JP5622321B2 - 耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素及びそれを用いた1,5−アンヒドログルシトールの測定法 - Google Patents

耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素及びそれを用いた1,5−アンヒドログルシトールの測定法 Download PDF

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Description

本発明は、1,5−アンヒドログルシトールの酵素的測定法に有用な耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素、耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素遺伝子、組換えベクター、形質転換体、耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の製造法、耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素を用いた1,5−アンヒドログルシトールの酵素的測定法及び該測定法に使用するキットに関する。
1,5−アンヒドログルシトール(以下、1,5−AGという)は、ヒトの血清、血漿、尿等の体液中に存在し、ある種の疾患、特に糖尿病において体液中の量が大きく変動する。このため、体液中における1,5−AGの測定値は有用な診断指標となり、近年臨床検査において重要な検査項目となっている。
この1,5−AGの定量法としては、特許文献1等に記載の1,5−AGにピラノースオキシダーゼを作用させ、生成する過酸化水素をパーオキシダーゼ発色系にて比色定量する方法が主流となり、汎用の自動分析装置にて行われている。
他の測定方法としては、特許文献2に記載の1,5−AGにリン酸基供与体の存在下、1,5−AGのリン酸化酵素を作用させて得られる1,5−AG−6−リン酸を1,5−AG−6−リン酸脱水素酵素により比色定量する方法等が知られている。
また、1,5−AGを1,5−AG脱水素酵素を用いて測定する方法も特許文献3乃至5に報告されている。1,5−AGに作用する脱水素酵素としては、特許文献4及び5に記載のアグロバクテリウム・ツメファシエンス由来の脱水素酵素、特許文献6記載のサイトファーガ属細菌由来の脱水素酵素、特許文献7記載のラフネラ・アクアティリス、エンテロバクター・クロアカエやセラチア・マルセッセンス由来の脱水素酵素、特許文献8記載のオイペニシリウム・クルセタセウム、ハンセヌラ・カリホニア、ピチア・カルソニー、ピチア・シュードポリモルファ等の真菌類由来の脱水素酵素、特許文献9記載のトリコデルマ・ロンギブラキアツム由来の脱水素酵素等が報告されている。
特公平5−41238号公報 特開2002−186497号公報 特公平3−24200号公報 特許第2872983号公報 特許第3819094号公報 特開平7−67697号公報 特開平11−18762号公報 特開平2−268679号公報 特開2000−135079号公報
従来のピラノースオキシダーゼを用いた測定方法では、1,5−AGのみならずグルコースにも強く作用してしまうので、共存するグルコースを事前に且つ完全に消化する為に、グルコース消化酵素等を含む複雑な測定系が必要となる。
また、1,5−AG−6−リン酸脱水素酵素により比色定量する方法でも、グルコースの消化酵素、1,5−AGリン酸化酵素等を測定系に共存させなければならず、煩雑である。
一方、1,5−AG脱水素酵素を用いて測定する方法は、この酵素が1,5−AGに対する特異性が高くグルコース消化の負荷が少なくて済むこと、また、電子キャリアー非存在下において1,5−AGに作用し直接還元性発色剤を還元させることから、簡便な方法ではあるが、1,5−AG脱水素酵素自体の安定性が十分とは言えず、実用的な自動分析装置用の1,5−AG測定試薬や1,5−AG測定センサーを開発することはできず、酵素の安定性向上が実用化上の課題であった。
本発明の目的は、1,5−AGに特異的に作用するとともに、安定性に優れた新規な1,5−AG脱水素酵素及びその製造法を提供し、臨床検体の1,5−AG測定に応用可能な測定法を提供することにある。
従来の1,5−AG脱水素酵素は、補酵素としてNAD(P)を要求したり、熱に対する安定性が十分ではなく実用上の応用は困難であった。一方、これに対して特許文献3記載のシュードモナス属細菌由来の1,5−AG脱水素酵素は、補酵素非依存性であるため、改変により耐熱性を付与し保存安定性を高めれば1,5−AGの臨床上の測定法に応用が可能と考え、主に該酵素について検討した。すなわち、上記課題を解決するため本発明者等は鋭意検討し、特許文献3記載の1,5−AG脱水素酵素生産菌であるシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)NK−85001(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター寄託番号 FERM BP−01037)から1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子を取得し、該遺伝子にランダム変異導入法等を行い、変異遺伝子ライブラリーを作製し、該ライブラリーから耐熱性1,5−AG脱水素酵素を産生する変異株を取得し、更に酵素の保存安定性を高める為に耐熱性変異を重ね合わせることによる1,5−AG脱水素酵素の改変を行った結果、元の酵素のアミノ酸配列にアミノ酸の置換を導入することで保存安定性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の[1]乃至[12]に関する。
[1].下記の(1)または(2)に示すタンパク質:
(1)配列番号4に示すアミノ酸配列において、4番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアラニン残基に、6番目のアミノ酸残基がグルタミン残基からヒスチジン残基に、14番目のアミノ酸残基がセリン残基からスレオニン残基に、37番目のアミノ酸残基がアラニン残基からスレオニン残基またはアルギニン残基に、50番目のアミノ酸残基がプロリン残基からグルタミン残基に、67番目のアミノ酸残基がグルタミン酸残基からグリシン残基に、80番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、93番目のアミノ酸残基がバリン残基からメチオニン残基に、156番目のアミノ酸残基がアルギニン残基からプロリン残基に、164番目のアミノ酸残基がロイシン残基からメチオニン残基に、202番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からアスパラギン酸残基に、235番目のアミノ酸残基がスレオニン残基からアラニン残基に、348番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、362番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアルギニン残基に、および473番目のバリン残基がアラニン残基に変化した変異のうち、少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)上記(1)に記載の少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列において、変異したアミノ酸残基以外のアミノ酸残基の1乃至複数個のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質。
[2].45℃、10分の加熱で、8%以上の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を保持する上記[1]に記載のタンパク質。
[3].以下のタンパク質から選ばれる上記[1]または[2]に記載のタンパク質:
1)上記[1]の(1)に記載の変異の内、6番目の変異以外の全ての変異(但し37番目のアミノ酸残基はアルギニン残基への変異である)を有する配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
2)配列番号1で示されるアミノ酸の156番目のプロリン残基がアルギニン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
3)配列番号1で示されるアミノ酸の156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
4)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
5)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
6)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
7)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
8)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
9)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列;
10)配列番号1で示されるアミノ酸配列の37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
11)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
12)配列番号1で示されるアミノ酸配列の37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
13)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
14)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
15)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
16)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
17)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
18)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
19)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
20)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、6番目のグルタミン残基がヒスチジン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;および
21)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がアラニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質。
[4].下記の(1)または(2)に示すDNAからなる遺伝子:
(1)上記[1]から[3]のいずれか記載のタンパク質をコードするDNA;
(2)上記[1]から[3]のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質をコードするDNA。
[5].上記[4]に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
[6].上記[5]に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
[7].形質転換体の宿主が大腸菌である上記[6]に記載の形質転換体。
[8].上記[6]または[7]に記載の形質転換体を培養し、培養物から上記[1]から[3]のいずれか記載のタンパク質を採取することを含む耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の製造法。
[9].上記[1]から[3]のいずれか記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質を用いた1,5−アンヒドログルシトールの測定法。
[10].1,5−アンヒドログルシトールの測定を、アルブミンを共存させて行う上記[9]に記載の1,5−アンヒドログルシトールの測定法。
[11].測定法が、レドックスメディエーターとしてフェノチアジン系化合物を用い、参照電極及び/又は対極として銀塩化銀電極を用いる電気化学的測定法である上記[9]に記載の1,5−アンヒドログルシトールの測定法。
[12].上記[1]から[3]のいずれか記載のタンパク質を含む、1,5−アンヒドログルシトール測定用キット。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素は、1,5−AGに特異的に作用し、耐熱性を有することから優れた保存安定性を示し、1,5−AGの定量試薬や酵素センサーを製品化して簡便で実用的な1,5−AG測定を実施する上で極めて有用な酵素である。また、耐熱性1,5−AG脱水素酵素を使用する1,5−AGの測定法は高感度な安定した方法となり実用化が可能となる。更に、耐熱性1,5−AG脱水素酵素を含有する1,5−AG測定用キットは保存安定性が高まり臨床現場で使用可能となる。
図1は、1,5−AG脱水素酵素Ver.0からVer.12.0を作製するまでの系統図を表すフローチャートである。 図2は、実施例1で構築したプラスミドpTrc−PS15DHを示す図である。本プラスミド中に示す1,5−AG脱水素酵素遺伝子は、1,5−AG脱水素酵素Ver.0をコードする。なお、プラスミド中の1,5−AG脱水素酵素遺伝子において1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0〜Ver.12.0をそれぞれコードする場合は、pTrc−PS15DH(Ver.1.0)〜pTrc−PS15DH(Ver.12.0)を、それぞれ示す。 図3−1は、それぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0〜Ver.5.1の変異分布を示す図である。 図3−2は、それぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素Ver.6.0〜Ver.9.0の変異分布を示す図である。 図3−3は、それぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素Ver.10.0〜Ver.12.0の変異分布を示す図である。 図4は、50例の血清検体について、本発明の吸光度法(耐熱性1,5−AG脱水素酵素にVer.7.1使用)による測定方法を用いた1,5−AG測定値と市販の1,5−AG測定試薬である「ラナ1,5AGオートリキッド」による1,5−AG測定値をプロットした図である。 図5は、50例の血清検体について、本発明の吸光度法(耐熱性1,5−AG脱水素酵素にVer.10.0使用)による測定方法を用いた1,5−AG測定値と「ラナ1,5AGオートリキッド」による1,5−AG測定値をプロットした図である。 図6は、本発明の1,5−AGの電気化学的測定に用いる電極を簡略化して示した図である。 図7は、1,5−AGの電気化学的測定における電荷量と1,5−AG量との検量線を示す図である。 図8は、23例の全血検体における本発明の電気化学的測定法を用いた1,5−AG測定値と「ラナ1,5AGオートリキッド」による血清検体における1,5−AG測定値をプロットした図である。 図9は、耐熱性1,5−AG脱水素酵素Ver.2.0、3.2及び10.0を使用して作製したセンサチップを55℃に53日間保存した時に得られた電気化学的応答を縦軸に相対的にプロットし保存安定性を示した図である。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素は、下記の(1)または(2)に示すタンパク質である:
(1)配列番号4に示すアミノ酸配列において、4番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアラニン残基に、6番目のアミノ酸残基がグルタミン残基からヒスチジン残基に、14番目のアミノ酸残基がセリン残基からスレオニン残基に、37番目のアミノ酸残基がアラニン残基からスレオニン残基またはアルギニン残基に、50番目のアミノ酸残基がプロリン残基からグルタミン残基に、67番目のアミノ酸残基がグルタミン酸残基からグリシン残基に、80番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、93番目のアミノ酸残基がバリン残基からメチオニン残基に、156番目のアミノ酸残基がアルギニン残基からプロリン残基に、164番目のアミノ酸残基がロイシン残基からメチオニン残基に、202番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からアスパラギン酸残基に、235番目のアミノ酸残基がスレオニン残基からアラニン残基に、348番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、362番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアルギニン残基に、および473番目のバリン残基がアラニン残基に変化した変異のうち、少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)上記(1)に記載の少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列において、変異したアミノ酸残基以外のアミノ酸残基の1乃至複数個のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質。
ここで、配列番号4に示すアミノ酸配列は、特許文献3記載の1,5−AG脱水素酵素生産菌であるシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)NK−85001(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター寄託番号 FERM BP−01037)から得られる1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列に相当する。そして、本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素は、上記(1)に記載される通り、配列番号4に示すアミノ酸配列において、4番目のグリシン残基からアラニン残基への変異、6番目のアミノ酸残基がグルタミン残基からヒスチジン残基への変異、14番目のセリン残基からスレオニン残基への変異、37番目のアラニン残基からスレオニン残基またはアルギニン残基への変異、50番目のプロリン残基からグルタミン残基への変異、67番目のグルタミン酸残基からグリシン残基への変異、80番目のアスパラギン残基からチロシン残基への変異、93番目のバリン残基からメチオニン残基への変異、156番目のアルギニン残基からプロリン残基への変異、164番目のロイシン残基からメチオニン残基への変異、202番目のアスパラギン残基からアスパラギン酸残基への変異、235番目のスレオニン残基からアラニン残基への変異、348番目のアスパラギン残基からチロシン残基への変異、362番目のグリシン残基からアルギニン残基への変異、および473番目のバリン残基からアラニン残基への変異のうち、少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質に相当する。
更に、本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素は、上記(2)に記載される通り、上記(1)に記載の少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列において、変異したアミノ酸残基以外のアミノ酸残基の1乃至複数個のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質に相当する。このようなタンパク質としては、好ましくは1〜20個程度、特に好ましくは2〜10個程度のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−AG脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質が挙げられる。
本発明において耐熱性1,5−AG脱水素酵素若しくは1,5−AG脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質とは、45℃10分の加熱で8%以上の1,5−AG脱水素酵素活性を保持するもの、好ましくは45℃10分の加熱で30%以上の活性を保持するもの、より好ましくは50℃10分の加熱で50%以上の活性を保持するもの、更に好ましくは55℃10分の加熱で60%以上の活性を保持するもの、より更に好ましくは60℃10分の加熱で70%以上の活性を保持するものである。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素としては、例えば、後記の図3−1、図3−2、図3−3に示すように、以下のタンパク質が好ましい:
1)上記(1)に記載の変異の内、6番目の変異以外の全ての変異(但し37番目のアミノ酸残基はアルギニン残基への変異である)を有する配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.12.0ということがある);
2)配列番号1で示されるアミノ酸の156番目のプロリン残基がアルギニン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.11.1ということがある);
3)配列番号1で示されるアミノ酸の156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.11.0ということがある);
4)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.10.0ということがある);
5)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.9.0ということがある);
6)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.8.4ということがある);
7)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.8.2ということがある);
8)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.8.1ということがある);
9)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列(以後、Ver.8.0ということがある);
10)配列番号1で示されるアミノ酸配列の37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.7.1ということがある);
11)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.7.0ということがある);
12)配列番号1で示されるアミノ酸配列の37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.6.1ということがある);
13)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.6.0ということがある);
14)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.5.1ということがある);
15)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.5.0ということがある);
16)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.4.0ということがある);
17)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.3.2ということがある);
18)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.3.1ということがある);
19)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.3.0ということがある);
20)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、6番目のグルタミン残基がヒスチジン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.2.0ということがある);および
21)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がアラニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質(以後、Ver.1.0ということがある)。
また、これらの1)から21)の各アミノ酸配列について、配列番号4に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸残基が変異したアミノ酸残基以外のアミノ酸残基の1乃至複数個、好ましくは1〜20個程度、特に好ましくは2〜10個程度のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−AG脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質も、好ましい耐熱性1,5−AG脱水素酵素として本発明に含まれる。
他方、本発明の1,5−AG脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質として、上記(1)に記載の少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列に基いて定義すれば、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、あるいは配列番号1に示すアミノ酸配列の4番目のアラニン残基、6番目のグルタミン残基、14番目のスレオニン残基、37番目のアルギニン残基、50番目のグルタミン残基、67番目のグリシン残基、80番目のチロシン残基、93番目のメチオニン残基、156番目のプロリン残基、164番目のメチオニン残基、202番目のアスパラギン酸残基、235番目のアラニン残基、348番目のチロシン残基、362番目のアルギニン残基、473番目のアラニン残基のうち、少なくとも1つが保持されたアミノ酸配列からなるタンパク質ということができる。また、上記(2)に記載のタンパク質は、保持されたアミノ酸以外の1乃至複数個のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質ということができる。
また、本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素は、1,5−AG脱水素酵素活性を阻害しない形で他のタンパク質やペプタイドが、N末端やC末端に通常の方法で融合したものでもよい。ここでいう他のタンパク質やペプタイドには、例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)やヒスチジンタグ(HisTag)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明には、上記した耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードするDNA、上記した耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ1,5−AG脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子も含まれる。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAとしては、例えば、アミノ酸配列番号1で示される耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードする配列番号2で示す塩基配列を有するDNAが挙げられる。ただし、アミノ酸配列をコードする遺伝子であれば特に限定されず、すべての遺伝子が含まれる。
本発明の上記した耐熱性1,5−AG脱水素酵素を得る方法は特に限定されないが、例えば、1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子に変異を導入してスクリーニングする方法により可能である。
1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子に変異を導入するとは、基となる耐熱性を有しない1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列中の1〜10個程度の塩基を他の塩基に置換等することにより1,5−AG脱水素酵素に耐熱性を付与する操作を施すことであり、これを繰り返すことにより更に耐熱性を向上させることができる。
上記変異を導入する基となる遺伝子としては、1,5−AG脱水素酵素を有する動物、植物、または微生物由来のいずれの遺伝子でも使用できるが、工業的な生産を考慮すると微生物由来のものが好ましい。該微生物としては、特許文献3記載のシュードモナス属細菌であるシュードモナス エスピー NK−85001(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター寄託番号 FERM BP−01037;以後、親株ということがある)が好ましい。
親株の1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列としては、配列番号4で示される配列が挙げられ、それをコードする遺伝子としては、例えば、配列番号3で示される塩基配列であるDNAが挙げられるが、1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列をコードする遺伝子であれば特に限定されず、すべての遺伝子が含まれる。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列」とは、あるDNAの塩基配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法またはプラーク・ハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味する。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、所謂特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件である。即ち、例えば相同性が高いDNA同士、少なくともある塩基配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは、約0.1〜2倍程度の濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウムと15mMクエン酸ナトリウムよりなる。)、温度約65℃程度のハイブリダイズ条件である。なお、相同性は塩基配列解析ソフト、例えば、EMBOSS等により計算される。
また、本発明における遺伝子には、DNAのみならずそのmRNA及びcDNAも含むものとする。したがって、本発明の遺伝子にはこれらのDNA、mRNA及びcDNAの全てが含まれる。
本発明において相補的な配列とは、1,5−AG脱水素酵素をコードする塩基配列に対して塩基対合則(アデニン/チミン、シトシン/グアニン)に従って形成される塩基配列をいう。
以下に、シュードモナス エスピー NK−85001株(親株)からの1,5−AG脱水素酵素をコードする配列番号3で示される遺伝子の取得方法及びその遺伝子への変異の導入方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]ゲノムDNAの抽出
菌体(微生物)からのゲノムDNAの抽出は公知の方法を適用して行うことができ、また、市販のDNA抽出キットを用いて簡便に行うことができる。市販のDNA抽出キットとしては、例えば、Puregene DNA Isolation Kit(Gentra社製)、GFX Genomic Blood DNA Purification Kit(アマシャムバイオサイエンス社製)、MagPrep Bacterial Genomic DNA Kit(Novagen社製)等が挙げられる。
[2]1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの調製
シュードモナス エスピー NK−85001株の1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列は知られていないため、1,5−AG脱水素酵素と類似の作用を示し、且つアミノ酸配列が公知の酵素と相同性を示す幾つかのアミノ酸配列から、そのアミノ酸配列が保存されている領域を指標にプライマーを設計した。
既にそのアミノ酸配列が知られていたアグロバクテリウム ツメファシエンス NT1130株(特開2000−316570号参照)の配列から、相同性検索により類似の酵素の数種、少なくも2種以上、好ましくは約3〜5種のアミノ酸配列を対比し、共通の配列または相同性の高い配列部位を選択する。選択したアミノ酸配列、例えば、配列番号5または6で示されるアミノ酸配列等をもとにオリゴヌクレオチドを設計する。設計したオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片を得る。このようなプライマーとしては、例えば、配列番号5または6に示されるアミノ酸配列に相当する塩基配列(配列番号7または8)が挙げられる。PCR反応は公知のPCR増幅装置、例えば、サーマルサイクラー等を利用し得る。PCRのサイクルは、デナチュレーション→アニーリング→エクステンションを1サイクルとして、約10〜100サイクル、好ましくは約20〜50サイクル程度行うのが好ましい。
PCRにて得られたDNA断片は適当なクローニングベクター、例えば、pGEM−T Easy Vector(プロメガ社製)へサブクローニングするか、直接アガロースゲル電気泳動後、増幅されたDNAのバンドを切り出して抽出し、この抽出したDNAの塩基配列を決定する。pGEM−T Easy Vectorへサブクローニングした場合は、次いで、前記ベクターを、例えば、大腸菌(E.coli)JM109菌株等に導入し、該菌株を形質転換体とする。この形質転換された菌株を適当な抗生物質(例、アンピシリン、クロラムフェニコール等)を含む培地で培養し、培養物から菌体を回収する。
回収された菌体から常法、例えばQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)等を用いてプラスミドDNAを抽出する。この抽出されたプラスミドDNAの塩基配列を決定することにより、本発明の1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分配列を含むDNA断片を取得することができる。
得られたDNA断片の塩基配列は、例えば、ジデオキシヌクレオチド酵素法等の公知の方法を応用して決定することができる。また、キャピラリ電気泳動システムを用い、検出には多色蛍光技術を使用する、例えば、ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ社製)等を使用して自動的に分析することも可能である。
上記のようにして、1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAは、その部分配列を含むDNA断片の塩基配列を決定し、例えば、配列番号3の塩基配列の19番目から1434番目に相当する塩基配列と決定し得る。次いで、該塩基配列をアミノ酸配列に翻訳して解析する。その結果、翻訳されたアミノ酸配列は、配列番号4に示すアミノ酸の7番目から480番目までに相当し得る。
1,5−AG脱水素酵素をコードするDNA全体を含むDNA断片を得るには、親株の染色体DNAライブラリーを作製し、上記1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片(例えば、配列番号3の19番目から1434番目に相当する塩基配列;以下同様である。)をプローブとするサザンハイブリダイゼーションにより、1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAを含む染色体DNAを単離する方法が挙げられる。
上記の親株より抽出した染色体DNAを適当な制限酵素、例えば、HindIII或いはNcoI等を用いて分解し、アガロースゲルによる電気泳動後、この断片をナイロンメンブレン(Hybond N+、アマシャム社製)に移し取り、前記の1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片をプローブとして用いたサザンハイブリダイゼーションを行う。
上記操作によって、1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片を含むシュードモナス属菌、例えば、シュードモナス エスピー NK−85001株の染色体DNA制限酵素断片が7kb以内であれば、この制限酵素断片のセルフライゲーションを行う。このようにして1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片を含む環状DNAを取得することができる。
次に、上記にて取得した環状DNAを鋳型とし、前記にて決定された1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片をもとに設計されたプライマーを用いてインバースPCRを行う。このようなプライマーとして、例えば、配列番号3の81〜102番目及び1286〜1307番目に示される塩基配列に相当する部位を選び、その塩基配列またはその相補配列、例えば、配列番号9または10を設計することができる。
上記インバースPCRにて得られたDNA断片は1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの両末端側を含む断片である。この断片をアガロースゲル電気泳動の後、ゲルから切り出して抽出し直接塩基配列を決定するか、適当なクローニングベクター、例えば、pGEM−T Easy Vector(プロメガ社製)へサブクローニングし、大腸菌JM109株を形質転換し、このプラスミドにより挿入されたDNAの塩基配列を決定することにより、基となる耐熱性を有しない、シュードモナス エスピー NK−85001株(親株)からの1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAを決定することができる。
上記サザンハイブリダイゼーションによりハイブリダイズした1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAを含む制限酵素切断断片としては、シュードモナス エスピー NK−85001株染色体DNAを制限酵素HindIIIで切断して得られる大きさ約4kbのDNA断片、或いは、制限酵素NcoIで切断して得られる大きさ約5kbのDNA断片を挙げることができる。このDNA断片の塩基配列を決定したところ、オープンリーディングフレームの存在が確認され、その構造遺伝子領域は配列表の配列番号11に示すアミノ酸配列中のアミノ酸番号1〜497の497個のアミノ酸配列をコードする1491塩基対から構成されることがわかった。
[3]組換えDNAの調製
次に、配列番号11で示される1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子のオープンリーディングフレームのN末端及びC末端配列の塩基配列をもとにオリゴヌクレオチドを設計する。設計したオリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記で抽出したゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAを得る。このようなプライマーとしては、例えば、配列番号12または13の塩基配列で示されるプライマーが挙げられる。配列番号12の塩基配列で示されるプライマーは1,5−AG脱水素酵素のN末端配列の上流に制限酵素NcoI及びEcoRIの認識配列を、配列番号13の塩基配列で示されるプライマーは1,5−AG脱水素酵素のC末端配列の下流に制限酵素BamHIの認識配列をそれぞれ追加したものである。なお、前記認識配列は前記に限定されず、後記するベクターが有するマルチクローニング部位に含まれる制限酵素の認識配列との関係から適宜選択するのが好ましい。
PCRによって得られたDNA断片を制限酵素、例えば、EcoRIと制限酵素BamHI等で処理し、同じく両制限酵素で処理した発現ベクターと連結させることにより発現ベクターを得ることができる。該発現ベクターを公知の方法で、例えば、大腸菌等の微生物に導入し上記遺伝子のクローニングを行ない得る。
大腸菌等の微生物への遺伝子の導入及び該遺伝子の発現は、通常の遺伝子工学実験の方法により行えばよい。大腸菌等の種々の微生物のベクターの情報や外来遺伝子の導入・発現法は、多くの実験書(例えば、Sambrook,J.,Russel,D.W.,Molecular Cloning A Laboratory Manual,3rd Edition,CSHL Press,2001)に記載されているので、それらに従ってベクターの選択、遺伝子の導入、発現を行うことができる。
続いて、耐熱性を有する1,5−AG脱水素酵素を得るための方法を後記の実施例の方法を中心に説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
基となる耐熱性を有しない1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子への変異の導入について説明する。
クローニングされた親株由来の該遺伝子を市販の変異導入用キット等を用いて処理すればよい。即ち、1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子が挿入されたベクターを用いて、変異導入用キットを該キットのプロトコール等に従い実施することにより、1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子に非常に高い頻度でランダムに変異が導入され、同時に該変異した遺伝子(以下、変異遺伝子という。)がPCRにより増幅され得る。このような変異導入用キットとしては、例えば、Mutazyme DNA polymeraseを含むGeneMorph Random Mutagenesis Kit(Stratagene製)、GeneTailor(登録商標)Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、Mutan(登録商標)−Super Express Km(タカラバイオ社製)またはDiversity PCRランダム突然変異誘発キット(BDバイオサイエンス社製)等が挙げられるが、これに限定されない。
また、基となる耐熱性を有しない1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子へ部位特異的変異を導入するために、例えば、特定の部位のアミノ酸残基が置換された変異を導入するために、あるいは特定の部位が欠失した変異を導入するために、それらの変異を有するプライマーを用いてPCRにより増幅することにより、部位特異的変異を導入することができる。また、異なる変異を有する1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子を含む2つのプラスミドDNAを繋ぎ合わせることにより、より多くの変異が導入された遺伝子を得ることができる。また、変異を有する1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子をPCRで増幅する際に、異なる変異を有するプライマーを用いて増幅することにより、更に、変異を導入することもできる。
変異導入用キットにより遺伝子に変異が導入され増幅された変異遺伝子のPCR産物を、DNA精製用キットを用いて精製するのが好ましい。該精製用キットとしては、例えばQIAquick PCR purification Kit(Qiagen社製)、SpinClean(登録商標)PCR Purification Kit(Mbiotech社製)、AMPure(登録商標)PCR産物クリーンアップキット(パーキンエルマー社製)、JETFLEX Genomic DNA Purification Kit(Genomed社製)、GFX 96 PCR Purification Kit(Amersham)、AutoSeq G−50(Pharmacia)等が挙げられるが、これに限定されない。
精製した変異遺伝子のPCR産物を前記した二種類の制限酵素、例えば、EcoRIとBamHI等で切断した後、アガロースゲルからDNAの精製を行うのが好ましい。該精製は市販キットを使用することができ、例えば、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen社製)またはS.N.P.UV−Free Gel Purification Kit(Invitrogen社製)等を使用し得るが、これらに限定されない。精製された変異遺伝子のPCR産物は、適当な発現用ベクターに挿入し宿主を形質転換し、変異遺伝子ライブラリーを構築し得る。
発現用ベクターとしては、例えば、細菌プラスミド(pBluescript SK+、pBluescript KS+、pUC18、pUC19、pBR322、pET16b、pET21d(+)、pET32a(+)、pCITE4a、pGEX−5X−1、pGEX−5X−3、pMAL−p2、pMAL−c2、pBridge Vecto、pKF18k DNA、pKF19k DNA、pTrc99A(アマシャムバイオサイエンス社製)、pSPORT 1、Charmomid 9−36 DNA、pEU−DFR、pIVEX 2.3−MCS、pIVEX 2.4c、pIVEX 2.4b Nde、pIVEX 2.4a等);ファージDNA(ランダムファージ等);酵母プラスミド(pG−1等);哺乳類細胞用のベクターとしてのバキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノアイルス等のウイルスDNA;SV40とその誘導体等が挙げられ、宿主において複製可能である限り他のいかなるベクターも用いることができる。
また、宿主細胞内で外来タンパク質を安定化且つ可溶化させて発現するために用いられるシャペロンをコードする遺伝子が組み込まれたベクター(例えば、pG−KJE8、pGro7、pKJE7、pG−Tf2、pTf16等;いずれもタカラバイオ社製)を、宿主内に共存させることもできる。
ベクターには、例えば、複製開始点、選択マーカー、プロモーターを含み、必要に応じてエンハンサー、転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル等を含んでもよい。ベクターは、種々の制限酵素部位をその内部にもつポリリンカーを含んでいるか、または単一の制限酵素部位を含んでいることが望ましい。制限酵素部位としては、例えば、EcoRI、BamHI、PstIサイト、NcoIサイト、SalIサイト、KpnIサイトまたはHindIIIサイト等が挙げられる。これら制限酵素サイトは、各々制限酵素EcoRI、BamHI、PstI、NcoI、SalI、KpnIまたはHindIII等で切断され得る。
ベクターへの遺伝子導入は公知の手段を適用して行うことができる。即ち、ベクター中の特定の制限酵素部位(例えば、EcoRI、BamHI等)を特定の制限酵素(例えば、EcoRI、BamHI等)によって切断し、その切断部位に本発明の遺伝子を挿入するのが好ましい。さらに用いるベクターによってはN端、もしくはC端、あるいはその両方に指標となるタンパク質、たとえばGST、HisTagなど融合した形で本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素を産生する形で遺伝子導入することも出来る。例えば、上記pET16bを発現ベクターに使った場合には特定の蛋白分解酵素で分解切除できるHisTagがN端に融合した形で本発明の1,5−AG脱水素酵素を産生することができる場合がある。このようにして本発明の遺伝子を含む組換えベクターが調製される。
[4]形質転換体の創製
宿主としては、例えば、大腸菌(例えば、大腸菌JM109菌株、BL21(DE3)菌株等)、コリネバクテリウム属菌、バチルス属菌、ストレプトミセス属の放線菌、枯草菌等の細菌;例えば、アスペルギルス属菌株等の真菌細胞;例えば、パン酵母、メタノール資化性酵母等の酵母細胞;例えば、ドロソフィランS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞;例えば、CHO、COS、BHK、3T3、C127等のヒト培養細胞を含む哺乳類細胞;あるいはこれらのコンピテントセル等が挙げられ、好ましくは大腸菌のコンピテントセルである。
形質転換は、例えば、塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション法、電気穿孔法等の方法で行うことができる。即ち、例えば、上述の変異遺伝子が挿入された発現ベクターと大腸菌JM109のコンピテントセルと混合することにより、形質転換体である微生物を得ることができる。
[5]形質転換体の培養
上記の変異遺伝子が挿入された発現ベクターにて形質転換された微生物(以下、単に形質転換微生物という。)は下記する微生物培養培地等で、培養温度約20〜40℃、培養時間約1〜7日間、培地のpH約5.0〜8.0程度で培養されることが好ましい。
[6]耐熱性1,5−AG脱水素酵素を産生する変異株の選択法
耐熱性1,5−AG脱水素酵素を産生する変異株を上記の遺伝子ライブラリーから選択するためのスクリーニングは、例えば、96穴のディープウェルプレート等を用いて、少量の培養で迅速に行うことができる。即ち、前記変異遺伝子ライブラリーのコロニーを、例えば、コロニーピッカー等により選抜し、該コロニーの菌体(微生物)を、例えば、96穴のプレートを用いて約0.1〜1.0mL、好ましくは約0.5mLの微生物培養培地等で培養を行ない菌体を得る。この菌体を約50〜70℃、約10〜120分、好ましくは約30分間加熱処理を行なう。この処理菌体と1,5−AGと発色基質を含む反応液を室温で約10〜240分間反応を行なわせ、発色基質の発色や退色等の変化により1,5−AG脱水素酵素の残存を確認することができる。かくして、加熱処理後も1,5−AG脱水素酵素活性が残存する耐熱性の1,5−AG脱水素酵素変異体を得ることができる。
[7]耐熱性1,5−AG脱水素酵素活性の測定
1,5−AG脱水素酵素活性の測定は、例えば、1,5−AGあるいはL−ソルボースを含む反応液に、発色基質と電子キャリアーの存在下、形質転換微生物から調製した無細胞抽出液を添加し、好ましくは4〜50℃、特に好ましくは25〜40℃で、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは1〜30分間、特に好ましくは1〜10分間インキュベートしつつ吸光度の変化を計測することにより行うことができる。
因みに、1,5−AG脱水素酵素の基質として、1,5−AGの代わりにL−ソルボースを用いることができるのは、1,5−AG脱水素酵素の基質特異性が1,5−AGとL−ソルボースで同程度であることによる。なお、臨床検体中にはL−ソルボースは含まれておらず、実用上、1,5−AGの測定を妨害することはない。
無細胞抽出液としては、形質転換微生物を、例えば、水媒体中で超音波やガラスビーズ等で破砕した後の1,5−AG脱水素酵素を含む遠心分離上清等が挙げられる。
変異導入前と変異導入後の無細胞抽出液中の1,5−AG脱水素酵素活性を45〜60℃、10〜30分加熱処理する前と後とを比較することにより、変異導入によって耐熱性が向上した1,5−AG脱水素酵素を確認することができる。
[8]耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列の決定
前記のスクリーニングにより得られた形質転換微生物の菌株を約50〜200μg/mL、好ましくは約100μg/mLのアンピシリンを含む微生物培養培地(例えば、LB培地等)で、約20〜40℃で約1時間〜48時間、静置若しくは攪拌下に培養し、その培養液から遠心分離により菌体(微生物)を取得できる。得られた菌体からプラスミドDNAを抽出する。プラスミドDNAの抽出は、公知の方法を応用して行うことができ、また、市販のDNA抽出キットを用いてプラスミドDNAを簡便に抽出できる。市販のプラスミド抽出キットとしては、例えば、QIAquick Plasmid Purification Kit(Qiagen社製)等が挙げられる。この抽出されたプラスミドDNAの塩基配列を決定することにより、本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードする全DNAを決定することができる。
このようにして耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの塩基配列を決定でき、前記の配列番号2で示される塩基配列を含む遺伝子は、親株由来の1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子である配列番号3で示される塩基配列の11番目のグアニンがシトシン、40番目のチミンがアデニン、99番目のチミンがシトシン、109番目のグアニンがアデニン、110番目のシトシンがグアニン、111番目のアデニンがグアニン、149番目のシトシンがアデニン、200番目のアデニンがグアニン、238番目のアデニンがチミン、277番目のグアニンがアデニン、467番目のグアニンがシトシン、490番目のシトシンがアデニン、604番目のアデニンがグアニン、703番目のアデニンがグアニン、1042番目のアデニンがチミン、1084番目のグアニンがアデニン、1418番目のチミンがシトシンに変異した遺伝子である。
次いで該塩基配列をアミノ酸配列に翻訳して解析すると、配列番号1に示す耐熱性1,5−AG脱水素酵素の全アミノ酸配列を決定することができ、配列番号1で示される1,5−AG脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号4で示される親株由来の1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列の4番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアラニン残基に、14番目のアミノ酸残基がセリン残基からスレオニン残基に、37番目のアミノ酸残基がアラニン残基からアルギニン残基に、50番目のアミノ酸残基がプロリン残基からグルタミン残基に、67番目のアミノ酸残基がグルタミン酸残基からグリシン残基に、80番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、93番目のアミノ酸残基がバリン残基からメチオニン残基に、156番目のアミノ酸残基がアルギニン残基からプロリン残基に、164番目のアミノ酸残基がロイシン残基からメチオニン残基に、202番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からアスパラギン酸残基に、235番目のアミノ酸残基がスレオニン残基からアラニン残基に、348番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、362番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアルギニン残基に、473番目のバリン残基がアラニン残基に変化したものである。
次に、変異遺伝子を含む形質転換微生物から耐熱性1,5−AG脱水素酵素の製造法を以下に説明するが、特にこの方法に限定される訳ではない。
[1]形質転換微生物の培養
該微生物の培養培地としては、通常の微生物の培養に使用される培地であれば好ましく用いることができ、例えば、炭素源、窒素源、無機塩類及びその他の栄養物質等を含有する天然培地または合成培地等が挙げられる。
炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、シュクロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトールまたはグリセリン等の糖質や糖アルコール;酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸またはグルコン酸等の有機酸;エタノールまたはプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。また、所望によりノルマルパラフィン等の炭化水素等も用いることができる。炭素源は、1種単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
炭素源の培地における濃度は、通常0.1〜10重量%程度である。
窒素源としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機若しくは有機アンモニウム化合物、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウム等の無機硝酸塩、尿素、アンモニア水等が挙げられる。また、NZ−アミンやアミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用可能である。窒素源は、1種単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
窒素源の培地における濃度は使用する窒素化合物によっても異なるが、通常0.1〜10重量%程度である。
無機塩類としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルトまたは炭酸カルシウム等が挙げられる。無機塩は、1種単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
無機塩類の培地における濃度は使用する無機塩によっても異なるが、通常約0.01〜1.0重量%程度である。
その他の栄養物質としては、例えば、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物または動植物若しくは微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。
栄養物質の培地における濃度は使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10重量%程度である。
培地のpHは約5.0〜8.0程度が好ましい。
好ましい微生物培養培地としては、LB(Luria−Bertani培地;トリプトン10g/L、酵母エキス5g/L、食塩10g/L)、NZYM培地、Terrific Broth、SOB培地、2xYT培地、AHC培地、x1776培地、M9培地、YPD培地、SD培地、YPAD培地またはSuper broth培地等が挙げられる。また、所望によりビタミン類、抗生物質(例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン等)、遺伝子の発現誘導物質(例えば、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド、アラビノース、テトラサイクリン等)を含んでもよい。培養条件、例えば、温度、培地のpH及び培養時間は、前記耐熱性1,5−AG脱水素酵素の生産量が増加するように適宜選択すればよい。
[2]1,5−AG脱水素酵素の精製
上記のとおり、前記耐熱性1,5−AG脱水素酵素を発現させた宿主である微生物(例えば、大腸菌JM109菌株等)の菌体は、遠心分離等の操作により培養液から採集することができる。得られた菌体を各種適切な緩衝液に懸濁した後、ソニケーション等の機械的処理やリゾチーム処理等の酵素処理を行い、菌体を破砕或いは溶菌した後、遠心分離等の操作により耐熱性1,5−AG脱水素酵素を含む無細胞抽出液を得ることができる。更に、塩析、各種アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等の精製操作を目的に応じて組合わせて適用し、耐熱性1,5−AG脱水素酵素を精製することができる。
さらに、耐熱性1,5−AG脱水素酵素が他のタンパク質との融合タンパク質の形で該形質転換体の中で生産される場合にはそのタンパク質を指標に耐熱性1,5−AG脱水素酵素を精製することができる。例えば、HisTag融合タンパク質なら、HisGraviTrap(GEヘルスケアバイオサイエンス)などの市販のキットで精製することも出来るし、上記精製方法と組み合わせることで精製度をあげることも出来る。
続いて、本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素を使用する1,5−AGの測定法について説明する。
[3]1,5−AGの測定法
本発明の1,5−AGの測定法には、血液(全血、血清または血漿)、尿、髄液等の臨床検体を使用することができ、該測定法により該臨床検体中の1,5−AG濃度を高精度で、正確な測定が可能である。血液中の1,5−AGは血糖のコントロール状態をよく反映するため、本発明の1,5−AGの測定法は糖尿病や食後高血糖の診断に有用である。
本発明の1,5−AGの測定法としては、例えば、還元性発色剤を還元発色させて吸光度を測定し1,5−AGを定量する吸光度法や酸化型のレドックスメディエータを還元型とし電極上で酸化型に戻す時に生ずる電気化学的シグナルを測定して1,5−AGを定量する電気化学的方法等がある。
吸光度法にも種々の方法が考えられるが、本発明の1,5−AGの測定法においては、電子受容体の存在下若しくは非存在下、還元性発色剤を還元発色させる方法を使用することができる。中でも電子受容体の非存在下において、直接、還元性の発色剤を還元発色させる方法が好ましい。還元発色させる発色基質としては、例えば、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウムクロリド(INT)、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT)、3,3’−[3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジイル]−ビス[2−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウムクロリド](NTB)、3,3’−[3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジイル]−ビス[2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムクロリド](TB)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム1ナトリウム塩(WST−1)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム1ナトリウム塩(WST−3)、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)等が挙げられる。好ましくはWST−1が挙げられる。
また、電子受容体の存在下に還元性の発色剤を還元して定量する方法の場合に使用する電子受容体としては特に制限はないが、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(1−m−PMS)やジアホラーゼ等が好ましく、これらを共存させると還元反応を増強でき、測定感度を上げることができる場合がある。
電気化学的方法にも種々の方法が考えられるが、本発明の1,5−AGの測定法においては酸化還元反応に関与する電子の授受の仲立ちを担うレドックスメディエータを使用して測定する方法等を使用することができる。該レドックスメディエータとしては、酸化型メディエータまたは還元型メディエータが挙げられ、酸化型メディエータが好ましく、中でもオスミウム錯体、キノン系化合物、フェロセン系化合物、フェノチアジン系化合物、フェノキサジン系化合物、フェナジン系化合物、インドフェノール系化合物、ジフェニルアミン系化合物がより好ましい。
該オスミウム錯体としては[Os(III)(ビピリジル)(イミダゾイル)Cl]Clやそのポリマー体が挙げられる。
該キノン系化合物としてはベンゾキノン、2−メチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシベンゾキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、ピロロキノリンキノン(PQQ)やユビキノンが挙げられる。
該フェロセン系化合物としてはフェロセニルPEG、フェロセニルTMA、N,N−ジメチルアミノメチルフェロセンやフェロセンメタノールが挙げられる。
該フェノチアジン系化合物としてはチオニン、メチレンブルー、メチレングリーン、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7’−ビス(ジメチルアミノ)−フェノチアジンナトリウム塩、トルイジンブルー、アズールI、アズールB、アズールA、アズールC、ニューメチレンブルーやベンゾイルロイコメチレンブルーが挙げられる。
該フェノキサジン系化合物としてはメルドラブルーが挙げられる。
該フェナジン系化合物としてはフェナジンメトサルフェート、1−m−PMS、サフラニンやフェノサフラニンが挙げられる。
該インドフェノール系化合物としてはDCIPが挙げられる。
該ジフェニルアミン系化合物としては4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン(BG)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ジフェニルアミンナトリウム塩、N−メチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン塩酸塩、N−メチル−N−(3−メトキシフェニル)−1,4−フェニレンジアミン塩酸塩等が挙げられる。
中でも好ましいレドックスメディエータとしては、チオニンアセテート、チオニンクロリド、メチレンブルー等が挙げられる。
レドックスメディエータとしてはその他に、フェリシアン系化合物(例えば、フェリシアン化カリウム等)、ルテニウム錯体若しくはそのポリマー体、ビピリジン系化合物(例えば、メチルビオローゲン等)、トリフェニルメタン系化合物(例えば、マラカイトグリーンやTPM−PS等)、ベンゾチアゾリン系化合物(例えば、2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールやそのスルホン酸塩等)、シアニン系化合物(例えば、ガロシアニン、フタロシアニンやフィコシアニン等)、アゾ系化合物(例えば、マゼンタJ−3GL,イエローC−Y9やブラックC−BK4等)、ビピリジルアゾ系化合物(例えば、5−Br−PSAA,5−Br−PAPSやTAMSMB等)、アニリン若しくはその誘導体(例えば、DAPS,HALPS,ADPS,ALPS,TOOS,ALOS等)、ポリアニリン若しくはその誘導体、フェノール系化合物(例えば、p−アミノフェノール等)、フェニレンジアミン系化合物(例えば、バリアミンブルーBや2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等)、ローダミン系化合物(例えば、ローダミンB等)、キサンテン系化合物(例えば、ピロニンY、ピロニンBやフルオレセインナトリウム等)、イソアロキサジン系化合物(例えば、リボフラビンやFAD等)、インジゴ系化合物(例えば、インジゴトリスルホン酸やインジゴカーミン等)、フェナントロリン系化合物(例えば、バソクブロインスルホン酸ナトリウムやバソフェナントロリンスルホン酸ナトリウム等)、スルホフタレイン系化合物(例えば、メチルチモルブルー等)、ベンチジン系化合物(例えば、TMBZ,TMBZ・PS,DABやアニシジンブルー等)、テトラゾリウム系化合物(例えば、WST−1,MTT,Nitro−TBやXTT等)、チトクロムCやルミクロム、フェレドキシン類、EDTA類、L−アスコルビン酸、FAD、NADやNADP等も使用できる。
電気化学的方法で使用する電極としては、例えば、金、白金、カーボン、パラジウムまたは銀、銀塩化銀等の電極が挙げられる。
電極は2電極であっても3電極であってもよいが、2電極の場合は作用極がカーボン、対極が銀塩化銀である電極が好ましく、3電極の場合は作用極と対極がカーボン、参照極が銀塩化銀である電極が好ましい。
測定方法としてはアンペロメトリー法(電流測定方法)、クーロメトリー法(電量測定方法)、電位スイープ法やサイクリックボルタンメトリー法等が挙げられ、中でもアンペロメトリー法あるいはクーロメトリー法が好ましい。
測定電位については−1.0V〜1.0Vの範囲で至適な電位を選択すればよく、生体成分の影響を受けにくい0V付近の−0.2V〜0.2Vの範囲が好ましい。
1,5−AGはグルコースの1位の位置が還元された化合物であり、グルコースと極めて似た化学構造をしているため、1,5−AGの測定に使用する多くの酵素はグルコースとも反応する。健常者の血中には1,5−AGに比べて20倍以上と遥かに多量のグルコースが含まれており、1,5−AGを酵素を用いて測定するためにはグルコースを何らかの方法で1,5−AGを測定するための酵素と反応しないように消去または変換しなければならない。また、この変換により生成したグルコース誘導体が、更に1,5−AGを測定するための酵素と反応する場合には、その誘導体も消去または変換しなければならない。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素も後記のように低いながらもグルコースとも反応する酵素であるため、より正確な1,5−AG測定を行うにはこの工程を組み合わせることが好ましい。
グルコース及び/またはその誘導体を消去、または測定に干渉しない物質へ変換する方法としては、イオン交換樹脂を用いて吸着・除去する方法に代表される方法や酵素的に変換する方法等がある。この両方法を組み合わせて行ってもよいが、酵素的に変換する方法が好ましい。
酵素的に変換する方法としては、例えば、グルコースを酵素的酸化または酵素的リン酸化する方法が挙げられ、好ましくは、ヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼによるグルコースをリン酸化する方法であり、特に好ましくは、例えば、マグネシウムイオン、ATP、ホスホエノールピルビン酸(PEP)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の存在下でヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼによって行われる酵素サイクリング法によるグルコースをリン酸化する方法である。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素を用いて1,5−AGを測定する際に、アルブミン等の蛋白を共存させる1,5−AGの測定法も本発明に含まれる。
アルブミンとしてはウシ血清アルブミンが好ましい。アルブミン等の蛋白の共存により、耐熱性1,5−AG脱水素酵素が活性化され、測定感度が上がり、測定セル等への該酵素の吸着が抑制され、その結果、1,5−AGの繰り返し測定が可能となった。
本発明の測定キットには、例えば、検査センター等で使用される多数検体処理のための汎用の自動分析装置用の診断キット、中小病院等でも使用されるPoint of Care Testing(POCT)用の診断キット、ベッドサイドや家庭用の診断キットとして使用することが可能な自己測定用キット等がある。
汎用の自動分析装置用の診断キットは、通常、液状タイプの2試薬(R1及びR2)より構成されており、本発明の測定キットにも適用できる。例えば、R1は先に述べたようにグルコース等1,5−AGの測定を妨げる成分を測定に影響が出ないように処理する試薬組成物より主に構成され、R2は本発明の1,5−AG脱水素酵素を含む試薬組成物より主に構成される。吸光度法であれば、前記の還元性発色剤をR1若しくはR2の試薬組成物の一つとして組み込めばよい。
POCT用の診断キットについても同様の原理を更にコンパクトに専用の容器に封入したり、試薬組成物を乾燥したりしたキットとして構成できる。
ベッドサイドや家庭用の自己診断用キットとは、電気化学的測定法である自己血糖測定(SMBG)キットのごとく、前記のレドックスメディエータと本発明の1,5−AG脱水素酵素を主要な試薬組成物として組み込んだ測定チップに加え、血液採取のための穿刺器具(ランセット)や測定器等から構成できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本発明において配列中、aはアデニン、gはグアニン、cはシトシン、tはチミンを示す。本明細書において%は特に断らない限り質量%を意味する。
親株由来の1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAが増幅発現された形質転換体の作製と該DNA高発現の確認
(A)シュードモナス エスピー NK−85001の全DNAの抽出
シュードモナス エスピー NK−85001からのゲノムDNA抽出には、PUREGENE DNA Isolation Kit(Gentra社製)を用いた。まず、ポリペプトン1%、酵母エキス0.2%、硫酸マグネシウム7水和物0.1%(pH7.0)からなる栄養培地2mLにシュードモナス エスピー NK−85001を接種して28℃にて一晩培養し、この培養液を2mLのマイクロチューブに移し、10,000rpmで5分間遠心した。上清を捨て、得られたペレットをキットに添付のCell Lysis Solution 600μLに懸濁した。その後、キットの使用説明書に従い、DNAを抽出した。得られたDNAは、DNA Hydration Solution 100μLに溶解し、65℃、1時間熱処理した後、4℃または−20℃で保存した。尚、260nmの吸光度から計算したDNA濃度は0.3μg/μLであった。
(B)プライマーの選択
1,5−AG脱水素酵素と同じ作用を示す1,5−AG脱水素酵素の生産微生物として知られているアグロバクテリウム ツメファシエンス NT1130の遺伝子配列を基に、相同性検索を実施し、リゾビウム エトリ(Rhizobium etli)CFN42株(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,103(10),3834−3839(2006))、シノリゾビウム メリロティ(Sinorhizobium meliloti)1021株(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,98(17),9877−9882(2001))、ブルセラ メリテンシス バイオバー アボルタス(Brucella melitensis biovar Abortus)2308株(Infect.Immun.,73(12),8353−8361(2005))の3菌株の類似酵素を選択した。これら4種のアミノ酸配列において保存されている領域を検討し、プライマー部位として共通配列と思われる配列番号5または6のアミノ酸配列をもとに、配列番号7または8に示す塩基配列を設計した。
(C)PCR反応
配列番号7または8に示すプライマーを用いて上記(A)にて調製した染色体DNAを鋳型としてPCRを行なった。PCR反応にあたってはパーキンエルマー社製若しくはアプライドバイオシステムズ社のサーマルサイクラーにより、タカラバイオ社製のLA−PCRキットを用いて下記の条件で行った。
反応液:2XGC BufferI: 25μL
dNTP Mixture(各2.5mM): 8μL
鋳型DNA(0.3μg/μL): 0.5μL
プライマー(20pmol/μL): 各0.5μL
TaKaRa LA Taq(5U/μL): 0.5μL
蒸留水: 15μL
PCRサイクル:デナチュレーション:94℃、30秒
アニーリング: 50℃、30秒
エクステンション: 72℃、90秒
以上を1サイクルとし、計30サイクル行った。
本反応により生成したDNA断片を1%のアガロースゲルを用いた電気泳動を行って検出したところ、約1400bpの断片を確認することができた。
(D)増幅断片の塩基配列の決定
(C)の約1400bpのバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel extraction kit(Qiagen社製)により精製した。260nmの吸光度から計算したDNA濃度は22ng/μLであった。この精製DNAの塩基配列の決定を行った結果、配列番号3に示す塩基配列の19番目から1434番目に相当する配列となることが分かり、これに相当するアミノ酸配列は配列番号4に示すアミノ酸配列の7番目から480番目に相当する部分となることが明らかとなった。なお、塩基配列の決定にはアプライドバイオシステムズ社製のABI PRISM 3100−Avant Genetic Analyzerを使用して行った。
(E)ゲノミック・サザンハイブリダイゼーション
(A)にて得られた染色体DNA0.9μgに制限酵素EcoRI、KpnI、BamHI、HindIII、XbaI、SphI、PstI、NcoIをそれぞれ40units加え、37℃にて21時間反応させ完全分解し、アガロースゲル電気泳動に供した後、アガロースゲルをナイロンメンブレン(Hybond N+、アマシャム社製)に移しとった。前記にて取得した1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAの部分断片をアマシャム社製のGene Images random prime labeling moduleキットを用いてフルオレセイン標識化し、これをプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行った。検出についてはアマシャム社製のCDP−Star Detection Moduleを用いた化学発光検出を行った。
その結果、染色体DNAをHindIII処理した場合約4kb、NcoI処理した場合約5kbの位置に上記プローブがそれぞれ強くハイブリダイズした。
(F)インバースPCR
(E)にて得られた0.9μgのHindIII断片を、16μLのTE(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)に溶解し、8μLのLigation high(東洋紡社製)を添加し、16℃にて60分反応(セルフライゲーション)させ、環状DNAを取得した。この環状DNAを鋳型として、配列番号9及び10に示すプライマーを用いてPCRを行った。プライマーの設計は上記(D)にて決定されたDNA断片の塩基配列をもとに行った。PCR反応にあたってはアプライドバイオシステムズ社製のサーマルサイクラーを用いて下記条件で行った。
反応液:2XGC BufferI: 25μL
dNTP Mixture(各2.5mM): 8μL
鋳型DNA(0.04μg/μL): 5μL
プライマー(20pmol/μL): 各1μL
TaKaRa LA Taq(5U/μL): 0.5μL
蒸留水: 9.5μL
PCRサイクル:デナチュレーション:96℃、20秒
アニーリング: 60℃、30秒
エクステンション: 72℃、300秒
以上を1サイクルとし、計35サイクル行った。
本反応により生成したDNA断片を1%のアガロースゲルを用いた電気泳動を行って検出したところ、約3kbpの断片を確認することができた。
(G)1,5−AG脱水素酵素全塩基配列の決定
(F)にて得られたDNA断片を(D)と同様の操作でゲルより切り出して、QIAquick Gel extraction kit(Qiagen社製)により精製した。260nmの吸光度から計算したDNA濃度は、90ng/μLであった。
この精製DNAの塩基配列の決定を行った結果、HindIIIにて処理された1,5−AG脱水素酵素をコードするDNAを含むDNA断片の塩基配列は、配列番号11に示す塩基配列であることが分かり、このうち1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子配列は、配列番号11に示す塩基配列の201番目から1691番目に相当する配列となることが分かった。また、1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列は配列番号11に示す全長497個のアミノ酸が繋がったポリペプチド鎖であることが明らかとなった。
(H)1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子の増幅
(A)で取得したシュードモナス エスピー NK−85001の染色体DNAより1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子をPCR反応により増幅するためプライマーを合成した。即ち、上記(G)で明らかとなった1,5−AG脱水素酵素遺伝子のオープンリーディングフレームのN末端及びC末端部分の塩基配列を利用し制限酵素の認識配列として、N末端の前にNcoI及びEcoRI認識配列を追加した配列番号12で示すプライマーと、C末端の後にBamHI認識配列を追加した配列番号13で示すプライマーを合成した。
これらのDNAプライマーを用いて下記PCR条件にて1,5−AG脱水素酵素遺伝子の増幅を行った。
反応液:2XGC BufferI: 25μL
dNTP Mixture(各2.5mM): 8μL
鋳型DNA(0.3μg/μL): 1μL
プライマー(20pmol/μL): 各0.5μL
TaKaRa LA Taq(5U/μL): 0.5μL
蒸留水: 14.5μL
PCRサイクル:デナチュレーション:94℃、40秒
アニーリング: 63℃、30秒
エクステンション: 72℃、120秒
以上を1サイクルとし、計35サイクル行った。
本反応により生成したDNA断片を1%のアガロースゲルを用いた電気泳動を行って検出したところ、約1500bpの断片を確認することができた。
(I)組換え1,5−AG脱水素酵素発現ベクターの作製
(H)で得られた1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子を、制限酵素EcoRI及びBamHIで切断して分離し、発現ベクターpTrc99A(アマシャムバイオサイエンス社製)に挿入することにより発現させた。即ち、上記(H)におけるPCRにより増幅された1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子断片を含むPCR溶液をQIAquick PCR purification kit(Qiagen社製)により精製し、各々10Uの制限酵素EcoRI及びBamHIを用いて37℃で3時間切断反応を行った。反応後の溶液を1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約1500bpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel extraction kit(Qiagen社製)により精製した。
次に、1μgのpTrc99Aを各10Uの制限酵素EcoRI及びBamHIを用いて37℃で一晩静置し、pTrc99Aの制限酵素部位の切断反応を行った。反応後の溶液を1%アガロースゲル電気泳動により切断を確認し、QIAquick PCR purification kitに(Qiagen社製)より精製し、50μLのトリス−塩酸緩衝液(10mM、pH8.5)に溶解した。
制限酵素EcoRI及びBamHIで切断して得た約1500bpの1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子断片を含む溶液8μLとEcoRI及びBamHIで切断して得たpTrc99Aの溶液8μLをLigation highと混合し、16℃で30分間連結反応を行った。反応後の溶液2μLを用いて大腸菌JM109を形質転換した。
形質転換した大腸菌JM109を含む溶液を100μg/mLのアンピシリン、0.1mMのIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)及び0.004%のX−galを含むLB寒天培地上に塗布し、37℃で一晩培養してコロニーを形成させた。それぞれについて白色の陽性コロニーを選択し、3mLの100μg/mLのアンピシリンを含んだLB液体培地に移植し、37℃で一晩培養した。培養液を遠心分離して集菌後、QIAquick plasmid purification kit(Qiagen社製)により約2μgのプラスミドDNAを精製した。そのうち約0.5μgのプラスミドDNAをEcoRI及びBamHIで切断し、1%アガロースゲル電気泳動により約1500bpに相当する挿入断片の存在を確認した。更に挿入断片の塩基配列をシークエンス反応により確認したところ、変異は認められなかった。この発現プラスミドをpTrc−PS15DHとした。尚、本発現プラスミドにより翻訳される組換え1,5−AG脱水素酵素(配列番号4)は、配列番号11に示されるオリジナルな1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列とはN末端配列側で異なっている。即ち、オリジナルな1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列はVal−Thr−Ala−Leu−に対して、組換え1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸配列はMet−Glu−Phe−である。
(J)組換え1,5−AG脱水素酵素の大腸菌での発現及び活性測定
上記(I)で挿入断片が確認されたpTrc−PS15DHベクターを導入した大腸菌JM109株を100μg/mLのアンピシリンを含む3mLのLB培地に移植し、28℃で14時間培養した。この培養液のうち、0.2mLを10mLのLB培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)に接種した。約3時間後、培養液のOD600が0.4〜0.7に上昇したことを確認後、最終濃度で0.1mMになるように0.1MのIPTGを培地に添加し1,5−AG脱水素酵素の大腸菌での発現を誘導させた。その培養液を更に、一晩28℃で培養し、培養液を10000×g、5分間の遠心分離により細胞を沈殿させ、上清を除いた後、0.85%のNaCl水溶液で2回洗浄した。遠心分離により細胞を沈殿させた後、その菌体を1mLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5に懸濁し、0.25%になる様にTriton X−100を添加し、氷中で冷却しながらビーズ衝撃法細胞破砕装置MINI−BEADBEATER(30秒×4回、セントラル科学貿易社製)でその菌体を破壊した。20000×gで10分間遠心分離した後、その上清を粗酵素液として1,5−AG脱水素酵素活性を調べた。反応液の組成は以下の通りである。尚、1,5−AG脱水素酵素はL−ソルボースも基質とすることから、酵素活性の測定には、1,5−AGの代りに便宜上L−ソルボースを用いた。
反応液組成
0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.0 200μL
1M L−ソルボース 200μL
3mM DCIP(2,6−Dichlorophenol
indophenol)(Merck社製) 28μL
3mM 1−m−PMS(同仁化学研究所社製) 40μL
蒸留水 122μL
粗酵素液 10μL
粗酵素液以外の成分を混合し、37℃、10分間保温した後、粗酵素液を反応液に添加し反応を開始する。37℃に保ったまま1分間における600nmの吸光度の減少を測定する。
酵素活性は次式によって求めることができる。
酵素活性(U/mL)=(Δ600/min×0.6(mL)×粗酵素液の希釈倍率)/(16.3×0.01(mL))
上記の粗酵素液の活性は4.4U/mLであった。
耐熱性1,5−AG脱水素酵素の取得
実施例1にて取得した1,5−AG脱水素酵素をVer.0とし、図1に示すとおり変異を導入して耐熱性1,5−AG脱水素酵素(Ver.1.0〜Ver.12.0)を取得した。
[1]ランダム変異導入法による耐熱性1,5−AG脱水素酵素の取得
耐熱性改良のステップを図1及び図3−1、図3−2、図3−3に示す。1,5−AG脱水素酵素Ver.0からVer.1.0、Ver.1.0からVer.2.0、Ver.2.0からVer.3.0とVer.3.1、Ver.4.0からVer.5.0とVer.5.1、Ver.5.0からVer.6.0とVer.6.1、Ver.7.1からVer.8.1とVer.8.2とVer.8.4、Ver.8.0からVer.9.0、Ver.10.0からVer.11.0へと耐熱性を改善した酵素を作製する場合、各バージョンの酵素遺伝子からランダム変異導入法により作製した変異ライブラリーを作り、これらの酵素遺伝子を発現させ、その中から耐熱性の向上したものをスクリーニングして取得した。
例えば、1,5−AG脱水素酵素Ver.0からVer.1.0を取得する場合は次の様に行った。まず実施例1で作製したpTrc−PS15DHを用いてGeneMorph II Random Mutagenesis Kit(Stratagene製)のプロトコールに従いランダムに変異を導入することにより点変異遺伝子ライブラリーを構築した。このKitに含まれているMutazyme II DNA polymeraseは従来のTaq DNA polymeraseと比べ非常に高い頻度で変異を導入することができ、更に初期のベクターの濃度を制御することにより導入される変異の頻度を制御できる。そこでpTrc−PS15DHを鋳型としてPCRを行うことにより導入される変異を制御した。このときプライマーはクローニングの時と同様にN末端の前にNcoI及びEcoRI認識配列を追加した5’プライマー(配列番号12)とC末端の後にBamHI認識配列を追加した3’プライマー(配列番号13)を用いて行った。変異PCRの条件は以下の通りである。
変異PCR条件:鋳型DNA 2.3μg、Mutazyme II DNA polymerase 2.5units、GeneMorph II Random Mutagenesis Kitに添付の反応バッファー(1X)、dNTP 0.2mM、5’プライマー(配列番号12)320pmol/mL及び3’プライマー(配列番号13)320pmol/mLの混合物に水を加え、総量50μLの溶液を作製し、96℃で3分間熱処理後、96℃で1分、63℃で1分、72℃で1分40秒、30サイクルのプログラムで増幅を行い、その後72℃で10分間処理した。増幅反応後の溶液5μLを1%濃度のアガロースゲル電気泳動を行った結果、目的としていた約1500bpの1,5−AG脱水素酵素をコードするDNA断片が増幅されていることを確認した。
次に、ランダム変異導入法により増幅した変異PCR産物を大腸菌JM109に導入し、変異遺伝子ライブラリーを構築した。即ち、変異型1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子を含むPCR溶液を1%濃度のアガロースゲル電気泳動により分離し、約1500bpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen社製)により該バンド部分のDNAを精製し、各々20unitsの制限酵素NcoI及びBamHIを用いて37℃で一晩切断反応を行った後、フェノール・クロロホルムを用いて該DNAを抽出し、続いてエタノールを用いて沈殿した後、12μLのTEバッファーに溶解した。精製したNcoIとBamHIで切断した約1500bpに相当するDNA部分のDNA溶液2μLと、1μLのNcoIとBamHIで切断したベクターpTrc99Aを2μLのLigation High(東洋紡社製)と混合し、16℃で約30分間連結反応を行った。連結反応後の溶液1.5μLを用いて大腸菌JM109を形質転換させ変異遺伝子ライブラリーを作製した。
変異遺伝子ライブラリーのコロニーをコロニーピッカー(PM−2s、マイクロテック・ニチオン製)によりランダムに約10100株を選抜し、一次スクリーニングへ供した。一次スクリーニングは1.2mL容量の96穴の角型ディープウェルプレート(ナルジェヌンク社製)を用い、50μg/mLのアンピシリンを含む500μLのLB液体培地に植菌し、96穴の角型プレート振動機(TITRAMAX100、HEIDOLPH社製)で一晩培養した(28℃、900rpm)。96穴の角型ディープウェルプレートを2000rpmで10分間遠心することにより菌体を分離し、−80℃で1時間処理した。菌体を解凍後、60℃で20分間処理を行った。活性を有する変異酵素の選別は、60℃処理した菌体に200μLの0.5% Triton X−100を含む0.1M リン酸カリウムバッファー(pH7.0)、30μLの6mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)、5μLの50mg/mL 1,5−AGを添加し、懸濁することで行った。酵素活性を有するコロニーはDCIPの青色が透明になる。その結果、1,5−AG脱水素酵素Ver.0に比べ耐熱性が向上した1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0を保持するコロニーについて、DCIPの青色が透明になることが観察された。
1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0からVer.2.0、Ver.2.0からVer.3.0とVer.3.1、Ver.4.0からVer.5.0とVer.5.1、Ver.5.0からVer.6.0とVer.6.1、Ver.7.1からVer.8.1とVer.8.2とVer.8.4、Ver.8.0からVer.9.0、Ver.10.0からVer.11.0を取得する場合も同様の方法を行った。
なお、1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0からVer.2.0を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.1.0)を、1,5−AG脱水素酵素Ver.2.0からVer.3.0とVer.3.1を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型として(pTrc−PS15DH(Ver.2.0)を、1,5−AG脱水素酵素Ver.4.0からVer.5.0とVer.5.1を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.4.0)を、1,5−AG脱水素酵素Ver.5.0からVer.6.0とVer.6.1を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.5.0)を、1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1からVer.8.1とVer.8.2とVer.8.4を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.7.1)を、1,5−AG脱水素酵素Ver.8.0からVer.9.0を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.8.0)を、1,5−AG脱水素酵素Ver.10.0からVer.11.0を取得する場合は変異PCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.10.0)をそれぞれ使用した。
また、1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0からVer.2.0を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約3700株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で21分処理を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.2.0からVer.3.0とVer.3.1を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約12200株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で22分処理を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.4.0からVer.5.0とVer.5.1を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約22000株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で23分処理を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.5.0からVer.6.0とVer.6.1を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約3600株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で24分処理を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1からVer.8.1とVer.8.2とVer.8.4を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約15000株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で28分処理を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.8.0からVer.9.0を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約700株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で38分処理を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.10.0からVer.11.0を取得する場合はスクリーニングの際、ランダムに選抜した約200株を96穴の角型ディープウェルプレート内にて培養し菌体を凍結解凍後、60℃で45分処理を行った。
[2]部位特異的変異導入法による耐熱性1,5−AG脱水素酵素の取得
図1及び図3−1、図3−2、図3−3において、Ver.3.2からVer.4.0、Ver.7.1からVer.8.0、Ver.9.0からVer.10.0、Ver.11.1からVer.12.0を作製する場合には部位特異的変異導入法を利用した。
例えば、1,5−AG脱水素酵素Ver.3.2からVer.4.0を取得する場合は次の様に行った。まず実施例1で作製したpTrc−PS15DH(Ver.3.2)を鋳型としてPCRを行った。このときプライマーはpTrc−PS15DH(Ver.3.2)の1,5−AG脱水素酵素遺伝子の上流部位をもとにデザインした5’プライマー(配列番号14)とpTrc−PS15DH(Ver.3.2)のBamHIが欠失するようデザインした3’プライマー(配列番号15)を用いて、またこれとは別に1,5−AG脱水素酵素の93番目のアミノ酸残基であるバリンがメチオニンに置換されるようデザインした5’プライマー(配列番号16)とpTrc−PS15DH(Ver.3.2)の1,5−AG脱水素酵素遺伝子の下流部位をもとにデザインした3’プライマー(配列番号17)を用いて行った。PCRの条件は以下の通りである。
PCR条件:鋳型DNA 0.02ng、LAtaq 2.5units、Extaqバッファー(1X)、dNTP 0.25mM、5’プライマー(配列番号14) 64pmol/mL及び3’プライマー(配列番号15) 64pmol/mL、若しくは5’プライマー(配列番号16) 64pmol/mL及び3’プライマー(配列番号17) 64pmol/mLの混合物に水を加え、総量50μLの溶液を作製し、94℃で5分間熱処理後、94℃で30秒、55℃で2分、72℃で1分40秒、25サイクルのプログラムで増幅を行い、その後72℃で5分間処理した。
増幅反応後、それぞれのPCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(Qiagen社製)を用いて精製した。このPCR産物溶液各0.5μL、Extaqバッファー(1X)、dNTP 0.25mMの混合物に水を加え、総量47.5μLの溶液を作製し、94℃で10分間熱処理後、60分かけて37℃に温度を落とし、37℃で15分間処理した後、2.5unitsのLAtaqを添加し、72℃にて3分間処理した。その後、5’プライマー(配列番号14) 64pmol/mL及び3’プライマー(配列番号17) 64pmol/mLを添加し、94℃で5分間熱処理後、94℃で30秒、55℃で2分、72℃で1分40秒、10サイクルのプログラムで増幅を行い、その後72℃で5分間処理した。増幅反応後の溶液5μLを1%濃度のアガロースゲル電気泳動を行った結果、目的としていた約1500bpの1,5−AG脱水素酵素をコードするDNA断片が増幅されていることを確認した。
増幅した変異型1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子を含むPCR溶液を1%濃度のアガロースゲル電気泳動により分離し、約1500bpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen社製)により該バンド部分のDNAを精製し、各々20Uの制限酵素NcoI及びBamHIを用いて37℃で一晩切断反応を行った後、フェノール・クロロホルムを用いて該DNAを抽出し、続いてエタノールを用いて沈殿した後、12μLのTEバッファーに溶解した。精製したNcoIとBamHIで切断した約1500bpに相当するDNA部分のDNA溶液2μLと、1μLのNcoIとBamHIで切断したベクターpTrc99Aを2μLのLigation High(東洋紡社製)と混合し、16℃で約30分間連結反応を行った。この連結反応後の溶液1.5μLを用いて大腸菌JM109を形質転換させることにより、1,5−AG脱水素酵素Ver.3.2に比べ耐熱性が向上した1,5−AG脱水素酵素Ver.4.0をコードする遺伝子を含む大腸菌JM109を取得した。
1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1からVer.8.0、Ver.9.0からVer.10.0、Ver.11.1からVer.12.0を作製する場合も同様の方法を行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1からVer.8.0を取得する場合はPCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.7.1)を使用し、プライマーとして5’プライマー(配列番号14)と3’プライマー(配列番号15)を使用し、またこれとは別に1,5−AG脱水素酵素の37番目のアミノ酸残基であるスレオニンが別のアミノ酸残基に置換されるようデザインした5’プライマー(配列番号18)と3’プライマー(配列番号17)を用いて行った。この結果、1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1の37番目のアミノ酸残基であるスレオニンがアルギニンに置換した1,5−AG脱水素酵素Ver.8.0をコードする遺伝子を含む大腸菌JM109を取得した。
1,5−AG脱水素酵素Ver.9.0からVer.10.0を取得する場合はPCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.9.0)を使用し、プライマーとして5’プライマー(配列番号14)と3’プライマー(配列番号15)を使用し、またこれとは別に1,5−AG脱水素酵素の80番目のアミノ酸残基であるアスパラギンがチロシンに置換されるようデザインした5’プライマー(配列番号19)と3’プライマー(配列番号17)を用いて行った。
1,5−AG脱水素酵素Ver.11.1からVer.12.0を取得する場合はPCRを行う際、鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.11.1)を使用し、プライマーとして5’プライマー(配列番号14)と3’プライマー(配列番号15)を使用し、またこれとは別に1,5−AG脱水素酵素の156番目のアミノ酸残基であるアルギニンがプロリンに置換されるようデザインした5’プライマー(配列番号20)と3’プライマー(配列番号17)を用いて行った。
[3]2つのプラスミドDNAの繋ぎ合わせによる耐熱性1,5−AG脱水素酵素の取得
図1及び図3−1、図3−2、図3−3において、Ver.3.0とVer.3.1からVer.3.2、Ver.5.1とVer.6.0からVer.7.0、Ver.8.2とVer.11.0からVer.11.1を作製する場合、2つのプラスミドDNAを繋ぎ合わせる方法により行った。
Ver.3.0とVer.3.1からVer.3.2を取得する場合は、pTrc−PS15DH(Ver.3.0)とpTrc−PS15DH(Ver.3.1)を各々45Uの制限酵素ApaIを用いて37℃で切断反応を行った後、1%濃度のアガロースゲル電気泳動により分離し、pTrc−PS15DH(Ver.3.0)から約4100bpに相当するバンドを、pTrc−PS15DH(Ver.3.1)から約1500bpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen社製)により該バンド部分のDNAを精製した。pTrc−PS15DH(Ver.3.0)から切断した約4100bpに相当するバンド部分のDNAを子牛小腸由来アルカリフォスファターゼにて脱リン酸処理した後、フェノール・クロロホルムを用いて該DNAを抽出し、続いてエタノールを用いて沈殿した後、12μLのTEバッファーに溶解した。このpTrc−PS15DH(Ver.3.0)をApaIで切断した約4100bpに相当するDNA部分のDNA溶液1μLと、pTrc−PS15DH(Ver.3.1)をApaIで切断した約1500bpに相当するDNA部分のDNA溶液2μLを2μLのLigation High(東洋紡社製)と混合し、16℃で約30分間連結反応を行った。この連結反応後の溶液1.5μLを用いて大腸菌JM109を形質転換させることにより、1,5−AG脱水素酵素Ver.3.0とVer.3.1に比べ耐熱性が向上した1,5−AG脱水素酵素Ver.3.2をコードする遺伝子を含む大腸菌JM109を取得した。
1,5−AG脱水素酵素Ver.5.1とVer.6.0からVer.7.0、Ver.8.2とVer.11.0からVer.11.1を作製する場合も同様の方法を行った。Ver.7.0の場合、pTrc−PS15DH(Ver.5.1)から約4100bpに相当するDNA部分を、pTrc−PS15DH(Ver.6.0)から約1500bpに相当するDNA部分を使用し、Ver.11.0の場合は、pTrc−PS15DH(Ver.8.2)から約4100bpに相当するDNA部分を、pTrc−PS15DH(Ver.11.0)から約1500bpに相当するDNA部分を使用した。
[4]PCRによる耐熱性1,5−AG脱水素酵素の取得
図1及び図3−1、図3−2、図3−3において、1,5−AG脱水素酵素Ver.6.1とVer.7.0からVer.7.1を作製する場合にはPCRを利用した。
鋳型としてpTrc−PS15DH(Ver.7.0)を使用し、プライマーはN末端の前にNcoI及びEcoRI認識配列を追加し更に1,5−AG脱水素酵素の4番目のアミノ酸残基であるグリシンがアラニンに置換されるようデザインした5’プライマー(配列番号20)と、C末端の後にBamHI認識配列を追加した3’プライマー(配列番号13)を用いてPCRを行った。PCRの条件は以下の通りである。
PCR条件:鋳型DNA 1.25ng、Extaq 1.5units、Extaqバッファー(1X)、dNTP 0.2mM 、5’プライマー(配列番号21) 384pmol/mL及び3’プライマー(配列番号13) 384pmol/mLの混合物に水を加え、総量50μLの溶液を作製し、96℃で5分間熱処理後、96℃で1分、63℃で1分、72℃で1分40秒、30サイクルのプログラムで増幅を行い、その後72℃で5分間処理した。増幅反応後の溶液5μLを1%濃度のアガロースゲル電気泳動を行った結果、目的としていた約1500bpの1,5−AG脱水素酵素をコードするDNA断片が増幅されていることを確認した。
増幅後のPCR溶液を1%濃度のアガロースゲル電気泳動により分離し、約1500bpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen社製)により該バンド部分のDNAを精製し、各々20Uの制限酵素NcoI及びBamHIを用いて37℃で一晩切断反応を行った後、フェノール・クロロホルムを用いて該DNAを抽出し、続いてエタノールを用いて沈殿した後、12μLのTEバッファーに溶解した。精製したNcoIとBamHIで切断した約1500bpに相当するDNA部分のDNA溶液2μLと、1μLのNcoIとBamHIで切断したベクターpTrc99Aを2μLのLigation High(東洋紡社製)と混合し、16℃で約30分間連結反応を行った。この連結反応後の溶液1.5μLを用いて大腸菌JM109を形質転換させることにより、1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1をコードする遺伝子を含む大腸菌JM109を取得した。
耐熱性1,5−AG脱水素酵素の熱処理温度における安定性及び塩基配列解析による変異の確認
実施例2の[1]〜[4]にて取得した耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子を含む大腸菌JM109を、50μg/mLのアンピシリン及び0.1mMのIPTGを含むLB液体培地10mLに植菌し、30℃で16時間振とう培養を行った。その振とう培養液10mLを10000rpmで5分間遠心分離し、培養上清を除いた後、0.85%のNaCl水溶液で2回洗浄した。この菌体を1mLの0.25%のTriton X−100を含む50mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)に懸濁し、氷中で冷却しながらビーズ衝撃法細胞破砕装置MINI−BEADBEATER(30秒×4回、セントラル科学貿易社製)でその菌体を破壊し、15000rpmで10分間遠心分離した後、その上清を粗酵素液とした。粗酵素液を熱処理する場合は、45℃、50℃、55℃あるいは60℃の水浴中にて10分間処理をした。
1,5−AG脱水素酵素の酵素活性は、実施例1の(J)に記載の手法と同様の手法にて測定を行うことにより算出した。
なお、1,5−AG脱水素酵素の粗酵素液1mgあたりの酵素活性を表す比活性は次の式に当てはめて算出した。
比活性(U/mg)=酵素活性(U/mL)/粗酵素液タンパク質濃度(mg/mL) また、活性残存率は次の式に当てはめて算出した。
活性残存率(%)=(熱処理後の粗酵素液の比活性/熱処理前の粗酵素液の比活性)X100
それぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素の比活性と、各温度にて10分間処理した後の活性残存率を表1に示す。
Figure 0005622321
この結果、高い耐熱性を示す1,5−AG脱水素酵素Ver.10.0の活性残存率は、45℃、50℃、55℃、60℃にて10分間処理した後でそれぞれ97%、91%、86%、46%であった。1,5−AG脱水素酵素Ver.1.0〜Ver.11.0の活性残存率は45℃にて10分間処理した後で8%以上であり、1,5−AG脱水素酵素Ver.2.0〜Ver.11.0の活性残存率は45℃にて10分間処理した後で30%以上であった。最も高い耐熱性を示す1,5−AG脱水素酵素Ver.11.1とVer.12.0の活性残存率は、60℃にて10分間処理した後でそれぞれ73%、76%であった。
また、それぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素のアミノ酸残基置換部位及びそれぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子のうち変異が導入された部位は図3−1、図3−2、図3−3に示すとおりである。このうち、1,5−AG脱水素酵素Ver.2.0のアミノ酸配列及び塩基配列は配列番号22に、1,5−AG脱水素酵素Ver.7.1のアミノ酸配列及び塩基配列は配列番号23に、1,5−AG脱水素酵素Ver.12.0のアミノ酸配列は配列番号1に、1,5−AG脱水素酵素Ver.12.0の塩基配列は配列番号2に、それぞれ示す。
それぞれの耐熱性1,5−AG脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列は、全自動DNAシークエンサーABI PRISM 3100−Avant(アプライドバイオシステムズ社製)にて解析した。
この結果、配列番号1に示す1,5−AG脱水素酵素Ver.12.0のアミノ酸配列は、親株の1,5−AG脱水素酵素Ver.0と比べて、4番目がアラニン残基、14番目がスレオニン残基、37番目がアルギニン残基、50番目がグルタミン残基、67番目がグリシン残基、80番目がチロシン残基、93番目がメチオニン残基、156番目がプロリン残基、164番目がメチオニン残基、202番目がアスパラギン酸残基、235番目がアラニン残基、348番目がチロシン残基、362番目がアルギニン残基、473番目がアラニン残基に、それぞれ変換されていることを確認することができた。
耐熱性1,5−AG脱水素酵素(Ver.2.0)の製造
(A)組換え体(pTrc−PS−AGDH−ver2.0/JM109)の培養
種培養
500mL溶の三角フラスコに、LB培地50mLを加え、オートクレーブ滅菌し、更にアンピシリンナトリウムを終濃度100μg/mLとなるように使用直前に添加した。このLB培地に遺伝子組換え体pTrc−PS−AGDH−ver2.0/JM109を接種し、25℃で振とう培養(120rpm)した。培養開始16時間後の培養液を、本培養時の種菌とした。
本培養
500mL溶の三角フラスコに、LB培地100mLを加え、オートクレーブ滅菌し、更にアンピシリンナトリウムを終濃度100μg/mLとなるように使用直前に添加したフラスコ培地40本を調製した。各々の培地に、前記で準備した種菌1mLずつを植菌し、25℃で3時間、振とう培養(120rpm)した培養液にフィルター滅菌したIPTGを0.1mMとなるように添加し、更に25℃で21時間振とう培養した。培養終了後に遠心分離機を用いて菌体を回収した。
(B)組換え1,5−AG脱水素酵素の精製
前記培養によって得られた菌体から、以下の各精製工程を経て、耐熱性1,5−AG脱水素酵素(Ver.2.0)を分離・精製した。その結果を表2に示す。
なお、1,5−AG脱水素酵素活性は実施例1に記載の方法に基づいて測定し、比活性は実施例3記載の式にて求めた。
Figure 0005622321
無細胞抽出液(CFE)の調製
(A)の本培養で回収した菌体に360mLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5を加え、菌体懸濁液を作製した。更に終濃度0.25%となるようにTriton X−100を添加した。この菌体懸濁液を4分割し、それぞれにつき超音波破砕装置(KUBOTA社製INSONATOR201M)を用いて出力180W、30分間で破砕した。これらの菌体破砕液を合わせて、遠心分離(11000×g、4℃、30分)し、CFE360mLを回収した。
硫安分画
前記のCFEに、氷冷下、飽和濃度25%となるように硫酸アンモニウム51.84gを少しずつ溶解させながら加えた。硫酸アンモニウム(硫安)が溶解後、更に30分間攪拌した。この溶解液を遠心分離(11000×g、4℃、30分)し、上清380mLを回収した。次に、この上清に、氷浴下、飽和濃度40%となるように硫酸アンモニウム35.34gを少しずつ溶解させながら加えた。硫酸アンモニウムが溶解後、更に30分間攪拌し、その後4℃で一晩静置した。
透析
前記の硫安処理液を遠心分離(11000×g、4℃、30分)により、硫安沈殿を集めた。硫安沈殿は、10mLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5に溶解し、透析チューブに入れ、透析バッファー(20mMTris−HCl、pH7.5、20%グリセリン)を用いて透析を行った。
遠心分離
透析チューブ内に不溶物が生じたため、遠心分離(27000×g、4℃、15分)により、これを除去して上清14mLを得た。
弱陰イオン交換クロマトグラフィー(DEAE Sepharose FastFlow)
平衡化バッファー(20mMTris−HCl、pH7.5、20%グリセリン)で平衡化した弱陰イオン交換樹脂DEAE Sepharose Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)320mL(カラムサイズ:2.6cm×高さ60cm)に、前記の上清をチャージした。チャージ終了後、樹脂のbed volumeの3倍量の洗浄バッファー(20mMTris−HCl、pH7.5、20%グリセリン)で洗浄後、樹脂のbed volumeの5倍量の溶出バッファー(1:20mMTris−HCl、pH7.5、20%グリセリン、2:20mMTris−HCl、pH7.5、20%グリセリン、1M NaCl)を用いて、目的タンパクをグラジェント溶出させ、活性画分396mLを得た。
脱塩濃縮
限外ろ過装置モデル8200(アミコン社製、限外ろ過メンブレン分画分子量10万)を用いて、前記の活性画分を17.5mLに濃縮し、耐熱性1,5−AG脱水素酵素(Ver.2.0)の3,222Uを得た。
参考例1
親株由来の1,5−AG脱水素酵素の基質特異性
変異前の1,5−AG脱水素酵素(Ver.0)を用い、実施例4と同様な精製方法により40%飽和の硫酸アンモニウムの沈殿画分を遠心分離で集め、50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5に溶解したものを酵素液として数種の糖または糖アルコールについて酵素活性を測定し、1,5−AGを100%とする相対活性にて表3に示す。酵素活性は、実施例1の(J)記載の方法で測定した。
Figure 0005622321
吸光度法による1,5−AGの測定
表4に示す組成の第一試薬と前記の本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素(Ver.7.1)を含む第二試薬を用いて、臨床検査で汎用されている全自動生化学検査分析装置日立7020で臨床検体の測定を行った。即ち、検体4.5μLに対し、第一試薬180μLを添加し37℃5分間反応する。次に、第二試薬60μLを添加し37℃5分間反応させる。測光波長は、主波長450nm、副波長570nmとして17ポイントから35ポイントの2ポイントエンド法で吸光度を測定した。
尚、本実施例に使用した臨床検体は、健常者と糖尿病患者から採取した血清を用いた。
Figure 0005622321
検量線の作成
生理食塩水を用いて1,5−AG標準液0、50μg/mLを調製し、この標準液を上記の1,5−AG測定方法で測定し検量線を作成した。検量線の吸光度増加量を表5に示す。
Figure 0005622321
検体の測定
健常者と糖尿病患者からなる50例の血清検体を、上記の1,5−AG測定方法(本法)に従って測定し、上記検量線より1,5−AG測定値を算出して求めた。
一方、同じ検体を日本化薬(株)製「ラナ1,5AGオートリキッド」で測定して得られた結果と本法による結果とを比較し、図4に示す。
図4のグラフに示される通り、両者の測定値の間には、相関式:Y=0.9017X+1.3794、相関係数:0.9936と良好な相関関係が認められた。
吸光度法による1,5−AGの測定
表5に示す組成の第一試薬と前記の本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素(Ver.10.0)を含む第二試薬を用いて、臨床検査で汎用されている全自動生化学検査分析装置日立7020で臨床検体の測定を行った。即ち、検体4.5μLに対し、第一試薬180μLを添加し37℃5分間反応する。次に、第二試薬60μLを添加し37℃5分間反応させる。測光波長は、主波長450nm、副波長570nmとして17ポイントから35ポイントの2ポイントエンド法で吸光度を測定した。
尚、本実施例に使用した臨床検体は、健常者と糖尿病患者から採取した血清を用いた。
Figure 0005622321
検量線の作成
生理食塩水を用いて1,5−AG標準液0、50μg/mLを調製し、この標準液を上記の1,5−AG測定方法で測定し検量線を作成した。検量線の吸光度増加量を表6に示す。
Figure 0005622321
検体の測定
健常者と糖尿病患者からなる50例の血清検体を、上記の1,5−AG測定方法(本法)に従って測定し、上記検量線より1,5−AG測定値を算出して求めた。
一方、同じ検体を日本化薬(株)製「ラナ1,5AGオートリキッド」で測定して得られた結果と本法による結果とを比較し、図5に示す。
図5のグラフに示される通り、両者の測定値の間には、相関式:Y=1.0414X−0.1741、相関係数:0.9935と良好な相関関係が認められた。
アルブミンを共存させた吸光度法による1,5−AG測定
表7に示す第一試薬とアルブミンを含む第二試薬(1,5−AG脱水素酵素はVer.7.1)を用い、生理食塩水で調製した1,5−AG標準液0μg/mL、1,5−AG標準液50μg/mLを検体として、臨床検査で汎用されている全自動生化学検査分析装置日立7020を用いて連続繰り返し測定を行った。
測定方法は、検体4.5μLに対し、第一試薬180μLを添加し37℃5分間反応する。次に、第二試薬60μLを添加し37℃5分間反応させる。測光波長は、主波長450nm、副波長570nmとして17ポイントから35ポイントの2ポイントエンド法で吸光度を測定した。1,5−AG標準液の測定は、1,5−AG標準液0μg/mLと1,5−AG標準液50μg/mLを4回繰り返し連続測定を行った。
Figure 0005622321
比較例1
表8の第一試薬と、変異前の1,5−AG脱水素酵素を含む第二試薬を用いて実施例7と同様に連続測定を行った。
Figure 0005622321
実施例7と比較例1の測定試薬で1,5−AG標準液の吸光度を繰り返し測定した時の結果を表9に示す。
Figure 0005622321
表9から、比較例1の1,5−AG標準液50μg/mLの吸光度は、同一セルの繰り返し測定による使用回数に伴って増加してしまうが、実施例7の1,5−AG標準液50μg/mLの吸光度は、同一セルの使用回数に関係なく、吸光度の増加は認められない。この結果から明らかなように、1,5−AGの測定おいてアルブミンを共存させることで、安定した1,5−AGの繰り返し測定が可能である。
電気化学測定法による1,5−AGの測定
[1]1,5−AGを基質とする1,5−AG脱水素酵素活性の測定法
電気化学測定法では、1,5−AG脱水素酵素の活性値を1,5−AGを基質とする以下の方法で決定した。
反応液組成
(1)0.1M N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸バッファーpH8.0 0.14mL
(2)20mM WST−1((1)に溶解) 0.12mL
(3)蒸留水 0.13mL
(4)1M 1,5−AG水溶液 0.20mL
(5)酵素液 0.01mL
(6)酵素希釈液((1)に同じ) 0.01mL
操作
恒温水槽と分光光度計のセルホルダーを37℃に設定する。
1)石英セル(光路長1cm,光路幅2mm)を37℃セルホルダーに入れ5分間保温する。
2)試薬(1)〜(4)を4mL容ガラス試験管に入れ混合し、37℃恒温水槽で5分間保温する。
3)2)に(5)酵素液を加え混合し、直ちに1)の石英セルに移し、セルホルダーにセットし、OD438nmの吸光度変化量を測定する。
4)OD438nmの測定開始30秒後から1分間の吸光度変化量をΔOD/minとする。
5)(5)酵素液の代わりに(6)酵素希釈液を添加したものをブランク値ΔODblank/minとする。
計算式
活性(U/mL)={(ΔOD/min−ΔOD blank/min)×0.6 (mL)×希釈倍率}/{1.0 (cm)×37(cm/μmol)×0.01 (mL)}
上記の条件において、1分間に1μmolのWST−1を還元する酵素量を1Uとする。
*37(cm/μmol):WST−1のミリモル分子吸光係数(cm/μmol)
[2]グルコース変換試薬
1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.7に調整した後の組成が、17.6mMのMgCl、17.6mMのKCl、175.7mMのホスホエノールピルビン酸(PEP)、17.6mMのATP、123U/mLのピルビン酸キナーゼ(PK)、75U/mLのグルコキナーゼ、200U/mLのアスコルビン酸酸化酵素、100mMの塩化ナトリウム、0.1%のNaN、0.1mMのEDTA及び0.06%のBSA(牛血清アルブミン)となるように10.0mMのHEPES緩衝液に各成分を加え、グルコース変換試薬とした。
[3]センサチップ
ポリエチレンテレフタレートの基盤に作用極とリード部、対極とリード部をカーボンインク((株)アサヒ化学研究所製、製品名カーボンペーストTU15ST)で、参照極とリード部を銀塩化銀インク(アチソン(株)製、製品ElectrodagPE−409)で、厚さ10μmでスクリーン印刷し、150℃で40分焼入れし、次いで電極部と、測定装置との接続部とをのぞく部分にレジストインク((株)アサヒ化学研究所製、製品名CR18G−KF)を厚さ20μmでスクリーン印刷し、130℃で15分焼入れして図6に示す電極を作成した。
次に、120μMのチオニンアセテート(シグマーアルドリッチ(株)製)、2.16U/mLの本発明の1,5−AG脱水素酵素(Ver.2.0)の組成となるように各成分を精製水に溶解して電極試薬溶液を調製し、この電極の作用極に2μLを塗布して、50℃で5分乾燥してセンサチップを作製した。
[4]検量線作成
1,5−AG検量線作成用として、羊血清(日本バイオテスト(株)製)に濃度既知の1,5−AG標品を加えた6検体(各検体の1,5−AG濃度は、0.6、2.8、5.0、10.0、24.7、50.2μg/mLであった)各10μLとグルコース変換試薬5μLとをエッペンドルフチューブ内で混合して5分間放置した。その後、先に作成したセンサチップの検体添加位置1(図6)に反応液10μLを滴下し、参照極(銀塩化銀)を基準にして−0.1Vを10秒、次いで0Vを110秒印加し、0Vの印加開始から100秒間のクーロン量を電気化学検出器(GPIB RS232C付き8CH マルチポテンショスタット MODEL PS−08;(株)東方技研)で測定して、クーロン量と1,5−AG濃度から検量線を作成した。良好な直線性を示した検量線を図7に示した。
[5]全血検体中の1,5−AG測定操作
糖尿病患者を含む23例の全血検体各10μLとグルコース変換試薬5μLとをエッペンドルフチューブ内で混合して5分間放置した。その後、先に作成したセンサチップの検体添加位置1(図6)に反応液10μLを滴下し、参照極(銀塩化銀)を基準にして−0.1Vを10秒、次いで0Vを110秒印加し、0Vの印加開始から100秒間のクーロン量を電気化学検出器で測定して、検量線と対比して23検体について全血中の1,5−AG量を求めた。なお、結果は4回測定したその平均値である。
本実施例で測定に使用した全血各検体から遠心分離操作により得られた各血漿中の1,5−AG量を、日本化薬(株)製「ラナ1,5AGオートリキッド」で測定した。
図8に本実施例の測定値とラナ1,5−AGオートリキッドの測定値をプロットしたグラフを示すが、両者の相関係数は0.9606であり、両者は良好な相関をしている。この結果は本発明によって糖尿病患者の全血中の1,5−AGの測定が可能であることを示している。
電気化学測定法による、各耐熱性1,5−AG脱水素酵素の安定性比較
[1]グルコース変換試薬
実施例8と同様にしてグルコース変換試薬を調製した。
[2]センサチップ
実施例8と同様にして、図6に示す電極を作成した。
次に、120μMのチオニンアセテート(シグマーアルドリッチ(株)製)、3.26U/mLの本発明の1,5−AG脱水素酵素(Ver.2.0)、50mMのピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)(pH7.0)の組成となるように各成分を精製水に溶解して電極試薬溶液を調製し、この電極の作用極に2μLを塗布して、50℃で5分乾燥してセンサチップを作製した。以後、これをVer.2.0チップということがある。
同様にして、120μMのチオニンアセテート(シグマーアルドリッチ(株)製)、3.26U/mLの本発明の1,5−AG脱水素酵素(Ver.3.2)、50mMのピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)(pH7.0)の組成となるように各成分を精製水に溶解して電極試薬溶液を調製し、この電極の作用極に2μLを塗布して、50℃で5分乾燥してセンサチップを作製した。以後、これをVer.3.2チップということがある。
また同様にして、120μMのチオニンアセテート(シグマーアルドリッチ(株)製)、3.26U/mLの本発明の1,5−AG脱水素酵素(Ver.10.0)、50mMのピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)(pH7.0)の組成となるように各成分を精製水に溶解して電極試薬溶液を調製し、この電極の作用極に2μLを塗布して、50℃で5分乾燥してセンサチップを作製した。以後、これをVer.10.0チップということがある。
[3]保存安定性試験
上記の様にして作成した各センサチップを、遮光した上でシリカゲルとともに密閉容器に入れ、55℃のインキュベータに53日間保存した。
[4]電気化学測定による評価
上記の様にして一定期間保存したチップで電気化学測定を行い、劣化の度合いを評価し、各耐熱性1,5−AG脱水素酵素の安定性を評価して比較した。
0.38%クエン酸ナトリウム水溶液に1,5−AG標品を加えた1,5−AG標準液(標準液の1,5−AG濃度は、50.4μg/mLであった)を調製した。この標準液10μLとグルコース変換試薬5μLとをエッペンドルフチューブ内で混合して5分間放置した。その後、先に作成したセンサチップの検体添加位置1(図6)に反応液10μLを滴下し、参照極(銀塩化銀)を基準にして−0.1Vを10秒、次いで0Vを110秒印加し、0Vの印加開始から100秒間のクーロン量を電気化学検出器(GPIB RS232C付き8CH マルチポテンショスタット MODEL PS−08;(株)東方技研)で測定した。3日保存後のクーロン量を100%とし、7日、14日、31日、35日、46日及び53日間経過後のクーロン量から各相対変動率(%)を求めた。
本実施例の結果を図9に示した。1,5−AG脱水素酵素の耐熱性が向上するに従い、センサチップとしての安定性が格段に向上していることが明らかである。
本発明の耐熱性1,5−AG脱水素酵素は、1,5−AGに特異的に作用し、耐熱性を有することから優れた保存安定性を示し、1,5−AGの定量試薬や酵素センサーを製品化して簡便で実用的な1,5−AG測定を実施する上で極めて有用な酵素である。また、耐熱性1,5−AG脱水素酵素を使用する1,5−AGの測定法は高感度な安定した方法となり実用化が可能となる。更に、耐熱性1,5−AG脱水素酵素を含有する1,5−AG測定用キットは保存安定性が高まり臨床現場で使用可能となる。
1 検体添加位置
2 支持体
3 作用極
4 対極
5 レジスト
6 参照極(銀塩化銀インク)

Claims (10)

  1. 下記の(1)または(2)に示すタンパク質:
    (1)配列番号4に示すアミノ酸配列において、4番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアラニン残基に、6番目のアミノ酸残基がグルタミン残基からヒスチジン残基に、14番目のアミノ酸残基がセリン残基からスレオニン残基に、37番目のアミノ酸残基がアラニン残基からスレオニン残基またはアルギニン残基に、50番目のアミノ酸残基がプロリン残基からグルタミン残基に、67番目のアミノ酸残基がグルタミン酸残基からグリシン残基に、80番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、93番目のアミノ酸残基がバリン残基からメチオニン残基に、156番目のアミノ酸残基がアルギニン残基からプロリン残基に、164番目のアミノ酸残基がロイシン残基からメチオニン残基に、202番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からアスパラギン酸残基に、235番目のアミノ酸残基がスレオニン残基からアラニン残基に、348番目のアミノ酸残基がアスパラギン残基からチロシン残基に、362番目のアミノ酸残基がグリシン残基からアルギニン残基に、および473番目のバリン残基がアラニン残基に変化した変異のうち、少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、
    上記記載の変異の内、
    1)6番目の変異以外の全ての変異(但し37番目のアミノ酸残基はアルギニン残基への変異である)を有する配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
    2)配列番号1で示されるアミノ酸の156番目のプロリン残基がアルギニン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    3)配列番号1で示されるアミノ酸の156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    4)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    5)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    6)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    7)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    8)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    9)配列番号1で示されるアミノ酸配列の67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列;
    10)配列番号1で示されるアミノ酸配列の37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    11)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    12)配列番号1で示されるアミノ酸配列の37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    13)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    14)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    15)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    16)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    17)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    18)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    19)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    20)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、6番目のグルタミン残基がヒスチジン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がスレオニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;および
    21)配列番号1で示されるアミノ酸配列の4番目のアラニン残基がグリシン残基であり、14番目のスレオニン残基がセリン残基であり、37番目のアルギニン残基がアラニン残基であり、67番目のグリシン残基がグルタミン酸残基であり、80番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、93番目のメチオニン残基がバリン残基であり、156番目のプロリン残基がアルギニン残基であり、164番目のメチオニン残基がロイシン残基であり、202番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基であり、235番目のアラニン残基がスレオニン残基であり、348番目のチロシン残基がアスパラギン残基であり、362番目のアルギニン残基がグリシン残基であり、473番目のアラニン残基がバリン残基であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (2)上記(1)に記載のアミノ酸配列において、変異したアミノ酸残基以外のアミノ酸残基の1乃至20個のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列からなり、且つ1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有し、45℃、10分の加熱で、8%以上の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を保持する耐熱性のタンパク質。
  2. 請求項1に記載のタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子。
  3. 請求項に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  4. 請求項に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  5. 形質転換体の宿主が大腸菌である請求項に記載の形質転換体。
  6. 請求項またはに記載の形質転換体を培養し、培養物から請求項に記載のタンパク質を採取することを含む耐熱性1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の製造法。
  7. 請求項1に記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素活性を有する耐熱性のタンパク質を用いた1,5−アンヒドログルシトールの測定法。
  8. 1,5−アンヒドログルシトールの測定を、アルブミンを共存させて行う請求項に記載の1,5−アンヒドログルシトールの測定法。
  9. 測定法が、レドックスメディエーターとしてフェノチアジン系化合物を用い、参照電極及び/又は対極として銀塩化銀電極を用いる電気化学的測定法である請求項に記載の1,5−アンヒドログルシトールの測定法。
  10. 請求項1に記載のタンパク質を含む、1,5−アンヒドログルシトール測定用キット。
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