JP2010053325A - ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂 - Google Patents
ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂。
一般式(1):
【化1】
(式(1)中、Ar1は二官能性フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、R1は炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、R2は炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)
【選択図】なし
Description
Scheme 1
また、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、耐熱性や難燃性はもちろん、寸法安定性、電気絶縁性及び低吸水性等、他の熱硬化性樹脂には見られない優れた特性を有するため、積層板や半導体封止材等のエレクトロニクス材料及び摩擦材や砥石等の結合材として注目されている。
しかしながら、ビスフェノール類、芳香族ジアミン類、アルデヒド類から合成した、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と液状ゴムの相溶性が悪く、均一(透明又は半透明)な塗工液を得ることができなかった。
[1]
下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂。
一般式(1):
(式(1)中、Ar1は二官能性フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、R1は炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、R2は炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)
[2]
m:nが、10:90〜90:10である、[1]に記載の熱硬化性樹脂。
[3]
前記Ar1が、下記一般式(3)、(4)及び/又は(5)で示される基である、[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂。
(上記一般式(3)、(4)及び(5)において、*はオキサジン環1位の酸素原子への結合部位を示し、**はオキサジン環4位の炭素原子への結合部位を示す。上記一般式(3)におけるXは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。)
[4]
前記R1が、下記一般式(6)、(7)及び/又は(8)で示される基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
(上記一般式(6)、(7)及び(8)において、*は窒素原子への結合部位を示す。上記一般式(6)におけるYは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。)
[5]
前記R2が、炭素数1〜20の直鎖脂肪族炭化水素基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
[6]
二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得られる、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
[7]
単官能フェノールをさらに添加して反応させて得られる、[6]に記載の熱硬化性樹脂。
[8]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂と、液状ゴムとを含む熱硬化性樹脂組成物。
[9]
液状ゴム質量/(熱硬化性樹脂質量+液状ゴム質量)が5〜50質量%である、[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[10]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、又は[8]若しくは[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物からなるシート状形成体。
[11]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、[8]若しくは[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物、又は[10]に記載のシート状形成体からなる樹脂フィルム。
[12]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、[8]若しくは[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物、[10]に記載のシート状形成体、又は[11]に記載の樹脂フィルムからなるプリント基板。
一般式(1):
(式(1)中、Ar1は二官能フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、R1は炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、R2は炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)
本発明において、上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂は、液状ゴムとの相溶性に優れる熱硬化性樹脂である。
本発明において、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂としては、主鎖中にベンゾオキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂であってもよく、主鎖から分岐した側鎖中にベンゾオキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂であってもよい。
本発明の熱硬化性樹脂としては、上記一般式(1)における2つのAr1の一方が、Ar2として表されるベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂であってもよい。Ar2は、Ar1と同様に二官能フェノールの残基である4価の芳香族有機基である。
この場合、Ar1とAr2とは同一の二官能フェノールの残基である4価の芳香族基であってもよく、異なった二官能フェノールの残基である4価の芳香族基であってもよい。
上記一般式(3)、(4)及び(5)における各芳香環の水素は、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは無置換のフェニル基で置換されていてもよい。
Xの結合位置は、左右のベンゼン環に対して、同一の、例えば、パラ位−パラ位であってもよく、例えば、一方がパラ位で、他方がメタ位というように異なった位置であってもよい。
*と**の結合部位は、2,3位及び6,7位であることが好ましい。
上記一般式(4)において、例えば、*の結合部位が1位の場合には、**の結合部位は、2位であり、*の結合部位が2位の場合には、**の結合部位は、1位又は3位であることができる。
片方の*と**の組み合わせの*が1位であり、**2位である場合、もう一方の*の結合部位としては、3位、4位、5位、6位があり得、例えば、もう一方の*の結合部位が3位である場合には、もう一方の**の結合部位は4位であり、もう一方の*の結合部位が4位である場合には、もう一方の**の結合部位は3位又は5位であり得る。
群A:
上記群A中、*はベンゼン環への結合部位を示す。
上記一般式(6)、(7)及び(8)における各芳香環の水素は、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
Yの結合位置は、左右のベンゼン環に対して、同一の、例えば、パラ位−パラ位であってもよく、例えば、一方がパラ位で、他方がメタ位というように異なった位置であってもよい。
群B:
上記群B中、*はベンゼン環への結合部位を示す。
R2としては、例えば、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基及び炭素数1〜20の直鎖脂肪族炭化水素基が挙げられる。
群C:
上記群C中、*はオキサジン環3位の窒素原子への結合部位を示す。
群C中、*が結合するメチレン基は、シス結合であってもよく、トランス結合であってもよい。また、シス及びトランス結合が混合して結合していてもよい。
群D:
上記群C中、*はオキサジン環3位の窒素原子への結合部位を示す。
一般式(1’):
(上記一般式(1’)中、Ar1、R1、R2、m及びnついては、上記一般式(1)におけるAr1、R1、R2、m及びnと同様であり、lは1〜700の整数である。)
一般式(1’’):
(上記一般式(1’’)中、Ar1、R1、R2、m及びnついては、上記一般式(1)におけるAr1、R1、R2、m及びnと同様であり、lは1〜700の整数である。)
上記一般式(1’’)におけるEが、例えば、下記群Eから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群E:
(*は窒素原子への結合部位を示す。)
上記一般式(1’’)におけるFが、例えば、下記群Fから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群F:
(*はR2への結合部位を示す。)
本発明の熱硬化性樹脂は、上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環を有する共重合体を含有する。本発明における共重合体において、ベンゾオキサジン環構造は、主鎖中にあってもよく、側鎖中にあってもよい。上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体は、二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得ることのできる共重合体である。
上記一般式(9)におけるXは、上記一般式(3)におけるXと同様である。
これらの二官能フェノールは、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
一般式(12):
上記一般式(12)におけるR1は、上記一般式(1)におけるR1と同様である。
上記一般式(13)におけるYは、上記一般式(6)におけYと同様である。
これらの芳香族ジアミン化合物は、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
一般式(16):
上記一般式(16)におけるR2は、上記一般式(1)におけるR2と同様である。
群G:
群H:
これらの脂肪族ジアミンは、単独で用いても2種類以上を併用しても用いてもよい。
ジアミンの使用量が1.20molを超えると、反応溶液がゲル化する傾向にある。ジアミンの使用量が0.90mol未満であると、未反応の二官能フェノール化合物類が残存する傾向にある。
脂肪族ジアミンの使用量が全ジアミンの90mol%を超えると、反応溶液がゲル化する傾向にあり、脂肪族ジアミンの使用量が10mol%未満であると、液状ゴムとの相溶性が発現しにくくなる傾向にある。
脂肪族ジアミンの使用量が、全ジアミンのうち、10〜90mol%であることにより、熱硬化性樹脂においてm:nが、10:90〜90:10の範囲となる。
ホルムアルデヒドと、アセトアルデヒド等の他のアルデヒドと、を併用して用いることもできる。
ホルムアルデヒドの使用量が6.5molを超えると、残存するホルムアルデヒドによって、人体及び環境に与える負荷が多大となる傾向にある。ホルムアルデヒドの使用量が4.0mol未満であると、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂が高分子量化しにくくなる傾向にある。
本発明において、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化とは、反応溶媒や、塗工液を調整する際に用いられる溶媒に対するベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の溶解性が0.01質量%以下であることを意味する。
単官能フェノールの使用量が0.50molを超えると、合成反応中にベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の分子量が伸びにくくなり、また、多量の単官能フェノールが残存する傾向がある。残存した単官能フェノールはベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の開環反応に対して酸触媒として作用するため、塗工液とした場合に保存安定性が低下し、ゲル化につながるおそれがある。
これらの単官能フェノールは、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
アルコール類としては、特に限定されないが、芳香族系の非極性溶媒よりも沸点が低いアルコールを用いることが好ましい。このようなアルコールとしては、例えば、炭素数が4以下のアルコールが挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール等が好ましい。これらアルコールは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
アルコールの割合が40体積%を超えると、アルコールによる溶媒和作用の影響が大きくなりすぎるため、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応に長時間を要することとなり、合成効率が低下するおそれがある。
反応溶液温度が50℃未満では、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応が遅くなり、合成効率が低下するおそれがある。反応溶液温度が130℃を越えると、熱硬化性樹脂の合成反応時に、反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まるおそれがある。
Mwが2000未満であると、その後の開環反応により得られる最終製品の耐熱性、可撓性が低下する傾向がある。Mwが500000を超えると、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化につながるおそれがある。
本発明において、Mwは以下の実施例に示す方法により測定することができる。
熱硬化性樹脂組成物に対して、熱硬化性樹脂は30質量%〜100質量%であることが好ましい。
本発明において、液状ゴムとは、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうち、常温で流動性があり、有機溶媒に可溶で、Mw500〜20000のものであれば、特に限定されない。
単量体化合物としては、ブタジエン、イソプレン及びアクリロニトリル等が挙げられる。ポリマー化合物の両末端は、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボシシル基、イソシアネート基、ビニル基及びエポキシ基等の構造を有していてもよい。
ポリマー化合物の主鎖構造としては、二重結合が存在している構造であってもよく、水素添加された構造であってもよい。
上記濃度が10質量%未満では、塗工するのに十分な塗工液粘度が得られない傾向がある。上記濃度が90質量%を超えると、塗工液がゲル化しやすい傾向がある。
液状ゴム質量濃度が5質量%未満では、硬化後のフィルム等の最終製品が十分な靭性を得られない傾向がある。液状ゴム質量濃度が50質量%を超えると、塗工液が不均一化する傾向がある。
シート状成形体は、銅箔と張り合わせて、銅張り積層板用材料とすることができる。また、そのまま硬化させて基板材料としたり、回路基板に積層して回路基板に絶縁層を形成したりすることができる。
プリント基板の製造方法としては、例えば、絶縁層と回路層が交互に積層成形されるビルドアップ法による多層プリント基板の製造方法などが挙げられる。回路層が形成されたコア材に本発明のシート状成形体をラミネートして、本発明のシート状成形体による絶縁層を形成する。必要に応じて穴開けを行った後、この絶縁層に、銅めっき層を形成し、更に回路を形成する。更に表層回路に本発明のシート状成形体を積層して、(これを必要回数繰り返してもよい)多層プリント基板を製造することができる。
高速液体クロマトグラフシステム、メーカー:SHIMADZU
システムコントローラー:SCL−10A VP
送液ユニット:LC−10AD VP
デガッサー:DGU−12A
示差屈折計(RI)検出器:RID−10A
オートインジェクター:SIL−10AD VP
カラムオーブン:CTO−10AS VP
カラム:SHODEX KF804L(排除限界分子量400000)×2(直列)
カラム温度:40℃
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬製、安定剤不含、HPLC用)
サンプル:0.7質量%
検出器:RI
を使用した。
Mw(Mw/Mn)がそれぞれ、354000(1.02)、189000(1.04)、98900(1.01)、37200(1.01)、17100(1.02)、9830(1.02)、5870(1.05)、2500(1.05)、1050(1.13)、500(1.14)300(1.20)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した(Mnは、数平均分子量を意味する。)。
標準ポリスチレン換算により分子量を計算して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリスチレン換算値での重量平均分子量を測定した。
装置名:ECX400(400MHz) メーカー:JEOL
溶媒:重クロロホルム
(Cambridge Isotope Laboratories 株式会社製、0.05体積%TMS含有)
サンプル濃度:1.3質量%
で測定した。
トルエン190mL、イソブタノール10mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノールビスフェノール(以下、ビスフェノールM) 48.6g(0.14mol)、三井化学製4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(以下、ビスアニリンM) 37.6g(0.11mol)、1,12−ジアミノドデカン 7.31g(0.04mol)、フェノール 1.06g(0.01mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 24.3g(0.74mol)を、フラスコ内に、一括して添加混合した。反応溶液が入ったフラスコを、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエン、イソブタノールと共沸させることで系外に留去した。生成水留去開始後、5時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン210mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、スプレードライヤーを用いて、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリスチレン換算値での重量平均分子量(Mw)は17031であった。
また、1H−NMR測定において、ビスフェノールM+ビスアニリンMの組み合わせで得られるオキサジン環2位のメチレンプロトンピークが5.27ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが4.49ppmに観測され、ビスフェノールM+1,12−ジアミノドデカンの組み合わせで得られるオキサジン環2位のメチレンプロトンピークが4.80ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが3.89ppmに観測されたことから、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られたことを確認した。以下、本合成で得られた熱硬化性樹脂を樹脂Aとする。
トルエン35mL、イソブタノール15mLを110mLのガラス製サンプル瓶内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 13.9g(40mmol)、三井化学製ビスアニリンM 10.8g(31mmol)、1,12−ジアミノドデカン 2.1g(10mmol)、フェノール 0.30g(3mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 6.3g(193mmol)を、サンプル瓶内に、一括して添加混合した。サンプル瓶の口を、軽くアルミホイルで覆い、サンプル瓶内を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から3時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応混合溶液をろ過した後、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂のMwは6090であった。
また、1H−NMR測定を行うことで、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が得られたことを確認した。
トルエン35mL、イソブタノール15mLを110mLサンプル瓶内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 10.4g(30mmol)、三井化学製ビスアニリンM 5.4g(16mmol)、1,12−ジアミノドデカン 3.1g(16mmol)、フェノール 0.2g(2mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を目視にて確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 5.2g(159mmol)を、サンプル瓶内に、一括して添加混合した。サンプル瓶の口を、軽くアルミホイルで覆い、サンプル瓶内を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から6時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応混合溶液をろ過した後、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂のMwは9682であった。
また、1H−NMR測定を行うことで、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が得られたことを確認した。
トルエン35mL、イソブタノール15mLを110mLのガラス製サンプル瓶内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 6.9g(20mmol)、三井化学製ビスアニリンM 1.8g(5mmol)、1,12−ジアミノドデカン 3.1g(16mmol)、フェノール 0.2g(2mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 3.8g(115mmol)を、前記サンプル瓶内に、一括して添加混合した。サンプル瓶の口を、軽くアルミホイルで覆い、サンプル瓶内を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から6時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応混合溶液をろ過した後、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂のMwは10587であった。
また、1H−NMR測定を行うことで、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が得られたことを確認した。
還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた10L反応装置中、トルエン2000mL、三井化学製ビスフェノールM 555.1g(1.6mol)、三井化学製ビスアニリンM 551.3g(1.6mol)を室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 251.6g(7.7mol)を、反応装置内に、一括して添加混合した。反応溶液が入った反応装置を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエンと共沸させることで系外に留去した。生成水留去開始後、7時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン2500mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、15Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは12269であった。
また、1H−NMR測定において、オキサジン環2位のメチレンプロトンピークが5.27ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが4.49ppmに観測されたことから、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られたことを確認した。以下、本合成で得られた熱硬化性樹脂を樹脂Bとする。
トルエン160mL、イソブタノール40mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 27.8g(80mmol)、1,12−ジアミノドデカン 16.1g(80mmol)、フェノール 0.7g(6mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 15.7g(480mmol)を、フラスコ内に、一括して添加混合した。反応溶液が入ったフラスコを、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から7時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をろ過した後、500mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは13348であった。
また、1H−NMR測定において、オキサジン環2位のメチレンプロトンピークが4.80ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが3.89ppmに観測されたことから、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られたことを確認した。以下、本合成で得られた熱硬化性樹脂を樹脂Cとする。
樹脂A:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 18mol%) 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下で5日経過後も、流動性を維持していた。
ANは、アクリロニトリル由来の部位の含有率を示す。
樹脂A:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 10mol%) 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下で5日後も、流動性を維持していた。
樹脂A:9.0g、日本曹達製 NISSO−PB C−1000 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下で5日経過後も、流動性を維持していた。
樹脂B:6.75g、樹脂C:2.25g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 18mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下では5日後にゲル化した。
樹脂B:6.75g、樹脂C:2.25g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 10mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下では5日後にゲル化した。
樹脂B:6.75g、樹脂C:2.25g、日本曹達製 NISSO−PB C−1000 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下では5日後にゲル化した。
樹脂B:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 18mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させようとしたが、白濁し、均一(透明)な塗工液が得られなかった。
樹脂B:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 10mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させようとしたが、白濁し、均一(透明)な塗工液が得られなかった。
樹脂B:9.0g、日本曹達製 NISSO−PB C−1000 1.0gをトルエン10.0gに溶解させようとしたが、白濁し、均一(透明)な塗工液が得られなかった。
比較例1〜3の塗工液を同様に乾燥、硬化を行ったところ、10μmより大きな不均一部が光学顕微鏡で観察できるような白濁したフィルムしか作製できなかった。
熱硬化性樹脂を硬化した場合には、耐熱性及び靭性に優れるフィルムを得ることができるので、本発明の熱硬化性樹脂は、積層板や半導体封止材等のエレクトロニクス材料及び摩擦材や砥石等の結合材の分野において産業上の利用可能性を有する。
Claims (12)
- 下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂。
一般式(1):
(式(1)中、Ar1は二官能性フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、R1は炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、R2は炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。) - m:nが、10:90〜90:10である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
- 前記Ar1が、下記一般式(3)、(4)及び/又は(5)で示される基である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂。
(上記一般式(3)、(4)及び(5)において、*はオキサジン環1位の酸素原子への結合部位を示し、**はオキサジン環4位の炭素原子への結合部位を示す。上記一般式(3)におけるXは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。) - 前記R1が、下記一般式(6)、(7)及び/又は(8)で示される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
(上記一般式(6)、(7)及び(8)において、*は窒素原子への結合部位を示す。上記一般式(6)におけるYは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。) - 前記R2が、炭素数1〜20の直鎖脂肪族炭化水素基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
- 二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得られる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
- 単官能フェノールをさらに添加して反応させて得られる、請求項6に記載の熱硬化性樹脂。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂と、液状ゴムとを含む熱硬化性樹脂組成物。
- 液状ゴム質量/(熱硬化性樹脂質量+液状ゴム質量)が5〜50質量%である、請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、又は請求項8若しくは9に記載の熱硬化性樹脂組成物からなるシート状形成体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、請求項8若しくは9に記載の熱硬化性樹脂組成物、又は請求項10に記載のシート状形成体からなる樹脂フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、請求項8若しくは9に記載の熱硬化性樹脂組成物、請求項10に記載のシート状形成体、又は請求項11に記載の樹脂フィルムからなるプリント基板。
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