(以下同じ))のメタノール溶液(液A)3436.3gと、アンモニア水(液B)1684.0gとを同時に10時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(SA)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図3に示す。
アルカリ触媒/シランアルコキシド、水/シランアルコキシドの各モル比は、添加重量実測値を基に、シランアルコキシドの加水分解及び重縮合の反応は瞬時に起こるもの、アルカリ触媒は系外への放出はないものと仮定して算出した。液A及び液Bの添加開始10分後から、10分毎の反応系内のモル比を算出した。液A及び液Bの添加直後のモル比(理論値)を初期値として、かかる初期値で除した数値で、系内の各物質モル比の変化を比較した。
(加水分解時に4モル消費)
Si(OH)4 → SiO2 + 2H2O
(重縮合時に2モル放出)
平均粒子径は、シリカ粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について、図1に例示するように一次粒子の最も径が長い部分を測定し、その平均値として得た。
アスペクト比は、シリカ粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について、図2に例示するように粒子を長方形で囲んだ時、長い辺を辺(b)、短い辺を辺(a)として縦横比(b/a)を測定し、その平均値として得た。
未反応物量は、得られた20質量%シリカ粒子分散液を、日立工機株式会社製 小型超遠心機CS150GXLを用いて、設定温度10℃、1,370,000rpm(1,000,000G)で30分遠心処理した際の上澄み中に存在する含珪素化合物(未反応物)を、株式会社島津製作所製 ICP発光分析装置ICPS−8100で測定したSiから求めたSiO2濃度で比較した。
サンプル5gを150℃で1時間乾燥させ、乾燥後の重量から、系中シリカ粒子濃度を算出した。
実施例1で製造したシリカ粒子を3.0質量%、ヒドロキシエチルセルロース(H E C)を175ppm、アンモニアを225ppm含有する研磨材(SA)を調製した。
研磨材(スラリー)の安定性は、〈研磨材(SA)の製造〉で調製された研磨材(SA)の白濁の有無で評価した。結果を表1に示す。
白濁しない :○
白濁する :×
研磨用基板(結晶構造が1.0.0である単結晶シリコンウェハー)を用い、研磨装置(ナノファクター(株)製 NF300)にセットし、研磨パッドSUBA600、基板加重15kPa、テーブル回転速度50rpm、スピンドル速度60rpmで、上記研磨材(SA)を250ml/分の速度で研磨用基板の研磨を10分間行った。その後、純水にて洗浄し風乾した。
スクラッチはほとんど認められない。 :○
スクラッチが僅かに認められる。 :△
スクラッチが広範囲に認められる。 :×
残存はほとんど認められない。 :○
残存が僅かに認められる。 :△
残存が広範囲に認められる。 :×
〈シリカ粒子分散液(SB)の製造、研磨材(SB)の製造〉
メタノール(液I)310.0gを50℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシランのメタノール溶液(液A)5703.8gと、アンモニア水(液B)1560.0gとを同時に30時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(SB)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図4に示す。
シリカ粒子分散液(SB)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(SB)を製造し、実施例1と同様に安定性試験及び研磨試験を行った。結果を表1に示す。
〈シリカ粒子分散液(SC)の製造、研磨材(SC)の製造〉
メタノール(液I)410gを40℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシラン(液A)976.3gと、アンモニア水(液B)1769.5gとを同時に10時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(SC)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図5に示す。
シリカ粒子分散液(SC)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(SC)を製造し、実施例1と同様に安定性試験及び研磨試験を行った。結果を表1に示す。
〈シリカ粒子分散液(SD)の製造、研磨材(SD)の製造〉
メタノール(液I)410gを40℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシランのメタノール溶液(液A)2206.3gと、アンモニア水(液B)565.33gとを同時に10時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(SD)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図6に示す。
シリカ粒子分散液(SD)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(SD)を製造し、実施例1と同様に安定性試験及び研磨試験を行った。結果を表1に示す。
〈シリカ粒子分散液(SE)の製造、研磨材(SE)の製造〉
メタノール(液I)410gを50℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシランのメタノール溶液(液A)388.1gと、アンモニア水(液B)116.1gとを同時に1時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(SE)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図7に示す。
シリカ粒子分散液(SE)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(SE)を製造し、実施例1と同様に安定性試験及び研磨試験を行った。結果を表1に示す。
〈シリカ粒子分散液(SF)の製造、研磨材(SF)の製造〉
メタノール(液I)410gを50℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシランのメタノール溶液(液A)2328.6gと、アンモニア水(液B)696.69gとを同時に6時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(SF)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図8に示す。
シリカ粒子分散液(SF)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(SF)を製造し、実施例1と同様に安定性試験及び研磨試験を行った。結果を表1に示す。
〈シリカ粒子分散液(RA)の製造、研磨材(RA)の製造〉
メタノール2268.0g、純水337.5g、29%アンモニア水94.5gからなる液Iを40℃に保持し、この液Iに対して、テトラメトキシシランのメタノール溶液(液A)2170.0を160分かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で1時間熟成した。溶媒を純水に置換し、20質量%シリカ粒子分散液(RA)を得た。詳細な処理条件、及び各種測定結果を表1に示す。また、触媒割合変化率及び水割合変化率の経時変化を図9に示す。
シリカ粒子分散液(RA)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RA)を製造し、実施例1と同様に安定性試験及び研磨試験を行った。結果を表1に示す。
シリカ粒子中の各金属元素量の含有量については、シリカ粒子をフッ酸で溶解し、加熱してフッ酸を除去した後、必要に応じて純水を加え、得られた溶液についてICP誘導結合プラズマ発光分光質量分析装置(例えば、株式会社島津製作所製 ICPM−8500)を用いて測定した。
Claims (6)
- 実質的に有機溶媒からなる液Iを容器に準備する工程と、
前記液Iに、シランアルコキシドを含有する液Aと、アルカリ触媒及び水を含有する液Bとを同時に添加して、シランアルコキシドを加水分解及び重縮合させてシリカ粒子を製造する工程と、
を含むことを特徴とするシリカ粒子分散液の製造方法。 - 前記液A及び前記液Bの添加を開始してから終了するまでの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対するアルカリ触媒のモル比の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10であり、
前記液A及び前記液Bの添加を開始してから終了するまでの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対する水のモル比の初期値に対する変化率が、0.90〜1.10である
ことを特徴とする請求項1記載のシリカ粒子分散液の製造方法。 - 前記液A及び前記液Bの添加を開始してから終了するまでの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対するアルカリ触媒のモル比が常時0.20以上であり、
前記液A及び前記液Bの添加を開始してから終了するまでの期間の反応系におけるシランアルコキシドに対する水のモル比が常時2.0以上である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシリカ粒子分散液の製造方法。 - 前記液A及び前記液Bの添加終了時の反応系のpHが11以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のシリカ粒子分散液の製造方法。
- 平均粒子径(d)が5〜300nmのシリカ粒子を含み、未反応物の含有量が200ppm以下であることを特徴とするシリカ粒子分散液。
- シリカ粒子中のU、Thの各々の含有量が0.3ppb未満であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの各々の含有量が0.1ppm未満、Cu、Ni、Crの各々の含有量が1ppb未満であることを特徴とする請求項5に記載のシリカ粒子分散液。
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