JP2010057474A - フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、およびその利用法 - Google Patents

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Abstract

【課題】糖化タンパク質(特に糖化ヘモグロビン)測定に有用なフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを新たに創出し、当該酵素の代表的利用例として、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤、糖化タンパク質の測定方法、糖化タンパク質測定用試薬組成物、糖化タンパク質測定キット、および糖化タンパク質(糖化ヘモグロビン)センサー等を提供する。
【解決手段】本発明のタンパク質は、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)に由来するフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼのカルボキシル末端領域の34または39アミノ酸残基が欠失されてなる。本発明のタンパク質は、野生型のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼに比して、基質へのオキシダーゼ活性を保持したまま熱安定性が向上している。
【選択図】図1

Description

本発明は、糖化タンパク質(特に糖化ヘモグロビン)の測定に有用なフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、およびその利用法に関する。
糖尿病患者の血糖コントロールマーカーとして、血液タンパク質に含まれる糖化タンパク質であるヘモグロビンA1c(HbA1c)、グリコアルブミンの測定が重用されている。糖化タンパク質は、血液中に存在するD−グルコースと、血液タンパク質を構成するアミノ酸残基とが反応して生成する。血液タンパク質の主な糖化部位は、リジン残基のε−アミノ基および血液タンパク質のアミノ末端アミノ酸のα−アミノ基である。HbA1cを測定する場合、D−グルコースがヘモグロビンβ鎖のアミノ末端アミノ酸であるバリンのα−アミノ基に結合して生じた糖化タンパク質の量を測定する。
近年、血液中の糖化タンパク質を簡便かつ短時間で測定できる酵素的測定法が開発され、既に商品化された。酵素的測定法を利用することにより、糖化タンパク質をハイスループットに測定することが可能となり、臨床検査分野で役立てられている。酵素法は、まず、プロテアーゼで糖化タンパク質を加水分解し、次に生じたフルクトシルバリン、フルクトシルリジン、およびフルクトシルバリルヒスチジンなどの糖化アミノ酸をフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(以下、「FAOD」という)で酸化的加水分解する。最後に、オキシダーゼ反応により生じた過酸化水素をペルオキシダーゼ−色原体反応システムにより比色定量する(特許文献1〜11参照)。
酵素法による糖化タンパク質の測定では、主反応酵素であるFAODの基質特異性が重要な要素となる。例えば、HbA1cの測定においては、フルクトシルバリンに対する特異性の高い酵素が望まれている。また、糖化ヘモグロビンのβ鎖に特異的な測定を行うためには、フルクトシルバリルヒスチジンに作用する酵素が望まれている。これは、ヘモグロビンα鎖およびβ鎖のアミノ末端アミノ酸が共にバリンであることから、β鎖に特異的な測定を行うためには、アミノ末端アミノ酸2残基(すなわち、フルクトシルバリルヒスチジン)の認識が必要であるためである(特許文献12、特許文献13参照)。
これまでに、フルクトシルバリルヒスチジンに作用するオキシダーゼは、数種の糸状菌、またはその遺伝子組換え体より抽出、精製されている。また、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼをコードする遺伝子も単離されている(特許文献14、非特許文献1、非特許文献2参照)。
しかしながら、フルクトシルバリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼの多くは、より大きな基質であるフルクトシルバリルヒスチジンには実質的に作用しないため、フルクトシルバリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを得るためには多大な労力、時間、コストをかけてスクリーニングする必要があった。
特開2004−129531号公報(公開日:平成16年4月30日(2004.4.30)) 特開2004−113014号公報(公開日:平成16年4月15日(2004.4.15)) 国際公開第2003/064683号パンフレット(国際公開日:2003年8月7日(2003.8.7)) 特開2007−181466号公報(公開日:平成19年7月19日(2007.7.19)) 特開2007−289202号公報(公開日:平成19年11月8日(2007.11.8)) 特開2005−110657号公報(公開日:平成17年4月28日(2005.4.28)) 特許第4045322号公報(発行日:平成20年2月13日(2008.2.13)) 特許第4014088号公報(発行日:平成19年9月21日(2007.9.21)) 特許第4039664号公報(発行日:平成20年1月30日(2008.1.30)) 特許第4010474号公報(発行日:平成19年11月21日(2007.11.21)) 特許第3971702号公報(発行日:平成19年9月5日(2007.9.5)) 国際公開2005/049857号パンフレット(国際公開日:2005年6月2日(2005.6.2)) 国際公開2005/049858号パンフレット(国際公開日:2005年6月2日(2005.6.2)) 特開2003−235585号公報(公開日:平成15年8月26日(2003.8.26)) Arch. Microbiol., 180: 227-231 (2003) Biochem. Biophys. Res. Commun., 311: 104-111 (2003)
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、糖化タンパク質、特に糖化ヘモグロビンの測定に有用なフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼを新たに創出し、当該酵素を利用した糖化タンパク質(糖化ヘモグロビン)の測定方法、および糖化タンパク質(糖化ヘモグロビン)測定用試薬組成物、糖化タンパク質(糖化ヘモグロビン)測定キット、糖化タンパク質(糖化ヘモグロビン)センサーを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、微生物ゲノムデータベースに存在する機能未知のFAOD相同遺伝子のうち、クリプトコッカス症起因菌であるクリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)に由来する遺伝子産物が、フルクトシルバリルヒスチジンに作用するFAODであることを見出した。上記FAODのアミノ酸配列を配列番号1に示す。
そして本発明者らはさらに検討した結果、上記FAODタンパク質のカルボキシル末端領域の34〜39アミノ酸残基を欠失させることにより、基質へのオキシダーゼ活性を保ちながら、熱安定性が向上することを発見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下のような構成からなるものである。
本発明にかかるタンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質において、カルボキシル末端領域が欠失しており、且つフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有することを特徴としている。
本発明にかかるタンパク質は、上記本発明にかかるタンパク質において、以下の(I)または(II)を特徴とするものであってもよい:
(I)カルボキシル末端から34〜39アミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質;
(II)上記(I)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、および/または付加されたタンパク質。
また本発明にかかるタンパク質は、以下の(a)〜(c)のいずれかを特徴とするものであってもよい:
(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(c)上記(a)または(b)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
また本発明にかかるタンパク質は、40℃で60分間加熱処理された場合にフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が実質的に低下しないフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼであることを特徴としている。
また本発明にかかるタンパク質は、45℃で10分間加熱処理された場合にフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が40%以上残存するフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼであることを特徴としている。
本発明にかかるポリヌクレオチドは、上記本発明にかかるタンパク質をコードすることを特徴としている。
本発明にかかるポリヌクレオチドは、配列番号5に記載の塩基配列を有するものであってもよい。
また本発明にかかるポリヌクレオチドは、配列番号6に記載の塩基配列を有するものであってもよい。
また本発明にかかるポリヌクレオチドは、本発明にかかるタンパク質をコードしているポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするものであってもよい。
また本発明にかかるベクターは、上記本発明にかかるポリヌクレオチドを含むことを特徴としている。
また上記本発明にかかる形質転換体は、上記本発明にかかるベクターで形質転換されたことを特徴としている。
本発明にかかるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの製造方法は、上記形質転換体を培養する工程を含むことを特徴としている。
また本発明は、以下の(e)〜(h)のいずれかのタンパク質を含むフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を包含する:
(e)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(g)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(h)上記(e)または(g)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
本発明にかかる糖化タンパク質の測定方法は、少なくとも糖化アミンと本発明にかかるタンパク質、または本発明にかかるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を作用させる工程を含むことを特徴としている。
本発明にかかる糖化タンパク質測定キットは、少なくとも本発明にかかるタンパク質、または本発明にかかるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を含むことを特徴としている。
本発明にかかる糖化タンパク質センサーは、少なくとも本発明にかかるタンパク質、または本発明にかかるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を備えることを特徴としている。
上述のとおり、本発明者らはクリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)のゲノム情報(文献「Science, 307: 1321-1324 (2005)」参照)について鋭意研究を重ね、この菌からフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを産生する可能性があることを突き止めた。この知見に基づき、さらに研究を重ねたところ、この菌の遺伝子から、フルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号1にそのアミノ酸配列を示す)を発現させることに成功した。
配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質(適宜「配列番号1のタンパク質」という)が、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを産生する可能性があることは、既に見出されているゲノム配列の相同性検索からある程度予測することができるが、フルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(つまり「フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ」)であることは、ゲノム情報やアミノ酸配列情報からは探索することはできない。また、現時点においてフルクトシルアミノ酸オキシダーゼの立体構造は解明されておらず、立体構造情報から酵素活性を類推することも不可能であった。さらに、相同性検索から選択された遺伝子をクローニングして発現させても、タンパク質が精製できなかったり、予測通りの酵素活性を有していなかったりする例は多い。
配列番号1のタンパク質は、フルクトシルバリンおよびフルクトシルバリルヒスチジンに作用する。フルクトシルバリンの分子量279.25に対し、フルクトシルバリルヒスチジンの分子量は416.41で約1.5倍大きい。より大きな基質に作用する酵素の取得は、技術的に困難さを伴うことはいうまでもない。
さらに、配列番号1のタンパク質のカルボキシル末端領域の34〜39アミノ酸残基を欠失させることにより、当該タンパク質(フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ)の熱安定性を向上させ得たことは、全く予想外の成果である。
本発明により、糖化タンパク質、特に糖化ヘモグロビン測定用として有用なフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤、およびその利用法を提供することが可能となる。また本発明は耐熱性に優れたフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ、およびその利用法を提供することができる。
本発明の実施の形態について詳細に説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書中に記載された非特許文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。また本明細書中の「〜」は「以上、以下」を意味し、例えば明細書中で「★〜☆」と記載されていれば「★以上、☆以下」を示す。また本明細書中の「および/または」は、いずれか一方または両方を意味する。
<1.本発明にかかるタンパク質およびフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤>
本発明にかかるタンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質において、カルボキシル末端領域が欠失しており、且つフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有するタンパク質である。
配列番号1に示されるアミノ酸配列は、公知のFAODの塩基配列情報を基に、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)のゲノムデータベース(http://www.tigr.org/tdb/e2k1/ cna1/)から見出したタンパク質のアミノ酸配列である。
本発明者らは上記配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(配列番号1のタンパク質)について検討した結果、当該タンパク質のカルボキシル末端領域(以下「C末領域」という)を欠失させることで、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性(以下「FAOD活性」という)を維持しつつ、酵素の耐熱性を向上させ得ることを見出だし、本発明を完成させるに至った。C末端領域を欠失させることによって、FAOD活性を維持しながら酵素の耐熱性を向上させ得るということは、当業者が予想し得ることではなく、本発明の顕著かつ有利な効果である。
本発明にかかるタンパク質において、配列番号1のタンパク質におけるカルボキシル末端領域の欠失させるアミノ酸残基数は、配列番号1のタンパク質がフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有している範囲内であれば特に限定されない。
本発明におけるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性は、後述する実施例の「活性測定法」の項において説明した方法によって測定される。フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を測定する場合、フルクトシルバリルヒスチジンを基質として用いればよい。なお、本発明の説明において「フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有する」とは、好ましくは0.1U/mg-protein以上を意味し、さらに好ましくは1.0U/mg-protein以上を意味する。
本発明にかかるタンパク質の一実施形態は、以下の(I)または(II)のタンパク質である:
(I)カルボキシル末端から34〜39アミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質;
(II)上記(I)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、および/または付加されたタンパク質。
本発明にかかるタンパク質の一実施形態は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のカルボキシル末端から34アミノ酸残基が欠失している。また、別の実施形態では、本発明のタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のカルボキシル末端から39アミノ酸残基が欠失していてもよく、また別の実施形態では、配列番号1に示すアミノ酸配列のカルボキシル末端から35、36、37、または38アミノ酸残基を欠失していてもよい。
なお、本発明にかかるタンパク質の一実施形態は上記(I)に限定されるものではなく、上記(I)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、および/または付加されたタンパク質(「変異タンパク質」)をも含む。ここで「1または数個のアミノ酸残基」とは、具体的には10個以内の範囲のアミノ酸残基数をいう。
上記(II)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加される部位は、欠失、置換および/または付加後のタンパク質がフルクトシルバリルヒスチジンに対してオキシダーゼ活性を有している限りにおいて、該アミノ酸配列中のどの部位でもよい。アミノ酸配列におけるアミノ酸の置換、欠失、および/または付加は、公知の遺伝子組み換え技術や、化学合成によって実現される。
本発明にかかるタンパク質の一実施形態は、以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質を含む:
(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(c)上記(a)および(b)において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、且つフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有するタンパク質。
配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質のカルボキシル末端より34アミノ酸残基が欠失したタンパク質である。また配列番号4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質のカルボキシル末端より39アミノ酸残基が欠失したタンパク質である。また本発明には上記配列番号3または4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、且つフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有するタンパク質をも包含するが、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加される部位は、欠失、置換および/または付加後のタンパク質がフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有していれば、該アミノ酸配列中のどの部位であってもよい。
本発明にかかるタンパク質は耐熱性が優れる酵素であり、40℃で60分間加熱処理された場合にフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が実質的に低下しない耐熱性酵素である。ここで「フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が実質的に低下しない」とは、加熱処理後のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が80%以上残存していることを意味する。配列番号1のタンパク質について同様の処理を行ったところ、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が約40%低下した(残存活性約60%)。よって、本発明にかかるタンパク質は、配列番号1のタンパク質のC末端領域を欠失させることで耐熱性が向上したことがわかる。
また本発明にかかるタンパク質は、45℃で10分間加熱処理された場合に、そのフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が40%以上(好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上)残存する酵素である。配列番号1のタンパク質について同様の処理を行ったところ、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性の残存活性は約25%であった。よって、本発明にかかるタンパク質は、配列番号1のタンパク質のC末端領域を欠失させることで耐熱性が向上したことがわかる。
本発明におけるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性は、後述する実施例の「活性測定法」の項において説明した方法によって測定される。フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を測定する場合、フルクトシルバリルヒスチジンを基質として用いればよい。
一方本発明は、以下の(e)〜(h)のいずれかのタンパク質を含むフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤(以下「本発明の酵素剤」という)をも包含する。本発明の酵素剤は、少なくとも以下の(e)〜(h)のいずれか1つ以上のタンパク質が含まれていればよい。本発明の酵素剤は、下記(e)〜(h)のタンパク質の他に、血清タンパク質や有機酸、デキストランなどの賦形剤が含まれる。さらに本発明の酵素剤には、酵素剤の構成物品として公知の物品を含有し得る:
(e)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(g)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(h)上記(e)または(g)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
上記本発明にかかるタンパク質(本発明の酵素剤を構成するタンパク質を含む。以下「本発明のタンパク質等」という)は、例えば遺伝子組み換え技術を用いて生産されてもよいし、アミノ酸合成機などを用いて化学合成されてもよい。遺伝子組み換え技術において、好適に用いられる各種組換えタンパク質発現系は、例えば、大腸菌発現系、昆虫細胞発現系、哺乳類細胞発現系、および無細胞発現系を用いてもよく、これらに限定されない。本発明のタンパク質等の製造方法については後述する。
また本発明にかかるタンパク質等は、例えば、分子間および/または分子内架橋(例えば、ジスルフィド結合など)が施されたもの、化学修飾(例えば、糖鎖、リン酸もしくはその他の官能基など)されたもの、標識(例えば、ヒスチジンタグなど)が付与されたもの、または融合タンパク質(例えば、ストレプトアビジン、シトクロム、およびGFPなど)を付与されたものなどが含まれるが、特にこれらに限定されない。さらに、本発明にかかるタンパク質等は、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が実質的に維持される限り、数種のタンパク質の断片を組み合わせて構成したキメラタンパク質も含み得る。
<2.本発明にかかるポリヌクレオチド等>
本発明にかかるポリヌクレオチドは、上記本発明にかかるタンパク質をコードしている。
ここで、ポリヌクレオチドは、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、またはRNA(例えば、mRNA)の形態で存在し得る。DNAまたはRNAは二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
また、本発明にかかるポリヌクレオチドは化学的に合成されたポリヌクレオチドであってもよく、さらにコードするタンパク質の発現が向上するように、コドンユーセージ(Codon usage)が変更されたポリヌクレオチドであってもよい。
本発明にかかるポリヌクレオチドを改変する方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法が用いられる。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、および/または付加することで組換えタンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドを作製してよい。遺伝子の塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Site−Directed Mutagenesis Kit;Clonetech製,QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の使用、またはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。
本発明にかかるポリヌクレオチドは、上記本発明にかかるタンパク質をコードしていればその塩基配列は特に限定されるものではない。よって本発明にかかるタンパク質のアミノ酸配列に応じた塩基配列からなる全てのポリヌクレオチドが本発明に含まれる。
本発明はこれに限定されるものではないが、例えば配列番号5や6に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドが本発明のポリヌクレオチドとして挙げられる。
配列番号5に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち配列番号1のタンパク質のカルボキシル末端領域から34アミノ酸残基を欠失させたタンパク質)をコードしている。換言すれば、配列番号1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド(その塩基配列を配列番号2に示す)の3’末端から102塩基を欠失させたポリヌクレオチドである。
また、配列番号6に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち配列番号1のタンパク質のカルボキシル末端領域から39アミノ酸残基を欠失させたタンパク質)をコードしている。換言すれば、配列番号1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド(その塩基配列を配列番号2に示す)の3’末端から117塩基を欠失させたポリヌクレオチドである。
本発明の一実施形態では、本発明にかかるポリヌクレオチドは化学的に合成された塩基で置換されてもよい。また、本発明にかかるポリヌクレオチドが置換される部位は特に限定されず、置換後の塩基配列から発現するタンパク質が好適な性質を有していればよい。
本発明にかかるポリヌクレオチドは、本発明にかかるタンパク質をコードするポリヌクレオチドのみからなるものであってもよいが、その他の塩基配列が付加されていてもいてもよい。付加される塩基配列としては、限定されないが、標識(例えば、ヒスチジンタグ、Mycタグ、およびFLAGタグなど)、融合タンパク質(例えば、GSTおよびMBPなど)、プロモーター配列(例えば、酵母由来プロモーター配列、ファージ由来プロモーター配列、および大腸菌由来プロモーター配列など)、およびシグナル配列(例えば、小胞体移行シグナル配列、および分泌配列など)をコードする塩基配列などが挙げられる。これらの塩基配列が付加される部位は特に限定されるものではなく、翻訳されるタンパク質のN末端であっても、C末端であってもよい。
また本発明にかかるポリヌクレオチドには、本発明にかかるタンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号5または6に示した塩基配列を有するポリヌクレオチド)、またはこれに相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドも含まれる。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドのTm値から15℃、好ましくは10℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件をいう。具体例としては、一般的なハイブリダイゼーション用緩衝液中で、68℃、20時間の条件でハイブリダイズする条件をいう。
本発明にかかるポリヌクレオチドの塩基配列は、Science, 214: 1205 (1981)に記載されたジデオキシ法により決定され得る。
一方、本発明にかかるベクターは、上記本発明にかかるポリヌクレオチドを含むものである。上記本発明にかかるポリヌクレオチドを含むものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。本発明にかかるベクターを構成するベースとなるベクターとしては、宿主細胞において好適なベクターが適宜選択され得る。本発明にかかるベクターとしてプラスミドベクターを用いる場合、例えば、pBluescript(登録商標)、pUC18などが使用できる。この場合、ベクターが導入される宿主微生物としては、例えば、酵母、大腸菌(エシェリヒア・コリーW3110(Escherichia coli)、エシェリヒア・コリーC600、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5α)、昆虫細胞、哺乳類細胞などに利用可能である。
上記宿主微生物に本発明にかかるベクターを導入する方法としては特に限定されるものではないが、例えば宿主微生物がエシェリヒア属に属する微生物にベクターを導入する場合は、カルシウムイオンの存在下で組換えDNAを導入する方法や、エレクトロポレーション法を用いる方法が適用され得る。その他、市販のコンピテントセル(例えば、コンピテントハイJM109、コンピテントハイDH5α;東洋紡績製)を用いて遺伝子導入が行われても良い。
本発明にかかるベクターを構築するには、本発明にかかるポリヌクレオチドを分離および精製した後、制限酵素処理などを用いて切断した該ポリヌクレオチドの断片と、ベースとなるベクターを制限酵素で切断して得た直鎖ポリヌクレオチドを結合閉鎖させて構築することができる。結合閉鎖する際にはDNAリガーゼなどがベクターおよび該ポリヌクレオチドの性質に応じて使用され得る。本発明のベクターを複製可能な宿主に導入した後、ベクターのマーカーおよび酵素活性の発現を指標としてスクリーニングして、本発明のポリヌクレオチドを含有する形質転換体を得ることができる。よって、本発明にかかるベクターには薬剤耐性遺伝子などのマーカー遺伝子が含まれていることが好ましい。
なお本発明は、上記本発明にかかるベクターで形質転換された形質転換体を包含する。本発明にかかるベクターによって形質転換される宿主細胞は、特に限定されないが、酵母、大腸菌、昆虫細胞、および哺乳類細胞などが挙げられる。
なお、配列番号2に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いて構築されたベクターは、配列番号1のタンパク質の発現ベクターとして利用することができる。
<3.本発明にかかるタンパク質の製造方法>
本発明にかかるタンパク質の製造方法は、上記本発明にかかる形質転換体を培養する工程(「培養工程」という)を含むことを特徴としている。本発明にかかるタンパク質の製造方法には、上記培養工程の他、形質転換体を用いたタンパク質生産において含まれ得るその他の工程が含まれていてもよい。その他の工程としては、例えば、培養工程後に本発明にかかる形質転換体が生産したタンパク質を回収する工程や、当該タンパク質を精製する工程が挙げられる。
配列番号2に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いて構築されたベクターで形質転換された形質転換体を、上記本発明にかかる形質転換体と読み替えることによって、配列番号1に記載のタンパク質の製造方法の説明となる。
(3−1)培養工程
上記培養工程では、本発明にかかる形質転換体が栄養培地で培養されることにより、多量の組換えタンパク質を安定して生産し得る。形質転換体の培養形態は、宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよく、多くの場合は液体培養で行う。工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。
培養工程で用いられる栄養培地の栄養源としては、培養に通常用いられるものが広く使用されてよい。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、ラクトース、糖蜜、およびピルビン酸などが使用される。また、窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、および大豆粕アルカリ抽出物などが使用される。これらに加えて、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて培地に添加されてよい。
本発明にかかる形質転換体の培養温度は、当該形質転換体が本発明にかかるタンパク質を生産可能な範囲内であれば適宜変更し得るが、例えば、エシェリヒア・コリーを宿主として利用する場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養時間は、本発明にかかるタンパク質が最高収量に達する適当な時期に培養を完了すればよく、通常は6〜48時間程度である。培地のpHは本発明にかかる形質転換体が好適に発育し、且つ本発明にかかるタンパク質を生産可能な範囲内で適宜変更し得るが、好ましくはpH6.0〜9.0程度の範囲である。
(3−2)回収工程
本発明にかかる形質転換体がタンパク質を細胞外に分泌する場合、その培養物には本発明のタンパク質が含まれている。よって培養物を本発明にかかるタンパク質としてそのまま利用することが可能である。この時、例えばろ過や遠心分離などにより、培養液と本発明にかかる形質転換体とを分離してもよい。
また本発明にかかるタンパク質が形質転換体内に存在する場合、形質転換体を培養して得られた培養物からろ過または遠心分離などの手段を用いて形質転換体を採取し、該形質転換体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊後、目的のタンパク質を回収すればよい。また、必要に応じて、キレート剤(例えば、EDTAなど)および界面活性剤(例えば、トリトン−X100など)を添加して本発明にかかるタンパク質を可溶化し、水溶液として分離採取してもよい。
(3−3)精製工程
精製工程は、上記回収工程によって得られたタンパク質を精製する工程である。精製工程の具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えば、本発明にかかるタンパク質を含む溶液を、減圧濃縮、膜濃縮、塩析処理(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムなどを用いる)、または親水性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトンなど)による分別沈殿法に供すればよい。上記操作によって、目的である本発明にかかるタンパク質を沈殿させ、精製することができる。
また、前記精製工程では、加熱処理、等電点処理、ゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはこれらの組み合わせを用いて精製工程を行ってもよい。
上記手法を用いて得られた目的のタンパク質を含む精製酵素は、電気泳動(SDS−PAGE)的に単一のバンドを示す程度に純化されていることが好ましい。
上記の精製酵素は、例えば凍結乾燥、真空乾燥、およびスプレードライなどにより粉末化して流通させることが可能である。また、精製酵素を使用する際は、その用途によって適宜緩衝液に溶解した状態で使用することができる。緩衝液としては、例えば、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、およびGOOD緩衝液などが目的のタンパク質の性質、および/または実験条件もしくは環境に応じて好適に選択されてよい。さらに、アミノ酸(例えば、グルタミン酸、グルタミン、またはリジンなど)、および血清アルブミンなどを精製酵素に添加することにより安定化することができる。
<4.本発明にかかる糖化タンパク質の測定方法>
本発明にかかる糖化タンパク質の測定方法(以下「本発明の測定方法」という)は、少なくとも糖化アミンに本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)を作用させることを特徴としている。以下に本発明の測定方法の一実施形態を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また本項の説明において「本発明にかかるタンパク質」は「本発明にかかるフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤」と読み替えることが可能である。
本発明にかかる測定方法の一実施形態は、
(1)試料とプロテアーゼとを反応させて、試料中の糖化タンパク質を分解し、試料中の糖化タンパク質由来の糖化アミンを調製する工程(便宜上「第1工程」という)、
(2)前記(1)の工程によって得られた試料中の糖化タンパク質由来の糖化アミンに本発明にかかるタンパク質を作用させる工程(便宜上「第2工程」という)、および、
(3)前記(2)の工程において発生した過酸化水素の量または消費された酸素の量を測定する工程(便宜上「第3工程」という)、を含む糖化タンパク質を測定するための方法である。
(4−1)第1工程
第1工程は、試料中の糖化タンパク質を分解し、試料中の糖化タンパク質由来の糖化アミンを調製する工程である。
上記「糖化タンパク質」とは、タンパク質を構成するアミノ酸残基の一部または全部に糖が結合した(糖化した)タンパク質を意味する。糖化タンパク質としては、特に限定されるものではないが、例えば、タンパク質のアミノ末端のα−アミノ基が糖化されたもの(例えばHbA1c)等が挙げられる。なお上記例示したHbA1cは、糖尿病の診断など臨床診断の指標として使用されている。
上記プロテアーゼとしては、試料中に含まれる糖化タンパク質を糖化アミノ酸または糖化ペプチドに分解し得るものであれば特に限定されるものではない。例えば臨床検査において使用されているプロテアーゼが好ましく利用され得る。
また上記「試料」は、糖化タンパク質の有無や濃度を検出すべき対象物であれば特に限定されるものではなく、例えば、全血、血漿、血清、血球等の他に、尿、髄液等の生体試料(すなわち生体から採取された試料)や、ジュース等の飲料水、醤油、ソース等の食品類等の試料に対しても適用できる。本発明の方法は、糖尿病の診断に応用することができるため、上記の中でも特に全血試料、血球試料に有用である。特に限定されるものではないが、赤血球内の糖化ヘモグロビンを測定する場合には、全血をそのまま溶血したり、全血から分離した赤血球を溶血したりして、この溶血試料を測定用の試料とすればよい。
試料とプロテアーゼとを反応させる際の具体的な条件は、所望の糖化アミンが調製され得る条件であれば特に限定されるものではなく、試料の濃度や種類、プロテアーゼの種類や濃度に応じて適宜好適な条件を検討の上、採用されればよい。
本発明の測定方法に好適に使用できる、プロテアーゼの濃度は例えば0.1U〜1MU/ml(より好ましくは1U〜500KU/ml、最も好ましくは5U〜100KU/ml)である。上記のプロテアーゼの濃度は、限定されるものではなく、反応条件、試料の種類並びに状態、実験者の手技および使用する試薬の種類などに応じて、実験者または使用者に好適に決定され得る。
また上記「糖化アミン」は、試料中に含まれる糖化タンパク質に由来の糖化アミノ酸や糖化ペプチドなどが挙げられる。糖化ペプチドの長さは特に限定されるものではないが、本発明のタンパク質が作用し得る長さ、例えばアミノ酸残基数が2〜6の範囲のものが挙げられる。
(4−2)第2工程
第2工程は、上記第1工程によって得られた試料中の糖化タンパク質由来の糖化アミンに本発明にかかるタンパク質を作用させる工程である。
本発明にかかるタンパク質が有し得るFAOD活性は特に限定されるものではないが、FAOD活性が高いほど高感度で糖化アミンを検出することができ、FAODタンパク質の使用量を少なくすることができるために好ましい。なお本発明の測定方法に好適に使用できるFAODタンパク質の濃度は、例えば0.1〜500U/ml(好ましくは0.5〜200 U/ml、最も好ましくは1.0〜100 U/ml)である。ただし上記のFAODの濃度は、特に限定されるものではなく、反応条件、試料の種類並びに状態、実験者の手技および使用する試薬の種類などに応じて、適宜、決定され得る。
(4−3)第3工程
第3工程は、上記第2工程において発生した過酸化水素の量または消費された酸素の量を測定する工程である。第3工程は過酸化水素の量または酸素の量を測定し得る方法であれば、その具体的方法は特に限定されるものではない。したがって、公知の方法が適宜適用され得る。
第3工程に用いられる方法は、限定されないが、例えば、酵素法などが挙げられる。酵素法においては、試料中の糖化タンパク質をアミノ酸、またはペプチドのレベルまで酵素(例えば、プロテアーゼ)を用いて断片化する。次に、生じた糖化アミノ酸および/または糖化ペプチドに、FAODを加え、酸化還元反応により過酸化水素を発生させる。この試料にPOD、および酸化により発色する還元剤を添加し、前記PODを触媒として前記過酸化水素と前記還元剤との間で酸化還元反応を生じさせる。前記酸化還元反応により前記還元剤を発色させ、この発色強度を測定することにより前記過酸化水素量を測定できる。
第3工程において好適なPODは、西洋ワサビ、微生物などに由来するものである。また、前記のPODの好適な使用濃度は、0.01〜100単位/mLである。
第3工程において好適な過酸化水素の測定方法としては、PODの存在下でのカップラー(4−アミノアンチピリン(4−AA)並びに3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)など)に対してフェノール系、アニリン系またはトルイジン系の色原体を酸化縮合反応させることにより色素を生成するトリンダー試薬類、およびPODの存在下で直接酸化呈色するロイコ色素が使用され得る。これらの方法は、当業者に公知であり、一般に容易に使用され得る。
上記トリンダー試薬としては、限定されないが、例えば、フェノール及びその誘導体を用いることができる。
第3工程において好適に使用可能な上記カップラーとしては、4−アミノアンチピリン、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)およびスルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(SMBTH)などが挙げられる。
第3工程において好適に使用できる前記ロイコ色素としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルメタン誘導体、フェノチアジン誘導体、ジフェニルアミン誘導体などが使用できる。
第3工程における前記過酸化水素量の測定において、前記POD等を用いた発色方法以外に、各種センサー系を用いた測定法が当業者に一般的に知られている(限定されないが、例えば、特開2001−204494号公報を参照のこと)。具体的には、各種センサー系に用いる電極としては、酸素電極、カーボン電極、金電極、および白金電極などが挙げられる。本発明において、作用電極として酵素を固定化したこれらの電極を用い、対極(例えば、白金電極など)、および参照電極(例えば、Ag/Cl電極など)と共に、本発明に好適な条件下の緩衝液中に挿入して一定温度に保持しながら、作用電極に一定の電圧を加え、さらに試料を添加して、酵素反応の結果生じる過酸化水素に起因する電流の増加値を測定することができる。
また、カーボン電極、金電極、および白金電極などを用いてアンペロメトリック系で測定する方法として、固定化電子メディエーターを用いる系がある。例えば、作用電極として酵素およびフェリシアン化カリウム、フェロセン、オスミウム誘導体、およびフェナジンメトサルフェートなどの電子メディエーターを吸着、または共有結合法により高分子マトリクスに固定化したこれらの電極を用い、対極(例えば、白金電極など)、および参照電極(例えば、Ag/AgCl電極など)と共に、本発明に好適な条件下の緩衝液中に挿入して一定温度に保持する。続いて、作用電極に一定の電圧を加え、試料を添加して酵素反応の結果生じる過酸化水素に起因する電流の増加値を測定することができる。
第3工程で消費された酸素量を測定することで糖化アミン量を測定することもできる(限定されないが、例えば、特開2001−204494号公報を参照のこと)。具体的には、酸素電極を用い、電極表面に酸素を固定化して、本発明に好適な条件下の緩衝液中に挿入して一定温度に保持する。ここに試料を加えて、電流の減少値を測定する。
カーボン電極、金電極、白金電極などを用いてアンペロメトリック系で測定する場合には、作用電極として酵素を固定化したこれらの電極を用い、対極(例えば、白金電極など)、および参照電極(例えば、Ag/AgCl電極など)と共に、メディエーターを含む電流の増加量を測定する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェロセン、オスミウム誘導体、およびフェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。
本発明の測定法において、各工程を実施する系に本発明のタンパク質の安定性を増すために不活性タンパク質を添加してもよい。不活性タンパク質は、血清アルブミン類、グロブリン類および繊維性タンパク質類を含む。好ましいタンパク質は、ウシ血清アルブミンであり、wt/volにおける好ましい濃度は、0.05〜1%である。好ましい不活性タンパク質は、酵素分解を起こすプロテアーゼ不純物を含まないものである。
フルクトシルバリルヒスチジン濃度の測定は、試料の特定体積および試薬の特定体積を用いて行われる。吸光度測定は、試料ブランクを測定するために、混合後、かつフルクトシルバリルヒスチジンによる有意な吸光度変化が起こる前にできるだけ速やかに行われる。0.5〜5秒後の第1の吸光度測定が適当である。第2の吸光度測定は、吸光度が定常的になった後、典型的には1mg/dLのフルクトシルバリルヒスチジン濃度において37℃にて3〜5分間である。典型的には、該試薬は既知のフルクトシルバリルヒスチジン濃度を有する水性または血清溶液にて標準化される。
<5.本発明にかかる糖化タンパク質測定キットおよび糖化タンパク質センサー>
(5−1)糖化ヘモグロビン測定キット
本発明にかかる糖化ヘモグロビン測定キット(以下「本発明のキット」という)は、少なくとも上記本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)を含むことを特徴としている。本発明のキットに含まれる、本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)の形態は特に限定されるものではないが、例えば、水溶液、懸濁液または凍結乾燥粉末など形態が採用され得る。上記凍結乾燥粉末は常法に従って作製され得る。
前記添加物の配合法は特に制限されるものではない。例えば、本発明にかかるタンパク質を含む緩衝液に添加剤を配合する方法、添加剤を含む緩衝液に本発明にかかるタンパク質を配合する方法、または本発明にかかるタンパク質および安定化剤を緩衝液に同時に配合する方法などが挙げられる。
本発明のキットは、少なくとも上記本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)、ペルオキシダーゼ、および色原体を備える試薬組成物により構成されていてもよい。
本発明の測定方法においてフルクトシルバリルヒスチジンの酸化に由来する過酸化水素の検出には、ペルオキシダーゼ反応を利用する。よって上記試薬組成物には、ペルオキシダーゼおよび色原体(過酸化水素発色試薬)が好ましく用いられる。上記ペルオキシダーゼおよび色原体(過酸化水素発色試薬)は何ら制限されるものではない。
本発明に用いられる色原体(過酸化水素発色試薬)は、溶液において安定であり、且つビリルビン干渉が低いものであることが好ましい。本発明に好適に用いることができる色原体(過酸化水素発色試薬)としては、例えば4−アミノアンチピリンもしくは3−メチル−2−ベンゾチアゾリンヒドラゾン(MBTH)、およびフェノールもしくはその誘導体またはアニリンもしくはその誘導体の組み合わせからなる試薬が挙げられる。また、本発明において用いられる色原体(過酸化水素発色試薬)は、ベンジジン類、ロイコ色素類、4−アミノアンチピリン、フェノール類、ナフトール類およびアニリン誘導体類であってもよい。
また本発明において好適に用いられるペルオキシダーゼは、西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼが好ましい。前記ペルオキシダーゼは、高純度かつ低価格のものが商業的に入手可能である。酵素濃度は、迅速かつ完全な反応のために充分高くなければならず、好ましくは、1,000〜50,000U/Lである。
また上記試薬組成物には、上記構成の他、緩衝剤(例えば、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、およびGOOD緩衝液など)が含まれていてもよい。さらに上記試薬組成物には、酵素反応を妨害するイオンを捕捉するキレート試薬(例えば、EDTAおよびO−ジアニシジンなど)、過酸化水素の定量の妨害物質であるアスコルビン酸を消去するアスコルビン酸オキシダーゼ、各種界面活性剤(例えば、トリトンX−100およびNP−40など)、ならびに各種抗菌剤および防腐剤(例えば、ストレプトマイシンおよびアジ化ナトリウムなど)などが含まれていてもよい。これらの試薬は、単一試薬でも2種類以上の試薬を組み合わせてなるものであってもよい。
上記緩衝剤としては特に限定されないが、6〜8.5のpH範囲において充分な緩衝能力を有する任意の緩衝剤を使用することができる。このpH範囲の緩衝剤としては、リン酸塩、トリス、ビス−トリスプロパン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−モルフォリノエタンスルホン酸1水和物(MES)、ピペラジン―1,4―ビス(2−エタンスルホン酸)(piperazine-1,4-bis (2-ethanesulfonic acid))(PIPES)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinyl] ethanesulfonic acid)(HEPES)、および3−〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)などが挙げられる。特に、好ましい緩衝剤はMESおよびPIPESである。また特に、好ましい濃度範囲は、20〜200mMであり、pH6〜7である。
本発明のキットには、例えば、FAOD、緩衝液、プロテアーゼ、POD、発色試薬、酵素反応を妨害するイオンを捕捉するキレート試薬、過酸化水素の定量の妨害物質であるアスコルビン酸を消去するアスコルビン酸オキシダーゼ、界面活性剤、安定化剤、賦形剤、抗菌剤、防腐剤、ウェルプレート、蛍光スキャナー、自動分析機、および本発明にかかる測定方法を紙媒体に記載した取り扱い説明書などが含まれていてもよい。
(5−2)糖化タンパク質センサー
本発明にかかる糖化タンパク質センサー(以下「本発明のセンサー」)は、糖化タンパク質を検出するために用いられるセンサーであり、少なくとも本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)を備えている。本発明のセンサーは、本発明の測定方法の実施に用いられる。よって、本発明のセンサーは、本発明の測定方法の実施に用いられる物品により構成されていてもよい。上記物品の説明については、本発明の測定方法および本発明のキットの項における緩衝剤等の説明を援用することができる。
本発明のセンサーの一実施形態は、本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)を支持体に固定して用いることができる。支持体としては、本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)を固定化できるものであれば、特に限定されるものではなく、形状や材質は該タンパク質の性質に応じて好適なものを使用してよい。支持体の形状は、本発明にかかるタンパク質(またはフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤)が固定化できる十分な面積を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、基板、ビーズおよび膜などが挙げられる。支持体の材料としては、例えば、無機系材料、天然高分子、および合成高分子などが挙げられる。
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種種の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。表1に実施例において使用した活性測定試薬の組成を示した。なお、実施例において使用した試薬は特記しない限り、ナカライテスク社より購入したものを用いた。
Figure 2010057474
実施例におけるFAODの活性測定条件を以下に示した。
−活性測定法−
各基質に対する酵素活性は、酵素反応により生成する過酸化水素を追随するペルオキシダーゼ反応により生じた色素の吸光度の増加で測定した。活性測定試薬3mlを37℃で5分間予備加温後、予め、酵素希釈液(50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5))で希釈した酵素溶液0.1mlを加え、反応を開始する。37℃で5分間反応させ、500nmの吸光度変化を測定する(ΔODtest/min)。盲検は酵素溶液の代わりに酵素希釈液0.1mlを加え、上記同様に操作を行って吸光度変化を測定した(ΔODblank/min)。得られた吸光度変化より、下記計算式に基づき酵素活性を算出した。尚、上記条件で1分間に1マイクロモルの基質を酸化する酵素量を1単位(U)とする。
−計算式−
活性値(U/ml)={ΔOD/min(ΔODtest−ΔODblank)×3.1(ml)×希釈倍率}/{13×1.0(cm)×0.1(ml)}
3.1(ml):全液量
13:ミリモル吸光係数
1.0cm:セルの光路長
0.1(ml):酵素サンプル液量
<実施例1.FAODcDNAのクローニング>
クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)由来の野生型FAODのcDNAクローニングを行うために、クリプトコッカス・ネオフォーマンスのゲノムデータベース(http://www.tigr.org/tdb/e2k1/cna1/)を検索した。ゲノムデータベースから、FAD−dependent oxidoreductaseをコードすることが予測される遺伝子を抽出した。検索結果から得られた種々の遺伝子のうち、フルクトシルバリンに実質的に作用するFAOD遺伝子として、Cryptococcusneoformans|chr_2|chr2|186.m03431|CNB00220(http://tigrblast.tigr.org/er-blast/getSeq.cgi?id=186.m03431&db=/usr/local/db/euk/private/c_neoformans/annotation_dbs/CNA1.cds)をクローニング候補とした。
次に、上記FAOD遺伝子のcDNAについて、EST解析から明らかとなったDDBJ番号XM_771926 (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=nuccore&id=134108731)において、部分配列が明らかであることから、既知のゲノム配列との比較により、タンパク質をコードする部分に対応するcDNA全配列が明らかとなった。この情報をもとに、定法である遺伝子断片のPCRによる全合成を用いて、cDNA全配列を合成した。前記のcDNAを、Blunting high(東洋紡績社製)を用いて末端の平滑化を行い、pUC118のSmaI部位へサブクローニングした。cDNA部分についてシーケンス解析を行った結果、配列番号2に示した塩基配列が得られた。配列番号2に示した塩基配列におけるcDNAのコーディング領域は1番目の塩基から1431番目の塩基であり、開始コドンは1番目の塩基から3番目の塩基、終止コドンTAGは1432番目の塩基から1434番目の塩基に相当する。配列番号2に示した塩基配列から明らかとなったアミノ酸配列は、配列番号1に示した。
<実施例2.FAOD遺伝子の大腸菌での大量発現、精製および酵素アッセイ>
上記FAOD遺伝子の大腸菌での大量発現を試みた。FAOD遺伝子の終止コドンを除いた全長cDNA領域(配列番号2の1番目〜1431番目の塩基)をPCRで増幅した。その際、N末端側に配列番号7に示すプライマー(5’-GGAATTCCATATGCCACCTTCGCGCGCCAGTACTAAGGTCATA-3’)(上記塩基配列における「CATATG」はNdeI部位)を用いてNdeI部位、C末端側に配列番号8に示すプライマー(5'-CCGCTCGAGTTATTAAGCTAGAACTTTGACTCCGACTCGTGCTCC-3’)(上記塩基配列における「CTCGAG」はXhoI部位)を用いてXhoI部位を挿入した。本PCR断片をpET−23bベクター(ノバジェン社)のNdeI−XhoI部位へT7プロモーターと正方向になるようにサブクローニングした。作製したプラスミドは、組換えFAOD発現用プラスミドとして、pIE313NAと命名した。
前記のプラスミドpIE313NAを用いて、大腸菌BL21 CodonPlus(DE3)−RIL(ストラタジーン社)を形質転換した。その後、アンピシリン耐性を示す形質転換体BL21 CodonPlus(DE3)−RIL(pIE313NA)を選択した。
培地として、200mlのTB培地を2L容坂口フラスコに分注し、121℃、20分間オートクレーブを行った。前記培地を放冷後、別途無菌濾過したアンピシリンを終濃度が100μg/mlになるように培地に添加した。この培地に100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で予め30℃、16時間培養したBL21 CodonPlus(DE3)−RIL(pIE313NA)の培養液を2ml接種した。続いて、30℃で24時間通気攪拌培養を行った。培養終了後、菌体を遠心分離により集菌し、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁した後、超音波破砕した。次に、遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液のFAOD活性を、フルクトシルバリルヒスチジン含有測定試薬にて測定したところ、約0.2U/mlの活性が得られた。
前記の粗酵素液をポリエチレンイミンによる除核酸および硫安分画を行い、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で透析を行った。透析後のサンプルを、DEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケアバイオサイエンス製)カラムクロマトグラフィー、DEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケアバイオサイエンス製)カラムクロマトグラフィーにより分離および精製を行った。次に、フェニルセファロース−FF(GEヘルスケアバイオサイエンス製)カラムクロマトグラフィーにより分離および精製した。最後に、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で透析を行うことにより、精製酵素標品(IE313NA)を得た。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により、前記精製酵素標品が単一であることを確認した。
前記の精製酵素標品の酵素活性を、フルクトシルバリルヒスチジン、フルクトシルバリン、およびフルクトシルリジンをそれぞれ単独に含有する測定試薬にて測定し、本酵素標品が各基質にオキシダーゼ活性を有することを確認した。
<実施例3.カルボキシル末端領域を欠失させた組換えFAODタンパク質の製造、精製および酵素アッセイ>
発現プラスミドであるpIE313NA、およびに合成オリゴヌクレオチド(配列番号9および配列番号10)を用いて、KOD-Plus Site-Directed Mutagenesis Kit(東洋紡績社製)を使用して、規定のプロトコールに従って変異処理操作を行い、塩基配列を決定して、配列番号1に示したアミノ酸配列のカルボキシル末端34残基が欠失したFAODタンパク質(配列番号3)をコードする組換えプラスミド(pIE313NA−Cdel34)を取得した。同様に、配列番号10および配列番号11に示した合成オリゴヌクレオチドを用いて変異処理操作を行い、塩基配列を決定して、配列番号1示したアミノ酸配列のカルボキシル末端39残基が欠失されたFAODタンパク質(配列番号4)をコードする組換えプラスミド(pIE313NA−Cdel39)を取得した。
取得した各プラスミドを用いてBL21 CodonPlus(DE3)−RILを形質転換した。その後、アンピシリン耐性を示す形質転換体をそれぞれ選択した。
実施例2と同様に、各形質転換体を培養し、得られた粗酵素液の精製を行った。得られた精製酵素標品(IE313NA−Cdel34、IE313NA−Cdel39)をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により、単一であることを確認した。
前記の各精製酵素標品の酵素活性を、フルクトシルバリルヒスチジン、フルクトシルバリン、およびフルクトシルリジンをそれぞれ単独に含有する測定試薬にて測定し、本酵素標品が各基質に作用することを確認した。
<実施例4.各FAODタンパク質の特性評価>
野生型FAOD(IE313NA)、および組換えFAODタンパク質(IE313NA−Cdel34、およびIE313NA−Cdel39)の各精製酵素標品の酵素活性を、フルクトシルバリルヒスチジン、フルクトシルバリン、およびフルクトシルリジンをそれぞれ単独に含有する測定試薬にて測定した結果を表2に示す。この結果から明らかなように、野生型FAOD、および各組換えFAODタンパク質はフルクトシルバリン、フルクトシルリジン、およびフルクトシルバリルヒスチジンに作用することが確認された。
なお、比活性の測定においてタンパク質量は、Bradford法に基づく比色定量法により測定した。
Figure 2010057474
次に、野生型FAOD、および各組換えFAODタンパク質の熱安定性を調査した。野生型FAOD(IE313NA)、および組換えFAODタンパク質(IE313NA−Cdel34、およびIE313NA−Cdel39)のそれぞれについて0.1mg/ml−50mMリン酸カリウム緩衝液(1mMのEDTAを含む)の溶液を調製し、40℃または45℃で加熱処理を実施した。
その結果を図1に示す。図1中のシンボルとデータとの対応は下記の通りである。
黒丸 :野生型FAOD(IE313NA)、40℃処理
黒三角:IE313NA−Cdel34、40℃処理
黒四角:IE313NA−Cdel39、40℃処理
白丸 :野生型FAOD(IE313NA)、45℃処理
白三角:IE313NA−Cdel34、45℃処理
白四角:IE313NA−Cdel39、45℃処理
図1によれば、IE313NAを、40℃で、10分間、20分間、30分間、60分間加熱処理した場合のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの残存活性は、それぞれ86%、79%、71%、60%であった。またIE313NA−Cdel34を、40℃で、10分間、20分間、30分間、60分間加熱処理した場合のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの残存活性は、それぞれ98%、96%、93%、92%であった。また、IE313NA−Cdel39を、40℃で、10分間、20分間、30分間、60分間加熱処理した場合のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの残存活性は、それぞれ97%、96%、92%、89%であった。
またIE313NAを、45℃で、10分間、20分間、30分間加熱処理した場合のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの残存活性は、それぞれ25%、11%、5%であった。また、IE313NA−Cdel34を、45℃で、10分間、20分間、30分間加熱処理した場合のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの残存活性は、それぞれ55%、31%、19%であった。また、IE313NA−Cdel39を、45℃で、10分間、20分間、30分間加熱処理した場合のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの残存活性は、それぞれ46%、23%、12%であった。
上記の結果から明らかなように、FAODのカルボキシル末端の34または39アミノ酸残基を欠失させることにより、基質へのオキシダーゼ活性を維持したまま、熱安定性が向上することが明らかとなった。
本発明によって、糖化ヘモグロビンの測定に有用なフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有するタンパク質を新たに創出し、提供することが可能となる。また、該タンパク質を利用した糖化ヘモグロビン測定方法、および糖化ヘモグロビン測定用試薬組成物を提供することが可能となる。したがって、予防医学に基づく臨床検査の更なる普及に貢献することができる。
配列番号1、3、および4に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質の加熱処理後のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ残存活性を示す図である。

Claims (16)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質において、
    カルボキシル末端領域が欠失しており、且つフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 請求項1に記載のタンパク質であって、以下の(I)または(II)を特徴とするタンパク質:
    (I)カルボキシル末端から34〜39アミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (II)上記(I)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、および/または付加されたタンパク質。
  3. 請求項1または2に記載のタンパク質であって、以下の(a)〜(c)のいずれかを特徴とするタンパク質:
    (a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (c)上記(a)または(b)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
  4. 40℃で60分間加熱処理された場合に、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が実質的に低下しない請求項1〜3いずれか1項に記載のタンパク質。
  5. 45℃で10分間加熱処理された場合に、フルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ活性が40%以上残存する請求項1〜3いずれか1項に記載のタンパク質。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  7. 配列番号5に示される塩基配列を有する、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
  8. 配列番号6に示される塩基配列を有する、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  11. 請求項10に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
  12. 請求項11に記載の形質転換体を培養する工程を含むフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼの製造方法。
  13. 以下の(e)〜(h)のいずれかのタンパク質を含むフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤:
    (e)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (f)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (g)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (h)上記(e)または(g)のタンパク質において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
  14. 少なくとも糖化アミンに請求項1〜5いずれか1項に記載のタンパク質、または請求項13に記載のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を作用させる工程を含む、糖化タンパク質の測定方法。
  15. 少なくとも請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質、または請求項13に記載のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を含む、糖化タンパク質測定キット。
  16. 少なくとも請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質、または請求項13に記載のフルクトシルバリルヒスチジンオキシダーゼ剤を備える、糖化タンパク質センサー。
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