JP2014154707A - 研磨液、研磨方法及びシリコンウエハの製造方法 - Google Patents

研磨液、研磨方法及びシリコンウエハの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減することが可能な研磨液を提供する。
【解決手段】シリコンを含む被研磨物を研磨するための研磨液であって、砥粒と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤と、水と、を含み、pHが4.5以上8.0未満である、研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨液、研磨方法及びシリコンウエハの製造方法に関する。特に、本発明は、シリコン(Si:ケイ素)を含む被研磨物(例えば半導体基板)の表面加工に好適な研磨液、研磨方法及びシリコンウエハの製造方法に関する。
シリコンウエハ(シリコン基板)に代表される半導体基板は、一般的に、シリコン単結晶のインゴットを得て、前記インゴットをスライスすること(スライシング工程)により得られる。
シリコンウエハの製造工程は、一般的に、複数回の表面平坦化工程を含む。例えば、スライシングで発生する表面の凹凸の解消及び基板面内の厚みの均一化のためのラッピング工程、シリコンウエハ表面上の機械加工のダメージを取り除くためのエッチング工程、最終的に目的とする表面精度に仕上げるためのポリッシング工程(研磨工程)がある。
ポリッシング工程は、粗研磨と称される一次ポリッシング工程と、精密研磨と称されるファイナルポリッシング工程とに区分けされる場合がある。粗研磨や精密研磨は、場合によって、研磨パッド(研磨布)の硬さや研磨荷重の異なる複数のポリッシング工程に更に分けられる。
ポリッシング工程を複数のレベルに分けることで、加工時間の短縮化、効率化及び高品質化を達成しており、それぞれのポリッシング工程で目的が異なる。
粗研磨の段階では、ラッピング工程で発生した比較的大きめな凹凸の解消や、ダメージを受けた半導体基板部分の除去を目的としている。一方、ファイナルポリッシング工程では、半導体基板の欠陥の低減と表面の高度な平滑化が大きな目的である。
ファイナルポリッシング工程で用いられる研磨液(仕上げ用研磨液)には、半導体基板に対する研磨速度よりも、(1)結晶欠陥を発生させないこと、(2)基板上に残存する異物(砥粒、研磨パッドの磨耗によって発生するカス等)を残りづらくすること、(3)基板上に存在する凹凸を解消して平滑な鏡面を形成することが強く求められる。
結晶欠陥の代表例として、COP(Crystal Originated Particle)が挙げられる。COPは結晶成長時に導入される結晶欠陥の一つであり、研磨時やその後の洗浄時に、COPを核として基板表面にピットが形成される。
半導体基板の平滑度(粗さ)は、HAZE(ヘイズ(曇り))で判断される場合が多い。HAZEは、通常、ウエハ表面欠陥検査装置等を用いて測定が行われる。
シリコンを含む被研磨物を研磨するための研磨液としては、従来、種々の研磨液が提案されている。例えば、下記特許文献1には、コロイダルシリカ及びシリカゲルが、半導体デバイスの製造に最も頻繁に使用される半導体結晶表面の研磨剤として有用であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリカゲルの一次粒子の粒径が5〜200nmであることが記載されている。
下記特許文献2には、一次粒子の粒径が4〜200nm(好ましくは4〜100nm)のコロイダルシリカ及びシリカゲルのいずれかを水溶性アミンと組み合わせたものを研磨剤として使用することで、半導体基板、特にシリコンの半導体基板表面を効果的に研磨できることが記載されている。シリカゾル又はゲル中に存在するシリカに関するアミンの量は、0.5〜5.0質量%、好ましくは1.0〜5.0質量%、最も好ましくは2.0〜4.0質量%とされている。
下記特許文献3には、0.1〜5.0質量%(最も好ましくは2.0〜4.0質量%)の水溶性第四級アンモニウム塩又は第四級アンモニウム塩基を添加した水溶性シリカ組成物を使用することで、シリコンウエハの研磨速度が改良できることが示されている。
下記特許文献4には、シリコン又はゲルマニウム半導体材料を高度な表面仕上がり状態に研磨する方法が開示されている。下記特許文献4に記載の技術では、研磨液として、変性処理されたコロイダルシリカゾルを有し、シリカ濃度が約2〜50質量%であり、pHが11〜12.5である研磨液を使用する。そして、コロイド状シリカゾルの変性処理は、比表面積が約25〜600m/gであるシリカ粒子の表面を、化学的に結合したアルミニウム原子で、未被覆粒子表面上のシリコン原子100個あたりアルミニウム原子約1〜50個の表面被覆となるように被覆せしめたものである。一般的に、pHが11以上の領域では、研磨粒子であるシリカが解重合してアルカリケイ酸塩となりpHが低下するのに対して、特許文献4には、解重合を生じることなしに、pHが11以上の領域において、迅速に研磨できることが示されている。
下記特許文献5には、ピペラジン、又は、窒素に低級アルキル置換基がついたピペラジンと、水性コロイダルシリカゾル又はゲルとを含み、且つ、ピペラジンはゾルのシリカ(SiO)含有量に対して0.1〜5質量%含まれる研磨液が開示されている。また、下記特許文献5には、シリコンウエハ及びこれと同様の材料の研磨方法が開示されている。この特許文献5によれば、研磨液にピペラジンを含有させた場合、アミノエチルエタノールアミンを使用する場合と比べて、少量のコロイダルシリカで同等の研磨速度が得られるとされている。また、下記特許文献5には、強塩基性のピペラジンの系統は、pHの調整に必要とされる苛性アルカリの添加量を少量にできる、と記載されている。
下記特許文献6には、研磨材と、アゾール類及びその誘導体の少なくともいずれか一種と、水とを含有することを特徴とする研磨用組成物が開示されている。そして、下記特許文献6には、アゾール類及びその誘導体が研磨用組成物に添加されることによって、研磨用組成物の研磨能力が向上する、と記載されている。この理由として、複素五員環の窒素原子の非共有電子対が研磨対象物に直接作用することが指摘され、具体的にはイミダゾールを適用した実施例が開示されている。
また、下記特許文献7には、シリコンウエハの鏡面研磨において、HAZEレベルを低下させることなく、ウエハ表面に付着するパーティクルを低減させることができる、シリコンウエハ用の研磨用組成物が開示されている。特許文献7に開示されている研磨用組成物は、二酸化ケイ素、水、水溶性高分子化合物、塩基化合物、及び、アルコール性水酸基を1〜10個有する化合物を含有していることを特徴としている。
また、下記特許文献8には、HAZEレベルを更に改善することができる研磨用組成物及びそれを用いたシリコンウエハの研磨方法、並びに、リンス用組成物及びそれを用いたシリコンウエハのリンス方法が開示されている。特許文献8に開示されている研磨用組成物は、ヒドロキシエチルセルロース、0.005質量%を超えるとともに0.5質量%未満のポリエチレンオキサイド、アルカリ化合物、水及び二酸化ケイ素を含有する。そして、研磨用組成物は、シリコンウエハ表面に複数段階に分けて研磨を施すときに、シリコンウエハ表面のHAZEレベルを改善する目的で行われる研磨工程に用いられるように構成されている。リンス用組成物は、ビドロキシエチルセルロース、0.005質量%を超えるとともに0.5質量%未満のポリエチレンオキサイド、アルカリ化合物、水を含有し、前記研磨工程後のシリコンウエハ表面に施されるリンスに用いられるように構成されている。
また、下記特許文献9では、シリコンウエハに対する研磨速度を向上させるとともにCOP及びHAZEレベルを改善することができる研磨用組成物が開示されている。特許文献9に開示されている研磨用組成物は、ブロック型ポリエーテル、二酸化ケイ素、塩基性化合物、ヒドロキシエチルセルロース及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも一種並びに水の各成分を含有していることを特徴としている。
米国特許第3170273号明細書 米国特許第4169337号明細書 米国特許第4462188号明細書 特公昭57−58775号公報 特開昭62−30333号公報 特開2006−80302号公報 特開平11−116942号公報 特開2004−128089号公報 特開2005−85858号公報
上記のように、半導体基板のポリッシング工程で使用される研磨液では、砥粒とアルカリ剤を基にして、研磨速度を高めるため、砥粒残りを低減するため、結晶欠陥を低減するために塩や水溶性高分子が更に添加されるが、いずれもアルカリ領域にて使用されている。これはアルカリのケミカルな作用で研磨が行われるためである。
一方で、上記のような研磨液は、アルカリ領域であることからアルカリ剤のエッチング作用によりCOPを拡大させたり、増加させたりするという問題点がある。
本発明の目的は、シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減することが可能な研磨液、当該研磨液を用いた研磨方法及びシリコンウエハの製造方法を提供することである。
本発明者らは、砥粒と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤と、水とを含み且つpHが4.5以上8.0未満である研磨液を使用することで、シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ、アルカリ剤のエッチングに起因して発生する欠陥を低減できるため、優れた研磨表面が形成可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明に係る研磨液は、シリコンを含む被研磨物を研磨するための研磨液であって、砥粒と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤と、水と、を含み、pHが4.5以上8.0未満である。本発明に係る研磨液によれば、シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減できるため、優れた研磨表面が形成できる。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。この場合、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減しやすくなる。
Figure 2014154707

[式(I)中、Rは各々独立に水素原子、メチル基又はヒドロキシプロピル基を示し、前記Rのうちの少なくとも一つがメチル基であり、前記Rのうちの少なくとも一つがヒドロキシプロピル基であり、nは1以上の整数である。]
砥粒の含有量は、研磨液全質量基準で0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。この場合、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減しやすくなる。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、研磨液全質量基準で0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。この場合、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減しやすくなる。
界面活性剤の含有量は、研磨液全質量基準で0.001質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。この場合、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減しやすくなる。
界面活性剤は、カチオン性界面活性剤であることが好ましい。この場合、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減しやすくなる。
前記砥粒は、研磨液中において負のゼータ電位を有することが好ましい。これにより、砥粒の凝集を抑制し、欠陥数をより効率的に低減できる。同様の観点で、前記砥粒は、研磨液中において−40.0mV〜−3.0mVのゼータ電位を有することが好ましい。
本発明に係る研磨液は、シリコンを含む被研磨面を有するウエハを準備する第1工程と、前記ウエハの被研磨面をラッピングする第2工程と、当該第2工程後のウエハの被研磨面をエッチングする第3工程と、当該第3工程後のウエハの被研磨面を研磨する第4工程と、当該第4工程後のウエハの被研磨面を研磨する第5工程とを備えるシリコンウエハの製造方法における前記第5工程に用いられてもよい。
本発明に係る研磨方法は、本発明に係る研磨液を用いて、シリコンを含む被研磨物を研磨する。このような研磨方法によれば、シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減することができる。
本発明に係るシリコンウエハの製造方法は、シリコンを含む被研磨面を有するウエハを準備する第1工程と、前記ウエハの被研磨面をラッピングする第2工程と、当該第2工程後のウエハの被研磨面をエッチングする第3工程と、当該第3工程後のウエハの被研磨面を研磨する第4工程と、本発明に係る研磨液を用いて、前記第4工程後のウエハの被研磨面を研磨する第5工程と、を備える。このようなシリコンウエハの製造方法によれば、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減することが可能であり、優れた研磨表面を有するシリコンウエハを得ることができる。
本発明によれば、シリコンを含む被研磨物(例えば半導体基板)の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減することが可能な研磨液、当該研磨液を用いた研磨方法及びシリコンウエハの製造方法を提供することができる。特に、本発明によれば、シリコンを含む被研磨物の仕上げ研磨(ファイナルポリッシング)において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ欠陥を低減することが可能な研磨液、当該研磨液を用いた研磨方法及びシリコンウエハの製造方法を提供することができる。本発明によれば、シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ、被研磨物自体(例えばウエハ自体)の欠陥を低減し、優れた研磨表面を形成することができる。
本発明の一実施形態に係る研磨剤をシリコンウエハの再生プロセスに用いた場合の使用方法を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る研磨剤をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を示す断面模式図である。 pHと、HAZE値及び欠陥数との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態にかかる研磨液、当該研磨液を用いた研磨方法及びシリコンウエハの製造方法について詳細に説明する。
<研磨液>
本実施形態に係る研磨液は、シリコンを含む被研磨物を研磨するための研磨液であって、砥粒(研磨粒子)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤と、水と、を含む。本実施形態に係る研磨液のpHは、4.5以上8.0未満である。
本実施形態に係る研磨液では、研磨液が、砥粒と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤と、水とを含み、研磨液のpHが4.5以上8.0未満であることにより、シリコンを含む被研磨物の研磨において、平滑性の低下や異物の増加を抑制しつつ、アルカリ剤のエッチングに起因して発生する欠陥を低減できるため、優れた研磨表面を形成することができる。
これに対し、砥粒及び界面活性剤を含むもののヒドロキシプロピルメチルセルロースを含まない研磨液では、実用的なHAZEを得ることはできない。HAZE向上のためには、砥粒と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤とを併用した上で研磨液のpHが4.5以上8.0未満であることが重要である。
(pH)
本実施形態では、アルカリ剤によるエッチングに起因する欠陥を低減するために、研磨液のpH(25℃)の上限は8.0未満である。欠陥を更に低減できる点では、研磨液のpHは、7.8以下であることが好ましく、7.5以下であることがより好ましい。一方、異物の付着、特に砥粒の付着に関してはpHが低くなるほど被研磨物(例えば半導体基板)の電位が小さくなることから、静電反発による付着低減効果を得ることが困難となる。また、pHが4.5以上であると、砥粒自体のゼータ電位が負になる傾向(ゼータ電位がゼロにならず且つ正にならない傾向)がある。これにより、砥粒の凝集及び凝集した砥粒のシリコンウエハ表面への吸着を抑制できる傾向があり、結果として欠陥数をより低減できる傾向がある。このような観点から、研磨液のpH(25℃)の下限は、4.5以上であり、5.2以上であることが好ましく、5.8以上であることがより好ましい。
研磨液のpHは、例えば、酸性化合物及び/又は塩基性化合物の添加量で調整することができる。なお、研磨液のpHは、pHメータ(東亜ディーケーケー株式会社製の型番HM−21P)で測定することができる。
(砥粒)
本実施形態に係る研磨液に含まれる砥粒としては、シリカが好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。また、砥粒として複数種を必要に応じて併用してもよく、例えば、コロイダルシリカと他の砥粒と併用してもよい。コロイダルシリカと併用できる他の砥粒としては、具体的には例えば、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、有機ポリマ等を含む砥粒を挙げることができる。
前記砥粒は、前記研磨液中において負のゼータ電位を有することが好ましい。シリコンウエハ表面は負の電荷を帯びているため、負のゼータ電位を有する砥粒を用いることで静電的な反発により、砥粒がシリコンウエハ表面に直接付着することを抑制できる。その結果、砥粒の付着による欠陥数や傷等を抑制できる傾向がある。
研磨液中における砥粒のゼータ電位は、砥粒の凝集を抑制し、欠陥数をより効率的に低減する観点から、−40.0mV〜−3.0mVが好ましく、−35.0mV〜−5.0mVがより好ましく、−30.0mV〜−7.0mVが更に好ましい。ここで、砥粒のゼータ電位は、例えば、電気泳動法、超音波振動法の手段により測定することができる。具体的な測定機器としては、DelsaTMNano C(ベックマン・コールター社)等を使用することができる。
砥粒(例えばコロイダルシリカ)の一次粒子径は、実用的な研磨速度が得られやすくなる点で、15nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましい。また、砥粒(例えばコロイダルシリカ)の一次粒子径は、傷等の研磨欠陥の発生を抑制しやすくなる点で、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。砥粒の一次粒子径を上記の範囲内とした場合、研磨の進行によりHAZEが向上しやすくなるとともに、粒子起因の欠陥の増加を抑制しやすくなる。
本実施形態において、砥粒の一次粒子径とは、BET比表面積Vから算出できる直径をいう。砥粒の一次粒子径の算出では、まず、砥粒(例えばコロイダルシリカ)を真空凍結乾燥機で乾燥し、この残分を乳鉢で細かく砕いて測定用試料を得る。ユアサアイオニクス株式会社製BET比表面積測定装置(製品名:オートソーブ6)を用いて、測定用試料のBET比表面積V(単位:m/g)を測定し、D=2727/Vとして求められる値D(単位:nm)を砥粒の一次粒子径とする。
本実施形態に係る研磨液において砥粒(例えばコロイダルシリカ)は主研磨剤として作用する。砥粒の含有量は、0.01質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下が更に好ましい。砥粒の含有量が0.01質量%より少ない場合には、充分な研磨速度を得ることが難しくなる傾向があり、また、HAZEを改善する効果が得られづらくなる傾向がある。一方、砥粒の含有量を1.0質量%より多くしても、含有量に見合う研磨速度が得られないだけでなく、欠陥やHAZEの改善効果が得られづらくなる傾向があり、また、分散性の低下という不具合が発生する傾向がある。
(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
本実施形態に係る研磨液は、水溶性高分子としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、場合により「HPMC」という)を含む。HPMCは、メチルセルロースにヒドロキシプロピル基を導入したセルロースエーテルである。なお、HPMCは、1種を単独で用いてもよく、分子量や粘度の異なる複数種を混合して用いてもよい。
HPMCには、砥粒や研磨パッド屑等の異物が被研磨物の表面(例えばシリコンウエハ表面)に固着することを防止する働きがあると考えられる。また、HPMCには、被研磨面(例えばシリコンウエハ表面)の親水化に寄与し、付着してしまった砥粒や研磨パッド屑等の異物が洗浄時に取れやすくする働きがあると考えられる。これらの働きは、HPMCが被研磨物の被研磨面に付着することで得られると考えている。すなわち、被研磨物の被研磨面(例えばシリコンウエハ表面)にHPMCが付着することで、HPMCの上に付着した異物は洗浄時にHPMCとともに被研磨物から除去される。また、被研磨物の被研磨面に直接付着してしまった異物は、HPMCで被覆されることで乾燥固着が防止され、同様に洗浄によってHPMCとともに被研磨物から除去されると考えられる。
HPMCは、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014154707

[式(I)中、Rは各々独立に水素原子、メチル基又はヒドロキシプロピル基を示し、前記Rのうちの少なくとも一つがメチル基であり、前記Rのうちの少なくとも一つがヒドロキシプロピル基であり、nは1以上の整数である。]
式(I)中、nは、シリコンを含む被研磨物(例えばシリコンウエハ)の表面の平滑性を更に向上させる観点から、300以上が好ましく、500以上がより好ましい。nは、研磨液の分散性を向上させる観点から、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2000以下が特に好ましい。
HPMCにおいて、メトキシル基で置換された水酸基の平均個数は、シリコンウエハ表面の親水性を向上させる観点から、グルコース環単位当たり、1.0個以上が好ましく、1.4個以上がより好ましい。メトキシル基で置換された水酸基の平均個数は、シリコンウエハ表面の親水性を向上させる観点から、グルコース環単位当たり、2.3個以下が好ましく、1.9個以下がより好ましい。
HPMCにおいて、ヒドロキシプロピル基の置換モル数は、シリコンウエハ表面の親水性及び水への溶けやすさなどの観点から、グルコース環単位当たり、0.10以上が好ましく、0.15以上がより好ましい。ヒドロキシプロピル基の置換モル数は、シリコンウエハ表面の親水性及び水への溶けやすさなどの観点から、グルコース環単位当たり、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。
HPMCの重量平均分子量は、シリコンを含む被研磨物(例えばシリコンウエハ)の表面の平滑性を更に向上させる観点から、60000以上が好ましく、100000以上がより好ましい。HPMCの重量平均分子量は、研磨液の分散性を向上させる観点から、1000000以下が好ましく、600000以下がより好ましく、400000以下が更に好ましい。HPMCの重量平均分子量は、例えばGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
HPMCの粘度(20℃)は、シリコンを含む被研磨物(例えばシリコンウエハ)の表面の平滑性を更に向上させる観点から、50mPa・s以上が好ましく、80mPa・s以上がより好ましい。HPMCの粘度は、研磨液の分散性を向上させる観点から、20000mPa・s以下が好ましく、15000mPa・s以下がより好ましく、10000mPa・s以下が更に好ましく、5000mPa・s以下が特に好ましい。HPMCの粘度は、例えば、ウベローデ粘度計と呼ばれる装置を用いることで求めることができる。すなわち、適切な量の試料を粘度計内に入れ,測時球内の試料が細管を通って流下する時間を測定することにより測定することができる。
HPMCの含有量は、研磨液全質量基準で0.001質量%以上1.0質量%以下の範囲が好ましく、0.001質量%以上0.5質量%以下の範囲がより好ましく、0.003質量%以上0.4質量%以下の範囲が更に好ましく、0.005質量%以上0.3質量%以下の範囲が特に好ましい。HPMCの含有量が0.001質量%より少ないと、異物が被研磨面(例えばウエハ表面)に固着することを防止する効果が充分得られづらくなる傾向があり、また、被研磨面(例えばウエハ表面)が充分に親水化されない傾向がある。一方、HPMCの含有量が1.0質量%より多い場合には、高粘度化のため流動性の低下や、砥粒の凝集といった不具合が発生する傾向がある。
(界面活性剤)
本実施形態に係る研磨液は、界面活性剤を含む。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性置換基を有するアニオン性界面活性剤、カチオン性置換基を有するカチオン性界面活性剤、アニオン性置換基及びカチオン性置換基を有する両性界面活性剤等が挙げられる。
中でも、界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤が好ましい。シリコンウエハ表面の電荷は負であるため、HPMC等の添加剤で保護されたシリコンウエハ表面にカチオン性界面活性剤を介してコロイダルシリカが引き寄せられることにより、研磨速度の向上にも寄与するものと考えられる。すなわち、カチオン性界面活性剤は研磨液系中において、親水化効果とシリコンの研磨速度向上に寄与していると考えられる。
また、界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を用いる場合、前記砥粒のゼータ電位は負であることが好ましい。すなわち、前記研磨液中において負のゼータ電位を有する砥粒と、カチオン性界面活性剤とを併用することが好ましい。これは、カチオン性界面活性剤が砥粒の表面に吸着しやすくなり、界面活性剤の添加効果がより効率的に得られるからである。
カチオン性界面活性剤としては、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。界面活性剤としては、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
界面活性剤とHPMCとを共存させることにより、被研磨物(例えばシリコンウエハ)の親水化効果が向上すると考えられる。被研磨物の被研磨面(例えばシリコンウエハ表面)が親水化されることにより、被研磨物の被研磨面に異物が付着しにくくなり、結果として被研磨物上の欠陥数が少なくなるものと考えられる。
界面活性剤の含有量は、研磨液全質量基準で0.001質量%以上0.5質量%以下の範囲が好ましく、0.003質量%以上0.3質量%以下の範囲がより好ましく、0.005質量%以上0.2質量%以下の範囲が更に好ましい。界面活性剤の含有量が0.001質量%より少ないと、被研磨物の被研磨面(例えばウエハ表面)が充分に親水化されづらくなる傾向があり、また、研磨速度が低下しやすくなる傾向がある。一方、界面活性剤の含有量が0.5質量%より多い場合には、含有量に見合う研磨速度が得られづらくなる傾向があるだけでなく、砥粒が凝集するといった不具合が生じる傾向がある。
(pH調整剤)
研磨液のpHを所望の値に調整するためにpH調整剤を使用してもよい。pH調整剤としては、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。使用されるpH調整剤は、無機酸又は有機酸であってもよい。
pH調整剤として使用できる無機酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸等が挙げられる。中でも、塩酸、硝酸及びリン酸が好ましい。
pH調整剤として使用できる有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、n−ヘキサン、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸等が挙げられる。中でも、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸及びリンゴ酸のようなジカルボン酸、並びに、クエン酸のようなトリカルボン酸が好ましい。
(その他の成分)
本実施形態では、上述した成分の他に、水以外の溶媒、防食剤、酸化剤等、一般に研磨液に添加される成分を、上述した研磨液の作用効果を損なわない範囲で研磨液に添加することができる。
(保存形態)
本実施形態に係る研磨液は、その成分濃度を予め高くした濃縮形態として保存できる。研磨液の使用時には、濃縮形態にある研磨液を、水等で本来の成分濃度まで希釈して使用すればよい。更に、研磨液の成分をいくつかに分けた分液形態として保存し、それらを使用時に混合して使用することもできる。
本実施形態に係る研磨液は、シリコンを含む被研磨物に対する研磨速度よりも、被研磨物上の欠陥を発生しづらくすること、被研磨物上に残存する異物(砥粒、研磨パッドの摩耗による発生するカス等)を残りづらくすること、被研磨物の被研磨面を平滑にすることに重点を置いた研磨液である。
<研磨方法、シリコンウエハの製造方法>
本実施形態に係る研磨方法では、本実施形態に係る研磨液を用いて、シリコンを含む被研磨物の被研磨面を研磨する。本実施形態では、半導体基板の研磨方法として、シリコンを含む半導体基板の被研磨面を研磨してもよい。
本実施形態に係る研磨方法では、研磨定盤の研磨パッド上に研磨液を供給して、被研磨物(例えば半導体基板)の被研磨面を研磨パッドに押圧した状態で、研磨定盤と被研磨物を相対的に動かして被研磨面を研磨することが好ましい。このような研磨方法を用いた場合に、本実施形態に係る研磨液の研磨特性が顕著となる。
本実施形態に係る研磨液は、シリコンを含む被研磨物を研磨する場合に優れた研磨特性を有する。特に、本実施形態に係る研磨液は、シリコンを含む半導体基板を研磨する場合に優れた研磨特性を有し、シリコン基板、又は、基板構成にシリコンを含む基板を研磨した場合に優れた研磨特性を有する。
また、本実施形態に係る研磨液は、シリコンウエハの製造工程における仕上げ研磨用途に特に適している。本実施形態に係るシリコンウエハの製造方法は、例えば、シリコンを含むインゴット(例えば、シリコン単結晶のインゴット)を準備する工程と、インゴットをスライスする等して、シリコンを含む被研磨面を有するウエハを準備するスライシング工程(第1工程)と、ウエハの被研磨面をラッピングするラッピング工程(第2工程)と、ラッピング工程後のウエハの被研磨面をエッチングするエッチング工程(第3工程)と、エッチング工程後のウエハの被研磨面を粗研磨する粗研磨工程(第4工程)と、本実施形態に係る研磨液を用いて、粗研磨工程後のウエハの被研磨面を研磨(精密研磨)してシリコンウエハを得る仕上げ研磨工程(第5工程)と、を備える。本実施形態に係る研磨液は、このようなシリコンウエハの製造方法における仕上げ研磨工程において好適に用いられる。
また、本実施形態に係る研磨液は、再生ウエハを得る工程における仕上げ研磨にも適用することができる。以下、再生ウエハを研磨する方法について説明する。
一般に、シリコンウエハから半導体デバイスを製造する各要素工程において、プロセステストのため、多数のウエハがテストウエハとして使用される。このようなテストウエハとしては、平坦なシリコンウエハ上に絶縁膜や金属膜等の各種膜を成膜したものが挙げられる。これらのテストウエハを製造する目的は、シリコンウエハ上に各種の膜を成膜するための最適条件を調べる場合、シリコンウエハ上にレジスト膜を塗布・露光する際の最適条件を調べる場合、定期的に前記各最適条件についてモニタリングする場合、シリコンウエハ上に成膜された各種の膜に対する研磨液の研磨特性を評価する場合等、多岐にわたっている。
これらのテストウエハは、再度テストウエハとして利用するために、再生処理が行われる。再生処理としては、一般的に、前記各種膜等の付着物をウエットエッチングにより除去し、粗研磨及び仕上げ研磨工程を経て、再度平坦なウエハを得る。また、前記テストウエハは、再生工程にまわされるまでに大きな傷がついてしまったり、評価の際に凹凸を形成したりする場合がある。この場合には、傷や凹凸を研削加工により除去し、これを粗研磨及び仕上げ研磨することによって、再度平坦なウエハが得られるのが一般的である。
本実施形態に係る研磨液は、再生ウエハを得る工程における仕上げ研磨に適用することができる。本実施形態に係る再生ウエハの製造方法は、(1)膜が形成されたウエハ(例えばシリコンウエハ)の前記膜をウエットエッチングにより除去して粗ウエハを得る工程と、(2)前記粗ウエハを粗研磨する工程と、(3)本実施形態に係る研磨液を用いて、粗研磨されたウエハを仕上げ研磨する工程(例えば図1参照。図1は、研磨剤をシリコンウエハの再生プロセスに用いた場合の使用方法を示す断面模式図である。図1において1はシリコンウエハを示す。)と、を備える。
前記膜が形成されたウエハのウエハ表面に凹凸や傷がある場合は、前記粗ウエハを研磨する工程の前に機械的な研削工程を更に備えることが好ましい。
また、シリコン貫通ビア(TSV)裏面研磨方法において、最終段階に仕上げ研磨を適用する場合にも、本実施形態に係る研磨液を適用することができる。TSVと呼ばれる構造は、半導体基板の表層に形成されたデバイスと半導体基板の裏面とを接続する電極が半導体基板内部を貫通するように形成されている構造である。TSVを形成する工程としては、半導体基板にビアを形成し、ビアを形成した面の裏面を研削(バックグラインド)して、ビアを貫通させる工程(例えば図2参照。図2は、研磨剤をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を示す断面模式図である。図2において、1はシリコンウエハ、2は素子、3は銅、4はバンプをそれぞれ示す。)が一般的になると考えられている。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[半導体用研磨液の調製(実施例1〜6)]
砥粒、水溶性高分子、界面活性剤及びpH調整剤を以下の手順に従って、表1に示す添加量で配合し、実施例1〜6の各半導体用研磨液を調製した。水溶性高分子としては、セルロースのグルコース環単位当たり、メトキシル基で置換された水酸基の平均個数が1.4〜1.9個であり、且つ、セルロースのグルコース環単位当たりに付加したヒドロキシプロピル基の置換モル数が0.15〜0.25であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた。また、当該水溶性高分子の式(1)におけるnは1500であり、重量平均分子量は300000であり、粘度(20℃)は500mPa・sであった。
各研磨液の調製では、まず、研磨液全体の80質量%に相当する純水に水溶性高分子を溶解させた。溶解したことを確認し、カチオン性界面活性剤を添加した。次に、一次粒子径が35nmのコロイダルシリカを分散させた後、純水で計95質量%になるように配合した。そして、所望のpHになるまでpH調整剤を添加し(実施例6を除く)、残部を純水で計100質量%になるように配合した。なお、pHを調整するためのpH調整剤としてクエン酸を用いた。
[半導体用研磨液の調製(比較例1〜8)]
砥粒、水溶性高分子、界面活性剤及びpH調整剤を以下の手順に従って、表2に示す添加量で配合し、比較例1〜8の各半導体用研磨液を調製した。なお、水溶性高分子としては、実施例1〜6と同様のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた。
比較例1、3、4、6〜8の研磨液の調製では、まず、研磨液全体の80質量%に相当する純水に水溶性高分子を溶解させた。比較例2、5の研磨液の調製では、まず、研磨液全体の80質量%に相当する純水を準備した。そして、比較例2〜4、6〜8の研磨液の調製では、カチオン性界面活性剤を添加した。次に、一次粒子径が35nmのコロイダルシリカを分散させた後、純水で計95質量%になるように配合した。そして、所望のpHになるまでpH調整剤を添加し、残部を純水で計100質量%になるように配合した。なお、pHを調整するためのpH調整剤としてクエン酸、酢酸を用いた。
[粗研磨半導体基板の調製]
直径300mmのシリコンウエハを下記条件で研磨し、表面をあらした(粗研磨状態の)シリコンウエハを調製した。
研磨ウエハ:直径300mmシリコンウエハ
研磨機:Reflexion (アプライドマテリアルズ社製)
研磨定盤回転数:123rpm
ホルダー回転数:117rpm
研磨圧力:13.7kPa
研磨液供給量:250ml/分
研磨パッド:SUBA600(ニッタ・ハース製)
研磨液:シリカ砥粒(一次粒子径17nm)0.5%、水酸化テトラメチルアンモニウム、pH10.5
研磨時間:90秒
[半導体基板の仕上げ研磨]
研磨定盤の研磨パッド上に、配合直後の実施例1の研磨液を供給して、半導体基板を研磨パッドに押圧した状態で、半導体基板に対して研磨定盤を相対的に回転させることにより、半導体基板の表面を研磨した。また、実施例1と同様の方法で、配合直後の実施例2〜6及び比較例1〜8の各研磨液のそれぞれを用いて半導体基板を研磨(仕上げ研磨)した。研磨条件の詳細は以下の通りである。
(研磨条件)
研磨ウエハ:前記で調製した粗研磨後の直径300mmシリコンウエハ
研磨機:Reflexion (アプライドマテリアルズ社製)
研磨定盤回転数:63rpm
ホルダー回転数:57rpm
研磨圧力:9.7kPa
研磨液供給量:250ml/分
研磨パッド:Supreme RN−H Pad 30.5”D PJ;CX01 (ニッタ・ハース製)
研磨時間:3分
[洗浄]
前記研磨後のシリコンウエハを下記条件で洗浄した。
洗浄機:MESA (アプライドマテリアルズ社製)
洗浄液:水酸化アンモニウム0.06体積%+過酸化水素0.12体積%
ブラシ洗浄時間:60秒
[欠陥数及びHAZE値の測定]
前記洗浄後のシリコンウエハについて、下記の装置を用いて、欠陥数及びHAZE値として表示される値を測定した。なお、「欠陥数」は、ウエハ表面の結晶欠陥、及び、付着した異物の総数の指標であり、「HAZE値」は、ウエハ表面の平滑性の指標である。
欠陥検査装置:LS6700(日立電子エンジニアリング製)
工程条件ファイル(測定レシピ):VEM10L、OBL10L
欠陥測定範囲:0.1μm−3.0μm
投光条件:垂直、斜方
実施例及び比較例における半導体用研磨液のpH(25℃)の測定結果、及び、欠陥数及びHAZE値の評価結果等を表1及び表2に示す。
Figure 2014154707
Figure 2014154707
なお、表中の略号の意味は下記のとおりである。
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
PTAC:フェニルトリメチルアンモニウムクロリド
CMC:カルボキシメチルセルロース
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
実施例1〜6から、砥粒とHPMCと界面活性剤とを含み、pHが4.5以上8.0未満である研磨液を用いることにより、欠陥数が少なく且つHAZE値が小さくなることが分かる。
また、pHを変えた以外は同一条件である実施例2、4及び5並びに比較例3、4及び6を対比すると、pHが4.5以上8.0未満である研磨液を用いることで、欠陥数が少なく且つHAZE値が小さくなることが分かる(図3参照)。
一方、比較例1は、砥粒及びHPMCを含むものの界面活性剤を含まないものである。界面活性剤を含まないため、ウエハ表面の親水性が低下し、砥粒や異物がウエハ表面に付着しやすくなり、結果として欠陥数が増加したと考えられる。
比較例2は、砥粒及び界面活性剤を含むもののHPMCを含まないものである。HPMCを含まないため、ウエハ表面が充分に保護されず、平滑化されないだけでなく、ウエハ表面が親水化されない。よって、欠陥数は測定限界以上、HAZE値も測定限界以上となってしまう。
比較例3、4では、砥粒と界面活性剤とHPMCとを含むもののpHが3.0、4.0である。酸性領域であることからエッチングで発生する結晶欠陥は減少すると考えられるが、砥粒や異物が静電的に付着しやすくなり、結果として欠陥が増加したと考えられる。
比較例5は、砥粒のみを含む研磨液を用いて研磨した結果である。この場合、界面活性剤及びHPMCが含有されていないため、欠陥数及びHAZE値が測定限界以上となっている。
比較例6は、砥粒と界面活性剤とHPMCとを含むもののpHが8.5である。アルカリ領域であることからアルカリ剤のエッチング作用によりCOPを拡大させ、欠陥数及びHAZE値が増加したと考えられる。
比較例7、8は、砥粒と界面活性剤を含むものの水溶性高分子がHPMCではなく、CMC又はHPCを添加したものである。CMCやHPCでは充分にウエハ表面が親水化されないため、欠陥数及びHAZEの値が増加したと考えられる。

Claims (11)

  1. シリコンを含む被研磨物を研磨するための研磨液であって、
    砥粒と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、界面活性剤と、水と、を含み、
    pHが4.5以上8.0未満である、研磨液。
  2. 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1に記載の研磨液。
    Figure 2014154707

    [式(I)中、Rは各々独立に水素原子、メチル基又はヒドロキシプロピル基を示し、前記Rのうちの少なくとも一つがメチル基であり、前記Rのうちの少なくとも一つがヒドロキシプロピル基であり、nは1以上の整数である。]
  3. 前記砥粒の含有量が研磨液全質量基準で0.01質量%以上1.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の研磨液。
  4. 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が研磨液全質量基準で0.001質量%以上1.0質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液。
  5. 前記界面活性剤の含有量が研磨液全質量基準で0.001質量%以上0.5質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨液。
  6. 前記界面活性剤がカチオン性界面活性剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨液。
  7. 前記砥粒が研磨液中において負のゼータ電位を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨液。
  8. 前記砥粒が研磨液中において−40.0mV〜−3.0mVのゼータ電位を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨液。
  9. シリコンを含む被研磨面を有するウエハを準備する第1工程と、前記ウエハの前記被研磨面をラッピングする第2工程と、当該第2工程後のウエハの前記被研磨面をエッチングする第3工程と、当該第3工程後のウエハの前記被研磨面を研磨する第4工程と、当該第4工程後のウエハの前記被研磨面を研磨する第5工程とを備えるシリコンウエハの製造方法における前記第5工程に用いられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨液。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨液を用いて、シリコンを含む被研磨物を研磨する、研磨方法。
  11. シリコンを含む被研磨面を有するウエハを準備する第1工程と、
    前記ウエハの前記被研磨面をラッピングする第2工程と、
    当該第2工程後のウエハの前記被研磨面をエッチングする第3工程と、
    当該第3工程後のウエハの前記被研磨面を研磨する第4工程と、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨液を用いて、前記第4工程後のウエハの前記被研磨面を研磨する第5工程と、を備える、シリコンウエハの製造方法。
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